JP5372838B2 - スケール抑制装置 - Google Patents

スケール抑制装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5372838B2
JP5372838B2 JP2010124751A JP2010124751A JP5372838B2 JP 5372838 B2 JP5372838 B2 JP 5372838B2 JP 2010124751 A JP2010124751 A JP 2010124751A JP 2010124751 A JP2010124751 A JP 2010124751A JP 5372838 B2 JP5372838 B2 JP 5372838B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scale
hot water
concentration
dissolved component
suppression device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010124751A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011251210A (ja
Inventor
公平 井上
義隆 川原
市郎 明翫
大輔 福田
靖之 菱
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GEOTHERMAL ENGINEERING CO.,LTD.
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
GEOTHERMAL ENGINEERING CO.,LTD.
Fuji Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GEOTHERMAL ENGINEERING CO.,LTD., Fuji Electric Co Ltd filed Critical GEOTHERMAL ENGINEERING CO.,LTD.
Priority to JP2010124751A priority Critical patent/JP5372838B2/ja
Publication of JP2011251210A publication Critical patent/JP2011251210A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5372838B2 publication Critical patent/JP5372838B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Description

本発明は、スケール抑制装置およびそのスケール抑制方法に関する。
硬度の高い水を使用する設備の運転効率やメンテナンス頻度低減には、スケールを抑制する技術が重要である。例えば、ボイラの水や地熱発電の地熱熱水でスケールの生成を抑制するために、薬剤注入量を制御する方法として、次の方法が知られている。
特許文献1は、給水を加熱して蒸気を生成するボイラ2と、このボイラ2へ給水を供給する給水部3と、前記ボイラ2で生成した蒸気を負荷機器4へ供給する蒸気供給部5とを備えたボイラ装置1において、スケール分散剤を用いて前記ボイラ2におけるスケールの生成を抑制する方法であって、前記給水部3の給水路11中の給水の全炭酸濃度を測定する全炭酸濃度測定工程と、前記給水部3の給水路11中の給水のシリカ濃度を測定するシリカ濃度測定工程と、前記全炭酸濃度測定工程および前記シリカ濃度測定工程における測定結果に基づいて、前記給水部3に対してスケール分散剤を供給するスケール分散剤供給工程を含むことを特徴とするボイラ装置のスケール生成抑制方法を開示している。
特許文献2は、水処理剤供給の消費濃度応答性の調節方法であって、工業的流体系より水処理剤を含む流体サンプルを取り出し、前記サンプルに、初期薬剤と実質的に非蛍光性の水処理剤の組み合わせを含む濃度指示剤を生成するに有効な量で初期薬剤を加え、前記サンプルの蛍光分析によって前記濃度指示剤を監視し、前記水処理剤のインシステム濃度に関係づけることができる少なくとも1種の蛍光発光値を測定し、前記蛍光発光値と、前記水処理剤の前記インシステム濃度を関係づけ、前記水処理剤の前記インシステム濃度に基づき、前記流体系への前記水処理剤の供給を調節する方法を開示している。
地熱バイナリー発電は、生産井から噴出した蒸気あるいは熱水と熱交換して発生した低沸点媒体の蒸気を動力としてタービンを回転させ、このタービンに連結された発電機で発電を行っている。そして、使用後の蒸気が凝縮した熱水や低温になった熱水を還元井に戻している。地下深くから噴出する高温の地熱熱水は、カルシウムや溶存シリカを多く含むため、炭酸カルシウムや非晶質シリカなどのスケールを析出しやすい。特に地上部や還元井では、熱水の温度降下によるシリカスケールの析出が問題となることが多い。地熱熱水からのシリカスケールの析出を抑制するためには、シリカの成長を抑制するポリマーを含んでいる抑制剤を注入する方法や、硫酸などの酸を注入することによって熱水のpHを調整する方法が知られている。
特開2004−085144号公報 特開平7−265868号公報
水質の違いや設備の運転条件の変更などに伴う水温変化に影響されずにスケールの発生を抑制するために、本発明は、地熱熱水の溶存成分濃度の減少速度または減少速度係数に基づいてスケール抑制剤を添加し、溶存成分濃度の減少速度を予め定めた値に制御することで、スケールの析出を抑制する装置を提供することを目標とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るスケール抑制装置は、地熱熱水の溶存成分濃度を測定する濃度計と、前記溶存成分の析出を抑制するスケール抑制剤を前記地熱熱水へ注入するスケール抑制剤注入部と、前記濃度計で測定した時間の異なる前記地熱熱水の溶存成分濃度から計算した前記溶存成分濃度の減少速度または減少速度係数に基づいて前記スケール抑制剤の注入速度を制御する制御部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、実際の地熱熱水中の溶存成分濃度の減少速度または減少速度係数を元にスケール抑制剤の注入速度を制御しているので、地熱熱水中に含まれる共存物質がスケール抑制剤注入速度の計算に誤差をもたらす場合であっても、溶存成分濃度の1回の測定に基づくスケール抑制剤注入速度の計算に比べて、この誤差を低減できる。
また、上記スケール抑制装置において、前記地熱熱水を貯留する保持容器を備え、前記濃度計は、前記保持容器に貯留された前記地熱熱水の溶存成分濃度を異なる時に測定することとしてもよい。
この構成によれば、流路近傍の環境が濃度計測に不向きな場合でも、流路から離れた場所で地熱熱水中の溶存成分濃度の減少速度を計測できる。
また、上記スケール抑制装置において、前記濃度計は、前記地熱熱水の流路の複数の地点の前記溶存成分濃度を測定することとしてもよい。
この構成によれば、前記保持容器を備える必要がなくなり、装置を簡素化できる。
また、前記地熱熱水の流量を計測する流量計を備え、いずれの前記濃度計の計測場所よりも下流の流路に、前記スケール抑制剤を注入することとしてもよい。
この構成によれば、スケール抑制剤を注入する前の地熱熱水の溶存成分濃度も計測できるので、新たに高価な濃度計を設けることなく元々の地熱熱水の溶存成分濃度の情報が得られ、地熱熱水の管理に活用することができる。
また、これらのスケール抑制装置において、前記保持容器内の温度を一定にするための保温部を備え、複数の前記保持容器に貯留した前記地熱熱水へそれぞれ予め定めた時間に反応停止剤を注入する反応停止剤注入部を備え、前記溶存成分がシリカであり、前記反応停止剤が酸であり、前記スケール抑制剤がpH調整剤、反応封止剤、分散剤、キレート剤から選ばれる薬剤の内、少なくとも1種類を含んでいることとしてもよい。ここで、pH調整剤とは、溶液のpHを酸性またはアルカリ性に変化させて、前記地熱熱水のシリカ重合速度を遅くする薬剤のことである。反応封止剤とは、シリカ分子の官能基をマスクする薬剤のことである。分散剤とは、マイナス電荷のシリカの周囲をイオン性高分子で包み込んでシリカ同士の重合反応を阻止する薬品のことである。キレート剤とは、シリカ析出の核となる原子と錯体を形成することで、該原子とシリカの反応を阻止する薬品のことである。そして、前記pH調整剤または反応封止剤または分散剤またはキレート剤は、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基、ホスフィノ基から選ばれる官能基の内、少なくとも1つの官能基を分子内に含んでいることが望ましい。ここで、溶存成分濃度としてのシリカ濃度とは、JIS K010141.1に記載のモリブデン黄法、あるいはモリブデン青法によって測定されたイオン状シリカ濃度の値、もしくはこれらの測定方法と相関のある方法で求めた値とする。
この構成によれば、溶存シリカ濃度の減少速度係数を制御することでシリカスケールの生成速度を抑制しつつ、スケール抑制剤の使用量を低減できる。
また、これらのスケール抑制装置を地熱発電システムに備えることが望ましい。
この構成によれば、蒸発器に付着するシリカスケールを抑制できるので、蒸発器のメンテナンス頻度を低減できる。
本発明によれば、地熱熱水の溶存成分濃度の減少速度または減少速度係数に基づいてスケール抑制剤を注入し、溶存成分濃度の減少速度を予め定めた値に制御することで、スケールの析出を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係るスケール抑制装置の構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るスケール抑制装置の制御フロー図である。 正常運転時と異常運転時のシリカ濃度測定値の経時変化の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るスケール抑制装置の構成図である。 本発明の第2の実施形態に係るスケール抑制装置の制御フロー図である。 本発明の第3の実施形態に係るスケール抑制装置の構成図である。 本発明の第1の実施形態に係るスケール抑制装置を地熱発電システムの一例であるバイナリー発電システムに用いた場合の構成図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係るスケール抑制装置の実施形態を説明する。同一の構成要素については、同一の符号を付け、重複する説明は省略する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができる。なお、上記の地熱熱水中の溶存成分濃度の減少速度は、以下の実施形態では、該減少速度が関係する反応が非線形の反応(下記式2参照)であるので、地熱熱水中の溶存成分濃度の減少速度係数がこれに対応する。該減少速度が関係する反応式が線形である場合は、減少速度で対応する。
本発明に係る第1の実施形態について、図面を用いて説明する。図1に、本発明の第1の実施形態に係るスケール抑制装置の構成図を示す。流路1には、地熱熱水が矢印7に示す方向に流れている。流路1に配置した濃度計2と濃度計3が、地熱熱水の溶存成分濃度を計測する。濃度計3は、濃度計2より下流側の位置に配置されている。濃度計3は、濃度計2で計測された地熱熱水が濃度計3の流路位置に到達した時に溶存成分濃度を計測する。濃度計2の計測開始から濃度計3の計測が完了する間に、それぞれの計測位置における地熱熱水の流量と地熱熱水の温度の変化がほとんど無い場合は、濃度計2と濃度計3の計測タイミングに制限は無く、濃度計2,3の両方で溶存成分濃度を同時に計測することとしてもよい。
濃度計2と濃度計3で計測された溶存成分濃度(Ct1,Ct2)と流量計6で計測された流量(Ft1)は、信号配線を通じて制御部4に入力される。制御部4で溶存成分濃度の減少速度係数が計算され、この減少速度係数に基づいてスケール抑制剤の注入速度が計算される。制御部4は、計算したスケール抑制剤の注入速度になるようにスケール抑制剤注入部5を制御して流路内にスケール抑制剤を注入する。ここで、スケール抑制剤注入部5は、図7と同様に、スケール抑制剤タンク5−1とポンプ5−2と配管5−3から構成されている。また、制御部4は、濃度計2と濃度計3が計測する際の時間差を次式によって計算する。すなわち、濃度計2で溶存成分濃度が計測された地熱熱水は、流路1を流下して時間Δt後に濃度計3の位置に到達し、濃度計3で再び溶存成分濃度を計測される。
Δt = 濃度計2と濃度計3の間の流路の体積 / 流量Ft1 ・・・ 式1
制御部4の制御フローを図2に示す。まず、目標とする溶存成分濃度の減少速度係数(kset)と、スケール抑制剤の注入速度(Fch0)の初期値とを設定する(初期値設定ステップS1)。次に、流量計1の流量および濃度計2と濃度計3の溶存成分濃度(Ct1,Ct2)を制御部に読み込む(データ入力ステップS2)。次に、溶存成分濃度減少速度係数(k)を次式によって計算する(溶存成分濃度減少速度係数計算ステップS3)。
k = (Ct1−Ct2)/Δt2 ・・・ 式2
次に、スケール抑制剤注入速度を次式によって計算する(スケール抑制剤注入速度計算ステップS4)。αは、任意に設定する比例係数である。
Fch1 = α ×(k/kset)× Fch0 ・・・ 式3
次に、スケール抑制剤注入速度(Fch1)をスケール抑制剤注入部に出力する(出力ステップS5)。なお、出力ステップS5で、このスケール抑制剤注入速度(Fch1)に任意の定数をさらに加えてもしくは減じて補正しても良い。次に、Fch0にFch1を代入して、次の制御サイクルのためにデータを更新する(データ更新ステップS6)。
次に、前記データ入力ステップS2に戻りこれらの上記ステップループを繰り返す。
図4に、本発明の第2の実施形態に係るスケール抑制装置の構成図を示す。図1と図4の構造上の相違点は、スケール抑制剤注入部5が流路1と接続する位置が、濃度計3よりも下流にある点と、制御部8の制御方法が図5のように流量計6の流量が関与する点であり、それ以外は、第1の実施形態と同じである。
図5に、制御フロー図を示す。制御部8は、濃度計2と濃度計3が計測する際の時間差を次式によって計算する。すなわち、濃度計2で溶存成分濃度が計測された地熱熱水は、流路1を流下して時間Δt後に濃度計3の位置に到達し、濃度計3で再び溶存成分濃度を計測される。
Δt = 濃度計2と濃度計3の間の流路の体積 / 流量Ft1 ・・・ 上記式1と同じ
目標とする溶存成分濃度の減少速度係数(kset)と、スケール抑制剤の注入速度(Fch0)の初期値と、流量(Ft0)の初期値を設定する(初期値設定ステップS21)。次に、流量計6の流量(Ft1)および濃度計2と濃度計3の溶存成分濃度(Ct1,Ct2)を制御部に読み込む(データ入力ステップS22)。次に、溶存成分濃度減少速度係数kを次式によって計算する(溶存成分濃度減少速度係数計算ステップS23)。
k = (Ct1−Ct2)/Δt2 ・・・ 上記式2と同じ
次に、スケール抑制剤注入速度(Fch1)を次式によって計算する(スケール抑制剤注入速度計算ステップS4)。αは、任意に設定する比例係数である。
Fch1 = α ×(k/kset)× Fch0 × Ft1 / Ft0 ・・・ 式4
次に、スケール抑制剤注入速度(Fch1)をスケール抑制剤注入部に出力する(出力ステップS25)。なお、出力ステップS25で、このスケール抑制剤注入速度(Fch1)に任意の定数をさらに加えてもしくは減じて補正しても良い。次に、Fch0にFch1を代入し、Ft0にFt1を代入して、次の制御サイクルのためにデータを更新する(データ更新ステップS26)。次に、前記データ入力ステップS22に戻りこれらの上記ステップループを繰り返す。
図6に、本発明の第3の実施形態に係るスケール抑制装置の構成図を示す。流路1には、地熱熱水が矢印7に示す方向に流れている。流路1を流れる地熱熱水は、弁18、ポンプ10、弁19が備えられた配管を経由して保持容器11に導入される。保持容器11は、大気と連通した配管と接続しており、その配管は、弁20で大気開放と密閉を切り替えることができる。より具体的には、保持容器11は、耐圧容器の周囲を加熱ジャケットで覆ってあり、耐圧容器内部の温度を測定する温度測定器からの信号により、温度コントローラーが加熱ジャケットの発熱量をコントロールして、耐熱容器内の熱水温度を一定に保持できるよう設計されている。保持容器11には熱水を攪拌する攪拌器12が設置されている。さらに、保持容器11は、貯留した熱水が弁21、ポンプ26を備えた配管を経由して混合槽13へと導入されるように接続されている。また、保持容器11の底には、残余の熱水を廃棄するための配管と弁24が備えられている。図6の実施例では保持容器11を1つのみ用いているが、減少速度係数の計算をより正確にするために、保持容器セット100を複数設置してもよい。混合槽13は、大気に開放された容器である。なお、熱水が接する配管、保持容器11、混合槽13、攪拌器12,14などの接液部分は全てテフロン(登録商標)製とすることが望ましい。反応停止剤タンク16は、弁25とポンプ15を備えた配管を経由して混合槽13に接続されている。さらに、濃度計17は、混合槽13の液体を測定できるように設置されている。濃度計17の出力信号配線は、制御部30に接続されている。流量計6は、流路1に設置されており、流量データ配線は、制御部30に接続されている。制御部30の出力信号配線は、スケール抑制剤注入部5に接続されている。制御部30は、計算したスケール抑制剤の注入速度になるようにスケール抑制剤注入部5を制御して流路1内にスケール抑制剤を注入する。ここで、スケール抑制剤注入部5は、図7と同様に、スケール抑制剤タンク5−1とポンプ5−2と配管5−3から構成されている。混合槽13の底には、弁23を備えた配管が接続されており、残余の液体がこの配管を通して排出される。図示しないが、図中の弁18,19,20,21,23,24,25、ポンプ10,26,25,5−2、攪拌器12,15は、制御部30に配線でそれぞれ接続されており、制御部30で制御されている。
次に、この装置の動作について説明する。制御部30は、弁21,24を閉じ、弁18,19,20を開いて、ポンプ10を作動させて流路1の熱水を保持容器11にサンプリングさせる。予め定めた量を保持容器11にサンプリング後、弁19、20を閉じて保持容器を密閉される。保持容器11内で熱水を保持している間は、攪拌器12で一定条件で攪拌することが望ましい。
次いで、制御部30は、弁23を閉め、弁21を開け、ポンプ26で保持容器11の熱水の所定量を混合槽13に移動させる。そして、制御部30は、弁25を開け、ポンプ15を作動させて、反応停止剤タンク16に貯留された反応停止剤の所定量を混合槽13へ移動させる。その後、制御部30は、攪拌器14を作動させて熱水と反応停止剤を混合する。反応停止剤を熱水に混合することで、所定の希釈倍率となるように熱水が希釈されると共に、溶存成分の析出反応を停止させる。より具体的な例として、溶存成分濃度を溶存シリカ濃度とした場合、保持容器11から混合槽13に導入されたサンプル量1容積に対して、反応停止剤タンク16から純水と塩酸を1対98に希釈した希釈塩酸を99容積注入した後、攪拌器14で混合する。熱水と反応停止剤を混合する方法の別の形態としては、保持容器11から混合槽13に導入されたサンプル量1容積に対して純水98容積と12N塩酸1容積をこの順に注入した後、攪拌器14で混合する。こうすることで、最終的にサンプルは、溶存シリカ濃度および共存する影響成分濃度が100倍希釈されると共に希釈後サンプルのpHを1〜2としている。これによって、当該希釈後サンプルの測定期間中、シリカの重合を停止させることができる。
濃度計17は、この混合液の溶存成分濃度を測定する(1回目)。この測定結果は、信号配線を経由して制御部30に送られる。例えば、シリカ濃度計は、モリブデン黄法、あるいはモリブデン青法による市販の装置を用いればよく、その測定範囲と熱水性状に基づいて、上記の希釈倍率を設定すればよい。
次に、上記と同様の手順で、保持容器11での熱水の保持時間を変更した条件での溶存成分濃度を測定する。例えば、攪拌器12で熱水を攪拌しながら60分間熱水を保持容器11に温度一定で保持させる。その後、上記と同様の手順で、濃度計17で溶存成分濃度を測定する(2回目)。この測定結果は、信号配線を経由して制御部30に送られる。また、制御部30は、1回目に混合槽13で熱水に反応停止剤を注入した時から、2回目の測定で反応停止剤を注入した時までの時間差Δtを記憶する。濃度計17の測定が終了後、制御部30は、弁20,23,24を開き、保持容器11と混合槽14に残っている液体を各容器の底の配管から外部へ排出する。
流量計6で計測された流量(Ft1)は、制御部30に入力される。1回目および2回目に計測された溶存成分濃度(Ct1,Ct2)と、上記時間差Δtに基づいて、制御部30で溶存成分濃度の減少速度係数が計算され、この減少速度係数に基づいてスケール抑制剤の注入速度が計算される。制御部30は、計算したスケール抑制剤の注入速度になるようにスケール抑制剤注入部を制御して流路内にスケール抑制剤を注入する。その後の制御部30の動作は、Δtの計算部分を除いて、図2の制御フローと同じである。
次に、図6の装置において、濃度計の計測データを2以上取得して、溶存成分濃度減少速度係数を求める場合の動作および制御フローを説明する。1つのサンプルにつき3回以上の溶存成分濃度データを取得する際には、装置構成を上述の図6のように保持容器セット100を1つのみ備えた構成とし、保持容器11から混合槽13へ熱水を取り出し、反応停止剤を注入し、濃度計17で測定し、混合槽13の熱水を排水する一連の操作を1つの保持容器11の熱水について行い、溶存成分濃度変化を経過時間を追って順次測定する制御手順としてもよい。または、保持容器セット100を複数備えて、各保持容器11毎に熱水を取り出す時刻をずらし、保持容器11から混合槽13へ熱水を取り出し、反応停止剤を注入し、濃度計17で測定し、混合槽13の熱水を排水する一連の操作を複数の保持容器11の熱水についてそれぞれ行い、溶存成分濃度を順次測定する制御手順としてもよい。
図3に、サンプリングした地熱熱水の溶存シリカ濃度の経時変化の例を示す。条件1は正常運転時の測定結果であり、条件2は熱水温度が下がりシリカの過飽和度が上昇したときの測定結果であり、条件3は熱水のシリカ濃度が低くかつ熱水の温度が高くシリカの過飽和度が低下したときの測定結果である。条件1〜3について、保持時間0、60、120分の溶存シリカ濃度の変化を2次関数で近似し、最小自乗法により下記の式に基づいて係数kを算出した結果を表1に示す。近似した2次曲線を図3上に曲線で示した。
C = C0 − k × t2 ・・・式5(但し、Cは溶存シリカ濃度(mg/L)、C0は保持時間なしのときの溶存シリカ濃度(mg/L)、
tはC0の時を0として、そこからの経過時間(min)、kは溶存シリカ濃度減少速度係数(mg/L/min2)である。)
Figure 0005372838
正常運転時である条件1のときのk値0.0030を標準的な値として設定し、正常運転時のk値よりもk値が大きい場合(すなわち、条件2の場合)は、スケール抑制剤注入速度を増加させる。逆に正常運転時のk値より小さくなる場合(すなわち、条件3の場合)は、スケール抑制剤注入速度を減少させる。一般に、溶存シリカ濃度減少速度係数は、溶存シリカ濃度が25%程度減少する時間まで徐々に増加して最大値となり、その後減少する。これはシリカ重合が起こる場所となる粒子の核や表面積が増加することによる影響と、原料となる溶存シリカ濃度が減少することによる影響があるためである。上記のこれら実施形態においては、この内、溶存シリカ濃度減少速度係数が増加する範囲内で溶存シリカ濃度減少速度係数の測定を行い、その溶存シリカ濃度減少速度係数の値に基づき制御を行う。このように制御を行うことにより、スケール析出量、スケール抑制剤注入速度の最適化を図ることが可能となる。この際、標準とするk値は、設計者が必要に応じて変更可能であることが望ましい。
上記のこれら実施形態において、溶存成分をシリカとする場合、スケール抑制剤としては硫酸、反応停止剤としては塩酸を、それぞれ必要に応じて希釈した溶液が好適に用いられる。
また、図示しないが、本装置以外にpH計等、他の測定装置を同時に用い、その測定結果と組み合わせてスケール抑制剤注入部5を制御することも可能である。
図7に、本発明の第1の実施形態に係るスケール抑制装置を地熱発電システムの一例であるバイナリー発電システムに用いた場合の構成図を示す。
バイナリー発電システムは以下のような手順を経て発電を行っている。制御部4は、タンク5−1からポンプ5−2を経て流路1にpH調整剤としての硫酸を注入する。この注入速度は、濃度計2,3の測定結果に基づいて制御されている。熱水は、ケトル型のシェルアンドチューブ熱交換器(蒸発器33)により、低沸点媒体であるペンタンと熱交換する。蒸発したペンタンは、配管を経由してタービン35に供給され、タービン35を回転させる。タービンの回転エネルギーは、タービン35と接続された発電機36により電気エネルギーに変換される。タービン35を出たペンタンは、ペンタン通流配管39を通して凝縮器37へ入れられ、ペンタンが液体へ凝縮される。凝縮器37を出た液体ペンタンは、循環ポンプ38を経由して蒸発器33に戻ってくる。熱水の温度は、蒸発器入口から出口にかけて30℃程度低下した。蒸発器で温度が低下した熱水は、還元井内に還元する。
還元井手前に濃度計3を設置し、この溶存成分濃度減少速度係数に基づいて、スケール抑制剤注入部5から注入するpH調整剤量を制御する。溶存シリカ濃度減少速度係数は、シリカ濃度、pH、温度、イオン強度等が影響し変化する。この減少速度係数に応じて、pH調整剤としての硫酸注入速度を制御する。制御の仕方は、許容されるシリカスケール析出速度係数や、硫酸注入速度のランニングコストなどにより、当業者が任意に決定することができる。流路1の流量がほとんど変化しない場合は、一度流量を測定した結果を定数として使用し、流量計6を省くことも可能である。
1 流路2,3,17 濃度計4,8,30 制御部5 スケール抑制剤注入部5−1 スケール抑制剤タンク5−2 ポンプ5−3 配管6 流量計7 地熱熱水の流れる方向を示した矢印10,15,26 ポンプ11 保持容器12,14 攪拌器13 混合槽16 反応停止剤タンク18,19,20,21,22,23,24,25,32 弁31 生産井33 蒸発器34 還元井35 タービン36 発電機37 凝縮器38 循環ポンプ39 ペンタン通流配管100 保持容器セット

Claims (8)

  1. 地熱熱水の溶存成分濃度を測定する濃度計と、
    前記溶存成分の析出を抑制するスケール抑制剤を前記地熱熱水へ注入するスケール抑制剤注入部と、
    前記濃度計で測定した時間の異なる前記地熱熱水の溶存成分濃度から計算した前記溶存成分濃度の減少速度または減少速度係数に基づいて前記スケール抑制剤の注入速度を制御する制御部
    を備えることを特徴とするスケール抑制装置。
  2. 請求項1に記載のスケール抑制装置において、
    前記地熱熱水を貯留する保持容器を備え、
    前記濃度計は、前記保持容器に貯留された前記地熱熱水の溶存成分濃度を異なる時に測定することを特徴とするスケール抑制装置。
  3. 請求項1に記載のスケール抑制装置において、
    前記濃度計は、前記地熱熱水の流路の複数の地点の前記溶存成分濃度を測定することを特徴とするスケール抑制装置。
  4. 請求項3に記載のスケール抑制装置において、
    前記地熱熱水の流量を計測する流量計を備え、いずれの前記濃度計の計測場所よりも下流の流路に、前記スケール抑制剤を注入することを特徴とするスケール抑制装置。
  5. 請求項2に記載のスケール抑制装置において、
    前記保持容器内の温度を一定にするための保温部を備え、
    複数の前記保持容器に貯留した前記地熱熱水へそれぞれ予め定めた時間に反応停止剤を注入する反応停止剤注入部
    を備えることを特徴とするスケール抑制装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のスケール抑制装置において、
    前記溶存成分がシリカであり、前記スケール抑制剤がpH調整剤、反応封止剤、分散剤、キレート剤から選ばれる薬剤の内、少なくとも1種類を含んでいることを特徴とするスケール抑制装置。
  7. 請求項6に記載のスケール抑制装置において、
    前記pH調整剤または反応封止剤または分散剤またはキレート剤は、
    カルボキシル基、スルホン基、アミノ基、ホスフィノ基から選ばれる官能基の内、少なくとも1つの官能基を分子内に含んでいることを特徴とするスケール抑制装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のスケール抑制装置を備えた地熱発電システム。
JP2010124751A 2010-05-31 2010-05-31 スケール抑制装置 Active JP5372838B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010124751A JP5372838B2 (ja) 2010-05-31 2010-05-31 スケール抑制装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010124751A JP5372838B2 (ja) 2010-05-31 2010-05-31 スケール抑制装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011251210A JP2011251210A (ja) 2011-12-15
JP5372838B2 true JP5372838B2 (ja) 2013-12-18

Family

ID=45415598

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010124751A Active JP5372838B2 (ja) 2010-05-31 2010-05-31 スケール抑制装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5372838B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5839030B2 (ja) * 2011-04-19 2016-01-06 富士電機株式会社 スケール抑制方法及び地熱発電装置
JP5751987B2 (ja) * 2011-08-25 2015-07-22 富士電機株式会社 スケール抑制方法及び地熱発電装置
JP5982809B2 (ja) * 2011-12-19 2016-08-31 富士電機株式会社 水処理装置
JP5891084B2 (ja) * 2012-03-27 2016-03-22 国立大学法人九州大学 スケール除去剤、スケール除去方法およびスケール除去装置
JP6056183B2 (ja) 2012-04-27 2017-01-11 富士電機株式会社 スケール抑制装置、その装置を用いた地熱発電システム及びスケール抑制方法
JP6582757B2 (ja) * 2015-09-01 2019-10-02 栗田工業株式会社 水質測定方法及び装置
JP6631147B2 (ja) * 2015-10-14 2020-01-15 栗田工業株式会社 ボイラ給水用水処理装置及びボイラの運転方法
KR101756750B1 (ko) * 2016-11-30 2017-07-12 코오롱환경서비스주식회사 스케일 방지 기능을 구비한 지열발전 장치
JP7077169B2 (ja) * 2018-07-20 2022-05-30 株式会社東芝 スケール抑制装置、地熱発電設備およびスケール抑制方法
WO2024057966A1 (ja) * 2022-09-12 2024-03-21 富士電機株式会社 シリカ過飽和流体のpH推算装置及びpH推算方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05104093A (ja) * 1990-07-02 1993-04-27 Calgon Corp 2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸並びにアニオンポリマーを用いた、水性系におけるシリカ/ケイ酸塩析出の制御方法
JP2672729B2 (ja) * 1991-06-25 1997-11-05 株式会社東芝 水質調整装置
JP3319339B2 (ja) * 1997-06-05 2002-08-26 栗田工業株式会社 薬注制御装置
JP2001149953A (ja) * 1999-12-01 2001-06-05 Mitsubishi Materials Corp 地熱水の処理方法および装置
JP2003275779A (ja) * 2002-03-20 2003-09-30 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ダイオキシン類分解装置およびダイオキシン類分解方法
JP2004085145A (ja) * 2002-08-29 2004-03-18 Miura Co Ltd ボイラ装置のスケール生成抑制方法
JP4361812B2 (ja) * 2004-01-16 2009-11-11 伯東株式会社 開放循環冷却水系の処理方法
JP5025961B2 (ja) * 2006-02-13 2012-09-12 株式会社フジタ 溶存カルシウムの濃度変化の把握方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011251210A (ja) 2011-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5372838B2 (ja) スケール抑制装置
US20030095471A1 (en) Apparatus and method for preparation and supply of polymerization inhibitor
CN109781779B (zh) 一种适用于测量溶气流体比定压热容的方法及装置
CN104458063B (zh) 一种节能型热量表流量检定装置及方法
CN104316653A (zh) 一种反渗透阻垢剂阻垢性能动态评价装置及评价方法
WO2013027822A1 (ja) スケール抑制方法及び地熱発電装置
CN108469390B (zh) 可拆卸环道式单相流冲蚀试验装置
TW201927706A (zh) 經氫磷酸化之多羧酸及其協同組合作為腐蝕及積垢抑制劑
CN111551482B (zh) 高温高压一、二回路联动运行的综合动水腐蚀试验装置
WO2009036032A1 (en) Method and device for preventing corrosion in hot water systems undergoing intermittent operations
Maddahi et al. A model for the prediction of thermal resistance of calcium sulfate crystallization fouling in a liquid–solid fluidized bed heat exchanger with cylindrical particles
WO2011121836A1 (ja) ガスハイドレート率測定装置及びその制御方法
CN102295354A (zh) 一种中低压锅炉磷酸盐加药控制方法
JP5519920B2 (ja) Pwr発電所二次冷却系の水処理システム及びその方法
JP2014085091A (ja) ボイラ水の水質管理方法および水質管理装置
JP2005113086A (ja) ポリマー合成方法およびこれを用いた装置
JP2011161369A (ja) 混合できない複数液体の水系への比例注入方法
WO2013161325A1 (ja) スケール抑制装置、その装置を用いた地熱発電システム及びスケール抑制方法
CN111540492B (zh) 一、二回路联动运行的综合动水腐蚀试验装置及方法
CN212321547U (zh) 一种密闭式高温循环水缓蚀阻垢剂评定实验系统
CN209460224U (zh) 一种阻垢剂耐硬度耐碱度性能测评装置
CN104512865B (zh) 除硅中和反应的中和药剂氨水添加量的控制方法
WO2013067570A1 (en) Dosing of extracted geothermal fluids
JP4708395B2 (ja) 冷却システムおよびその運転管理方法
CN115078670B (zh) 一种发电厂水汽模拟试验装置及方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100618

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130709

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130917

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5372838

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250