JP5345074B2 - 無線通信システム、送信装置及び受信装置 - Google Patents

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本発明はマルチバンドまたは異なる複数の無線周波数を使用する無線通信システム、送信装置及び受信装置に係わり、特に、各バンドまたは無線周波数毎に異なる無線伝送方式(無線伝送パラメータ)を用いる無線通信システムおよび送信装置、受信装置に関する。
第2世代携帯電話システムでは800MHz帯、1.5GHz帯など複数の周波数帯を使用している。また、第3世代携帯電話システムIMT-2000では現在2GHz帯が使用されているが近い将来800MHz帯の使用も検討されている。このように1つの携帯電話システムにおいて複数の周波数帯を使用することは周知の事実となっている。
マルチバンドの無線通信システム、すなわち、複数の帯域幅(バンド)を用いた無線通信システム、あるいは、複数の異なる無線周波数を使用するマルチキャリア無線通信システムにおいて、従来はすべて同じ無線パラメータ(無線フォーマット)を用いていた。すなわち、無線フォーマットとして、(1)チャネル推定に必要な内挿パイロットの長さ、(2)シンボル間干渉を防止するためのガードインターバルGIの長さ、(3)マルチキャリアにおけるサブキャリア数あるいはサブキャリア間隔等があるが、従来はこれら無線パラメータ(フォーマット)は無線周波数やバンドに関係なく同じであった。しかし、使用する周波数帯が異なれば、伝播特性が変わり、受信性能もそれに応じて異なる。図15はマルチバンドの説明図であり、説明を簡素化するために周波数帯を1GHz帯と2GHz帯としているが、この周波数帯に限定するものではなく、また、2つのバンドに限定するものでもない。
(1) パイロットを内挿する無線伝送システム
周波数帯が1GHzと2GHzを用いた無線伝送システムでは移動速度が同じでも、使用する周波数帯によってフェージング速度が倍異なる。このため、チャネル推定ために同じ長さの内挿パイロットを用いるとチャネル推定精度が1GHzと2GHzで異なり、2GHz帯では1GHz帯に比べ受信性能が劣化する。しかし、従来は図16に示すように、周波数帯に関係なくデータDT1,DT2に内挿するパイロットPL1、PL2の長を同一長にしており、チャネル推定精度が2GHz帯において劣化する問題があった。
図17はかかる従来のパイロット長を周波数帯に関係なく一定にした場合の送信装置の構成図、図18は受信装置の構成図である。
送信装置において、変調部1aは、送信データにたとえばQPSK変調を施し、パイロット挿入部1bはQPSKの同相成分、直交成分にパイロット信号PLを挿入し、1GHz用送信機1cは該パイロットPLが挿入された信号の周波数を1GHzにアップコンバートして送信し、2GHz用送信機1dは該パイロットPLが挿入された信号の周波数を2GHzにアップコンバートして送信する。なお、パイロットの挿入はQPSK変調前でも良い。
受信装置において、1GHz用受信機2aは1GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部2cに入力し、2GHz用受信機2bは同様に2GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部2cに入力する。選択部2cは図示しない制御部から出力された1GHz/2GHz選択信号SELが指示する受信機から出力するべースバンド信号を選択し、パイロット抽出部2dと復調部2eに入力する。パイロット抽出部2dは入力信号よりパイロットを抽出し、チャネル推定部2fは抽出したパイロット信号と既知のパイロット信号とを用いてチャネル(パスの伝搬特性)を推定する。復調部2eは該チャネル推定値に基づいてデータ信号にチャネル補償を施し、しかる後、送信データを復調する。
以上のように、送信装置は1GHz/2GHz ともに同じ長さのパイロット信号を挿入し、同一の無線フォーマットで無線信号として送信する。このため、2GHzで送信されたデータを復調する際、チャネル推定精度が劣化するため高精度のデータ復調ができない。
(2) ガードインターバルを挿入する無線伝送システム
シンボル間干渉を防止するためにガードインターバルGIを挿入する無線伝送システムでは、基地局と移動局の位置関係によって必要なガードインターバル長が異なる。例えば1GHzと2GHzでは伝播損失が異なり、1GHzの方が遠くへ到達することが知られており、1GHz帯の遅延スプレッドの方が長くなる。ガードインターバル長は最大遅延スプレッドの長さに合わせて決めるのが一般的である。すなわち、バンド毎に同じガードインターバル長(同じ無線フォーマット)の場合、遅延スプレッドが最長となる基地局と移動局の位置関係を想定してガードインターバル長を決める必要がある。図19は従来の無線フォーマットの例であり、1GHzの遅延スプレッドに基づいて1GHZ/2GHzのガードインターバルGIの長さを決めている。以上より、2GHz帯ではガードインターバルが長くなりすぎ、すなわち、無用なガードインターバル長を用意することになり伝送効率が悪くなる問題がある。
図20はガードインターバルGIを同一にした場合の無線伝送システムにおける送信装置、図21は受信装置の構成図であり、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:OFDM)方式によりマルチキャリア伝送する例であり、1GHZ/2GHzともに同じ長さのガードインターバルが挿入されたデータを送信機から送信する。
送信装置において、マルチキャリア変調部3aのシリアル/パラレル変換部3a1は送信データをN個の並列データに変換し、IFFT部3a2は各並列データをN個のサブキャリア成分としてIFFT演算処理し、パラレル/シリアル変換部3a3はNシンボルのIFFT演算処理結果を直列に変換して出力する。ガードインターバル付加部3bは予め設定されている一定長のガードインターバルをNシンボルの先頭に付加し、1GHz用送信機3cは該ガードインターバルが挿入された信号の周波数を1GHzにアップコンバートして送信し、2GHz用送信機3dは該ガードインターバルが挿入された信号の周波数を2GHzにアップコンバートして送信する。
受信機において、1GHz用受信機4aは1GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部4cに入力し、2GHz用受信機4bは同様に2GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部4cに入力する。選択部4cは図示しない制御部から出力された1GHz/2GHz選択信号SELが指示する受信機から出力するべースバンド信号を選択し、ガードインターバル除去部4dに入力する。ガードインターバル除去部4dは入力信号よりガードインターバルを除去してFFT部4eに入力する。FFT部4eは入力信号をNシンボルにパラレル変換し、ついで、NポイントFFT演算処理を行ない、FFT演算結果をシリアルに変換して復調部4fに入力する。復調部4fは、入力信号より送信データを復調する。
以上のように、送信機は1GHz/2GHz ともに同じ長さのガードインターバルを挿入して同一の無線フォーマットで無線信号として送信する。このため、2GHzではガードインターバルが長くなりすぎ伝送効率が悪くなる。
(3)マルチバンドにおけるマルチキャリア伝送システム
図22に示すようにマルチバンド(1GHz帯および2GHz帯)のそれぞれでOFDM方式によりマルチキャリア伝送する無線通信システムでは、フェージングにより周波数変動が生じると、隣り合うサブキャリア間の直交性が崩れる。この直交性の崩れ度合は、使用する周波数帯によって異なる。すなわち、移動速度が同じでも2GHz帯では1GHz帯に比べて周波数変動量が2倍になるため、1GHz帯に比べて劣化量も大きくなる。
OFDMでは送信信号をシリアル/パラレル変換(N個の並列信号に変換)して信号速度を低くし、各サブキャリアにN個の各送信信号を割り当て伝送する方式である。シリアル/パラレル変換後の信号速度(=1/T Hz)によってサブキャリア間隔または帯域幅が決まる。サブキャリア間隔は周波数軸上で直交するように1/2T間隔で並べられる。このOFDM伝送方式では前述のようにマルチパスフェージングによって周波数がふらつき、各サブキャリ間の直交性が崩れると性能が劣化する。そのため、予め周波数間隔はそのふらつきを予想してバンド毎に劣化が生じない間隔にする必要がる。しかし、従来のマルチバンドの無線伝送システムにおいて各バンドにおけるサブキャリア間隔は1GHzと2GHzで同じである。なお、マルチバンド(1GHz帯および2GHz帯)のそれぞれでOFDM方式によりマルチキャリア伝送する無線通信システムは図20、図21と同一の構成になる。
周波数により信号劣化の度合が異なる場合、受信状態の良い周波数チャネルの信号を選択受信する技術がある(特許文献1)。この従来技術では、複数の送信局が異なる周波数で同一の内容の送信を行なう多周波数ネットワークにおいて、受信局が、周波数が異なる2つのチャネルにて送られてくる信号の受信レベルを検出し、受信レベルの大きなチャネルの信号を用いて復元する。
また、同一周波数帯を使用する様々な方式の無線通信装置が存在する場合、無線通信の干渉が発生すると予想される周波数、時間または方向を求め、これを避けて無線通信する技術がある(特許文献2)。
しかし、これらの従来技術はマルチバンドの無線通信システムおよびマルチキャリア無線通信システムにおいて、各バンドあるいは各周波数における受信性能をそれぞれ向上するものではない。
特開2002−64458号公報 特開2002−300172号公報
以上から本発明の目的は、マルチバンドの無線通信システムおよびマルチキャリア無線通信システムにおいて、各バンドあるいは各周波数における受信性能をそれぞれ向上し、かつ、伝送効率を向上することである。
本発明の別の目的は、各周波数において内挿するパイロットの長さを変えることにより、各周波数におけるチャネル推定精度を向上して受信性能を向上し、伝送効率を改善することである。
本発明の別の目的は、各バンドあるいは各周波数において挿入するガードインターバルの長さを変えることにより、各バンドあるいは各周波数におけるシンボル間干渉を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することである。
本発明の別の目的は、各バンドにおけるマルチキャリアのサブキャリア数、またはサブキャリア間隔を異ならせることにより、各バンドにおいて周波数変動による影響を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することである。
・無線通信システム
本発明の第1は無線通信に使用する周波数帯が周波数軸上で離間した関係にある第1の周波数帯と第2の周波数帯とを含む複数の周波数帯に分断された無線通信システムであり、前記第1の周波数帯では無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔を共通して用い、前記第2の周波数帯では、無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔を共通して用い、該第1のパイロット時間間隔と該第2のパイロット時間間隔とは互いに異なるようにした無線通信システムである。
・送信装置
本発明の第2は、無線通信に使用する周波数帯が周波数軸上で離間した関係にある第1の周波数帯と第2の周波数帯とを含む複数の周波数帯に分断された無線通信システムにおける送信装置であり、前記第1の周波数帯では無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔を共通的に設定し、前記第2の周波数帯では、無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔を共通的に設定する無線フォーマット設定部と、該無線フォーマット設定部によって設定された無線フォーマットに従って無線信号の送信を行なう送信機とを備え、該第1のパイロット時間間隔と該第2のパイロット時間間隔とは互いに異なるようにした無線通信システムにおける送信装置である。
・受信装置
本発明の第3は、無線通信に使用する周波数帯が周波数軸上で離間した関係にある第1の周波数帯と第2の周波数帯とを含む複数の周波数帯に分断された無線通信システムにおける受信装置であり、前記第1の周波数帯では無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔を共通的に設定し、前記第2の周波数帯では、無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔を共通的に設定し、かつ、該第1のパイロット時間間隔と該第2のパイロット時間間隔とを互いに異ならせ、該第1、第2の周波数帯でそれぞれ設定された無線フォーマットに従って無線信号の送信が行われる場合、前記第1の周波数帯で送信される無線信号は、該第1の周波数帯で共通して設定された無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔に基づいて復調を行い、前記第2の周波数帯で送信される無線信号は、該第2の周波数帯で共通して設定された無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔に基づいて復調を行う復調部を備えている。
本発明によれば、バンド毎にあるいは無線周波数毎にパイロット長あるいはパイロット間隔を異ならせるようにしたから、各バンドあるいは各周波数におけるチャネル推定精度を向上して受信性能を向上でき、また伝送効率を改善することができる。
本発明によれば、各バンドあるいは各周波数において挿入するガードインターバルの長さを変えることにより、各バンドあるいは各周波数におけるシンボル間干渉を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することができる。
本発明によれば、各バンドにおけるマルチキャリアのサブキャリア数(N,M)、またはサブキャリア間隔を異ならせることにより、周波数帯域が高いバンドにおける周波数変動による影響を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することができる。
複数の異なる無線周波数を使用する無線通信システムにおいて、無線周波数毎にパイロット長を異ならせる第1実施例の第1の原理説明図である。 複数の異なる無線周波数を使用する無線通信システムにおいて、無線周波数毎にパイロット長を異ならせる第1実施例の第2の原理説明である。 各バンドまたは無線周波数毎にガードインターバル長を異ならせる第2実施例の原理説明図である。 各バンドにおいてマルチキャリア変調で無線通信する場合、各バンドにおけるマルチキャリアのサブキャリア数を異ならせ、またはサブキャリア間隔を異ならせる第4実施例の原理説明図である。 サブキャリア間隔を大きくすることにより周波数変動による影響を低減できることを説明する図である。 複数の異なる無線周波数を使用する無線通信システムにおいて、無線周波数毎にパイロット長を異ならせる第1実施例の送信装置の構成図である。 第1実施例の受信装置の構成図である。 第1実施例の受信装置の別の構成図である。 マルチバンドのバンド毎にOFDM送信する無線通信システムにおいて、バンド毎にガードインターバル長を異ならせる第2実施例の送信装置の構成図である。 第2実施例の受信装置の構成図である。 第2実施例の送信装置の別の構成図である。 第2実施例の送信装置の更に別の構成図である。 マルチバンドのバンド毎にOFDM送信する無線通信システムにおいて、バンド毎にサブキャリア数を異ならせてサブキャリア間隔を異ならせる第3実施例の送信装置の構成図である。 第3実施例の受信装置の構成図である。 マルチバンドの説明図である。 周波数帯に関係なくデータに内挿するパイロットPL1、PL2の長を同一長にする従来例説明図である。 従来の周波数帯に関係なくパイロット長を一定にした場合の送信装置の構成図である。 従来の周波数帯に関係なくパイロット長を一定にした場合の受信装置の構成図である。 ガードインターバル長を周波数帯に関係なく一定にした場合の従来例説明図である。 ガードインターバル長を周波数帯に関係なく一定にした場合の送信装置の構成図である。 ガードインターバル長を周波数帯に関係なく一定にした場合の受信装置の構成図である。 直交性の崩れ度合が周波数により異なることを説明する図である。
(A1) 本発明の概略
本発明は、マルチバンドまたは複数の異なる無線周波数(例えば、非連続2つのバンド、離間した2つのバンド、異なる周波数帯に属する2つの無線周波数等)を使用する無線通信システムであり、この無線通信システムでは各バンドまたは無線周波数毎に異なる無線伝送パラメータ(伝送方式)を用いる。すなわち、各バンドまたは無線周波数毎に異なる無線パラメータ(フォーマット)でデータを送信することにより、各バンドまたは無線周波数毎に前記無線伝送パラメ−タ(伝送方式)を異ならせる。
尚、ここで、3以上のバンドを使用する場合に、そのうちの2つのバンドについて各バンド毎に異なる無線パラメータ(フォーマット)でデータを送信する場合であっても、2つのバンド(マルチバンド)を使用することには変わりがなく、使用する2つのバンドの各バンド毎に異なる無線伝送パラメータを用いていると解することができる。
もちろん、使用するバンドの全てについて異なる無線伝送パラメータを用いることもできる。
また、パラメータ(フォーマット)を異ならせる際に、各バンドを利用する無線通信装置(無線送信装置又は無線受信装置)に共通的に異ならせることが好ましい。
例えば、第1のバンドを利用して通信する無線通信装置は一律に、第1のパラメータが適用された第1のバンドを使用し、第2のバンドを利用して通信する無線通信装置は一律に、第2のパラメータが適用された第2のバンドを使用するのである。
また、そのパラメータの設定は、無線通信装置が第1のバンド及び第2のバンドを使用することを外部入力等により指示された場合に、各バンドについてそれぞれ対応するパラメータを記憶部から読み出し、制御部は、読み出したパラメータに従って、各部の制御を行うようにすることで行うことが望ましい。
もちろん、1つの無線通信装置が1つのバンドしか対応していない場合は、他の無線通信装置が異なる他の1つのバンドを使用し、それぞれ第1のバンドに適合したパラメータ、第2のバンドに適合したパラメータを使用することが望ましい。尚、この際、やはり無線通信装置の各々は、いずれのバンドにも対応可能なように、記憶部に、各バンドに応じた無線パラメータを記憶しておき,指定されたバンドに応じた無線パラメータを制御部が、読み出して制御に用いることが望ましい。
また、異なる3つのバンドである、第1、第2、第3のバンド(第1のバンドと第2のバンドの周波数間隔より第2のバンドと第3のバンドの周波数間隔の方が広いものとする)を使用する場合に、第1と第2では同じ無線パラメータを利用し、第2と第3のバンド間では異なる無線パラメータを使用することもできる。
これにより、周波数が異なることに起因する問題が顕著に生ずる部分を狙い撃ちして対応することができるからである。
また、第1のバンド、第2のバンドを使用する無線通信装置は、1つの無線通信装置(無線基地局)であることが望ましいが、異なる無線通信装置であってもよい。
異なる無線通信装置である場合に、好ましくは、同じ通信事業者に属するか、又は、後述するパラメータ以外は同じ無線通信方式(例えばOFDM)を採用するか、又は、同じ無線通信システム(例えば第4世代移動通信システム)に属するか、又は、コアネットワークを共通とすることが望ましい。
もちろん、後述するような無線パラメータを異ならせるのであれば、第1のバンドは第1の通信事業者、第2のバンドは第2の通信事業者に属するようにしても差し支えない。
また、第1のバンド、第2のバンドを使用する無線通信装置は、1つの無線通信装置であろうが、異なる無線通信装置であろうが、符号化方式、復号化方式、変復調方式は同じ方式を採用するが、無線区間において送受信される無線フォーマット(例えば、後述する各フォーマット)が異なる様にされていることが望ましい。無線パラメータ(フォーマット)を異ならせる第1の具体方法は、各バンドまたは無線周波数毎にパイロット長を異ならせることである。これにより、各周波数におけるチャネル推定精度が向上して受信性能および伝送効率を改善することができる。
無線パラメータ(フォーマット)を異ならせる第2の具体方法は、各バンドまたは無線周波数毎にパイロット間隔を異ならせることである。これにより、各周波数におけるチャネル推定精度が向上して受信性能および伝送効率を改善することができる。
無線パラメータ(フォーマット)を異ならせる第3の具体方法は、各バンドまたは無線周波数毎にガードインターバル長を異ならせることである。これにより、各バンドあるいは各周波数におけるシンボル間干渉を低減して受信性能および伝送効率を改善することができる。
無線パラメータ(フォーマット)を異ならせる第4の具体方法は、各バンドにおいてマルチキャリア変調で無線通信する場合、各バンドにおけるマルチキャリアのサブキャリア数を異ならせ、またはサブキャリア間隔を異ならせることである。これにより、各バンドにおける周波数変動による影響を低減して受信性能および伝送効率を改善することができる。
(A2) 本発明の原理
本発明の原理は、マルチバンドの各バンド、あるいはマルチキャリアの各周波数の無線パラメータ(フォーマット)をその周波数帯に合ったものにすることである。
もちろん、先に説明したように、使用する全てのバンドについてこのようなパラメータ(フォーマット)の適合化を図るのではなく、少なくとも2つのバンドについてパラメータの適合化が図られればよい。但し、好ましくは使用する全てのバンドの各々について無線パラメータを適合化させることが望ましい。
無線フォーマットを一致させる第1の方法は、マルチバンド(例えば、2つの離間したバンド、非連続のバンド等)または複数の異なる無線周波数(例えば、異なるバンドに属する2つの無線周波数等)を使用する無線通信システムにおいて、バンド毎に、あるいは無線周波数毎にパイロット長を異ならせることである。これにより、各バンドあるいは各周波数におけるチャネル推定精度が向上して受信性能を向上できる。パイロット長を異ならせるには、図1に示すように1GHz帯の内挿パイロットPL1の挿入間隔yに対し2GHz帯の内挿パイロットPL2の挿入間隔をy/2にする。伝播路推定を行う場合、内挿パイロットを用いるが、挿入間隔が密になることで推定精度を上げることができる。
パイロット長を異ならせる別の方法は、図2に示すように2GHz帯の内挿パイロットの長さを1GHz帯の内挿パイロット長xの2倍にすることである。これにより、図1の場合と同様に推定精度を上げることができる。
無線フォーマットを一致させる第2の方法は、各バンドまたは無線周波数毎にガードインターバル長を異ならせることである。これにより、各バンドあるいは各周波数におけるシンボル間干渉が低減して受信性能を向上できる。すなわち、図3に示すようにバンド毎にあるいは周波数毎に異なるガードインターバル長を用意し、最も周波数の高いバンド(2GHz)には最も短いガードインターバル長を、最も周波数の低いバンド(1GHz)には最も長いガードインターバル長を割り当てる。これは、周波数が高いほど伝播距離が短くなり、遅延スプレッドも短くなるためである。遅延スプレッドが短い位置にいる移動局はガードインターバル長の短い無線フォーマット(バンド)を用いることで伝送効率を上げることができる。
無線フォーマットを一致させる第3の方法は、各バンドにおいてマルチキャリア変調で無線通信する場合、各バンドにおけるマルチキャリアのサブキャリア数を異ならせ、またはサブキャリア間隔を異ならせることである。これにより、各バンドにおける周波数変動による影響を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することができる。すなわち、図4に示すように2GHz帯のサブキャリア数Mを1GHz帯のサブキャリア数サブキャリア数Nより少なくすることにより(M<N)、サブキャリア間隔を2GHz帯では1GHz帯より大きくする。これにより、各バンドにおける周波数変動による影響を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することができる。
図5はサブキャリア間隔を大きくすることにより周波数変動による影響を低減できることを説明する図である。
1GHz帯のシンボル数Nのサブキャリア間隔1/2Taは
1/2Ta=1/N
2GHz帯のシンボル数Mのサブキャリア間隔1/2Tbは
1/2Tb=1/M
である。N>Mであるから、図示するように2GHz帯のサブキャリア間隔1/2Tbの方が1GHz帯のサブキャリア間隔1/2Taより大きい。ここで周波数Δfの周波数変動が発生した場合を考察すると、2GHz帯における隣接周波数に対する漏れCT2はサブキャリア間隔を広くしたことにより1GHz帯における隣接周波数に対する漏れCT1より小さくなっており、周波数変動による影響を低減することができる。
(B)第1実施例
図6は複数の異なる無線周波数を使用する無線通信システムにおいて、無線周波数毎にパイロット長を異ならせる第1実施例の送信装置の構成図、図7は受信装置の構成図である。
送信装置において、変調部11は、送信データにたとえばQPSK変調を施し、第1のパイロット挿入部12はパイロット発生部13から発生する1GHz用のパイロット信号PL1(図1、図2参照)をQPSKの同相成分、直交成分に挿入し、1GHz用送信機14は該パイロットPL1が挿入された信号の周波数を1GHzにアップコンバートして送信してアンテナ15より送信する。また、第2のパイロット挿入部16はパイロット発生部13から発生する2GHz用のパイロット信号PL2(図1、図2参照)をQPSKの同相成分、直交成分に挿入し、2GHz用送信機17は該パイロットPL2が挿入された信号の周波数を2GHzにアップコンバートして送信してアンテナ18より送信する。
受信装置において、1GHz用受信機21はアンテナ20により受信された1GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部22に入力し、2GHz用受信機24はアンテナ23により受信された2GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部22に入力する。選択部22は図示しない制御部から出力された1GHz/2GHz選択信号SELが指示する受信機から出力するべースバンド信号を選択し、パイロット抽出部25と復調部27に入力する。パイロット抽出部25は1GHz/2GHz選択信号SELに基づいて入力信号よりパイロット(複素信号)を抽出し、その平均結果をチャネル推定部26に入力する。チャネル推定部26は入力されたパイロット信号と既知のパイロット信号を用いてチャネル(パスの伝搬特性)を推定する。復調部27は該チャネル推定値に基づいてデータ信号にチャネル補償を施し、しかる後、送信データを復調する。
図6では同一の送信データに1GHz/2GHz用のパイロットPL1,PL2を挿入して1GHz用送信機14、2GHz用送信機17でそれぞれ送信した場合であるが、図8に示すように、別々の送信データ1,2を変調器11,11′で個々に変調し、それぞれの変調結果に1GHz/2GHz用のパイロットPL1,PL2を挿入して1GHz用送信機14、2GHz用送信機17でそれぞれ送信するように構成することもできる。この場合、パイロットの挿入を変調前に行なうことができる。又、以上では無線周波数毎にパイロット長を変えた場合であるが、バンド毎にパイロット長を変更するように構成することもできる。
以上、第1実施例によれば、バンド毎にあるいは無線周波数毎にパイロット長あるいはパイロット間隔を異ならせるようにしたから、各バンドあるいは各周波数におけるチャネル推定精度を向上して受信性能を向上でき、また伝送効率を改善することができる。
(C)第2実施例
図9はマルチバンドのバンド毎にOFDM送信する無線通信システムにおいて、バンド毎にガードインターバル長を異ならせる第2実施例の送信装置の構成図、図10は受信装置の構成図である。
送信装置において、マルチキャリア変調部31のシリアル/パラレル変換部31aは送信データをN個の並列データに変換し、IFFT部31bは各並列データをN個のサブキャリア成分としてIFFT演算処理し、パラレル/シリアル変換部31cはNシンボルのIFFT演算処理結果(OFDMシンボル)を直列に変換して出力する。第1のガードインターバル付加部32は、GI長指示部33から指示されている1GHz用の長さのガードインターバル(図3参照)をNシンボル(OFDMシンボル)の先頭に付加し、1GHz用送信機34は該ガードインターバルが挿入された信号の周波数を1GHzにアップコンバートしてアンテナ35から送信する。また、第2のガードインターバル付加部36は、GI長指示部33から指示されている2GHz用の長さのガードインターバル(図3参照)をNシンボル(OFDMシンボル)の先頭に付加し、2GHz用送信機34は該ガードインターバルが挿入された信号の周波数を2GHzにアップコンバートしてアンテナ38から送信する受信機において、1GHz用受信機41はアンテナ40で受信した1GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部44に入力し、2GHz用受信機43はアンテナ42で受信した2GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部44に入力する。選択部44は図示しない制御部から出力された1GHz/2GHz選択信号SELが指示する受信機から出力するべースバンド信号を選択し、ガードインターバル除去部45に入力する。ガードインターバル除去部45は1GHz/2GHz選択信号SELの指示にしたがって、入力信号より1GHzあるいは2GHzのガードインターバルを除去してFFT部46に入力する。FFT部46は入力信号をNシンボルにパラレル変換し、ついで、NポイントFFT演算処理を行ない、FFT演算結果をシリアルに変換して復調部47に入力する。復調部47は、入力信号より送信データを復調する。
図9では同一のOFDMシンボルに1GHz/2GHz用のガードインターバルG1,G2を挿入して1GHz用送信機14、2GHz用送信機17で送信した場合であるが、図11に示すように、別々の送信データ1,2にマルチキャリア変調器31,31′でそれぞれマルチキャリア変調し、それぞれの変調結果であるOFDMシンボルに1GHz/2GHz用のガードインターバルを挿入して1GHz用送信機35、2GHz用送信機38で送信するように構成することもできる。
また、以上ではマルチバンドのバンド毎にガードインターバル長を変更した場合であるが、マルチキャリアのキャリア周波数毎にガードインターバル長を変更するようにもできる。図12はかかるマルチキャリア伝送システムにおいて、周波数毎にガードインターバル長を変更する送信装置の構成図である。マルチキャリア変調部51を構成する各シングルキャリア変調部51a〜51nは送信データDATA1〜DATAnに対して所定の変調(たとえばQPSK変調)を施し、第1〜第nガードインターバル付加部52a〜52nは、GI長指示部53から指示されているガードインターバル長に基づいてN個のデータの先頭に所定の長さのガードインターバルG1〜Gnをそれぞれ変調データに挿入し、第1〜第n送信機54a〜54nは該ガードインターバルが挿入されたデータをアンテナ54a〜54nを介して送信する。
以上、第2実施例によれば、各バンドあるいは各周波数において挿入するガードインターバルの長さを変えることにより、各バンドあるいは各周波数におけるシンボル間干渉を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することができる。
(D)第3実施例
図13はマルチバンドのバンド毎にOFDM送信する無線通信システムにおいて、バンド毎にサブキャリア数を異ならせてサブキャリア間隔を異ならせる第32実施例の送信装置の構成図、図14は受信装置の構成図である。
変調部61は例えば送信データにQPSK変調を施して複素データにして出力する。第1のマルチキャリア変調部62において、シリアル/パラレル変換部62aは送信データをN個の並列データに変換し、IFFT部62bは各並列データをN個のサブキャリア成分としてIFFT演算処理し、図示しないパラレル/シリアル変換部はNシンボルのIFFT演算処理結果(OFDMシンボル)を直列に変換して出力する。第1のガードインターバル付加部63は所定長のガードインターバルをNシンボル(OFDMシンボル)の先頭に付加し、1GHz用送信機64は該ガードインターバルが挿入された信号の周波数を1GHzにアップコンバートしてアンテナ65から送信する。なお、ガードインターバル付加部63は1GHz用の長さのガードインターバルを挿入することもできる。
また、第2のマルチキャリア変調部66において、シリアル/パラレル変換部66aは送信データをM個(M<N)の並列データに変換し、IFFT部66bは各並列データをM個のサブキャリア成分としてIFFT演算処理し、図示しないパラレル/シリアル変換部はMシンボルのIFFT演算処理結果(OFDMシンボル)を直列に変換して出力する。第2のガードインターバル付加部67は所定長のガードインターバルをMシンボル(OFDMシンボル)の先頭に付加し、2GHz用送信機68は該ガードインターバルが挿入された信号の周波数を2GHzにアップコンバートしてアンテナ69から送信する。なお、ガードインターバル付加部67は2GHz用の長さのガードインターバルを挿入することもできる。
受信機において、1GHz用受信機71はアンテナ70で受信した1GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部74に入力し、2GHz用受信機73はアンテナ72で受信した2GHzの高周波受信信号をべースバンド信号にダウンコンバートして選択部74に入力する。選択部74は図示しない制御部から出力された1GHz/2GHz選択信号SELが指示する受信機から出力するべースバンド信号を選択し、ガードインターバル除去部75に入力する。ガードインターバル除去部75は所定長のガードインターバルを入力信号から削除してFFT部76に入力する。FFT部76は1GHz/2GHz選択信号SELが1GHzを指示している場合には、NポイントのFFT処理を行ない、2GHzを指示している場合には、MポイントのFFT処理を行ない、FFT演算結果をシリアルに変換して復調部77に入力する。復調部77は、入力信号より送信データを復調する。
以上、第3実施例によれば、各バンドにおけるマルチキャリアのサブキャリア数(N,M)、またはサブキャリア間隔を異ならせることにより、周波数帯域が高いバンドにおける周波数変動による影響を低減して受信性能を向上し、伝送効率を改善することができる。
以上の実施例では、パイロット長、ガードインターバル長、サブキャリア間隔の1つをバンド毎に、あるいは周波数毎に変えた場合であるが、同時に2以上変更するように構成することもできる。即ち、これらの3つのパラメータの2つの変更を行う全ての組み合わせ、また、3つ変更を行う全ての組み合わせについても採用することができる。
11 変調部
12 第1のパイロット挿入部
13 パイロット発生部
14 1GHz用送信機
15 アンテナ
16 第2のパイロット挿入部
17 2GHz用送信機
18 アンテナ
21 1GHz用受信機
22 選択部
24 2GHz用受信機
25 パイロット抽出部
26 チャネル推定部
27 復調部

Claims (3)

  1. 無線通信に使用する周波数帯が周波数軸上で離間した関係にある第1の周波数帯と第2の周波数帯とを含む複数の周波数帯に分断された無線通信システムにおいて、
    前記第1の周波数帯では無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔を共通して用い、前記第2の周波数帯では、無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔を共通して用い、
    該第1のパイロット時間間隔と該第2のパイロット時間間隔とは互いに異なる、
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 無線通信に使用する周波数帯が周波数軸上で離間した関係にある第1の周波数帯と第2の周波数帯とを含む複数の周波数帯に分断された無線通信システムにおける送信装置において、
    前記第1の周波数帯では無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔を共通的に設定し、前記第2の周波数帯では、無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔を共通的に設定する無線フォーマット設定部と、
    該無線フォーマット設定部によって設定された無線フォーマットに従って無線信号の送信を行なう送信機とを備え、
    該第1のパイロット時間間隔と該第2のパイロット時間間隔とは互いに異なる、
    ことを特徴とする無線通信システムにおける送信装置。
  3. 無線通信に使用する周波数帯が周波数軸上で離間した関係にある第1の周波数帯と第2の周波数帯とを含む複数の周波数帯に分断された無線通信システムにおける受信装置において、
    前記第1の周波数帯では無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔を共通的に設定し、前記第2の周波数帯では、無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔を共通的に設定し、かつ、該第1のパイロット時間間隔と該第2のパイロット時間間隔とを互いに異ならせ、該第1、第2の周波数帯でそれぞれ設定された無線フォーマットに従って無線信号の送信が行われる場合、


    前記第1の周波数帯で送信される無線信号は、該第1の周波数帯で共通して設定された無線フォーマットに関わる第1のパイロット時間間隔に基づいて復調を行い、前記第2の周波数帯で送信される無線信号は、該第2の周波数帯で共通して設定された無線フォーマットに関わる第2のパイロット時間間隔に基づいて復調を行う復調部、
    を備えたことを特徴とする無線通信システムにおける受信装置。
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