JP5347218B2 - 大推力リニアモータユニット - Google Patents

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本発明は、射出成型機等のように数万N以上の大推力を必要とするリニアモータユニットに関し、特にその機械的・電気的構造に関する。
射出成型機のように数万N以上の大推力を必要とする場合、数万N単位の推力特性をもつ1台のリニアモータにより駆動しなければならなかった(特許文献1又は2参照)。
特開2002−354780号公報 特開平6−62787号公報
特に、特許文献1記載の発明は、可動子と固定子から成る円筒界磁形リニアモータにおいて、可動子が、(1)巻線をリング状に巻回した複数個のリング状コイルを軸方向(スラスト方向)に等ピッチで配置されて成るリング状コイル群と、(2)これらのリング状コイル群を収納するスロットをスラスト方向に複数個備えてなる電機子コアを複数個リング状コイルの全周に亘って、電機子コアの磁気的空隙側の面が正多角形になるように配置されて成る電機子コア群と、(3)電機子コア群を周方向に位置決めする溝を備えたフレームと、を有し、また、固定子が、(1)前記リング状コイル群の中心軸上に同心配置されて成る中空磁性体ロッドと、(2)中空磁性体ロッドの外周側にスラスト方向に等ピッチで配置されかつ電機子コアの正多角形内面に対して磁気的空隙を介して成る複数のリング状マグネットと、を有して成るものである。
このように、特許文献1記載の発明は、電機子と界磁を磁気的空隙を介していずれもスラスト方向に等ピッチで配置し、電機子コアのみを多角形状にするものであった。
ところが、従来のリニアモータでは、必要推力に見合うリニアモータを開発するたびに莫大な投資費用がかかるため、効果的な方法ではなかった。
また、特許文献1記載のリニアモータでは、リニアモータに生じる磁気吸引力を相殺させることができず、したがってまたガイド寿命が短くなり、さらにコギングトルクが発生するという欠点を解消できなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、数千N(ニュートン)単位の最大推力をもつリニアモータを複数台、これを取り付けるベース寸法を調整することにより、数万N以上のあらゆる必要推力に応じることできて、コスト安で小サイズで、しかもガイド寿命が長く、コギングトルクも発生しない大推力リニアモータユニットを提供することを目的としている。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、大推力リニアモータユニットにおいて、1台のリニアモータ電機子と1台のリニアモータ界磁とで構成される1台のリニアモータを複数台、多角形状にかつ点対称または線対称に円周状に配置した大推力リニアモータユニットであって、前記リニアモータ電機子は、円筒状の電機子ベースの内壁に多角形状に配置されて電機子ユニットを形成し、前記リニアモータ界磁は、前記円筒状の電機子ベースの内側に同軸状に配置した円筒状の界磁ベースの外壁に多角形状に配置されて界磁ユニットを形成し、前記電機子ユニットと前記界磁ユニットとの何れか一方を固定子に、他方を可動子として、前記電機子ユニットと前記界磁ユニットを相対的に走行するようにし、前記電機子ベースの内部に複数本のリニアガイドを固定配置しており、前記複数台のリニアモータ電機子と前記複数台のリニアモータ界磁とを、前記複数本のリニアガイドに対して点対称または線対称になるように多角形状に配置したことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の大推力リニアモータユニットにおいて、前記複数台のリニアモータ電機子又は複数個の前記リニアモータ界磁を軸方向(推力発生方向)にそれぞれ一定間隔ずらして配置したことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の大推力リニアモータユニットにおいて、前記複数台のリニアモータ電機子又は複数個の前記リニアモータ界磁を軸方向(推力発生方向)にそれぞれ一定間隔ずらして配置したことを特徴としている。
請求項記載の発明によると、数千N単位の最大推力をもつ既存のリニアモータを複数台多角形状に配置した構造とし、リニアモータの台数とこれを取り付けるベース寸法を調整することにより、数万N以上のあらゆる必要推力に応じて、大推力リニアモータユニットを提供することが可能となる。
さらに、複数台のリニアモータを多角形状に点対称又は線対称に配置した構造にすることにより、例えば、磁気吸引力が発生するリニアモータを採用した場合、リニアモータ1台ごとに生じる磁気吸引力が相殺されるため、リニアガイドに与える外力を打ち消し、ガイド寿命が極めて長くすることが可能となる。
請求項記載の発明によると、複数台のリニアモータをそれぞれ直列結線とすることにより、リードの結線処理が容易となる。
請求項記載の発明によると、複数個の前記リニアモータ電機子1又は複数個の前記リニアモータ界磁2を軸方向(推力発生方向)にそれぞれ一定間隔ずらして配置したので、コギング推力を打ち消すことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、本発明が従来と同じ構成要素については同一符号を付して重複説明を省略し、異なる点のみ説明する。
図1は本発明の実施例1に係る大推力リニアモータユニットの概念斜視図を示している。また、図2は図1の大推力リニアモータユニットを軸に対して直角な面で切った断面図を、図3は図1の大推力リニアモータユニットの側面図をそれぞれ示している。
図1において、1は電機子ユニット、1aは電機子ベース、1bはリニアモータ電機子、2は界磁ユニット、2aは界磁ベース、2bはリニアモータ界磁、3は動力ケーブルである。
図1〜図3では、一例として、リニアモータを10台を用いて正十角形構造としている。勿論、本発明はリニアモータは10台に限らず、必要推力に応じてリニアモータの台数を変更することが可能である。
図において、大推力リニアモータユニットは電機子ユニット1と前記界磁ユニット2と動力ケーブル3で構成され、 電機子ユニット1は、円筒状の電機子ベース1aと、電機子ベース1aの内壁に多角形状に配置された複数個のリニアモータ電機子1bとで構成されている。
界磁ユニット2は、円筒状の電機子ベース1aの内側に同軸状に配置した円筒状の界磁ベース2aと、界磁ベース2aの外壁にリニアモータ電機子1bの数と同数個が多角形状に配置されたリニアモータ界磁2bとで構成されている。
そして、リニアモータ電機子1bとリニアモータ界磁2bは磁気ギャップを介して対向し、電機子ユニット1と界磁ユニット2との何れか一方を固定子に、他方を可動子として、電機子ユニットと界磁ユニットを相対的に走行するようにしている。
1個のリニアモータ電機子1bと1個のリニアモータ界磁2bとで1台のリニアモータを構成している。そして、複数個で多角形状構成する際、点対称または線対称に配置しているので、1台ごとに生じる磁気吸引力が相殺されてリニアガイドに与える外力を打ち消すようになる。
また、図2から判るように、複数個のリニアモータ電機子1aをそれぞれ直列結線することにより、リードの結線処理が容易となる。
複数個の前記リニアモータ電機子1又は複数個の前記リニアモータ界磁2を軸方向(推力発生方向)にそれぞれ一定間隔ずらして配置できるため、コギング推力を打ち消すことが可能となる。
以上のように、実施例1の大推力リニアモータユニットは、複数台のリニアモータを多角形状に配置した点が特徴で、このように多角形状の構造のため、各リニアモータに発生する磁気吸引力を相殺し、リニアガイドへの外力を緩和することにより、ガイド寿命を著しく長くすることができる。
図4は、実施例1の大推力リニアモータユニットの推力特性を示す。
図4において、横軸は速度v(m/s)、縦軸は推力F(N)を示し、実線は1台駆動の場合、点線はn台駆動の場合である。
図から判るように、本発明の大推力リニアモータユニット(リニアモータn台で構成)の推力特性は、リニアモータ1台の推力特性を基準とすると、最大推力がn倍、最高速度が1/n倍となることが判る。
このように、数千N単位の最大推力をもつリニアモータを複数台多角形状に配置し、リニアモータの台数とこれを取り付けるベース寸法を調整することにより、数万N以上のあらゆる必要推力に応じたリニアモータユニットを構成することができ、また、各リニアモータを直列結線することにより、最高速度は落ちるが、リードの結線処理が容易にできるといったメリットがある。
このため、本発明の大推力リニアモータユニットは、低速度かつ数万N以上の大推力を必要とする射出成型機等への適用が可能となる。
このような実施例1の大推力リニアモータユニットを支持する構造としては、図8のようなものを本出願人は先に考出した。すなわち、リニアモータの支持に必要なリニアガイド1cを固定面4に固定し、一方、電機子ベース1aの外壁にガイドブロック2cを配置固定している。このようにリニアモータの固定子である電機子側を固定面4に固定することで、界磁側が可動子となって電機子ユニット1内を移動するようになる。
ところが、このような固定方法ではリニアガイド1cを固定する固定面4のためのスペースを確保する必要があり、実用性の点で問題が見つかった。
実施例2は図8のリニアモータが有する欠点を解消して、モータ支持部のスペースを削減でき、コンパクトな大推力リニアモータユニットを得ることを目的とするものである。
図5は実施例2に係る大推力リニアモータユニットの概念斜視図、図6は図5の大推力リニアモータユニットを軸方向に対して直角な面で切った断面図、図7はリニアモータ4台とリニアガイド4個の場合の断面図をそれぞれ示している。
図5および図6において、1は電機子ユニット、1aは電機子ベース、1bはリニアモータ電機子、1cはリニアガイド、2は界磁ユニット、2aは界磁ベース、2bはリニアモータ界磁、2cはガイドブロック、3は動力ケーブルである。
ここでは、電機子ユニット1を固定子とし、界磁ユニット2を可動子とし、電機子ベース1a内部にリニアガイド1cを固定配置し、またリニアガイド1cに沿って走行するガイドブロック2cを界磁ベース2aに配置固定している。
この場合、複数個のリニアモータ電機子1bと複数個のリニアガイド1cを点対称または線対称になるよう多角形状に配し、また、界磁ベース2aの外壁にリニアモータ電機子1bと同数個のリニアモータ界磁2b、リニアガイド1cと同数個のガイドブロック2cを点対称または線対称になるよう多角形状に配している。リニアモータ電機子1bとリニアモータ界磁2bは磁気ギャップを介して対向するような位置関係としている。
また、リニアガイド1cとガイドブロックの型番及び個数を可変とすることができ、その場合点対称または線対称に配置するのが好ましい。
このように複数個のリニアガイドを点対称または線対称となるよう多角形状に配置することで、モータ支持部だけに必要なスペースを削減することができ、コンパクトな大推力リニアモータユニットが得られることとなる。
また、リニアガイドの型番及び個数を可変とすることにより、必要に応じてメカ剛性を調節することが可能となる。
図5および図6では、1個のリニアモータ電機子bと1個のリニアモータ界磁2bの1対で構成されるリニアモータを8台、正十角形構造に配置して大推力リニアモータユニットを構成しているが、図7はリニアモータ4台、リニアガイド4個(正八角形構造)とした場合の構造を示している。
このように、リニアガイドの個数を増やすことにより、メカ剛性の向上が可能となり、制御面においてゲインを上げることが可能となる。ただし、この際、リニアモータの磁気吸引力を相殺するため、複数台のリニアモータと複数個のリニアガイドは点対称または線対称になるように配置しなければならない。
以上述べたように、複数台のリニアモータと複数個のリニアガイドを点対称または線対称になるよう多角形状に配置した構造とすることにより、モータ支持部のスペースを削減でき、コンパクトな大推力リニアモータユニットを提供することが可能になる。
また、リニアガイドの型番及び個数を可変とすることにより、必要に応じてメカ剛性を調節することが可能となる。このようなメリットから、数千N以上の大推力を必要とする射出成型機といった用途に対して適用可能である。
また、数千N以上の大推力を必要とする場合、半径方向に大きくすることができないときは、大推力リニアモータユニットを複数個リニアガイドに直列配置するようにしてもよい。
本発明の実施例1に係る大推力リニアモータユニットの概念斜視図を示している。 図1の大推力リニアモータユニットを軸に対して直角な面で切った断面図を示している。 図1の大推力リニアモータユニットの側面図を示している。 実施例1の大推力リニアモータユニットの推力特性を示している。 実施例2に係る大推力リニアモータユニットの概念斜視図を示している。 図5の大推力リニアモータユニットを軸方向に対して直角な面で切った断面図を示している。 実施例2におけるリニアモータ4台とリニアガイド4個の場合の断面図を示している。 本出願人による先行例としてのリニアモータユニット支持構造の断面図である。
1 :電機子ユニット
1a:電機子ベース
1b:リニアモータ電機子
1c:リニアガイド
2 :界磁ユニット
2a:界磁ベース
2b:リニアモータ界磁
2c:ガイドブロック
3 :動力ケーブル
4 :固定面

Claims (3)

  1. 1台のリニアモータ電機子と1台のリニアモータ界磁とで構成される1台のリニアモータを複数台、多角形状にかつ点対称または線対称に円周状に配置した大推力リニアモータユニットであって、
    前記リニアモータ電機子は、円筒状の電機子ベースの内壁に多角形状に配置されて電機子ユニットを形成し、
    前記リニアモータ界磁は、前記円筒状の電機子ベースの内側に同軸状に配置した円筒状の界磁ベースの外壁に多角形状に配置されて界磁ユニットを形成し、
    前記電機子ユニットと前記界磁ユニットとの何れか一方を固定子に、他方を可動子として、前記電機子ユニットと前記界磁ユニットを相対的に走行するようにし、
    前記電機子ベースの内部に複数本のリニアガイドを固定配置しており、前記複数台のリニアモータ電機子と前記複数台のリニアモータ界磁とを、前記複数本のリニアガイドに対して点対称または線対称になるように多角形状に配置したことを特徴とする大推力リニアモータユニット。
  2. 複数台の前記リニアモータ電機子をそれぞれ直列結線にすることを特徴とする請求項1記載の大推力リニアモータユニット。
  3. 前記複数台のリニアモータ電機子又は複数個の前記リニアモータ界磁を軸方向(推力発生方向)にそれぞれ一定間隔ずらして配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の大推力リニアモータユニット。
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