以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1−1は、横方向電界方式(FFSモード)の液晶表示装置の一般的な構成を示す模式図であり、(A)は1画素分の平面図、(B)は同じく1画素分の断面図である。(A)に示すように、液晶表示装置を構成する基板の上には行状の走査線Xと列状の信号線Yが形成されている。走査線Xと信号線Yは格子状に交わっており、丁度1つの格子が1画素に対応している。画素には共通電極Cと画素電極Pが形成されている。画素電極Pは層間絶縁膜を介して共通電極Cの上に配されており、ストライプ上のパターンを有する。画素電極Pと共通電極Cとの間に電圧を印加して、横方向電界を液晶に加えその配向状態をスイッチングする。画素電極Pに電圧を印加するため、薄膜トランジスタ(TFT)が各画素に形成されている。TFTのゲート電極は対応する走査線Xに接続し、ソース電極は対応する信号線Yに接続し、ドレイン電極はコンタクトを介して対応する画素電極Pに接続している。各画素の共通電極は、共通の電位に接続している。
(B)に示すように、液晶表示装置は所定の間隙を介して対向配置した一対の基板1,2と、この間隙に配された液晶3とからなる。上部透明基板1はその表面に粘着剤4を介して偏光板5が貼り付けられている。上部透明基板1の内表面にはカラーフィルタ6と配向膜7が積層されている。
下部透明基板2には、前述した共通電極Cと、層間絶縁膜8を介して共通電極Cの上に配されたストライプ状のパターンを有する画素電極Pと、画素電極Pの上に配され液晶を配向する配向膜9(配向層)と、画素電極Pと共通電極Cとの間に電圧を印加して液晶層3の配向状態を変化させるスイッチング手段とを有する。本実施形態では前述したようにこのスイッチング手段は薄膜トランジスタ(TFT)である。薄膜トランジスタ(TFT)は層間絶縁膜10で被覆されており、コンタクトホール11を介して画素電極Pに接続している。具体的にはこの薄膜トランジスタ(TFT)はそのゲートGが走査線X(図示せず)に接続している。このゲートGの上にゲート絶縁膜12を介して半導体薄膜が形成されており、ソースとドレインに分かれている。ソースは前述したように信号線Yに接続し、ドレインはコンタクトホール11を介して画素電極Pに接続している。なお下部透明基板2の表面には偏光板13が取り付けられている。下部透明基板2から入射した光は液晶層3で透過率の変調を受けた後上部透明基板1側から透過光として出射される。
共通電位に接続された共通電極Cに対して画素電極P側に映像信号に応じた電圧を印加すると、液晶層3に横方向電界が加わり、その配向状態がスイッチングして透過光の透過率が映像信号に応じて変調を受ける。原理上液晶層3は横方向電界に応じて一方向に配向状態が変化するため、表示状態が観察する角度によって変化し、いわゆる視角依存性がある。
図1−2は、FFSモードの視角依存性を改善したマルチドメイン構造を示す模式的な平面図である。前述したように、画素は行状の走査線Xと列状の信号線Yとによって区画された格子状の領域に規定されている。画素にはストライプ状のパターンを有する画素電極Pが形成されている。この画素電極Pは画素の中央で上下に別れておりいわゆるマルチドメイン構造となっている。具体的には、画素電極Pは、そのストライプ状のパターンが中間の部分で折れ曲がった屈曲部PBと、屈曲部PBの両側から異なる方向に伸びた延長部PWとに分かれている。本明細書では上側延長部をPWUで表し、下側延長部をPWDで表し、両者を合わせて延長部PWと表記している。
電圧無印加状態で、液晶分子は紙面で上下方向にホモジニアス配向している。このホモジニアス配向は延長部PWで共通になっている。一方電圧を印加すると、上側延長部PWUでは液晶分子が反時計方向に回転して、液晶の配向状態がスイッチングする。一方下側延長部PWDでは電圧を印加すると液晶分子は時計方向に回転して液晶の配向状態がスイッチングする。この様に画素電極Pの上側延長部PWUと下側延長部PWDではストライプ状のパターンの伸びる方向が異なっているため、液晶分子の回転方向が互いに逆になり、異なる方向にツイスト配向する。したがって上側延長部PWUと下側延長部PWDで視角依存性が混合され、全体として視角依存性の緩和した表示が得られる。
以上の説明から明らかなように、マルチドメイン構造では、画素を上下2つのドメインに分割し、互いのドメインでストライプ状のパターンが異なる方向に伸長されている。このとき液晶の光学特性はドメイン境界部(即ち屈曲部PB)を対称軸として鏡面対称にすることが望ましい。このマルチドメイン構造により、2つのドメインで異なる回転方向に液晶分子がツイスト駆動され、中間調もしくは白表示時の視野角特性(カラーシフト)が改善できる。
このマルチドメイン構造を有する液晶パネルの画質を評価したところ、確かに視野角特性が改善されているが、マルチドメイン化による新たな不具合が発見されている。白レベルを表示した状態(電圧印加状態)でパネルに指で押すなどの外部圧力を加えると、画素の特に屈曲部PBに対応する領域で液晶分子が電界方向と逆に回転してしまう、いわゆるリバースツイスト現象が発生し、ムラとして見えてしまう。この面押しムラは自然放置では元に戻ることがないため、画質を損なっており解決すべき課題となっている。図1−2に示すように、屈曲部PBでは液晶分子はどちらの方向にも回転しうるので、パネル表面に圧力を加えると屈曲部PBを起点にしてリバースツイストによるムラが発生してしまう。
図2は、上述したリバースツイストに対処する本発明の原理を示した模式図である。(A)は正常な表示状態を表しており、マルチドメイン構造の画素の上半分の領域PWUは、横方向電界により液晶分子は矢印で示した様に反時計方向にツイスト配向している。一方下半分の領域PWDでは、液晶は矢印で示した様に時計方向にツイスト配向している。
この状態で上側延長部PWUと下側延長部PWDの間の屈曲部PBに縦方向応力が加わると、(B)に示した様に応力の加わった屈曲部から上側の領域PWUに向かってリバースツイストが発生し、液晶分子が(A)に示した正常な状態から時計方向に180°回転してしまう。このリバースツイスト状態は横方向電界によってクリップされ安定である。(B)で示したリバースツイストの発生した領域は、(A)に示した正常な領域から液晶の透過率が変化するため、表示上に局所的な輝度ムラが生じる。
ここで(C)に示すように本発明に従って、通常の表示のために印加される表示用横方向電界に比べて、低電圧化された修復用横方向電界を液晶に加える。この修復用横方向電界の印加時間は限られた時間幅で表示状態に影響を与えないように設定される。修復用横方向電界は表示用横方向電界よりも電界強度が弱いため、リバースツイスト状態で安定していた液晶分子は不安定化し、瞬時に(A)に示した正常なツイスト状態に復帰する。このように横方向電界を瞬間的に下げることでリバースツイスト状態でクリップされた液晶分子が開放され、180°回転して(A)に示した元の正常な状態に戻る。これにより、リバースツイストで生じた輝度の変化は修復される。このような電気的修復は、表示状態に実質的な変化を与えることなく瞬時に行われるので、観察者は修復が行われたことを認識することがない。
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる液晶表示装置は、基本的に一対の基板と、その間隙に保持された液晶3と、片方の基板に形成された電極Pと、電極Pを介して基板の面方向に沿った横方向電界を液晶3に印加する駆動手段とを有し、横方向電界により液晶3の配向状態を制御して表示を行う。液晶3は、基板の厚み方向に沿って外部から加わる縦方向応力に応じて、配向状態が変化する性質を有する。本発明の特徴事項として、駆動手段は、表示中限られた時間幅で、表示のために通常印加する表示用横方向電界より低い修復用横方向電界を液晶3に印加して、液晶の配向状態に生じた変化を元に戻す。
図3は本発明にかかる液晶表示装置の実施形態を示す模式図である。(A)に示した実施形態では、駆動手段は外部から供給され且高い白レベルと低い黒レベルとの間で変化する映像信号に応じて表示用横方向電界を液晶に印加する一方、限られた時間幅で白レベルより低い黒レベルに固定された修復用横方向電界を液晶に印加している。具体的には、駆動手段は、フレームFの周期で表示用横方向電界を更新して、フレーム周期で表示を切換える一方、フレームFの周期以下に限られた時間幅Bで黒レベルに固定された修復用横方向電界を随時フレーム周期に挿入している。
(B)も基本的に(A)に示した実施形態と同様であるが、修復用横方向電界として黒レベルに固定されたものに代え、これによりも高いグレーレベルに固定された修復用横方向電界を使っている。いずれにしても、通常の表示のために印加する表示用横方向電界が白レベルまで変化するのに対し、修復用横方向電界はこの白レベルよりも低いグレーレベルもしくは灰色レベルに固定されており、外部応力で生じた配向状態の変化(リバースツイスト)を元の正常なツイスト配向に戻すことができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態では横方向電界方式で駆動する液晶表示装置において、パネルを強く押した場合に発生する表示斑を、全面黒色または全面グレーの画面をフレーム間に挿入することで、取り除くようにしている。本実施形態は、黒レベルの電圧もしくはリバースツイストが消滅する低いグレーレベルの横方向電界を非常に短い時間で挿入する方式である。例えばフレーム周波数が120Hzでフレーム周期が16.7msとなる場合、黒レベルもしくはグレーレベルの固定画面を挿入する時間幅は5ms以下が好ましい。本実施形態では、1フレーム期間よりも短い時間で修復用横方向電界を印加することが好ましく、観察者が認識できないためには5ms以下程度が好ましい。駆動手段は、1回の黒レベルもしくはグレーレベルの固定画面挿入でリバースツイストを完全に取り除く必要はなく、一定期間ごとに繰り返し限られた時間幅で修復用横方向電界を液晶に印加するようにしても良い。繰り返し映像信号電圧の低い固定画像を入れることで、リバースツイストドメインの解消に非常に効果がある。
短い時間で黒レベルもしくはグレーレベルに固定された画面をフレームに挿入する手法は、例えば駆動手段が画面上の走査線Xを全段一斉に選択して、信号線Y側から黒階調もしくはグレー階調の電圧を画面に書き込む方法がある。あるいは走査線Xを線順次走査するタイミングパルスを、通常のフレーム周期に比べて高速転送することで、黒階調もしくはグレー階調の電圧を画面に高速で書き込むことも可能である。
図4は、本発明の他の実施形態を示す模式図である。本実施形態では、駆動手段は外部から供給され且最高レベルと最低レベルとの間で振幅が変化する映像信号に応じて表示用横方向電界を液晶に印加する一方、振幅を縮小した映像信号に応じて修復用横方向電界を液晶に印加している。具体的には、本液晶表示装置の駆動手段は、フレームFごとに表示用横方向電界を更新してフレームFごとに表示を切換える一方、所定のフレームFGで振幅を縮小した修復用横方向電界を液晶に印加している。図示するように、特定のフレームFGで液晶パネルに書き込まれる画像は、通常のフレームFで書き込まれる画像に比べ、低電圧側に圧縮したものとなっている。
図3に示した実施形態では黒やグレーの固定画像を挿入してリバースツイストを解消している。これに対し本実施形態は、実際に表示する画像の電圧値の振幅を下げた画像を表示し、リバーツイストを解消している。先の実施形態のように黒レベルの固定画像を挿入する場合は、観察者にとって残像として残らないように非常に速く挿入する必要があり、駆動手段側に若干の負荷が加わる。これに対し本実施形態ではフレーム周波数を変えることなく、修復用画像を挿入することが可能である。実際に表示する画像の映像信号を低電圧側に圧縮した画像を特定のフレームで表示することで、リバースツイストを緩和することができる。一例として、画像表示に使う最大電圧と表示斑を改善するために必要な電圧との比を予め設定し、表示する画像データにこの設定比Aを掛け算して、画像を低電圧側に圧縮することができる。本実施形態は、映像信号(画像データ)を圧縮(縮小)するのみなので駆動回路側の負荷は軽くなり、数秒に数回程度の挿入動作であれば、表示上大きな問題は生じない。
図5は、本発明にかかる液晶表示装置のさらに別の実施形態を示す模式図であり、図4に示した実施形態の発展例である。本実施形態の液晶表示装置は、透過型の液晶パネルを構成する一方の基板の背後にバックライトが配されており、透過型の液晶に照明光を照射して画面に表示を映し出す構造となっている。特徴事項として、駆動手段は限られた時間幅(図示の例では特定のフレームFG)で修復用横方向電界を液晶に印加するとき生じる表示輝度の低下を補償するため、バックライトから放射される照明光の光量を一時的に上げている。前述したようにリバースツイストを修復するためには、通常の画像ではなく低電圧側に圧縮(縮小)した画像を挿入する必要がある。この修復用画像は通常の画像に比べダイナミックレンジを縮小した分、表示輝度が低下し画面が一瞬暗くなる。この画面の輝度低下を補うため、バックライト側で特定のフレームFGの時のみ、照明を通常レベルから高輝度に切換えている。特定のフレームFGで映像データの振幅値を圧縮して表示する場合、特に暗い場所で画面を観察すると、輝度が一瞬下がってしまうことが見える。本実施形態ではこれを解消するため、輝度のダイナミックレンジが圧縮された画像を表示する特定のフレームFGのときのみ、バックライト輝度を上げることで、画面上に現れる輝度変化がまったく見えないようにすることが可能である。
図6は、映像信号のレベルと横方向電界との関係を示すグラフである。このグラフは映像信号のレベルの指標として、横軸方向に0〜256まで階調を取ってある。一方液晶に印加する横方向電界の指標として縦軸に画面輝度を取ってある。映像信号の階調(映像データ)と画面輝度は、周知のように表示デバイスに適したガンマ曲線に沿って対応付けられている。換言すると、液晶表示装置は与えられたガンマ曲線に従って階調データを液晶駆動電圧(横方向電界)に変換して、液晶パネル側に供給する。映像データ(表示データ)から表示用横方向電界を求める場合には、グラフに示したような通常表示ガンマ曲線を用いる。一方、表示データから修復用横方向電界のレベルを決定する場合には、図示の低電圧側圧縮ガンマ曲線を用いる。通常表示ガンマ曲線と低電圧側圧縮ガンマ曲線を比較すれば明らかなように、修復用横方向電界(修復用液晶駆動電圧)の振幅は、表示用横方向電界(表示用駆動電圧)のレベルに比較して、50%若しくはこれ以下に圧縮されている。
図7は、図5に示した実施形態の全体構成を示す模式的なブロック図である。図示するように、本液晶表示装置は、表示データ供給部31と、切換え部32と、標準ガンマ変換部33と、電圧圧縮ガンマ変換部34と、表示パネル35と、LEDドライバー36とで構成されている。表示データ供給部31は、外部から供給された映像信号を表示データ(階調データ)として切換え部32に供給する。切換え部32は表示データを標準ガンマ変換部33に供給する一方、所定の時間間隔で短時間だけ電圧圧縮ガンマ変換部34に切換える。標準ガンマ変換部33は、表示データを図6に示した通常表示ガンマ曲線に従って液晶駆動電圧に変換し、表示パネル35に変換する。これにより表示パネル35は表示用横方向電界を液晶に印加して表示を行う。一方電圧圧縮ガンマ変換部34は、図6に示した低電圧側圧縮ガンマ曲線に従って、表示データを駆動電圧に変換し、一定間隔で且瞬間的に、低電圧化された駆動電圧を表示パネル35に供給する。このようにして表示パネル35は随時画面に生じる表示斑を取り除くようにしている。なお電圧圧縮ガンマ変換部34は、切換え部32から表示データを受け取ったとき、バックライトのコントロール信号をLEDドライバー36に供給する。バックライトはLEDを光源としている。LEDドライバー36はこのバックライト光源を駆動することで、照明光を表示パネル35に放射している。電圧圧縮ガンマ変換部34は表示パネル35側に低電圧化された液晶駆動電圧を供給するとき、これに同期してコントロール信号をLEDドライバー36に供給し、バックライトから放射する照明光を一時的に高輝度化している。なお本実施形態では、標準ガンマ変換部33は変換に用いる通常表示ガンマ曲線をROMテーブルの形で保持している。また電圧圧縮ガンマ変換部34も変換に用いる低電圧側圧縮ガンマ曲線をROMテーブルの形で保持している。
図8は、図7に示した実施形態の変形例を表している。本変形例では、図7に示した電圧圧縮ガンマ変換部34に代えて、掛け算器34aを用いている。この掛け算器34aは、切換え部32から供給された表示データ(階調データ)に所定の係数Aをかけて、階調データを圧縮している。この圧縮された階調データに応じて液晶駆動電圧を生成し、表示パネル35側に供給している。掛け算器34aで設定する定数Aは1未満に設定されており、例えば0.5に設定される。この様にすれば表示用横方向電界の大きさに比べ、修復用横方向電界の大きさを半減するとこができる。
以上に説明した種々の実施形態につき実際にサンプルを作成して表示状態を観察した。表示状態は50000lxの明所と100lxの暗所で観察した。何も対策を施さない比較サンプルの場合、外部応力によって生じた表示斑は明所でも暗所でもはっきりと視認され、消えることがない。一方短時間だけ黒レベルの固定画像を挿入するサンプルでは、明所で観察する限り表示斑が消えており、顕著な改善が確認できた。但し暗所では表示斑が消えるものの、挿入した黒レベルの固定画像が若干視認される。またグレーレベルの固定画像を挿入したサンプルも、明所及び暗所共に表示斑が消えている。但し暗所で観察した場合挿入したグレーレベルの固定画像が若干見える。圧縮画像を特定のフレームに挿入したサンプルは、明所と暗所の両方で表示斑が消えているが、暗所では挿入した低輝度画像がわずかに視認された。最後に圧縮画像の挿入とバックライトの輝度制御を組み合わせたサンプルでは、明所と暗所で共に表示斑が消えていると共に、暗所でも挿入した圧縮画像がまったく視認されなかった。
図9は、本発明にかかる液晶表示装置の応用例となる実施形態を表しており、タッチパネルと表示パネルを組み合わせた構成である。本実施形態にかかる液晶表示装置は、表示パネル35を構成する一対の基板に重ねて操作入力用のタッチパネルが配されている。操作入力の際タッチパネルに随時加えられる縦方向応力に応じて、液晶の配向状態が変化し、表示斑が生じる。本実施形態ではこの様なタッチパネル(TP)の入力操作によって生じる表示斑を修復可能なように構成されている。基本的には、図8に示した先の実施形態と同様であるが、異なる点はタッチパネル位置検出回路37が切換え部32に接続されていることである。タッチパネル位置検出回路37はタッチパネル(図示せず)に接続しており、タッチパネルに対して操作入力が行われたときにタッチされた部分の位置情報を含む検出信号を出力する。駆動手段の一部を構成する切換え部32は、タッチパネル位置検出回路37から出力された検出信号に応じて標準ガンマ変換部33から電圧圧縮ガンマ変換部34に切換える。これにより表示データ供給部31から供給された表示データは電圧圧縮ガンマ変換部34に入力され、表示斑修復用の圧縮駆動電圧が表示パネル35側に供給されると共に、バックライト光源となるLEDドライバー36側にコントロール信号が送られる。この様にして本実施形態は、タッチパネルに対して入力操作が行われたときに合わせて、修復用の液晶駆動電圧を表示パネル35に供給している。従ってタッチパネルの入力操作で表示パネル35側に表示斑が生じても、直ちに修復用横方向電界で表示斑が取り除かれる。
タッチパネル位置検出回路37は、タッチパネルに対する操作入力に応じて縦方向応力が加わる領域を示す位置情報を含む検出信号を出力している。発展形態ではこの位置情報を含む検出信号(位置信号)を利用して、より高度の動作が可能である。即ち切換え部32は、タッチパネル位置検出回路37から出力される位置信号に応じて縦方向応力が加わる領域の液晶に、修復用横方向電界を印加することが可能である。具体的には、切換え部32は位置信号で特定される領域に割り当てる表示データを特定し、且特定した表示データのみを電圧圧縮ガンマ変換部34側に供給している。かかる構成で、表示パネル35の縦方向応力が加わる領域のみに、電圧圧縮された液晶駆動電圧を印加することができる。
好ましくはタッチパネルは、操作入力を検出するセンサを備えており、このセンサは表示パネル35を構成する一対の基板の片方に形成されている。即ちタッチパネルは表示パネルの内部に一体的に組み込まれている。この場合には操作入力用の縦方向応力が直接表示パネル35の基板に加わるため、表示斑が頻繁に生じる可能性がある。本発明はタッチパネルに対して操作入力が行われるたびに、これを検出して自動的に修復用の液晶駆動電圧を表示パネル35に供給しているため、操作入力で生じた表示斑は直ちに取り除かれ、画品位を損なうことがない。
図10は、本発明にかかる液晶表示装置の発展的な実施形態を示すブロック図である。基本的には図7に示した先の実施形態と類似しているが、異なる点は表示データ供給部31と切換え部32の間にフレームメモリ38を挿入したことである。このフレームメモリ38は逐次表示データをフレーム単位で展開可能な容量を有している。切換え部32は、フレームメモリ38に展開された表示データに基づいて標準ガンマ変換部33と電圧圧縮ガンマ変換部34の切換を行っている。駆動手段の一部を構成するこの切換え部32は、通常の表示動作では標準ガンマ変換部33を選択している。この場合駆動手段の一部を構成する標準ガンマ変換部33は、表示データ供給部31側から供給され且最高レベルと最低レベルとの間に分布する表示データ(映像データ)を標準ガンマ曲線に従って通常の表示用駆動電圧に変換し、表示パネル35に供給している。
この表示動作中、切換え部32は常時フレームメモリ38にフレーム単位で展開された表示データの分布をモニタしている。本実施形態の特徴事項として、切換え部32は、所定レベルを超える映像データの割合が所定値を超えたとき、電圧圧縮ガンマ変換部34を選択する。これにより電圧圧縮ガンマ変換部34は修復用の液晶駆動電圧を表示パネル35に供給する。例えば最高の255階調から最低の0階調の間に分布する表示データの場合、画素単位で見て200階調を超える画素数が全体の半数を超えたとき、切換え部32は標準ガンマ変換部33から電圧圧縮ガンマ変換部34に切換えるようにしている。あるいは切換え部32は、200階調を超える領域が1cm四方のサイズを超えた場合に、標準ガンマ変換部33から電圧圧縮ガンマ変換部34に切換えるようにしても良い。一般に、リバースツイストによる表示斑は、表示データの階調が高いほど(即ち横方向電界が大きいほど)発生しやすい。この点に着目して本実施形態は、表示データをフレーム単位でモニタし、高階調の表示データが含まれる場合に、電圧圧縮ガンマ変換部34を選択して、所定の表示斑修復データを生成する。
場合によっては、修復用横方向電界を表示パネル35の全体にわたって印加するのではなく、高い階調の表示領域のみに選択的に修復用駆動電圧を印加するようにしても良い。切換え部32はフレームメモリ38をモニタすることにより、高い階調領域を検出することができる。切換え部32はこの検出結果に基づいて標準ガンマ変換部33を電圧圧縮ガンマ変換部34側に切換えるようにしても良い。
図11は、本発明にかかる液晶表示装置の具体的な構成例を示す模式的な分解斜視図である。本液晶表示装置は、液晶パネルとバックライトを重ねた構成となっている。(A)に示すように、本発明にかかる液晶表示装置は、背面からの照明光を受けて画像を表示する透過型の液晶(LCD)パネル54と、液晶パネル54の背面に配され照明光を供給する面光源とを備えている。この面光源は、平面部及び端面部を有する導光板52と、導光板52の端面部に対向配置された複数の点光源とを備えている。本例の場合、この複数の点光源は一対の白色LEDからなる。この白色LEDはフレキシブル回路基板(FPC)に搭載された状態で、矩形の導光板52の角部に互いに近接配置されている。導光板52は、その端面部から入射した一対の白色LEDからの光を混合して、平面部から照明光として出射し、LCDパネル54を背後から照明する。なお図示しないが白色LEDはFPCを介して電源に接続されている。
LCDパネル54と導光板52との間には拡散シート55及びレンズシート56が介在している。拡散シート55は導光板52から出射した照明光を拡散して、照明光の均一性をより高めるものである。レンズシート56にはマイクロレンズが無数に形成されており、拡散光をLCDパネル側に集光し光利用効率を上げる機能をもっている。
導光板52は樹脂フレーム57に組み込まれている。樹脂フレーム57の底には反射シート58が配されている。反射シート58は導光板52からもれた光をLCDパネル54側に反射して、光源光の有効活用を図るものである。
液晶パネル54とそのバックライトを構成する白色LEDは共にFPCを介して駆動手段(図示せず)に接続されている。この駆動手段は前述したように本発明に従って、液晶パネル54側に修復用の液晶駆動電圧を随時印加する一方、これに合わせて白色LEDの発光輝度を一時的に高めるようにしている。
(B)は、本発明にかかる液晶表示装置の他の例を示す模式的な分解斜視図である。基本的には(A)に示した液晶表示装置と同様であり、理解を容易にするため対応する部分には対応する参照番号を付してある。異なる点は、複数の点光源として3個の白色LEDを用いていることである。この3個の白色LEDはFPCに搭載されて、樹脂フレーム57に組み込まれる。3個の白色LEDは導光板52の短辺側の端面に等間隔で対向配置されている。液晶パネル54とそのバックライトを構成する白色LEDは共にFPCを介して駆動手段(図示せず)に接続されている。この駆動手段は前述したように本発明に従って、液晶パネル54側に修復用の液晶駆動電圧を随時印加する一方、これに合わせて白色LEDの発光輝度を一時的に高めるようにしている。
図12は、液晶パネルの具体的な構成例を示す模式的な平面図である。本表示パネル100は、ガラスなどからなる絶縁基板101の上に集積形成されている。絶縁基板101の中央には表示領域102が形成されており、これを囲む様に周辺の回路部も一体的に形成されている。矩形の絶縁基板101の上辺には接続端子が形成されており、フレキシブルプリントケーブル(FPC)111を介して、電子機器本体側(セット側)と接続する様になっている。FPC111は複数の配線が平面的に配列した単層構造のフラットケーブルとなっている。
表示領域102は行状のゲートラインG1〜Gmと列状の信号ラインS1〜Snが互いに交差配置したマトリクス構成となっている。各ゲートラインGと信号ラインSの交差部には画素が形成されている。本実施形態では、各画素は液晶素子LC、補助容量CS及び薄膜トランジスタTFTで構成されている。液晶素子LCは画素電極とこれに対向するコモン電極(COM)と両者の間の横方向電界で駆動する液晶(電気光学物質)とで構成されている。TFTのゲート電極はゲートラインGに接続し、ソース電極は信号ラインSに接続し、ドレイン電極は液晶素子LCの画素電極に接続している。補助容量CSはTFTのドレイン電極と補助容量ラインとの間に接続されている。TFTはゲートラインGから供給される選択パルスで導通し、信号ラインSから供給される信号電圧を対応する液晶素子LCの画素電極に書き込む。補助容量CSは一フレームもしくは一フィールドの間、信号電圧を保持しておく。
液晶素子LCは一般に交流駆動される。すなわち、信号ラインSを介して液晶素子LCに書き込まれる信号電圧は周期的に極性が反転する。これに合わせて、液晶素子LCのコモン電極COMに印加するコモン電圧VCOMも周期的に極性反転する必要がある。ここで、液晶素子LCやこれをスイッチング駆動するTFTには、極性に関し非対称性がある。この為、画素電極側とコモン電極側で中心レベルを合わせておくと、極性に関する非対称性が表われて、焼付きなど画品位の劣化が生じる。この対策として、信号電圧に対しコモン電圧を所定電圧分だけオフセットし、極性に関する非対称性を打ち消すことが行われている。尚、補助容量CSも、液晶素子LCの交流駆動に合わせて、交流動作させる必要がある。この為、各補助容量CSに共通接続された補助容量ラインに、同じく所定の周期で極性反転する電圧を印加する必要がある。
上述した表示領域102を囲む上下左右四辺に周辺の回路部が集積形成されている。本実施形態の場合、この周辺回路部は、垂直ドライバ103、水平ドライバ104、COMドライバ105、CSドライバ106、DC/DCコンバータ107、DC/DCコンバータ107a、レベルシフタ(L/S)を含むインターフェース108、タイミングジェネレータ109、アナログ電圧ジェネレータ110などを含んでいる。但し本発明はこの構成に限られるものではなく、表示パネル(システムディスプレイ)100の仕様に応じて適宜必要な回路が追加される一方、不必要な回路は削除される。例えば、場合により信号電圧とは別に完全な白表示や完全な黒表示に使われる信号電圧レベルを生成するドライバなどが組み込まれることもある。
垂直ドライバ103は各ゲートラインG1〜Gmに接続され、線順次で選択パルスを供給する。水平ドライバ104は上下一対形成されており、各信号ラインS1〜Snの両端に接続して、両側から同時に所定の信号電圧を供給している。尚この信号電圧はFPC111を介してセット側から送られてくる表示データ(画像情報)に応じたものとなっている。
コモンドライバ(COMドライバ)105は、周期的に極性反転するコモン電圧VCOMを各液晶素子LCに共通するコモン電極に印加する。COMドライバ105にはオフセット回路やスタート回路(COMスタータ)が付属している。オフセット回路はコモンドライバ105で生成されるコモン電圧のオフセットレベルを調節する。スタート回路(COMスタータ)はパネルの起動時にオフセット回路を充電してコモン電圧VCOMの印加を速やかに立ち上げる。CSドライバ106は周期的に極性反転する電圧を、各補助容量CSに共通する補助容量ラインに印加する。
DC/DCコンバータ7は、電子機器本体からFPC111を介して供給される一次の電源電圧を、表示パネル100の仕様に応じた二次の電源電圧に変換する。特に、DC/DCコンバータ107は正側の電源電圧VDDの変換に用いられる。これに対し、DC/DCコンバータ107aは負側の電源電圧VSSの変換に用いられる。
L/Sを含むインターフェース108は、FPC111を介してセット側から供給されたクロック信号、同期信号、画像信号などの制御信号を受け入れる。レベルシフタL/Sは、セット側から送られてきた制御信号(外部制御信号)をレベルシフトして、表示装置内部の回路動作仕様に適合した制御信号(内部制御信号)を生成する。タイミングジェネレータ109は、L/Sを含むインターフェース108から送られてきたクロック信号や同期信号を処理して、回路各部のタイミング制御に必要なクロック信号などを生成する。アナログ電圧ジェネレータ110は、あらかじめ階調に応じた複数のレベルのアナログ電圧を、水平ドライバ104に供給する。水平ドライバ104は、電子機器の本体側から送られる画像情報に応じて階調化されたアナログの信号電圧を液晶素子LCに書き込む。
本表示パネル100で例えば修復用の黒レベル固定画像をごく短時間表示領域102に書き込む場合、垂直ドライバ103は限られた時間幅の間だけすべてのゲートラインGを選択状態とする。これにより、表示領域102上のすべての画素トランジスタTFTはオン状態となる。これに合わせて水平ドライバ104は全信号ラインSに一斉に黒レベルの信号電圧を書き込む。これにより表示パネル100は、ごく限られた短時間の間だけ、表示領域102に表示斑修復用の黒レベル画像を書き込むことができる。この場合、表示パネル100に搭載された垂直ドライバ103及び水平ドライバ104は、本発明にかかる駆動手段の一部を構成していることになる。
図13は、液晶パネルとタッチパネルを組み合わせた液晶表示装置の構成例を示す模式図である。液晶表示パネルは、文字情報や静止画や動画等を表示するために用いられている。この液晶表示パネルの表面には、使用者がたとえば指で触れて入力をできるようにするためのタッチパネルが設けられたものがある。図13(A)、(B)はそのようなタイプの液晶表示パネルを用いた電子機器(携帯情報端末)の一例の概略構成を示すもので、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。
同図において、202はLCD(液晶デバイス)フレーム、204はLCDフレーム202上に配置されるLCD(液晶デバイス)、206は次に述べるタッチパネル(208)をLCD204の上方にて稍離間(例えば0.1mm〜1.2mm)して位置した状態で保持するLCDフレーム、208はLCDフレーム206によりLCD204の上方にそれと例えば0.1mm〜1.2mm程度の間隔を置いて配置されたタッチパネル、210はそのLCD204とタッチパネル208との間に設けられた空間である。尚、図13(B)において、Hは人の手、Pは入力用ペン(タッチペン)である。
ところで、LCD204とタッチパネル208との間に空間210を設けるのは、第1に、ユーザーが入力のためにタッチパネル208に加えた圧力によりLCD204に滲みが生じないようにするためである。即ち、LCD204とタッチパネル208とをその間に空間210を設けることなく直接接触させる構造だと、図13(B)に示すように入力用ペンPを用いてタッチパネル208を加圧すると、その圧力がもろにLCD204に加わる。すると、LCD208内の液晶が圧力を受けて加圧点からそのまわりに逃げ、それが強い滲みとなって現れるという現象が生じるのである。
そこで、空間210を設けると、入力用ペンPを用いてタッチパネル208を加圧したときにLCD208に加わる圧力を顕著に軽減することができ、延いては滲みを軽減することができる。これが空間210を設ける理由なのである。
上述したようにタッチパネルと液晶パネルの間に空間210を設けても、押圧力により表示斑が生じる場合もある。そこで本発明では、タッチパネルに対する入力操作を検出し、これに応じて液晶パネル側に表示斑を除去するための修復用駆動電圧を供給している。
最後に図14は、液晶パネルにタッチパネル用のセンサを内蔵した一体型液晶表示装置の一例を示している。一体型の場合、操作入力による縦方向応力が直接液晶に加わるため、本発明の効果が一層顕著なものになる。図14は、液晶パネル300に集積形成された画素の1個分を模式的に表した回路図である。この画素301には液晶セル302と画素トランジスタ303が形成されている。画素トランジスタ303にはデータライン304、画素トランジスタゲート線305が接続している。
この画素301には光センサ307も同時に形成されている。この光センサ307はパネル300に塔設したペンもしくは指を光学的に検出することで、タッチセンサとなっている。光センサ307は外部から入射する光を検出してその光量に応じた電圧を容量308に書き込む。容量308にはソースフォロワ309を介して読み出し用のトランジスタ310が接続している。光センサ307も薄膜トランジスタからなり、そのゲートはゲート制御線311に接続している。また読み出し用トランジスタ310のゲートは読み出し制御線312に接続している。一方読み出し用トランジスタ310の出力端はリードライン313に接続している。光センサ307、容量308、ソースフォロワー309、読み出し用トランジスタ310は、電源ライン314と接地ライン315との間に接続されている。