JP5371445B2 - 脂肪組織由来細胞を培養する方法及びその使用 - Google Patents
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Description
本発明の主題は、上記で定義される培養方法により得られる細胞の、特に梗塞の後の虚血になった心臓部の再構成(reconstituting)のための使用、及び該細胞を含む医薬組成物でもある。
- 心臓機能を改善する自己筋原細胞又は筋衛星細胞の移植。但し、これらの細胞は、虚血性心臓においてそれらの筋細胞としての特徴を維持する。にもかかわらず、移植された筋原細胞と、内在心筋細胞との間の接続は明らかに生じず、移植された細胞による収縮期ポンプの機能への同時発生の貢献は除外される。
- 細胞可塑性の概念は心不全の分野に新たな見通しを開き、これらの異所性細胞が、インビボの関係において適切に配置されたときに、心筋細胞に分化転換できるという期待を持って種々の細胞が用いられるようになっている。実際に、初期の研究により、骨髄からの間葉幹細胞及び造血細胞が、心筋細胞に分化転換できることが示唆されている。しかし、この現象は、現在、細胞可塑性の概念として論じられている。
- 複雑な別のアプローチにおいて、心筋細胞形質転換プロセスに関係する細胞、例えば内在心筋幹細胞、胎児細胞、胚細胞、又は骨髄間葉細胞若しくは内皮細胞のような他の細胞を用いることが推奨及び提案されている(Kehatら, J. Clin. Invest., 2001, 108, 407〜444; Mullerら, FASEB J., 2000, 14, 2540〜2558; Tomaら, Circulation, 2002, 105, 93〜98; Liechtyら, Nat. Medecine, 2000, 11, 1282〜1286; Conderelliら, PNAS, 2001, 98, 10733〜10738; Wangら, J. Thorac. Cardiovasc. Surg 2001, 122, 699〜705; Jacksonら, J. Clin. Invest. 2001, 107, 1395〜1402)。これらの結果を説明するために、2つの仮説が提唱されている。胚細胞の全能性に近い細胞は、成体組織(脳、筋肉など)で持続され、種々の型の細胞に分化できるか、又はこれらの組織の特化された幹細胞は、高い可塑性を有し、脱分化できるか若しくは再プログラムされ得る(分化転換)。これらの結果は、機能的筋肉欠損(筋障害及び心筋障害)、及び筋肉変性に関連する疾患(心筋梗塞)の治療のための重要な結果を有する。しかし、実際に、上記の細胞からの心筋組織の効率的な再構成は、サンプリングの難しさ及び入手可能な組織の量が少ないことにより、実行するのが困難である。これらの技術的困難性に加えて、胚組織を用いることに関連する倫理的な問題もある(M/S, 2004, 6〜7, 20, 651〜661)。
よって、本発明者らは、サンプリングが容易で大量に入手可能な組織から単離される、心筋組織を長期にわたる様式で再構成できる細胞を提供することをと目的とした。
つまり、この文献は、心筋の種類の細胞を、培養培地としてメチルセルロースをベースとする半固形培地を用いるときに、SVFから1次培養において自発的に得ることができることを示している。一方、DMEM-F12液体培地を用いた場合、収縮性細胞はほとんど観察されない。
つまり、本発明は、心臓細胞の治療用途を目的として、心臓細胞をSVFから高収率で得ることを目的とする。
- 用語「心臓筋原細胞」は、心臓始原細胞(心臓に存在する前駆細胞)を含む心臓系細胞に分化できる任意の細胞を意味することを意図する;
- 用語「心筋細胞」は、複雑な3次元網目構造を形成するように、近接する心筋細胞と連結している円柱形の収縮性心筋細胞を意味することを意図する;
- 用語「心臓系細胞」(又は心臓の表現型を有する細胞)は、心臓のタンパク質(トロポニンT)を発現する細胞を意味することを意図する。これらは、心臓への分化を受ける細胞である。これらは、心臓の潜在性を有する心臓筋原細胞とは本質的に異なり、すなわち、心臓分化経路に入ることができる;
- 用語「細胞拡張」:細胞培養のいくつかの細胞を回収して、新しい培養培地に播種したときに、細胞拡張が起こり、次いで増殖すると考えられる。この操作が1回だけ行われる場合、これは単一継代(single pass)である。この操作が数回(several times)行われる場合(播種及び細胞分裂)、連続的継代が行われる;
- 用語「細胞維持」:継代なしの細胞培養。
この白色脂肪組織は、2つの画分からなる:
- 脂肪組織の細胞の30%〜60%であり、トリグリセリドの蓄積を特徴とする脂肪細胞画分(浮遊細胞画分(floating cell fraction))。この画分は、ほとんど(99%)が分化した脂肪細胞と、脂肪小滴に富むいくらかの混入マクロファージとで構成されている;及び
- いくらかの血液細胞、いくらかの成熟内皮細胞(微小血管内皮の細胞:CD31+、CD144+)、周細胞、繊維芽細胞及び多分化能幹細胞を含む間質血管画分(SVF)とよばれる非脂肪細胞画分。
- 興味のある集団を直接選別することを可能にする(例えばMHC1-陰性ソーティング)少なくとも1つの表現型マーカーにより新しく調製した粗SVFから直接(この後に適切な液体培地中で培養する)、又は
- 新しく調製した粗SVFの半固形培地中での1次培養の後に(この後に適切な液体培地中で得られる細胞を2次培養する;この場合、細胞ソーティングは、2次培養の前に行ってもよい)、
心臓の表現型を有する細胞に形質転換(又は分化転換)できるSVF細胞の数を著しく増大させる培養条件を、開発した。
試験した因子(IL3、IL6、SCF、BMP2、TGFβ、5-アザシチジン)のうち、β-メルカプトエタノールの存在のみが必要であったが、充分ではなかった。
a) 粗間質血管画分(SVF)から心臓筋原細胞を選別する工程と、
b) 工程a)で選別された細胞を、エクスビボで心臓筋原細胞を拡張するために最適化された液体培地中で培養する工程(該液体培地は、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、並びに無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関してBHK21培地のものと同じ種類の組成であるいずれのその他の培地からなる群より選択される)と、
c) 前記液体培地での連続的継代により、前記細胞を維持及び拡張する工程と、
d) 心臓細胞を得る工程と
を含むことを特徴とする、心臓細胞を得る方法である。
これらの細胞は、BHK21液体培地に播種される。細胞拡張は、細胞を、2日ごとにBHK21培地に懸濁して(タンパク質溶解処理なし)播種することにより可能になる。
- 工程b)は、形態的な型が異なる2つの副次集団、すなわち伸長型の接着細胞と、円形(round) (又は円くなった(rounded))型の非接着細胞とからなる上記の収縮性細胞をサンプリングすることと、上記の収縮性細胞を、心臓筋原細胞又は胚幹細胞(ES型の細胞)をエクスビボで拡張するために最適化された液体培地中で2次培養することとを含む。好ましくは、a)で選別された細胞を培養する工程b)は、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21液体培地、並びに無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関してBHK21培地のものと同じ種類の組成を有するいずれのその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するのに適する接着表面上で行われる。
- 工程c)は、細胞の2つの副次集団(接着細胞及び懸濁された非接着細胞)の少なくとも一方を、液体培地での連続的継代により維持及び拡張することを含む。
- 半固形培地は、有利には、セルロース誘導体(特に、メチルセルロース)、並びに以下の成分:コラーゲン、ラミニン及びプロテオグリカンの少なくとも1つを含む再構成された基底膜マトリクス(例えばマトリゲル(Matrigel))からなる群より選択される。
つまり、これらの2つの集団は、CD44+及びCD81+を発現するが、CD31-、CD34-、CD45-、CD90-、CD117- (c-kit)又はFlk1-を発現しない。
この抗原表現型は、非常に特殊である。
- 懸濁された細胞から:接着細胞層が、種々の直径(例えば直径30 mm)の培養ディッシュで得られ、平均で150000個の心臓筋原細胞が2日ごとに産生される。後者は、細胞層が生存している期間にわたって、培養培地中に懸濁されており、その後、老化して(約20日)、その産生が減少する;
- 接着細胞から:回収され、新しい培養ディッシュに入れられた浮遊細胞(floating cells)は、12日で接着し、接着層を再形成する。150000個の浮遊細胞から開始して、12日後に、平均900000個の接着細胞からなる層が得られる。
心臓細胞についての陽性マーカーのうち、Sca-1、トロポニン、MLC2v、CD44、CD81、CD73又はCD38が挙げられる。
心臓細胞についての陰性マーカーのうち、主要組織適合複合体MHCマーカー(MHC1又はMHC2)、CD31、CD34、CD45、c-kit及びFlk1が挙げられる。
- 工程b)のものと同一又は異なる液体培地中に懸濁された細胞の遠心分離と、同じ液体培地中への細胞ペレットの再播種;新しい細胞層が形成され、再び、2種の細胞形態が見出される。2種の形態の培養は、よって、長期間維持できる;
- 酵素による(トリプシン型の)剥離、又は接着細胞層の細胞を剥離するためのいずれのその他の方法、剥離された細胞懸濁物の遠心分離、及び同じ液体培地への細胞ペレットの再播種;同様に、新しい細胞層が形成され、再び、2種の細胞形態が見出される。
2種の形態の培養は、よって、長期間維持できる。
a) メチルセルロースをベースとする半固形培地でのSVF細胞の1次培養、及び心臓筋原細胞の選別、
b) 少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21液体培地、又は無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成に関してBHK21培地のものと同じ種類の組成であるいずれのその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するために適切な接着性表面上での、a)で選別された細胞の2次培養、
c) 上記の細胞を、液体培地での連続的継代により維持及び拡張し、
d) 心臓細胞を得る
ことを含む。
- タンパク質溶解酵素での消化及び物理的分離、特に遠心分離工程と、ろ過及び/又は密度の差の工程との組み合わせによるSVFの単離、
- 物理的分離(ろ過及び/又は遠心分離)及び/又は免疫選別による細胞の精製。
- これらは、自己遺伝子の少なくとも1つの変異を含み得るか、又は
- これらは、異種遺伝子の少なくとも1コピーを含み得る。
上記の遺伝子改変細胞は、好ましくはヒト起源である。
(i) 以下の特徴を有する、伸長形の接着収縮性心臓筋原細胞:CD38+、CD44+、CD73+、CD81+、CD31-、CD45-、Ckit-、CD90-、Flk1-、MHC2-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+及びMLC2v+であり、
(ii) 円くなった形の非接着細胞:CD44+、CD81+、CD31-、CD45-、CD73-、CD90-、Flk1-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+、MLC2v+及びMHC1-であり、
2種の細胞は、ブラキュリ中胚葉性転写因子(Brachyury mesodermal transcription factor)、Islet-1及びMEF-2c転写因子、並びにOct3/4転写結合因子も発現する、
iii) 上記の接着細胞及び非接着細胞の混合物。
これらの2種の細胞(接着及び非接着)は、CD34-でもある。
(i) 少なくとも以下の特徴を有する、伸長形の接着心臓筋原細胞:CD38+、CD44+、CD73+、CD81+、CD31-、CD45-、Ckit-、MHC2-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+及びMLC2v+であり、
(ii) 少なくとも以下の特徴を有する、円くなった形の非接着細胞:CD44+、CD81+、CD31-、CD45-、CD73-、MHC1-、上記の細胞の約50%がSca-1+、トロポニンT+及びMLC2v+であり、
2種の細胞は、ブラキュリ中胚葉性転写因子、Islet-1及びMEF-2c転写因子、並びにOct3/4転写結合因子も発現する。
この実施形態の有利な態様によると、上記の組成物は、トロポニンT及び/又はMLC2v (ミオシン軽鎖キナーゼ2v)も含む。
つまり、本発明による方法は、心臓の潜在性を有する細胞を大量に得ることを可能にする。
- 図1:図1A:種々の条件下で培養したSVFの細胞の形態の変化:
- 初期(D7、上)、及びより進行した段階(D30、下)でのメチルセルロース中、
- 初期(D7、上)、及びより進行した段階(D15、下)でのBHK21液体培地中、
- 初期(D7、上)、及びより進行した段階(D15、中)でのメチルセルロース、次いで選別の後にBHK21中、接着集団(下、左)及び培養を自己維持できる懸濁されている集団(下、右)を増加させる。
- 図5:心筋虚血のマウスモデルに移植して7日後の細胞の存在:免疫組織化学により、梗塞を示す領域において、希な(それらが、従来の条件下で培養したSVFの細胞であるか、又は細胞層の接着細胞のみである場合)、又は多数の(接着+懸濁) GFP細胞が明らかになる。
- 図9:メチルセルロース中での心臓筋原性クローンの出現の頻度。
- 図11:心エコー検査による機能的分析。A:細胞又は培地の注射の0、7及び28日後の収縮終期容量(LVESV, 上)、拡張終期容量(LVEDV, 中)、及び左心室駆出分画(LVEF、下)における変化。B:D0とD28の間の機能的数値の変動の比較。
実施例1:材料及び方法
1) 動物及び組織サンプル
雄性8週齢のC57Bl/6マウス(Harlan, France)、及び雄性GFPマウスは、水及び標準食を自由に摂取させて、制御された環境(明/暗のサイクルが12時間、21℃)で飼育する。
全ての手順は、ガイドラインEEC/No 07430に従って行う。
実験の最後に、マウスを、CO2での麻酔のもとに、頸部脱臼により屠殺する。
脂肪組織を直ちに回収し、その後の分析のために処理する。
方法1:
細胞を、わずかに変更を加えたBjontorpら, 1978により記載される方法に従って、5〜8週齢のマウス全体の脂肪組織から単離する。回収した脂肪組織は、PBSを含有する滅菌ディッシュ内で、顕微鏡の下で解剖し、筋肉組織の全ての痕跡を除去し、次いで、DMEM F12-OK、2% BSA (ウシ血清アルブミン)及び2 mg/mlのコラゲナーゼ(参照 SIGMA)を含有する消化培地中で、3 gの組織あたり10 mlの消化培地にて、37℃にて30分間消化する。DMEM F12-OK培地は、500 mlのDMEM F12 (Gibco 参照31330 038)あたりに5 mlのASP (抗生物質+抗真菌剤の即時使用溶液:0.25μg/mlのアンフォテリシン、100μg/mlのストレプトマイシン、100μg/mlのペニシリンG) (SIGMA 参照A7292)、0.016 mMのビオチン(SIGMA 参照B4639)、0.018 mMのパントテン酸(SIGMA 参照P5155)及び100μMのアスコルビン酸(SIGMA 参照A4034)を含む。未消化のフラグメントをろ過により(25μmフィルタ)により除去した後に、成熟脂肪細胞を、SVFの細胞を含むペレットから、遠心分離(600 g, 10分)により分離する。このようにして単離された間質血管細胞を、DMEM-F12培養培地に再懸濁し、計数する(格子細胞カウンタでの手動の計数又はコールター粒子カウンタ)。
細胞は、3週齢のマウスの脂肪組織から単離し、1 gの脂肪組織あたり10 mlの消化培地を用いて、方法1に記載するようにして方法を行う。消化条件は方法1のものと同一であり、消化培地は異なっている。これは、1 mg/mlコラゲナーゼを補充した6.7 mM Hepes、3 mM NaCl、0.025 mM KCl、0.078 mM CaCl2、4.5 mg/mlグルコース、1.5% BSAを含有する。変形として、消化培地は、2%のBSA及び2 mg/mlのコラゲナーゼを含むPBSバッファーである(GFPトランスジェニックマウスから抽出した肩甲間褐色脂肪組織に特に用いる)。未消化のフラグメントをろ過により(25μmフィルタ)除去した後に、成熟脂肪細胞を、SVFの細胞を含むペレットから、遠心分離により(1000 g, 10分)分離する。
このようにして単離された間質血管細胞を、DMEM-F12培養培地に再懸濁し、さらなる遠心分離を行う(1000 g, 10分)。細胞を、培養培地に再懸濁し、上記のようにして計数する。
2)に記載する単離されたSVF細胞(新しく調製した粗SVF画分)を、メチルセルロースをベースとする培地中で(Methocult GFM3534, StemCell Technologies, Vancouver)培養に付し(30000細胞/ml)、2週間培養を継続し、その間に、得られるクローン(又はクラスタ)の形態を監視する。
収縮性のクローンを刺し、回収してPBSで洗浄する。
迅速に遠心分離した後に(5分, 600 g)、その後の使用のために細胞懸濁物を調製する。
SVF細胞(32000細胞/cm2)又はメチルセルロースベースの培地から採取したクローン(1500細胞/cm2)の粗抽出物を、0.1%ゼラチンで被覆された30 mmディッシュ(Greiner Bio-One)に播種し、10%の胎児ウシ血清(StemCell Technologies)を含み、104Mのβ-メルカプトエタノール(Sigma)、2 mMのグルタミン(Gibco BRL)、1 mMのピルベート(Gibco BRL)、0.1 mMの非必須アミノ酸(Gibco BRL)、並びに0.25μg/mlのアンフォテリシン、100 U/mlのペニシリンG及び100μg/mlのストレプトマイシンを含む溶液(Sigma, APS溶液)を補ったBHK21培地(Gibco BRL)(その正確な組成は、以下の表I及びIIに示す)で培養する。
細胞拡張は、3日ごとに培養培地に懸濁されている細胞を採集することにより行う。遠心分離の後に(600 g, 5分)、細胞を、0.1%のゼラチンで被覆された直径30 mmの培養ディッシュに再び播種し、BHK21培地で培養する。
新しく調製した粗SVF細胞を、30000細胞/cm2の密度で、10%の新生児ウシ血清を補ったDMEM-F12培地(その正確な組成は表IIIに示す)に播種する。これらの細胞は、ADSC細胞(脂肪由来間質細胞)として知られている。
対照実験のために、さらに、これらの細胞を、以下のように処理する。6時間培養した後に、非接着細胞を洗浄により除去し、接着細胞を、表現型決定又は移植(拡張のため)まで6日間培養に維持する。亜集密な細胞を、5分間、37℃のトリプシン消化により採集し、SVF接着細胞画分を構成する。これらの細胞は、マウスに移植される。
細胞を、0.2%の胎児ウシ血清を含むPBSバッファー中で標識し、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、ペリジニン葉緑素タンパク質(PerCP)、又はアロフィコシアニン(APC)にコンジュゲートされた抗マウスモノクローナル抗体と、4℃にて30分間インキュベートする。
洗浄の後に、細胞を、フローサイトメトリ(FACS:蛍光分析細胞ソーター(Fluorescence Analysis Cell Sorter)) (FACS Calibur, Becton Dickinson, Mountain View, California)により分析する。データの取得及び分析は、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて行う。
抗体(CD34、CD31、CD38、CD44、CD45、CD73、CD81、CD90、CD117、Sca1及びFlk1)は全て、BD Biosciences (Heidelberg, Germany)からである。
次いで、抗トロポニンT抗体(Microm Microtech, クローン13-11)で標識した後に、抗マウスPerCP抗体を用いる(BD Biosciences)。
スライド上で培養した接着細胞を、PBSで洗浄し、次いで、4℃にて一晩、3.7%パラホルムアルデヒド/PBSバッファー混液中で固定するか、又はメタノール-アセトン混液(50/50)中で-20℃に冷却する。
1%のBSAを含有するPBSバッファー中で1時間、非特異的部位をブロッキングした後に、細胞を0.3% Triton X100/PBSバッファー混液中で、1次抗体:MLC2vに指向されたマウス抗体(1:2, Biocytex, France)、サルコメアα-アクチニンに指向されたマウス抗体(1:500, Sigma)、抗β-MHCに指向されたマウス抗体(1:X)、抗α-MHCに指向されたマウス抗体、タイチンに指向されたマウス抗体(1:X)、若しくはトロポニンTに指向されたマウス抗体(1:100, Microm Microtech)、又はウサギ抗コネキシン43抗体(1:X, Zymed Laboratories)と1時間インキュベートする。
陰性対照(染色なし)は、精製マウスIgG (Dako X0931)又は精製ウサギIgG (Dako X0903)を用いて行い、いずれの染色も生じない。
好ましくは、定量をリアルタイムで行い、すなわち、シグナルの増加が、反応の間に産生されるアンプリマーの量に直接比例する限りにおいて、プローブにより放射されるシグナルの検出及び定量、特に蛍光の放射を、増幅プロセスの間に行う。
有利には、プローブのそれぞれの一方の末端、好ましくは3'末端は、プローブのそれぞれのハイブリッド形成温度を人工的に増加させ、よってそれらの長さを減少させるMGB (副溝バインダー(Minor Groove Binder))基でも標識される。
同様に、消光蛍光色素は、当業者に知られている。これらは、特に、メチルレッド及びTAMRA (6-カルボキシテトラメチルローダミン)である。
PCRプライマーの配列は、以下のとおりである:
MEF2C
センス:5'-AGATACCCACAACACACCACGCGCC-3' (配列番号1)
アンチセンス:5'-ATCCTTCAGAGAGTCGCATGCGCTT-3' (配列番号2)
Oct-3/4
センス:5'-TCAGCTTGGGCTAGAGAAGG-3' (配列番号3)
アンチセンス:5'-TGACGGGAACAGAGGGAAAG-3' (配列番号4)
ブラキュリ
センス:5'GACTTCGTGACGGCTGACAA-3' (配列番号5)
アンチセンス:5'-CGAGTCTGGGTGGATGTAG-3' (配列番号6)
Islet1
センス:5'-CATCGAGTGTTTCCGCTGTGTAG-3' (配列番号7)
アンチセンス:5'-GTGGTCTTCTCCGGCTGCTTGTGG-3' (配列番号8)
12μlの反応混合物は、3 mM MgCl2及び0.5μMの適切なプライマーの混合物に加えた10μlのLightCycler-DNA Master SYBRグリーンI混合物(TaqDNAポリメラーゼ、反応バッファー、デオキシヌクレオシド混合物及びSYBR Green色素を含むFAST Start Kit)と、2μlのcDNAを含む。
データは、α-チューブリン(内部標準)のPCR分析により標準化する。
温度推移速度は、20℃/秒である。
増幅の後に、融解曲線を、生成物を20℃/秒にて95℃まで加熱し、20℃/秒にて70℃まで冷却し、70℃にて20秒間保持し、次いで、0.1℃/秒にてゆっくりと95℃まで加熱することにより作製する。
蛍光は、ゆっくりとした加熱段階の間に測定する。
融解曲線を用いて、PCR産物の特異性を決定し、これをゲル電気泳動により確認する。
マウスの心臓DNAは、QIAmp (登録商標)ミニ抽出キット(QIAGEN)を用いて単離する。
DNA濃度は、Nanodrop ND100システムを用いて測定する。
DNAの純度は、260及び280 nmでの吸光度測定により確かめる。
- GFP
センス:GGGCACAAGCTGGAGTACAAC (配列番号9)
アンチセンス:TCACCTTGATGCCGTTCTTCT (配列番号10)
-36B4
センス:AGTCGGAGGAATCAGATGAGGAT (配列番号11)
アンチセンス:GGCTGACTTGGTTGCTTTGG (配列番号12)
移植されたマウス心臓でのGFP及び36B4遺伝子を定量するための標準曲線は、ドナーマウスのGFP DNAを移植されたマウスのC57Bl/6N DNAと混合することにより作製する。
雌性8〜12週齢のC57Bl/6Nマウス(22〜28 g)を用いる。これらは、GFPドナーマウス[GFP (緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein))を発現するトランスジェニックマウス] (Okabe M.ら, FEBS Lett., 1997, 407, 3, 313〜319)に遺伝的に非常に近いので、免疫サプレッサーによる処置は必要でない。
ガス麻酔は、イソフルラン又はハロタン2%を用いて維持する。
5番目の肋間腔までの左の開胸の後に、心膜を開き、左の下行動脈を、8/0ポリプロピレンの糸(Ethicon, Johnson & Johnson, Brussels)で結紮する。この直後に、1×105細胞を含む合計容量10μlを、虚血領域の3点(蒼白な領域、結紮の下流)に、Hamilton No. 701シリンジ(Reno, Nevada)を用いて注射する。
胸を再び閉じ、マウスを目覚めさせる。
心筋梗塞の前(比較点)及び3日後にデータを得るために、亜急性のモデルを用いる。
細胞又は培地(対照群)の注射は、冠状動脈を結紮した3日後に、同じ肋間アプローチを用いて行う。対照のエコー検査は、梗塞の作製の前に行い、ベースラインとする。次いで、エコー検査を梗塞の3日後に行い、D0に相当する。本発明による細胞又は培地の注射を、次いで行う。
試験した全ての種類の細胞を、同じ量(105)で注射し、同じ容量に(10μl)再懸濁する。
マウスを、CO2での麻酔のもとに、頸部脱臼により屠殺する。7、14及び28日目に心臓を迅速に回収し、中心軸に沿って長手方向に切断し、3.7%又は4%のパラホルムアルデヒド中で4℃にて一晩固定する。組織をパラフィンに包埋させ、6μmの切片に切断する。
機能的心エコー検査評価は、心筋梗塞の前(比較点)、注射の直前(D0、心筋梗塞の3日後)、並びに注射の1週間(D7)及び4週間(D28)後に、2群において行う。
全ての心エコー検査分析は、ガス麻酔のもとに行う。エコー検査評価は、14 MHz線形マトリクストランスデューサ(Agilent; Andover, MA)を備えたVIVID 7心エコー検査システム(General Electric)を用いて行い、これにより、左心室にわたる横断切片が得られる。収縮終期及び拡張終期の段階は、左心室の表面が、それぞれ最小又は最大である段階と定義する。
その他の心臓パラメータも、2-Dで測定する。
EF (%) = [(0.85 LVAD2/LVLD)-(0.85 LVAS2/LVLS)]/(0.85 LVAD2/LVLD)×100
(式中、LVADは拡張終期の左心室面積に相当し、LVASは収縮終期の左心室領域に相当し、LVLDは拡張終期の左心室の長軸の長さに相当し、LVLSは収縮終期の左心室の長軸の長さに相当する)。
各値は、3回の測定の平均である。
全てのデータは、平均±SEMとして表す。
全てのP<0.05は、統計的に有意であるとみなす。
2.1.:標準培地
多分化能幹細胞の培養に従来用いられる10%の新生児ウシ血清を含むDMEM-F12標準液体培地、又は10%の胎児ウシ血清を含むBHK21培地を、メチルセルロース(陽性対照:図1A)との比較で試験した。
加える成分に関わらず(IL3、IL6、SCF、BMP2、TGF-β、おそらく5-アザシチジンへの曝露でも)、DMEM-F12培地では、効率的な様式でSVF細胞の心臓細胞への分化は起こらない。
2.2.1
粗SVF細胞を、10%胎児ウシ血清を含むBHK21培地中で、かつ適切な接着性支持体又は表面(ゼラチン)上で播種して培養した場合、約10%の細胞が、細胞の自発的収縮及びトロポニンTの発現により評価される心臓表現型を示す(図1B)。β-メルカプトエタノールを除去すると、心臓細胞のクラスタは出現しないが、この化合物を他の従来の培養培地に加えても、心臓分化を誘導しない。よって、β-メルカプトエタノールが、SVF細胞を心臓分化に導くために充分ではないが必要であり、BHK21培地も重要であることが示唆される。
心臓表現型のクラスタがこれらの培養条件下で得られる頻度は変動可能であるが、それにもかかわらず、それらを移植する目的のために充分な心臓細胞を得ることを可能にする。
- 収縮性クローンが出現するまでの(約2週間)メチルセルロースをベースとする培地(実施例1.3を参照)での1次培養;
- 倒立顕微鏡の下での解剖による収縮性細胞の選別(伸長細胞及び円くなった細胞の両方の選別);
- 実施例1.4に開示される条件下での、すなわちゼラチンで被覆されたディッシュへの播種及びBHK21培地の添加による、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21液体培地中での、選別されたクローンの培養。
2週間後に、細胞の約60%はトロポニンT+である(図1B)。
この段階で、培養物は、2つの異なる形態の型の細胞を含む:接着する収縮性の繊維と、該繊維に付着するが、主に懸濁物中にあり、非接着性の丸くなった細胞。
非接着性の円くなった細胞は、あまり付着せず、培養培地の回収及び遠心分離により回収できる。
一方、CD90を多く発現する細胞(60%)は、培養において弱い心臓の潜在性を示す(トロポニンT+が30%又はそれ未満)。この観察は、繊維の形で収縮性の伸長細胞の代わりに、培養培地中に発生する小さい繊維芽細胞の副次集団の存在と関連する。
円くなった細胞の長期培養(15回を超える継代、n = 3)は、これらの細胞が安定な形態を有することを示す。
トリプシンの使用を避けるために、よって、細胞の良好な拡張を得て、培養培地に懸濁された細胞(円くなった細胞)を回収し、再播種することが可能である。
このような手順を用いて、トリプシンを用いることなく、脂肪組織1グラムから(20×106粗SVF細胞)、2×108トロポニンT陽性接着細胞、及び1.5×108非接着細胞を4週間で得ることができる。このことにより、顕著な拡張が可能になる。30-mmディッシュあたり200000細胞(200000/P30)で播種したときに、これらの円くなった非接着細胞は、8日間で、トロポニンT陽性細胞を60%含む106細胞の集密な層になる。
同時に、各プレートは、4〜6週間にわたって、10〜15日間にわたって2日ごとに、すなわち少なくとも接着層が老化するまで、懸濁された150000個の円くなった細胞を産生する。
- DMEM-F12培地のみでのSVFの細胞の培養:
ほとんど又は全く心原性細胞が得られない。細胞は、これらの条件下では培養フラスコにほとんど又は全く接着しないので、培地の最初の交換の際に(播種後3時間45分)失われる。懸濁されたままの細胞を含む培養培地を採集する場合、心原性細胞はその中に見出すことができ、メチルセルロースでの培養により明らかにできる。
図9は、メチルセルロース中での心原性クローンの出現の頻度を示す。
心原性細胞の存在が観察される。
これらの条件下では、細胞は、細胞培養支持体に接着し、心原性細胞の培養が可能である。しかし、他の(非心原性)細胞がさらに接着して成長するので、培養物は不均質である。
細胞の表現型を、図2にまとめる。2種の細胞が、以下の表現型の特徴を有することがわかる:CD44+、CD81+、CD31-、CD45-、CD90-、ckit-、Flk1-、並びに少なくとも50%がSca-1、トロポニンT及びMLC-2vに陽性である。
トロポニンTの高い発現は、CD90の低い発現(3〜9%)と、逆の相関関係がある。
以下の表IVは、これらの特徴をまとめている。
これらのマーカーが相伴って同定されることは、未成熟細胞の存在、及びこれらの集団の分化の程度の点での不均質性を反映する。
本発明による方法を用いて得られる心臓筋原細胞の数の、PCT国際出願WO 02/055678に記載される方法を用いて得られる細胞の数との比較を、以下の表Vに示す。これらのデータは、1 gの脂肪組織から得られる(20×106 SVF細胞)。
GFP細胞をマウス梗塞モデルに注射した後に(実施例1.8の条件)、円くなった及び伸長されたGFP細胞の成果を、単独又は粗SVF-GFP細胞との比較で研究する。
円くなった細胞は、培養上清の遠心分離により得る。接着細胞が濃縮された培養物を、接着層のトリプシン消化の後に回収し、これを、ほとんどの円くなった細胞を除去するように洗浄する(実施例1を参照)。
分析の時間に関わらず(7又は14日間)、マウスにおいてGFP細胞は実質的に見出されない。
これらは、常に、繊維芽の見かけであり、心臓マーカーは検出されない(図5)。
単離されたGFP細胞は、7日目に4つのうち3つの心臓で、そして14日目に5つのうち3つの心臓で検出される。これらのGFP細胞の形態は伸長されているが、条線が観察されないので心臓型の形態ではない(図5)。
1ヵ月後に、分析した5つのうち4つの心臓で、GFP細胞の表現型は、条線を有する細胞の均質な形態により近くなる。
マウスが接着細胞及び懸濁の細胞の両方を受容した群において、心臓細胞の特徴を発現するGFP陽性細胞の存在は、全ての心臓において実質上観察される。
これに対して、冠動脈を結紮した3日後に細胞を注射した亜急性心筋梗塞モデルにおいて、D7での移植されたGFP細胞のパーセンテージは、2.2%±0.511であり、平均で2201 GFP細胞である(図10)。
細胞注射の直後にマウスを屠殺する対照実験により、注射された細胞の7%だけが再び見出されることが明らかになる(図10)。
この量は、注射された100000細胞のうち6946細胞である。
まとめると、用いた心筋梗塞モデルによると、100000 GFP細胞の注射は、7000細胞の移植をもたらし、7日後に、5300〜2200 GFP細胞がまだ存在する。
これらの条件下で、急性モデルと同様に、移植体は観察されない(n = 9)。
結果を、表VIにまとめる。
驚くべきことに、ほとんど(非接着細胞の集団を用いて、図5)、又は全く(接着細胞の集団を用いて) GFP細胞は、それらを別々に投与したときに、注射の7又は15日後に同定できない。
つまり、2種の細胞の同時注射が必要である。
結果は、表VIIにまとめる。
この研究は、本発明による心臓細胞が、虚血になった心臓の左心室の機能を防御又は回復するかを確かめることを可能にする。
心エコー検査による評価により、心筋梗塞の動物の2つの群を比較できた。
いくつかのパラメータを、リモデリング(直径及び容量に基づいて)、及び心収縮機能(左心室駆出分画に基づいて)を2群において評価するために、分析した。
冠動脈の結紮の3日後、及び注射の直前に(D0)、心臓機能は、2群において同様の様式で損なわれ(P = 0.5825)、このことは、心筋梗塞のサイズが類似であることを示す(図11)。
この対照群では、LVEFが、D7にて52.9%±4.9 (D0)から44.7%±5.8に減少し、D28には最終的に38.75%±5.5に到達する(P<0.0001 D7 対 D28)。
細胞で処置した群において、LVEFは、D7 対 D28のP = 0.967で、安定したままである(D0にて56.6%±4.5;D7にて56.4%±5.8、及びD28にて57.7%±4.4)。
D28での左心室のよりよい効率が、処置された9つのうち5つの心臓で、GFP及びMLC-2vを同時発現する細胞の存在がD28に同定されることにより支持される(図11を参照)。
Claims (17)
- 少なくとも以下の:
a) 粗間質血管画分(SVF)から心臓筋原細胞を選別する工程と、
b) 工程a)で選別された細胞を、エクスビボで心臓筋原細胞を拡張するために最適化された液体培地中で培養する工程であって、該液体培地が、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、並びに無機塩、アミノ酸及びビタミンの組成が以下:
c) 前記液体培地での連続的継代により、前記細胞を維持及び拡張する工程と、
d) 心臓細胞を得る工程と
を含むことを特徴とする、心臓細胞を得る方法。 - 工程a)における選別が、半固形培地中の粗間質血管画分の細胞の1次培養により、収縮性細胞のクラスタ(又はクローン)が出現するまで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法(方法1)。
- 工程b)が、形態的な型が異なる2つの副次集団、すなわち伸長型の接着細胞と円形(又は円くなった)型の非接着細胞とからなる前記収縮性細胞をサンプリングすることと、心臓筋原細胞又は幹細胞をエクスビボで拡張するために最適化された液体培地中で前記収縮性細胞を2次培養することとを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 工程c)が、細胞の2つの副次集団(接着細胞及び懸濁されている非接着細胞)の少なくとも一方を、液体培地中の連続的継代により維持及び拡張することを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
- 工程a)の半固形培地が、有利には、セルロース誘導体、並びに以下の成分:コラーゲン、ラミニン及びプロテオグリカンの少なくとも1つを含む再構成基底膜マトリクスからなる群より選択されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 工程a)による培養時間が、数日から数週間、好ましくは1から2週間であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 収縮性細胞の2次培養に先立って、心臓細胞陽性マーカーSca-1、トロポニン、MLC2v、CD44、CD81、CD73およびCD38、ならびに心臓細胞陰性マーカー主要組織適合マーカーMHC1またはMHC2、CD31、CD34、CD45、c-kitおよびFlk1を用いる第2選別が行われることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 工程b)の前記液体培地が、有利には、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、又は請求項1に定義されており、かつES型細胞に用い得るその他の培地であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 工程a)における選別が、粗SVFの細胞を、請求項7で定義される少なくとも1つの心臓細胞についての陰性マーカーを用いる細胞ソーティングにより行われ、工程b)が、選別された細胞を、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含むBHK21培地、又は請求項1に定義されており、かつES型細胞に用い得るその他の培地中で培養することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(方法2)。
- 液体培地中で培養を維持及び拡張する工程c)が、以下の2つの方法:
- 工程b)のものと同一又は異なる液体培地中に懸濁された細胞を遠心分離し、同じ液体培地中に細胞ペレットを再播種するか、又は
- 接着細胞層の細胞を酵素により又は任意のその他の剥離の方法により剥離し、剥離された細胞懸濁物を遠心分離し、同じ液体培地中に細胞ペレットを再播種するの1つに従って行うことができることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 - 前記心臓筋原細胞が、遺伝子改変されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 虚血性心臓部を再構築できる医薬品の製造のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載される方法で開示される条件下での間質血管画分の細胞から得ることができる心臓細胞の使用であって、前記心臓細胞が:
(i) 以下の特徴の少なくとも1つを有する伸長形の接着収縮性心臓筋原細胞:CD38 + 、CD44 + 、CD73 + 、CD81 + 、CD31 - 、CD45 - 、Ckit - 、Flk1 - 、MHC2 - 、該細胞の約50%がSca-1 + 、トロポニンT + 及びMLC2v + である、
(ii) 少なくとも以下の特徴を有する円くなった形の非接着細胞:CD44 + 、CD81 + 、CD31 - 、CD45 - 、CD73 - 、MHC1 - 、前記細胞の約50%がSca-1 + 、トロポニンT + 及びMLC2v + である、
iii) 前記接着細胞と前記非接着細胞の混合物
からなる群より選択され、
(i)及び(ii)の種類の細胞は、ブラキュリ中胚葉性転写因子、Islet-1及びMEF-2c転写因子、並びにOct3/4転写結合因子も発現する、使用。 - 薬剤が、トロポニンT及び/又はMLC2vも含むことを特徴とする請求項12に記載の使用。
- a)で選別された細胞を培養する工程b)が、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含む前記BHK21液体培地、又は請求項1に定義されるその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するのに適する接着性表面上で行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- a) メチルセルロースをベースとする半固形培地中でのSVF細胞の1次培養、及び心臓筋原細胞の選別、
b) a)で選別された細胞の、少なくとも胎児ウシ血清とβ-メルカプトエタノールとを含む前記BHK21液体培地、又は請求項1に定義されるその他の培地中で、かつ心臓筋原細胞をエクスビボで拡張するのに適する接着性表面上での細胞の2次培養、
c) 液体培地中での連続的継代による前記細胞の維持及び拡張、並びに
d) 心臓細胞を得ること
を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 - 新しく調製した粗間質血管画分(SVF)から、BHK21培地中で、かつ適切な接着性支持体又は表面上でSVFの該細胞を直接、1次培養することにより、心臓筋原細胞を選別することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 適切な接着性支持体又は表面が、ゼラチン、接着タンパク質、及び細胞外マトリクスタンパク質からなる群より選択されることを特徴とする請求項14又は16に記載の方法。
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