(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る負荷制御装置について、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態に係る負荷制御装置1Aの構成を示す回路図であり、図2は、その各部における電流及び制御信号の波形を示すタイムチャートである。第1実施形態は、上記従来例と同様に、主開閉部の主スイッチ素子としてトライアックを用いた例を示す。なお、負荷3としては、照明装置や換気扇などのモータを使用した機器が考えられるが、これらに限定されるものではない。
図1に示すように、負荷制御装置1Aは、商用電源2と負荷3との間に直列に接続され、負荷3に対して電力の供給を制御する主開閉部11と、主開閉部11を駆動する駆動回路10と、整流部12と、負荷制御装置1全体を制御する制御部13と、制御部13に安定した電力を供給するための第1電源部14と、負荷3への電力停止状態のときに第1電源部14へ電力を供給する第2電源部15と、負荷3への電力供給が行われているときに第1電源部14へ電力を供給する第3電源部16と、主開閉部11の主スイッチ素子11aを導通させるために必要な大きさの電流を主スイッチ素子のゲートに供給するための補助開閉部17などで構成されている。
主開閉部11は、主スイッチ素子11aとしてトライアックを用いて構成されている(以下、必要に応じてトライアック11aと称する)。また、制御部13は、第3電源部16を介さずに、主開閉部11の主スイッチ素子11aに対して直接駆動信号(パルス信号)を出力するように構成されている。より具体的には、負荷3を起動させるための操作スイッチ(SW)4がオンされると、制御部13は、トライアック11aのゲートに駆動信号を直接入力するように構成されている。それによって、負荷3の起動直後の突入電流は、主開閉部11のトライアック11aに流れるので、第3電源部16や補助開閉部17などの素子が大電流から保護される。
次に、図2を参照しつつ、第1実施形態に係る負荷制御装置1Aの動作について説明する。負荷3へ電力供給が行われていない負荷制御装置1のオフ状態では、商用電源2から負荷制御装置1に印加される電圧は、整流部12を介して第2電源部15に供給される。負荷3がオフ状態のとき、第2電源部15には、整流部12により全波整流された脈流が入力され、その電圧値がツェナーダイオード15aのツェナー電圧よりも高いときだけ、ツェナー電圧が第1電源部14に入力される。整流部12により全波整流された脈流の電圧がツェナー電圧よりも低いときは、第1電源部14の入力端子間に接続されたバッファコンデンサ14aが電源となって第1電源部14に電力を供給する。バッファコンデンサ14aは充放電を繰り返す。なお、このときに負荷3に流れる電流は、負荷3が誤動作しない程度の微小電流であり、制御部13の消費電流は小さく、第2電源部15のインピーダンスは高く維持されるように設定されている。なお、ここまでの説明は、上記従来例と同様であり、図2には描かれていない。
一方、負荷3を起動させるために操作スイッチ(SW)4がオンされ、操作スイッチ4から起動信号が出力されると、制御部13は、主開閉部11に対して直接1パルスの初期駆動信号を出力する。それによって、主開閉部11のトライアック11aが導通し、負荷3に電力が供給される。周知のように、照明装置やモータなどの負荷3に電力を投入する際の突入電流は、定常時に負荷3に流れる負荷電流よりもはるかに大きいけれども、主開閉部11は大電流に耐えられるように設計され、製造されているため、突入電流がトライアック11aなどに流れても、それによってトライアック11aなどの素子が破壊されることはない。
また、操作スイッチ4から起動信号が出力されると、制御部13は、第1主開閉部駆動信号を出力すると同時に、第3電源部16のスイッチ素子16cを導通させるための駆動許可信号を出力する。駆動許可信号は、操作スイッチ4がオフされるまで出力され続ける。
トライアック11aは自己保持型素子であり、一度ゲートにパルス信号が入力されると、入力電圧が0Vになるまで(ゼロクロス点)導通状態を保持する。トライアック11aが導通しているので、整流部12の整流電圧がほぼ零になっており、第2電源部15及び第3電源部16は非導通となり、電流は流れない。そのため、第1電源部14には、バッファコンデンサ14aから電力が供給され、バッファコンデンサ14aの端子電圧は徐々に低下する。
商用電源の電圧が0Vになると、トライアック11aが自己消弧し、整流部12の整流電圧が上昇する。そして、第1電源部14の入力電圧、すなわち、バッファコンデンサ14aの端子電圧が第3電源部16の出力電圧よりも低くなったときに、第3電源部16から第1電源部14に電力が供給され始め、同時にバッファコンデンサ14aを充電し始める。バッファコンデンサ14aの充電が完了し、その端子電圧が第3電源部の出力電圧に等しくなると、第3電源部16を流れる電流は、ツェナーダイオード16a、補助開閉部17のサイリスタ素子17a、主開閉部11のトライアック11aに転流し、トライアック11aが導通する。それによって、負荷3には、主開閉部11から定常時の電力が供給される。これ以降は、交流の1/2周期ごとに、負荷制御装置1の自己回路電源確保、補助開閉部17の導通及び主開閉部11の導通動作が繰り返される。
なお、図2に示すように、初期駆動信号を出力するタイミングと商用電源のゼロクロス点が一致するとは限らないので、両者を一致させるように、ゼロクロス検出回路をさらに設け、ゼロクロス検出回路がゼロクロス点を検出したときに初期駆動信号を出力させるように構成してもよい。以下の実施形態においても同様である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る負荷制御装置について、図3乃至図7を参照しつつ説明する。第2実施形態に係る負荷制御装置1Bにおいて使用される主スイッチ素子は、耐電圧部を1箇所とする横型のデュアルゲートトランジスタ構造の素子である点で、上記従来のトライアックとは異なる。図3は、第2実施形態に係る負荷制御装置1Bの構成を示す回路図であり、図4は、その各部における電流及び制御信号の波形を示すタイムチャートである。図5(a)は、第2実施形態において、主開閉部11の主スイッチ素子11bとして用いる耐電圧部を1カ所とする横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子の回路図を示し、図5(b)は参考例として2つのMOSFET型トランジスタ素子を逆方向接続した場合の回路図を示す。図6は、横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子の平面図、図7は図6におけるA−A縦断面図である。
図5(b)に示す従来の構成では、2つのトランジスタ素子のソース電極S同士が接続され、かつアースされており(最低電位部)、ソース電極Sとゲート電極G1,G2の間は耐電圧が不要であり、ゲート電極G1,G2とドレイン電極D1,D2の間に耐電圧が必要であるため、耐電圧部(例えば、耐電圧距離を開ける)を2箇所必要としている。2つのトランジスタ素子はソース電極を基準にしたゲート信号で動作するので、各トランジスタ素子のゲート電極G1,G2に同じ駆動信号を入力して駆動することができる。
それに対して、図6及び7に示すように、横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子では、耐圧を維持する箇所を1箇所とした損失の少ない双方向素子を実現する構造である。すなわち、ドレイン電極D1及びD2はそれぞれGaN層に達するように形成され、ゲート電極G1及びG2はそれぞれAlGaN層の上に形成されている。ゲート電極G1,G2に電圧が印加されていない状態では、ゲート電極G1,G2の直下のAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層に電子の空白地帯が生じ、電流は流れない。一方、ゲート電極G1,G2に電圧が印加されると、ドレイン電極D1からD2に向かって(又はその逆に)AlGaN/GaNヘテロ界面に電流が流れる。ゲート電極G1とG2の間は、耐電圧を必要とし、一定の距離を設ける必要があるが、ドレイン電極D1とゲート電極G1の間及びドレイン電極D2とゲート電極G2の間は耐電圧を必要としない。そのため、ドレイン電極D1とゲート電極G1及びドレイン電極D2とゲート電極G2とが、絶縁層Inを介して重複していてもよい。なお、この構成の素子はドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。
図3に示す負荷制御装置1Bは、主開閉部11の主スイッチ素子11bとして、上記デュアルゲートトランジスタ構造(図では、略記)を有しているため、ゲート電極G1及びG2に制御信号が入力されている間だけ主開閉部11の主スイッチ素子11bが導通する。そのため、主スイッチ素子11bを駆動するための第1パルス信号を発生させる必要がある。図3に示す構成例では、第3電源部16に、第3電源部に入力される電圧を検出する電圧検出部18を設けると共に、制御部13に、電圧検出部18からの検出信号に応じて第1パルス信号を出力する第1パルス出力部(主開閉部駆動信号出力部)19及び主開閉部11が非導通になった後、所定時間補助開閉部17のサイリスタ素子17aを導通させるための第2パルス出力部21を設けている。また、補助開閉部17は、上記第1実施形態の場合と異なり、負荷電流が小さい場合に負荷3への電力供給を行う。
次に、図4を参照しつつ、第2実施形態に係る負荷制御装置1Bの動作について説明する。負荷3を起動させるために操作スイッチ(SW)4がオンされ、操作スイッチ4から起動信号が出力されると、制御部13の主制御部20から直接又は第1パルス出力部19を介して、主開閉部11に対して直接所定パルス幅の初期駆動信号が出力される。それによって、主開閉部11の主スイッチ素子1bが導通し、負荷3に電力が供給される。周知のように、照明装置やモータなどの負荷3に電力を投入する際の突入電流は、定常時に負荷3に流れる負荷電流よりもはるかに大きいけれども、主スイッチ素子11bは大電流に耐えられるように設計され、製造されているため、突入電流が主スイッチ素子11bに流れても、それによって主スイッチ素子11bなどの素子が破壊されることはない。なお、駆動許可信号に関しては、上記第1実施形態の場合と同様であるため、その説明を省略する。
第2実施形態における主スイッチ素子11bは、トライアックと異なり、ゲート電極G1,G2に所定の電圧が印加されている間だけ導通するので、初期駆動信号のパルス幅は、商用電源の1/4周期以上1/2周期未満であり、且つ、第1パルス信号よりも長くなるように設定されている。初期駆動信号が消滅する(立ち下がる)と、主開閉部11が非導通(開状態)になるので、第2パルス出力部21は、補助開閉部17を第2所定時間(例えば、数百μ秒)だけ導通させる(閉状態にさせる)ように、第2パルス信号を出力する。そうすると、主開閉部11が非導通になり、負荷電流は補助開閉部17に転流され、補助開閉部17のサイリスタ素子17aから負荷3に電力が供給される。サイリスタ素子17aは自己消弧型スイッチ素子であるので、負荷電流の電圧値が0Vになった時点(ゼロクロス点)で、自動的に非導通になる。
主開閉部11及び補助開閉部17が共に非導通になると、整流部12の整流電圧が上昇し始め、第3電源部16に電流が流れ、バッファコンデンサ14aの充電を開始する。上記のように、第3電源部16には、電圧検出部(充電監視部)18が設けられており、第3電源部16への入力電圧又はバッファコンデンサ14aの端子電圧(すなわち、バッファコンデンサ14aの充電完了)を検出する。電圧検出部18が、第3電源部16への入力電圧又はバッファコンデンサ14aの端子電圧が所定の閾値に達したことを検出すると、電圧検出部18は所定の検出信号を出力する。制御部13の第1パルス出力部19は、電圧検出部18からの検出信号を受信すると、主開閉部11を第1所定時間導通させる(閉状態にさせる)ように、駆動回路10に対して主開閉部11を導通させるための第1パルス信号(主開閉部駆動信号)を出力する。
なお、図3では、電圧検出部18からの検出信号に応じて、直接的に第1パルス信号を出力するように、専用のICなどを用いてハードウエア的に構成された第1パルス出力部(主開閉部駆動信号出力部)19を制御部13の一部として設けた構成例を示しているが、図示した構成に限定されず、電圧検出部18からの出力を、CPUなどで構成された主制御部20に入力し、ソフトウエア的に第1パルス信号を出力するように構成してもよい。
第1パルス信号が消滅する(立ち下がる)と、主開閉部11が非導通(開状態)になるので、第2パルス出力部21は、補助開閉部17を第2所定時間(例えば、数百μ秒)だけ導通させる(閉状態にさせる)ように、第2パルス信号を出力し、補助開閉部17のサイリスタ素子17aが導通し、サイリスタ素子17aが自己消弧するまで負荷3に電力が供給される。これ以降は、交流の1/2周期ごとに、負荷制御装置1の自己回路電源確保、補助開閉部17の導通及び主開閉部11の導通動作が繰り返される。
これらの動作は負荷電流に対して行われるため、主開閉部11がトランジスタ構造を有する主スイッチ素子11aで構成されていても、負荷3は力率1のものに限定されず、蛍光灯及び白熱灯のいずれにも適した2線式の負荷制御装置を実現することができる。また、主開閉部11が横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子11aで構成されているので、トランジスタ素子の耐電圧が必要な箇所は1箇所に限定され、負荷への通電時における主スイッチ素子自体の発熱量を少なくして、負荷制御装置の小型化及び大容量化を同時に実現することができる。
また、図3では、補助開閉部17に流れる電流を検出するための電流検出部22を設けた例を示しているが、これは、周波数ずれや過負荷が接続された場合に、補助開閉部17から再度主開閉部11に負荷電流経路を切り替える動作を行うことにより、補助開閉部17を破壊から保護することためのものである。従って、電流検出部22は必ずしも必要ではなく、必要に応じて設けられていればよい。
図8は、駆動回路10の具体的構成例を示す回路図である。主開閉部11を駆動するための駆動回路10は、主スイッチ素子11bのデュアルゲートに対応してそれぞれ2組設けられ、負荷制御装置1Bの第1電源部14に接続されたダイオード101a,101bと、一端がそれぞれの電力線に接続され、他端がダイオード101a,101bに接続されたコンデンサ102a,102bと、ダイオード101a,101bとコンデンサ102a,102bの接続点と主開閉部11の主スイッチ素子11aの各ゲート端子との間に接続された駆動スイッチ素子103a,103bで構成されている。駆動スイッチ素子103a,103bは、制御部13からの信号によりオン/オフされる。さらに、この駆動スイッチ素子103a,103bは、スイッチ部と操作部が絶縁された構成である。駆動スイッチ素子103a,103bの構成は特に限定されるものではなく、後述するように、フォトカプラやフォトリレーなどの光絶縁半導体スイッチ素子など、様々なタイプのものを使用することができる。
この構成によれば、負荷制御装置1Bの第1電源部14をダイオード101a,101bを経由して、一端が電力線に接続されたコンデンサ102a,102bの他端に接続することにより、電力線の電位を基準とする簡易電源がこのコンデンサ102a,102bにより構成される。このコンデンサ102a,102bへの充電は、電力線のうち電源電圧の高い側から、負荷制御装置1Bの内部電源を経由して、電圧の低い側の電力線に流れる電流が、電圧の低い側に接続されたコンデンサを充電することによって行われる。そのとき、電圧の高い側に接続されたコンデンサには充電されないため、電源周波数の一周期毎にコンデンサに充電が繰り返される。反対側のコンデンサには、電力線の電位の関係が前述と逆のタイミングで充電される。
横型のデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子11bをオフからオンにする場合、主スイッチ素子11bのゲートに対して、電力線が接続される点(図5(a)参照)を基準として電圧を印加する必要がある。ここで、制御部13からの信号により主開閉部11の主スイッチ素子11bのゲート電極に接続される駆動スイッチ素子103a又は103bを導通させると、主スイッチ素子11bのゲート端子には、それぞれ電力線を基準とするコンデンサに充電された電圧が印加されるため、主スイッチ素子11bは導通状態(閉状態)になる。主スイッチ素子11bが一旦導通状態になると、主スイッチ素子11bの端子間電圧が非常に小さくなるため、負荷制御装置1の電源からダイオード101a,101b及び駆動スイッチ素子103a,103bを経由して印加される電圧で導通を維持することができる。
この実施形態では、駆動回路10が第1電源部14と非絶縁に構成されているため、高効率で駆動電力を供給することが可能である。コンデンサ102a,102bは、主スイッチ素子11aがオフからオンになるときのゲート電極の電位を一時的に確定すればよいので、その形状や容量は小型なものでもよい。
図9は、駆動回路10のさらに具体的な構成例を示し、駆動スイッチ素子103a,103bとして、フォトカプラやフォトリレーなどの光絶縁半導体スイッチ素子を用いている。制御部13からの駆動信号が入力されると、光絶縁半導体スイッチ素子の発光部から光信号が出力され、その光信号が受光部に入射すると、受光部が導通し、第1電源部14からの電流(駆動信号)が流れる。発光部と受光部は電気的に絶縁されているため、発光部から光が出力されない限り、主スイッチ素子11aのゲート電極には駆動信号は入力されない。そのため、制御部13からの駆動信号を基に、絶縁を維持しながら容易に、且つ確実に主スイッチ素子11aのゲート電極に接続された駆動スイッチ素子103a,103bをオン・オフすることができる。
図10は、図9に示す駆動回路10の変形例を示す。この変形例では、フォトカプラやフォトリレーなどの光絶縁半導体スイッチ素子を用いた駆動スイッチ素子103a,103bの発光部が直列に接続されている。それにより、駆動回路10に流れる電流値を約1/2にすることができ、駆動回路10での電力消費量を低減させることが可能となる。
図11は、図9に示す駆動回路10の他の変形例を示す。この変形例では、フォトカプラやフォトリレーなどの光絶縁半導体スイッチ素子を用いた駆動スイッチ素子103a,103bの発光部が直列に接続されていると共に、主開閉部11の主スイッチ素子11aのゲート電極と駆動スイッチ素子103a,103bが接続される接続点と、そのゲート電極の基準となる電力線との間にコンデンサ104a,104bが接続されている。なお、図9に示す駆動回路10の構成例に、コンデンサ104a,104bを追加してもよい。
この変形例に示すように、コンデンサ104a,104bを追加することにより、駆動スイッチ素子103a,103bがオン・オフされる際に、コンデンサ104a,104bにより、主スイッチ素子11aのゲート電極に印加される電圧の急激な変化を緩和することができ、主スイッチ素子11aが急峻にオン・オフすることを防止することができる。その結果、主開閉部11の主スイッチ素子11aがオン・オフすることで発生するノイズを低減することができるため、ノイズフィルタを小さくしたり、あるいは省略したりすることが可能となる。すなわち、図18に示す従来例の構成と比較して、ノイズフィルタとして機能するコイルやコンデンサを省略することができる。
ノイズフィルタを構成するコイルに関しては、負荷制御装置の定格電流が大きくなるにつれて、このコイルも大型になるため、コイルを省略することができれば、負荷制御装置の小型化を実現することができる。また、ノイズフィルタを構成するコンデンサに関しては、コイルに比べて負荷制御装置の大きさに対する制約は少ないが、このコンデンサが存在することにより、負荷制御装置がオフの状態での負荷制御装置のインピーダンスを下げることにつながり、負荷制御装置のオフ状態として好ましくない。また、負荷制御装置がオフの状態でもコンデンサを介して交流電流が流れ、それによってオフ時に負荷が誤動作したりする可能性がある。従って、負荷制御装置からノイズフィルタ用のコンデンサを省略することができれば、2線式負荷制御装置にとって好ましい形態となる。
図12は、駆動回路10の他の具体的構成例を示す回路図である。駆動回路10は、主スイッチ素子11bのデュアルゲートに対応して2組設けられたフォトカプラなどの光絶縁半導体スイッチ素子201,202などで構成されている。光絶縁半導体スイッチ素子201,202の発光部201a,202aには、それぞれ制御部13からの駆動信号が入力される。光絶縁半導体スイッチ素子201,202の発光部201a,202aは、駆動信号が入力されると、その電力を光エネルギーに変換して出力する。光絶縁半導体スイッチ素子201,202の受光部201b,202bに、発光部201a,202aからの光が入射すると、受光部201b,202bで光電変換を行い、光エネルギーを電気エネルギーに変換(すなわち発電)する。受光部201b,202bは、そこで発電された電力が、交流電源(商用電源)及び負荷が接続される点をそれぞれ基準として(図5(a)参照)、主開閉部11の主スイッチ素子11bのゲート部に正の電位が印加されるように接続されている。
制御部13から駆動信号を出力して光絶縁半導体スイッチ素子201,202の発光部201a,202aを発光させることにより、容易に基準電位の異なる主開閉部11の主スイッチ素子11bのゲート電極に駆動信号を入力することができ、主開閉部11の主スイッチ素子11bを導通状態(閉状態)にすることができる。なお、光絶縁半導体スイッチ素子201,202の発光部201a,202aと受光部201b,202bは、電気的に絶縁されているため、発光部201a,202aから光が出力されない限り、主スイッチ素子11bのゲート電極には駆動信号は入力されない。すなわち、主スイッチ素子11bのゲート電極には、制御部13から出力された駆動信号とは異なる制御部13(又は負荷制御装置1Bの第1電源部14)から電気的に絶縁された電力が供給される。また、制御部13からの駆動信号を基に、絶縁を維持しながら容易に、且つ確実に主スイッチ素子11bのゲート電極に接続された光絶縁半導体スイッチ素子201,202をオン・オフすることができる。
図13は、図12に示す駆動回路10の変形例を示す。この変形例では、フォトカプラなどの光絶縁半導体スイッチ素子201,202の発光部201a,202aが直列に接続されている。それにより、駆動回路10に流れる電流値を約1/2にすることができ、駆動回路10での電力消費量を低減させることが可能となる。
図14は、駆動回路10の他の具体的構成を示す回路図である。この構成例では、駆動回路10が、高周波絶縁トランスなど電磁的結合によって電力を伝達するトランス(電磁結合素子)203、整流回路204a,204b、発振回路205などによって構成されている。トランス203の1次側コイル203aは発振回路205に接続され、さらに発振回路205は制御部13に接続されている。発振回路205に制御部13からの駆動信号が入力されると、駆動信号が印加されている間だけ、発振回路205は発振を行い、交流電力を発生させる。トランス203の1次側コイル203aに発振回路205により発生された交流電流が流れると、電磁誘導により2次側コイル203b,203cに起電力が発生する。トランス203の2次側にコイル203b、203cに発生する起電力は交流であるため、整流回路204a,204bにより整流された後、主開閉部11の主スイッチ素子11bのゲート電極に入力される。なお、整流回路204a,204bは、商用電源及び負荷が接続される点を基準として、主スイッチ素子11bのゲート電極に正の電位が印加されるように接続されている。なお、トランス203の1次側コイル203aと2次側コイル203b,203cは電気的に絶縁されているため、トランス203の1次側コイル203aに電流が流れない限り、主スイッチ素子11bのゲート電極には駆動信号は入力されない。すなわち、主スイッチ素子11bのゲート電極には、制御部13から出力された駆動信号とは異なる制御部13から電気的に絶縁された電力が供給される。
このように、制御部13から出力される駆動信号をトリガとして発振回路205により交流電力を発生させているので、発振回路205での発振周波数及び振幅、トランス203の1次側コイル203aと2次側コイル203b,203cの巻き線数などを適宜設定することにより、トランス203の2次側コイル203b,203cに所望する電力を発生させることができる。そのため、主開閉部11の主スイッチ素子11bのゲート部が一定以上の電流値を必要とする電流型の主スイッチ素子である場合であっても安定して駆動することができる。なお、発振回路205の駆動電力は、負荷制御装置のいずれかの電源部から供給されることは言うまでもない。あるいは、図示していないが、発振回路205を省略して、制御部13から所定周波数及び所定振幅のパルス信号を直接出力するように構成してもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る負荷制御装置について、図15乃至図17を参照しつつ説明する。第3実施形態に係る負荷制御装置1Cにおいて使用される主スイッチ素子は、耐電圧部を2箇所とする横型のシングルゲートトランジスタ構造の素子である点で、上記従来のトライアックやデュアルゲートトランジスタ構造とは異なる。図15は、第3実施形態に係る負荷制御装置1Cの構成を示す回路図である。図16は、横型のシングルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子の平面図、図17は図16におけるB−B縦断面図である。
図3に示すデュアルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子11bを用いた第2実施形態と比較して、図15に示すシングルゲートトランジスタ構造の主スイッチ素子11cを用いた第3実施形態では、2つのシングルゲートトランジスタ構造にそれぞれ、主制御部20又は第1パルス出力部21から出力される第1駆動信号又は第1パルス信号が直接入力されるので、駆動回路10が不要となっている。その他の構成は、図3に示す第2実施形態に係る負荷制御装置1Bと同様である。
図17に示すように、スイッチ素子11cの基板120は、導体層120aと、導体層120aの上に積層されたGaN層120b及びAlGaN層120cで構成されている。このスイッチ素子11cでは、チャネル層としてAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している。図16に示すように、基板120の表面120dには、電源2及び負荷3に対してそれぞれ直列に接続された第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2と、第1ドレイン電極D1の電位及び第2ドレイン電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部Sが形成されている。さらに、中間電位部Sの上には、制御電極(ゲート)Gが積層形成されている。制御電極Gとして、例えばショットキ電極を用いる。第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2は、それぞれ互いに平行に配列された複数の電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・を有する櫛歯状であり、櫛歯状に配列された電極部同士が互いに対向するように配置されている。中間電位部S及び制御電極Gは、櫛歯状に配列された電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・の間にそれぞれ配置されており、電極部の間に形成される空間の平面形状に相似した形状(略魚背骨状)を有している。
次に、スイッチ素子11cを構成する横型のトランジスタ構造について説明する。図16に示すように、第1ドレイン電極D1の電極部111と第2ドレイン電極D2の電極部112は、それらの幅方向における中心線が同一線上に位置するように配列され、中間電位部Sの対応部分及び制御電極Gの対応部分は、それぞれ第1ドレイン電極D1の電極部111及び第2ドレイン電極D2の電極部121の配列に対して平行に設けられている。上記幅方向における第1ドレイン電極D1の電極部111と第2ドレイン電極D2の電極部112と中間電位部Sの対応部分及び制御電極Gの対応部分の距離は、所定の耐電圧を維持しうる距離に設定されている。上記幅方向に直交する方向、すなわち第1ドレイン電極D1の電極部111と第2ドレイン電極D2の電極部112の長手方向においても同様である。また、これらの関係は、その他の電極部112及び122,113及び123・・・についても同様である。すなわち、中間電位部S及び制御電極Gは、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。
このように、第1ドレイン電極D1の電位及び第2ドレイン電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部S及びこの中間電位部Sに接続され、中間電位部Sに対して制御を行うための制御電極Gが、第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されているので、例えば第1ドレイン電極D1が高電位側、第2ドレイン電極D2が低電位側である場合に、スイッチ素子11cがオフの時、すなわち制御電極Gに0Vの信号が印加されたときには、少なくとも第1ドレイン電極D1と、制御電極G及び中間電位部Sの間で、電流は確実に遮断される(制御電極(ゲート)Gの直下で電流が阻止される)。一方、スイッチ素子11cがオンの時、すなわち制御電極Gに所定の閾値以上の電圧の信号が印加されたときには、図2中矢印で示すように、第1ドレイン電極D1(電極部111,112,113・・・)、中間電位部S、第2ドレイン電極D2(電極部121,122,123・・・)の経路で電流が流れる。逆の場合も同様である。
このように、第1ドレイン電極D1及び第2ドレイン電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に中間電位部Sを形成することにより、制御電極Gに印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、スイッチ素子11cを確実にオン/オフさせることができ、低オン抵抗を実現することができる。そして、この新規なスイッチ素子11cを用いて主開閉部11を構成することにより、制御信号に基準(GND)を中間電位部Sと同電位とすることで、数Vの制御信号で駆動される制御部13によって、高電圧の商用電源を直接制御することができる。また、整流部12のダイオードによる電圧降下の影響を受けないので、主開閉部11の導通(閉状態)/非導通(開状態)を切り換える閾値電圧を低くしても、確実に非導通(開状態)を維持することができる。さらに、チャネル層としてヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している横型のトランジスタ素子においては、素子を非導通にさせる閾値電圧の高電位化と導通時のオン抵抗は相反関係にあるため、閾値電圧を低くすることができることは、オン抵抗を低く維持することができることにつながり、負荷制御装置1Cの小型高容量化を実現することができる。
なお、負荷3の容量が小さく負荷電流が小さい場合、バッファコンデンサ14aの充電完了信号が出力されるタイミングが遅くなるなどの問題点も存在しており、それに対して本出願人は様々な対策を提案しているが、本発明の趣旨とは異なるため、それらの説明は省略する。また、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、MOSFET素子やその他の主スイッチ素子を用いた負荷制御装置に適用できることは言うまでもない。