JP5374350B2 - 白色磁器の製造方法およびそれに適した釉薬 - Google Patents

白色磁器の製造方法およびそれに適した釉薬 Download PDF

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Description

本発明は、白色磁器の製造方法およびその製造方法において用いられる釉薬に関する。
従来から、白磁は、ボーンチャイナと異なり、白磁特有の色調を有することから商品価値が高く評価されている。その一方で、白磁は、ボーンチャイナと比較して、肉厚の薄い形状にすることやレリーフを施すこと等の点でデザイン上の自由度が低いという課題がある。このように白磁のデザイン上の自由度が低いのは、白磁およびボーンチャイナの製造方法(焼成方法)が相互に異なることに起因する。例えば、白磁の場合、先ず700乃至1000(℃)の温度で素焼を行い、釉薬を施釉した後に還元雰囲気において1200乃至1400(℃)の温度で本焼を行う。一方、ボーンチャイナの場合、先ず酸化雰囲気において1200乃至1400(℃)の温度で締焼を行い、釉薬を施釉した後に酸化雰囲気において1100乃至1250(℃)の温度で釉焼を行う。このように、ボーンチャイナでは、上記締焼において高温であるため十分に硬くなるので、肉厚の薄いデザイン等において有利となる。一方で、白磁特有の色調たとえば青色寄りの白色は還元雰囲気での焼成により実現される色調であり、ボーンチャイナの上記締焼および上記釉焼は酸化雰囲気で行われるため、それと同じ製造工程により白磁特有の色調を実現することは難しい。
上記の焼成方法に鑑みて、例えば特許文献1に記載された白色磁器の製造方法が提案されている。その特許文献1の白色磁器の製造方法によれば、還元雰囲気において1200乃至1400(℃)の温度で締焼をした無釉素地にフリット釉を施釉し、酸化雰囲気において1050乃至1180(℃)の温度で釉焼を行う。
特開平2−102179号公報 特開2007−302547号公報
上記特許文献1の白色磁器の製造方法によれば、白色磁器のデザイン上の自由度は向上する。しかし、特許文献1の製造方法による白色磁器は、ボーンチャイナよりは前記素焼および本焼による白磁の色調に近い白色を有するものの、まだ十分ではなく、前記白磁特有の色調を有するには至っていなかった。その原因としては、特許文献1の製造方法では前記釉焼が酸化雰囲気で行われるため、釉薬が酸化し生地の色調を変化させていることが考えられた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、白色磁器のデザイン上の自由度を高め且つ白磁特有の色調を有する生地を得ることができる白色磁器の製造方法およびその製造方法に適する釉薬を提供することにある。
かかる目的を達成するため、請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a)素地とその素地表面に形成された釉薬層とを備えた白色磁器の製造方法であって、(b)前記素地の原料が所定形状に成形された成形体を還元雰囲気において1200乃至1400(℃)の温度で焼結して前記素地を得る締焼工程と、(c)前記素地に釉薬を施釉する施釉工程と、(d)前記素地に施釉された前記釉薬を還元雰囲気において1100乃至1250(℃)の温度で熔融する釉焼工程とを、含むことにある。
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、前記施釉工程で施釉される釉薬は、8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有し且つB2O3を含有しないガラスフリットを有するフリット釉であることにある。
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、(a)請求項1の白色磁器の製造方法において、前記白色磁器の素地に対して施釉され還元焼成される釉薬であって、(b)8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有し且つB2O3を含有しないガラスフリットを有することにある。
請求項1に係る発明によれば、前記締焼工程にて前記成形体を還元雰囲気において1200乃至1400(℃)の温度で焼結し、前記施釉工程にて施釉をした後、前記釉焼工程にて前記素地に施釉された前記釉薬を還元雰囲気において1100乃至1250(℃)の温度で熔融するので、上記締焼工程後の素地は十分に硬化し、ボーンチャイナのように前記白色磁器のデザイン上の自由度を高くすることができる。また、上記締焼工程と上記釉焼工程との何れも還元雰囲気において実施されるので、前記白色磁器はボーンチャイナのようにアイボリー色にはならずに白磁特有の色調と同等の色調を得ることが可能である。なお、前記締焼工程での締焼温度が1200(℃)を下回る場合には磁器化しにくくなる一方で、その締焼温度が1400(℃)を上回る場合にはクリストバライトが生成しにくくなる。また、前記釉焼工程での釉焼温度が1100(℃)を下回る場合および1250(℃)を上回る場合には何れの場合にも生地表面にムラ等の不良が生じる可能性が高くなる。
また、請求項2に係る発明によれば、前記施釉工程で施釉される釉薬は、8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有し且つB2O3を含有しないガラスフリットを有するフリット釉である。従って、上記釉薬は、前記釉焼工程にて還元雰囲気において1100乃至1250(℃)の温度で溶融された後に平滑で光沢のある前記釉薬層になり、前記白色磁器の商品価値を損なわないようにすることが可能である。なお、前記アルカリ金属酸化物は上記ガラスフリットの融点を下げて熔け易くする一方で上記釉薬層の熱膨張係数を高くするように作用するので、そのアルカリ金属酸化物が8(mol%)を下回る場合には上記ガラスフリットの熔けが悪く生地表面にムラ等の不良が生じる可能性が高くなる一方で、そのアルカリ金属酸化物が11(mol%)を上回る場合には上記熱膨張係数が高くなり耐熱衝撃性などの品質が低下するおそれがある。また、CaOは還元焼成時に表面の平滑性を保つように作用するので、CaOが7(mol%)を下回る場合には生地表面の平滑性が悪化し易くなる一方で、CaOが13(mol%)を上回る場合にはCaが結晶化し易くなる。また、MgOおよびZnOは上記ガラスフリットの火度を下げるように作用するので、MgOが1(mol%)を下回る場合或いはZnOが1(mol%)を下回る場合には上記ガラスフリットの熔けが悪く生地表面にムラ等の不良が生じる可能性が高くなる一方で、MgOが3(mol%)を上回る場合或いはZnOが3(mol%)を上回る場合には釉面の光沢が低下する可能性が高くなる。また、Al2O3およびSiO2は前記釉薬層の骨格をなすものであるので、Al2O3が7.8(mol%)を下回る場合或いはSiO2が66(mol%)を下回る場合には上記釉薬層に貫入が生じる等の品質低下を生じる可能性がある一方で、Al2O3が9(mol%)を上回る場合或いはSiO2が70(mol%)を上回る場合には生地表面にムラ等の不良が生じ易くなる。また、前記ガラスフリットがB2O3を含有すると生地表面にムラ等の不良が生じ易くなる。
また、請求項3に係る発明によれば、請求項1の白色磁器の製造方法において、前記白色磁器の素地に対して施釉され還元焼成される釉薬は、8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有し且つB2O3を含有しないガラスフリットを有するので、請求項2に係る発明と同様に、上記釉薬によって上記白色磁器の素地表面に平滑で光沢のある釉薬層を形成することができ、その白色磁器の商品価値を損なわないようにすることが可能である。
また、好適には、前記アルカリ金属酸化物は、K2OとNa2OとLi2Oとのうち少なくとも1種或いは全部から構成されている。このようにすれば、汎用性の高いアルカリ金属酸化物で前記ガラスフリットを構成できる。
前記ガラスフリットは、B2O3を含有しなければ、K2O、Na2O、Li2O、CaO、MgO、ZnO、Al2O3、SiO2以外の他の無機物を必要に応じて含有しても差し支えないが、好ましくは、鉛成分PbOを含有しない無鉛ガラス原料がよい。
本発明が好適に適用される一実施例である白色磁器の要部断面を拡大して示す模式図である。 図1の白色磁器の素地に対して施釉され還元焼成される釉薬の製造工程すなわち上記素地の表面に形成された釉薬層の原料である釉薬の製造工程を説明するフローチャートである。 図1の白色磁器の製造工程を説明するフローチャートである。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために縦、横、厚みなどの寸法比は適宜変更されている。
図1は、本発明が好適に適用される一実施例である白色磁器10の要部断面を拡大して示す模式図である。本実施例において、白色磁器10は、酸化焼成されるボーンチャイナではなく、還元焼成に対応した白色の軟釉磁器であり、例えば、よく知られたクリストバライト磁器である。クリストバライト磁器とは、素地14中に熱膨張率の大きいクリストバライトを生成させ、釉薬層16に圧縮応力を与えることにより圧縮釉として、そのクリストバライトを生成させない場合と比較して強度を10〜40%以上増大させた磁器である。図1に示すように、白色磁器10は、一般的な上記白色の軟釉磁器用の材料が焼結されることにより得られた素地14と、素地14の表面で釉薬ENが溶融されその素地14の表面に形成されたガラス質の釉薬層16とを備えている。すなわち、白色磁器10の生地12は、この素地14と釉薬層16とから構成されている。上記素地14の熱膨張係数αFDは1(atm)の下で且つ25乃至400(℃)の範囲内において例えば8×10-6(/K)乃至9×10-6(/K)程度であり、上記釉薬層16の熱膨張係数αENは1(atm)の下で且つ25乃至400(℃)の範囲内において例えば7×10-6乃至8×10-6(/K)程度である。例えば、耐熱衝撃性を高くするには、釉薬層16の熱膨張係数αENは、素地14の熱膨張係数αFDに対して1×10-6(/K)程度小さいのが望ましい。なお、本実施例において示す熱膨張係数αEN,αFDは、特段の記載がない限り、1(atm)の下で且つ25乃至400(℃)の範囲内における値である。
図2は、白色磁器10の素地14に対して施釉され還元焼成される釉薬ENの製造工程すなわち釉薬層16の原料である釉薬ENの製造工程を説明するフローチャートである。図2において、調合工程SA1では、釉薬ENの主成分であるガラスフリットGFが予め定められた組成となるように、K2O、Na2O、Li2O、CaO、MgO、ZnO、BaO、Al2O3、SiO2等のガラス原料が調合される。例えば、上記ガラスフリットGFの予め定められた組成としては、B2O3を含有せずに、K2Oが3.2(mol%)、Na2Oが4.9(mol%)、Li2Oが1.7(mol%)、CaOが10.5(mol%)、MgOが1.7(mol%)、ZnOが2.4(mol%)、Al2O3が8.6(mol%)、且つSiO2が67.0(mol%)の割合が好適である。
次いで、熔融工程SA2では、調合工程SA1で調合されたガラス原料が例えば1400(℃)程度で熔融(溶融)される。その後、粉砕工程SA3にて、その熔融物は水中に投下されるなどして急冷された後、ポットミル等を用いて乾式粉砕される。これにより、釉薬ENの主成分であるガラスフリットGFが得られる。粉砕工程SA3では、例えば、ガラスフリットGFの粒子径が、篩や気流式分級機などを用いた選別や粉砕時間の調節等によって予め定められた範囲内に収まるようにされる。
次いで、混合工程SA4では、粉砕工程SA3で得られたガラスフリットGFに適宜定められた重量割合で水などが添加され、それらが混合される。これにより、釉薬層16を形成するための液状の釉薬ENが得られる。
図3は、白色磁器10の製造工程を説明するフローチャートである。図3において、成形工程SB1では、長石、カオリン、粘土、アルミナ、石英などが混練された素地14の原料が、ロクロ成形や型成形などによって所定形状に成形される。これにより、その原料が所定形状に成形された成形体が得られる。続く乾燥工程SB2では、その成形体が適度に乾燥させられ、例えば必要に応じて研削加工などにより若干の形状が整えられる。
続く締焼工程SB3にて、上記乾燥工程SB2を経た成形体に締焼が施される。具体的には、その成形体が還元雰囲気において1200乃至1400(℃)の締焼温度で焼結される。これにより白色磁器10の素地14が得られる。この締焼工程SB3で得られる素地14は、白磁の一般的な製造工程において700乃至1000(℃)程度の温度で施される素焼に比べて十分な機械的強度を備えており、以後のハンドリングにおいて楽になる。
続く施釉工程SB4では、前記図2に示す製造工程を経て得られた釉薬ENが、締焼工程SB3で得られた素地14に施釉され、その施釉後の素地14が適度に乾燥させられる。例えば、その施釉では、素地14を回転可能な受台上に載置した状態でガスバーナなどで加温後、その素地14を回転させながら釉薬ENを噴霧器などにより噴霧により塗布する手法が用いられる。その際、素地14における糸底は上記受台と接触している為、かかる部分には釉薬ENが余り付着しない。また、素地14の糸底に付着した余分な釉薬ENは、施釉された釉薬ENが乾燥する前に、たとえばスポンジなどにより適宜除去される。
続く釉焼工程SB5では、施釉された素地14に釉焼が施される。具体的には、素地14に施釉された釉薬ENが、1100乃至1250(℃)の釉焼温度、より好ましくは1190乃至1230(℃)の釉焼温度で、還元雰囲気において熔融される。その熔融後、釉薬ENのガラス成分が凝固して釉薬層16を形成し、白色磁器10の生地12が得られる。この釉焼工程SB5では、例えば、上記素地14はセッターに載置されて鞘に入れられた状態で釉焼される。その際、その素地14における糸底はそのセッターと直接に接触させられるが、上記セッターと固着せず釉焼後に簡単に分離できる。
続く画付工程SB6では、釉焼工程SB5で得られた白色磁器10の生地12に画付が行われ、それが焼成される。
次に、本発明者が、前記釉薬ENに含まれるガラスフリットGFの成分を複数種類に変更し、評価した実験例を説明する。
[実験例]
この実験例では、下記表1に示す組成のガラスフリットGFを有する釉薬ENが、それぞれ試料1乃至試料9として、図2に示す製造工程を経ることにより準備された。そして、その試料1乃至試料9である釉薬ENを用いて図3に示す製造工程を釉焼工程SB5まで経ることにより得られた白色磁器10の生地12がそれぞれ評価された。下記表2はその実験結果等を示している。この実験例では、上記図3の釉焼工程SB5における焼成条件として、前記釉焼温度は1190乃至1230(℃)であってそれが1時間維持され、また、せり温度は930(℃)である。下記表1の各数値は、上記ガラスフリットGFにおける組成割合であり、その単位はmol%である。この実験例で用いられた白色磁器10は白色のクリストバライト磁器であって、その素地14の熱膨張係数αFDは8×10-6(/K)程度である。なお、前記せり温度とは、還元開始温度である。
Figure 0005374350
Figure 0005374350
表2の各項目について上から順に説明する。表2の最上段の欄は、試料1乃至9の各々が用いられた釉薬層16の熱膨張係数αENを示している。その熱膨張係数αENは、1(atm)の下で且つ25乃至400(℃)の範囲内での値であってその単位は×10-6/Kである。
次の欄は、120(℃)の温度差の熱衝撃試験(冷熱試験)の試験結果を示しており、試料1乃至9が用いられた生地12全てでその評価結果は「○」(合格)である。具体的に、その評価結果の合格とは、上記熱衝撃試験に投入した複数サンプルの全部で、素地14または釉薬層16に貫入が発生しなかったということである。その熱衝撃試験は、水槽に満たした水とそれの水温に対して120(℃)高い槽内温度に維持されたオーブンとを準備しておき、試験サンプルである生地12をそのオーブン内に1時間保持した後に上記水に投入することを5サイクル行う試験である。釉薬層16の熱膨張係数αENが素地14の熱膨張係数αFDを基準とする適正範囲から外れると、この熱衝撃試験で釉薬層16に貫入が発生し易くなる。
次の欄は、試料1乃至9が用いられた生地12の表面すなわち釉面を目視により外観評価した結果を示している。その欄に記載の釉面の光沢感や平滑性等の状態については、ナシジ、ジワ、またはベカと記載されており、「ナシジ」は光沢が低下する梨地状の釉面を意味する略語であり、「ジワ」は上記「ナシジ」の軽度のものを意味する略語であり、「ベカ」は表面の平滑性が悪く凸凹等のムラがある釉面を意味する略語である。また各釉面の外観レベルは、最も良いものから○、△○、△、△×、×という順の外観レベル記号で示される。この評価の合否の基準としては、上記外観レベル記号が「×」である場合には不合格であり、また、「ベカ」の釉面である場合には判り易い不良であるので上記外観レベル記号が何れであっても不合格である。これら不合格以外は、商品として外観上不良とまでは言えないので合格である。
以上の実験例1の全評価において、前記熱衝撃試験では全試料が合格であったので、専ら、釉面の外観評価によって試料1乃至9についての判定結果が定まり、その判定結果としては、表2に示すように、試料1,2,4,5,6,9が合格となった一方で、試料3,7,8は不合格となった。その評価結果から、表1に示す試料1,2,4,5,6,9の釉薬ENが有するガラスフリットGFの組成によれば、釉薬ENが有するガラスフリットGFは、8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有する必要があると考えられる。より好ましくは、合格品の中で前記釉面の外観評価で劣る試料4,9を除いて、上記ガラスフリットGFは、8.1乃至10.7(mol%)のアルカリ金属酸化物と9.1乃至13(mol%)のCaOと1.2乃至2.6(mol%)のMgOと1.8乃至2.4(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至68.7(mol%)のSiO2とを含有するのがよいと考えられる。
ここで、表1によれば、この実験例で用いられたガラスフリットGFは何れもB2O3を含有していない。これは、他の実験において、B2O3を含有するガラスフリットGFとB2O3を含有しないガラスフリットGFとでそれぞれ釉薬ENを準備して、この実験例と同様の評価をしてみたところ、B2O3を含有するガラスフリットGFを用いた試料では、B2O3を含有しないものと比較して、前記釉面に対する外観評価が明らかに劣っており不合格だったからである。従って、前記ガラスフリットGFは、上述したアルカリ金属酸化物、CaO、MgO、ZnO、Al2O3、SiO2等の含有率に関わらず、B2O3を含有しないのがよいと考えられる。
上記アルカリ金属酸化物とは、アルカリ金属の酸化物という意味であってこの実験例ではK2O、Na2O、及びLi2Oの総称であり、例えば、K2OとNa2OとLi2Oとのうち少なくとも1種或いは全部から構成されている。例えば、前記表1から、前記ガラスフリットGFの組成としてのアルカリ金属酸化物は、K2Oが2.4乃至3.5(mol%)、Na2Oが4.2乃至5.8(mol%)、且つ、Li2Oが1.3乃至3.1(mol%)で構成されることが好ましい。
本実験例の熱衝撃試験では全試料が合格であったことからすると、表2から、釉薬層16の熱膨張係数αENは7×10-6乃至8×10-6(/K)程度が好ましいと考えられる。
本実験例では、表2には記載していないが、試料1乃至9の釉薬ENを用いた生地12の表面の色調を測定した。その測定には日本電飾工業株式会社製の色差計Σ90を用い、よく知られたLab値でその測定結果を得た。具体的に、L値は正方向に大きいほど白色が強い一方で小さいほど黒色が強く、a値はプラス側であるほど赤色寄りである一方でマイナス側であるほど緑色寄りであり、b値はプラス側であるほど黄色寄りである一方でマイナス側であるほど青色寄りであることを表している。本実験例での上記生地12は何れも「L:a:b=91.8:-1.9:-2.0」程度となり、ボーンチャイナが「L:a:b=92.0:-2.0:2.5」程度であることと比較して、青色寄りの白磁特有の色調であることが確認された。本実験例からすると、生地12が白磁特有の色調を有するためには、例えばそのLab値は、L値が90以上であってb値が負の値であることが必要であると考えられる。
上述のように、本実施例によれば、図3に示す白色磁器10の製造工程において、締焼工程SB3にて前記成形体を還元雰囲気において1200乃至1400(℃)の温度で焼結し、施釉工程SB4にて施釉をした後、釉焼工程SB5にて素地14に施釉された前記釉薬ENを還元雰囲気において1100乃至1250(℃)の温度で熔融するので、上記締焼工程SB3後の素地14は十分に硬化し、ボーンチャイナのように白色磁器10のデザイン上の自由度を高くすることができる。また、図3の締焼工程SB3と釉焼工程SB4との何れも還元雰囲気において実施されるので、白色磁器10はボーンチャイナのようにアイボリー色にはならずに白磁特有の色調と同等の色調を得ることが可能である。
また、本実施例によれば、図3の施釉工程SB4で施釉される釉薬ENは、8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有し且つB2O3を含有しないガラスフリットGFを有するフリット釉である。従って、上記釉薬ENは、釉焼工程SB5にて還元雰囲気において1100乃至1250(℃)の温度で溶融された後に平滑で光沢のある釉薬層16になり、白色磁器10の商品価値を損なわないようにすることが可能である。
また、本実施例によれば、白色磁器10は、酸化焼成されるボーンチャイナではなく、還元焼成に対応した白色の軟釉磁器であり、例えば、クリストバライト磁器であるので、白磁特有の色調と同等の色調を確保しつつ、前記表2に示すように、釉薬層16の熱膨張係数αENが比較的大きくなる釉薬ENを使用することが可能である。
また、本実施例によれば、前記アルカリ金属酸化物は、例えば、K2OとNa2OとLi2Oとのうち少なくとも1種或いは全部から構成されているので、汎用性の高いアルカリ金属酸化物でガラスフリットGFを構成できる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに別の態様においても実施される。
たとえば、前述の実施例において、図2の調合工程SA1では、K2O、Na2O、Li2O、CaO、MgO、ZnO、BaO、Al2O3、SiO2等のガラス原料が調合されるが、B2O3を含有しなければ、上記K2O、Na2O、Li2O、CaO、MgO、ZnO、BaO、Al2O3、SiO2以外の他の無機物が必要に応じて調合されても差し支えない。なお、前記ガラスフリットGFは、有害物質と成り得る鉛成分PbOを含有しない無鉛ガラス原料で構成されるのが好ましい。
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて用いられるものである。
10:白色磁器
14:素地
16:釉薬層
SB3:締焼工程
SB4:施釉工程
SB5:釉焼工程

Claims (3)

  1. 素地と該素地表面に形成された釉薬層とを備えた白色磁器の製造方法であって、
    前記素地の原料が所定形状に成形された成形体を還元雰囲気において1200乃至1400(℃)の温度で焼結して前記素地を得る締焼工程と、
    前記素地に釉薬を施釉する施釉工程と、
    前記素地に施釉された前記釉薬を還元雰囲気において1100乃至1250(℃)の温度で熔融する釉焼工程と
    を、含むことを特徴とする白色磁器の製造方法。
  2. 前記施釉工程で施釉される釉薬は、8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有し且つB2O3を含有しないガラスフリットを有するフリット釉である
    ことを特徴とする請求項1に記載の白色磁器の製造方法。
  3. 請求項1の白色磁器の製造方法において、前記白色磁器の素地に対して施釉され還元焼成される釉薬であって、
    8乃至11(mol%)のアルカリ金属酸化物と7乃至13(mol%)のCaOと1乃至3(mol%)のMgOと1乃至3(mol%)のZnOと7.8乃至9(mol%)のAl2O3と66乃至70(mol%)のSiO2とを含有し且つB2O3を含有しないガラスフリットを有する
    ことを特徴とする白色磁器用の釉薬。
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