JP5375195B2 - 光多重伝送システム、精密時刻同期装置、伝送制御信号生成装置、及び光多重伝送システムにおける精密時刻同期方法 - Google Patents
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Description
ここで、図12に示されるように、複数の基地局90a〜90eが存在し、個々の通信領域(セル)が重複している場合を考えると、これら基地局90a〜90e間でも上記した送受信タイミングがすべて同期していなければ相互干渉を引き起こし、もしくはハンドオーバが正常に機能しなくなるといった不具合が生じる。なお、図12中、符号91〜99は携帯電話等の各移動局を示す。
従来は他に有効な手段が無いため、建屋の屋上等のGPSアンテナまで長い同軸ケーブルや信号ケーブルを敷設することで対処していたが、その工事上の手間が、このような室内型の小型基地局を普及させる大きな妨げとなっていた。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光多重伝送システムのシステム構成の一例を示す図であり、ここでは、非同期の多重伝送方式としてGE−PON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)の適用を想定している。
具体的には、GE−PON内に新規ONUが追加された場合等の運用管理プロセスにおいて、「レンジング」と呼ばれる処理が行われる。レンジングシーケンスが図2に示されている。
まず、OLT10は、上り受信入力にレンジングウインドウと呼ばれるタイミングの窓を開く(ステップS601)。次に、OLT10は、宛先ONUを指定して距離測定パケットを送信する(ステップS602)。OLT10からの距離測定パケットを受け取ったONU#1(20a)とONU#2(20b)とは、即座に距離測定パケットを返送する(ステップS603)。
これを受けたONU#1(20a)、ONU#2(20b)は、自局に割り当てられた送信開始タイミングでイーサネットフレームの送信を行う。(ステップS606)
OLT10は、何らかの理由でONU20a〜20cからの上り受信タイミングが許容範囲から逸脱していることを検出した場合、再度レンジング処理を起動し、ONU20a〜20cの送信開始タイミングを再割り当てすることにより、常に伝送システム全体が適切に機能するよう管理している。
これに対し、ONU20a〜20c側にバウンダリクロックやトランスペアレンシークロックと呼ばれる二次時計200を設け、それをOLT10側の非常に正確な一次時計100に従属同期させることですべてのONU20a〜20cを精密に時刻同期させることを可能にする。具体的には、OLT10からONU20a〜20cに対して同期パケットを送信すること、及び、それを受信したONU20a〜20cが、予め通知されていた自局までの伝送遅延時間に応じた補正を加味した時刻合わせを行うことで実現する。
図3に示されるように、OLT10に実装される伝送制御信号生成装置は、一次時計100の他に、レンジング処理部11と、同期メッセージ生成部12と、メッセージバッファ13と、伝送制御部14とを備えて構成される。
同期メッセージ生成部12は、ONU20a〜20cのそれぞれに送信する伝送制御信号(同期メッセージ)の中に精密時刻情報を埋め込み、各ONU20a〜20cに配信する時刻同期タイミング生成手段として機能する。
図4に示されるように、精密時刻同期装置は、同期メッセージ受信部21と、ヘッダ検出部22と、フレーム抽出部23と、時刻情報抽出部24と、時刻同期制御部25とを備えて構成される。
ヘッダ検出部22は、同期メッセージ受信部21が受信した同期メッセージの中から時刻同期タイミング抽出用のPONヘッダを検出して時刻同期制御部25に同期タイミングを設定する。フレーム抽出部23は、データを抽出して不図示のルータ等、UNI(User Network Interface)に転送する他、時刻情報抽出部24に引き渡す。時刻情報抽出部24は後述する同期メッセージの末尾13バイトに含まれる時刻情報を抽出し、抽出された時刻情報を時刻同期制御部25に設定する。
このため、時刻同期制御部25は、VcTcXO251(電圧制御温度補償水晶発振器)と、インターバルタイマ252と、時刻情報レジスタ253と、遅延時間情報レジスタ254と、時刻情報較正部255とを備えて構成される。
なおVcTcXOの代りにDcTcXO(数値制御温度補償水晶発信器)を用いれば全てデジタル的な数値制御で完結できるため、装置の小型化に寄与するものである。
以下、図5のフローチャートを参照しながら図3に示す伝送制御信号生成装置の動作について詳細に説明する。
図6に示されるように、同期メッセージ300は、IPG(Inter Packet Gap)、8バイトのプリアンブル、6バイトのDA(Destination Address)、6バイトのSA(Source Address)、2バイトのType(タイプ)、2バイトのOC(Operation Code)、4バイトのTS(Time Stamp)、40バイトのデータ、4バイトのFCS(Frame Check Sequence)により構成される。
特徴的には、未定義領域Padを含むデータフレーム中、40バイトのデータの後半13バイトに割り付けられた同期情報(Sync)であり、1バイトのフラグと、8バイトの時刻情報と、4バイトの遅延時間情報とを含む。ここで、フラグは、タイミング情報が埋め込まれていることを示す標識であり同期メッセージの一連番号も含まれている。タイミング情報とは、時刻情報と遅延時間情報との双方をいう。
具体的には、二次時計200の時刻を刻む自律クロックの周波数偏差の度合いを考慮することになる。一般的なVcTcXO251の場合、比較的安価な素子で10のマイナス6乗程度の長期安定度(年間ドリフト量)を有しているため、所要の時刻同期精度に対する偏差がその1/10程度を維持し得る間隔で同期を取り直すのが適当である。
なお、同期メッセージは、本来GE−PONのシステム管理用に用いられるものであり、その目的のために上記した以上の頻度で送信される場合が有り得る。その場合は、末尾13バイトのフラグをOFFしておけば、それはIEEE802.3ahのままの同期メッセージであることを意味するため、時刻同期機能は無効になり、第三の観点についても満足するものである。
ヘッダ検出部22は、同期メッセージ受信部21が受信した同期メッセージの中から時刻同期タイミング抽出用のPONヘッダ(TS)を検出して時刻同期制御部25のインターバルタイマ252に同期タイミングを設定する。フレーム抽出部23は、同期メッセージの中からデータを抽出して時刻情報抽出部24に引き渡す。時刻情報抽出部24は、データの未定義部分に割り付けられた末尾13バイトに含まれるタイミング情報(時刻同期タイミング)から時刻情報、及び遅延時間情報を抽出し、時刻同期制御部25の時刻情報レジスタ253、遅延時間情報レジスタ254にそれぞれ設定する(ステップS702)。
すなわち、各ONU20a〜20cは、自局宛ての同期メッセージを受信して自局までの伝送時間を認識するとともに、他局宛も含む同期メッセージを受信して時刻同期のタイミング、およびその時刻情報を取得し、時刻同期制御部25に設定する。そして、時刻同期制御部25は、時刻同期タイミングの到来を契機に、その時刻情報を自局の伝送遅延時間情報で補正し、自己の時刻情報を補正するものである。
ここで、時刻同期制御部25による時刻修正は、以下の演算式で表現される。すなわち、T1a=T0+t0+(td+ts)、T2a=T1+t1+(td+ts)、T3a=T2+t2+(td+ts)、Tna=Tn−1+tn+(td+ts)である。
但し、T0とto(不図示)とは、T1とt1との1個前の時刻である。
そして、個々の同期メッセージから抽出した偏差値を二次時計200の時刻修正やVcTcXo251の発振周波数の較正に反映させる。但し、直ちに反映させると、時刻の刻みが不連続となり、周波数の較正が過渡になって収束しにくくなる懸念があることから、複数の同期メッセージから抽出した偏差値を用いて制御理論に基づく最適制御を行うことで精密時刻同期を実現することとしている。ここでいう制御理論については、例えば、(インターネットURL)http://www.cisco.com/web/JP/solution/industries/manufacturing/pdf/keiso_5.pdfに紹介されている。
時刻情報を同期パケットに埋め込む方法、別途NTPまたは情報フレームで伝播する方法の、何れにおいてもOLT10側で同期パケットを生成している瞬間に正確な時刻情報を埋め込むことはハードウェア的にかなり高度な処理を必要とするため、例えば、一個前に送った同期パケットの時刻情報を埋め込んで送信することで実現性が増すことになる。
図9は、本発明の第2実施形態に係る光多重伝送システムのシステム構成の一例を示す図である。
ここでは、ONU20aから、第1実施形態で説明した時刻同期制御部25相当の精密時刻同期装置70を介して携帯通信の基地局40を絶対時刻に精密同期させる例を示している。ONU20aの下にルータ50と、スイッチ(SW)60、基地局40、及び精密時刻同期装置70を配置することで、基地局は絶対時刻に合せて送信電波の周波数や送信タイミングその他の制御を行い、第1実施形態と同様の課題を解決するものである。
ここで、精密時刻同期装置70の役割は、ONU20aから出力される同期タイミング信号とその精密時刻情報を基に自身の内蔵時計700を最適化し、その出力を基地局40に与えるものである。
なお、ここでは説明の理解を得るために精密時刻同期装置70を、ONU20aとは別体として示しているが、実際には実施例1で示されるように、ONU20aや、ルータ50、あるいは基地局40の追加機能として一体化するのが適当である。これは、製品構成上の事柄でしかない。
目的が、精密時刻同期装置70により、GPSと同様、1マイクロ秒以下の同期信号と時刻情報を与えることであるため、精密時刻同期装置70から基地局40へのインタフェースは一般的なGPS受信機からのものと同様とするのが適当である。何故なら、実際のシステム構築現場において、同期信号源としてGPS方式、あるいは精密時刻同期装置70による方式の何れかを容易に選択することができ、利便性が高まるためである。
上記した第2実施形態に係る光多重伝送システムにおいてもGPSを使用することなく全ての基地局40a〜40cを時刻同期することが可能となる。なお、第1実施形態と同様に、同期信号源として、GPS方式、あるいは本発明方式の何れかを容易に選択できるようにするため、精密時刻同期装置70は、一般的なGPS受信機からのインタフェースも備えることが望ましいが、これはやはり製品構成上の事柄でしかない。
図10は、本発明の第3実施形態に係る光多重伝送システムのシステム構成の一例を示す図である。
この例は、ONU20aから精密時刻同期サーバ80を介してオフィスビル等の室内に分散配置された数十台規模の基地局40a〜40cを絶対時刻に精密同期させる実施形態である。すなわち、ONU20aの下に、ルータ50と、スイッチ(SW)60と、基地局群40a〜40c、及び精密時刻同期サーバ80を配置することで、すべての基地局40a〜40cは、絶対時刻に合わせて送信電波の周波数や送信タイミングその他の制御を行い、第1実施形態、及び第2実施形態と同様の課題を解決するものである。
IEEE1588PTPは、ネットワーク上にある通信デバイスをマイクロ秒未満の精度で同期する方法について規定した標準規格であり、同プロトコルは、ローカルクロックとマスタクロックとの同期をとることで、トリガ、イベント、タイムスタンプのすべての通信デバイス上で確実に同じタイムベースを使用することを保証している。ここでは、「バウンダリクロック」と呼ばれる精度の高いIEEE1588クロックが使用される。なお、「バウンダリクロック」の代替として、多段構成とした場合にバウンダリクロックより透過性の高い「トランスペアレンシークロック」を使用してもよい。
精密時刻同期装置(精密時刻同期サーバでもある)80の役割は、ONU20aから出力されるタイミング信号とその精密時刻情報を基に自身の内蔵時計800を最適化し、その出力をすべての基地局40a〜40cに与えるものである。ONU20aから出力されるタイミング信号は、第1実施形態、及び第2実施形態同様、非同期のもので構わない。ここでは、理解を助けるために精密時刻同期装置(精密時刻同期サーバでもある)80を別体としているが、実際には、ONU20aやルータ50の追加機能としてこれらと一体化するのが適当である。但し、別体とすることは、ONU20a側に新たなハードウェア資源の追加を要しない利点がある。このことは、既存のONU20aに小改造を加えるだけで対応できることを意味し、ファームウェアの改版と信号線の追加程度でシステム的に大きな価値を追加することができる。これは新規システム或いは既存システムの改造に於ける製品構成上の事柄でしかない。
なお、第1実施形態と同様に、同期信号源として、GPS方式、あるいは本発明方式の何れかを容易に選択できるようにするため、精密時刻同期装置(精密時刻同期サーバでもある)80は、一般的なGPS受信機からのインタフェースも備えることが望ましいが、これはやはり製品構成上の事柄でしかない。
このように、本発明の光多重伝送シテムは、オフィスビルや地下街に分散配置された基地局群に非常に適したシステムと成り得る。
なお、本発明の光多重伝送システムは、地下変電所での電力系統切り替え制御の精密時刻同期も実現できる。また、デジタル放送における簡易な中継装置をSFN(同一周波数ネットワーク)として構築する場合にも利用可能である。
アクセス系のMANにこの方式を適用し、事業所等の閉域内はLAN上でIEEE1588精密同期を適用することで、システム全体での精密時刻同期を実現できる。
11 レンジング処理部
12 同期メッセージ生成部
13 メッセージバッファ
14 伝送制御部
20,20a,20b,20c ONU(子局装置)
21 同期メッセージ受信部
22 ヘッダ検出部
23 フレーム抽出部
24 時刻情報抽出部
25 時刻同期制御部
80 精密時刻同期サーバ(精密時刻同期装置)
100 一次時計
200 二次時計
251 VcTcXO
252 インターバルタイマ
253 時刻情報レジスタ
254 遅延時間情報レジスタ
255 時刻情報較正部
300 同期メッセージ(同期パケット)
Claims (11)
- 親局装置と1以上の子局装置とがGateパケットを用いて双方向通信を行う光多重伝送システムであって、
前記親局装置は、
前記子局装置までの伝送に要する伝送遅延時間及び精密時刻情報を含む同期タイミング情報を前記Gateパケットの未使用領域に埋め込み、該同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットを配信する時刻同期タイミング生成手段を備え、
前記子局装置は、
前記同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットの受信を契機に、前記同期タイミング情報で自身の時刻情報を較正する時刻較正手段、
を備えたことを特徴とする光多重伝送システム。 - 前記子局装置は、
前記時刻較正手段により、自身が有する基準時計の時刻設定を前記同期タイミング情報で較正することを特徴とする請求項1に記載の光多重伝送システム。 - 前記子局装置は、前記同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットを逐次受信し、
前記時刻較正手段は、自身が有する基準時計の時刻情報と各々の前記同期タイミング情報に含まれる精密時刻情報との差分値を逐次演算し、該演算された複数の差分値を抽出して最適制御を行い、前記自身の時刻情報を較正することを特徴とする請求項1に記載の光多重伝送システム。 - Gateパケットを用いた親局装置との双方向通信に用いられる子局装置に備えられた精密時刻同期装置であって、
前記親局装置から前記子局装置までの伝送に要する伝送遅延時間及び精密時刻情報を含む同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットを受信し、前記Gateパケットの受信を契機に、前記親局装置から通知される同期タイミング情報で時刻情報を較正する時刻較正手段、
を備えたことを特徴とする精密時刻同期装置。 - 前記時刻較正手段は、
前記子局装置内の基準時計の時刻設定を、前記同期タイミング情報で較正することを特徴とする請求項4に記載の精密時刻同期装置。 - 前記時刻較正手段は、
前記基準時計を、バウンダリクロックとすることを特徴とする請求項5に記載の精密時刻同期装置。 - 前記時刻較正手段は、
前記基準時計を、トランスペアレンシークロックとすることを特徴とする請求項5に記載の精密時刻同期装置。 - 前記同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットを逐次受信し、
前記時刻較正手段は、
前記子局装置内の基準時計の時刻情報と各々の前記同期タイミング情報に含まれる精密時刻情報との差分値を逐次演算し、該演算された複数の差分値を抽出して最適制御を行い、前記子局装置内の時刻情報を較正することを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の精密時刻同期装置。 - 前記親局装置は、複数の前記Gateパケットを非同期的に挿入するものであり、
前記挿入されたGateパケットの各々は、直前のGateパケットを送信する同期タイミングの精密時刻情報、及び前記伝送遅延時間が埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の光多重伝送システム。 - 1以上の子局装置とGateパケットを用いて双方向通信を行う親局装置に備えられる伝送制御信号生成装置であって、
前記子局装置までの伝送に要する伝送遅延時間及び精密時刻情報を含む同期タイミング情報を前記Gateパケットの未使用領域に埋め込み、該同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットを配信する時刻同期タイミング生成手段、
を備えたことを特徴とする伝送制御信号生成装置。 - 親局装置と1以上の子局装置とがGateパケットを用いて双方向通信を行う光多重伝送システムにおける精密時刻同期方法であって、
前記親局装置が、前記子局装置までの伝送に要する伝送遅延時間及び精密時刻情報を含む同期タイミング情報を前記Gateパケットの未使用領域に埋め込み、該同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットを配信するステップと、
前記子局装置が、前記同期タイミング情報が埋め込まれたGateパケットの受信を契機に、前記同期タイミング情報で前記子局装置の時刻情報を較正するステップと、
を有することを特徴とする光多重伝送システムにおける精密時刻同期方法。
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