JP5340972B2 - プレストレストコンクリート構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、プレストレストコンクリート構造物に係り、特に、側壁と底版の温度差に起因して、特に側壁の下端近傍で大きくなり得る温度応力の発生を抑制することのできるプレストレストコンクリート構造物に関する。
従来のLNGやLPG貯蔵用の地上タンクや地下タンクなどの容器構造物は、底版と該底版に剛結合される側壁、該側壁の上端に接続する平板状またはドーム状の天井とから構成されている。側壁の下端近傍、すなわち、底版と接合する箇所からその上方の一定の範囲においては、側壁の他の部位に比べて大きな断面力(曲げモーメントやせん断力など)が生じるために、該下端近傍の部材断面を他の部位に比べて相対的に大きくしたり、過密に配筋するなどの措置が講じられている。上記する容器構造物は、その用途や規模によって構成材料や構造形式が多様に存在するものの、地上タンクや地下タンクといった比較的大規模で耐久性が要求される容器構造物としては、鉄筋コンクリート構造物として現場施工されているのが一般的である。
上記容器構造物を構成する底版や側壁、天井などを鉄筋コンクリートにて施工する場合に、鉄筋量の低減やひびわれ防止などを目的としてPC鋼材などの緊張材を鉄筋コンクリート内部や外部に使用する、プレストレストコンクリート構造物を採用するのが主流である。すなわち、底版や側壁などに予めシース管を埋設しておき、底版や側壁の構築後にシース管内に緊張材を挿入するとともに緊張材の端部を引っ張ることで張力(以下、プレストレス力という)を該シース管に導入し、底版や側壁に圧縮力を作用させるものである(ポストテンション方式)。さらに、予めプレストレス力が導入された緊張材を底版や側壁内部に埋め込んでおき、底版や側壁などの構築後に緊張材からプレストレス力を解放することで側壁などに圧縮力(軸力)を作用させるプレテンション方式などもある。
ところで、底版に比して側壁は外気温の変化の影響を受け易く、特に冬期においては、外気温の低下とともに温度が低下し易い側壁に温度収縮が生じ、これに起因して、側壁の下端近傍には外側引張となる曲げモーメント(側壁を内側へ変形させようとする曲げモーメント)と円周方向の引張力が生じることとなる。
従来のPCタンク(プレストレストコンクリート構造タンク)では、この側壁と底版の温度差によって該側壁の下端近傍に生じる温度応力に起因した断面力(側壁の下端近傍における、外側引張となる曲げモーメントや円周方向の引張力)に対して、緊張材(PC鋼線、PC鋼より線、PC鋼棒など)や鉄筋を多数配置する構造を適用して、これに抵抗しようとしている。
これを、地上PCタンクの側壁および底版の模式図、側壁に生じる曲げモーメント図およびその周方向に生じる軸力図、をともに示した図4と、本発明者等による温度分布解析結果のうち、夏期に関する結果を示した図5と、冬期に関する結果を示した図6と、を参照して説明する。
たとえば夏期においては、図5の解析結果で示すように、底版bに比して側壁aの温度が相対的に高く、特に側壁の下端近傍においても同様の傾向を呈することから、側壁の下端近傍における温度収縮の問題は生じ得ない。一方、冬期においては、図6の解析結果で示すように、外気温の低下にともなって側壁の温度が底版のそれに比して低下する。その結果、図4の曲げモーメント図および側壁周方向の軸力図で示すように、底版bに剛結合される側壁aの特に下端近傍では温度収縮が顕著となり、側壁下端には、他の側壁部位に比して大きな曲げモーメントである、外側引張となる曲げモーメント(側壁を内側へ変形させようとする曲げモーメント)が生じる。
また、同時に、側壁の全体が温度収縮することで該側壁aの中段〜上段に亘る領域では、底版bによる拘束がないことから、たとえば円筒状のタンクの内側に温度収縮による収縮ひずみが生じる一方で、側壁aの下端近傍では、相対的に温度収縮しない底版bによってその温度収縮が拘束されるため、結果として円周方向に向かう引張力が生じることとなる。
一方で、既述するように、側壁の下端近傍では、液圧や円周方向に付与されるプレストレス力などによって生じる断面力が側壁の他の部位に比して大きく、これに上記する温度応力に起因する断面力が付加されることから、側壁の下端近傍では、液圧やプレストレス力などによって生じる断面力と、この温度応力に起因する断面力との総断面力に抗し得る鉛直方向の緊張材量および鉄筋量が必要とされ、これが、過密配筋とコンクリートの充填性阻害等の施工上の問題となり、さらには、この問題を回避するための方策をデザインに盛り込もうとする設計上の問題となっていた。
ここで、従来の公開技術へ目を転じるに、地上タンク本体と基礎構造体とを備えた地上タンクに関し、その基礎構造体が、複数の基礎杭と断熱型基礎底版から構成され、底版に加温装置が内蔵されている技術が特許文献1に開示されている。
しかし、底版に加温装置が内蔵されている構造では、上記する課題、すなわち、底版に比して外気温の変化の影響を受け易く、相対的に温度低下し易い側壁の特に下端近傍にて温度収縮が生じ、これに起因して発生する側壁の下端近傍の断面力をも考慮した設計、緊張材や鉄筋の配設が余儀なくされるといった課題を解消することはできない。
特開2004−44712号公報
本発明のプレストレストコンクリート構造物は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、底版と、これに剛結合される側壁とからなるプレストレストコンクリート構造物に関し、側壁と底版の温度差に起因して、特に側壁の下端近傍で大きくなり得る温度応力の発生そのものを効果的に抑制し、もって、側壁の下端近傍における過密な緊張材、鉄筋の配設を解消することのできるプレストレストコンクリート構造物を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるプレストレストコンクリート構造物は、底版と、円筒状もしくは略円筒状で該底版と剛結合される側壁と、から少なくとも構成されるプレストレストコンクリート構造物において、前記プレストレストコンクリート構造物は、側壁の下端近傍に埋設された加温装置と、側壁と底版のそれぞれに装備された温度センサと、各温度センサにてセンシングされた温度データを受信して、底版の温度に比して側壁の温度が低くなった際に前記加温装置を作動させる制御装置と、を具備するものである。
本発明のプレストレストコンクリート構造物は、底版と、円筒状もしくは略円筒状で該底版と剛結合される側壁と、該側壁の上端部と接続する天井などから構成される容器構造物であり、底版は地盤上に直接支持される直接基礎形式であっても、杭などに支持される杭基礎形式であってもよい。さらに、天井の形状は平板状やドーム状などの適宜の形状を選定できる。なお、「略円筒状」とは、円筒形以外の形状で、断面が横長楕円形などの形状を意味している。また、側壁は、その途中から下方へ向かって部材厚が大きくなる部分を有している形態であってもよい。
本発明のプレストレストコンクリート構造物は、加温装置を側壁の特に下端近傍に埋設させた構造を適用し、さらに、側壁、底版それぞれの温度のセンシングデータに基づいて、底版の温度に比して側壁の温度が低くなった際に制御装置が加温装置を作動させ、少なくとも側壁の下端近傍と底版双方の温度を同程度に制御するものである。
ここで、「側壁の下端近傍」とは、側壁のうち、底版と接する領域からその上方の数mの範囲など、側壁と底版の温度差分に起因して温度応力が発生し得る領域を意味するものである。たとえば、側壁の高さが40mのプレストレストコンクリート構造物において、側壁下端から3m程度、5m程度、10m程度と、側壁の高さや断面寸法、側壁と底版の間で生じ得る温度差などの設計条件によってその範囲は変化する。
また、温度センサは、たとえば側壁の外周面に設置される形態、側壁内部に埋設される形態などがあり、底版においても、その内部に埋設される形態やその下面に設置される形態などがあるものの、側壁内部の温度状態、底版内部の温度状態を把握し、これに基づいて側壁の温度制御を実施することに鑑みれば、側壁内部、底版内部に温度センサが埋設されているのがよい。
側壁、底版それぞれの温度データが制御装置に随時送信され、温度データを受信した制御装置は、側壁の温度データが底版の温度データよりも低くなった際に、側壁内部に埋設された加温装置に作動信号を送信し、この送信信号に基づいて加温装置が作動して側壁内部の温度上昇を図る。
そして、側壁内部の温度が上昇し、その温度が底版の温度と同じか、底版の温度よりも高くなった際(側壁の温度≧底版の温度)に、制御装置は加温装置に作動OFFの信号を送信し、この信号を受信した加温装置は作動を停止する。
なお、たとえば、側壁内部の温度を上昇させて底版温度と同程度の温度とし、この状態を維持させるべく、外気温の変化に応じた温度を側壁に随時提供し続けるような制御をおこなってもよい。たとえば、冬期において、外気温の特に夜間は相対的に高い温度を加温装置から側壁に提供し、比較的外気温が高い日中(それでも、地盤内に比して外気が低温のため、側壁の温度低下が顕著となり得る)は、夜間に比して相対的に低い温度を加温装置から側壁に提供するような加温装置のランニング制御である。
このように、側壁の温度が常に底版の温度以上となるように制御されていることで、側壁の温度が底版の温度よりも低くなった際に臨機にその温度上昇が図られる結果、底版の温度に比して側壁の温度が大きく低下し、双方の温度差に基づいて側壁の下端近傍が温度収縮し、これに起因する外側引張となる曲げモーメントや円周方向に向かう引張力が生じることが効果的に解消される。なお、加温装置によって側壁内部の温度を上昇させ、常に底版温度よりも大きな温度となるように調整しながら側壁下端に温度膨張を与えるようにし、側壁下端の温度膨張が底版によって拘束されることを利用して、側壁下端に円周方向の圧縮力や内側引張となる曲げモーメントを意図的に生じさせる制御方法もある。この制御方法は、地上PCタンクの構造によってはこの制御方法を適用する方が構造上有利となる場合がある、という本発明者等の知見によるものである。
したがって、この温度収縮に起因する上記断面力に抗するための緊張材や鉄筋を側壁の下端近傍に配設するのを不要とできるため、側壁の下端近傍における過密な緊張材や鉄筋の配設が解消され、もって、コンクリートの良好な充填性の確保と施工容易性の確保、材料コストの低減といった、品質面および施工面双方の効果を奏することができるものである。
ここで、上記する加温装置として、たとえば以下の2種の形態のいずれかを適用することができる。
その一つは、側壁内でその周方向に配設された配管とその中の電気配線(電気ヒーター)と電源からなるものであり、他の一つは、側壁内でその周方向に配設された温媒配管と該温媒配管へ温媒を提供する提供手段からなるものである。
電気配線と電源からなる形態においては、たとえば円筒状の側壁の同位置において、電源の正極、負極が設けられ、この正極、負極に繋がれた円形もしくは略円形の電気配線が側壁の周方向に配設され、全体として側壁の全周を電気配線が包囲するような形態を挙げることができる。そして、この形態の電気配線を、側壁の高さ方向に所定間隔で複数配設することで、側壁の下端近傍の全領域の加温が保障される。なお、この形態の加温装置では、制御装置からの作動信号によって電源のスイッチング素子がON制御され、停止信号によってOFF制御されるようになっている。
一方、温媒配管と該温媒配管へ温媒を提供する提供手段からなる形態においては、一条で円形の温媒配管を側壁の下端近傍領域に複数段配設し、温水、温風、温油などの温媒を複数段の円形の温媒配管を介して側壁の周方向に提供することで、その下端近傍領域の加温が保障される。なお、ここでいう「温媒を提供する提供手段」は、温媒を収容するタンク及びこれを熱するヒーターから温媒配管に送り出す圧力ポンプなどを挙げることができ、制御装置からの作動信号により、提供手段がON制御され、停止信号によってOFF制御されるようになっている。
本発明者等の検証によれば、電気配線と電源からなる形態、温媒配管と該温媒配管へ温媒を提供する提供手段からなる形態、の双方に関し、初期の建設コストは前者が相対的に低く、供用後のランニングコストは後者が相対的に低いことが分かっており、双方のコストを総合勘案していずれか一方の形態の加温装置が選定されることになる。
また、前記加温装置は、側壁の厚みのうち、前記円筒状もしくは略円筒状の外側の領域に配設されているのが好ましい。
ここで、「円筒状もしくは略円筒状の外側の領域」とは、側壁断面の軸心よりも側壁の外周面側の領域のことである。側壁の温度低下は外気温の低下に大きく影響され、外気に臨む側壁の外周面から内側に向かって側壁の温度低下が生じることより、側壁の内部のうち、外気に近接した領域に加温装置が埋設されていることで、側壁全体の温度低減効果は一層高くなり、加温装置の作動時間も可及的に短縮することができる。これは、側壁のうち、温度の低下が先行する外周面側の領域を加温することで、側壁の全体が低下した段階で加温装置にて温度上昇させるよりも、側壁の温度低下抑制に要する加温装置の熱量は少なくて済み、作動時間は短くて済むことによるものである。なお、側壁の内側に保冷材が配されているプレストレストコンクリート構造物においては、本形態のごとく加温装置を側壁の外側の領域に配置することで、加温装置による加温効率をより一層高めることができる。
また、前記加温装置は、前記側壁の下端近傍で、該側壁高さの1/4の範囲に配設されているのがよい。
加温装置を配設する領域に関する上記数値範囲は、本発明者等がこれまで実施してきたプレストレストコンクリート構造物に関する温度分布解析や温度応力解析、さらには経験則によって導き出されたものである。
以上の説明から理解できるように、本発明のプレストレストコンクリート構造物によれば、側壁の特に下端近傍に加温装置を埋設し、かつ、側壁および底版の温度をセンシングして、底版の温度に比して側壁の温度が低くなった際にこの加温装置にて側壁を温度上昇させて底版と側壁の温度を同程度に制御するようにしたことで、側壁の温度が過度に低下して底版の温度との間の温度差が大きくなり、側壁の特に下端近傍で温度収縮に起因する断面力が生じることを抑止でき、もって、この断面力に抗する緊張材や鉄筋の配設を不要とできるものである。
本発明のプレストレストコンクリート構造物の一実施の形態を示した縦断面図である。 (a)は加温装置の実施の形態を説明した模式図であり、(b)、(c)はともに、温媒配管の配設形態を示した模式図である。 (a)、(b)はともに、加温装置の他の実施の形態を説明した模式図である。 地上PCタンクの側壁および底版の模式図と、側壁に生じる曲げモーメント図およびその周方向に生じる軸力図である。 夏期における、プレストレストコンクリート構造物の側壁および底版の温度分布解析結果である。 冬期における、プレストレストコンクリート構造物の側壁および底版の温度分布解析結果である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示するプレストレストコンクリート構造物において、鉛直方向および周方向に配設される緊張材や鉄筋の図示は省略している。また、本発明のプレストレストコンクリート構造物は、図示のごとく部材厚が大きくなる部分を側壁が具備しない形態以外にも、部材厚が大きくなる部分を具備する側壁を有する形態であってもよい。
図1は、本発明のプレストレストコンクリート構造物の一実施の形態を示した縦断面図であり、図2a、bはそれぞれ、加温装置の実施の形態を説明した模式図である。
プレストレストコンクリート構造物である容器構造物10は、地盤上に構築された底版1と、該底版1と剛結合される円筒状の側壁2と、この側壁2の上端部に接続するドーム状の天井Tとから大略構成されており、より包括的には、管理棟K内のコンピュータからなる制御装置6をも含めてその全体が構成される。この容器構造物1は、地上式、半地下式などの形態で、LNG、LPG、上下水道などの液体を収容するタンクとして供されるものである。
側壁2は、その内部の下端近傍に加温装置3を埋設しており、より具体的には、側壁2の軸心CLよりも外周側に加温装置3が埋設されている。
ここで、この加温装置3が埋設される領域は、側壁の全高をhとした際に、側壁下端の1/4hの範囲であるのがよい。これは、本発明者等がこれまで実施してきたプレストレストコンクリート構造物に関する温度分布解析や温度応力解析、経験則等によって導き出されたものであり、この範囲を「側壁の下端近傍」と規定することもできる。
また、側壁2の内部および底版1の内部にはそれぞれ、熱電対等の温度センサ4,5が埋設されており、各温度センサ4,5による側壁2内部の温度データ、底版1内部の温度データが、図示する無線通信もしくは不図示の有線通信を介して管理塔K内の制御装置6に送信されるようになっている。
ここで、加温装置3の形態として、図2aで示すように、温媒配管3a1と該温媒配管3a1へ温媒Liを提供する提供手段(ポンプ3a2)からなる形態の加温装置3Aや、図3a、bで示すように、電気配線3b1、3b1’を具備する加温装置3B、3B’などを挙げることができる。
加温装置3Aでは、タンクY内に圧送式のポンプ3a2が収容され、かつ、温水や温油などの温媒Liが収容され、これに一条で円形の温媒配管3a1の出口と入口が入り込み、円形の温媒配管3a1が円筒状の側壁2の下端近傍の周方向に複数段埋設された構成を呈している。たとえば、管径2〜3インチの温媒配管3a1を、高さ間隔が1m程度に巻装した実施例を挙げることができる。
なお、この温媒配管3a1の巻装形態としては、図2bで示す螺旋巻きの形態のほか、図2cで示すように、円形の各温媒配管3a1’が同位置で段落ち部を有し、複数の円形の温媒配管3a1’が実質的に並行に配設された形態などであってもよい。
一方、図3aで示す加温装置3Bは、円筒状の側壁2の同位置に電源3b2の正極、負極が設けられ、この正極、負極に繋がれた円形の電気配線3b1を側壁2の周方向に配設したものであり、より具体的には、この円形の電気配線3b1が側壁2の下端近傍の高さ範囲に亘って複数段設けられた構成を呈しているものである。たとえば、電気配線3b1が管内に挿通されてこの管が側壁2の内部に埋設される形態において、一条で円形の管径1インチのものを一系統とした際に、これが高さ間隔で1m程度のピッチで複数系統配設され、各系統の電気配線が共通の電源に並列的に繋がれた実施例を挙げることができる。
また、図3bで示す加温装置3B’は、図3aの加温装置3Bの変形例を示したものであり、一系統の電気配線3b1’を側壁2の周方向に螺旋状に配設し、複数段の電気配線の形態を構成したものである。
制御装置6には、側壁2、底版1それぞれの温度データが随時送信されるようになっており、それぞれの温度データを受信した制御装置6は、側壁2の温度データが底版1の温度データよりも大きくなった際に、側壁2の内部に埋設された加温装置3に作動信号を送信し、この送信信号に基づいて加温装置3が作動して側壁2の内部の温度上昇が図られるようになっている。
側壁2の内部の温度が上昇し、その温度が底版1の温度と同じか、底版1の温度よりも高くなった際に、制御装置6は加温装置3に作動OFFの信号を送信し、この信号を受信した加温装置3はその作動を停止する。
また、別の制御方法として、側壁2の内部の温度を上昇させて底版1の温度と同程度の温度とし、さらにこの状態を維持させるべく、外気温の変化に応じた温度を側壁2に提供し続けるような制御方法もある。たとえば、冬期において、外気温の特に夜間は相対的に高い温度を加温装置3より側壁2に提供し、比較的外気温が高い日中は、夜間に比して相対的に低い温度を加温装置3より側壁2に提供するようにして、底版1と側壁2双方の温度が常に同程度となるように、継続的な加温制御を実施するものである。
図示する本発明のプレストレストコンクリート構造物(容器構造物10)によれば、側壁2の温度が常に底版1の温度以上となるように制御されていること、言い換えれば、側壁2の温度が底版1の温度よりも低くなった際に臨機にその温度上昇が図られるようになっていることで、底版1の温度に比して側壁2の温度が大きく低下し、双方の温度差に基づいて側壁2の下端近傍が温度収縮し、これに起因する外側引張となる曲げモーメントや円周方向に向かう引張力が生じることが効果的に解消される。すなわち、従来構造のPCタンクの特にその側壁の下端近傍にて温度収縮に起因して生じ得る、図3で示すごとき曲げモーメントや周方向に生じる引張軸力の発生は生じ得ない。なお、図1において、側壁の下端近傍のみならず、側壁の中段〜上段に亘る領域にも加温装置を埋設してもよい。
側壁の下端近傍における温度収縮が解消されたことで、この温度収縮に起因するこれらの断面力に抗するための緊張材や鉄筋を側壁2の下端近傍に配設するのを不要とでき、側壁2の下端近傍における過密な緊張材、鉄筋の配設が解消されることで、良好なコンクリートの充填性が保障され、高品質なプレストレストコンクリート構造物を施工することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…底版、2…側壁、3,3A,3B…加温装置、4…側壁の温度センサ、5…底版の温度センサ、6…制御装置、10…プレストレストコンクリート構造物(容器構造物)、K…管理棟

Claims (4)

  1. 底版と、円筒状もしくは略円筒状で該底版と剛結合される側壁と、から少なくとも構成されるプレストレストコンクリート構造物において、
    前記プレストレストコンクリート構造物は、
    側壁の下端近傍に埋設された加温装置と、
    側壁と底版のそれぞれに装備された温度センサと、
    各温度センサにてセンシングされた温度データを受信して、底版の温度に比して側壁の温度が低くなった際に前記加温装置を作動させる制御装置と、を具備する、プレストレストコンクリート構造物。
  2. 前記加温装置は、以下の(a)、(b)のいずれか一種からなる、
    (a)側壁内でその周方向に配設された電気配線と電源からなるもの、
    (b)側壁内でその周方向に配設された温媒配管と該温媒配管へ温媒を提供する提供手段からなるもの、
    請求項1に記載のプレストレストコンクリート構造物。
  3. 前記加温装置は、側壁の厚みのうち、前記円筒状もしくは略円筒状の外側の領域に配設されている、請求項1または2に記載のプレストレストコンクリート構造物。
  4. 前記加温装置は、前記側壁の下端近傍で、該側壁高さの1/4の範囲に配設されている、請求項1〜3のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物。
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