従来から、トライアックやサイリスタなどの無接点スイッチ素子を用いた照明装置用の負荷制御装置が実用化されている。これらの負荷制御装置は、省配線の見地から、2線式結線が一般的であり、商用の交流電源と負荷との間に直列に接続される。このように交流電源と負荷との間に直列に接続される負荷制御装置においては、如何にして自己の回路電源を確保するかが問題となる。
図19に示す第1従来例の負荷制御装置50は、交流電源2と負荷3との間に直列に接続され、主開閉部51と、整流部52と、制御部53と、制御部53に安定した電源を供給するための第1電源部54と、負荷3への電力停止状態のときに第1電源部54へ電力を供給する第2電源部55と、負荷3への電力供給が行われているときに第1電源部54へ電力を供給する第3電源部56と、負荷電流のうち微小電流の通電を行う補助開閉部57などで構成されている。主開閉部51のスイッチ素子51aは、トライアックで構成されている。
負荷3へ電力供給が行われていない負荷制御装置50のオフ状態では、交流電源2から負荷制御装置50に印加される電圧は、整流部52を介して第2電源部55に供給される。第2電源部55は、抵抗とツェナーダイオードで構成された定電圧回路である。このときに負荷3に流れる電流は、負荷3が誤動作しない程度の微小電流であり、制御部53の消費電流は小さく、第2電源部55のインピーダンスは高く維持されるように設定されている。
一方、負荷3へ電力供給が行われている負荷制御装置50のオン状態では、制御部53からの制御信号により第3電源部56がオンし、負荷制御装置50のインピーダンスが低下して負荷3に流れる電流量が増加すると共に、第3電源部56に流れる電流は第1電源部54にも流れ、バッファコンデンサ59の充電を開始する。バッファコンデンサ59の充電電圧が所定の閾値よりも高くなると、第3電源部56を構成するツェナーダイオード56aがブレークダウンして電流が流れ始め、補助開閉部57のゲートに電流が流れ込み、補助開閉部57が導通する(閉状態)。その結果、整流部52から第3電源部56に流れていた電流は補助開閉部57へ転流し、さらに主開閉部51のスイッチ素子51aのゲートに流れ込み、主開閉部51が導通する(閉状態)。そのため、負荷61に対してほぼ全ての電力が供給される。一旦、主開閉部51が導通する(閉状態)と電流を流し続けるが、交流電流がゼロクロス点に達したときにスイッチ素子51aは自己消弧し、主開閉部51が非導通(開状態)になる。主開閉部51が非導通(開状態)になると、再び整流部52から第3電源部56を経て第1電源部54に電流が流れ、負荷制御装置50の自己回路電源を確保する動作を行う。すなわち、交流の1/2周期ごとに、負荷制御装置50の自己回路電源確保、補助開閉部57の導通及び主開閉部51の導通動作が繰り返される。
図20に示す第2従来例の負荷制御装置60は、交流電源2と負荷3との間に直列に接続され、主開閉部61と、整流部62と、制御部63と、制御部63に安定した電源を供給するための第1電源部64と、負荷3への電力停止状態のときに第1電源部64へ電力を供給する第2電源部65と、負荷3への電力供給が行われているときに第1電源部64へ電力を供給する第3電源部66と、負荷電流のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部67などで構成されている。主開閉部61のスイッチ素子61aとしてMOSFETを用いており、白熱灯を制御対象負荷としている。
負荷3に電力を供給する場合、外部入力される調光レベルに応じた期間だけ主開閉部61のスイッチ素子61aを導通させるが、ゼロクロス検出部67が電圧のゼロクロス点を検出するタイミングでスイッチ素子61aを導通させ(閉状態)、上記期間経過後にスイッチ素子61aを非導通(開状態)にさせる。主開閉部61が非導通(開状態)の間、上記第1従来例と同様に負荷制御装置60の自己回路電源が確保される。主開閉部61が非導通(開状態)にされると、再びゼロクロス検出部67がゼロクロス点を検出し、スイッチ素子61aを導通(閉状態)にさせる動作を交流の1/2周期ごとに繰り返す。
第1従来例の負荷制御装置50のように主開閉部51のスイッチ素子がトライアックやサイリスタの場合、負荷3に電力を供給する際に発生するノイズを低減するため、及び負荷3への電力供給を停止する際に電源2から伝播されるノイズによる誤動作を防止するために、フィルタを設ける必要があるが、フィルタを構成するコイル58の大きさやコイルによる発熱が問題となり、負荷制御装置の小型化が困難である。
フィルタを用いずに負荷制御装置によるノイズを低減するために、例えば特許文献1に記載された負荷制御装置(第3従来例)では、主開閉部のスイッチ素子の他に、このスイッチ素子(第1スイッチ部)よりもオン抵抗の大きい第2スイッチ部を設け、第2スイッチ部をオンさせた後第1スイッチ部をオンさせるようにしている。しかしながら、このような第3従来例では、スイッチ素子の数が多くなり、回路構成が複雑になると共に、スイッチオンのタイミングの制御が複雑になる。
また、第2従来例の負荷制御装置60のように主開閉部61のスイッチ素子61aがトランジスタの場合、負荷が白熱灯のような負荷電流と負荷電圧が同位相(力率1)になる負荷に限定される。
さらに、主開閉部のスイッチ素子として用いられるトライアックやトランジスタはSiで構成され、素子の縦方向に電流が流れる縦型が一般的である。トライアックの場合、通電経路にPNジャンクションが存在するため、通電時にこの障壁を乗り越えるために損失が発生する。また、トランジスタの場合、2つの素子を逆方向に接続する必要があること、及び耐電圧維持層となる低キャリア濃度層の抵抗が高いため、通電時に損失が発生する。これらの損失によりスイッチ素子自体の発熱が大きく、大型のヒートシンクを必要とするため、負荷制御装置の大容量化や小型化の妨げとなっていた。一般的に、このような負荷制御装置は、壁面に設けられた金属製のボックスなどに収納されて使用されるが、従来の負荷制御装置では小型化には限界があるため、現在一般的に使用されているボックスの大きさでは、負荷制御装置と他のセンサやスイッチなどとの併用ができない。従って、一般的な大きさのボックスにおいて、負荷制御装置と他のセンサやスイッチなどの併設を可能にするために、負荷制御装置のさらなる小型化が求められている。
また、上記従来の負荷制御装置において、例えば負荷が照明装置の豆電球等の低容量である場合、バッファコンデンサ59への充電に時間を要する。そのため、バッファコンデンサ59の充電電圧が所定の閾値よりも高くなった時点で交流電源の1/2周期を超えていることもあり、主開閉部のオン/オフのタイミングを正確に制御できず、負荷の動作にゆらぎが発生する場合もあるという問題点を有している。
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、スイッチ素子の点数を削減しつつ、開閉タイミングを正確に制御して、ゆらぎを防止できる負荷制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、交流電源と負荷の間に直列に接続される2線式の負荷制御装置であって、トランジスタ構造のスイッチ素子を有し、負荷に対して電源の供給を制御する主開閉部と、サイリスタ構造のスイッチ素子を有し、前記主開閉部が非導通のときに、負荷に対して電源の供給を制御する補助開閉部と、前記主開閉部及び前記補助開閉部の開閉を制御する制御部と、前記主開閉部の両端から整流部を介して電力供給され、前記制御部に安定した電圧を供給する第1電源部と、前記主開閉部の両端から整流部を介して電力供給され、負荷への電力供給を停止しているときに、前記第1電源部への電源を供給する第2電源部と、前記主開閉部又は前記補助開閉部が閉状態で、負荷への電力供給を行っているときに、前記第1電源部への電源を供給する第3電源部と、前記第3電源部に入力される電圧を検出する電圧検出部と、負荷電流のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部を備え、前記制御部は、負荷へ電力を供給しているとき、前記ゼロクロス検出部が負荷電流のゼロクロス点を検出した後所定の待ち限度時間内に前記電圧検出部が前記第3電源部に入力される電圧が所定の閾値に達したことを検出した場合、前記主開閉部を導通させるための主開閉部駆動信号を立ち上げ、前記ゼロクロス検出部が負荷電流のゼロクロス点を検出してから負荷電流の半周期未満の所定時間の経過後、前記主開閉部駆動信号を立ち下げ、負荷へ電力を供給しているとき、前記待ち限度時間内に前記電圧検出部が前記第3電源部に入力される電圧が所定の閾値に達したことを検出しなかった場合、前記待ち限度時間が経過した後前記主開閉部駆動信号を立ち上げ、前記ゼロクロス検出部が負荷電流のゼロクロス点を検出してから負荷電流の半周期未満の所定時間の経過後、前記主開閉部駆動信号を立ち下げることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の負荷制御装置において、前記待ち限度時間は、電源周期の1/4以下であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の負荷制御装置において、前記制御部は、前記主開閉部が非導通のときに前記補助開閉部を所定時間導通させることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の負荷制御装置において、前記補助開閉部に流れる電流を検出する電流検出部をさらに備え、前記制御部は、所定の閾値以上の電流が前記補助開閉部に流れると、一旦前記主開閉部を導通状態とし、その後、前記主開閉部が非導通となる際に、前記補助開閉部を導通させることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の負荷制御装置において、前記主開閉部を駆動する駆動回路をさらに備え、前記主開閉部は、前記交流電源及び前記負荷に対し直列に接続され、それぞれ接続点に対し制御電圧が印加されるゲートを1箇所ずつ有し、耐電圧部を1箇所とする横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載の負荷制御装置において、前記駆動回路は、前記制御部からの駆動信号に応じて、前記交流電源及び前記負荷にそれぞれ接続される点の電位を基準にして、前記制御部とは電気的に絶縁された電力を、前記主スイッチ素子のゲート部に供給し、前記主スイッチ素子を駆動することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載の負荷制御装置において、前記駆動回路は、前記主スイッチ素子のデュアルゲートに対応して2組設けられ、発光部及び受光部を有する光絶縁半導体スイッチ素子で構成され、前記発光部は前記制御部に接続されて駆動信号が入力され、前記受光部は、前記発光部から出力された光が入射すると光電変換を行い、前記受光部で発電された電力が、前記交流電源及び前記負荷が接続される点をそれぞれ基準として、前記主スイッチ素子のゲート端子に正の電位が印加されるように接続されていることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6に記載の負荷制御装置において、前記駆動回路は、前記制御部に接続された1次側コイルと、前記主スイッチ素子のデュアルゲートに対応して2組設けられ、整流回路を介して前記主スイッチ素子のゲート電極に接続された2組の2次側コイルを有するトランスで構成され、前記制御部からの駆動信号に応じて前記1次側コイルに交流電流が流れたときに、前記2次側コイルに発生した起電力を整流した電力により、前記交流電源及び前記負荷が接続される点をそれぞれ基準として、前記主スイッチ素子のゲート端子に正の電位が印加されることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項5に記載の負荷制御装置において、前記駆動回路は、前記主スイッチ素子のデュアルゲートに対応してそれぞれ2組設けられ、第1電源部に接続されたダイオードと、一端がそれぞれの電力線に接続され、他端が前記ダイオードに接続されたコンデンサと、前記ダイオードと前記コンデンサの接続点と前記主開閉部の主スイッチ素子の各ゲート端子との間に接続された駆動スイッチ素子で構成され、前記駆動スイッチ素子を前記制御部からの信号により導通させることで、前記主開閉部に駆動電力を供給することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項9に記載の負荷制御装置において、前記駆動回路における駆動スイッチ素子は、前記制御部から駆動信号によって光を出力する発光部と、前記発光部から出力された光を受光して導通する受光部で構成された光絶縁半導体スイッチ素子であり、前記受光部が導通することによって、前記第1電源の電力を利用して前記主開閉部に駆動電力を供給することを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項7又は請求項10に記載の負荷制御装置において、前記駆動回路における2つの前記光絶縁半導体スイッチ素子の発光部が直列に接続されていることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の負荷制御装置において、前記駆動回路は、前記主スイッチ素子のゲート電極と前記駆動スイッチ素子が接続される接続点と、前記ゲート電極の基準となる電力線との間に接続されたコンデンサをさらに備えたことを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項5又は請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の負荷制御装置において、前記整流部の交流ラインが接続される点と、そのマイナス出力点との間に接続された同期スイッチ素子を有し、前記主開閉部が閉となる動作に同期して、前記同期スイッチ素子が閉となる動作を行うことを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項13に記載の負荷制御装置において、前記駆動スイッチ素子は、サイリスタ又はトライアック構造を有し、前記駆動スイッチ素子は、前記負荷制御装置のいずれかの電源部とは絶縁された信号で駆動されることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、電圧検出部が第3電源部に入力される電圧が所定の閾値に達したことを検出すると、制御部は、主開閉部を導通させる(閉状態にさせる)ので、交流電源の1/2周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部から負荷に電力を供給することになる。また、主開閉部の導通開始の待ち時間に制限を設けているので、例えば低負荷時において第3電源部に入力される電圧が所定の閾値に達するのが過度に遅延する場合であっても、待ち限度時間の経過後主開閉部が導通される。これにより、主開閉部を1/2周期ごとに安定して開閉動作させることが可能となり、例えば負荷として照明器具を適用する場合、豆電球点灯等の低負荷時のゆらぎ点灯を防止できるようになる。なお、主開閉部に用いられるトランジスタ構造のスイッチ素子は、低負荷時においては能動状態となるため抵抗を持つこととなる。しかしながら、このような低負荷時においては、スイッチ素子に流れる電流も小さくなるため、発熱が過大となることはない。
請求項2の発明によれば、待ち限度時間が、交流電源の電流が最大となる電源周期の1/4以下に設定されるので、主開閉部の導通開始の遅延を抑制し、動作を安定させることができる。
請求項3の発明によれば、主開閉部が非導通になるとき、補助開閉部を所定時間だけ導通させるので、商用電源の1/2周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部から負荷に電力を供給した後、通電電流が少なくなってから、補助開閉部から負荷に電力を供給することになる。これらの動作は負荷電流に対して行われるため、主開閉部がトランジスタ構造を有するスイッチ素子で構成されていても、負荷は力率1のものに限定されず、蛍光灯及び白熱灯のいずれにも適した2線式の負荷制御装置を実現することができる。また、負荷制御装置の動作時に発生するノイズのレベルが低く抑えられるため、小型で、かつ適合負荷範囲の広い負荷制御装置を実現することができる。
請求項4の発明によれば、電流検出部が、補助開閉部に許容値を超える電流が流れたことを検出すると、一旦主開閉部を導通させ(閉状態にさせ)るので、補助開閉部のスイッチ素子の破損を防止すると共に、小型のスイッチ素子で補助開閉部を構成することができ、負荷制御装置の小型化が可能であり、商用電源の種類に対する対応性や過負荷に対する対応性が向上する。
請求項5の発明によれば、2線式負荷制御装置の主開閉部の主スイッチ素子の構造が、交流制御において、低損失(低抵抗)化に対して効率のよい半導体チップ構成となるデュアルゲートトランジスタ構造であるため、負荷制御装置の小型・大容量化が実現できる。
請求項6の発明によれば、容易に基準電位の異なる主開閉部の主スイッチ素子のゲート電極に駆動信号を入力することができ、主開閉部の主スイッチ素子を導通状態にすることができる。
請求項7の発明によれば、電力線の電位を基準とする簡易電源を小型で安価な部品で構成することができる。さらに、主スイッチ素子を駆動する電力を、発光部と受光部が電気的に絶縁された光絶縁半導体スイッチ素子を介して、電力変化することなく高効率で送ることができるため、デュアルゲートトランジスタ構成の主スイッチ素子を容易に駆動することが可能となる。
請求項8の発明によれば、主開閉部を駆動する際に、主開閉部の主スイッチ素子がゲート部に電流を流す必要がある素子であっても、負荷制御装置の内部電源とは絶縁された電力を安定してゲート部に供給することができる。そのため、低損失であるデュアルゲートスイッチ素子を搭載した小型・高容量の2線式負荷制御装置を実現することが可能となる。
請求項9の発明によれば、電力線の電位を基準とする簡易電源を小型で安価な部品で構成することができる。さらに、主スイッチ素子を駆動する電力を、電力変化することなく高効率で送ることができるため、デュアルゲートトランジスタ構成の主スイッチ素子を容易に駆動することが可能となる。
請求項10の発明によれば、主開閉部を駆動するためのタイミングを、光絶縁された半導体スイッチ素子で信号伝達することができ、デュアルゲートトランジスタ構成の主スイッチ素子を容易に駆動することが可能となる。
請求項11の発明によれば、駆動回路における光絶縁半導体スイッチ素子の発光部での消費電流を約半分にすることができるため、負荷へ電力を供給する時に確保しなければならない電力を低減でき、安定した動作を実現することができる。
請求項12の発明によれば、主開閉部の動作による発生ノイズを低く抑えることができ、ノイズフィルタを不要とできるので、安価かつ小型で、しかも負荷制御装置のオフ時に高インピーダンスを維持することが可能となる。
請求項13の発明によれば、主開閉部を駆動する際に、主開閉部の主スイッチ素子がゲート部に電流を流す必要がある素子であっても、安定してゲート部に電力を供給することができる。そのため、低損失であるデュアルゲートスイッチ素子を搭載した小型・高容量の2線式負荷制御装置を実現することが可能となる。
請求項14の発明によれば、主開閉部の主スイッチ素子のゲート部に駆動電力を送るための駆動スイッチ素子を駆動するための電力を低く抑えることが可能になる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る負荷制御装置について説明する。図1は、第1実施形態に係る負荷制御装置1Aの構成を示す回路図である。図2は、負荷制御装置1Aに適用される主開閉部11の構成の一例を、図3は、負荷制御装置1Aに適用される電圧検出部18の構成の一例を示す回路図である。また、図4乃至図6は、負荷制御装置1Aの各部における信号波形を示すタイムチャートである。
図1に示す第1実施形態の負荷制御装置1Aは、交流電源2と負荷3との間に直列に接続され、駆動回路10と、負荷3に対して電源の供給を制御する主開閉部11と、整流部12と、負荷制御装置1A全体を制御する制御部13と、制御部13に安定した電源を供給するための第1電源部14と、負荷3への電力停止状態のときに第1電源部14へ電力を供給する第2電源部15と、負荷3への電力供給が行われているときに第1電源部14へ電力を供給する第3電源部16と、負荷電流のうち微小電流の通電を行う補助開閉部17などで構成されている。駆動回路10は、制御部13から出力されるパルス信号に応じて主開閉部11を駆動する。また、第3電源部16には、第3電源部16に入力される電圧を検出する電圧検出部18と、負荷電流のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部19が設けられている。主開閉部11は、シングルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子11aを有し(図2参照)、補助開閉部17は、サイリスタ構造の補助スイッチ素子17aを有している。また、制御部13には、CPUなどで構成された主制御部20と、第1パルス出力部21と、第2パルス出力部22と、第3パルス出力部23が設けられている。
第1パルス出力部21は、電圧検出部18からバッファコンデンサ29の充電完了信号を受けた後、第1所定時間だけ主開閉部11を導通させるよう、第1パルスを出力する。すなわち、第1パルスは、電圧検出部18から充電完了信号を受けて立ち上がり、第1所定時間経過後立ち下がる。また、低負荷時において、第1パルス出力部21は、第1所定時間が経過する前であっても第2パルス出力部22からの第2パルスの入力を受けた場合には、第1パルスを立ち下げる。
第2パルス出力部22は、ゼロクロス検出部19が電源電流のゼロクロス点を検出した後、第2所定時間で主開閉部11の開状態に制限をかけるように第2パルスを出力する。すなわち、第2パルスは、ゼロクロス検出部19からゼロクロス検出信号を受けて立ち上がり、第2所定時間経過後立ち下がる。第3パルス出力部23は、主開閉部11が非導通(開状態)になったことを検出してから、第3所定時間だけ補助開閉部17を導通させるように、所定時間の第3パルス信号を出力する。すなわち、第3パルスは、主開閉部11が非導通(開状態)になったことを検出して立ち上がり、第3所定時間経過後立ち下がる。
負荷3への電力供給が行われていない負荷制御装置1Aのオフ状態においても、電源2から整流部12を介して第2電源部15に電流が流れるため、負荷3にも微小電流が流れているが、その電流は負荷3を誤動作させない程度に低く抑えられており、第2電源部15のインピーダンスが高い値に維持されている。
負荷3へ電力供給が行われているとき、第3電源部16のインピーダンスを低くし、負荷制御装置1Aの内部の回路側に電流を流し、バッファコンデンサ29を充電する。上記のように、第3電源部16には、電圧検出部(充電監視部)18が設けられており、第3電源部16に入力される電圧すなわちバッファコンデンサ29の充電電圧を検出する。
図3に示すように、電圧検出部18は、ツェナーダイオード18aとトランジスタ18b等によって構成されている。第3電源部16に入力される電圧がツェナーダイオード18aのツェナー電圧を超えると、トランジスタ18bが導通して制御部13(第1パルス出力部21)にその旨の検出信号が入力される。制御部13は、電圧検出部18からの検出信号を受信すると、主開閉部11を第1所定時間導通させる(閉状態にさせる)。図1及び図3では、電圧検出部18からの検出信号に応じて、直接的に第1パルス信号を出力するように、専用のICなどを用いてハードウェア的に構成された第1パルス出力部21を制御部13の一部として設けた構成例を示している。あるいは、図示した構成に限定されず、電圧検出部18からの出力を、CPUなどで構成された主制御部20に入力し、ソフトウェア的に第1パルス信号を出力するように構成してもよい。主開閉部11を導通させる第1所定時間としては、商用周波数電源の1/2周期よりも少し短い時間にする設定することが好ましい。
次に、上記第1所定時間経過後、主開閉部11が非導通(開状態)になる動作を開始する際、制御部13は、補助開閉部17を第3所定時間(例えば、数百μ秒)だけ導通させる(閉状態にさせる)。この動作は、補助開閉部17が主開閉部11よりも少し遅れて非導通(開状態)になればよい。または、上記主制御部20から、主開閉部11に対して出力する第1パルス信号よりも第3所定時間分だけ長いパルス信号を補助開閉部17に対して出力するようにしてもよい。あるいは、ダイオードやコンデンサを用いて遅延回路を構成してもよい。
これらの動作により、バッファコンデンサ29の充電完了後、商用の交流電源の1/2周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部11から負荷3に電力を供給した後、通電電流が少なくなってから、補助開閉部17から負荷3に電力を供給することになる。なお、補助開閉部17は、サイリスタ構造の補助スイッチ素子17aを有しているので、電流値が零となる時点(ゼロクロス点)で非導通(開状態)となる。補助開閉部17が非導通(開状態)になると、再び第3電源部16に電流が流れ込むため、上記の動作を商用電源の1/2周期ごとに繰り返す。
負荷3に豆電球等の低負荷が接続される場合あっては、バッファコンデンサ29の充電速度が低下し、電源電流の1/2周期の間に充電が完了しないため、1/2周期ごとの主開閉部11の開閉動作が安定しなくなる虞がある。そこで本発明においては、第1パルス出力部21が第1パルスを立ち上げるにあたって電圧検出部18から出力される充電完了信号を待つ時間に制限を設けている。すなわち、第1パルス出力部21は、ゼロクロス検出部19からゼロクロス検出信号を受けた後、所定の待ち限度時間が経過すると、第1パルスを立ち上げる。
図4は、高負荷時の負荷制御装置1Aの各部における信号波形を示し、図5及び図6は低負荷時の負荷制御装置1Aの各部における信号波形を示している。なお、図5は、仮に第1パルス信号に待ち限度時間を設定することなく主開閉部11を制御する場合(参考例)を、図6は、第1パルス信号に待ち限度時間を設定して主開閉部11を制御する場合(本発明)をそれぞれ示している。
高負荷時すなわち接続される負荷3が高容量の場合においては、図4に示すように、バッファコンデンサ29は短時間で充電され、その充電完了後、商用電源の1/2周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部11から負荷3に電力を供給することになる。このとき、電流値が零となる時点(ゼロクロス点)の前に主開閉部11が非導通とされるように第1所定時間が設定されているので、ゼロクロス点を越えて主開閉部11が導通状態とされることはない。
ところが、低負荷時すなわち接続される負荷3が低容量の場合においては、負荷電流が小さいため充電に多くの時間を必要とする。そのため、図5に示すように、ゼロクロス検出部19がゼロクロスを検出した時間から、電圧検出部18で充電完了を検出するまでの時間が長くなり、第1パルスの立ち上がりが遅延する。同図においては、ゼロクロス検出部19がゼロクロスを検出してから1/2周期の経過後すぐにバッファコンデンサ29の充電が完了しているが、バッファコンデンサ29の充電完了に1周期以上の時間を要する場合もある。このように第1パルスの立ち上がりが遅延すると、主開閉部11の導通開始も遅延するため、1/2周期ごとの開閉動作が安定しなくなり、負荷として接続されている豆電球点灯等のゆらぎ点灯が発生する。
そこで、本発明においては、第1パルス出力部21が第1パルスを立ち上げるにあたって電圧検出部18から出力される充電完了信号を待つ時間に制限を設けている。より具体的には、第1パルス出力部21は、図6に示すように、ゼロクロス検出部19からゼロクロス検出信号を受けた後、所定の待ち限度時間が経過すると、第1パルスを立ち上げる。また、第1パルス出力部21は、第1所定時間の経過前であっても第2パルス出力部22から出力される第2パルスの立ち下がりを受け、第1パルスを立ち下げる。第1パルス出力部21から出力される第1パルス信号は、主開閉部駆動信号として駆動回路10に入力され、主開閉部11が駆動される。
その後、第1パルス信号を受けた第3パルス出力部23は、主開閉部11が非導通になるとき、補助開閉部17を第3所定時間だけ導通させる第3パルス信号を補助開閉部17に出力し、補助開閉部17から負荷3に電力を供給する。
なお、図3に示した構成の電圧検出部18を適用する場合にあっては、交流電源の電流が最大となる電源周期の1/4周期を超えた後1/2周期までの間に電圧検出部18から電圧検出信号が検出されることはない。従って、主開閉部の導通開始の遅延を抑制し、動作を安定させるためには、待ち限度時間が電源周期の1/4以下に設定されるのが望ましい。
本第1実施形態に係る負荷制御装置1Aによれば、電圧検出部18が第3電源部16に入力される電圧が所定の閾値に達したことを検出すると、制御部13は、主開閉部11を第1所定時間導通させる(閉状態にさせる)ので、交流電源の1/2周期のうち、ほとんどの時間を主開閉部11から負荷に電力を供給することになる。また、主開閉部11の導通開始の待ち時間に制限を設けているので、例えば低負荷時において第3電源部16に入力される電圧が所定の閾値に達するのが過度に遅延する場合には、待ち限度時間の経過後主開閉部11が導通される。これにより、主開閉部11を1/2周期ごとに安定して開閉動作させることが可能となり、例えば負荷3として照明器具を適用する場合、豆電球点灯等の低負荷時のゆらぎ点灯を防止できるようになる。なお、主開閉部11に用いられるトランジスタ構造の主スイッチ素子11aは、低負荷時においては能動状態となるため抵抗を持つこととなる。しかしながら、このような低負荷時においては、主スイッチ素子11aに流れる電流も小さくなるため、発熱が過大となることはない。
また、第1所定時間経過後、主開閉部11が非導通になるとき、補助開閉部17を第3所定時間だけ導通させ補助開閉部17から負荷3に電力を供給する。これらの動作は負荷電流に対して行われるため、主開閉部11がトランジスタ構造を有する主スイッチ素子11aで構成されていても、負荷は力率1のものに限定されず、蛍光灯及び白熱灯のいずれにも適した2線式の負荷制御装置を実現することができる。また、負荷制御装置の動作時に発生するノイズのレベルが低く抑えられるため、小型で、かつ適合負荷範囲の広い負荷制御装置を実現することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る負荷制御装置について説明する。図7は、第2実施形態に係る負荷制御装置1Bの構成を示す回路図である。負荷制御装置1Bは、AND回路25aと、電流検出部26と、OR回路25bをさらに備えている点で第1実施形態に係る負荷制御装置1Aと異なり、その他は同様である。AND回路25aは、第1パルス出力部21から出力される第1パルス信号及び第2パルス出力部22から出力される第2パルス信号に応じて動作する。電流検出部26は、補助開閉部17に流れる電流を検出する。OR回路25bは、電流検出部26から出力される信号及びAND回路25aから出力される信号に応じて動作する。
第1パルス出力部21から出力される第1パルス及び第2パルス出力部22から出力される第2パルスは、AND回路25aに入力される。AND回路25aは、第1パルス及び第2パルスの論理積をとり、OR回路25bに出力する。
補助開閉部17は、本来電流のゼロクロス点を検出することを目的としており、通電を主目的とはしておらず、小型のスイッチ素子で構成されることが期待されている。しかしながら、商用電源において周波数がずれたり、あるいは負荷制御装置を50Hzと60Hzの共用で動作させようとしたりすると、主開閉部が非導通になってから電流のゼロクロス点までの時間が長くなり、負荷電流が十分に小さくなる前に補助開閉部に通電が開始されてしまう。また、負荷として過負荷接続された場合、補助開閉部での通電時間は同じであっても、通電損失が大きくなり、補助開閉部17を構成するスイッチ素子が破損する可能性がある。そのため、第2実施形態では、電流検出部26により補助開閉部17に流れる電流値を検出し、補助開閉部17が許容できる電流値を超える電流が流れたときに、再び短時間(第4所定時間)だけ主開閉部11を導通させ(閉状態にさせ)、その後主開閉部11が非導通(開状態)になるときに、補助開閉部17を再び導通させる。
より具体的には、補助開閉部17が許容できる電流値を超える電流が流れることを検知した電流検出部26は、その旨の信号をOR回路25bに出力する。OR回路25bは、上述したAND回路25aからの出力信号又は電流検出部26からの出力信号のいずれかの入力を受けたとき、主開閉部11を短時間だけ導通させて補助開閉部17を保護する。このように主開閉部11と補助開閉部17を繰り返し切り換えることにより、補助開閉部17のスイッチ素子の破損を防止すると共に、商用電源の種類に対する対応性や過負荷に対する対応性が向上する。
本第2実施形態に係る負荷制御装置1Bによれば、電流検出部26が、補助開閉部17に許容値を超える電流が流れることを検出すると、主開閉部を一旦導通させ(閉状態にさせ)、その後非導通状態にする。これにより、補助開閉部17のスイッチ素子の破損を防止すると共に、小型のスイッチ素子で補助開閉部17を構成することができ、負荷制御装置の小型化が可能となり、商用電源の種類に対する対応性や過負荷に対する対応性が向上する。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る負荷制御装置について説明する。第3実施形態に係る負荷制御装置は、第1実施形態に係る負荷制御装置1A及び第2実施形態に係る負荷制御装置1Bにおいて、デュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子(図8に示す)とその駆動回路10を適用したものである。
はじめに、以下に説明する負荷制御装置において使用される主スイッチ素子について説明する。この主スイッチ素子は、耐電圧部を1箇所とする横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子である点で、上記従来例とは異なる。図8(a)は、耐電圧部を1カ所とする横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子の回路図を示し、図8(b)は参考例として上記第2従来例のように2つのMOSFET型トランジスタ素子を逆方向接続した場合の回路図を示す。また、図9は、横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子の縦断面構成を示す。
図8(b)に示す従来の構成では、2つのトランジスタ素子のソース電極S同士が接続され、かつアースされており(最低電位部)、ソース電極Sとゲート電極G1,G2の間は耐電圧が不要であり、ゲート電極G1,G2とドレイン電極D1,D2の間に耐電圧が必要であるため、耐電圧部(例えば、耐電圧距離を開ける)を2箇所必要としている。2つのトランジスタ素子はソース電極を基準にしたゲート信号で動作するので、各トランジスタ素子のゲート電極G1,G2に同じ駆動信号を入力して駆動することができる。それに対して、図9に示すように、横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子では、耐圧を維持する箇所を1箇所とした損失の少ない双方向素子を実現する構造である。このような構成にあっては、負荷3への通電時における主スイッチ素子自体の発熱量を少なくして、負荷制御装置の小型化及び大容量化を同時に実現することができる。一方、この構成の素子はドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ異なった駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。
次に、本第3実施形態に係る負荷制御装置において適用される駆動回路10について、図10を参照しつつ説明する。主開閉部11を駆動するための駆動回路10は、主スイッチ素子11aのデュアルゲートに対応して2組設けられたフォトカプラなどの光絶縁半導体スイッチ素子101,102などで構成されている。光絶縁半導体スイッチ素子101,102の発光部101a,102aには、それぞれ制御部13からの駆動信号が入力される。光絶縁半導体スイッチ素子101,102の発光部101a,102aは、駆動信号が入力されると、その電力を光エネルギーに変換して出力する。光絶縁半導体スイッチ素子101,102の受光部101b,102bに、発光部101a,102aからの光が入射すると、受光部101b,102bで光電変換を行い、光エネルギーを電気エネルギーに変換(すなわち発電)する。受光部101b,102bは、そこで発電された電力が、交流電源(商用電源)及び負荷が接続される点をそれぞれ基準として(図8(a)参照)、主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート部に正の電位が印加されるように接続されている。
制御部13から駆動信号を出力して光絶縁半導体スイッチ素子101,102の発光部101a,102aを発光させることにより、容易に基準電位の異なる主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート電極に駆動信号を入力することができ、主開閉部11の主スイッチ素子11aを導通状態(閉状態)にすることができる。なお、光絶縁半導体スイッチ素子101,102の発光部101a,102aと受光部101b,102bは、電気的に絶縁されているため、発光部101a,102aから光が出力されない限り、主スイッチ素子11aのゲート電極には駆動信号は入力されない。すなわち、主スイッチ素子11aのゲート電極には、制御部13から出力された駆動信号とは異なる制御部13(又は負荷制御装置1Aの第1電源部14)から電気的に絶縁された電力が供給される。また、制御部13からの駆動信号を基に、絶縁を維持しながら容易に、且つ確実に主スイッチ素子11aのゲート電極に接続された光絶縁半導体スイッチ素子101,102をオン・オフすることができる。
図11は、図10に示す駆動回路10の変形例を示す。この変形例では、フォトカプラなどの光絶縁半導体スイッチ素子101,102の発光部101a,102aが直列に接続されている。それにより、駆動回路10に流れる電流値を約1/2にすることができ、駆動回路10での電力消費量を低減させることが可能となる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る負荷制御装置について説明する。本第4実施形態に係る負荷制御装置は、図10に示した駆動回路10に代えて、図12に示す駆動回路10を適用した点で第3実施形態に係る負荷制御装置とは異なる。
第4実施形態では、主開閉部11の駆動回路10が、高周波絶縁トランスなど電磁的結合によって電力を伝達するトランス(電磁結合素子)103、整流回路104a,104b、発振回路105などによって構成されている。トランス103の1次側コイル103aは発振回路105に接続され、さらに発振回路105は制御部13に接続されている。発振回路105に制御部13からの駆動信号が入力されると、駆動信号が印加されている間だけ、発振回路105は発振を行い、交流電力を発生させる。トランス103の1次側コイル103aに発振回路105により発生された交流電流が流れると、電磁誘導により2次側コイル103b,103cに起電力が発生する。トランス103の2次側にコイル103b、103cに発生する起電力は交流であるため、整流回路104a,104bにより整流された後、主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート電極に入力される。なお、整流回路104a,104bは、交流電源及び負荷が接続される点を基準として、主スイッチ素子11aのゲート電極に正の電位が印加されるように接続されている。また、トランス103の1次側コイル103aと2次側コイル103b,103cは電気的に絶縁されているため、トランス103の1次側コイル103aに電流が流れない限り、主スイッチ素子11aのゲート電極には駆動信号は入力されない。すなわち、主スイッチ素子11aのゲート電極には、制御部13から出力された駆動信号とは異なる制御部13から電気的に絶縁された電力が供給される。
このように、第4実施形態では、制御部13から出力される駆動信号をトリガとして発振回路105により交流電力を発生させているので、発振回路105での発振周波数及び振幅、トランス103の1次側コイル103aと2次側コイル103b,103cの巻き線数などを適宜設定することにより、トランス103の2次側コイル103b,103cに所望する電力を発生させることができる。そのため、主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート部が一定以上の電流値を必要とする電流型の主スイッチ素子である場合であっても安定して駆動することができる。なお、発振回路105の駆動電力は、負荷制御装置のいずれかの電源部から供給されることは言うまでもない。あるいは、図示していないが、発振回路105を省略して、制御部13から所定周波数及び所定振幅のパルス信号を直接出力するように構成してもよい。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る負荷制御装置について説明する。本第5実施形態に係る負荷制御装置は、図10に示した駆動回路10に代えて、図13に示す駆動回路10を適用した点で第3実施形態に係る負荷制御装置とは異なる。
図13に示すように、主開閉部11を駆動するための駆動回路10は、主スイッチ素子11aのデュアルゲートに対応してそれぞれ2組設けられ、負荷制御装置の第1電源部14に接続されたダイオード201a,201bと、一端がそれぞれの電力線に接続され、他端がダイオード201a,201bに接続されたコンデンサ202a,202bと、ダイオード201a,201bとコンデンサ202a,202bの接続点と主開閉部11の主スイッチ素子11aの各ゲート端子との間に接続された駆動スイッチ素子203a,203bで構成されている。駆動スイッチ素子203a,203bは、制御部13からの信号によりオン/オフされる。さらに、この駆動スイッチ素子203a,203bは、スイッチ部と操作部が絶縁された構成である。駆動スイッチ素子203a,203bの構成は特に限定されるものではなく、以下に述べるように、様々なタイプのものを使用することができる。
この構成によれば、負荷制御装置の第1電源部14を一端が電力線に接続されたコンデンサ202a,202bの他端にダイオード201a,201bを経由して接続することにより、電力線の電位を基準とする簡易電源がこのコンデンサ202a,202bにより構成される。このコンデンサ202a,202bへの充電は、電力線のうち電源電圧の高い側から、負荷制御装置の内部電源を経由して、電圧の低い側の電力線に流れる電流が、電圧の低い側に接続されたコンデンサを充電することによって行われる。そのとき、電圧の高い側に接続されたコンデンサには充電されないため、電源周波数の一周期毎にコンデンサに充電が繰り返される。反対側のコンデンサには、電力線の電位の関係が前述と逆のタイミングで充電される。
横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子11aをオフからオンにする場合、主スイッチ素子11aのゲートに対して、電力線が接続される点(図8参照)を基準として電圧を印加する必要がある。ここで、制御部13からの信号により主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート電極に接続される駆動スイッチ素子203a又は203bを導通させると、主スイッチ素子11aのゲート端子には、それぞれ電力線を基準とするコンデンサに充電された電圧が印加されるため、主スイッチ素子11aは導通状態(閉状態)になる。主スイッチ素子11aが一旦導通状態になると、主スイッチ素子11aの端子間電圧が非常に小さくなるため、負荷制御装置の電源からダイオード201a,201b及び駆動スイッチ素子203a,203bを経由して印加される電圧で導通を維持することができる。
この実施形態では、駆動回路10が第1電源部14と非絶縁に構成されているため、高効率で駆動電力を供給することが可能である。コンデンサ202a,202bは、主スイッチ素子11aがオフからオンになるときのゲート電極の電位を一時的に確定すればよいので、その形状や容量は小型なものでもよい。なお、駆動回路10への電源供給は、第1電源部14の入力又は出力などの比較的安定した電源部からなされる。
図14は、駆動回路10の具体的構成例を示し、駆動スイッチ素子203a,203bとして、フォトカプラやフォトリレーなどの光絶縁半導体スイッチ素子を用いている。制御部13からの駆動信号が入力されると、光絶縁半導体スイッチ素子の発光部から光信号が出力され、その光信号が受光部に入射すると、受光部が導通し、第1電源部14からの電流(駆動信号)が流れる。発光部と受光部は電気的に絶縁されているため、発光部から光が出力されない限り、主スイッチ素子11aのゲート電極には駆動信号は入力されない。そのため、制御部13からの駆動信号を基に、絶縁を維持しながら容易に、且つ確実に主スイッチ素子11aのゲート電極に接続された駆動スイッチ素子203a,203bをオン・オフすることができる。
図15は、図14に示す駆動回路10の変形例を示す。この変形例では、フォトカプラやフォトリレーなどの光絶縁半導体スイッチ素子を用いた駆動スイッチ素子203a,203bの発光部が直列に接続されている。それにより、駆動回路10に流れる電流値を約1/2にすることができ、駆動回路10での電力消費量を低減させることが可能となる。
図16は、図14に示す駆動回路10の他の変形例を示す。この変形例では、フォトカプラやフォトリレーなどの光絶縁半導体スイッチ素子を用いた駆動スイッチ素子203a,203bの発光部が直列に接続されていると共に、主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート電極と駆動スイッチ素子203a,203bが接続される接続点と、そのゲート電極の基準となる電力線との間にコンデンサ204a,204bが接続されている。なお、図14に示す駆動回路10の構成例に、コンデンサ204a,204bを追加してもよい。
この変形例に示すように、コンデンサ204a,204bを追加することにより、駆動スイッチ素子203a,203bがオン・オフされる際に、コンデンサ204a,204bにより、主スイッチ素子11aのゲート電極に印加される電圧の急激な変化を緩和することができ、主スイッチ素子11aが急峻にオン・オフすることを防止することができる。その結果、主開閉部11の主スイッチ素子11aがオン・オフすることで発生するノイズを低減することができるため、ノイズフィルタを小さくしたり、あるいは省略したりすることが可能となる。すなわち、図19又は図20に示す従来例の構成と比較して、ノイズフィルタとして機能するコイルやコンデンサを省略することができる。
ノイズフィルタを構成するコイルに関しては、負荷制御装置の定格電流が大きくなるにつれて、このコイルも大型になるため、コイルを省略することができれば、負荷制御装置の小型化を実現することができる。また、ノイズフィルタを構成するコンデンサに関しては、コイルに比べて負荷制御装置の大きさに対する制約は少ないが、このコンデンサが存在することにより、負荷制御装置がオフの状態での負荷制御装置のインピーダンスを下げることにつながり、負荷制御装置のオフ状態として好ましくない。また、負荷制御装置がオフの状態でもコンデンサを介して交流電流が流れ、それによってオフ時に負荷が誤動作したりする可能性がある。従って、負荷制御装置からノイズフィルタ用のコンデンサを省略することができれば、2線式負荷制御装置にとって好ましい形態となる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る負荷制御装置について説明する。上記第5実施形態に係る負荷制御装置では、主開閉部11の主スイッチ素子11aに駆動信号を印加する際、整流部12のダイオードによって電流が流れない回路構成であるため、主スイッチ素子11aのゲート部(ゲート端子)が一定以上の電流値を必要としない電圧型のものにしか対応出来ない。そこで、第6実施形態では、主開閉部11の主スイッチ素子11aが一定以上の電流値を必要とする電流型の主スイッチ素子である場合であっても安定して駆動できるようにしたものである。
図17に示すように、第6実施形態に係る負荷制御装置1Cでは、整流部12の交流ラインと回路基準となる整流部のマイナス側出力間に同期スイッチ素子120a,120bが接続されており、主開閉部11が閉となる動作に同期して同期スイッチ素子120a、120bがオンとなる動作を行う。主開閉部11が閉となる動作に同期してこの同期スイッチ素子120a、120bを閉とすると、負荷制御装置1C内の第1電源部14から主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート部に電流を流す経路が形成される。そのため、主スイッチ素子11aゲート部が電流を必要とするデュアルゲート素子であっても安定して駆動することができる。なお、その他の構成や基本動作は上記第5実施形態の場合と同様であり、駆動回路10の構成は特に限定されず、上記第5実施形態の基本構成や各変形例を応用することができる。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態に係る負荷制御装置について説明する。本第7実施形態に係る負荷制御装置は、図17に示した駆動回路10に代えて、図18に示す駆動回路10を適用した点で第6実施形態に係る負荷制御装置とは異なる。
第7実施形態に係る負荷制御装置において、主開閉部11の駆動回路10は、負荷制御装置の第1電源部14に接続された高耐圧のダイオード201a,201bと、一端がそれぞれの電力線に接続され、他端がダイオード201a,201bに接続されたコンデンサ202a,202bと、ダイオード201a,201bとコンデンサ202a,202bの接続点と主開閉部11の主スイッチ素子11aの各ゲート端子との間に接続されたフォトサイリスタ又はフォトトライアックなどの自己消弧型の駆動スイッチ素子205a,205bで構成されている。
第3電源部16に設けられた電圧検出部18にて充電完了検出を行うと、主開閉部11を閉とする動作に移る。そのとき、主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート電極に接続された駆動スイッチ素子205a,205bを導通させるために信号を入力するが、これら駆動スイッチ素子205a,205bがサイリスタ又はトライアック構造であるため、駆動スイッチ素子205a,205bの駆動はトリガ信号のみでよい。そのため、駆動スイッチ素子205a,205bの駆動電力は、上記各実施形態のものに比べて小さくすることができる。また、駆動スイッチ素子205a,205bを非導通にするには、整流部12に設けた同期スイッチ素子120a,120bを開とするだけでよく、主開閉部11を開閉させるための駆動電力を小さくすることが可能になる。2線式負荷制御装置にとっては如何に安定して電源を確保しながら負荷制御を可能とするかが重要な課題であるため、負荷制御装置の駆動電力が少ないことは、その負荷の安定動作にとって望ましい。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも負荷へ電力を供給しているとき、待ち限度時間内に電圧検出部18によって検出される電圧が所定の閾値に達しなかった場合、主開閉部駆動信号を立ち上げ、ゼロクロス検出部19が負荷電流のゼロクロス点を検出してから負荷電流の半周期未満の所定時間の経過後、主開閉部駆動信号を立ち下げて、主開閉部11を制御するように構成されていればよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、第2パルスは、ゼロクロス検出部19からの出力を、CPUなどで構成された主制御部20に入力し、ソフトウェア的に出力するように構成してもよい。