本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による通信ネットワークシステムの構成を示す概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による通信ネットワークシステム100は、端末装置1〜6と、基地局10と、アクセスポイント(AP:Access Point)20,30,40と、ネットワーク50と、有線ケーブル51〜55と、ホームエージェント60とを備える。
この発明の実施の形態においては、フローとは、例えば、TCPコネクションにおける一方のエンドから他方のエンドへ送信されるパケットの集合であり、一般的には、送信元アドレス、送信元のポート番号、宛先アドレス、宛先のポート番号およびトランスポート層のプロトコルの種別によって識別されるパケットの集合である。
また、この発明の実施の形態においては、フローとは、IPv6ヘッダ内のフローラベルフィールド、送信元アドレスフィールドおよび宛先アドレスフィールドによって識別されるパケットの集合である。
更に、この発明の実施の形態においては、アクセスネットワークとは、基地局10または1つのアクセスポイント(アクセスポイント20,30,40のいずれか)から構成されるAPを経由する全てのフローにおいて、それらのフローを通るホームエージェント60−AP間の経路と、AP−端末装置間の経路とを含むネットワーク、または、APを経由する全てのフローにおいて、それらのフローを通るホームエージェント60−AP間の経路と、AP−端末装置間の経路と、端末装置−端末装置間の経路とを含むネットワークを言う。
基地局10は、有線ケーブル51によってネットワーク50に接続される。アクセスポイント20,30,40は、それぞれ、有線ケーブル52〜54によってネットワーク50に接続される。ホームエージェント60は、有線ケーブル55によってネットワーク50に接続される。
端末装置1〜6は、無線通信空間に配置される。そして、端末装置1〜6の各々は、複数の無線インターフェースを備え、WiMAXおよび/またはWiFiの無線通信方式によって基地局10および/またはアクセスポイント20,30,40にアクセスする。また、端末装置1〜6の各々は、WiFiのアドホックモードによって無線通信を中継する。更に、端末装置1〜6の各々は、後述する方法によって、隣接する端末装置または基地局10またはアクセスポイント20,30,40との間の区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間を計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をネットワーク50を介してホームエージェント60へ送信する。
基地局10は、WiMAXの無線通信方式によって端末装置1〜6の一部と無線通信を行なうとともに、有線ケーブル51、ネットワーク50、および有線ケーブル55を介してホームエージェント60と通信を行なう。
基地局10は、端末装置(端末装置1〜6の少なくとも1つ)との間の区間、またはホームエージェント60との間の区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間を後述する方法によって計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をネットワーク50を介してホームエージェント60へ送信する。
アクセスポイント20,30,40の各々は、WiFiの無線通信方式によって端末装置1〜6の一部と無線通信を行なうとともに、ネットワーク50を介してホームエージェント60と通信を行なう。
また、アクセスポイント20,30,40の各々は、端末装置(端末装置1〜6の少なくとも1つ)との間の区間、またはホームエージェント60との間の区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間を後述する方法によって計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をネットワーク50を介してホームエージェント60へ送信する。
ネットワーク50は、イーサネット(登録商標)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、光ファイバ、通信事業者の管理する網、およびインターネットバックボーン等の有線網からなる。
ホームエージェント60は、例えば、MIPv6(Mobile IPv6)におけるホームエージェントの機能を実装したノードである。そして、ホームエージェント60は、端末装置1〜6、基地局10およびアクセスポイント20,30,40からフローの到着率およびフローの平均遅延時間を受信し、その受信したフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、後述する方法によって、複数のアクセスネットワークにおける複数のネットワーク平均遅延時間を演算する。その後、ホームエージェント60は、複数のネットワーク平均遅延時間に基づいて、後述する方法によって、複数のアクセスネットワークを含む通信ネットワークの全体の平均遅延時間が最小になるように複数のアクセスネットワーク間でフローを分配する。
図2は、図1に示す端末装置1の構成図である。図2を参照して、端末装置1は、アンテナ301〜30n(nは2以上の整数)と、無線インターフェース11〜1nと、キュー21〜2nと、通信手段32と、アプリケーションモジュール33とを含む。
アンテナ301〜30nは、それぞれ、無線インターフェース11〜1nに対応して設けられる。
無線インターフェース11〜1nの各々は、WiFiの無線インターフェースおよびWiMAXの無線インターフェースのいずれかからなる。そして、無線インターフェース11〜1nの各々は、WiFiまたはWiMAXの無線通信方式によって基地局10またはアクセスポイント20,30,40のいずれかと接続を確立する。
無線インターフェース11〜1nは、それぞれ、キュー21〜2nに格納されたパケットを取り出し、その取り出したパケットをそれぞれアンテナ301〜30nを介して送信する。
また、無線インターフェース11〜1nは、それぞれアンテナ301〜30nを介して他の端末装置、基地局10およびアクセスポイント20,30,40のいずれかからパケットを受信し、その受信したパケットを通信手段32へ出力する。
更に、無線インターフェース11〜1nの各々は、WiFiのアドホックモードに従ってパケットを中継する。
キュー21〜2nは、それぞれ、無線インターフェース11〜1nに対応して設けられる。そして、キュー21〜2nは、通信手段32からパケットを受け、その受けたパケットを保持する。
通信手段32は、アプリケーションモジュール33からパケットを受け、その受けたパケットをキュー21〜2nに格納する。
また、通信手段32は、無線インターフェース11〜1nからパケットを受ける。そして、通信手段32は、その受けたパケットの宛先が端末装置1である場合、その受けたパケットをアプリケーションモジュール33へ出力する。また、通信手段32は、その受けたパケットの宛先が端末装置1以外であるとき、WiFiのアドホックモードに従ってパケットを中継する無線インターフェース(=無線インターフェース11〜1nのいずれか)に対応して設けられたキュー(=キュー21〜2nのいずれか)にパケットを格納する。
更に、通信手段32は、後述する方法によって、フローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をキュー(キュー21〜2nのいずれか)および無線インターフェース(無線インターフェース11〜1nのいずれか)を介して定期的にホームエージェント60へ送信する。
アプリケーションモジュール33は、パケットを生成し、その生成したパケットを通信手段32へ出力する。また、アプリケーションモジュール33は、通信手段32からパケットを受け、その受けたパケットを受理する。
なお、図1に示す端末装置2〜6の各々も、図2に示す端末装置1と同じ構成からなる。
図3は、図1に示す基地局10の構成図である。図3を参照して、基地局10は、アンテナ41と、無線インターフェース42と、キュー43,45と、通信手段44と、有線インターフェース46とを含む。
無線インターフェース42は、WiMAXの無線通信方式によって端末装置1〜6のいずれかとの間で接続を確立する。そして、無線インターフェース42は、キュー43からパケットを取り出し、その取り出したパケットをアンテナ41を介して端末装置1〜6のいずれかへ送信する。
また、無線インターフェース42は、端末装置1〜6のいずれかからアンテナ41を介してパケットを受信し、その受信したパケットを通信手段44へ出力する。
キュー43は、無線インターフェース42に対応して設けられる。そして、キュー43は、通信手段44からパケットを受け、その受けたパケットを保持する。
通信手段44は、有線インターフェース46からパケットを受け、その受けたパケットをキュー43へ格納する。また、通信手段44は、無線インターフェース42からパケットを受け、その受けたパケットをキュー45に格納する。
更に、通信手段44は、無線インターフェース42を介してパケットを送信または受信する区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間を後述する方法によって定期的に計測するとともに、有線インターフェース46を介してパケットを送信または受信する区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間を後述する方法によって定期的に計測する。そして、通信手段44は、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をキュー45および有線インターフェース46を介して定期的にホームエージェント60へ送信する。
キュー45は、有線インターフェース46に対応して設けられる。そして、キュー45は、通信手段44からパケットを受け、その受けたパケットを保持する。
有線インターフェース46は、有線ケーブル51に接続される。そして、有線インターフェース46は、キュー45からパケットを取り出し、その取り出したパケットを有線ケーブル51を介してホームエージェント60へ送信する。
なお、図1に示すアクセスポイント20,30,40の各々も、図3に示す基地局10と同じ構成からなる。この場合、アクセスポイント20,30,40の無線インターフェース42は、WiFiの無線通信方式によって端末装置1〜6のいずれかとの間で接続を確立する。
図4は、図1に示すホームエージェント60の構成図である。図4を参照して、ホームエージェント60は、有線インターフェース61と、キュー62と、通信手段63と、制御モジュール64とを含む。
有線インターフェース61は、有線ケーブル55に接続される。有線インターフェース61は、キュー62からパケットを取り出し、その取り出したパケットを有線ケーブル55を介して送信する。
また、有線インターフェース61は、有線ケーブル55を介してパケットを受信し、その受信したパケットを通信手段63へ出力する。
キュー62は、有線インターフェース61に対応して設けられる。そして、キュー62は、通信手段63からパケットを受け、その受けたパケットを保持する。
通信手段63は、制御モジュール64からパケットを受け、その受けたパケットをキュー62に格納する。
また、通信手段63は、有線インターフェース61からパケットを受け、その受けたパケットを制御モジュール64へ出力する。
制御モジュール64は、通信ネットワークシステム100以外のネットワークシステムに含まれる端末装置から端末装置1〜6のいずれかへのパケットを受信すると、後述する方法によって、その受信したパケットを端末装置1〜6のいずれかへ送信する。
また、制御モジュール64は、端末装置1〜6のいずれかから通信ネットワークシステム100以外のネットワークシステムに含まれる端末装置へのパケットを受信すると、後述する方法によって、その受信したパケットを通信ネットワークシステム100以外のネットワークシステムに含まれる端末装置へ送信する。
更に、制御モジュール64は、フローの到着率およびフローの平均遅延時間を端末装置1〜6、基地局10およびアクセスポイント20,30,40から受信すると、その受信したフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、後述する方法によって、複数のアクセスネットワークにおける複数のネットワーク平均遅延時間を演算し、その演算した複数のネットワーク平均遅延時間に基づいて、複数のアクセスネットワーク間でフローを分配する。
図5は、この発明の実施の形態において用いられるパケットのヘッダの構成図である。図5を参照して、ヘッダHDは、バージョンと、トラフィッククラスと、フローラベルと、ペイロード長と、次ヘッダと、ホップリミットと、送信元アドレスと、宛先アドレスとを含む。
バージョンは、IP(Internet Protocol)のバージョンであり、6が格納される。トラフィッククラスは、QoS(Quality of Service)で使用するパケットのクラスである。フローラベルは、フローの識別に使用するタグである。
ペイロード長は、ヘッダを含まないIPペイロードの長さである。次ヘッダは、IPデータグラム内の次のヘッダを示す。ホップリミットは、通過できるホップ数である。送信元アドレスは、パケットを生成する端末装置のアドレスからなる。宛先アドレスは、パケットの最終的な送信先である端末装置のアドレスからなる。
バージョン、トラフィッククラス、フローラベル、ペイロード長、次ヘッダ、ホップリミット、送信元アドレス、および宛先アドレスは、それぞれ、4ビット、8ビット、20ビット、16ビット、8ビット、8ビット、128ビットおよび128ビットの長さを有する。
上述したフローラベルフィールドを含む3組の[フローラベルフィールド/送信元アドレスフィールド/宛先アドレスフィールド]によってフローを識別した場合、IPv6ヘッダHD内の情報のみでフローを識別できる。一方、上述した5組の[送信元アドレス、送信元のポート番号、宛先アドレス、宛先のポート番号およびトランスポート層のプロトコルの種別]によってフローを識別する場合、IPヘッダに加え、トランスポート層のプロトコルのヘッダも参照する必要がある。従って、3組の[フローラベルフィールド/送信元アドレスフィールド/宛先アドレスフィールド]によってフローを識別する場合、5組の[送信元アドレス、送信元のポート番号、宛先アドレス、宛先のポート番号およびトランスポート層のプロトコルの種別]によってフローを識別する場合に比べ、フローの識別に要する処理負荷を軽減できるという利点がある。
そこで、以下においては、フローを3組の[フローラベルフィールド/送信元アドレスフィールド/宛先アドレスフィールド]によって識別する。
3組の[フローラベルフィールド/送信元アドレスフィールド/宛先アドレスフィールド]によってフローを識別する場合の端末装置1〜6におけるフローラベルフィールドの設定方法の例について説明する。
端末装置1〜6の通信手段32は、新規フローに属するパケットを送信する際、フローラベルフィールドの値の範囲(1〜220−1)から、既存のフローによって使用されているフローラベルの値を除き、一様乱数によってフローラベルフィールドの値を決定し、その決定した値をフローラベルフィールドに設定する。
また、端末装置1〜6の通信手段32は、未使用のフローラベルフィールドの値が存在しない場合、フローラベルフィールドの値を“0”に設定する。
更に、端末装置1〜6の通信手段32は、既存のフローに属するパケットを送信する際、そのフローに属する送信済みのパケットのフローラベルフィールドの値と同じ値をフローラベルフィールドに設定する。この場合、あるフローが使用するフローラベルフィールドの値は、そのフローに属するパケットを最後に送信した時刻からフローの最大存続期間(これは、設定可能なパラメータである)を超えて経過すると、新規フローに対し割り当て可能である。従って、端末装置1〜6の通信手段32は、あるフローにおいて、そのフローに属するパケットを最後に送信した時刻からフローの最大存続期間を超えて経過した後、そのフローに属するパケットを送信する場合、新規フローと同じ方法でフローラベルフィールドの値を決定し、その決定した値をフローラベルフィールドに設定する。
MIPv6によるトンネリングを行なうため、端末装置1〜6およびホームエージェント60では、トンネリングのためのIPv6ヘッダ(トンネリングのためのIPv6のヘッダを外側のヘッダ、トンネリングされるIPv6ヘッダを内側のヘッダと呼ぶ)のフローラベルフィールドを適切な値に設定する必要がある。
ホームエージェント60における外側のヘッダ内のフローラベルフィールドの設定は、次のように行なわれる。
ホームエージェント60の通信手段63は、新規フローに属するパケットをトンネリングする際、フローラベルフィールドの値の範囲(1〜220−1)から、既存のフローの外側のヘッダによって使用されているフローラベルの値を除き、一様乱数によってフローラベルフィールドの値を決定し、その決定した値をフローラベルフィールドに設定する。
また、ホームエージェント60の通信手段63は、未使用のフローラベルフィールドの値が存在しない場合、フローラベルフィールドの値を“0”に設定する。
更に、ホームエージェント60の通信手段63は、既存のフローに属するパケットをトンネリングする際、そのフローに属する送信済みのパケットの外側のヘッダのフローラベルフィールドの値と同じ値をフローラベルフィールドに設定する。この場合、あるフローが使用する外側のヘッダのフローラベルフィールドの値は、そのフローに属するパケットを最後に送信した時刻からフローの最大存続期間を超えて経過すると、新規フローに対し割り当て可能である。
更に、ホームエージェント60の通信手段63は、内側のヘッダのフローラベルフィールドの値が“0”である場合、外側のヘッダのフローラベルフィールドの値を“0”に設定する。
一方、端末装置1〜6の通信手段32は、あるフローに属するパケットをトンネリングする際、外側のヘッダのフローラベルフィールドの値を内側のヘッダのフローラベルフィールドの値と同じ値に設定する。
図1に示す通信ネットワークシステム100においては、端末装置1〜6は、通信ネットワークシステム100以外の通信ネットワークシステム(図示せず)に含まれる端末装置(図示せず)との間で通信を行なう。
この通信ネットワークシステム100以外の通信ネットワークシステムに含まれる端末装置を通信相手ノードと言い、CN(Correspondent Node)と表記する。
端末装置1〜6は、単一のホームアドレスHoAと、気付アドレスCoAとを有する。そして、ホームアドレスHoAおよび気付アドレスCoAは、相互に対応付けられている。
ホームエージェント60の制御モジュール64は、通信ネットワークシステム100に含まれる端末装置1〜6の各々におけるホームアドレスHoAおよび気付アドレスCoAを相互に対応付けて管理している。
端末装置CNが端末装置1との間で通信を行なう場合、端末装置CNは、パケットPKT=[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]を生成し、その生成したパケットPKT=[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]をネットワーク50を経由してホームエージェント60へ送信する。
ホームエージェント60の制御モジュール64は、パケットPKT=[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]を受信し、その受信したパケットPKT=[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]のDA(=端末装置1のHoA)を参照して宛先が端末装置1であることを検知する。
そうすると、ホームエージェント60の制御モジュール64は、自己が管理する端末装置1のホームアドレスHoA1と気付アドレスCoA1との対応関係に基づいて、ホームアドレスHoA1に対応する気付アドレスCoA1を検出する。
そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]をカプセル化してパケットPKT=[SA(=ホームエージェント60のアドレス)/DA(=端末装置1のCoA)[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]]を生成し、その生成したパケットPKT=[SA(=ホームエージェント60のアドレス)/DA(=端末装置1のCoA)[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]]をネットワーク50、アクセスポイント20および端末装置6を介して端末装置1へ送信する。
端末装置1の通信手段32は、パケットPKT=[SA(=ホームエージェント60のアドレス)/DA(=端末装置1のCoA)[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]]を受信し、その受信したパケットPKT=[SA(=ホームエージェント60のアドレス)/DA(=端末装置1のCoA)[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]]のDA(=端末装置1のCoA)を参照してパケットPKTが端末装置1宛てであることを検知する。
そして、端末装置1の通信手段32は、パケットPKT=[SA(=ホームエージェント60のアドレス)/DA(=端末装置1のCoA)[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]]をアプリケーションモジュール33へ出力し、アプリケーションモジュール33は、パケットPKT=[SA(=ホームエージェント60のアドレス)/DA(=端末装置1のCoA)[SA(=CNのアドレス)/DA(=端末装置1のHoA)]]を受理する。
端末装置1が端末装置CNへパケットを送信する場合、上述した方法によって、パケットが端末装置1からホームエージェント60を経由して端末装置CNへ送信される。
このように、端末装置1と端末装置CNとの間の通信においては、端末装置1の気付アドレスがホームエージェント60と端末装置1との間の通信に用いられる。
なお、端末装置2〜6が端末装置CNと通信を行なう際も同様である。
表1は、各端末装置1〜6が備える無線インターフェースを示す。また、表2は、基地局10およびアクセスポイント20,30,40が備える無線インターフェースを示す。
表1に示すように、端末装置4〜6の各々は、2個の無線インターフェースを備え、端末装置1〜3の各々は、3個の無線インターフェースを備える。
また、表2に示すように、基地局10およびアクセスポイント20,30,40の各々は、1個の無線インターフェースを備える。
以下においては、端末装置1〜6は、表1に示す無線インターフェースを備え、基地局10およびアクセスポイント20,30,40は、表2に示す無線インターフェースを備えることを前提とする。
フローの到着率およびフローの平均遅延時間について説明する。図6は、フローの到着率およびフローの平均遅延時間を説明するための概念図である。図6を参照して、端末装置1−端末装置6−アクセスポイント20−ホームエージェント60からなる経路におけるフロー1,2を例としてフローの到着率およびフローの平均遅延時間について説明する。
この場合、アクセスポイント20−ホームエージェント60間は、有線区間であり、端末装置6−アクセスポイント20間は、無線区間であり、端末装置1−端末装置6間は、無線による中継区間である。
フロー1は、端末装置1から端末装置6およびアクセスポイント20を介してホームエージェント60へ向かうパケットの流れからなる。また、フロー2は、ホームエージェント60からアクセスポイント20および端末装置6を介して端末装置1へ向かうパケットの流れからなる。
端末装置1は、WiFiのIEEE802.11gからなる無線インターフェース11と、WiMAXからなる無線インターフェース12と、WiFiのIEEE802.11aからなる無線インターフェース13とを備える。また、端末装置6は、WiFiのIEEE802.11aからなる無線インターフェース11と、WiFiのIEEE802.11gからなる無線インターフェース12とを備える。
そして、端末装置1は、無線インターフェース11(=IEEE802.11g)によって端末装置6と経路を確立し、端末装置6は、無線インターフェース11(=IEEE802.11a)によってアクセスポイント20に接続する。つまり、端末装置6は、IEEE802.11gによって端末装置1と接続し、IEEE802.11aによってアクセスポイント20と接続する。
端末装置1の通信手段32は、フロー1におけるフローの到着率を計測する場合、単位時間当たりにキュー21に格納するパケット(=1つのフロー1に属する)の個数をカウントし、そのカウントしたパケットの個数をフローの到着率r11(個/sec)として計測する。
また、端末装置1の通信手段32は、フロー1におけるフローの平均遅延時間を計測する場合、パケットをキュー21に格納してから送信完了または送信失敗までの平均時間を平均遅延時間d11として計測する。
ここで、送信完了とは、パケットの再送も含め、最終的に送信先から確認応答(ACK)が返ってきたときのことを言う。また、送信失敗とは、再送回数の上限値に達してパケットの送信をあきらめたときのことを言う。
端末装置6の通信手段32は、端末装置1の通信手段32と同様にして、フロー1におけるフローの到着率r12およびフローの平均遅延時間d12を計測する。
アクセスポイント20の通信手段44は、フロー1におけるフローの到着率を計測する場合、単位時間当たりにキュー45に格納するパケット(=1つのフロー1に属する)の個数をカウントし、そのカウントしたパケットの個数をフローの到着率r13(個/sec)として計測する。
また、アクセスポイント20の通信手段44は、次の方法によって、アクセスポイント20−ホームエージェント60間のフローの平均遅延時間を計測する。
アクセスポイント20の通信手段44は、ホームエージェント60を経由する各パケットをキュー45に格納してからホームエージェント60によって受信されるまでの平均時間を平均遅延時間d13として計測する。
この場合、アクセスポイント20の通信手段44は、ホームエージェント60へ送信するパケットをキュー45に格納した時刻t1をホームエージェント60へ送信するパケットに含めてホームエージェント60へ送信し、ホームエージェント60の通信手段63は、そのパケットを受信した時刻t2を検知し、そのパケットに含まれる時刻t1および検知した時刻t2に基づいて、t2−t1を平均遅延時間d13として演算する。そして、ホームエージェント60の通信手段63は、その演算した平均遅延時間d13を制御モジュール64へ出力する。
このようにして計測された平均遅延時間を片方向遅延に基づく平均遅延時間と言う。
また、アクセスポイント20の通信手段44は、パケットをキュー45に格納してからホームエージェント60を経由して戻って来るまでの平均時間に1/2を乗算した時間を平均遅延時間d13として計測する。即ち、アクセスポイント20の通信手段44は、パケットがアクセスポイント20−ホームエージェント60間を往復する平均時間(RTT:Round Trip Time)に1/2を乗算した時間を平均遅延時間d13として計測する。
このようにして計測された平均遅延時間をRTTに基づく平均遅延時間と言う。
この発明の実施の形態においては、片方向遅延に基づく平均遅延時間と、RTTに基づく平均遅延時間とのうち、いずれの平均遅延時間を用いるかは、適宜、設定可能である。
アクセスポイント20の通信手段44は、片方向遅延に基づく平均遅延時間と、RTTに基づく平均遅延時間とのいずれかを平均遅延時間d13として計測する。
ホームエージェント60の通信手段63は、アクセスポイント20の通信手段44と同じ方法によって、フロー2の到着率r21および平均遅延時間d21を計測する。そして、ホームエージェント60の通信手段63は、その計測したフロー2の到着率r21および平均遅延時間d21を制御モジュール64へ出力する。
アクセスポイント20の通信手段44は、フロー2におけるフローの到着率を計測する場合、単位時間当たりにキュー43に格納するパケット(=1つのフロー2に属する)の個数をカウントし、そのカウントしたパケットの個数をフローの到着率r22(個/sec)として計測する。
また、アクセスポイント20の通信手段44は、フロー2におけるフローの平均遅延時間を計測する場合、パケットをキュー43に格納してから送信完了または送信失敗までの平均時間を平均遅延時間d22として計測する。
更に、端末装置6の通信手段32は、端末装置1の通信手段32と同じ方法によって、フロー2の到着率r23および平均遅延時間d23を計測する。
その後、端末装置1の通信手段32は、その計測したフローの到着率r11および平均遅延時間d11と、無線インターフェース11のMACアドレスMACadd_11と、フロー1の識別子(=フローラベル、送信元アドレス、宛先アドレス)とを含むパケットPKT1=[MACadd_11/r11/d11/フロー1の識別子(=フローラベル、送信元アドレス、宛先アドレス)]を生成し、その生成したパケットPKT1をキュー21および無線インターフェース11を介してホームエージェント60へ送信する。
また、端末装置6は、同様にして、パケットPKT2=[MACadd_12/r12/d12/フロー1の識別子(=フローラベル、送信元アドレス、宛先アドレス)]を生成してホームエージェント60へ送信するとともに、パケットPKT3=[MACadd_12/r23/d23/フロー2の識別子(=フローラベル、送信元アドレス、宛先アドレス)]を生成してホームエージェント60へ送信する。
更に、アクセスポイント20は、同様にして、パケットPKT4=[MACadd_46/r13/d13/フロー1の識別子(=フローラベル、送信元アドレス、宛先アドレス)]を生成してホームエージェント60へ送信するとともに、パケットPKT5=[MACadd_42/r22/d22/フロー2の識別子(=フローラベル、送信元アドレス、宛先アドレス)]を生成してホームエージェント60へ送信する。
ホームエージェント60の通信手段63は、パケットPKT1〜PKT5を受信し、その受信したパケットPKT1〜PKT5を制御モジュール64へ出力する。そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、パケットPKT1〜PKT5に基づいて、フロー1の到着率r11,r12,r13および平均遅延時間d11,d12,d13と、フロー2の到着率r22,r23および平均遅延時間d22,d23とを取得する。
なお、ホームエージェント60の制御モジュール64は、フロー2の到着率r21および平均遅延時間d21を通信手段63から既に受けている。
ホームエージェント60の制御モジュール64は、フロー1の到着率r11,r12,r13および平均遅延時間d11,d12,d13と、フロー2の到着率r21,r22,r23および平均遅延時間d21,d22,d23とを取得すると、フロー1を構成する各区間(端末装置1−端末装置6、端末装置6−アクセスポイント20、アクセスポイント20−ホームエージェント60)におけるフローのコストc11〜c13を演算するとともに、フロー2を構成する各区間(ホームエージェント60−アクセスポイント20、アクセスポイント20−端末装置6、端末装置6−端末装置1)におけるフローのコストc21〜c23を演算する。
即ち、ホームエージェント60の制御モジュール64は、フロー1における端末装置1−端末装置6の区間におけるフローのコストc11をc11=r11×d11と演算する。そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、同様にして、フロー1における端末装置6−アクセスポイント20の区間におけるフローのコストc12=r12×d12と、フロー1におけるアクセスポイント20−ホームエージェント60の区間におけるフローのコストc13=r13×d13とを演算する。
また、ホームエージェント60の制御モジュール64は、同様にして、フロー2におけるホームエージェント60−アクセスポイント20の区間におけるフローのコストc21=r21×d21と、フロー2におけるアクセスポイント20−端末装置6の区間におけるフローのコストc22=r22×d22と、フロー2における端末装置6−端末装置1の区間におけるフローのコストc23=r23×d23とを演算する。
そうすると、ホームエージェント60の制御モジュール64は、フローコストc11〜c13の和C1=c11+c12+c13をフロー1の全体のコストとして演算する。
また、ホームエージェント60の制御モジュール64は、フローコストc21〜c23の和C2=c21+c22+c23をフロー2の全体のコストとして演算する。
従って、この発明の実施の形態においては、フローfiの区間jでのフローコストcijは、cij=rij×dijによって定義され、フローfiのフローコストCiは、Ci=Σjcij(=全ての区間jについてのcijの和)によって定義される。
ホームエージェント60の制御モジュール64は、他のフローについても、上述した方法によって、フローコストを演算する。
図7は、アクセスネットワークの具体例を示す図である。図7を参照して、端末装置1−端末装置6−アクセスポイント20−ホームエージェント60の経路には、双方向のフローf1,f2が存在し、端末装置5−アクセスポイント20−ホームエージェント60の経路には、双方向のフローf3,f4が存在し、端末装置5−アクセスポイント30−ホームエージェント60の経路には、双方向のフローf5,f6が存在し、端末装置3−アクセスポイント30−ホームエージェント60の経路には、双方向のフローf7,f8が存在する。
この場合、4個のフローf1〜f4は、アクセスポイント20を経由する。従って、端末装置1,5,6、アクセスポイント20およびホームエージェント60は、1つのアクセスネットワークANW1を構成する。
また、4個のフローf5〜f8は、アクセスポイント30を経由する。従って、端末装置3,5、アクセスポイント30およびホームエージェント60は、アクセスネットワークANW1と異なるアクセスネットワークANW2を構成する。
そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、フローf1〜f8のフローコストC1〜C8を上述した方法によって演算する。
アクセスネットワークANW1に含まれる全てのフローf1〜f4の集合F1は、F1=f1〜f4となり、アクセスネットワークANW2に含まれる全てのフローf5〜f8の集合F2は、F2=f5〜f8となる。
そして、アクセスネットワークANW1のネットワーク平均遅延時間D1は、D1=(C1+C2+C3+C4)/(r11+r21+r31+r41)によって定義される。ここで、r11は、フローf1の到着率であり、r21は、フローf2の到着率であり、r31は、フローf3の到着率であり、r41は、フローf4の到着率ある。
また、アクセスネットワークANW2のネットワーク平均遅延時間D2は、D2=(C5+C6+C7+C8)/(r51+r61+r71+r81)によって定義される。ここで、r51は、フローf5の到着率であり、r61は、フローf6の到着率であり、r71は、フローf7の到着率であり、r81は、フローf8の到着率ある。
従って、ホームエージェント60の制御モジュール64は、フローコストC1〜C8、およびフローの到着率r11,r21,r31,r41,r51,r61,r71,r81に基づいて、ネットワーク平均遅延時間D1=(C1+C2+C3+C4)/(r11+r21+r31+r41)を演算するとともに、ネットワーク平均遅延時間D2=(C5+C6+C7+C8)/(r51+r61+r71+r81)を演算する。
あるアクセスネットワークANWiに対応するアクセスポイントaiを通過する全フローの集合をFiとし、フローfjのフローコストをCjとし、フローfjの区間1(=フローfjの1番目の区間)でのフロー到着率をRjとすると、アクセスネットワークANWiのネットワーク平均遅延時間Diは、Di=(Σfj∈FiCj)/(Σfj∈FiRj)によって定義される。
従って、ホームエージェント60の制御モジュール64は、Di=(Σfj∈FiCj)/(Σfj∈FiRj)によって、任意のアクセスネットワークANWiのネットワーク平均遅延時間Diを演算する。
この発明の実施の形態によるフローの分配方法について説明する。ホームエージェント60の制御モジュール64は、次の方法によってアクセスネットワーク間でフローを分配する。
[分配方法]
(1)ネットワーク平均遅延時間が最大となるアクセスネットワークと、ネットワーク平均遅延時間が最小となるアクセスネットワークとを選択する。
(2)ネットワーク平均遅延時間が最大となるアクセスネットワークから、フローの平均遅延時間の大きいフローを初期移動割合(例えば、そのアクセスネットワークを通過する総フローの半数)だけ選択する。
(3)選択したフローをネットワーク平均遅延時間が最小であるアクセスネットワークへ移動するため、選択したフローがダウンリンク方向である場合は、フローが通過する経路をホームエージェント60が変更する(そのフローに属するパケットの宛先のCoAを変更する)。一方、選択したフローがアップリンク方向である場合は、ホームエージェント60が該当の端末装置に対してフローの移動指示を送信する。
(4)周期t(tは2以上の整数)において、以下のようにフローの分配を行なう。
(a)フローの分配元のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間がフローの分配先のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間よりも大きく、かつ、分配元のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間が周期t−1のネットワーク平均遅延時間よりも小さくなる場合、フローの移動数を周期t−1におけるフローの移動数と同じにする。
(b)フローの分配元のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間が、フローの分配先のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間よりも小さく、かつ、分配元のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間が周期t−1のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間よりも小さくなる場合は、フローの移動数を減少させる。
(c)フローの分配元のアクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間が周期t−1におけるネットワーク平均遅延時間よりも大きくなる場合は、フローの移動数を増加させる。
(d)フローを移動させた後の各アクセスネットワークのネットワーク平均遅延時間を算出し、ネットワーク平均遅延時間が最大となるアクセスネットワークと、ネットワーク平均遅延時間が最小となるアクセスネットワークとを選択する。そして、選択したアクセスネットワーク間で(a)〜(c)に従ってフローを移動させる。
(e)複数のアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおけるフローコストが最小となるまで、(a)〜(d)を繰返し実行する。
なお、(b)において、フローの移動数を減少させる場合、フローの移動数は、例えば、前回の移動数×0.9である。また、(c)において、フローの移動数を増加させる場合、フローの移動数は、例えば、前回の移動数×1.1である。
図8は、アクセスネットワークの平均遅延時間(sec/packet)とフロー分配数との関係を示す図である。図8において、縦軸は、アクセスネットワークの平均遅延時間を表し、横軸は、フロー分配数を表す。また、曲線k1は、アクセスネットワークAにおける平均遅延時間とフロー分配数との関係を示し、曲線k2は、アクセスネットワークBにおける平均遅延時間とフロー分配数との関係を示す。
図8を参照して、上述した(a)〜(e)を繰返し実行することにより、フローコストは、矢印ARW1〜ARW4によって示すようにアクセスネットワークA,Bの平均遅延時間を均等にする。
アクセスネットワークAにおける平均遅延時間とアクセスネットワークBにおける平均遅延時間とが均等になると、両アクセスネットワークA,Bを含む通信ネットワークにおける全体のフローコストも最小になる。また、平均遅延時間は、フローコストをフローの到着率(フローの分配の前後で不変)で除算したものである。
従って、複数のアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおける各アクセスネットワークの平均遅延時間を均等化すると、複数のアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおける全体のフローコストおよび平均遅延時間が最小になる。
その結果、上述した(a)〜(e)を繰返し実行することは、複数のアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおける全体の平均遅延時間が最小になるようにアクセスネットワーク間でフローを分配することに相当する。
このように、この発明の実施の形態においては、ホームエージェント60の制御モジュール64は、上述した(a)〜(e)を繰返し実行することによって、複数のアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおける全体の平均遅延時間が最小になるようにアクセスネットワーク間でフローを分配する。
フローの分配の具体例について説明する。図9は、フローの分配後の状態を示す図である。図7に示すフローf1〜f8において、フローコストC1〜C8は、C1>C2>C3>C4>C5>C6>C7>C8の関係を有し、アクセスネットワークANW1のネットワーク平均遅延時間D1は、アクセスネットワークANW2のネットワーク平均遅延時間D2よりも大きいものとする。
この場合、ホームエージェント60の制御モジュール64は、ネットワーク平均遅延時間D1,D2を演算し、アクセスネットワークANW1,ANW2からネットワーク平均遅延時間が最大であるアクセスネットワークANW1と、ネットワーク平均遅延時間が最小であるアクセスネットワークANW2とを選択する。
そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、ネットワーク平均遅延時間が最大であるアクセスネットワークANW1からフローの平均遅延時間が大きいフローf1,f2を選択する。初期移動割合は、アクセスネットワークANW1における全フロー(=4個のフローf1〜f4)の半数であるので、ホームエージェント60の制御モジュール64は、フローコストの大きい順に2個のフローf1,f2を選択する。
その後、ホームエージェント60の制御モジュール64は、選択したフローf1がアップリンク方向であるので、フローf1をアクセスポイント30を通過する経路へ移動させるための指示を端末装置1へ送信する。
そして、端末装置1の通信手段32は、フローf1をアクセスポイント30を通過する経路へ移動させるための指示をホームエージェント60から受信する。この場合、端末装置1は、WiMAXによって基地局10に接続し、IEEE802.11gによってアクセスポイント20に接続し、IEEE802.11aによって端末装置5に接続している。従って、端末装置1の通信手段32は、ホームエージェント60からの指示に応じて、無線インターフェース11(=IEEE802.11g)を通るフローf1を無線インターフェース13(=IEEE802.11a)を通るように切り替えることによって、アクセスポイント20を通るフローf1をアクセスポイント30を通るように切り替える。
そして、端末装置1の通信手段32は、無線インターフェース13を用いて、端末装置5およびアクセスポイント30を介してフローf1に含まれるパケットをホームエージェント60へ送信する。
この場合、端末装置5は、無線インターフェース11によって、端末装置1とホームエージェント60との間のフローf1,f2を中継するとともに、自己とホームエージェント60との間のフローf5,f6を送受信する。
また、ホームエージェント60の制御モジュール64は、選択したフローf2がダウンリンク方向であるので、端末装置1宛てのパケットの宛先アドレスに設定する気付アドレスをアクセスポイント20のネットワークにおける気付アドレスからアクセスポイント30のネットワークにおける気付アドレスに変更する。
そして、ホームエージェント60の通信手段63は、フロー2に含まれるパケットの宛先アドレスをアクセスポイント30のネットワークにおける気付アドレスに変更してパケットを端末装置1へ送信する。
端末装置1の通信手段32は、アクセスポイント30および端末装置5を介してフローf2に含まれるパケットをホームエージェント60から受信する。
フローf1,f2を分配した後、20〜30秒が経過すると、端末装置1,5,6およびアクセスポイント20,30は、図9に示す通信状態におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間を上述した方法によって計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をホームエージェント60へ送信する。
そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、端末装置1,5,6およびアクセスポイント20,30から受信したフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、上述した方法によって、アクセスネットワークANW1,ANW2におけるネットワーク平均遅延時間D1,D2を演算する。
その後、ホームエージェント60の制御モジュール64は、ネットワーク平均遅延時間D1,D2に基づいて、上述した(a)〜(e)に従って、フローを分配する。
そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、アクセスネットワークANW1,ANW2を含む通信ネットワークの全体の平均遅延時間が最小になるまで、上述した方法によってフローを繰返し分配する。
このように、この発明の実施の形態によれば、制御対象のアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおける平均遅延時間が最小になるように、ネットワーク平均遅延時間が最大であるアクセスネットワークからネットワーク平均遅延時間が最小であるアクセスネットワークへフローが分配される。
その結果、制御対象のアクセスネットワークを含む通信ネットワークにおける遅延時間が抑制されるとともに、送信先におけるパケットの到着順序の入れ替わりが抑制される。
従って、トランスポート層以上におけるスループットを向上できるとともに、遅延時間を抑制できる。
図10は、アクセスネットワークの他の具体例を示す図である。図10を参照して、端末装置3−アクセスポイント40−ホームエージェント60の経路には、双方向のフローf9,f10が存在し、端末装置4−アクセスポイント40−ホームエージェント60の経路には、双方向のフローf11,f12が存在し、端末装置2−基地局10−ホームエージェント60の経路には、双方向のフローf13,f14が存在する。
この場合、4個のフローf9〜f12は、アクセスポイント40を経由する。従って、端末装置3,4、アクセスポイント40およびホームエージェント60は、1つのアクセスネットワークANW3を構成する。
また、2個のフローf13,f14は、基地局10を経由する。従って、端末装置2、基地局10およびホームエージェント60は、アクセスネットワークANW3と異なるアクセスネットワークANW4を構成する。
アクセスポイント40は、IEEE802.11eの無線通信方式によって無線通信を行ない、基地局10は、WiMAXの無線通信方式によって無線通信を行なうので、フローf9〜f14は、QoSクラスに属するフローである。
以下においては、QoSクラスは、VoIP等の低遅延を要求するクラスCL1と、ベストエフォートのクラスCL2とからなるものとする。
図11〜図13は、それぞれ、端末装置の具体的な構成を示す第1から第3の構成図である。また、図14は、基地局10の具体的な構成を示す構成図である。
図11を参照して、端末装置2は、WiMAXによる無線インターフェース11と、IEEE802.11eによる無線インターフェース12とを備える。そして、端末装置2は、無線インターフェース11によって基地局10に接続する。
また、キュー211,212は、無線インターフェース11に対応して設けられ、キュー221,222は、無線インターフェース12に対応して設けられる。キュー211,221は、QoSのクラスCL1に属するパケットを保持するキューであり、キュー212,222は、ベストエフォートのクラスCL2に属するパケットを保持するキューである。
なお、端末装置2においては、通信手段32は、パケットの属するクラス(CL1またはCL2)に応じて、パケットをキュー211,221またはキュー212,222に格納する。
端末装置2において、通信手段32は、フローfが属するクラスをクラスCL1とした場合、単位時間当たりにキュー211に格納するパケット(=フローfに属する)の個数をフローの到着率として定期的に計測し、フローfが属するクラスをクラスCL2とした場合、単位時間当たりにキュー212に格納するパケット(=フローfに属する)の個数をフローの到着率として定期的に計測する。
また、端末装置2の通信手段32は、フローfが属するクラスをクラスCL1とした場合、パケット(フローfに属さないパケットも含む)がキュー211に格納されてから送信完了または送信失敗までの平均時間をフローの平均遅延時間として定期的に計測する。
このように、端末装置2は、QoSのクラスごとにフローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測する。そして、端末装置2は、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をクラスごとに分類してホームエージェント60へ定期的に送信する。
図12を参照して、端末装置3は、WiMAXによる無線インターフェース11と、IEEE802.11aによる無線インターフェース12と、IEEE802.11eによる無線インターフェース13とを備える。そして、端末装置3は、無線インターフェース13によってアクセスポイント40に接続する。
また、キュー211,212は、無線インターフェース11に対応して設けられ、キュー231,232は、無線インターフェース13に対応して設けられる。キュー211,231は、QoSのクラスCL1に属するパケットを保持するキューであり、キュー212,232は、ベストエフォートのクラスCL2に属するパケットを保持するキューである。
なお、端末装置3においては、通信手段32は、パケットの属するクラス(CL1またはCL2)に応じて、パケットをキュー211,231またはキュー212,232に格納する。
また、端末装置3は、端末装置2と同じ方法によって、QoSのクラスごとにフローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をクラスごとに分類してホームエージェント60へ定期的に送信する。
図13を参照して、端末装置4は、IEEE802.11aによる無線インターフェース11と、IEEE802.11eによる無線インターフェース12とを備える。そして、端末装置4は、無線インターフェース12によってアクセスポイント40に接続する。
また、キュー221,222は、無線インターフェース12に対応して設けられる。キュー221は、QoSのクラスCL1に属するパケットを保持するキューであり、キュー222は、ベストエフォートのクラスCL2に属するパケットを保持するキューである。
なお、端末装置4においては、通信手段32は、パケットの属するクラス(CL1またはCL2)に応じて、パケットをキュー221またはキュー222に格納する。
また、端末装置4は、端末装置2と同じ方法によって、QoSのクラスごとにフローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をクラスごとに分類してホームエージェント60へ定期的に送信する。
図14を参照して、基地局10は、WiMAXによる無線インターフェース42を備える。キュー431,432は、無線インターフェース42に対応して設けられる。キュー431は、QoSのクラスCL1に属するパケットを保持するキューであり、キュー432は、ベストエフォートのクラスCL2に属するパケットを保持するキューである。
なお、基地局10においては、通信手段44は、パケットの属するクラス(CL1またはCL2)に無関係に、パケットをキュー45に格納し、パケットの属するクラス(CL1またはCL2)に応じて、パケットをキュー431またはキュー432に格納する。
また、基地局10は、無線インターフェース42を用いてパケットを送信する場合のフローについて、端末装置2と同じ方法によって、QoSのクラスごとにフローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をクラスごとに分類してホームエージェント60へ定期的に送信する。
更に、基地局10は、有線インターフェース46を用いてパケットを送信する場合、上述したアクセスポイント20における方法と同じ方法によって、QoSのクラスに無関係に、フローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をホームエージェント60へ定期的に送信する。
アクセスポイント40は、図14に示す基地局10と同じ構成からなり、基地局10と同じ方法によって、QoSのクラスごとにフローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測し、その計測したフローの到着率およびフローの平均遅延時間をクラスごとに分類してホームエージェント60へ定期的に送信する。
ホームエージェント60も、有線インターフェース61を用いてパケットを送信する場合、上述したホームエージェント60における方法と同じ方法によって、QoSのクラスに無関係に、フローの到着率およびフローの平均遅延時間を定期的に計測する。
再び、図10を参照して、フローf9〜f14のうち、フローf9,f11,f13がQoSのクラスCL1に属し、フローf10,f12,f14がQoSのクラスCL2に属するものとする。
ホームエージェント60の制御モジュール64は、QoSのクラスごとに分類されたフローの到着率およびフローの平均遅延時間を端末装置2〜4、基地局10およびアクセスポイント40から受信する。そして、ホームエージェント60の制御モジュール64は、その受信したQoSのクラスごとに分類されたフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、アクセスネットワークANW3のネットワーク平均遅延時間D3と、アクセスネットワークANW4のネットワーク平均遅延時間D4とをQoSのクラスCL1,CL2ごとに演算する。
より具体的には、ホームエージェント60の制御モジュール64は、アクセスネットワークANW3に属するフローf9〜f12のうち、フローf9,f11を構成する各区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、アクセスネットワークANW3のクラスCL1のネットワーク平均遅延時間D3_CL1を演算し、フローf9〜f12のうち、フローf10,f12を構成する各区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、アクセスネットワークANW3のクラスCL2のネットワーク平均遅延時間D3_CL2を演算する。
また、ホームエージェント60の制御モジュール64は、アクセスネットワークANW4に属するフローf13,f14のうち、フローf13を構成する各区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、アクセスネットワークANW4のクラスCL1のネットワーク平均遅延時間D4_CL1を演算し、フローf13,f14のうち、フローf14を構成する各区間におけるフローの到着率およびフローの平均遅延時間に基づいて、アクセスネットワークANW4のクラスCL2のネットワーク平均遅延時間D4_CL2を演算する。
そうすると、ホームエージェント60の制御モジュール64は、クラスCL1について、ネットワーク平均遅延時間D3_CL1およびネットワーク平均遅延時間D4_CL1に基づいて、上述した(1)〜(4)のフローの分配方法に従って、アクセスネットワークANW3,ANW4間でフローを分配する。
また、ホームエージェント60の制御モジュール64は、クラスCL1についてのフローの分配と並行して、クラスCL2について、ネットワーク平均遅延時間D3_CL2およびネットワーク平均遅延時間D4_CL2に基づいて、上述した(1)〜(4)のフローの分配方法に従って、アクセスネットワークANW3,ANW4間でフローを分配する。
このように、フローがQoSのクラスに分類される場合、ホームエージェント60の制御モジュール64は、各クラスごとにフローの分配を独立かつ並行して行なう。
従って、フローがQoSのクラスに分類される場合も、フローを効果的に分配できる。その結果、各クラスに属するフローについて、トランスポート層以上におけるスループットを向上できるとともに、遅延時間を抑制できる。
なお、上記においては、端末装置1〜6の各々は、相互に異なる複数の無線インターフェースを備えると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、端末装置1〜6の各々は、相互に同じ複数の無線インターフェースを備えていてもよい。
また、この発明の実施の形態においては、ホームエージェント60は、「第1の通信装置」を構成し、基地局10およびアクセスポイント20,30,40は、「複数の第2の通信装置」を構成し、端末装置1〜6は、「複数の端末装置」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。