JP5371909B2 - 増肉成形装置及び増肉成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被成形部が熱された金属製の素管に素管軸方向の圧縮力を付与し、素管の内側及び外側にそれぞれ配置された内型及び外型で規制しつつ、被成形部を塑性流動させて増肉成形する増肉成形装置及び増肉成形方法に関する。
従来、鉄骨構造物の支柱の梁材連結部に増肉部を形成するのに採用される増肉成形方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の増肉成形方法は、加熱手段により金属製の素管(管体)の目的とする箇所を加熱する加熱過程と、次いで、素管を素管軸方向(長手方向)に移動させて、素管の加熱箇所を外型(外面規制手段)と内型(内面規制手段)との間に増肉用隙間を生じさせて位置させた後、素管に素管軸方向の圧縮力を付与して加熱箇所に短寸増肉部を成形する圧縮成形過程とからなり、これら加熱過程と圧縮成形過程を複数回繰り返して短寸増肉部を連続して成形することにより、所定長さの部分増肉部を形成するようになっている。
特開2001−150080号公報
原子力発電用の燃料チャンネルボックス(金属製の角形管)は、現在、肉厚が上下方向(長手方向)に均一となっているが、近年、核分裂の際に発生する中性子を吸収する能力を向上させたり、局部的に剛性を向上たり、寿命を向上させたりすることを目的として、下端部の肉厚を他の部分より厚くすることが望まれつつある。
このような燃料チャンネルボックスの製造方法の一つとしては、例えば、図11(a)で示すように、燃料チャンネルボックスの下端部に相当する肉厚tの部材1aと他の部分に相当する肉厚t(但し、t<t)の部材1bを製作し、その後、図11(b)で示すように、部材1a,1bを溶接して接合する方法が考えられる。この製造方法においては、部材1a,1bにおける溶接部の開先形状を機械加工する必要がある。また、部材1a,1bにおけるコーナ部や平坦部の合わせが難しく、また溶接による変形も生じるため、段差が発生しやすい。そのため、部材1a,1bの接合後、段差をなくすために仕上げ加工する必要がある。したがって、工数が多大となる。
そこで、他の製造方法として、上述した特許文献1に記載の増肉成形方法を採用することが考えられる。すなわち、図12で示すように、加熱手段(図示せず)により素管2の軸方向一方側(図中左側)端部を加熱し、その後、素管2に素管軸方向(図中右方向)の圧縮力を付与し、外型(図示せず)及び内型(図示せず)で規制しつつ素管2の加熱部を塑性流動させて増肉成形する。しかしながら、特許文献1に記載の増肉成形方法には、以下のような課題が存在する。
すなわち、特許文献1に記載の増肉成形方法では、素管を素管軸方向に移動させながら加熱過程と圧縮成形過程とを複数回繰り返して短寸増肉部を連続して成形することにより、所定長さの部分増肉部を形成するようになっている。そのたため、工数が多大となっている。これは、比較的長い部分増肉部を1回の加熱過程及び圧縮成形過程で形成しようとすると、その圧縮成形過程において、まず、素管の加熱部における素管軸方向中心部が変形し、その後、素管の加熱部における素管軸方向中心部と素管軸方向両側端部との中間部がそれぞれ変形し、といった順序で変形する現象、いわゆる座屈現象が発生するためであると考えられる。
本発明は、上記の事柄に鑑みてなされたものであり、その目的は、座屈を防止しつつ、工数を低減することができる増肉成形装置及び増肉成形方法を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、金属製の素管の内側及び外側にそれぞれ配置された内型及び外型からなり、これら内型及び外型のうちの少なくとも一方が前記素管の被成形部との間に増肉成形のための隙間を形成する金型と、前記素管に素管軸方向の圧縮力を付与する圧縮力付与機構とを備え、前記被成形部が熱された前記素管に前記圧縮力付与機構で素管軸方向の圧縮力を付与し、前記金型で規制しつつ前記被成形部を塑性流動させて増肉成形する増肉成形装置において、前記素管の被成形部における素管軸方向の目標温度分布であって、前記素管の被成形部における素管軸方向中央部の目標温度が前記素管の被成形部における素管軸方向両端側の目標温度より低くなるように予め設定された目標温度分布を記憶する記憶手段と、前記素管の被成形部における素管軸方向の実温度分布を検出する検出手段と、前記素管の被成形部における素管軸方向で区分される複数の領域を個別に加熱可能な加熱手段と、前記素管の被成形部における素管軸方向で区分される複数の領域を個別に冷却可能な冷却手段と、前記素管の被成形部の増肉成形前及び増肉成形時に、前記実温度分布が前記目標温度分布に近づくよう前記加熱手段及び前記冷却手段を制御する温度制御手段とを備える。
このような本発明においては、温度制御手段は、素管の被成形部の増肉成形前及び増肉成形時に、素管の被成形部における素管軸方向の実温度分布が目標温度分布となるよう、言い換えれば、素管の被成形部における素管軸方向中央部の実温度が素管の被成形部における素管軸方向両端側の実温度より低くなるよう、加熱手段及び前記冷却手段を制御する。これにより、圧縮力付与機構で素管軸方向の圧縮力を素管に付与する際に、熱された素管の被成形部が素管軸方向に比較的長い場合であっても、素管の被成形部における素管軸方向中心部から変形し始めるような座屈現象を防止しつつ、増肉成形することができる。したがって、特許文献1に記載の従来技術と比べ、工数を低減することができる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記加熱手段は、前記内型の内部に配置され素管軸方向に移動可能な加熱コイルと、前記加熱コイルを素管軸方向に移動させるコイル移動機構とを有し、前記温度制御手段は、前記加熱コイルに流す電流を可変制御するコイル電流制御手段と、前記加熱コイルの移動位置及び移動速度を制御するコイル移動制御手段とを有する。
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記冷却手段は、前記外型の内部に形成され素管軸方向に配列された複数の冷却流路と、前記複数の冷却流路に供給する冷却流体の流量をそれぞれ制御する複数の流量制御弁とを有し、前記温度制御手段は、前記複数の流量制御弁の開閉及び開度をそれぞれ制御するバルブ制御手段を有する。
(4)上記目的を達成するために、本発明は、被成形部が熱された金属製の素管に圧縮力付与機構で素管軸方向の圧縮力を付与し、前記素管の内側及び外側にそれぞれ配置された内型及び外型からなる金型で規制しつつ、前記被成形部を塑性流動させて増肉成形する増肉成形方法において、前記素管の被成形部における素管軸方向の目標温度分布を、前記素管の被成形部における素管軸方向中央部の目標温度が前記素管の被成形部における素管軸方向両端側の目標温度より低くなるように予め設定し、前記素管の被成形部の増肉成形前及び増肉成形時に、前記素管の被成形部における素管軸方向の実温度分布を検出手段で検出し、この実温度分布が前記目標温度分布に近づくよう温度制御手段によって加熱手段及び冷却手段を制御する。
本発明によれば、座屈を防止しつつ、工数を低減することができる。
本発明の一実施形態における増肉成形装置の全体構造を表す断面図であり、素管のセット前の状態を示す。 本発明の一実施形態における増肉成形装置の全体構造を表す断面図であり、素管のセット後の状態を示す。 本発明の一実施形態における増肉成形装置の全体構造を表す断面図であり、素管の軸方向一方側端部の増肉成形後の状態を示す。 図1中断面IV−IVによる断面図であり、テーブルの移動状態を表す。 図2及び図3中断面V−Vによる断面図であり、テーブルの移動状態を表す。 図1中断面VI−VIによる断面図であり、外型の開状態を表す。 図2及び図3中断面VII−VIIによる断面図であり、外型の閉状態を表す。 本発明の一実施形態における内型及び外型の断面構造とともに、加熱コイル、冷却流路、及び温度センサなどを表す概略図である。 本発明の一実施形態における温度制御のための構成を表すブロック図である。 本発明の一実施形態における中央制御装置の内部メモリに予め設定記憶された目標温度分布を一例として表す図である。 燃料チャンネルボックスの一つの製造方法として別々の部材を溶接して接合する方法を説明するための図である。 燃料チャンネルボックスの他の製造方法として素管の軸方向一方側端部を増肉成形する方法を説明するための図であり、本発明の一実施形態による成形物であって1箇所が増肉成形された素管を表す。 本発明の一変形例における成形物であって2箇所が増肉成形された素管を表す。
本発明の一実施形態として、上述した燃料チャンネルボックスを製造するために素管(金属製の角形管)2の軸方向一方側端部を増肉成形する増肉成形装置を例にとり、図面を参照しつつ説明する。
図1〜図3は、本実施形態における増肉成形装置の全体構造を表す断面図であり、図1は素管2のセット前の状態を示し、図2は素管2のセット後の状態を示し、図3は素管2の軸方向一方側(図中左側)端部の増肉成形後の状態を示す。また、図4は、図1中断面IV−IVによる断面図であり、図5は、図2及び図3中断面V−Vによる断面図であり、これら図4及び図5はテーブルの移動状態を表す。図6は、図1中断面VI−VIによる断面図であり、図7は、図2及び図3中断面VII−VIIによる断面図であり、これら図6及び図7は外型の開閉状態を表す。なお、図1〜図3、図6、及び図7においては、便宜上、外型及び内型等の断面構造の図示を省略している。
これら図1〜図7において、増肉成形装置は、架台3と、この架台3上に設けられたフレーム4と、このフレーム4の内側に設けられた四角筒状のハウジング5と、フレーム4の外側(図1〜図3中左側)に配設され、素管2をフレーム4及びハウジング5内に挿入可能に支持する複数のローラ6と、ハウジング5内に挿入された素管2の内側に配置される四角筒状の内型(芯金型)7と、この内型7の外側に配置された素管2の軸方向他方側(図1〜図3中右側)の部分を固定支持する固定支持機構8と、この固定支持機構8で固定支持された素管2の軸方向一方側(図1〜図3中左側)の部分(言い換えれば、素管2の被成形部及びその近傍)において素管2の外側に配置され、素管周方向に4分割された外型(金型)9a〜9dと、固定支持機構8で固定支持された素管2の軸方向一方側端面に当接して素管軸方向(図1〜図3中右方向)の圧縮力を付与する圧縮力付与機構10とを備えている。
フレーム4は、架台3上に載置された横板11と、この横板11に立設され、素管2の挿入方向(図1〜図3中左右方向)に離間した縦板12a,12bとで構成されている。フレーム4の縦板12aには、ローラ6上の素管2をフレーム4内に挿入するための素管挿入口(開口)13が形成されている。また、縦板12aの内面側には素管挿入口13を挟んで上下に配置された一対のレール14a,14bが敷設されており、これらレール14a,14bを介しテーブル15が横方向(図4及び図5中左右方向)にスライド可能に設けられ、このテーブル15に圧縮力付与機構10等が設けられている。そして、ローラ6上の素管2をフレーム4及びハウジング5内に挿入する際は、図4で示すようにテーブル15を図中右側にスライドさせて素管挿入口13を開放する。一方、ハウジング5内に挿入された素管2を増肉成形する際は、図5で示すようにテーブル17を図中左側にスライドさせて素管挿入口13を閉塞するようになっている。
フレーム4の縦板12bには、内型7を交換するために取り出す場合など(詳細には、例えば増肉成形後の素管2を内型7と共に取り出す場合でもよい。)に用いる取出穴16が形成されており、この取出穴16に固定具17を介し内型7が取り付けられている。なお、本実施形態では、素管2の増肉成形時に素管2の内周面を変化させることを目的としていない。そのため、内型7は、素管2の内側に挿入可能な形状としつつ、素管2との隙間を極力小さいものとしている。また、内型2は、例えば増肉成形後の素管2を内型7と共に取り出す場合を想定して、素管2を容易に離脱させやすいように周方向に分割可能な構造としてもよい。
固定支持機構8は、内型7及び素管2に対して上下方向及び左右方向にそれぞれ対をなすように配置された4つのパッド18a〜18d(但し、図1〜図3中18a及び18bのみ図示)と、ハウジング5の外側に取り付けられ、パッド18a〜18dを素管2の外周面に対して垂直な方向(言い換えれば、素管2の断面方向内側又は外側)にそれぞれ移動させるパッド用シリンダ19a〜19d(但し、図1〜図3中19a及び19bのみ図示)とを有している。そして、パッド用シリンダ19a〜19dの駆動によって素管2の外周面にパッド18a〜18dを押し付けることにより、素管2の軸方向他方側の部分を固定支持するようになっている。なお、パッド18a〜18dと素管2との摩擦力は、圧縮力付与機構10が付与する素管軸方向の圧縮力より大きくなるように設定されている。
外型9a〜9dは、素管周方向に4分割されて上側、下側、左側、右側にそれぞれ配置されており、それらの背面側(言い換えれば、素管断面方向の外側)にはホルダ20a〜20dが取り付けられている。ハウジング5の外側には外型用シリンダ21a〜21dが取り付けられ、それらのロッドがホルダ20a〜20dのそれぞれを貫通して外型9a〜9dにそれぞれ連結されている。また、ハウジング5の内側にはホルダ20a〜20dの移動方向をガイドする4つのガイド22が設けられている。このような構成により、外型用シリンダ21aは、外型9a及びホルダ20aを一体として素管断面方向の内側(図6及び図7中下側)又は外側(図6及び図7中上側)に移動させ、外型用シリンダ21bは、外型9b及びホルダ20bを一体として素管断面方向の内側(図6及び図7中上側)又は外側(図6及び図7中下側)に移動させ、外型用シリンダ21cは、外型9c及びホルダ20cを一体として素管断面方向の内側(図6及び図7中右側)又は外側(図6及び図7中左側)に移動させ、外型用シリンダ21dは、外型9d及びホルダ20dを一体として素管断面方向の内側(図6及び図7中左側)又は外側(図6及び図7中右側)に移動させるようになっている。
そして、ハウジング5内に素管2を挿入する際は、図6で示すように外型9a〜9d等を素管断面方向の外側に移動させて開状態とする。一方、ハウジング5内に挿入され固定支持機構8で固定支持された素管2を増肉成形する際は、図7で示すように外型9a〜9d等を素管断面方向の内側に移動させて閉状態とする。このとき、外型9a〜9dは、素管2の被成形部との間に増肉成形のための隙間を形成するようになっている。すなわち、本実施形態では、素管2の増肉成形時に素管2の外周面を変化させるようになっている。
ホルダ20a〜20dの縦板12a側(図1〜図3中左側)にはテーパ面(詳細には、テーパ角が例えば5°〜12°程度のテーパ面)がそれぞれ形成されており、それらのテーパ面とハウジング5の内面との間に略三角柱状の(詳細には、外型用シリンダ21a〜21dのロッドとの干渉を避けるために先端部が二叉となっている)テーパブロック23a〜23dがそれぞれ配置されている。また、テーパブロック23a〜23dを素管軸方向(図中左右方向)に移動させるテーパブロック用シリンダ24a〜24dが設けられている。そして、外型用シリンダ21a〜21dによってホルダ20a〜20dが移動した場合に、テーパブロック用シリンダ24a〜24dは、テーパブロック23a〜23dを移動させてホルダ20a〜20dのテーパ面に当接させる。これにより、テーパブロック23a〜23d等は、素管1の増肉成形時に外型9a〜9d等に生じる反力を素管軸方向から支持するようになっている。
圧縮力付加機構10は、内型7に干渉することなく素管2の端面全体に当接可能な四角筒状の治具25と、この治具25を素管軸方向に移動させる治具用シリンダ26とで構成されている。そして、治具用シリンダ26の駆動により、固定支持機構8で固定支持された素管2の軸方向一方側端面に治具25を当接させて素管軸方向の圧縮力を付与するようになっている。
なお、テーパロック用シリンダ24a〜24cは、フレーム4の縦板12aの内面側に設けられており、テーパロック用シリンダ24d及び治具用シリンダ26は、上述したテーブル15に設けられている。そのため、図4で示すようにテーブル15を図中右側に移動させる際は、テーパブロック用シリンダ24dとテーパブロック20aとの連結を取り外すし、図5で示すようにテーブル15を図中左側に移動させた後は、テーパブロック用シリンダ24dとテーパブロック20dとを連結するようにしている。
図8は、内型7及び外型9a,9bの断面構造とともに、加熱コイル、冷却流路、及び温度センサなどを表す概略図である。
この図8において、内型7及び固定具17は略四角筒状に形成されており、それらの内部には、四角形リング状の加熱コイル27がコイル移動機構28によって素管軸方向(図中左右方向)に移動可能に設けられている。詳細には、内型7の先端部にプレート29aが取り付けられ、固定具17の基端部にプレート29bが取り付けられており、これらプレート29a,29b間に移動用ネジ30が回転可能に支持されている。また、プレート29a,29b間にはサポートシャフト(図示せず)が連結されている。そして、サポートシャフトが挿通する貫通穴及び移動用ネジ30が螺合するネジ穴を有する移動ブロック31が設けられており、この移動ブロック31に加熱コイル27が取り付けられている。また、プレート29b側には、移動用ネジ30に減速機32を介して接続されたモータ33が設けられている。そして、モータ33の駆動によって移動用ネジ30が一方側又は他方側に回転すると、移動ブロック31と共に加熱コイル27が軸方向一方側(図中左側)又は軸方向他方側(図中右側)に移動するようになっている。
そして、例えば素管2の被成形部に相当する軸方向範囲(詳細には、ほぼ、図中で示された軸方向位置A〜Fまでの範囲)を加熱コイル27が往復することにより、内型7を介し素管2の被成形部全体を加熱するようになっている。また、加熱コイル27の移動位置や移動速度によって、素管2の被成形部における素管軸方向で区分される複数の領域を個別に加熱可能としている。
なお、加熱コイル27として高周波誘導加熱コイルを用いる場合は、内型7の材質が磁性体であると素管2と同様に加熱される可能性が高くなるため、内型7の材質を非磁性体(例えばセラミックス等)とする。
外型9a〜9dの内部には、素管2の被成形部及びその近傍に相当する軸方向範囲を冷却するために、図中で示された軸方向位置A〜Hのそれぞれの近傍に対応する第1組の冷却流路34a,35a,36a,37a(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34a及び外型9b内の冷却流路35aを示し、外型9c内の冷却流路36a及び外型9d内の冷却流路37aを示さず)、第2組の冷却流路34b,35b,36b,37b(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34b及び外型9b内の冷却流路35bを示し、外型9c内の冷却流路36b及び外型9d内の冷却流路37bを示さず)、第3組の冷却流路34c,35c,36c,37c(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34c及び外型9b内の冷却流路35cを示し、外型9c内の冷却流路36c及び外型9d内の冷却流路37cを示さず)、第4組の冷却流路34d,35d,36d,37d(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34d及び外型9b内の冷却流路35dを示し、外型9c内の冷却流路36d及び外型9d内の冷却流路37dを示さず)、第5組の冷却流路34e,35e,36e,37e(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34e及び外型9b内の冷却流路35eを示し、外型9c内の冷却流路36e及び外型9d内の冷却流路37eを示さず)、第6組の冷却流路34f,35f,36f,37f(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34f及び外型9b内の冷却流路35fを示し、外型9c内の冷却流路36f及び外型9d内の冷却流路37fを示さず)、第7組の冷却流路34g,35g,36g,37g(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34g及び外型9b内の冷却流路35gを示し、外型9c内の冷却流路36g及び外型9d内の冷却流路37gを示さず)、第8組の冷却流路34h,35h,36h,37h(但し、図中では便宜上、外型9a内の冷却流路34h及び外型9b内の冷却流路35hを示し、外型9c内の冷却流路36h及び外型9d内の冷却流路37hを示さず)が互いに独立するように形成されている。なお、各冷却流路は、各外型の内周面の近傍に内周面に沿って延在する流路を有している。また、詳細を図示しないが、外型9a〜9dに形成された8組の冷却流路の上流側及び下流側は、ホルダ20a〜20d内に形成された8組の冷却流路にそれぞれ連通しており、さらにホルダ20a〜20dの移動位置にかかわらず、ケーシング5内に形成された8組の冷却流路にそれぞれ連通するようになっている。
そして、図8で代表的に図示しているように、第8組の冷却流路34h,35h,36h,37hにそれぞれ供給する冷却流体を分流させる流路分岐点の上流側には流量制御弁38hが設けられ、この流量制御弁38hの開閉及び開度によって第8組の冷却流路34h,35h,36h,37hに供給する冷却流体の流量を制御可能とし、これによって図中で示された軸方向位置Hの近傍の冷却量を制御可能としている。同様に、第1組〜第7組の冷却流路に対しても流量制御弁38a〜38g(但し、図8では図示せず)がそれぞれ設けられ、これらの流量制御弁38a〜38gの開閉及び開度によって各組の冷却流路に供給する冷却流体の流量を制御可能とし、これによって図中で示された軸方向位置A〜Gのそれぞれの近傍の冷却量を制御可能としている。したがって、素管2の被形成部及びその近傍における素管軸方向で区分される複数の領域を個別に冷却可能としている。
また、外型9a,9bの内周面には例えば8組の温度センサ39a,40a〜39h,40hが露出して設けられており、素管2の被成形部及びその近傍における素管軸方向の実温度分布(詳細には、前述の図8で示された軸方向位置A〜Hのそれぞれの実温度)を間接的に検出するようになっている。そして、素管2の被成形部の増肉成形前及び増肉成形時に、8組の温度センサ39a,40a〜39h,40hの検出結果に基づき、素管2の被成形部及びその近傍の温度を制御する温度制御装置41が設けられている。図9は、温度制御装置41の機能的構成を表すブロック図である。
この図9において、加熱コイル27に流す電流を制御するコイル電流制御部42と、モータ33を制御して加熱コイル27の移動位置及び移動速度を制御するコイル移動制御部43と、冷却流量弁38a〜38hの開閉及び開度を制御するバルブ制御部44と、素管2の被成形部における素管軸方向の目標温度分布(詳細には、前述の図8で示された軸方向位置A〜Hのそれぞれの目標温度)を予め設定記憶する記憶部45と、コイル電流制御部42、コイル移動制御部43、及びバルブ制御部44を統括して制御する中央制御部46とを備えている。
記憶部45には、例えば図10で示すような目標温度分布が予め設定記憶されている。詳細には、素管2の被成形部における素管軸方向両端側(言い換えれば、軸方向位置A,E)の目標温度が200℃であり、素管2の被成形部における素管軸方向中央部(言い換えれば、軸方向位置C)の目標温度が150℃であって前述した200℃より小さくなるように設定されている。
中央制御部46は、温度センサ39a,40a〜39h,40hの検出信号を入力しており、軸方向位置A〜Hのそれぞれの実温度として、対応する温度センサの検出値の平均値を演算するようになっている。具体的には、軸方向位置aの実温度として温度センサ39a,40aの検出値の平均値を演算し、軸方向位置bの実温度として温度センサ39b,40bの検出値の平均値を演算し、軸方向位置cの実温度として温度センサ39c,40cの検出値の平均値を演算し、軸方向位置dの実温度として温度センサ39d,40dの検出値の平均値を演算し、軸方向位置eの実温度として温度センサ39e,40eの検出値の平均値を演算し、軸方向位置fの実温度として温度センサ39f,40fの検出値の平均値を演算し、軸方向位置gの実温度として温度センサ39g,40gの検出値の平均値を演算し、軸方向位置hの実温度として温度センサ39h,40fの検出値の平均値を演算する。そして、各軸方向位置の実温度が対応する目標温度に近づくように各軸方向位置の加熱量又は冷却量を演算し、この演算結果に基づいて生成した指令をコイル電流制御部42、コイル移動制御部43、及びバルブ制御部44へ出力するようになっている。その詳細を以下説明する。
中央制御部46は、各軸方向位置の加熱量として、各軸方向位置の実温度が対応する目標温度より小さい場合はそれらの差分を演算し、各軸方向位置の実温度が対応する目標温度以上である場合はゼロとする。そして、全ての軸方向位置の加熱量のうちの最小値を選択し、この最小値に応じて加熱コイル27に流す電流値を演算する。また、前述した加熱量の最小値と各軸方向位置の加熱量との差分も演算し、これに応じて各軸方向位置における加熱コイル27の通過速度(若しくは、滞在時間)を演算する。すなわち、加熱量の差分が大きくなるに従って加熱コイル27の通過速度が遅く(若しくは、滞在時間が長く)なるように演算する。そして、このようにして演算された各軸方向位置における加熱コイル27の通過速度(若しくは、滞在時間)に基づき、加熱コイル27の移動パターンを設定する。
中央制御部46は、コイル電流制御部41への指令として、上述のように演算した加熱コイル27の電流値を出力する。これにより、コイル電流制御部41は、中央制御部46から指令された電流値となるように、加熱コイル27の電流値を制御する。また、中央制御部46は、コイル移動制御部42への指令として、上述のように設定した加熱コイル27の移動パターンを出力する。これにより、コイル移動制御部42は、中央制御部から指令された移動パターンとなるように、モータを制御して加熱コイルの移動パターンを制御する。これにより、各軸方向位置の加熱量が制御されるようになっている。
また、中央制御部は、各軸方向位置の冷却量として、各軸方向位置の実温度が対応する目標温度より大きい場合はそれらの差分を演算し、各軸方向位置の実温度が対応する目標温度以下である場合はゼロとする。そして、バルブ制御部への指令として、各軸方向位置の冷却量を出力する。これにより、バルブ制御部は、例えばある軸方向位置の冷却量がゼロである場合、これに対応する流量制御弁を閉じ状態に制御する。また、例えばある軸方向位置の冷却量がゼロでない場合、これに対応する流量制御弁を開き状態とし、その開度を冷却量の増加に応じて増加させるように制御する。これにより、各軸方向位置の冷却量が制御されるようになっている。
次に、本実施形態の動作及び作用効果を説明する。
まず、前述の図1で示すように、ローラ6上に素管2を配置する。また、パッド用シリンダ19a〜19dによってパッド18a〜18dを素管断面方向の外側に移動させておく。また、テーパブロック用シリンダ24a〜24dによってテーパブロック23a〜23dをフレーム4の縦板12a側に移動させ、外型用シリンダ21a〜21dによって外型9a〜9dを素管断面方向の外側に移動させておく。また、テーパブロック用シリンダ24dとテーパブロック23dとの連結を取り外した後、フレーム4の縦板12aの素管挿入口13を開放するようにテーブル15を移動させておく。
そして、前述の図2で示すように、ローラ6上の素管2を素管挿入口13からフレーム4及びハウジング5内に挿入し、素管2を内型7の外側に配置する。その後、パッド用シリンダ19a〜19dによってパッド18a〜18dを素管断面方向の内側に移動させ、パッド18a〜18dを素管2の外周面に押し付けることにより、素管2の軸方向他方側の部分を固定支持する。また、フレーム4の縦板12aの素管挿入口13を閉塞するようにテーブル15を移動させた後、テーパブロック用シリンダ24dとテーパブロック23dとを連結する。その後、外型用シリンダ21a〜21dによって外型9a〜9dを素管断面方向の内側に移動させ、素管2の被成形部と外型9a〜9dとの間に増肉成形のための隙間を形成する。その後、テーパブロック用シリンダ24a〜24dによってテーパブロック23a〜23dを移動させてホルダ20a〜20dのテーパ面に当接させる。
そして、温度制御装置41は、加熱コイル27に電流を流すとともに、素管2の被成形部に相当する軸方向範囲(詳細には、前述の図8で示された軸方向位置A〜Fの範囲)で加熱コイル27を往復させて、素管2の被成形部全体を加熱する。このとき、温度制御装置41は、素管2の被成形部における素管軸方向中央部の目標温度が素管の被成形部における素管軸方向両端側の目標温度より低くなるように予め設定された目標温度分布(前述の図10参照)を予め設定記憶しており、温度センサ39a,40a〜39h,40hで検出された素管2の被成形部及びその近傍における素管軸方向の実温度分布が前述した目標温度分布となるよう制御する。詳細には、加熱コイル27の電流、移動位置、及び移動速度を制御して各軸方向位置の加熱量を制御する。また、例えばある軸方向位置の実温度が対応する目標温度より大きくなれば、対応する流量制御弁を開き状態とし、その開度を制御して冷却量を制御する。これにより、素管2の被成形部及びその近傍における素管軸方向の実温度分布が前述した目標温度分布となり、言い換えれば、素管2の被成形部における素管軸方向中央部の実温度が素管の被成形部における素管軸方向両端側の実温度より低くなる。
そして、前述の図3で示すように、治具用シリンダ26の駆動により、素管2の軸方向一方側端面に治具25を当接させて素管軸方向の圧縮力を付与する。これにより、素管の被成形部を内型及び外型で規制しつつ塑性流動させて増肉成形することができる。なお、この増肉成形時においても、温度制御装置41は、素管2の被成形部及びその近傍における素管軸方向の実温度分布が前述した目標温度分布となるよう制御する。
このように本発明においては、温度制御装置41は、素管2の被成形部の増肉成形前及び増肉成形時に、素管2の被成形部における素管軸方向中央部の実温度が素管2の被成形部における素管軸方向両端側の実温度より低くなるよう制御する。これにより、素管軸方向の圧縮力を素管2に付与する際に、熱された素管2の被成形部が素管軸方向に比較的長い場合であっても、素管2の被成形部における素管軸方向中心部から変形し始めるような座屈現象を防止しつつ、増肉成形することができる。したがって、特許文献1に記載の従来技術と比べ、工数を低減することができる。
なお、上記一実施形態においては、素管2の被成形部における素管軸方向の実温度分布(詳細には、前述の図8で示された軸方向位置A〜Hのそれぞれの実温度)を検出する検出手段として、2つの外型9a,9bに温度センサ39a〜39h,40a〜40hをそれぞれ設けて2つ1組とし、各組の温度センサの検出値の平均値を演算する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、4つの外型9a〜9dのうちのいずれに温度センサを設けてもよく、3つや4つで1組としてもよいし、1つだけとして平均値を演算しないようにしてもよい。このような変形例においても、上記同様の効果を得ることができる。
また、上記一実施形態においては、下端部の肉厚を他の部分より厚くする燃料チャンネルボックスを製造することを目的とした増肉成形装置を例にとって説明したが、これに限られず、他の部材を製造することを目的とした増肉成形装置に適用してもよい。すなわち、素管は、角形管に限られず、例えば円形管としてもよい。また、素管の被成形部は、軸方向一方側端部に限られず、例えば軸方向中央部などでもよいし、1箇所でなく複数の箇所でもよい(図13参照)。なお、図13で示すように2箇所を増肉成形する場合は、第1箇所の温度制御→第1箇所の増肉成形→第2箇所の温度制御→第2箇所の増肉成形のように、順次行えばよい。このような変形例においても、上記同様の効果を得ることができる。
また、上記一実施形態においては、外型9a〜9dと素管2の被成形部との間に増肉成形のための隙間を形成するような構成を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、内型と素管2の被成形部との間に増肉成形のための隙間を形成するような構成としてもよい。また、例えば、複数の箇所を増肉成形する場合に、第1箇所の増肉成形のための隙間を外型と素管との間に形成し、第2箇所の増肉成形のための隙間を内型と素管との間に形成するような構成としてもよい。このような変形例においても、上記同様の効果を得ることができる。
7 内型
9a〜9d 外型
10 圧縮力付与機構
27 加熱コイル(加熱手段)
28 コイル移動機構(加熱手段)
34a〜34h 冷却流路(冷却手段)
35a〜35h 冷却流路(冷却手段)
36a〜36h 冷却流路(冷却手段)
37a〜37h 冷却流路(冷却手段)
38a〜38h 流量制御弁(冷却手段)
39a〜39h 温度センサ(検出手段)
40a〜40h 温度センサ(検出手段)
41 温度制御装置(温度制御手段)
42 コイル電流制御部(コイル電流制御手段)
43 コイル移動制御部(コイル移動制御手段)
44 バルブ制御部(バルブ制御手段)
45 記憶部(記憶手段)

Claims (4)

  1. 金属製の素管の内側及び外側にそれぞれ配置された内型及び外型からなり、これら内型及び外型のうちの少なくとも一方が前記素管の被成形部との間に増肉成形のための隙間を形成する金型と、
    前記素管に素管軸方向の圧縮力を付与する圧縮力付与機構とを備え、
    前記被成形部が熱された前記素管に前記圧縮力付与機構で素管軸方向の圧縮力を付与し、前記金型で規制しつつ前記被成形部を塑性流動させて増肉成形する増肉成形装置において、
    前記素管の被成形部における素管軸方向の目標温度分布であって、前記素管の被成形部における素管軸方向中央部の目標温度が前記素管の被成形部における素管軸方向両端側の目標温度より低くなるように予め設定された目標温度分布を記憶する記憶手段と、
    前記素管の被成形部における素管軸方向の実温度分布を検出する検出手段と、
    前記素管の被成形部における素管軸方向で区分される複数の領域を個別に加熱可能な加熱手段と、
    前記素管の被成形部における素管軸方向で区分される複数の領域を個別に冷却可能な冷却手段と、
    前記素管の被成形部の増肉成形前及び増肉成形時に、前記実温度分布が前記目標温度分布に近づくよう前記加熱手段及び前記冷却手段を制御する温度制御手段とを備えたことを特徴とする増肉成形装置。
  2. 請求項1記載の増肉成形装置において、
    前記加熱手段は、
    前記内型の内部に配置され素管軸方向に移動可能な加熱コイルと、
    前記加熱コイルを素管軸方向に移動させるコイル移動機構とを有し、
    前記温度制御手段は、
    前記加熱コイルに流す電流を可変制御するコイル電流制御手段と、
    前記加熱コイルの移動位置及び移動速度を制御するコイル移動制御手段とを有することを特徴とする増肉成形装置。
  3. 請求項1又は2記載の増肉成形装置において、
    前記冷却手段は、
    前記外型の内部に形成され素管軸方向に配列された複数の冷却流路と、
    前記複数の冷却流路に供給する冷却流体の流量をそれぞれ制御する複数の流量制御弁とを有し、
    前記温度制御手段は、
    前記複数の流量制御弁の開閉及び開度をそれぞれ制御するバルブ制御手段を有することを特徴とする増肉成形装置。
  4. 被成形部が熱された金属製の素管に圧縮力付与機構で素管軸方向の圧縮力を付与し、前記素管の内側及び外側にそれぞれ配置された内型及び外型からなる金型で規制しつつ、前記被成形部を塑性流動させて増肉成形する増肉成形方法において、
    前記素管の被成形部における素管軸方向の目標温度分布を、前記素管の被成形部における素管軸方向中央部の目標温度が前記素管の被成形部における素管軸方向両端側の目標温度より低くなるように予め設定し、
    前記素管の被成形部の増肉成形前及び増肉成形時に、前記素管の被成形部における素管軸方向の実温度分布を検出手段で検出し、この実温度分布が前記目標温度分布に近づくよう温度制御手段によって加熱手段及び冷却手段を制御することを特徴とする増肉成形方法。
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