JP5363159B2 - 炭素質膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素質膜及びその製造方法に関し、特に官能基を有する炭素質膜及びその製造方法に関する。
ダイヤモンド様膜(DLC膜)に代表される炭素質膜は、硬く緻密で且つ不活性な表面を有しているため、金属やセラミックス等の無機系材料及び樹脂等の有機系材料等からなる基材の表面に形成することにより基材の表面に耐摩耗性、耐蝕性及び表面平滑性等の性質を付与することができる。
例えば、金型や治工具の表面をDLC膜によりコーティングすることにより、耐久性を向上させたり、離型性を向上させたりすることが知られている。また、非常に平滑で不活性な表面であるため、生体物質との相互作用を嫌う医療用器具の基材を表面処理する方法としても期待されている。
近年では、DLC膜等の炭素質膜をさらに改質してより優れた特性を付与することも検討されている。例えば、炭素質膜の表面を修飾する方法として、プラズマ照射により炭素質膜の表面に官能基を導入する方法がある(例えば、特許文献1を参照。)。炭素質膜の表面にアミノ基及びカルボキシル基等の官能基を導入することにより、表面のぬれ性を改善して防汚性を向上させたり、生体適合性を向上させたりすることが検討されている。また、炭素質膜の表面に導入した官能基を用いて抗血栓性の薬剤等の種々の物質をDLC膜の表面に結合させることが検討されている。
国際公開第2005/97673号パンフレット
しかしながら、前記従来のプラズマ照射による炭素質膜への官能基の導入には、官能基の導入量が大きくばらつくという問題がある。プラズマを照射してもほとんど官能基が導入できない場合が多く、官能基の導入による炭素質膜の改質を十分行うことができない。また、官能基の導入量を多くできる場合が偶然あっても再現性が乏しい。このため、安定して製品を供給することが困難であるという問題がある。
本願発明者らは、炭素質膜への官能基の導入量が炭素質膜の表面における元素の結合状態に影響を受けることを見出した。本願は、この知見に基づき、炭素質膜へのプラズマ照射による官能基の導入を効率良く行うことができるようにすることを目的等する。
具体的に、本発明に係る炭素質膜は、基材の表面に形成された炭素質膜本体と、炭素質膜本体の表面に導入された官能基とを備え、炭素質膜本体は、少なくとも表面側の部分において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含むことを特徴とする。
本願発明者らは、炭素−水素結合よりも炭素−炭素結合が多い場合にプラズマ照射による官能基の導入が効率良く行われることを見出した。本発明の炭素質膜は、少なくとも表面側の部分において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む。このため、炭素質膜の表面への官能基の導入量を多くすることができると共に、再現性良く官能基を導入することが可能となる。
本発明の炭素質膜において、炭素質膜本体は、基材側の部分において表面側の部分よりも炭素−水素結合を多く含む構成としてもよい。
この場合において、炭素質膜本体は、基材側に形成され、炭素−水素結合を炭素−炭素結合よりも多く含む第1の層と、表面側に形成され、炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む第2の層とを有している構成としてもよい
本発明の炭素質膜において、官能基は、アミノ基及びカルボキシル基の少なくとも一方を含む構成とすればよい。
この場合において、官能基はアミノ基を含み、炭素質膜本体の表面における炭素に対する窒素の比率は、0.16以上とすればよい。また、官能基はカルボキシル基を含み、炭素質膜本体の表面における炭素に対する酸素の比率は、0.18以上としてもよい。
本発明に係る炭素質膜の製造方法は、少なくとも表面において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む炭素質膜本体を基材の表面に成膜する工程(a)と、炭素質膜本体にプラズマを照射することにより炭素質膜本体の表面に官能基を導入する工程(b)とを備えていることを特徴とする。
本発明の炭素質膜の製造方法は、少なくとも表面において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む炭素質膜本体にプラズマを照射する。このため、炭素−水素結合を炭素−炭素結合よりも多く含む炭素質膜と比べて、官能基導入量が多い炭素質膜を得ることができる。
本発明の炭素質膜の製造方法において、工程(a)では、スパッタ法を用いて炭素質膜本体を成膜すればよい。
本発明の炭素質膜の製造方法において、工程(a)では、基材側の部分において炭素−水素結合を炭素−炭素結合よりも多く含み、表面側の部分において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含むように炭素質膜本体を成膜してもよい。
この場合において、工程(a)では、化学気相堆積法を用いて炭素−水素結合を炭素−炭素結合よりも多く含む第1の層を形成した後、スパッタ法を用いて炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む第2の層を形成してもよい。
本発明の炭素質膜の製造方法において、工程(b)では、アンモニアプラズマ及び酸素プラズマの少なくとも一方を照射すればよい。
本発明に係る炭素質膜及びその製造方法によれば、炭素質膜へのプラズマ照射による官能基の導入を効率良く行うことが可能となる。
まず、炭素質膜への官能基導入量に影響を与えるパラメータについて説明する。以下において、炭素質膜とは、ダイヤモンド様膜(DLC膜)に代表されるsp2炭素−炭素結合、sp3炭素−炭素結合、sp2炭素−水素結合及びsp3炭素−水素結合を有するアモルファス膜をいう。
本願発明者らは、炭素質膜の組成とプラズマ照射による官能基の導入量との関係を鋭意検討した結果、炭素質膜の表面に導入される官能基の量は、炭素質膜の表面における炭素−炭素結合の量に依存することを見出した。
図1(a)〜(c)は、それぞれ異なる方法により形成した炭素質膜についてのX線光電子分光分析法(XPS)測定の結果を示している。図1(a)はスパッタ法により形成した炭素質膜についての測定結果であり、(b)はアセチレン(C22)を原料ガスとして化学気相堆積(CVD)法により形成した炭素質膜についての測定結果であり、(c)はメタン(CH4)を原料ガスとしてCVD法により形成した炭素膜についての測定結果である。
スパッタ法による炭素質膜の形成条件は、ターゲットに200Wの高周波電力を印加し、チャンバ内の圧力を0.15Paとした。また、形成時における基材の温度は約0℃〜250℃の範囲で可変した。
CVD法による炭素質膜の形成は、チャンバ内にC22又はCH4を流量が150sccm(cm3/分、但し1気圧、0℃)で、圧力が2Paとなるように導入し、高周波電極に100W〜500Wの高周波電力を印加することにより炭素質膜の堆積を行った。
XPS測定は、日本電子製のXPS装置JPS9010を用いて行った。X線源には、AlKα線(1486.3eV)を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を10mAとし、真空度が8×10-7Paの条件で測定を行った。また、得られたスペクトルのバックグラウンドはShirley法により除去した。試料の測定においては、0.2eVのチャージシフトが解析精度に影響を与える。このため、金のナノ粒子を試料表面の一部に滴下して乾燥させ、金の結合エネルギー(Au4f7/2)からのシフト量をまず求め、チャージの補正を行った。また、X線の入射角は45度とし、表面から4nm程度の深さまでの部分について測定した。
図1に示したように、スパッタ法により形成した炭素質膜と比べて、CVD法により形成した炭素質膜は、炭素の1s(C1s)ピークの位置が高エネルギー側に移動している。C1sピークの位置のずれは、炭素質膜の表面に存在する水素の量が関係していると考えられる。
図1にはC1sスペクトルをカーブフィッティングにより分割した結果も示している。カーブフィッティングは、sp3炭素−炭素結合(sp3C−C)のピークの中心を283.7eV〜283.8eVとし、sp2炭素−炭素結合(sp2C−C)のピークの中心を284.2eV〜284.3eVとし、sp2炭素−水素結合(sp2C−H)のピークの中心を284.7eV〜284.8eVとし、sp3炭素−水素結合(sp3C−H)のピークの中心を285.3eV〜285.4eVとして4つの成分に分割した。さらに、高エネルギー側に残されたピークを炭素−酸素結合(C−Ox)成分として分割した。
図1に示すようにスパッタ法により形成した炭素質膜は、CVD法により形成した炭素質膜よりも炭素−炭素結合(C−C結合)が多く炭素−水素結合(C−H)結合が少ない。また、CVD法の場合、CH4を用いた場合の方がC22を用いた場合よりもC−C結合が少なく、C−H結合が多くなっている。
図2(a)及び(b)は、種々の方法により得られた表面における炭素−炭素結合の量が異なる炭素質膜にプラズマを照射した場合の官能基の導入量を示している。(a)はアンモニアプラズマを照射した場合のアミノ基の導入量を示し、(b)は酸素プラズマを照射した場合のカルボキシル基の導入量を示している。
プラズマ照射は平行平板型のプラズマ照射装置により行った。プラズマ照射装置のチャンバ内に炭素質薄膜を形成した基材をセットした後、チャンバ内の圧力を1×10-3Pa以下まで排気する。次に、チャンバ内にガスを所定の流量で導入し、平行平板電極の間に100Wの高周波電力を印加することによりプラズマを発生させた。ガス流量の調整はマスフローコントローラにより行い、プラズマ照射時のチャンバ内圧力は4Paとした。高周波電力は、マッチングボックスを介して接続された高周波電源を用いて印加した。アミノ基の導入にはアンモニアを用い、カルボキシル基の導入には酸素を用いた。プラズマ照射時間は15秒とした。
アミノ基の導入量は、XPS測定において得られた窒素の1s(N1s)ピークの面積とC1sピークの面積との比率を指標として示している。プラズマ照射後の炭素質膜に導入された窒素がどのような状態となっているかは明確ではない。しかし、アミノ基及びアミド基等の窒素を含む官能基(窒素性官能基)を形成していると考えられる。窒素性官能基の詳細な分析は困難であるが、XPS測定においてN1sピークは、398.9eVに出現していることからも、主にアミノ基が導入されていると考えられる。以下においては、窒素の導入量をアミノ基の導入量として説明する。
カルボキシル基の導入量は、XPS測定において得られた酸素の1s(O1s)ピークの面積とC1sピークの面積との比率を指標として示している。厳密にはカルボキシル基以外の水酸基等も形成されている可能性があるが、以下においては、酸素の導入量をカルボキシル基の導入量として説明する。
図2の横軸はC1sピークのカーブフィッティングにより求めた炭素−水素結合のピーク面積([C−H])と炭素−炭素結合のピーク面積([C−C])との比である。炭素−水素結合のピーク面積はsp2炭素−水素結合のピーク面積及びsp3炭素−水素結合のピーク面積の和とし、炭素−炭素結合のピーク面積はsp2炭素−炭素結合のピーク面積及びsp3炭素−炭素結合のピーク面積の和とした。
図2(a)に示すように、炭素質膜の表面における炭素−水素結合の炭素−炭素結合に対する比率が1.0未満となり、炭素質膜に含まれる炭素−炭素結合の量が炭素−水素結合の量よりも多くなるとアミノ基の導入量が大きく増加している。また、図2(b)に示すように、炭素−水素結合の炭素−炭素結合に対する比率が1.0未満となるとカルボキシル基の導入量も大きく増加している。
炭素質膜の表面において炭素−炭素結合が炭素−水素結合よりも多い場合に官能基の導入量が多くなる理由は、以下のように推定される。炭素−水素結合の結合エネルギーは、炭素−炭素結合の結合エネルギーよりも大きい。このため、炭素−水素結合は炭素−炭素結合と比べてプラズマ照射により切断されにくい。従って、切断されにくい炭素−水素結合が多い場合には官能基の導入量が少なくなり、切断されやすい炭素−炭素結合が多い場合には官能基の導入量が多くなると考えられる。
図3(a)及び(b)は、sp2炭素−炭素結合とsp3炭素−炭素結合との比率([sp2C−C]/[sp3C−C])と官能基の導入量との関係を示している。(a)はアミノ基の導入量を示し、(b)はカルボキシル基の導入量を示している。図3に示すようにsp2炭素−炭素結合のsp3炭素−炭素結合に対する比率が小さいほどアミノ基の導入量及びカルボキシル基の導入量が増加している。特に、sp2炭素−炭素結合のsp3炭素−炭素結合に対する比率が3よりも小さい場合に官能基の導入量が多くなっている。sp2炭素−炭素結合とsp3炭素−炭素結合とを比較すると、sp3炭素−炭素結合の方がsp2炭素−炭素結合よりも結合エネルギーが小さい。このため、sp3炭素−炭素結合が多い方がより多くの官能基が導入できると考えられる。
以上の結果に基づいて実現した、官能基を有する炭素質膜100の例を図4に示す。図4に示すように、基材101の表面を覆う炭素質膜本体103が形成されている。炭素質膜本体103は、炭素−水素結合よりも炭素−炭素結合の量が多い炭素質膜である。炭素質膜本体103の表面には官能基導入層103aが形成されており、炭素質膜本体103を構成する炭素と結合した官能基105が導入されている。官能基105としてカルボキシル基(−COOH)を導入すれば、親水性が高い炭素質膜を実現できる。これにより、炭素質膜の防汚性を向上させたり、生体適合性を向上させたりすることができる。また、アミノ基(−NH2)を導入すれば正に帯電した炭素質膜が得られ、細胞との親和性を向上させることができる。カルボキシル基又はアミノ基を用いて抗血栓性の薬剤等を炭素質膜に結合することも容易となる。
細胞培養用のマイクロアレイ等においては、マイクロアレイの表面の電位を制御することが必要であることが知られている。カルボキシル基とアミノ基の両方を導入することにより、炭素質膜の表面の電位を任意に操作することが可能となるため、マイクロアレイ等の用途にも有用である。特に、炭素質膜の表面のゼータ電位を正にしようとすると、炭素質膜の表面のアミノ基導入量(N/Cの値)を少なくとも0.16程度とする必要がある。従来、このようなアミノ基導入量が多い炭素質膜を再現性良く得ることは困難であった。しかし、[C−H]/[C−C]の値が小さい炭素質膜を用いることによりアミノ基導入量が多い炭素質膜を再現性良く得ることが可能となる。
炭素−水素結合が少ない炭素質膜は、炭素−水素結合が多い炭素質膜と比べ靭性に劣る。このため、炭素−水素結合よりも炭素−炭素結合が多い炭素質膜をステント等の変形する基材の表面に形成すると、剥離が生じるおそれがある。このため、図5に示すように炭素−炭素結合よりも炭素−水素結合が多い炭素質膜である第1の層107を形成した後、その上に炭素−水素結合よりも炭素−炭素結合が多い炭素質膜である第2の層108を形成する構成としてもよい。図5は、炭素質膜を2層とした例を示したが、3層以上としてもよい。また、炭素−水素結合の量が基材側の部分において表面側の部分よりも多ければよく、連続的に組成が変化する構成としてもよい。
炭素−炭素結合よりも炭素−水素結合が多い第1の層107は、例えばプラズマCVD法により形成すればよい。原料ガスに含まれる水素を多くすればより多くの炭素−水素結合を有する炭素質膜が得られる。炭素−水素結合よりも炭素−炭素結合が多い第2の層108は、例えばスパッタ法等により形成すればよい。
このようにすれば成膜時間を短縮できるという効果も得られる。スパッタ法は成膜速度が遅い。このため、厚い炭素質膜を形成しようとすると成膜に時間がかかる。CVD法を用いて比較的厚い第1の層107を形成した後、第1の層107の上に比較的薄い第2の層108をスパッタ法を用いて形成すれば、成膜時間を短縮することができる。表面の官能基導入量を高くするためには、第2の層108の膜厚は数nmから十数nm程度あれば十分である。
プラズマCVDとスパッタとを行える装置を用いれば第1の層107と第2の層108とを連続的に形成することができる。但し、第1の層107を堆積した後、異なるチャンバーを用いて第2の層108を形成してもよい。
また、スパッタ法においても、成膜条件によっては炭素−水素結合が比較的多い炭素質膜が得られる。例えば、成膜温度を250℃とすれば[C−H]/[C−C]の値が0.2程度の炭素質膜が得られ、成膜温度を0℃とすれば[C−H]/[C−C]の値が0.6程度の炭素質膜が得られた。チャンバ内の水分がさらに多い条件で成膜を行えば[C−H]/[C−C]の値をより大きくすることが可能である。逆に、基材の加熱等の脱水素処理を徹底して行うことにより[C−H]がさらに少ない炭素質膜が得られる。このように、第1の層107及び第2の層108を成膜条件が異なるスパッタ法により形成することも可能である。また、第2の層108における[C−H]/[C−C]の値をさらに小さくすることも可能である。
一方、プラズマCVD法の場合においても、アセチレン等の水素が少ない原料ガスを用い且つチャンバー内の水分を十分に除去してやることにより炭素−水素結合よりも炭素−炭素結合が多い第2の層108を形成することが可能である。
炭素質薄膜へのプラズマ照射をアンモニアとした場合と酸素とした場合とを示したが、他のプラズマを照射してもよい。また、混合ガスにより発生させたプラズマを照射してもよい。また、2段階以上のプラズマ照射を行ってもよい。例えば、アミノ基を導入するためには、少なくとも1つの照射段階をアンモニアプラズマの照射とすればよい。アセチレン(C22)又はベンゼン(C66)等の炭化水素系のプラズマを照射した後、アンモニアプラズマを照射してもよい。また、炭化水素系のプラズマに代えてアルゴン(Ar)等の不活性ガスのプラズマを用いてもよい。また、アンモニアプラズマの照射と酸素プラズマの照射とを行うことにより、アミノ基とカルボキシル基とを導入することが可能となる。また、アンモニアと酸素との混合ガスを用いてもよい。
基材にはどのようなものを用いてもよい。例えば、鉄、ニッケル、クロム、銅、チタン、白金、タングステン又はタンタル等の金属を基材として用いることができる。また、これらの合金である、SUS316L等のステンレス鋼、Ti−Ni合金若しくはCu−Al−Mn合金等の形状記憶合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、チタン合金、タンタル合金、プラチナ合金又はタングステン合金等の合金を用いることもできる。また、アルミニウム、シリコン若しくはジルコニウム等の酸化物、窒化物若しくは炭化物等の生体不活性なセラミックス又はアパタイト若しくは生体ガラス等の生体活性を有するセラミックスでもよい。さらに、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、高密度ポリエチレン若しくはポリアセタール等の高分子樹脂又はポリジメチルシロキサン等のシリコンポリマー若しくはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー等であってもよい。
また、形状もどのような形状であってもよく、ステント、カテーテル、ガイドワイヤ又は人工心臓等の医療器具等の状態に成形されたものであっても、成形前の材料の状態であってもよい。また、医療用材料以外の分野においても利用することができる。
本発明に係る炭素質膜及びその製造方法は、炭素質膜へのプラズマ照射による官能基の導入を効率良く行うことができ、医療用材料等に用いることができる官能基を有する炭素質膜及びその製造方法等として有用である。
(a)〜(c)は種々の方法により作成した炭素質膜のX線光電子分光分析法による測定結果である。 (a)及び(b)は炭素質膜における炭素−炭素結合の量と官能基の導入量との関係を示すグラフであり、(a)はアミノ基の導入量であり、(b)はカルボキシル基の導入量である。 (a)及び(b)は炭素質膜におけるsp3炭素−炭素結合の量と官能基の導入量との関係を示すグラフであり、(a)はアミノ基の導入量であり、(b)はカルボキシル基の導入量である。 例示の炭素質膜を示す断面図である。 例示の炭素質膜を示す断面図である。
101 基材
100 炭素質膜
103 炭素質膜本体
103a 官能基導入層
105 官能基
107 第1の層
108 第2の層

Claims (13)

  1. 基材の表面に形成された炭素質膜本体と、
    前記炭素質膜本体の表面に導入された官能基とを備え、
    前記炭素質膜本体は、少なくとも表面側の部分において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含み、
    前記官能基はアミノ基を含み、
    前記炭素質膜本体の表面における炭素に対する窒素のモル比率は、0.16以上であることを特徴とする炭素質膜。
  2. 前記官能基はカルボキシル基を含み、
    前記炭素質膜本体の表面における炭素に対する酸素のモル比率は、0.18以上であることを特徴とする請求項1に記載の炭素質膜。
  3. 基材の表面に形成された炭素質膜本体と、
    前記炭素質膜本体の表面に導入された官能基とを備え、
    前記炭素質膜本体は、少なくとも表面側の部分において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含み、
    前記官能基はカルボキシル基を含み、
    前記炭素質膜本体の表面における炭素に対する酸素のモル比率は、0.18以上であることを特徴とする炭素質膜。
  4. 前記炭素質膜本体は、基材側の部分において表面側の部分よりも炭素−水素結合を多く含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素質膜。
  5. 前記炭素質膜本体は、基材側に形成され、炭素−水素結合を炭素−炭素結合よりも多く含む第1の層と、表面側に形成され、炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む第2の層とを有していることを特徴とする請求項4に記載の炭素質膜。
  6. 少なくとも表面において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む炭素質膜本体を基材の表面に成膜する工程(a)と、
    前記炭素質膜本体にプラズマを照射することにより前記炭素質膜本体の表面に官能基を導入する工程(b)とを備え、
    前記官能基はアミノ基を含み、
    前記炭素質膜本体の表面における炭素に対する窒素のモル比率は、0.16以上であることを特徴とする炭素質膜の製造方法。
  7. 前記官能基はカルボキシル基を含み、
    前記炭素質膜本体の表面における炭素に対する酸素のモル比率は、0.18以上であることを特徴とする請求項6に記載の炭素質膜の製造方法。
  8. 前記工程(b)では、アンモニアプラズマ又はアンモニアを含む混合ガスのプラズマを照射することを特徴とする請求項6又は7に記載の炭素質膜の製造方法。
  9. 少なくとも表面において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む炭素質膜本体を基材の表面に成膜する工程(a)と、
    前記炭素質膜本体にプラズマを照射することにより前記炭素質膜本体の表面に官能基を導入する工程(b)とを備え、
    前記官能基はカルボキシル基を含み、
    前記炭素質膜本体の表面における炭素に対する酸素のモル比率は、0.18以上であることを特徴とする炭素質膜の製造方法。
  10. 前記工程(b)では、酸素又は酸素を含む混合ガスのプラズマを照射することを特徴とする請求項9に記載の炭素質膜の製造方法。
  11. 前記工程(a)では、スパッタ法を用いて前記炭素質膜本体を成膜することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の炭素質膜の製造方法。
  12. 前記工程(a)では、基材側の部分において炭素−水素結合を炭素−炭素結合よりも多く含み、表面側の部分において炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含むように前記炭素質膜本体を成膜することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の炭素質膜の製造方法。
  13. 前記工程(a)では、化学気相堆積法を用いて炭素−水素結合を炭素−炭素結合よりも多く含む第1の層を形成した後、スパッタ法を用いて炭素−炭素結合を炭素−水素結合よりも多く含む第2の層を形成することを特徴とする請求項12に記載の炭素質膜の製造方法。
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