JP5364832B1 - 光ファイバ融着接続機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転開閉する風防カバー60と同じ軸線上に風防カバーと一体化されている索材巻付部61aがあり、この索材巻付部61aと該索材巻付部61aから離隔して設けられた索材巻掛部5とに巻き掛けられた閉ループ部材2を有し、電動駆動源の駆動力によって閉ループ部材2を回転させることで風防カバーを開閉できる光ファイバ融着接続機を提供する。
【選択図】図8
Description
また、従来の光ファイバ融着接続機(以下、単に融着接続機とも言う)としては、以下のような機能、構成を有するものが広く提供されている(特許文献1)。
(1)光ファイバを2つの照明光源で2方向から照らし、2つのレンズと2つのカメラで、それぞれの方向から光ファイバを2軸で撮像(2軸観察)する。
(2)一対の電極棒の間にある加熱融着部の両側に、融着接続する光ファイバの先端を一対の電極棒間に位置決め配置するためのV溝を有する。このV溝は、加熱融着部を介して、一対の電極棒が配置されている装置本体上面に沿い、かつ一対の電極棒の間隔方向である前後方向に垂直の左右方向両側に設けられている。
光ファイバとしては、光ファイバ心線、光ファイバ素線等の被覆光ファイバを用いることが多い。光ファイバ(被覆光ファイバ)先端の被覆除去された光ファイバガラス部はV溝上に配置され、上方から光ファイバガラス部をV溝に押し付けるためのファイバクランプ部材によってV溝との間に把持される。左右2本の光ファイバに対応して、V溝とファイバクランプ部材との組は2組設けられる。
(3)左右の光ファイバの被覆部分を把持するために、装置本体左右方向に可動の被覆クランプを設けるか、またはファイバホルダを左右に1つずつ装置本体左右方向に可動に配置する。
(4)電極棒間に発生する放電は風に対して敏感であり、わずかな風によっても放電の揺らぎが発生する。そこで融着接続機としては、電極棒、V溝、ファイバクランプ部材、及び、被覆クランプ又はファイバホルダを覆う、開閉可能な風防カバーを設けた構成が提供されている。風防カバーは、電極棒等を覆うことで、風が一対の電極棒の間の放電部に到達しない密閉構造となっている。
(a)被覆クランプ方式:蓋を閉めて単心光ファイバを挟んで把持する。大型の被覆クランプは様々な被覆径の単心光ファイバを把持することが可能である。
また、被覆クランプは、装置(融着接続機)に取り付けられているため、紛失の恐れがない。
(b)ファイバホルダ方式:融着接続機とは別体のファイバホルダを融着接続機の上に載せる。ファイバホルダは、ベース板と、該ベース板に枢着して開閉可能に設けられた蓋板との間に光ファイバを挟み込んで把持する構成であり、光ファイバを把持した状態で融着接続機に載置される。
ファイバホルダは、被覆除去、切断、融着の各工程で光ファイバの装着が容易である。
しかし、被覆径や心線数に応じて様々な種類のファイバホルダを準備する必要がある。
すなわち、従来の融着接続機を用いた光ファイバの融着接続作業は、まず、風防カバーを開いた状態として、融着接続機に光ファイバを装着する。被覆クランプ方式の融着接続機の場合は、被覆クランプに光ファイバを挟み込む。ファイバホルダ方式の融着接続機の場合は、光ファイバを挟み込んだファイバホルダを融着接続機に載せる。
融着接続機への光ファイバの装着が完了したら風防カバーを閉じ、次いで、融着接続機の接続開始スイッチをオン操作する。これにより、光ファイバを所定の位置に前進させ、電極棒間の放電によって、左右の光ファイバを放電しながら接合し、融着接続する。電極棒間の放電は所定時間行なわれた後、自動で停止し、接続部の検査を行う。融着接続の完了後、風防カバーを開いて光ファイバを取り出す。
光ファイバの融着接続作業は、1日に数百本行なうこともある。このため、融着接続機にあっては、光ファイバの融着接続の作業時間の短縮、作業性向上が求められていた。
第1の発明は、回転軸によって回転開閉する風防カバーを備える融着接続機において、回転軸と同じ軸線上、あるいは風防カバーの回転軸と同じ軸線上に風防カバーと連結固定あるいは風防カバーの一部として形成された索材巻付部があり、さらに離れた別の場所に回転プーリー、非回転プーリーまたは回転歯車である索材巻掛部が1つ以上設置され、前記索材巻付部と前記索材巻掛部とに巻き掛けられた変形可能な索材を含んで閉ループを構成する閉ループ部材を有し、 風防カバーが閉じたことを検知する検知器をさらに備え、風防カバー閉の動作を行なっても検知器が検知できない場合はその後の融着接続動作へ移行せずに警告表示を行なうように構成され、電動駆動源の駆動力によって前記索材に引張力を掛けることで風防カバーを回転させ、前記張力を正方向に掛けることで風防カバー開の動作を実現可能、及び前記張力を逆方向に掛けることで風防カバー閉の動作を実現可能であり、前記閉ループ部材が、その途中に設けられた弾性部材、または索材のその延在方向の一部あるいは索材全体が伸縮可能な弾性材によって伸縮可能、及び/又は、前記索材巻掛部の1以上が、付勢部材によって閉ループ部材に引っ張り力を与える方向に弾性付勢された可動の索材巻掛部であることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第2の発明は、第1の発明の光ファイバ融着接続機において、風防カバー閉の動作を行なっても検知器が検知できない場合は、風防カバー開動作とその後の風防カバー閉動作とで構成されるカバー閉じ補助動作を1サイクル以上実行し、予め設定した回数のカバー閉じ補助動作の完了時あるいは完了前に風防カバーが閉じたことを検知器が検知すれば、その後にカバー閉じ動作を行なうことなく融着接続動作が可能な状態となり、予め設定した回数のカバー閉じ補助動作の実行を完了した後も、風防カバーが閉じたことを検知器が検知できない場合は、その後の融着接続動作へ移行せずに警告表示を行なうことを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第3の発明は、第1又は2の発明の光ファイバ融着接続機において、索材による風防カバーの回転開閉動作に加え、突き上げシャフトで風防カバーにおける索材巻付部から離れた位置を押圧して風防カバーを押し上げることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第4の発明は、第3の発明の光ファイバ融着接続機において、突き上げシャフトが索材に張力を掛ける駆動機構の一部であることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明の光ファイバ融着接続機において、電動駆動源の駆動力によって移動あるいは回転される動力伝達部材に、前記索材あるいは回転可能な索材巻掛部に設けられた動力受け突部を押動して前記索材を送り移動する押動用突部が突設され、動力受け突部及び押動用突部の一方が、互いに離隔する2箇所に設けられた他方の間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置されていることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供する。
第6の発明は、第5の発明の光ファイバ融着接続機において、前記風防カバーの開動作あるいは閉動作の後に、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動あるいは回転して、動力受け突部及び押動用突部の一方を、2箇所の他方の間にて2箇所の他方の両方から離隔した位置に配置し、動力伝達部材を移動することなく、風防カバーを手動で開け閉め可能とすることを特徴とする光ファイバ融着接続機を提供するを提供する。
また、本発明によれば、電動駆動源の駆動力を閉ループ部材を介して風防カバーに伝達して風防カバーを開閉する構成であるため、風防カバーに対する電動駆動源の設置位置の自由度が高く、融着接続機全体の設計自由度を向上できる。
しかも、本発明は、閉ループ部材が、その途中に設けられた弾性部材、または索材のその延在方向の一部あるいは索材全体が伸縮可能な弾性材によって伸縮可能、及び/又は、前記索材巻掛部の1以上が、付勢部材によって閉ループ部材に引っ張り力を与える方向に弾性付勢された可動の索材巻掛部である構成を有する。この構成により本発明は、例えば、風防カバー閉の動作の際の異物の挟み込み、風防カバー開の動作の際の風防カバーへの障害物の当接を生じたときに、電動駆動源の駆動力によって索材を送り移動(索材に張力を作用させる)して風防カバーを回転させる駆動機構の破損を防ぐことができる。また、本発明に係る光ファイバ融着接続機は、駆動機構の駆動によるカバー開あるいはカバー閉の動作中、及び動作を行なっていないときに、作業者が手で直接風防カバーに触れて風防カバーを手動で開け閉めする操作を、駆動機構を破損させることなく行うことが可能である。
図1〜図6はこの融着接続機20の全体構造を説明する図である。
図1、図3〜図6に示す融着接続機20(図中符号20Aを付記する)は、被覆クランプ方式の融着接続機である。図2に示す融着接続機20(図中符号20Bを付記する)は、ファイバホルダ方式の融着接続機である。
図2に示す融着接続機20Bは、被覆クランプ(ファイバホルダ)が可動ステージ22(後述)上に脱着可能に装着される構成となっている点で被覆クランプ方式の融着接続機20Aと異なり、他の構成は融着接続機20Aと共通する。
ここで例示する光ファイバ90としては、光ファイバ心線、光ファイバ素線等の、光ファイバガラス部90a(裸光ファイバ)の外周に合成樹脂製の被覆材90c(コーティング被覆)が被着、一体化された構成の被覆光ファイバを用いる。
融着接続機20Aは、一対の電極棒24の互いに対向する先細りの先端間の放電によって、光ファイバ91、92の先端同士を加熱融着することができる。
図1に示すように、一対の可動ステージ22は、一対の電極棒24の間隔方向に直交する方向に互いに離隔させて設けられている。
図3等に示すように、一対の電極棒24の間隔方向、及び一対の可動ステージ22の間隔方向は、装置上下方向(図1〜図4において上下方向)に対して垂直である。
なお、「装置上下方向」は、電極棒24が配置されている上面21aを上側、該上面21aとは反対の下面側を下側とする装置本体21の上下方向(図1〜図4において上下方向)に一致する方向を指す。
また、図3に示すように、融着接続機20は、装置本体21に前後方向に互いに離隔させて設けられたモニタ装置31及び補強スリーブ加熱器32を有する。
融着接続機20について、モニタ装置31側(図3、図4において左側)を前、補強スリーブ加熱器32側(図3、図4において右側)を後として説明する。図5、図6においては、左側が前、右側が後である。
また、本明細書では、図1〜図4、図7において上側を上、下側を下、図5、図6において紙面手前側を上、紙面奥側を下として説明する。
装置本体21の上部前側には、モニタ装置31を装置本体21に対して回転可能に支持するためのヒンジピン31bが取り付けられている。ヒンジピン31bは、具体的には、装置本体21の前面21b(筐体29の前面)上部から接続機前側に突出する突出部21cに支持されている。
モニタ装置31は、装置本体21にヒンジピン31bを介して取り付けられた基端部31aからヒンジピン31bとは反対の方向へ延在している。このモニタ装置31は、ヒンジピン31bを中心とする回転によって、接続機左右方向の軸線回りに装置本体21に対する向きを変更可能である。モニタ装置31は、装置本体21に対する回転抵抗が、作業者が手で直接触れて装置本体21に対して手動で回転可能、かつ回転力を与えていないときには装置本体21に対して所望向きで静止させることが可能な程度の強さ(大きさ)に調整されている。
また、装置本体21には、各カメラ71a、71bの放電部24a側に配置されたレンズ73a、73bも組み込まれている。各カメラ71a、71bは、放電部24a及びその近傍に配置された光ファイバ90を、装置本体21に設けられたレンズ73a、73bを介して撮像する。
この融着接続機20は、光ファイバ90を2つの撮像用光源72a、72bで2方向から照らし、2つのレンズ73a、73bと2つのカメラ71a、71bとで、それぞれの方向から光ファイバ90を2軸で撮像する2軸観察を実現している。
図4に示すように、この融着接続機20は、風防カバー60を閉じたときに、風防カバー60内側の撮像用光源72aと第2カメラ71bとが放電部24aを介して対向配置され、撮像用光源72bと第1カメラ71aとが放電部24aを介して対向配置される。
なお、撮像用光源72a、72bは、少なくとも、カメラ71で光ファイバを撮像する際に点灯すれば良い。このため、撮像用光源72a、72bは、例えば、カメラ71による光ファイバの撮像時のみ点灯し、それ以外は消灯しておくことも可能である。
補強スリーブ加熱器32は、光ファイバ91、92の融着接続及び接続部検査の完了後に、光ファイバ91、92同士の融着接続部に外挿した熱収縮性の補強スリーブを加熱収縮して光ファイバ91、92に対して固定する装置である。
モニタ装置31は、装置本体21に対して前面21bに沿う向きとすることが好ましい。モニタ装置31は、装置本体21に対して前面21bに沿う向きとしたときに、表示面31cとは反対側の背面が装置本体前面21bに対面配置される。モニタ装置31は、装置本体21に対して前面21bに沿う向きとすることで、作業者が融着接続機20前側から表示面31cを視認することを容易にする。
可動ステージ22は、装置本体21の筐体29内に組み込まれた図示略の動力源(ステージ用動力源)の駆動力によって、装置本体21に対して左右方向に移動可能となっている。すなわち、可動ステージ22は、ステージ用動力源の駆動によって、放電部24aに向かって進退動される。
なお、ステージ用動力源としては、電磁力によって駆動して動力を発生するものが好ましく、例えば電動モータ、電磁石、ソレノイド等を好適に採用できる。
図6に示すように、クランプ上部材52は、クランプ下部材51の装置後側(接続機後側)の端部に設けられた枢軸53を介してクランプ下部材51に回転可能に取り付けられている。
但し、上部材保持手段としては、手動でクランプ上部材52をクランプ下部材51に閉じるだけでクランプ上部材52の保持状態を実現でき、かつ手動で保持を解除できる構成のものが採用される。融着接続機20Aの被覆クランプ50は、クランプ上部材52のクランプ下部材51に対する開閉を、作業者が直接手指でクランプ上部材52を操作して手動で行える構成となっている。上部材保持手段としては、クランプ上部材52の金属部を磁気吸着する永久磁石に限定されず、例えば、手動で係脱操作可能な係合爪を利用したものなども採用可能である。上部材保持手段としては、融着接続機の被覆クランプについて従来周知のものを採用できる。
被覆クランプ50は、融着接続機20Aに光ファイバ90を装着するためのファイバ装着部として機能する。
光ファイバ90の被覆クランプ50(具体的にはクランプ下部材51)から放電部24a側に突出させた部分を、以下、突出部90bとも言う。
左右両側の溝形成基板23は、被覆クランプ50に把持固定して融着接続機20Aに装着した一対の光ファイバ91、92先端(具体的には光ファイバガラス部90a先端)を、位置決め溝23aによって、接続機左右方向の同一直線(仮想直線)に高精度に位置合わせする機能を果たす。
溝形成基板23の位置決め溝23aは、装置本体21上に固定して設けられた溝形成基板23の上面23b(基板上面)に、接続機左右方向に沿って延在形成されている。
光ファイバの軸調心機構を持つ装置(融着接続機)においては、左右各々の溝形成基板23を左右の光ファイバ軸調心機構の上にそれぞれ固定する。一方、光ファイバの軸調心機構を持たない融着接続機の場合は、溝形成基板23を装置本体21の上面21aに直接固定した構成を採用できる。
図示例の電動駆動源9は、具体的には電動モータである。
また、図中、接続機左右方向右側(接続機前側から見て右側)の回転軸61に符号61a、左側の回転軸61に符号61bを付記している。
風防カバー60は、カバー本体62の断面開口側(図8、図18(a)において下側)の両端部(断面両端部)の片方を、回転軸61を介して装置本体21に取り付けて、装置本体21に対して回転可能に設けられている。
また、風防カバー60は、その長手方向を接続機左右方向に揃えて装置本体21上に設けられている。
また、風防カバー60を装置本体21に対して閉じたときに、可動ステージ22は、その上側全体が風防カバー60によって覆われる。
装置本体21に対して閉じた風防カバー60は、電極棒24とともに電極棒24間の放電部24aをも覆い、風防カバー60外側の風が光ファイバ90同士の融着接続に影響を与えることを防ぐ。
風防カバー60は、装置本体21に対して閉じたときに、被覆クランプ50に把持固定された光ファイバ90の装置本体上面21a上に配置された部分の一部をファイバ挿通用切り欠き部67に収容できる。風防カバー60は、光ファイバ90の一部をファイバ挿通用切り欠き部67に収容することで、光ファイバ90を端板部63a、63bと装置本体上面21aとの間に強く挟み込んで傷めることを回避できる。
風防カバー60は、装置本体21に対して閉じたときに、一対の側板部65a、65bが、電極棒24、被覆クランプ50、溝形成基板23、可動ステージ22(図示略)を介して接続機前後方向両側に配置される。
この融着接続機20Aは、被覆クランプ50への光ファイバ91、92の把持固定が完了した後、カバー閉じスイッチ31dが押し込み操作によってオンされることで、電動駆動源9(図3、図8、図9等参照)を駆動して、開放状態の風防カバー60を装置本体21に対して閉じるカバー閉動作(風防カバー閉動作)を行なう。そして、この融着接続機20Aは、風防カバー60が装置本体21に対して閉じたことをカバー閉検知器33(図6参照)が検知したときに、融着接続動作を自動で開始する構成となっている。
また、融着接続機におけるカバー閉じスイッチ31dの設置場所は特には限定は無く、例えば、カバー閉じスイッチ31dを装置本体21に設けた構成も採用可能である。
図6に示すように、ファイバクランプ部材25は、左右両側の溝形成基板23に対応させて、風防カバー60の長手方向の2箇所に設けられている。なお、図3、図4、図6以外の図においては、ファイバクランプ部材25の図示を省略している。
シャフト部25cの後端部は、風防カバー60の天板部64(具体的には平板部64a)内面に固定されたクランプ支持部材26aによって支持されている。シャフト部25cは、クランプ支持部材26aから風防カバー60の開口部側に向かって突出状態に設けられている。しかも、シャフト部25cは、クランプ支持部材26aに、風防カバー60の開口部側に向かって進退方向に所定の可動範囲を確保して支持されている。
また、ファイバクランプ部材25は、押圧片25aとクランプ支持部材26aとの間に介装されたスプリング26bによって、クランプ支持部材26aに対して風防カバー60の開口部側へ離隔する方向に弾性付勢されている。図示例のスプリング26bは具体的にはコイルスプリングであり、ファイバクランプ部材25のシャフト部25cに外挿されている。
融着接続機20Aは、カバー閉動作の完了後、可動ステージ22をファイバ装着時位置から前進させて、光ファイバ90先端(光ファイバガラス部90a先端)を所定位置に前進させる。そして、融着接続機20Aは、電極棒24間の放電によって、左右の光ファイバを放電しながら接合し、融着接続する。電極棒24間の放電は所定時間行なわれた後、自動で停止する。融着接続機20Aは、電極棒24間の放電停止後、接続部の検査を行う。融着接続機20Aは、融着接続の完了後、電動駆動源9を駆動して、風防カバー60を開くカバー開動作(風防カバー開動作)を自動で行なう。
風防カバー60は、このカバー開動作の実行まで、カバー閉じスイッチ31dのオン操作によるカバー閉動作の完了から閉じた状態(閉状態)のままになっている。
融着接続機20Aは、接続部検査の完了後、可動ステージ22をファイバ装着時位置に自動で復帰させる。
図7に示すように、ファイバホルダ40は、ベース板41と、該ベース板41に枢着して開閉可能に設けられた蓋板42との間に光ファイバ90を挟み込んで把持固定する構成となっている。蓋板42は、ベース板41のその厚み方向片側の面であるベース板上面41aに対して開閉可能である。蓋板42は、長方形板状のベース板41の幅方向片端に、ベース板41長手方向に沿って設けられた枢軸43を介してベース板41に枢着されている。
ファイバホルダ40は、ベース板41を、可動ステージ22に設けられた図示略のホルダ位置決め手段によって可動ステージ22上の所定位置に位置決めして載置することで、可動ステージ22上に設けられる。ファイバホルダ40は、可動ステージ22に対して昇降によって脱着できる。
図示例のファイバホルダ40は、ファイバ収容溝41dに配置された単心の光ファイバ90を、ベース板41と蓋板42との間に把持固定する。
カバー閉じスイッチ31dをオン操作した後の融着接続機20の動作は、被覆クランプ方式の融着接続機20Aと同様であるので、説明を省略する。
図8〜図12、図18(a)、(b)は風防カバー60を閉じた状態(閉状態)、図13〜図17、図20(a)、(b)は風防カバー60を開いた状態(全開状態)を示す。
図8、図18(a)、(b)、図20(a)、(b)等に示すように、カバー開閉機構1(カバー開閉機構の第1例)は、電動駆動源9と、電動駆動源9の駆動力によって昇降される動力伝達部材7と、電動駆動源9の駆動力を動力伝達部材7から風防カバー60へ伝達する閉ループ部材2とを有する。
索材3(巻装体)としては、例えば金属ワイヤ、合成繊維及び/又は天然繊維によって構成された糸あるいは紐等の線材を採用できる。また、索材3としては、線材に限定されず、ベルト等の帯状材も採用可能である。
プーリー5は、装置本体21の筐体29に対して、図示略の支持部材によって、風防カバー60の回転軸61aと概ね平行な回転軸線を以て回転自在に軸支されている。
図8、図18(a)、(b)〜図20(a)、(b)等において、閉ループ部材2の一対の部材間張設部2A、2Bは上下方向に延在している。
一対の部材間張設部2A、2Bの他方である非係合側張設部2Bは、その全体が索材3によって構成されている。風防カバー60の回転軸61a及びプーリー5には閉ループ部材2のうち索材3のみが巻き掛けられている。また、索材3の両端は係合側張設部2Aに位置する。
図49は、図18(a)、(b)に示す状態(後述のカバー閉待機状態)における索材固定部60aの位置を示す。図18(a)、(b)に示す状態においては、図49に示すように、索材3の索材固定部60aは、索材3における風防カバー60の回転軸61a外周に巻き掛けられた部分の係合側張設部2A側の端部を構成する。
既述のように、風防カバー60の一対の側板部65a、65bは、風防カバー60を装置本体21に閉じたときに接続機前後方向に互いに離隔して配置される。風防カバー60を装置本体21に閉じたときに前後方向に互いに離隔して配置される側板部65a、65bのうち、前側の側板部65aを、以下、前側板部、後側の側板部65bを、以下、後側板部とも言う。図8、図9等に示すように、回転軸61a、61bは、具体的には、風防カバー60の前側板部65aの天板部64とは反対側の端部に一体化され、接続機左右方向に延在形成されている。また、回転軸61a、61bは、風防カバー60の前側板部65aの長手方向(接続機左右方向)両端部に一体化されている。風防カバー60の後側板部65aの天板部64とは反対側の端は、回転軸61a、61bを中心とする風防カバー60の回転によって装置本体上面21aに対して接離する。
図8、図11、図18(a)、(b)等に示すように、閉ループ部材2の索材3は、風防カバー60の前側板部65aに形成された索材挿通孔65cに通して回転軸61aに巻き掛けられている。風防カバー60の索材挿通孔65cは、前側板部65aにおける回転軸61aの周面近傍に、前側板部65aをその厚み方向に貫通して形成されている。
図示例の索材挿通孔65cは、索材3を通すことのみならず、索材3の、回転軸61aに対するその中心軸線方向(接続機左右方向)の位置ずれを規制する役割も果たす。但し、索材挿通孔65cの形状及びサイズは適宜設計変更可能である。例えば、回転軸61aとして、その周面に索材3を収容する溝(索材収容溝)が周設されているものを採用した場合には、索材収容溝によって回転軸61a軸線方向における索材3の位置を安定させることができる。このため、索材挿通孔65cとしては接続機左右方向への索材3の位置ずれを規制するサイズのものである必要は無い。
動力伝達部材7は、電動モータ9の回転駆動によって昇降可能となっている。動力伝達部材7は、装置本体21の筐体29内に固定して上下方向に延在配置されたガイドシャフト8に案内されながら、直線移動によって昇降する。
カバー開閉機構1の駆動機構1aは、電動モータ9と、該電動モータ9の回転駆動によって昇降動される動力伝達部材7と、この動力伝達部材7に突設された押動用用突部11(後述)とを有している。
既述のように、動力伝達部材7は、その昇降がガイドシャフト8に沿った直線移動になっている。閉ループ部材2の一対の部材間張設部2A、2Bは、ガイドシャフト8に沿って延在している。電動モータ9の回転駆動による動力伝達部材7の移動方向は、部材間張設部2A、2Bの延在方向に一致している。
動力伝達部材7の押動用突部11は、その突端からラックギア7b側へ窪む切欠凹部11cに引張コイルばね6(弾性部材)のその軸線方向の一部を収容して、閉ループ部材2の係合側張設部2A(図18等参照)の一対の動力受け部材4a、4b間に配置されている。押動用突部11は、係合側張設部2Aに対するその延在方向に沿う方向への動力伝達部材7の相対移動により、切欠凹部11c内側の引張コイルばね6の外周に沿って移動する。
図18(a)、(b)〜図20(a)、(b)に示すように、融着接続機20のカバー開動作は、電動モータ9の正回転駆動によって動力伝達部材7を上昇させることで実現される。カバー開動作は、電動モータ9の正回転駆動によって動力伝達部材7を上昇させることで、引張コイルばね6上側の動力受け部材4a(以下、上側受け部材とも言う)をその下方から当接した押動用突部11によって押し上げ、係合側張設部2Aを上側受け部材4aとともに送り移動する。
前記引っ張り力は、閉ループ部材2のうち、上側受け部材4aから、引張コイルばね6及びその下側の動力受け部材4b(以下、下側受け部材とも言う)を介して索材固定部60aまでの区間(以下、カバー開時引張り区間とも言う)によって、索材固定部60aに伝達される。回転軸61aには、前記送り移動によってカバー開時引張り区間に与えられた張力が、風防カバー60を開方向に回転させる駆動力として作用する。
その結果、閉ループ部材2全体の回転に伴い、索材3が固定されている回転軸61aとともに風防カバー60を回転させ、図20(a)、(b)に示すように装置本体21に対して開いた状態(開状態)とする。
図49において、索材固定部60aは、カバー開動作の進行に伴う風防カバー60の回転軸61aの回転によって、係合側張設部2Aとは反対の方向へ移動され、カバー開動作が完了したときには非係合側張設部2B近傍に配置される。
閉状態とした風防カバー60は、マグネット12a、12bがマグネットキャッチ13a、13bを吸引することで、振動等によって不用意に開放されないようになっている。
突き上げシャフト14は、頭部14aと、この頭部14aから延出するシャフト部14bとを有する。突き上げシャフト14は、筐体29に固定して装置本体21上部に組み込まれている上部支持部材21dに昇降自在に支持されている。突き上げシャフト14は、上部支持部材21dを上下方向に貫通するシャフト収容孔21eにシャフト部14bを昇降自在に挿入し、頭部14aを上部支持部材21d上に配置して、上部支持部材21dに設けられている。
突き上げシャフト14の頭部14aは、シャフト部14b長手方向に垂直の方向のサイズが、シャフト収容孔21e断面に比べて大きいため、シャフト収容孔21eに入り込まない。突き上げシャフト14は、頭部14aが上部支持部材21dにその上方から当接する位置が、上部支持部材21dに対する下降限界位置となっている。
したがって、突き上げシャフト14のシャフト部14bは、突き上げシャフト14が上部支持部材21dに対する下降限界位置にあるとき、シャフト収容孔21eから下方へ突出する。
なお、カバー開閉機構1は、図22(a)、(b)、図23(a)、(b)に示すカバー閉動作の完了後に、図18(a)、(b)に示す状態となる。
風防カバー60及びカバー開閉機構1について、図18(a)、(b)に示す状態を、以下、カバー閉待機状態とも言う。
風防カバー60及びカバー開閉機構1は、融着接続機20の電源スイッチをオン状態からオフにして融着接続機20を動作待機初期状態としたときにもカバー閉待機状態となる。
図18(a)、(b)〜図20(a)、(b)に示すように、カバー開閉機構1は、カバー閉待機状態からカバー開動作を実行したとき、電動駆動源9の駆動力によって上昇する動力伝達部材7が、突き上げシャフト14のシャフト部14b下端に当接して、突き上げシャフト14を上方へ押し上げる。その結果、風防カバー60を突き上げシャフト14によって突き上げて開放する(開く)。
図9、図18(a)、(b)、図19(a)、(b)に示すように、図示例の風防カバー60の内側には、動力伝達部材7よって押し上げられた突き上げシャフト14(具体的にはその頭部14a)が当接されるシャフト突き当て部15が突設されている。このシャフト突き当て部15は、具体的には、風防カバー60の天板部64(具体的には平板部64a)から該風防カバー60の開口部側に向かって突出している。動力伝達部材7よって押し上げられた突き上げシャフト14は、その上端の頭部14aをシャフト突き当て部15に当接させて風防カバー60を突き上げる。
動力伝達部材7の上昇に伴う閉ループ部材2の回転は、突き上げシャフト14による風防カバー60の突き上げと並行して進行し、突き上げシャフト14による突き上げが終了後も継続進行する。カバー開動作は、突き上げシャフト14による突き上げが終了後、電動モータ9の正回転駆動によって風防カバー60を開く動作(後述のカバー開駆動動作)の完了まで、電動駆動源9の駆動力のみによって風防カバー60を回転させて実現される。
カバー開動作において、突き上げシャフト14による風防カバー60の押し上げ(突き上げ)が完了したときには、閉状態の風防カバー60の回転開始時に比べて、風防カバー60にマグネット12a、12bの吸引力が殆どあるいは全く作用しなくなっている。
突き上げシャフト14による風防カバー60の突き上げ完了後は、閉状態の風防カバー60の回転開始時に比べて、マグネット12a、12bの吸引力による風防カバー60の回転抵抗(開方向への回転抵抗)が低下する。突き上げシャフト14による風防カバー60の突き上げ完了後は、閉状態の風防カバー60の回転開始時に比べて、風防カバー60を開方向へ回転させるための電動駆動源9の駆動力が小さくて済む。
電動モータ9の正回転駆動によって風防カバー60を開く動作(以下、カバー開駆動動作とも言う)は、風防カバー60を閉状態から90度を上回る角度まで回転して完了する。この融着接続機20のカバー開動作は、カバー開駆動動作の完了後、風防カバー60がその自重によって更に開くこと(自重開動作)を含む。
図20(a)、(b)に示すように、上側受け部材4aは、カバー開駆動動作の完了後に、風防カバー60が自重開動作によって開くことで上昇し、動力伝達部材7の押動用突部11から上側へ離れる。その結果、カバー開動作が完了したときには、押動用突部11と上側受け部材4aとの間に若干の隙間が確保される。
なお、図示例の押動用突部11の、上下の動力受け部材4a、4bの間隔方向における寸法は、動力受け部材4a、4b間の離隔距離に比べて格段に小さい。
カバー開後突部シフト動作によって、押動用突部11は、下側受け部材4b近傍に下側受け部材4bから若干の隙間を介して接近配置される。
カバー開動作完了後のカバー開後突部シフト動作によって押動用突部11を移動して下側受け部材4b近傍に配置することは、その後のカバー閉動作にて電動駆動源9の駆動開始により速やかに風防カバー60の回転を開始させる点で有利である。
なお、カバー開閉機構1の突き上げシャフト14は、カバー開閉機構1がカバー開待機状態となったときに、上部支持部材21dに対する下降限界位置に配置される。
このカバー閉動作は、図21(a)、(b)に示す状態から、電動モータ9の逆回転駆動によって動力伝達部材7を下降させ(図22(a)、(b)参照)、閉ループ部材2の下側受け部材4bを、該下側受け部材4bにその上方から当接させた押動用突部11によって押し下げる。これにより、下側受け部材4bから引張りコイルばね6を介して索材3に作用する張力(引っ張り力)によって、風防カバー60の回転軸61aを回転させる。その結果、開状態の風防カバー60が閉じ方向に回転する。
融着接続機20は、カバー閉駆動動作の完了後、風防カバー60がその自重で下方へ回転(自重閉動作)することで、図23(a)、(b)に示す閉状態に至る。これにより、カバー開動作は完了する。この融着接続機20のカバー閉動作は、カバー閉駆動動作の完了後の自重閉動作を含む。
図23(a)、(b)に示すように、下側受け部材4bは、カバー閉駆動動作の完了後に、風防カバー60が自重閉動作によって閉じることで、動力伝達部材7の押動用突部11から下側へ離れる。その結果、カバー閉動作が完了したときには、押動用突部11と下側受け部材4bとの間に若干の隙間が確保される。
カバー閉動作完了後のカバー閉後突部シフト動作によって押動用突部11を移動して上側受け部材4a近傍に配置することは、その後のカバー開動作にて電動駆動源9の駆動開始により速やかに風防カバー60の回転を開始させる点で有利である。
ソレノイドの場合、カバー開閉機構1の駆動機構1aとしては、外筒部材に突出量可変に内挿されたプランジャの移動により、動力伝達部材7を昇降させる構成を採ることができる。
融着接続機20は、図18(a)、(b)に示すように風防カバー60が閉じているときに、動力伝達部材7を変位させることなく、作業者が手指で風防カバー60に直接触れて風防カバー60を手動で開閉操作することができる。
また、融着接続機20は、図21(a)、(b)に示すように風防カバー60が開いている(全開状態となっている)ときに、動力伝達部材7を変位させることなく、作業者が手指で風防カバー60に直接触れて風防カバー60を手動で開閉操作することができる。
また、融着接続機20は、図24(a)、(b)に示す状態から手動で風防カバー60を閉じれば図18(a)、(b)に示す状態に復帰する。下側受け部材4bは、図24(a)、(b)に示す位置から図18(a)、(b)に示す位置に下降する。
したがって、融着接続機20は、図18(a)、(b)に示す状態から動力伝達部材7を変位させることなく風防カバー60を手動で開閉することができる。
また、風防カバー60を手動で開閉しても動力伝達部材7が変位しないことは、例えば、風防カバー60の開閉動作を制御するために電動モータ9としてステッピングモータを使用したときに、風防カバー60の開閉動作制御に影響を与えないといった利点もある。
但し、図25(a)、(b)に示すように、上側受け部材4bは、押動用突部11に当接せず、押動用突部11から上方へ離隔距離を確保した位置に配置される。
また、融着接続機20は、図25(a)、(b)に示す状態から手動で風防カバー60を開いたときに図21(a)、(b)に示す状態に復帰する。上側受け部材4aは、図25(a)、(b)に示す位置から図21(a)、(b)に示す位置に上昇する。
したがって、融着接続機20は、図21(a)、(b)に示す状態から動力伝達部材7を変位させることなく風防カバー60を手動で開閉することができる。
また、この構成は、例えば、風防カバー60の開閉動作を制御するために電動モータ9としてステッピングモータを使用したときに、風防カバー60の開閉動作制御に影響を与えないといった利点もある。
融着接続機20は、図18(a)、(b)に示す状態からカバー開動作を行なうとき、何らかの障害(例えば作業者が手で風防カバーを押えている場合など)により風防カバー60が開かない場合に、図26(a)、(b)に示すように、引張コイルばね6が伸びることにより、電動駆動源9が駆動(この実施形態では電動モータの正回転駆動)を継続する。
この融着接続機20は、ステッピングモータの回転量がカバー開駆動動作の完了に達したときに該ステッピングモータ(電動モータ9)の駆動を停止する。また、この融着接続機20は、ステッピングモータの回転量がカバー開駆動動作の完了に達してから予め設定した所定時間が経過後に、電動モータ9を駆動してカバー開後突部シフト動作を行なう。
なお、融着接続機20としては、風防カバーが全開位置に配置されたことを検知するカバー開検知器(カバー開センサ)を設け、このカバー開検知器が風防カバーを検知したときにカバー開後突部シフト動作を開始する構成も採用可能である。
また、例えば、融着接続機20のカバー開駆動動作の開始からカバー開後突部シフト動作の完了まで、何らかの障害によって風防カバー60の開動が妨げられ、この障害がカバー開後突部シフト動作の完了後に取り除かれた場合には、風防カバー60が開かれず、閉じたままとなる。
突き上げシャフト14を有する構成は、風防カバー60のマグネット12a、12b(図15参照)が装置本体21のマグネットキャッチ13a、13bを吸引する吸引力を強く設定(但し、作業者による風防カバー60の手動開放が可能な範囲)しても、閉ループ部材2の引張コイルばね6のばね定数を抑制できる。このため、突き上げシャフト14を有する構成は、閉状態の風防カバー60の手動開放(手動開放操作)を楽に行えるようにすることに有効に寄与する。
ここで、カバー開閉機構として、既述のカバー開閉機構1から突き上げシャフト14を省略した構成を採用した場合について説明する。突き上げシャフト14を有していないカバー開閉機構を採用した融着接続機を、以下、突き上げ無し融着接続機とも言う。
突き上げ無し融着接続機のマグネット12a、12bは、引張コイルばね6の弾性力に比べて吸引力がかなり強いと、カバー開駆動動作を妨げる障害物と同様に作用する。このため、突き上げ無し融着接続機の閉ループ部材2の引張コイルばね6としては、カバー開駆動動作の際にマグネット12a、12bの吸引力によって大きく引き伸ばされることなく、閉状態の風防カバー60の回転を実現できる強さの弾性力を発揮するものが好適である。
突き上げ無し融着接続機は、マグネット12a、12bの吸引力を強くした場合に、これに鑑みて引張コイルばね6もばね定数がより大きいものを採用することで、閉状態の風防カバー60の手動開放に要する力を強くすることとなる。
また、図18(a)等に示すように、図示例の融着接続機20の風防カバー60のシャフト突き当て部15は、風防カバー60の回転軸61aからその半径方向に離隔した位置に設けられている。したがって、突き上げシャフト14によるシャフト突き当て部15の突き上げ力は、閉ループ部材2から風防カバー60の回転軸61aに伝達される回転力に比べて、風防カバー60の回転駆動に有効に寄与する。
このため、融着接続機20にあっては、電動駆動源9として出力の小さい小型のものを使用することが可能である。
また、融着接続機20のカバー開閉機構1は、電動駆動源9の駆動力を閉ループ部材2を介して風防カバー60に伝達して風防カバー60を開閉する構成であるため、風防カバー60に対する電動駆動源9の設置位置の自由度が高く、接続機全体の設計自由度を向上できる。カバー開閉機構1は、例えば、電動駆動源の駆動力を複数のギアのみによって風防カバー60に伝達するギア方式の機構に比べて、接続機における設置スペースの縮小が容易である。このため、融着接続機20は、装置全体の小型化を容易に実現できる。
また、カバー開閉機構1は、例えば、上述のギア方式の機構に比べて、部品点数を少なく抑えることが容易であり、また、ギア方式に比べて組み立ても容易である。
この融着接続機20は、その全体の駆動を制御する制御装置を有する。融着接続機20は、制御装置がカバー閉検知器33から検知信号を取得したとき、制御装置の制御により、融着接続動作に移行する。
ここではカバー閉検知器33として、風防カバー60に取り付けられた磁性体(例えばマグネット12a、12b)を検知する磁気センサを用いている。この磁気センサは、風防カバー60が閉じたことを非接触で検知し(検知状態となる)、風防カバー60が閉じ位置から開方向へ変位していて風防カバー60が閉じた状態になっていないときに無検知状態となる。
カバー閉検知器33としては、例えば、フォトセンサ等の非接触センサや、風防カバーの接離によって風防カバーの開閉を検知するタッチセンサも採用可能である。
また、カバー閉検知器33としては、風防カバーのその回転軸の延長上あるいはその周囲に形成された部分(検知用回転部)の回転角度を計測するエンコーダあるいは角度センサ等も採用可能である。エンコーダ、角度センサといった回転角度計測センサの場合は、風防カバーが閉じ位置に配置されたことの検知の他、風防カバーが全開位置に配置されたことの検知が可能であり、さらに風防カバーが前記全開位置と閉じ位置の間にあることの検知も可能である。
融着接続機20は、カバー閉駆動動作による風防カバー60の回転(閉動)が何らかの障害によって妨げられた後、この障害がカバー閉後突部シフト動作の開始前に取り除かれたとき、風防カバー60が、引張コイルばね6の弾性力によって、全開位置からカバー閉駆動動作と同等あるいはそれ以上の角度まで回転されて、最終的に閉状態となる。
また、例えば、融着接続機20のカバー閉駆動動作の開始からカバー閉後突部シフト動作の完了まで、何らかの障害によって風防カバー60の閉動が妨げられ、この障害がカバー閉後突部シフト動作の完了後に取り除かれた場合には、風防カバー60は閉じられず、開いたままとなる。
融着接続機20は、電動モータ9(ステッピングモータ)の回転量がカバー開駆動動作の完了に達しても、カバー閉検知器33が風防カバー60が閉状態になったことを検知しないときには、異常(閉動作異常)の発生を検知したものとして融着接続動作を開始しない。
カバー閉反復動作は、カバー閉検知器33にて風防カバー60が閉位置になったことが検知されれば終了する。融着接続機20は、カバー閉反復動作の終了後、カバー閉じ補助動作を行なうことなく、融着接続動作へ移行する。
カバー閉反復動作は、カバー閉じ補助動作の完了時に、カバー閉検知器33にて風防カバー60が閉位置になったことが検知されなければ、カバー閉じ補助動作を1サイクル、追加実行する。
カバー閉じ補助動作を予め設定した上限回数まで実行しても風防カバー60をカバー閉検知器33が検知しない場合に報知情報出力手段が警告報知情報を出力する構成は、融着接続機を使用する作業者にとって、風防カバー60の開閉状況の把握に有効に寄与するものである。
風防カバー60が閉じたことをカバー閉検知器33が検知したときにカバー閉じ完了報知手段から報知情報(カバー閉じ報知情報)を出力する構成は、融着接続機を使用する作業者にとって、風防カバー60の開閉状況の把握に有効に寄与するものである。
次に、本発明に係る実施形態の融着接続機のカバー開閉機構の変形例(第1変形例。カバー開閉機構の第2例)について説明する。
なお、図28〜図37中、図1〜図27を参照して説明した融着接続機20と同様の構成部分には共通の符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化する。
既述のカバー開閉機構1の動力伝達部材7は、押動用突部11をひとつのみ有する。これに対して、カバー開閉機構210の動力伝達部材217は押動用突部を2つ有している。
カバー開閉機構210の駆動機構211は、2つの押動用突部11a、11bを有する動力伝達部材217を採用した点のみが、既述のカバー開閉機構1の駆動機構1aと異なる。カバー開閉機構210の動力伝達部材217以外の構成は既述のカバー開閉機構1と同様である。
つまり、閉ループ部材220は、既述のカバー開閉機構1の閉ループ部材2の索材3の両端間に、2つの動力受け部材4a、4b及びひとつの引張コイルばね6にかえて、ひとつの動力受け部材4と、2つの引張コイルばね6a、6bとを設けた構成となっている。
非係合側張設部222はその全体が索材3によって構成されている点、風防カバー60の回転軸61a及びプーリー5には閉ループ部材220のうち索材3のみが巻き掛けられている点、索材3の両端は係合側張設部221に位置する点は、図18(a)と同様である。
また、既述のように、図18(a)の場合、図49に示したように、索材3の索材固定部60aは、索材3における風防カバー60の回転軸61a外周に巻き掛けられた部分の係合側張設部2A側の端部を構成する。カバー閉待機状態(図28〜図32)において、は閉ループ部材220は、その索材3における風防カバー60の回転軸61a外周に巻き掛けられた部分の係合側張設部221側の端部に、索材3を回転軸61aに固定した索材固定部(図示略)を有する。回転軸61aと索材3の回転軸61aに巻き掛けた部分との関係は、図49を参照して説明した回転軸61aと索材3の回転軸61aに巻き掛けた部分との関係と同様である。
図28、図32等に示すように、動力伝達部材217の2つの押動用突部11a、11bは、動力受け部材4を介してその上下に配置された引張コイルばね6a、6bに対応させて、ラックギア7bの上下2箇所に設けられている。
閉ループ部材220の動力受け部材4の上側の引張コイルばね6a(以下、上側引張コイルばねとも言う)は、その軸線方向の一部が、動力伝達部材217の上側の押動用突部11a(以下、上側押動用突部とも言う)の切欠凹部11c内側に収容されている。閉ループ部材220の動力受け部材4の下側の引張コイルばね6b(以下、下側引張コイルばねとも言う)は、その軸線方向の一部が、動力伝達部材217の下側の押動用突部11b(以下、下側押動用突部とも言う)の切欠凹部11c内側に収容されている。
動力伝達部材217の上下の押動用突部11a、11bは、動力伝達部材217を係合側張設部221に対してその延在方向に沿う方向へ相対移動させると、切欠凹部11c内側の引張コイルばね6a、6bの外周に沿って移動する。
このとき、閉ループ部材220の動力受け部材4は、動力伝達部材217の上下の押動用突部11a、11bの間に位置する。動力伝達部材217の上下の押動用突部11a、11bの間隔方向における動力受け部材4の寸法は、上下の押動用突部11a、11bの離隔距離に比べて格段に小さい。図32等に示すカバー閉待機状態にあっては、動力伝達部材217の下側押動用突部11bは、閉ループ部材220の動力受け部材4からの離隔距離が、上側押動用突部11aに比べて格段に短い所に配置されている。
このカバー開動作は、電動駆動源9の駆動力によって閉状態の風防カバー60を開方向へ回転させるカバー開駆動動作を行なった後、風防カバー60の自重開動作によって、風防カバー60を図33〜図37に示す全開状態に至らせる。
カバー開駆動動作では、閉状態の風防カバー60を、自重開動作可能な位置まで回転させる。
動力伝達部材217の下側押動用突部11bが閉ループ部材220の動力受け部材4を押し上げると、これに伴い、風防カバー60の回転軸61aが、動力受け部材4から閉ループ部材220の下側引張コイルばね6bを介して作用する引っ張り力によって、風防カバー60とともに回転される。
下側引張コイルばね6bは、電動モータ9(ここではステッピングモータ)の回転量がカバー開駆動動作の完了に達するまで引き伸ばし可能である。したがって、このカバー開閉機構210は、電動モータ9を過大な負荷によって破損するといった不都合を防止できる。
また、風防カバー60は、上述のように何らかの障害によりカバー開駆動動作が妨げられた後、この障害が取り除かれることで、下側引張コイルばね6bの弾性力によって、閉位置からカバー開駆動動作と同等あるいはそれ以上の角度まで回転されて、最終的に開状態(全開状態)となる。
カバー開閉機構210は、カバー開動作の完了後、電動モータ9を逆回転駆動して動力伝達部材217を下降させ、動力伝達部材217を図37実線に示す位置に配置する、カバー開後突部シフト動作を行う。その結果、風防カバー60及びカバー開閉機構210は、図37実線に示すカバー開待機状態に至る。
これにより、下側押動用突部11bと動力受け部材4との間には、開状態の風防カバー60を手動で開じたときに上昇する動力受け部材4の移動量(上昇量)よりも大きい離隔距離が確保される。
したがって、カバー開閉機構210を設けた融着接続機は、図37に示す状態から動力伝達部材217を変位させることなく風防カバー60を手動で開閉することができる。
カバー開閉機構210は、電動モータ9の正回転駆動によって動力伝達部材217を上昇させることで、下側押動用突部11bを閉ループ部材220の動力受け部材4にその下方から係合させることができる。そして、カバー開閉機構210は、動力受け部材4を、該動力受け部材4に係合させた下側押動用突部11bによって、動力伝達部材217の上昇に伴い押し上げることができる。
このカバー閉動作は、電動駆動源9の駆動力によって開状態の風防カバー60を閉方向へ回転させるカバー閉駆動動作を行なった後、風防カバー60の自重閉動作によって、風防カバー60を図28〜図32に示す閉状態に至らせる。
カバー閉駆動動作では、開状態の風防カバー60を、自重閉動作可能な位置まで回転させる。
動力伝達部材217の上側押動用突部11aが閉ループ部材220の動力受け部材4を押し下げると、これに伴い、風防カバー60の回転軸61aが、動力受け部材4から閉ループ部材220の上側引張コイルばね6aを介して作用する引っ張り力によって、風防カバー60とともに回転される。
上側引張コイルばね6aは、電動モータ9(ここではステッピングモータ)の回転量がカバー閉駆動動作の完了に達するまで引き伸ばし可能である。したがって、カバー開閉機構210は、電動モータ9を過大な負荷によって破損するといった不都合を防止できる。
また、風防カバー60は、上述のように何らかの障害によりカバー閉駆動動作が妨げられた後、この障害が取り除かれることで、上側引張コイルばね6aの弾性力によって、全開位置からカバー閉駆動動作と同等あるいはそれ以上の角度まで回転されて、最終的に閉状態となる。
これにより、上側押動用突部11aと動力受け部材4との間には、閉状態の風防カバー60を手動で開いたときに上昇する動力受け部材4の移動量(上昇量)よりも大きい離隔距離が確保される。
したがって、カバー開閉機構210を設けた融着接続機は、図32に示す状態から動力伝達部材217を変位させることなく風防カバー60を手動で開閉することができる。
次に、本発明に係る実施形態の融着接続機のカバー開閉機構の第2変形例(第3例)を図38(a)、(b)等を参照して説明する。
なお、図38(a)、(b)中、図1〜図37と同様の構成部分には共通の符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化する。
このカバー開閉機構310は、既述のカバー開閉機構1の閉ループ部材2にかえて、2本の索材3a、3b(巻装体)を、引張コイルばね6c、6dを介して連結して閉ループ状とした構成の閉ループ部材320を用いている。また、このカバー開閉機構310は、その駆動機構として、第1変形例のカバー開閉機構210の駆動機構211を用いている。
カバー開閉機構310における突き上げシャフト14の構成、カバー開閉機構310の駆動機構211の駆動による動作は、第1変形例のカバー開閉機構210における突き上げシャフト14の構成、駆動機構211の駆動による動作と同様であるので、ここではその説明を省略する。
また、カバー開閉機構310は、突き上げシャフト14を省略した構成も採用可能である。
第1索材3aは、その長手方向の一部が、風防カバー60の回転軸61aに巻き掛けられている。また、第1索材3aは、風防カバー60の回転軸61aに巻き掛けられた部分の一部が、索材固定部60aによって回転軸61aに固定されている。
第2索材3bは、その長手方向の一部が、プーリー5に巻き掛けられている。
閉ループ部材320の2つの引張コイルばね6c、6dは、一対の部材間張設部321、322にひとつずつ設けられている。
図38(a)に示す閉状態の風防カバー60は、電動駆動源9の駆動力によって閉ループ部材320を図38(a)において左回りに回転させることで装置本体21に対して開くことが可能である。このとき、閉ループ部材320は、一対の部材間張設部321、322のうち、一方(符号321の部材間張設部)を上昇、他方(符号322の部材間張設部)を下降させるように回転させる。
以下、閉ループ部材320の一対の部材間張設部321、322のうち、図38(a)に示す閉状態の風防カバー60を開方向に回転するときに上昇する側の部材間張設部321を第1張設部、下降する側の部材間張設部322を第2張設部とも言う。
この点、既述のカバー開閉機構1、210の閉ループ部材2、220における係合側張設部2A、221は第1張設部、非係合側張設部2B、222は第2張設部に相当するものである。
閉ループ部材320の2つの引張コイルばね6c、6dは、それぞれ、その軸線方向一端部が第1索材3aの端部に連結され、軸線方向他端部が第2索材3bの端部に連結されている。
したがって、風防カバー60の開閉に伴う閉ループ部材320の回転によって、第1引張コイルばね6cの回転軸61a外周への乗り上げ、及び第2引張コイルばね6dのプーリー5外周への乗り上げは生じない。
この動力受け突部4cは、プーリー5に一体化されており、プーリー5とともに一体的に回転する。プーリー5に動力受け突部4cが突設されているものを、以下、突部付きプーリー5Aとも言う。
なお、動力受け突部4cは、閉ループ部材320との干渉を避けるべく、プーリー5の軸線方向において、第2索材3bが巻き掛けられている領域を避けた箇所から突出している。
図38(a)に示すように、カバー開閉機構310は、カバー閉待機状態にあるとき、動力伝達部材217の下側押動用突部11bが、動力受け突部4cに対してその下側に若干の隙間を介して接近配置された状態となる。動力伝達部材217の上側押動用突部11aは、下側押動用突部11bと動力受け突部4cとの間の距離に比べて格段に大きい距離を以て、動力受け突部4cから上方へ離隔した位置に配置される。
動力伝達部材217の上下の押動用突部11a、11bの間隔方向における動力受け突部4c(上下の押動用突部11a、11b間に配置される部分)の寸法は、上下の押動用突部11a、11bの離隔距離に比べて格段に小さい。
このカバー開動作は、電動駆動源9の駆動力によって閉状態の風防カバー60を開方向へ回転させるカバー開駆動動作を行なった後、風防カバー60の自重開動作によって、風防カバー60を図38(b)に示す全開状態に至らせる。
カバー開駆動動作では、閉状態の風防カバー60を、自重開動作可能な位置まで回転させる。
動力伝達部材217の下側押動用突部11bが突部付きプーリー5Aの動力受け突部4cを押し上げると、風防カバー60の回転軸61aに、動力受け突部4cから閉ループ部材320の第2引張コイルばね6dを介して与えられる引っ張り力が、回転軸61aの回転力として作用する。その結果、動力伝達部材217の下側押動用突部11bが突部付きプーリー5Aの動力受け突部4cを押し上げると、これに伴い、回転軸61aを風防カバー60とともに回転させることができる。
第2引張コイルばね6dは、電動モータ9(ここではステッピングモータ)の回転量がカバー開駆動動作の完了に達するまで引き伸ばし可能である。したがって、このカバー開閉機構310は、電動モータ9を過大な負荷によって破損するといった不都合を防止できる。
また、風防カバー60は、上述のように何らかの障害によりカバー開駆動動作が妨げられた後、この障害が取り除かれることで、第2引張コイルばね6dの弾性力によって、閉位置からカバー開駆動動作と同等あるいはそれ以上の角度まで回転されて、最終的に開状態(全開状態)に至る。
これにより、下側押動用突部11bと動力受け突部4cとの間には、開状態の風防カバー60を手動で開じたときに上昇する動力受け突部4cの移動量(上昇量)よりも大きい離隔距離が確保される。
したがって、カバー開閉機構310を設けた融着接続機は、図38(b)に示す状態から動力伝達部材217を変位させることなく風防カバー60を手動で開閉することができる。
カバー開閉機構310は、電動モータ9の正回転駆動によって動力伝達部材217を上昇させることで、下側押動用突部11bを突部付きプーリー5Aの動力受け突部4cにその下方から係合させることができる。そして、カバー開閉機構310は、動力受け突部4cを、該動力受け突部4cに係合させた下側押動用突部11bによって、動力伝達部材217の上昇に伴い押し上げることができる。
このカバー閉動作は、電動駆動源9の駆動力によって開状態の風防カバー60を閉方向へ回転させるカバー閉駆動動作を行なった後、風防カバー60の自重閉動作によって、風防カバー60を図38(a)に示す閉状態に至らせる。
カバー閉駆動動作では、開状態の風防カバー60を、自重閉動作可能な位置まで回転させる。
動力伝達部材217の上側押動用突部11aが突部付きプーリー5Aの動力受け突部4cを押し下げると、これに伴い、風防カバー60の回転軸61aが、動力受け突部4cから閉ループ部材320の第1引張コイルばね6cを介して作用する引っ張り力によって、風防カバー60とともに回転される。
第1引張コイルばね6cは、電動モータ9(ここではステッピングモータ)の回転量がカバー閉駆動動作の完了に達するまで引き伸ばし可能である。したがって、カバー開閉機構310は、電動モータ9を過大な負荷によって破損するといった不都合を防止できる。
また、風防カバー60は、上述のように何らかの障害によりカバー閉駆動動作が妨げられた後、この障害が取り除かれることで、第1引張コイルばね6cの弾性力によって、全開位置からカバー閉駆動動作と同等あるいはそれ以上の角度まで回転されて、最終的に閉状態となる。
これにより、上側押動用突部11aと動力受け突部4cとの間には、閉状態の風防カバー60を手動で開いたときに上昇する動力受け突部4cの移動量(上昇量)よりも大きい離隔距離が確保される。
したがって、カバー開閉機構310を設けた融着接続機は、図38(a)に示す状態から動力伝達部材217を変位させることなく風防カバー60を手動で開閉することができる。
閉ループ部材320の第2索材3bは、例えば、電動駆動源9の駆動力によって閉状態の風防カバー60を開く場合には、該第2索材3bに作用する張力によってプーリー5に押し付けられる。このため、電動駆動源9の駆動力による動力伝達部材217の下側押動用突部11bの上昇に伴う第2索材3bの移動にしたがって、プーリー5は、第2索材3bに対してスリップすることなく回転される。
しかしながら、第2索材3bに作用する張力が低下すると、プーリー5が第2索材3bに対してスリップする可能性が高まる。
図50〜図53は、いずれもカバー開閉機構310の変形例である。
なお、図50、図51においては、駆動機構211の図示を省略している。また、後述の図52、図53においても、駆動機構211の図示を省略している。
例えば、図52に示すカバー開閉機構310C(カバー開閉機構の第6例)は、カバー開閉機構310の変形例であり、索材巻掛用部材(巻装体巻掛用部材)としてプーリー5にかえて歯車312を採用し、風防カバー60の回転軸61aに同軸に歯車313を一体化している。そして、このカバー開閉機構310Cでは、閉ループ部材320の索材3a、3bとして、例えばチェーン、歯付きベルトといった、歯車312、313に対して噛み合わせ可能なものを採用して、歯車312、313に巻き掛けた構成となっている。この構成では、歯車312、313と索材3a、3bとの噛み合わせによって、歯車312、313の回転と、索材3a、3bの移動(回転)とが確実に連動する。
また、カバー開閉機構としては、図50〜図53に例示したカバー開閉機構310A〜310Dについて、プーリー5に設けられた動力受け突部4cを省略し、閉ループ部材の一対の部材間張設部の一方をその延在方向の1箇所に動力受け突部4を突設して係合側張設部とし、部材間張設部の他方を非係合側張設部とし、図28等に例示した駆動機構211を適用した構成も採用可能である。この場合、係合側張設部の動力受け突部4を、駆動機構211の互いに離隔させて設けられている押動用突部11a、11bの間に配置する。
図54(a)、(b)に示すカバー開閉機構310Eの駆動機構340は、電動駆動源9(図示例では電動モータ)の駆動力によってプーリー5に同軸に回転駆動される動力伝達部材341(以下、回転部材とも言う)を有する。この回転部材341の回転周方向の互いに離隔した2箇所には、押動用突部11a、11bが突設されている。押動用突部11a、11bは、回転部材341からその回転軸方向片側に突出されている。そして、カバー開閉機構310Eは、駆動機構340の回転部材341の回転周方向2箇所の押動用突部11a、11bの間に、プーリー5に突設されている動力受け突部4cを配置した構成になっている。動力受け突部4cは、回転部材341の回転周方向2箇所の押動用突部11a、11bの間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置されている。
図示例の回転部材341は円板状に形成されている。但し、回転部材341の形状は特には限定はなく円板状に限定されない。
また、カバー開閉機構310Eの押動用突部11a、11bは、図54(a)、(b)に示す例ではピン状(図示例)に形成されている。但し、押動用突部11a、11bの形状は特に限定されるものではなく、ピン状に限らない。
また、カバー開閉機構としては、図54(a)、(b)に示すカバー開閉機構310Eについて、回転部材341をプーリー5と同軸ではなく、回転部材341を、その回転中心をプーリー5の回転中心からずらして設けた構成も採用可能である。
カバー開閉機構としては、例えば、第4例〜第7例のカバー開閉機構310A〜310Dについて、動力伝達部材として図54(a)、(b)に例示した押動用突部11a、11b付きの回転部材を用いた構成も採用可能である。
カバー開閉機構としては、これに限定されず、カバー開閉機構310、310Eについて、動力伝達部材217、341の1箇所に突設した押動用突部11を、プーリー5の周方向の互いに離隔した2箇所に突設した動力受け突部の間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置した構成も採用可能である。
動力伝達部材の1箇所に突設した押動用突部を、閉ループ部材の索材を巻き掛けたプーリー5の周方向の互いに離隔した2箇所に突設した動力受け突部の間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置した構成は、第4例〜第7例のカバー開閉機構310A〜310Dにも適用可能である。
図39〜図48は、装置本体21上に枢着された前風防カバー68と、装置本体21上に枢着して前風防カバー68の後側に設けられた後風防カバー69とで構成された、風防カバー60A(分割形風防カバー)を使用する例を示す。
また、風防カバー60Aは、前後の風防カバー68、69を互いに離隔する方向に回転させて、開放することができる。風防カバー60Aは、前後の風防カバー68、69の装置本体21に対する開閉によって開閉可能となっている。
この点、図8等を参照して説明した風防カバー60は、該風防カバー60自体がカバー部材に相当するものである。
なお、本明細書においては、前風防カバー68及び後風防カバー69も、それぞれ、個々に、本発明に係る実施形態の融着接続機の風防カバーに相当するものとして扱う。
2つのカバー開閉機構16a、16bは、一対の風防カバー68、69に対して1つずつ設けられている。以下、前風防カバー68を開閉するカバー開閉機構16aを前カバー開閉機構、後風防カバー68を開閉するカバー開閉機構16bを後カバー開閉機構とも言う。
なお、図示例の前カバー開閉機構16a及び後カバー開閉機構16bは互いに同じ構成であり、図44、図45に示すように、開状態(全開状態)にした風防カバー68、69の間の領域の平面視中央に位置する仮想中心軸Oを中心に軸対称に設けられている。
図44に示すように、後カバー開閉機構16bの閉ループ部材2の索材3は、後風防カバー69の回転軸69bに巻き掛けられている。この索材3は、回転軸69bに巻き掛けた部分の一部が回転軸69bに固定されている。前風防カバー68の回転軸68a及び後風防カバー69の回転軸69bは索材巻付部(巻装体巻付部)として機能する。
各風防カバー68、69には索材挿通孔65cが形成されている。前風防カバー68を開閉するカバー開閉機構16aの索材3は、前風防カバー68の索材挿通孔65cに通されている。。後風防カバー69を開閉するカバー開閉機構16bの索材3は、後風防カバー69の索材挿通孔65cに通されている。
図示例の風防カバー60Aにおいて、マグネット112a、112bは後風防カバー69、マグネットキャッチ113a、113bは前風防カバー68に設けられている。また、マグネット112a、112b及びマグネットキャッチ113a、113bは、前後の風防カバー68、69において、閉じ合わせ時に互いに接合される面(合わせ面)の近傍に設けられている。
例えば、融着接続機におけるファイバセット待機状態からのカバー閉動作の実行は、カバー閉じスイッチ31d(図3参照)のオン操作に限定されない。融着接続機としては、例えば、左右両側の被覆クランプ50への光ファイバ91、92の把持固定の完了、あるいは左右両側の可動ステージ22上へのファイバホルダ40の設置完了をセンサで検知したときに、自動でカバー閉じ動作を実行し、その完了後、自動で融着接続動作を開始する構成としても良い。
また、被覆クランプ方式の融着接続機20Aとしては、左右両側の被覆クランプ50のクランプ下部材51上への光ファイバ91、92の設置をセンサが検知したこと、あるいは左右両側の被覆クランプ50付近に設置したセンサが左右同時に作業者の手指を検知したことをトリガーとして、自動でカバー閉じ動作を実行し、その完了後、自動で融着接続動作を開始する構成も採用可能である。
なお、融着接続機としては、カバー閉動作の開始のための動作開始指令として機能するトリガー信号が何であるかに依らず、閉動作異常の発生を検知したときには、融着接続動作を開始しない構成とする。
閉ループ部材としては、該閉ループ部材を構成する索材のその延在方向の一部あるいは全体が伸縮可能な弾性材である構成も採用可能である。この弾性材部分を有する索材を採用した閉ループ部材としては、その一部に引張コイルばね等の弾性部材を介在配置した構成以外に、弾性部材の介在配置を省略した構成も採用可能である。
カバー開閉機構としては、動力伝達部材の1箇所に突設した押動用突部を、閉ループ部材の延在方向の互いに離隔した2箇所あるいは閉ループ部材の索材を巻き掛けたプーリー5の回転周方向の互いに離隔した2箇所に突設した動力受け突部の間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置した構成を採用できる。このカバー開閉機構では、2箇所の動力受け突部のうち、カバー開動作にて、押動用突部によって押動される動力受け突部が一のもの(第1動力受け突部)、押動用突部によって押動されない動力受け突部が他のもの(第2動力受け突部)として機能する。カバー開後突部シフト動作では、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動して、押動用突部を2箇所の動力受け突部の間にて各動力受け突部から離隔した位置に配置(例えば第2動力受け突部の近傍に若干の隙間を介して接近配置)する。また、この構成のカバー開閉機構では、2箇所の動力受け突部のうち、カバー閉動作にて、押動用突部によって押動される第2動力受け突部が一のもの、押動用突部によって押動されない第1動力受け突部が他のものとして機能する。カバー閉後突部シフト動作では、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動して、押動用突部を2箇所の動力受け突部の間にて各動力受け突部から離隔した位置に配置(例えば第1動力受け突部の近傍に若干の隙間を介して接近配置)する。
カバー開閉機構としては、閉ループ部材あるいは閉ループ部材の索材を巻き掛けたプーリー5に突設した動力受け突部を、動力伝達部材の互いに離隔した2箇所に突設した押動用突部の間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置した構成を採用できる。閉ループ部材の索材を巻き掛けたプーリー5に突設した動力受け突部を、動力伝達部材の互いに離隔した2箇所に突設した押動用突部の間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置した構成のカバー開閉機構としては、例えば既述の第8例のカバー開閉機構310E(図54(a)、(b))等を挙げることができる。
このカバー開閉機構では、2箇所の押動用突部のうち、カバー開動作にて、動力受け突部を押動する押動用突部が一のもの(第1押動用突部)、動力受け突部を押動しない押動用突部が他のもの(第2押動用突部)として機能する。カバー開後突部シフト動作では、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動して、2箇所の押動用突部を、該2箇所の押動用突部間に位置する動力受け突部から離隔した位置に配置(例えば第2押動用突部を動力受け突部の近傍に若干の隙間を介して接近配置)する。また、この構成のカバー開閉機構では、2箇所の押動用突部のうち、カバー閉動作にて、動力受け突部を押動する第2押動用突部が一のもの、動力受け突部を押動しない第1押動用突部が他のものとして機能する。カバー閉後突部シフト動作では、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動して、2箇所の押動用突部を動力受け突部から離隔した位置に配置(例えば第1押動用突部を動力受け突部の近傍に若干の隙間を介して接近配置)する。
カバー開動作の全てを電動駆動源の駆動力によって行なう光ファイバ融着接続機では、カバー開動作の後に、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動あるいは回転して、動力受け突部及び押動用突部の一方を、2箇所の他方の間にて2箇所の他方の両方から離隔した位置に配置する構成を好適に採用できる。カバー閉動作の全てを電動駆動源の駆動力によって行なう光ファイバ融着接続機では、カバー閉動作の後に、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動あるいは回転して、動力受け突部及び押動用突部の一方を、2箇所の他方の間にて2箇所の他方の両方から離隔した位置に配置する構成を好適に採用できる。
Claims (6)
- 回転軸によって回転開閉する風防カバーを備える融着接続機において、
回転軸と同じ軸線上、あるいは風防カバーの回転軸と同じ軸線上に風防カバーと連結固定あるいは風防カバーの一部として形成された索材巻付部があり、
さらに離れた別の場所に回転プーリー、非回転プーリーまたは回転歯車である索材巻掛部が1つ以上設置され、前記索材巻付部と前記索材巻掛部とに巻き掛けられた変形可能な索材を含んで閉ループを構成する閉ループ部材を有し、
風防カバーが閉じたことを検知する検知器をさらに備え、風防カバー閉の動作を行なっても検知器が検知できない場合はその後の融着接続動作へ移行せずに警告表示を行なうように構成され、
電動駆動源の駆動力によって前記索材に引張力を掛けることで風防カバーを回転させ、
前記張力を正方向に掛けることで風防カバー開の動作を実現可能、及び前記張力を逆方向に掛けることで風防カバー閉の動作を実現可能であり、
前記閉ループ部材が、その途中に設けられた弾性部材、または索材のその延在方向の一部あるいは索材全体が伸縮可能な弾性材によって伸縮可能、及び/又は、前記索材巻掛部の1以上が、付勢部材によって閉ループ部材に引っ張り力を与える方向に弾性付勢された可動の索材巻掛部であることを特徴とする光ファイバ融着接続機。 - 請求項1に記載の光ファイバ融着接続機において、
風防カバー閉の動作を行なっても検知器が検知できない場合は、風防カバー開動作とその後の風防カバー閉動作とで構成されるカバー閉じ補助動作を1サイクル以上実行し、予め設定した回数のカバー閉じ補助動作の完了時あるいは完了前に風防カバーが閉じたことを検知器が検知すれば、その後にカバー閉じ動作を行なうことなく融着接続動作が可能な状態となり、予め設定した回数のカバー閉じ補助動作の実行を完了した後も、風防カバーが閉じたことを検知器が検知できない場合は、その後の融着接続動作へ移行せずに警告表示を行なうことを特徴とする光ファイバ融着接続機。 - 請求項1又は2に記載の光ファイバ融着接続機において、
索材による風防カバーの回転開閉動作に加え、突き上げシャフトで風防カバーにおける索材巻付部から離れた位置を押圧して風防カバーを押し上げることを特徴とする光ファイバ融着接続機。 - 請求項3に記載の光ファイバ融着接続機において、
突き上げシャフトが索材に張力を掛ける駆動機構の一部であることを特徴とする光ファイバ融着接続機。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ファイバ融着接続機において、
電動駆動源の駆動力によって移動あるいは回転される動力伝達部材に、前記索材あるいは回転可能な索材巻掛部に設けられた動力受け突部を押動して前記索材を送り移動する押動用突部が突設され、
動力受け突部及び押動用突部の一方が、互いに離隔する2箇所に設けられた他方の間に、その間隔方向への移動を可能にする空間を確保して配置されていることを特徴とする光ファイバ融着接続機。 - 請求項5に記載の光ファイバ融着接続機において、
前記風防カバーの開動作あるいは閉動作の後に、電動駆動源の駆動力によって動力伝達部材を移動あるいは回転して、動力受け突部及び押動用突部の一方を、2箇所の他方の間にて2箇所の他方の両方から離隔した位置に配置し、動力伝達部材を移動することなく、風防カバーを手動で開け閉め可能とすることを特徴とする光ファイバ融着接続機。
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