JP2777981B2 - キトサン含有繊維からなる中空球状素材、及びその製造法 - Google Patents
キトサン含有繊維からなる中空球状素材、及びその製造法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明はキトサン含有性の接合菌
類の細胞壁繊維を利用した主成分がキチン質（キチンや
キトサンを含む）からなる中空球状素材の製造法を提供
するものである。この中空球状素材の外殻は、主成分が
キチンやキトサンを含有する細胞壁から構成される。こ
のため従来の甲殻類から得たキチンやキトサンと同様に
抗菌性に優れ、また、キトサンに由来するアミノ基を持
ち、化学反応性に富むことからそれ自体で金属イオンの
吸着機能を有すると共に、さらに、この素材に化学修飾
することによって特殊な機能を備えることが可能であ
る。また、本素材は外殻が多孔質で内部が中空であるた
めに物質の出入り、及び内包が可能であるため固定化担
体、及び徐放性素材として利用できる可能性がある。本
中空球状素材は発酵法により生産するために、工業的に
大量生産が可能であり、種々の産業分野での利用が期待
できる。
類の細胞壁繊維を利用した主成分がキチン質（キチンや
キトサンを含む）からなる中空球状素材の製造法を提供
するものである。この中空球状素材の外殻は、主成分が
キチンやキトサンを含有する細胞壁から構成される。こ
のため従来の甲殻類から得たキチンやキトサンと同様に
抗菌性に優れ、また、キトサンに由来するアミノ基を持
ち、化学反応性に富むことからそれ自体で金属イオンの
吸着機能を有すると共に、さらに、この素材に化学修飾
することによって特殊な機能を備えることが可能であ
る。また、本素材は外殻が多孔質で内部が中空であるた
めに物質の出入り、及び内包が可能であるため固定化担
体、及び徐放性素材として利用できる可能性がある。本
中空球状素材は発酵法により生産するために、工業的に
大量生産が可能であり、種々の産業分野での利用が期待
できる。
【０００２】
【従来の技術】本発明のキトサン含有中空球状素材と類
似のものにカプセルやビーズがある。このカプセルやビ
ーズの製造法は化学的方法（界面重合法、液中硬化被覆
法等）、物理化学的方法（相分離法、液中乾燥法、融解
分散冷却法）及び機械的・物理的方法（気中懸濁被覆
法、スプレードライング法、真空蒸着被覆法、静電的合
体法）がある。また、カプセルやビーズの原料は用途に
よって異なるが、近年、キトサンを原料としたカプセル
やビーズの開発研究が盛んに行われている。キトサンを
原料としたカプセルの調製は、負に帯電した高分子（ア
ルギン酸ナトリウム、カラギナン、ヘパリン、Ｎａ−カ
ルボキシメチルセルロース等）の約１％溶液をキトサン
溶液中に滴下して行われる。また、キトサンを原料とし
たビーズは、脱アセチル化度８０〜９５％のキトサンを
酢酸、ギ酸、ジクロル酢酸等の希酸水溶液に溶解し、キ
トサン濃度３〜１２％の原料液を調製し、特殊ノズルに
より塩基性凝固液中（水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、アンモニア、エチレンジアミン等よりなる）で凝固
・再生する方法などにより製造されている。本発明のキ
トサン含有中空球状素材はキトサン含有性接合菌の培養
に際して、菌にアルコールストレスを与え菌糸の集合し
た粒状菌体を生育させた後、この粒状菌体を低濃度熱ア
ルカリ処理することによって製造するもので、従来の製
造法とは全く異なるものである。また、微生物由来の主
成分がキチン質からなるアルカリ不溶細胞壁を原料とし
た中空球状素材は見あたらない。
似のものにカプセルやビーズがある。このカプセルやビ
ーズの製造法は化学的方法（界面重合法、液中硬化被覆
法等）、物理化学的方法（相分離法、液中乾燥法、融解
分散冷却法）及び機械的・物理的方法（気中懸濁被覆
法、スプレードライング法、真空蒸着被覆法、静電的合
体法）がある。また、カプセルやビーズの原料は用途に
よって異なるが、近年、キトサンを原料としたカプセル
やビーズの開発研究が盛んに行われている。キトサンを
原料としたカプセルの調製は、負に帯電した高分子（ア
ルギン酸ナトリウム、カラギナン、ヘパリン、Ｎａ−カ
ルボキシメチルセルロース等）の約１％溶液をキトサン
溶液中に滴下して行われる。また、キトサンを原料とし
たビーズは、脱アセチル化度８０〜９５％のキトサンを
酢酸、ギ酸、ジクロル酢酸等の希酸水溶液に溶解し、キ
トサン濃度３〜１２％の原料液を調製し、特殊ノズルに
より塩基性凝固液中（水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、アンモニア、エチレンジアミン等よりなる）で凝固
・再生する方法などにより製造されている。本発明のキ
トサン含有中空球状素材はキトサン含有性接合菌の培養
に際して、菌にアルコールストレスを与え菌糸の集合し
た粒状菌体を生育させた後、この粒状菌体を低濃度熱ア
ルカリ処理することによって製造するもので、従来の製
造法とは全く異なるものである。また、微生物由来の主
成分がキチン質からなるアルカリ不溶細胞壁を原料とし
た中空球状素材は見あたらない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】カプセルやビーズの製
造に用いられているキトサンは、甲殻類の蟹殻や海老殻
からのキチンを３０〜５０％濃度の水酸化ナトリウム溶
液で処理（脱アセチル化）して製造される。このキトサ
ンを原料としてカプセルやキトサン多孔性ビーズを製造
するためには、キトサンを希酸性溶液に溶かして用いて
おり、さらに、凝固液には薬品が必要であるなど多くの
工程と各種の化学薬品を用いるなどの欠点がある。本発
明は、従来の蟹殻や海老殻からのキトサンを用いず、ま
た、キトサンを溶媒に溶解させる事なく、さらに、ビー
ズ製造装置を用いないキトサン含有中空球状素材の製造
法の開発を試みたものである。すなわち、キトサン含有
性接合菌の培養の際にアルコールストレスを作用させ直
接粒状の菌体を生育せしめ、この菌体を低濃度アルカリ
処理することによって細胞質が溶出した、キチン質が主
成分であるキトサン含有中空球状素材の開発を行ったも
のである。
造に用いられているキトサンは、甲殻類の蟹殻や海老殻
からのキチンを３０〜５０％濃度の水酸化ナトリウム溶
液で処理（脱アセチル化）して製造される。このキトサ
ンを原料としてカプセルやキトサン多孔性ビーズを製造
するためには、キトサンを希酸性溶液に溶かして用いて
おり、さらに、凝固液には薬品が必要であるなど多くの
工程と各種の化学薬品を用いるなどの欠点がある。本発
明は、従来の蟹殻や海老殻からのキトサンを用いず、ま
た、キトサンを溶媒に溶解させる事なく、さらに、ビー
ズ製造装置を用いないキトサン含有中空球状素材の製造
法の開発を試みたものである。すなわち、キトサン含有
性接合菌の培養の際にアルコールストレスを作用させ直
接粒状の菌体を生育せしめ、この菌体を低濃度アルカリ
処理することによって細胞質が溶出した、キチン質が主
成分であるキトサン含有中空球状素材の開発を行ったも
のである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、キトサン含
有性接合菌類の培養に際し、各種のアルコールストレス
を作用させると菌糸が集合した粒状の菌体が生育するこ
とを見いだした。この粒状生菌体は内部が菌体で詰まっ
ており、この粒状生菌体を低濃度熱アルカリ処理するこ
とによって菌体中の細胞質が溶出し、外殻が多孔質で内
部が中空、且つ、主成分がキチン質（キチンとキトサン
を含む）繊維から構成される中空球状素材が得られるこ
とを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。以下に本発明を詳細に説明する。
的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、キトサン含
有性接合菌類の培養に際し、各種のアルコールストレス
を作用させると菌糸が集合した粒状の菌体が生育するこ
とを見いだした。この粒状生菌体は内部が菌体で詰まっ
ており、この粒状生菌体を低濃度熱アルカリ処理するこ
とによって菌体中の細胞質が溶出し、外殻が多孔質で内
部が中空、且つ、主成分がキチン質（キチンとキトサン
を含む）繊維から構成される中空球状素材が得られるこ
とを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。以下に本発明を詳細に説明する。
【０００５】すなわち、本発明は、例えばグルコース３
０ｇ、ポリペプトン５ｇ、酵母エキス２ｇ、燐酸水素二
カリウム１ｇ、硫酸マグネシウム０．５ｇ、塩化カリウ
ム０．５ｇ、硫酸第一鉄０．０１ｇ、蒸留水１０００ｍ
ｌからなる液体培地に各種のアルコール（メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノ
ール）を所定量添加した後、Ｒｈｉｚｏｐｕｓ ａｃｅ
ｔｏｉｎｕｓ ＨＵＴ１２１９菌株を植菌し、培養を行
い粒状生育菌体を得る。各種アルコールを所定量添加す
ると生育菌体は粒状になる。培養後、本菌体に水酸化ナ
トリウム溶液を所定量添加し、オートクレーブ中で低濃
度熱アルカリ処理を行い、処理後濾過・水洗をしてアル
カリを除去し、中空球状素材を得た。この低濃度熱アル
カリ処理では、菌糸体の細胞質が溶出した繊維状アルカ
リ不溶細胞壁から構成された外殻が多孔質で内部が中空
のキトサン含有中空球状素材が得られる。 アルコール
の添加量は種類によって異なるが液体培地中の濃度とし
て０．５〜３．２％で粒状の菌体が生育する。熱アルカ
リ処理は１回（１時間）でよいが必要に応じて２〜３回
繰り返してもよい。また、低濃度熱アルカリ処理に用い
る水酸化ナトリウムの濃度は２〜４ｗｔ／ｖｏｌ％、本
菌体（乾燥）量と水酸化ナトリウム溶液の液比は１：５
０〜１００、オートクレーブ処理温度は９０〜１３０℃
の範囲で自由に選択できる。
０ｇ、ポリペプトン５ｇ、酵母エキス２ｇ、燐酸水素二
カリウム１ｇ、硫酸マグネシウム０．５ｇ、塩化カリウ
ム０．５ｇ、硫酸第一鉄０．０１ｇ、蒸留水１０００ｍ
ｌからなる液体培地に各種のアルコール（メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノ
ール）を所定量添加した後、Ｒｈｉｚｏｐｕｓ ａｃｅ
ｔｏｉｎｕｓ ＨＵＴ１２１９菌株を植菌し、培養を行
い粒状生育菌体を得る。各種アルコールを所定量添加す
ると生育菌体は粒状になる。培養後、本菌体に水酸化ナ
トリウム溶液を所定量添加し、オートクレーブ中で低濃
度熱アルカリ処理を行い、処理後濾過・水洗をしてアル
カリを除去し、中空球状素材を得た。この低濃度熱アル
カリ処理では、菌糸体の細胞質が溶出した繊維状アルカ
リ不溶細胞壁から構成された外殻が多孔質で内部が中空
のキトサン含有中空球状素材が得られる。 アルコール
の添加量は種類によって異なるが液体培地中の濃度とし
て０．５〜３．２％で粒状の菌体が生育する。熱アルカ
リ処理は１回（１時間）でよいが必要に応じて２〜３回
繰り返してもよい。また、低濃度熱アルカリ処理に用い
る水酸化ナトリウムの濃度は２〜４ｗｔ／ｖｏｌ％、本
菌体（乾燥）量と水酸化ナトリウム溶液の液比は１：５
０〜１００、オートクレーブ処理温度は９０〜１３０℃
の範囲で自由に選択できる。
【０００６】本発明のアルコール添加培養で生育する粒
状菌体量は、アルコールの種類及びその濃度によって異
なる。この生育粒状菌体を低濃度熱アルカリ処理して得
られるキトサン含有中空球状素材量は乾燥菌体量に対し
て１１．５〜５．４％である。このキトサン含有中空球
状素材の球径は、アルコールの種類やその濃度によって
なり、０．２〜２ｍｍの範囲で得られ、また、その外殻
の厚みは約４０〜７０μｍである。
状菌体量は、アルコールの種類及びその濃度によって異
なる。この生育粒状菌体を低濃度熱アルカリ処理して得
られるキトサン含有中空球状素材量は乾燥菌体量に対し
て１１．５〜５．４％である。このキトサン含有中空球
状素材の球径は、アルコールの種類やその濃度によって
なり、０．２〜２ｍｍの範囲で得られ、また、その外殻
の厚みは約４０〜７０μｍである。
【０００７】本発明のキトサン含有中空球状素材の反応
性は本中空球状素材中に含まれるキチン質量及びキトサ
ンに由来するグルコサミン残基量に関係すると考えられ
る。本キトサン含有中空球状素材のキチン質含有量（キ
チンとキトサンに由来するグルコサミン残基）は、培養
条件及びアルコールの種類等によって異なるが、乾燥中
空球状素材当り５６〜６８％である。このうち、キトサ
ンに由来するグルコサミン残基は前者の２１．２〜２
９．４％である。
性は本中空球状素材中に含まれるキチン質量及びキトサ
ンに由来するグルコサミン残基量に関係すると考えられ
る。本キトサン含有中空球状素材のキチン質含有量（キ
チンとキトサンに由来するグルコサミン残基）は、培養
条件及びアルコールの種類等によって異なるが、乾燥中
空球状素材当り５６〜６８％である。このうち、キトサ
ンに由来するグルコサミン残基は前者の２１．２〜２
９．４％である。
【０００８】
【発明の効果】本発明によるキトサン含有中空球状素材
の製造法は、生育菌体の形態的特徴をいかしたもので、
従来のカプセルやビーズの製造法を用いないで直接微生
物の培養によって製造できる。その生産は、発酵生産に
より大量に生産することが可能である。また、本中空球
は微生物のキトサン含有細胞壁を利用したもので、従来
のカプセルやビーズ製造には用いられていない新規な素
材であり、生分解性があり地球に優しい素材である。こ
の主成分はキトサンに由来するアミノ基を持つためにそ
れ自体で各種金属イオンを吸着する機能を持つと共に、
種々の薬品を付加させることが可能である。また、本中
空球状素材は外殻が多孔質で内部が中空であるために物
質の出入り、及び内包が可能であるため新規な素材とし
て開発利用できる可能性があり、広範な産業分野での利
用が期待される。
の製造法は、生育菌体の形態的特徴をいかしたもので、
従来のカプセルやビーズの製造法を用いないで直接微生
物の培養によって製造できる。その生産は、発酵生産に
より大量に生産することが可能である。また、本中空球
は微生物のキトサン含有細胞壁を利用したもので、従来
のカプセルやビーズ製造には用いられていない新規な素
材であり、生分解性があり地球に優しい素材である。こ
の主成分はキトサンに由来するアミノ基を持つためにそ
れ自体で各種金属イオンを吸着する機能を持つと共に、
種々の薬品を付加させることが可能である。また、本中
空球状素材は外殻が多孔質で内部が中空であるために物
質の出入り、及び内包が可能であるため新規な素材とし
て開発利用できる可能性があり、広範な産業分野での利
用が期待される。
【０００９】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【００１０】実施例１Ｒ．ａｃｅｔｏｉｎｕｓ ＨＵＴ １２１９菌株を用
い、アルコール添加培養について行った。培地はグルコ
ース３０ｇ、ポリペプトン５ｇ、酵母エキス２ｇ、燐酸
水素二カリウム１ｇ、硫酸マグネシウム０．５ｇ、塩化
カリウム０．５ｇ、硫酸第一鉄０．０１ｇ、蒸留水１０
００ｍｌからなる組成の培地を用いた。この培地を１Ｎ
ＨＣｌ溶液でｐＨ４．５に調整した後、５００ｍｌ容
三角フラスコに前記培地１００ｍｌを分注し、１２０
℃，１５ｍｉｎオートクレーブ滅菌した。この培地に上
記菌株の胞子１０４ｓｐｏｒｅｓ／ｍｌ接種し、各種ア
ルコールを所定量添加した。培養はロータリー型振とう
機（１８０ｒｐｍ）を用い、２８℃、１〜２日間行い、
アルコールの添加量と生育形態の影響について調べた。
その結果を表−１に示す。
い、アルコール添加培養について行った。培地はグルコ
ース３０ｇ、ポリペプトン５ｇ、酵母エキス２ｇ、燐酸
水素二カリウム１ｇ、硫酸マグネシウム０．５ｇ、塩化
カリウム０．５ｇ、硫酸第一鉄０．０１ｇ、蒸留水１０
００ｍｌからなる組成の培地を用いた。この培地を１Ｎ
ＨＣｌ溶液でｐＨ４．５に調整した後、５００ｍｌ容
三角フラスコに前記培地１００ｍｌを分注し、１２０
℃，１５ｍｉｎオートクレーブ滅菌した。この培地に上
記菌株の胞子１０４ｓｐｏｒｅｓ／ｍｌ接種し、各種ア
ルコールを所定量添加した。培養はロータリー型振とう
機（１８０ｒｐｍ）を用い、２８℃、１〜２日間行い、
アルコールの添加量と生育形態の影響について調べた。
その結果を表−１に示す。
【表−１】 表−１はＲ．ａｃｅｔｏｉｎｕｓ ＨＵＴ １２１９菌
の生育と形態に及ぼす各種アルコール添加量の影響を示
している。表−１からメタノール、エタノール、ｎ−プ
ロパノール、イソプロパノール、ｎ−ブタノール添加培
養によって生育ストレスをうけるやや下の濃度で粒状の
菌体が生育することが明かである。
の生育と形態に及ぼす各種アルコール添加量の影響を示
している。表−１からメタノール、エタノール、ｎ−プ
ロパノール、イソプロパノール、ｎ−ブタノール添加培
養によって生育ストレスをうけるやや下の濃度で粒状の
菌体が生育することが明かである。
【００１１】実施例２Ｒ．ａｃｅｔｏｉｎｕｓ ＨＵＴ １２１９菌株を用
い、アルコール添加培養について行った。培地はグルコ
ース３０ｇ、ポリペプトン５ｇ、酵母エキス２ｇ、燐酸
水素二カリウム１ｇ、硫酸マグネシウム０．５ｇ、塩化
カリウム０．５ｇ、硫酸第一鉄０．０１ｇ、蒸留水１０
００ｍｌからなる組成の培地を用いた。この培地を１Ｎ
ＨＣｌ溶液でｐＨ４．５に調整した後、５００ｍｌ容
三角フラスコに前記培地１００ｍｌを分注し、１２０
℃，１５ｍｉｎオートクレーブ滅菌した。この培地に上
記菌株の胞子１０４ｓｐｏｒｅｓ／ｍｌ接種し、各種ア
ルコールを生育ストレスのかかる濃度になるよう所定量
添加した。培地中のアルコール濃度はメタノール２．０
％、エタノール３．０％、ｎ−ブタノール０．５％、イ
ソプロパノール３．２％、ｎ−ブタノール０．６％であ
る。培養はロータリー型振とう機（１８０ｒｐｍ）を用
い、２８℃４日間行った。培養後、生育菌体を集め、熱
アルカリ処理を行った。熱アルカリ処理は乾燥菌体１ｇ
に対して４％水酸化ナトリウム５０ｍｌ加え１２０℃で
１時間行った。熱アルカリ処理後濾過・水洗を行い、凍
結乾燥をしてキトサン含有中空球状素材を得た。この中
空球状素材の糖分析の結果を表−２に示す。
い、アルコール添加培養について行った。培地はグルコ
ース３０ｇ、ポリペプトン５ｇ、酵母エキス２ｇ、燐酸
水素二カリウム１ｇ、硫酸マグネシウム０．５ｇ、塩化
カリウム０．５ｇ、硫酸第一鉄０．０１ｇ、蒸留水１０
００ｍｌからなる組成の培地を用いた。この培地を１Ｎ
ＨＣｌ溶液でｐＨ４．５に調整した後、５００ｍｌ容
三角フラスコに前記培地１００ｍｌを分注し、１２０
℃，１５ｍｉｎオートクレーブ滅菌した。この培地に上
記菌株の胞子１０４ｓｐｏｒｅｓ／ｍｌ接種し、各種ア
ルコールを生育ストレスのかかる濃度になるよう所定量
添加した。培地中のアルコール濃度はメタノール２．０
％、エタノール３．０％、ｎ−ブタノール０．５％、イ
ソプロパノール３．２％、ｎ−ブタノール０．６％であ
る。培養はロータリー型振とう機（１８０ｒｐｍ）を用
い、２８℃４日間行った。培養後、生育菌体を集め、熱
アルカリ処理を行った。熱アルカリ処理は乾燥菌体１ｇ
に対して４％水酸化ナトリウム５０ｍｌ加え１２０℃で
１時間行った。熱アルカリ処理後濾過・水洗を行い、凍
結乾燥をしてキトサン含有中空球状素材を得た。この中
空球状素材の糖分析の結果を表−２に示す。
【表−２】 表−２はＲ．ａｃｅｔｏｉｎｕｓ ＨＵＴ １２１９菌
株のアルコールストレス作用による中空球状素材の糖組
成の分析結果を示している。中空球状素材に含まれる全
グルコサミン残基量は５６．３〜６７．５％である。ま
た、キトサンに由来するグルコサミン残基量は全グルコ
サミン残基量の２１．２〜２９．４％であった。
株のアルコールストレス作用による中空球状素材の糖組
成の分析結果を示している。中空球状素材に含まれる全
グルコサミン残基量は５６．３〜６７．５％である。ま
た、キトサンに由来するグルコサミン残基量は全グルコ
サミン残基量の２１．２〜２９．４％であった。
【００１２】実施例３ 実施例２で得たキトサン含有中空球状素材の走査電子顕
微鏡による観察を行った。試料は凍結乾燥した中空球状
素材を用いた。中空球状素材の外観、外殻表面の観察は
試料台に両面テープを貼この上に試料を、また、内部観
察のためには試料を鋭利な刃物で半分に切断した後、前
述同様にして試料台に接着して金蒸着した。この調製し
た試料について検鏡を行った。その結果を写真に示す。
微鏡による観察を行った。試料は凍結乾燥した中空球状
素材を用いた。中空球状素材の外観、外殻表面の観察は
試料台に両面テープを貼この上に試料を、また、内部観
察のためには試料を鋭利な刃物で半分に切断した後、前
述同様にして試料台に接着して金蒸着した。この調製し
た試料について検鏡を行った。その結果を写真に示す。
【図１】 キトサン含有中空球状素材の外観を示す走査
電子顕微鏡写真
電子顕微鏡写真
【図２】 キトサン含有中空球状素材の外殻表面が多孔
質であることを示す走査電子顕微鏡写真
質であることを示す走査電子顕微鏡写真
【図３】 キトサン含有中空球状素材の内部が中空であ
ることを示す走査電子顕微鏡写真
ることを示す走査電子顕微鏡写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西山 昌史 香川県高松市林町2217番14 工業技術院 四国工業技術研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C08B 37/08 C12P 19/26 ＣＡ（ＳＴＮ)
Claims (2)
- 【請求項１】 外殻がキトサン含有率２０％以上のリゾ
プス属菌細胞壁繊維の多孔質集合体からなる、直径０．
２〜２．０ミリメートルの中空球状素材。 - 【請求項２】 リゾプス菌をメタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアル
コール類を所定量（０．５〜３．２％）含む液体培地で
培養して粒状の菌集合体を生育せしめ、この菌集合体を
炭酸ナトリウムもしくは水酸化ナトリウムの２〜１０ｗ
ｔ／ｖｏｌ％溶液を乾燥菌体重量に対して５０〜１００
倍量添加し、９０〜１３０℃に加熱処理したのち水洗浄
することによって得られる請求項１の中空球状素材の製
造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27167695A JP2777981B2 (ja) | 1995-09-12 | 1995-09-12 | キトサン含有繊維からなる中空球状素材、及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27167695A JP2777981B2 (ja) | 1995-09-12 | 1995-09-12 | キトサン含有繊維からなる中空球状素材、及びその製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0977803A JPH0977803A (ja) | 1997-03-25 |
| JP2777981B2 true JP2777981B2 (ja) | 1998-07-23 |
Family
ID=17503330
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27167695A Expired - Lifetime JP2777981B2 (ja) | 1995-09-12 | 1995-09-12 | キトサン含有繊維からなる中空球状素材、及びその製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2777981B2 (ja) |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| SI1711058T1 (sl) | 2004-01-23 | 2022-02-28 | Eden Research Plc, | Postopki za uničevanje nematod, ki obsega uporabo terpenske komponente |
| AP2919A (en) | 2004-05-20 | 2014-05-31 | Eden Research Plc | Compositions containing a hollow glucan particle or a cell wall particle encapsulating a terpene component, methods of making and using them |
| TW201016223A (en) * | 2008-10-16 | 2010-05-01 | Univ Nat Chiao Tung | Hollow sphere of amphiphilic chitosan derivatives and amphiphilic chitosan derivative complex for medical use |
| CN104759242B (zh) * | 2015-03-31 | 2016-12-07 | 浙江工业大学 | 一种利用酵母菌合成金属有机骨架中空结构胶囊的方法 |
| CN110551709B (zh) * | 2019-08-30 | 2023-02-14 | 华南理工大学 | 一种纳米纤维素基3d打印的乳酸菌包埋材料及其制备方法与应用 |
-
1995
- 1995-09-12 JP JP27167695A patent/JP2777981B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0977803A (ja) | 1997-03-25 |
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