JP5358275B2 - 発電設備の遠隔監視システム - Google Patents
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Description
遠隔監視システムは、発電設備を遠隔監視しながら、その運転状態を把握し、万が一の故障時にも迅速に対応することを可能にしている。一方で、遠隔監視システムは、日常の運転状態に関する各種データを収集し、発電設備の健全性を確認したり、異常及びその兆候を調査したりする等、正常な運転の維持を図るための予防保全としても用いられている。
例えば、特許文献1及び2では、設備の状態によってデータを収集する周期を変化させ、正常時は長周期で、異常時は短周期でデータを収集し、データの負荷を軽減すると共に必要なデータを監視することができる遠隔監視システムが提案されている。
よって、データ容量の問題を考慮した上で、発電設備の異常及びその兆候を効果的に検知することができ、予防保全を十分に図ることができる遠隔監視システムが望まれている。
上記発電設備の近傍に設置され、該発電設備の運転データを収集する監視端末と、
該監視端末との間に通信回線を介して接続され、該監視端末から送信された運転データを受信すると共に、該運転データに基づいて上記発電設備の異常診断を行う遠隔監視センターとを有し、
上記発電設備は、原動機と該原動機によって駆動する発電機とを備えたコージェネレーションシステムであり、上記原動機は、エンジン又はタービンであり、
上記監視端末は、上記原動機が運転を開始してから該原動機の回転が定格回転数に達するまでの始動運転期間の運転データである始動運転データを、上記始動運転期間後の定常運転状態の運転データである定常運転データを収集する収集時間間隔よりも短い収集時間間隔で収集するよう構成されており、
上記遠隔監視センターは、上記始動運転データにおける所定の監視対象項目を解析すると共に、その解析結果に基づいて上記発電設備における異常及びその兆候の有無を判定するよう構成されていることを特徴とする発電設備の遠隔監視システムにある(請求項1)。
第2の発明は、定置式の発電設備の運転状態を遠隔監視して予防保全を行う発電設備の遠隔監視システムにおいて、
上記発電設備の近傍に設置され、該発電設備の運転データを収集する監視端末と、
該監視端末との間に通信回線を介して接続され、該監視端末から送信された運転データを受信すると共に、該運転データに基づいて上記発電設備の異常診断を行う遠隔監視センターとを有し、
上記発電設備は、原動機と該原動機によって駆動する発電機とを備えたコージェネレーションシステムであり、上記原動機は、エンジン又はタービンであり、
上記監視端末は、上記原動機が運転を開始してから上記発電機の送電量が定格発電出力に達するまでの始動運転期間の運転データである始動運転データを、上記始動運転期間後の定常運転状態の運転データである定常運転データを収集する収集時間間隔よりも短い収集時間間隔で収集するよう構成されており、
上記遠隔監視センターは、上記始動運転データにおける所定の監視対象項目を解析すると共に、その解析結果に基づいて上記発電設備における異常及びその兆候の有無を判定するよう構成されていることを特徴とする発電設備の遠隔監視システムにある(請求項5)。
第3の発明は、定置式の発電設備の運転状態を遠隔監視して予防保全を行う発電設備の遠隔監視システムにおいて、
上記発電設備の近傍に設置され、該発電設備の運転データを収集する監視端末と、
該監視端末との間に通信回線を介して接続され、該監視端末から送信された運転データを受信すると共に、該運転データに基づいて上記発電設備の異常診断を行う遠隔監視センターとを有し、
上記発電設備は、発電機を備えたコージェネレーションシステムであり、上記発電機は、燃料電池であり、
上記監視端末は、上記発電機が運転を開始してから該発電機の送電量が定格発電出力に達するまでの始動運転期間の運転データである始動運転データを、上記始動運転期間後の定常運転状態の運転データである定常運転データを収集する収集時間間隔よりも短い収集時間間隔で収集するよう構成されており、
上記遠隔監視センターは、上記始動運転データにおける所定の監視対象項目を解析すると共に、その解析結果に基づいて上記発電設備における異常及びその兆候の有無を判定するよう構成されていることを特徴とする発電設備の遠隔監視システムにある(請求項6)。
そこで、本発明の遠隔監視システムでは、上記発電設備の始動時において、定常時に収集する周期よりも短い周期でデータを収集し、始動時における詳細なデータを得ることができるようにしている。
また、上記遠隔監視センターとしては、入出力点、中央演算装置、記憶装置等を備えた、いわゆるコンピュータ等で構成することができる。
また、上記監視端末と上記遠隔監視センターとの間を接続する上記通信回線としては、インターネット、ローカルエリアネットワーク、専用回線、電話回線等を用いることができる。
これにより、上記発電設備の種類、構成等に応じて、上記始動運転データのうちの異常検知に必要な上記監視対象項目の解析を行うことにより、上記発電設備における異常及びその兆候をより一層効果的に検知することができる。
上記原動機をエンジン又はタービンとするコージェネレーションシステムは、エネルギー供給設備という性質上、トラブル発生時の影響が非常に大きい。そのため、本発明の遠隔監視システムを適用し、予防保全によって正常な運転の維持を図ることが非常に有効である。
これにより、上記定常運転データからでは困難であった上記発電設備の異常検知をより効果的に行うことができ、上記発電設備の予防保全に役立てることができる。
通常、上記原動機が自立運転に移行する直前の該原動機の回転数は、上記始動補助装置の回転数と同一であり、その回転数は該始動補助装置の能力によって決まる。そのため、上記始動補助装置に何らかの異常や能力の劣化が発生した場合には、その回転数が低下する。よって、上記原動機及び上記始動補助装置の回転数を観察することにより、上記始動補助装置の異常発生、劣化度合いを検知することができる。
なお、上記始動補助装置としては、電気モーター、油圧装置等を用いることができる。
上記気筒の出口排気温度が上昇したり低下したりする場合、上記気筒の燃焼に何らかの異常が発生していることが多く、例えば点火プラグ、燃料噴射弁等の異常が考えられる。しかしながら、上記定常運転状態では、上記エンジンが暖まっているため、点火プラグ、燃料噴射弁等に異常があった場合でも、その影響が上記気筒の出口排気温度に現れにくい。一方、上記始動運転期間では、上記エンジンが冷えた状態からの運転であるため、燃焼異常が発生して直接トラブルに繋がることが多い。よって、上記エンジンの上記各気筒の出口排気温度の推移を観察することにより、上記定常運転状態では確認することができない上記エンジンの上記各気筒周辺部における異常及びその兆候を検知することができる。
上記原動機としてガスタービンを用いた場合、上記始動運転期間の途中における特定の回転数域において、上記ガスタービンに発生する振動が最も大きくなる現象が見られることがある。この回転数域は、上記ガスタービン固有の回転数であるため、始動時に毎回同じ現象が見られる。よって、上記始動運転期間において上記ガスタービンの振動値が最大となる特定の回転数域における該ガスタービンの回転数又は振動値を観察することにより、上記ガスタービンにおける異常及びその兆候を検知することができる。
これにより、上記定常運転データからでは困難であった上記発電設備の異常検知をより効果的に行うことができ、上記発電設備の予防保全に役立てることができる。
上記始動運転期間では、上記発電機が所定の発電出力に達するまで、その発電出力を上昇させる。この発電出力の上昇割合は、上記発電設備への出力増加指令によって決まり、基本的には一定である。よって、上記始動運転期間における上記発電機の発電出力の単位時間当たりの上昇割合を観察することにより、上記発電設備の異常及びその兆候を検知することができる。
また、上記発電設備は、上記定常運転状態において最も安定するように設計されている。そのため、上記始動運転期間のような上記発電機の発電出力が上昇している状態では、上記発電設備を構成する部品の劣化度合い等が上記定常運転状態よりも現れ易く、異常及びその兆候を検知し易い。それ故、上記の効果を特に有効に発揮することができる。
上記原動機を燃料電池とするコージェネレーションシステムは、エネルギー供給設備という性質上、トラブル発生時の影響が非常に大きい。そのため、本発明の遠隔監視システムによる予防保全によって正常な運転の維持を図ることが有効である。
これにより、上記定常運転データからでは困難であった上記発電設備の異常検知をより効果的に行うことができ、上記発電設備の予防保全に役立てることができる。
上述したとおり、上記始動運転期間における上記発電機の発電出力の単位時間当たりの上昇割合を観察することにより、上記発電設備の異常及びその兆候を検知することができ、またそれを検知し易い。
本例の遠隔監視システム1は、図1に示すごとく、定置式の発電設備2の運転状態を遠隔監視して予防保全を図るものであり、発電設備2の近傍に設置され、発電設備2の運転データを収集する監視端末4と、監視端末4との間に通信回線81を介して接続され、監視端末4から送信された運転データを受信すると共に、運転データに基づいて発電設備2の異常診断を行う遠隔監視センター5とを有する。
そして、監視端末4は、発電設備2における予め設定した始動運転期間の運転データである始動運転データを、始動運転期間後の定常運転状態の運転データである定常運転データを収集する収集時間間隔T2よりも短い収集時間間隔T1(<T2)で収集するよう構成されている。
以下、これを詳説する。
本例のコージェネレーションシステムは、ガスエンジン21の出力によって発電機22を駆動させて発電を行うと共に、ガスエンジン21の運転による冷却水や排ガスの排熱を冷暖房や給湯器等に利用するシステムである。
また、発電設備2におけるガスエンジン21、発電機22等の機器には、各機器の運転データを計測する計測器(図示略)が設けられている。
本例において、始動運転期間は、ガスエンジン21が運転を開始してからガスエンジン21の回転が定格回転数に達するまでの期間である(後述する図2の時間P0〜P1)。
本例において、始動運転データの監視対象項目は、始動運転期間においてガスエンジン21が始動補助装置211の補助を受けずに自立運転に移行する直前のガスエンジン21及び始動補助装置211の回転数、始動運転期間におけるガスエンジン21の各シリンダの出口排気温度等である。
なお、図2は、時間とガスエンジン21のエンジン回転数及び発電機22の発電出力との関係を示したものである。同図では、ガスエンジン21のエンジン回転数の変化をグラフa、発電機22の発電出力の変化をグラフbとして示した。
ガスエンジン21は、図2に示すごとく、始動時(時間P0)から所定の回転数F1に達するまでの間、始動補助装置211によって補助を受けながらの運転となる。
一方、遠隔監視センター5は、監視端末4から送信された運転データをサーバ51にて受信し、その運転データをサーバ51内のデータベースに保存する。
ガスエンジン21の回転が定格回転数F2に達して定常運転状態になると、それ以降(時間P1〜)、監視端末4は、運転データを一定の収集時間間隔T2で受信し、その運転データを収集する。本例の収集時間間隔T2は、60秒である。
本例の監視対象項目は、上述のごとく、始動運転期間においてガスエンジン21が始動補助装置211の補助を受けずに自立運転に移行する直前のガスエンジン21及び始動補助装置211の回転数、始動運転期間におけるガスエンジン21の各シリンダの出口排気温度等である。
管理者等は、始動運転データの解析結果及び異常判定結果を監視用パソコン52で閲覧し、これを見て対応する。例えば、異常及びその兆候を検知した場合には、それを管理者等に通知(メールや監視画面に警告ポップアップを表示させる等)するようにしてもよい。
すなわち、本例の遠隔監視システム1は、このように、発電設備2の運転が開始されてから、常時、運転状態の遠隔監視を行う。
本例の遠隔監視システム1は、図1、図2に示すごとく、発電設備2の運転データを収集する監視端末4と、運転データに基づいて発電設備2の異常診断を行う遠隔監視センター5とを有する。そして、監視端末4は、始動運転期間(時間P0〜P1)の始動運転データを、その後の定常運転状態(時間P1〜)の定常運転データを収集する収集時間間隔T2よりも短い収集時間間隔T1(<T2)で収集するよう構成されている。これにより、運転状態の異常及びその兆候を迅速かつ適切に検知し、予防保全を十分に図ることができる。
そこで、本例の遠隔監視システム1では、発電設備2の始動時において、定常時に収集する周期よりも短い周期でデータを収集し、始動時における詳細なデータを得ることができるようにしている。
このとき、例えば、始動運転期間の監視対象項目を発電機22の発電出力の単位時間当たりの上昇割合とすることにより、発電設備2の運転状態の異常及びその兆候を容易に検知することができる。
2 発電設備
4 監視端末
5 遠隔監視センター
81 通信回線
Claims (7)
- 定置式の発電設備の運転状態を遠隔監視して予防保全を行う発電設備の遠隔監視システムにおいて、
上記発電設備の近傍に設置され、該発電設備の運転データを収集する監視端末と、
該監視端末との間に通信回線を介して接続され、該監視端末から送信された運転データを受信すると共に、該運転データに基づいて上記発電設備の異常診断を行う遠隔監視センターとを有し、
上記発電設備は、原動機と該原動機によって駆動する発電機とを備えたコージェネレーションシステムであり、上記原動機は、エンジン又はタービンであり、
上記監視端末は、上記原動機が運転を開始してから該原動機の回転が定格回転数に達するまでの始動運転期間の運転データである始動運転データを、上記始動運転期間後の定常運転状態の運転データである定常運転データを収集する収集時間間隔よりも短い収集時間間隔で収集するよう構成されており、
上記遠隔監視センターは、上記始動運転データにおける所定の監視対象項目を解析すると共に、その解析結果に基づいて上記発電設備における異常及びその兆候の有無を判定するよう構成されていることを特徴とする発電設備の遠隔監視システム。 - 請求項1において、上記原動機は、該原動機の運転を補助する始動補助装置を備えており、
上記始動運転データの上記監視対象項目は、上記原動機が始動時から上記始動補助装置の補助を受けて運転された後、該原動機が該始動補助装置の補助を受けずに自立運転に移行する直前の、上記定格回転数よりも低い上記原動機及び上記始動補助装置の回転数であることを特徴とする発電設備の遠隔監視システム。 - 請求項1において、上記原動機は、複数の気筒を備えた多気筒エンジンであり、
上記始動運転データの上記監視対象項目は、上記始動運転期間における上記エンジンの上記各気筒の出口排気温度であることを特徴とする発電設備の遠隔監視システム。 - 請求項1において、上記原動機は、ガスタービンであり、
上記始動運転データの上記監視対象項目は、上記始動運転期間において上記ガスタービンの振動値が最大となる特定の回転数域における該ガスタービンの回転数又は振動値であることを特徴とする発電設備の遠隔監視システム。 - 定置式の発電設備の運転状態を遠隔監視して予防保全を行う発電設備の遠隔監視システムにおいて、
上記発電設備の近傍に設置され、該発電設備の運転データを収集する監視端末と、
該監視端末との間に通信回線を介して接続され、該監視端末から送信された運転データを受信すると共に、該運転データに基づいて上記発電設備の異常診断を行う遠隔監視センターとを有し、
上記発電設備は、原動機と該原動機によって駆動する発電機とを備えたコージェネレーションシステムであり、上記原動機は、エンジン又はタービンであり、
上記監視端末は、上記原動機が運転を開始してから上記発電機の送電量が定格発電出力に達するまでの始動運転期間の運転データである始動運転データを、上記始動運転期間後の定常運転状態の運転データである定常運転データを収集する収集時間間隔よりも短い収集時間間隔で収集するよう構成されており、
上記遠隔監視センターは、上記始動運転データにおける所定の監視対象項目を解析すると共に、その解析結果に基づいて上記発電設備における異常及びその兆候の有無を判定するよう構成されていることを特徴とする発電設備の遠隔監視システム。 - 定置式の発電設備の運転状態を遠隔監視して予防保全を行う発電設備の遠隔監視システムにおいて、
上記発電設備の近傍に設置され、該発電設備の運転データを収集する監視端末と、
該監視端末との間に通信回線を介して接続され、該監視端末から送信された運転データを受信すると共に、該運転データに基づいて上記発電設備の異常診断を行う遠隔監視センターとを有し、
上記発電設備は、発電機を備えたコージェネレーションシステムであり、上記発電機は、燃料電池であり、
上記監視端末は、上記発電機が運転を開始してから該発電機の送電量が定格発電出力に達するまでの始動運転期間の運転データである始動運転データを、上記始動運転期間後の定常運転状態の運転データである定常運転データを収集する収集時間間隔よりも短い収集時間間隔で収集するよう構成されており、
上記遠隔監視センターは、上記始動運転データにおける所定の監視対象項目を解析すると共に、その解析結果に基づいて上記発電設備における異常及びその兆候の有無を判定するよう構成されていることを特徴とする発電設備の遠隔監視システム。 - 請求項5又は6において、上記始動運転データの上記監視対象項目は、上記始動運転期間における上記発電機の発電出力の単位時間当たりの上昇割合であることを特徴とする発電設備の遠隔監視システム。
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