JP5373505B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、相互に噛み合わされて圧縮室を形成する固定スクロールと可動スクロールとを有し、前記可動スクロールの旋回によって流体を圧縮するスクロール型圧縮機に関する。
従来から、固定板と該固定板に直立した渦巻状の固定ラップを有する固定スクロールと、可動板と該可動板に直立した渦巻状の可動ラップを前記固定ラップに噛み合わせるように配置した可動スクロールとをハウジングの内部に備え、偏心する駆動ピンを介して前記可動スクロールを旋回させることにより、固定スクロール及び可動スクロールの各ラップと固定板及び可動板との間で形成される圧縮室を外周部位から徐々に中央部位へと移動させて流体を圧縮させるスクロール型圧縮機が知られている。
本出願人は、固定スクロールの背面とハウジングとの間に、上述した流体と該流体中に含まれる潤滑油とを分離する分離室が設けられ、前記分離室内に分離部材を設けたスクロール型圧縮機を提案している(特許文献1参照)。
特開2007−9772号公報
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、軸線方向に沿って小型化を図ることが可能なスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、固定スクロールとハウジングとの間に形成され、前記固定スクロールと噛み合わされた可動スクロールの旋回作用下に圧縮された流体が導出される吐出室と、前記吐出室と連通して前記流体中に含有された潤滑油を分離する分離室と、前記分離室と連通し、前記潤滑油が貯えられる貯油室とを備えるスクロール型圧縮機において、
前記固定スクロールと前記ハウジングとの間に挟持される本体部と、前記本体部に接続され前記ハウジング内に挿入される管部とを有し、前記分離室内の前記流体及び前記潤滑油を分配する油分離部材と、
を備え、
前記本体部側となる前記管部の端部が、前記固定スクロールと前記ハウジングとの接合面に対して該固定スクロール側に設けられることを特徴とする。
本発明によれば、油分離部材が、固定スクロールとハウジングとの間に挟持される本体部と、前記本体部に接続され前記ハウジング内に挿入される管部とから構成され、前記本体部側となる前記管部の端部が、前記固定スクロールと前記ハウジングとの接合面に対して該固定スクロール側に設けられる。そして、油分離部材は、吐出室と連通した分離室内において流体と潤滑油とを分離し、前記潤滑油を貯油室へと分配する。
従って、管部の端部を、接合面に対して固定スクロール側とすることにより、ハウジング内に挿入される管部の突出量(長さ)を抑制することができ、該管部を所望長さで形成することができるため、前記ハウジングを軸線方向に沿って小型化でき、それに伴って、スクロール型圧縮機を軸線方向に沿って小型化することができる。
また、分離室は、油分離部材における本体部と管部との間に設けられた第1の空間と、前記ハウジングに形成され第1の空間と連通する第2の空間とから構成するとよい。このように、ハウジングに形成された第2の空間に加え、油分離部材側に第1の空間を設け、前記第1の空間及び第2の空間から分離室を構成することができるため、前記第2の空間の長手寸法を抑制することが可能となり、それに伴って前記ハウジングの長手寸法を小型化することができる。
さらに、本体部には、吐出室と分離室とを連通し、流体を吐出室から分離室へと導入する導入通路を形成するとよい。
さらにまた、固定スクロールにおける第1の空間と、ハウジングにおける第2の空間との接合面に、潤滑油を捕捉する捕捉手段を設けるとよい。これにより、捕捉手段を、前記第1の空間と第2の空間との間に設けることによって簡便に潤滑油を捕捉することができ、前記捕捉手段を別個に設ける場合と比較し、前記固定スクロール及びハウジングに対する加工工数及び組付工数の削減を図ることができる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、油分離部材が、固定スクロールとハウジングとの間に挟持される本体部と、前記本体部に接続され前記ハウジング内に挿入される管部とから構成され、前記本体部側となる前記管部の端部を、前記固定スクロールと前記ハウジングとの接合面に対して該固定スクロール側に設けることにより、前記ハウジング内に挿入される管部の突出量(長さ)を抑制することができ、しかも、該管部を所望長さで形成することができるため、前記ハウジングを軸線方向に沿って小型化でき、それに伴って、スクロール型圧縮機を軸線方向に沿って小型化することができる。
本発明の実施の形態に係るスクロール型圧縮機の全体縦断面図である。 接合面側から見たリアハウジングの平面図である。 図1に示す油分離管近傍の拡大断面図である。 図1のスクロール型圧縮機における固定スクロールを固定側渦巻壁側から見た平面図である。 固定スクロールの背面側から見た該固定スクロールの平面図である。 図4の固定スクロールから油分離管を離脱させた状態を示す分解斜視図である。 変形例に係る油分離管の装着された固定スクロールの平面図である。 図8A〜図8Cは、油分離管の本体部とリアハウジングとの接続部位近傍を示す拡大断面図である。
本発明に係るスクロール型圧縮機について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るスクロール型圧縮機を示す。
このスクロール型圧縮機10は、図1に示されるように、カップ状に形成されたフロントハウジング12と、前記フロントハウジング12に連結されるリアハウジング(ハウジング)14とを備える。リアハウジング14には、例えば、冷媒ガス等からなる流体をその内部へと導入する吸入口(図示せず)と、スクロール型圧縮機10によって前記流体が圧縮された圧縮流体を、例えば、冷媒循環系へと吐出する吐出口(図示せず)とが設けられている。
また、リアハウジング14には、スクロール型圧縮機10を、例えば、エンジンや外部機器等に取り付けるための複数の取付部16が設けられている。
このフロントハウジング12には、回転シャフト18の軸部20が挿入され、前記軸部20は、フロントハウジング12に保持された第1軸受22を介して回転自在に支持される。
また、回転シャフト18には、軸部20に対して拡径した支持部24が備えられ、前記支持部24は、その外周面が第2軸受26に嵌挿されることによって回転自在に支持される。すなわち、回転シャフト18は、第1及び第2軸受22、26によって回転自在に支持されている。そして、支持部24の端面には、その軸心に対して偏心したピン28が固着されている。
さらに、フロントハウジング12は、複数の締結ボルト30を介してリアハウジング14の開口部を閉塞するように連結される。
また、フロントハウジング12の端面には、可動スクロール36の端面との間にスラスト軸受32が設けられ、前記スラスト軸受32を介して前記可動スクロール36の旋回を許容すると共に、前記可動スクロール36に付与される前記軸線方向のスラスト力を受け止めている。
一方、リアハウジング14の内部には、その開口した一端部側から固定スクロール34と、該固定スクロール34に対して旋回する可動スクロール36が挿入される。
また、図2に示されるように、リアハウジング14の内部には、固定スクロール34が当接し固定される接合面38が形成され、前記接合面38には、前記固定スクロール34と可動スクロール36とから構成される圧縮室40(図1参照)で圧縮された流体が導入される第1吐出室42と、前記第1吐出室42と連通して前記流体に含有された潤滑油を分離する分離室(第2の空間)44と、前記分離室44で分離された潤滑油が貯えられる第1貯油室46と、前記潤滑油が分離された後に流体が導入される第1排出室48とが形成される。この第1吐出室42、分離室44、第1貯油室46及び第1排出室48は、それぞれ接合面38に対して所定深さだけ窪んで形成される。
分離室44は、リアハウジング14に対して固定スクロール34を組み付けた際、該固定スクロール34との間に設けられる油分離管(油分離部材)50(後述する)が挿入可能に形成される。
また、分離室44には、図3に示されるように、リアハウジング14の接合面38から離間した底部近傍に導出通路52が形成され、該導出通路52は、前記分離室44の軸線に対して所定角度傾斜し、前記端面に向かって延在している。そして、導出通路52は、リアハウジング14の接合面38に設けられた排出溝54と連通し、該排出溝54を介して第1貯油室46と連通している(図2参照)。すなわち、分離室44の内部で分離した油が、導出通路52及び排出溝54を経て第1貯油室46へと流通する。
固定スクロール34は、リアハウジング14に連結される固定側基板部56と、該固定側基板部56から可動スクロール36側へと渦巻状に立設される固定側渦巻壁58とからなる。
図4に示されるように、固定側渦巻壁58における下部には、該固定側渦巻壁58を貫通するようにチューブ62が設けられ、前記チューブ62は、軸線方向に沿って所定長さを有し、固定スクロール34の軸線と略平行に設けられる。
チューブ62は、その一端部が固定側基板部56を貫通し、固定スクロール34に連結されたリアハウジング14の第1貯油室46に連通すると共に、他端部が固定側渦巻壁58の外周側で開口して低圧側と連通している。すなわち、チューブ62は、潤滑油の貯えられる第1貯油室46と低圧側とを連通している。また、固定側渦巻壁58の外周面には、チューブ62を中心としてその両側部に半径外方向へと立設された一組の保護壁64が形成されている。そして、リアハウジング14の第1貯油室46及び固定スクロール34の第2貯油室74側から潤滑油(例えば、オイル)がチューブ62を通じて低圧側へと吐出され、前記潤滑油が固定側渦巻壁58に沿って軸線方向に流通する。
一方、固定側基板部56の背面34aは、リアハウジング14の接合面38に当接するように設けられ、複数のボルト66によって固定される。この背面34aの略中央部には、圧縮室40とリアハウジング14との間に形成される第2吐出室70に連通する導出孔68が形成されている。
また、固定スクロール34の背面34aには、図5及び図6に示されるように、所定深さで窪み、圧縮室40において圧縮された流体が導入される第2吐出室70と、前記第2吐出室70と連通して後述する油分離管50の装着される円形凹部72と、前記油分離管50によって分離された潤滑油が貯えられる第2貯油室74と、前記潤滑油が分離された後に流体が導入される第2排出室76とが形成される。
第2吐出室70は、固定スクロール34の背面34aに対して所定深さだけ窪んで形成され、リアハウジング14の第1吐出室42に臨むように形成されると共に、導出孔68と連通している。
また、第2吐出室70の内部には、吐出弁(図示せず)及びリテーナ80が挿入される。この吐出弁は、その一端部が導出孔68と対向する位置に配置されると共に、他端部が該導出孔68より所定間隔離間した一直線上にリテーナ80と共にボルトを介して固着されている。そして、吐出弁は、導出孔68を閉塞し、後述する圧縮室40において圧縮された流体が所定圧となった際に撓曲して開動作する。
すなわち、吐出弁が導出孔68を閉塞するように着座し、前記導出孔68に導入される圧縮流体の圧力によって吐出弁が導出孔68から離間することにより、前記流体が導出孔68を通じて第2吐出室70へと供給される。
円形凹部72は、第2吐出室70及び第2排出室76との間となるように設けられ、固定スクロール34がリアハウジング14に組み付けられた際、分離室44と対向するように配置される。円形凹部72は、第2吐出室70及び第2排出室76と略同一深さで形成されると共に、固定スクロール34の背面34aから離間した底部がさらに一段窪んだ凹溝84が形成され、前記第2排出室76側に向かって延在している。
この円形凹部72に設けられる油分離管50は、図3、図5及び図6に示されるように、本体部86と、該本体部86の中央に設けられる円筒部88とを含む。本体部86は、円筒部88の外周側に半径外方向に所定間隔離間するように環状に形成され、且つ、軸線方向に沿って所定高さを有する。そして、本体部86は、その一側面が固定スクロール34の円形凹部72に装着された状態で背面34aに当接し、他側面がリアハウジング14の接合面38に当接した状態で挟持されて保持される。
この本体部86と円筒部88との間に設けられる環状凹部(第1の空間)90は、油分離管50が固定スクロール34とリアハウジング14との間に保持された際、分離室44と連通すると共に、該分離室44の内周面44aと前記本体部86の内周面86aとが略同一面となるように形成される。
また、本体部86には、該本体部86の内側と外側とを連通するように切り欠かれた第1及び第2導入通路92、94が形成され、前記第1及び第2導入通路92、94を通じて第1吐出室42の流体が後述する分離室44の内部へと導入される。第1及び第2導入通路92、94は、互いに略直交するように所定間隔離間して形成されると共に、円筒部88の外周面に対してそれぞれ接線方向となるように形成される(図5参照)。
一方、円筒部88の内部には、軸線方向に貫通した通路95が形成され、該円筒部88が、リアハウジング14の分離室44内に挿入される。そして、円筒部88と分離室44の内周面44aとの間には所定間隔のクリアランスが設けられる。すなわち、第1及び第2吐出室42、70から分離室44へと導入された流体が、前記クリアランスを介して底部側へと流通した後に、前記円筒部88の通路95を通じて油分離管50の本体部86側へと流通し、凹溝84を通じて第1排出室48へと導出される。
第2排出室76には、図示しない弁孔に該第2排出室76内の流体を外部に排出する開放弁(図示せず)が装着され、前記第2排出室76内における流体の圧力が予め設定された所定値以上となった際に、前記開放弁が弁開状態となり、前記流体を外部へと排出すると共に、前記第2排出室76内の圧力が低下して所望の圧力値となることにより、前記開放弁が弁閉状態となり、前記第2排出室76と外部との連通が遮断されて前記第2排出室76内の圧力が所望の圧力値に保持される。第2貯油室74は、固定スクロール34の背面34aにおける下部側に設けられている。
なお、第2吐出室70と第2貯油室74との間、前記第2吐出室70と第2排出室76との間、前記第2貯油室74と第2排出室76との間がそれぞれ境界壁96によって分離されると共に、円形凹部72は、前記第2吐出室70と第2排出室76との間の境界壁96の一部が切り欠かれて形成される。
なお、図7に示される油分離管50aのように、本体部86を固定スクロール34に対して固定ボルト98で固定するようにしてもよい。なお、この油分離管50を固定スクロール34に対して位置決めして固定する手段は、上述した固定ボルト98に限定されるものではなく、位置決めピン28等を介して行うようにしてもよいし、前記円形凹部72と本体部86とを嵌合形状とすることによって行うようにしてもよいし、さらに、前記円形凹部72に対して本体部86を圧入するようにしてもよい。
すなわち、油分離管50は、固定スクロール34に対する回転の規制された状態で固定可能な手段であれば、上述した固定手段に限定されることなくいかなる手段で固定するようにしてもよい。
可動スクロール36は、可動側基板部100と、該可動側基板部100から固定スクロール34側へと渦巻状に立設され、前記固定側渦巻壁58に噛み合う可動側渦巻壁102とを有する。そして、固定スクロール34における固定側基板部56及び固定側渦巻壁58と、可動スクロール36における可動側基板部100及び可動側渦巻壁102とによって圧縮室40が形成される。
この圧縮室40を封止するために、固定側渦巻壁58及び可動側渦巻壁102の各端部には、それぞれ可動側基板部100及び固定側基板部56に摺接するようにシール部材104a、104bが装着されている。
可動側基板部100には、第2軸受26側に向かって開口した装着穴106が形成され、前記装着穴106には、旋回軸受108を介してブッシュ110が回転自在に支持されている。前記ブッシュ110には、その軸心に対して偏心した孔部が形成され、前記孔部に前記支持部24のピン28が挿入される。
本発明の実施の形態に係るスクロール型圧縮機10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
例えば、図示しない電磁クラッチの動作作用下に、回転シャフト18に回転力が伝達されると、支持部24が第1及び第2軸受22、26を介して回転し、これによって支持部24に固着されたピン28が回転シャフト18の軸心に対して偏心した状態で旋回する。
そして、前記ピン28を介してブッシュ110が回転して可動スクロール36が自転を拘束された状態で固定スクロール34に対して旋回する。
その結果、固定スクロール34と可動スクロール36との間で形成される圧縮室40が外周部位から徐々に中央部位へと変位し、シール部材104a、104bの封止作用下に前記圧縮室40内において流体が徐々に圧縮される。そして、圧縮された流体がその圧力作用下に吐出弁(図示せず)を導出孔68から離間させて第1及び第2吐出室42、70へと導出される。
次いで、流体が、第1及び第2吐出室42、70から第1及び第2導入通路92、94を通じて分離室44に導入される。この際、流体は、分離室44の内周面44aに対して接線方向に導入されるため、油分離管50の円筒部88と前記内周面44aとの間のクリアランスの内部を該内周面44aに沿って旋回しながら流通する。これにより、流体中に含有された潤滑油が、その流体の旋回流により生じる遠心力によって該流体から遠心分離されて前記内周面44a側へと分離される。
この潤滑油が分離された流体は、分離室44と円筒部88との間のクリアランスから油分離管50の通路95を経て本体部86側へと流通し、一旦、固定スクロール34の凹溝84に流通した後に、リアハウジング14の第1及び第2排出室48、76へと導入される。その結果、流体が排出室と連通した吐出口(図示せず)を介して図示しない冷媒循環系へと吐出される。
一方、流体から分離された潤滑油は、分離室44の内周面44aに沿って流動した後に、導出通路52を通じて接合面38側へと流動し、排出溝54を通じて第1及び第2貯油室46、74に導入されて貯えられる。
最後に、第1及び第2貯油室46、74に貯えられた潤滑油は、チューブ62を通じて固定スクロール34における固定側渦巻壁58の外周面へと吐出され、該外周面に沿って可動スクロール36側へと流通する。この際、前記可動スクロール36の可動側基板部100と固定側渦巻壁58との摺動面に供給され、前記摺動面が潤滑される。
また、図8Aに示されるように、油分離管50における本体部86の内周面86aと分離室44の内周面44aとを半径方向にオフセットさせ、例えば、前記分離室44の内周面44aが前記本体部86の内周面86aに対して半径内側に突出するように形成することにより、前記本体部86と前記分離室44との接合部位に段差部112が設けられることとなる。これにより、環状凹部90に導入された流体から分離された潤滑油が、該環状凹部90の内周面に沿って分離室44側へと流動する際、段差部112によって好適に捕捉されることとなる。
すなわち、油分離管50及び分離室44の形状を変更することによって分離された潤滑油を簡便且つ好適に捕捉することが可能となる。
なお、この潤滑油を捕捉するための手段は、上述した構成に限定するものではなく、例えば、図8Bに示されるように、本体部86の端部における内周面86a側に、断面三角形状に切り欠かれた面取部114aを環状に形成すると共に、分離室44の開口端部における内周面44a側に、前記面取部114aに臨む断面三角形状の別の面取部114bを環状に形成するようにしてもよい。この場合、面取部114a、114bは、油分離管50及びリアハウジング14の両方に設けられる場合に限定されず、どちらか一方のみに設けられる場合でもよい。これにより、2つの面取部114a、114bからなり、前記本体部86及び分離室44の内周面86a、44aより窪んだ凹部において、潤滑油を簡便且つ好適に捕捉することができる。
また、図8Cに示されるように、例えば、油分離管50の本体部86とリアハウジング14との間にプレート材116を挟み、該プレート材116を前記本体部86及び分離室44の内周面86a、44aに対して半径内方向に若干だけ突出させることにより、前記プレート材116の突出部位で潤滑油を好適に捕捉することができる。
以上のように、本実施の形態では、油分離管50において、本体部86と円筒部88との間に環状凹部90を設け、該環状凹部90をリアハウジング14の分離室44と連通させているため、前記リアハウジング14内に設けられた分離室44を前記環状凹部90によって固定スクロール34側まで延在させることが可能となる。
そのため、円筒部88のリアハウジング14側への突出量を抑制することができると共に、固定スクロール34の背面に、環状凹部90を有した油分離管50を組み付けるという簡便な作業で、分離室44を固定スクロール34側まで延在させることができる。その結果、リアハウジング14の長手寸法を大きくすることなく、分離室44の長手寸法を十分に確保することが可能となり、それに伴って、前記リアハウジング14を含むスクロール型圧縮機10の長手寸法の小型化を測ることができる。
また、油分離管50のみを形状変更することにより分離室44の長手寸法を確保することが可能であり、リアハウジング14側の形状変更を行う必要がないことから、前記リアハウジング14に対する加工工数の削減が図れると共に、前記リアハウジング14、油分離管50及び固定スクロール34を組み付ける際の工数削減を図ることも可能となる。
すなわち、油分離管50の形状変更を行うことにより、分離室44の長手寸法を自在に調整することができるため、例えば、性能や特性の異なるスクロール型圧縮機においても、前記油分離管50を交換するという簡便な作業で潤滑油の分離特性を容易に変更することができる。
さらに、油分離管50の本体部86に、第1及び第2導入通路92、94を設けることにより、第1及び第2吐出室42、70内の流体を分離室44内へと好適に導入することができるため、前記流体を前記分離室44へと導く手段を別個に設けた場合と比較し、その加工工数を削減できると共に、組付工数の削減も図ることができる。また、油分離管50のみを形状変更することにより導入通路の形状等を容易に変更することができるため、例えば、性能や特性の異なるスクロール型圧縮機においても、前記油分離管50を交換するという簡便な作業で潤滑油の分離特性を容易に調整できる。
さらにまた、油分離管50の端部と分離室44の端部との間に、流体中に含まれ分離された潤滑油を捕捉する油捕捉手段を設けることにより、簡便に前記潤滑油を捕捉することができるため、前記油捕捉手段を別個に設ける場合と比較し、その加工工数及び組付工数の削減を図ることが可能となる。
なお、本発明に係るスクロール型圧縮機は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…スクロール型圧縮機 12…フロントハウジング
14…リアハウジング 18…回転シャフト
32…スラスト軸受 34…固定スクロール
36…可動スクロール 40…圧縮室
42…第1吐出室 44…分離室
46…第1貯油室 48…第1排出室
50、50a…油分離管 56…固定側基板部
58…固定側渦巻壁 68…導出孔
70…第2吐出室 72…円形凹部
74…第2貯油室 76…第2排出室
86…本体部 88…円筒部
90…環状凹部 100…可動側基板部
102…可動側渦巻壁 104a、104b…シール部材

Claims (3)

  1. 固定スクロールとハウジングとの間に形成され、前記固定スクロールと噛み合わされた可動スクロールの旋回作用下に圧縮された流体が導出される吐出室と、前記吐出室と連通して前記流体中に含有された潤滑油を分離する分離室と、前記分離室と連通し、前記潤滑油が貯えられる貯油室とを備えるスクロール型圧縮機において、
    前記固定スクロールと前記ハウジングとの間に挟持される環状の本体部と、前記本体部に接続され前記ハウジング内に挿入される管部とを有し、前記分離室内の前記流体及び前記潤滑油を分配する油分離部材と、
    を備え、
    前記本体部側となる前記管部の端部が、前記固定スクロールと前記ハウジングとの接合面に対して該固定スクロール側に設けられると共に、前記本体部が前記管部の外周側に設けられ、前記分離室は、前記本体部と前記管部との間に設けられた環状凹部に設けられる第1の空間と、前記ハウジングに形成され前記第1の空間と連通する第2の空間とからなることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 請求項1記載のスクロール型圧縮機において、
    前記本体部には、前記吐出室と前記分離室とを連通し、前記流体を前記吐出室から前記分離室へと導入する導入通路が形成されることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  3. 請求項1又は2記載のスクロール型圧縮機において、
    前記油分離部材における前記本体部と前記ハウジングとの接合面には、前記潤滑油を捕捉する捕捉手段が設けられることを特徴とするスクロール型圧縮機。
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