(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる古紙再生処理装置の構成概略図である。図1において、古紙再生処理装置100は、離解部1、脱墨部2、抄紙部3、仕上げ部4、排液処理部5を一体的に備えるものである。離解部1は、古紙6を離解して古紙パルプを製造するものであり、脱墨部2は、離解部1において製造された古紙パルプを脱墨するものであり、抄紙部3は、脱墨部2において脱墨された古紙パルプを抄紙し、抄紙により得られた湿紙の乾燥を行うものであり、仕上げ部4は、抄紙部3において湿紙の乾燥を行ったものを裁断等することにより仕上げを行って再生紙7を得るものであり、排液処理部5は、前記離解部1、脱墨部2、抄紙部3においてそれぞれ生じた排液の処理を行うものである。
(離解部)
図2は、離解部1の内部構造を示す概略図である。離解部1は、古紙の裁断紙片61を離解して古紙パルプを製造するものであり、古紙投入部11、シュレッダー13、金属片除去部14、押圧部15、シュレッダータンク16、裁断紙量調整部17、パルパー18、ニーダー19を備えている。
古紙投入部11は、処理を行う古紙6をホッパー12内に投入するための開口部であり、該古紙投入部11からホッパー12内の古紙6を覗き見ることが不可能または困難な構造とすることが好ましい。即ち、例えば、古紙6の搬送手段(図示省略)をホッパー12内に備え、一度に多量の古紙6が投入された場合に古紙6を順次ホッパー12の内部に搬送可能な構造とすることなどが挙げられる。これにより古紙6となった文書の機密性を保持可能である。
また、古紙投入部11より投入される古紙6の量を計測する計測部(図示省略)を古紙投入部11の近傍に設けてもよい。このように古紙投入部11の近傍に計測部を設ける場合には後述する裁断紙量調整部17を設けなくても構わない。そして、古紙投入部11の近傍に設けた計測部で古紙量を計測する場合には、例えば、一定量の再生紙の製造に必要となる所定量の古紙6が古紙投入部11から投入された時点で、自動的に以後の処理を進行させるようにしてもよい。これにより、古紙6をシュレッダータンク16内に大量に貯留する必要がなくなり、シュレッダータンク16を小さくすることができるとともに、再生紙製造開始の操作を手動により行わなくても自動的に再生紙の製造を開始でき、手間が省ける。
シュレッダー13は、投入された古紙6を裁断処理して古紙パルプの製造に適した所定の大きさに紙片化する裁断刃131を有する。ここで、仮に離解部1とは別途設けられたシュレッダー装置等の紙片裁断装置によって、既に所定の大きさに裁断処理済みの紙片を古紙投入部11より投入するような場合にはホッパー12内にシュレッダー13を設けない構成としても構わない。
金属片除去部14は、ステープラーの針等の金属類を取り除くため設けられ、マグネット等により構成される。金属片除去部14の設置位置は、図2において実線で示すようにシュレッダー13の下方近傍としてもよいが、図2において破線で示すようにシュレッダータンク16の排出口163の下方近傍等としてもよい。
押圧部15は、シュレッダータンク16内の裁断紙片61を押圧して裁断紙片61の嵩高さを抑えるためのものであり、裁断紙片61を押圧して裁断紙片61の嵩高さを低減させる押圧部材151と、押圧部材151を昇降する昇降手段152とを備えている。図3に待機状態の押圧部15の平面図を、図4に裁断紙片61を押圧した状態を示している。
図2に示すように、シュレッダータンク16は、古紙の裁断紙片61を一時的に貯留するものであり、底面162が排出口163に向けて傾斜する傾斜面をなす。
排出口163には古紙の裁断紙片61を排出する排出装置164を設けている。排出装置164としては種々のものがあるが、ここでは複数の羽根を回転軸の周りに放射状に配置した構造の排出装置164を示している。排出装置164の上方には紙量検知センサ165が配置してあり、紙量検知センサ165はシュレッダータンク16の内部に貯留する古紙の裁断紙片61の有無を検出するもので、ロードセル、光センサ等を用いる。
裁断紙量調整部17は、シュレッダータンク16の排出口163の下方に配置してあり、排出口163から排出する古紙の裁断紙片61を受け止める受け皿部171と、受け皿部171を支持する計測部172を備えており、計測部172は受け皿部171に投入した古紙の裁断紙片61の重量を計測するようになっている。
図5に示すように、受け皿部171は、受け皿171aが水平姿勢からパルパー18へ向けて傾斜する傾斜姿勢にまで傾動するものであり、受け皿171aを傾動させるモータ等の駆動手段(図示省略)を有する。また、受け皿171aはパルパー18に隣接する側壁部171bが図2に示す立ち姿勢の通常位置と、図5に示すパルパー18へ向けて傾倒する傾倒位置とにわたって開閉可能に設けてあり、該側壁部171bは受け皿171aの傾動に伴って傾倒し、受け皿171aの復動に伴って立ち姿勢に復帰するようになっている。
図2に示すように、パルパー18は、古紙の裁断紙片61を水及び離解促進剤の液体中において、繊維、つまり古紙パルプにまで離解させるものであり、古紙の裁断紙片61が投入される攪拌槽181と、攪拌槽181に給水するための給水部182と、離解促進剤供給部183とを設けている。離解促進剤供給部183から供給される古紙6の離解を促進する離解促進剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム、亜硫酸ナトリウムなどのアルカリ類から選ばれる1種以上若しくはその水溶液等を用いることができ、更に、スルファミン酸、塩酸、硫酸、リン酸、硫酸アルミニウムなどの酸類、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤、界面活性剤、漂白剤、PH安定剤、キレート剤、分散剤などを補助的に用いることもできる。
離解促進剤供給部183は、攪拌槽181の上方に離解促進剤の供給口を開閉可能に設けており、これにより攪拌槽181に貯留する古紙パルプ液の液面が攪拌に伴って変動する場合あっても、各供給口を開閉するだけで離解促進剤を攪拌槽181に投入することができる。ここで、古紙パルプ液とは、攪拌槽181内で古紙の裁断紙片61(古紙6)を離解することにより得られた古紙パルプを含む液体のことであり、該古紙パルプの他、離解途中の古紙62、水、水中に取り出されたインクやトナー等の印刷成分、離解促進剤等を含む液体である。
仮に、攪拌槽181の底部に水及び/または離解促進剤の供給口が形成された場合には、離解促進剤供給部183の供給口に攪拌槽181内の古紙パルプ液が流入して放置され、水分が蒸発する等して離解途中の古紙62が乾燥して固くなり、離解促進剤供給部183の供給口を詰まらせるといったことが生じる恐れがあるが、上記のように、攪拌槽181の上方に離解促進剤の供給口を開閉可能に設けた場合にはそのようなことは起こり得ない。給水部182についても同様である。
攪拌槽181の底部には、古紙の裁断紙片61を給水部182から給水された水とともに攪拌し離解するための攪拌羽根184が設けられ、前記攪拌羽根184を回転駆動するモータ等の駆動手段188を有している。
攪拌槽181には攪拌槽181内に貯留する古紙パルプ、古紙の裁断紙片61、水、離解促進剤を含有する古紙パルプ液を所定温度まで加温するためのヒータ186および温度センサ185を設けてある。更に、攪拌槽181の底部には、パルパー18にて古紙6から製造された古紙パルプ及び水等を含有する古紙パルプ液を取り出す古紙パルプ液取出部187を設けている。古紙パルプ液取出部187からポンプ(図示省略)等により取り出した古紙パプル液をニーダー19へ送るようになっている。
ニーダー19は、古紙パルプに混入しているインクやトナー等の印刷成分を該古紙パルプから分離させるように混練するものであり、公知のニーダー装置により構成される。
(脱墨部)
図1に示すように、 脱墨部2は、脱墨前希釈部21、脱墨処理部22、すすぎ部23を備え、各部の間には配管、ポンプ等からなる移送部(図示省略)を設けている。
脱墨前希釈部21は、古紙パルプ部1のニーダー19から送られた古紙パルプ液を脱墨に適した繊維濃度、ここでは0.1重量%〜5.0重量%程度、より好ましくは0.3重量%〜2.0重量%程度にまで希釈するものであり、希釈用水および脱墨剤としての界面活性剤等を投入する希釈液供給部(図示省略)を備えている。
繊維濃度が0.1重量%以上5.0重量%以下であることにより、後の脱墨処理部22においてインクやトナー等の印刷成分と脱墨剤とを効率よく接触させインクやトナー等の印刷成分を容易に除去することができる。
図6に脱墨部22の斜視図を、図7に脱墨部22の平面図を、図8に図7のA−A線矢視断面図を示す。脱墨部22は、フローテータとも呼ばれるものであり、脱墨装置Dにより構成される。脱墨装置Dは、インクやトナー等の印刷成分を古紙パルプ液から分離するためのものであり、古紙パルプ液の貯留槽221、ブレード222及び気泡排出槽223を備えている。
古紙パルプ液の貯留槽221は、離解部1において古紙6を水とともに攪拌し得られ、更に脱墨前希釈部21において希釈液の供給により所定濃度に調整された古紙パルプ液を流入させて貯留するものである。貯留槽221内は、複数の仕切壁224により複数の脱墨室225に区画されており、図7に示すように、仕切り壁224の左方または右方(平面図である図7において上方又は下方)が交互に開口することで全ての脱墨室225は連通している。
各脱墨室225の底部には、貯留槽221内に貯留する古紙パルプ液中に微細な空気を供給するための空気供給部226を設けるとともに、各仕切り壁224の双方の壁面の高さ方向略中央部に温度センサ227と、ヒータ228とをそれぞれ配置している。
また、貯留槽221内のうち、該貯留槽221の各内壁面及び仕切壁224の壁面のうち少なくとも二面が交差する部分の近傍等といった古紙パルプ液の流速が低下し該古紙パルプ液が淀みやすい所定位置に、淀んだ古紙パルプ液を攪拌し下流側へと流動させるための攪拌翼(図示省略)を配置している。攪拌翼としては種々のものがあるが、例えば複数の羽根を回転軸の周りに放射状に配置した構造の攪拌翼等が挙げられる。
更に、脱墨処理前の古紙パルプ液を脱墨前希釈部21から貯留槽221内に流入させる流入部229aと、脱墨処理後の古紙パルプ液を貯留槽221外に流出させる流出部229bとを設けており、流入部229aから流入した古紙パルプ液が左右に蛇行しつつ全ての脱墨室225を流通した後流出部229bから流出するようになっている。
そして、貯留槽221には、貯留槽221内に貯留する古紙パルプ液の少なくとも一部を取り出し、取り出した古紙パルプ液を貯留槽221に返戻するように離解促進用の循環流路220を設けている。
離解促進用の循環流路220は、貯留槽221の外周を覆うよう設けられた後述する気泡排出槽223の底面より下方であって、周面が気泡排出槽223に覆われることなくむき出しとなっている貯留槽221の下部側壁に設けられている。そして、この離解促進用の循環流路220の上流側端部220aは、貯留槽221内における古紙パルプ液の流通経路221aの下流側位置に設けられ、一方、循環流路220の下流側端部220bは、貯留槽221内における古紙パルプ液の流通経路221aの上流側位置に設けられている。
更に、離解促進用の循環流路220の上流側端部220a及び下流側端部220bは、いずれも貯留槽221の各内壁面及び仕切壁224の壁面のうち少なくとも二面が交差する部分の近傍等といった古紙パルプ液の流速が低下し該古紙パルプ液が淀みやすい所定位置に設けられている。図7においては、これらの一例として前記流出部229bの略対向位置の側壁に循環流路220の上流側端部220aを、前記流入部229aの略対向位置の側壁に循環流路220の下流側端部220bをそれぞれ形成した場合を示している。
更に、循環流路220の下流側端部220bは、循環流路220を経た古紙パルプ液を貯留槽221内に噴射するための噴射部220cを備えている。噴射部220cとしては、古紙パルプ液を貯留槽221内に噴射可能であれば特に限定されず種々のものが使用可能であるが、本実施形態では、噴射ノズルを用いている。
噴射ノズルは種々の形状のものが利用可能であり、先細ノズル、末広ノズル、又は、シャワー式ノズル等といった循環流路220を構成する配管の端部開口を閉塞する板状体に1個又は複数の円形状、多角形状又はスリット状の噴射孔が形成されたもの(図示省略)、例えば(有)バブルタンク社製マイクロバブル発生器等1mm以下の微細な気泡を発生する装置によるもの等任意のものが利用可能である。尚、図7においては、噴射部220cが先細ノズルである場合を示している。
離解促進用の循環流路220は、古紙パルプ液の取込み及び排出を行って古紙パルプ液を循環させる流送手段220dを備えている。流送手段220dは市販のポンプにより構成されることが好ましく、例えば、ターボ形ポンプ、容積形ポンプ又は特殊ポンプ等を用いることができる。より詳しくは、ターボ形ポンプとして遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ等が、容積形ポンプとして往復ポンプ、回転容積形ポンプ等が、特殊ポンプとして渦流ポンプ、ジェットポンプ、カスケードポンプ等が挙げられる。
また、離解促進用の循環流路220には、離解促進部220eを設けており、離解促進部220eは、循環流路220を流通する古紙パルプ液を攪拌して古紙パルプ液に含まれる離解の不十分な古紙及び/または古紙パルプを更に離解させる攪拌羽根(図示省略)を備えている。攪拌羽根はケーシング220g内に収容されており、循環流路220の上流側からケーシング220g内に流入した古紙パルプ液を攪拌することで古紙及び/または古紙パルプを離解するようになっている。
離解促進部220eにおける離解処理の方法は、連続式、バッチ式のいずれであっても構わないが、本実施形態では連続式の場合を示している。離解促進部220eにおいて連続式で離解処理を行う場合、ケーシング220g内に流入する古紙パルプ液を順次攪拌し離解し更に離解促進部220eの下流側に排出していく。このような連続式の離解に適する攪拌羽根としては、シロッコファン、ターボファン、プレートファン、プロペラファン、軸流ファン、斜流ファン等の各種回転羽根(図示省略)が挙げられる。
バッチ式の離解処理においては、古紙パルプ液を貯留するための離解促進用攪拌槽(図示省略)及び古紙パルプ液を攪拌するため攪拌羽根を備えた離解促進部(図示省略)と、古紙パルプ液を循環経路に取込み、貯留槽へと排出する流送手段(図示省略)とをそれぞれ設ける必要がある。これに対し、連続式での離解処理では、回転羽根が古紙パルプ液の取込み及び排出を行う流送手段220dを兼ねて構成することが可能である。逆に言えば、流送手段220dとして前記した回転羽根を備えたポンプを用いることで、循環流路220に古紙パルプ液を導くとともに離解促進部220eとしての構成をも兼ねることができ、流送手段220dと離解促進部220eとを別々に設けた場合に比較して構成の簡略化、装置の小型化、製造費用及び運転費用の低減等が図れ非常に高効率となる。
よって、上記したシロッコファン、ターボファン、プレートファン等の回転羽根を備えた遠心ポンプ、プロペラファン、軸流ファン等の回転羽根を備えた軸流ポンプ、斜流ファン等の回転羽根を備えた斜流ポンプ等を流送手段220dを兼ねた離解促進部220eとして構成することが好ましい。
ブレード222は、貯留槽221の上部を浮遊する気泡を、貯留槽221の周壁を溢流させ気泡排出槽223側へ掃き出すためのものであり、貯留槽221の上方に設けられ、モータ222aの駆動によりガイドレール222bに案内されつつ往復移動するよう構成されている。
図7に示すように、気泡排出槽223は、貯留槽221の外周を取り囲むよう平面視ロ字状に設けられ、脱墨の際に貯留槽221内で生じ、ブレード222により掃き出された気泡を一旦貯留するようになっている。気泡排出槽223には、気泡排出槽223内及びブレード222等に付着した気泡を洗い流すための水などの洗浄液を噴出する噴射孔を備えた洗浄液噴出部223aを設けている。洗浄液噴出部223aは、気泡排出槽内の壁面の上段部及び中段部の全周に亘って複数配備されている。
更に、気泡排出槽223は、生じた気泡を消滅させるための消泡部(図示省略)を備えていることが好ましい。消泡部は気泡を消滅させることができればその構造は限定されないが、例えば、温風や熱風を供給する風供給部(図示省略)等が挙げられ、風供給部から気泡に温風又は熱風を吹き付けて気泡の水分を吹き飛ばすことで気泡を消滅させる。かかる風供給部を設ける場合には、風供給部からの温風や熱風を水分含有量の低い乾燥した温風又は熱風とすることがより好ましい。これにより、気泡の水分をより容易に吹き飛ばすことができるからである。
図9に、すすぎ部23の構成概略図を示す。すすぎ部23は、脱墨処理部22において得られた脱墨後の古紙パルプ63を含む古紙パルプ液中の脱墨剤を洗浄し除去するものであり、離間配置された回転ローラ231の間に掛け渡して展張したメッシュベルト233を有し、該メッシュベルト233が上部の往路軌道233aと下部の復路軌道233bからなる無端軌道を形成している。
往路軌道233aには始端側に古紙パルプ液をメッシュベルト233の上に供給するホッパー234を設けており、該ホッパー234からメッシュベルト233の上に供給された古紙パルプ液に向けて水などの洗浄液を噴射する洗浄ノズル235と、洗浄ノズル235からの洗浄液により洗浄された古紙パルプ液を圧搾する上下一対の圧搾ローラ236とを往路軌道233aの始端側から終端側に向けて交互に複数設けている。
復路軌道233bの始端側にはメッシュベルト233からすすぎの終了した古紙パルプ液を剥離するためのスクレーパ237を設けている。また、往路軌道233aの下方には洗浄液を受ける洗浄液収容槽232を設置し、洗浄液収容槽232は配管(図示省略)によりすすぎ排水タンク52に接続されている。
(抄紙部)
図10は、抄紙部3及び仕上部4のカレンダー部41の概略斜視図、図11は、抄紙部3を構成するヘッドボックス31及びワイヤー部32の斜視図、図12は、図11に示すヘッドボックス31及びワイヤー部32の側面図、図13は、脱水部33の構成概略図、図14は、ドライヤー部34の構成概略図、図15はドライヤー部34の内部の拡大図、図16は仕上げ部4の拡大図である。抄紙部3は、すすぎ部23によるすすぎの終了した古紙パルプ液を抄紙するものであり、図10に示すように、ヘッドボックス31、ワイヤー部32、脱水部33、ドライヤー部34からなる。
ヘッドボックス31は、すすぎ部23によるすすぎの終了した古紙パルプ液をワイヤー部32に均一に供給するためのものであり、図11に示すように、ヘッドボックス31の上部は開口しており、下部に古紙パルプ液の供給口31aが形成されている。古紙パルプ液の供給口31aの長手方向両端部には、ワイヤー部32のメッシュベルト323の両側縁部に沿って所定長さを有するガイド部材31bが片持ち支持されている。ガイド部材31bは、ヘッドボックス31からワイヤー部32のメッシュベルト323上に供給された古紙パルプ液がメッシュベルト323の側縁から外方に流れ落ちるのを防止するようになっている。
ワイヤー部32は、 複数の回転ローラ321に掛け渡して展張したメッシュベルト323を有し、メッシュベルト323が往路軌道323aと復路軌道323bからなる無端軌道を形成している。また、往路軌道323aの下方には、往路軌道323aの網目から流下する水を受ける受水部325を設けている。受水部325は後述する排液処理部5の抄紙排水タンク54に接続されている。
図13に示すように、 脱水部33は、複数の回転ローラ331の間にそれぞれ掛け渡したフェルトからなる無端状の吸水ベルト332a,332bを上下一対有し、上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとが一部当接している。この上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとが一部当接した部分において、双方の吸水ベルト332a,332bを挟圧して圧搾する一対の圧搾ローラ334を複数備えている。
上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとは設置位置を所定長さだけずらせており、上側の吸水ベルト332aの方が下側の吸水ベルト332bよりも湿紙64の走行方向上流側に配置されている。これにより、メッシュベルト323上を搬送されてきた湿紙64をまず上側の吸水ベルト332aに転移し、その後、圧搾ローラ334による圧搾の直前まで湿紙64を下側の吸水ベルト332bに接触させないようにしている。
圧搾ローラ334は、上流側の圧搾ローラ334aの方が下流側の圧搾ローラ334bよりも押圧力を弱くすることが好ましい。上流側の圧搾ローラ334aによる圧搾の時点では、下流側の圧搾ローラ334bによる圧搾の時点よりも湿紙64の含水量が高い状態である。よって、上流側の圧搾ローラ334aを下流側の圧搾ローラ334bよりも弱い力で圧搾することにより、図13において破線矢印で示すように、圧搾により生じた水によって湿紙64中の繊維成分が下側の吸水ベルト332b上を圧搾ローラ334aの上流側に逆流し、均一な繊維の層を形成できなくなるといったことを防止する。一方、上流側の圧搾ローラ334aによって一旦比較的弱い押圧力で圧搾され、湿紙64の含有する水分量を減少させた後、下流側の圧搾ローラ334bによって上流側の圧搾ローラ334aより強い押圧力で圧搾することで、最終的に得られる再生紙7の強度を向上させることができる。
図14に示すように、ドライヤー部34は、フード346内に複数の回転ローラ351及び乾燥ローラ343を配置し、この複数の回転ローラ351及び乾燥ローラ343の間に掛け渡した搬送ベルト342を上下一対備えている。搬送ベルト342の材質は特に限定されず、例えば、布、耐熱樹脂または金属等とし、上下の搬送ベルト342は一部が当接した状態で走行し、上下の搬送ベルト342の当接箇所に複数の乾燥ローラ343が配置されている。図15に示すように、乾燥ローラ343は、内部にヒータ345を備えるとともに、外周面に搬送ベルト342を巻回しており、また、乾燥ローラ343の表面の温度を測定する温度センサ344を有している。
図14に示すように、フード346の天井面は傾斜して形成され、フード346内において湿紙64の乾燥により生じた水蒸気がフード346の天井面において冷却され結露した場合に、付着した水滴を傾斜に従ってフード346の天井の高さが高い箇所から低い箇所に案内するようになっている。更に、フード346の天井の高さが低い側の側壁346aにはドレン水受部347を設けており、天井の傾斜に従ってフード346の天井の高さが低い側の側壁346aに至った水滴を集め、外部に排出するようになっている。このドレン水受部347よりフード346の外部に排出された水滴は抄紙排水タンク54に送られるよう構成されている。
また、ドライヤー部34には、フード346内の高温多湿の空気をフード346の外に排気する排気部348と、フード346の外の空気をフード346の内部に取り込む吸気部349とを設けており、排気部348より排気するフード346内の高温の空気と、吸気部349よりフード346内に取り込む、フード346内の空気より低い温度の空気との間で熱交換を行う熱交換器354を備えている。熱交換器354には、ドレン水排出部354aを設けており、ドレン水排出部354aは、排気部348から排気された高温多湿の空気が冷却されることで生じる水滴を熱交換器354の外部に排出し、抄紙排水タンク54に送るよう構成されている。
(仕上げ部)
図1に示すように、仕上げ部4は、カレンダー部41及びカット部42を有しており、図16に示すように、カレンダー部41は紙の平坦度を上げるための複数のプレスローラ411を備え、カット部42は紙を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
(排液処理部)
図1に示すように排液処理部5は、脱墨排水タンク53、すすぎ排水タンク52、抄紙排水タンク54の各槽体を有し、脱墨排水タンク53内の排水は、必要により所定の廃液処理を行って無毒化した後古紙再生処理装置100の外部に排出するよう構成されている。汚染の程度が低く再利用が可能な抄紙排水タンク54、すすぎ排水タンク52内の排水は、フィルターを通してインクやトナー等の印刷成分を除去し、必要により薬剤を添加し中和するなどの処理を施した後、もう一度パルパー18、脱墨前希釈部21等へ供給し再度利用可能に構成されている。
(第1の実施形態の作用)
本実施形態にかかる古紙再生処理装置100の作用につき以下に説明する。
まず、図2に示すように、古紙6を古紙投入部11よりホッパー12内に投入すると、シュレッダー13が投入された古紙6を裁断処理して古紙パルプの製造に適した所定の大きさに紙片化し、金属片除去部14がステープラーの針等の金属類を除去する。そして、シュレッダータンク16内に裁断された紙片を一時的に貯留する。
シュレッダータンク16内に一定量以上の古紙の裁断紙片61を貯留する場合、図4に示すように、昇降手段152によって押圧部材151を降下し裁断紙片61を押圧して裁断紙片61の嵩高さを低減させる。
次に、排出装置164を作動して古紙の裁断紙片61を受け皿部171に徐々に投下し、計測部172で測定する。計測部172の測定値が設定値に達した時点で排出装置164を停止し、図5に示すように、駆動手段を駆動して受け皿171aを傾動し、側壁部171bを傾倒して古紙の裁断紙片61を攪拌槽181へ投入する。
パルパー18では、古紙の裁断紙片61の攪拌槽181への投入に先立って予め投入される古紙の裁断紙片61の量に応じた量の水を、給水部182から供給しておき、駆動手段188を作動して攪拌羽根184を回転し、攪拌槽181内の水を攪拌しておく。このような状態で、上記のようにして攪拌槽181内へ古紙の裁断紙片61の投入を行う。これにより、古紙の裁断紙片61と水とを容易に混合することができる。そして、離解促進剤供給部183より離解促進剤を攪拌槽181に投入する。
この離解促進剤供給部183からの攪拌槽181への離解促進剤の投入は、古紙の裁断紙片61の投入後、所定時間経過後に行うことが好ましい。これにより、まず水により裁断紙片61を十分膨潤させた後、膨潤した裁断紙片61の内部に離解促進剤を速やかに浸透させることができ、離解処理の時間を短縮可能である。
そして、攪拌羽根184の回転により攪拌槽181内で古紙の裁断紙片61を攪拌して古紙パルプ液を形成する。この間、温度センサ185で攪拌槽181内の温度を検出し、必要により温度ヒータ186を通電することで攪拌槽181内に貯留する古紙パルプ液を離解処理に適する所定温度に維持する。
パルパー18での滞留時間を長くすることにより古紙の裁断紙片61の離解の度合いが高くなり、逆に短くすることにより古紙6の離解の度合いが低くなる。このため単位処理量当たりの運転時間を可変調整することにより、パルパー18の離解の度合いを任意の度合いに設定することができ、この結果、処理時間の短縮を重視するか得られる再生紙7の品質を重視するかについてユーザーが任意に選択の上で、再生紙を製造することが可能となる。
パルパー18において製造された古紙パルプを含有する古紙パルプ液を古紙パルプ液取出部187より取り出した後は、この古紙パルプ液をニーダー19へ送り、古紙パルプを混練し、混練後の古紙パルプを含む古紙パルプ液を、図1に示すように、脱墨部2へ送る。
脱墨部2では、まず、古紙パルプ液を脱墨前希釈部21において脱墨に適した繊維濃度になるよう希釈液供給部から希釈用水および脱墨剤としての界面活性剤を投入して古紙パルプ液の希釈を行う。次に、所定の繊維濃度に調整された古紙パルプ液を脱墨処理部22に送る。
脱墨処理部22では、図6,7,8に示す貯留槽221に流入部229aから流入した古紙パルプ液を、仕切壁224の右方または左方の開口から隣接する脱墨室225へ順次流通させる。各脱墨室225では脱墨剤の存在下、古紙パルプ液中に空気供給部226から微細な気泡を吹き込み、脱墨剤の作用によって消失することなく多量に発生した気泡の表面にトナー粒子等の疎水性の成分を付着させて各脱墨室225の上部に浮上させる。また、必要により攪拌翼を作動し、貯留槽221内の古紙パルプ液の円滑な流通を促すようにする。
親水性の繊維は、水とともに脱墨室225を順次流通していく。このようにして古紙パルプ液からインクやトナー等の印刷成分と古紙パルプとを分離する。その際、温度センサ227で古紙パルプ液の温度の検出を行い、必要によりヒータ228で古紙パルプ液を所定温度に維持するよう加熱する温度制御を行う。
脱墨処理部22に古紙パルプ液を導入した後、所定時間経過し、脱墨処理が進行して各脱墨室225の上部に気泡が浮遊した際に、モータ222aを駆動し、ガイドレール222bに案内させつつブレード222を図7において上下方向に往復移動し、貯留槽221の上部に浮遊する気泡を気泡排出槽223に掃き出し除去する。気泡排出槽223に掃き出された気泡は、洗浄液噴出部223aから噴出した洗浄液によって消泡され洗い流され、気泡排出槽223内に溜まった洗浄液、脱墨剤、インクやトナー等の印刷成分を含む液体は脱墨排水タンク53に送られる。
脱墨処理部22では単位処理量当たりの運転時間、つまり貯留槽221での滞留時間を長くすることにより脱墨の度合いが高くなり、短くすることにより脱墨の度合いが低くなる。このため、単位処理量当たりの運転時間を可変調整可能とすることにより、脱墨処理部22での脱墨の度合いを任意の度合いに設定することができる。この結果、処理時間を短縮することを重視するか、または得られる再生紙7の品質を重視するかについてユーザーが任意に選択の上で、再生紙を製造することが可能となる。脱墨部2での単位処理量当たりの運転時間の制御は、貯留槽221へ供給する古紙パルプ液の単位時間当たりの供給量を加減調整することにより行う。
この脱墨処理の際には、流送手段220dの作動により離解促進用の循環流路220の上流側端部220aから貯留槽221内の古紙パルプ液を取り出し、離解促進部220eで攪拌羽根によって循環流路220を流通する古紙パルプ液に含まれる離解の不十分な古紙及び/または古紙パルプを更に離解する。
このように、脱墨装置Dは離解促進部220eを備えているので、前工程となる離解部1において、離解処理を行う槽の側壁や底面に付着するなどしたために十分に離解の行われなかった古紙及び/または古紙パルプが、脱墨装置Dに混入した場合に、攪拌羽根によって更に離解させることができる。
離解促進部220eにおける更なる離解処理は、貯留槽221への古紙パルプ液の流入開始後、貯留槽221に所定量の古紙パルプ液が貯留され、循環流路220での循環が可能となった時点より、貯留槽221から脱墨処理後の古紙パルプ液を流出させ、循環できなくなるまでの間連続して行ってもよく、所定時間だけ行ってもよく、所定時間ごとに所定の長さだけ複数回行ってもよく、不規則に行ってもよい。
これらのうち、循環流路220での循環が可能となった時点より、貯留槽221から脱墨処理後の古紙パルプ液を流出させ、循環できなくなるまでの間連続して循環させることが離解処理効率が向上し好ましい。
離解促進部220eにおける離解の不十分な古紙及び/または古紙パルプの更なる離解処理は、流送手段220dを兼ねた回転羽根が古紙パルプの流送及び離解の双方の処理を兼ねて行うものである。これにより、古紙パルプ液の流送のみを行う流送手段と古紙及び/または古紙パルプの更なる離解のみを行う離解装置とをそれぞれ設ける場合に比較して脱墨装置Dの小型化、使用時の節電、処理時間の短縮、及び製造費の低減を図れることができる。
また、離解促進部220eは、回転により古紙パルプ液を攪拌する回転羽根が設けられてなるので、古紙及び/または古紙パルプ液を非常に効率よく離解することができる。貯留槽221内の古紙パルプ液の繊維濃度は脱墨前希釈部21において0.1重量%〜5.0重量%程度に希釈されたものであるが、かかる繊維濃度は、回転羽根が古紙パルプ液を攪拌し離解するに適するものとなっており、あまりに繊維濃度が高すぎる場合のように、攪拌困難になるといったことがない。
循環流路220の上流側端部から離解促進部220eに流入し、離解処理が行われた古紙パルプ液は、循環流路220の下流側端部220bにおいて噴射部220cから貯留槽221へ返戻される。
噴射部220cでは、噴射前において噴射ノズル内が他の箇所より圧力の高い状態となり、噴射後は噴射前に比較して圧力の低い状態になる。この噴射前後の圧力差によっても古紙及び/または古紙パルプの離解が促進されると考えられ、噴射部220cのない場合に比較して離解がより促進され、また、噴射前後の圧力差が高いほど、離解が更により促進される。
特に噴射部220cが噴射ノズルである場合には、簡単な構造で噴射前後の圧力差を容易に高くすることができ、古紙パルプ液をより効率よく離解させることができる。
また、離解促進用の循環流路220の上流側端部220aは、貯留槽221内における古紙パルプ液の流通経路221aの下流側位置に設けられ、一方、循環流路220の下流側端部220bは、貯留槽221内における古紙パルプ液の流通経路221aの上流側位置に設けられているので、各脱墨室225を流通し、ある程度印刷成分の除去されたものの未だ脱墨の必要な古紙パルプを、流出部229bからの流出する前の段階で循環流路220に取り込んで循環させ、流通経路221aの上流側へ返戻するので、再度貯留槽221内において脱墨処理を施すことができ、装置の大きさを維持しつつ脱墨効果を向上させることが可能となる。
そして、離解促進用の循環流路220の上流側端部220a及び下流側端部220bは、いずれも貯留槽221の各内壁面及び仕切壁224の壁面のうち少なくとも二面が交差する部分の近傍等といった古紙パルプ液の流速が低下し該古紙パルプ液が淀みやすい所定位置に設けられているので、滞留し、脱墨処理の進み難い古紙パルプ液を貯留槽221から取り出しまた貯留槽221内へ返戻することで、貯留槽221内の古紙パルプ液の流動を促し、脱墨効率を向上させることができる。
脱墨装置2において脱墨処理が施され、印刷成分の除去された古紙パルプ液は、流出部229bから流出され、図9に示すすすぎ部23に送られる。
図9に示すように、すすぎ部23では、回転ローラ231の駆動により走行するメッシュベルト233上に、ホッパー234から古紙パルプ液を供給し、メッシュベルト233の走行方向上流側の洗浄ノズル235から古紙パルプ液に洗浄液を噴射し古紙パルプ液中の脱墨剤を洗浄する。続いて、圧搾ローラ236によって古紙パルプ液を圧搾することで脱水を行う。かかる洗浄、脱水の動作を下流側の洗浄ノズル235及び圧搾ローラ236によって複数回繰り返す。
すすぎを終了したメッシュベルト233上の脱墨後の古紙パルプ63は、復路軌道233bの始端側に至り、スクレーパ237によってメッシュベルト233から剥離された後、加水され、古紙パルプ液中の繊維濃度を0.3〜1.0重量%程度となるように調整された上で、抄紙部3へ送られる。また、メッシュベルト233から洗浄液収容槽232に流下した洗浄液は、すすぎ排水タンク52へ送られる。
図11に示すように、抄紙部3では、ヘッドボックス31から走行するメッシュベルト323上に、脱墨後の古紙パルプ63を含む古紙パルプ液をガイド部材31bに案内させつつ均一に供給し、水切りして水分を比較的多く含んだ繊維の層である湿紙64を形成する。メッシュベルト323の下方に流下した水は受水部325に受水され、該受水部325から抄紙排水タンク54に送られる。
メッシュベルト323上の湿紙64が往路軌道の終端部に至ると、脱水部33の上側の吸水ベルト332aに転移される。その後下側の吸水ベルト332bとの間に挟まれ、湿紙64に含まれる水分を吸水ベルト332a,332b側に吸収させることで脱水し、更に、圧搾ローラ334a,334bで圧搾して脱水する。
この圧搾ローラ334a,334bの圧搾の際、各圧搾ローラ334a,334bの押圧力を上流側の圧搾ローラ334aの方が下流側の圧搾ローラ334bよりも弱くした場合には、圧搾で生じた水によって湿紙64を構成する繊維が上流側の圧搾ローラ334aの上流側に流されるのを防止することができ、更に、下流側の圧搾ローラ334bの押圧力を上流側の圧搾ローラ334aより強くすることで、湿紙64を乾燥し、仕上げした後に得られる再生紙の強度を向上させることができる。
脱水部33で脱水された湿紙64は、ドライヤー部34に送られ、走行する上下一対の搬送ベルト342の間に挟持される。そして、ヒータ345により加熱され所定温度に維持された複数の乾燥ローラ343に湿紙64を搬送ベルト342を介して当接させつつ搬送することで湿紙64の乾燥を行い仕上げ前の再生紙65を得る。尚、図14に示すフード346の天井面において結露し、傾斜に従って側壁346aに達した水滴は、ドレン水受部347から抄紙排水タンク54に送られる。
また、熱交換器354では、排気部348から排気されたフード346内の高温多湿の空気と、フード346外の空気とを熱交換し、フード346外の空気を加温した上で吸気部349からフード346内に取り込む。更に、熱交換器354内において排気部348からの高温多湿の空気を冷却することで生じたドレン水をドレン水排出部354aから抄紙排水タンク54に送る。
ドライヤー部34を出た仕上げ前の再生紙65はカレンダー部41に送られ、複数のプレスローラ411の間に通される。これにより、仕上げ前の再生紙65の平坦度を向上させ、更に、カット部42で所定のシートサイズに裁断して再生紙7が完成する。
カット部42において裁断された結果不要となった仕上げ前の再生紙65の破材は、図1に示すようにシュレッダー13又はシュレッダータンク16に戻され、再度再生紙の製造に利用される。
各工程において排液処理部5へ送られた排水のうち汚染の程度が高く再利用が困難な脱墨排水タンク53内の排水は、必要により所定の廃液処理を施した後古紙再生処理装置100の外部に排出する。汚染の程度が低く再利用が可能な抄紙排水タンク54、すすぎ排水タンク52内の排水は、必要によりフィルターを通してインクやトナー等の印刷成分を除去し、薬剤を添加し中和するなどの処理を施した後、パルパー18、脱墨前希釈部21等へ供給し再度利用する。
以上より、本発明にかかる古紙再生処理装置脱墨装置100は、離解促進用の循環流路220に離解の不十分な古紙及び/または古紙パルプを更に離解させる攪拌羽根を備えた離解促進部220eを備えた脱墨装置Dと、この脱墨装置Dにおいて印刷成分の除去された古紙パルプ液を抄紙して再生紙を製造する抄紙装置Sとを備えたので、離解部1において離解されなかった紙片などを脱墨装置Dにおける離解促進部220eにより更に離解することができる。かかる十分に離解処理の施された古紙パルプ液を抄紙することによって、得られる再生紙を平滑性の高い、繊維の均一性の良好なものとすることができる。
(第2の実施形態)
本発明にかかる脱墨装置の他の実施形態を以下に示す。尚、以下の説明において、上記第1の実施形態と同一の構成に関しては説明を省略する。図17は、本発明の第2の実施形態にかかる脱墨部22Aを構成する脱墨装置Eの平面図であり、図18は図17のB−B線矢視断面図である。図18に示すように、第2の他の実施形態としての脱墨装置Eは、各脱墨室225aを連通する仕切壁224aに形成された開口部を、仕切壁224aの上方、及び下方に形成している。これにより古紙パルプ液は上下に蛇行して流通しながら全ての脱墨室225aを流通されるとともに、空気供給部226aからの空気によって生じた気泡に印刷成分を付着させ浮上させて脱墨処理を行う。
離解促進用の循環流路220A及び流送手段220D、離解促進部220Eの構成、作用及び効果は上記した第1の実施形態と同様である。
尚、上記第1,2の実施形態では、離解促進用の循環流路220,220Aは、気泡排出槽223の底面より下方となる貯留槽221の下部側壁に形成したが、本発明にかかる離解促進用の循環流路はこれに限定されず、貯留槽の上部または高さ方向中央部に設けてもよく、循環流路の上流側端部と下流側端部とを貯留槽の異なる高さ位置になるように設けてもよい。
また、噴射部220cとして噴射ノズルを用いたが、他の形状、例えば、脱墨槽内において循環流路を構成する配管の下流側端部近傍に複数の噴射孔を形成したもの等挙げることができる。
また、離解促進部220e,220Eが連続式で古紙パルプ液を離解処理する場合を示したが、これに限定されず、バッチ式で離解処理を行ってもよい。バッチ式で離解処理を行う場合には、例えば、離解促進部に離解促進用攪拌槽を設け、該離解促進用攪拌槽内に所定量の古紙パルプ液を貯留し、離解促進用攪拌槽内に設けた攪拌羽根により攪拌し、離解する構成とすることができる。このような離解促進用攪拌槽を設けたバッチ式の離解処理に用いる攪拌羽根としては、プロペラ型、パドル型、リボン型、アンカー型、タービン型など市販されている各種攪拌羽根が適用可能である。
また、上記実施形態では、循環流路220,220Aの上流側端部220a及び下流側端部220bを貯留槽221内における古紙パルプ液の流通経路221aの下流側位置及び上流側位置にそれぞれ設けた例を示したが、これに限定されず、貯留槽の他の位置、例えば、循環流路220,220Aの上流側端部220aを古紙パルプ液の流通経路221aの上流側位置に設けてもよく、循環流路220,220Aの下流側端部220bを古紙パルプ液の流通経路221aの下流側位置に設けてもよい。
また、離解促進用の循環流路220の上流側端部220a及び下流側端部220bは、いずれも貯留槽221の各内壁面及び仕切壁224の壁面のうち少なくとも二面が交差する部分の近傍等といった古紙パルプ液の流速が低下し該古紙パルプ液が淀みやすい所定位置に設けたが、他の位置であってもよい。
また、図7,17においては、循環流路220,220Aの上流側端部220aを流出部229bの対向位置の側壁に、循環流路220の下流側端部220bを流入部229aの対向位置にそれぞれ形成した場合を示したが、例えば、上流側端部220aを流入部229aの対向位置に、下流側端部220bを流出部229bの対向位置に設けてもよく、貯留槽の他の側壁など他の位置に設けてもよい。また、循環流路220の下流側端部220bは噴射部220cを備えたが、噴射部を備えない古紙パルプ液を流出させるだけの構成としてもよい。
また、循環流路を構成する配管を通常の配管とし、配管の内部に噴射部を設けた構成としていないが、循環流路を構成する配管の内部に前記配管内を流通する古紙パルプ液を前記配管内において噴射する噴射部を設けた構成としてもよい。配管内に設ける噴射部としては、例えば、オリフィスが挙げられ、また、他の例として循環流路を構成する配管を外側の配管内部に内側の配管を収容した二重構造の配管とし、内側の配管に複数の噴射孔を形成し、該内側の配管の噴射孔から外側の配管内に古紙パルプ液を噴射する構成等も挙げられる。
(確認試験)
脱墨前希釈部21において脱墨に適する約0.1重量%〜5.0重量%程度の古紙パルプ濃度に調整された古紙パルプ液を、脱墨処理を行うため脱墨部22の貯留槽221に流入させた際に、離解の不十分な紙片があった場合に該紙片を離解促進部を備えた循環流路を流通させることで離解可能かどうかの確認試験を以下の条件で行った。
水槽に5Lの水を貯留し、この水槽に印字のない上質紙(連量110Kg)を5mm×10mmの長方形状に裁断した紙片48枚(約300g)を投入し、ポンプにより水槽内の液体を取り込み前記水槽内に戻すことで循環させた。ポンプは川本製作所製NF2−150S(ポンプの種類はカスケードポンプ)を用い、標準吐出量を16L/分とし、ポンプを駆動し液体を循環させる時間を5分及び15分の2種類とした。
循環流路の下流側端部は、2種類の噴射ノズルを開口させたものと、耐圧ホースを開口させただけで噴射部を形成しないものとの3種類で試験を行った。噴射ノズルは一方は先端の開口内径が3mmの先細ノズルとし、他方は開口内径が5mmの噴射口を2個備えた(有)バブルタンク製微細気泡発生装置(マイクロバブル)を用い、耐圧ホースの開口内径は15mmであった。
また、比較例として上記と同様の条件で水槽に上質紙を投入し、ポンプによる循環を行わず、5分及び15分の2種類の時間放置を行った。
各処理後の水槽内の液体を手抄きにより抄紙し自然乾燥して30mm×100mmの長方形の再生紙を2枚ずつ得た。得られた再生紙に未離解の紙片があるかどうかを目視により確認するとともに、未離解の紙片があった場合には最大の未離解紙片の大きさを測定した。これらの結果を表1に示す。
表1より、試験番号7,8に示す比較例において水槽内の液体を循環させなかった場合には、紙片は全く離解が進行せず、元の状態のままであったのに対し、試験番号1〜6に示す水槽内の液体を循環させた場合には攪拌羽根により紙片の離解が促進され、再生紙に残存する未離解紙片の大きさを小さくできることが確認できた。特に、15分以上循環処理することによって流通経路の下流側端部の形状がいずれの場合においても未離解の紙片を目視で確認できなくなる程までに離解処理できることがわかった。
更に、上記確認試験において、循環を行ったものの未離解の紙片があった試験番号1,3,5の循環時間を5分間とした場合について、得られた再生紙の単位面積当たりの未離解紙片の個数を測定した。単位面積は10mm×10mmの正方形とし、各再生紙において未離解紙片の数が最も多いと思われる箇所を任意に選択した。未離解の紙片として計測する大きさは1mm×1mmの正方形より大きい面積を有することとした。この結果及び各条件での噴射直前の液体の流速及び圧力の計算値を表2に示す。
表2より、本条件においては噴射部を噴射ノズルとした試験番号1,3の方が噴射ノズルを設けていない試験番号5より良好な結果が得られ、また、開口内径が小さい試験番号1の方が試験番号5より更に良好な結果が得られることがわかった。