以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の一実施形態について図1の模式的構成図を参照して説明する。
この実施形態においては、トナーTを飛翔させ、クラウド化した状態で担持するローラ状のトナー担持体1と、トナーTが付着させられる記録媒体3と、トナー担持体1と記録媒体3との間に配置された複数のトナー通過孔41を有するトナー制御手段4とを備えている。
トナー担持体1は、表面側にトナーTを搬送する方向(ここでは周方向)に所定の間隔でトナーTを搬送する方向と直交する方向(ここでは軸方向)に沿って形成された所定ピッチで設けられた複数の電極11を有し、このトナー担持体1の各電極11には、電源5から時間によって電位が変化するパスル電圧(クラウドパルス)が印加される。
例えば、0.5[kHz]〜7[kHz]の周波数のパルス電圧が印加され、各電極11、11の間隔はファインピッチに設けられているため、電極11、11間で強い電界が形成される。そのため、トナーTの帯電極性に対して反発する電位にある電極11表面からトナーTは勢いよく飛翔し、飛翔したトナーTは吸引する極性の電位が印加されている電極11に引き寄せられ、パルスが切り替わることでパルス周波数に応じた上下方向の飛翔を繰り返し、トナーTがクラウド化された状態になる。
トナー制御手段4は、トナーTが通過可能なトナー通過孔(開口)41が複数設けられ、このトナー制御手段4のトナー供給側面(トナー担持体1側の面)のトナー通過孔41周辺にはリング状に制御電極42が設けられ、更にトナー通過孔41に対し印写面側に共通の共通電極43が設けられている。
このトナー制御手段4の制御電極42には制御パスル発生手段6から例えば図2に示すような制御パルスVcが印加される。この場合、トナー通過孔41をトナーTが通過可能な状態(ON状態)にするときには制御電極42に電圧Vc−onが印加され、トナーTが通過不可能な状態(OFF状態)にするときには制御電極42に電圧Vc−offが印加される。また、印写面側の共通電極43には常時、電源7からバイアス電圧Vrgが印加されており、印写面側領域電界の相互干渉を防止している。トナー制御手段4の制御電極42は、トナー通過孔41周囲だけでも動作が可能であるが、トナー通過孔41の内壁面又はトナー通過孔41の内壁面とトナー担持体1側の周囲の両方に設けたものであってもよい。
記録媒体3側には、記録媒体3の背面に、トナー制御手段4を通過したトナーTを記録媒体3に付着させるためのバイアス電圧が印加されるバイアス電圧印加手段となる電極手段としての背面電極31が配置され、トナー制御手段4を通過したトナーTを記録媒体3に付着させるため、電源8からのバイアス電圧Vpが印加される。この記録媒体3は、この上に一度画像を形成し、その後紙に転写する中間転写記録媒体、あるいは、記録紙であってもよい。この記録媒体3に対するバイアス電圧Vpの印加は、例えば記録媒体3の背面側(トナー担持体1と反対側面)に背面電極31を配置し、この背面電極31上面に記録媒体3を通過させる構成、あるいは、中間転写記録媒体であれば内部に電極を埋め込んだ構成(記録媒体側の電極を内部電極とする構成)又は中間転写記録媒体の背面に背面電極31を配置した構成とすることができる。
ここで、トナー担持体1表面のトナーをクラウド化する手段として、トナー担持体1表面に設けられた複数の電極11を備え、各電極11にパルス電圧Vsを印加する。このとき、隣接する電極11相互の間でトナーTを吸引する方向と反発する方向を交互に繰り返す関係の電圧を印加する2相の電極間ピッチp(又は、2本毎の各電極11に2相の位相電圧を印加する2相の電極間ピッチ)に配置する。
次に、トナー制御手段4の具体的構成の一例について図3を参照して説明する。なお、図3(a)は同トナー制御手段の印写面側の説明図、(b)は同じくトナー供給側面の説明図である。
この例は、絶縁基板(基材)45のトナー供給側(トナー担持体1側)面に、トナー通過孔41を囲む形で10[μm]〜100[μm]幅のリング状の制御電極42を設けている。
トナー通過孔41は、形成するドット径のサイズで決定するが、例えば直径φ50[μm]〜φ200[μm]である。制御電極42は個々にトナーTの通過をON、OFF制御するためのドライバ回路(駆動回路)に接続するためのリードパターン42aが接続されている。
印写面側には、穴の周辺部を除いた領域に共通電極43を設けた構成であり、制御電極への電圧Vc−on、電圧Vc−offの電圧印加にかかわらず、隣接相互の電界の影響を受けない様DC電位を印加する構成としている。すなわち、記録媒体側のバイアス電位とトナー供給側の間に形成する電気力を各トナー通過孔独立の電気力線として形成できるため、マルチ駆動(複数のノズル通過孔からトナーを飛翔させる駆動)のときの相互干渉(他のトナー通過孔の状態を受けること)が発生しないことを狙いとしている。
このようなトナー制御手段4の具体的製造方法は、基材45である絶縁性部材として、コスト、製造プロセスの観点から樹脂フィルム、例えば、ポリイミド、PET、PEN、PES等で、厚さは30[μm]〜100[μm]のものを使用し、まずフィルム面に0.2[μm]〜1[μm]のAl蒸着膜を裏表に形成する。次に、表面のフォトリソ工程として、フォトレジストをスピンナで塗布後、プリベーク、マスク露光を行ない、現像した後、フォトレジストの加熱硬化を行なう。同様に印写面側のパタンを裏面に前記と同様なフォトリソ工程を行った後、Alエッチング液によるAlのパタンニングを行う。トナー通過孔41となる貫通穴の形成は、パターン形成後プレスによる機械的な加工、または形成したパターンに対するエキシマレーザー加工、またはメタルマスクを利用したスパッタエッチング加工等のドライエッチング加工によれば、位置ずれの無い高精度な穴加工が可能である。
このように構成した画像形成装置においては、担持体1の電極11に対して180度位相の異なる2相パルス電圧を印加することによって、トナー担持体1上でトナーTが飛翔してクラウド化され、トナー担持体1の回転による搬送によってトナーTが搬送される。一方、記録媒体3側の背面電極31にバイアス電圧Vpが印加される。
この状態で、トナー制御手段4の共通電極43に対してバイアス電圧Vrgを印加し、制御電極42に対してトナーTがトナー通過孔41を通過可能な状態(ON状態)にするときには図2に示すON時の電圧Vc−onを印加し、トナーTがトナー通過孔41を通過不可能な状態(OFF状態)にするときには図2に示すOFF時の電圧Vc−offを印加する。
この場合、これらの各電極11,31,42,43に対する電圧を後述するように設定することで、トナー制御手段4をトナー担持体1のトナーTが記録媒体3に向かって通過可能な状態の電圧Vc−on印加時に、記録媒体3側からトナー供給側に電気力線10が形成される。
これにより、トナー担持体1上でクラウド化しているトナーは電気力線10による電界に乗ってトナー制御手段4のトナー通過孔41を通過して記録媒体3上に着弾する。したがって、画像に応じてトナー制御手段4の各トナー通過孔41をON/OFF制御(開閉制御)することで、記録媒体3上に直接トナー画像を形成することができる。
そこで、トナー担持体1の電極11に対するパルス電圧Vs、記録媒体3側のバイアス電圧Vp、トナー制御手段4の制御電極42に対する制御パルスVcについて、図4を参照して説明する。なお、図4はトナー担持体1、トナー制御手段4、記録媒体3の二次元断面電界強度分布のシミュレーション結果に基づくトナー通過孔を通過する電気力線を示す説明図である。
トナー担持体1の電極11にはパルス電圧(電位が時間的に変動する電位)を印加する。この場合、バイアス電圧の波高値は電極ピッチ、使用するトナー等に応じて設定する。通常の実験結果によると、±60〜±300[Vpp](ppはピーク−ピーク)の範囲内で設定することでトナーの飛翔が可能であり、このシミュレーションの例では±200[Vpp]、DC電圧成分+200[V]の電圧を印加している。つまり、ピーク値で0[V]〜+400[V]の電圧をトナー担持体1の電極11に印加している。なお、トナー担持体1とトナー制御手段4の間隔dは0.2[mm]である。
また、この例では、トナー制御手段4のトナー通過孔41の直径φ120[μm]、リング状の制御電極42の穴中心方向の幅は50[μm]、共通電極43と穴の間隔は50[μm]である。
このトナー制御手段4の共通電極43は、ここでは+100[V]である。
そして、トナー制御手段4の制御電極42には、トナーTがトナー通過孔41を通過可能な状態(ON状態)にする場合、電圧Vc−onは+250[V]、トナーTを通過させる時以外の阻止状態の(通過不可能な状態にする)場合の電圧Vc−offは0[V]としている。記録媒体3の背面電極31へのバイアス電圧Vpはトナー制御手段4と記録媒体3との間隔にもよるが、例えば+200[V]〜+1500[V]のDC電圧を印加すればよい。図4の例では、トナー制御手段4と記録媒体3との間隔を0.3[mm]として背面電極31にDC+800[V]を印加し、トナー通過孔41を通過したマイナス極性に帯電したトナーを記録媒体3の表面にを引き寄せる電位勾配としている。
各電極11,42,43,31に印加する電位の関係を以上のように設定することで、マイナスに帯電したトナーがトナー通過孔41を通過可能な状態にする場合(図4(a))においては、最もプラス側に電位が高い記録媒体3側の背面電極31から出る電気力線のうち、トナー制御手段4のトナー通過孔41を通る電気力線の多くが、トナー通過孔41を通過した後、一番電位の低い電極すなわちトナー担持体1の電極11の0[V]を印加している電極に入ることになる。
図4(a)に示すように、トナーTがトナー通過孔41を通過可能な状態(ON状態)にしたときには、先の記録媒体3側の背面電極31からトナー通過孔41を通る電気力線10は、0[V]と最も電位の低い2箇所のトナー担持体1の電極11に入る結果となっている。
したがって、トナー担持体1上でクラウド状態にあるマイナス極性に帯電したトナーや、0[V]の電圧が印加されたトナー担持体1の電極11近傍のトナーなどが、この電気力線10に沿ってトナー通過孔41を通過し、記録媒体3の表面にトナーTが飛翔することができる。
一方、トナーTがトナー通過孔41を通過不可能な阻止状態(OFF状態)にした場合(図4−b)、制御電極42には0[V]が印加されている。また、トナー担持体電極の低電位側も0[V]であるが、記録媒体3側の背面電極31からの電気力線10は背面電極31に対して近い位置にある制御電極42に全て入ることになる。したがって、トナー担持体1表面、及び、その上方の供給領域にあるトナーは記録媒体の背面電極31に向かって飛翔することはない。
この、阻止状態(OFF状態)の制御電極42への印加電圧は、トナー担持体1の電極11の低電位側と同じ電位である必要はなく、穴を通過した電気力線10がトナー担持体1表面に至らない条件であればトナーTの通過を阻止する(OFF状態にする)ことはできる。
次に、本発明に係る画像形成装置の一例について図5を参照して説明する。なお、図5は同画像形成装置の模式的構成図である。
この画像形成装置は、前述した実施形態のユニットを4個設けてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色分のトナーのクラウド化とトナー制御手段によるON/OFF制御を行ってカラー画像を形成する画像形成装置の例である。
つまり、この画像形成装置は、記録媒体である中間転写記録体103に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色分のトナーのクラウド化して供給する4個のトナー供給ユニット100y、101m、101c、101k(色を区別しないときは「トナー供給ユニット100」という。以下同様。)を配置し、各トナー供給ユニット100と中間転写記録体103との間に、それぞれ前記実施形態のトナー制御手段4と同様な構成のトナー制御手段104を配置している。
ここで、中間転写記録体103は、ローラ132とローラ133との間に掛け回されて矢示方向に周回移動する。この中間転写記録体103の背面(内側)には各トナー供給ユニット100に対応して記録媒体側電極である背面電極131が配置されている。また、転写後の中間転写記録体103上の残トナーを除去するクリーニングユニット135が備えられる。
トナー供給ユニット100は、トナーをクラウド化させるために電圧を印加する複数の電極111を並べて配置したトナー担持体1と同様な構成の円筒状のトナー担持体101と、このトナー担持体101にトナーを補給する回転するトナー補給ローラ113と、トナー担持体101上のトナー量を規制する記録剤層規制部材114を備えている。
ここでは、トナー補給ローラ113からトナー担持体101にトナーが補給されるとともに、トナー補給ローラ113上のトナーとトナー担持体101との摩擦によってトナーの摩擦帯電が行われる。また、トナー補給ローラ113よりもトナー担持体回転方向下流側にある記録剤層規制部材114は、トナー担持体101表面のトナー量を薄層で一定量にするとともに、トナー帯電量の安定化も図っている。
そして、トナー供給ユニット100で供給されるトナーがトナー制御手段104によって画像に応じてON/OFF制御されることで中間転写記録体103上に飛翔され、中間転写記録体103上にカラーのトナー画像が形成される。
一方、下方に記録紙150を収容する給紙部105が配置され、給紙部105から記録紙150がピックアップローラ(給紙ローラ)106で給紙されて、中間転写記録体103を掛け回したローラ132に対向して配置した転写ローラ107で中間転写記録体103上のトナー画像が転写され、定着ユニット108でトナーが記録紙150上に溶融定着されて排紙される。
なお、ここでは図示していないが、記録紙150の裏面側の転写ローラ107に+バイアスが印加されることで中間転写記録体103から記録紙150面へのトナー画像の転写が行われる。また、上述したように中間転写記録体103はクリーニングユニット135で残トナーがクリーニングされて、次の画像形成が行われる。
このように、この画像形成装置は、中間転写記録体に4色画像を形成した後、給紙部から供給される記録紙に転写を行う中間転写記録方式である。この中間転写記録方式の場合は、印写面(トナーが着弾する面、画像形成面ともいう。)とトナー制御手段との間隔を一定に保つ精度確保が容易であり、トナー飛翔速度が低い条件で高画質化を図ることができる。また、平滑で体積抵抗率の調整によって電荷が蓄積しない、電位変動のない印写面が得られ、クラウド化したトナーの通過のON/OFFで直接印刷する画像形成装置は電位に対する感度が高く、印写面バイアス電位の変動に対して画質変動が発生しやすいが、この構成であれば信頼性の高い、高画質のカラー画像を得ることができる。
次に、本発明に係る画像形成装置の他の例について図6を参照して説明する。なお、図6は同画像形成装置の模式的構成図である。
この画像形成装置は、記録媒体を記録紙として、記録紙上に直接画像を形成する例である。つまり、ここでは、給紙部105から供給される記録紙150を紙搬送ベルト161に静電的に吸着してトナー供給ユニット100の領域を通過させ、トナー制御手段104の画像に応じたON/OFF制御によって記録紙150上に直接カラー画像を形成する。
なお、紙搬送ベルト161は、ポリイミド等から形成され、ローラ162とローラ163とに掛け回されて矢示方向に周回移動し、図示しない帯電ローラなどの帯電手段によって帯電されることで記録紙150を静電的に吸着保持して搬送する。なお、給紙部105から記録紙150を紙搬送ベルト161に導くためのガイド164、レジストローラ165なども配置されている。
この構成では、トナー通過を制御するトナー制御手段104と通過後のトナーを記録紙150に導くためのバイアスを印加する背面電極131の間にポリイミド等の紙搬送ベルト161及び記録紙150があるため、トナー制御手段104と背面電極131の間隔を非常に狭く設定することが難しいが、他方、記録紙150上に直接カラー画像を形成し、転写プロセスがないため、転写によるトナー散りで画質低下することがなくなる。
また、前記図5で説明した構成のようなベルトクリーニング機構を必要としないこと等もあり、小型、低コストの画像形成装置の実現に有利である。トナーをクラウド化する本構成では、印写面バイアスを低い設定にしてトナーを導くことも可能であるため、紙面へのトナーの着弾スピードも低く設定でき、トナーの散りが起きない高画質の画像形成装置を得ることができる。
次に、上述した画像形成装置で用いるトナー担持体の一例について図7を参照して説明する。なお、図7(a)はトナー担持体を展開した状態で示す模式的平面説明図、図7(b)は同じく模式的断面説明図である。
この例は、トナー担持体表面に複数の電極を設け、1本おきの2組を共通にした2相用電極を備え、180[°]位相の異なる2相パルス(図8参照)を印加して、隣接電極同士で吸引と反発を繰り返す2相電界を形成するトナー担持体の例である。
このトナー担持体101は、絶縁性基板101Aの表面上に複数の電極111としてA相用電極である電極111Aと、B相用電極である電極111Bとを設け、その上に表面保護層101Bを設けたものである。櫛歯状の電極111A、電極111Bは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設け、両サイドには共通のバスライン111Aa、バスライン111Baで外部の図示しない2相パルス発生回路にそれぞれ接続されている。
電極111A、電極111Bに印加するパルス電圧は、周波数が0.5[kHz]〜7[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は±60[V]〜±300[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。この2相電界の場合は、隣接同士の電界方向の切り替わりに応じてトナーの反発飛翔と吸引飛翔を繰り返し、トナーは相互の電極間を往復移動する。そして、トナー担持体101全体は、トナーを搬送する方向に回転移動するものである。
このように、トナー担持体表面のトナーを飛翔させてクラウド化する手段が、トナー担持体表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で配設された複数の電極を有し、各電極に印加する電圧は隣接電極相互の間でトナーを吸引する方向と反発する方向を交互に繰り返す関係の電圧を印加し、トナー担持体が回転移動することでトナーの搬送とクラウド化を行う構成とすることで、トナー担持体表面のトナーの搬送に関して、トナーの帯電品質に左右されない安定なトナーの搬送が可能となり、装置全体としても信頼性の高い画像形成装置を実現できる。
次に、上述した画像形成装置で用いるトナー担持体の他の例について図9を参照して説明する。なお、図9(a)はトナー担持体を展開した状態で示す模式的平面説明図、図9(b)は同じく模式的断面説明図である。
この例は、トナー担持体表面に複数の電極を設け、表層側の各電極を共通とし、絶縁層を介して下層に設けた導体基材電極との間に180[°]位相の異なる2相パルス(図8参照)を印加して、表層側電極と下層導体基材電極相互の電界で吸引と反発を繰り返すトナー担持体の例である。
このトナー担持体は、間に設けた絶縁性基板の表面上に複数の電極としてA相用電極、下層にベタの導体基材であるB相用電極を設け、これらの表面に図7と同様に保護層を設けたものである。
表面側の電極は、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設け、両サイドには共通のバスラインで外部の図示しない2相パルス発生回路にそれぞれ接続されている。
ここで使用する2相パルス電圧も、周波数が0.5[kHz]〜7[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧、その波高値は±60[V]〜±300[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する構成は、図7と同様である。この2相電界によって、表層側電極と表層電極のスペース間を2相パルスの切り替わりに応じてトナーが飛翔を繰り返す。そして、トナー担持体全体は、トナーを搬送する方向に回転移動するものである。
これらのトナー担持体101の具体的構成において、ベース基板である絶縁性基板101Aは、例えば、樹脂或いはセラミックス等の絶縁性材料からなるもの、或いは、アルミなどの導電性材料からなる基材にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなるものなどを用いることができる。また、電極111は、ベース基板上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1[μm]〜1[μm]厚さで成膜し、フォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成、または銅箔を積層、メッキ等で形成した後フォトリソでパターン化してもよい。また、図9の例に示す下層導体基材電極は、Al、Ni−Cr等の導電性材料であればよい。
表面保護層101Bとしては、例えば、SiO2、TiO2、TiN、Ta2O5などを厚さ0.5[μm]〜2[μm]で蒸着成膜して形成、またはポリカーボネート、ポリイミド、メチルメタアクリレート等の有機材料を2[μm]〜10[μm]厚に薄膜印刷塗布して加熱硬化したものでもよい。
このように構成したトナー担持体においては、駆動回路から飛翔用のパルスを印加して飛翔電界を形成することで、トナー担持体上の帯電したトナーは反発力や吸引力などを受けて上下方向への飛翔、進行波方向への搬送が行われる。
次に、上記画像形成装置におけるトナー供給ユニット100の具体的な構成の一例について図10を参照して説明する。
このトナー供給ユニット100は、磁性キャリアと非磁性トナーから成る二成分記録剤を用いる例である。記録剤収容部201は室201Aと室201Bとの2つに分けられており、トナー供給ユニット100内の両端部の記録剤通路(図示せず)によって繋がっている。記録剤収容部201には二成分記録剤が収容されており、室201A、室201Bにある攪拌搬送スクリュー202A、攪拌搬送スクリュー202Bによって攪拌されながら記録剤収容部201内を搬送されている。
記録剤収容部201の室201Aにはトナー補給口203が配置されており、図示しないトナー収容部からトナー補給口203を通って、記録剤収容部201内に補給される。記録剤収容部201には記録剤の透磁率を検知する図示しないトナー濃度センサが設置されており、記録剤の濃度を検知している。記録剤収容部201のトナー濃度が減少すると、トナー補給口203から記録剤収容部201内にトナーが補給される。
そして、攪拌搬送スクリュー202Bと対向する位置には、トナー補給ローラとしてのマグブラシローラ204が配置されている。マグブラシローラ204の内部には固定された磁石が配置されおり、マグブラシローラ204の回転と磁力によって、記録剤収容部201内の記録剤はマグブラシローラ204表面に汲み上げられる。記録剤の汲み上げ位置よりマグブラシローラ204の回転方向上流において、マグブラシローラ204と対向する位置に記録剤層規制部材205が設けられている。
汲み上げ位置で汲み上げられた記録剤は記録剤層規制部材205によって一定量の記録剤層厚に規制される。記録剤層規制部材205を通った記録剤はマグブラシローラ204の回転に伴って、トナー担持体101と対向する位置まで搬送される。マグブラシローラ204には、第一電圧印加手段211によって供給バイアスが印加されている。
トナー担持体101には、第二電圧印加手段212によって前述した図7或いは図9に示す電圧が電極111に印加されている。マグブラシローラ204と対向する位置においては、第一電圧印加手段211、第二電圧印加手段212によってトナー担持体101とマグブラシローラ204との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーはキャリアから分離し、トナー担持体101表面に移動する。トナー担持体101表面に達したトナーは、第二電圧印加手段212から電極111に印加された電圧が形成する電界によってクラウド化し、トナー担持体101の回転、またはトナー担持体101の進行波電界によって搬送される。
そして、トナー制御手段104と対向する位置まで搬送されたトナーは、制御電極42のトナー通過ON/OFFの制御電界により選択的に記録媒体側に飛翔されて、トナーのドット印写が制御される。
次に、上記画像形成装置におけるトナー供給ユニット100の具体的な構成の一例について図11を参照して説明する。
このトナー供給ユニット100は、非磁性トナーから成る一成分記録剤を用いる例である。トナーは記録剤収容部201に収容されており、帯電ローラ220によってトナーはトナー補給ローラ113と摩擦帯電を行い、静電気力によってトナー補給ローラ113上に汲み上げられる。トナー補給ローラ113上のトナーは記録剤層規制部材114によって薄層とされ、トナー補給ローラ113の回転に伴ってトナー担持体101と対向する位置に搬送される。
このとき、トナー補給ローラ113には、第一電圧印加手段221によって供給バイアスが印加されている。トナー担持体101には、第二電圧印加手段222によって電極111に電圧が印加されている。したがって、トナー担持体101と対向する位置においては、第一電圧印加手段221と第二電圧印加手段222とによって、トナー担持体101とトナー補給ローラ113との間に電界が生じ、その電界からの静電気力を受け、トナーはトナー補給ローラ113から分離し、トナー担持体101表面に移動する。
前記の例と同様に、トナー担持体101表面に達したトナーは、第二電圧印加手段222から電極111に印加された電圧が形成する電界によってクラウド化し、トナー担持体101の回転、またはトナー担持体101の進行波電界によって搬送される。
そして、トナー制御手段104と対向する位置まで搬送されたトナーは、制御電極42のトナー通過ON/OFFの制御電界により選択的に記録媒体側に飛翔されて、トナーのドット印写が制御される。
なお、これらの各トナー供給ユニット100において、印写に寄与しなかったトナーはトナー担持体101によってさらに搬送され、図示しない回収手段によってトナー担持体101表面から回収される。回収されたトナーは再び記録剤収容部201に戻され、トナー供給ユニット100内を循環する。
なお、上記の説明では主に負帯電トナーを例にしているが、正帯電トナーを用いることもできる。
ここで、トナージェット、ダイレクトトーニング、トナープロジェクションなどと称される、トナー(記録材)によって記録媒体(中間転写媒体を含む)上に画像を直接記録する従来の直接記録方式の画像形成装置として次のようなものがある。
例えば、特開昭63−136058号公報には、トナーホッパから供給されたトナーに、固定ブレード又は回転ローラとの摩擦帯電によって帯電電荷を与え、回転搬送した後、制御部材に印加する制御パルスと回転ローラとの間の電界でトナーの飛翔を制御するものが記載されている。
ここでは、帯電電荷を有するトナーが回転ローラ表面に静電的に付着しており、そのトナーを制御パルスで剥離する必要がある。回転ローラと制御部材は数100[μm]以上のギャップを有するため、剥離のために印加する制御パルスは必然的に500[V]以上の高い電圧を必要とし、画素に対応した数が必要な制御用のドライバコストは非常に高価になってしまう問題、さらに、回転ローラに付着しているトナーを剥離して飛翔させるため応答性が悪く時間遅れの問題もある。
特許第2933930号公報、特公平2−52260号公報には、回転するトナー担持体と制御手段との間に交番バイアスを印加しながらトナー通過の制御電極に制御パルスを印加するものが記載されている。
この構成は、上記特開昭63−136058号公報に記載の装置のような応答性の問題は軽減されるものの、トナーの飛翔領域全体に一様な交番電界を印加して、トナーがトナー担持体に付着している時間と飛翔状態を繰り返すようにしている。そのため、トナー担持体に付着しているトナーを剥離するために強い交番バイアスを印加する必要があり、剥離したトナーは勢いよくトナー制御手段側へ飛翔して多くのトナーがトナー制御手段の電極に付着することが避けられず、信頼性に大きい問題がある。さらに、トナー担持体とトナー制御手段は前記と同様のギャップを有するため両者の間に印加している電圧値は500[V]以上と高く、この電界に対してトナーを通過または阻止させる電界を形成する制御パルスは同様に高い電圧値を必要とするためドライバコストの問題は解決できていない。
特開平4−269563号公報には、プリント1枚終了毎に、トナー担持体と制御電極との間にト制御電極の清掃を行う清掃電界を印加して、制御電極に付着したトナーを静電的に除去する構成が開示されている。ところが、このような構成では印写密度の高い画像を印写した場合等、制御電極のトナー付着の問題を回避できるレベルに至っていない。
一方、特開昭59−181370号公報(特許文献1)には、トナー担持体に複数の電極を有し、この電極間に時間的に変化する電界を形成してトナーを制御電極側へ飛翔させる構成が記載されている。
ここでは、制御電極近傍に飛翔して浮遊するトナーの通過を制御するため、上記特開昭63−136058号公報、上記特許第2933930号公報、上記特公平2−52260号公報の装置の制御電圧が高くなる欠点は解決されている。
特開平2−226261号公報には、上記特開昭59−181370号公報(特許文献1)と同様に、トナー担持体に複数の電極を有し、この電極間に時間的に変化する電界を形成してトナー飛翔させる構成であり、トナーの通過を制御する制御電極が、それまで記録媒体側に設置されていたものをトナーの供給側面に設置することが記載されている。
この構成では、従来の装置では400[V]必要であった制御電圧が100[V」にできること、および制御電極が設けてある印字ヘッドに付着するトナーを除去した場合、トナー供給源に戻すことが可能であることが記載されている
[実験]
表1は、クラウドHigh電圧とクラウドLow電圧との電位差が400V、制御パルスVcの電圧Vc−onが250[V]、電圧Vc−offが0[V]の場合であり、実験例1〜実験例6はいずれもクラウドHigh電圧>電圧Vc−offの条件において、トナー担持体1の電極11と制御電極42間での電気力線の入り方及び制御電極42の表面のトナー付着の結果を示している。なお、ここで使用するトナー担持体表面のトナーは負帯電性のトナーで、一般的には−10[μC/g]〜−40[μC/g]の様な帯電電荷量のトナーである。
図12に表1中の実験例2におけるトナー担持体1の電極11に印加するクラウドパルスと制御電極42に印加する制御パルスVcとの関係を示す。トナー担持体1の電極11には、クラウドパルスとして0[V]±200[V]、つまり、ピーク値で−200[V]〜+200[V]の電圧を印加している。また、制御電極42に印加する制御パルスVcは、トナー通過OFF状態が0[V]、ON状態が+250[V]であり、1ドットを形成する周期に対応してトナー通過ON期間とトナー通過OFF期間を設けている。
トナー通過ON期間には数1の関係を満たし、トナー通過OFF期間には数2の関係を満たすように、クラウドパルスと制御パルスVcとを設定している。
また、実験例1の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図13(a)に、電圧Vc−off印加時について図13(b)に示し、実験例2の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図14(a)に、電圧Vc−off印加時について図14(b)に示し、実験例3の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図15(a)に、電圧Vc−off印加時について図15(b)に示し、実験例4の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図16(a)に、電圧Vc−off印加時について図16(b)に示し、実験例5の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図17(a)に、電圧Vc−off印加時について図17(b)に示し、実験例6の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図18(a)に、電圧Vc−off印加時について図18(b)に示す。なお、各図でクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11にはハッチングを施している。また、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11とクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11との間で形成される電気力線などは、図を見易くするため図示を省略している。また、トナー担持体表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で複数の電極11を配設した構成では、電極11の幅及び電極間の間隔は40[μm]である。また、トナー担持体1の表層の電極と下層の絶縁層を介した導体基材の間にクラウド電圧を印加する構成においては、表層に設けた電極の幅を40[μm]とし表層に設けた電極の電極間の間隔を120[μm]とする。
表1中に示した電圧Vc−on印加時において、実験例1〜実験例6の各条件に対して、背面電極31VpからクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)を示すと共に、250[V]の電圧Vc−onが印加された制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)をも示している。
表1からわかるように、実験例1〜実験例4の条件においては、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、背面電極31VpからクラウドLow電極に入る電気力線が形成されると共に、制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線が形成される。そのため、実験例1〜実験例4の条件において、トナー担持体1上でクラウド状態にあるマイナス極性に帯電したトナーや、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11近傍のトナーなどが、トナー通過孔41を通過し背面電極31側に向かって飛翔する共に、制御電極42の表面へのトナー付着が発生する。
表1に示した結果から、上記数2及び下記数3の関係を満たし、クラウドHigh電極から制御電極42へ入るような電気力線が形成されている実験例3〜実験例6の条件においては、制御電極42へのトナー付着が認められない。これは、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、制御電極42へ付着した負帯電トナーが、0[V]の電圧Vc−offを印加したときに、制御電極42からトナー担持体1の電極11側に離れて飛翔し、制御電極42の表面からトナーが除去されたためである。
表2は、クラウドHigh電圧とクラウドLow電圧との電位差が600V、制御パルスVcの電圧Vc−onが250[V]、電圧Vc−offが0[V]の場合であり、実験例7〜実験例12はいずれも、クラウドHigh電圧>電圧Vc−offの条件において、トナー担持体1の電極11と制御電極42間での電気力線の入り方及び制御電極42の表面のトナー付着の結果を示している。なお、ここで使用するトナー担持体表面のトナーは負帯電性のトナーで、一般的には−10[μC/g]〜−40[μC/g]の様な帯電電荷量のトナーである。
また、実験例7の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図19(a)に、電圧Vc−off印加時について図19(b)に示し、実験例8の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図20(a)に、電圧Vc−off印加時について図20(b)に示し、実験例9の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図21(a)に、電圧Vc−off印加時について図21(b)に示し、実験例10の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図22(a)に、電圧Vc−off印加時について図22(b)に示し、実験例11の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図23(a)に、電圧Vc−off印加時について図23(b)に示し、実験例12の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図24(a)に、電圧Vc−off印加時について図24(b)に示す。なお、各図でクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11にはハッチングを施している。また、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11とクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11との間で形成される電気力線などは、図を見易くするため図示を省略している。また、トナー担持体表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で複数の電極11を配設した構成では、電極11の幅及び電極間の間隔は40[μm]である。また、トナー担持体1の表層の電極と下層の絶縁層を介した導体基材の間にクラウド電圧を印加する構成においては、表層に設けた電極の幅を40[μm]とし表層に設けた電極の電極間の間隔を120[μm]とする。
表2中に示した電圧Vc−on印加時において、実験例7〜実験例12の各条件に対し、背面電極31VpからクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)を示すと共に、250[V]の電圧Vc−onが印加された制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)をも示している。
表2からわかるように、実験例7〜実験例10の条件においては、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、背面電極31VpからクラウドLow電極に入る電気力線が形成されると共に、制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線が形成される。そのため、実験例7〜実験例10の条件において、トナー担持体1上でクラウド状態にあるマイナス極性に帯電したトナーや、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11近傍のトナーなどが、トナー通過孔41を通過し背面電極31側に向かって飛翔する共に、制御電極42の表面へのトナー付着が発生する。
表2に示した結果から、上記数2及び上記数3の関係を満たし、クラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11から制御電極42へ入るような電気力線が形成されている実験例9〜実験例12の条件においては、制御電極42へのトナー付着が認められない。これは、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、制御電極42へ付着した負帯電トナーが、0[V]の電圧Vc−offを印加したときに、制御電極42からトナー担持体1の電極11側に離れて飛翔し、制御電極42の表面からトナーが除去されたためである。
表3は、クラウドHigh電圧とクラウドLow電圧との電位差が400V、制御パルスVcの電圧Vc−onが250[V]、電圧Vc−offが0[V]の場合であり、実験例13〜実験例18はいずれも、クラウドHigh電圧>電圧Vc−offの条件において、トナー担持体1の電極11と制御電極42間での電気力線の入り方及び制御電極42の表面のトナー付着の結果を示している。なお、ここで使用するトナー担持体表面のトナーは負帯電性のトナーで、一般的には−10[μC/g]〜−40[μC/g]の様な帯電電荷量のトナーである。
また、実験例15の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図25(a)に、電圧Vc−off印加時について図25(b)に示が、その他の実験例においては図13〜図18に示したものと略同様な結果であるため、ここでは省略する。なお、図でクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11にはハッチングを施している。また、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11とクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11との間で形成される電気力線などは、図を見易くするため図示を省略している。また、トナー担持体表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で複数の電極11を配設した構成では、電極11の幅及び電極間の間隔は15[μm]である。また、トナー担持体1の表層の電極と下層の絶縁層を介した導体基材の間にクラウド電圧を印加する構成においては、表層に設けた電極の幅を15[μm]とし表層に設けた電極の電極間の間隔を45[μm]とする。
表3中に示した電圧Vc−on印加時において、実験例13〜実験例18の各条件に対し、背面電極31VpからクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)を示すと共に、250[V]の電圧Vc−onが印加された制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)をも示している。
表3からわかるように、実験例13〜実験例16の条件においては、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、背面電極31VpからクラウドLow電極に入る電気力線が形成されると共に、制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線が形成される。そのため、実験例13〜実験例16の条件において、トナー担持体1上でクラウド状態にあるマイナス極性に帯電したトナーや、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11近傍のトナーなどが、トナー通過孔41を通過し背面電極31側に向かって飛翔する共に、制御電極42の表面へのトナー付着が発生する。
表3に示した結果から、上記数2及び上記数3の関係を満たし、クラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11から制御電極42へ入るような電気力線が形成されている実験例15〜実験例18の条件においては、制御電極42へのトナー付着が認められない。これは、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、制御電極42へ付着した負帯電トナーが、0[V]の電圧Vc−offを印加したときに、制御電極42からトナー担持体1の電極11側に離れて飛翔し、制御電極42の表面からトナーが除去されたためである。
表4は、クラウドHigh電圧とクラウドLow電圧との電位差が600[V]、制御パルスVcの電圧Vc−onが250[V]、電圧Vc−offが0[V]の場合であり、実験例19〜実験例24はいずれも、クラウドHigh電圧>電圧Vc−offの条件において、トナー担持体1の電極11と制御電極42間での電気力線の入り方及び制御電極42の表面のトナー付着の結果を示している。なお、ここで使用するトナー担持体表面のトナーは負帯電性のトナーで、一般的には−10[μC/g]〜−40[μC/g]の様な帯電電荷量のトナーである。
また、実験例21の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図26(a)に、電圧Vc−off印加時について図26(b)に示すが、その他の実験例においては図19〜図24に示したものと略同様な結果であるため、ここでは省略する。なお、図でクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11にはハッチングを施している。また、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11とクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11との間で形成される電気力線などは、図を見易くするため図示を省略している。また、トナー担持体表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で複数の電極11を配設した構成では、電極11の幅及び電極間の間隔は15[μm]である。また、トナー担持体1の表層の電極と下層の絶縁層を介した導体基材の間にクラウド電圧を印加する構成においては、表層に設けた電極の幅を15[μm]とし表層に設けた電極の電極間の間隔を45[μm]とする。
表4中に示した電圧Vc−on印加時において、実験例19〜実験例24の各条件に対し、背面電極31VpからクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)を示すと共に、250[V]の電圧Vc−onが印加された制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)をも示している。
表4からわかるように、実験例19〜実験例22の条件においては、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、背面電極31VpからクラウドLow電極に入る電気力線が形成されると共に、制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線が形成される。そのため、実験例19〜実験例22の条件において、トナー担持体1上でクラウド状態にあるマイナス極性に帯電したトナーや、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11近傍のトナーなどが、トナー通過孔41を通過し背面電極31側に向かって飛翔する共に、制御電極42の表面へのトナー付着が発生する。
表4に示した結果から、クラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11から制御電極42へ入るような電気力線が形成されている実験例21〜実験例24の条件においては、制御電極42へのトナー付着が認められない。これは、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、制御電極42へ付着した負帯電トナーが、0[V]の電圧Vc−offを印加したときに、制御電極42からトナー担持体1の電極11側に離れて飛翔し、制御電極42の表面からトナーが除去されたためである。
表5は、クラウドHigh電圧とクラウドLow電圧との電位差が400[V]、制御パルスVcの電圧Vc−onが250[V]、電圧Vc−offが0[V]の場合であり、実験例25〜実験例30はいずれも、クラウドHigh電圧>電圧Vc−offの条件において、トナー担持体1の電極11と制御電極42間での電気力線の入り方及び制御電極42の表面のトナー付着の結果を示している。なお、ここで使用するトナー担持体表面のトナーは負帯電性のトナーで、一般的には−10[μC/g]〜−40[μC/g]の様な帯電電荷量のトナーである。
また、実験例28の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図27(a)に、電圧Vc−off印加時について図27(b)に示すが、その他の実験例においては図13〜図18に示したものと略同様な結果であるため、ここでは省略する。なお、図でクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11にはハッチングを施している。また、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11とクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11との間で形成される電気力線などは、図を見易くするため図示を省略している。また、トナー担持体表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で複数の電極11を配設した構成では、電極11の幅及び電極間の間隔は80[μm]である。また、トナー担持体1の表層の電極と下層の絶縁層を介した導体基材の間にクラウド電圧を印加する構成においては、表層に設けた電極の幅を80[μm]とし表層に設けた電極の電極間の間隔を240[μm]とする。
表5中に示した電圧Vc−on印加時において、実験例25〜実験例30の各条件に対し、背面電極31VpからクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)を示すと共に、250[V]の電圧Vc−onが印加された制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)をも示している。
表5からわかるように、実験例25〜実験例28の条件においては、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、背面電極31VpからクラウドLow電極に入る電気力線が形成されると共に、制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線が形成される。そのため、実験例25〜実験例28の条件において、トナー担持体1上でクラウド状態にあるマイナス極性に帯電したトナーや、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11近傍のトナーなどが、トナー通過孔41を通過し背面電極31側に向かって飛翔する共に、制御電極42の表面へのトナー付着が発生する。
表5に示した結果から、上記数2及び上記数3の関係を満たし、クラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11から制御電極42へ入るような電気力線が形成されている実験例27〜実験例30の条件においては、制御電極42へのトナー付着が認められない。これは、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、制御電極42へ付着した負帯電トナーが、0[V]の電圧Vc−offを印加したときに、制御電極42からトナー担持体1の電極11側に離れて飛翔し、制御電極42の表面からトナーが除去されたためである。
表6は、クラウドHigh電圧とクラウドLow電圧との電位差が600[V]、制御パルスVcの電圧Vc−onが250[V]、電圧Vc−offが0[V]の場合であり、実験例31〜実験例32はいずれも、クラウドHigh電圧>電圧Vc−offの条件において、トナー担持体1の電極11と制御電極42間での電気力線の入り方及び制御電極42の表面のトナー付着の結果を示している。なお、ここで使用するトナー担持体表面のトナーは負帯電性のトナーで、一般的には−10[μC/g]〜−40[μC/g]の様な帯電電荷量のトナーである。
また、実験例34の電界シミュレーションの結果を電圧Vc−on印加時について図28(a)に、電圧Vc−off印加時について図28(b)に示すが、その他の実験例においては図19〜図24に示したものと略同様な結果であるため、ここでは省略する。なお、図でクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11にはハッチングを施している。また、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11とクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11との間で形成される電気力線などは、図を見易くするため図示を省略している。また、トナー担持体表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で複数の電極11を配設した構成では、電極11の幅及び電極間の間隔は80[μm]である。また、トナー担持体1の表層の電極と下層の絶縁層を介した導体基材の間にクラウド電圧を印加する構成においては、表層に設けた電極の幅を80[μm]とし表層に設けた電極の電極間の間隔を240[μm]とする。
表6中に示した電圧Vc−on印加時において、実験例31〜実験例36の各条件に対し、背面電極31VpからクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)を示すと共に、250[V]の電圧Vc−onが印加された制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線の形成有無(「有]の場合は「○」、「無」の場合は「×」)をも示している。
表6からわかるように、実験例31〜実験例35の条件においては、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、背面電極31VpからクラウドLow電極に入る電気力線が形成されると共に、制御電極42VcからクラウドLow電極に入る電気力線が形成される。そのため、実験例31〜実験例35の条件において、トナー担持体1上でクラウド状態にあるマイナス極性に帯電したトナーや、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11近傍のトナーなどが、トナー通過孔41を通過し背面電極31側に向かって飛翔する共に、制御電極42の表面へのトナー付着が発生する。
表6に示した結果から、上記数2及び上記数3の関係を満たし、クラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11から制御電極42へ入るような電気力線が形成されている実験例33〜実験例36の条件においては、制御電極42へのトナー付着が認められない。これは、印写期間に250[V]の電圧Vc−onを印加したときに、制御電極42へ付着した負帯電トナーが、0[V]の電圧Vc−offを印加したときに、制御電極42からトナー担持体1の電極11側に離れて飛翔し、制御電極42の表面からトナーが除去されたためである。
以上の本実施例において、トナー担持体1の表面層に設けた電極11の幅及びその電極間の間隔が15[μm]未満の構成では、パタンニングの歩留まりの問題で実施が難しい。また、トナー担持体1の表面層に設けた電極11の幅及びその電極間の間隔が80[μm]を超える構成では、制御電極42の外形(本実施例ではトナー通過孔41の直径を120[μm]、制御電極42の電極幅を50[μm]としているので、制御電極42の外形は170[μm]である)よりトナー担持体1の電極11の電極間の間隔が広くなると、電気力線の形成にむらが発生するため効果が小さくなる。
上述したような、制御電極42の表面からトナーを除去されるように、クラウドHigh電圧よりも電圧Vc−offを小さくするというこれらの電圧設定は、本発明技術特有のトナー担持体1表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で配設された複数の電極11を有し、隣接電極相互の間、または下層の導体基材と電極相互の間に異なる電位のクラウドパルスを印加することでトナーをクラウド化し、トナー担持体1が回転移動することでトナーの搬送を行う構成であるため、一定の高さ以下のクラウド状態にあるトナーによって低い制御電圧で印写が可能である。そのため、トナー通過OFF期間の電圧Vc−offを高く設定することが可能となり、制御電極42の表面に付着したトナーをトナー通過OFF期間に低減させる効果が大きい。
この制御電極42の表面に付着するトナーを低減させるために、記録媒体3に画像を形成する画像形成時に実行される印写モードとは別に、制御電極42から付着トナーを除去するクリーニングモードを設けても良い。このクリーニングモード時に印写モード時より+側に高いバイアスをトナー担持体1の電極11に印加して、制御電極42に付着したトナーや制御電極42近傍のトナーをトナー担持体1の電極11側に移動させることで、制御電極42の表面などに付着するトナーを低減させる大きな効果が得られる。
また、トナー担持体1の電極11に印加するクラウドパルスと制御電極42に印加する制御パルスVcとの関係は、印写モード時に表1の実験例3、実験例4などに示したような関係や、表2の実験例9、実験例10などに示したような関係を満たすように設定し、クリーニングモード時では、表1の実験例5、実験例6などに示したような関係や、表2の実験例11、実験例12などに示したような関係を満たすように設定すれば良い。また、クリーニングモード時に、クラウドパルスに+DCバイアスを重畳することで、より高いクリーニング効果が得られる。さらに、クリーニングモード時に、背面電極31の電位を0[V]にすることで、トナー担持体1側からトナー通過孔41を通ってトナーが背面電極31側に飛翔するのを抑制することができる。
例えば、トナー担持体1の電極11に印加するクラウドパルスと制御電極42に印加する制御パルスVcとの関係が図29に示した関係であるクリーニングモード時では、背面電極31に印加するバイアス電圧Vpが0[V]であれば、記録媒体3に向かってトナーが飛翔するのを避けられる。その電界シミュレーションの結果を図30に示す。
図30において、クリーニングモード時の制御電極42の電位は0[V]であるから、クラウドHigh電圧(+700[V])が印加されたトナー担持体1の電極11から制御電極42に強い電気力線が入っている。そのため、このクリーニングモードでは制御電極42の表面に付着したマイナス極性に帯電したトナーの多くがクラウドHigh電圧(+700[V])が印加されたトナー担持体1の電極11に向かって飛翔することになる。
また、クリーニングモード時にトナー担持体1の電極11に印加するパルスは2相パルスである必要は無く、DC電源と電源切り替え手段とを別に設けて、クリーニングモード時に電極11に電圧を印加する電源を切り換えて図31に示すようにトナー担持体1の電極11に直流バイアスを印加しても良い。つまり、印写モード時にはトナー通過OFF期間に制御電極42からクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11にトナーを飛翔させ、且つ、クリーニングモード時においては、トナー担持体1の全ての電極11に高い+バイアスを印加して、トナー担持体1の全ての電極11と制御電極42との間に図32に示すような電気力線を形成し、制御電極42に付着したトナーをトナー担持体1の電極11に飛翔させて制御電極42のクリーニングを行う構成としても良い。
図29や図31などでトナー制御手段4の記録媒体3側の面に設けた共通電極43に印加するバイアス電圧Vrgは+100[V]としている。このように共通電極43に印加するバイアス電圧Vrgを、制御電極42にトナー通過ON期間に印加する+250[V]の電圧とトナー通過OFF期間に印加する電圧[0V]の概略中間電圧(+100[V])に設定することで、制御電極42と共通電極43相互の近傍空間の電界変動が小さくでき、画像の乱れを発生しにくくすることができる。
そして、図29や図31などのクリーニングモード時には、共通電極43に印加するバイアス電圧Vrgに対して、トナー担持体1の電極11に印加するクラウドLow電圧とクラウドHigh電圧との電位がともに+側に高くなる関係であるため、制御電極42の面領域以外のトナー制御手段4の表面に付着したトナーは、共通電極43に印加するバイアス電圧Vrgとトナー担持体1の電極11との電界に従って飛翔するので、制御電極42の面領域以外のトナー制御手段4の表面からトナーの除去が可能となる。
なお、プラス極性に帯電したトナーを用いる場合には、電圧Vc−off印加時に、クラウドLow電圧よりも高電位の電圧Vc−offを制御電極42に印加し、且つ、クラウドHigh電圧と電圧Vc−offとの電位差の絶対値よりもクラウドLow電圧と電圧Vc−offとの電位差の絶対値のほうが大きくなる関係を満たすようにする。これにより、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11と電圧Vc−offが印加された制御電極42との電位差によって、制御電極42からクラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11へプラス極性に帯電したトナーが引き寄せられる電気力線を、クラウドLow電圧が印加されたトナー担持体1の電極11と制御電極42との間に形成することができる。よって、制御電極42の表面に付着したプラス極性に帯電したトナーを前記電気力線に沿ってトナー担持体1側に飛翔させることができ、制御電極42に付着したトナーを制御電極42から除去することができる。したがって、経時で制御電極42の表面にトナーが付着し堆積するのを抑制することができる。
以上、本実施形態によれば、複数の電極11が配設されたトナー担持体1と、トナー担持体1の表面に担持されている所定極性に帯電したトナーをトナー担持体1の表面上でホッピングさせる、複数の電極11における電極間の電位差で形成されるホッピング電界をトナー担持体1の表面上に発生させるように複数の電極11にパルス電圧を印加する第1の電圧印加手段と、複数の貫通孔であるトナー通過孔41が形成され、トナー担持体1に対向するように配設された孔形成部材である基材45と、複数のトナー通過孔41それぞれに対応させて基材45のトナー担持体1に対向する側の面におけるトナー通過孔41周囲またはトナー通過孔41内壁の少なくとも一方に設けられた複数の個別電極である制御電極42と、少なくとも、トナー担持体1の電極11と制御電極42との電位差によってトナー担持体1からトナーを制御電極42側に飛翔させるような飛翔電界をトナー担持体1の電極11と各制御電極42との間で選択的に発生させるように、各制御電極42に対して個々に電圧を印加する第2の電圧印加手段と、基材45を介してトナー担持体1に対向するように配設され、トナー担持体1から飛翔したトナーを引き寄せるような電界を形成するための背面電極31とを備え、画像情報に基づいて前記第2の電圧印加手段により各制御電極42に対して個々に電圧を印加しトナー担持体1の電極11と各制御電極42との間に前記飛翔電界を選択的に形成して、トナー担持体1から飛翔させたトナーを、トナー通過孔41を通して背面電極31側に移行させた後、記録部材である記録媒体3上に付着させて画像を形成する画像形成装置において、前記複数の電極11は、トナー担持体表面法線方向で互いに異なる位置に、トナー担持体表面法線方向における各電極間に絶縁層を介在させて配設されており、前記第1の電圧印加手段によって複数の電極1に印加させるパルス電圧は電位の異なる、第1の電圧であるクラウドLow電圧及びクラウドLow電圧よりも高電位の第2の電圧であるクラウドHigh電圧とからなり、マイナス極性に帯電した前記トナーを用いる場合には、前記飛翔電界が形成されていないときに、クラウドHigh電圧よりも低電位の第3の電圧である電圧Vc−offを第2の電圧印加手段によって制御電極42に印加するとともに、クラウドLow電圧と電圧Vc−offとの電位差の絶対値よりもクラウドHigh電圧と電圧Vc−offとの電位差の絶対値のほうが大きくなる関係を満たすようにする。これにより、クラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11と電圧Vc−offが印加された制御電極42との電位差によって、電圧Vc−offが印加された制御電極42からクラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11へマイナス極性に帯電したトナーが引き寄せられる電気力線を、クラウドHigh電圧が印加されたトナー担持体1の電極11と電圧Vc−offが印加された制御電極42との間に形成することができる。よって、制御電極42の表面に付着したトナーを前記電気力線に沿ってトナー担持体側に飛翔させることができ、制御電極42に付着したトナーを制御電極42から除去することができる。したがって、経時で制御電極42の表面にトナーが付着し堆積するのを抑制することができる。
また、1ドットの画像を形成する周期に対応して、上記飛翔電界を形成する期間と上記飛翔電界を形成しない期間とを設けており、マイナス極性に帯電した前記トナーを用いる場合、上記飛翔電界を形成しない期間には、クラウドHigh電圧よりも低電位の電圧Vc−offを制御電極42に印加し、且つ、クラウドLow電圧と電圧Vc−offとの電位差の絶対値よりもクラウドHigh電圧と電圧Vc−offとの電位差の絶対値のほうが大きくなる関係を満たすことで、画像形成時に制御電極42に付着するトナーの量を低減することができる。
また、記録媒体3に画像を形成する画像形成時とは別のタイミングで少なくとも制御電極42のクリーニングを行うクリーニングモードを設け、マイナス極性に帯電した前記トナーを用いる場合、クリーニングモード時には、第1の電圧印加手段によって複数の電極11に画像形成時よりもプラス側に高電位の電圧を印加して、制御電極42に付着したトナー、または、その近傍のトナーをトナー担持体1側に移動させることで、クリーニングモード時に、より強い前記電気力線を形成して制御電極42に付着しているトナーをトナー担持体1側に移動させて制御電極42のクリーニング性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、クリーニングモード時に、第2の電圧印加手段によって制御電極42に印加される電圧よりも第1の電圧印加手段によって複数の電極に印加させるクラウドLow電圧及びクラウドHigh電圧のほうがプラス側に高電位であることで、クリーニングモード時の全期間、制御電極42の表面に付着したトナーをトナー担持体1側に飛翔させる電界を形成できるので、制御電極42のクリーニング効果がより大きくなる。
また、本実施形態によれば、複数の電極11に同電位の電圧を印加する第3の電圧印加手段と、複数の電極11への電圧印加を第1の電圧印加手段と第3の電圧印加手段とで切り換える電圧印加切り換え手段とを有しており、クリーニングモード時には、電圧切り換え手段によって複数の電極11への電圧印加を第1の電圧印加手段から第3の電圧印加手段に切り換え、第3の電圧印加手段によって複数の電極に印加される電圧が第2の電圧印加手段によって制御電極42に印加される電圧Vc−offよりもプラス側に高電位であることで、クリーニングモード時の全期間、制御電極42の表面に付着したトナーをトナー担持体1側に飛翔させる強い電界を形成できるので、制御電極42のクリーニング効果がさらに大きくなる。
また、本実施形態によれば、基材45の対向電極31に対向する側の面に設けられた、複数のトナー通過孔41に対して共通の共通電極43と、共通電極43に電圧を印加する第4の電圧印加手段とを有しており、クリーニングモード時には、第4の電圧印加手段によって共通電極43に印加される電圧Vrgよりも複数の電極11に印加される電圧のほうがプラス側に高電位であることで、クリーニングモード時の全期間、制御電極42領域以外の基材45のトナー担持体1側面に付着したトナーをクリーニングすることが可能となる。
また、本実施形態によれば、上記クリーニングモードを紙間に実行することで、印刷速度を低下させることなく、制御電極42の表面に付着したトナーをトナー担持体1側に飛翔させる電界を形成して制御電極42のクリーニングを行なうことができる。