JP5358390B2 - ダイナミックヘッドホン - Google Patents

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Description

本発明は、ダイナミックヘッドホンに関するもので、さらに詳しく言えば、特に製造時において、低域の周波数応答を容易に調整することができるようにしたダイナミックヘッドホンに関するものである。
まず、図5を参照して、ダイナミックヘッドホン1は、基本的な構成として、ヘッドホンユニット10と、バッフル板20と、イヤーパッド30と、ヘッドホン筐体40とを備え、図示しないヘッドバンド等を介して人体の頭部に装着される。
ヘッドホンユニット10には、振動板11,磁気発生回路部12およびこれらを支持するユニットフレーム13が含まれている。
振動板11は、センタードーム111と、その周りに連設されたサブドーム112とを有し、センタードーム111とサブドーム112との境界部分にはボイスコイル113が接着材等により一体的に取り付けられている。
磁気発生回路部12は、円盤状で板厚方向に着磁された永久磁石121と、永久磁石121の一方の極側に配置されたセンターポールピース122と、永久磁石121の他方の極側に配置され、センターポールピース122との間で磁気ギャップを形成する皿状のヨーク123とから構成されている。
ユニットフレーム13は、合成樹脂製の円盤体からなり、その中央部分で磁気発生回路部12を支持している。振動板11は、ボイスコイル113が上記磁気ギャップ内で振動するように、サブドーム112のエッジ端縁がユニットフレーム13の周縁部に支持されている。
バッフル板20は、ヘッドホンユニット10の周りに配置され、その放音面側と背面側とを区画する。イヤーパッド30は、耳介を覆うようにバッフル板20の放音面側に取り付けられている。
ヘッドホン筐体40は、バッフル板20の背面側に取り付けられ、ヘッドホンユニット10の背面側に所定容積の背部空気室43を形成している。この例におけるダイナミックヘッドホン1は、オープンエア型であるため、ヘッドホン筐体40には、音響抵抗材42で覆われた開口41が設けられている。
ユニットフレーム13の背面側を示す図6を併せて参照して、振動板11の背面側を背部空気室43と音響的に接続するため、ユニットフレーム13には、同心状に複数の開口孔131が穿設されている(例えば、特許文献1参照)。
各開口孔131は、音響抵抗材132で覆われているが、ヘッドホンユニット10の低域の周波数応答を増加させるため、従来では、所定の開口孔131の音響抵抗材132に孔133を開けて音響質量とし、この音響質量を振動板11の背面側と背部空気室43との間に介在させるようにしている。
ヘッドホンの製造において、一般に、ヘッドホンユニット10は複数の機種に用いられることから、その機種ごとに要求されている低域の周波数応答に応じて、上記音響質量を調整する必要がある。
しかしながら、音響抵抗材132に孔133を開けて音響質量を調整する方法では、開口孔131の孔径が製造時に決められているため、その孔径内でしか調整することができない。また、孔133の孔開けには細心の注意が必要とされるばかりでなく、一旦開けた孔133は小さくすることが極めて困難である。
特開平8−172691号公報(図11の開口10参照)
したがって、本発明の課題は、ダイナミックヘッドホンにおいて、そのヘッドホンユニットにおける振動板背面と背部空気室との間に介在される音響質量を低域の周波数応答に応じて容易に調整できるようにすることにある。
上記課題を解決するため、本発明は、ボイスコイルを有する振動板と、上記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気発生回路部と、中央部分で上記磁気発生回路部を支持し、周縁部で上記振動板のエッジ端縁を支持する円盤状のユニットフレームとを含むヘッドホンユニットを備え、上記ヘッドホンユニットの背面側にヘッドホン筐体により囲まれた背部空気室が設けられており、上記振動板の背面側が上記ユニットフレームに形成され所定の音響抵抗材で覆われている開口孔を介して上記背部空気室に音響的に接続されているダイナミックヘッドホンにおいて、上記ユニットフレームの周縁部に沿って、上面が上記振動板のエッジ端縁によって塞がれ、かつ、一部分が上記振動板の背面側に連通している溝が環状に形成され、上記溝の底面には、上記背部空気室に至る連通孔が複数箇所に穿設されていることを特徴としている。
本発明の好ましい態様によれば、上記溝は、上記ユニットフレームの外周壁と、上記外周壁と所定の間隔をもってその内側に立設された内周壁との間に形成され、上記内周壁の一部分に上記溝を上記振動板の背面側に連通するための切り欠き部が形成されている。
この場合において、上記連通孔は、上記切り欠き部から外れた上記溝内に配置されていることが好ましい。
また、上記複数の連通孔のうちの選択された一部の連通孔が所定の閉塞手段にて閉じられている態様も、本発明に含まれる。上記閉塞手段は、接着テープもしくは接着材であってよい。
本発明によれば、振動板の背面側が、上面が振動板のエッジ端縁によって塞がれる環状に形成された溝およびその溝底に穿設された連通孔を介して背部空気室に連通するため、その連通経路内に音響質量が形成される。したがって、連通孔のいくつかを所定の閉塞手段にて塞ぐことにより、振動板背面側と背部空気室との間に介在される音響質量を容易に調整することができる。
本発明のダイナミックヘッドホンが備えるヘッドホンユニットを示す断面図。 上記ヘッドホンユニットにおけるユニットフレームを示す正面図。 上記ヘッドホンユニットにおけるユニットフレームの背面図。 (a)図1に示すA部分の拡大断面図,(b)図1に示すB部分の拡大断面図。 従来のダイナミックヘッドホンを示す断面図。 上記従来のダイナミックヘッドホンにおけるユニットフレームを示す背面図。
次に、図1ないし図4を参照して、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、この実施形態の説明において、先の図5で説明した従来のダイナミックヘッドホン1と変更を要しない構成要素には同じ参照符号を用いている。また、バッフル板20,イヤーパッド30およびヘッドホン筐体40は、上記従来のダイナミックヘッドホン1と同じであってよいため、図1には本発明の要部であるヘッドホンユニット10Aのみを示す。ただし、本発明のダイナミックヘッドホンは密閉型であってもよい。
図1に示すように、この実施形態に係るヘッドホンユニット10Aは、先に説明した従来例と同じく、振動板11,磁気発生回路部12およびこれらを支持するユニットフレーム13を備えている。
振動板11は、センタードーム111と、その周りに連設されたサブドーム112とを有し、センタードーム111とサブドーム112との境界部分にはボイスコイル113が接着材等により一体的に取り付けられている。
また、磁気発生回路部12は、円盤状で板厚方向に着磁された永久磁石121と、永久磁石121の一方の極側に配置されたセンターポールピース122と、永久磁石121の他方の極側に配置され、センターポールピース122との間で磁気ギャップを形成する皿状のヨーク123とから構成されている。
ユニットフレーム13は、合成樹脂製の円盤体からなり、その中央部分で磁気発生回路部12を支持している。振動板11は、ボイスコイル113が上記磁気ギャップ内で振動するように、サブドーム112のエッジ端縁112aがユニットフレーム13の周縁部に支持されている。
図2および図3に示すように、ユニットフレーム13には、複数の開口孔131が同心状にほぼ等間隔で穿設されており、ユニットフレーム13の背面側(図1において右側)には、すべての開口孔131を覆うドーナツ状に形成された音響抵抗材132が貼着されている。
図4を併せて参照して、ユニットフレーム13の周縁には、振動板11(サブドーム112)のエッジ端縁112aが突き当てられる位置決め壁としての外周壁133と、その内側でエッジ端縁112aが接着等により固定される内周壁134とが形成されている。
内周壁134は、所定の間隔をもって外周壁133に沿って配置されており、外周壁133との間で環状の溝135を形成している。内周壁134の高さは、外周壁133よりも低く、溝135の上面はエッジ端縁112aにより塞がれる。
内周壁134には、切り欠き部136が形成されている。この実施形態では、切り欠き部136は120度の間隔で3箇所に設けられており、これによって、溝135は振動板11の背面側の空間と連通している。切り欠き部136の配置および数は任意に選択されてよい。
溝135の底面には、背部空間43に至る連通孔137が複数個穿設されている。この実施形態において、連通孔137は、切り欠き部136,136間の溝135内で3箇所に均等間隔で設けられ、合計9箇所に設けられている。
連通孔137の配置および数も任意に選択されてよいが、切り欠き部136に対応する部分から外された位置であることが好ましい。
この構成によれば、振動板11の背面側と背部空気室43との間に、切り欠き部136,溝135および連通孔137を含む経路により音響質量が形成される。
したがって、このヘッドホンユニット10Aが適用されるダイナミックヘッドホンに要求されている低域の周波数応答に合わせて、ユニットフレーム13の背面側で連通孔137のいくつかを接着テープや接着材等で塞ぐことにより、音響質量を容易に調整することができる。
1 ダイナミックヘッドホン
10,10A ヘッドホンユニット
11 振動板
111 センタードーム
112 サブドーム
112a エッジ端縁
113 ボイスコイル
12 磁気発生回路部
121 永久磁石
122 センターポールピース
123 ヨーク
13 ユニットフレーム
131 開口孔
132 音響抵抗材
133 外周壁
134 内周壁
135 溝
136 切り欠き部
137 連通孔
20 バッフル板
30 イヤーパッド
40 ヘッドホン筐体
43 背部空気室

Claims (5)

  1. ボイスコイルを有する振動板と、上記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気発生回路部と、中央部分で上記磁気発生回路部を支持し、周縁部で上記振動板のエッジ端縁を支持する円盤状のユニットフレームとを含むヘッドホンユニットを備え、上記ヘッドホンユニットの背面側にヘッドホン筐体により囲まれた背部空気室が設けられており、上記振動板の背面側が上記ユニットフレームに形成され所定の音響抵抗材で覆われている開口孔を介して上記背部空気室に音響的に接続されているダイナミックヘッドホンにおいて、
    上記ユニットフレームの周縁部に沿って、上面が上記振動板のエッジ端縁によって塞がれ、かつ、一部分が上記振動板の背面側に連通している溝が環状に形成され、上記溝の底面には、上記背部空気室に至る連通孔が複数箇所に穿設されていることを特徴とするダイナミックヘッドホン。
  2. 上記溝は、上記ユニットフレームの外周壁と、上記外周壁と所定の間隔をもってその内側に立設された内周壁との間に形成され、上記内周壁の一部分に上記溝を上記振動板の背面側に連通するための切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイナミックヘッドホン。
  3. 上記連通孔は、上記切り欠き部から外れた上記溝内に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のダイナミックヘッドホン。
  4. 上記複数の連通孔のうちの選択された一部の連通孔が所定の閉塞手段にて閉じられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のダイナミックヘッドホン。
  5. 上記閉塞手段として、接着テープもしくは接着材が用いられることを特徴とする請求項4に記載のダイナミックヘッドホン。
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