JP5371445B2 - 脂肪組織由来細胞を培養する方法及びその使用 - Google Patents

脂肪組織由来細胞を培養する方法及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪組織、特に間質血管画分(stromal vascular fraction; SVF)に由来する細胞を培養して、心筋細胞の形成を誘導する方法に関する。
本発明の主題は、上記で定義される培養方法により得られる細胞の、特に梗塞の後の虚血になった心臓部の再構成(reconstituting)のための使用、及び該細胞を含む医薬組成物でもある。
多くの場合、心不全は、虚血性事象(心筋梗塞)に続いて生じ、心筋細胞のかなりの損失と、心臓による分化心筋細胞の通常の回復によっては相殺されない虚血とに関連する。
心筋細胞を再構成するための現存する手段は、欠陥のある収縮性能及び心臓機能を改善するための、細胞療法を含むストラテジーに実質的に基づく(Wollertら, Circulation, 2005, 112, 2, 151〜153)。
それらは、実質的に以下のものを含む。
- 心臓機能を改善する自己筋原細胞又は筋衛星細胞の移植。但し、これらの細胞は、虚血性心臓においてそれらの筋細胞としての特徴を維持する。にもかかわらず、移植された筋原細胞と、内在心筋細胞との間の接続は明らかに生じず、移植された細胞による収縮期ポンプの機能への同時発生の貢献は除外される。
- 細胞可塑性の概念は心不全の分野に新たな見通しを開き、これらの異所性細胞が、インビボの関係において適切に配置されたときに、心筋細胞に分化転換できるという期待を持って種々の細胞が用いられるようになっている。実際に、初期の研究により、骨髄からの間葉幹細胞及び造血細胞が、心筋細胞に分化転換できることが示唆されている。しかし、この現象は、現在、細胞可塑性の概念として論じられている。
- 複雑な別のアプローチにおいて、心筋細胞形質転換プロセスに関係する細胞、例えば内在心筋幹細胞、胎児細胞、胚細胞、又は骨髄間葉細胞若しくは内皮細胞のような他の細胞を用いることが推奨及び提案されている(Kehatら, J. Clin. Invest., 2001, 108, 407〜444; Mullerら, FASEB J., 2000, 14, 2540〜2558; Tomaら, Circulation, 2002, 105, 93〜98; Liechtyら, Nat. Medecine, 2000, 11, 1282〜1286; Conderelliら, PNAS, 2001, 98, 10733〜10738; Wangら, J. Thorac. Cardiovasc. Surg 2001, 122, 699〜705; Jacksonら, J. Clin. Invest. 2001, 107, 1395〜1402)。これらの結果を説明するために、2つの仮説が提唱されている。胚細胞の全能性に近い細胞は、成体組織(脳、筋肉など)で持続され、種々の型の細胞に分化できるか、又はこれらの組織の特化された幹細胞は、高い可塑性を有し、脱分化できるか若しくは再プログラムされ得る(分化転換)。これらの結果は、機能的筋肉欠損(筋障害及び心筋障害)、及び筋肉変性に関連する疾患(心筋梗塞)の治療のための重要な結果を有する。しかし、実際に、上記の細胞からの心筋組織の効率的な再構成は、サンプリングの難しさ及び入手可能な組織の量が少ないことにより、実行するのが困難である。これらの技術的困難性に加えて、胚組織を用いることに関連する倫理的な問題もある(M/S, 2004, 6〜7, 20, 651〜661)。
この関係において、現存する手段よりも効果的で実施がより簡便な、心筋を効率的に再構築できる新しい手段及び特に新しい細胞の供給源に対する必要性が存在する。
よって、本発明者らは、サンプリングが容易で大量に入手可能な組織から単離される、心筋組織を長期にわたる様式で再構成できる細胞を提供することをと目的とした。
本発明者らの以前の研究の関係において、本発明者らは(出願WO 02/055678号)、脂肪組織に由来する細胞、より具体的には間質血管画分(SVF)の細胞の機能的な心筋細胞への自発的分化は、脂肪組織に由来するこれらの細胞がメチルセルロースを含む培地中で培養されるときに存在することを見出した(PCT国際出願WO 02/055678号;Planatら, Circ. Res., 2004, 94, 223〜229)。
つまり、PCT国際出願WO 02/055678号は、SVF細胞の心原性細胞への分化を得るためには、SVFを調製する工程と、半固形培地(メチルセルロース)上で細胞を培養し、及び/又は物理的分離及び免疫選別(抗体)により細胞を精製することを含む細胞ソーティング工程(選別)と、DMEM-F12液体培地中で細胞を「拡張する(expanding)」工程とを推奨している。しかし、DMEM-F12液体培地中での培養は、実際は、心臓筋原細胞を維持することを可能にするのみであり、それらを拡張させないことが見出された(Planat-Benardら, Circ. Res., 2004, 94, 223〜229)。
実際に、Planat-Benardらの名前による上記の文献は、SVFの細胞が、メチルセルロースを含む培地中で培養されるときに、心筋細胞に自発的に分化できることを示している。これらの細胞が、メチルセルロース上又はDMEM-F12液体培養培地中で数ヵ月(several months)維持され得ることも記載されている。
つまり、この文献は、心筋の種類の細胞を、培養培地としてメチルセルロースをベースとする半固形培地を用いるときに、SVFから1次培養において自発的に得ることができることを示している。一方、DMEM-F12液体培地を用いた場合、収縮性細胞はほとんど観察されない。
よって、PCT国際出願WO 02/055678号に記載される方法と、Planat-Benardらの名前での上記の文献で推奨される方法はともに、心筋細胞を効率的に得ることを可能にするが、良好な分化収率は得られない。これは、PCT国際出願WO 02/055678号に記載される方法と、Planat-Benardらの名前での文献に記載される方法における心筋細胞が得られる頻度が、ともに非常に低いからである。これは、特に、SVF細胞の不均質性、及びそれらの調製の多様性が原因であり、このことは、上記に記載される標準的な培養条件下では、これらの細胞の心臓細胞への分化の点での良好な収率を得ることができない。
上記の条件下では、この分化はほとんど起こらないので、本発明者らは、今回、脂肪細胞、より具体的には間質血管画分からの心臓筋原細胞の良好な収率を示すインビトロ拡張法を開発した。
つまり、本発明は、心臓細胞の治療用途を目的として、心臓細胞をSVFから高収率で得ることを目的とする。
本発明者らは、予期せぬことに、心筋細胞に形質転換しない培養中の脂肪組織細胞に比較して、このようにして得られた細胞が生存し、移植でき、それらを動物モデル(急性虚血を示すマウス)に移植した後に、心筋細胞に分化できることを見出した。
本発明の目的のために、
- 用語「心臓筋原細胞」は、心臓始原細胞(心臓に存在する前駆細胞)を含む心臓系細胞に分化できる任意の細胞を意味することを意図する;
- 用語「心筋細胞」は、複雑な3次元網目構造を形成するように、近接する心筋細胞と連結している円柱形の収縮性心筋細胞を意味することを意図する;
- 用語「心臓系細胞」(又は心臓の表現型を有する細胞)は、心臓のタンパク質(トロポニンT)を発現する細胞を意味することを意図する。これらは、心臓への分化を受ける細胞である。これらは、心臓の潜在性を有する心臓筋原細胞とは本質的に異なり、すなわち、心臓分化経路に入ることができる;
- 用語「細胞拡張」:細胞培養のいくつかの細胞を回収して、新しい培養培地に播種したときに、細胞拡張が起こり、次いで増殖すると考えられる。この操作が1回だけ行われる場合、これは単一継代(single pass)である。この操作が数回(several times)行われる場合(播種及び細胞分裂)、連続的継代が行われる;
- 用語「細胞維持」:継代なしの細胞培養。
以下において、表現「心臓細胞」(或いは心原性細胞)は、心臓筋原細胞、心臓始原細胞、心臓系細胞及び心筋細胞をともに含む。
脂肪組織は、哺乳動物において種々の形で存在する:生体の主な貯蔵組織である髄外白色脂肪組織、その正確な役割はわかっていない髄内白色脂肪組織、及び発熱褐色脂肪組織。
個体の寿命にわたって維持されるそのかなりの拡張能を原因として、成体の白色脂肪組織は、容易に得られる豊富な細胞の供給源を構成する。
この白色脂肪組織は、2つの画分からなる:
- 脂肪組織の細胞の30%〜60%であり、トリグリセリドの蓄積を特徴とする脂肪細胞画分(浮遊細胞画分(floating cell fraction))。この画分は、ほとんど(99%)が分化した脂肪細胞と、脂肪小滴に富むいくらかの混入マクロファージとで構成されている;及び
- いくらかの血液細胞、いくらかの成熟内皮細胞(微小血管内皮の細胞:CD31+、CD144+)、周細胞、繊維芽細胞及び多分化能幹細胞を含む間質血管画分(SVF)とよばれる非脂肪細胞画分。
前駆脂肪細胞の成熟脂肪細胞への分化を研究するために従来用いられている間質血管画分が、脂肪細胞始原細胞(前駆脂肪細胞)に加えて、内皮、造血及び神経原性始原細胞、並びに骨形成原性、軟骨形成原性及び筋原性の系統に分化できる間葉幹細胞を含む多分化能細胞の供給源であることが示されている(Planat-Benard V.ら, Circulation, 2004, 109, 656〜663; Zuk PA.ら, Mol. Biol. Cell, 2002, 13, 4279〜95; Erickson GR.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 2002, 290, 763〜9; Cousin B.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 2003, 301, 1016〜22; Safford K.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 2002, 294, 371〜9; PCT国際出願WO 02/055678号、及び米国出願US 2003/0082152号)。
これらの2つの細胞画分は、Bjorntorpら(J. Lipid. Res., 1978, 19, 316〜24)により記載されるような方法に従って、それらの密度の違いにより分離できる。
本発明者らは、今回:
- 興味のある集団を直接選別することを可能にする(例えばMHC1-陰性ソーティング)少なくとも1つの表現型マーカーにより新しく調製した粗SVFから直接(この後に適切な液体培地中で培養する)、又は
- 新しく調製した粗SVFの半固形培地中での1次培養の後に(この後に適切な液体培地中で得られる細胞を2次培養する;この場合、細胞ソーティングは、2次培養の前に行ってもよい)、
心臓の表現型を有する細胞に形質転換(又は分化転換)できるSVF細胞の数を著しく増大させる培養条件を、開発した。
脂肪組織中に心臓細胞が存在することは驚くべきことであり、内在休止期細胞の、収縮性心臓表現型を有する細胞への形質転換に関係するシグナルは、今日まで知られていなかった。
TGFβ及びH2O2は、新生児心筋細胞及び胚幹細胞の分化を促進するのに効果的であると記載されているが、脂肪組織に由来する細胞からそのような形質転換を可能にしなかった。
試験した因子(IL3、IL6、SCF、BMP2、TGFβ、5-アザシチジン)のうち、β-メルカプトエタノールの存在のみが必要であったが、充分ではなかった。
よって、本発明の主題は、少なくとも以下の:
a) 粗間質血管画分(SVF)から心臓筋原細胞を選別する工程と、
b) 工程a)で選別された細胞を、エクスビボで心臓筋原細胞を拡張するために最適化された液体培地中で培養する工程(該液体培地は、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、並びに無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関してBHK21培地のものと同じ種類の組成であるいずれのその他の培地からなる群より選択される)と、
c) 前記液体培地での連続的継代により、前記細胞を維持及び拡張する工程と、
d) 心臓細胞を得る工程と
を含むことを特徴とする、心臓細胞を得る方法である。
つまり、SVFの細胞は、直接(粗SVF画分から新しく調製された)、又は培養後に用いることができる不均質細胞集団である。
1次培養後のSVFの細胞は、接着細胞の副次集団に相当する(SVFの接着細胞の画分、ADSC、脂肪由来間質細胞(adipose-derived stromal cells)としても知られる)。
有利には、工程a)で選別された細胞の培養は、上記で定義される液体培地中及び適切な接着性表面(ゼラチンタイプ、接着性タンパク質、細胞外マトリクスタンパク質)上で行う。例えば、上記の培養は、ゼラチンで被覆され、BHK21培地を含むディッシュで行われる。実際に、興味のある心原性細胞の接着特性及び拡張に用いられる液体培養培地は、重要である。
収縮性の伸長(elongated)細胞が出現するまでメチルセルロース中で1次培養を行うことにより、心臓分化プログラムを開始できる細胞を選別することが可能になる。
これらの細胞は、BHK21液体培地に播種される。細胞拡張は、細胞を、2日ごとにBHK21培地に懸濁して(タンパク質溶解処理なし)播種することにより可能になる。
インビトロでは、心臓筋原細胞自体(心臓分化経路に入ることができる前駆体)と、心臓系細胞(心臓分化を受ける細胞)とが得られる。実際に、インビトロで得られる心臓筋原細胞は、ほとんど、心臓系細胞に分化するが、インビトロでの分化は、インビボで得られるものほど成功して完了することはない。インビボでは、心筋細胞が得られる。
上記の心臓細胞は、有利には、凍結した形で保存できる。
上記の方法の第1の有利な実施形態において(方法1)、工程a)における選別は、収縮性細胞のクラスタ(又はクローン)が出現するまで、半固形培地中での粗間質血管画分(SVF)の細胞の1次培養により行われる。この場合:
- 工程b)は、形態的な型が異なる2つの副次集団、すなわち伸長型の接着細胞と、円形(round) (又は円くなった(rounded))型の非接着細胞とからなる上記の収縮性細胞をサンプリングすることと、上記の収縮性細胞を、心臓筋原細胞又は胚幹細胞(ES型の細胞)をエクスビボで拡張するために最適化された液体培地中で2次培養することとを含む。好ましくは、a)で選別された細胞を培養する工程b)は、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21液体培地、並びに無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関してBHK21培地のものと同じ種類の組成を有するいずれのその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するのに適する接着表面上で行われる。
- 工程c)は、細胞の2つの副次集団(接着細胞及び懸濁された非接着細胞)の少なくとも一方を、液体培地での連続的継代により維持及び拡張することを含む。
- 半固形培地は、有利には、セルロース誘導体(特に、メチルセルロース)、並びに以下の成分:コラーゲン、ラミニン及びプロテオグリカンの少なくとも1つを含む再構成された基底膜マトリクス(例えばマトリゲル(Matrigel))からなる群より選択される。
接着細胞及び非接着細胞(又は液体培地中に懸濁された細胞)は、少なくとも以下の特徴を有する:これらの2種類の細胞は:CD44+、CD81+、CD31-、CD45-、ckit-である;2つの集団の少なくとも50%は、Sca-1及びトロポニンTについて陽性である。これらの2つの集団は、CD90-、Flk1-及びMLC2v+でもある。
つまり、これらの2つの集団は、CD44+及びCD81+を発現するが、CD31-、CD34-、CD45-、CD90-、CD117- (c-kit)又はFlk1-を発現しない。
この抗原表現型は、非常に特殊である。
これらの2つの集団は、CD29について陽性でもある(接着細胞:98%;非接着細胞:89%)。しかし、このマーカーは、これらの細胞について特異的ではない。
2種類の細胞間での大きな差異は、以下のとおりである:接着細胞は、CD38及びCD73について陽性であり、いくらか(20%)はCD34を発現し、MHC2について陰性であるが、非接着細胞はMHC1-である。
有利には、特にメチルセルロースを含有する半固形培地で培養され、その後、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含有するBHK21培地のような液体培地中での収縮性クラスタの2次培養を行った粗間質血管画分は、液体培地中の培養における脂肪組織細胞の心臓筋原細胞への分化転換を、著しく最適化することを可能にする。実際に、半固形培地での1次培養工程は、間質血管画分からの心臓筋原細胞の効率的な選別を可能にし、液体培地に播種した後に(2次培養)、上記の2つの心臓筋原性細胞の形態(接着及び懸濁)からなる細胞層が得られる。この培養は、BHK21液体培地中に直接播種することに比べて、連続的継代(機械的又は酵素的)により、長期間(数ヵ月(several months))維持できる。
これらの条件下で、驚くべきことに、以下の細胞から、心臓筋原細胞の非常に良好な収率が得られる。
- 懸濁された細胞から:接着細胞層が、種々の直径(例えば直径30 mm)の培養ディッシュで得られ、平均で150000個の心臓筋原細胞が2日ごとに産生される。後者は、細胞層が生存している期間にわたって、培養培地中に懸濁されており、その後、老化して(約20日)、その産生が減少する;
- 接着細胞から:回収され、新しい培養ディッシュに入れられた浮遊細胞(floating cells)は、12日で接着し、接着層を再形成する。150000個の浮遊細胞から開始して、12日後に、平均900000個の接着細胞からなる層が得られる。
この実施形態(方法1)の有利な態様によると、工程a)による1次培養期間は、数日(a few days)から数週間(a few weeks)、好ましくは1から2週間である。
この実施形態(方法1)の有利な態様によると、収縮性細胞を2次培養する前に、第2選別を、少なくとも1つの適切なマーカーを用いて行う。該マーカーは、有利には、陽性マーカー(心臓細胞マーカー)、及び/又は心臓細胞についての陰性マーカーである。
心臓細胞についての陽性マーカーのうち、Sca-1、トロポニン、MLC2v、CD44、CD81、CD73又はCD38が挙げられる。
心臓細胞についての陰性マーカーのうち、主要組織適合複合体MHCマーカー(MHC1又はMHC2)、CD31、CD34、CD45、c-kit及びFlk1が挙げられる。
半固形培地での培養の後に行われる陰性及び/又は陽性のマーカーを用いるソーティングは、心臓筋原細胞をめざましく豊富にすることを可能にする。例えば、粗SVFに由来する30000個のMHC1陰性細胞を、メチルセルロース1 mlあたりに播種した場合、平均で30の心臓系のクラスタが得られる。よって、1細胞/1500が、培養14日後に、収縮性クラスタの原因となる。
この実施形態(方法1)の別の有利な態様によると、工程b)の液体培地は、有利には、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、又はES系細胞に用い得るいずれのその他の同様の培地である。上記の培地の組成は、特に、無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関して、BHK21培地のものと同じ種類である。
本発明の第2の有利な実施形態において(方法2)、工程a)における選別は、上記で定義され、特に、主要組織適合複合体マーカー(MHC1又はMHC2)及びCD31、CD34、CD45、c-kit並びにFlk1からなる群より選択される心臓細胞についての少なくとも1つの陰性マーカーを用いて、粗SVFからの細胞を細胞ソーティングすることにより行われる。特に、心臓筋原細胞に分化可能なSVF細胞は、驚くべきことに、MHC-である。
この場合、工程b)は、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21液体培地、又は上記のようなES系細胞に用い得るいずれのその他の同様の培地中で、選別された細胞を培養することを含む。
心臓細胞についての陰性マーカーを用いて行われるソーティング、特にMHCソーティングは、SVFの新鮮な調製物を用いて行われる。細胞ソーティングの後に得られるMHC1陰性細胞の収率は、SVF調製物に依存して変動可能であり、例えば、新しく調製した粗SVFを用いて、20%〜40%のMHC1-細胞を含む。
工程a)を行う方法が何であっても(方法1又は方法2)、液体培地中での培養において心臓筋原細胞を維持しかつ拡張する工程c)は、以下の2つの方法の1つに従って行うことができる:
- 工程b)のものと同一又は異なる液体培地中に懸濁された細胞の遠心分離と、同じ液体培地中への細胞ペレットの再播種;新しい細胞層が形成され、再び、2種の細胞形態が見出される。2種の形態の培養は、よって、長期間維持できる;
- 酵素による(トリプシン型の)剥離、又は接着細胞層の細胞を剥離するためのいずれのその他の方法、剥離された細胞懸濁物の遠心分離、及び同じ液体培地への細胞ペレットの再播種;同様に、新しい細胞層が形成され、再び、2種の細胞形態が見出される。
2種の形態の培養は、よって、長期間維持できる。
好ましくは、本発明による方法は:
a) メチルセルロースをベースとする半固形培地でのSVF細胞の1次培養、及び心臓筋原細胞の選別、
b) 少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21液体培地、又は無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関してBHK21培地のものと同じ種類の組成であるいずれのその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するために適切な接着性表面上での、a)で選別された細胞の2次培養、
c) 上記の細胞を、液体培地での連続的継代により維持及び拡張し、
d) 心臓細胞を得る
ことを含む。
変形として、工程a)及びb)を組み合わせて、BHK21培地中で、かつゼラチン、接着タンパク質及び細胞外マトリクスタンパク質のような適切な接着性支持体又は表面上でのSVF細胞の1次培養により行うことができる。
本発明によると、以下の操作により、脂肪組織の沈積物から、工程a)に先立って、粗間質血管画分が得られる:
- タンパク質溶解酵素での消化及び物理的分離、特に遠心分離工程と、ろ過及び/又は密度の差の工程との組み合わせによるSVFの単離、
- 物理的分離(ろ過及び/又は遠心分離)及び/又は免疫選別による細胞の精製。
上記の心臓筋原細胞は、遺伝子改変されていてもよい。つまり:
- これらは、自己遺伝子の少なくとも1つの変異を含み得るか、又は
- これらは、異種遺伝子の少なくとも1コピーを含み得る。
上記の遺伝子改変細胞は、好ましくはヒト起源である。
本発明の主題は、間質血管画分の細胞から、上記で定義される方法(方法1又は方法2)で設定される条件下で得ることができる心臓細胞の、虚血性心臓部を再構成できる医薬品の製造のための使用でもある。
上記の使用の有利な実施形態によると、上記の心臓細胞は、以下からなる群より選択される:
(i) 以下の特徴を有する、伸長形の接着収縮性心臓筋原細胞:CD38+、CD44+、CD73+、CD81+、CD31-、CD45-、Ckit-、CD90-、Flk1-、MHC2-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+及びMLC2v+であり、
(ii) 円くなった形の非接着細胞:CD44+、CD81+、CD31-、CD45-、CD73-、CD90-、Flk1-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+、MLC2v+及びMHC1-であり、
2種の細胞は、ブラキュリ中胚葉性転写因子(Brachyury mesodermal transcription factor)、Islet-1及びMEF-2c転写因子、並びにOct3/4転写結合因子も発現する、
iii) 上記の接着細胞及び非接着細胞の混合物。
これらの2種の細胞(接着及び非接着)は、CD34-でもある。
本発明の主題は、以下のものの混合物と、少なくとも1種の医薬的に適切なキャリアとを含むことを特徴とする医薬組成物でもある:
(i) 少なくとも以下の特徴を有する、伸長形の接着心臓筋原細胞:CD38+、CD44+、CD73+、CD81+、CD31-、CD45-、Ckit-、MHC2-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+及びMLC2v+であり、
(ii) 少なくとも以下の特徴を有する、円くなった形の非接着細胞:CD44+、CD81+、CD31-、CD45-、CD73-、MHC1-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+及びMLC2v+であり、
2種の細胞は、ブラキュリ中胚葉性転写因子、Islet-1及びMEF-2c転写因子、並びにOct3/4転写結合因子も発現する。
上記の組成物の有利な実施形態によると、これは、1又は複数の心臓因子(cardiac factors)も含む。
この実施形態の有利な態様によると、上記の組成物は、トロポニンT及び/又はMLC2v (ミオシン軽鎖キナーゼ2v)も含む。
上記の組成物は、いずれの投与経路によって投与される。特に、これは、適切なシリンジを用いてインシトゥーで(直接注射)、又は心室内若しくは冠動脈内のカテーテルにより、注射されるのが有利である。これは、また、静脈内注射されるか、又は全身投与され得る。
虚血性の病理について、再構成されるか又は移植される組織塊は、細胞の規模としてかなり大きくあるべきことが示されている(20〜30 cm3)。しかし、これは、(インビトロで示される)増殖能を有する細胞を含むので、注射される量は、分化した細胞の問題である場合よりも少ない。
つまり、本発明による方法は、心臓の潜在性を有する細胞を大量に得ることを可能にする。
ここで、心筋梗塞は、虚血による分化心筋細胞のかなりの損失に関連する。この損失は、心臓における分化心筋細胞の天然の回復により補償できない。急性虚血の環境に移植される、本発明の方法により得られる細胞は、生存し、かつ有利な効果をもつ心臓細胞の特徴を効率的に獲得し、左心室機能のリモデリング及び劣化を回避する。
上記の態様に加えて、本発明は、本発明の主題である方法の実施例と添付の図面とに言及する以下の記載から明らかになるその他の態様も含む。添付の図面において:
- 図1:図1A:種々の条件下で培養したSVFの細胞の形態の変化:
- 初期(D7、上)、及びより進行した段階(D30、下)でのメチルセルロース中、
- 初期(D7、上)、及びより進行した段階(D15、下)でのBHK21液体培地中、
- 初期(D7、上)、及びより進行した段階(D15、中)でのメチルセルロース、次いで選別の後にBHK21中、接着集団(下、左)及び培養を自己維持できる懸濁されている集団(下、右)を増加させる。
図1B:種々の培養条件下でトロポニンT心臓マーカーを発現する細胞のパーセンテージ(上)、及びメチルセルロース(MC)→BHK21の培養条件下でのトロポニンT+細胞の数の変化。
- 図2:MC→BHK21の培養条件下で得られた2種の細胞集団の表現型決定(FACS)。 (A〜B) サイズ/顆粒度(granulosity)の図及びトロポニンT標識。(C) 種々の細胞マーカーの発現。
- 図3:接着細胞のインビトロ心臓分化:免疫細胞化学は、細胞がMLC-2v、タイチン、α-アクチニン、β-MHC及びトロポニンTを発現することを示す。細胞は、この段階ではα-MHCを発現しない。
- 図4:幹細胞(Oct3/4, Islet1)、中胚葉細胞(ブラキュリ)、及び心臓細胞(Islet1, MEF2c)の転写因子をコードする遺伝子の発現。
- 図5:心筋虚血のマウスモデルに移植して7日後の細胞の存在:免疫組織化学により、梗塞を示す領域において、希な(それらが、従来の条件下で培養したSVFの細胞であるか、又は細胞層の接着細胞のみである場合)、又は多数の(接着+懸濁) GFP細胞が明らかになる。
- 図6:細胞を移植して7日後に細胞が見出される複数の部位の免疫組織化学的同定。(a) 多数のGFP細胞を移植した領域の再構成。(b、c) 境界領域に沿って梗塞中に見出される細胞に特異的なGFP標識、アイソタイプの対照(b'、c')との比較。
- 図7:インビボでの心臓分化:共焦免疫組織化学は、心臓タンパク質(MLC2v)のみを発現する健康な組織とは異なって、GFP+が移植された細胞も、重ね合わせの像で視覚化される同時発現でMLC2vを発現することを示す(矢印を参照)。より具体的には:上図:アイソタイプ対照(右の図)に対する、GFPの存在についての免疫組織化学(矢印、左の図)。中及び下の図:抗-MLC2v及び抗-GFP抗体を用いる免疫蛍光共焦顕微鏡観察。重ね合わせの図は、心筋細胞、並びにGFP及びMLC2vタンパク質を同時発現する細胞の存在を示す(明るい灰色)。
- 図8:インビボでの心臓分化:一連の切片についての免疫組織化学は、GFP (左)及びトロポニンT心臓マーカー(右)を発現する細胞が、同じ領域に同時局在化していることを示す。
- 図9:メチルセルロース中での心臓筋原性クローンの出現の頻度。
- 図10:インビボでのGFP細胞の移植を決定するための定量的PCR。対照(注射の直後に屠殺した動物)及び心筋梗塞の急性モデルで7日後の受容者心臓に移植されたGFPを発現する接着及び非接着細胞のパーセンテージ。
- 図11:心エコー検査による機能的分析。A:細胞又は培地の注射の0、7及び28日後の収縮終期容量(LVESV, 上)、拡張終期容量(LVEDV, 中)、及び左心室駆出分画(LVEF、下)における変化。B:D0とD28の間の機能的数値の変動の比較。
しかし、これらの実施例は、本発明の主題を説明するためにのみ与えられ、限定を構成しない。
実施例1:材料及び方法
1) 動物及び組織サンプル
雄性8週齢のC57Bl/6マウス(Harlan, France)、及び雄性GFPマウスは、水及び標準食を自由に摂取させて、制御された環境(明/暗のサイクルが12時間、21℃)で飼育する。
全ての手順は、ガイドラインEEC/No 07430に従って行う。
実験の最後に、マウスを、CO2での麻酔のもとに、頸部脱臼により屠殺する。
脂肪組織を直ちに回収し、その後の分析のために処理する。
2) 脂肪組織細胞の単離
方法1:
細胞を、わずかに変更を加えたBjontorpら, 1978により記載される方法に従って、5〜8週齢のマウス全体の脂肪組織から単離する。回収した脂肪組織は、PBSを含有する滅菌ディッシュ内で、顕微鏡の下で解剖し、筋肉組織の全ての痕跡を除去し、次いで、DMEM F12-OK、2% BSA (ウシ血清アルブミン)及び2 mg/mlのコラゲナーゼ(参照 SIGMA)を含有する消化培地中で、3 gの組織あたり10 mlの消化培地にて、37℃にて30分間消化する。DMEM F12-OK培地は、500 mlのDMEM F12 (Gibco 参照31330 038)あたりに5 mlのASP (抗生物質+抗真菌剤の即時使用溶液:0.25μg/mlのアンフォテリシン、100μg/mlのストレプトマイシン、100μg/mlのペニシリンG) (SIGMA 参照A7292)、0.016 mMのビオチン(SIGMA 参照B4639)、0.018 mMのパントテン酸(SIGMA 参照P5155)及び100μMのアスコルビン酸(SIGMA 参照A4034)を含む。未消化のフラグメントをろ過により(25μmフィルタ)により除去した後に、成熟脂肪細胞を、SVFの細胞を含むペレットから、遠心分離(600 g, 10分)により分離する。このようにして単離された間質血管細胞を、DMEM-F12培養培地に再懸濁し、計数する(格子細胞カウンタでの手動の計数又はコールター粒子カウンタ)。
方法2:
細胞は、3週齢のマウスの脂肪組織から単離し、1 gの脂肪組織あたり10 mlの消化培地を用いて、方法1に記載するようにして方法を行う。消化条件は方法1のものと同一であり、消化培地は異なっている。これは、1 mg/mlコラゲナーゼを補充した6.7 mM Hepes、3 mM NaCl、0.025 mM KCl、0.078 mM CaCl2、4.5 mg/mlグルコース、1.5% BSAを含有する。変形として、消化培地は、2%のBSA及び2 mg/mlのコラゲナーゼを含むPBSバッファーである(GFPトランスジェニックマウスから抽出した肩甲間褐色脂肪組織に特に用いる)。未消化のフラグメントをろ過により(25μmフィルタ)除去した後に、成熟脂肪細胞を、SVFの細胞を含むペレットから、遠心分離により(1000 g, 10分)分離する。
このようにして単離された間質血管細胞を、DMEM-F12培養培地に再懸濁し、さらなる遠心分離を行う(1000 g, 10分)。細胞を、培養培地に再懸濁し、上記のようにして計数する。
3) メチルセルロースをベースとする培地での培養
2)に記載する単離されたSVF細胞(新しく調製した粗SVF画分)を、メチルセルロースをベースとする培地中で(Methocult GFM3534, StemCell Technologies, Vancouver)培養に付し(30000細胞/ml)、2週間培養を継続し、その間に、得られるクローン(又はクラスタ)の形態を監視する。
収縮性のクローンを刺し、回収してPBSで洗浄する。
迅速に遠心分離した後に(5分, 600 g)、その後の使用のために細胞懸濁物を調製する。
4) 収縮性クローンの培養手順
SVF細胞(32000細胞/cm2)又はメチルセルロースベースの培地から採取したクローン(1500細胞/cm2)の粗抽出物を、0.1%ゼラチンで被覆された30 mmディッシュ(Greiner Bio-One)に播種し、10%の胎児ウシ血清(StemCell Technologies)を含み、104Mのβ-メルカプトエタノール(Sigma)、2 mMのグルタミン(Gibco BRL)、1 mMのピルベート(Gibco BRL)、0.1 mMの非必須アミノ酸(Gibco BRL)、並びに0.25μg/mlのアンフォテリシン、100 U/mlのペニシリンG及び100μg/mlのストレプトマイシンを含む溶液(Sigma, APS溶液)を補ったBHK21培地(Gibco BRL)(その正確な組成は、以下の表I及びIIに示す)で培養する。
ES系細胞に用い得る、BHK21培地と同様のいずれのその他の培地も用い得る。このような培地の組成は、特に、無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関してBHK21培地のものと同じ種類である。
細胞拡張は、3日ごとに培養培地に懸濁されている細胞を採集することにより行う。遠心分離の後に(600 g, 5分)、細胞を、0.1%のゼラチンで被覆された直径30 mmの培養ディッシュに再び播種し、BHK21培地で培養する。
5) 対照細胞の培養
新しく調製した粗SVF細胞を、30000細胞/cm2の密度で、10%の新生児ウシ血清を補ったDMEM-F12培地(その正確な組成は表IIIに示す)に播種する。これらの細胞は、ADSC細胞(脂肪由来間質細胞)として知られている。
対照実験のために、さらに、これらの細胞を、以下のように処理する。6時間培養した後に、非接着細胞を洗浄により除去し、接着細胞を、表現型決定又は移植(拡張のため)まで6日間培養に維持する。亜集密な細胞を、5分間、37℃のトリプシン消化により採集し、SVF接着細胞画分を構成する。これらの細胞は、マウスに移植される。
Figure 0005371445
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6) 表現型特徴決定
細胞を、0.2%の胎児ウシ血清を含むPBSバッファー中で標識し、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、ペリジニン葉緑素タンパク質(PerCP)、又はアロフィコシアニン(APC)にコンジュゲートされた抗マウスモノクローナル抗体と、4℃にて30分間インキュベートする。
洗浄の後に、細胞を、フローサイトメトリ(FACS:蛍光分析細胞ソーター(Fluorescence Analysis Cell Sorter)) (FACS Calibur, Becton Dickinson, Mountain View, California)により分析する。データの取得及び分析は、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて行う。
抗体(CD34、CD31、CD38、CD44、CD45、CD73、CD81、CD90、CD117、Sca1及びFlk1)は全て、BD Biosciences (Heidelberg, Germany)からである。
細胞内標識のために、4%のパラホルムアルデヒドを用いて4℃にて10分間固定した後に、細胞を、1%のBSA及び0.5%のサポニン(Sigma)を含有するPBSバッファーを用いて、周囲温度で20分間透過にする。
次いで、抗トロポニンT抗体(Microm Microtech, クローン13-11)で標識した後に、抗マウスPerCP抗体を用いる(BD Biosciences)。
7) 免疫細胞化学
スライド上で培養した接着細胞を、PBSで洗浄し、次いで、4℃にて一晩、3.7%パラホルムアルデヒド/PBSバッファー混液中で固定するか、又はメタノール-アセトン混液(50/50)中で-20℃に冷却する。
1%のBSAを含有するPBSバッファー中で1時間、非特異的部位をブロッキングした後に、細胞を0.3% Triton X100/PBSバッファー混液中で、1次抗体:MLC2vに指向されたマウス抗体(1:2, Biocytex, France)、サルコメアα-アクチニンに指向されたマウス抗体(1:500, Sigma)、抗β-MHCに指向されたマウス抗体(1:X)、抗α-MHCに指向されたマウス抗体、タイチンに指向されたマウス抗体(1:X)、若しくはトロポニンTに指向されたマウス抗体(1:100, Microm Microtech)、又はウサギ抗コネキシン43抗体(1:X, Zymed Laboratories)と1時間インキュベートする。
洗浄の後に、2次抗体を加え、インキュベートを周囲温度にて60分間行う:抗マウス又は抗ウサギIgG (Molecular Probes, Eugene, OR, 希釈1:300)にコンジュゲートされたAlexa 546又はAlexa 350。
陰性対照(染色なし)は、精製マウスIgG (Dako X0931)又は精製ウサギIgG (Dako X0903)を用いて行い、いずれの染色も生じない。
8) RNA抽出及びリアルタイム定量PCR分析
好ましくは、定量をリアルタイムで行い、すなわち、シグナルの増加が、反応の間に産生されるアンプリマーの量に直接比例する限りにおいて、プローブにより放射されるシグナルの検出及び定量、特に蛍光の放射を、増幅プロセスの間に行う。
リアルタイム定量PCR及びRT-PCR、並びに蛍光プローブを用いるアンプリマーの定量的検出の種々の技術、すなわちDNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性によるプローブの加水分解(TaqManTM)、2つのプローブのハイブリッド形成(Hybprobes)、分子ビーコン及びスコーピオンプライマーの一般的な原理は、当業者に知られ、特に、Poitrasら, Reviews in Biology and Biotechnology, 2002, 2, 1〜11に記載されている。TaqManTM型のプローブを用いるリアルタイム定量PCR及びRT-PCRは、特に、それぞれC. Heidら(Genome Research, 1996, 6, 986〜994)、及びGibson U.ら(Genome Research, 1996, 6, 995〜1001)に記載されている。
プローブのそれぞれは、少なくとも一端で、異なる蛍光色素で標識される。好ましくは、5'末端はレポーター蛍光色素で、3'末端は消光蛍光色素で標識される。
有利には、プローブのそれぞれの一方の末端、好ましくは3'末端は、プローブのそれぞれのハイブリッド形成温度を人工的に増加させ、よってそれらの長さを減少させるMGB (副溝バインダー(Minor Groove Binder))基でも標識される。
定量検出に用い得るレポーター蛍光色素は、当業者に知られている。これらは、特に、6-FAM (6-カルボキシフルオレセイン)、TET (テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン)、HEX (ヘキサクロロ-6-フルオレセイン)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、シアニン(CY3, CY5)及びテキサスレッドである。
同様に、消光蛍光色素は、当業者に知られている。これらは、特に、メチルレッド及びTAMRA (6-カルボキシテトラメチルローダミン)である。
より具体的には、培養において収縮性であると同定された細胞のトータルRNA、及びマウス心臓RNAを、RNA抽出キット(RNeasy, Quiagen, France)を用いて単離する。
1μgのRNAを、M-MLV逆転写酵素(Invitrogen, Cergy, France)を用いてDNAに転写し、リアルタイムPCRにおいて用いる。
PCRプライマーの配列は、以下のとおりである:
MEF2C
センス:5'-AGATACCCACAACACACCACGCGCC-3' (配列番号1)
アンチセンス:5'-ATCCTTCAGAGAGTCGCATGCGCTT-3' (配列番号2)
Oct-3/4
センス:5'-TCAGCTTGGGCTAGAGAAGG-3' (配列番号3)
アンチセンス:5'-TGACGGGAACAGAGGGAAAG-3' (配列番号4)
ブラキュリ
センス:5'GACTTCGTGACGGCTGACAA-3' (配列番号5)
アンチセンス:5'-CGAGTCTGGGTGGATGTAG-3' (配列番号6)
Islet1
センス:5'-CATCGAGTGTTTCCGCTGTGTAG-3' (配列番号7)
アンチセンス:5'-GTGGTCTTCTCCGGCTGCTTGTGG-3' (配列番号8)
リアルタイムPCRは、LightCyclerラピッドサーモサイクラー(Roche, Meylan, France)を用いて行う。増幅は、製造業者の推奨に従って行った。
12μlの反応混合物は、3 mM MgCl2及び0.5μMの適切なプライマーの混合物に加えた10μlのLightCycler-DNA Master SYBRグリーンI混合物(TaqDNAポリメラーゼ、反応バッファー、デオキシヌクレオシド混合物及びSYBR Green色素を含むFAST Start Kit)と、2μlのcDNAを含む。
結果は、以前に記載された数学的モデルを用いて(Pfafflら, Nucleic Acids Res., 2002, 30, 9, e36)、興味のある遺伝子の発現のレベルの関数として表す。
データは、α-チューブリン(内部標準)のPCR分析により標準化する。
増幅プロトコルは、95℃にて8分間の最初の変性、続いて95℃にて3秒間の変性工程、65℃にて10秒間のハイブリッド形成工程、及び72℃にて10秒間の伸長工程を含む40サイクルを含む。
温度推移速度は、20℃/秒である。
蛍光は、各伸長工程の最後に測定する。
増幅の後に、融解曲線を、生成物を20℃/秒にて95℃まで加熱し、20℃/秒にて70℃まで冷却し、70℃にて20秒間保持し、次いで、0.1℃/秒にてゆっくりと95℃まで加熱することにより作製する。
蛍光は、ゆっくりとした加熱段階の間に測定する。
融解曲線を用いて、PCR産物の特異性を決定し、これをゲル電気泳動により確認する。
スチューデントのt検定を用いて、統計的有意性を分析する。全てのP値は、二重で行った試験に対応し、P<0.05の値を統計的に有意であるとみなす。
PCR分析は、DNAを用いて行うこともできる。
マウスの心臓DNAは、QIAmp (登録商標)ミニ抽出キット(QIAGEN)を用いて単離する。
DNA濃度は、Nanodrop ND100システムを用いて測定する。
DNAの純度は、260及び280 nmでの吸光度測定により確かめる。
リアルタイムPCRは、AB17000サーモサイクラー(Applied Biosystem)を用いて行って、マウスの心臓に移植された細胞を定量する。各反応培地(25μl)は、1及び3 ngの間のゲノムDNA、0.3μmの各プライマー、及び2.5μlの2×SYBR Greenマスターミックス(Applied Biosystem)を含む。
データは、36B4遺伝子(酸性リボソームリンタンパク質PO)のPCR分析により標準化する。PCRプライマーのヌクレオチド配列は、次のとおりである:
- GFP
センス:GGGCACAAGCTGGAGTACAAC (配列番号9)
アンチセンス:TCACCTTGATGCCGTTCTTCT (配列番号10)
-36B4
センス:AGTCGGAGGAATCAGATGAGGAT (配列番号11)
アンチセンス:GGCTGACTTGGTTGCTTTGG (配列番号12)
増幅プロトコルは、95℃にて10分間の最初の変性、続いて95℃にて15秒間の変性工程、及び60℃にて1分間の伸長工程を含む40サイクルを含む。非特異的増幅がないことを確かめるために、解離曲線を60〜95℃で作製する。
移植されたマウス心臓でのGFP及び36B4遺伝子を定量するための標準曲線は、ドナーマウスのGFP DNAを移植されたマウスのC57Bl/6N DNAと混合することにより作製する。
9) 心筋梗塞のモデル
雌性8〜12週齢のC57Bl/6Nマウス(22〜28 g)を用いる。これらは、GFPドナーマウス[GFP (緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein))を発現するトランスジェニックマウス] (Okabe M.ら, FEBS Lett., 1997, 407, 3, 313〜319)に遺伝的に非常に近いので、免疫サプレッサーによる処置は必要でない。
ケタミン(75 mg/kg)及びキシラジン(7.5 mg/kg)の腹腔内注射の後に、呼吸を可能にするように、マウスを気管挿管に付す(Huga Sachsエレクトロニックベンチレータ, March-Hugstetten, Germany)。
ガス麻酔は、イソフルラン又はハロタン2%を用いて維持する。
外科的処置を、光学的に拡大して行う(×4及び×8)。
5番目の肋間腔までの左の開胸の後に、心膜を開き、左の下行動脈を、8/0ポリプロピレンの糸(Ethicon, Johnson & Johnson, Brussels)で結紮する。この直後に、1×105細胞を含む合計容量10μlを、虚血領域の3点(蒼白な領域、結紮の下流)に、Hamilton No. 701シリンジ(Reno, Nevada)を用いて注射する。
胸を再び閉じ、マウスを目覚めさせる。
心エコー検査による機能的研究のために、急性心筋梗塞モデルを少し改変する。
心筋梗塞の前(比較点)及び3日後にデータを得るために、亜急性のモデルを用いる。
細胞又は培地(対照群)の注射は、冠状動脈を結紮した3日後に、同じ肋間アプローチを用いて行う。対照のエコー検査は、梗塞の作製の前に行い、ベースラインとする。次いで、エコー検査を梗塞の3日後に行い、D0に相当する。本発明による細胞又は培地の注射を、次いで行う。
試験した全ての種類の細胞を、同じ量(105)で注射し、同じ容量に(10μl)再懸濁する。
10) 免疫組織化学
マウスを、CO2での麻酔のもとに、頸部脱臼により屠殺する。7、14及び28日目に心臓を迅速に回収し、中心軸に沿って長手方向に切断し、3.7%又は4%のパラホルムアルデヒド中で4℃にて一晩固定する。組織をパラフィンに包埋させ、6μmの切片に切断する。
免疫組織学のために、組織切片を15分間脱パラフィンし、アルコールで再水和した。内因性ペルオキシダーゼ活性を、3%過酸化水素中で20分間のインキュベーション、続いてPBS中で5分間、2回の洗浄により阻害する。これらの切片を、次いで、PBS中の1% BSA中、次いで1次抗体:ウサギ抗GFP抗体(1:300, Molecular Probe A11122)及び/又はマウス抗MLC-2v抗体(1:2)、又はマウス抗トロポニンT抗体(1:100)とインキュベートする。後者の抗体について、標識の前に、クエン酸バッファー中で95℃にて25分間のインキュベーションが必要である。洗浄の後に、以下の2次抗体を用いる:ヤギ抗ウサギFITC抗体(1:500, Jackson)、ロバ抗マウステキサスレッド抗体(1:100, Jackson)、ロバ抗ウサギHRP抗体(1:500, Jackson)又はロバ抗マウスHRP抗体(1:500, Jackson)。2次HRP抗体のために、切片での標識は、AEC (Dako)を用いて明らかにし、倒立顕微鏡(Leica, TMRB)の下で視覚化し、蛍光分析は、共焦顕微鏡(Zeiss, LSM 510)を用いて行う。
11) 心エコー検査による機能的評価
機能的心エコー検査評価は、心筋梗塞の前(比較点)、注射の直前(D0、心筋梗塞の3日後)、並びに注射の1週間(D7)及び4週間(D28)後に、2群において行う。
全ての心エコー検査分析は、ガス麻酔のもとに行う。エコー検査評価は、14 MHz線形マトリクストランスデューサ(Agilent; Andover, MA)を備えたVIVID 7心エコー検査システム(General Electric)を用いて行い、これにより、左心室にわたる横断切片が得られる。収縮終期及び拡張終期の段階は、左心室の表面が、それぞれ最小又は最大である段階と定義する。
左心室の収縮終期直径(LVESD)、及び左心室の拡張終期直径(LVEDD)は、200 mm/sのスイープ速度の左心室Mモードトレーシングを用いて、乳頭筋のレベルで測定する。
その他の心臓パラメータも、2-Dで測定する。
駆出分画(EF)は、単一平面の面積により測定し、以下の式に従って計算する:
EF (%) = [(0.85 LVAD2/LVLD)-(0.85 LVAS2/LVLS)]/(0.85 LVAD2/LVLD)×100
(式中、LVADは拡張終期の左心室面積に相当し、LVASは収縮終期の左心室領域に相当し、LVLDは拡張終期の左心室の長軸の長さに相当し、LVLSは収縮終期の左心室の長軸の長さに相当する)。
各値は、3回の測定の平均である。
全てのデータは、平均±SEMとして表す。
スチューデントのt検定を用いて、統計的有意性を分析する。全てのP値は、監視した各群について行われた対応t検定、及び比較群についての独立t検定に相当する。
全てのP<0.05は、統計的に有意であるとみなす。
実施例2:心臓系の細胞へのSVF細胞の分化
2.1.:標準培地
多分化能幹細胞の培養に従来用いられる10%の新生児ウシ血清を含むDMEM-F12標準液体培地、又は10%の胎児ウシ血清を含むBHK21培地を、メチルセルロース(陽性対照:図1A)との比較で試験した。
加える成分に関わらず(IL3、IL6、SCF、BMP2、TGF-β、おそらく5-アザシチジンへの曝露でも)、DMEM-F12培地では、効率的な様式でSVF細胞の心臓細胞への分化は起こらない。
2.2. 本発明による条件
2.2.1
粗SVF細胞を、10%胎児ウシ血清を含むBHK21培地中で、かつ適切な接着性支持体又は表面(ゼラチン)上で播種して培養した場合、約10%の細胞が、細胞の自発的収縮及びトロポニンTの発現により評価される心臓表現型を示す(図1B)。β-メルカプトエタノールを除去すると、心臓細胞のクラスタは出現しないが、この化合物を他の従来の培養培地に加えても、心臓分化を誘導しない。よって、β-メルカプトエタノールが、SVF細胞を心臓分化に導くために充分ではないが必要であり、BHK21培地も重要であることが示唆される。
心臓表現型のクラスタがこれらの培養条件下で得られる頻度は変動可能であるが、それにもかかわらず、それらを移植する目的のために充分な心臓細胞を得ることを可能にする。
2.2.2.
- 収縮性クローンが出現するまでの(約2週間)メチルセルロースをベースとする培地(実施例1.3を参照)での1次培養;
- 倒立顕微鏡の下での解剖による収縮性細胞の選別(伸長細胞及び円くなった細胞の両方の選別);
- 実施例1.4に開示される条件下での、すなわちゼラチンで被覆されたディッシュへの播種及びBHK21培地の添加による、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21液体培地中での、選別されたクローンの培養。
液体BHK21培地中で培養を開始した48時間の間に、いくらかの伸長された収縮性の繊維が観察される。
2週間後に、細胞の約60%はトロポニンT+である(図1B)。
この段階で、培養物は、2つの異なる形態の型の細胞を含む:接着する収縮性の繊維と、該繊維に付着するが、主に懸濁物中にあり、非接着性の丸くなった細胞。
非接着性の円くなった細胞は、あまり付着せず、培養培地の回収及び遠心分離により回収できる。
円くなった細胞を、液体BHK21に再び播種できる。2種の形態(繊維及び円くなった細胞)が、数日(a few days)後に再び得られる。液体BHK21培地に再び播種された円くなった細胞に由来する培養物を注意深く調べることにより、CD90の低い発現(3〜9%)に関連したトロポニンTの高い発現(60〜70%)が示される。
一方、CD90を多く発現する細胞(60%)は、培養において弱い心臓の潜在性を示す(トロポニンT+が30%又はそれ未満)。この観察は、繊維の形で収縮性の伸長細胞の代わりに、培養培地中に発生する小さい繊維芽細胞の副次集団の存在と関連する。
懸濁されている円くなった細胞からの培養物を、10回を超える継代から得た(n = 3)。しかし、特徴決定又はマウスへの移植のために選別された細胞は、1〜4回の継代の後に得られるのが好ましい。
円くなった細胞の長期培養(15回を超える継代、n = 3)は、これらの細胞が安定な形態を有することを示す。
接着細胞の集団は、懸濁されたままの円くなった細胞のほとんどを除去するような細心の洗浄の後に、トリプシン処理により採集できる。
トリプシンの使用を避けるために、よって、細胞の良好な拡張を得て、培養培地に懸濁された細胞(円くなった細胞)を回収し、再播種することが可能である。
このような手順を用いて、トリプシンを用いることなく、脂肪組織1グラムから(20×106粗SVF細胞)、2×108トロポニンT陽性接着細胞、及び1.5×108非接着細胞を4週間で得ることができる。このことにより、顕著な拡張が可能になる。30-mmディッシュあたり200000細胞(200000/P30)で播種したときに、これらの円くなった非接着細胞は、8日間で、トロポニンT陽性細胞を60%含む106細胞の集密な層になる。
同時に、各プレートは、4〜6週間にわたって、10〜15日間にわたって2日ごとに、すなわち少なくとも接着層が老化するまで、懸濁された150000個の円くなった細胞を産生する。
2.3. 比較研究
- DMEM-F12培地のみでのSVFの細胞の培養:
ほとんど又は全く心原性細胞が得られない。細胞は、これらの条件下では培養フラスコにほとんど又は全く接着しないので、培地の最初の交換の際に(播種後3時間45分)失われる。懸濁されたままの細胞を含む培養培地を採集する場合、心原性細胞はその中に見出すことができ、メチルセルロースでの培養により明らかにできる。
図9は、メチルセルロース中での心原性クローンの出現の頻度を示す。
- BHK21培地のみでのSVFの細胞の培養:
心原性細胞の存在が観察される。
これらの条件下では、細胞は、細胞培養支持体に接着し、心原性細胞の培養が可能である。しかし、他の(非心原性)細胞がさらに接着して成長するので、培養物は不均質である。
実施例3:接着及び非接着細胞の集団の表現型の特徴決定:インビトロのデータ
細胞の表現型を、図2にまとめる。2種の細胞が、以下の表現型の特徴を有することがわかる:CD44+、CD81+、CD31-、CD45-、CD90-、ckit-、Flk1-、並びに少なくとも50%がSca-1、トロポニンT及びMLC-2vに陽性である。
2種の細胞の間での主な違いは、接着細胞がCD38及びCD73に陽性であり(74%)、いくらか(20%)がCD34を発現し、MHC2について陰性であるが、MHC1-である非接着細胞については、そうではないことである。
トロポニンTの高い発現は、CD90の低い発現(3〜9%)と、逆の相関関係がある。
以下の表IVは、これらの特徴をまとめている。
Figure 0005371445
リアルタイム定量PCRは、2つの集団が、ブラキュリ中胚葉性転写因子、Islet-1及びMEF-2c心臓転写因子、並びに高い増殖能を有する未分化の細胞に存在する転写結合因子であるOct3/4を発現することを明らかにする(図4)。転写産物について、発現のレベルは、非接着細胞に比較して接着細胞でより高い。
これらのマーカーが相伴って同定されることは、未成熟細胞の存在、及びこれらの集団の分化の程度の点での不均質性を反映する。
心臓分化の関数としてのタンパク質発現は、接着性繊維での免疫組織化学により分析され(図4)、細胞はまだα-MHCを発現しないが、MLC-2v、タイチン、β-MHC、サルコメアα-アクチニン、又はトロポニンTのような心臓タンパク質の存在を示す。
これらのインビトロデータは、本発明による方法が、脂肪組織から心臓筋原細胞を大量に得ることを可能にすることを示す。培養されている細胞は、培養に関連しない2つの別個の表現型を示す。
本発明による方法を用いて得られる心臓筋原細胞の数の、PCT国際出願WO 02/055678に記載される方法を用いて得られる細胞の数との比較を、以下の表Vに示す。これらのデータは、1 gの脂肪組織から得られる(20×106 SVF細胞)。
Figure 0005371445
実施例4:心臓虚血の回復を誘導するための実施例1による接着及び非接着細胞の使用。インビボ分化。
GFP細胞をマウス梗塞モデルに注射した後に(実施例1.8の条件)、円くなった及び伸長されたGFP細胞の成果を、単独又は粗SVF-GFP細胞との比較で研究する。
円くなった細胞は、培養上清の遠心分離により得る。接着細胞が濃縮された培養物を、接着層のトリプシン消化の後に回収し、これを、ほとんどの円くなった細胞を除去するように洗浄する(実施例1を参照)。
第1群(n = 6)は、105の粗SVF-GFP細胞(対照)を受容し、注射の7又は14日後に心臓を分析する。
分析の時間に関わらず(7又は14日間)、マウスにおいてGFP細胞は実質的に見出されない。
これらは、常に、繊維芽の見かけであり、心臓マーカーは検出されない(図5)。
第2群(n = 9)は、培養培地の遠心分離により採集された105の非接着性の円くなった細胞を受容する。移植の7日後(n = 3)又は14日後(n = 2)に、この群のマウスでは、GFP陽性細胞は全く検出されない。
第3群において(n = 7)、105の濃縮された接着細胞を注射する。より具体的には、MC→BHK21培養培地により得られた細胞層のトリプシン消化に由来する細胞を注射した。もちろん、上清細胞をできる限り除去するために、トリプシンの作用の前に培養物をすすいだ。しかし、上清細胞は層に由来するので、それらを洗浄により全て除去したかについて必ずしも確信はなく、層に結合しているいくつかの細胞が接着したままである。この理由のために、この集団を、接着細胞が濃縮された(ほぼ独占的にそれらからなる)という。
単離されたGFP細胞は、7日目に4つのうち3つの心臓で、そして14日目に5つのうち3つの心臓で検出される。これらのGFP細胞の形態は伸長されているが、条線が観察されないので心臓型の形態ではない(図5)。
第4群(n = 23)は、懸濁された接着細胞と円くなった細胞の1:1混合物を受容する(工程cの3回目と4回目の継代の間にのみ回収された1×105心臓筋原細胞がGFPを発現する)。注射は、心室壁への細胞混合物の直接注射により、心筋梗塞の直後に行う。7日後に、GFP細胞は全ての心臓において見出される(11のうち11)。特異的GFP標識は、虚血にした領域の端部で観察され、このことは、虚血にした領域の周囲での再生領域の出現を示唆する。さらに、GFP細胞は、虚血にした領域でも観察される。これらの細胞は、心臓の形態を有し(図6)、無傷の心筋と同じ空間的配向である(図6)。これらは、非常に豊富であり、心筋型の真の組織移植体を形成する(図6)。細胞は、心筋細胞マーカー、例えばMLC-2v (図7A)及びトロポニンT (図7B)を発現する。
1ヵ月と15日経過後に、これらの細胞はまだ存在し(7匹のうち5匹の動物において)、同じ特徴を保存している。
1ヵ月後に、分析した5つのうち4つの心臓で、GFP細胞の表現型は、条線を有する細胞の均質な形態により近くなる。
マウスが接着細胞及び懸濁の細胞の両方を受容した群において、心臓細胞の特徴を発現するGFP陽性細胞の存在は、全ての心臓において実質上観察される。
この免疫表現型特徴決定は、ゲノムGFP配列の存在に基づくリアルタイム定量PCR分析により補強される。
投与の7日後に同定される注射されたGFP細胞の量は、急性心筋梗塞モデルにおいて5.32%±1.955であり、これは平均で5322 GFP細胞に相当する(図10)。
これに対して、冠動脈を結紮した3日後に細胞を注射した亜急性心筋梗塞モデルにおいて、D7での移植されたGFP細胞のパーセンテージは、2.2%±0.511であり、平均で2201 GFP細胞である(図10)。
細胞注射の直後にマウスを屠殺する対照実験により、注射された細胞の7%だけが再び見出されることが明らかになる(図10)。
この量は、注射された100000細胞のうち6946細胞である。
まとめると、用いた心筋梗塞モデルによると、100000 GFP細胞の注射は、7000細胞の移植をもたらし、7日後に、5300〜2200 GFP細胞がまだ存在する。
特に、移植に対する虚血環境の影響についての研究を完結するために、2つの細胞集団の混合物(接着細胞及び非接着細胞)を、慢性心筋梗塞に注射する(冠動脈の結紮の2週間後)。
これらの条件下で、急性モデルと同様に、移植体は観察されない(n = 9)。
結果を、表VIにまとめる。
Figure 0005371445
培養培地から懸濁で採集される非接着細胞と(n = 9)、トリプシン消化の後に得られる接着細胞との(n = 7)効果を区別するために、これらを、上記のようにしてそれぞれ注射する。
驚くべきことに、ほとんど(非接着細胞の集団を用いて、図5)、又は全く(接着細胞の集団を用いて) GFP細胞は、それらを別々に投与したときに、注射の7又は15日後に同定できない。
つまり、2種の細胞の同時注射が必要である。
結果は、表VIIにまとめる。
Figure 0005371445
実施例5:機能的研究
この研究は、本発明による心臓細胞が、虚血になった心臓の左心室の機能を防御又は回復するかを確かめることを可能にする。
心エコー検査による評価により、心筋梗塞の動物の2つの群を比較できた。
外科手術の3日後に、1群(n = 9)は、1×105細胞を受容し(2つの細胞集団の混合物)、対照群は、無細胞培地を受容する(n = 8)。
いくつかのパラメータを、リモデリング(直径及び容量に基づいて)、及び心収縮機能(左心室駆出分画に基づいて)を2群において評価するために、分析した。
左心室拡張終期容量(LVEDV)、左心室収縮終期容量(LVESV)、及び左心室駆出分画(LVEF)に関して、外科手術の前及び3日後に、2群の間に著しい差は観察されない。
冠動脈の結紮の3日後、及び注射の直前に(D0)、心臓機能は、2群において同様の様式で損なわれ(P = 0.5825)、このことは、心筋梗塞のサイズが類似であることを示す(図11)。
動物を、細胞又は培地(対照群について)の注射により処置し、心臓パラメータを7 (D7)及び28 (D28)日後に分析する。
この対照群では、LVEFが、D7にて52.9%±4.9 (D0)から44.7%±5.8に減少し、D28には最終的に38.75%±5.5に到達する(P<0.0001 D7 対 D28)。
細胞で処置した群において、LVEFは、D7 対 D28のP = 0.967で、安定したままである(D0にて56.6%±4.5;D7にて56.4%±5.8、及びD28にて57.7%±4.4)。
注射の28日後に、LVEFは、処置群と対照群との間で、処置群に有利なように著しく異なる(P = 0.0201 対照 対 細胞処置)。
リモデリングに関して、D0にて0.18 ml±0.015からD7での0.27 ml±0.039及びD28での0.38 ml±0.071へのLVEDVの著しい増加(全てP<0.03)により示されるように、28日後に、培地を受容した左心室の著しい拡大が観察される。この対照群において、LVESVの増加も観察される:D0にて0.0885 ml±0.015;D7にて0.158 ml±0.032、及びD28にて0.250 ml±0.056 (全てP<0.03)。
逆に、細胞で処置された心筋梗塞において、著しい拡大は観察されない:LVEDVについてD0にて0.147 ml±0.015;D7にて0.193 ml±0.030;D28にて0.199 ml±0.038、そしてLVESVについてD0にて0.069 ml±0.013、D7にて0.092 ml±0.022及びD28にて0.100 ml±0.033。
28日後のLDEDV及びLVESVの比較は、処置群 対 対照群の有意な差(より小さい拡大)を示す(それぞれP = 0.046及び0.039)。
D28での左心室のよりよい効率が、処置された9つのうち5つの心臓で、GFP及びMLC-2vを同時発現する細胞の存在がD28に同定されることにより支持される(図11を参照)。
梗塞の亜急性モデルに比較して、急性モデルにおいてより高いパーセンテージのGFP細胞が定量され、このことは、細胞を、動脈の結紮の3日後に、該結紮が細胞の移植に対していずれの結果も有することなく、注射できることを示唆する。
図1A:種々の条件下で培養したSVFの細胞の形態の変化。図1B:種々の培養条件下でトロポニンT心臓マーカーを発現する細胞のパーセンテージ(上)、及びメチルセルロース(MC)→BHK21の培養条件下でのトロポニンT+細胞の数の変化。 MC→BHK21の培養条件下で得られた2種の細胞集団の表現型決定(FACS)。 接着細胞のインビトロ心臓分化。 幹細胞(Oct3/4, Islet1)、中胚葉細胞(ブラキュリ)、及び心臓細胞(Islet1, MEF2c)の転写因子をコードする遺伝子の発現。 心筋虚血のマウスモデルに移植して7日後の細胞の存在。
細胞を移植して7日後に細胞が見出される複数の部位の免疫組織化学的同定。 インビボでの心臓分化。 インビボでの心臓分化。 メチルセルロース中での心臓筋原性クローンの出現の頻度。 インビボでのGFP細胞の移植を決定するための定量的PCR。 心エコー検査による機能的分析。

Claims (17)

  1. 少なくとも以下の:
    a) 粗間質血管画分(SVF)から心臓筋原細胞を選別する工程と、
    b) 工程a)で選別された細胞を、エクスビボで心臓筋原細胞を拡張するために最適化された液体培地中で培養する工程であって、該液体培地が、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、並びに無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成が以下:
    Figure 0005371445
    Figure 0005371445
    のとおりであり、かつ少なくとも胎児ウシ血清およびβ-メルカプトエタノールを含むその他の培地からなる群より選択される工程と、
    c) 前記液体培地での連続的継代により、前記細胞を維持及び拡張する工程と、
    d) 心臓細胞を得る工程と
    を含むことを特徴とする、心臓細胞を得る方法。
  2. 工程a)における選別が、半固形培地中の粗間質血管画分の細胞の1次培養により、収縮性細胞のクラスタ(又はクローン)が出現するまで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法(方法1)。
  3. 工程b)が、形態的な型が異なる2つの副次集団、すなわち伸長型の接着細胞と円形(又は円くなった)型の非接着細胞とからなる前記収縮性細胞をサンプリングすることと、心臓筋原細胞又は幹細胞をエクスビボで拡張するために最適化された液体培地中で前記収縮性細胞を2次培養することとを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 工程c)が、細胞の2つの副次集団(接着細胞及び懸濁されている非接着細胞)の少なくとも一方を、液体培地中の連続的継代により維持及び拡張することを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  5. 工程a)の半固形培地が、有利には、セルロース誘導体、並びに以下の成分:コラーゲン、ラミニン及びプロテオグリカンの少なくとも1つを含む再構成基底膜マトリクスからなる群より選択されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程a)による培養時間が、数日から数週間、好ましくは1から2週間であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  7. 収縮性細胞の2次培養に先立って、心臓細胞陽性マーカーSca-1、トロポニン、MLC2v、CD44、CD81、CD73およびCD38、ならびに心臓細胞陰性マーカー主要組織適合マーカーMHC1またはMHC2、CD31、CD34、CD45、c-kitおよびFlk1を用いる第2選別が行われることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程b)の前記液体培地が、有利には、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、又は請求項1に定義されており、かつES型細胞に用い得るその他の培地であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程a)における選別が、粗SVFの細胞を、請求項7で定義される少なくとも1つの心臓細胞についての陰性マーカーを用いる細胞ソーティングにより行われ、工程b)が、選別された細胞を、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、又は請求項1に定義されており、かつES型細胞に用い得るその他の培地中で培養することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(方法2)。
  10. 液体培地中で培養を維持及び拡張する工程c)が、以下の2つの方法:
    - 工程b)のものと同一又は異なる液体培地中に懸濁された細胞を遠心分離し、同じ液体培地中に細胞ペレットを再播種するか、又は
    - 接着細胞層の細胞を酵素により又は任意のその他の剥離の方法により剥離し、剥離された細胞懸濁物を遠心分離し、同じ液体培地中に細胞ペレットを再播種するの1つに従って行うことができることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記心臓筋原細胞が、遺伝子改変されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 虚血性心臓部を再構築できる医薬品の製造のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載される方法で開示される条件下での間質血管画分の細胞から得ることができる心臓細胞の使用であって、前記心臓細胞が
    (i) 以下の特徴の少なくとも1つを有する伸長形の接着収縮性心臓筋原細胞:CD38 + 、CD44 + 、CD73 + 、CD81 + 、CD31 - 、CD45 - 、Ckit - 、Flk1 - 、MHC2 - 、該細胞の約50%がSca-1 + 、トロポニンT + 及びMLC2v + である、
    (ii) 少なくとも以下の特徴を有する円くなった形の非接着細胞:CD44 + 、CD81 + 、CD31 - 、CD45 - 、CD73 - 、MHC1 - 、前記細胞の約50%がSca-1 + 、トロポニンT + 及びMLC2v + である、
    iii) 前記接着細胞と前記非接着細胞の混合物
    からなる群より選択され、
    (i)及び(ii)の種類の細胞は、ブラキュリ中胚葉性転写因子、Islet-1及びMEF-2c転写因子、並びにOct3/4転写結合因子も発現する、使用
  13. 薬剤が、トロポニンT及び/又はMLC2vも含むことを特徴とする請求項12に記載の使用
  14. a)で選別された細胞を培養する工程b)が、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含む前記BHK21液体培地、又は請求項1に定義されるその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するのに適する接着性表面上で行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  15. a) メチルセルロースをベースとする半固形培地中でのSVF細胞の1次培養、及び心臓筋原細胞の選別、
    b) a)で選別された細胞の、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含む前記BHK21液体培地、又は請求項1に定義されるその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するのに適する接着性表面上での細胞の2次培養、
    c) 液体培地中での連続的継代による前記細胞の維持及び拡張、並びに
    d) 心臓細胞を得ること
    を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  16. 新しく調製した粗間質血管画分(SVF)から、BHK21培地中で、かつ適切な接着性支持体又は表面上でSVFの該細胞を直接、1次培養することにより、心臓筋原細胞を選別することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 適切な接着性支持体又は表面が、ゼラチン、接着タンパク質、及び細胞外マトリクスタンパク質からなる群より選択されることを特徴とする請求項14又は16に記載の方法。
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