JP5339116B2 - 土木構造物及び土木構造物の管理システム - Google Patents
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Description
土木構造物に設置される銘板に記載された情報は、構造物竣工時の情報にすぎず、銘板からは、日々の維持管理に関する情報は得られない。
また、近年、コンクリート製品にRFタグを埋め込んで、当該RFタグに管理情報を記憶させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
つまり、災害前の土木構造物の状況を把握しつつ、災害後の土木構造物の状況をみることで、災害を原因とする破損箇所を把握したり、災害による土木構造物やその周辺環境の状況の変化を把握して的確な復旧対策をとることができる。
しかし、災害時において、土木構造物が設置されている現場から、前記データベースにアクセスするには、災害時においても現場から管理センターまでの通信回線が利用可能である必要がある。災害時においては、通信回線がとぎれたり、データベースが設置された管理センター自体が被災するおそれがあり、現場から、必要な管理情報が入手できるとは限らず、復旧作業に時間がかかるおそれがある。
しかし、特許文献1に記載のように、単に、構造物にRFタグ(無線ICタグ)を設けるだけでは、災害時にも対応できるように土木構造物の管理を行うことが困難である。
つまり、災害などによる破損時には、土木構造物におけるRFタグ(RFIDタグ)の埋設部の脱落や破壊により、土木構造物に設けたRFタグが破壊され、管理情報が失われるおそれがあるからである。
本発明によれば、土木構造物の情報が、複数のRFタグによって分散的かつ冗長的に記憶されるため、土木構造物の破損に伴って一部のRFタグが破損したとしても、情報の復元性が高くなる。
前記復元手段は、通信不能なRFタグがある場合には、前記対応関係情報に基づいて、通信不能なRFタグの第1記憶領域に記憶されている分割情報のコピーを第2記憶領域に記憶している別のRFタグを特定するのが好ましい。
本管理システム1は、土木構造物10を管理するためのものである。なお、図1等では、土木構造物10として、橋梁を一例として説明するが、土木構造物10は、トンネル、擁壁等であってもよい。
土木構造物10には、複数のRFタグ(トランスポンダ)12が設けられている。土木構造物10のRFタグ12には、当該土木構造物10に関する情報が記憶される。
情報端末20は、使用者からの入力を受け付けたり、RFタグ12a−1〜12a−8から読み取った情報及びその他の情報を画面に出力したりすることができる。
情報端末20は、サーバ30との間でも、有線又は無線の通信回線によって通信可能であり、サーバ30のデータベースから必要な情報を取得したり、サーバ30のデータベースに蓄積すべき情報を送信したりすることができる。
また、図2においては、理解の容易のため、図1に示される土木構造物10の各ブロックのうち、一つのブロック11aのみを示している。
また、各RFタグ12a−1〜12a−8の間隔は、あるRFタグと情報端末20との通信の際に、他のRFタグとの通信干渉が生じないようにすればよい。
なお、このRFタグ12は、パッシブタグとして構成されているが、アクティブタグであってもよい。また、RFタグ12が無線通信に使用する周波数は、134.2kHzである。この周波数であると、土木構造物の材料として用いられているコンクリート等を透過することができ、好ましい。
ブロック分けに依存しない土木構造物全体に関する情報は、いずれかのブロックの構造物情報の一部としてRFタグに記憶させてもよいし、複数のブロックの各RFタグに分散して記憶させてもよい。
つまり、一つのブロックに設けられた複数のRFタグ12a−1〜12a−8それぞれは、当該ブロックの構造物情報を断片的に保持している。ここでは、一つのRFタグが保持する構造物情報の断片を分割情報という。
なお、RFタグの数は、8個に限定されるものではない。また、各ブロックに設けられるRFタグの数は、各ブロックにおいて同じであってもよいし、異なっていてもよい。
管理情報は、分割情報以外の情報として、タグID、構造物ID、部品ID(ブロックID)を含んでいる。
タグIDは、個々のRFタグ12a−1〜12a−8を識別するためのものであり、タグ固有のIDと、RFタグが設けられているブロック内での位置を示すID(タグ位置ID)との組み合わせによって構成されている。
構造物IDは、RFタグが設けられている土木構造物10を特定し、部品ID(ブロックID)は、RFタグが設けられているブロック(部品)を特定する。
また、RFタグ12a−1〜12a−8は、管理情報として、第1の分割情報を記憶するための第1記憶領域と、第2の分割情報を記憶する第2記憶領域とを、含んでいる。
第1記憶領域には、そのRFタグが主として記憶を担うべき分割情報が記憶され、第2記憶領域には、他のRFタグが主として記憶を担うべき分割情報のコピーが記憶される。
つまり、各RFタグ12a−1〜12a−8は、それぞれ、構造物情報の一部の情報を記憶するが、2つ(複数)の分割情報を記憶することができる。
これにより、各分割情報は、複数のRFタグによって冗長的に保持される。
図2に示すように土木構造物10の一つのブロックに、8個のRFタグ12a−1〜12a−8を割り当てた場合、構造物情報の容量としては、一つのブロックあたり、3バイト(第1記憶領域の容量)×8=24バイトが確保される。
このように、構造物情報を複数のRFタグに分散して記憶させることで、一つのRFタグの記憶容量を超えた量の情報を、記憶させることができる。
また、分割情報のコピーを記憶する第2記憶領域の容量も、同様に、一つのブロックあたり、24バイトが確保される。
なお、以下では、1つのブロックに埋設されている8個のRFタグ12a−1〜12a−8のタグID(タグ位置ID)を、ID=0〜ID=7とする。
また、タグIDが隣接するRFタグ同士は、ブロック内において実際に隣接して配置されているものとし、あるタグIDを有する第1のRFタグと、当該第1のタグIDにRFタグの全数(=8)の1/2(=4)を加えたタグIDを有する第2のRFタグとは、ブロック内において互いに最も離れた位置関係にあるものとする。
ただし、図8の比較例では、構造物情報の記憶のさせ方に冗長性がないため、一つのRFタグでも破損すると、構造物情報を完全に復元することはできない。
また、RFタグ12a−1〜12a−7のそれぞれの第2記憶領域には、別のRタグの第1記憶領域に記憶されている分割情報Do−0〜Do−7のコピーDc−0〜Dc−7が記憶されている。
また、タグID=4であるRFタグ12a−5の第1記憶領域には、オリジナル分割情報として、分割情報(4)Do−4が記憶され、第2記憶領域には、コピー分割情報として、分割情報(0)Dc−0が記憶される。
つまり、ID=0のRFタグ12a−1とID=4のRFタグ12a−5とがペアとなって、互いのオリジナル情報のコピーを保有している。
そして、通信不能RFタグが第1記憶領域に有している分割情報のコピーを有している他のRFタグを特定する。他のRFタグの特定は、情報端末20が有している対応関係情報に基づいて行われる。
そして、コピーを有しているRFタグの第2記憶領域から、通信不能RFタグが第1記憶領域に有している分割情報のコピーを取得する。
情報端末20は、このコピーと、他の取得した分割情報(オリジナル又はコピー)とを組み合わせて、構造物情報を復元する。
図10に例においても、RFタグ12a−1〜12a−7のそれぞれの第1記憶領域には、当該RFタグ12が記憶を主に担うべきオリジナルの分割情報Do−0〜Do−7が記憶される。
図10の例では、分割情報のコピーは、二つ(複数)の細分割情報に分けられ、二つ(複数)のRFタグによって記憶される。
また、各RFタグの第2記憶領域も二つに分けられており、二つ(複数)の再分割情報を記憶することができる。
この結果、ID=0のRFタグ12a−1には、分割情報(0)Do−0のほか、コピーとして、細分割情報Dc−4−1と、細分割情報Dc−3−2とが記憶される。他のRFタグ12a−2〜12a−8についても同様である。
情報端末20は、このコピーと、他の取得した分割情報(オリジナル又はコピー)とを組み合わせて、構造物情報を復元する。
すなわち、図9の場合、ID=0,4のようにペアを構成するRFタグ12a−1,12a−5がともに破損すると分割情報(0)Do−0全体が復元できなくなる。
一方、図10の例の場合、ID=0のRFタグ12a−1とID=4のRFタグ12a−5の両方が破損しても、分割情報(0)Do−0のコピーの一部(細分割情報Dc−0−2)が、ID=5のRFタグ12a−6に保存されているため、情報端末装置20は、コピーの一部を取得でき、構造物情報の復元性が高くなる。
図11の例では、図9のように、同じブロックの他のRFタグにコピーの分割情報を記憶させるのではなく、他のブロックのRFタグにコピーに分割を記憶させる。
なお、図11では、2つのブロック11a,11b間で、互いにコピーを持ち合う場合を示したが、ブロックの数は、3以上であってもよい。
この場合、図11の例よりも、さらに情報の復元性が高くなる。
土木構造物10のRFタグに記憶させている情報を情報端末20によって読み取る際には、図1に示すような土木構造物10のモデル(3次元モデル)が情報端末20の画面に表示される。この3次元モデルは、ブロック11a〜11gに分割されて表示される。
情報端末20では、適宜の入力手段によって、表示されているブロック11a〜11gのいずれかを選択すると、選択されたブロックの構造物情報が表示される。これにより、各ブロックの過去の点検結果などを、土木構造物が設置されている現場で把握することができる。
情報端末20では、この情報端末20本体の外部にアンテナ部を有していてもよい。
このようにすることで、多数のRFタグを土木構造物に設けても、確実に、リーダの読み書きを行うことができる。
続いて、情報端末20は、RFタグの数に応じた数の管理情報も生成する。各管理情報には、タグID、構造物ID、部品IDが含まれる。また、管理情報を記憶する領域のうち、第1記憶領域には、オリジナルの分割情報が格納される。また、第2記憶領域には、他のRFタグが記憶すべき分割情報のコピーが格納される。
あるブロック内のすべてのRFタグについて管理情報の書き込み(更新)が行われると、点検結果を土木構造物に記憶させる作業は完了である。
10 土木構造物
11a ブロック
11b ブロック
11c ブロック
11d ブロック
11e ブロック
11f ブロック
11g ブロック
12 RFタグ
12a−1 RFタグ
12a−2 RFタグ
12a−3 RFタグ
12a−4 RFタグ
12a−5 RFタグ
12a−6 RFタグ
12a−7 RFタグ
12a−8 RFタグ
20 情報端末
30 サーバ
31 通信部
32 制御部
33 記憶部
34 入力部
40 表示部
51 記憶部
52 制御部
53 アンテナ部
61 記憶部
63 入力部
64 表示部
65 制御部
Claims (7)
- 土木構造物に関する構造物情報を記憶可能なRFタグが設けられた土木構造物であって、
前記構造物情報は、当該構造物情報を分割した複数の分割情報それぞれが、複数のRFタグに保持されることで、複数のRFタグによって分散的に記憶されているとともに、
各分割情報は、複数のRFタグによって重複して記憶されていることを特徴とする土木構造物。 - 前記RFタグは、当該RFタグが記憶を担うべき分割情報を記憶する第1記憶領域、及び、他のRFタグが記憶を担うべき分割情報のコピーを記憶する第2記憶領域を含むメモリを備えている請求項1記載の土木構造物。
- 前記土木構造物を構成する複数のブロック毎に、それぞれ、当該ブロックの構造物情報を記憶するための複数のRFタグが設けられている請求項1又は2記載の土木構造物。
- 土木構造物に関する構造物情報を記憶可能なRFタグが設けられた土木構造物を管理する管理システムであって、
前記RFタグに対する情報の送信が可能な情報端末を含み、
前記情報端末は、
前記土木構造物に関する構造物情報を分割して複数の分割情報を生成する分割手段と、
前記土木構造物に設けられた複数のRFタグの数に応じた数の管理情報を生成する管理情報生成手段と、
生成された管理情報を、前記RFタグに送信する送信手段と、
を備え、
前記管理情報生成手段は、
複数の分割情報それぞれが複数のRFタグに保持されるとともに、各分割情報が、複数のRFタグによって重複して記憶されるように、複数の分割情報を組み合わせた情報を含む前記管理情報を、前記土木構造物に設けられたRFタグの数に応じた数ほど生成する
ことを特徴とする管理システム。 - 請求項1に記載の土木構造物を管理する管理システムであって、
前記RFタグからの情報の受信が可能な情報端末を含み、
前記情報端末は、
土木構造物に設けられたRFタグに記憶されている分割情報を、RFタグから受信する受信手段と、
複数のRFタグから受信した複数の分割情報を組み合わせて前記構造物情報を復元する復元手段と、
を備え、
前記復元手段は、前記構造物情報の分割情報を保持する複数のRFタグの中に、分割情報を受信できない通信不能RFタグがあるときには、当該通信不能RFタグが記憶を担うべき分割情報と同じ分割情報を保持する別のRFタグから当該分割情報を取得して、前記構造物情報を復元する
ことを特徴とする管理システム。 - 前記RFタグは、当該RFタグが記憶を担うべき分割情報を記憶する第1記憶領域、及び、他のRFタグが記憶を担うべき分割情報のコピーを記憶する第2記憶領域を含むメモリを備え、
前記復元手段は、
複数のRFタグから受信した第1記憶領域の分割情報を組み合わせて前記構造物情報を復元するよう構成されているとともに、
前記構造物情報の分割情報を保持する複数のRFタグの中に、通信不能なRFタグがある場合には、当該通信不能なRFタグの第1記憶領域に記憶されている分割情報のコピーを第2記憶領域に記憶している別のRFタグから、当該分割情報のコピーを取得して、前記構造物情報を復元する
請求項5記載の管理システム。 - 土木構造物に設けられた各RFタグは、第2記憶領域に記憶されている分割情報が、どのRFタグの第1記憶領域の分割情報のコピーであるかを示す情報を記憶しておらず、前記情報端末が、各RFタグの第1記憶領域に記憶されている分割情報のコピーをどのRFタグが記憶しているかの対応関係情報を有しており、
前記復元手段は、通信不能なRFタグがある場合には、前記対応関係情報に基づいて、通信不能なRFタグの第1記憶領域に記憶されている分割情報のコピーを第2記憶領域に記憶している別のRFタグを特定する
請求項6記載の管理システム。
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