JP5363840B2 - 医薬品用両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質及び両親媒性キトサン誘導体複合体 - Google Patents
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Description
(A) キトサンを用意し、前記キトサン上に最低一つの親水性官能基(hydrophilic group)及び最低一つの疎水性官能基(hydrophobic group)をグラフトしキトサン誘導体を生成する。
(B) キトサン誘導体を溶剤中で溶解し、キトサン誘導体溶液を生成する。
(C) キトサン誘導体溶液と活性成分(active component)を混合すると、キトサン誘導体は自己組織化(self-assemble)して中空円球の形状を有する物質を生成、活性成分は前記中空円球中に内含される。
親水性カルボキシメチル基(carboxymethyl)修飾(modified)のキトサン誘導体を作製する。
初めに、室温下において、5gのキトサン(Mw=215,000 g/mol、脱アシル度=80-90%、Adrich-Sigma社製)を2-プロパノール(2-propanol)(50 mL)中で懸濁(suspend)し、並びに、30分間攪拌する。得られた懸濁液(suspension)をゆっくりと水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液(12.5 mL)と混合すると混合溶液となる。前記混合溶液中の水酸化ナトリウム濃度を調節することで親水性官能基のグラフト量をコントロール可能である。ここでは、混合溶液中には13.3Mの水酸化ナトリウムが含まれる。続いて、前記混合溶液とクロロ酢酸(chloroacetic acid)を反応させると、水溶性の親水性カルボキシメチル修飾キトサン(carboxymethyl-modified chitosan)が生成され、並びにこれを乾燥する。
疎水性ヘキサノイル基(hexanoyl)修飾及び親水性カルボキシメチル修飾の両親媒性キトサン誘導体は次の通りである。
2gの乾燥した比較例1の親水性カルボキシメチル酸修飾のキトサンを純水(50 mL)中で溶解し、並びに24時間攪拌する。続いて、得られた溶液とメタノール(methanol)(50 mL)を混合し、更に0.2 Mの無水ヘキサノイル酸(hexanoyl anhydride)を添加して反応溶液を得る。室温下において20時間反応させた後、反応溶液を収集してエタノール水溶液(ethanol solution)(25% v/v)で24時間透析(dialysis)し、乾燥後に生成物を収集すると、疎水性ヘキサノイル基修飾及び親水性カルボキシメチル酸修飾の両親媒性キトサン誘導体が得られる。この化学構造式4は下記に示す通りである。また同時に、1H NMR スペクトラム及びN含量の元素分析(elemental analysis)を用いて、キトサン誘導体中の置換基(substitution group)の位置(site)及びヘキサノイル基グラフト量を確認する。本実施例におけるヘキサノイル基グラフト量は13%である。
本実施例の反応条件及びステップは実施例1と同様であるが、添加する無水ヘキサノイル酸濃度は0.4 Mで、ヘキサノイル基グラフト量26%のキトサン誘導体を生成する。
本実施例の反応条件及びステップは実施例1と同様であるが、添加する無水ヘキサノイル酸濃度は0.5 Mで、ヘキサノイル基グラフト量33%のキトサン誘導体を生成する。
本実施例の反応条件及びステップは実施例1と同様であるが、添加する無水ヘキサノイル酸濃度は1.0 Mで、ヘキサノイル基グラフト量48%のキトサン誘導体を生成する。
本実施例の反応条件及びステップは実施例1と同様であるが、デカン酸無水物(decanoic anhydride)を用いて無水ヘキサノイル酸(hexanol anhydride)を置換するとデカノイル基グラフト量12%のキトサン誘導体が生成される。
本実施例の反応条件及びステップは実施例2と同様であるが、デカン酸無水物を用いて無水ヘキサノイル酸を置換するとデカノイル基グラフト量24%のキトサン誘導体が生成される。
本実施例の反応条件及びステップは実施例3と同様であるが、デカン酸無水物を用いて無水ヘキサノイル酸を置換するとデカノイル基グラフト量34%のキトサン誘導体が生成される。
本実施例の反応条件及びステップは実施例4と同様であるが、デカン酸無水物を用いて無水ヘキサノイル酸を置換するとデカノイル基グラフト量45%のキトサン誘導体が生成される。
2gの乾燥した比較例1の親水性カルボキシメチル酸修飾のキトサンを純水(50 mL)中で溶解し、並びに24時間攪拌する。続いて、得られた溶液とメタノール(50 mL)を混合し、更に0.2 Mの無水ドデカン酸(dodecanoic anhydride)を添加すると、反応溶液が得られる。50℃下で2時間反応させ、続いて室温下において18時間反応させた後、反応溶液を収集してエタノール水溶液(25% v/v)で24時間透析し、乾燥後に生成物を収集すると疎水性ドデカノイル基(dodecanoyl)修飾及び親水性カルボキシメチル酸修飾の両親媒性キトサン誘導体が得られる。また同時に、1H NMR スペクトラム及びN含量の元素分析を用いて、キトサン誘導体中の置換基の位置及びドデカノイル基グラフト量を確認する。本実施例中のドデカノイル基グラフト量は10%である。
本実施例の反応条件及びステップは実施例9と同様であるが、添加する無水ドデカン酸濃度は0.4Mで、ドデカノイル基グラフト量22%のキトサン誘導体を生成する。
本実施例の反応条件及びステップは実施例9と同様であるが、添加する無水ドデカン酸濃度は0.5Mで、ドデカノイル基グラフト量30%のキトサン誘導体を生成する。
本実施例の反応条件及びステップは実施例9と同様であるが、添加する無水ドデカン酸濃度は1.0Mで、ドデカノイル基グラフト量44%のキトサン誘導体を生成する。
室温下において、100 mgの比較例1及び実施例1から12のキトサン誘導体を純粋中で懸濁し24時間攪拌する。続いて、超音波プロセッサ(Automatic Ultrasonic Processor UH-500A)を使い数分間振動させる(sonicate)と、疎水性官能基の相互作用(interaction)により、自己組織化が生じ、ナノメートル級或いはミクロ級サイズの中空球体で、しかも親水-疎水-親水性の二層(double layer)構造が形成される。
比較例1及び実施例1から4の両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質の粒径(mean size)及び粒径分布は、動的光散乱(dynamic light scattering, DLS)、ナノ粒子径分布測定器(Nanoparticle Size Analyzer) (LB-550, HORIBA, Japan)によって測定する。また、ピレン(pyrene)は疎水基に対して比較的高い親和力(affinity)を有する為、ピレンを蛍光プローブ(fluorescence probe)として、蛍光スペクトラム(fluorescent spectrum)上から両親媒性キトサン誘導体の臨界凝集濃度(critical aggregation concentration, CAC)を測定することが可能である。臨界凝集濃度が小さい程、中空円球の形状を有する物質が容易に生成されることを示す。両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質の粒径(mean size)及び臨界凝集濃度等の物理特性は表1に示す通りである。
両親媒性キトサン誘導体が確実に中空円球の形状を有する物質を形成することを確認する為に、両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質をエタノール脱水(dehydration)した後、同時に中空円球外部及び内部にある水分子を除去する。続いて、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy, SEM) (S6500, JEOL, Japan)を用いて脱水した両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質を観察する。その結果は図3に示す通りである。その内の粒径約200nmの中空円球の形状を有する物質は脱水後、その外観の完全性を再び保てず、凹み(collapse)が現れる。嵌入(insert)は図3の写真でわかる通り、二層外殻(double shell)を合算した総厚みは約9nmである故、中空円球の形状を有する物質の外殻(single shell)の厚みは約4.5nmである。
まず、ドキソルビシン(Doxorubicin, DOX)を用意する。並びに、DOXと20 mLの比較例1及び実施例1から12のキトサン誘導体溶液を混合する。前記DOXの最終濃度は20 μg/mLである。24時間攪拌した後、超音波プロセッサ(Automatic Ultrasonic Processor UH-500A)を使って数分間振動させると、キトサン誘導体の自己組織化により中空円球の形状を有する物質が生成される。DOXは中空円球の形状を有する物質中に内含され、医薬品用両親媒性キトサン誘導体の複合体を形成する。4℃下において2000 rpmで5分間遠心した後、中空円球の形状を有する物質中に未内含(free)DOXを分離する。その後、4℃下において15000 rpmで15分間遠心した後、医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体を溶液中から分離することができる。UV-VISスペクトラム(SP-8001, Metertech Inc.)を用いて、分離させた未内含(free)のDOXを測定することにより、両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質に関する薬物内含化率(encapsulation efficiency, EE)を算出できる。
前記薬物内含化率はEE= (A-B)/A x 100計算で得られるものである。
そのAはDOX総量、Bは未内含のDOX量である。また、計算結果は図4に示す通りである。図中のX軸は疎水基グラフト量で、Y軸は内含化率である。図4からわかるように、内含化率は、疎水基グラフト量及び疎水基側鎖の長さの増加に従い増加する。その原因は、中空円球の形状を有する物質の外殻内層の疎水性作用力を増加させることができ、DOXを中空円球の形状を有する物質内に制限することができることにある。よって、疎水性グラフト量及び側鎖(side chain)の長さを調節することにより薬物の放出行為(release behavior)を制御することが可能となる。
37℃下においてDOX及びDOX-両親媒性キトサン誘導体複合体(実施例1から4の両親媒性キトサン誘導体を使用)の溶液を0.1Mのバッファー溶液(buffer)(100 mL)で透析(dialysis)する。一定時間毎にバッファー溶液中のDOX濃度を測定し、両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質に関する薬物放出行為を観察する。図5に示す通り、図中のX軸は疎水基グラフト量で、Y軸はDOX放出比率(releasing percentage)である。図5の結果で明らかなように、疎水基グラフト量の増加に伴い、DOXは中空円球の形状を有する物質から放出され難くなり、よって薬物を長時間かけて放出できる故、両親媒性キトサン誘導体の疎水基グラフト量を調節すれば薬物放出行為の制御が可能となる。これにより、本発明の両親媒性キトサン誘導体は、抗癌剤用の伝達(delivery)に適合することがわかる。
Claims (6)
- 両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質は、以下の化学構造式1に示すキトサン誘導体を含み、
- 請求項1記載の両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質において、前記中空円球の形状を有する物質の平均粒径は、10nmから500nmの範囲内であることを特徴とする両親媒性キトサン誘導体の中空円球の形状を有する物質。
- 医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法において、
(A) キトサン誘導体を提供し、前記キトサン誘導体は、以下の化学構造式2に示す化合物であり、
(B) キトサン誘導体を溶剤中で溶解し、キトサン誘導体溶液を作り、
(C) キトサン誘導体溶液と活性成分を混合すると、キトサン誘導体は自己組織化によって活性成分の内含された中空円球の形状を有する物質を生成するステップを含むことを特徴とする医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法。 - 請求項3記載の医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法において、前記キトサンの分子量は1000から400,000 g/mol間であることを特徴とする医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法。
- 請求項3記載の医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法において、前記キトサンの脱アシル度は65%から100%間であることを特徴とする医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法。
- 請求項3記載の医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法において、前記中空円球の形状を有する物質の平均粒径は、10nmから500nmの範囲内であることを特徴とする医薬品用両親媒性キトサン誘導体複合体の作製方法。
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