JP5358281B2 - 低昇温性人工芝生 - Google Patents

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Description

本発明は、競技場等において使用される低昇温性の人工芝生に関する。その中でも特に、競技場で使用される、パイル糸が通常より長いパイル長さで植設された人工芝生(ロングパイル人工芝生と称する)に関するものである。
近年、維持管理が容易なことから、野球場やサッカー場などの競技場で天然芝生に代えて人工芝生が用いられるようになっている。人工芝生が開発された当初は、毛足の短い人工芝生(ショートパイル人工芝生)が主流であったが、人工芝生はアスファルトやコンクリートの上に直接に敷かれるということもあり、クッション性が十分でなかった。
近年ではパイルの毛足を長くして、パイル間にゴムチップや木材チップなどの充填材を充填し、人工芝生の表面はパイルで覆われた構造としながら、人工芝生内部には充填材が配置された構造とすることで、クッション性を改善したロングパイル人工芝生が用いられるようになっている。しかし、ロングパイル人工芝生はクッション性が優れているものの、ショートパイル人工芝生や天然芝生に比べ、太陽光の照射等により蓄熱しやすく、夏季には人工芝生の表面温度が60℃を超えることもあり、特に風通しの悪い全天候型の競技場などでは人工芝生の蓄熱による気温上昇が問題となっていた。
人工芝生の蓄熱を防ぐための技術としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1は人工芝生の表面の高温化を抑制するために、人工芝生のパイルの表面を緑色よりも太陽光の吸収の少ない塗料で被覆することが開示されている。具体的には、請求項3等には塗料が白色であることが記載されている。特許文献1の構成によれば、人工芝生の蓄熱は防げるかもしれないが、当然に芝生の色が白色、又は緑と白色の混色となり、人工芝生としての美観が損なわれてしまうし、芝生の色がサッカーボールや野球の球の色に近いためにボール等の視認性が低下してしまうという問題があった。
また、特許文献1は光を反射する塗料を人工芝のパイルに塗布して、蓄熱を防止するものであるが、塗布によるものである以上、使用により塗料が剥げて、蓄熱を防止する効果(以下、低昇温性能)が消失してしまうことが避けられない。特に、人工芝の上で、サッカーや野球等の競技が行われる場合、低昇温性能が短期間で失われてしまうという問題があった。
特開2007−154623号公報(請求項1〜3)
人工芝生全体の昇温を抑えた低昇温性のロングパイル人工芝生であって、かつ、摩擦等の外力による低昇温性能の劣化が少なく、競技用としての使用に耐え得るロングパイル人工芝生を提供することを目的とする。また、近赤外線領域の光の吸収量を低く抑えながらも、明度の低い暗緑色の人工芝生を提供することも本発明の目的である。
一次基布にパイル糸が長い毛足で人工芝生の表面を覆うように植設されてなるロングパイル人工芝生であって、前記パイル糸は、合成樹脂に色相の異なる複数の着色剤を添加することにより、400〜800nmの光の平均反射率が5〜20%、平均吸収率が60〜95%となるように着色され、800nm〜2,000nmの光の平均吸収率が3〜35%、平均透過率が30〜95%とした低昇温性人工芝生により上記の課題を解決する。すなわち、本発明の低昇温性人工芝生は400〜800nmの可視光は吸収して外見を暗緑色としつつ、同時に800〜2,000nmの近赤外線領域の光を透過させるパイル糸を植設することにより、近赤外線の吸収によるロングパイル人工芝生の蓄熱を低く抑えたものである。
上記の一次基布にパイル糸が長い毛足で人工芝生の表面を覆うように植設される、とは一次基布又はパイル糸の間に充填材を充填する場合には充填材を覆い隠すようにパイル糸が長い毛足で一次基布に植設されている状態を指す。なお、人工芝生の構造上、充填材が多少露出してしまうことが避けられないが、多少の露出であれば許容される。
本発明で使用する色相の異なる複数の着色剤としては、無機顔料、有機顔料の両方を使用し得る。例えば、無機顔料としてはコバルトグリーン、コバルトブルー、チタンホワイト、チタンイエロー、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ベンガラ、アルミニウム粉、カーボンブラック、複合焼成顔料などが、有機顔料としてはフタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、縮合アゾレッド、縮合アゾイエロー、イソインドリノンイエロー、ピラゾロンオレンジ、ペリレンバイオレット、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、アンスラキノンレッド、ジケトピロロピロールレッド、ジオキサジンバイオレットなどが挙げられ、これらを組み合わせて調色される。
暗緑色として調色する場合においては、緑色顔料と、明度を下げる顔料で構成されることが好ましく、必要に応じて、自然色に近づけたり、独自色を出すためにその他の顔料が添加される。本発明における顔料の選定において、特に注意すべき点としては、近赤外線の吸収が大きい顔料の添加を避けることである。特に、明度を下げるために最も一般的に使用されるカーボンブラックは可視光線だけでなく近赤外線も吸収して、芝生が昇温する原因となるため、添加量をできるだけ少なくし、全く添加しないことが最も好ましい。なお、有機顔料は概ね近赤外領域において大きな吸光を有しないので、最も濃く発色させる必要のある緑色顔料については、有機顔料から選定するのが好ましく、中でも、耐光性、耐熱性の観点からフタロシアニングリーンが好ましい。
有機顔料を使用する場合において、有機顔料は耐光性に優れないものが多いため、耐候剤として、パイル糸自身の劣化を防ぐ目的で添加される光安定剤とは別に、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
上記の耐候剤のうち、紫外線吸収剤としては2−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2′−メチルレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線吸収剤などの有機系紫外線吸収剤でもよく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機系紫外線吸収剤でもよいが、紫外線吸収性能を長期に渡って持続させるうえでは、無機系紫外線吸収剤が望ましい。但し、無機系紫外線吸収剤は着色剤としての役割を果たすものが多いために、目的とする色にならない場合には、無機系紫外線吸収剤の添加を控え、有機系紫外線吸収剤を添加する必要がある。このときの有機系紫外線吸収剤としては、パイル糸の樹脂の種類がポリエチレンやポリプロピレンなど極性基のない樹脂であれば、ブリードしにくいトリアジン系紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
ポリエチレンやポリプロピレンなどをパイル糸の原料とした場合の光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いられ、その一例としては、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物などが挙げられる。
パイル糸は、主原料となる樹脂と顔料や耐候剤等の添加剤をブレンドした後、押出機を使用して成形され、得られた樹脂組成物を一軸又は二軸延伸することで製造されるが、無機顔料、耐候剤などの無機物は、パイル糸を構成する樹脂にとっては異物であるために、樹脂とは完全に馴染まず、延伸した時には無機物の周りに空隙(ボイド)が形成される。無機物の添加量が多くなると、当然ボイドの発生量が多くなり、ボイドを多く含むパイル糸は、脆く、裂けやすいため、人工芝生の耐摩耗性が低下してしまう。また、ボイドを多く含むパイル糸は、ボイドにより乱反射し、色が白濁してしまうため、無機物の添加量は好ましくはパイル糸を構成する合成樹脂に対して5重量部未満、より好ましくは0.1〜4重量部とすることが好ましい。
本発明のロングパイル人工芝生は競技場での使用を前提とする。すなわち、白球や人工芝生の上に引かれる白線の視認性を向上させるために、パイル糸は暗緑色となるように着色することが好ましい。具体的には、400〜800nmの光の平均反射率が5〜20%、平均吸収率が60〜95%となるように上記の着色剤を配合して着色するとよい。特に400〜800nmの平均吸収率は、白球等の視認性を高めるうえでは、なるべく高いことが好ましいものの、太陽光のエネルギー分布における可視光線の占める割合は決して少なくなく、可視光線も吸収されれば、人工芝生の表面温度の昇温につながることを考慮すると、400〜800nmの平均吸収率は60〜85%となるようにすることがより好ましい。
また、800〜2,000nmの近赤外線領域の光の吸収による昇温を抑えるためにパイル糸の800〜2,000nmの光の平均吸収率はできるだけ低いことが好ましく、800〜2,000nmの光の平均透過率は高めにし、パイル糸自身は反射させすぎないようにすることが好ましい。具体的には、近赤外線領域である800〜2,000nmの光の平均吸収率は3〜35%、平均透過率は30〜95%とするとよい。
パイル糸自身に過度に高い近赤外線領域の光反射性能を与えようとする場合、パイル糸のような薄膜延伸構造体では、近赤外線反射性能を有する無機物等を多量に添加する必要がある。この場合、前述のように、ボイド等が生じやすくなり、耐摩耗性や白球等の視認性に対する悪影響が懸念される。しかし、本発明においては、人工芝生の構造(後述する隣在するパイル同士の交差による構造)により近赤外線領域の光の反射を増大させることができるので、パイル糸自身の近赤外線領域の光の反射性能が必ずしも高い必要はない。これにより本発明では無機物等を多量に入れることによる悪影響を回避出来るのである。しかし、耐摩耗性や視認性に影響を与えない範囲であれば、パイル糸の近赤外線領域の反射も人工芝生の構造での反射効率を高めるのに有効であると考えられる。耐摩耗性や視認性に影響を与えない範囲としては、800〜2,000nmの光の平均反射率が12〜40%、800〜2000nmの光の平均吸収率及び平均透過率としては3〜35%、30〜75%の範囲である。
本発明において、暗緑色とするために、明度を下げる方法としては、黒色の顔料又は、緑色の補色となる紫色となる顔料を使用する方法などが挙げられるが、調色の容易さから、黒色の顔料を使用する方が好ましい。黒色顔料の選定においては、近赤外線の吸収、耐熱性、耐候性を十分に考慮する必要があり、例えば、カーボンブラックを添加すると近赤外線を吸収して前記の吸収率の範囲に収めることが困難となり、人工芝生の昇温の原因となるし、一方、黒酸化鉄のように耐熱性の劣る黒顔料や、耐候性に優れない有機顔料を用いて三原色の組み合わせにより黒色とした顔料を使用した場合は、生産中あるいは使用中に変色する可能性が高くなる。従って、係る黒色顔料としてはCo、Cr、Mnのうちいずれか一つ以上とFeを複合化し焼成した複合酸化物からなるものが最も好ましい。
黒色顔料としてCo、Cr、Mnのうちいずれか一つ以上とFeを複合化し焼成した複合酸化物を使用する場合、合成樹脂100重量部に対して0.1〜1.0重量部を使用するとよい。
また、本発明のロングパイル人工芝生に使用するパイル糸の種類としてはモノフィラメント、フラットヤーン、スプリットヤーンのいずれの種類のものでも構わないが、植設後に芝葉となる繊維の幅は0.3〜3mm、より好ましくは1〜2mmとするとよい。400〜800nmの光の平均反射率と平均吸収率がそれぞれ5〜20%、60〜95%となるように着色され、かつ、800nm〜2,000nmの光の平均吸収率と平均透過率がそれぞれ、3〜35%、30〜95%となる本発明のパイル糸の繊維幅を特に上記の範囲にすることで、ロングパイル人工芝生として植設した人工芝生は低蓄熱となる傾向が見られる(後述の図1参照)。これは基布に植設された個々のパイルが、上記の繊維幅において、隣在するパイルと複雑に交差することによりロングパイル人工芝生全体として光の乱反射がほどよく行われ、近赤外線領域の光が充填材に到達することが少なくなるためであると推測される。繊維幅0.3mm未満の場合、可視光線を乱反射しすぎるため、ロングパイル人工芝表面が白濁して見えるようになるとともに、パイルの自立性が失われ、パイル間への充填材を充填するのが困難となる。また、繊維幅3mmを超えると、低昇温性能が十分とは言えず、芝生としての美観も損なわれる。
本発明のロングパイル人工芝生に使用するパイル糸の断面形状は、略楕円形としてもよいし、縦方向の突起量が横方向の突起量よりも小さい略十字形状の異形断面としてもよい。
本発明のロングパイル人工芝生に使用するパイル糸の厚みが厚すぎる場合、太陽光の吸収が増えてしまううえに、繊維幅やパイル目付重量を変えずパイル糸の厚みのみを厚くしていくと、植設されるパイルの本数が少なくなるため、パイル同士の交差量が少なくなり、人工芝生での乱反射は得られにくくなると考えられる。また、パイル糸の厚みが厚くなり過ぎるとパイルが硬くなりすぎ、自立性が出すぎてしまうため、パイルで充填材を覆うことが困難となり、充填材に太陽光が当りやすくなり、充填材が熱くなってしまう。逆に、パイル糸の厚みが薄くなれば、蓄熱の原因となる太陽光の吸収が少なくなり、また、人工芝生の単位面積当たりの比表面積が大きくなるので、放熱効率が良くなって、人工芝生の表面温度は低くなると考えられる。しかし、過度に薄くしすぎると耐摩耗性が低下し、競技用の人工芝生としての耐久性が失われてしまううえに、人工芝表面が白濁して見えたり、自立性が損なわれパイル間への充填材の充填が困難となるため、実用性を考慮し、パイル糸の断面積/繊維幅が90〜250μm、より好ましくは120〜180μmとするとよい。
パイルの目付重量が小さくなると、隣在するパイル同士の交差量が小さくなってしまい、近赤外領域の光の乱反射が効率的に行われないし、また、充填材が露出し充填物が光を吸収することでロングパイル人工芝生の温度が上昇するうえに、競技中に充填物が飛散しやすくなるため、競技の妨げとなったり、クッション性に斑が起こりやすくなってしまう。反対にパイルの目付重量が大きすぎると人工芝生の単位面積当たりの製造コストが大きくなってしまううえにパイル間への充填材の充填が困難となるので、目付重量は1,300〜2,500g/mとすることが好ましく、1,500〜2,200g/mとするとより好ましい。
本発明は毛足が短い人工芝に対しても適用できるが、日光の照射による蓄熱が問題となるパイル糸に対して好適に適用される。本発明で言う、ロングパイル人工芝生とは目安として30〜80mm程度の毛足の長さに設定されるものを言う。
パイル糸が植設される一次基布としてはどのようなものを用いても構わないが、ラグビーなどの激しい競技が行なわれる場合には破れが生じる場合があるため、高強度であることが望ましく、合成樹脂製延伸糸を織成したものであることが好ましい。また、ロングパイル人工芝生では毛足が長くなる分パイル糸を把持する力が毛足の短いものより必要となるため、該延伸糸としては、フラットヤーン又はスプリットヤーンを選択し、平織、綾織、多重織などで織り目が密になるように織成したものを使用することが好ましい。
パイル糸を一次基布に固定し、把持力をより強固にするために、パイル糸を一次基布に植設した後、一次基布の裏面にバッキング加工を行うことが好ましい。該バッキング加工としては、例えば、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などからなるバッキング剤を所定量塗布して乾燥することにより形成してもよいし、熱可塑性樹脂を押出ラミネート法によりコーティングしてもよい。
パイル間に充填される充填材としては、人工芝生に必要なクッション性を付与できるものであればどのようなものでも適用可能であるが、例えば、ゴム片、タイヤ廃材、木材チップ、砂、珪砂などが挙げられる。
パイル糸の材料はどのようなものでも構わないが、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂等が使用可能である。その中でも特に、ロングパイル人工芝は通常の人工芝生よりパイル糸の使用量が多くなるため比重の小さいポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体を含む)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられるが、中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体は、加工性が優れているうえに、3,000nm以上の遠赤外線の吸収率が低いため、ロングパイル人工芝生として用いた時に、パイルが吸収した可視光線や近赤外線が遠赤外線に変換されて熱として放出される際に、輻射が少ないため、熱を効率よく逃がすことができ、熱がパイル間に篭りにくくすることが出来るため好適である。特に、直鎖状低密度ポリエチレンは、適度な柔軟性を有し、耐摩耗性に優れるため最適である。
可視光領域の光は吸収して、競技用の人工芝生として好まれる暗緑色の外見としながらも、近赤外領域の光は透過、反射して、人工芝生の昇温を防ぐことができる。
光反射剤等をロングパイル糸に塗布する形態ではないため、人工芝生上でサッカー等のスポーツが行われても、本発明の人工芝生が有する低昇温性能が経時的に損なわれることが少ない。
本発明の低昇温性人工芝生の低蓄熱性能の評価の結果を示したグラフである。 図1のグラフの11:00〜15:00の測定結果を示したグラフである。
以下実施例により、より具体的に説明する。
以下の表1の実施例1〜7、比較例1〜4に示す組成で、樹脂フィルムをTダイ法で作製した後、樹脂フィルムをスリットし、延伸倍率5倍で1軸延伸した後、テープ状のパイル糸を得た。なお、表1に記載する直鎖状低密度ポリエチレンは密度0.93g/cm、MFRは2.1g/10minのものを用いた。表1のポリプロピレンはエチレン−プロピレンブロック共重合体で、密度0.90g/cm、MFR2.7g/10minのものを用いた。表1のポリアミドはナイロン6であり、密度1.13g/cm、粘度数246ml/gのものを用いた。表1のコバルトグリーンは、コバルトとチタンの複合酸化物で、複合酸化物ブラックは、コバルトと鉄とクロムの複合酸化物であり、いずれも平均粒径1.1μmのものを用いた。表1のフタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、縮合アゾレッドについては、チバ・ジャパン社から市販されているものを用いた。表1のヒンダードアミン系光安定剤はコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物であり、トリアジン系紫外線吸収剤は、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールを用いた。また、得られたパイル糸の繊度については実施例1、2、5、6及び比較例1、2、4の繊度は1,850dtで、実施例3の繊度は6,200dtで、実施例4の繊度は900dt、比較例3の繊度は3,600dt、実施例7の繊度は2,250dtであった。
得られたパイル糸について繊維幅を測定し、断面積を繊維幅で除して、厚さの平均値(パイル糸の断面積/幅)を算出した。次いで、得られたパイル糸を繊維幅方向に糸が重ならないよう隙間なく並べ、両端を粘着テープで固定し、3cm角の試験片を作成し、該試験片について、島津社製の分光光度計UV3100PCを使用して400〜2,000nmの反射スペクトル、透過スペクトルを測定した。これを可視光領域(400〜800nm)と近赤外線領域(800〜2,000nm)の測定値に分けて、それぞれについて、平均反射率と平均透過率を算出した(可視光平均反射率、可視光平均透過率、近赤外線平均反射率及び近赤外線平均透過率と称する)。ここで、可視光平均反射率、可視光平均透過率、近赤外線平均反射率及び近赤外線平均透過率の測定においては、いずれにおいても積分球を使用した状態で測定し、また、可視光平均反射率及び近赤外線平均反射率の算出においては、硫酸バリウムの標準白板の反射率を100%として可視光平均反射率及び可視光平均反射率を求めた。なお、光吸収率(可視光吸収率及び近赤外線吸収率)は次式にて計算し、平均化した。
光吸収率=100−(反射率+透過率)
Figure 0005358281
次に上記の実施例1〜7、比較例1〜4のそれぞれのパイル糸をポリプロピレン製のフラットヤーンを経緯糸に使用した織布(基布)にタフティング機を使用してパイル長さ約60mmとなるよう植設した(目付量は表1参照)。この裏面にバッキング剤としてSBRラテックスを塗布、乾燥してバッキング層を形成して人工芝生とした。
上記のようにして作製した実施例1〜7及び比較例1〜4の人工芝生を日本より日射量の多いオーストラリアに持ち込み、快晴の夏の日を選んで(最高気温39.5℃、最低気温21.0℃)、午前8時から午後5時の間、直射日光が照りつける場所に人工芝生を設置して、熱伝対を用いて人工芝生の表面温度の変化を測定した。なお、人工芝生は50cm角であり、パイル間には充填材として、廃タイヤから出来たゴムチップと砂を1:1で混合したものを充填しており、風の影響を減らすため、人工芝生の周囲を高さ20cmの透明アクリル板で囲って測定を行った。測定結果を図1及び図2のグラフに示す。また、図1及び図2の測定温度の最大値を表2に示す。さらに表1の「低昇温性能」の欄に、測定結果を○×式でまとめた。表1の○は最高温度が75℃以下であったものを示し、×は、最高温度が80℃以上のであったものを示し、△は最高温度が75℃〜80℃であったものを示す。なお、図2はグラフを見やすくするために、図1のグラフの11:00〜15:00の間だけを示したグラフである。
Figure 0005358281
次に、上記の実施例1〜7及び比較例1〜4について、JFAロングパイル人工芝−検査マニュアル(第4版;平成20年4月10日)に基づいて耐摩耗性試験を行った。耐摩耗性試験は、下記の摩耗輪(前輪及び後輪)を5000往復させて糸先等に割れが確認できなかったものを○(合格)とし、割れがはっきりと確認できるものを×(不合格)とし、どちらとも言えないものを△とした。得られた結果を表1に示した。
各摩耗輪の重量(軸を含む):26,800±100g
各摩耗輪に取り付けられたスタッドの数:145個
スタッドの仕様:サッカーシューズ用(13mm)
摩耗輪のサイズ:長さ300±2mm×直径118±1mm
摩耗輪の回転数:前輪7回転、後輪3回転
摩耗輪の往復時間(1サイクル):6.5秒(直線速度:0.1m/s)
サンプルの往復時間(1サイクル):2.3秒(1.9cm)
次に、上記の実施例1〜7及び比較例1〜4のパイル糸について、耐候性試験を行った。耐候性試験はキセノンランプを光源とした耐候試験機(スガ試験機社製スーパーキセノンウエザオメーターSX−75)を用いて行い、それぞれの色の変化について、0時間照射したもの、400時間照射したもの、800時間照射したもので比較した。結果は表1に示した。表中の○はほとんど色の変化がなかったものを示し、△は色の変化は見られるが態様によっては使用可能と思われるものを示し、×は明らかに退色したものを示す。
以上のように、本発明に係る実施例1〜7のうち特に実施例2、7は、耐候性、耐摩耗性、低蓄熱性能ともに優れ、人工芝生の色も暗緑色であって、白球の視認性も優れていた。

Claims (4)

  1. 一次基布にパイル糸が長い毛足で人工芝生表面を覆うように植設されてなるロングパイル人工芝生であって、
    前記パイル糸は、合成樹脂に色相の異なる複数の着色剤を添加することにより、400〜800nmの光の平均反射率が5〜20%、平均吸収率が60〜95%となるように着色され、
    800nm〜2,000nmの光の平均吸収率が3〜35%、平均透過率が30〜95%であることを特徴とする低昇温性人工芝生。
  2. パイル糸の繊維幅が0.3〜3mmである請求項1記載の低昇温性人工芝生。
  3. パイル糸は、断面積/幅=100〜250μmである請求項1又は2のいずれかに記載の低昇温性人工芝生。
  4. パイル糸を目付重量で1,300〜2,500g/mとなるように植設してなる請求項1〜3のいずれかに記載の低昇温性人工芝生。
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