以下、本発明による一実施の形態による視認状況測定装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一の実施の形態による視認状況測定装置を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す視認状況測定装置の電気的な構成を示す概略ブロック図である。図3は、図1中の指標ユニット2を模式的に示す拡大正面図である。図4は、図3中のA−A’線に沿った概略断面図である。図5は、図1に示す視認状況測定装置の撮像状況を示すタイミングチャートである。
本実施の形態による視認状況測定装置は、図1に示すように、撮像手段としてのテレビカメラ等の監視カメラ1と、指標ユニット2と、監視カメラ1からの画像信号を処理して、視認状況を示す測定結果として視程を出力する処理装置3とを備えている。
監視カメラ1は、野外の道路4の路肩に立設された支柱5により支持され、道路4の付近を撮像視野とするように配置されている。本実施の形態では、監視カメラ1として白黒のカメラが用いられているが、フルカラーのカメラを用いてもよいことは、言うまでもない。なお、本発明では、監視カメラ1の代わりに他の撮像手段を用いることも可能である。
指標ユニット2は、図1及び図4に示すように、前面に、拡散板6、暗部7及びスリット状の射出窓8を有しており、これらが指標部を構成している。暗部7は、拡散板6の領域及び射出窓8以外の領域となっており、非発光の反射率の低い例えば黒色に塗布された領域となっている。この部分7は、反射率を高くしておいてもよいが、その反射率は低い方が好ましい。本実施の形態では、拡散板6は矩形形状とされ、図3中の左側に配置され、拡散板6の領域が発光可能領域(第1の領域)となっている。射出窓8は、図3中の上下方向に細長くされ、図3中の右寄りに配置されている。本実施の形態では、暗部7における射出窓8の右側の矩形領域7aが、処理対象の非発光領域(第2の領域)とされる。射出窓8には、拡散板は設けられていない。射出窓8は、単なる開口でもよいし、必要に応じて透明板を設けてもよい。
指標ユニット2は、その内部において、図4に示すように、第1及び第2の光源LS1,LS2と、2つのビームスプリッタ10,11とを有している。光源LS1,LS2としては、例えばLED光源を用いることができるが、他のランプ等を用いてもよい。本実施の形態では、ビームスプリッタ10,11として、ハーフミラーが用いられている。光源LS1,LS2及びビームスプリッタ10,11は、第1の光源LS1から発した光及び第2の光源LS2から発した光が次のように外部に照射されるように、配置されている。
第1の光源LS1が点灯したとき、その光がビームスプリッタ10を通過し、前方に進行して拡散板6に入射し、拡散板6で拡散された後に外部へ照射される。また、第2の光源LS2が点灯したとき、第2の光源LS2から発した光のうちビームスプリッタ11で反射された光は、ビームスプリッタ10で反射された後に、第1の光源LS1から発してビームスプリッタ10を通過した光と同じ光路で前方に進行して拡散板6に入射し、拡散板6で拡散された後に外部へ照射される。第1及び第2の光源LS1,LS2から発して拡散板6で拡散されて外部へ照射された光は、基準光として用いられる。
さらに、第2の光源LS2が点灯したとき、第2の光源LS2から発した光のうちビームスプリッタ11を通過した光は、その光軸が前方に対して所定角度傾いた方向に進行して、射出窓8を介して外部へ照射される。射出窓8から外部へ照射される光が、光幕取得用光として用いられる。監視カメラ1と指標ユニット2との間の距離等を考慮した上で、光幕取得用光(本実施の形態では、第2の光源LS2から発せられ射出窓8から外部に照射された光)の直接光が、監視カメラ1の視野内に到達しないように、前記所定角度が数度乃至数十度(例えば、5゜〜10゜程度)に設定されている。
このように、本実施の形態では、第2の光源LS2及び射出窓8が、拡散板6から外部へ照射される基準光とは別の光幕取得用光を外部に照射し得る照射部を、構成している。もっとも、その照射部の構成は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。また、本実施の形態では、前述したように発光可能領域(第1の領域)に拡散板6を設けているが、発光可能な領域であれば必ずしも拡散板6を設ける必要はない。さらに、拡散板6や射出窓8や処理対象の非発光領域7aの形状は、前述した形状に限定されるものではない。また、本発明では、例えば、第1の光源LS1を取り除いてもよい。この場合、ビームスプリッタ10に代えて、ミラーを用いてもよい。また、本発明では、例えば、ビームスプリッタ10,11を取り除いてもよい。
図1に示すように、指標ユニット2は、支柱9により道路4の路肩に立設され、その前面が指標6が監視カメラ1に向かうとともに監視カメラ1の撮像視野内に入るように、かつ、監視カメラ1から適当距離(例えば、10m〜30m程度)離れるように、配置されている。なお、監視カメラ1の画角は、指標ユニット2の前面が撮像可能な画角に調整されている。前述したように、射出窓8からの光幕取得用光の直接光は、監視カメラ1の撮像視野内に到達しない。
本実施の形態では、図2に示すように、指標ユニット2には、処理装置3からの制御信号を受けて第1及び第2の光源LS1,LS2の発光状態を制御する発光制御回路12が内蔵されている。発光制御回路12は、図5に示すように、制御装置3から一定周期ごとに供給される開始トリガ信号(一連の撮像の開始を指令するトリガ信号)に応答して、第1の光源LS1をm段階(mは2以上の整数)の発光レベルで順次発光させ、引き続いて、第2の光源LS2をn段階(nは2以上の整数)の発光レベルで順次発光させる。光源LS1,LS2の各発光レベル及びハーフミラー10,11の反射率又は透過率により定まる、拡散板6の直後の発光レベルの比(以下、「拡散板発光レベル比」という。)は、予め調べておく。各拡散板発光レベル比は、ある基準値に対する拡散板6の直後の各発光レベルの比である。処理装置3の制御下で、監視カメラ1は、前記開始トリガ信号のタイミング、第1の光源LS1の発光タイミング及び第2の光源LS2の発光タイミングで、それぞれ撮像する。このように第1及び第2の光源LS1,LS2の発光レベルを複数レベルに変えて画像を撮像することで、外光の変化量が著しく大きい場合でも精度良く視程を測定することができる。もっとも、本発明では、必ずしも第1及び第2の光源LS1,LS2の発光レベルを変える必要はない。特に、トンネル内の視程を測定する場合など、外光の変化量が比較的小さい場合には、第1及び第2の光源LS1,LS2の発光レベルを変えなくてもよい。
以下の説明では、図5に示すように、第1及び第2の光源LS1,LS2の非発光時の撮像画像をJ0とし、m段階の各発光レベルでの第1の光源LS1の発光時の撮像画像をそれぞれJm,…,J1とし、n段階の各発光レベルでの第2の光源LS2の発光時の撮像画像をそれぞれKn,…,K1とする。
図2に示すように、処理装置3は、監視カメラ1からの画像信号をA/D変換するA/D変換器21と、A/D変換器21でA/D変換された画像データを格納する画像メモリ22と、CPU23と、後述する処理を行うために必要な動作をCPU23に実現させるためのプログラムやデータ等を記憶するメモリ24と、画像の状態に応じてカメラ1の内部パラメータ(例えば、シャッタースピード、ゲイン)を制御する制御信号を監視カメラ1に供給する入出力インターフェース25と、後述する視程変換関数の決定処理の際に用いられるVI計測器からの視程データを取り込んだりする入出力インターフェース26とを備えている。
ここで、本実施の形態による視認状況測定装置の測定原理について、説明する。
今、指標ユニット2の第1の光源LS1のみがあるレベルで発光しているかあるいは第2の光源LS2のみがあるレベルで発光することで、拡散板6があるレベルで発光している状態で、指標ユニット2の前面を監視カメラ1により撮像する場合を、考える。この場合に、監視カメラ1により得られる画像に基づいて得られる拡散板6の領域(第1の領域)の輝度(発光時第1領域撮像輝度)Lは、下記の数1により表されるものと考えられる。数1において、Lsは拡散板6の領域の発光による拡散板6の領域の実際の輝度、Vssは拡散板6の領域の発光によって拡散板6の領域に対応する部分に現れる光幕輝度、Vbは外光によって拡散板6の領域に対応する部分に現れる光幕輝度である。光幕輝度Vss,Vbは、光が霧等の粒子により散乱されることにより生ずる輝度であり、霧等の濃度によって変化する。数1において、第2の光源LS2のみが発光している場合、射出窓8からの光幕取得用光は前記輝度Lに影響を与えない(すなわち、射出窓8をそのまま遮光しなくてもあるいは特別に遮光しても、前記輝度Lは変わらない)ものとしている。このことは、本実施の形態による視認状況測定装置に相当する試作装置において、本発明者により実験的に確認された。もし、第2の光源LS2のみが発光している場合に、射出窓8からの光幕取得用光が前記輝度Lに影響を与えるおそれがあれば、例えば、図4中のハーフミラー11と射出窓8との間に開閉可能なシャッタを設け、第2の光源LS2のみを発光させて前記輝度Lを得る際には、当該シャッタを閉じることで、射出窓8から光幕取得用光が外部に照射されないようにすればよい。
また、指標ユニット2の第2の光源LS2のみがあるレベルで発光することで、射出窓8からあるレベルで光幕取得用光が照射されている場合を考える。この場合に監視カメラ1により得られる画像に基づいて得られる矩形領域(第2の領域)7aの輝度(発光時第2領域撮像輝度)Vは、下記の数2により表されるものと考えられる。数2において、Vsは光幕取得用光によって第2の領域7aに対応する部分に現れる光幕輝度、Vcは外光によって第2の領域7aに対応する部分に現れる光幕輝度、Bbは外光による第2の領域7aの輝度である。光幕輝度Vs,Vcは、光が霧等の粒子により散乱されることにより生ずる輝度であり、霧等の濃度によって変化する。数2において、第2の光源LS2のみが発光している場合、拡散板6からの光は前記輝度Vに影響を与えない(すなわち、拡散板6をそのまま遮光しなくてもあるいは特別に遮光しても、前記輝度Vは変わらない)ものとしている。このことは、本実施の形態による視認状況測定装置に相当する試作装置において、本発明者により実験的に確認された。もし、第2の光源LS2のみが発光している場合に、拡散板6からの光が前記輝度Vに影響を与えるおそれがあれば、例えば、図4中のハーフミラー10と拡散板6との間に開閉可能なシャッタを設け、第2の光源LS2のみを発光させて前記輝度Vを得る際には、当該シャッタを閉じることで、拡散板6から光が外部に照射されないようにすればよい。
また、第1及び第2の光源LS1,LS2を発光させない状態で指標ユニット2の前面を監視カメラ1により撮像する場合に監視カメラ1により得られる画像に基づいて得られる拡散板6の領域(第1の領域)の輝度(非発光時第1領域撮像輝度)L0及び第2領域7aの輝度(非発光時第2領域撮像輝度)V0は、Ls=Vss=Vs=0であるので、下記の数3及び数4によりそれぞれ表されるものと考えられる。
発光時第1領域撮像輝度Lと非発光時第1領域撮像輝度L0との差(第1領域差分輝度)ΔLは、数1及び数3から、下記の数5で表される。また、発光時第2領域撮像輝度Vと非発光時第2領域撮像輝度V0との差(第2領域差分輝度)ΔVは、数2及び数4から、下記の数6で表される。
第1領域差分輝度ΔLと第2領域差分輝度ΔVとの比ΔL/ΔVは、数5及び数6から、下記の数7で表される。
数7からわかるように、比ΔL/ΔVには、視程などの視認状況に依存するVss,Vsが含まれているので、比ΔL/ΔVは、視認状況に対応した値となり、視程評価値等の視認状況評価値として用いることができる。よって、比ΔL/ΔVから視程などの視認状況を求めることができる。一方、数7からわかるように、比ΔL/ΔVには、外光に依存するVb,Vc,Bbが含まれていないので、比ΔL/ΔVは外光の影響を受けない。よって、比ΔL/ΔVから視認状況を求めれば、外光が変化してもその影響が低減され、視認状況を精度良く求めることができる。
ところで、変動要因として、監視カメラ1の前面ガラスの汚れ等による透過率変化、監視カメラ1の自動利得変化、監視カメラ1のレンズの自動絞り変化などを考えることができる。しかしながら、これらの要因が変動しても、その変動量に応じて定まる値の係数が、第1領域差分輝度ΔLに乗算されると同時に第2領域差分輝度ΔVに乗算されるため、その変動係数は比ΔL/ΔVにおいてキャンセルされ、比ΔL/ΔVは前述したような変動要因の影響を受けない。よって、比ΔL/ΔVから視認状況を求めれば、前述したような変動要因の影響が低減され、視認状況を精度良く求めることができる。
以上が、本実施の形態による視認状況測定装置の基本的な原理である。
ところで、トンネル内などにおける視認状況を測定する場合などでは、外光の変化量が比較的小さいので、光源LS1,LS2の発光時の発光レベルを常に一定にしても(すなわち、拡散板6の直後の発光レベル及び光幕取得用光のレベルをそれぞれ常に一定にしても)、監視カメラ1のダイナミックレンジにもよるが、特別な支障なく視認状況を測定することが可能である。しかし、トンネル外などの野外における視認状況を昼夜に渡って測定しようとする場合などでは、外光の変化量が著しく大きい。このような場合、光源LS1,LS2の発光レベルを常に一定にすると、監視カメラ1のダイナミックレンジとの関係で、入力光信号が過大な信号となったり過小な信号となったりしてしまい、発光時第1領域撮像輝度Lや発光時第2領域撮像輝度Vの値が本来の値からかけ離れたものとなったりその精度が低下したりしてしまう。
そこで、トンネル外などの野外における視認状況を昼夜に渡って測定しようとする場合など、外光の変化量が著しく大きい場合には、本実施の形態のように、拡散板6の領域(第1の領域)を互いに異なる比率を持つ複数の発光レベルの短パルスで発光させ、各発光レベルのときに得られる各レベル発光時第1領域撮像輝度情報のうちから選択したものを用いてこれを対応する比率(拡散板発光レベル比)で換算して前記発光時第1領域撮像輝度Lとして用いる。また、光幕取得用光として互いに異なる比率を持つ複数の発光レベルの短パルス光を用い、各発光レベルのときに得られる各レベル発光時第2領域撮像輝度情報のうちから選択したものを用いてこれを対応する比率で換算して前記発光時第2領域撮像輝度Vとして用いる。このとき、本実施の形態では、第2の光源LS2のみが発光している場合における拡散板6の領域の発光レベルと光幕取得用光のレベルとの間の比率は常に一定であるので、前記発光時第2領域撮像輝度Vへの換算も、拡散板発光レベル比により行えばよい。
このような手法を採用すれば、トンネル外などの野外における視認状況を昼夜に渡って測定しようとする場合など、外光の変化量が著しく大きくても、発光時第1領域撮像輝度L及び発光時第2領域撮像輝度Vを精度良く得ることができ、ひいては、視認状況を精度良く得ることができる。また、トンネル内の視認状況を測定する場合など、外光の変化量が比較的小さくても、前述したような手法を採用すれば、発光時第1領域撮像輝度L及び発光時第2領域撮像輝度Vをより精度良く得ることができ、ひいては、視認状況をより精度良く得ることができる。
次に、本実施の形態による視認状況測定装置の動作について、図6を参照して説明する。図6は、設置時の処理と処理装置3の動作の一例を示す概略フローチャートである。
図6中のステップS0,S1は、本装置の設置時にのみ行われる前処理である。監視カメラ1、指標ユニット2及び処理装置3を据え付け、監視カメラ1で撮像された画像における指標ユニット2の前面の拡散板6の領域(第1の領域)の像の位置及び第2の領域7aの像の位置を設定した後、後述する比ΔL/ΔVと視程との関係を示す視程変換関数の決定処理を行い(ステップS0)、ステップS1以降の本測定処理を行う。ステップS0の決定処理については、後に説明する。
処理装置3は、本測定処理を開始すると、まず、監視カメラ1の内部パラメータ(例えば、シャッタースピード、ゲイン)を初期状態に設定する(ステップS1)。
次いで、処理装置3は、光源LS1,LS2及び監視カメラ1を制御して、前述した図5に示す(1+m+n)枚の一連の画像J0,Jm,…,J1,Kn,…,K1を取り込む(ステップS2)。
引き続いて、処理装置3は、ステップS2で取り込んだ画像に対して後述する視程判定のための画像処理を行い(ステップS3)、その画像処理結果に基づいて視程(視程距離)を算出してそれを外部(例えば、道路情報板や道路管理者設備などの外部の接続機器)へ出力する(ステップS4)。これらのステップS3,S4の詳細な動作については、後述する。
その後、処理装置3は、監視カメラ1の内部パラメータの設定変更が必要であるか否かを判定する(ステップS5)。この判定は、例えば、ステップS2で取り込んだ画像を用い、その画像の一部の輝度が一定値以下であるか否か及びその画像の一部又は全部の輝度が最大値となっているか否か(サチレーションしているか否か)によって行うことができる。あるいは、例えば、外光を検出する照度計を別途設け、照度計からの信号を判定することで、ステップS5の判定を行うことができる。処理装置3は、内部パラメータの変更が必要であれば、その変更を行った(ステップS6)後にステップS7へ移行し、内部パラメータの変更が必要なければそのままステップS7へ移行する。例えば、ステップS5で前記画像の一部が一定値以下であると判定された場合には、ステップS6でシャッタースピードを遅くしたりゲインを上げたりする変更を行い、ステップS5でサチレーションしていると判定された場合には、ステップS6でシャッタースピードを速くしたりゲインを下げたりする変更を行う。ステップS5,S6によって、例えば昼夜等に応じて最適化された監視カメラ1の内部パラメータの設定状態において、画像を撮像することができるので、好ましい。もっとも、本発明では、ステップS5,S6の処理は必ずしも行わなくてもよい。
ステップS7において、処理装置3は、前回のステップS2の画像取り込みから一定時間が経過するまで待ち(ステップS7)、一定時間が経過すると、ステップS2へ戻る。これにより、一定時間毎に一連の処理が繰り返される。
図7及び図8は、図6中のステップS3の詳細なフローチャートである。処理装置3は、ステップS3の動作を開始すると、まず、ステップS2で取得した画像J0を背景画像として取り扱い、監視カメラ1のγパラメータが1.0ではない場合、背景画像J0を、逆変換によってγが1.0の画像に変換する(ステップS101)。ただし、監視カメラ1のγパラメータが1.0であれば、このステップS101は省略する。
次に、処理装置3は、ステップS2で取得した画像Jm,…,J1を識別するためのカウント値x(その値が大きいほど、当該画像を撮像した際の指標ユニット2の拡散板6の領域の発光レベルが大きい。)をmに設定する(ステップS102)。
次いで、処理装置3は、現在設定されているカウント値xに対応する画像Jxについて、その画像中の拡散板6の領域に対応する部分(第1の領域)がサチレーションしているか否かを判定する(ステップS103)。この判定は、例えば、画像Jx中の拡散板6に対応する領域(第1の領域)内の輝度ヒストグラムを取得し、その最大値がサチレーションしているか否かを判定することによって、行うことができる。サチレーションしていなければステップS106へ移行し、サチレーションしていればステップS104へ移行する。
ステップS104において、処理装置3は、現在のカウント値xが1であるか否かを判定する。1であればステップS110へ移行し、1でなければステップS105へ移行する。
ステップS105において、処理装置3は、カウント値xを1だけデクリメントする。その後、ステップS103へ戻る。
ステップS106において、処理装置3は、画像Jxを、逆変換によってγが1.0の画像に変換する。ただし、監視カメラ1のγパラメータが1.0であれば、このステップS106は省略する。
次に、処理装置3は、ステップS101でγ逆変換された背景画像J0とステップS106でγ逆変換された画像Jxとの差分をなす背景差分画像を生成する(ステップS107)。
次いで、処理装置3は、ステップS107で得た背景差分画像における拡散板6に対応する領域(第1の領域)内の平均濃度ΔLJを、算出する(ステップS108)。
その後、処理装置3は、算出処理フラグ(「0」が適切に算出処理できたことを示し、「2」が適切に算出処理できなかったことを示す。)を、「0」にセットした(ステップS109)後、ステップS119へ移行する。
ステップS110において、処理装置3は、ステップS2で取得した画像Kn,…,K1を識別するためのカウント値y(その値が大きいほど、当該画像を撮像した際の指標ユニット2の拡散板6の領域の発光レベルが大きい。)をnに設定する。なお、本実施の形態では、拡散板6に到達する光がハーフミラー10,11のうち2つを経由するのかそれとも1つのみを経由するのかの相違により、画像Knを得たときの拡散板6の領域の発光レベルよりも、画像J1を得たときの拡散板6の領域の発光レベルの方が、高くなっている。
次いで、処理装置3は、現在設定されているカウント値yに対応する画像Kyについて、その画像中の拡散板6の領域に対応する部分(第1の領域)がサチレーションしているか否かを判定する(ステップS111)。この判定は、例えば、画像Ky中の拡散板6に対応する領域(第1の領域)内の輝度ヒストグラムを取得し、その最大値がサチレーションしているか否かを判定することによって、行うことができる。サチレーションしていなければステップS115へ移行し、サチレーションしていればステップS112へ移行する。
ステップS112において、処理装置3は、現在のカウント値yが1であるか否かを判定する。1であれば算出処理フラグを「2」にセットした(ステップS114)後にステップS119へ移行し、1でなければカウント値yを1だけデクリメントした(ステップS113)後にステップS111へ戻る。
ステップS115において、処理装置3は、画像Kyを、逆変換によってγが1.0の画像に変換する。ただし、監視カメラ1のγパラメータが1.0であれば、このステップS115は省略する。
次に、処理装置3は、ステップS101でγ逆変換された背景画像J0とステップS115でγ逆変換された画像Kyとの差分をなす背景差分画像を生成する(ステップS116)。
次いで、処理装置3は、ステップS116で得た背景差分画像における拡散板6に対応する領域(第1の領域)内の平均濃度ΔLKを、算出する(ステップS117)。
その後、処理装置3は、算出処理フラグを「0」にセットした(ステップS118)後、ステップS119へ移行する。
ステップS119において、処理装置3は、算出処理フラグが「0」であるか否かを判定する。「0」であればステップS120へ移行し、「0」でなければ、このステップS3の処理を終了してステップS4へ移行する。
ステップS120において、処理装置3は、ステップS2で取得した画像Kn,…,K1を識別するためのカウント値y(その値が大きいほど、当該画像を撮像した際の指標ユニット2の拡散板6の領域の発光レベルが大きい。)をnに設定する。
次いで、処理装置3は、現在設定されているカウント値yに対応する画像Kyについて、その画像中の第2の領域7aに対応する部分(第2の領域)がサチレーションしているか否かを判定する(ステップS121)。この判定は、例えば、画像Ky中の第2の領域7aに対応する領域(第2の領域)内の輝度ヒストグラムを取得し、その最大値がサチレーションしているか否かを判定することによって、行うことができる。サチレーションしていなければステップS125へ移行し、サチレーションしていればステップS122へ移行する。
ステップS122において、処理装置3は、現在のカウント値yが1であるか否かを判定する。1であれば、算出処理フラグを「2」にセットした(ステップS124)後にこのステップS3の処理を終了してステップS4へ移行し、1でなければ、カウント値yを1だけデクリメントした(ステップS123)後にステップS121へ戻る。
ステップS125において、処理装置3は、画像Kyを、逆変換によってγが1.0の画像に変換する。ただし、監視カメラ1のγパラメータが1.0であれば、このステップS125は省略する。
次に、処理装置3は、ステップS101でγ逆変換された背景画像J0とステップS125でγ逆変換された画像Kyとの差分をなす背景差分画像を生成する(ステップS126)。
次いで、処理装置3は、ステップS126で得た背景差分画像における第2の領域7aに対応する領域(第2の領域)内の平均濃度ΔVKを、算出する(ステップS127)。これにより、このステップS3の処理を終了してステップS4へ移行する。
図9は、図6中のステップS4の詳細なフローチャートである。処理装置3は、ステップS4の動作を開始すると、まず、算出処理フラグが「0」であるか否かを判定する(ステップS201)。算出処理フラグが「0」であれば、視程評価値(後述する比ΔL/ΔV)の算出が可能な処理結果がステップS3で得られたことを示し、算出処理フラグが「0」でなければそのような処理結果が得られなかったことを示す。算出処理フラグが「0」であればステップS202へ移行し、「0」でなければS208へ移行する。
ステップS208において、処理装置3は、視程を測定することができなかった旨のエラー出力(例えば、コード番号など)を、外部に出力する。その後、処理装置3は、このステップS4の処理を終了してステップS5へ移行する。
ステップS202において、処理装置3は、ステップS108で算出される値ΔLJとステップS117で算出される値ΔLKうちのいずれがステップS3で算出されたかを、判定する。ステップS3で値ΔLJが算出されていればステップS203へ移行し、ステップS3で値ΔLKが算出されていればステップS204へ移行する。
ステップS203において、処理装置3は、ステップS108で算出された値ΔLJ及びステップS127で算出された値ΔVKを、予め得たそれぞれ対応する拡散板発光レベル比αa,αbに従って換算して、これらの換算後の値としてΔL=ΔLJ/αa及びΔV=ΔVK/αbを得る。ここで、拡散板発光レベル比αaは、ステップS106でγ逆変換の対象とした画像Jxを得たときの第1の光源LS1の発光時の拡散板発光レベル比である。拡散板発光レベル比αbは、ステップS125でγ逆変換の対象とした画像Kyを得たときの第2の光源LS2の発光時の拡散板発光レベル比である。ステップS203の後、ステップS205へ移行する。
ステップS204において、処理装置3は、ステップS117で算出された値ΔLK及びステップS127で算出された値ΔVKを、予め得たそれぞれ対応する拡散板発光レベル比αc,αbに従って換算して、これらの換算後の値としてΔL=ΔLK/αc及びΔV=ΔVK/αbを得る。ここで、拡散板発光レベル比αcは、ステップS115でγ逆変換の対象とした画像Kyを得たときの第2の光源LS2の発光時の拡散板発光レベル比である。拡散板発光レベル比αbは、前述したように、ステップS125でγ逆変換の対象とした画像Kyを得たときの第2の光源LS2の発光時の拡散板発光レベル比である。ステップS204の後、ステップS205へ移行する。
ステップS205において、処理装置3は、ステップS203又はS204で得たΔL及びΔVから、視程評価値として、比ΔL/ΔVを算出する。
その後、処理装置3は、図7中のステップS0で予め決定された視程変換関数に従って、ステップS205で算出された視程評価値(比ΔL/ΔV)を視程に変換し(ステップS206)、ステップS206で得た視程を測定結果として外部へ出力し(ステップS207)、このステップS4の処理を終了してステップS5へ移行する。
なお、ステップS207において、例えば、ステップS206で得た視程をそのまま視程の瞬時値として出力するようにしてもよいし、一定時間の平均値を算出してこれを出力するようにしてもよい。また、ステップS207において、視程の値(距離)を予め定めた条件(例えば、予め定めたいずれの範囲に入るかなどの条件)で判別し、その判別結果に応じて、「正常」、「注意」、「警告」などの状態を、視程に代えて又は視程と共に出力するようにしてもよい。
ここで、図6中のステップS0の視程変換関数の決定処理について、説明する。この決定処理では、光の減衰検知によるVI計測器を、本装置の測定対象となる視程と実質的に同じ視程を計測するように別途設置し、このVI計測器からの視程データが入出力インターフェース26から処理装置3に入力されるようにする。そして、処理装置3は、前述したステップS2〜S7までの処理と同じ処理を繰り返して行うことで比ΔL/ΔVを順次得ていく。このとき、処理装置3は、各比ΔL/ΔVに対応づけて、当該比ΔL/ΔVの取得時に対応するタイミングで計測されたVI計測器からの視程測定データも取り込んでいく。そして、処理装置3は、このようにして収集された比ΔL/ΔVと視程データとから、統計処理して比ΔL/ΔVと視程データとの回帰曲線を算出し、この回帰曲線を、比ΔL/ΔVと視程との関係を示す視程変換関数として設定する。なお、その形式は、式の形式でもよいし、ルックアップテーブルの形式でもよい。このようにして設定された視程変換関数の一例を図10に示している。
なお、ステップS0の視程変換関数の決定処理が終了すると、VI計測器は取り除かれる。
先の説明からわかるように、ステップS108で算出される値ΔLJ及びステップS117で算出される値ΔLKが、第1の領域(拡散板6の領域)の発光時に監視カメラ1により得られた画像に基づく前記第1の領域の輝度情報である第1の輝度情報と、第1の領域(拡散板6の領域)の非発光時に監視カメラ1により得られた画像に基づく前記第1の領域の輝度情報である第2の輝度情報との、差を示す第1領域差分輝度情報となっている。また、ステップS127で算出される値ΔVKが、光幕取得用光の照射時に監視カメラ1により得られた画像に基づく第2の領域7aの輝度情報である第3の輝度情報と、光幕取得用光の非照射時に監視カメラ1により得られた画像に基づく第2の領域7aの輝度情報である第4の輝度情報との、差を示す第2領域差分輝度情報となっている。
本実施の形態によれば、前述したように、比ΔL/ΔVを求め、これに応じて視程を得ているので、既に説明した本発明の基本的な原理により、外光が変化してもその影響が低減されて視程を精度良く求めることができるとともに、監視カメラ1の前面ガラスの汚れ等による透過率変化、監視カメラ1の自動利得変化などの影響が低減されて視程を精度良く求めることができる。
そして、本実施の形態によれば、光幕取得用光を外部に照射し得る照射部(第2の光源LS2及び射出窓8)は、発光可能な第1の領域(拡散板6の領域)とは別に設けられ、しかも、前記照射部は、光幕取得用光の直接光が監視カメラ1の視野内に到達しないように、光幕取得用光を照射する。したがって、光幕取得用光の直接光が監視カメラ1の視野内に到達しないので、その直接光に起因する監視カメラ1のブルーミングなどのノイズを、光幕による輝度として捉えてしまうことがない。このため、本実施の形態によれば、監視カメラ1のブルーミングなどの影響を受け難くなり、これにより、視程をより高い精度で得ることができる。
また、本実施の形態では、前述したように、指標ユニット2の拡散板6の領域を互いに異なる比率を持つ複数の発光レベルの短パルスで発光させ、各発光レベルのときに得られる前記第1の輝度情報のうちから選択したものを用いている。また、互いに異なる比率を持つ複数のレベルの光幕取得用光を照射し、各レベルのときに得られる前記第3の輝度情報のうちから選択したものを用いている。このような手法を採用しているため、本実施の形態によれば、外光の変化量が著しく大きくても、前記第1の輝度情報及び前記第3の輝度情報を精度良く得ることができ、ひいては、視程を精度良く得ることができる。したがって、本実施の形態によれば、トンネル外などの野外における視程を、昼夜に渡って、精度良く測定することができる。もっとも、本実施の形態による視認状況測定装置は、トンネル内の視認状況を測定するために用いてもよい。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
また、本実施の形態では、外光の変化量が著しく大きい場合に対処し得るように前述したような手法が採用されているが、本発明では、トンネル内の視程を測定する場合など、外光の変化量が比較的小さい場合には、例えば、前述した本測定処理において、所定の発光レベルの短パルスでのみ拡散板6の領域を発光させるとともに、所定のレベルの短パルスのみで光幕取得用光を照射してもよい。
本実施の形態では、視認状況を示す測定結果として視程を出力しているが、視程と透過率とは対応しているので、測定結果として視程の代わりに透過率を出力してもよい。本発明による装置は、火災感知やスモッグ測定等のためなどの他の用途のために透過率を計測する透過率計測装置としても、用いることができる。