〔パチンコ機の全体構造〕
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図8を参照して実施形態に係るパチンコ遊の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機1の外枠2に対して本体枠3を開放し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ機の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ機1の正面図であり、図4は、パチンコ機1の側面図であり、図5は、パチンコ機1の平面図であり、図6は、パチンコ機1の背面図であり、図7は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の後方から見た分解斜視図であり、図8は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図8において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101と該遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。ここで、扉枠5が本発明の扉形前面部材に相当し、皿ユニット300が本発明の貯留皿ユニットに相当する。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板15によって被覆されている下部前面板14が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置650(本発明の発射装置に相当)と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100が取り付けられ、本体枠3の後面開口580(図7参照)を覆うカバー体1250が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300の他に、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250と、操作ユニット1700とが設けられている。なお、扉枠5と本体枠3とは正面から見てほぼ同じ方形の大きさであり、正面から本体枠3が視認できないようになっている。以下、パチンコ機1を構成する部材について詳細に説明する。
〔外枠〕
外枠2について、主として図9乃至図13を参照して説明する。図9は、外枠2の正面斜視図であり、図10は、同外枠2の正面から見た分解斜視図であり、図11は、同外枠2の正面図であり、図12は、同外枠2の背面図であり、図13は、図11のB−B断面図(A)と図13(A)のC−C断面図(B)、D−D断面図(C)、E−E断面図(D)である。
図9及び図10において、本実施形態に係る外枠2は、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とを、それぞれの端部を連結するための連結部材19で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、連結部材19は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10及び下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部20に嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。
そして、その状態で、上枠板10の係合切欠部20の両側方及び下枠板11の係合切欠部20の両側方にそれぞれ形成される挿通穴21と連結部材19の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴22(図10の上枠板10と側枠板12とを連結する連結部材19に表示するが、他の連結部材19にも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス23で止着し、更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴24と連結部材19の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴25とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス26,27で止着することにより、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス26,27のうち、1本の連結ビス27は、側枠板12,13と連結部材19とを連結するものではなく、上枠板10及び下枠板11と連結部材19とを側方から直接連結するものである。
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁540〜543(図33参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域605を大きく形成することができるからである。
なお、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図13(C)に示すように、側枠板12(側枠板13も全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部28(側枠板13の空間部28は図12に表示)を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。
また、図13(B),(D)に示すように、側枠板12の空間部28の前方には、連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部29(側枠板13の溝部29は図9に表示)が形成されている。側枠板12の溝部29から前端部までは、図13(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材19の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、前記溝部29が形成される反対側の面(外側面)には、図9及び図13(B)に示すように、上支持金具45の垂下片部53が挿入される凹部30(側枠板13の凹部30は図10に表示)が形成されている。
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に上支持金具45の垂下片部53を側枠板12の外側に止着ビス32で止着するための取付穴31が穿設されると共に、その下部に下支持金具66の垂直当接片72に形成される取付穴69と一致させて止着ビス34で止着するための取付穴33が穿設されている。また、取付穴33の下部であって側枠板12の前方部分に側枠板12と下部前面板14とを止着ビス36で止着するための取付穴35が形成されている。
一方、開放側の側枠部13には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起38を取付ネジ39で取り付けるための取付穴37が穿設され、その下部に閉鎖用突起41を取付ネジ42で取り付けるための取付穴40が穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13と下部前面板14とを止着ビス44で止着するための取付穴43が形成されている。
なお、この閉鎖用突起38,41は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図75参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置1000のシリンダー錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起38,41との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定される下部前面板14は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、下部前面板14の表面及び側面は、装飾カバー板15によって被覆されているが、装飾カバー板15の裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起16(図12参照)が突設され、その止着突起16が下部前面板14に貫通される止着穴17に貫通させられることにより下部前面板14に取り付けられている。なお、外枠2の装飾カバー板15の開放側の上面には、本体枠3の閉止時に該本体枠3をスムーズに案内するための案内板18が交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具45と下部前面板14の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具66とが設けられている。上支持金具45には、前方に突出している支持突出片46に該支持突出片46の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴47が形成されており、この支持鉤穴47に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504(図35参照)が着脱自在に係合されるようになっている。
また、下支持金具66も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起68が突設され、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506(図36参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具66の支持突起68に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴47に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
また、上支持金具45は、上枠板10の軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部49に装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具45に形成される複数(図示の場合2個)の取付穴48と取付段部49に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴50とを一致させて取付ビス51を上方から差し込み、上枠板10の裏面から押し当てられる挟持板52に止着することにより上支持金具45が上枠板10に堅固に固定される。
また、上支持金具45の外側側方には、側枠板12の外側に当接する垂下片部53があり、その垂下片部53にも取付穴が穿設され、この取付穴と前記取付穴31とを止着ビス32で止着することにより、上支持金具45と側枠板12とを固定すると共に、上枠板10と側枠板12とを上支持金具45を介して連結している。
一方、下支持金具66は、前述したように側枠板12の取付穴33と垂直当接片72の取付穴69とを一致させた状態で止着ビス34で止着し、さらに、下支持金具66の水平面の中程に穿設される取付穴70に取付ネジ71を差し込むことにより、前記装飾カバー板15を介して前記下部前面板14の上面に止着されるものである。
上記のように構成される外枠2において、その構成部材である上枠板10と下枠板11と側枠板12,13とを連結部材19で連結することにより、連結部材19が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材19と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材19と上枠板10及び下枠板11との係合状態に加え、連結部材19の側枠板12,13への取り付けに際し、溝部29に連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材19の側枠板12,13への取り付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。
また、連結部材19によって上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結した後、上支持金具45を所定の位置に取り付けたときに、図11及び図12に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取り付けることができる。また、下支持金具66を取り付けたときにも、下部前面板14の上面と下支持金具66の上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
〔扉枠〕
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図14乃至図19を参照して説明する。図14は、扉枠5の正面図であり、図15は、扉枠5の背面図であり、図16は、図14に表示されるA−A断面図であり、図17は、図14に表示されるB−B断面図であり、図18は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図19は、扉枠5の背面から見た分解斜視図である。
図14、図15、図18及び図19に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の下方に操作ユニット1700の操作基台1702(詳細は後述する)が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金210が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250が取り付けられると共に、遊技窓101の下方の板状部の裏面に、装着台280、及び枠装飾中継基板290がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット250の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー270も装着されている。以下、扉板5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
<扉枠本体>
図18及び図19に示すように、扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、後述するスピーカ163を貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方に後述するガラスユニット250の止め片254を係止するための止めレバー108(図15参照)が回動自在に設けられている。なお、本実施形態に係る遊技窓101は、従来に比べて上下方向及び左右方向の寸法が大きくなった遊技盤4が取り付けられるため、遊技窓101の上下方向及び左右方向の寸法も大きくなっている。このため、後述する扉枠レンズユニット120の形状が従来一般的に知られているものと大きく相違する。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋451が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに後述する側面開口蓋406を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット287を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りにシリンダー錠1010が貫通するための錠穴106が開設されている。
また、球送り開口104の下方の板状部には、裏面側の遊技窓101の下部左右にガラスユニット250の掛止突片255を掛け止めるための係合受片(図示せず)が形成され、その係合受片の側方に防犯カバー270の後述する装着弾性片273が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って後述する皿ユニット300の案内穴(図示しない)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、後述するように、この扉枠突片112と本体枠3に形成される係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
<扉レンズユニット>
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について説明する。扉レンズユニット120は、前面側を反射面とするリフレクタと、リフレクタの前面及び内側に取り付けられる冷陰極管及びLED基板と、リフレクタの前方を覆う光透過性のあるレンズカバー150と、レンズカバー150に取り付けられるスピーカ163と、レンズカバー150のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズカバー150は、レンズベース体121における上レンズカバー部151と、側方レンズカバー部156,157とが透過性の樹脂によって形成されている。そして、前述したように扉枠本体100に形成される遊技窓101の開口寸法が従来よりも大きく形成されているため、扉枠本体100の外周辺と遊技窓101の内周辺との間の寸法、換言するならば、レンズカバー150が取り付けられるための寸法(特に、左右両側部の寸法)が狭くなっているため、本実施形態におけるレンズカバー150は、上レンズカバー部151と側方レンズカバー部156,157のすべての最大前方突出部において、その基部寸法(扉枠本体100に当接する部分の幅寸法)に対して前方に向って突出する突出寸法が大きくなるような断面楔形状となっている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部151及び側方レンズカバー部156,157は、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部の下部後端の遊技窓101を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部を連結して構成されるものである。
ところで、上レンズカバー部151は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部151の楔状先端部外側には、銀色に着色された不透明な先頭モール部材154が固着されており、上レンズカバー部151のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管で照明している。また、側方レンズカバー部156,157は、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部151と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部151に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。
また、本実施形態において、扉枠5の前面周囲を装飾する照明手段として冷陰極管を使用している理由は、以下の通りである。扉枠5の前面周囲を装飾する際に、発光源とその発光源の前面に配置されるレンズカバーの距離をあまり大きく取ることができないという制約がある。この制約は、扉枠5は常に開閉されるため、あまり突出量を大きくすると、開放時における作業等に支障を来たすおそれがあるからである。しかして、発光源とレンズカバーとの間の距離があまりとれない状況において、従来のように、発光源として、ランプやLEDを点在させた場合に、レンズカバーを通して視認できる光装飾は、連続した状態の光装飾が視認できるものではなく光が強い部分と弱い部分との斑模様に視認できるに過ぎない。これに対し、本実施形態のように、発光源として連続した冷陰極管を使用した場合に、冷陰極管とレンズカバー150との距離が短くても、レンズカバー150を通して視認できる光装飾は、連続した状態の美しい光装飾が視認できるものである。このため、正に遊技盤4を囲む領域が連続した美しい光装飾により縁取られた状態となるので、従来のパチンコ機にはない装飾効果を奏することができる。なお、発光源とレンズカバーとの距離をある程度とることができる場合には、LED等の点在する発光源を使用しても光が拡散してレンズカバーの全域をあまり強弱がなく照明することができる。
更に、レンズカバー150の側方レンズカバー部156,157の下方に装飾部材取付領域184が形成され、その装飾部材取付領域184に装飾部材185が取り付けられている。この装飾部材185は、上記したスピーカカバー165と類似した形状にして、レンズカバー150を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー150の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。なお、上記したスピーカカバー165及び装飾部材185は、上記したように単にスピーカ163の前方を覆ったり、あるいはレンズカバー150の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー165及び装飾部材185は、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管及びLED基板による光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
<補強板金>
扉枠本体100の前面側には、上記した扉レンズユニット120が取り付けられると共にその下方に皿ユニット300が取り付けられる。ここで、皿ユニット300の構造を説明する前に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金210、ガラスユニット250、防犯カバー270、装着台280、枠装飾中継基板290、操作ユニット1700について順次説明する。まず、補強板金210について主として図18、図19、及び図15乃至図17を参照して説明する。
補強板金210は、図18及び図19に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金211と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金212と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金213と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金214と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
図18に示すように、軸支側補強板金212の上下端部には、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン219を有する上軸支部218と、その下面に軸ピン221(図15参照)を有する下軸支部220と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン219,221が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具503及び下軸支金具509に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
下側補強板金214は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片229となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片230となっているものの、その両側部の上折曲突片230に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片231となっている。下折曲突片229の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片229が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片230の突出量は下折曲突片229の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金214の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片231である。
この垂直折曲突片231は、その上端縁形状が後述するガラスユニット250のユニット枠251の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット250を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片231の上端片がガラスユニット250のユニット枠251の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝261に係合するようになっている(図17参照)。なお、下側補強板金214には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部228が形成されている。
<ガラスユニット(透明板ユニット)>
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット250について説明する。ガラスユニット250は、図18及び図19に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠251と、ユニット枠251の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板262(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を(ホットメルト系接着剤で)接着することにより構成されるものである。なお、図示は省略するが、ユニット枠251には、内部に乾燥剤を封入する乾燥剤封入空間部が形成されている。
<防犯カバー>
次に、上記したガラスユニット250の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー270について、主として図15、図17、図18、及び図19を参照して説明する。防犯カバー270は、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金212,213の間のガラスユニット250の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レール603の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部271として形成されていると共に、その当接凹部271に沿って後方に向って防犯後突片274が突設されている。また、防犯カバー270を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片275が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー270の前面には、防犯カバー270を取り付けた状態で前記ガラスユニット250のユニット枠251の下方形状に沿った防犯前突片272が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片273が前方に向けて突設形成されている。
上記のように構成される防犯カバー270は、装着弾性片273を扉枠本体100に形成される装着開口部110に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取り付けられる。そして、取り付けた状態では、図17に示すように、防犯前突片272がガラスユニット250のユニット枠251の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片272の前端は、垂直折曲突片231と当接している。また、防犯後突片274及び防犯後端部突片275は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片274の軸支側の半分は、遊技盤4に固定される内レール603の下側面に侵入して対面した状態となるが、防犯後突片274の開放側の半分は、前構成部材601の内レール603に形成されたレール防犯溝607に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片275は、本体枠3の軸支側に形成される前記防犯突起608の上面に沿って重合状の位置となる(図40参照)。
而して、防犯カバー270を取り付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片112と係合溝584,585とによる防犯構造、及び後述する防犯突片285と防犯空間586とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット250の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片272とユニット枠251との重合により、防犯カバー270の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片274と前構成部材601を構成する内レール603との重合により、防犯カバー270の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片275との重合構造によって外レール602への不正具の侵入が阻止され、さらに内レール603と防犯後突片274との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。
また、同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金213の二重の折曲突片223,225による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー270の裏面側の防犯後突片274と防犯後端部突片275との間の垂直面は、扉枠5を閉じた状態で外レール602と内レール603とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、当該誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板262への衝突を防止する機能も有している。
<装着台>
装着台280は、図15、図18、及び図19に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー270と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台280は、発射レール515から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台280の後面と本体枠3の板部511とによって発射レール515を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台280の後面に球飛送誘導面286が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台280には、その軸支側上部に下側補強板金214に形成される賞球通過口被覆部228の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口281が形成され、その開放側下部に球送りユニット287を取り付ける球送りユニット取付凹部282が形成されている。この球送りユニット取付凹部282から斜め方向の領域が球飛送誘導面286となっている。
また、球送りユニット取付凹部282に取り付けられる球送りユニット287(図15参照)は、後述する打球発射装置650の打球槌654の往復動作に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部の流下端にある球を発射レール515の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台280の中程下部に後述する側面開口蓋406を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口283が形成されている。更に、装着台280の上辺の一部に垂直に立設される立壁284が形成されている。この立壁284は、図15に示すように、前記防犯カバー270を取り付けたときに、該防犯カバー270の前面と当接して防犯カバー270の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
更に、本実施形態に係る装着台280の特徴は、上述した球飛送誘導面286の下方から賞球通過口用開口281にかけて斜め状に防犯突片285が後方に向って突設される構造である。この防犯突片285は、前述したように、本体枠3の板部511に形成される防犯空間586との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
<枠装飾中継基板>
上記した装着台280の下部の軸支側には、図15及び図18に示すように、枠装飾中継基板290が取り付けられ、その枠装飾中継基板290の後面を覆う中継基板カバー291が取り付けられている。この枠装飾中継基板290は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管、LED基板、スピーカ163、操作ユニット1700内に設けられるスイッチ、貸球ユニット327、操作ボタンユニット329等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板290からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット1100に組み込まれる扉中継基板1102等を介しての賞球払出制御基板1186や遊技盤4に取り付けられる主制御基板ボックス624の主制御基板1350(図100参照)に接続されている。
<皿ユニット>
次に、主として図14、図18及び図19を参照して皿ユニット300の構成について説明する。皿ユニット300は、大きく分けて外観を構成するユニット枠301と、ユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット340と、下部スピーカユニット340の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体380と、皿体380に設けられる第二球抜弁の球抜き動作をするための第二球抜きリンクユニット(図示せず)と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋板450と、から構成されている。
ユニット枠301には、貸球ユニット327が備えられている。この貸球ユニット327は、パチンコ機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。また、ユニット枠301には、上面の前方中央に操作ボタンユニット329が備えられている。なお、操作ボタンユニット329は、複数(図示の場合は3個)の押ボタン装置330a,330b,330cを有して構成されているが、この複数の押ボタン装置330は、遊技盤4に設けられる液晶表示装置640等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。なお、図示しないが、夫々の押ボタン装置330は、上面に押圧操作面が形成された操作ボタンと、操作ボタンを押圧操作方向に変位可能に支持するベース部材と、操作ボタンの押圧操作により操作ボタンが検出位置に変位したことを検出する押圧操作検出手段とを具備して構成されている。押圧操作検出手段としては、リミットスイッチ等、作動部を押圧することによって接点が切替わる接触式の検出手段を用いてもよく、発光素子及び受光素子を対峙させてなるフォトセンサや、電磁的な変化を検出する近接センサ等の無接触式の検出手段を用いてもよい。
更に、皿ユニット300には、ユニット枠301の上面右側に、第一球抜ボタン316が配置されていると共に、ユニット枠301の中央下部に、第二球抜リンクユニットの一部を構成する第二球抜ボタン421が配置されている。なお、本実施形態において、第一球抜ボタン316と第二球抜ボタン421の2つの球抜ボタン316,421を設けたのは、第一球抜ボタン316の操作によって、皿体380の貯留部381及び誘導通路部に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部382で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第二球抜ボタン421の操作によって、皿体380の貯留部381から上流側の球を径の大きな第二球抜開口から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。
また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ916(図65参照)が機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第二球抜ボタン421の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
<操作ユニット>
次に、操作ユニット1700について、主に図21〜図30を参照して説明する。図21は、扉枠下部の拡大正面図であり、図22は、操作ユニットの正面から見た斜視図であり、図23は、操作ユニット及び打球発射装置の平面図であり、図24は、操作ユニットの正面から見た分解斜視図であり、図25は、操作ユニットにおける摺動操作部の正面から見た分解斜視図であり、図26は、操作ユニットにおける操作基台の内部構造を正面から見た分解斜視図であり、図27は、図23に表示されるD−D断面図であり、図28は、操作基台及び摺動操作部の接触状態の変化を示す断面図であり、図29は、原点位置における操作基台内の状態を示す断面図であり、図30は、最強度位置における操作基台内の状態を示す断面図である。
図21に示すように、操作ユニット1700は扉枠5の前面下部、特に皿ユニット300の右下に配置されており、打球発射装置650(図46参照)の打球槌654によって打ち込まれる遊技球の発射強度を調整可能とするものである。図22及び図23に示すように、操作ユニット1700は、取付カプラ1704(図24参照)を介して扉枠5の前面に取設された操作基台1702と、操作基台1702の摺動案内面1720上で摺動可能に支持された摺動操作部1703とを具備して構成されており、摺動操作部1703は、定点Pを中心として、原点位置(図23では実線で示す位置)から最強度位置(遊技球の発射強度が最も大きくなる位置:図23では二点鎖線で示す位置)までの間で任意に変位させることが可能になっている。
まず操作基台1702の構成について具体的に説明する。図24に示すように、操作基台1702は、トッププレート1710と、トッププレート1710の周面を覆うように取付けられた枠部材1712と、それらの下部に取付けられた底面部材1711とから箱状に構成され、その内部には、摺動操作部1703が原点位置(初期位置)であることを検出する原点位置検出手段1713と、摺動操作部1703の摺動位置(操作位置)を検出する摺動位置検出手段1714と、摺動操作部1703を原点位置に復帰させるように付勢する復帰手段1715と、特定の遊技状態の際、摺動操作部1703を操作する遊技者の手に振動の感触を付与する振動発生手段1716とが備えられている。
さらに詳細に説明すると、トッププレート1710は合成樹脂製であり、扇状の摺動案内面1720を有する上面部1721と、その周縁から垂下された周壁部1722とから構成され、下面が開放された蓋状の形状を呈している。なお、合成樹脂としては、熱硬化性の合成樹脂(例えばフェノール樹脂やメラミン樹脂)が使われている。この合成樹脂は、タバコの火を押しつけた程度では変形したりや発火したりすることのない耐熱性のものであり、例えば、遊技機の灰皿等においても使用されている。トッププレート1710は、上面部1721が略水平となるように配置されており、摺動案内面1720上で摺動操作部1703を略水平方向に回動させることが可能になっている。また、摺動案内面1720には、遊技者側の定点P(図23参照)を中心とした同心円上に断面山形の突条1720a(図27参照)が径方向に所定の間隔で形成されており、全体的に見て、定点Pから遠心方向に広がる波のような表面形状となっている。なお、定点Pには、透孔1723が穿設されており、後述する摺動操作部1703の回転軸連結部1820(図25参照)が挿通可能となっている。また、透孔1723の近傍には、摺動操作部1703から引出された電線(図示しない)を操作基台1702の内部に引き込むための配線孔1724が形成されている。さらに、摺動案内面1720の外周側の上面部1721には、定点Pを中心とする円弧に沿って溝部1725が形成されており、後述する摺動操作部1703のスイッチ押圧部材1817(図25参照)が挿入されるようになっている。なお、摺動操作部1703の回動範囲は溝部1725の両端によって規制されており、原点位置ではスイッチ押圧部材1817の左端面が溝部1725の左側面に突当たり、一方、最強度位置ではスイッチ押圧部材1817の右端面が溝部1725の右側面に突当たるようになっている。
底面部材1711は合成樹脂製であり、略板状の底板部1727と、その周縁部分(後縁部分は除く)から立設された側面部1728とを備えて皿状に構成されており、側面部1728の外縁形状は、枠部材1712の外縁形状と一致している。つまり、図22に示すように、側面部1728と枠部材1712とは外周面において滑らかに連続した面を形成し一体的に組付けられている。また、図24に示すように、底面部材1711には、取付ネジ(図示しない)を挿通可能な複数のネジ挿通部1731が側面部1728に沿って形成されており、底面部材1711をトッププレート1710及び枠部材1712に取付けることが可能になっている。さらに、底板部1727の中央部分よりやや遊技者側の位置には、下方に向って突出するとともに、その内部にボリューム1751(後述する)を収容するための収容孔1730が設けられている。
枠部材1712は、トッププレート1710の周囲を遊技者側から覆うように装着され、トッププレート1710の上面部1721に連続する上面装飾部1733と、底面部材1711の側面部1728に連続する周面装飾部1734と、上面装飾部1733から垂下され内部にネジ孔(図示しない)が形成された複数の取付用垂設部1736とから構成されている。なお、それぞれの取付用垂設部1736の下端は、底面部材1711に形成されたネジ挿通部1731の上端に当接しており、底面部材1711の下方からネジ挿通部1731を通して取付用垂設部1736のネジ孔に取付ネジ(図示しない)を締結することにより、底面部材1711上で枠部材1712が固定状態で組付けられている。また、上面装飾部1733における遊技者側の先端部分には円弧状の開口部1735が形成されており、後述するバイブホルダ1790(図26参照)の当接部1791を、開口部1735を通して枠部材1712の上方に突出させるようになっている。
図26及び図29に示すように、原点位置検出手段1713は、合成樹脂製のスライドカバー1746と、摺動操作部1703(図23参照)が原点位置にあることを検出する原点スイッチ1743(リミットスイッチ)と、摺動操作部1703に設けられたスイッチ押圧部材1817の動作を原点スイッチ1743に伝達するスイッチクランク1745とを備えて構成されている。詳しく説明すると、スライドカバー1746は、平面視が円弧状に形成されスイッチ押圧部材1817の摺動方向を案内するレール状の摺動案内部1740と、その左側後方に形成され原点スイッチ1743を収容するスイッチ収容部1741と、これらの周囲に所定の間隔で形成された複数のネジ取付部1742を有しており、トッププレート1710(図24参照)に対して固定状態で組付けられている。スイッチクランク1745は、L字形の形状を呈し、軸心方向が鉛直方向である回転軸1744によって回動可能に支持されるとともに、一端側にスイッチ押圧部材1817が当接し、回転軸1744を挟む反対側の端部が原点スイッチ1743の作動部に当接するようになっている。このため、摺動操作部1703が原点位置にあるときは、図29に示すように、スイッチ押圧部材1817が摺動案内部1740の左端側に位置し、スイッチクランク1745を時計方向に付勢することで、原点スイッチ1743の作動部を押圧することが可能になる。一方、摺動操作部1703が原点位置でない場合には、図30に示すように、スイッチ押圧部材1817がスイッチクランク1745から離れることにより、スイッチクランク1745の付勢力が消失し、原点スイッチ1743の作動部が押圧されなくなる。つまり、摺動操作部1703が原点位置にある場合にのみ、原点スイッチ1743の作動部を押圧し、その接点(図示しない)を閉じることが可能になっている。
図26に示すように、摺動位置検出手段1714は、ボリュームホルダ1750に装着されたボリューム1751と、ボリューム1751のシャフト1761に連結され回転力を伝達するボリュームギア1752と、摺動操作部1703の摺動操作に従動しボリュームギア1752に回転力を伝達するメインギア1753とから構成されている。詳しく説明すると、ボリュームホルダ1750は、平面視における外縁が略長方形状を呈しており、ボリューム1751のシャフト1761が挿通される貫通孔1755が中央部分に穿設されるとともに、四隅部分には取付ネジ(図示しない)を介してトッププレート1710の底面に取付けるための取付部1756が形成されている。また、貫通孔1755の周囲には上面が凹状に形成された収容部1757が設けられており、後述するボリュームギア1752の連結部1766が収容されるようになっている。さらに収容部1757よりもスライドカバー1746よりの上面には、原点復帰手段1715のダンパー1781(後述する)を収容するためのダンパ収容部1758が形成されている。
ボリューム1751は、周面が円筒状であるケース1760と、ケース1760内に配設された第一可変抵抗器1762(図100参照)及び第二可変抵抗器1763(図101参照)と、回転中心に配設され回転によって第一可変抵抗器1762及び第二可変抵抗器1763の抵抗値を同時に変化させるシャフト1761とから構成されている。詳細は後述するが、第一可変抵抗器1762は、主制御基板1350に対して接続されており、摺動操作部1703の操作位置に応じた抵抗値を主制御基板1350に入力させることで、打球発射装置650における遊技球の発射強度を摺動操作部1703の操作位置に応じて変化させることを可能にする。一方、第二可変抵抗器1763は、周辺制御基板2830に対して接続されており、摺動操作部1703の操作位置に応じた抵抗値を周辺制御基板2830に入力させることで、摺動操作部1703から放射される光の状態(すなわち発光部1809(後述する)の発光状態)を摺動操作部1703の操作位置に応じて変化させることを可能にする。ここで、第一可変抵抗器1762が本発明の位置信号出力手段に相当する。
図26に示すように、ボリュームギア1752は、扇形の回転板1765と、回転板1765から下方に突出しボリューム1751のシャフト1761に連結される略円筒状の連結部1766とを備えている。また、回転板1765の外周側には、回転板1765よりも一段低く且つ遠心方向に突出する円弧状のガイド片1767と、このガイド片1767の上面に位置するように外側に向って突出する外側歯部1768とが形成されている。また、ガイド片1767の内周面には中心方向(連結部1766側)に向って突出する内側歯部1769が形成されている。
一方、メインギア1753は、摺動操作部1703の後述する回転軸連結部1820(図25参照)が係合する係合孔1771を回転中心に有する円板状の中央部1770と、中央部1770よりも高く且つ径方向に向って幅が広くなるように扇状に形成された揺動部1772とを備えている。なお、揺動部1772の中央部1770よりの部分には、径方向に向って長く形成された配線用開口1775が設けられている。また、揺動部1772の外周側には、揺動部1772よりも一段低く且つ遠心方向に突出する円弧状のガイド片1773が形成されており、上側ローラ1776及び下側ローラ1777によって挟持された状態で摺動可能に支持されている。これにより、揺動部1772は略水平状態に支持されるとともに、中央部1770を中心に回動させることが可能となっている。また、ガイド片1773の内周面には中心方向(中央部1770側)に向って突出した歯部1774(図29参照)が形成されており、ボリュームギア1752の外側歯部1768に噛合されている。つまり、メインギア1753が回動すると、歯部1774と外側歯部1768との噛合によってボリュームギア1752が従動するようになっている。ここで、ボリュームギア1752の半径はメインギア1753の半径よりも小さく(約1/2)、ボリュームギア1752の回転角度が、メインギア1753の回転角度よりも大きくなっている。換言すれば、メインギア1753とボリューム1751の間にメインギア1753よりも小さな径のボリュームギア1752を介在させることで、メインギア1753の回転動作を増幅してボリューム1751のシャフト1761に伝達することが可能になっている。したがって、摺動操作部1703の変位量がごく僅かであっても、第一可変抵抗器1762における抵抗値を確実に変化させ、ひいては発射強度を微調整することが可能になる。
一方、原点復帰手段1715は、スプリング1780及びダンパー1781から構成されている。スプリング1780はねじりバネからなり、一端側に形成された固定用延出部1783がボリュームホルダ1750に固定され、他端側に形成された係止部1784がボリュームギア1752に係止され、ボリュームホルダ1750に対しボリュームギア1752を原点位置側(上方から見て反時計方向)に付勢している。ダンパー1781は、ボリュームギア1752の内側歯部1769に噛合された小歯車1785と、小歯車1785に摩擦抵抗を生じさせた状態で回転可能に支持するダンパー本体1786とを備えて構成されている。このため、摺動操作部1703を所定の操作位置から原点位置に向ってゆっくりと復帰させるとともに、原点位置に保持することが可能になる。
振動発生手段1716は、平面視が円弧状のバイブホルダ1790と、バイブホルダ1790を一対のバネ1792を介して支持するホルダ裏板1793と、バイブホルダ1790の内部に配設され取付台1795によって取付けられた振動発生器1794とから構成されている。なお、振動発生器1794は携帯電話やゲーム機等で用いられている周知のものであり、小型モータの軸に重心を偏らせて錘を取付け、その錘を回転させることで振動を発生させるようになっている。また、バイブホルダ1790の上面には、枠部材1712(図24参照)の開口部1735を通して露出される当接部1791が形成されており、振動発生器1794を動作させることにより、当接部1791を振動させるようになっている。特に、当接部1791は、摺動操作部1703を把持する遊技者の手首が接触可能な位置に配置されており、遊技者の手首付近に振動の触覚を発生させることが可能となっている。
続いて、摺動操作部1703について説明する。図24に示すように、摺動操作部1703は、トッププレート1710の摺動案内面1720上で摺動可能に支持された摺動本体1800と、その上方に被せられ遊技者の手が載せられる手載せカバー1801と、手載せカバー1801の上面に取付けられたタッチプレート1802とを備えて構成されている。また、手載せカバー1801には、特定の演出に対して操作可能となる演出操作ボタン1803と、押圧操作することで打球発射装置650による遊技球の発射動作を中断させることが可能なストップボタン1804とが組付けられている。また、摺動本体1800及び手載せカバー1801の間には、演出操作ボタン1803の押圧操作を検出する演出スイッチ1805(図25参照)及びストップボタン1804の押圧操作を検出するストップスイッチ1806を保持するためのスイッチホルダ1807と、摺動案内面1720に対する摺動本体1800の摺動抵抗(摩擦)を変化させる摺動抵抗調整部材1808と、手載せカバー1801の外部に所定の発光態様で光を放出する発光部1809と、が備えられている。ここで、演出操作ボタン1803が本発明の操作スイッチに相当する。
さらに詳細に説明すると、図25に示すように、摺動本体1800は、操作基台1702の摺動案内面1720(図24参照)に摺接する摺接面1815と、摺接面1815の周縁から立設された周壁部1816と、遊技者と反対側の端部から垂下され前述した原点スイッチ1743(図26参照)を押圧するスイッチ押圧部材1817と、遊技者側の端部に形成され遊技者側に向って略水平方向に延出された延出部1819と、その先端部分から下方に向って真直ぐ垂設された回転軸連結部1820とを備えて構成され、全体的に船形の形状を呈している。また、摺接面1815の上面には、摺動本体1800に対して手載せカバー1801を取付ネジ(図示しない)によって固定するための取付部1818が形成されている。
ここで、摺接面1815には、回転軸連結部1820を中心とした同心円上に形成された断面山形の突条が径方向に所定の間隔で設けられており、全体的に見て回転軸連結部1820から遠心方向に広がる波のような底面形状となっている。特に、図27に示すように、回転軸連結部1820は、透孔1723に挿入された状態で回動可能に支持され、且つ摺接面1815と摺動案内面1720とは、山同士及び谷同士が合致するように重ねられている。このため、摺動操作部1703の摺動位置に拘わらず、摺接面1815全体を摺動案内面1720に接触させるとともに、滑らかに摺動させることが可能になる。しかも、摺接面1815と摺動案内面1720との境界部分は波状となるため、例えば「摺接面1815と摺動案内面1720との間にコイン等を挟み、摺動操作部1703を任意の位置で固定させる」という不正な行為を防止することが可能となる。
なお、図27に示すように、回転軸連結部1820は、トッププレート1710の透孔1723を通って、メインギア1753の中央部1770(図26参照)に形成された係合孔1771に嵌入されており、取付ネジ1820aを介してメインギア1753に連結されている。また、回転軸連結部1820及び係合孔1771の断面形状は、いずれも多角形または非円形となっており、メインギア1753に対して摺動本体1800が回動しないように構成されている。
また、摺動本体1800における回転軸連結部1820の近傍には、摺動操作部1703内の配線を底面から引出すための配線用開口1821が形成されている。この配線用開口1821は、前述したトッププレート1710の配線孔1724に連通するように形成されている。特に、配線孔1724の大きさは配線用開口1821よりも大きく形成されており、摺動操作部1703の操作位置に拘わらず配線用開口1821と配線孔1724とを常に連通させることができるようになっている。なお、配線用開口1821の位置は回動中心の近傍であるため、配線孔1724の長さを比較的小さく抑えることが可能であり、摺動操作部1703が摺動しても、配線孔1724の露出を防止することができるようになっている。
手載せカバー1801は、遊技者が手のひらを載せた状態で軽く把持できるように、手よりも僅かに小さく形成され、コンピュータのポインティングデバイスの一つとして用いられる「マウス」に類似した外観となっている。手載せカバー1801の頂部側には、タッチプレート1802を取付けるための取付用凹部1825が形成され、さらに取付用凹部1825内には、演出操作ボタン1803を上下方向に変位可能に支持するために、上下方向に貫通した開口部1826と、演出操作ボタン1803の支点を支えるボタン支持部1827とが形成されている。また、手載せカバー1801における遊技者側の端部には、摺動本体1800の配線用開口1821内に挿入される配線ガイド部1830が突設して形成されている。さらに、手載せカバー1801における遊技者側の頂面には、発光部1809から投光された光を通過させるための開口部1829が形成されている。
タッチプレート1802は、金属製または表面メッキされた部材からなり、タッチ検出回路1802a(図100参照)に配線を介して電気的に接続されている。タッチ検出回路は、タッチプレート1802から出力されるタッチ信号に基づいて、遊技者の手がタッチプレート1802に触れたことを認識し、打球発射装置650による遊技球の発射を許可するようになっている。また、タッチプレート1802の下面には、内部にネジ孔が形成された三本の支持部1835が垂設されており、手載せカバー1801の透孔1828を通して摺動本体1800の取付部1818に当接するようになっている。つまり、摺動本体1800の下方から取付部1818を通して支持部1835のネジ孔に取付ネジ(図示しない)を螺合することにより、手載せカバー1801を挟持した状態で、タッチプレート1802が摺動本体1800に対して組付けられている。また、タッチプレート1802における遊技者と反対側の頂面には、演出操作ボタン1803を突出させるためのボタン孔1836が形成されている。
さらに、タッチプレート1802には、手載せカバー1801の開口部1829と対向する位置に開口部1837が設けられるとともに、透光性樹脂部材1838によって表示窓が形成されている。つまり、発光部1809から投光された光が透光性樹脂部材1838を通してタッチプレート1802の外部に放射するように構成されている。特に、本例では、発光部1809から発する光の色に応じて、透光性樹脂部材1838の表面に模様が現れるようになっており、具体的には、発光部1809から赤色の光が発せられると「強」という文字M(図130(a)参照)が現れ、発光部1809から緑色の光が発せられると「笑顔の絵柄E」(図130(b)参照)が現れるようになっている。具体的な構成としては、「強」という文字Mと「笑顔の絵柄E」とが重なるように配置されるとともに、重なった部分に白色の光透過性を有する第一カラーフィルタ1839aが設けられ、「強の文字M」の重なっていない部分に赤色の光透過性を有する第二カラーフィルタ1839bが設けられ、「笑顔の絵柄E」の重なっていない部分に緑色の光透過性を有する第三カラーフィルタ1839cが設けられ、その他の部分に光を透過しない黒色の第四カラーフィルタ1839dが設けられている。これによれば、発光部1809から赤色の光を照射すると、第一カラーフィルタ1839a及び第二カラーフィルタ1839bでは光を透過し、第三カラーフィルタ1839c及び第四カラーフィルタ1839dでは光を透過しないので、「強」という文字Mが現れる。一方、発光部1809から緑色の光を照射すると、第一カラーフィルタ1839a及び第三カラーフィルタ1839cでは光を透過し、第二カラーフィルタ1839b及び第四カラーフィルタ1839dでは光を透過しないので「笑顔の絵柄E」が現れることとなる。
図25に示すように、演出操作ボタン1803は、長手方向に弾性変形可能な板状の支持部1841と、支持部1841の先端側上面に形成されタッチプレート1802のボタン孔1836を通して突出するように配置された押え部1842とから構成されており、支持部1841における遊技者側の端部付近を手載せカバー1801のボタン支持部1827によって支持することで、押え部1842を下方に向って押圧操作させることが可能になっている。つまり、押え部1842を押圧操作すると、支持部1841の弾性力に抗して下方に変位させることができ、一方、押圧操作を解除すると、支持部1841の弾性力によって元の位置に復帰するようになっている。このように、演出操作ボタン1803の押え部1842は、手載せカバー1801の上面に配置され、摺動操作部1703の摺動方向(すなわち略水平方向)に対して垂直方向に押圧操作されるようになっているため、押え部1842を押圧操作しても、摺動操作部1703の摺動する側に力は作用せず、ひいては所定の位置で保持されている摺動操作部1703が押え部1842の操作によって不意に動いてしまうことを抑制できる。換言すれば、打球発射装置650の発射強度を一定に保ったまま演出操作ボタン1803を操作することができるようになっている。また、演出操作ボタン1803の押え部1842が摺動操作部1703の先端側に配置されているため、手のひらで摺動操作部1703を把持したまま、指先で押え部1842を押圧操作することが可能であり、これによれば片手操作が容易になり、演出態様を変化させることに対して遊技意欲を高めることが可能になる。
また、ストップボタン1804は、手載せカバー1801の左右両側に対向して配置されており、いずれのストップボタン1804も、手載せカバー1801の内方に向って変位可能に支持されるとともに、バネ(図示しない)によって外方向に付勢されている。つまり、バネの弾性力に抗して押圧操作するように構成されている。なお、ストップボタン1804は一つのみ設けるようにしてもよいが、本例のように一対のストップボタン1804を互いに対向させて配置することにより、同時に且つ逆向きに押圧操作させることが可能になり、これによれば、ストップボタン1804を横方向から押圧するにも拘わらず、二つのストップボタン1804を押圧する力がつりあい、摺動操作部1703の動揺を防止することが可能になる。
スイッチホルダ1807は、演出操作ボタン1803の押圧操作を検出する演出スイッチ1805と、ストップボタン1804の押圧操作を検出する二つのストップスイッチ1806とを手載せカバー1801の内部で保持するものであり、演出スイッチ1805及びストップスイッチ1806を固定する基部1845と、基部1845の左右両側から立設された一対の側壁部1846と、基部1845の遊技者側の端部から延出された延出部1847とを具備して構成されている。また。延出部1847には透孔1848が穿設されており、延出部1847の下方から透孔1848を通して手載せカバー1801の内面に形成された雌ネジ部(図示しない)に取付ネジ(図示しない)を螺合することで、スイッチホルダ1807が手載せカバー1801に組付けられている。なお、スイッチホルダ1807は、延出部1847のみが固定され基部1845は浮いた状態となっているため、延出部1847を支点として基部1845を上下方向に僅かに変位させることが可能である。
摺動抵抗調整部材1808は、スイッチホルダ1807と摺動本体1800の摺接面1815との間に配置されており、板状部1850と、その底面における幅方向中央から下方に突出した一対の位置決め爪部1851(図27参照)と、位置決め爪部1851の左右両側から下方に突出した一対の当接部1852とから構成されている。そして、板状部1850の上面がスイッチホルダ1807の底面に当接し、位置決め爪部1851が摺接面1815に穿設された位置決め孔1822に挿入され、且つ当接部1852が摺接面1815に穿設された透孔1823に挿入された状態で取付けられている。そして、摺動操作部1703に手を載せていない状態、すなわち摺動操作部1703の手載せカバー1801に手の重みが加わっていない状態では、図28(a)に示すように、当接部1852の下端が摺動本体1800の下面よりも下方に突出し、摺動案内面1720と摺動本体1800との間に隙間を形成する。なお、摺動抵抗調整部材1808の板状部1850はスイッチホルダ1807の底面に当接しているため、当接部1852は下端が突出した状態で支持されている。この状態では、摺動本体1800が浮いた状態となり、摺動本体1800と摺動案内面1720との間に摩擦抵抗が発生しなくなる。このため、例えば、所定位置において摺動操作部1703から手を外せば、比較的小さな力で円滑に原点位置へ復帰させることが可能になる。換言すれば、原点復帰手段1715のスプリング1780の弾性力を比較的弱くすることが可能になり、ひいては摺動操作に必要となる、スプリング1780の弾性力に抗する操作力を低減し、遊技者の負担を一層軽減することが可能になる。一方、摺動操作部1703に手を載せた状態、すなわち手載せカバー1801に手の重みが加わった状態では、図28(b)に示すように、当接部1852の下端に圧力が加わり摺動抵抗調整部材1808は、スイッチホルダ1807を弾性変形させながら上方に変位することになる。これによれば、摺動本体1800の全面が摺動案内面1720に当接し、摺動操作部1703を摺動操作しようとすると、摺動本体1800と摺動案内面1720との間に摩擦力が発生することになる。したがって、摺動操作部1703を任意の位置で安定して把持することができるとともに、摺動操作部1703が不意に動いてしまう(滑ってしまう)ことを抑制できる。
図25に示すように、発光部1809は、基板1855上に搭載された複数の発光素子1856から構成されている。これらの発光素子1856には、少なくとも赤色の光を発する発光素子と緑色の光を発光する発光素子とが含まれており、後述する発光制御手段1862(図129参照)によって個々に制御することが可能となっている。つまり、透光性樹脂部材1838に対して、少なくとも赤色の光及び緑色の光を選択して照射させることが可能になっている。
ところで、摺動操作部1703を摺動案内面1720上で摺動させるものでは、遊技者は、手載せカバー1801に手を被せた状態で、略水平方向に操作することとなるが、これによれば、摺動操作部1703から放射される光が遊技者の手によって遮られてしまう場合がある。つまり、発光部1809が遊技状態に応じて点灯してもそれに気づかない可能性がある。また、摺動操作部1703から放射される光が手によって遮られていなくても、遊技球の転動状態を注視している場合には、透光性樹脂部材1838に表示される絵柄や文字に気付かない虞がある。
これに対し、本例では、発光素子1856として、比較的高いジュール熱を発生する光源が用いられている。このため、発光部1809から光が照射されると、発生したジュール熱によって透光性樹脂部材1838が暖められ、遊技者の手に温感覚を生じさせることが可能になる。したがって、絵柄や文字が表示されたことに直接気付かなくても、温感覚という、通常では感じることのない特有の感覚によって、摺動操作部1703に注意を向けさせることが可能になる。特に、手載せカバー1801を手で覆っている場合には、手載せカバー1801と手との隙間から覗き込むことにより、または手載せカバー1801から手を外すことにより、絵柄や文字を視認させることができるため、あたかも玉手箱を開けるかのように、ワクワクした気分を喚起させることができ、遊技の興趣をさらに高めることができる。
〔本体枠〕
次に、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置650、賞球を払い出すための賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800(本発明の遊技球払出装置に相当)、満タンユニット900、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置1000、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100、及び後面開口580を覆うカバー体1250、等の各種の部品が本体枠主体500に装着されることにより構成される本体枠3について、図面を参照して説明する。ここで、本体枠3が本発明の本体筐体に相当する。
まず、図31〜図39を参照して、上記した各種の部品が装着される本体枠主体500及び各種の部品が装着された本体枠3について説明する。図31は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の正面図であり、図32は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面図であり、図33は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の側面図であり、図34は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面から見た斜視図であり、図35は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図36は、部品を取り付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図37は、部品を取り付けた本体枠3の背面図であり、図38は、部品を取り付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図39は、パチンコ機1の中程(主制御基板ボックス624部分)の水平線で切断したパチンコ機の断面平面図である。
図31において、本体枠主体500の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具503及び下軸支金具509(共に図35参照)を取り付けるための軸支金具取付段部501,502が形成され、この軸支金具取付段部501,502に上軸支金具503及び下軸支金具509を取り付けた状態では、本体枠主体500の上辺及び側辺が上軸支金具503の上辺及び側辺とほぼ同一平面状となり、本体枠主体500の下辺及び側辺が下軸支金具509の下辺及び側辺とほぼ同一平面状となっている(図37参照)。ここで、上軸支金具503と下軸支金具509について図35と図37を参照して説明する。上軸支金具503は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン504が立設固定され、その軸支ピン504の側方に扉軸支穴505が穿設されている。
一方、下軸支金具509は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板506,507が一体的に突設されている。下方に位置する支持板506は、本体枠3を外枠2の下支持金具66に支持するための枠支持板506を構成するものであり、上方に位置する支持板507は、扉枠5の下軸支部220を本体枠3に支持するための扉支持板507を構成するものである。このため、枠支持板506に外枠2の下支持金具66の支持突起68を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板507に扉枠5の下軸支部220に突設される軸ピン221を挿入するための軸支穴508が穿設されている。
ところで、本体枠主体500は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部510(図35参照)となっており、その遊技盤設置凹部510の下方のやや奥まった領域が板部511となっている。また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部及び前面開放側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝581が形成され、正面から見て右側の前面開放側辺部には、外側に側部防犯溝582が形成されると共に内側に後端が第一側面壁540に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部583が形成され、正面から見て左側の前面軸支側辺部は、前面上辺部や前面開放側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠主体500の前面軸支側辺部が前面上辺部や前面開放側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部587となっている。
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝581は、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金211の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片215,216がそれぞれ挿入されるようになっているものである。また、前面開放側辺部に形成される側部防犯溝582及び防犯凹部583は、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金213の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片223及び開放側内折曲突片225がそれぞれ挿入されるようになっているものである。更に、前面軸支側辺部の軸支辺部587には、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端部が当接するようになっている。
そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金212と軸支側L字状折曲突片217との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具45,66と軸支金具503,509とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部、前面開放側辺部、及び前面軸支側辺部には、上記した構成以外に前面開放側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する錠装置1000に設けられる扉用フック部1041(図75参照)を貫通させて前方に飛び出させるための扉用フック穴549が開設されており、また、前面軸支側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部611と係合するための盤位置決め突起576が設けられている。更に、前面軸支側辺部の盤位置決め突起576のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端が挿入される上下2つの規制突起577が突設されている。この規制突起577の作用については前述した通りである。また、図31に示すように、開放側の平面部分と遊技盤設置凹部510との境目の上下に遊技盤4に設けられる遊技盤止め具614の端部が係合される盤止め具挿入穴578が形成されている。
次に、板部511の構成について図31乃至図36を参照して説明する。板部511の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部512となっており、その遊技盤載置部512のほぼ中央に、当該載置部512に遊技盤4を載置したときに遊技盤4に形成されるアウト口606(図40参照)の下面を支持する通路支持突起513が突設されている。また、図31に示すように、板部511の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス514が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス514に発射レール515(図35参照)がビス止め固定されている。また、発射レール515の先端位置に対応する板部511の前面には、レール接続部材516が突設され、遊技盤設置凹部510に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内レール603の下流端である接続通路部609(図40参照)と隣接するようになっている。
また、レール接続部材516の側方位置(発射レール515と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具519(図35参照)の上端部を取り付けるための固定具取付ボス517が突設され、その斜め下方にストッパー518が突設されている。即ち、遊技盤固定具519は、固定具取付ボス517を中心にして回転自在に設けられ、前記遊技盤載置部512に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具519を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具519を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具519はストッパー518により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
また、板部511の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部520が形成されており、この発射装置取付部520に本体枠主体500の裏面から打球発射装置650が固定されている。この点については、後に詳述する。また、発射装置取付部520の上壁部分には、打球発射装置650の打球槌654が上方に突出するための槌貫通開口521が切欠形成され、その槌貫通開口521の斜め上方の板部511の前面に錠装置1000のシリンダー錠1010が貫通するシリンダー錠貫通穴526が開設されている。
一方、板部511の裏面には、図32に示すように、軸支側の上部から板部511の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜排出通路524が形成されている。この球抜排出通路524は、後述する球抜接続通路880(図35参照)から排出される球をパチンコ機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部520の上方には、円柱状の案内突起525が後方に向かって突設され、この案内突起525に後述する基板ユニット1100の案内孔1212(図81参照)が差し込まれて基板ユニット1100の取付けを容易にしている。また、基板ユニット1100をビスで取り付けるための取付穴部527が板部511の左右上下に形成され、この取付穴部527に基板ユニット1100の取付片1122を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部520の凹状の内部には、打球発射装置650を取り付けるための発射装置取付ボス529が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図34に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、装飾カバー板15の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片528が後方に向かって突設されている。
板部511には、以上説明した構成以外に、図34に示すように、軸支側の端部上面に前記球抜排出通路524の上流端の開口である球抜接続開口530が形成されている。この球抜接続開口530に球抜接続通路880の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口530に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット900(図35参照)を載置するための満タンユニット載置部531が板部511と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部531の前方部分に満タンユニット900の係合片924(図65参照)と係合するユニット係合溝532が形成されている。更に、図35に示すように、満タンユニット載置部531の前方の板部511の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット900の出口921から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置579が設けられている。
この出口開閉装置579については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉板5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口921を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット900内に貯留された賞球が出口921から零れ落ちることがない。また、図35に示すように、板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている。この締結連杆534は、本体枠3からの遊技盤4の取り外しを防止するための機構である。
次に、遊技盤設置凹部510の構成について説明する。遊技盤設置凹部510は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第一側面壁540と、該第一側面壁540から後方に周設される第二側面壁541と、該第二側面壁541から後方に周設される第三側面壁542と、該第三側面壁542から後方に周設される第四側面壁543、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。
なお、第一側面壁540〜第四側面壁543は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第一側面壁540から第四側面壁543に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図39参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第一側面壁540から第四側面壁543までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第四側面壁543の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第一側壁面540から第四側面壁543までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。
また、それと同時に開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けを第一側面壁540の後端辺に設けられる錠取付穴547(図71参照)を利用して行うため、その錠取付穴547を形成するためにも開放側の第一側面壁540から第四側面壁543を傾斜段差状に形成したものである。更に、第一側面壁540〜第四側面壁543の段差の寸法も、第一側面壁540と第二側面壁541との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第二側面壁541〜第四側面壁543までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
そして、上記した側面壁540〜543は、図33に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第一側面壁540の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。
つまり、第一側面壁540は、遊技盤4の厚さとほぼ同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第二側面壁541〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第一側面壁540から後方に向かってほぼ当該第一側面壁540と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図5に示すように、第二側面壁541〜第四側面壁543のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク720の球を貯留する貯留部728の後面壁722とほぼ同じ位置となるように形成されている。
これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、図32及び図34に示すように、第四側面壁543の後端辺からは背面から見てその左辺(開放側)、上辺及び右辺(軸支側)に、開放側後面壁544、上後面壁545及び後面壁としての軸支側後面壁546がそれぞれパチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。軸支側後面壁546は、その前面が平板状(図31参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット770と賞球ユニット800とが着脱自在に取り付けられるようになっている。従って、軸支側後面壁546の内側への突出幅寸法は、球通路ユニット770と賞球ユニット800とを取り付ける幅があれば充分である。
また、上後面壁545は、その前面が平板状(図31参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材740が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。従って、上後面壁545の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材740の高さ幅寸法があれば充分である。更に、開放側後面壁544には、その前面が平板状(図31参照)となっており、その後面に後述するカバー体1250を軸支するカバー体支持筒部575が形成されている。したがって、開放側後面壁544の内側への突出幅寸法は、カバー体支持筒部575を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第四側面壁543の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の内側は、後面開口580となっており、この後面開口580が後述するカバー体1250によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
次に、遊技盤設置凹部510の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置1000の扉枠用フック部1041が貫通する扉用フック穴549が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴549のさらに上中下に錠装置1000の後述する係止突起1004が係合される錠係止穴548(図32参照)が形成されている。また、開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴547(図32参照)が第一側面壁540の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させてビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、図34に示すように、第一側面壁540の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起552が突設され、第一側面壁540の後端辺中央に後述する賞球タンク720の切欠部729と連通する逃げ凹部551が形成され、第一側面壁540と第二側面壁541と接続する垂直面にタンク取付溝550が形成されている。そして、このタンク取付溝550に賞球タンク720の取付鍔部733を取り付けたときには、図38に示すように、賞球タンク720の切欠部729が逃げ凹部551と連通して賞球タンク720内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク720を本体枠3に取り付けたときには、平面視で賞球タンク720の正面側から見て奥側の後面壁722と第四側面壁543の後端辺がほぼ一致(図5参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起552は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と装飾カバー板15との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
また、前述した上後面壁545には、タンクレール部材740を取り付けるためのレール係止溝553が後面開口580の開口縁に沿って形成されており、また、第四側面壁543と上後面壁545の屈曲部にレール係止溝554が形成されている。そして、これらレール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750(図53参照)を係止させることにより、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けることができる。また、タンクレール部材740を取り付けたときの下流側に対応する上後面壁545の上部には、レール掛止弾性片555が形成され、レール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750を係止させて、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片555がタンクレール部材740の下流側上端の上から当接するようになっている。
このタンクレール部材740を取り外すときには、レール掛止弾性片555を後方へ押圧しておいてからレール係止溝553,554と係止突片749,750との係止状態を解除すべくタンクレール部材740を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片555の側方に逃げ穴556が穿設され、レール掛止弾性片555の下方にアース線接続具557形成されている。逃げ穴556は、タンクレール部材740に設けられる整列歯車747の軸ピン748の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース接続具207は、タンクレール部材740の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、電源基板に設けられるアース用コネクタに接続される配線が接続されるものである。
また、軸支側後面壁546には、図32及び図34に示すように、軸支側後面壁546の左右両端に垂直状の立壁560を立設し、その立壁560の間に球通路ユニット770と賞球ユニット800とが取り付けられる。また、左右の立壁560の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起561が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起561は、軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように後方に向かって突設され、後述する球通路ユニット770を取り付けたときに、該球通路ユニット770の球落下通路772(図58参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起561の左右には、球通路ユニット770をビスで止着するための通路ユニット取付ボス562、及び位置決めするための位置決めピン574が突設されると共に、後述する球切れスイッチ778(図58参照)に対面するスイッチ対応突起563が突設されている。通路ユニット取付ボス562及び位置決めピン574については、後に詳述する。
更に、左右の立壁560の中流部から下流部にかけて賞球ユニット800の係合部としての鉤状係合部824(図60参照)と係合する係止部としての係合突片565と、賞球ユニット800のボタン挿通係合穴821(図60参照)と係合するロック用弾性爪564と、が形成されると共に、賞球ユニット800のスプロケット807の回転軸808(図60参照)の端部が受け入れられる逃げ穴566が形成されている。また、軸支側後面壁546の下方には、払出モータ用逃げ開口部572が形成されており、この払出モータ用逃げ開口部572に賞球ユニット800の駆動モータとしての払出モータ815が臨むようになっている(図35参照)。そして、賞球ユニット800は、軸支側後面壁546の裏面最下端に形成される係止溝573のその下端を係止して前記係合突片565及びロック用弾性爪564によって軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。
また、軸支側後面壁546の開放側の端部には、そのカバー体1250の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝567が形成されていると共に、該カバー体当接溝567の下方に施錠壁569が突設されている。カバー体当接溝567には、カバー体1250の止め穴1253(図38参照)に対応する止め穴568が形成されており、これら止め穴1253,568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができるようになっている。また、施錠壁569には、平面視U字状の施錠用突出鉤片570が突設され、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570をカバー体1250に形成される貫通穴1254(図38参照)を貫通させ、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
以上、遊技盤設置凹部510及び板部511とからなる本体枠主体500の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、板部511の最下端辺部に、扉枠5を閉じたときに、扉枠本体100の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片112,113(図19参照)が挿入される係合溝584,585(図31参照)が形成されている。係合溝584は、前述した発射装置取付部520の下方に形成される溝であり、係合溝585は、前記係合溝584の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、係合溝585に対応する扉枠突片112は、係合溝584に対応する扉枠突片113の突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片112が僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片112,113と係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
上記のように板部511には、発射レール515や出口開閉装置579が設けられ且つレール接続部材516や発射装置取付部520が突設形成されているが、発射装置取付部520及び発射レール515の板部511における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部511の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部520及び発射レール515が配置される板部511のほぼ中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片112と係合溝585との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
一方、発射装置取付部520及び発射レール515が配置されない板部511のほぼ中央部から軸支側にいたる領域は、板部511の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部511の前面との間に空間586が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片112と係合溝584との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部511の前面との間の空間586を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間586を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台280には、扉枠5を閉じた状態で該空間586に侵入する防犯突片285が形成されている。この防犯突片285は、板部511のほぼ中程から軸支側端部までいたるように装着台280に形成されている。したがって、発射レール515及び遊技盤4に取り付けられる外レール602の下方空間は、装着台280に突設される防犯突片285を受け入れる防犯空間586を構成している。そして、この防犯突片285と防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置650、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、満タンユニット900、錠装置1000、基板ユニット1100及びカバー体1250が取り付けられるが、以下、これらを順次説明する。
<遊技盤の概略構成>
遊技盤4の概略構成について図40乃至図45を参照して説明する。図40は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図41は、遊技盤4の正面図であり、図42は、遊技盤4の背面図であり、図43は、遊技盤4の平面図であり、図44は、遊技盤4に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図であり、図45は、遊技盤4の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠3の部分斜視図である。
図40において、遊技盤4は、透明板状の遊技パネル599を保持したほぼ正方形状のパネルホルダ600と、パネルホルダ600の前面に遊技領域605を囲むように取り付けられる前構成部材601と、から構成されている。遊技パネル599の表面には、遊技領域605に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に前構成部材601がパネルホルダ600の前面に取り付けられるが、その前構成部材601は、遊技パネル599の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がパネルホルダ600の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レール602として形成され、その外レール602の終端に設けられる衝止部620の下部位置から上辺の前記衝止部620の対称の逆流防止部材604が設けられる位置までが内レール603として形成されている。外レール602は、その始端部に前記発射レール515の延長状に設けられたレール接続部材516に連接する接続通路部609が斜め状に形成されており、その接続通路部609に隣接してファール口610が形成されている。また、ファール口610の上流端から衝止部620までの外レール602には、金属製のレールが密着して取り付けられている。
なお、衝止部620は、勢いよく外レール602を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域605の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材604は、一端発射されて遊技領域605の内側に取り入れられた打球が再度外レール602に逆流しないように防止するものである。更に、外レール602の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起608が突設されている。この防犯突起608は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後端部突片275と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内レール603の下部中央には、アウト口606が設けられ、そのアウト口606から逆流防止部材604までの内レール603と外レール602との間は、発射された打球が遊技領域605まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域605に到達せずに外レール602を逆流した打球はファール口610に取り込まれて後述する満タンユニット900のファール球入口923に導かれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域605は、実質的に内レール603によって囲まれる領域である。また、内レール603のアウト口606から衝止部620に向かう途中の前構成部材601には、レール防犯溝607が形成されている。このレール防犯溝607は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後突片274の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される前記盤位置決め突起576に嵌合する位置決め凹部611が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される前記盤止め具挿入穴578に挿入される遊技盤止め具614が設けられている。遊技盤止め具614は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴578に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部611が盤位置決め突起576に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第一側面壁540に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具614を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴578に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具519を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
また、本実施形態における遊技盤4は、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を有している。即ち、図40及び図44に示すように、遊技盤4の下方の前記通路用切欠部613と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部616を形成し(正確には、前構成部材601に取付用切欠部616が形成されている。)、その取付用切欠部616の下部に水平方向に締結バー617を掛け渡し固定する。締結バー617には、そのほぼ中央に締結バンド619を掛け止めるための帯溝状の締結部618が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、前述したように、本体枠3下方の板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている(図45参照)。
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部510に収納配置したときには、図44に示すように、締結バー617が遊技盤載置部512に当接して載置した状態になると共に、締結部618と締結連杆534とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部618と締結連杆534との一致している部分に対して、締結バー617の上方から一般的に市販されている締結バンド619の先端を取付用切欠部616に差し込んで下方に向けて締結穴533に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド619の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド619の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド619を切断しない限り、遊技盤止め具614と遊技盤固定具519等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド619を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド619をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ163の後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部612が形成され、また、ファール口610の側方斜め下に後述する満タンユニット900の前方誘導通路920部分の一部が挿入される通路用切欠部613が形成されている。また、前構成部材601の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部615が設けられている。
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域605に設けられる各種の遊技装置(例えば、V入口を有した役物や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導することができる裏箱621が取り付けられており、その裏箱621の裏面に遊技領域605のほぼ中央に配置される表示装置としての液晶表示装置640(図85等参照)の表示を制御する表示装置制御基板が収納される表示制御基板ボックスとしての液晶表示制御基板ボックス622が取り付けられている。
更に、遊技盤4の裏面には、裏箱621の下方に盤用基板ホルダ623が固定されている。この盤用基板ホルダ623は、その前方に裏箱621によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が裏箱621の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口629(図39参照)が形成されている。この落下口629は、前記アウト口606の後面部分で合流して後述する基板ユニット1100に形成されるアウト球通路1119(図81参照)に連通するものである。
また、盤用基板ホルダ623には、その裏面に遊技動作を制御する主制御基板1350を収納する主制御基板ボックス624と、後述する基板ユニット1100に設けられる払出制御基板1186や電源基板等と接続するための中継端子板625と、が取付けられている。中継端子板625には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に前記基板ユニット1100に設けられるドロワコネクタ1200,1202と接続されるドロワコネクタ626,627が設けられている。
更に、盤用基板ホルダ623には、ドロワコネクタ626,627の間から中継端子板625を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起628が形成されている。この接合案内突起628は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627とが自然に接続されるように基板ユニット1100の枠用基板ホルダ1101に形成される接合案内孔1213に挿入される(図81参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
<打球発射装置>
打球発射装置650について、図46乃至図49を参照して説明する。図46は、打球発射装置650の正面図であり、図47は、打球発射装置650の正面から見た分解斜視図であり、図48は、打球発射装置650を背面から見た斜視図であり、図49は、打球発射装置650からロータリーソレノイド及び金属板を取外した背面図である。
図46及び図47に示すように、打球発射装置650は、正面視が略長方形である発射ベース651と、発射ベース651の後方に配置された薄板状の金属板652と、金属板652に取付けられたロータリーソレノイド653と、ロータリーソレノイド653の動作によって往復運動し遊技球を発射レール515に沿って弾く打球槌654と、打球槌654に取付けられ打球槌654とともに回動する作動片655と、打球を1球ずつ発射レール515の発射位置に供給する球送りアーム656と、打球槌654の回動位置を規制する第一当て部材657及び第二当て部材658と、を具備して構成されている。
さらに詳細に説明すると、発射ベース651は、図47及び図49に示すように、合成樹脂によって横長の長方形状に成型された板状部661と、その略中央の上端付近から後方に突出し内部に第二当て部材658が収容される当て部材収容部662と、発射ベース651との間に所定の間隔を設けて金属板652を支持する二つのスペーサ664と、板状部661の上面から突出し前後方向に貫通する孔が穿設された一対の支持部665とを備えており、板状部661には、前後方向に貫通する複数の取付孔666が穿設されている。なお、当て部材収容部662は、略円筒状であるが、第二当て部材658の周面、特に打球槌654が当接する部分を露出させるように、筒状の略半分を切欠いて形成されている。また、当て部材収容部662の先端には、左側に折れ曲がった取付片663が形成されており、この取付片663及び一対のスペーサ664の端面が金属板652の前面に当接するようになっている。なお、金属板652には、打球槌654のシャフト673が挿通する透孔668と、透孔668の周囲に穿設されロータリーソレノイド653を固定するための複数の取付孔669と、ロータリーソレノイド653に接続された信号出力線(図示しない)を金属板652の前方に引出すための配線孔670と、が形成されている。
ロータリーソレノイド653は周知のものであり、特に図示しないが、複数の磁極発生部を円周に沿って所定の間隔で配置した固定子と、夫々の磁極発生部に整合する吸引部を出力軸の周囲に配置して構成される回転子とを備え、回転子が固定子に接触することなく出力軸を軸支したものである。これによれば、磁極発生部に通電することで磁極発生部のコイルから磁界が発生し、夫々の吸引部に吸引力を作用させることが可能になる。なお、ロータリーソレノイド653はパルス制御されるようになっており、パルス通電励磁ごとに、打球槌654を始端から終端まで回動し、発射レール515の発射位置に供給された遊技球を弾発することが可能になっている。また、パルス制御によってロータリーソレノイド653の励磁力を調整することができ、ひいては打球槌654による弾発力(すなわち発射強度)を変化させることが可能になっている。
打球槌654は、ロータリーソレノイド653にシャフト673を介して一端側が連結された「く」の字形の槌本体672と、槌本体672の先端部分に設けられた槌先ゴム674とからなり、ロータリーソレノイド653の動作に従動して終端まで回動することで、槌先ゴム674の先端が、発射レール515の発射位置に供給された打球に衝突するようになっている。また、槌本体672に取付けられた作動片655は、球送りアーム656を打球槌654の動作に従って回動させるものであり、ナット678によって固定される取付部676と、球送りアーム656の一部を押圧して回転させるL字形の押圧部677とを備えている。
球送りアーム656は、「て」字形の形状を呈しており、発射ベース651の上面に形成された一対の支持部665に止めピン680を介して揺動自在に支持されている。この球送りアーム656は、皿ユニット300の下流側の打球供給口288(図15参照)に臨んで設けられている供給揺動片289(図15参照)と当接するように配設されており、打球槌654の往復動作に連動して上辺部が供給揺動片289を揺動させ、供給揺動片289の揺動動作により打球供給口288から流出する打球を1個ずつ発射レール515の発射位置に供給するようになっている。
なお、第一当て部材657は、打球槌654の発射始点位置(始端)を規制するとともに衝撃を受け止めるものであり、筒状のゴム形成部685と、ゴム形成部685を支持するホルダー686と、ホルダー686を金属板652に固定するホルダーロック687とからなる。また、第二当て部材658は、発射終点位置(終端)を規制するとともに衝撃を受け止めるものであり、円柱状のゴム部材からなる。
<賞球タンク>
次に、本体枠3の裏面上部に取り付けられる賞球タンク720について、主として図50を参照して説明する。図50は、賞球タンク720の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク720は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝550(図34参照)に着脱自在に取り付けられるものである。しかして、賞球タンク720は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ機1の正面側から見て、その前面壁721に切欠部729が形成され、その底面が上流側壁724から下流側壁723に向かって傾斜する第一傾斜底面726と前面壁721から次に説明する排出口730に向かって傾斜する第二傾斜底面727とによって貯留部728が形成されている。
また、その第二傾斜底面727の傾斜下端に排出口730が形成されるが、この排出口730は、パチンコ機1の正面側から見て賞球タンク720の後面壁722よりも外側に突出するように下流側壁723と後面壁722とをコ字状に連結する排出口突出壁725に囲まれるように形成されている。また、賞球タンク720の前面壁721の両端外側には、前記タンク取付溝550と係合する取付鍔部733が形成されていると共に、賞球タンク720の底面の裏面側に本体枠3の前記第四側面壁543に載置当接する載置当接片731,732が突設され、さらに、賞球タンク720の上流側の後面壁722の下部に後述する球ならし部材744を取り付けるための球ならし取付軸735が突設されている。また、排出口730を除く賞球タンク720の後面壁722及び上流側壁724には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材734が着脱自在に取り付けられるようになっている。
上記のように構成される賞球タンク720においては、本体枠3のタンク取付溝550に対して取付鍔部733を上方から差し込むように取り付け、載置当接片731,732を本体枠3の第四側面壁543に当接させる。これによって、賞球タンク720が本体枠3の裏面側上部に載置して取り付けられるが、この取り付けられた状態においては、図38に示すように、前面壁721の切欠部729を介して貯留部728と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部551とが連通し、また、図5に示すように、排出口730が次に説明するタンクレール部材740の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク720において、球を貯留する貯留部728(第一傾斜底面726及び第二傾斜底面727に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第二側面壁541〜第四側面壁543までの前後方向の幅とほぼ同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁541〜543までの上部に載置されるようになっている。
また、前述したように、本体枠3の第一側面壁540〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁541〜543の上部に載置される賞球タンク720の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク720の全体を本体枠3の側面壁542〜543で支持しているので、傾斜底面726,727が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口730に導くことができる。また、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているため、貯留部728に貯留された球の流れが第二傾斜底面727から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し突部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に賞球タンク720の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク720の排出口730が貯留部の後面壁722よりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材740が賞球タンク720の貯留部の外側(パチンコ機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材740と賞球タンク720の貯留部728とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁541〜543の内部に楽に収納することができる。
更に、賞球タンク720の貯留部728が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図51を参考にして説明する。図51は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク720に貯留される球は、賞球タンク720の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口730Aを形成している場合、例えば、図51(A)に示すように、球崩し突部736Aと反対側に排出口730Aが形成された賞球タンクや、図51(B)に示すように、球崩し突部736Bに隣接して排出口730Bが形成されている場合には、排出口730A,730Bの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基く賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口730A,730B部分に四方から球圧がかかった状態となっている。
このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口730A,730B部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク720では、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているので、図51(C)に示すように、排出口730部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口730方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口730部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
<タンクレール部材>
上記した賞球タンク720の下方に配置されるタンクレール部材740について主として図52乃至図54を参照して説明する。図52は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の背面側から見た斜視図であり、図53は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の正面側から見た斜視図であり、図54は、タンクレール部材740の下流部と球通路ユニット770の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
タンクレール部材740は、前述したように、本体枠3の上後面壁545のレール係止溝553,554(図34参照)に着脱自在に取り付けられるものである。そのため、タンクレール部材740には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝553に上から差し込まれる複数の係止突片749が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝554に上から掛け止められる鉤状の係止突片750が突設されている。しかして、タンクレール部材740は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク720の排出口730に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット770に臨んでいる。また、タンクレール部材740の内部は、図5に示すように仕切壁741によって球が2列に整列して流下する通路742となっている。
なお、通路742の底面は、細溝が切り欠けられており、通路742を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路742の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具557(図32参照)に接続されている。このため、タンクレール部材740を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース線接続具557を介して電源基板のアース用コネクタを経て外部にアースされるようになっている。
また、タンクレール部材740の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材744が揺動自在に設けられている。この球ならし部材744は、前述した賞球タンク720の球ならし取付軸735に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材740の2列のそれぞれの通路742内に向かって垂下され、各通路742を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材744の設置位置より下流側のタンクレール部材740の上面が球押え板745によって被覆されている。この球押え板745は、球ならし部材744によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。
更に、タンクレール部材740の下流端部には、それぞれの通路742に臨んで一対の整列歯車747が軸ピン748によって回転自在に軸支されている。この整列歯車747は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車747の歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン748に固定されている。このため、タンクレール部材740の各通路742を流下してきた球の上部が整列歯車747の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路742の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図54に示すように、各通路742を流れてきた球は、整列歯車747と噛み合いながら2列の通路742の下部に形成される傾斜面743に沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット770の球落下通路772の上端入口773に2列の通路742からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車747は、その上面を円弧状の歯車カバー746によって被覆されている。
<球通路ユニット>
上記したタンクレール部材740から一列状に落下される球を賞球ユニット800に導くための球通路ユニット770について、主として図55乃至図59を参照して説明する。図55は、本体枠3と球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す分解斜視図であり、図56は、球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す背面図であり、図57は、球通路ユニット770の背面から見た斜視図であり、図58は、球通路ユニット770の正面図であり、図59は、球通路ユニット770と賞球ユニット800との連結構造を説明するための側面図である。なお、図56及び図57において、賞球ユニット800部分は、ギヤカバー866、アルミ放熱板841、ユニットサブ板825が削除され、ユニットベース体801に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
球通路ユニット770は、ほぼ長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁771によって球落下通路772が形成されている。この球落下通路772は、図54(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部772aと、該前後屈曲通路部772aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部772bと、該左右屈曲通路部772bに連通してほぼ垂直状となっている垂直通路部772cとからなっている。
この前後屈曲通路部772aは、図54(A)に示すように、上述したタンクレール部材740から落下する上端入口773の位置が前述したように2列の通路742のほぼ中央であるため、本体枠3の上後面壁545及び軸支側後面壁546の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部772aと軸支側後面壁546に突設される前記賞球案内突起561とによって球落下通路772を軸支側後面壁546の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部772bは、図58に示すように、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット770のほぼ横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。
更に、垂直通路部772cもほぼ垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部772cを構成する一方の屈曲通路壁771に切欠部775が形成され、その切欠部775に上端が支軸777によって軸支される球切れ検出片776が揺動自在に取り付けられている。この球切れ検出片776の側方には、球切れスイッチ778が取り付けられ、球切れスイッチ778のアクチュエータ779が球切れ検出片776に当接している。球切れ検出片776及び球切れスイッチ778によって垂直通路部772cでの球切れを検出する球切れ検出機構が構成されている。
しかして、垂直通路部772cに球が存在しているときには、垂直通路部772cに存在する球によって球切れ検出片776が押圧されてアクチュエータ779を押して球切れスイッチ778をONとするが、垂直通路部772cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片776が垂直通路部772c内に向かって揺動するので、アクチュエータ779が球切れスイッチ778をOFFとする。球切れスイッチ778がOFFになると、後述する賞球ユニット800の払出モータ815の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。
なお、切欠部775の下端部には、球切れ検出片776の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起780が形成されており、また、球通路ユニット770の球切れ検出片776に対応する垂直通路部772cに球詰まり用挿入溝781が形成されている。この球詰まり用挿入溝781は、球詰まり等で球切れ検出片776の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット770の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片776部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片776に対面する他方の屈曲通路壁771は、若干球切れ検出片776側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部772cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片776を押圧して球切れスイッチ778をONにするためである。
また、球通路ユニット770には、上記した球落下通路772を避けた位置に止め穴782と位置決めボス783とが形成されている。位置決めボス783は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される位置決めピン574に係合されるものであり、止め穴782は同じく軸支側後面壁546に形成される通路ユニット取付ボス562に対応するものである。しかして、球通路ユニット770を本体枠3に取り付けるには、図55に示すように、位置決めボス783を位置決めピン574に係合させながら通路ユニット取付ボス562と止め穴782とを一致させ、その状態で止め穴782からビス784を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット770には、その一側中程にカバー体1250の係合片と係合するカバー体係合溝785が形成されていると共に、下部に賞球ユニット800と連結するための連結蓋部材786が回動自在に設けられている。
連結蓋部材786は、図57に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁790を突設することにより構成されており、球通路ユニット770の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片787に、連結蓋部材786の両端部から延びる支持片788の先端に突設される回転軸部としての突起軸789を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材786は、閉じることにより球通路ユニット770の下方に延長されて通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通した状態(図59(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通しない状態(図59(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材786の支持片788を案内する案内突起791が球通路ユニット770の後面下端部に突設されている。
而して、球通路ユニット770を本体枠3の軸支側後面壁546に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット800を同じく軸支側後面壁546に装着した状態(図59(A)に示す状態)で、連結蓋部材786を閉じて賞球ユニット800に設けられる係止弾性爪820によってその後面を係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772と賞球ユニット800の屈曲通路803とを通路壁790にて連通して、球通路ユニット770の球落下通路772を落下する球を賞球ユニット800の屈曲通路803に導くことができるものである。このように球通路ユニット770に回動自在な連結蓋部材786を設けた理由は、後述するように賞球ユニット800を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット770と賞球ユニット800との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
また、球通路ユニット770に突設される一対の屈曲通路壁771の間に本体枠3の軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように突設される賞球案内突起561を挿入することで、球落下通路772の上端入口773がタンクレール部材740の2列の通路742のほぼ中央下部に位置するように、球落下通路772の上流部を背面からみて前後方向に屈曲する前後屈曲通路部772aとして形成する。これにより、一対の整列歯車747によって2列で流下する球を交互に1個ずつ賞球ユニット800側に送り出す構成において、球落下通路772を通して球を1個ずつスムーズに賞球ユニット800に送り出すことができる。また、この構成によれば、複数の部材の組立体から球落下通路772を構成する必要がないため、球落下通路772を構成する部品点数を削減することができると共に、球落下通路772の組み付け作業性を向上することができる。
また、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球は、左右屈曲通路部772bを通過することでその勢いを弱め、その後、垂直通路部772cを通って賞球ユニット800に送られる。また、勢いが弱められた状態で球が送り込まれる垂直通路部772cには、球切れを検出するための球切れ検出機構(球切れ検出片776及び球切れスイッチ778)が設けられる。これにより、球落下通路772での球切れ、言い換えれば賞球ユニット800に供給する球が切れたこと(球切れ)を確実に検出することができる。
<賞球ユニット>
次に、上記した球通路ユニット770の下流側に配置される賞球ユニット800について、主として図60乃至図63を参照して説明する。図60は、賞球ユニット800の背面側から見た分解斜視図であり、図61は、払出モータ815と払出部材としてのスプロケット807との関係を説明するための背面図であり、図62は、賞球ユニット800の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図63は、図62のA−A断面図である。
図60において、賞球ユニット800は、一対の屈曲通路壁802によって球通路を構成する屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成されるユニットベース体801と、該ユニットベース体801の後面を覆うユニットサブ板825と、該ユニットサブ板825の上部表面(後面側)に取り付けられる中継基板830と、前記ユニットサブ板825のほぼ中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群843,844,847及び検出円盤850(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー866とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体801は、ほぼ長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板825側に向かって突設される一対の屈曲通路壁802によって屈曲通路803が形成されている。屈曲通路壁802は、ユニットベース体801の上部中央から下流側のほぼ中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体801の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁802が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット807が配置される振分空間805を構成し、その振分空間805の下部からユニットベース体801の下流端までに左右に分かれた前記屈曲通路壁802の対をなすように通路区画壁809が突設形成されている。
つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁802と通路区画壁809とによって振分空間805から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路810を構成し、他方の通路が球抜通路811を構成している。なお、通路区画壁809も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁809の内側に払出モータ815を収納するモータ収納空間814が形成されている。即ち、払出モータ815は、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)を避けた位置であって当該球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納固定される。なお、屈曲通路803は、該通路803内に停留する球のスプロケット807への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間805に到達しているが、その振分空間805の上流側の底面に楕円形状の開口804が形成されている。この開口804は、屈曲通路803内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット800を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
また、上記した振分空間805には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット807が回転自在に配置されるが、このスプロケット807が固定される回転軸808の他端を軸支する軸受筒806が振分空間805の底面に形成されている。また、振分空間805の底部を構成する通路区画壁809の上端部は、スプロケット807の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路810の上流部には、払出球検出センサ812が着脱自在に装着されている。
この払出球検出センサ812は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致するスイッチ嵌合凹部865を屈曲通路壁802で形成することにより、簡単に着脱自在に取り付けられるものである。なお、払出球検出センサ812からの配線(図示しない)は、後述する中継基板830に接続されるようになっている。更に、賞球通路810を構成する屈曲通路壁802の下流側には、ユニットサブ板825と一体的に形成される通路蓋板部859に形成される係止部860と係合する係止爪813が複数形成されている。ただし、複数の係止爪813のうち、通路蓋板部859の下端の一方の係止部860と係合する係止爪813は、通路区画壁809側に形成されている。
また、ユニットベース体801の下方であって賞球通路810と球抜通路811との間には、払出モータ815を収納する円形状のモータ収納空間814が形成されるが、このモータ収納空間814の内部に払出モータ815の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ815は、その前面に形成される一対の取付片816によってユニットサブ板825の下方に取り付けられるアルミ放熱板841の裏面側にビス817で固着されるようになっている。そして、払出モータ815がユニットサブ板825のアルミ放熱板841に取り付けられた状態で、払出モータ815のモータ軸818は、アルミ放熱板841に穿設された軸挿通穴842を貫通して第一ギヤ843が固着されるようになっている。
また、ユニットサブ板825及びアルミ放熱板841でユニットベース体801の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ815の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ815を収納するモータ収納空間814と前述したスプロケット807が配置される振分空間805とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体801の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット800のコンパクト化を図ることができる。
更に、ユニットベース体801には、上記した球抜通路811の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット800の裏面側に誘導する誘導突片819が突設され、この誘導突片819に誘導された球が後述する球抜接続通路880に誘導されて最終的にパチンコ機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体801の上部には、前述した球通路ユニット770の連結蓋部材786を係止する係止弾性爪820が突設されると共に、賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けるためのボタン挿通係合穴821及び鉤状係合部824と、ユニットベース体801とユニットサブ板825を挟持した状態でギヤカバー866とを連結するための取付ボス823が設けられている。
このボタン挿通係合穴821には、ユニットベース体801の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン822が奥行幅方向に摺動自在に取り付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の軸支側後面壁546に形成されるロック用弾性爪564に対応している。また、ボタン挿通係合穴821の後端面は、図55に示すように、ロック用弾性爪564の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部824は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される係合突片565と係合するもので、賞球ユニット800を軸支側後面壁546に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部824と係合突片565とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合するので、賞球ユニット800の上方向の移動ができないようになっている。
なお、鉤状係合部824は、ユニットベース体801の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結するための取付ボス823は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板825に穿設される貫通穴858を貫通した後、ギヤカバー866の取付穴867に対応させ、そのギヤカバー866の表面からネジ868を螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結している。
上記したユニットベース体801を被覆するユニットサブ板825の構成について説明すると、ユニットサブ板825は、ユニットベース体801の屈曲通路803部分と振分空間805部分と賞球通路810部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ815が取り付けられると共に球抜通路811の下流部分とを覆うアルミ放熱板841を取り付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板825の合成樹脂板部の表側(後面側)には、中継基板830を取り付けるための中継基板領域826が上部に形成され、その下方に複数のギヤ843,844,847や検出円盤850が取り付けられるギヤ領域840が形成されている。
この中継基板領域826は、ほぼ正方形状に形成され、その正方形状に沿って中継基板830を載置する載置リブ827が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー835の係合突起836と係合する係合溝部828が形成され、その他側垂直辺の中央に基板カバー835の係止突部837と係合する係止爪部829が形成されている。また、中継基板領域826には、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴834と中継基板830をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部832が形成されている。
上記した中継基板領域826に取り付けられる中継基板830は、賞球ユニット800に設けられる上述した払出球検出センサ812、払出モータ815、及び後述するセンサ855からの配線と、後述する払出制御基板1186(図80参照)からの配線とを中継するもので、そのために複数のコネクタが設けられると共に、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴833と前記取付ボス部832に対応する取付穴831とが穿設されている。しかして、中継基板830を中継基板領域826の載置リブ827に載置した状態で取付穴831と取付ボス部832とを合致させて図示しないビスで止着することにより中継基板830をユニットサブ板825の表面(後面)に止着することができる。
また、上記のように取り付けられる中継基板830は、基板カバー835によって被覆される。基板カバー835は、ほぼ正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起836と他側垂直辺のほぼ中央側面に係止突部837が形成されている。また、基板カバー835の正方形状の垂直面には、ボタン開口838と接続開口部839とが形成されている。しかして、基板カバー835の係合突起836を中継基板領域826の係合溝部828に差し込んで係合した後、係止突部837と係止爪部829とを係合させることにより、簡単に基板カバー835で中継基板830を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部829を弾性変形させて係止突部837との係合を解除すると共に基板カバー835を斜め手前側に引いて係合突起836と係合溝部828との係合を解除することができる。なお、基板カバー835を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴821に係合されている着脱ボタン822の頭部がボタン挿通穴833,834を挿通してボタン開口838から外部に僅かに臨んでいる。また、中継基板830に接続された配線は、接続開口部839から外部に引き出されるようになっている。
次に、ユニットサブ板825に形成されるギヤ領域840に設けられるギヤ843,844,847、及び検出円盤850について説明する。前述したように、払出モータ815のモータ軸818の先端は、ユニットサブ板825のアルミ放熱板841に穿設される軸挿通穴842を貫通してユニットサブ板825の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第一ギヤ843(駆動ギヤ)が固着されている。第一ギヤ843の上方には、該第一ギヤ843と噛合する第二ギヤ844(回転伝達ギヤ)がギヤカバー866の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板841に穿設される軸穴846に他端が支持される軸845に回転自在に設けられ、その第二ギヤ844の上方には、該第二ギヤ844と噛合する第三ギヤ847(回転伝達ギヤ)がユニットサブ板825に形成される軸穴849に圧入された軸848に回転自在に設けられている。更に、第三ギヤ847の上方には、該第三ギヤ847と噛合するギヤ部852(従動ギヤ)を有する検出円盤850が前記スプロケット807を軸支する回転軸808に回転自在に設けられている。
なお、図63に示すように、モータ軸818の先端部がギヤカバー866に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸808は、その一端がユニットベース体801に形成される軸受筒806に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー866に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域840の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴864を貫通して振分空間805においてスプロケット807を回転自在に軸支し、ユニットサブ板825とギヤカバー866とによって形成される空間において検出円盤850を回転自在に軸支している。ただし、図63に示すように、スプロケット807の後端部が検出円盤850の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット807と検出円盤850とは、回転軸808を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ815が回転駆動すると、その回転が第一ギヤ843、第二ギヤ844、第三ギヤ847、検出円盤850のギヤ部852を介してスプロケット807を回転するように伝達される。
この検出円盤850の外周は、ギヤ部852の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部852よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット807の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠851が形成されている。この検出切欠851は、ユニットサブ板825の表面に形成される基板取付部857に挟持支持されるセンサ基板854に設けられる投受光方式のセンサ855(回転位置検出手段)によって検出されるものである。そして、センサ855は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠851の検出個数を検出することにより、スプロケット807が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、センサ855により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット807による球噛み状態)には、スプロケット807を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路810に設けられる払出球検出センサ812によって検出して計数のために使用している。なお、図63に示すように、センサ基板854の他端辺もギヤカバー866に形成される基板取付部に挟持されるようになっている。
上述したように、ギヤ領域840に設けられる複数のギヤのうち、第二ギヤ844だけがギヤカバー866側に圧入される回転軸845に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域840を覆うギヤカバー866には、前記ユニットベース体801に突設されてユニットサブ板825の貫通穴858を貫通する取付ボス823の先端部に対応する位置に穿設される取付穴867が形成されている。そして、ギヤカバー866側に設けられる第二ギヤ844の歯とユニットサブ板825側に設けられる第一ギヤ843及び第三ギヤ847の歯とを噛み合わせながら、取付穴867と取付ボス823とを一致させた状態でギヤカバー866の後面からネジ868で螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持する状態でベースユニット体451とギヤカバー866とが一体的に固定される。また、ギヤカバー866の一側側面には、前記中継基板830に接続される配線(例えば、中継基板830と後述する払出制御基板1186とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片869が突設されている。
以上、賞球ユニット800の構成について説明してきたが、ユニットベース体801とユニットサブ板825と中継基板830と基板カバー835とギヤカバー866とを組み付けた状態においては、図63に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路803の下方位置に払出モータ815の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体801には、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)内に配置されたスプロケット807と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納された払出モータ815と、を設け、ユニットサブ板825には、その非閉塞面側に沿って払出モータ815のモータ軸818の回転をスプロケット807の回転軸808に伝達する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)を設け、しかも、払出モータ815と屈曲通路803の振分空間805に配置される払出部材としてのスプロケット807とをユニットサブ板825の後面のギヤ領域840に設けられる複数のギヤ843,844,847,850(852)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体801とユニットサブ板825との間に形成される球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)の奥行き幅内にスプロケット807と払出モータ815とを収納し、しかも、スプロケット807と払出モータ815とを連結する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)をユニットサブ板825の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット800を薄型化することができる。
また、このような賞球ユニット800は、当該賞球ユニット800内の球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ815を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の軸支側後面壁546の後面側に取り付けたときに、賞球ユニット800のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図63において、払出モータ815の前端部分がユニットベース体801の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図35に示すように、軸支側後面壁546の下方の払出モータ用逃げ開口部572から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から軸支側後面壁546の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、軸支側後面壁546よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット800が取り付けられる本体枠3の軸支側後面壁546と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
更に、上記のように構成される賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に取り付けるためには、図55に示すように、鉤状係合部824と係合突片565とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット800の下端を係止溝573に掛け止め且つ鉤状係合部824と係合突片565とを係合させるために賞球ユニット800を軸支側後面壁546に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット800の下端部と係止溝573とが係合し且つ鉤状係合部824と係合突片565とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット800を上方に移動させることにより簡単に上記のそれぞれの係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪564がボタン挿通係合穴821に係合するようになっている。
つまり、ロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット800の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット800を取り付けた後に、球通路ユニット770の連結蓋部材786を前述したように回動して係止弾性爪820で係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772下流端と賞球ユニット800の屈曲通路803の上流端とを一対の通路壁790によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット800を取り付けた状態では、賞球通路810の下流端と後に詳述する満タンユニット900の賞球入口927とが接続され、球抜通路811の下流端が球抜接続通路880の上流端と接続される。
一方、賞球ユニット800を取り外すときは、係止弾性爪820による係合を解除して連結蓋部材786を手前側に回動し、その後、着脱ボタン822を押圧してロック用弾性爪564を前面側に移動させてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821との係合を解除させ、その後着脱ボタン822を押圧したままの状態で賞球ユニット800を上方に引き上げて賞球ユニット800の下端部と係止溝573との係合及び鉤状係合部824と係合突片565との係合を解除して賞球ユニット800を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット800を簡単に取り外すことができる。
<満タンユニット>
上記した賞球ユニット800の下流側に配置される満タンユニット900について、主として図64乃至図70を参照して説明する。図64は、賞球ユニット800と満タンユニット900との関係を示す斜視図であり、図65は、満タンユニット900の斜視図であり、図66は、満タンユニット900の正面から見た分解斜視図であり、図67は、満タンユニット900の背面から見た分解斜視図であり、図68は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図69は、満タンユニット900に設けられる底面揺動板907部分で切断した横断面図であり、図70は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す断面図である。
満タンユニット900は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図66に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体901と、該ボックス主体901の上面を覆う蓋体926とから構成されている。ボックス主体901は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口921から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体926に形成される賞球入口927から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路902が形成されている。側方誘導通路902の賞球入口927の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部903が設けられ、側方誘導通路902の他端内面に側方誘導通路902を流れてきた球の衝撃を受け止めて該球を下流側に誘導する緩衝部材904が設けられている。
また、側方誘導通路902の他端内面に設けられる緩衝部材904に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、側方誘導通路902の球の流れと逆方向に流れるように誘導される逆側方誘導通路905が形成されている。逆側方誘導通路905を流れた球は、その後、前方に向かって形成される前方誘導通路920に導かれて該前方誘導通路920の流下端に形成される出口921から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋451に導かれる。
ところで、前記逆側方誘導通路905の上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口906が形成され、その底面開口906を底面揺動板907が揺動自在に閉塞している。底面開口906は、上面が開放されたほぼ正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起911が突設されている。また、底面開口906の凹状の底面にバネ913の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部912が形成されている。一方、底面開口906を閉塞する底面揺動板907は、ほぼ正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て前記軸支突起911に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部908が突設形成されている。
また、底面揺動板907の裏面中央には、図69に示すように、バネ913の上端が係止されるバネ係止突起910が下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板907は、バネ913の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ913は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板907上に載置したときでも底面揺動板907が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板907上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板907の上流側に検出突片909が前方に向かって突出されている。この検出突片909は、底面揺動板907の軸受部908を軸支突起911に嵌合軸支したときに、連通孔929を貫通して次に説明するスイッチ収納空間914に位置するようになっている。
また、逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ916を収納するためのスイッチ収納空間914が一体的に形成されている。スイッチ収納空間914に満タンスイッチ916を取り付けるために、スイッチ収納空間914の上部であって逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部918が形成され、そのスイッチ取付部918に満タンスイッチ916を保持するスイッチホルダ915の取付片917がネジ919によって止着されている。満タンスイッチ916は、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片909が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
更に、逆側方誘導通路905の下流側の一側方にファール球通路922が形成されている。ファール球通路922は、その上流側のファール球入口923が図68に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路920の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口923から屈曲したファール球通路922を通って前方誘導通路920に導かれ、さらに出口921及び賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に戻される。
また、ボックス主体901には、前記出口921の両側方と前記ファール球入口923の一側方に前記満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片924が突設されると共に、蓋体926に形成される掛止片928と係合する掛止突起925が形成されている。この掛止突起925は、ボックス主体901の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体926は、ボックス主体901の側方誘導通路902、逆側方誘導通路905、前方誘導通路920、及びファール球通路922の上面を覆うような板形状に形成され、前記側方誘導通路902に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口927が開口されている。また、蓋体926の周囲には、ボックス主体901の前記掛止突起925と係合するための掛止片928が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット900においては、図64に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口927から側方誘導通路902の上流側に入って側方誘導受部903によって側方に向かって誘導されて緩衝部材904に衝突する。緩衝部材904に衝突した球は、そのまま下流側に向かって逆側方誘導通路905を前記側方誘導通路902の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路920に導かれ、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口923から入ったファール球も屈曲したファール球通路922によって球の勢いを弱められて前方誘導通路920に合流し、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。
そして、通常時、満タンユニット900内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路902から逆側方誘導通路905に球が移動する際に、底面揺動板907に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ913の弾発力が強いので、底面揺動板907が揺動することがなく、図69の実線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット900内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路920及び逆側方誘導通路905の上流側の全域に形成される底面揺動板907上に貯留された球の圧力により底面揺動板907がバネ913の付勢力に抗して下方に揺動し、図69の二点鎖線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ916がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
上記したように、満タンユニット900においては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路905)の通路底面の幅とほぼ同じ幅の底面揺動板907によって満タンスイッチ916を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板907揺動するように付勢部材(バネ913)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
また、本実施形態に係る満タンユニット900においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット900の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。更に、本実施形態に係る満タンユニット900は、ファール球を導くファール球通路922が賞球を払い出す前方誘導通路920の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
<錠装置>
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取り付けられる錠装置1000について主として図71乃至図79を参照して説明する。図71は、錠装置1000と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図72は、錠装置1000の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図73は、パチンコ機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図74は、錠装置1000と本体枠3の側壁540,541との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図75は、錠装置1000の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図76は、錠装置1000の背面側から見た斜視図(A)、錠装置1000のコ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の斜視図(B),(C)であり、図77は、錠装置1000の分解斜視図であり、図78は、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の作用を説明するための正面図であり、図79は、不正防止部材1023,1032の作用を説明するための正面図である。
錠装置1000は、本体枠3の開放側の第一側面壁540に沿って本体枠3のほぼ上端から下端にかけて取り付けられるものであり、図71に示すように、本体枠3の外周側辺と第一側面壁540の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴548と、第一側面壁540の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴547とシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成される錠取付穴547と、によって次に説明する錠装置1000のコ字状基体1001が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置1000の構造について詳細に説明する。
図75乃至図77に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、該コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、前記コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、該本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取り付けられる不正防止部材1023,1032と、からなる。
コ字状基体1001は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁540と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置1000の横幅寸法を小さく形成して錠装置1000を本体枠3の裏側に取り付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
まず、コ字状基体1001の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通される長方形状のフック貫通開口1002が開設されると共に、閉塞側であって第一側面壁540と密着する側面1001b(図77参照)上部と中程に水平方向にビス止め部1003が突設され、更に、開放側の第一側面壁540と密着しない側面1001a(図77参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面1001a,1001bの下端部に係止突起1004が突設形成されている。
このビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ(図72参照)、その状態でビス止め部1003と錠取付穴547とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、その取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部1003及びコ字状基体1001の開放側(前方部)に形成されたビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定し且つ錠装置1000の下方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
換言すると、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
また、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に挿通穴1005が形成され、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることにより、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴1042と本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052にそれぞれ1つずつ形成されるリベット用長穴1055,1061にリベット1006を貫通させることにより、扉枠用摺動杆1040が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆1050が下方に移動できるようになっている。したがって、図76(B)に示すように本体枠用摺動杆1050のリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、図76(C)に示すように扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通している。
更に、コ字状基体1001の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部1007が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第一側面壁540と密着する側面1001bの前端部にシリンダー錠1010を取り付けるための錠取付片1008が側方に向かって突設され、更に、第一側面壁540と密着する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022がそれぞれ形成されている。不正防止切欠部1007は、後に説明する第一不正防止部材1023のストッパー片部1027が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けた状態で、遊技盤設置凹部510の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体1001の側面1001bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片1008には、シリンダー錠1010が貫通する錠挿通穴1009が形成されると共にシリンダー錠1010の錠取付基板1011に形成される取付穴1013をビス1012で取り付けるための取付穴1014が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取り付けるためのビス止め部1003が穿設されている。
また、挿入縦開口1020は、シリンダー錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダー錠1010の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片1021は、不正防止部材1023,1032に設けられるバネ1035が係止されるものであり、逃げ横穴1022は、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
上記した錠取付片1008に取り付けられるシリンダー錠1010について説明すると、シリンダー錠1010は、錠取付基板1011の前方に円筒状のシリンダー錠本体が固定され、そのシリンダー錠本体の錠軸1015が錠取付基板1011より後面に出ており、その錠軸1015の後端に係合カム1016がビス1019によって固定されている。係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018となっている。そして、上記のように構成されるシリンダー錠1010は、円筒状のシリンダー錠本体部分を錠挿通穴1009に挿通して錠取付基板1011の上下2箇所に形成される取付穴1013と錠取付片1008の取付穴1014とを一致させてビス1012で螺着することにより、シリンダー錠1010をコ字状基体1001に固定することができる。
次に、コ字状基体1001に取り付けられる不正防止部材1023,1032,について図77を参照して説明する。不正防止部材1023,1032は、シリンダー錠1010を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材1023,1032は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、上端の揺動軸穴1025を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴1025を前述したコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けるための挿通穴1005及びリベット1006のうち、最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取り付けられる。
また、第一不正防止部材1023には、その板状面に前記挿入縦開口1020と重複する縦長な突片挿入穴1026が開設され、この突片挿入穴1026に第二係合突片1018が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴1026と挿入縦開口1020を第二係合突片1018が貫通することにより、コ字状基体1001の内部に設けられる扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部1024となっている。この傾斜部1024は、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接するもので、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と傾斜部1024とが当接することにより第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図79(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023には、前記突片挿入穴1026の斜め下方の外形線上にストッパー片部1027が突設され、そのストッパー片部1027の下方に規制突片1031が突設され、該規制突片1031の前方部にピン穴1029と連結穴1030とが上下に形成されている。ストッパー片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に前記不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合して本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片1031は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とはバネ1035によって連結されるが、そのバネ1035で連結されたときに第二不正防止部材1032の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴1029は、ガイドピン1028が固定されるものであり、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側からピン穴1029に固定された状態で、そのガイドピン1028を前記挿入縦開口1020の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内するものである。更に、連結穴1030は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結するためのものである。
上記した第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033が形成され、その上部他端にバネ係止穴1036が穿設され、下方端部に当接部1037が設けられている。連結穴1033は、第一不正防止部材1023の連結穴1030と一致させて連結ピン1034で連結するためのものであり、バネ係止穴1036は、一端がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されるバネ1035の他端を係止するものである。また、当接部1037は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起41と当接するものである。なお、上記した第一不正防止部材1023及び第二不正防止部材1032の作用については、後に詳述する。
次に、コ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050について説明する。まず、扉枠用摺動杆1040は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部1041が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置1000を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴549(図31及び図32参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー227(図15参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部1041は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆1040を上昇させることにより扉枠用フック部1041とフックカバー227との係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆1040の上中下の側面中央に、前記リベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042が形成され、該リベット用長穴1042のうちの最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端にガイド突起1043が突設されている。リベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が貫通されるものであり、しかも、このリベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起1043は、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成される突片移動穴1056,1064に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040の上端部にスプリングフック部1046が形成され、このスプリングフック部1046にスプリング1048の一端が係止され、そのスプリング1048の他端が本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051に形成されるスプリングフック部1057に係止される。これにより、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、それぞれ相互に付勢されている。扉枠用摺動杆1040の中程には、当接弾性片1047が凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体1001の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆1040がガタつかないようにするものである。
更に、扉枠用摺動杆1040の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴1044と上昇係合穴1045とが形成されている。遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040の縦辺下部後方には、前記不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部1049が形成されている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパー片部1027を確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1052と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。このため、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材1051には、その上端部に後方に向かってフック部1054が突設され、その板面部にリベット用長穴1055と突片移動穴1056とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部1057と連結穴1058とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1059が形成されている。フック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起38に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。
このリベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材1051が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴1056は、前述したように扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部1057は、前述したようにスプリング1048の他端が係止されるものである。また、連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部1059は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して上フック部材1051の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材1052には、その下端部に後方に向かってフック部1065が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴1061と下降係合穴1062と遊び穴1063と突片移動穴1064とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴1060が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1066がそれぞれ形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1067が形成されている。フック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起41に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1061にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となっている。
これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴1064は、前述したように扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴1060は、連結線杆1053の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に当接部1067は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して下フック部材1052の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
以上、錠装置1000を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置1000を組み付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とをコ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。
この際、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット1006を差し込むときには、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取り付ける必要がある。なお、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取り付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し且つガイドピン1028をピン穴1029に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
更に、リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片(穴)1021,1036に掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009にシリンダー錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダー錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、このとき係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入し、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入した状態となるようにシリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付ける。
上記のようにして組み付けた錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠3に形成される扉用フック穴549に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図71に示すように、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
ところで、本体枠3の裏面に取り付けられた錠装置1000の作用について図78及び図79を参照して説明する。まず、図78を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図78(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー227とが係止した状態となっている。その状態でシリンダー錠1010に図面示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図78(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図78(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖用突起38,41の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、遂には、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖用突起38,41とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダー錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図78(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー227と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。
なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図78(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー227の上端部と当接するので、扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー227とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長とほぼ同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面のほぼ全長に亘って取り付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る錠装置1000は、シリンダー錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダー錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図79を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図79(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパー片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパー片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダー錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図79(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。このため、ストッパー片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。このとき、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖用突起38,41との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図79(A)に示す状態とほぼ同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図79(A)に示す状態となる。このため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダー錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取り付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。
また、錠装置1000の取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003及びビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成した錠取付穴547とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付けるビス1012を利用して、該ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダー錠貫通穴526の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付穴547との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。
また、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を第一側面壁540に密着しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、第一側面壁540に密着する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
<基板ユニット>
次に、本体枠3の裏面下部に取り付けられる基板ユニット1100について、主として図80及び図81を参照して説明する。図80は、基板ユニット1100を背面側から見た斜視図であり、図81は、基板ユニット1100を前面側から見た斜視図である。
基板ユニット1100は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダ用の取付穴部527(図32,図34参照)に取り付けられるものであり、図示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダ1101に、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、払出制御基板ボックス1105、主ドロワ中継基板、及び副ドロワ中継基板の各種基板を取り付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、及び払出制御基板ボックス1105は、枠用基板ホルダ1101の後面側に前後方向に重複して取り付けられ、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、枠用基板ホルダ1101の前面側に取り付けられるものである。なお、払出制御基板ボックス1105の裏面には、電源基板等からの電磁波の影響を防止するためにシールド板が取り付けられ、また、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、基板カバー1109に被覆されて取り付けられている。
まず、枠用基板ホルダ1101は、横長状に合成樹脂で成形され、図示すように、その後面側一側部に配線用開口1124が形成され、図示は省略するが、配線用開口1124の内側に扉中継基板を取り付けるための中継基板用凹部が形成されている。この枠用基板ホルダ1101の左右両辺及び下辺には、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けるための取付片1122が外側に向かって突設され、該取付片1122を本体枠3の前記取付穴部527(図32参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット1100が本体枠3の背面下部に取り付けられる。なお、取付穴部527は、図34に示すように、取付片1122の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダ1101の他端側(図81の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片1123が突設形成されている。
また、枠用基板ホルダ1101の前面側のほぼ中央には、アウト球通路1119が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路1119は、前述したアウト口606(図41参照)、球抜排出通路524(図32参照)の下流側、及び落下口629(図39参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けたときには、図35に示すように、アウト球通路1119の幅広上流部がアウト口606の下面を支持する通路支持突起513の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路1119の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
基板カバー1109には、主ドロワ中継基板に設けられる主ドロワ中継コネクタ1200及び払出制御基板用コネクタ1201と、副ドロワ中継基板に設けられる副ドロワ中継コネクタ1202及び扉枠用コネクタ1203とが基板カバー1109の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口が開設されている。
払出制御基板ボックス1105は、横長の長方形状の払出制御基板が固定されるボックス主体と、ボックス主体に取り付けられて払出制御基板の表面を覆うカバー体と、から構成されている。ボックス主体とカバー体とは、その一側辺を係合させ、その他側辺に分離切断部1183でカシメ固定している。これによってボックス主体とカバー体とを分離するためには、分離切断部1183を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部1183におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1〜4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができるようになっている。
<カバー体>
次に、カバー体1250について、図6、図34及び図38を参照して説明する。カバー体1250は、本体枠3の後面開口580を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部575に上方から挿入される軸支ピン1251が形成され、その他側のほぼ中央に球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785と係合する係合片1252が形成されている。しかして、カバー体1250の軸支ピン1251をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1250を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1252をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1250を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片1252とカバー体係合溝785との係合を解除すればよい。
また、図示の場合のカバー体1250においては、開放側の係合片1252の上下に止め穴1253が形成され、また、本体枠3の施錠壁569に突設される施錠用突出鉤片570を貫通させる貫通穴1254が形成され、更に詳細に図示しないが、次に説明する第二実施形態に係るカバー体1270と同じように、接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブが形成されている。これら接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブは、第二実施形態に係るカバー体1270の接続操作用開口1283、立壁1284、当接突起1285、補強リブ1286と同じ位置に設けられて同じ機能を奏するものである。そして、カバー体1250を閉じた状態で、カバー体1250の止め穴1253と本体枠3側の止め穴568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができる。そして、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570がカバー体1250の貫通穴1254を貫通しているので、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
〔遊技装置及び演出装置〕
次に、遊技盤4に配設された遊技装置及び演出装置について、図82乃至図85を参照して説明する。図82は、遊技領域605を有する遊技盤4の正面図であり、図83は、遊技領域605を有する遊技盤4の前方右上から見た斜視図であり、図84は、遊技領域605を有する遊技盤4を前方左上から見た斜視図であり、図85は、遊技領域605を有する遊技盤4を分解して斜め前方から見た分解斜視図である。
遊技領域605を形成する遊技パネル599には、中央部分に開口部1400(図85参照)が設けられており、その開口部1400を囲むように額縁状のセンター役物1401が取付けられている。つまり、センター役物1401によって遊技パネル599の表面に遊技領域605が区画形成されており、この遊技領域605内には、多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、遊技領域605を転動する遊技球が入球可能な入球口ユニット1402が配置されている。また、詳細は後述するが、遊技領域605に臨むセンター役物1401の外周面(特に右側の側縁部)には、開閉入賞装置1404及び通過ゲート1405が形成されている。
センター役物1401の具体的な構成について図86に基づき説明する。図86(a)はセンター役物1401を前方右上から見た斜視図であり、図86(b)はセンター役物1401を前方左上から見た斜視図である。センター役物1401は、鏡面加工部材から形成されており、センター役物1401の左側の側縁部には、センター役物1401の外側に開口したワープ入口1408と、センター役物1401の内側に開口したワープ出口1409とを有し、ワープ入口1408及びワープ出口1409を連通するワープ通路(図示しない)が形成されている。
また、センター役物1401における下縁部上面には、後述するステージ1443から逸脱した遊技球を左右方向に転動させることのできるサブステージ1407が形成されている。サブステージ1407の中央部分には、勢いの弱くなった遊技球を前方に向って流出させる前下り勾配の流出部1407aが形成され、その下部には、ステージ1443の流入口1473(後述する)に連通する流出路1416が前後方向に形成されている。また、サブステージ1407の前縁のうち左右両側部分に対して前面壁部1415が形成されており、該部分から遊技球が逸脱することを防止している。つまり、ステージ1443から排出された遊技球を受け止め、左右方向に転動させるように構成されている。
また、センター役物1401の前面には、色彩豊かな複数の装飾部1412が形成されており、センター役物1401の意匠性を高めている。また、装飾部1412には、複数の発光部1413が埋込まれており、遊技状態に基づいて発光するようになっている。
開閉入賞装置1404は、センター役物1401の右下部側の側縁部に配置されており、センター役物1401の外側に開口した大入賞口(図示しない)と、大入賞口に入賞した遊技球を検出する大入賞口センサ2370(図100参照)と、大入賞口を閉鎖可能な上下方向に延びる流線形状とされ下部側が軸支されると共に直立状態から時計回りに回動可能とされた可動片1430と、上下方向に進退可能なプランジャを有したアタッカソレノイド1429と、アタッカソレノイド1429におけるプランジャの進退に伴って前後方向に延びる軸周りに回動して可動片1430を回動させる伝達部材(図示しない)とを備えている。なお、大入賞口から進入し大入賞口センサ2370で検出された遊技球は、そのまま開閉入賞装置1404の下方へ排出されるようになっているが、その内の一つの遊技球が後述する停留手段1515によって停留されるようになっている。
通過ゲート1405は、センター役物1401の外側に開口したゲート入口1432及びゲート出口1433と、これらを連通するゲート通路(図示しない)と、ゲート通路を通過する遊技球を検出するゲートセンサ2990(図100参照)とから構成されている。
入球口ユニット1402の具体的な構成について、図82及び図87に基づき説明する。図87は、入球口ユニット1402を前方右上から見た斜視図である。入球口ユニット1402は、遊技球が入球可能な複数の一般入賞口1419と、センター役物1401の流出口1416の下方に配置された第一始動口1420と、第一始動口1420の右側に配置された第二始動口1421とを備えている。さらに詳しく説明すると、一般入賞口1419は、遊技領域605の右側、中央側、左側に分かれて配置されており、左側の一般入賞口1419と中央側の一般入賞口1419との間に第一始動口1420が配置され、中央側の一般入賞口1419と右側の一般入賞口1419との間に第二始動口1421が配置されている。なお、センター役物1401に対しての配置位置は、第一始動口1420が、センター役物1401の真下よりもやや左側となり、第二始動口1421が、センター役物1401の右下となる。つまり、第一始動口1420は、遊技領域605の中央よりも左側に配置され、第二始動口1421と前述した開閉入賞装置1404及び通過ゲート1405とは、遊技領域605の右側に配置されている。
第一始動口1420は、遊技球が常時入賞可能なポケットタイプの入賞口装置からなり、入賞した遊技球を検出する第一始動口センサ2416(図100参照)を備えている。ここで、第一始動口1420が本発明の始動口に相当し、第一始動口センサ2416が本発明の入賞状態検出手段に相当する。
一方、第二始動口1421は、一対の可動片1427によって開閉可能に構成されている。つまり、第二始動口1421は、一対の可動片1427を開閉駆動させる始動口開閉駆動ユニット(図示しない)を更に備えており、この始動口開閉駆動ユニットは、前後方向に進退可能なプランジャを有した始動口ソレノイド2352と、始動口ソレノイド2352におけるプランジャの前後方向の進退に伴って水平方向且つ左右方向に延びる軸周りに回動し、一対の可動片1427から後側に延在された突出ピンを上下方向に移動可能な伝達部材(図示しない)とを備えている。また、始動口ソレノイド2352の下側には第二始動口センサ2358(図100参照)が備えられており、第二始動口1421に入賞した遊技球が、第二始動口センサ2358の貫通孔を通過することで第二始動口センサ2358に検出されるようになっている。なお、可動片1427は、通過ゲート1405に遊技球が通過したことが検出され、それに基づいて普通抽選が行われ、抽選結果が当りの場合に所定時間開放されるようになっている。つまり、第二始動口1421は普通抽選で当りとなった場合にのみ開放され、遊技球を入賞させることが可能となっている。ここで、第二始動口1421が本発明の始動口に相当し、第二始動口センサ2358が本発明の入賞状態検出手段に相当する。
ところで、パチンコ機1では、操作ユニット1700における摺動操作部1703の摺動操作に対応して打球発射装置650から遊技球が発射されると、その遊技球は、内レール603及び外レール604によって遊技領域605の左上部分に案内され、当該部分から遊技領域605内に放出される。そして、第一始動口1420は、遊技領域605における左右方向の中央付近よりもやや左側の位置に配置されているため、通常時の遊技方法としては、第一始動口1420に多くの遊技球を入賞させるよう、センター役物1401の左側を狙って、遊技球を発射させることが好ましくなる。なぜなら、遊技領域605におけるセンター役物1401の右側または右下には、第二始動口1421及び通過ゲート1405が配置されているが、第二始動口1421は普通抽選で当りとならない限り開放されることがなく、しかも普通抽選の契機となる通過ゲート1405に遊技球を通過させることができても、通常時は、第二始動口1421が開放し難いように、すなわち普通抽選において当りとなる確率が極めて低くなるように設定されているためである。すなわち、センター役物1401の右側を狙って遊技球を発射させるようにしても(所謂、「右打ち」するようにしても)、大当りの発生を期待することができないためである。
一方、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づいて大当り抽選が行われ、その抽選結果が特定の結果となった場合には、特定の利益が付与される。具体的には、開閉入賞装置1404の開閉動作が複数回繰り返されるとともに、開状態における一回当りの開放時間が、複数個の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の時間とされる。ここで、開閉入賞装置1404は遊技領域605におけるセンター役物1401の右側に配置されているため、開閉入賞装置1404に多くの遊技球を入賞させるよう、右打ちすることが好ましくなる。また、特定の利益が付与された後は、普通抽選の抽選結果が当りとなり第二始動口1421が開放される確率が高くなる。すなわち、第二始動口1421に対し、遊技球を容易に入賞させることが可能になる。このため、遊技者は、通過ゲート1405及び第二始動口1421に多くの遊技球を入賞させるよう、右打ちを継続することが好ましくなる。
このように、通常時と特定の遊技状態の時とでは、摺動操作部1703を操作して遊技球の打ち方を替えることが好ましくなり、パチンコ機本来の興趣を向上させることが可能になる。また、通常時と特定の遊技状態の時とでは、互いに異なる領域でしかも互いに異なる条件で遊技を行うことから、遊技内容の単調さを抑制することができる。
また、図82に示すように、第一始動口1420と第二始動口1421との間には、第二始動口1421の上方の遊技領域605から第一始動口1420の上方の遊技領域605への遊技球の流動を阻止する障害釘1426が設けられている。したがって、例えば遊技球を右打ちした場合に、第二始動口1421に入賞しなかった遊技球が第一始動口1420に向って流下することを防止でき、通常時に用いられる遊技領域605と特定の遊技状態の際に用いられる遊技領域605とを明確に区別することが可能となる。
また、図87に示すように、第二始動口1421の下部には、第二始動口1421の下方の領域を通って遊技球が転動することを阻止する通過阻止部材1424が下方に延出して形成されており、また、この通過阻止部材1424の左側には、センター役物1401の右側を通って流下した遊技球を遊技領域605から排出可能とする右アウト口1425が設けられている。このため、センター役物1401の左側を通って流下した遊技球は、通過阻止部材1424の左側に配置されたアウト口606(図82参照)から排出され、一方、センター役物1401の右側を通って流下した遊技球は右アウト口1425から排出されることとなる。つまり、各始動口1420,1421や開閉入賞装置1404に入賞することなく流下した遊技球は、遊技領域605から排出されることとなるが、センター役物1401の左側及び右側に打ち込まれた遊技球は、最後まで合流することなく別々のアウト口606,1425から排出される。このため、センター役物1401の右側の領域と左側の領域が区画されているように感じさせることができ、遊技球の打ち方の切替えが必要なことを容易に認識させることができる。
また、通過阻止部材1424には、大当り抽選の抽選結果に応じた特別図柄を表示するための特別図柄表示器1428が取付けられている。このため、第二始動口1421に対する抽選結果を容易に認識させることが可能となるとともに、第二始動口1421に対する注意を一層惹き付けることが可能となる。
<枠状装飾ユニット>
次に、入賞空間形成カバー体1621の内部に配置された枠状装飾ユニット1440について、図88乃至図90に基づき説明する。図88は枠状装飾ユニット1440を有する入賞空間形成カバー体1621の正面図であり、図89は、枠状装飾ユニット1440を有する入賞空間形成カバー体1621を前方右上から見た斜視図であり、図90は、枠状装飾ユニット1440に設けられたステージ1443及び振分演出装置1444の関係を示す斜視図である。
前述したように、遊技パネル599の背面側には入賞空間形成カバー体1621が取付けられている(図85参照)。そして、入賞空間形成カバー体1621の内部には、枠状に構成された枠状装飾ユニット1440が収容されており、図82に示すように、センター役物1401の開口部1401aを通して遊技者側から視認させることが可能になっている。つまり、図85に示すように、枠状装飾ユニット1440における開口部の大きさは、センター役物1401の開口部1401aよりも小さくなっており、枠状装飾ユニット1440の内周面がセンター役物1401の内周面よりも中心に向って延出した形態となっている。枠状装飾ユニット1440には、内周面における左右側面及び上面に亘って一体的に形成された装飾部1441と、装飾部1441上に配置され光を放射可能な電飾部1442とが備えられている。なお、電飾部1442は、「L」,「O」,「V」,「E」の文字を夫々個々に象り前面の透明蓋を有する四つの発光ケースと、それら発光ケースの中に収容され透明蓋に向って光を放射する発光基板2892a〜2892c(図101参照)と、発光基板2892a〜2892cと透明蓋との間に介装され、発光基板2892a〜2892cから放射された光を乱反射させる反射部材(図示しない)とから構成されている。
また、枠状装飾ユニット1440の内周面における底面部分(すなわち下縁部上面)は、センター役物1401のサブステージ1407から後方に延出するように形成されており、その下縁部上面には、図90に示すように、ステージ1443と振分演出装置1444とが左右方向に並んで配置され、さらに、振分演出装置1444に遊技球を送込む案内通路部材1445が配置されている。
<ステージの構成>
まず、ステージ1443について、図91乃至図97に基づき説明する。図91は、ステージ1443を前方右上から見た斜視図であり、図92は、ステージ1443の平面図であり、図93は、図92のA−A断面図であり、図94は、図92のB−B断面図であり、図95は、図92のC−C断面図であり、図96は、図92のD−D断面図であり、図97は、図92のE−E断面図である。
ステージ1443は、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面のうち、左側に配置されており、センター役物1401に形成されたワープ通路を通って枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球を左右方向または斜め左右方向に転動させる転動面を備えている。特に、ステージ1443は、後段側が前段側よりも高くなるように、前後方向に階段状に並設されたn個(本例では5個)の転動面を有し、ワープ通路を通って枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球を、最上段の第一転動面1450から最下段の第五転動面1454に向かって順に転動させながら流下させることを可能にしている。つまり、枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球は、まず、最上段の第一転動面1450に送られ、第一転動面1450上で左右方向または斜め左右方向に転動する。その後、遊技球は二段目の第二転動面1451、さらには三段目の第三転動面1452、というように最下段の第五転動面1454に向かって順に転動しながら流下する。また、最下段の第五転動面1454まで転動した遊技球は、ステージ1443から流出され、センター役物1401の下方に配置された第一始動口1420に向って流下する。このように、階段状に形成された複数の転動面を備えることにより、ステージ1443における遊技球の挙動を変化に富んだものとし興趣の低下を抑制することが可能になる。
また、夫々の転動面1450〜1454は、左右方向の長さが下段側の転動面ほど短くなるように設定されている。このため、各転動面上での遊技球の挙動が必要以上に長くなり過ぎることを防止できる。また、夫々の転動面1450〜1454は次第に短くなるため、遊技球の転動範囲を漸次収束させることができ、所定の目標到達位置(すなわち第一始動口1420)に近づきつつあることを感じさせることが可能になる。また、第一転動面1450以外の転動面1451〜1454は、右端側を中央部分(振分演出装置1444側)に寄せて配置されている。このため、第一始動口1420への入賞の有無を注目する遊技者に対して、今までの遊技機(即ち第一始動口1420の真上にステージが配置された遊技機)とは異なった視線でステージ1443を視認させることが可能になる。換言すれば、ステージ1443の構成ばかりでなくステージ1443の配置においても独自性を醸し出し、遊技機のコンセプトとして特徴付けることが可能になっている。
第一転動面1450は、図91及び図93に示すように、枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球を、左右方向に往復運動させることが可能な略円弧状の第一円弧面1460を有し、その第一円弧面1460における左右方向の中央部分には、勢いの弱くなった遊技球を、二段目の第三転動面1452に向かって流出させる前下り勾配の第一流出部1461が形成されている。なお、図92に示すように、第一円弧面1460の左端部分には、前方に向って延出し、センター役物1401のワープ出口1409と第一円弧面1460とを繋ぐ案内通路1449がステージ1443と一体的に形成されている。このため、ワープ通路及び案内通路1449を通って、勢いのある遊技球を第一転動面1450の左端部に送り込むことにより、比較的長い間、第一転動面1450上で遊技球を転動させることが可能となり、ひいてはステージ1443に遊技球が入球したことを容易に認識させることが可能になる。つまり、遊技者の気づかない間に遊技球が下段側の転動面まで到達し、遊技球の挙動を楽しませることなく遊技球が排出される、という事態を防止することができる。
第二転動面1451には、図91及び図94に示すように、第一転動面1450の第一流出部1461から流出された遊技球を第二転動面1451の左端部側に向かって転動させる第二傾斜面1462と、その第二傾斜面1462によって左端部側まで転動した遊技球を三段目の第三転動面1452に向かって流出させる前下り勾配の第二流出部1463とが形成されている。このため、第二転動面1451に送られた遊技球は、第一転動面1450のような往復運動は行われず、左方向に向って真直ぐ転がりそのまま流出させられる。したがって、第一転動面1450での遊技球の挙動とは全く異なる動きを生じさせることが可能となり、視覚的な面白みを一層高めることが可能になる。
また、第二転動面1451は、第一転動面1450の第一流出部1461から流出され且つ第二傾斜面1462の上流端側から逸脱した遊技球を、第二傾斜面1462上で転動させることなく第二流出部1463の反対側に位置する部分から第三転動面1452に向かって流出させる第二特別経路1464をさらに備えている。つまり、第二転動面1451では、第一転動面1450の第一流出部1461から送られてきた遊技球を、第二傾斜面1462の上流端側から逸脱させ得る構成となっており、ここから逸脱した遊技球は、第二特別経路1464を通過することにより、第二傾斜面1462を迂回し、第二流出部1463の反対側に位置する部分から第三転動面1452に向かって流出させられる。したがって、第二転動面1451において遊技球が振分けられることとなり、遊技球の挙動を一層注目させることが可能になる。
第三転動面1452は、図91及び図95に示すように、第二転動面1451の第二流出部1463から流出された遊技球を左右方向に往復運動させることが可能な略円弧状の第三円弧面1465と、その第三円弧面1465における左右方向の中央部分に形成され、勢いの弱くなった遊技球を、四段目の第四転動面1453に向かって流出させる前下り勾配の第三流出部1466と、第二転動面1451の第二特別経路1464を通って流出された遊技球を、第三円弧面1465で転動させることなく第三流出部1466と異なる部分から第四転動面1453に向かって流出させる第三特別経路1467とを備えている。したがって、第二流出部1463から流出され第三転動面1452に送られた遊技球は、略円弧状の第三円弧面1465によって左右方向に繰返し転動させられ、その後、勢いが弱くなると、第三流出部1466から四段目の第四転動面1453に向かって流出させられる。このため、再び遊技球を往復運動させることが可能となり、遊技球の挙動の変化を一層変化に富んだものとすることができる。また、第二転動面1451の第二特別経路1464を通って流出された遊技球は、第三円弧面1465を通ることなく、第二特別経路1464から第四転動面1453に向かって流出させられる。つまり、第二転動面1451において第二特別経路1464側に振分けられた遊技球は、通常の経路を通る遊技球と合流することなく第四転動面1453に送られる。このため、特別通路の有利性を維持することができ、遊技者に安心感を与えることができる。
また、第三転動面1452は、第三流出部1466と一体的に形成され勢いの弱くなった遊技球をステージ1443から排出させることが可能な第三排出部1468をさらに備えている。このため、第三転動面1452の出口において遊技球が振分けられるため、遊技球の行方を最後まで注目させることが可能となる。
第四転動面1453は、図91及び図96に示すように、第三転動面1452の第三流出部1466から流出された遊技球と、第三転動面1452の第三特別経路1467を通って流出された遊技球とを合流させるとともに、これらの遊技球を左右方向に往復運動させることが可能な略円弧状の第四円弧面1469と、その第四円弧面1469における左右方向の中央部分に形成され、勢いの弱くなった遊技球を、五段目の第五転動面1454に向かって流出させる前下り勾配の第四流出部1470と、第四流出部1470と一体的に形成され、勢いの弱くなった遊技球をステージ1443から排出させることが可能な第四排出部1471とを備えている。このため、特別通路を形成することなく、比較的大きな第四円弧面1469によって遊技球を大きく転動させることが可能になる。また、第二転動面1451において一旦振り分けられたものを第四転動面1453において合流させることから、第二特別経路1464に振分けられなかった遊技球に対しても、その後の行方について期待感を生じさせることができる。
ところで、一旦振分けられた遊技球を単純に合流させるものでは、第二特別経路1464に振分けられた遊技球の有利性がなくなり、振分けること自体が無意味なものになってしまう。そこで本例では、第四流出部1470及び第四排出部1471は、第三特別経路1467を通って流出された遊技球が、第三流出部1466から流出された遊技球よりも第四流出部1470に向う確率が高くなるように配設位置が設定されている。つまり、第四円弧面1469に対して遊技球が送り込まれる位置を互いに異ならせることにより、共通の第四円弧面1469を用いながらも、流出される位置を第四流出部1470または第四排出部1471のいずれか一方に偏らせている。このため、第二特別経路1464に振分けられた遊技球の有利性を維持し、期待感を維持することができる。また、有利性の異なる遊技球が、共通の第四転動面1453上で左右方向に転動することから、微妙な勢いの違いにハラハラさせることが可能になる。
第五転動面1454は、図91及び図97に示すように、最下段の転動面であり、第四転動面1453の第四流出部1470から流出された遊技球を右側に向って転動させる第五傾斜面1472と、第五傾斜面1472の右端部分まで転動した遊技球を流入させる流入口1473とを備えている。この流入口1473は、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面に穿設された通路(図示しない)に連通しており、その通路を介してセンター役物1401の下端部分に形成された流出路1461に送られるようになっている。つまり、ステージ1443の第五転動面1454に到達した遊技球は、全て流入口1473に入球し、流出路1461を通して第一始動口1420の上方の遊技領域605に流出する。すなわち、第一始動口1420に比較的高い確率で入賞させることが可能となっている。
ところで、図82及び図86を基に前述したセンター役物1401のサブステージ1407は、ステージ1443の前方に配置され、第三排出部1468または第四排出部1471を通ってステージ1443から排出された遊技球を受け止めるとともに、その遊技球を左右方向に転動させるように構成されている。このため、第三転動面1452または第四転動面1453からステージ1443の外部に排出された場合でも、サブステージ1407によって左右方向に転動させることが可能になり、ひいては遊技球の挙動を十分に堪能させることができるとともに、期待感の消失を軽減することができる。なお、サブステージ1407は、第一始動口1420に対する遊技球の入賞のし易さが、ステージ1443よりも低くなるように形成されている。このため、ステージ1443の第五転動面1454から流出される場合と、途中の転動面(第三転動面1452や第四転動面1453)から排出された場合との有利性を明確に差別化することができる。
また、サブステージ1407とステージ1443とは互いに異なる材質で形成されている。このため、互いに異なる質感を醸し出し、機能や有利性が互いに異なることを視覚的に意識させることができる。特に、サブステージ1407は、センター役物1401の下縁部上面に直接形成されているのに対し、ステージ1443は、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面に載置されたステージ構成部材1455(図91参照)によって形成されている。このため、ステージ1443のみを目立たせることが可能になり、ステージ1443とサブステージ1407との主従関係を視覚的に把握させることができる。また、ステージ1443の第三転動面1452または第四転動面1453から排出された遊技球を、サブステージ1407に向って流下させることが必要であるが、本例では、ステージ1443を枠状装飾ユニット1440とは別のステージ構成部材1455によって形成しているため、第三転動面1452または第四転動面1453をサブステージ1407よりも高い位置に形成することが可能になる。
また、ステージ構成部材1455は、光透過性を有する部材からなり、ステージ構成部材1455の下方には、ステージ構成部材1455に向って下側から光を照射する発光手段1456が配置されている(図94乃至図96参照)。このため、ステージ1443を確実に目立たせるともに、光によるイリュージョンを醸し出すことが可能になる。
また、サブステージ1407は、ステージ1443の前方から振分演出装置1444の前方まで延出して形成されている。つまり、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面にはステージ1443と振分演出装置1444とが左右方向に並んで配置されているのに対し、サブステージ1407は、ステージ1443の前方だけではなく振分演出装置1444の前方にまで延出して形成されている。このため、サブステージ1407における左右方向の長さがステージ1443よりもかなり長くなり、遊技球を左右方向に大きく転動させることが可能になる。したがって、このサブステージ1407によれば、ステージ1443では困難であった左右方向のダイナミックな転動を容易に実行させることが可能になり、前後方向に階段状に形成された複数の転動面1450〜1454と、左右方向に広がるステージ1443との組合せによって、一層変化に富んだ挙動を実現させることができる。
また、第二転動面1451〜第五転動面1454は、平面視における振分演出装置1444の端部(右端)が反対側の端部(左端)よりも後方に位置するように前後方向に傾いて配置され、遊技球を斜め左右方向に転動させるように構成されている。このため、ステージ1443が配設される空間、特にその空間における左右方向の幅が比較的狭い場合であっても、第二転動面1451〜第五転動面1454を前後方向に傾けて形成することにより、第二転動面1451等の長さを長くすることが可能になる。また、斜め左右方向に転動させることにより、遊技球は左右方向だけではなく前後方向にも変位することになり、遊技球の遠近感も変化させることが可能になる。さらに、振分演出装置1444側の右端部が左端部よりも後方に位置するように配置されているため、遊技盤4の中央前方で遊技を行う遊技者の視線、すなわち遊技盤4の中央前方からステージ1443を斜めに見る遊技者の視線、に対して直交する方向に遊技球を転動させることが可能になる。したがって、ステージ1443が枠状装飾ユニット1440の左側にしか設けられていないにも拘らず、偏って配置されているという感覚をなくし、遊技球の挙動を自然な形で視認させることが可能になる。なお、第一転動面1450は、前後方向に傾くことなく左右方向にまっすぐ形成されている。このため、第一転動面1450における遊技球の転動方向と、第二転動面1451以降の転動面における遊技球の転動方向とが互いに異なることとなり、遊技球の挙動をさらに変化に富んだものとすることができる。また、第一転動面1450は、最も奥側で且つ最上段に形成されているため、振分演出装置1444の上方の空間に配置すること、すなわち振分演出装置1444側まで延出することが容易となる。
<振分演出装置の構成>
次に、振分演出装置1444について、図98及び図99に基づき説明する。図98は、振分演出装置1444及び案内通路部材1445の関係を示す平面図であり、図99は、振分演出装置1444を分解して斜め右上から見た斜視図である。
図99に示すように、振分演出装置1444は、平面視が半円形状であるベース部材1479と、ベース部材1479の上面に組みつけられ遊技球が入球可能な複数(本例では3個)の流入口1480を有する流入口ユニット1481と、流入口ユニット1481の流入口1480に対して遊技球を振分ける振分ユニット1482と、流入口ユニット1481を覆う透明のカバー1483と、ベース部材1479に取付けられ、流入口ユニット1481に対して光を放射する発光基板1484と、ベース部材1479の下部に取付けられた下部ケース1485とを具備して構成されている。
流入口ユニット1481における流入口1480は、右流入口1480a、中流入口1480b、及び左流入口1480cからなり、円弧上に所定の間隔で並んで配置されている。また、各流入口1480の周囲は光を透過可能な透明の部材で形成され、その上面には各流入口1480を区画するように三つの貫通孔が穿設された鏡面加工部材1485が敷設されている。
また、流入口ユニット1481の中央部分には、扇状の開口部1486が設けられており、この開口部1486内に振分ユニット1482の誘導部材1490が挿入されるようになっている。また、三つの流入口1480が配置された円弧と同じ円弧上に、下段電飾部1488及び上段電飾部1487が形成されており、ベース部材1479に組付けられた発光基板1484によって照射されるようになっている。
振分ユニット1482は、流入口1480に向って先端側のみが開放され、後端側に送込まれた遊技球を、いずれかの流入口1480に向って誘導する樋状の誘導部材1490と、誘導部材1490を、後端側を軸として回動(すなわち水平方向に旋回)可能に支持する支持部材1491と、誘導部材1490を所定範囲内で回動させる振分モータ1493と、振分モータ1493の回転軸に連結されるとともに、回転支軸1492を介して誘導部材1490に接続され、振分モータ1493の回転数を減速して誘導部材1490に伝達する減速機構1494とを具備して構成されている。なお、減速機構1494には、誘導部材1490が予め定めた基準点に到達したか否かを検出するための基準位置検出手段1495が備えられている。
カバー1483は、遊技領域605を転動する遊技球が流入口ユニット1481内に飛び込まないように、流入口ユニット1481全体を覆っているが、後端中央部分には、誘導部材1490の回転中心部分に遊技球を落し込むための挿入用切欠1498が形成されている。また、カバー1483の周面には、円筒状の締結用孔部1499が複数形成されており、流入口ユニット1481に設けられた締結用孔部1489と突き合わせることにより、ネジ等の締結手段を用いて、カバー1483を流入口ユニット1481に固定させることが可能となっている。
発光基板1484は、流入口ユニット1481における流入口1480の下方に配置され、流入口1480の周囲を照射する第一発光基板1500と、流入口ユニット1481における左側の下段電飾部1488及び上段電飾部1487を下方から照射する第二発光基板1501と、流入口ユニット1481における右側の下段電飾部1488及び上段電飾部1487を下方から照射する第三発光基板1502とからなる。夫々の発光基板1484には、発光源たる複数の発光ダイオード1503が搭載されている。特に、第一発光基板1500には、夫々の流入口1480に対向するように別々に配置されるとともに、2色(例えば赤色と青色)の光を選択的に切替えて放射させることが可能な2色発光ダイオードが搭載されている。このため、複数の流入口1480のうち、いくつかの流入口1480が特定の流入口として選定された場合、その特定の流入口に対応する光の色と、その他の流入口に対応する光の色とを互いに異ならせることが可能になる。
ベース部材1479には、第一発光基板1500を収容する収容部1505と、流入口ユニット1481における複数の流入口1480に夫々重なり合う三つの球挿通孔1506と、第二発光基板1501及び第三発光基板1502から放射される光を通過させる窓部1507と、回転軸1492を貫通させる貫通孔1508とが形成されている。また、下部ケース1485には、減速機構1494を収容する収容部1509と、振分モータ1493の回転支軸を挿通可能な貫通孔1510が形成されている。なお、ベース部材1479及び下部ケース1485は、樹脂など非電導性の部材で形成されている。
このように、本例の振分演出装置1444では、全ての流入口1480が、誘導部材1490の回転中心よりも遊技者側に配置され、誘導部材1490は、遊技者側に向って遊技球を転動させるよう構成されている。このため、誘導部材1490の動作、誘導部材1490上での遊技球の挙動、及び流入口1480に流入する遊技球の挙動を、はっきりと視認させることができる。また、流入口1480に遊技球が吸い込まれるように見せることができ、振分演出装置1444に対する興趣を一層高めることができる。
また、樋状の誘導部材1490が、鉛直方向を軸方向とする回転軸1492によって回動可能に支持されているため、振分モータ1493の動作によって所定範囲内で回動することとなる。一方、複数の流入口1480は、回転軸1492を中心とする略水平面上の円弧に沿って配置されているため、誘導部材1490の先端を複数の流入口1480に対し順に対向させることができるとともに、誘導部材1490の先端と夫々の流入口1480との距離を略一定にすることができる。したがって、どの流入口1480が選択された場合にも、誘導部材1490に送り込まれた遊技球を略同じタイミングで流入口1480に到達させることができ、ひいては演出時間のバラツキを極力抑制することが可能になる。
一方、図98に示すように、振分演出装置1444に遊技球を案内する案内通路部材1445は、透明の樹脂から形成されたパイプ状の通路構成部1513と、通路構成部1513の先端に形成され通路構成部1513によって案内された遊技球を、ステージ1443の誘導部材1490に落下させる流出口1514とを備えている。なお、流出口1514は、カバー1483に形成された挿入用切欠1498に連通しており、遊技球を誘導部材1490の回動中心に向って落下させるように配置されている。このため、誘導部材1490の位置に拘らず、遊技球を誘導部材1490に送り込むことが可能になる。換言すれば、誘導部材1490を回動させながら遊技球を送り込むことが可能になり、ひいては誘導部材1490の動作と遊技球が送り込まれるタイミングとを関連付けながら、遊技球の行方を予想させることが可能になる。また、通路構成部1513が透明の部材から形成されているため、振分演出装置1444の誘導部材1490に送られる前の段階から遊技球の挙動を視認させることができる。したがって、誘導部材1490と通路構成部1513とが一体的に構成されている印象、すなわち誘導部材1490が延長されている印象を喚起させることができ、ひいては振分演出装置1444の大きさが比較的小さい場合でも、転動距離の長いダイナミックな演出を実現させることができる。また、遊技球の転動距離が長くなることから、比較的長い間、遊技者の注意を惹きつけることが可能になる。
また、通路構成部1513の右端部分には、回転軸1516によって回動可能に支持された停留手段1515と、回転軸1516を回転させることにより、停留手段1515の球受面1515aを停留可能位置(二点鎖線で示す)と解除位置(実線で示す)との間で切り替える停留モータ2560(図101参照)とが備えられており、開閉入賞装置1404に入賞し、排出路1518に排出された遊技球の一つを停留させるとともに、停留中の遊技球を所定のタイミングで放出させる(すなわち停留状態を解除する)ことが可能となっている。なお、振分演出装置1444の動作については後述する。
〔主基板及び周辺基板の構成〕
主基板及び周辺基板の構成について、図100及び図101に基づき説明する。図100及び図101は、制御構成を概略的に示すブロック図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続及び方向を示し、細線の矢印は信号の接続及び方向を示している。本例のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板2810のグループ(図100に示す)と、周辺基板2811のグループ(図101に示す)とで分担されており、このうち主基板2810のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板2811のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示、及び装飾体の動作等)を制御している。
図100に示すように、主基板2810は、主制御基板1350と払出制御基板1186とから構成されている。主制御基板1350は、中央演算装置としてのCPU2812、読み出し専用メモリとしてのROM2813、読み書き可能メモリとしてのRAM2814を備えている。CPU2812は、ROM2813に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板2811や払出制御基板1186に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM2814には、主制御基板1350で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。なお、主基板2810は、電源中継端子板2860を介して電源基板2131に接続されており、電源基板2131から作動用電力が供給されるようになっている。
この主制御基板1350の入力インタフェースには、第一始動口1420への入賞状態を検出する第一始動口センサ2416、第二始動口1421への入賞状態を検出する第二始動口センサ2358、全ての入賞口に対する入賞数をカウントするための全入賞口入賞数計数センサ2870が接続されている。また、パネル中継端子板2866を介して、通過ゲート1405に対して遊技球の通過したことを検出するゲートセンサ2990と、右側の一般入賞口1419に遊技球が入賞したことを検出する右一般入賞口センサ2417aと、左側及び中央側の一般入賞口1419に遊技球が入賞したことを検出する左・中一般入賞口センサ2417bとが接続され、さらにパネル中継端子板2866に接続された大入賞口中継端子板2867を介して大入賞口センサ2370が接続されている。そして、これらのセンサから検出信号が主制御基板1350に入力されるようになっている。また、主制御基板1350の入力インタフェースには、前枠体11の開放状態を検出する内枠開放スイッチ2862、及び前面枠4の開放状態を検出する扉開放スイッチ2863も接続されている。
一方、パネル中継端子板2866の出力インタフェースには、図柄制限抵抗基板2868を介して、普通図柄・特別図柄表示基板2869が接続されており、主制御基板1350から、普通図柄表示器(図示しない)及び特別図柄表示器1428(図82参照)へ駆動信号を出力することが可能になっている。また、大入賞口中継端子板2867の出力インタフェースには、開閉入賞装置1404を駆動するアタッカソレノイド1429、及び第二始動口1421の可動片1427を駆動する始動口ソレノイド2352が接続されており、主制御基板1350から、これらの駆動信号が出力されるようになっている。
一方、払出制御基板1186は、中央演算装置としてのCPU2815、読み出し専用メモリとしてのROM2816、及び読み書き可能メモリとしてのRAM2817を備えている。そして、払出制御基板1186は、主制御基板1350から入力したコマンド信号を処理し、賞球ユニット800や、発射制御基板2865に接続されたロータリーソレノイド653に対して、駆動信号を出力する。これにより、賞球ユニット800は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、ロータリーソレノイド653は駆動信号に応じた弾発力で遊技球を発射させることが可能になる。特に、払出制御基板1186には、操作ユニット1700の操作基台1702に設けられた第一可変抵抗器1762が接続されており、第一可変抵抗器1762の抵抗値に応じた電圧信号によって摺動操作部1703の操作位置を認識し、その操作位置(電圧信号)に基づいて、ロータリーソレノイド653に供給するパルス信号をデューティ比制御するようになっている。このため、ロータリーソレノイド653はパルス信号に応じて励磁力が変化し、摺動操作部1703の位置に応じた弾発力(すなわち発射強度)で遊技球を発射することが可能になる。なお、払出制御基板1186には、摺動操作部1703に設けられたストップスイッチ1806、操作基台1702に設けられた原点スイッチ1743、及びタッチプレート1802への接触を検出するタッチ検出回路1810も接続されており、原点スイッチ1743がオフであり(すなわち摺動操作部1703が原点ではなく)、ストップスイッチ1806がオフであり(すなわちストップボタン1804が操作されておらず)、且つ遊技者の手がタッチプレート1802に接触している場合にのみ、打球発射装置650の作動を許可するように制御している。
なお、主制御基板1350と払出制御基板1186との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板1350が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板1186から主制御基板1350にACK信号が返される。また、払出制御基板1186には、満タンユニット900に貯えられる遊技球が満タンになったことを検出する満タンスイッチ916も接続されている。
また、主制御基板1350及び払出制御基板1186には、外部端子板2861が接続されており、第一始動口1420、第二始動口1421や開閉入賞装置1404への入賞状態、普通図柄・特別図柄の変動状態、及び抽選結果に基づく遊技状態等の各種情報が、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力されるようになっている。
一方、周辺基板2811は、図101に示すように、周辺制御基板2830と液晶制御基板2832とから構成されている。なお、上記の主制御基板1350と周辺制御基板2830との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板1350から周辺制御基板2830へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。また、周辺基板2811に対しても電源中継端子板2860を介して電源基板2131から作動用電力が供給されるようになっている。
周辺制御基板2830もまた、CPU2834をはじめROM2835やRAM2836等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。また、周辺制御基板2830には、音声や音楽の基となる音源を記憶したROM2883と、ROM2883に記憶された音源を基に、演出内容等に応じた音声や音楽を出力する音源IC2882とが設けられている。なお、周辺制御基板2830と液晶制御基板2832との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一方、液晶制御基板2832には、演出表示装置として、液晶表示装置640(LCD)が接続されており、液晶制御基板2832は、周辺制御基板2830から送信されたコマンド信号を処理し、液晶表示装置640に対して駆動信号を出力する。詳しく説明すると、液晶制御基板2832には、CPU2851、RAM2857、ROM2854、VDP2884、及び画像ROM2885が備えられている。CPU2851は、周辺制御基板2830から送られてきたコマンド信号を入力インターフェイスを介して受信するとともに、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP2884の制御を行う。RAM2857は、CPU2851の作業領域を提供するとともに、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM2854は、CPU2851用(表示制御用)のプログラムを保持する。ここで、液晶表示装置640が本発明の演出手段、及び演出表示手段に相当する。
VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)2884は、液晶表示装置640に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する描画回路である。VDP2884の内部には、レジスタが設けられており、VDP2884の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU2851が書き換えることにより、液晶表示装置640における表示態様を種々変化させることが可能となる。画像ROM2885は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、及び、背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
また、周辺制御基板2830には、電飾制御基板2890及び駆動制御基板2891が接続されており、さらに、電飾制御基板2890には、枠状装飾ユニット1440に設けられた複数の発光基板、具体的には、上側部分に対応して設けられた上側発光基板2892a、右側部分に対応して設けられた右側発光基板2892b、左側部分に対応して設けられた左側発光基板2892cが夫々接続されている。さらに、電飾制御基板2890には、ステージ1443を照射するステージ発光基板2892dと、振分演出装置1444に設けられ流入口ユニット1481を照射する三つの振分発光基板1484とが接続されている。
また、周辺制御基板2830には、枠装飾中継端子板2886を介して、スピーカ163、及び枠装飾ランプ2893が接続されており、音源IC2882から出力される音声や音楽をスピーカ163から発生させたり、演出内容に応じた態様で枠装飾ランプ2893を点灯させたりすることを可能にしている。また、枠装飾中継端子板2886には、扉枠5の皿ユニット300に設けられた押ボタン装置330も接続されており、液晶表示装置640で表示される特定の演出態様を、押ボタン装置330の操作に関連づけて変化させるようにしている。さらに本例では、枠装飾中継端子板2886に、摺動操作部1703に設けられた演出スイッチ1805(すなわち演出操作ボタン1803の操作を検出するスイッチ)も接続されており、特定の演出態様を実行する際には、演出操作ボタン1803の操作にも関連付けて変化させるようになっている。なお、周辺制御基板2830では、演出操作ボタン1803の操作と押ボタン装置330の操作とを区別することなく認識するようにしている。つまり、摺動操作部1703に配置された演出操作ボタン1803、及び扉枠5の皿ユニット300に配置された押ボタン装置330が同一の操作ボタンとして機能している。このため、遊技者は、遊技状態や使い勝手に応じて所望のボタンを選択することが可能になり、例えば、ボタンを連打する場合等、操作自体に興趣が得られる場合には、比較的大きく且つ皿ユニット300に固定された押ボタン装置330を使用し、一方、利き手を使って静かに操作したい場合には、摺動操作部1703に設けられた演出操作ボタン1803を使用するなどの選択が可能になる。
なお、摺動操作部1703に配置された演出操作ボタン1803と、皿ユニット300に配置された押ボタン装置330とを、夫々別々の機能を有するボタンとして設定することも可能である。これによれば、演出操作ボタン1803が操作されると第一演出態様を変化させることが可能になり、押ボタン装置330が操作されると第一演出態様とは別の第二演出態様を変化させることが可能になる。換言すれば、演出態様を変化させる機能を、演出操作ボタン1803と押ボタン装置330とで分担して対応付けることが可能になる。このため、一層複雑に演出態様を変化させるとともに、夫々の演出態様の変化とその変化に相応しいボタンとを対応させることで、演出に対する興趣を一層高めることが可能になる。
また、周辺制御基板2830には、枠装飾中継端子板2886を介して、操作ユニット1700の操作基台1702に設けられた第二可変抵抗器1763、及び摺動操作部1703に設けられた発光部1809が接続されている。発光部1809の具体的な制御については後述するが、第二可変抵抗器1763の抵抗値に応じた電圧信号によって摺動操作部1703の操作位置を認識し、その操作位置(電圧信号)に基づいて、発光部1809の発光状態及び発光態様を切替えるようになっている。
<主制御基板の処理>
次に、主制御基板1350(特にCPU2812)で実行される制御処理の例について、図102乃至図112を参照して説明する。図102(a)は主制御基板1350に搭載されるCPU2812が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートであり、(b)は電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。図103は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。図104は、特別図柄・特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。図105は、始動口入賞処理を示すフローチャートである。図106は、変動開始処理を示すフローチャートである。図107は、変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図108は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。図109は、大当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図110は、小当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図111は、特別電動役物大当り制御処理の一例を示すフローチャートである。図112は、特別電動役物小当り制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、タイマ割込処理は、主制御基板1350に搭載されるCPU2812により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で実行される。
図102(a)に示すように、パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU2812は、電源投入時処理を実行する(ステップS1)。この電源投入時処理では、RAM2814に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM2814に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM2814をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM2814に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM2814に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM2814をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板1350に搭載されるRAM2814にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM2814をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときに周辺制御基板2830に主制御基板1350が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板1350が起動したことを周辺制御基板2830に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM2814にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理が終了すると、CPU2812は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU2812は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。なお、この実施の形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成する。すなわち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板2131から主制御基板1350に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS2で主制御基板1350に搭載されるCPU2812により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS4)。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧(この実施の形態では、24V)が復旧した場合に(以下、復電と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM2814にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS2で停電予告信号が検知されていない場合、すなわち外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う(ステップS3)。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
図102(b)は、電源断発生時処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理は、メイン処理において、停電予告信号が検出された時に実行される処理である。CPU2812は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS4a)。そして、RAM2814のチェックサムを算出し、RAM2814の所定領域に保存する(ステップS4b)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM2814の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
次いで、CPU2812は、RAM2814の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS4c)。以上の処理を終えると、CPU2812は、RAM2814へのアクセスを禁止し(ステップS4d)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることにより、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上記処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU2812には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、図102の無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU2812が起動することになる。
図103は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、この実施の形態では、メイン処理の実行中に主制御基板1350に搭載されるCPU2812により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU2812は、レジスタの退避処理を実行した後(ステップS10)、ステップS11からステップS18の処理を実行する。ステップS11のスイッチ入力処理では、上述したスイッチ(ゲートスイッチ、始動口センサ、カウントセンサ、一般入賞スイッチ等)の検出信号を監視する処理を実行する。ステップS12の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施の形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。ステップS13の払出動作処理では、スイッチ入力処理(ステップS11)にて検出された信号に基づいて払出制御基板1186に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを設定する。
また、ステップS14の普通図柄・普通電動役物制御処理では、遊技の進行状態に基づいて、普通図柄を変動させるとともに、普通電動役物(すなわち始動口ソレノイド2352によって開閉される可動片1427)を制御し、第二始動口1421の開閉状態を変化させる処理を実行する。ステップS15の特別図柄・特別電動役物制御処理では、遊技の進行状態に基づいて特別図柄表示器1428で第一特別図柄及び第二特別図柄を変動表示させたり、特別電動役物(すなわちアタッカソレノイド1429によって開閉される可動片1430を制御し、大入賞口の開閉状態を変化させたりする処理を実行する。ステップS16の出力データ設定処理では、パチンコ機1の外部(例えば、管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、特図始動記憶ランプ(図示しない)に駆動信号を出力する処理、等を実行する。ステップS17のコマンド送信処理では、演出コマンドを周辺制御基板2830に送信する処理を実行する。また、コマンド送信処理では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(ステップS1)でセットされた電源投入コマンドを周辺制御基板2830に送信する処理も行われる。ステップS11からステップS17の処理を実行すると、レジスタの復帰処理(ステップS18)を実行して、処理を終了する。
ここで、上述した乱数更新処理1(ステップS12)および乱数更新処理2(ステップS3)で、主制御基板1350に搭載されるCPU2812により更新される各種乱数について説明する。この実施の形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、大当り遊技状態(後述する「小当り」を含む)を発生させるか否かの判定(大当り判定)に用いられる大当り判定用乱数、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定されたときに確変大当りとするか否かの判定(確変判定)に用いられる大当り図柄用乱数、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定されたときに特別図柄の停止図柄を決定するために用いられる大当り図柄用乱数、大当り判定にて大当り遊技状態を発生させないと判定されたときにリーチ態様を伴う外れとするか否かの判定(リーチ判定)に用いられるリーチ判定乱数、特別図柄表示器1428に表示されている特別図柄の変動表示パターン(変動時間)を決定するために用いられる変動表示パターン乱数(変動時間用乱数)、可動片1427を開放状態に制御するか否かの判定(普通抽選当り判定)に用いられる普通当り判定用乱数、等がある。なお、本例では、大当り判定用乱数を用いて小当り遊技状態を発生させるか否かの抽選も行われる。また、大当り図柄用乱数を用いて確率変動大当り(特定の利益が付与される確率を通常時よりも高く設定する)とするか否かの判定も行われる。なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定するとともに、液晶表示装置640にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしてもよい。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り遊技状態の発生に関わる大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、および可動片1427を開放状態に制御するか否かに関わる普通図柄当り判定用乱数の更新を行う。すなわち、大当り遊技状態の発生および可動片1427を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数での所定期間における確率(大当り遊技状態を発生させると判定する確率、可動片1427を開放状態に制御すると判定する確率)を一定にすることができ、遊技者不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、大当り遊技状態の発生および普通抽選に関わらないリーチ判定乱数および変動表示パターン乱数等の更新を行う。
図104は、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS15)の一例を示すフローチャートである。特別図柄・特別電動役物制御処理において、CPU2812は、ステップS20からステップS90の処理を実行する。ステップS20の始動口入賞処理では、第一始動口1420または第二始動口1421に遊技球が入賞したか否かを判別し、入賞した場合に抽選の保留状態を更新する処理を実行する。ステップS30の変動開始処理では、夫々の大当り抽選における始動記憶数(保留数)を確認し、始動記憶数(合計始動記憶数)が0でなければ、それに対応する特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技状態を発生させる場合には、確変大当りとするか否かを夫々判定する。ステップS40の変動パターン設定処理では、各特別図柄および各装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、夫々の特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示器1428にて特別図柄の変動表示を開始してから停止するまでの時間)をタイマにセットする。
ステップS50の変動中処理では、変動表示パターン設定処理(ステップS40)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことに基づいて第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390b(特別図柄表示器1428に相当)における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS30)にて何れか一方の大当り抽選で大当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、同抽選で小当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「4」に更新し、大当りまたは小当り遊技状態とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
ステップS60の大当り遊技開始処理では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、大当りの種類に応じて可動片1430の開放回数や開放時間等の設定を行う。また、ステップS70の小当り遊技開始処理では、小当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、小当りにおける可動片1430の開放回数や開放時間等の設定を行う。ステップS80の特別電動役物大当り制御処理では、大入賞口を開放させるとともに、所定個数の遊技球が大入賞口に入賞したとき、または、所定期間が経過したとき可動片1430を閉塞状態にするための処理を行う。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達していなければ、再び、可動片1430を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、処理選択フラグを「5」に更新する。また、ラウンド回数が所定回数に達した後、確率変動状態及び時短遊技状態を発生させる処理を実行する。ステップS90の特別電動役物小当り制御処理では、大入賞口を開放させるとともに、所定個数の遊技球が大入賞口に入賞したとき、または、所定期間が経過したとき可動片1430を閉塞状態にするための処理を行う。なお、詳細は後述するが、特別電動役物小当り制御処理における大入賞口の開放は、特別電動役物大当り制御処理(ステップS80)に比べて、遊技者への利益が極めて低くなるように設定されている。次に、ステップS20〜ステップS90における具体的な処理について説明する。
図105に示すように、始動口入賞処理では、まず、第二始動口センサ2358から検出信号が出力されたか否かを判別し、第二始動口センサ2358から検出信号が出力された場合には、第二始動口1421に遊技球が入賞したと判別し(ステップS201にてYES)、第二始動口センサ2358からの検出信号が出力されていなければ第二始動口1421に遊技球が入賞していない(ステップS201にてNO)と判別する。ステップS201にて第二始動口1421に遊技球が入賞したと判別したときには、第二大当り抽選用の各種乱数(大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、等)を取得し、RAM2814に設けられている第二保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS202)。そして、ステップS202で第二保留球数カウンタが4未満であれば、第二始動保留記憶処理(ステップS203)、及び保留履歴更新処理(ステップS204)を実行する。なお、これらの処理については後述する。なお、ステップS202で第二保留球数カウンタの値が4である場合には、第二始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。
一方、ステップS201で第二始動口センサ2358から検出信号が出力されていない場合(ステップS201にてNO)、または第二保留球数カウンタの値が4である場合(ステップS202にてNO)には、第一始動口1420に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS205)。具体的には、第一始動口センサ2416から検出信号が出力されたか否かを判別する。ステップS205にて第一始動口1420に遊技球が入賞したと判別したときには(YES)、第一大当り抽選用の各種乱数を取得し、RAM2814に設けられている第一保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS206)。そして、ステップS206で第一保留球数カウンタが4未満であれば、第一始動保留記憶処理(ステップS207)、及び保留履歴更新処理(ステップS208)を実行する。なお、ステップS206で第一保留球数カウンタの値が4である場合には、第一始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。
図106に示すように、変動開始処理では、まず、処理フラグが「0」か否かを判別し、「0」である場合(ステップS301にてYES)には、ステップS302以降の処理を実行し、「0」でない場合(ステップS301にてNO)には、変動開始処理を終了する。ステップS302では、夫々の特別図柄表示器2390a,2390bに対応する二つの保留球数カウンタの値(第一始動記憶数及び第二始動記憶数)がともに「0」であるか否かを判別する。二つの保留球数カウンタの値の和は、始動記憶の保存領域(特別図柄用乱数記憶手段2939,2940(図123参照))に格納される乱数値の個数を示すものであるため、ステップS302においていずれの保留球数カウンタの値がともに「0」であれば(YES)、第一大当り抽選及び第二大当り抽選に関する始動条件が成立していないと判別されてステップS317に移行する。
一方、ステップS302で何れかの保留球数カウンタの値が「0」でなければ(NO)、始動記憶移行処理を実行する(ステップS303〜ステップS311)。図123(a)に示すように、第一特別図柄用乱数記憶手段2939には、四つの記憶領域(記憶領域[1]2939a〜記憶領域[4]2939d)が設けられており、第一始動記憶数(「1」〜「4」)の値にそれぞれ対応付けられている。また、図123(b)に示すように、第二特別図柄用乱数記憶手段2940にも、四つの記憶領域(記憶領域[1]2940a〜記憶領域[4]2940d)が設けられており、第二始動記憶数(「1」〜「4」)の値にそれぞれ対応付けられている。各記憶領域2939a〜2939d,2940a〜2940dは、大当り判定用乱数が記憶される大当り判定用乱数記憶領域2946と、大当り図柄用乱数が記憶される大当り図柄用乱数記憶領域2947とを有している。そして、始動記憶移行処理では、まず、第二特別図柄表示器2390bに対応する保留球数カウンタの値(第二始動記憶数)が「0」であるか否か、すなわち第二特別図柄用乱数記憶手段2940の記憶領域[1]2940aに乱数が記憶されていないかを判別し(ステップS303)、乱数が記憶されていれば(NO)、n番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]2940b〜記憶領域[4]2940d)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]2940a〜記憶領域[3]2940c)に夫々シフトする処理(ステップS304)と、記憶領域[1]2940aに記憶されていた第二特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS305)とを実行する。また、特別図柄変動フラグに「1」をセットする(ステップS306)とともに、第二特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS307)を実行する。
一方、第二特別図柄用乱数記憶手段939の記憶領域[1]2940aに乱数が記憶されていない場合、すなわち第二特別図柄表示器2390bに対応する保留球数カウンタの値が「0」の場合には(ステップS303にてYES)、第一特別図柄用乱数記憶手段2939のn番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]2939b〜記憶領域[4]2939d)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]2939a〜記憶領域[3]2939c)に夫々シフトする処理(ステップS308)と、記憶領域[1]2939aに記憶されていた第二特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS309)とを実行する。また、第一特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS311)を実行する。つまり、第一特別図柄に関して言えば、保留する際には、第二特別図柄の場合と同様に、保留球数カウンタの値(第一始動記憶数)を「1」増やすとともに、抽出した乱数を、第一始動記憶数の値に対応した記憶領域に格納するが、第一特別図柄の変動を開始する際には第二始動記憶数が「0」である場合のみ、すなわち第一特別図柄による第一処理が待機中であり且つ第二特別図柄による第二処理が待機中でない場合に限り、第一特別図柄用乱数記憶手段2939の1番目の記憶領域「1」2939aから各乱数を読み出すようにしている。そして、この制御により第二処理を第一処理よりも優先的に行わせることを可能にしている。
その後、確率変動機能作動中か否か、すなわち高確率である確率変動状態か否かを判別し(ステップS312)、確率変動状態でない場合には(ステップS312にてNO)、確率変動未作動時の大当り判定テーブル、すなわち大当りとなる確率が低く設定されたテーブルを選択し、一方、確率変動状態の場合には(ステップS312にてYES)、確率変動作動時のテーブル、すなわち大当りとなる確率が高く設定されたテーブルを選択する。なお、本例では、確率変動未作動時(すなわち通常時)には、大当りとなる確率が1/163に設定され、確率変動作動時(すなわち高確率時)には、大当りとなる確率が1/16.3に設定されている。
ステップS313またはステップS314においていずれかのテーブルが選択された後、そのテーブルに基づき、ステップS305またはステップS309にて取得された、いずれかの特別図柄に関する乱数が、大当りに相当する乱数(大当り値)であるか否かを判別する(ステップS315)。そして、大当り値である場合には(ステップS315にてYES)、大当りフラグを「ON」にし(ステップS316)、ステップS317に移行する。一方、取得した乱数が大当り値ではない場合には(ステップS315にてNO)、その乱数が小当りに相当する乱数(小当り値)であるか否かを判別する(ステップS318)。そして、小当り値である場合には(ステップS318にてYES)、小当りフラグを「ON」にして(ステップS319)、ステップS317に移行し、一方、小当り値ではない場合には(ステップS318にてNO)、ステップS319を経由することなく、ステップS317に移行する。ステップS317では、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。なお、大当りフラグおよび小当りフラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM814に記憶される。また、大当りフラグおよび小当りフラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、大当りフラグおよび小当りフラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
図107に示す変動パターン設定処理では、まず、処理フラグが「1」か否かを判別し、ステップS317によって「1」となっている場合(ステップS401にてYES)には、ステップS402以降の処理を実行し、「1」でない場合(ステップS401にてNO)には、変動パターン設定処理を終了する。ステップS402では、大当りフラグが「ON」か否かを判別し、ステップS316によって「ON」となっている場合(ステップS402にてYES)には、取得された乱数を基に、確率変動大当りまたは通常大当りのいずれの大当りであるのかを判別する(ステップS403)。そして、確率変動大当りである場合(ステップS403にてYES)には、特殊当りか否かを判別する(ステップS404)。詳しくは後述するが、いずれの確率変動大当りも、「その後の抽選において、特定の利益が付与される確率を通常時よりも高く設定した確率変動状態し、且ついずれかの特別図柄表示器1428で変動する特別図柄の変動時間を短縮させる(通常時よりも相対的に短くする)とともに、第二始動口1421への入賞のしやすさを通常よりも増加させるようにした時短遊技状態を発生させる」ことは、共通しているが、特殊当りである確率変動大当りと、特殊当りでない一般の確率変動大当りとでは、遊技者に与える利益の程度が大きく異なるように設定されている。つまり、一般の確率変動大当りでは、可動片1430の一回当りの開放時間が、複数個(例えば10個)の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の時間に設定されているとともに、可動片1430の開閉動作を、多くの利益を付与する回数(例えば7回)行うように制御される。これに対し、特殊当りである確率変動大当りでは、可動片1430の一回当りの開放時間が、数個(例えば一または二個)の遊技球が辛うじて入賞できる程度の時間に設定されているとともに、可動片1430の開閉動作を例えば二回行うように制御される。
ステップS404において、特殊当りでないと判別された場合、すなわち一般の確率変動大当りであると判別された場合には(NO)、確変大当り時変動表示パターンテーブルを選択し(ステップS405)、一方、特殊当りであると判別された場合には(ステップS404にてYES)、確変特殊当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS406)。なお、ステップS403において、確率変動大当りでないと判別された場合、すなわち通常大当りであると判別された場合には(YES)、通常大当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS407)。
一方、ステップS402において、大当りフラグが「ON」ではないと判別された場合には(NO)、小当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS408)、ステップS319によって「ON」となっている場合には(ステップS408にてYES)、小当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS409)。また、小当りフラグが「ON」となっていない場合には(ステップS408にてNO)、取得されたリーチ判定用乱数がリーチに相当する乱数(リーチ値)か否かを判別し(ステップS410)、リーチ値である場合には(ステップS410にてYES)、はずれリーチ時変動表示パターンテーブルを選択し(ステップ411)、リーチ値でない場合には(ステップS410にてNO)、はずれ時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS412)。
このように、いずれかのステップにおいて、変動表示パターンテーブルが選択されると、その変動表示パターンテーブル、及びステップS305またはステップS309のいずれかにおいて取得された変動表示乱数に基づいて、変動表示パターンを決定する(ステップS413)。次いで、ステップS413で決定した変動表示パターンを指定する演出コマンドとして選択値をセットし(ステップS414)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板1350に搭載されるRAM2814に設けられたタイマ(この実施の形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS415)。ステップS415では、ステップS413で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。なお、ステップS414でセットされた変動表示パターンコマンドは、コマンド伝送出力処理にて周辺制御基板2830に送信される。また、変動表示パターンコマンドをコマンド伝送出力処理で周辺制御基板2830に送信するときには、第一特別図柄表示器2390a及び第二特別図柄表示器2390bに駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。その後、処理フラグを「2」に更新し(ステップS416)、変動パターン設定処理を終了する。
図108に示す変動中処理では、まず、処理フラグが「2」か否かを判別し(ステップS501)、ステップS416によって「2」となっている場合には(ステップS501にてYES)、ステップS502以降の処理を実行し、「2」でない場合(ステップS501にてNO)には、変動中処理を終了する。ステップS502では、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bにて第一特別図柄または第二特別図柄が変動中か否かを判別し、変動中の場合には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間がタイムアップしたか否かを判別する(ステップS503)。そして、変動時間がタイムアップした際、すなわち変動時間が終了した場合には(ステップS503にてYES)、その変動を停止させる(ステップS504)。なお、いずれの特別図柄も変動していない場合(ステップS502にてNO)、または変動時間が終了していない場合(ステップS503にてNO)には、特別図柄の変動を停止させることなく変動中処理を終了する。
ステップS504によって特別図柄の変動を停止させた後、大当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS505)、大当りフラグが「ON」の場合には、処理フラグを「3」に更新する(ステップS506)。一方、大当りフラグが「ON」でない場合には(ステップS505にてNO)、小当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS507)、「ON」の場合には処理フラグを「4」に更新し(ステップS508)、「ON」でない場合には処理フラグを「0」に更新する(ステップS509)。このように、ステップS506、ステップS508、またはステップS509のいずれかにおいて処理フラグを更新した後、変動中処理を終了する。
図109に示す大当り遊技開始処理では、まず、処理フラグが「3」か否かを判別し、ステップS506によって「3」となっている場合には(ステップS601にてYES)、ステップS602以降の処理を実行し、「3」でない場合には(ステップS601にてNO)、大当り遊技開始処理を終了する。ステップS602では、確率変動機能作動中か否か、すなわち確率変動状態か否かを判別し、確率変動状態である場合には(YES)、確率変動機能の作動を一端停止し、ステップS604に移行する。なお、確率変動状態ではない場合、すなわち通常の低確率状態である場合には(ステップS602にてNO)、ステップS603の処理を実行することなくステップS604に移行する。ステップS604では、時短機能作動中か否か、すなわち時短遊技状態か否かを判別し、時短遊技状態になっている場合には(YES)、時短機能の作動を停止させ(ステップS605)、ステップS606に移行する。一方、時短遊技状態でない場合には(ステップS604にてNO)、ステップS605の処理を実行させることなくステップS606の処理に移行する。
ステップS606では、大当りの種類が、一般の大当りであるか特殊当りであるかを判別し、一般の大当りである場合には(ステップS606にてNO)、可動片1430による大入賞口の開放条件、すなわち大当り用開放回数(例えば最大7回)、一回当りの開放時間(例えば最大18秒)、及び大入賞口への入賞制限個数(例えば一回当り最大10個)を設定する(ステップS607)。一方、大当りが特殊当りである場合には(ステップS606にてYES)、大入賞口における特殊当り用開放回数(例えば二回)、入賞制限個数(例えば6個)、及び一回当りの開放時間(例えば1.8秒)を設定する(ステップS608)。その後、処理フラグを「5」に更新し(ステップS609)、大当り遊技開始処理を終了する。
一方、図110に示す小当り遊技開始処理では、まず、処理フラグが「4」か否かを判別し、ステップS508によって「4」となっている場合には(ステップS701にてYES)、ステップS702及びステップS703の処理を実行し、処理フラグが「4」でない場合には(ステップS701にてNO)、ステップS702及びステップS703の処理を実行することなく小当り遊技開始処理を終了する。ステップS702では、小当りの場合における大入賞口の開放条件、すなわち可動片1430による大入賞口の小当り用開放回数、及び一回当りの開放時間が夫々設定される。なお、小当りにおける開放回数、入賞制限個数、及び開放時間は、特殊当りの場合に設定される条件(ステップS608)と同一になるように設定されている。すなわち、特殊当りと小当りとを、視覚的に判別することができないように設定されている。その後、処理フラグが「6」に更新され(ステップS703)、小当り遊技開始処理を終了する。
図111に示す特別電動役物大当り制御処理では、まず、処理フラグが「5」か否かを判別し、ステップS609によって「5」となっている場合には(ステップS801にてYES)、ステップS802以降の処理を実行し、「5」でない場合には(ステップS801にてNO)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。ステップS802では、大入賞口が開放中か否かを判別し、開放中の場合には(YES)、大入賞口の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS803)、経過した場合には(ステップS803にてYES)、可動片1430を作動させて大入賞口を閉鎖する(ステップS805)。なお、設定された開放時間まで経過していない場合でも(ステップS803にてNO)、大入賞口が開放された後に大入賞口に入賞した遊技球の個数が、ステップS607で設定された制限個数(例えば10個)を超えた場合には(ステップS804にてYES)、ステップS805に移行して大入賞口を閉鎖する。また、大入賞口の開放時間が設定時間に到達しておらず(ステップS803にてNO)、しかも遊技球の入賞個数が制限個数に達していない場合には(ステップS804にてNO)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。
一方、ステップS802において、大入賞口が開放中でない場合には(NO)、可動片1430による大入賞口の開放回数が、ステップS607で設定された大当り用開放回数、またはステップS608で設定された特殊当り用開放回数に、到達したか否かを判別する(ステップS806)。そして、到達していない場合には(ステップS806にてNO)、可動片1430を制御して大入賞口を開放し(ステップS807)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。これにより多量の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になる。
ステップS806において大入賞口の開放回数が設定された回数に達した場合(YES)、すなわち、大当り遊技状態が終了した場合には、ステップS808〜ステップS813の処理を実行し、その後の抽選に対しての遊技状態を設定する。具体的には、まず、大当りフラグを「OFF」とし(ステップS808)、今回の大当りが、確率変動機能を作動させる当選であるか否かを判別する(ステップS809)。つまり、特殊当りを含む確率変動大当りであるか、通常大当りであるかを判別する。確率変動大当りで当選した場合には(ステップS809にてYES)、確率変動機能の作動を開始し、高確率である確率変動状態とする(ステップS810)。すなわち、その後の抽選において大当りが当選する確率を通常時よりも高く設定するとともに、抽選による第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数(規定回数)になるまで時短機能を作動させる。なお、その大当りが特殊当りである場合には(ステップS811にてYES)、確率変動機能または時短機能の作動中の当りか否かを判別する(ステップS814)。そして、特殊当りでない場合すなわち一般の確率変動大当りである場合(ステップS810にてNO)、または確率変動機能または時短機能が既に作動している場合に特殊当りが当選した場合には、時短機能の作動を開始し(ステップS812)、その後、処理フラグを「0」に更新する(ステップS813)。つまり、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bで変動する第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短縮させるとともに、可動片1427の開放作動によって第二始動口1421への入賞のし易さを通常よりも高くする。一方、確率変動機能及び時短機能の作動中ではない場合、すなわち確率変動状態も時短遊技状態も発生していない状態で、特殊当りが当選した場合には(ステップS814にてNO)、時短機能を作動させることなくステップS813に移行する。
一方、ステップS809において確率変動機能を作動させる当選ではない場合、すなわち通常大当りの場合には(NO)、時短機能の作動を開始するとともに、時短機能における作動の規定回数を設定し(ステップS815)、その後、ステップS813に移行する。つまり、抽選による第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数(規定回数)になるまで時短機能を作動させる。
図112に示す特別電動役物小当り制御処理では、まず、処理フラグが「6」か否かを判別し、ステップS703によって「6」となっている場合には(ステップS901にてYES)、ステップS902以降の処理を実行し、「6」でない場合には(ステップS901にてNO)、特別電動役物小当り制御処理を終了する。ステップS902では、大入賞口に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達したか否かを判別し(ステップS902)、まだ最大入賞数に達していない場合には(NO)、大入賞口が開放中か否かを判別する(ステップS903)。そして、ステップS903において、大入賞口が開放中であると判別された場合には(YES)、大入賞口の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS904)、経過した場合には(ステップS904にてYES)、可動片1430を作動させて大入賞口を閉鎖する(ステップS905)。その後、大入賞口の開放回数が予め定めた所定回数(例えば二回)に達したか否かを判別し(ステップS906)、その回数に達した場合には(YES)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS907)、特別電動役物小当り制御処理を終了する。なお、ステップS904において大入賞口の開放時間が所定時間に達していない場合(NO)、またはステップS906において開放回数が所定回数に達していない場合には(NO)、ステップS907の処理を実行することなく、特別電動役物小当り制御処理を終了する。また、ステップS903において、大入賞口が開放中でない場合には(NO)、大入賞口を開放し、遊技球の入賞を可能とする(ステップS908)。また、ステップS902において、大入賞口に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達した場合には(YES)、大入賞口が開放中か否かを判別し(ステップS909)、開放中の場合には(YES)、大入賞口を閉鎖し(ステップS910)、ステップS907に移行する。一方、大入賞口が開放中でない場合には(ステップS909にてNO)、ステップS910の処理を実行することなく、ステップS907に移行する。ステップS907では処理フラグを「0」に更新する。
<周辺制御基板の処理>
次に、周辺制御基板2830に搭載される統合CPU2834によって実行される処理について説明する。図113はサブメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図114は16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。
図113に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、統合CPU2834は、初期設定処理を行う(ステップS1001)。この初期設定処理では、周辺制御基板2830に搭載される統合RAM2836をクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS1001)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS1002)。
この実施の形態では、統合CPU2834は、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、すなわち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットするとともに、16ms経過監視カウンタをリセットする(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS1002で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS1003)、16ms定常処理を行う(ステップS1004)。
この16ms定常処理では、主制御基板1350から受信した演出コマンドに基づいて液晶表示装置640、枠ランプ,遊技盤ランプ、スピーカ等を制御する処理が実行される。16ms定常処理が終了すると、再びステップS1002に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS1003〜ステップS1004を繰り返し行う。一方、ステップS1002で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図114は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、サブ統合CPU2834は、ステップS1100〜ステップS1600の処理を実行する。ステップS1100のコマンド解析処理では、主制御基板1350から受信した演出コマンドを解析する。ステップS1200の演出制御処理では、変動表示パターンコマンドに基づいて液晶表示装置640に関わる制御処理を実行する。具体的には、予告演出の設定、装飾図柄の停止図柄の決定、等を行う。
また、ステップS1300の音制御処理では、演出効果を促進させる効果音(例えばBGM)を発生させるための、スピーカに関わる制御処理を実行する。ステップS1400のランプ制御処理では、遊技盤ランプ、枠ランプに関わる制御処理を実行する。ステップS1500の情報出力処理では、電飾制御基板2890及び駆動制御基板2891にランプ演出コマンドを送信する。ステップS1600の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS1200)で各種設定に用いられる乱数を更新する処理を実行する。
なお、16ms定常処理におけるステップS1100〜ステップS1600の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(後述するステップS1100のコマンド解析処理から)実行しない。すなわち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS1002で16ms経過フラグがセットされていると判別されたときに16ms定常処理を開始する。
また、この実施の形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS1600)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理および16ms定常処理のいずれか一方または両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
図115は、コマンド解析処理(ステップS1100)の一例を示すフローチャートである。コマンド解析処理において、統合CPU2834は、まず、主制御基板1350から演出コマンドを受信したか否かを判別する(ステップS1101)。この実施の形態では、主制御基板1350から演出コマンドを受信すると、16ms定常処理等の他の処理を中断してコマンド受信割込処理を発生させ、受信したコマンドを、周辺制御基板2830に搭載される統合RAM2836における受信コマンド格納領域に保存する。なお、受信コマンド格納領域は、演出コマンドの受信順に対応して複数の領域が設けられ、コマンド受信割込処理では、演出コマンドの受信順に対応して各領域に保存する。ステップS1101では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、演出コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す(ステップS1102)。
そして、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるか判別し(ステップS1103)、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであれば(ステップS1103にてYES)、変動表示パターン受信フラグをセットするとともに、周辺制御基板2830に搭載される統合RAM2836における変動表示パターン格納領域に格納する(ステップS1104)。
一方、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドでなければ(ステップS1103にてNO)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであるか判別し(ステップS1105)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであれば(ステップS1105にてYES)、確変大当りフラグをセットする(ステップS1106)。また、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドでなければ(ステップS1105にてNO)、受信した演出コマンドに対応したフラグをセットする(ステップS1107)。
図116は、演出制御処理(ステップS1200)の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、統合CPU2834は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS1210〜ステップS1230のうちいずれかの処理を行う。
処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS1210)では、変動表示パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動表示パターンコマンドおよび確変大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定するとともに、予告演出等の設定を行う。
処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS1220)では、変動停止コマンドを受信したときに電飾制御基板2832に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行う。
処理選択フラグが「2」のときに実行される大当り表示処理(ステップS1230)では、主制御基板1350から送信される大当り開始コマンドに応じて液晶表示装置640に大当り遊技状態の開始を示す表示や大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)をさせる制御を行う。
図117は、装飾図柄変動開始処理(ステップS1210)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動開始処理において、統合CPU2834は、まず、変動表示パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS1221)。変動表示パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS1100)のステップS1104でセットされ、主制御基板1350から変動表示パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。ステップS1221で変動表示パターン受信フラグがセットされていなければ(NO)、変動表示パターンコマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、変動表示パターン受信フラグがセットされていれば(ステップS1221にてYES)、変動表示パターン受信フラグをリセットし(ステップS1222)、受信した変動表示パターンコマンドに基づく変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS1223a)。
変動表示パターンが当りパターンでなければ(ステップS1223aにてNO)、外れ図柄の停止図柄を決定する(ステップS1224)。また、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS1223aにてYES)、確変大当りフラグがセットされているか判別し(ステップS1223b)、確変大当りフラグがセットされていれば(YES)、確変大当り図柄の停止図柄を決定し(ステップS1225)、確変大当りフラグがセットされていなければ(ステップS1223bにてNO)、非確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS1226)。また、確変大当りフラグは、大当り表示処理(ステップS1230)にて大当り遊技状態を開始するときにリセットされる。なお、確変大当りフラグがリセットされる時期はこれに限らず、例えば、装飾図柄変動処理(ステップS1220)で装飾図柄の変動表示を停止させるとき、具体的には、変動停止コマンドを受信したときにリセットするようにしてもよいし、大当り表示処理(ステップS1230)で大当り遊技状態を終了するときにリセットするようにしてもよい。
なお、この実施の形態では、第一特別図柄と1:1で対応する第一装飾図柄と、第二特別図柄と1:1で対応する第二装飾図柄と、第一装飾図柄及び第二装飾図柄の両方に関連付けられ第一特別図柄及び第二特別図柄に対応する共通の装飾図柄列(以下、「共通装飾図柄列」と称す)とが表示されるようになっている。第一装飾図柄及び第二装飾図柄は、マル、バツ、サンカク等の図形の組合せで構成されており、確変大当り図柄である組合せ、非確変大当り(通常大当り)である組合せ、小当りである組合せ、及び外れである組合せ等が予め設定されている。つまり、変動表示パターンが当りパターンであれば、第一装飾図柄の確変大当り図柄として設定された複数の組み合わせ、または非確変大当り図柄として設定された複数の組み合わせ、のうちいずれかの組み合わせ図柄を停止図柄として決定する。
次いで、統合CPU2834は、予告判定乱数に基づいて予告演出を実行するか否かの判別を行う予告選択処理を実行した後(ステップS1227)、変動表示パターンと、予告種類格納領域に記憶される予告パターンと、ステップS1225,S1226,S1227で決定した共通装飾図柄列の停止図柄とに応じた表示コマンドをセットする(ステップS1228)。そして、処理選択フラグを「1」に更新して処理を終了する(ステップS1229)。なお、ステップS1228でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS1500)にて電飾制御基板2832に送信され、電飾制御基板2832に搭載される表示CPU2851により当該表示コマンドを受信したことに基づいて液晶表示装置640にて装飾図柄の変動表示の実行を開始する。また、ステップS1228で予告種類格納領域に記憶される予告パターンを読み出したときには、当該予告パターンを読み出した後、予告種類格納領域の内容をクリアする。これにより、次回の装飾図柄の変動表示にて誤って以前の装飾図柄の変動表示を開始するときに決定した予告パターンにもとづく予告演出が実行されることを防止できる。
<演出表示等における機能的構成>
続いて、特別図柄、第一装飾図柄、第二装飾図柄、及び共通装飾図柄列を含む演出表示に関する機能的な構成を、図118〜図122のブロック図に基づいて説明する。図118は主制御基板1350での第一大当り抽選に関する機能的な構成を示し、図119は主制御基板1350での第二大当り抽選に関する機能的な構成を示し、図120は第一大当り抽選及び第二大当り抽選における抽選結果に応じて発生する有利遊技状態に関する機能的構成を示し、図121は主制御基板1350での普通抽選に関する機能的な構成を示し、図122は周辺基板2811(主に周辺制御基板2830、電飾制御基板2890、及び駆動制御基板2891)での演出に関する機能的な構成を示している。
図118に示すように、主制御基板1350には、第一大当り抽選に関する構成として、第一当り判定用テーブル2911a、第一当り図柄用テーブル2912a、第一当り時変動時間設定用テーブル2913a、及び第一外れ時変動時間設定用テーブル2914aが予め記憶されており、これらのテーブル2911a〜2914aを基に、第一大当り抽選における抽選の当否、第一特別図柄表示器2390aにおける停止図柄、及び変動時間が決定される。第一当り判定用テーブル2911aは、大当り判定用乱数値と大当りまたは小当りの当否との関係を示すものであり、通常時と高確率時とで当選となる割合が異なっている。また、第一当り図柄用テーブル2912aは、大当り図柄用乱数値と第一特別図柄表示器2390aにおける停止図柄との関係を示すものであり、大当り図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と二つのLED(第一特別図柄)の点灯状態との対応付けがなされている。また、第一当り時変動時間設定用テーブル2913aは、第一大当り抽選における当否の結果が大当りまたは小当りの場合に用いられ、抽出される第一変動時間用乱数と第一特別図柄表示器2390aにおける第一特別図柄の変動時間との関係を示すものであり、第一外れ時変動時間設定用テーブル2914aは、第一大当り抽選における当否の結果が外れの場合に用いられ、抽出される第一変動時間用乱数と第一特別図柄表示器2390aにおける第一特別図柄の変動時間との関係を示すものである。なお、通常時のテーブル及び高確率時のテーブルのうち、いずれか一方のテーブルを遊技状態に基づいて選択する処理が第一抽選用確率選択手段2920aによって行われる。また、図示してしないが、第一当り図柄用テーブル2912aには、確率変動大当り用のテーブル、特殊当り用のテーブル、通常大当り用のテーブル、及び小当り用のテーブルが夫々備えられており、後述する第一当否決定手段2930aによって決定された当選の種別に対応したテーブルが選択されるようになっている。
また、主制御基板1350には、第一始動口センサ2416によって第一始動口1420への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(乱数発生手段)から、大当り判定用乱数を抽出する第一当り判定用乱数抽出手段2916aと、大当り図柄用乱数を抽出する第一当り図柄用乱数抽出手段2917aとが設けられている。また、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する第一変動時間用乱数抽出手段2918aが設けられている。また、第一当り判定用乱数抽出手段2916aによって大当り判定用乱数が抽出されると、第一当り判定用テーブル2911aを用いて大当りの当否を決定する第一当否決定手段2930a、及び第一当り図柄用乱数抽出手段2917aによって大当り図柄用乱数が抽出されると、第一当り図柄用テーブル2912aを用いて第一特別図柄表示器2390aにおける停止図柄を決定する第一停止図柄決定手段2931aが設けられている。さらに、第一変動時間用乱数抽出手段2918aによって変動時間用乱数が抽出され、且つ第一当否決定手段2930aによって大当りであることが決定されると、第一当り時変動時間設定用テーブル2913aを用いて第一特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ第一当否決定手段2930aによって外れであることが決定されると、第一外れ時変動時間設定用テーブル2914aを用いて第一特別図柄の変動時間を決定する第一変動時間決定手段2932aが設けられている。
また、主制御基板1350には、第一特別図柄表示器2390a(本発明の抽選結果表示手段に相当)において第一特別図柄の変動を開始するとともに、第一変動時間決定手段2932aによって決定された変動時間の経過後、第一停止図柄決定手段2931aによって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段2934と、第一特別図柄の変動開始前に、第一当否決定手段2930aによって決定された大当りの有無に関する当否コマンド、及び第一特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段2935が設けられている。さらに、主制御基板1350には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第一始動口センサ2416によって第一始動口1420への入賞が検出された場合、一定球数(4回)を上限として第一始動記憶数をカウントし記憶するとともに、第一特別図柄の変動表示を始動記憶数分だけ繰り返し行わせる第一保留消化手段2922aが設けられている。換言すれば、第一始動口センサ2416による遊技球の検出に基づく第一処理の実行を待機させる第一保留消化手段2922aが設けられている。第一保留消化手段2922aについてさらに詳細に説明する。第一保留消化手段2922aには、第一保留制御手段2941a及び第一消化制御手段2942aが設けられており、第一保留制御手段2941aは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第一始動口センサ2416によって第一始動口1420への入賞が検出された場合、第一始動記憶数が上限値「4」に到達していなければ、第一始動記憶数の値を「1」増やすとともに、第一大当り判定用乱数及び第一大当り図柄用乱数を抽出し、抽出された各乱数を、第一特別図柄用乱数記憶手段2939の中の、一番上位の記憶領域に格納する。一方、第一消化制御手段2942aは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動が停止し、新たな第一特別図柄の変動が可能になった場合、第一特別図柄に関する始動記憶数が「0」でなければ、始動記憶数[1]に対応する記憶領域から第一大当り判定用乱数及び第一大当り図柄用乱数を読み出すとともに、第一始動記憶数の値を「1」減らし、且つ、各記憶領域nに記憶されている各乱数値を、n−1の記憶領域にシフトさせる。ここで、第一当り判定用乱数抽出手段2416a、第一変動時間用乱数抽出手段2918a、第一当否決定手段2930a、及び第一停止図柄決定手段2931a等を組合せたものが本発明の抽選手段に相当する。
また、図119に示すように、主制御基板1350には、第二大当り抽選に関する構成として、第二当り判定用テーブル2911b、第二当り図柄用テーブル2912b、第二当り時変動時間設定用テーブル2913b、及び第二外れ時変動時間設定用テーブル2941bが予め記憶されており、これらのテーブル2911b〜2914bを基に、第二大当り抽選における抽選の当否、第二特別図柄表示器2390b(本発明の抽選結果表示手段に相当)における停止図柄、及び変動時間が決定される。なお、各テーブルの構成は、第一大当り抽選における各テーブルの構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、主制御基板1350には、第二始動口センサ2358によって第二始動口1421への入賞が検出されたときに第二大当り抽選に関する大当り判定用乱数を抽出する第二当り判定用乱数抽出手段2916bと、第二大当り抽選に関する大当り図柄用乱数を抽出する第二当り図柄用乱数抽出手段2917bと、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する第二変動時間用乱数抽出手段2918bとが設けられている。また、第二当り判定用乱数抽出手段2916bによって大当り判定用乱数が抽出されると、第二当り判定用テーブル2911bを用いて大当りの当否を決定する第二当否決定手段2930b、及び第二当り図柄用乱数抽出手段2917bによって大当り図柄用乱数が抽出されると、第二当り図柄用テーブル2912bを用いて第二特別図柄表示器2390bにおける停止図柄を決定する第二停止図柄決定手段2931bが設けられている。さらに、第二変動時間用乱数抽出手段2918bによって変動時間用乱数が抽出され、且つ第二当否決定手段2930bによって大当りであることが決定されると、第二当り時変動時間設定用テーブル2913bを用いて第二特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ第二当否決定手段2930bによって外れであることが決定されると、第二外れ時変動時間設定用テーブル2914bを用いて第二特別図柄の変動時間を決定する第二変動時間決定手段2932bが設けられている。なお、第二当否決定手段2930bは、当選制限手段2921bを備えており、遊技者に特定の利益を付与しない大当りである「特殊大当り」については、発生しないように制限を加えている。
また、前記の特別図柄変動制御手段2934は、第二特別図柄表示器2390bにおいて第二特別図柄の変動を開始するとともに、第二変動時間決定手段2932bによって決定された変動時間の経過後、第二停止図柄決定手段2931bによって決定された停止図柄で変動停止させる。さらに、主制御基板1350には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第二始動口センサ2358によって第二始動口1421への入賞が検出された場合、一定球数(4回)を上限として第二始動記憶数をカウントし記憶するとともに、第二特別図柄の変動表示を始動記憶数分だけ繰り返し行わせる第二保留消化手段2922bが設けられている。換言すれば、第二始動口センサ2358による遊技球の検出に基づく第二処理の実行を待機させる第二保留消化手段2922bが設けられている。第二保留消化手段2922bについてさらに詳細に説明する。第二保留消化手段2922bには、第二保留制御手段2941b及び第二消化制御手段2942bが設けられており、第二保留制御手段2941bは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第二始動口センサ2358によって第二始動口1421への入賞が検出された場合、第二始動記憶数が上限値「4」に到達していなければ、第二始動記憶数の値を「1」増やすとともに、第二大当り判定用乱数及び第二大当り図柄用乱数を抽出し、抽出された各乱数を、第二特別図柄用乱数記憶手段2940の中の、一番上位の記憶領域に格納する。一方、第二消化制御手段2942bは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動が停止し、新たな第二特別図柄の変動が可能になった場合、第二特別図柄に関する始動記憶数が「0」でなければ、始動記憶数[1]に対応する記憶領域から第二大当り判定用乱数及び第二大当り図柄用乱数を読み出すとともに、第二始動記憶数の値を「1」減らし、且つ、各記憶領域nに記憶されている各乱数値を、n−1の記憶領域にシフトさせる。
ここで、第二当り判定用乱数抽出手段2916b、第二変動時間用乱数抽出手段2918b、第二当否決定手段2930b、及び第二停止図柄決定手段2931b等を組合せたものが本発明の抽選手段に相当する。
また、図120に示すように、主制御基板1350には、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる抽選結果を基に、遊技者に有利な遊技状態を付与する五つの有利遊技状態制御手段を備えている。ここで、有利な遊技状態には、可動片1430を開放し、大入賞口に対して遊技球の入賞を可能とすることが含まれており、特定利益付与手段2981または所定利益付与手段2982のいずれか一方によって開閉入賞装置1404の可動片1430が開放制御されるようになっている。
さらに詳しく説明すると、所定利益付与手段2982は、可動片1430の一回当りの開放時間を、数個(例えば1〜2個)の遊技球が辛うじて入賞できる程度の第一所定時間とするとともに、可動片1430の開閉動作を少なくとも一回以上(本例では二回)行うことで、遊技者に所定の利益を付与するものである。これにより、所定数の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になるが、入賞可能な個数は極めて少ないため、これによって遊技者が受ける利益は比較的少ないものとなる。一方、特定利益付与手段2981は、可動片1430の一回当りの開放時間を、複数個(例えば10個)の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の第二所定時間とするとともに、可動片1430の開閉動作を、所定の利益を付与する場合の開閉動作の回数よりも多い回数(本例では7回)行うことで、遊技者に特定の利益を付与するものである。これによれば、多数の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になり、遊技者は大きな利益を得ることができる。
そして、主制御基板1350には、特定利益付与手段2981によって特定の利益を付与させる手段として、第一有利遊技状態制御手段2933a及び第二有利遊技状態制御手段2933bが設けられ、所定利益付与手段2982によって所定の利益を付与させる手段として、第三有利遊技状態制御手段2933c、第四有利遊技状態制御手段2933d、及び第五有利遊技状態制御手段2933eが設けられている。
第一有利遊技状態制御手段2933aによって発生する第一有利遊技状態は、所謂「確率変動大当り」であり、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bの抽選結果が第一結果の場合に発生する。この当りになると、特定利益付与手段2981によって特定の利益を付与するとともに、高確率状態設定手段2983によって、その後の抽選で特定の利益が付与される確率を通常時よりも高く設定する。つまり、高確率である確率変動状態とする。なお、本例では、高確率時の大当り判定テーブルでは、0〜498までの499個の大当り判定用乱数のうち、大当り遊技状態を発生させることが決定される大当り判定値が、60個設定され、大当りとなる確率である大当り確率が60/499となっている。一方、通常時の大当り判定テーブルでは、0〜498までの499個の大当り判定用乱数のうち大当り判定値が6個設定され、大当り確率が6/499となっている。また、第一有利遊技状態では、第一時短状態設定手段2984によって、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bで変動する第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短くするとともに、第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで、第二始動口1421の可動片1427が開閉動作される頻度(すなわち普通抽選において当選となる確率)を高くすることによって第二始動口1421への入賞のし易さを通常時よりも増加させる。
第二有利遊技状態制御手段2933bによって発生する第二有利遊技状態は、所謂「通常大当り」であり、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bの抽選結果が第二結果の場合に発生する。この当りになると、特定利益付与手段2981によって特定の利益が付与される点は第一有利遊技状態と同様であるが、この当りの場合には、その後の抽選で特定の利益が付与される確率は低確率のままである。つまり、確率変動状態にはならず、通常時の確率が維持される。なお、この第二有利遊技状態においても、特定の利益を付与した後、第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数になるまでの間、第一時短状態設定手段2984によって時短遊技状態になり、第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短くするとともに、可動片1427が開閉動作される頻度(すなわち普通抽選において当選する確率)を高くすることによって遊技球の球持ちを抑制する。
第三有利遊技状態制御手段2933cによって発生する第三有利遊技状態は、所謂「特殊大当り」であり、第一当否決定手段2930aの抽選結果が第三結果の場合に発生する。この当りでは、まず、所定利益付与手段2982によって遊技者に所定の利益(特定の利益よりも有利性の低い利益)を付与する。そして、その後の抽選に対しては、特定の利益が付与される確率を高くする。すなわち、第一有利遊技状態と同様、確率変動状態とする。ただし、時短遊技状態については、この有利遊技状態を発生させる前の遊技状態が所定の条件を満足する場合に限って発生させるようにしている。つまり、確率変動状態ではなく、且つ時短遊技状態でもない場合に第三有利遊技状態が発生した場合には、時短遊技状態を発生させることなく、確率変動状態としている。一方、遊技状態が確率変動状態であるか、または時短遊技状態である場合に、第三有利遊技状態が発生すると、第二時短状態設定手段2985を作動させ、時短遊技状態を発生させるようにしている。
第四有利遊技状態制御手段2933dによって発生する第四有利遊技状態は、第一当否決定手段2930aの抽選結果が第四結果の場合に発生する。この当りでは、第三有利遊技状態と同様、所定利益付与手段2982によって遊技者に所定の利益を付与する。ただし、その後の抽選に対しては、新たに確率変動状態を発生させない。なお、時短遊技状態については、遊技状態に基づいて付加されるか否かが決定される。
第五有利遊技状態制御手段2933eによって発生する第五有利遊技状態は、第一当否決定手段2930aの抽選結果が第五結果の場合に発生する。この当りでは、所定利益付与手段2982によって遊技者に所定の利益を付与すること、及び高確率状態設定手段2983によって所定の利益を付与することは、第三有利遊技状態と同様であるが、この有利遊技状態では、時短遊技状態でない場合に第三有利遊技状態が発生した場合には、時短遊技状態を発生させることなく、確率変動状態としている。一方、遊技状態が時短遊技状態である場合に、第三有利遊技状態が発生すると、第二時短状態設定手段2985を作動させ、時短遊技状態を発生させるようにしている。
なお、本例では、夫々の大当りにおける当選の割合を、第一当否決定手段2930aの場合と、第二当否決定手段2930bとで、互いに異なるように振り分けている。具体的には、第一当否決定手段2930aの抽選結果では、第一有利遊技状態制御手段2933aによって発生する第一大当り、すなわち確率変動状態及び一定回数の時短遊技状態がいずれも付与される確率変動大当りを、大当り全体の22%に設定し、第二有利遊技状態制御手段2933bによって発生する第二大当り、すなわち確率変動状態が付与されることなく一定回数の時短遊技状態が付与される通常大当りを45%に設定している。また、第三有利遊技状態制御手段2933cによって発生する第三大当り、すなわち確率変動状態と、条件付きの時短遊技状態が付与される特殊大当りを11%に設定し、第四有利遊技状態制御手段2933dによって発生する第四大当り、すなわち確率変動状態が付与されることなく条件付きの時短遊技状態が付与される特殊大当りを11%に設定し、第五有利遊技状態制御手段2933eによって発生する第五大当り、すなわち確率変動状態と、条件付きの時短遊技状態が付与される特殊大当りを11%に設定している。
一方、第二当否決定手段2930aの抽選結果では、第一有利遊技状態制御手段2933aによって発生する第一大当りを、大当り全体の44%に設定し、第二有利遊技状態制御手段2933bによって発生する第二大当りを56%に設定している。そして、第二当否決定手段2930bでは、特殊大当り、すなわち第三大当り、第四大当り、及び第五大当りに関しては発生しないように設定されている。このため、特定の利益が付与されることなく確率変動状態が終了してしまうことを確実に防止でき、突然の降格によって遊技意欲が大幅に低下することを抑制できる。また、第一大当り〜第五大当りのうち、特定の利益を付与する第一大当りまたは第二大当りとなる割合は、第二当否決定手段2930bの方が高くなることから、主に通常時に行われる第一当否決定手段2930aによる大当り抽選では、開閉入賞装置1404の開放を比較的頻繁に行わせながらも、特定の利益が付与される大当りの発生をある程度制限することが可能となる。一方、時短遊技状態のときに実質的に有効となる第二当否決定手段2930bによる大当り抽選では、特定の利益が付与される可能性が高くなるため、確率変動状態を有さない通常大当りであっても、遊技意欲の低下を抑制することができる。
ところで、図121に示すように、主制御基板1350には、普通抽選(第二始動口1421への入賞のし易さを高めるための抽選)に関する構成として、普通当り判定用乱数抽出手段2924、普通当り判定用テーブル2926、及び普通当否決定手段2925が設けられている。普通当り判定用乱数抽出手段2924は、入球状態検出手段2990(ゲートセンサ)によって通過ゲート1405への入球が検出されたとき、ランダムカウンタ(乱数発生手段)から、普通当り判定用乱数を抽出するものである。また、普通当り判定用テーブル2926は、高確率時のテーブルと通常時のテーブルとに分かれており、高確率時の普通当り判定テーブルでは、0〜250までの251個の普通当り判定用乱数のうち、普通当りとなる判定値が250個設定され、普通当りとなる確率が250/251となっている。一方、通常時の普通当り判定テーブルでは、0〜250までの251個の普通当り判定用乱数のうち、普通当りとなる判定値が1個設定され、普通当りとなる確率が1/251となっている。また、高確率時の普通当り抽選では、普通図柄の変動時間が13.56秒に設定され、始動口ソレノイド2352による可動片1427の開放時間が1180ms、開放回数が3回、開放間のインターバルが512msに設定されている。一方、通常時の普通当り抽選では、普通図柄の変動時間が平均13.6秒に設定され、可動片1427の開放時間が180ms、開放回数1回に設定されている。
また、普通当否決定手段2925は、普通当り判定用乱数抽出手段2924によって普通当り判定用の乱数が抽出されると、抽出された乱数と普通当り判定用テーブル2926に記憶された普通当り判定値とを比較して、一致している場合に普通当りであると決定する。なお、この際、遊技状態判定手段2923によって、遊技状態が特定の遊技状態、すなわち時短遊技状態か否かが判別され、時短遊技状態である場合には高確率時のテーブルが選択され、時短遊技状態でない場合には通常時のテーブルが選択される。このため、第一有利遊技状態制御手段2933aによって発生する第一大当りの場合であっても、一定回数の時短遊技状態が終了すると、高確率時のテーブルから通常時のテーブルに切り替えられる。
また、主制御基板1350には、普通当否決定手段2925によって普通抽選の当否が決定されると、普通図柄表示器2928に普通図柄を変動表示させるとともに、変動時間(約14秒または約1秒)の経過後、当否の結果を表示させる普通図柄変動制御手段2927が設けられている。また、普通当否決定手段2925による判別の結果、普通当りが確定した場合、普通図柄の変動停止後、可動片1427を開放させ、遊技球を第二始動口1421に入賞しやすくする開放制御手段2929が設けられている。
図122に示すように、周辺基板2811には、主制御基板1350から送信された制御情報コマンドがコマンド受信手段2951によって受信されると、これを基に液晶表示装置640を制御するための各種機能が備えられている。
すなわち、第一大当り抽選に対応する演出用テーブルとして、第一当り時演出態様テーブル2952aと、第一外れ時演出態様テーブル2953aとが予め記憶されており、これらのテーブル2952a,2953aを基に、ステップ演出及び発展演出等における演出態様が決定されるようになっている。
まず、演出態様テーブル2952a,2953aについて詳細に説明する。第一当り時演出態様テーブル2952aは、大当り(または小当り)の場合に用いられ、演出決定用乱数(後述する)と、演出態様(ここではステップ演出や発展演出における演出パターン)との関係を示すものである。また、第一外れ時演出態様テーブル2953aは、外れの場合に用いられるテーブルであり、演出決定用乱数と演出パターンとの関係を示すものである。
周辺基板2881には、ランダムカウンタ(図示しない)から演出決定用乱数を抽出する第一演出用乱数抽出手段2957aと、演出パターンを決定する第一演出態様決定手段2958aとが設けられている。第一演出態様決定手段2958aは、コマンド受信手段2951を介して制御コマンドを受信すると、第一演出用乱数抽出手段2957aによって演出用乱数を抽出するとともに、制御コマンドに含まれる当否コマンドが大当り(または小当り)を示すものである場合には、第一演出用乱数抽出手段2957aによって抽出された演出用乱数と、第一当り時演出態様テーブル2952aとから演出パターンを決定し、一方、当否コマンドが外れを示すものである場合には、第一演出用乱数抽出手段2957aによって抽出された演出用乱数と、第一外れ時演出態様テーブル2953aとから演出パターンを決定するものである。
第一演出態様決定手段2958aによって決定された演出パターンは、演出パターン記憶手段(図示しない)から抽出されるとともに、第一演出表示制御手段2975aに送られる。第一演出表示制御手段2975aは、それらの演出の画像を画像記憶手段(図示しない)から読出し液晶表示装置640に導出する。ここで、第一演出表示制御手段2975aが本発明の演出制御手段に相当する。
一方、第一装飾図柄の演出に関する機能的な構成として、第一装飾図柄変動制御手段2976aが設けられている。第一装飾図柄変動制御手段2976aは、コマンド受信手段2951によって受信された制御コマンドを基に、停止図柄を第一装飾図柄記憶手段(図示しない)から読み出し変動させるとともに、その制御コマンドに含まれる変動時間及び当否コマンド等(すなわち抽選結果)に基づいて装飾図柄を停止させるものである。
なお、上記では、第一大当り抽選に関する演出について説明したが、周辺基板2881には、第二大当り抽選に関する演出を行うための機能的構成も備えられている。具体的には、第二大当り抽選に対応する演出用テーブルとして、第二当り時演出態様テーブル2952bと、第二外れ時演出態様テーブル2953bとが予め記憶されており、これらのテーブル2952b,2953bを基に、ステップ演出や発展演出における演出態様が決定されるようになっている。演出態様テーブル2952b,2953bは、第一大当り抽選に対応する演出態様テーブル2952a,2953aと同様の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、周辺基板2881には、第二大当り抽選に対応して、第二演出用乱数抽出手段2957b、第二演出態様決定手段2958b、第二演出表示制御手段2975b、及び第二装飾図柄変動制御手段2976bが設けられているが、これらの構成も第一大当り抽選に対応する機能的構成と同様の機能を有することから、詳細な説明を省略する。ここで、第二演出表示制御手段2975bが本発明の演出制御手段に相当する。
また、周辺基板2881には、装飾図柄列変動表示手段2960及び大当り表示手段2964が設けられている。装飾図柄列変動表示手段2960は、第一装飾図柄変動制御手段2976a及び第二装飾図柄変動制御手段2976bの出力を基に、あるいはコマンド受信手段2951によって受信された制御コマンドを基に、共通装飾図柄列を変動させるとともに、その制御コマンドに含まれる変動時間及び当否コマンド等(すなわち抽選結果)に基づいて共通装飾図柄列を順に停止させるものである。特に、複数の共通装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している装飾図柄(停止図柄)の組合せが、特定の装飾図柄の組合せを充足する場合、既に停止している装飾図柄をリーチ形成図柄として、リーチ状態を成立させる。
また、大当り表示手段2964は、第一大当り抽選または第二大当り抽選の抽選結果が第一大当りまたは第二大当りの場合、すなわち、「確変大当り」または「通常大当り」の場合に、その抽選にかかる共通装飾図柄列の変動を停止させた後、「大当り」であることを表示させるものである。なお、第一大当り抽選または第二大当り抽選の抽選結果が第三大当り、第四大当り、または第五大当りである場合には、「当り」であることを表示させることなく、共通装飾図柄列の変動停止後、その抽選にかかる演出を終了する。
<振分演出装置1444の動作>
続いて、振分演出装置1444における動作について、図98と図124及び図125とに基づいて説明する。図124は、振分演出装置1444における制御構成を示すブロック図であり、図125は、振分演出装置1444における制御において、テーブルを用いた場合の機能的構成を示すブロック図である。
図98に示すように、振分演出装置1444に三つの流入口1480が備えられていることは、前述した通りであるが、これらの流入口1480は潜伏期待大領域及び潜伏期待小領域として夫々割り当てられるようになっている。ここで、潜伏期待大領域とは、確率変動状態が潜伏している可能性(確率変動状態を発生させる可能性)が高いことを示唆する領域である。また、潜伏期待小領域とは、確率変動状態が潜伏している可能性(確率変動状態を発生させる可能性)が低いことを示唆する領域である。図124に示すように、振分演出装置1444には機能的構成として、抽選結果認識手段3001及び領域選択手段3010が備えられている。抽選結果認識手段3001は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる抽選結果が、第一結果または第二結果となり特定の利益が付与されているか否かを判定するとともに、さらに特定の利益が付与されている場合には、確率変動状態を付与する大当りであるか否か、すなわち第一結果による確率変動大当りか、第二結果による通常大当りかを判別する。領域選択手段3010は、演出を行う際に、抽選結果認識手段3001の判定結果に基づいて、遊技球が送込まれる領域を決定するものである。
具体的に説明すると、領域選択手段3010は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる抽選結果が第一結果の場合には、潜伏期待大領域が選択される割合を潜伏期待小領域が選択される割合よりも高くし、一方、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる抽選結果が第二結果の場合には、潜伏期待小領域が選択される割合を潜伏期待大領域が選択される割合よりも高くしている。このため、確率変動大当りが発生している場合(確率変動状態が潜伏している場合)には、遊技球の転動方向が潜伏期待大領域側に切替えられ遊技球が潜伏期待大領域に到達する可能性が高くなる。一方、通常大当りが発生している場合(確率変動状態が潜伏していない場合)には、遊技球の転動方向が潜伏期待小領域側に切替えられ遊技球が潜伏期待小領域に到達する可能性が高くなる。したがって、遊技球が到達した流入口1480が、潜伏期待大領域に相当する流入口1480または潜伏期待小領域に相当する流入口1480の何れであるかを認識させることによって、確率変動状態が潜伏している可能性(期待度)を把握させることが可能になる。これにより、遊技球の挙動を注目させるとともに、遊技球を用いた演出によって視覚的な興趣を高めることが可能になる。
また、領域選択手段3010は、複数の流入口1480の中から潜伏期待大領域として割り当てられる流入口を決定する。つまり、演出を開始する前に、夫々の流入口1480を潜伏期待大領域と潜伏期待小領域とに割振るための抽選を行う。これにより、潜伏期待大領域の位置を毎回変化させることが可能となり、遊技球の転動方向を変化に富んだものとすることができる。つまり、同じ流入口1480ばかりに到達することによる不信感を解消することが可能となる。
特に、領域選択手段3010には、個数決定手段3011が備えられており、潜伏期待大領域として割り当てられる流入口1480の数が抽選に基づいて決定される。このため、潜伏期待大領域として割り当てられる流入口1480の数が多い場合には、潜伏期待大領域に到達する可能性が高くなったと感じさせ、一方、潜伏期待小領域として割り当てられる流入口の数が多い場合には、潜伏期待大領域に到達する可能性が低くなったと感じさせることができ、ひいては演出にメリハリをつけることが可能になる。
また、振分演出装置1444には、通知手段3017が備えられており、領域選択手段3010によって夫々の流入口1480が潜伏期待大領域と潜伏期待小領域とに割り振られた際、決定された割振りに関する情報、すなわちどの流入口1480を潜伏期待大領域とするかが、遊技者に通知されるようになっている。具体的に通知手段3017は、第一発光基板1500を制御し、潜伏期待大領域に割り当てられた流入口1480の周囲に配置された発光ダイオード1503を赤色で点灯させ、一方、潜伏期待小領域に割り当てられた流入口1480の周囲に配置された発光ダイオード1503を青色で点灯させる。このため、潜伏期待大領域と潜伏期待小領域とを発光色に基づいて容易に識別することが可能となる。
また、振分演出装置1444は、誘導部材1490の動作態様として複数の駆動パターンを予め記憶した駆動パターン記憶手段3003と、動作開始に先立って、駆動パターン記憶手段3003の中から一つの駆動パターンを抽選に基づいて決定する駆動パターン決定手段3002と、駆動パターン決定手段3002によって決定された駆動パターンに従って振分モータ1493を動作させる動作制御手段3008とをさらに備えている。このため、遊技球の挙動だけではなく、誘導部材1490の動きも変化に富んだものとし、視覚的な面白みを一層高めることができる。
駆動パターンについて詳細に説明する。駆動パターン記憶手段3003には、少なくとも四つの駆動パターン、すなわち、連続動作パターン3004、コマ送りパターン3005、可動範囲制限パターン3006、及び固定パターン3007が記憶されている。そして、連続動作パターン3004が選択された場合には、誘導部材1490を略一定の速度で振り子のように回動させ、誘導部材1490の先端を夫々の流入口1480に順次対向させる動作を行う。一方、コマ送りパターン3005が選択された場合には、誘導部材1490を断続的に動作させ、誘導部材1490の先端が夫々の流入口1480と対向する毎に一時的に停止させる動作を行う。このため、遊技球の停留状態が解除されるタイミングが同じで、且つ解除された時点の誘導部材1490の位置が同一であっても、互いに異なる流入口1480に到達する場合があり得ることとなり、ひいては誘導部材1490の駆動パターンと遊技球が解除されるタイミングとを互いに関連させながら遊技球の行方を注目させることが可能になる。
また、可動範囲制限パターン3006が選択された場合には、三つの流入口1480の中から選択された流入口を含む二つの流入口が特定され、誘導部材1490を、特定された二つの流入口に対してのみ対向するように回動させる動作を行う。このため、潜伏期待大領域として割り当てられた流入口の数が、潜伏期待小領域として割り当てられた流入口の数よりも少ないときであっても、例えば誘導部材1490の可動範囲が、二つの流入口(潜伏期待大領域及び潜伏期待小領域)の間に制限された場合には、遊技球を潜伏期待大領域に到達させる可能性が高くなったように感じさせることができ、遊技意欲を高めることが可能になる。
また、固定パターン3007が選択された場合には、誘導部材1490の先端を、潜伏期待大領域に対向した状態で固定させる。このため、この固定パターン3007になると、遊技球を潜伏期待大領域に到達させることが、ほぼ確定された状況となり、確率変動状態の発生に対する期待感を確実に高めるとともに、遊技者に優越感を与えることができる。
なお、個数決定手段3011を含む領域選択手段3010、及び駆動パターン決定手段3002は、抽選結果認識手段3001によって判定された抽選結果と、一つの乱数とを基に、全ての振分条件を決定することも可能である。具体的には、図125に示すように、振分演出装置1444における制御を決定するための振分用乱数を抽出する振分用乱数抽出手段3020と、第一振分動作可変用テーブル3022と、第二振分動作可変用テーブル3023と、振分条件決定手段3021とを備えればよい。第一振分動作可変用テーブル3022は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる抽選結果が第一結果の場合に用いられ、複数の流入口1480の中から潜伏期待大領域として割り当てられる流入口1480の位置、遊技球を送り込む流入口1480の位置、及び誘導部材1490の動作態様である駆動パターン、を含む振分条件と、振分用乱数抽出手段3020によって抽出される振分用乱数との関係を示すものである。また、第二振分動作可変用テーブル3023は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによるの抽選結果が第二結果の場合に用いられ、上記と同様の振分条件と、振分用乱数抽出手段3020によって抽出される振分用乱数との関係を示すものである。
そして、振分条件決定手段3021は、振分用乱数が抽出され、且つ抽選結果が第一結果の場合には、振分用乱数と第一振分動作可変用テーブル3022とから振分演出装置1444における振分条件を決定し、一方、振分用乱数が抽出され、且つ抽選結果が第二結果の場合には、振分用乱数と第二振分動作可変用テーブル3023とから振分条件を決定する。
第一振分動作可変用テーブル3022及び第二振分動作可変用テーブル3023について、図126に基づき具体的に説明する。図126は、第一振分動作可変用テーブル3022及び第二振分動作可変用テーブル3023において、振分条件と振分率との関係を示す表である。この表では、変動条件として、「駆動パターンと、遊技球を送り込む流入口1480の位置」が、「動き方」として示され、「複数の流入口1480の中から潜伏期待大領域として割り当てられる流入口1480の位置」が、「赤の位置」として示されている。そして、これらの変動条件の組合せが40通りのパターンに区別されており、40通りのパターンの中から一つのパターンが振分用乱数に基づいて選択されるようになっている。ここで、「動き方」において、「ノーマル」とは連続動作パターン3004のことであり、「コマ送り」とはコマ送りパターン3005のことであり、「二者択一」とは可動範囲制限パターン3006のことであり、「真中ずっと」とは固定パターン3007のことである。また、「右」とは右流入口1480aのことであり、「中」とは中流入口1480bのことであり、「左」とは左流入口1480cのことである。また、「右」,「中」,「左」等、一方向のみが示されたものは、「誘導部材1490の先端が、選択された流入口1480に対向した際に遊技球が到達するように遊技球を送込むこと」を表し、「左→中」,「右→中」等、方向の変化が示されたものは、「誘導部材1490の先端が、選択された流入口1480に向って回動している途中で到達するように遊技球を送込むこと」を表している。
また、「赤の位置」においては、左から順に、左流入口1480c、中流入口1480b、及び右流入口1480aの状態を示しており、「○」は潜伏期待大領域であることを示し、「×」は潜伏期待小領域であることを示している。つまり、パターン2に示すように、「赤の位置」が「××○」で、「動き方」が「ノーマル右」であれば、連続動作パターンを行いながら、潜伏期待大領域である右流入口1480aに遊技球が到達するように、遊技球を送込むことを表している。
一方、振分率に関しては、抽選結果が第一結果の場合における振分率が「確変(7図柄)」及び「確変(7図柄以外)」として示され、抽選結果が第二結果の場合における振分率が「非確変時」として示されている。なお、抽選結果が第一結果の場合には、装飾図柄列が「7,7,7」の停止図柄で停止する場合(確変(7図柄))と、その他の停止図柄で停止する場合(確変(7図柄以外))とを区別し、「7,7,7」で停止する場合には、全て、パターン40の「真中ずっと」が選択されるようになっている。
この振分表から分かるように、確率変動大当りが発生しており(第一結果の場合であって)、「7」図柄以外の場合には、40種類全てのパターンが選択対象となっている。そして、この場合、潜伏期待大領域が選択される可能性が極めて高いが、潜伏期待小領域が選択されることもあり得るように、振分率が設定されている。一方、通常大当りが発生している場合(抽選結果が第二結果の場合)には、潜伏期待大領域が選択されることなく、常に潜伏期待小領域が選択されるようになっている。このため、潜伏期待大領域に遊技球が到達した場合には、確率変動状態が潜伏している可能性が極めて高いことを示唆することができ、一方、潜伏期待小領域に遊技球が到達した場合には、確率としては低いものの、確率変動状態が潜伏している可能性が残されていることを示唆することができる。したがって、抽選結果が第二結果であること(即ち通常大当りであること)を明瞭に把握できないようにし、潜伏期待小領域に遊技球が流入したことによる期待感の消失、並びにそれに伴う遊技意欲の低下を軽減することが可能になる。
このように、第一結果(確率変動大当り)に対応する第一振分動作可変用テーブル3022と、第二結果(通常大当り)に対応する第二振分動作可変用テーブル3023とを用いて、振分条件を決定するため、確率変動状態が発生した場合の割振りと、確率変動状態が発生していない場合の割振りとを、個別に設定することができるとともに、振分条件を比較的容易に決定することが可能となる。特に、夫々の振分動作可変用テーブル3022,3023には、複数項目の振分条件が組合せられた形で記憶されているため、一つの振分用乱数だけで全ての振分条件を決定することが可能となり、振分演出にかかる制御の負担を軽減するとともに、速やかに振分条件を決定することが可能になる。
一方、図98を基に前述したように、案内通路部材1445には停留手段1515が備えられ、大入賞口に入賞した遊技球の一つを停留させることが可能になっている。そして、図124に示すように、振分演出装置1444は、解除制御手段3016を備えており、解除制御手段3016は、停留手段1515による遊技球の停留状態を解除し、停留中の遊技球を所定のタイミングで案内通路部材1445に流下させる。特に、解除制御手段3016は、誘導部材1490に到達した遊技球が、領域選択手段3010によって選択された流入口1480に向って転動するように、領域選択手段3010によって選択された流入口1480と、誘導部材1490の位置とに基づいて、停留状態を解除するタイミングを決定し、決定されたタイミングで停留モータ2560を駆動する。なお、停留状態を解除するタイミングは、図126に示した40種類のパターンの夫々に対して個別に設定されている。
また、誘導部材1490の位置を検出するための手段として、基準位置検出手段3015と計時手段3014とを備えている。基準位置検出手段3015は、誘導部材1490が、予め定めた基準点に位置していることを検出するものであり、例えばスイッチ(開閉器)を例示することができる。計時手段3014は、基準点から離れた時点からの経過時間を計測するものである。つまり、計時手段3014によって計測される経過時間に基づき誘導部材1490の現在位置を認識するようになっている。これによれば、基準点と経過時間とに基づいて誘導部材の位置を検出することから、極めて簡単な構成で実現することが可能になる。
ところで、振分演出装置1444は、誘導部材1490の動作及び遊技球の送り込み動作を、特定の利益の付与中に実行するようにしている。このため、特定の利益が付与されたことと、これから行われる演出内容とが互いに関連していることを認識させることができる。特に、特定の利益の付与中に、今後の遊技状態を示唆するための演出が行われるため、満足感と緊張感とが入り混じり、パチンコ機1における興趣を一層高めることが可能となる。また、通常時は誘導部材1490を停止させ、確率変動状態の発生する可能性が生じたときに、誘導部材1490を可動させ始めるため、通常時には見ることのできない誘導部材1490の動作を視認させることによって、確率変動状態が発生する可能性があることを遊技者に把握させることができ、これによりワクワクした気分を喚起させることができる。
また、振分演出装置1444は、図122に示すように、作動説明通知手段964及び振分結果通知手段2996を有しており、作動説明通知手段964は、開閉入賞装置1404の開閉動作が繰返し行われる複数回のラウンドのうち、初期のラウンドにおいて、振分演出装置1444の作動説明を液晶表示装置640において表示させる。そして、複数回のラウンドのうち、中期または終期のラウンドにおいて、遊技球の送り込み動作、すなわち停留手段1515の解除制御が行われ、その後、振分結果通知手段2996によって、遊技球の到達先に基づいた演出が抽選結果として液晶表示装置640に表示される。
具体的な演出例について、図127及び図128に基づき説明する。図127及び図128は、振分演出の際、液晶表示装置640に表示される具体的な演出画像である。まず、図127(a)に示すように、液晶表示装置640には、キャラクタCが表示されるとともに、「チャンスタイム」または「スペシャルタイム」のいずれかを選択する演出が行われることが表示される。その後、図127(b),(c)に示すように、赤の流入口に入れば期待度大の「スペシャルタイム」に移行し、それ以外は「チャンスタイム」に移行することが表示される。さらに、図127(d)に示すように、赤の流入口の位置を変えることとを示す「シャッフルスタート」が表示され、その表示から所定時間後、または遊技者が押ボタン装置330または演出操作ボタン1803を押したタイミングに基づいて決定された時間の経過後に、「赤の流入口の位置が決定されたこと」が表示される(図128(e)参照)。
その後、図128(f)に示すように、ドキドキステージに注目すること、すなわち振分演出装置1444における遊技球の振分に注目することが表示され、その所定時間後、遊技球の停留状態が解除される。
遊技球が振分けられていずれかの流入口1480に流入すると、その流入口に基づいて図128(g)または図128(h)のいずれか一方の表示が行われる。つまり、遊技球が潜伏期待大領域に相当する流入口1480(赤の流入口)に到達した場合には、(g)に示すように「スペシャルタイムに突入したこと」が表示され、潜伏期待小領域に相当する流入口1480(青の流入口)に到達した場合には、(h)に示すように「チャンスタイムに突入したこと」が表示される。このように、演出内容に関する作動説明及び振分結果が液晶表示装置640に表示されるため、演出の内容を容易に理解させるとともに、遊技者のモチベーションを高めることが可能になる。
ところで、上記の振分演出では、センタ役物1401の右側に配置された開閉入賞装置1404から遊技球を入球させ、案内通路部材1445によって振分演出装置1444に案内する必要がある。すなわち、この演出を行う際には、打球発射装置650の発射強度を最大にしてセンタ役物1401の右側の遊技領域605に遊技球を送り込むことが必要になる。
そこで、図27に示す演出例では、演出画像の中で「右に打ってね」と狙い撃ち情報を表示し、所謂「右打ち」することを遊技者に報知するようにしている。つまり、図129に示すように、周辺制御基板2830には機能的な構成として有利目標表示制御手段1866を備えており、狙い撃ち情報を液晶表示装置640に表示させるようになっている。ところが、遊技に不慣れな遊技者は、液晶表示装置640に表示される狙い撃ち情報だけでは、どこを操作するのか、またはどの程度操作すべきかを理解することが困難な場合があり、これによれば振分演出という折角のチャンスを逃してしまう虞がある。
そこで、本例では、液晶表示装置640に表示される狙い撃ち情報に合わせて、摺動操作部1703の発光部1809を点灯させるようにしている。つまり、図129に示すように、機能的な構成として、遊技状態や遊技内容を認識する状態認識手段1860と、認識された遊技状態または遊技内容に基づいて、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させることが可能な有利領域等の有利目標を特定する有利目標特定手段1861と、特定された有利目標に基づいて発光部1809を制御することにより、遊技者に有利目標を示唆する発光制御手段1862と、を備えている。具体的には、振分演出の演出画像を表示する際、発光部1809に設けられた発光素子1856を制御し、赤色の光を照射させる。これによれば、摺動操作部1703の透光性樹脂部材1838に設けられた第一及び第二カラーフィルタのみから光が透過し、図130(a)に示すように、「強」という文字Mが現れる。このため、遊技者は、摺動操作部1703の表示態様を視認することにより、有利目標(この場合、発射強度を強くすること)を把握することが可能になり、有利目標に到達するように摺動操作部1703を操作することが可能になる。また、発光部1809の点灯及び文字Mの出現によって遊技者の操作を補助することが可能になり、ひいては不慣れな遊技者であっても安心して遊技を楽しむことができるようになる。
また、周辺制御基板2830には、機能的な構成として、第二可変抵抗器1763の抵抗値に応じた電圧信号によって摺動操作部1703の操作位置を認識する操作位置認識手段1864と、認識される摺動操作部1703が有利目標特定手段1861によって特定された摺動操作部1703の操作位置に一致したとき(具体的には、摺動操作部1703が最大強度に対応し位置まで操作されたとき)、発光部1809の発光状態を変化させる目標位置到達報知手段1865とを具備している。また、発光制御手段1862は、発光態様切替手段1863を有しており、目標位置到達報知手段1865の出力に基づいて、発光部1809から照射される光の色を、赤色から緑色に変化させる。これによれば、透光性樹脂部材1838に設けられた第一及び第三カラーフィルタのみから光が透過し、図130(b)に示すように、「笑顔の絵柄」Eが現れる。このため、遊技者は、摺動操作部1703の操作位置を、適切な位置、すなわち有利領域に遊技球を打ち込むのに適した位置に合わすことができたか否かを、摺動操作部1703に表示される絵柄E及び発光色の変化に基づいて確認することができ、ひいては適切な強さで遊技球を打ち込むことができるとともに、遊技者に安心感を与えることができる。
なお、周辺基板2881には、情報提示制御手段1867が設けられており、摺動操作部1703の操作位置が目標操作位置に一致したときに生じる発光状態の変化に関する情報を液晶表示装置640に予め表示させるようにしている。具体的には、図127に示すように、図130(b)に示す「笑顔の絵柄E」と同じ顔で且つ緑色の服を着たキャラクタCが登場する演出画像が表示されるようになっている。これによれば、摺動操作部1703の操作位置と発光態様(摺動操作部1703に現れる絵柄E)との関係を把握していない遊技者であっても、液晶表示装置640に表示された情報(すなわちキャラクタCの顔及び服の色)を基に、発光態様がどのように変化するのかを予測することができ、発光態様の変化を案内情報として利用することが可能になる。
このように、本実施形態のパチンコ機1によれば、摺動操作部1703が摺動案内面1720上に載置された状態で、略水平方向に摺動操作されるため、遊技者は、摺動操作部1703に手を被せた状態あるいは摺動操作部1703を上方から把持した状態で、水平方向に変位させることにより、打球発射装置650の発射強度、すなわち遊技領域605に打ち込まれる遊技球の勢いを調整することが可能になる。したがって、打球発射装置650における発射強度の調整が容易になるとともに、楽な体勢で操作することができる。また、略水平面上に載置された摺動操作部1703を上方から把持するため、摺動操作部1703を軽い力で安定して保持することができる。特に、手や腕の重みを利用して摺動操作部1703と摺動案内面1720との間に摩擦を生じさせることができ、摺動操作部1703を保持するのに必要な腕の力を大幅に軽減することができる。さらに、手のひら全体を操作基台1702上に位置させることができるため、腕が浮いているという不安定な感覚がなく、しかも腕のひねりもないことから、遊技者の疲労を大幅に軽減することができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、操作基台1702の摺動案内面1720は平面視扇状であり、摺動操作部1703は、軸心方向が略鉛直方向である回転軸連結部1820を中心に回動可能に支持されているため、摺動案内面1720を比較的小さくしながらも、摺動操作部1703の先端部分を大きく変位させることができ、発射強度の微調整が容易となる。また、手首の曲げ操作のみで摺動操作部1703を摺動させることができ、操作性及び安定感を一層高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、演出スイッチとして機能する演出操作ボタン1803が摺動操作部1703に設けられているため、摺動操作部1703を把持する手の指先で演出操作ボタン1803を押圧操作することが可能になる。このため、遊技球の打込みを中断することなく、利き手の指で演出操作ボタン1803を操作することが可能になる。また、遊技者は、体勢を殆ど変化させることなく演出操作ボタン1803を操作することができ、ひいては遊技者の負担を軽減するとともに、他人の視線等を気にすることなく静かに演出に参加することができる。特に、演出操作ボタン1803が摺動操作部1703の先端側に配置されているため、手のひらで摺動操作部1703を把持したまま、指先で演出操作ボタン1803を押圧操作することが可能になる。したがって、片手操作が容易になり、操作することへの意欲を高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、摺動操作部1703の操作位置に応じた信号が摺動位置検出手段1714から出力され、その出力に基づいて打球発射装置650の発射強度が制御されるようになっているため、打球発射装置650を電気的に制御することで発射強度を調整することが可能になり、打球発射装置650の構成を簡単にすることができる。さらに、摺動操作部1703を備える操作ユニット1700を、打球発射装置650から離れた位置に配置することもでき、設計の自由度を高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、扉枠5の皿ユニット300に固定状態で取設された押ボタン装置330がさらに備えられ、出現させる演出態様を、押ボタン装置330の操作に基づいて変化させることも可能になっているため、皿ユニット300に配置された押ボタン装置330と摺動操作部1703に配置された演出操作ボタン1803とを組み合わせることにより、演出態様の変化を多様化させたり、遊技者の使い勝手を向上させたりすることが可能になる。例えば、演出操作ボタン1803及び押ボタン装置330を同一のスイッチとして機能させるようにすれば、遊技者は、遊技状態や使い勝手に応じて所望のスイッチを選択することが可能になり、スイッチを連打する場合等、操作自体に興趣が得られる場合には、比較的大きく且つ皿ユニット300に固定された押ボタン装置330を使用し、一方、利き手を使って静かに操作したい場合には、摺動操作部1703に設けられた演出操作ボタン1803を使用するなどの選択が可能になる。したがって、遊技者の好みに応じた使い方が可能になり、演出に対する興味をさらに高めることができる。
一方、演出操作ボタン1803及び押ボタン装置330を、夫々別々のスイッチとして認識するようにすれば、演出態様を変化させる機能を、演出操作ボタン1803と押ボタン装置330とで分担して対応付けることが可能になる。したがって、一層複雑に演出態様を変化させるとともに、夫々の演出態様の変化とその変化に相応しいスイッチとを対応させることで、演出に対する興趣を一層高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、摺動操作部1703が略水平方向に摺動するのに対し、演出操作ボタン1803は摺動方向に対して略垂直方向すなわち下向きに押圧されるため、演出操作ボタン1803を押圧操作しても、摺動操作部1703が変位する側に力が加わることを防止でき、所定の位置で保持されている摺動操作部1703が、演出操作ボタン1803の操作によって不意に動いてしまうことを抑制できる。換言すれば、打球発射装置650の発射強度を一定に保ったまま演出操作ボタン1803を操作することができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、操作基台1702には、演出スイッチ1805やストップスイッチ1806に接続された電線を挿通させるための配線孔1724が回転中心付近に穿設されているため、摺動操作部1703が変位しても、摺動操作部1703の回転軸側と配線孔1724とを常に重ね合わせることが可能であり、ひいては電線を露出させることなく、摺動案内面1720の下方の空間へ導くことができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、摺動操作部1703の内部に発光部1809が配設されているため、摺動操作部1703の一部を光って見せることができ、摺動操作部1703の装飾性を高めるとともにその存在を目立たせることができる。特に、発光部1809が摺動操作部1703と一緒に変位するため、摺動操作部1703が摺動する様子を明瞭に視認させることができるとともに、光による演出効果を大幅に高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、有利目標に基づいて発光部1809の発光態様が変化するため、遊技者は、摺動操作部1703の発光状態を視認することにより、有利目標(すなわち発射強度を最強にすること)を把握することができる。また、発光部1809は装飾としての効果だけでなく、遊技状態の変化を遊技者に把握させる手段として作用することから、遊技状態と関連付けながら摺動操作部1703の発光状態を視認させることができ、摺動操作部1703の注目度を一層高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、発光部1809が点灯すると、発生したジュール熱によって摺動操作部1703の透光性樹脂部材1838が暖められるため、遊技者の手に温感覚を生じさせることが可能になる。したがって、発光部1809が点灯したことに直接気付かなくても、温感覚という、通常では感じることのない特有の感覚によって、摺動操作部1703に注意を向けさせることができる。特に、摺動操作部1703を手で覆っている場合には、摺動操作部1703と手との隙間から透光性樹脂部材1838を覗き込むことにより、または摺動操作部1703から手を外すことにより、発光部1809の点灯状態を視認させることができるため、あたかも玉手箱を開けるかのように、ワクワクした気分を喚起させることができ、遊技の興趣をさらに高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、摺動操作部1703の操作位置が検出され、その操作位置が、摺動操作部1703の目標操作位置(具体的には最強度位置)に一致したとき、発光部1809の発光状態を変化させるため、遊技者は、摺動操作部1703の操作位置を、最強度位置に合わすことができたか否かを、発光部1809の発光態様に基づいて確認することができ、ひいては遊技者に安心感を与えることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、摺動操作部1703の操作位置が目標操作位置に一致したとき、発光部1809の発光色が赤色から緑色に変化する。また、これに先立ち、液晶表示装置640では変化に関する情報が表示されるため、摺動操作部1703に配置された発光部1809の色を、液晶表示装置640に表示された色に合わせるように摺動操作部1703を操作するだけで、摺動操作部1703の操作位置を目標操作位置に一致させることが可能になる。したがって、極めて簡単に目標操作位置に合わせることができるとともに、色あわせによって興趣を高めることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、透光性樹脂部材1838の表面に第一〜第四カラーフィルタ1839を備えるため、発光部1809から投光される光の色に対応して、表示態様を変化させることができる。このため、遊技者に単調な印象を与えることを抑制でき、興趣を高めることが可能になる。また、発光部1809の色を異ならせるだけで絵柄等の表示態様を変化させることができるので、極めてシンプルで小型に構成することができる。
さらに、本実施形態のパチンコ機1によれば、操作ユニット1700の操作基台1702が、皿ユニット300の下方に位置する扉形前面部材5の前面に取設されているため、操作位置が比較的低くなり遊技者の疲労を一層抑制することができる。また、上方の皿ユニット300は遊技者側に突出して設けられているため、操作ユニット1700が遊技者の不満をぶつけるためのターゲットとなったり、遊技者の足が載せられたりすることを抑制できる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、異なる色の光を発する二種類の発光素子1856を備え、摺動操作部1703の摺動操作に応じて発光色を切替えるものを示したが、摺動操作部1703の摺動操作に応じて、各発光素子1856への通電量を段階的または連続的に変化させるようにしてもよい。具体的には、「赤色」の光を放射する発光素子と「青色」の光を放射する発光素子とを備え、発射強度が最も弱い状態に対しては「青色」の光を放射し、最も強い状態に対しては「赤色」の光を放射し、その間では発射強度が大きくなるほど「赤み」が強くなるように通電量の比率を段階的に変化させるようにしてもよい。このように構成すれば、光による演出効果を大幅に高めることが可能になる。
また、上記実施形態では、複数のカラーフィルタ1839を用いることで、文字Mや絵柄Eを出現させるものを示したが、発光部1809から照射された光を透光性樹脂部材1838を通して直接放射させるようにしてもよい。なお、この場合には、発光部1809における各発光素子1856の形状を明瞭に視認させるようにしてもよいが、透光性樹脂部材1838を半透明部材で形成したり、乱反射シートを通して放射したりすることにより、透光性樹脂部材1838を全体的に光って見せるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、振分演出の実行、及び摺動操作部1703の操作位置に応じて発光部1809の発光態様を変化させるものを示したが、その他の遊技状態や動作状態または遊技者によるその他の操作状態に基づいて発光部1809の発光態様を変化させるようにしてもよい。例えば、演出操作ボタン1803の操作に応じて発光態様を変化させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、発光部1809の発光態様として、発光色を変化させるものを示したが、発光部1809への通電量を制御することより、発光部1809の輝度を変化させるようにしてもよい。これによれば、打球発射装置650の発射強度と発光部1809の輝度(明るさ)とを対応させることができ、遊技者は、発光部1809の明るさによって発射強度を把握することが可能になる。特に、発射強度が大きいほど発光部1809への通電量が大きくなるように制御した場合には、発射強度が大きいほど発光部1809の輝度が高くなるため、摺動操作部1703から放射される光のエネルギーが遊技球を弾き出すエネルギーに変換されるような印象を与えることができ、摺動操作部1703に対する操作意欲を高めることができる。
また、図131に示すように、打球発射装置650における発射強度の大きさと予め対応付けられた複数の発光素子1872a〜1872cを備え、それら複数の発光素子1872a〜1872cの中から、打球発射装置650の発射強度(具体的には摺動操作部1703の操作位置)に対応した発光素子を点灯させるようにしてもよい。これによれば、遊技者は、点灯する発光素子の位置を視認することにより、打球発射装置650の発射強度を把握することが可能になる。特に、複数の発光素子1872a〜1872cの発光状態を切替えることで、発射強度を段階的に示すことが可能になるとともに、発光状態の変化を明確に判別させることができる。また、複数の発光素子1872a〜1872cの中から、有利目標に対応した発光素子を点灯または点滅させることも可能であり、これによれば、遊技者は、点灯または点滅する発光素子の位置を視認することにより、有利目標を把握することも可能になる。
また、上記実施形態では、摺動操作部1703に、押圧操作可能な演出操作ボタン1803を備えるものを示したが、図132に示すように、摺動操作部1875において、タッチプレート1876の上面から一部を突出させた状態で回転可能に支持された回転式操作体1877(所謂「トラックボール」)を備え、回転式操作体1877の操作に関連付けて演出態様を変化させるようにしてもよい。なお、トラックボールに代えて操作用円盤体(所謂「スクロールホイール」)を適用することも可能である。これらの構成を適用した場合には、回転式操作体1877の回転量及び回転方向に応じて演出態様を変化させることが可能になり、演出の変化を一層多様化することができる。