JP5337928B2 - 銀/水、銀ゲル、および銀ベースの組成物、並びにこれらの製造方法および使用方法 - Google Patents

銀/水、銀ゲル、および銀ベースの組成物、並びにこれらの製造方法および使用方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、一般的に、新規の銀/水混合物(時として水中に分散した銀ナノ粒子と呼ぶ)に関し、より特には、銀/水混合物の新規の組成物および/若しくは形態物、銀ヒドロゲル、現代の抗生物質と組み合わせた新規の銀組成物、および銀イオンに結合した種々の配位子、ある種の出発銀/水混合物に基づく銀ゲル、クレイおよび/若しくはゼオライト材料のようなある種のクラストレートに結合する若しくは含まれる銀イオンおよび/若しくは銀金属、並びにヒトおよび/若しくは動物または他の生体の健康(health)または健康推進(wellness)に有害である種々の菌(ある種のウイルスを含む)に対する薬としての上記組成物の製造および使用方法に関する。さらに、銀に加えて他の金属をも本明細書中に開示し、多くの場合において、銀と交換可能に用いることができる。本発明の組成物の種々の組み合わせおよび濃度を開示する。
従来技術の記載
銀のある種の調製物が、殺菌性を示すことがよく知られている。銀は、現代の抗生物質が開発される前は、殺菌剤として、および抗生物質として用いられていた。前世紀においては、水を飲むことにより銀を摂取する目的で、使用者はその飲料水中に銀粒子を削り落とす(shave)か、飲料水中に全部の銀ピースを浸していた。銀器具(すなわち、銀食器)を用いて食べる行為が、銀の健康に良い性質という確信に起因しているのではないかという可能性が考えられる。
溶液中に懸濁した銀を投与することが、個々の健康を増進し得ることの多くの理由が存在するであろう。このような溶液は細菌、ウイルス、または他の望ましくない菌の増殖を抑制するように働き、およびこのような存在する細菌、ウイルスおよび他の菌を根絶するということが考えられる。銀組成物は、例えば腫れ物、火傷合併症(burn complications)、およびある種の喘息症状を低減させるに十分な抗炎症性効果を有し得ることも考えられる。
本発明の第1の態様は、ある種のヒトの(または例えば、ある種の動物の)病気を治療するための、水中銀組成物の使用を記載する。本発明の1つの態様は、銀のナノ粒子(例えば、この大部分が直径10〜50ナノメートルである)を含む銀組成物を含み、これは、好ましい態様において、金属銀の内部と、外部コーティングまたは上記内部とは異なる部分(例えば、銀イオンのコーティング、1種以上の酸化銀コーティング、(例えば、異なる組成および/または異なる相等)を含み、この粒子は水(例えば精製水)中に懸濁している。さらに好ましい態様において、このような粒子の少なくとも90%が、直径10〜50ナノメートルである。本発明の好ましい態様は、銀の粒子(ある種の酸化銀でコーティングされた銀の粒子を含む)を含む銀組成物を含み、ここで、50%を超える数の粒子は、大きさが0.015マイクロメートル未満であり、この粒子は水中にコロイド状に懸濁している(すなわち、沈殿しない)。本発明の他の好ましい態様は同様の粒子を含み、ここで約95%の粒子は直径10〜40ナノメートルである。さらに好ましい態様において、約95%の粒子は、直径10〜30ナノメートルである。
発明の要約
本発明は一般的に、ヒトおよび/若しくは動物または他の生体に有害である望ましくない微生物(ある種のウイルスを含む)を殺すまたは無能にするための、水中で5〜40ppm(場合によっては5ppm未満)の濃度の銀の使用に関する。さらに、本発明は特には、銀ナノ粒子を含む組成物に関し、この粒子は好ましい態様において、例えば、元素銀の内部と、例えば1種以上の酸化銀(例えば、イオン性酸化銀、AgO、AgO、Ag等のような酸化銀)の外部コーティングまたは部分コーティングまたは層を含み、上記酸化物のコーティングは種々の相状態(例えば、AgOは単斜晶系および/または正方晶である)で水中にあり、ここで、銀粒子は、全体で5〜40ppmの濃度で、水中に懸濁状態(例えばコロイド懸濁状態)で存在する。本発明の1つの態様は、水中(好ましくは精製水、本明細書で後に論じる)に5〜40ppmの濃度で存在する銀ナノ粒子(本明細書中で以後、本明細書中に開示されている電気化学的技術により処理される際には、「銀粒子」という語または同種のものの使用は、元素銀だけでなく、その上に1種以上の組成物の部分的なコーティングまたは実質的に完全なコーティングを有し得る元素銀も指し、このようなコーティングは元素銀の少なくとも一部分の上に1種以上の酸化銀を含んでいるということを理解されたい)を含み、ここで、50%を超える銀粒子が0.015マイクロメートル未満の最大寸法を有する。好ましい態様において、粒子の大部分は直径10〜40nmである。より好ましい態様において、粒子の大部分は直径10〜30nmである。水中の銀の組成物(および本発明により製造される銀/水混合物から実質的に離散した粒子として分離される(extracted)銀粒子)、および本発明により製造され、本発明の技術によりその後ゲル、パウダー、クレイ、またはゼオライト(本明細書中で後に好ましい態様において論じられる)へと形成される銀/水混合物は、例えば非常に効果的な抗微生物(antimicrobial)薬であり、かつ抗ウイルス薬である(また場合により駆虫薬でもある)。本発明は、また、銀組成物に関し、これは水中で5〜40ppmのものであり、また本明細書中に開示される上記銀/水組成物を使用する方法によれば、以下のように、すなわち(1)生体の内部で、(2)生体の外部、および硬質または多孔性双方の種々の表面(例えば、調理台、調理用具表面、調理設備、病院の表面、医療機器、水道(金属および/またはプラスチック)、空気浄化デバイス等)の外部で(または内部で)、および(3)銀または銀水組成物を汚染水に混合して(例えば汚水処理、池の水、汚染水コンテナ、水道等であり、これらは好ましくは、上記混合の前に大きな固体は除去されている)、上記組成物を用いることにより抗微生物薬として非常に有効である。
本発明の1つの好ましい態様は、米国特許第6,214,299号(Patent’299)中に記載されているデバイスおよび/または方法の変形を用いて製造される水中の銀の組成物に関し、これを明確に本明細書の一部として本願に援用する。さらに、例えば銅(および銅合金)、亜鉛、白金およびチタン、並びにこれらの合金および混合物のような他の金属の組成物を、本発明の方法によれば、他の望ましい金属/組成物を生成するために用いることができ、これもまた、驚くべき効能を有する。
Patent’299のデバイスおよび方法を、本発明の銀組成物を提供するために改変し、改善しており、この方法を本明細書中で後により詳細に記載する。本質的に、Patent’299に開示されている8つの銀電極/1つの共通電極デバイスを改変し、より大きい(例えば75〜85ガロン)水チャンバに適合するように拡大した。75〜85ガロンのコンテナ中の銀/水組成物を製造するための方法を始めるにあたって、2ppm未満の全溶解固形分、より好ましくは1ppm未満の全溶解固形分を典型的に含む比較的高純度の水(例えばろ過水、逆浸透水、または大量の可能性のある汚染物質を含まない水)の約70〜75ガロンをチャンバ中に入れる。これに、好ましい態様において、先の生産工程において製造された銀/水組成物の約5ガロンを加える。この約5ガロンによる「呼び水」は有用ではあるが、必須ではない。この呼び水は本質的に、チャンバ中に存在する十分な数の導電性の銀粒子を提供し、従って電流が種々の電極間を流れることができ、この際に十分な電圧/電流を短時間で得ることができる。この「呼び水」は、また、わずかに小さめの初期「テイラーコーン」をもたらし、これは本明細書で後に議論する。水チャンバは空気流入口を備えており(典型的には水チャンバの底部付近に位置する)、これは空気の泡の流が水/銀液体中を、その製造の間流れることを可能にする。このアプローチは、一定の上昇した効率により証明される通り、Patent’299に記載されている翼型ミキサと比較して明らかに改善した混合をもたらすということを見いだした。
電極デバイスを、Patent’299に記載されるように、およそ、または約10000ボルト交流に近づく電圧(少なくとも初期は)で駆動する(各一組の銀電極はここの電圧供給を有する)。10000ボルトよりもわずかに高い電圧は、かなりの量のそこに溶解したかなりの量のイオン性の銀を含み得る溶液を製造する傾向がある。本組成物は、5〜40ppmで存在する97%を超える金属銀粒子を含み、銀/水溶液に存在する遊離のイオン性銀は本質的に皆無かそれに近い。
銀濃度は以下に説明する方法に従って決定する。基本的に、75ガロンの銀/水製造デバイスは実質的に連続して稼働し、デバイスからのサンプルを、水中の所望の銀のppm濃度に達するまで分析する。本明細書中に記載する稼働条件下では、10ppmの銀/水組成物では、約1日半の駆動を必要とし、22ppmの銀/水組成物では、約3日間の駆動を必要とし、そして32ppmの銀/水組成物では約6日間の駆動を必要とすることが見出された。銀/水組成物中の銀粒子の生成の速度は、より高濃度の銀粒子を求めるにつれ遅くなるように思われる。銀/水組成物中の銀の濃度が50ppm以上であることが所望される場合には、達成するために比較的長時間を要し、本明細書中に開示される処理パラメータの範囲内では、適切な時間の下で今日までのところ達成される最も高い濃度は約50ppmである。所望であれば、より高い銀粒子濃度も可能である。しかしながら、種々の病原体に対するより低い濃度の銀粒子の効能はかなり優れているため、より高い濃度の銀粒子は今のところ必要ではない。
銀/水組成物中の銀のナノ粒子は、より詳細に特性セクションにおいて以下に記載するが、極めて同様の全体の粒子サイズと形特性を有し、多くの従来の「コロイド銀」組成物とは異なり、これらの銀/水組成物は完全に無色であり、穏やかな光および温度変化に関しては本質的に安定であり、安定性を支援するいかなる添加剤(多くの従来技術のコロイド銀が必要とし、および/または利用する)の使用も必要としない。用いられる成分および工業用のプロセス工程は、銀/水組成物を製造し、これは銀/水組成物により高い効能を引き起こさせるという点で、「コロイド銀」として知られる他の製品とは異なる。本発明の新規の銀/水組成物のいくつかの顕著な物性の差(例えば粒子サイズ、組成、スペクトルパターン等)を、本明細著中で後により詳細に議論する。
本発明の銀/水組成物は、ここに加えられる多くの材料に対して本質的に不活性であり、これらの材料は、例えば、単独または組み合わせで、(1)過酸化水素、(2)EDTA2ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム)(これは、実際には、銀/水組成物の強化剤(enhancer)としての役割を果たし得る)(例えば、銀/水組成物により一層優れた効能を有させ得る)、(3)ヨード(例えば、ポビドンヨードであって、これは時としていくらかの穏やかな反応性を示し得る)であって、これは銀/水組成物が種々の病原体に対してより一層病原性(pathogenic)であることを支援し得る、および(4)種々の市販されている抗生物質(これは実際には、銀/水組成物と抗生物質との間に起こるある種の相乗効果をもたらすことができ、従って、新しく、非常に望ましい併用療法を実現する可能性をもたらす)である。従って、種々のさらなる材料または物質を、本発明の新規の銀/水組成物と組み合わせて(例えば加えるか、または供給する)、個々の材料が単独で示し得る望ましい効果と相乗的に用いることができる。特に、多くの場合(例えば抗生物質との組み合わせ)、結果として生じる複合効果は相乗的であり、組み合わせた場合に、各材料または物質単独の個々の相加効果を上回る(例えば、2+2=6)。当然ながら、考えられる添加剤のいくつかは、その生物学的生体(例えば、ヒトまたは動物)における体内毒性の可能性のために、新規組成物を局所処理または表面処理にのみ適するようにし得る。必要とされる添加剤の量は、個々の悩み(例えば、ウイルス、細菌、寄生生物等)または感染を含む様々な状況、添加剤に加えて存在する他の材料の量によって変化し得る。しかしながら、必要とされる添加剤の正確な量は、当業者にとってのルーチンな実験の範囲内であろう。さらに、銀/水混合物の濃度が必要とされる添加剤の量に影響を及ぼすことがあり、これも当業者のルーチンの実験の範囲内である。
望ましい添加剤の1つの例は過酸化水素である。過酸化水素は既知の殺菌剤である。過酸化水素が、本発明の銀/水組成物と相乗作用を有することが見いだされた。過酸化水素は、例えば30重量%(体積あたりの重量%、または重量パーセント)またはそれ以上の濃度で入手できる。より高い濃度を使用することもできるが、本発明の銀/水組成物とともに用いられる好ましい濃度は30%以下であり、より好ましくは約1〜5重量%の範囲である。
本発明の1つの好ましい態様は、5〜40ppmの銀粒子、1〜3重量%の過酸化水素を含み、残部が水(例えばろ過水または本質的に精製水)である組成物に関する。本発明の他の好ましい態様は、抗微生物薬としての、水中に10〜40ppmの銀、および1〜3重量%の過酸化水素を含む組成物の使用および使用方法である。
本発明の銀/水組成物とともに有利に働く添加剤の他の例は、「EDTAナトリウム」または「EDTA2ナトリウム」としても知られるエチレンジアミン四酢酸2ナトリウムであり、これは以下の化学式:(CHN(CHCOOH)CHCOONa)2HOを有し得る。本発明の他の好ましい態様において、少量(例えば、0.5〜10ppm、より好ましくは0.5〜5ppm、さらにより好ましくは約0.5ppm)のEDTA2ナトリウムを、本発明の銀/水組成物に加える、または供給する。この態様において、少量のEDTA2ナトリウムの添加が、銀/水組成物の効能を高める(例えば、殺菌性、消毒性質および/または抗微生物性を高める)ように思われる。いかなる特定の理論または解釈に拘束されることを望まないが、EDTA2ナトリウムは細胞膜の浸透性を高めることができ、これは本発明の銀/水組成物の全体的な有効性を高め得るという可能性がある。本発明の他の好ましい態様は、抗微生物薬、殺菌薬、抗ウイルス薬、および/または消毒薬としての、水中に10〜40ppmの銀および0.5〜10ppmのEDTA2ナトリウムを含む組成物の使用および使用方法である。
本発明の銀/水組成物とともに有利に働く添加剤の他の例はポビドンヨードである。ヨードは、広い範囲の病原体に対する処置のための医療におけるよく知られる予防薬である。ヨードは種々の濃度で市販されているが、一般的に用いられ、好ましいものは、濃度が10%である。本発明のこの好ましい態様において、相乗的な組み合わせは、10%のヨード溶液を銀/水組成物の約25〜50体積%での置き換えを含む。銀/水混合物とヨードとの間にいくらかの反応は起こり得るが、本明細書中で後に議論する実験結果から、銀/水とポビドンヨードとの相乗的な組み合わせは、局所消毒薬として(例えば軟膏)、および/または切り傷、火傷および/またはこすり傷等における感染に対する予防薬として作用し得る。本発明の他の好ましい態様は、抗微生物薬、殺菌薬、抗ウイルス薬および/または消毒薬としての、水中の10〜40ppmの銀とポビドンヨードを含む組成物の使用および使用方法である。
本発明の他の好ましい態様は、本発明の銀/水組成物を種々の市販の抗生物質と組み合わせて、併用療法として知られるアプローチで使用する。併用療法は非常に関心のあるものとなっており、なぜならこの20年間で、抗生物質に対する耐性が拡大し、従って、世界的に大きな懸念となっている。大腸菌、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、赤痢菌、シュードモナス(Pseudomonas)のようなグラム陰性細菌により引き起こされる感染はさらなる懸念の理由となっており、というのは、これらの菌は抗生物質に対する多剤耐性を得ているからである。病院感染を引き起こすグラム陰性の臨床分離株の耐性パターンを詳細に調査した最近の研究は、分離株の殆どがアンピシリン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール、コトリモキサゾール、並びに第一世代および第二世代のセファロスポリンのような一般的な抗生物質に対して耐性があることが明らかにした。また、これらの分離株の約70%はシプロフロキサシンに対して耐性があった。本発明のこの態様において、銀/水混合物(液体として混ぜ合わされるか、乾燥させて個体として加えられるか(それにより例えば、パウダーを生じ、場合により本明細書中では「Sildust」と呼ぶ)に関わらず)は、種々の抗生物質と組み合わされた場合に、単に添加剤の性質というよりも相乗作用を示した。チェッカーボードアッセイ(checkerboard assay)は、ある種の抗生物質は銀/水混合物と組み合わされた際に、銀単独よりも数倍さらに効果的である抗生物質をもたらすことが示された(例えば、アミカシンおよびセフォペラゾンと組み合わされた銀/水混合物は約0.1875のFICインデックスを示したが、これと比較して、用いた2つの抗生物質同士を組み合わせたものは、0.625のFICインデックスをもたらした。ここで、この双方の組み合わせは、例えば、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対して用いた場合であり、本明細書中で後により詳細に議論する。本発明の他の好ましい態様は、「併用療法」と呼ばれる処置における、並びに抗微生物薬および/または殺菌薬および/または抗ウイルス薬としての、10〜40ppmの銀および種々の抗生物質を含む組成物の使用および使用方法である。従来の抗生物質治療に加えられ得る本発明による銀/水混合物の正確な量(および濃度)はルーチン実験程度のことである。特に、具体的な抗生物質コース(antibiotic course)により処置される具体的な疾患(および病原体に対する抗生物質の有効性)が、必要とされる銀/水混合物の量および濃度を左右する。
銀/水溶液を単独で、または種々の添加剤と組み合わせて用いる多数の試験を以下に示すが、本明細書中では、ある種の賦形剤が種々の状況において銀/水溶液と共に得られる結果を有意に改善することができることが示された。特に、水性の銀/水組成物を、半固体のヒドロゲルとして配合すること(場合により、本明細書中で後に「Silgel」と呼び、または他の場合には「Silderm」と呼ぶ)、またはこのような材料のシートは、ある種の用途にはその有効性を有意に高めることが見いだされた。ヒドロゲルとは、水溶液にある種の親水性有機ポリマーを加えることにより生成する典型的な親水性ゲルであり、この場合に、溶液は本発明の銀/水溶液を含む。しかしながら、他の「コロイド銀」溶液を本明細書中の教示に従ってヒドロゲルにすることができ、このようなヒドロゲルは本発明のものほど有効ではないであろうが、いずれにせよこのようなヒドロゲルもある種の望ましい効用を有するであろう。従って、本発明にはこれらのヒドロゲルのある種の側面もまた対象とすることを意図する。予測され得ることであるが、ヒドロゲルは、例えば皮膚表面領域上の創傷のような表面領域上での銀の保持力を改善する。創部のケアには、ヒドロゲルまたはシート材料はまた、創部の周囲の組織の保護、および乾燥の防止という大きな利点を有し、これは創傷治癒をしばしば高めるファクタである。最も注目に値すべきなのは、ヒドロゲルは、仮に多少はあるとしても、本質的には本発明の銀ナノ粒子の抗菌性質に干渉しないようである。さらに、これらのヒドロゲルは、優れた手または肌のクレンザとして、および皮膚保護薬として機能し(例えば、手の上にヒドロゲルを置き、手を病原体と接触させると、皮膚保護ゲルは、例えば切り傷または擦り傷による感染の防止に関与し、これにより予防薬として機能する)、従って、このゲルを医療分野または健康分野に対して非常に役立つものとする。
特に、清潔な手は、医療環境において危険な細菌および抗生物質に対する耐性の広がりを防止する唯一の重要なファクタであると考えられる。今日の医学において用いられる最も衛生的な手の洗浄はアルコールベースのものであり、いくつかの限界を有する。これらの限界のうちの主要なものは、アルコールベースの製品に繰り返し晒すことにより引き起こされる肌に対するダメージである。場合によっては、(1)刺激性接触皮膚炎および(2)アレルギー性接触皮膚炎も報告されている。このことは、手の衛生製品の利用において多くの医療作業者が規則に従うことを阻んでいる。
有効な手の衛生方法の不服従を引き起こす他のファクタは、液体である手の衛生製品は、典型的に、洗面台または流し台上に取り外せないように固定されているという事実である。このことは、医療従事者が患者のベッドサイドから洗面台へと異動し、また続いて患者の元に戻らなければならないという結果をもたらす。手の洗浄が「塗り付ける」ことで得られるならば、この問題を除去することができ、従って、よりよく規則に従うことを確実にするであろう。本発明のヒドロゲル製品は、本明細書中でより詳細に記載するように長時間に渡って有意な量で指標細菌の細菌数を低減することが示されており、従って、実行可能な他の手の衛生製品をもたらす。従って、本発明のヒドロゲル製品は「皮膚保護薬」としての卓越した実用性が示され、予防的な方法で種々の発病材料から通常の健康な皮膚を保護する。
本発明の他の好ましい態様において、銀ベースの製品は少なくとも部分的に、または場合によりほぼ完全に、本発明の銀/水組成物により置き換えられる。特に、銀EDTA(またはAgEDTA)は単独で、非常に興味深い抗微生物性質を有することが見いだされている。特に上で述べたように、EDTA2ナトリウムは本発明の銀/水組成物への有用な添加物である。しかしながら、EDTA(エデト酸)は優れた合成キレート剤である。EDTA(C10−H16−N2−O8)はヒトの食物における使用が許可されており、しばしば、防腐剤としてソフトドリンクに加えられている。EDTAは、ヒトの重金属キレート治療において用いられてもいる。しかしながら、抗微生物薬としてのAgEDTAの使用は検討されていない(例えば、単独で、または本明細書中で開示されるもののような組み合わせで)。食肉生産またはタンパク質生産、および加工産業、せっけん産業、洗浄剤産業(例えばパーソナルケア製品および家庭用ケア製品)、農業(agricultural or farming)作物産業、および医療産業のような大量市場用途は、多くの強力な健康(health)または健康推進(wellness)上の利益(例えば、治療上のおよび予防上双方の)を提供し得るパウダー形態の安定な銀に適している。特に、AgEDTAは容易に入手でき、比較的製造、貯蔵および輸送が容易である。本発明のこの態様はAgEDTAの新たな用途を認めるものであり、すなわち、ヒト、植物および/若しくは動物の健康(health)または健康推進(wellness)のための、並びに/または動物およびヒトのある種の疾患の治療(例えば、治療上の処置としておよび/または予防薬として用いることができる)のためのパウダーのAgEDTAを用いることである。Akzo−Nobel社が現在、条件に合うAgEDTAを製造している。例えば、銀EDDS、クルクミン酸銀(silver curcuminate)、銀ベルベリン(silver berberine)、および銀テトラサイクリン(silver tetracycline)のような他の銀キレート剤または銀錯化剤も抗微生物性質を示し、ヒトおよび動物の健康(health)または健康推進(wellness)のためのこれらの材料の使用は新規であり、従来技術において認識されていないものである。種々の他の有機構造を、生物学的構造内または上の種々の有効な位置に銀および/または銀イオンを運ぶおよび/または送るのに利用することができる。ここでも、必要とされるAgEDTAの量は、必要性を取り巻く具体的な生物学的な問題によって変化し得る(例えば治療の必要性および/または予防)。
本発明の他の好ましい態様において、さらなる銀ベースの無機生成物を少なくとも部分的に、または場合により本質的に完全に、本発明の銀/水組成物と置き換えることができる。特に、銀(例えば銀イオン、銀金属、Ag)を、例えばクレイ層上若しくは間に、並びに/またはゼオライト中のケージ内に制御可能に付着させるまたは固着させることができる。このような固着は、例えばシリケート層の電荷、ゼオライトケージの電荷、および層間の距離またはゼオライトケージの大きさを制御することにより生じ得る。その際、具体的な健康(health)または健康推進(wellness)上の用途、および銀と生物(the biological)(例えば生物の表面上、または内部、または複数の内部の組み合わせ等)との間の相互作用点次第で、銀をしっかりとまたは比較的ゆるく付着させるまたは結合させることができる。適宜に、得られる生成物は完全に流体であって飲用に適するまたは噴霧に適する生成物を含み、またゲル状またはペースト状であってゲルまたはペーストのように表面上に広がり得る生成物も含む。
本明細書中に記載するいずれもの金属を、酸素の1つ以上の原子層のまたは酸素含有分子の結晶またはアモルファス状クラストレート内に保持することができる。ある種の金属/クラストレート構造は予期せぬ効能を有することが示されている。さらに、酸化物層(例えばクレイ)、およびネットワーク(例えばゼオライト)に取り込まれる銀に加えて、ケイ酸塩、リン酸塩および酸化物、例えばハイドロタルサイト(hydrotalcyte)のようなものを用いることもできる。なおさらに、本発明と共に用いることができる(また異なる表面電荷および/または異なる層間距離を有し得る)望ましいクレイまたはマイカの群には、例えば、イライト、モンモリロナイト、クロライト、および蛭石を含む。
クレイまたはマイカおよびゼオライトは、いくつかの理由のために金属イオンキャリアとして非常に望ましく、この理由には、多くのものが天然に存在するかまたは容易に生成され、粒子を望ましいコロイドサイズ範囲に維持することができ、これはこれらを例えば液体(例えば水)中に懸濁可能にし、また典型的に非常に生物学的に友好(friendly)であること(例えば殆ど副作用がないか、全く副作用がない)を含む。この点で、ひとたび銀を例えばクレイまたはゼオライトクラストレート内に配置したら、銀をクラストレートにまたは内部に固着するために、その後中程度の温度(例えば100〜200℃)にまで加熱する。これらの材料の全てを、非常に流動的なものから非常に粘性なものにまで幅広い粘度で作製することができる。
一般的に、いずれもの所定の原子価状態におけるカチオンのような元素における原子準位は、元素カチオンに種々のアニオンが配位した際に変化し得る。特に、結合がより共有結合性であるほど、エネルギ準位はより変化し得る。銀の電子構造における小さい変化から中程度の変化が、銀が異なる数の酸化物イオンにより囲まれる(配位される)際に起こり得るという可能性が非常に高い。銀カチオンのようなカチオンについての電子構造のこの変化が、いずれもの種々の酸化銀構造において起こるはずである。なおさらに、銀は酸素クラストレートまたはケージ中に配置され得るというより一般的な様式が存在する。この点において、例えば構造中のナトリウムカチオンを銀カチオンで交換し、その後ナトリウムイオンは交換可能なキャビティまたはスペース(例えばクレイの層上若しくは間、またはゼオライトのネットワーク内のいずれか)に配置されるということが起こり得る。一般的に、ある材料がカチオンを交換する能力は、その「CEC」または「カチオン交換容量」として知られる。CECの単位は典型的に、「meq/100グラム」または100グラム当たりのミリグラム当量と呼ばれる。一般的に、CEC数が高いほど、材料がカチオン(例えば銀カチオン)を受け入れなければならない能力は大きい。従って、多くの酸素が配位した銀化合物は銀(または他の金属)のキャリアとしての役割を果たすことができ、従って、それ自体が、または他の治療薬と組み合わせて、治療薬として機能することができる。
なおさらに、拡散させ、乾燥させることによりシリカゲル中に取り込まれる銀金属または銀イオンは、本発明の金属を送達するための望ましいメカニズムでもある。
上記した粒子の本発明の組み合わせの他の好ましい態様において、有機構造および/または無機構造をヒトおよび動物の健康または健康推進にプラスの影響を与えるために用いることができる。特に、本発明による金属粒子は上記したように単独で用いることができる。さらに、金属粒子を例えば上記した有機化合物と組み合わせることもできる(例えばAgEDTA)。なおさらに、本発明による金属イオンはいずれもの無機化合物(例えばクレイまたはゼオライト)と組み合わせることができる。またさらに、本発明の金属イオンを有機分子(例えばAgEDTA)および無機分子(例えばクレイまたはゼオライト)の双方と組み合わせることができる。銀金属と銀イオン送達システムのこの組み合わせは、例えばいずれもの上記した銀送達システムの内部消費が、銀が例えば生体の異なる部位に送達されることをもたらし得るように構成される。特に、例えばヒトにおいて、ある種の銀は口から消化管(gut)を通って、また大腸および/または小腸等を通って吸収され得る。さらに、例えば水(および本明細書中に開示される種々のゲル状化合物)に対するクレイまたはゼオライトの量によって、本発明の得られる生成物は非常に液状(低い粘度)から非常に粘性(高い粘度)であり得る。この点において、水(およびゲル化剤)に対してクレイまたはゼオライトがより多く提供されるほど、最終生成物もより粘性になる。
発明の詳細な説明
以下の記載を、当業者が本発明を作製し使用することを可能にし、発明を行う発明者により検討されたベストモードを説明するために提供する。しかしながら種々の改変が当業者には依然として直ちに明らかであろう。というのは、本発明の原則は、改善された銀/水組成物(場合により、本明細書中においては水中に分散された銀ナノ粒子と呼ぶ)を提供することを本明細書中では特に定義しており、これは、単独で、または他の開示された材料と組み合わせて(例えば混合するか、それと共に本質的に接触させて供給する)用いられてもよく、またこれは種々のヒドロゲルまたはペースト組成物を生成してもよく、これらの全ては生体内および生体外の双方でヒトおよび/または動物の病原体を殺す優れた能力を示す。
一般的には、本発明はヒトおよび/または動物に対して有害である微生物を、5〜40ppmの銀の濃度での水中の銀ナノ粒子、または例えばAgEDTAおよび/若しくは本明細書中に記載する他の化合物中に含まれる活性な銀粒子を使用することにより殺すまたは無能にするための新規のアプローチを示す。用途および/または存在する添加剤に応じて、本発明の銀/水組成物を内服的にまたは外部から用いることができる。用途に応じて、本発明の銀/水組成物は種々の望ましい添加剤を含むことができ、これらの多くは本明細書中に具体的に挙げられていないが、当業者には有用性を有すると明白になるであろう。
好ましい態様
限定されない好ましい態様を以下に示す。
組成物は水中にコロイド状に懸濁した銀ナノ粒子を含み、ここで銀の総量は5〜40ppmであり、これはヒトおよび/または動物に有害である微生物を殺すまたは無能にする。
組成物は水中にコロイド状に懸濁した銀ナノ粒子を含み、ここで銀の総量は約10±2ppmであり、これはヒトおよび/または動物に有害である微生物を殺すまたは無能にする。
組成物は水中にコロイド状に懸濁した銀ナノ粒子を含み、ここで銀の総量は約22±2ppmであり、これはヒトおよび/または動物に有害である微生物を殺すまたは無能にする。
組成物は水中にコロイド状に懸濁した銀ナノ粒子を含み、ここで銀の総量は約32±3ppmであり、これはヒトおよび/または動物に有害である微生物を殺すまたは無能にする。
ヒドロゲル組成物が水中にコロイド状に懸濁した銀ナノ粒子を含む銀/水組成物である前駆体から作製され、ここで前駆体材料中の銀の総量は好ましくは約32±3ppm(しかしそれ以上または以下でもよい)であり、このヒドロゲル組成物は人体に有害である微生物を殺すかまたは無能にし、また例えば、皮膚洗浄薬、創傷治癒薬、および/または皮膚保護薬若しくは皮膚消毒薬として機能する。
銀/水組成物中の銀ナノ粒子の総量を特定することが材料を完全に特定するものでないことを理解すべきである。組成物に含まれるナノ粒子をより小さく作製すれば、所定の濃度の銀は多数の粒子を示し得る。さらに、所定の銀濃度についての総表面積も増加し得る。従って、粒径および粒径の範囲は、効果的な本発明の銀/水組成物を定義する重要なパラメータである。さらに、上記銀粒子の酸化物コーティングのようなコーティング(例えば部分的なまたは実質的に完全な)も、本発明の銀/水組成物の有効性に影響を与えることがあり、このようなコーティングは本発明の処理条件に本質的に由来する。しかしながら、他の処理により得られる銀粒子の同様のコーティング(および亜鉛、銅、銅合金、チタン、白金、およびこれらの合金または混合物のような銀以外の金属)も、本発明の範囲内であることが意図される。従って、銀が本明細書中では言及されるときはいつでも、具体的な生物学的状態(例えば含まれる具体的な病原体)によって、本明細書中に記載される種々の他の代替金属の使用も見込まれる有効性を示すものとみなすべきである。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の組成物であり、ここで50%を超える銀ナノ粒子が0.015マイクロメートル未満の最大寸法を有する。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の組成物であり、ここで75%を超える銀ナノ粒子が0.015マイクロメートル未満の最大寸法を有する。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の組成物であり、ここで90%を超える銀ナノ粒子が0.02マイクロメートル未満の最大寸法を有する。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の組成物であり、ここで75%を超える銀ナノ粒子が0.005マイクロメートルを超える最小寸法を有する。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の組成物であり、ここで90%を超える銀ナノ粒子が0.005マイクロメートルよりも大きく0.040マイクロメートル未満の最小寸法を有する。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の組成物であり、ここで銀ナノ粒子はそのコア部または中心部に0価、すなわち金属性の、酸化状態(Ag(0))の銀と、Ag(I)、Ag(II)およびAg(III)から成る群から選択されるイオン性の酸化状態にある少なくとも1種の銀のコーティングとの双方を含み、AgO、AgO、および/またはAgのコーティングは、金属銀のコアの少なくとも一部(または本質的に全体)におそらく存在している。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の組成物であり、ここで銀粒子は0価、すなわち金属性の、酸化状態(Ag(0))の銀と、化学量論のAgOまたはAgOまたは他の既知の化学量論での銀酸化物のコーティングとの双方を含み、これはAgO本発明の新規銀/水組成物を作製するために用いられるプロセス条件下で安定である。
さらなる実験結果は、本発明の粒子の少なくとも一部上に本質的に生じる酸化銀コーティングは、少なくとも部分的に例えばAg、すなわち酸化銀IIの形態であるということを示す。この材料の分子において、2つの銀原子は1状態(銀I)にあり得る一方で、他の2つの銀分子(silver molecule)は3状態(銀III)にあり得る。さらに、ある条件下では、銀は2(銀II)状態で存在し得、例えばAgOの少なくとも部分的なコーティングをもたらす。これらのコーティングは本発明の処理条件(例えば電極/水接触面においておよび周囲で生まれる条件)に本質的に起因し、本発明の銀/水組成物の全体的な有効性において非常に重要であり得る。コーティングの正確な組成は今日までのところ決定することは困難であり、実験の詳細を、本明細書の後の特性決定セクションに与える。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の銀/水の態様と過酸化水素との組み合わせであり、最終生成物中の過酸化水素は1〜3重量%の濃度である。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の銀/水の態様とEDTA2ナトリウムとの組み合わせであり、最終生成物中のEDTA2ナトリウムは0.5〜10ppmである。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の銀/水の態様と、最終生成物中の銀/水混合物のうちの約25〜50%の、10%のポビドンヨードの約50〜75体積%の置換との組み合わせである。
さらなるクラスの態様はいずれもの上記の銀/水の態様と種々の市販の抗生物質(液体形態でもパウダー形態でも)との組み合わせであり、相乗的に有効な併用療法をもたらす。
さらなるクラスの態様は、(1)内服的に、(2)外部的に、または(3)内服的および外部的の双方での、ヒトまたは動物の病原体に対する全ての上記の組成物を用いる方法である。
さらなるクラスの態様は、ヒトおよび動物の健康または健康推進のためのAgEDTAの使用を含む。
さらなるクラスの態様は、銀EDDS、クルクミミン酸銀(silver curcuminate)、銀ベルベリン、および銀テトラサイクリンのような他の銀試薬の使用を含む。
さらなるクラスの態様は、本明細書中に開示されている調製方法および処理の応用方法の双方において、銀と交換できるような、亜鉛、銅、銅合金、チタン、白金およびこれらの合金または混合物のような他の金属の使用を含む。簡潔にするために、銀について本明細書中では主に言及するが、本明細書中に開示される他の金属も等しく有益であることを理解されたい。
本発明の他の好ましい態様において、さらなる銀ベースの無機生成物で、本発明の銀/水組成物を少なくとも部分的に、または場合によっては本質的に完全に置換することができる。特に、銀(例えば銀イオン、Ag、銀金属)は、例えばクレイ層間および/またはゼオライト中のケージ内に制御可能に付着され、または固着され得る。このような固着は、例えばシリケート層の電荷、ゼオライトケージの電荷、および層間の距離若しくはゼオライトの大きさを制御することにより起こり得る。この点において、具体的な健康または健康推進用途、および銀と生物(生物の表面上、または内部、または複数の内部の組み合わせ等)との間の相互作用点次第で、銀はしっかりと、または比較的緩く付着しまたは結合され得る。従って、生じる生成物は、完全に流体であって飲用または噴霧に適する生成物、およびゲル状またはペースト状であってゲルまたはペーストのように表面上に広げられる生成物を含み得る。本明細書中に記載されるいずれもの金属を、酸素の1つ以上の原子層のまたは酸素含有分子の結晶または非晶質クラスレート内に保持することができる。ある種の金属/クラスレート構造は予期せぬ有効性を有することが見出された。さらに、酸化層(例えばクレイ)の構造およびネットワーク(例えばゼオライト)中にまたはその上に取り込まれる銀に加えて、ケイ酸塩、リン酸塩および酸化物、例えばハイドロタルサイト(hydrotalcyte)のようなものを用いることもできる。なおさらに、本発明と共に用いることができる(また異なる表面電荷および/または異なる層間距離を有し得る)望ましいクレイまたはマイカの群には、例えば、イライト、モンモリロナイト、クロライト、および蛭石を含む。
クレイまたはマイカおよびゼオライトは、いくつかの理由のために金属イオンキャリアとして非常に望ましく、この理由には、多くのものが天然に存在するかまたは容易に生成され、粒子を望ましいコロイドサイズ範囲に維持することができ、これはこれらを例えば液体(例えば水)中に懸濁可能にし、また典型的に非常に生物学的に友好(friendly)であること(例えば殆ど副作用がないか、全く副作用がない)を含む。この点で、ひとたび銀を例えばクレイまたはゼオライト内または上に配置したら、銀をクラストレートにまたは内部に固着するために、その後中程度の温度(例えば100〜200℃)にまで分子を加熱する。これらの材料の全てを、非常に流動的なものから非常に粘性なものにまで幅広い粘度で作製することができる。
なおさらに、拡散させ、乾燥させることによりシリカゲル中に取り込まれる銀金属または銀イオンは、本発明の金属イオンを送達するための望ましいメカニズムでもある。
上記の粒子の本発明の組み合わせの他の好ましい態様において、有機構造および/または無機構造をヒトおよび動物の健康または健康推進にプラスの影響を与えるために用いることができる。特に、本発明による金属粒子は上記したように単独で用いることができる。さらに、金属粒子を例えば上記した有機化合物と組み合わせることもできる(例えばAgEDTA)。なおさらに、本発明による金属イオンはいずれもの無機化合物(例えばクレイまたはゼオライト)と組み合わせることができる。またさらに、本発明の金属イオンを有機分子(例えばAgEDTA)および無機分子(例えばクレイまたはゼオライト)の双方と組み合わせることができる。銀金属と銀イオンの送達システムのこの組み合わせは、例えばいずれもの上記した銀送達システムの内部消費は、銀が例えば生体の異なる部位に送達されることをもたらし得る。特に、例えばヒトにおいて、ある種の銀は口から消化管を通って、また大腸および/または小腸等を通って吸収され得る。さらに、例えば水(および本明細書中に開示される種々のゲル状化合物)に対するクレイまたはゼオライトの量によって、得られる生成物は非常に液状(低い粘度)から非常に粘性(高い粘度)であり得る。この点において、水(およびゲル化剤)に対してクレイまたはゼオライトがより多く提供されるほど、最終生成物もより粘性になる。

組成物の調製
銀/水の組成物を、米国特許第6,214,299号に記載されている方法に従って作製することができ、この特許の内容を本明細書の一部として本願に具体的に引用する。
本発明による銀を含む組成物を製造するための好ましい方法は、電極を含む電気化学セルを用い、以下、
(a)少なくとも2つの銀電極をある量の高純度水と接触させて配置する工程、
(b)銀電極を通じて電流を伝達し、それにより水中に懸濁する銀粒子の生成を引き起こすのに十分な方法で上記銀電極から銀の粒子を分離する工程、
(c)上記した懸濁した銀粒子の生成の間水を撹拌し、それにより銀粒子を上記水中により均一な濃度で分散させ、従って多量の、本質的に均一な分布の懸濁した銀粒子をバッチにつき生成することができる工程
を含む。
銀/水組成物を含む組成物を製造するための他の好ましい態様は電気化学セルを用い、以下、
(a)電流源、上記の電流源に電気的に接続された第1の導体、および上記の電流源に電気的に接続された第2の導体を含む電気回路を設置し、ここで上記の第1の導体は上記第2の導体から間隙を介して配置され、また導体のうちの少なくとも1つは元素銀、またはその代わりに亜鉛、銅、銅合金、チタン、白金、およびこれらの合金若しくは混合物から作製されている工程、
(b)流体抵抗(fluid resistor)と連通させて第1の導体および第2の導体を配置することにより回路を閉じる工程、
(c)電流源を作動させて第1の導体および第2の導体に同時に交流を供給し、従って電圧は第1および第2の導体内で交互に直列状態で(in alternating tandem)上昇して低下し、それにより銀(または他の金属)粒子が第1の電極から分離して流体抵抗に入ることを引き起こし、上記の流体抵抗内に懸濁状態で配置されるようになる工程、および
(d)銀粒子の段階的な分離に起因する電極の長さの減少を補うように、流体抵抗に向かって移動させることにより電極を選択的に調整し、それにより電極と上記の流体抵抗との間に生じるアーク放電を防止して、電極の先端における望ましい電流密度を維持する工程
を含む。
銀/水組成物を製造する各々の水チャンバまたはタンクは、30ミリアンペアにおいて120VのVAC入力と10,500VAC最大出力の定格の8つの変圧器(本発明で用いる条件に合う変圧器は、Franceformer の、48765番パーツである)から成る電源を有する。各変圧器は、好ましくは、変圧器の入力リード線と交差して同時に配線された45マイクロファラッドのキャパシタ(Aerovox のM24P3745MP2パーツのようなもの)を備えていた。
変圧器とキャパシタの組み合わせは場合により有益であり、また他の場合には非常に望ましい。特に、変圧器は交流電力の正弦波電圧および正弦波電流が相互に位相をもたらすように支援する。電圧と電流の相互の位相に対する度合いが、力率として知られる。力率が1.0により近くなるほど、ボルトとアンペアの間で位相がより整合し、より大きな電力が電極に供給される(例えば電力は、典型的にボルトにアンペアを掛けることにより決定される)。
各タンクには、例えば適切なポリマーから作製される透明なカバーが取り付けられており、8つの電極セットを受け入れるように構成されている。各電極セットは、例えば18ゲージ(gauge)銀ワイヤ(.9999純度)から作製される2つの消耗電極に挟まれた、例えば18ゲージ銀板から作製されている1つの固定された電極から成る。電極は好ましくは、望ましい電圧と出力密度の組み合わせを得るために、真ん中で半分に曲げられており、端部が二重らせんに互いにねじられている。
各タンクは生成物で満たされる際に、電極は、固定電極が水と十分に接触する(例えば、少なくともプレートの1/3〜1/2が水に浸る)ように調節され、消耗電極は水表面上にある。電源にエネルギを与えると、水は上昇し、各消耗電極の周囲に円錐状の構造を形成する。円錐状の構造は文献では「テイラーコーン」をして知られる。初期は水は非常に純粋であり、従って高い電気抵抗を有する。従って、例えば一定の電流、10,000ボルト変圧器を用いる場合に、電極に印加される電圧は初期は非常に高く、例えば約6500〜8500ボルトであり、消耗電極は水表面から5〜10mm上にあり得、それにより消耗電極において所望の電圧と所望の電流密度が得られる。このことは、電極の高い伝導性に対する水の低い伝導性に起因する比較的大きなテイラーコーンをもたらす(例えば、大きな場が生み出される)。空気−水−銀電極界面において銀粒子が消耗電極から取り除かれて銀ナノ粒子が生成する。水が一層銀粒子を取り込むと、水/銀混合物の電気抵抗は低下する。一定の電流または電流制限された取り決めにおいて、印加される電圧は時間の関数として低下または減少し得る(例えば図31を参照されたい)。従って、消耗電極は、典型的に、低下して水の表面近く、例えば場合により表面からたった1〜2mm上になる。簡単に言えば、その際テイラーコーンは、電極と水との間の伝導性におけるより小さい差のためにかなり小さくなる(例えばより小さい場が存在する)。一般的に、消耗電極および/または水の高さを、初期の配置を維持するように製造工程中適切に調節する必要がある。たとえテイラーコーンがこの工程中に小さくなっても(つまり例えば、金属粒子が溶液中に入り込むことを示す)、小さなテイラーコーンが処理の最後までなお存在し得る。各タンク中の水は、均質性を保つために、全工程の間中空気撹拌される。
銀/水溶液中の望ましいまたは狙い通りの銀のppmに達したら、所望されるか必要な場合には、生成物を1ミクロンフィルタを通して、いくつかの非常に大きな、例えば2,300〜6,500ガロン収容能力を有するタンクのうちの1つに注ぎいれ、出荷のために瓶詰めする前に分析する。分析は熱および硝酸を用いる消化法(digestion process)により行い、分析は、Perkin-Elmer Analyst 300 Atomic Absorption Spectrophotometer を用いて行う。その後生成した銀/水組成物を他の成分と組み合せてヒドロゲル、シート材料を作製することができ、またはそのまま瓶詰めすることもでき、または本明細書の他の場所に記載されるように、他の添加剤と組合わす(例えば液体として、または乾燥させパウダーとして加えられる)こともできる。
図31を再び参照すると、本発明の銀/水組成物を生成するための連続稼動に対応する時間の関数としてのリアルタイムの電圧低下と銀濃度データが示されている。明らかに、連続稼動が進むと、電圧が低下するにつれて銀濃度は上昇する。各消耗電極におけるテイラーコーンの大きさの対応する減少も注目される。このグラフにおける銀濃度データは、サンプリングおよび混合の問題(例えば、銀/水混合物は、いずれものサンプリングの瞬間において完全には均質ではない可能性がある)のために、定量的ではなく、代表するものであると解釈すべきである。
図32を参照すると、この同じ連続稼動についての銀濃度の2つのプロットと、いくつかのさらなる濃度データポイントが示されている。四角の印を有する灰色のラインは、タンクのほぼ中程度の深さで、タンクの中央と壁との間の中間からピペットにより取られた60mlのサンプルに基づく(原子吸光分光分析により測定される)瞬間的な銀濃度を示す。ひし形の印を有する黒いラインは、上記の60mlアリコートの液体の電気抵抗を測定する予め調整されたデバイスにより大まかに概算された瞬間的な銀濃度を示す。未加工の抵抗率データに関して、水は初期(すなわち時間=0)は約175キロオームセンチメートルの電気抵抗を有していた。これに対し、連続稼動の31時間目において、水/銀混合物は約62.7キロオームセンチメートルの抵抗を有していた。
32時間のマークにおける濃度/抵抗データのすぐ下は、「四角」である単一のデータポイントである。このデータポイントは、高電圧を停止する一方、バブラ/ミキサを混合物を均質にするためにさらに20時間稼動させ続けた後の原子吸光分光分析により決定された銀濃度を示す。
図32から導かれ得る1つの結論は、銀は初期は、連続稼動の過程中に稼動しているバブラ/ミキサが存在するにも関らず、銀が生成しているために、タンク中で均質には分布していないであろう。むしろ、浴中への銀の添加の終了後であって、バブラ/ミキサが「キャッチアップ」することができ、水中の至るところに銀を均質に分布させる前にある程度の時間のずれが存在し得る。
図33は、銀/水製造の連続稼動の過程中の時間の関数としての瞬間的な電圧および銀濃度の他のグラフである。このグラフはさらに、電源変圧器の瞬間的な「力率」を示す。つまり、力率は約0.8で出発して、6時間目付近で約0.97の最大値まで上昇し、約30時間後には約0.6の最低値まで低下した。さらに、電圧/時間データはy=−2.1333Ln(x)+8.7057の式に数学的に適合し、式中yは電圧に相当し、およびxは時間に相当する。水中の銀のppmは「四角」により示され、約1ppm周囲から始まり、約30時間後に約(例えば、水はろ過後に完全に純粋ではないために)11ppmの最大値に到達する。
物理的特性決定
本発明の銀組成物中の銀含有量の分析を、(アセチレン)フレーム原子吸光分析(FAAS)、誘導結合プラズマ(ICP)、原子発光分析(AES)、または当業者に適切な濃度範囲における銀に対して感度のよいことが知られる他の技術により行うことができる。銀組成物の粒子が小さく、均一な大きさ(例えば、0.01マイクロメートル以下)である場合に、合理的に正確なアッセイが、原子吸光またはICP/AESにより直接的にコロイドを処理することにより得られ得る。これは、原子吸光分析法のための試料調製は全ての銀を基本的にイオン化し、その即時の検出を可能にする。
組成物が0.2マイクロメートル程度の大きさの粒子を含む場合には、消化法(digestion procedure)を用いることが好ましい。消化法は、微粉化した銀と反応し得るハライドまたは他のアニオン種と接触して製造または貯蔵され得る、またはタンパク若しくは他のゲル状材料と組み合わされ得る銀組成物には必ずしも理想的でない。消化法の態様は以下の通りである。
1.分析するために、10mlアリコートの十分に混合または撹拌された銀組成物を取り出し、ぴったりと閉まる蓋を有する、清潔なポリカーボネートのボトルまたは適切な材料の他のコンテナ(一般的にボトル)内に入れる。30〜100mlのサイズが好ましい。
2.マイクロピペットまたはスポイトで、ボトル中の銀組成物に、0.1mlの試薬等級の硝酸を加える。
3.ボトルの蓋を適切にしっかりと閉じ、銀組成物を、銀が溶解する(溶解は本質的には瞬時である)のに十分な時間の間緩やかに撹拌しながら、少なくとも約80℃、好ましく約90℃〜100℃にまで加熱する。
4.生じた混合物を、蓋を閉めたまま室温にまで冷却させる。ボトルを十分に振る。消化法は、銀粒子上に存在し得るいずれも酸化銀表面層をも溶解する。
5.原子吸光分析法、ICP/AES、または銀混合物の銀含有量を分析するための
同等の手段を用いる。好ましくは、新しく調製された標準、好ましくは製造者の取り扱い説明書に従って調製された試料を、必要ならば適切に希釈して用いることができる。
6.結果を報告する際に、硝酸の添加による1%希釈を含む調製中のあらゆる希釈を考慮しなければならない。
図31、32、33等におけるデータに対応する本発明の銀/水組成物の銀濃度は、Perkin Elmer AAnalyst 300 atomic absorption (AA) spectrometer を用いて測定した。本発明の銀/水組成物のサンプルを、上記した方法により消化した。
原理
Perkin Elmer AAnalyst 300 システムは、Universal GemTip の噴霧器を有する高性能バーナーシステムと、原子吸光分析装置から成る。バーナーシステムは、原子吸光が生じるように、化合物を解離し、遊離した検体原子を提供するために十分な熱エネルギを提供する。分光計は、主要な光源としてホローカソードランプ、モノクロメーター、および検出器を用いて、特定の波長において吸収される光の量を測定する。重水素アークランプが、原子雲における非原子種により引き起こされるバックグラウンド吸収を補正する。
銀および銀/水組成物の物理的形態/化学的形態の分析
A.イントロダクション
水中にわずかに22ppmの銀を含む組成物のサンプルを、組成物中の銀の形態を決定するために、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)により分析した。銀の大半は銀(0)(すなわち金属銀)として存在し、また表面コーティングが存在し、これはおおむね、例えば、酸化銀(II)(AgO)の組成物であるという結論である。上記した酸化銀(II)は通常、銀(I)と銀(II)の化学量論的な組み合わせである。
B.実験手順
数滴の22ppmの本発明の銀組成物を、室温においてシリコン基板上で蒸発乾固させた。残渣をTOF−SIMSにより分析し、サンプルとして表示する。参照酸化銀(II)(AgO)材料を、シリコン基板上にベンダー(vendor)から入手した参照粉末のわずかな粒子を置くことにより分析し、参照として示す。
飛行時間型二次イオン質量分析技術(TOF−SIMS)は、固体サンプルを、一次イオンのパルス化された微細に集束させたビームと衝突させた後、試料の表面から生じた二次イオンを飛行時間型質量分析器により分析するという原理に基づいている。この分析技術は表面感度が高く、表面下約20〜40Å(1オングストローム=1×10−4マイクロメートル)にまで及ぶ層からの情報を導きだす。TOF−SIMS技術は通常、未知のサンプルの組成を同定するための調査ツールとして用いられる。適切な微量分析の標準物質がキャリブレーションに使用可能であれば、定量化も可能である。この分析は標準的な高い質量分解能条件を用いて行われる。
C.結果
負イオン質量が、Ag(II)O参照材料と、生成物サンプルからそれぞれ得られた。双方のスペクトルについての質量スペクトル領域は、銀粒子上の少なくとも部分的なコーティングとしておそらく存在した1を超える種の酸化銀の存在を示した。データは、銀(II)がサンプル粒子の表面上に存在する銀の平均酸化状態であることを示唆する。酸化銀(例えばAgO)シグナルは、生成物サンプルと比較して参照サンプルにおいてかなり高い強度を示し、これはおそらく、金属銀がサンプル中では支配的であるためである。サンプル中の平均粒径が減少すると、より多くの酸化銀が存在し得るにつれ酸化銀に対する銀の比も減少し得ることが理解され得る。
大きさ/形態/組成分析
本明細書中に記載されている銀/水調製物の特異な有効性は、粒子の表面性質/内部性質(例えば酸化物/金属)間の関係、および/または銀ナノ粒子の粒度分布、および/または銀ナノ粒子の形態に起因する。平均粒径が小さいほど、表面積は大きくなり、粒子界面化学の貢献も大きくなる。しかしながら、粒子が過剰に小さいと、安定性の損失、および/または生成物に負の影響を与え得る他の相互作用が存在し得る。本発明の銀/水組成物は、界面活性剤等なしに本質的に純粋な水中で安定である(例えば、多くに従来技術の「コロイド状」銀は、懸濁状態に銀粒子を保つためにタンパクを必要とする)ために注目に値する。また、本発明の銀/水組成物は本質的に無色であるのに対し、他のコロイド銀調製物(特に大きな粒径を有するもの)は通常色を示す。これらの性質は本明細書中で上記した製造条件の結果である。
組成物のデジタル解析は、0.005マイクロメートル〜0.0851マイクロメートルの範囲内で、0.0106の平均粒径が存在することを示した。しかしながら、粒度分布分析は、95%を超える粒子が、直径約0.005マイクロメートル〜約0.015マイクロメートルの間にあったことを示す。
さらなる粒子分析を、SEM、EDS(EDAX)およびTEMにより行った。特に、本発明の銀/水組成物を乾燥させ、EMグリッド(EM grid)上に置き、1つのSEM(すなわち走査型電子顕微鏡)と2つの異なるTEM(すなわち透過型電子顕微鏡)で調べた。これらの分析ツールは10〜30nmの範囲内の粒径分布の決定をもたらした。しかしながら、粒径の何らかの概算が、作成された顕微鏡写真のいくつかにおいては必要であった。というのは、粒子は互いに凝集する(clump)、または乾燥時に凝集する(agglomerate)傾向があるためである。乾燥した凝集体の大きさは50〜100nmであった。図1〜6は、本発明の銀/水組成物から乾燥させた銀粒子の種々のTEM顕微鏡写真を示す。図7a〜7bは、本発明により作製された銀粒子の種々のTEM顕微鏡写真であり、ここでこれらの顕微鏡写真は異なる技術により作成された。特に、本発明の銀/水組成物をC−フィルム上に置き、低温TEM(すなわち、図1〜6を作成するために用いられたTEMと異なるTEM)により、約−100℃で検査した。従って、本発明の銀/水組成物は、ほぼ瞬時に凍結した。低温TEMを、約−100℃、およそ100kVのパワーレベルで作動させ、作成された顕微鏡写真を図7a、7bおよび7cに示す。これらの図7a〜7cは明らかに、平均粒径が20ナノメートル未満であることを示す。さらに、図7dは「SAD」モードにおけるTEM分析を示す。一般的に、これらのTEM顕微鏡写真(7a〜7c)は、15ナノメートル以下であるクラスターを形成しない銀粒子の最大粒径と、3.5〜5ナノメートル範囲にあるいくつかのより小さい粒子を示す。図7dに示される回折解析は、粒子は主として金属銀であり、多重双晶(multiply twinned)であり、また本質的に純粋であることを示す。これらの顕微鏡写真において可能性のある被覆またはコーティングが示唆される。図7eは、本発明の銀/水組成物から得られる銀粒子のEDAXスペクトル(エネルギ分散スペクトル、すなわち「EDS」)を示す。図7eは銀中に金属汚染物質(例えばAu、Pt等)が全くないことを示す。存在する銅は、必須の顕微鏡備品に由来する。かなりの量の酸素が存在することが明らかであり、これは銅中に存在し得るとともに、銀粒子の少なくとも一部上のコーティングとして存在し得る。
図8は本発明からの銀粒子から得られる電子回折パターンを示す。このデータは、少なくとも1種の酸化銀種の存在を示唆する。しかしながら、図9が例えば、データ収集工程中の銀粒子に対して生じる可能性のある電子ビーム損傷を示しているために、このデータはいくつかの解釈の対象となる。この電子ビーム損傷は、他の製造業者により製造されたコロイド状の銀を検査した際ほどは明らかでなかった(本明細書中で後に述べる)。つまり、電子ビームからのエネルギは、問題となるいずれもの表面組成を損傷する(すなわち改変する)可能性があるために、SEMおよびTEM技術を用いるデータ収集は非常に困難である。つまり、これらの結果を作成し分析するには最新の注意が払われる。
図42はさらに他の特性決定ツールの結果を示す。この場合において、粉末X線回折技術を、酸化物相の存在をさらに示す目的で用いた。特に、図42は、本発明により作製された乾燥させた200ppmの銀/水組成物上の4つの異なる位置から得られた4つのX線回折パターンを示す。さらに、純粋な銀金属以外の種の4つの回折パターンをこの4つのX線回折パターンに重ね合わせた。特に、本発明により作製された32ppmの銀/水組成物を、標準的な逆浸透水ろ過プロセスにより約200ppmにまで濃縮した。特に、本発明の銀/水組成物を逆浸透ろ過システムに通し、ここで逆浸透ろ過システムからの「廃」水は、さらにいっそう濃縮された銀成分を含んでいた。200ppmの溶液が得られたら、この溶液を窒素が流れる雰囲気中で乾燥させ、X線回折に供することができるパウダーを生成した。特に、銀/水混合物を蒸発皿(pan)中に入れ、この蒸発皿をプラスチックシートで覆い、蒸発皿/プラスチックシートアセンブリの一方から窒素を導入し、蒸発皿/プラスチックシートアセンブリの反対の側から窒素を排気した。本発明の銀/水混合物中のすべての成分の完全性を保つために、装置の温度は約75〜80℃を超えなかった。その後、十分な量の乾燥粉末(すなわち、200ppm溶液から作製される)がX線回折分析に使用可能であった。
生じたX線回折パターンは明らかに、少なくとも4つの別個の種の存在を示す。この点において、一連の炭酸銀のピークが約18〜22度付近に生じている。これらのピークは、おそらく乾燥手法に起因する。この点については、乾燥手順中で200ppm溶液に窒素の覆いを形成することを試みたとしても、空気中のCOがおそらく存在した。さらに、一連のピークが約33度に生じた。しかしながら、それぞれのこれらのピークは、酸化銀(AgO)、炭酸銀(AgCO)、および/または酸化銀(AgO)に起因するものであり得る。つまり、どの種が存在しているかは完全には明らかでない。さらに強い銀金属ピークが約38度に生じている。この強いピークは、それぞれのX線回折パターンに見受けることができる。しかしながら、小さな酸化銀(AgO)ピークも38度付近に生じていることが注目される。なおさらに、強い酸化銀(AgO)ピークが、比較的強い炭酸銀(AgCO)ピークと合わせて、37度付近に生じている。酸化銀(AgO)ピークは酸化銀の正方晶相のうちの1つに対応することがさらに注目される。生じたX線回折データを再検討し、データ基本ファイルに存在する同じものと比較することにより明らかなことは、1種以上の酸化相が、本発明による銀/水組成物中に存在することである。本発明による新規の処理技術の結果、酸化物の組み合わせが存在することも可能である。本発明のX線回折パターンを背景に比較すると、X線回折パターンはAgには利用可能でないことが注目される。
しかしながら、Agは商業的に存在している。この点において、Agのサンプルを商業的に得て、この粉末のTGAおよびDTA分析を行った。特に、図43は、TGA分析およびDTA分析にそれぞれ対応している。Agについての吸熱が、約181℃に存在することが、図43におけるDTA曲線から明らかである。この吸熱は、また、図43のTGA曲線において示される重量損失に対応する。これらの実験測定は、AgOに分解するAgに対応する。第2の非常に強い吸熱が約403℃と第2の対応する重量損失に示される。これらの2つの実験点はAg金属に分解するAgOに対応する。
図10は、本発明による工程で用いられる前の新しい銀電極のSEM顕微鏡写真を示す。EDS元素分析は、1、2および3とラベルされた電極の部分上で行った。これらの3つの別個の分析を、それぞれ図11、12および13に示す。これらの分析は、本質的に純粋な銀が存在することを示した。
図14は、本発明による工程において用いられた後の使用済み銀電極の先端部のSEM顕微鏡写真を示す。さらにEDS元素分析を、1および2とラベルされた使用済み電極の部分上で行った。これらの2つの別個の分析を図15および16にそれぞれ示す。図17は、より大きな倍率(およそ3500×)での使用済み電極の先端部のSEM顕微鏡写真を示す。部分4および5は、EDS元素分析により検査され、本質的に純粋な銀であることが判った。
市販のコロイド銀からの銀粒子の比較
既知のコロイド銀と比較した、本発明の銀/水組成物の性能(生物学的有効性)における差を理解する目的で、物性における差を調べた。図18aおよび18bは、2004年に General Nutrition Center から入手し、GNC Liquid Colloidal Silver Dietary Supplement (25ppm)(「GNC」)として市場で知られる第1のコロイド銀における銀粒子に対応する銀粒子のTEM顕微鏡写真である。図19aおよび19bは、「Silverado」として市販されていることが知られる第2のコロイド銀に対応する銀粒子のTEM顕微鏡写真である。図20aおよび20bは、Vitamin World Biooganic Advanced Colloidal Mineral (3ppm)(Bioorganic)として市場で知られる第3のコロイド銀に対応する銀粒子のTEM顕微鏡写真である。図21は、本発明の2つの銀/水組成物(「ASAP20」および「ASAP10」とラベルされる)からの銀粒子と、上記した「GNC」、「Silverado」、および「Bioorganic」として知られる3つの既知の市販のコロイド銀からの銀粒子のオーバーレイ比較(overlay comparison)TEM顕微鏡写真である。粒径と形における明らかな差がこれらの顕微鏡写真から明らかであり、従って、異なるコロイド銀の間で物理的な、構造的な、および潜在的な化学的な差異が存在し、これは、同様の一般的な化学的性質の異なる生成物の間の生物学的有効性における差異を部分的に説明する手助けとなり得る。
分光法特性決定
ラマン分光法
銀/水混合物のさらなる分析をラマン分光法により行った。3つの異なるラマン分光計による多くの分析的アプローチを行った。ラマン分光法および共鳴ラマン分光法を用いる理由は、本発明の銀/水組成物と比較し、同様に「純」水すなわち脱イオン水と比較した際に、振動の異なるモード(および/または振幅)が、異なるコロイド銀において顕著であり得るとの考えであった。さらにこれらの水分子における振動の異なる観測モードは、コロイド系をより適確に定義し、異なる銀ベースの製品における異なる生物学的有効性を説明するのに役立ち得る。
第1の組のラマン分光法測定において、Vietch(ウルム、ドイツ)社製の共焦点ラマン顕微鏡を用いた。型番はCRM200であった。ニコンの60×液浸レンズ(NA=1)を用いて、スペクトルにつき15秒の積分時間(すなわち、3つの別個の5秒の収集時間)でスペクトルを得た。CCDは1,799波数付近を中心とした。溶液の小滴をペトリ皿の小さなくぼみに入れ、液浸レンズをここに下ろす。ラマンのレーザ源は約10mWで532nmであった。共焦点検出システムを約0.3×0.3×0.75マイクロメートル(約7×10E−8ピコリットル)である共焦点体積で用いられる。
図22aおよび22bは、7つのサンプルについて集められたデータのグラフ化された結果を示す。サンプルのうち2つは同じであるけれども、別個にラベルし(10PRおよび10PSU)、前に述べた「ASAP10」(すなわち本発明の銀/水組成物からの10ppmの銀)に対応する。「HPLC」は、Alfa Aesar から入手した高純度(超高純度等級のHPLC)水に対応する。「DI」は脱イオン水に対応する。「GNC」は、GNC Liquid Colloidal Silver Dietary Supplement (25ppm)に対応する。「AGX−32」は32ppmの本発明の銀/水組成物に対応する。「VW」は、Vitamin World Bioorganic Advanced Colloidal Minerals (3ppm)(上記で Bioorganic と呼んだもの)に対応する。異なるサンプル間で明らかな差が示される。例えば、これらのいくつかの水/水ベースの溶液における主要な伸縮モード(例えば3400〜3500 1/cm付近)は大きな差を示す。さらに、500 1/cm以下の振動/回転挙動も、サンプル間で明らかな差を示す。ある程度の差が、1600 1/cm付近の変角モード(bending mode)で見受けられ得る。いずれもの特定の理論または説明に拘束されることを望まないが、銀/水組成物の異なる挙動が、例えば、調査した他のサンプルに対するこの組成物の有効性に影響を与えるか、または少なくともその説明の助けとなり得るかのように思われる。
第2の組のラマンデータが、異なる分光学系からもたらされた。2つの組のデータ間で生じる数は異なる(これは水についてのラマン分光法は、用いられる分析デバイスの相関的要素(function)であることが強く示唆される)一方で、このデータの組の範囲内のデータもまた、他のコロイド銀または他の水と比較した際の本発明の銀/水組成物との間での顕著な差を示す。この組のラマン分光法測定において、反射型ラマン顕微鏡を用いた。スペクトルを、オリンパスの20×レンズ(NA=0.4)を用いて得た。CCD検出器を4つの異なる波数、すなわち、1600、2500、3400および4400 1/cmを中心とした。ラマンのレーザ源は約11.5mWで514.5nmであった。スペクトルに関するさらなる情報を、図23a、23bおよび23cのそれぞれに見出すことができる。これらの図におけるサンプルのラベリングは、上記と一致する。双方の組のラマン分光法データは、異なる分子運動がこれらの異なるサンプル内に存在し、これは本発明による銀/水組成物の生物学的有効性に貢献し得る(または少なくとも証明し得る)ということを強く示唆する。
第3の組のラマンデータは、第3の多重レーザ線 Renishaw Confocal Raman Micro-spectrograph を用いてもたらされた。この系はサンプル上およびサンプルに浸漬させる双方の測定を可能にするように構成されている。構成は、第1の組の測定に記載されるものよりも100×〜1000×大きいサンプルを調査するようにデザインされている。Leica DL DM 反射型顕微鏡を有する顕微分光写真器に、20×(NA=0.5)浸水レンズ、または5×(NA=.12)乾燥レンズを取り付けた。各レンズの後方の口径は、拡大されたレーザビーム直径と等しいか、それを上回るような大きさで作られる。2つのレーザ周波数を用い、これらは、マルチラインの50mWアルゴンレーザであって、514.4nmについて1/2出力設定されたもの、および633nmの20mWのHeNeレーザである。高解像度回折格子(high resolution grating)を、モノクロメータ光学経路(optic path)に取り付け、これは50〜4000波数(1/cm)の連続的な走査を可能にした。10〜20秒の積算時間を用いた。サンプル流体を50mlビーカー中のレンズの下に入れた。双方のレーザを共鳴バンドを調べるために用い、前者のレーザを主に用いてラマンスペクトルを得た。サンプルサイズは約25mlであった。5×ドライレンズにより為された測定は、水メニスカスの約7mm真下のボリュームを調べるために、流体の約5mm上に位置した対物レンズにより為された。浸漬測定が、同じ空間体積の調査を可能にするサンプルの約4mm中に位置する20×液浸レンズにより為された。CCD検出器の取得領域は、シグナル強度とシグナル対ノイズ比を最大にするように、各レンズについて個々に調節された。本発明の銀/水組成物についての代表的なスペクトルを図24aに示す。図24bは、本発明により作製された3つの異なる銀/水溶液のラマンスペクトルを示す。プロット1は13ppmの銀/水溶液に相当し、プロット2は10ppmの亜鉛/水溶液に相当し、およびプロット3は11ppmの銅/水溶液に相当する。
データの3つの組の間で得られる数字はいくぶん異なる(これは、水についてのラマン分光法は、分析機器およびその分析機器の構成の相関的要素(function)であることが強く示唆される)が、これらのデータの組の範囲内のデータは、他のコロイド銀または水と比較した際の本発明の銀/水組成物との間の顕著な差を示す。全ての組のラマン分光法データは、異なる分子運動と結合がこれらの異なるサンプル内に存在し、これは本発明による銀/水組成物の有効性に貢献し得る(または少なくとも証明し得る)ことを強く示唆する。さらに図24bにおいて示される3つの異なる金属/水溶液についてのラマンパターンにおける差も、可能性のある異なる有効性を示唆する。
UV-VIS分光法
銀/水混合物のさらなる分析をUV-Vis分光法によって行った。ラマン分光法に加えてUV-Vis分光法を利用してスペクトルの異なる部分における追加の顕著なモードおよび/または振動の振幅を探した。単独のUV-Vis分光器を利用してデータを収集した。この関連で、UV-Visマイクロスペック測光法を用いてエネルギー吸収スペクトルを得た。この情報は約190〜1100nmの波長範囲を走査できるデュアルビームスキャニングモノクロメーターシステムを用いて取得した。吸収スペクトルを収集するのに用いたUV-Vis分光器はJasco MSV350であった。装置を調整して、10mm×10mm溶融石英キュベットを用いた低濃度液体試料の測定をサポートした。上記の波長範囲にわたって、光電子増倍管(PMT)およびフォトダイオード検出器の両方を用いて以下の操作パラメータでデータを得た。帯域幅コレクション(bandwidth collection)2nm、解像度0.5nm。生成したスペクトルから水のベースラインバックグラウンドを差し引いた。この関連で、生成したスペクトルから純水のUV-Visシグナチャを差し引き、銀/水子混合物のより典型的なスペクトルシグナチャを示すようにした。
タングステン「ハロゲン」および水素「D2」のエネルギー源の両方をMSV350の主要エネルギー源として用いた。分光器の光路を調整してビームが試料キュベットの中央に向かって焦点が合った状態で試料を通過できるようにした。試料調製は、キュベットを充填してキャップし、完全に閉鎖された試料区画内のキュベットホルダーにこれらを物理的にセットすることに限定した。データ出力を測定し、波長および振動数に対する吸光度単位(Beer−Lambertの法則による)として表示した。図48aおよび図48bの各々に示した2つのスペクトルに対応する試料の間の主な違いは、試料の各々における銀の濃度であった。具体的には、図48aおよび図48bの各々におけるより高い振幅の曲線は32ppm銀/水溶液に対応し、より低い振幅の曲線は10ppm銀/水溶液に対応する。ピークの波長位置または振動数位置(すなわち、ピークおよびくぼみの位置)は非常に類似している。
本明細書において前に議論したように、例えば銀(たとえば銀イオン、銀金属、Agなど)を粘土層の間および/または粘土層の上、および/またはゼオライトのケージ内部に制御性よく付着または固定することができる。例えば銀イオンの粘土、雲母、またはゼオライトの内部または上への配置を達成する方法の1つは、銀のイオン種を可溶な状態で提供し、前記イオン種を粘土またはゼオライトの組成物または混合物中に導入することである。例えば、銀イオンを他の正電荷イオンと交換する概念は「BEC」または「CEC」(これらは両方とも「系」のカチオン交換容量の略記された専門用語である)と呼ばれることもある。この関連で、ほとんどのカオリナイト材料は2〜5(すなわち2〜5meq/100グラム)のカチオン交換容量を持つことが知られている。例えばモンモリロナイト粘土はおよそ100meq/100グラムのカチオン交換容量を持つ。対してゼオライトは数百meq/100グラムのカチオン交換容量を持つ。例えば、「Linde 4Aゼオライト」として知られている周知のゼオライトは、そのBECおよびCEC数について400〜500meq/100グラムである。一般に、BECまたはCEC数がより高くなるほど、材料がカチオンを受け取る能力が高くなる。
カオリナイトまたはゼオライトが銀(または他の金属カチオン)の保持/配給システムとなり得るか否かを決定する実験手順を行った。特に、以下の工程を用い、銀−粘土試料および銀−ゼオライト試料を調製し、したがって分析した。
一般的な条件で典型的なカオリナイトおよびLinde 4A材料を最初に脱イオン水で三回洗浄して、ある銀出発物質(例えば、銀イオン)を沈殿させる(または望ましくなく反応させる)かもしれないありうる塩素汚染物質を除去してから、銀出発物質をカオリナイトおよび/またはゼオライト構造の上/中に望ましく付着することができた。次に、これらの洗浄した材料を各々の材料の予期されるまたは既知の「CEC」に対応する適切な濃度にある硝酸銀(AgNO)溶液と混合した。次に、得られた処理材料を再び脱イオン水で洗浄し、すべての未使用の硝酸銀を除去した。試料を電気抵抗乾燥オーブン内において120℃で一昼夜乾燥した。具体的には、洗浄手順は以下の通りである。
約2グラムの各々のカオリナイトまたはゼオライト試料を遠心管に入れた。次に脱イオン水を加えた。次に試料と脱イオン水の混合物をリストシェイカーで40分攪拌した。次に混合物を約1000RPMで約30分間遠心処理した。次に過剰な液体を試料管からデカントした。脱イオン水の添加、攪拌、遠心処理およびデカントの工程を合計三回の洗浄の間に繰り返した。
いったん最初の2グラムの試料を適切に洗浄してありうる塩素汚染物質を除去し、硝酸銀を清浄なカオリナイトおよびゼオライト材料に導入した。具体的には、0.09グラムの硝酸銀をカオリナイト混合物に導入し、約4.25グラムのAgNOをLinde 4Aゼオライトに導入した。具体的には、計量された量の硝酸銀を各々の管に加え、次に脱イオン水を加えて管を満たし、次に混合物をリストシェイカーで約40分間攪拌し、その後約1000RPMで約30分間遠心処理した。次に液体をデカントした。この硝酸銀の添加、脱イオン水の添加、リストシェイカーによる攪拌、遠心処理およびデカントの手順を合計三回繰り返した。洗浄および硝酸銀の導入手順を完了した後、試料を遠心管から取り出し、アルミナ(Al)坩堝に入れ、電気抵抗加熱炉内において約120℃で一昼夜乾燥した。次に得られたカオリナイト/銀およびゼオライト/銀材料をSEM顕微鏡写真およびSEM EDS(EDAX)法によって特性評価した。図44aおよび図44bは本明細書において前に議論した手法により作製したカオリナイト試料のSEM顕微鏡写真を示す。これらの顕微鏡写真から、カオリナイトの「本のような」または「シートのような」構造(例えば図44aにおいて「X」および「Y」として識別されるSiOおよびAlOの層)は、銀カチオンが粘土材料の「エッジ」の付近に位置していることを明確に示していることが明らかである。これらの顕微鏡写真のより明るい「ページのような」部分によって証拠付けられるように、明らかにいくつかのタイプの銀の付着または交換がある(注:部分「X」および「Y」は試料における種々の他の「本のような」構造の代表である)。図45a−45bはそれぞれ図45aおよび図45bに示した試料のEDS(EDAX)分析を示す。これらの分析は、カオリナイトについて予期されるであろうアルミニウムおよびシリコン、ならびにいくらかのチタン(ルチルの存在を示唆する)の存在を明らかに示している。銀の非常に小さなピークも見られ、これはカオリンのBEC数が2〜5と比較的低いことに対応する。
図46は本明細書において前に議論した手順により処理されたゼオライトに対応するSEM顕微鏡写真を示す。ゼオライトの高いCEC値(すなわち、約500)により、図46におけるゼオライトの立方体のような構造が顕微鏡写真内で「輝いている」ように見える(例えば、図46の部分「A」を参照のこと)。この「輝き」はゼオライト構造内の全体に渡って銀の実質的な均一分布があることを示唆している。この関連で、銀金属が単独で明るく輝いている明るい点があれば、そのときには銀はゼオライトの中/上に導入されていないであろう。図47は図46で示した試料のEDS(EDAX)分析である。再び、アルミニウムおよびケイ素の比較的高い振幅のピークが存在するが、極めて高い銀のピークが存在する(すなわち、図45a−45bに示されるカオリナイトにおけるAgピークとの比較において)。これらの非常に高い銀のピークは、ゼオライトがその構造内に銀を捕捉する能力(すなわち、高いBEC)が、図44aおよび図44bに示したカオリナイトの構造(すなわち、低いBEC)と比較して非常に高いことに対応する。
枯草菌に対する22ppmの銀組成物の有効性の証明
A.例の目的
本例の目的は、試験菌である枯草菌に由来する細菌内生胞子に対する本発明の銀ベースの組成物の抗微生物活性を示すためのものである。これは、枯草菌内生胞子の懸濁液を用いる標準的な殺菌時間(kill-time)アッセイを行うことにより遂行した。通常は、細菌内生胞子は殺菌に耐性を示す。
B.材料および方法
[試験生体] 枯草菌(ATTC#19659)からの内生胞子を含む試験懸濁液を、寒天培地で増殖した培養物から調製し、これに対しさらなる胞子形成促進成分(sporulation enhancement ingredient)を加えた。プレートから滅菌水を用いて集菌し、内生胞子を遠心分離と水中への再懸濁を繰り返すことにより精製した。最終洗浄は70%のエタノール中で30分間であり、全ての増殖細菌の破壊を確実にする。凝集を防止するために0.1%のTween80(ポリソルベート界面活性剤のブランド)を含む水中に再懸濁させた。
[中和剤] 12.7%のTween(登録商標)80(ポリソルベートのブランド)、6.0%のTamol(登録商標)SN(ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩のブランド)、1.7%のレクチン、1%のペプトン、および0.1%のシスチンから成った。この溶液はいずれもの化学物質を中和することを目的としており、従ってこれらは細菌のその後の増殖には影響を与えなかった。
[殺菌時間手順]
a)殺菌剤(水中、本発明の22ppmの銀組成物)の9.9mlアリコートを、滅菌の20mm×150mmチューブ中に入れた。このチューブを20℃水浴中で平衡化した。
b)殺菌剤(水中、本発明の22ppmの銀組成物)の9.9mlアリコートを、滅菌の20mm×150mmチューブ中に入れた。このチューブを20℃水浴中で平衡化した。
c)30分、1時間および4時間目において、菌/殺菌剤懸濁液を9mlの中和剤を含むチューブに移した。このチューブを十分に混合した。
d)2分後、中和された懸濁液を、連続的に、生理食塩水溶液(PSS)中に1:10で希釈した。
e)選択した希釈チューブ中の生菌の数を、膜ろ過によりアッセイした。1mlアリコートをデュープリケートでおいた。この膜を約100mlの滅菌のPSSで洗浄し、寒天培地に移した。この培地を37℃で20時間インキュベートした。
各フィルタ上のコロニーの数をカウントし、対数減少(log reduction)を計算した。
[コントロール]
a)試験懸濁液の力価を、PSS中の試験懸濁液の選択された1:10希釈物の膜ろ過アッセイと行うことにより計算した。
b)中和剤コントロールを、9mlの中和剤と1mlの殺菌剤の混合物に、100cfuを含む力価の100mlの希釈液を接種することにより行った。これはチューブ中に約10cfu/mlを生成し、デュープリケートの1mlのサンプルを用いる膜ろ過によるアッセイの前に、20分間放置する。
C.結果
枯草菌
Figure 0005337928
TNTC=多すぎて計測できない
Figure 0005337928
TNTC=多すぎて計測できない
中和剤コントロール:1.1×10
D.ディスカッション
力価の結果は、元の懸濁液中のmlあたり6.65×10胞子の生きた枯草菌胞子濃度を示した。9.9mlの殺菌剤への100mlのこの懸濁液の摂取は、アッセイチューブのmlあたり6.65×10胞子の初期濃度を生じた。
これらの手順からの結果は、対数減少(LR)と殺菌パーセント(percent kill)(PK)値を計算することを可能にした。これらを以下の表に挙げる。値は次式、すなわちLR=−Log(S/So)およびPK=(1−(S/So))×100(式中、S=特定の時間における菌の濃度であり、So=ゼロ時における菌の初期濃度である)を用いて算出した。
Figure 0005337928
中和剤コントロールデータは、殺菌剤が適切に中和されていることを示した。実際のカウント(actual count)は、感知できる殺菌を伴わない、希釈に起因するものに対応する。
ここで試験した殺菌剤調製物は、枯草菌胞子に対する優れた殺胞子活性を示した。枯草菌は、殺胞子試験において用いられる一般的な種であり、炭疽病を引き起こす菌と同じ属に属する。その遺伝的類似性のため、枯草菌は、炭疽菌(Bacillus anthracis, the anthrax bacterium)非病原性代替物として用いられている。従って、これらの結果は炭疽菌にも適用できる。より長い曝露が、さらなる殺菌をもたらすことが期待される。
枯草菌に対する、10ppmの銀と1.0%のHの組成物、および14ppmの銀と1.5%のH組成物の有効性の証明
A.例の目的
本例の目的は、試験菌である枯草菌に由来する細菌性内生胞子に対する、本発明の2つの銀ベースの組成物の抗微生物活性を示すことである。これは、枯草菌内生胞子の懸濁液を用いる標準的な殺菌時間アッセイを行うことにより為された。前記の例(22ppm銀を用いるもの)と比較して考えて、この例は、銀組成物の抗微生物性質に対する過酸化水素(H)の促進効果を見積もる。過酸化水素は本発明の銀組成物の存在下で安定である。過酸化水素はそれ自体かなりの殺菌性質を有する一方で、しばしば、カタラーゼまたは他の微生物酵素により分解される。しかしながら、過酸化水素のいずれもの酵素による破壊が起こり得る前に、過酸化水素は細菌細胞壁を弱め、銀粒子が入り込むことを高めることができる。
B.材料と方法
1.[試験菌] 枯草菌(ATCC#19659)からの内生胞子を含む試験懸濁液を、寒天培地上で増殖させた培養物から調製し、これに対して、さらなる胞子形成エンハンサを加えた。培地から滅菌水で集菌し、内生胞子を、遠心分離および水への再懸濁を繰り返すことにより精製した。最終洗浄は70%エタノール中30分であり、全ての増殖細菌の死滅を確実にする。胞子を、凝集を防止するために、0.1%Tween(登録商標)80(ポリソルベートのブランド)を含む水中に再懸濁させた。
2.[中和剤] 12.7%のTween(登録商標)80、6.0%のTamol(登録商標)SN(ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩のブランド)、1.7%のレクチン、1%のペプトン、および0.1%のシスチンから成った。この溶液はいずれもの化学物質を中和することを目的としており、従ってこれらは細菌のその後の増殖には影響を与えなかった。
3.殺菌時間手順
a)それぞれの殺菌剤(本発明のコロイド銀組成物:1つは14ppmの銀と1.5%のHとを含み、もう1つは10ppmの銀と1.0%のHとを含む)の9.9mlアリコートを、滅菌の20mm×150mmチューブ中に入れた。このチューブを20℃水浴中で平衡化した。
b)殺菌剤の各チューブに、ゼロ時間目において、100mlの試験菌懸濁液を接種した。
c)10分、30分、1時間。2時間、4時間、6時間および8時間目において、菌/殺菌剤懸濁液の1mlを、9mlの中和剤を含むチューブに移し替えた。このチューブを十分に混合した。
d)2分後、中和された懸濁液を、連続的に、生理食塩水溶液(PSS)中に1:10で希釈した。
e)選択した希釈チューブ中の生菌の数を、膜ろ過によりアッセイした。1mlアリコートをデュープリケートでおいた。この膜を約100mlの滅菌PSSで洗浄し、Columbia 寒天プレートに移した。このプレートを37℃で20時間インキュベートした。
(f)各フィルタ上のコロニーの数をカウントし、対数減少(log reduction)を計算した。
4.コントロール
a)試験懸濁液の力価を、PSS中の試験懸濁液の選択された1:10希釈物の膜ろ過アッセイと行うことにより計算した。
b)中和剤コントロールを、9mlの中和剤と1mlの殺菌剤の混合物に、力価の100mlの1:10希釈液を接種することにより行った。これはチューブ中に約2000cfu/mlを生成し、デュープリケートの1mlのサンプルを用いる膜ろ過によるアッセイの前に、20分間放置する。両方のチューブを、デュープリケートの1mlのサンプルを用いる膜ろ過によりアッセイした。全ての結果を表1aおよび1bに示す。
C.結果
枯草菌胞子の力価
Figure 0005337928
TNTC=多すぎて計測できない
表1a
14ppmの銀および1.5%のHを含む溶液:
枯草菌胞子/殺菌剤懸濁液の希釈
Figure 0005337928
TNTC=多すぎて計測できない
中和剤コントロール
Figure 0005337928
TNTC=多すぎて計測できない
表1b
10ppmの銀および1.0%のHを含む溶液
枯草菌胞子/殺菌剤懸濁液の希釈
Figure 0005337928
TNTC=多すぎて計測できない
中和剤コントロール
Figure 0005337928
TNTC=多すぎて計測できない
D.ディスカッション
データは、最初の懸濁液中のml当たり2.59×10胞子の生きた枯草菌胞子濃度を示した。9.9mlの殺菌剤への100mlのこの懸濁液の接種は、アッセイチューブ中mlあたり2.59×10の初期濃度を生じた。
これらの手順からの結果は、対数減少(LR)と殺菌パーセント(percent kill)(PK)値を計算することを可能にした。これらを以下の表に挙げる。値は次式、すなわちLR=−Log(S/So)およびPK=(1−(S/So))×100(式中、S=特定の時間における菌の濃度であり、So=ゼロ時における菌の初期濃度である)を用いて算出した。30分以内では顕著な殺菌は存在せず、10分のデータをSo値について用いた。6時間および8時間の曝露時間は、十分に信頼できるほど高い数を示さなかった。従って、これらのデータは直線回帰に用いられなかった。直線回帰は、Minitab statistical software package における「適合線プロット(fitted line plot)」を用いる対数減少値で行った。回帰方程式を作成し、6の対数減少に影響を与えるために必要な時間を、以下の表2において対数減少および殺菌率値に沿って示す。
Figure 0005337928
回帰分析
14ppmについての式は、Y=−0.66704+1.32936xの直線を計算した。10ppmについての式は、Y=−0.59690+1.03933xの直線を計算した。これらの式は、6の対数減少についての時間は、14ppm組成物については5.02時間であり、10ppm組成物については6.35時間であることを予測する。
中和剤コントロールデータは、殺菌剤が適切に中和されていることを示した。予測される数は、希釈から予測されるものに相当する。
試験した実験殺菌剤溶液は、枯草菌胞子に対する優れた殺胞子活性を示した。これらの評価で用いられた枯草菌株は、AOAC殺胞子テストにおいて特定されるものと同じものである。この菌からの胞子は、大概の殺菌剤についての顕著な耐性を示す。6の対数減少に影響を与えるのに必要な時間は、多くの冷滅菌剤の殺胞子ラベルクレームと一致している。
広域スペクトル抗微生物薬としての10ppmの銀組成物の有効性の証明
A.方法
MIC(最小発育阻止濃度)およびMBC(最小殺菌濃度)試験を、標準的なブロス微量希釈法に従って行った。MICは感染性微生物の(生体外)増殖を抑制し得る抗生物質の最も低い濃度として定義される。結果をmlあたりのマイクログラムで報告する。医療用抗生物質について、生体外データの解釈は、ドラッグの達成できる血清濃度基づき、これは投与量、投与ルート、タンパク結合の度合い、感染の部位、患者の年齢と体重、および他のファクタによって変化し得る。MBCは、99.9%の初期の接種菌材料を殺菌するに必要とされる抗菌剤の最も低い濃度として定義される。
試験を、液体培養液中のそれぞれの試験菌の純粋培養物を増殖することにより行った。比濁法(turbidometric measurement)を、培養液の濃度をコントロールするために用いた。各試験抗生物質の連続希釈を栄養ブロス中で行った。希釈を、各試薬について各菌の影響を受け易い範囲を網羅するように算出した。試験培養液の標準的な量を各チューブに加え、チューブを、増殖のためにインキュベータ(37±2℃)に戻した。細菌増殖を判断するために、チューブを比濁的にチェックした。MIC濃度を下回ると、チューブは、時間と共に光学濃度の上昇を示し、細菌増殖を示した。増殖を示さない抗生物質の最低濃度はMICであった。「増殖なし」チューブをその後、新鮮な培地で二次培養した。二次培養時に増殖を示さない抗生物質の最低濃度を有する「増殖なし」チューブが、MBCであった。結果を表3に示す。
B.結果
Figure 0005337928
データは、100万分の1(ppm)のMIC/MBC(最小発育阻止濃度/最小殺菌濃度)として示し、「>」は、MICまたはMBCを得るのに必要とされる濃度が、試験のために測定される試験パラメータよりも大きいことを示す。例えば、S.ピオゲン(S.pyogene)に対して用いられるテトラサイクリンの最も高い濃度は5ppmであった。その濃度において、「増殖なし」チューブの二次培養時になお増殖があった。従って、MBCは、>5ppm(5ppmよりも大きい)となるべきである。
大腸菌株O157:H7(これは、出血性の下痢および大腸炎の発生に関与している)のMIC/MBCを、続く試験で測定した。MICは2.5ppmであると測定され、MBCは5ppmであると測定された。
C.まとめ
本発明の10ppmの銀組成物を試験し、試験した全ての菌についての静菌性および殺菌性の双方をみとめた。他の試験において、この組成物を、他の市販されているコロイド銀製品と比較し、試験した全ての他の調製物よりも優れた活性を有することが見出された(データは示さない)。
最も興味深い観察は、10ppmの銀の組成物が有する広域スペクトルであった。観察された抗微生物活性は、試験した個々の菌と無関係にほぼ一定であることが観察された。大便連鎖球菌およびストレプトコッカス・アウレウス(Streptococcus aureus)(これらは、それぞれ、10ppmおよび5ppmのMIC値を有した)を除いて、MIC値は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の双方について1.25ppm〜2.5ppmに分布した。MBC値は同様に挙動し、ミュータンス連鎖球菌、ストレプトコッカスゴルドニー(Streptococcus gordonii)、大便連鎖球菌を除いて(これらの全ては、10ppmのMBC値を有した)、値は1.25〜5ppmに分布した。データは、本発明の10ppmの銀態様は、試験したいずれもの抗生物質と等しいか、より広域スペクトルの活性を示すことを示唆する。抗生物質は一般的に、感受性のある菌に限定される、制限された抗菌スペクトルを有するが、データが示すように、本発明の銀組成物は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌双方に対して等しく有効である。データは、銀に関する低い毒性と、一般的にこの銀組成物の抗菌活性の広域スペクトルによって、本調製物を、抗生物質に対する代替物として効果的に用いることができることを示唆する。
D.先の例についてのリファレンス
1.Silver-CASRN 7440-22-4 についての U.S. EPA IRIS レポート
2.Fox CL, Modak SM. Mechanism of Silver Sulphadiazine Action on Burn Wound. Infections. Antimicrobial Agents Chemother. 5:582-588. 1974
3.Furchner, JE, Richmond CR, and GA Drake. Comparative Metabolism of Radionuclides in Mammals. IV. Retention of Silver-110m in the Mouse, Rat, Monkey, and Dog. Health Phys. 15:505-514. 1968
4.Grier, N. Silver and its Compounds in Disinfection, Sterilization, and Preservation. (Seymour S. Block, ed) 2nd Edn. pp 395-407. 1977.
5.Hinder, JA, and JH Jorgensen. Procedure in Antimicrobial Testing in Diagnostic Microbiology.(CR Mahon and G Manuselis, eds.) pp 63-91. 1995.
緑膿菌、豚コレラ菌、および黄色ブドウ球菌(Streptococcus aureus)に対する32ppmの銀組成物の有効性の証明
A.方法
緑膿菌ATTCC#15442、豚コレラ菌ATTCC#10708、および黄色ブドウ球菌ATCC#6538を、AOAC(Association of Official Analytical Chemists AOC mehods, vol.1 15th edition, 1990, AOAC Arlington, VA)公式方法955.14、95515および964.02を用いて試験した。栄養ブロス(NBAOAC)チューブに保存培養物から接種し、そのチューブを32±2℃でインキュベートした。栄養ブロスの新しいチューブへの移動を3連日行い、最終的に移動したものを37±2℃で48〜54時間インキュベートした。シュードモナス培養物を新しいチューブにデカントし、その菌膜(pellicle)を取り除いた。他の培養物を3〜4秒間ボルテックスし、室温で10分間放置した。最終的に、当該培養物をペプトン水(PEPW)中に1:100で希釈し、そこにウマ血清を加えて、5%総菌チャレンジ(total organic challenge)を得た。使用前に、テストキャリア(8mmの外径および6mmの内径を有する10mm長ポリッシュ304ステンレススチールシリンダ)を、チャレンジ溶液(challenge solution)中に浸漬し、取り出し、排液し、37±2℃で40±2分間乾燥させた。
フェノール耐性 5つの1mlアリコートのテストフェノールの各希釈物を、滅菌テストチューブに入れ、20±2℃の水浴中で平衡化した。30秒間隔で、0.5mlの各チャレンジ培養物を適切なフェノールの希釈液に加え、撹拌し、水浴中に入れた;5、10、および15分の適切な曝露時間後に、白金耳量(loopful)の懸濁液を当該アッセイチューブから取り出し、レティーンブロス(letheen broth,LETH)のチューブに移した。LETHのチューブを37±2℃で2日間インキュベートした。
キャリア滴定(carrier titration) キャリアの滴定のために、ペプトンTween(登録商標)(ポリソルベートのブランド)(PEPT)溶液の10mlブランクを調製した。2つのキャリアを個々のチューブに入れ、これを第1の1:10希釈液と示した。当該チューブを溶液中に細菌が得られるのに十分なだけ強く撹拌し、連続希釈をLETH媒体の9mlのブランク中で行った。この希釈ブランクを37±2℃でインキュベートした。増殖を伴う最後のチューブは、キャリア上の菌がlog力価を示した。AOACはキャリアが、1×10cfu/キャリアである最小集団を有することを要求している。
銀組成物の試験 滅菌されたガラスピペットを用いて、10mlアリコートの調製した殺菌剤を滅菌のテストチューブ中に入れ、20±2℃に保たれた冷水浴中で平衡化したテストチューブの側面に触ることなく、1つの汚染された乾燥キャリアを、銀組成物の各チューブに30秒間隔で加え、水浴中に戻した。各菌について、殺菌剤が、60の乾燥汚染キャリアに対する5分および10分の曝露間隔で試験された。曝露に続き、当該キャリアを殺菌剤から取り出し、LETHのチューブに移した。その培養物のチューブを37±2℃で2日間インキュベートし、当該チャレンジ菌の増殖について陽性(+)または陰性(0)としてスコアをつけた。
対照 各菌について、乾燥汚染キャリアを、陽性対照としてLETHチューブに加えた。接種しない培地チューブを陰性対照として用いた。インキュベーション後、全ての陰性チューブを1〜100コロニー形成ユニット(cfu)の対応する菌でスパイクし、中和有効性(neutralization efficacy)を実証する。当該培地の増殖促進を実証するために、当該陰性対照チューブには、全ての3つの菌について同じく1〜100cfuが接種された。接種体積をダイズカゼイン消化寒天(soybean casein digest agar)(SCDA)上にトリプケートでおき、接種力価を検証した。当該チューブとプレートは、増殖が全てのチューブで見られるまで、37±2℃でインキュベートした。
緑膿菌中和においては、接種材料の初期力価が>100cfuであることがわかったが、これはプロトコールにとって高すぎた。全てのオリジナルチューブがスパイクされたので、シュミレートテストは、試験に用いられたものと同じロットの培地を用いて、キャリアを、全ての3つのロットの銀組成物からの殺菌剤チューブ中に10分間入れることにより行った。当該キャリアをLETHブランクに一部移した。その後、これらのチューブを1〜100cpfの菌でスパイクした。当該チューブを前述したようにインキュベートし、増殖したかまたは増殖なしかをスコアリングした。同じロットからの滅菌培地の新しいチューブにも、増殖促進確認として接種した。
B.結果
黄色ブドウ球菌を用いた初期の試験は、サンプル#1および#2についての結果は合格であるが、サンプル#3は不合格であることを示した。調査の結果、サンプル#3は出荷前に損傷を受けていた可能性があると判断された。新しいボトルをサンプル#3と同じロットから得て、この新しいボトルをサンプル#4をラベルした。黄色ブドウ球菌攻撃を、サンプル#4を用いて繰り返した。AOACガイドラインは、いずれものある時点と菌について、1つのキャリアのみが、テストされた各ロットについての増殖が許されると明記している。
全てのロット、時点および菌について、陽性の対照は増殖を示し、陰性の対照は増殖を示さなかった。
キャリア滴定は、全ての菌についてデュープリケートで行った。報告された力価は複製したものの平均である。全ての3つの菌について、平均力価は、当該キャリアで、5.5×10〜5.5×10cfu/キャリアに亘ることが明らかになった。AOACは、キャリアが1.0×10cfu/キャリアの最小値を有することを要求している。
緑膿菌については、3/180のキャリアは5分のテスト時点で増殖を示し、2/180のキャリアは、10分のテスト時点において増殖を示した。黄色ブドウ球菌については、16/180のキャリアが5分のテスト時点において増殖を示し、2/180のキャリアが10分のテスト時点において増殖を示した。豚コレラ菌については、6/180のキャリアが5分のテスト時点において増殖を示し、1/180のキャリアが10分のテスト時点において増殖を示した。
テスト緑膿菌培養物は、1:90フェノールによる5分、10分または15分の処理の後に増殖を示し、1:80のフェノールによる5分または10分の処理の後に増殖を示したが、1:80フェノールによる15分の処理後には増殖を示さなかった。黄色ブドウ球菌培養物は、1:70フェノールによる5分、10分または15分の処理の後に増殖を示し、1:60フェノールによる5分または10分の処理の後に増殖を示したが、1:60フェノールによる15分の処理後には増殖を示さなかった。豚コレラ菌培養物は、1:100フェノールによる5分、10分または15分の処理後に増殖を示したが、1:90フェノールによる5分、10分または15分の処理後では増殖を示さなかった。
新鮮な接種済みビーフ(beef)サンプル上のサルモネラ菌および大腸菌に対する、32、22および10 PPM銀、ならびに22 PPM銀および1.5% H2O2、ならびに10 PPM銀および10 ppm K2S2O8の有効性の証明
A. 実施例の目的
この実施例の目的は、サルモネラ種の5つの菌株のカクテルまたは大腸菌 O157:h7を高い接種濃度(1x106 cfu/cm2)および別に低い接種濃度(1x104 cfu/cm2)( cfu = コロニー形成単位)で外表面に接種したビーフフランクステーキ(beef flank steak)のサンプルにおいて、本発明による銀ベース組成物の実施態様の抗菌活性を実証することである。
B. 材料および方法
[ビーフサンプル] ビーフ組織サンプルは、屠殺した家畜(slaughter hauses)から、内臓摘出後8時間以内に得た。冷蔵庫内において、吊り下げた胴体から第11肋骨と第12肋骨の間を切開し、その後本来の溝に沿って筋肉を剥がし出すことによって腹直筋を得た。無菌的に採取したサンプルをプラスティック製バッグおよび冷却パックに入れ、同日に研究室へ移した。研究室では、サンプルを迅速にMulti-Vac (A-300)に充填し4℃の冷蔵庫に置いた。試験に使用するサンプルは、pHが5.8から6.0の間であり、内臓摘出から36時間以内の状態であった。無作為に選択した腹直筋から、13 x 8 cmのサンプルを切り出し、処理した。処理の後、個々のサンプルから、3.5 cm2のステンレススチール製火炎滅菌済みくりぬき装置および手術用メスを用いて、サンプリングの間隔おきに無菌的に2つの肉の核(meat cores)を採取した。組織の核(tissue cores)を25 mlの0.1%ペプトンを入れた滅菌したストマッカーバッグ(stomacher bag)に移し、ストマッカー(Lab Bender 400)で2分間混合した。段階希釈液を作製し、処理から0分、20分、1時間、4時間、および24時間後に選択培地および回復培地(recovery media)にらせん状にプレーティングした(spiral plated)。
[細菌の培養] 細菌の培養液をカンザス州立大学(KSU)のストックカルチャーコレクションから入手し、「保護ビーズ(Protected Bead)」貯蔵システムを用いて貯蔵した。以下の培養菌をサルモネラ試料として使用した:S.リール (UGA)、S.モンテビデオ(UGA)、S. チフムリウム(UGA)、S.アゴナ(KSU 05 CDCアウトブレイク単離株由来)、およびS. ニューポート (KSU 06 CDCアウトブレイク単離株)。以下の培養菌を大腸菌試料として使用した:大腸菌 O157:h7 (CDC 01,03)、大腸菌 O157:h7 (USDA-FSIS 011-82 Rif.耐性100ppm)、大腸菌 O157:h7 (ATCC 43895 HUS 関連I型およびII型トキシンRif.耐性)および大腸菌 ATCC#23740((遺伝型K12原栄養性ラムダ(prototrophic lambda))。
ストック培養菌を、1つの含浸させたビーズを5 mlのDifco(登録商標)トリプティックソイブロス(Tryptic Soy Broth)(TSB)の溶液にいれ、35℃で24時間インキュベートさせることで培養した。次に、それぞれの培養液の0.05 ml白金耳量を、5 mlのTSB溶液に接種し、35℃で24時間インキュベートし、純粋な培養液を得た。インキュベーションの後、それぞれの培養液の1 mlをTSB49 mlに接種し、35℃で24時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、サンプルを遠心分離し(15,300 x g、4℃)、上清の物質をデカントし、ペレットを50 mlの0.1%ペプトンに再懸濁し、最後に遠心分離した(15,300 x g、4℃)。ペプトンをデカントし、残ったペレットを10 mlの0.1%ペプトンに再懸濁した。それぞれの培養液の入った5つの10 mlボトルを互いに混合し、サルモネラ種が109 cfu/mlで含まれた50 mlのカクテルをつくった。カクテルを0.1% ペプトンを用いて106 cfu/mlまたは104 cfu/mlに希釈した。選択培地および識別培地(differential media)で培養し、API 20Eキットを用いて推定されるコロニーの生化学的分析によって、培養液を確認した。
[接種の方法] ビーフフランクステーキ(腹直筋)のサンプルを、13 x 8 cm(104 cm2)に切り取り、サルモネラ種の5つの菌株のカクテルまたは大腸菌 O157:h7を高い接種濃度(1x106 cfu/cm2)およびそれとは別に低い接種濃度(1x104 cfu/cm2)で接種した。この接種は、密封した接種チャンバー(inoculum chamber)内にサンプルが含まれたプラスティック製スプレーボトルを用いて、組織表面に噴霧することで行った。肉表面の実際のサルモネラ種の濃度は、それぞれ高いレベルおよび低いレベルの接種濃度において、約5.0および3.4 log cfu/cm2であった。大腸菌 O157:h7では、それぞれの肉表面の接種レベルは、4.2および3.9 log cfu/cm2であった。
ビーフサンプルを、次に、動力化された軌道に取り付けたステンレススチール製フックに垂直に吊るした。この動力化された軌道によって、ビーフサンプルは、モデルスプレーキャビネット(model spray cabinet)(カンザス州立大学食品安全研究室)中で牽引され、噴霧処理が施される。本発明による銀組成物または脱イオン水のどちらか一方による処理を、モデル圧力リンスキャビネット(model pressure rinse cabinet)中で、13 cmの距離をおき20 psiで20秒間ビーフに行った。スプレーノズル(BETE NF0580 303)は、ビーフサンプルの表面に約20 mlの溶液を送達した。溶液温度および処理を行った室温は約14℃であった。処理後、0、20、60および240分の時点に、3.5 cm2の核サンプルを2つ、ビーフサンプルの外表面から引き抜いた。サンプルを選択識別および回復培地(selective differential and recovery media)上で培養し、数え上げた。0分における接種済/未処理サンプルのcfu/cm2のlog 10から、特定のサンプリング時間(0、20、60および240分)における接種済/未処理サンプルのcfu/cm2のlog 10を減算し、対数減少を算出した。サンプル処理には、本発明による32ppm銀、22ppm銀、および10ppm銀組成物の使用が含まれていた。それとは別に、22ppm Agと1.5 wght%の過酸化水素との組み合わせ、および10ppm Agと10ppm過硫酸カリウム(KSO)の組み合わせを試験した。
C. 32 ppm銀組成物の結果
本発明による32 ppm銀の組成物の使用は、ビーフステーキにおける細菌の減少を生じさせた。以下において、この減少は、0時での対照における細菌の数と、サンプリング時(即ち、処理の時)での処理試料における細菌の量との割合のlog10として表されている。
サルモネラでは、細菌の開始レベルが低い場合(104)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.78、20分のとき1.11、60分のとき1.08、および240分のとき1.23。従って、4時間(240分)のとき、対照の開始細菌数と、32ppm銀で処理したサンプルにおける細菌数との割合は、101.23である。細菌の開始レベルが高い場合(106)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.86、20分のとき0.95、60分のとき0.98、および240分のとき1.17。この結果は、本発明の32ppm銀の実施態様は、ビーフステーキ上のサルモネラに対する有効な消毒効果を有することを示している。肉表面の消毒は、あらゆる消毒薬にとって究極的なチャレンジであると理解されるだろう。
大腸菌では、細菌の開始レベルが低い場合(104)、以下の対数減少が記録された:0分のとき1.03、20分のとき1.28、60分のとき1.42、および240分のとき1.58。細菌の開始レベルが高い場合(106)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.65、20分のとき0.60、60分のとき0.83、および240分のとき0.87。この結果は、本発明の32ppm銀の実施態様は、ビーフステーキ上の病原性大腸菌に対する有効な殺菌効果を有することを示している。
D. 22 ppm銀組成物の結果
[水中の銀の結果] サルモネラでは、細菌の開始レベルが低い場合(104)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.41、20分のとき0.43、60分のとき0.48、および240分のとき0.68。細菌の開始レベルが高い場合(106)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.24、20分のとき0.24、60分のとき0.42、および240分のとき0.61。この結果は、本発明の22ppm銀の実施態様が、ビーフステーキ上のサルモネラに対する有効な殺菌効果を備えていることを示している。
[水中の銀および1.5 wght%の過酸化水素の結果] サルモネラでは、細菌の開始レベルが低い場合(104)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.34、20分のとき0.33、60分のとき0.36、および240分のとき0.62。細菌の開始レベルが高い場合(106)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.28、20分のとき0.14、60分のとき0.30、および240分のとき0.69。この結果は、本発明の1.5 wght%の過酸化水素をともなう22ppm銀の実施態様が、ビーフステーキ上のサルモネラに対する有効な殺菌効果を備えていることを示している。
E. 10 ppm銀組成物の結果
[水中の銀組成物の結果]サルモネラでは、細菌の開始レベルが低い場合(104)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.38、20分のとき0.41、60分のとき0.39、および240分のとき0.61。細菌の開始レベルが高い場合(106)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.24、20分のとき0.21、60分のとき0.41、および240分のとき0.54。この結果は、本発明の10ppm銀の実施態様が、ビーフステーキ上のサルモネラに対する有効な殺菌効果を備えていることを示している。
[10ppm K2S2O8をともなう水中の銀の結果] サルモネラでは、細菌の開始レベルが低い場合(104)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.26、20分のとき0.28、60分のとき0.35、および240分のとき0.58。細菌の開始レベルが高い場合(106)、以下の対数減少が記録された:0分のとき0.03、20分のとき0.16、60分のとき0.21、および240分のとき0.36。この結果は、本発明の10ppm 過硫酸カリウム(K2S2O8)をともなう10ppm銀の実施態様が、ビーフステーキ上のサルモネラに対する有効な殺菌効果を備えていることを示している。
ヒトの病気を治療するための10 ppm銀の有効性の証明
A. 実施例の目的
この実施例の目的は、様々なヒトの病気を治療するための本発明による銀ベース組成物の有用性を実証することである。この項における研究は、西アフリカのガーナにおいて、Kwabiah医師の指揮の下、空軍基地病院(Air Force Station Hospital)にて、Sr. Sackeyの指導の下、コレブ教育研究病院(Korie-Bu Teaching Hospital)にて、およびAbraham医師の下、ジャスタブ臨床/産婦人病院(Justab Clinic/Maternity Hospital)にて行われた。計58人の患者に対して、本発明による10ppm銀を含む銀/水組成物を用いた治療を行った。組成物を、従来の抗生物質の代わりに、内部および外部の両方から使用した。治療する病気は、マラリア、上気道炎、尿路感染症、副鼻腔炎、膣酵母感染症、眼、鼻および耳の感染症、傷口、真菌皮膚感染、および淋病といった性感染症を含んだ。
B. 治療方法および結果
[腹痛および下痢] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、経口的に約2-25 mlの銀組成物を投与する工程を含む。1人の患者を、1日に3回、約10 ml (小さじ約2杯)の本発明による組成物で治療した。患者は、1日で完治した。
[気管支炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、経口的に約5-25 mlの銀組成物を投与する工程を含む。2人の患者を、1日に2回で3日間、約5ml (小さじ約1杯)の本発明による組成物でそれぞれ治療した。患者は、3日間で完治した。
[膣酵母 (カンジダ)] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、膣注水にて約5-25 mlの銀組成物を投与する工程を含む。5人の患者を、1日に2回、約10ml (小さじ約2杯)の本発明による組成物でそれぞれ治療した。患者は、6日間で完治を示した。
[結膜炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、感染した眼に約数滴の銀組成物を投与する工程を含む。2人の患者を、1日に2回、それぞれの感染した眼に数滴の本発明による組成物で治療した。患者は、1日間で完治した。
[外的傷口および感染(ブドウ球菌皮膚感染症、敗血性潰瘍および感染性膿瘍を含む)] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、感染した領域に銀組成物を投与する工程を含む。6人の患者を、1日に2回、感染した領域にそれぞれ約5 ml (小さじ約1杯)の本発明による組成物で治療した。患者は3日以内に完治を示した。
[外耳炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、感染した耳に銀組成物を投与する工程を含む。6人の患者を、1日に3回、感染した耳内部に約2滴の本発明による組成物で治療した。患者は、約4日後完治を示した。
[中耳炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、感染した耳に銀組成物を投与する工程を含む。1人の患者を、1日に3回、感染した耳内部に約2滴の本発明による組成物で治療した。患者は、4日で完治を示した。
[真菌皮膚感染] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、局所的に感染した領域に銀組成物を投与する工程を含む。2人の患者を、1日に3回、それぞれ約10 ml (小さじ約2杯)の本発明による組成物で治療した。患者は、8日以内に完治を示した。
[淋病] 方法は、応答があるまで、感染した領域に銀組成物を投与する工程を含む。2人の患者を、1日に3回、それぞれ約10 ml (小さじ約2杯)の本発明による組成物で治療した。患者は、6日以内に症状の消失を示した。
[マラリア] 方法は、応答があるまで、1日に1から5回、経口的に患者に銀組成物を投与する工程を含む。11人の患者を、1日に3回、それぞれ約10 ml (小さじ約2杯)の本発明による組成物で最初の日に治療した。患者は、5日以内に症状の回復を示した。より詳細なマラリアのプロトコールは、本願において後に記述する。
[口臭および歯肉炎] 方法は、応答があるまで、1日に1から5回、うがい薬(mouthwash)として患者に銀組成物を投与する工程を含む。2人の患者を、それぞれうがい薬として本発明による組成物で治療した。患者は、3日以内(口臭)および1日以内(歯肉炎)に症状の回復を示した。
[骨盤内炎症性疾患] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、膣注水にて約5-25 mlの銀組成物を投与する工程を含む。1人の患者を、1日に2回、約5ml (小さじ約1杯)の本発明による組成物で治療した。患者の症状は、5日以内に回復した。
[咽頭炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、うがい薬(gargle)として銀組成物を投与する工程を含む。4人の患者を、それぞれ1日に3回、約10 ml (小さじ2杯)の本発明による組成物で治療した。患者は、6日以内に完治した。
[レトロウイルス感染症(HIV)] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、経口的に5から40 ppmの銀を含む銀組成物を投与する工程を含む。HIV(ヒト免疫不全症ウイルス)を保有する1人の患者を、1日に2回、約5ml (小さじ約1杯)の本発明による組成物で治療した。患者の症状は、5日以内に回復した
[副鼻腔炎および鼻炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、鼻に銀組成物を投与する工程を含む。鼻の感染症を患う6人の患者(4人が副鼻腔炎および2人が鼻炎)に、それぞれ1日に3回、鼻の通路に約2滴の本発明による組成物で治療した。患者は、4日以内に完治を示した
[扁桃炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、うがい薬(gargle)として銀組成物を投与する工程を含む。1人の患者を、1日に3回、本発明による組成物で治療した。患者は、7日以内に完治を示した
[上気道炎] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、経口的に銀組成物を投与する工程を含む。2人の患者を、1日に3回、約5 ml (小さじ約1杯)の本発明による組成物で治療した。患者は、6日以内に完治を示した。
[尿路感染症] 方法は、応答があるまで1日に1から5回、経口的に銀組成物を投与する工程を含む。3人の患者を、それぞれ1日に2から3回、約10 ml (小さじ2杯)の本発明による組成物で治療した。患者は、6日以内に完治を示した。
C. 考察
これらの結果は、本願で報告される様々なin vitro試験と一致する。本質的に、銀組成物は、in vitroにおいて、多くの微生物に対して非常に有効である。しかしながら、試験は、大量の生物材料(organic material)が存在したとしてもこの有効性が存在し続けることを示している。銀組成物は、生物的背景(organic background)が極度に高いin vivoにおいて、広く有効である。多くの他の消毒薬剤は、大量の生物材料が存在すると効力が無く、および/または、腐食性および毒性がありすぎてin vivoで使用できない。
アフリカ、ガーナにおける、さらなるマラリア研究
さらに、その他の管理された研究がガーナで行われた。この研究の目的は、非常に特異的なプロトコールの利用、および、マラリアに罹った患者に対する、本発明による10 ppm銀/水組成物の治療的特性に限定して焦点を当てることであった。
このプロトコールの目的は、本願方法によって製造された10ppm銀/水の溶液の、4種のプラスモディウム種の何れかによるマラリア感染に罹った患者の治療における潜在的な治療的特性を試験することが可能な方法を発明することである。プロトコールの概要は以下の通りである。
試験は、疾病およびその健康問題(health ramifications)に非常に精通した医学博士(MD)によって、医療診療所または病院にて行われた。医師1人当り計16人の患者が試験され、患者は、5日に2回銀生成物を摂取することを要求され、ならびに試験開始の1日前に血液を採取され、および血液試験で寄生生物が少なくとも2日間除去されたことが示されるまで毎日血液を採取された。患者は、銀の摂取および毎日の血液試験の計画を完全に行った場合にのみ、報酬を得た。
プロトコールの詳細:
試験に関与した医学博士(MD)の数:2人
医師当りの試験された患者の数:16人、うち8人が男性および8人が女性
試験の全日数:15日。
患者の治療のために投与された10 ppm銀/水組成物の投与量:計1オンスの一日の投与量が、均等な2回の投与量に分けられた;2分の1オンス(3 tsp)が朝に摂取され、2分の1オンス(3 tsp)が夜に摂取された。全15日の試験の内最初の5日間、銀/水の溶液にて患者を治療した。また、5日間で寄生生物が完全になくならない場合、銀/水の溶液の治療を、寄生生物がなくなるまで、もしくは開始から絶えず15日目まで続けた。
2日または3日の内に寄生生物がなくなった患者の場合は、銀/水の投与を5日目まで続け、寄生生物が完全になくなった時を記録した。
15日間銀/水を摂取した後に、なお寄生生物を保持していた患者の場合、試験を通常通り終了し、この患者は治療の失敗として記録した。
5日未満で治癒した患者は、完全に寄生生物が消失した日付を記録し、5日目まで銀/水の摂取を続け、15日目まで試験を続けた。
血液試験:
使用した血液試験:患者の血液中における寄生生物の存在(または非存在)を、個々の患者から得た薄いまたは厚い血液スメア(thin or thick blood smears)にて、アクリジンオレンジ染色試験、またはギムザ染色試験をおこなって決定した。実際にマラリア陽性であることを確認するために、患者の血液を0日において試験した。血液試験によってマラリア陽性であることが確認された場合、その後、試験への許容性について審査した。審査には、名前、年齢、患者が申告した疾病の発症といった生命に関する情報の記録、試験中何が要求されるか、十分な服薬遵守のためにどのような注意を払うことになるか、および服薬遵守できない場合、試験から離脱し報酬が受け取れないという事実の患者への告知を含んでいた。試験への参加に同意した患者には、銀生成物をそれぞれの日にどのように摂取するか、それぞれの日に血液検査のためにどこへ行くかを通知し、何れの日にも注意を払うようにするために、試験のプロトコールに完璧に準拠する必要性を強調した書面による一連の説明書を渡した。
上述のプロトコールは、最近アフリカ、ガーナで行われた研究のなかで、厳密に準拠されたものであった。全ての患者は同一の投与量を受け取り、彼らの血液は、プラスモディウム寄生生物の存在を決定するために毎日調べられた。以下の表4は、上にて論じた初期の研究(研究1および研究2)の一部、ならびに直前に論じたプロトコールによる新たな研究3について、表にしている。
Figure 0005337928
明らかに、本発明による10 ppm銀/水の溶液は、マラリア寄生生物に対して有意に陽性であった。
マラリアに対する100 ppm銀の有効性の証明(in vitro)
導入
地球規模で、マラリアは、これまでそして現在でも公衆衛生に関する主要な問題である。疾病は、プラスモディウム属の寄生性原生動物が原因である。この生物の生活環は複雑で、寄生生物は、無脊椎動物(蚊)宿主中での有性生殖と、脊椎動物宿主(哺乳類に加え、脊椎動物宿主として鳥類および爬虫類もマラリア寄生生物の宿主となる)における無性生殖との間で状態を変える。蚊における生活環の一部は、伝播生殖相であり、摂食の際に脊椎動物宿主にベクターが注入されて、種虫の形成が引き起こされる。種虫は、増員生殖相を誘導し、赤血球および赤血球外の部位にて寄生生物が増殖する。寄生生物は、伝播生殖相の間は細胞外に存在するが、発生において増員生殖段階では細胞内へと位置を移す。寄生生物のin vitro培養では、生活環の伝播生殖相においては蚊のベクターの状態を模すことを必要とし、増員生殖相においては、無脊椎動物宿主の赤血球外および赤血球の部位における増殖を促進する状態を模す必要がある。
マラリアは、世界で最も流行した寄生性疾病の1つであり、死亡率の観点からすると主要な感染症のなかでは世界3位である。マラリアを引き起こす原生動物寄生生物は、プラスモディウム属に由来する。4種のプラスモディウム原生動物がマラリアを引き起こす:プラスモディウムファルシパルム、プラスモディウムビバックス、プラスモディウムマラリアエ、およびプラスモディウムオバール。主にハマダラカに媒介されて、マラリア感染はまた、輸血などのように、感染した血液への接触に起因して生じる可能性がある。
マラリアの古典的症状には、発熱、頭痛、悪寒、嘔吐、震えおよび痙攣が含まれる。ある熱帯性マラリアの稀な形態では、悪寒および発熱は生じず、患者は下痢または昏睡を示す場合がある。緩解期間は、数週間から数ヶ月続き得る。しばしば、重篤な貧血が、マラリア感染による死亡の原因に寄与する。
プラスモディウムファルシパルム:
この寄生生物は、幾つかの重要な特徴を有している。これらには、半月状の配偶子母細胞、後半の増殖速度の低下、およびその他の霊長類マラリア性寄生生物では見られない、核周辺への色素の局在(核周囲分布)が含まれる。
P.ファルシパルムはまた、その大きな病原性および致死効果においてヒト種とは異なり、一方、赤血球段階の増員生殖は、内臓の毛細血管および類洞に広く制限されている。P.ファルシパルムを原因とする疾病の通称は、「悪性三日熱マラリア」である。
[材料および方法]
クエン酸食塩水(citrated saline):
塩化ナトリウム 9 gm
クエン酸ナトリウム 20 gm
蒸留水 1000 ml
ギムザ染色液:
ギムザ染色粉末 75 gm
無水アルコール 75 ml
グリセロール 25 ml
フィールド染色液(Field’s Stain):
[フィールド溶液 # 1]
1.1.6 gのメチレンブルーを1リットルの蒸留水に溶解する。
2.2.6 gのNa2HPO4(無水)を工程1の溶液に溶解する。
3.1 gのアズール1を工程2の溶液に溶解する。
4.2.6 gのKH2PO4を工程3の溶液に溶解する。
5.45分から1時間、穏和に加熱し撹拌または振盪する。
6.24時間室温で静置する。
7.ろ過する。
フィールド溶液 # 2
1.2 gのエオシンYを1リットルの蒸留水に溶解する。
2.2.6 gのNa2HPO4を工程1の溶液に溶解する。
3.2.6 gのKH2PO4を工程2の溶液に溶解する。
4.ろ過する。
ライト染色液:
ライト染色粉末 6.0 g
ギムザ染色粉末 0.6 g
メタノール 1,000 ml
一晩撹拌し使用前にろ過する。
[血液型AB+のヒト血清/血漿]
血液型A+のヒト血清/血漿
RPMI-1640不完全培地
(パレル(Parel)、ハイフカン研究所(Haffkine Institute)Sutar博士との個人的交流)
RPMI-1640完全培地
(パレル、ハイフカン研究所Sutar博士との個人的交流)。
[感染した血液の採取および処理]
寄生した赤血球を、ボンベイのカストゥルバ感染病病院(Kasturba Infectious Disease Hospital)にてプラスモディウムビバックスおよびプラスモディウムファルシパルムマラリアと臨床的に診断された症例から、静脈穿刺によって1 mlのクエン酸食塩水中に6 mlアリコートの血液を回収することで得た。血液サンプルを、10 mlの滅菌バイアルに回収した。サンプルを、薄いスメアを作り、そのスメアを10%ギムザ染色液/フィールド染色液 /ライト染色液で染色することで試験し、マラリア寄生生物の種の同定および確認を行った。サンプルの寄生虫血症(parasitemia)のパーセントのレベルを記録した。
寄生した血球を、不完全培地で2度および完全培地で1度洗浄し、完全培地を用いて6%の細胞懸濁液を作製した。ペトリ皿それぞれに0.5 mlの懸濁液を分配して培養液を作製した。これに、1.5 mlの完全培地を加え、プレートを5% CO2および14-17% O2の大気のもとインキュベートした。滅菌したパスツールピペットで古くなった培地を吸引し、1.5mlの完全培地を添加することで、培地を毎日交換した。目的とする寄生指標が≧1%に達するまで、週に2度洗浄しつつ、1週間後まで、新鮮な細胞(血液型A+またはAB+由来;洗浄し、細胞懸濁液を同様な方法で作製した)を添加して培養液を維持した。最初の寄生指標が1%を越えていた場合、血液培地混合液(blood medium mixture)(BMM)を薬剤感受性のために直接使用した(Thanh, 2001)(Tansanor. 2002)。
[スメアの作製および染色方法]
培養液を週に2回洗浄した。洗浄のために、培養液をプレートから採取し遠心チューブに移した。約5 mlの不完全培地をそれぞれの遠心チューブに添加し、徹底的に混合した。チューブを1000-1500 rpmで約10分間遠心した。約10分後、チューブを遠心機から取り出し、上清の液体をデカントした。その後、培養液をさらに2回同様に洗浄した。つまり、不完全RPMI-1640で1回および完全RPMI-1640培地でもう1回洗浄した。3度の洗浄の後、培養液を、別々のペトリ皿へと移した。スメアをそれぞれの培養液で作製し、ギムザ/フィールド/ライト染色液にて染色した。約1.5 mlの培地をそれぞれのプレートに添加し、スメアを光学顕微鏡にて寄生指標を調べ、または、それぞれの培養液の%寄生虫血症を記録した。新鮮な赤血球を毎週それぞれのプレートに添加した(Pradhan, 1984)。
スメアの作製
プレート由来の1滴の培養液をマイクロスライドにとった。薄いスメアを作り、風乾させた。このスメアを、無水アルコールを含んだカップリングジャー(coupling jar)中にスライドを浸漬して固定した。10%のギムザ染色溶液を作製し、スメアの染色に使用した。スライドを、30-40分間10%ギムザ染色溶液中に浸して保持し、その後水道水で洗浄した。
寄生指標
薄い血液スメアにて赤血球100当りの寄生生物の数を数えて、寄生指標を算出した。この目的のため、少なくとも100視野または10,000赤血球を観察した。
培養システム
プレート培養液を5%血球容量および約1%寄生虫血(parasitemia)に作製した。最初の寄生虫血が低いほど、in vitro増殖の際に生じる寄生生物の数の増加は大きくなる。
薬剤感受性
16 mm平底滅菌Microwellプレートを、薬剤感受性試験のために使用した。1つを、1つのサンプルのために使用した。最初に2つのウェルを対照として使用し、50μlの患者BMMまたは培養液および50μl RPMI完全培地を入れ薬剤は添加しなかった。試験のために、50μlの培養液または患者BMMを、50μlの様々な濃度の人工銀微粒子(ESNP)を含んだウェルに混ぜいれた。Microwellプレートに蓋をし、約37℃でキャンドルジャー(candle jar)中で約48時間インキュベートした。ほとんどの寄生生物が、48時間のインキュベーションの終わりに、分裂前体段階に入る。インキュベーション後、マイクロピペットを用いて、上清の培地を除去した;それぞれのウェル由来の血液をスメアの作製のために採り、分裂前体の発生を観察した。染色したインキュベーション前およびインキュベーション後のフィルムにおける寄生生物の数の計測、および分裂前体形成のESNPが関連した阻害から、試験を評価した。妥当性の試験のために、対照ウェルは、≧10%の分裂前体形成を示すべきである(Wernsdorfer and Wernsdorfer, 1995)。
Figure 0005337928
抗マラリア効果の指標として使用したin vitro試験は、結論的に、ESPN-100 ppmは、in vitroで寄生生物数を減少させることができることを示している。採取された寄生生物が、発熱およびマラリア性感染の古典的症状による硬直(rigors)を示す患者由来であることから、この結果は有意なものである。
結核細菌に対する、10 ppm銀の有効性の証明
A. 目的
この実施例の目的は、結核を引き起こす細菌に対する、本発明による銀組成物の有効性を実証することである。この実施例は、本発明の結核菌撲滅性効果の評価のための方法を記述する。方法論は、1985年12月11日にEPAに認められた結核菌撲滅性活性試験法に基づく(米国環境保護庁, 1986 農薬および毒性物質部門、結核菌撲滅性要求による全抗菌性農薬のための結核菌殺菌効果データのためのデータ呼び込み通知(United States Environmental Protection Agency, 1986. Office of Pesticides and Toxic Substances. Data Call-In Notice for Tuberculocidal Effectiveness Data for All Antimicrobial Pesticides with Tuberculocidal Claims.) (1986年6月13日受理)参照)。
B. 材料および方法
[材料] 本発明による銀組成物は、10ppmの水中の銀である。銀組成物は、液体対液体マトリックス(liquid to liquid matrix)を用いて、マイコバクテリウムボビスBCG (TMC 1028)に対して評価した。この生物は、動物に結核を引き起こし、ヒトの結核を引き起こし得る。それは、ヒトの結核の主な原因となる結核菌の「代役」として使用される。というのは、それが、結核菌と同様の罹患率を有することが試験より示されたためである。試験生物は、二重で、4回にわって銀組成物にさらし、膜ろ過を用いて定量した。
[方法] ウイルスの凍結ストック培養液を、貯蔵庫から取り出し解凍した。等量の緩衝ゼラチン(BUGE)を細胞懸濁液に加え、アイスバス中で0℃から4℃に培養液を保ちながら、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレンの商標)組織粉砕器を用いて1分間ホモジナイズした。ホモジナイズした細胞懸濁液を、生理食塩水ツイーン(登録商標)80(ポリソルベートの商標)溶液(ST80)を加えて、約107 cfu/mlまで希釈した。
[チャレンジ力価] 培養液の10倍希釈の系列を、9 mlの中和ブロス(NEUB)を含む希釈液ブランクを用いて、10-6希釈まで作製した。3つの1 mlアリコートの希釈液を、最初にフィルターハウジングに10-20 mlの生理食塩水溶液(PHSS)を添加し、1 mlアリコートの適当な希釈液を添加することで膜ろ過した。フィルターを、次に、約100 mlのPHSSでリンスした。フィルターを無菌的にフィルターハウジングから取り出し、7H11寒天プレートに置いた。プレートを37±2℃の加湿チャンバーで21日間インキュベートした。
[陽性対照] 9 mlのST80を含むチューブを作製し、20±0.5℃に平衡化した。0時において、1 mlの試験生物培養液をチューブに加えた(1:10希釈)。サンプルを60分間置いた。10倍希釈の系列を9 mlのNEUBを含む希釈液ブランクを用いて、10-6希釈まで作製した。3つの1 mlアリコートの適当な希釈液を、最初にフィルターハウジングに10-20 mlのPHSSを添加し、1 mlアリコートの適当な希釈液を添加することで膜ろ過した。フィルターを、次に、約100 mlのPHSSでリンスした。フィルターを無菌的にフィルターハウジングから取り出し、7H11寒天プレートに置いた。プレートを37±2℃の加湿チャンバーで21日間インキュベートした。
[試験] 9 mlの試験サンプルを含む2つの25 x 150 mmチューブを作製し、ウォーターバスで20±0.5℃に平衡化した。試験する消毒薬(即ち、銀組成物)を含むそれぞれのチューブに、1 mlの試験生物培養液を加えた。チューブを、渦を巻くように混合し、ウォーターバスに戻した。15、30、45、および60分後、1.0 mlアリコートの消毒薬−細胞懸濁液を9 mlのNEUBに移し、徹底的に混合した。10倍希釈の系列を9 mlのNEUBを含む希釈液ブランクを用いて、10-6希釈まで作製した。3つの1 mlアリコートの適当な希釈液を、最初にフィルターハウジングに10-20 mlのPHSSを添加し、1 mlアリコートの適当な希釈液を添加することで膜ろ過した。フィルターを、次に、約100 mlのPHSSでリンスした。フィルターを無菌的にフィルターハウジングから取り出し、7H11寒天プレートに置いた。プレートを37±2℃の加湿チャンバーで21日間インキュベートした。
[フェノール対照] 最小の培養液生存度および耐性を実証するために、培養液を0.8%フェノール溶液に対して試験した。1 mlアリコートの試験生物培養液を、25±0.5℃に平衡化したフェノール溶液9 mlに入れ、20分間インキュベートした。曝露期間の後、フェノール/生物溶液から1 ml取り出し、9 mlのNEUBに加えた。10倍希釈の系列を9 mlのNEUBを含む希釈液ブランクを用いて、10-6希釈まで作製した。3つの1 mlアリコートの適当な希釈液を、最初にフィルターハウジングに10-20 mlのPHSSを添加し、1 mlアリコートの適当な希釈液を添加することで膜ろ過した。フィルターを、次に、約100 mlのPHSSでリンスした。フィルターを無菌的にフィルターハウジングから取り出し、7H11寒天プレートに置いた。プレートを37±2℃の加湿チャンバで21日間インキュベートした。
[中和確認] 1 mlアリコートの消毒薬を8 mlのNEUBに加えた。消毒薬/中和ブロスを試験サンプルと同じ温度に平衡化させた。1 mlアリコートの試験生物培養液を混合液に添加し、徹底的に混合した。サンプルのろ過に要するおおよその時間、インキュベーションを続けた。さらに、1 mlアリコートの試験生物を9 mlのNEUBに添加し、徹底的に混合した(1:10希釈)。両チューブの10倍希釈の系列を9 mlのNEUBを含む希釈液ブランクを用いて、10-6希釈まで作製した。3つの1 mlアリコートの適当な希釈液を、最初にフィルターハウジングに10-20 mlのPHSSを添加し、1 mlアリコートの適当な希釈液を添加することで膜ろ過した。フィルターを、次に、約100 mlのPHSSでリンスした。フィルターを無菌的にフィルターハウジングから取り出し、7H11寒天プレートに置いた。プレートを37±2℃の加湿チャンバで21日間インキュベートした。
C. 結果
チャレンジ培養液の開始力価は、4.7 x 107 cfu/mlであった。陽性対照力価は、6.5 x 106 cfu/mlであった。この研究で使用された培地は、ブランクの培地と比較した場合に消毒薬/中和物溶液において95.2%の回収率(recovery)であり、有効な中和が実証された。
試験プレートでは、予想される数値を少なく見積もった。それゆえ、報告する数値は、「>」で示されるが、その数値は見積もりであること、および正確な数値はプレーティングした希釈液の検出の限界以上であることを表す。
M.ボビスに対する消毒薬のlogおよびパーセントの減少の算出において、「〜より大きい」数値を有する見積もりの数値は、「〜未満の」logおよびパーセント減少となった(「<」)。この目的は、結果が、見積もりおよびプレーティングした希釈液の検出の正確な限界以上であることを示すためである。全ての減少は、生物の最初の開始力価として陽性対照を用いて算出した。logおよびパーセント減少の結果を以下に要約した。チャレンジ培養液の耐性の測定として、M.ボビスのフェノール耐性は、20分間の0.8%フェノールへの曝露でほぼ1.81対数減少を示した。
Figure 0005337928
Figure 0005337928
D. 結論
本発明による銀組成物の使用は、結核細菌に対して有効である。本発明による銀組成物を投与する工程を含む方法は、結核生物に対して有効である。
カンジダ・アルビカンスATCC #10231、膣トリコモナスATCC #20235、およびMRSA黄色ブドウ球菌ATCC #BAA-44に対する10ppm銀の有効性の証明
A. 実施例の目的
この実施例の目的は、カンジダ・アルビカンスATCC 10231、膣トリコモナス ATCC 20235、および薬剤耐性黄色ブドウ球菌 ATCC BAA-44に対する本発明の銀組成物の有効性を例証することである。
酵母であるカンジダ・アルビカンス、および原生動物である膣トリコモナスは、膣感染症、おむつかぶれ、および鵞口瘡を含む多くの健康問題を引き起こしうる。以下の結果は、本発明による銀組成物が、両生物を100%近い割合で死滅させることを示している。結果は、本発明による銀組成物の女性用衛生製品およびおむつかぶれ用製品としての有用性を示している。
黄色ブドウ球菌は、傷から侵入した場合、重大な血液中毒を引き起こしうる。一度はペニシリンで容易に治療されたが、当該生物は現在、点変異の発生によりペニシリンに対して完全に耐性となっている。抗生物質手段における次なる防衛手段は、メチシリンであったが、メチシリン耐性株が、特に病院においてますます一般化した。これらの株はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)として知られ、「スーパーバグ(superbug)」と称された。MRSAに接触した人々は、およそ数日で死亡し得る。この実施例にて報告される結果において、本発明による銀組成物は、わずか10分の間にMRSAの91.6%を、1時間の間に99.5%を死滅させることがわかった。この結果は、本発明による銀組成物の、感染性の脅威として知られるMRSAを死滅させることにおける有用性を示している。
B. 方法および結果
10ppmの水中の銀を含む本発明による組成物でUSP保存剤急速負荷試験(Preservative Rapid Challenge Test)を行い、以下の結果を得た。これらの結果は、本発明による銀組成物が、酵母感染、原生動物感染、および薬剤耐性細菌感染に対して効果的であることを示している。
[カンジダ・アルビカンスATCC #10231] カンジダ・アルビカンス酵母の初期濃度は、6.8 x 105 cfu/mlであった。10分、30分、1時間、または1日の何れかの期間、銀組成物に接触させた後、全くコロニーは検出されなかった。
[膣トリコモナスATCC #20235]膣トリコモナス原生動物の初期濃度は、6.0 x 104 cfu/mlであった。10分、30分、1時間、または1日の何れかの期間、銀組成物に接触させた後、100の生物で0%の生存率であった。すなわち、100の膣トリコモナス寄生生物について、顕微鏡によって鞭毛の運動性を調べた。銀組成物に10分間接触させただけで、100の寄生生物のうち運動性を示したものはなくなった。このことは、寄生生物に対する、銀組成物の阻害または致死特性を示している。25パーセントの寄生生物の外膜が、1日の接触後、破裂していた。
[黄色ブドウ球菌 ATCC #BAA-44] メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の初期濃度は、6.0 x 106 cfu/mlであった。銀組成物に接触させた後、10分間の接触後500,000 cfu/mlが(91.6%死滅)、30分間の接触後70,000 cfu/mlが(98.8%死滅)、1時間の接触後30,000 cfu/mlが(99.5%死滅)、および1日の接触後10 cfu/ml未満が(実質完全に死滅)検出された。
B型肝炎と関連するDNA合成酵素および逆転写酵素の阻害における、10ppm銀、14ppm銀+1.5% H2O2、および22ppm銀の有効性および細胞毒性の欠如の証明
A. 実施例の目的
実施例の目的は、B型肝炎に対する本発明による銀組成物の有効性の例証である。この実施例は、本発明による銀組成物が抗ウイルス特性を有することを示している。抗ウイルス療法にて使用される何れの薬剤も細胞毒性をほとんど示さないまたは全く示さないべきであり、そのため銀組成物の細胞毒性を分析した。
B型肝炎は、ウイルスのヘパドナウイルスファミリーのDNAウイルスによって引き起こされる。B型肝炎ウイルス(HBV)は、3.2 kbのDNAを有するウイルスであり、ほとんどもっぱら肝臓の細胞(肝細胞)で複製する。複製には2つの主要な酵素が関連する:DNA合成酵素および逆転写酵素。この実施例の結果は、本発明による銀組成物が、DNA合成酵素または逆転写酵素のどちらかが関与する複製を妨げることを示している。この実施例の結果は、本発明による銀組成物が、抗ウイルス特性を有することを示している。この実施例の結果は、本発明による銀組成物が、B型肝炎に対して有効であることを示している。
さらに詳細には、B型肝炎が新たな宿主の体内に侵入し、宿主の免疫系を回避すると肝臓に感染する。感染において、ウイルスは、肝臓細胞の膜に接着し、ウイルスのコア粒子が肝臓細胞に侵入する。コア粒子は、その後、中身のDNAおよびDNA合成酵素を肝臓細胞の核に放出する。肝臓細胞内において、ウイルスは、逆転写および翻訳プロセスによって複製し、ここに逆転写酵素およびDNA合成酵素が関与している。DNA合成酵素は、肝臓細胞にB型肝炎DNAのコピーを行わせる。これらのウイルスのコピーは、肝臓細胞の膜から血流へと放出される。これを機に、他の肝臓細胞に感染することができ、それによって効率的に複製する。B型肝炎ウイルスのインキュベーション期間は、約6から25週間である(即ち、身体的および一般的に検出可能な組織学的または身体的症状が生じる前の時間である)。しかしながら、B型肝炎ウイルスによる感染後の初期段階に生じる、いくつかの生化学的および組織学的変化が存在する。
B 材料
本願の開示による10ppm、14ppm、22ppm、および32ppm銀組成物を含む溶液を使用した。ヌクレオチドdATP、dGTP、dCTP、および[3H]-dTTPは、標準的な市販源から入手した。化合物ラミブジン(合成抗レトロウイルス剤)およびジドブジン(AZT)も同様にした。単離されたB型肝炎ウイルスを、B型肝炎感染症を患う患者から、インド、ムンバイのハフィン研究所(Haffine Institute)(WHO公認試験機関)にて新鮮な状態で入手した。試験細胞培養(VeroおよびHep2)を、典型的な細胞培養法にて、一層でコンフルエントになるまで培養した。
C. 方法
1)DNA合成酵素阻害試験の方法
[全体的アプローチ] ヒトの患者由来のB型肝炎ウイルス抽出液を、放射線標識ヌクレオチドおよび活性阻害剤とともにインキュベートする。パーセント阻害は、陽性対照としてのラムブジンおよび陰性対照としてのリン酸緩衝食塩水(PBS)と比較して合成された、新規なウイルス核酸の量を基礎として算出する。
[特異的方法] 単離されたB型肝炎ウイルスを溶菌し、遊離合成酵素を抽出した。これは、混入する酵素を含んでいない。ウイルス抽出液(25 ml)を、dATP、dGTP、dCTP、および[3H]-dTTPヌクレオチドを含む混合液(25 ml)に添加した。活性阻害剤(3 ml)を、ウイルス抽出液およびヌクレオチドを含む混合液に添加した。できた混合液を37℃で24時間インキュベートした。
独立した陰性対照実験を、阻害剤(3 ml)の代わりにリン酸緩衝食塩水(PBS、3 ml)を用いて行った。
独立した陽性対照実験を、試験する阻害剤(3 ml)の代わりに既知のDNA合成酵素阻害剤(濃度が3 mg/mlのラムブジン3 ml)を用いて行った。
反応を、25 ml EDTAおよび25 ml TCA (トリクロロ酢酸)を添加して停止させた。反応混合液を、次に、イオン性ペーパー(DEAEペーパー)にスポットした。ペーパーをTCAで3回洗浄し、その後、エチルアルコールで洗浄した。フィルターペーパーを風乾させ、シンチレーションカクテルを含むシンチレーションバイアルに入れた。放射活性を液体シンチレーションカウンター(Blue Star)にて測定した。カウンティング対照としてブランクの銀組成物を、ウイルスの導入を除いた完全な方法で行い、シンチレーションカウンター法における考えられるあらゆる妨害を確認した。
本方法の参考文献は、P. S. Venkateswaran, I. Millman, およびB. S. Blumbergによる「B型肝炎およびウッドチャック肝炎ウイルスに対する、フィランタスニルリ抽出物の効果:in vitroおよびin vivo研究(Effect of an extract from Phyllanthus niruri on hepatitis B and woodchuck hepatitis viruses: in vitro and in vivo studies)」 Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1987, 84, 274-278であり、この文献は本願に援用される。
2)逆転写酵素阻害試験の方法
Poly(A)dT(RTのためのプライマー)を有するモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MoMuLV)の市販のウイルス酵素製剤を用いた。50 mlのMoMuLV製剤を、dATP、dGTP、dCTP、および[3H]-dTTPヌクレオチドの混合物と合わせた。
この混合液を、3 mlの試験する阻害剤と合わせ、できあがる混合液を37℃で24時間インキュベートした。
陰性対照実験を、阻害剤の代わりにリン酸緩衝食塩水(PBS、3 ml)を用いて行った。
陽性対照実験を、試験する阻害剤の代わりに既知の逆転写酵素阻害剤(濃度が0.625 μg/mlのAZT3 ml)を用いて行った。
反応を、25 ml EDTAおよび25 ml TCAを添加して停止させた。反応混合液を、次に、イオン性ペーパー(DEAEペーパー)にスポットした。ペーパーをTCAで3回洗浄し、その後、エチルアルコールで洗浄した。フィルターペーパーを風乾させ、シンチレーションカクテルを含むシンチレーションバイアルに入れた。放射活性を液体シンチレーションカウンター(Blue Star)にて測定した。
3)細胞毒性試験の方法
3-4日おきにパッセージすることで維持した、健康でコンフルエントなVeroおよびHep2細胞培養から細胞を作製した。試験の1日前に、標準的方法を用いて培養液から細胞を取り出し、増殖培地に懸濁し、マイクロタイタープレートのウェルに分配し、37±2℃の5% CO2インキュベーターに入れた。それぞれの試験物質のアリコート(100 ml)を、対照としての100 mlのPBSとともに、ウェルに(三重で)入れた。24時間おきに、ハイパワーの倒立顕微鏡で観察し、何らかの細胞変性効果(CPE)がないか確認した。全ての結果が以下の表5に示してある。
D. 結果
逆転写酵素阻害試験の結果:
Figure 0005337928
DNA合成酵素阻害試験の結果:
Figure 0005337928
本発明による銀組成物は、DNA合成酵素の阻害に非常に有用である。
逆転写酵素阻害試験の結果
Figure 0005337928
従って、本発明による銀組成物は、逆転写酵素を阻害する。本発明による銀組成物は、B型肝炎といったウイルスによって伝播されるヒトの疾病に効果があることが期待される。
細胞毒性試験の結果
Figure 0005337928
これらの結果は、銀組成物が、本質的に非細胞毒性であることを示している。予想通り、細胞毒性を示すことが知られる過酸化水素は、細胞毒性効果を示した。従って、銀は、in vivoで使用された場合、細胞に対して無害である。
12.水消毒薬としての銀組成物の有効性の証明
A. 目的
試験は、発明に係る組成物の飲料水の消毒における有効性の実証のために行った。
B. 方法
未処理の川の水のサンプルに、2回の白金耳量のクレブシエラオクストカを混入させた。100 mlアリコートのこの混入水溶液に、発明に係る銀組成物を0.05ppm、0.1ppm、0.2ppm、0.5ppm、または1.0ppmで加えた。5-60分のインキュベーションの後、サンプルを膜ろ過した。フィルターを約100 mlの滅菌水でリンスした。フィルターを無菌的にフィルターハウジングから取り、大腸菌用栄養寒天プレートにのせた。プレートを増殖条件で24時間インキュベートし、計測した。
Figure 0005337928
銀組成物は、驚くほど有効であることが証明された。最も短い時間(20分)、最も低い濃度(0.05ppm)で試験した場合であっても、細菌の完全な死滅が起こった。0.02ppmおよび最高値では、5分で完全な死滅が起こった。明らかに、5分以内に完全な死滅が起こっているようである。
表面消毒薬としての32ppm銀の有効性の証明
環境保護局(EPA)は、病院、医学的環境、居住環境、商業用建物、および仕事場で使用される幅広い表面消毒薬として、本発明による32ppm銀組成物を承認した。そこは、以下を含む最も致死性のある病原体のいくつかに対する使用を認証した:黄色ブドウ球菌(アメリカの病院において現在最も致死性のある細菌と考えられている)といったグラム陽性細菌、豚コレラ菌(食中毒の原因となる)といったグラム陰性細菌、および緑膿菌(しばしば火傷および傷口にてみられる)といった院内または院内獲得病原体。
本発明による銀組成物は、ヒトまたは動物の衛生または健康を危険にさらすことなく、居住領域におよびその周辺に噴霧することができる。本発明による銀組成物を噴霧する手段または拭く手段を用いてエナメルを引きまたは塗布することで、壁、テーブル、イス、軽備品(light fixtures)、浴室、ガラス、磁器、金属、光沢セラミック(glazed ceramic)から成る群から選択される表面を消毒することが可能である。好ましい消毒方法は、消毒する表面を清掃し、スプレー、モップ、スポンジ、または布を用いて本発明による組成物を塗布し、消毒する領域を徹底的にぬらし、少なくとも20℃で少なくとも10分間表面をぬらしたままにし(時間/温度の相互関係は、アレニウス式または当業者に既知のその他の方法で調整することが可能である)、および清潔なペーパーまたは布タオルで表面を拭き取る1以上の工程を含む。表面を消毒するための組成物には、5から40ppmの銀を含むものを含む。表面を消毒するための本発明による好ましい銀組成物は、(32±2)ppm銀を含む。表面を消毒するための本発明によるその他の好ましい銀組成物は、(10±2)ppm銀を含む。表面を消毒するための本発明によるその他の好ましい銀組成物は、(22±2)ppm銀を含む。
超殺菌剤(super disinfectant)としての銀組成物の有効性の証明
A.例の目的
本例の目的は、試験菌であるペスト菌であって腺ペストの病原因子に対する本発明の銀組成物(ここでは、10ppmの銀、14ppmの銀と1.5重量%の過酸化水素、および32ppmの銀)の抗微生物活性を示す。ペスト菌懸濁液を用いる標準的な殺菌時間アッセイを行うことにより、本発明の銀組成物が腺ペスト細菌にたいしても有効であることが示された。
B.材料と方法
ペスト菌の菌株D27を、コロンビア(Columbia)寒天プレート上で、約24時間30℃で、5%COインキュベータ中で増殖させた。プレートから増殖したものを、3mlの滅菌HPLC水を用いて懸濁液中にかきとった。懸濁液を50mlの円錐状の遠心分離管に移した。その後プレートをさらに2mlのHPLC水を用いてすすいだ。このすすいだものを遠心分離チューブに加えた。チューブを3,500×gで5分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットを1mlのHPLC水中に再懸濁すると、mlあたり約1010の最終濃度を与えた。
方法は以下の工程を含んだ。すなわち、
1.試験する9.9mlアリコートの銀組成物を滅菌の20mm×150mmチューブ中に入れた。チューブを20℃の水浴中で平衡化させた。
2.銀組成物のチューブに、ゼロ時において100mlの試験菌懸濁液を接種し、混合物を生じた。チューブを即座にボルテックスし、水浴に戻した。
3.10ppmまたは32ppmの銀については2分、3分、4分および5分において、14ppmの銀と1.5v/vのHについては2分、4分、6分および8分において、1mlの菌/銀混合物を、250ml三角フラスコ中の99mlの中和剤に移した。このフラスコを十分に混合した。
4.中和された懸濁液を即座に連続的に、生理食塩水溶液(PSS)中で1:10に希釈した。
5.選択された希釈チューブおよびフラスコ中の生菌の数を膜ろ過によりアッセイした。1mlアリコートをデュープリケートでおいた。膜を約150ml(またはサンプルを中和剤フラスコから取り出す場合には250ml)の滅菌済みのリン酸緩衝生理食塩水を用いて洗浄し、コロンビア寒天プレートを除去した。4および5分の中和剤フラスコの全部の残存内容物をプレートした。プレートを30℃で5%COインキュベータ中72時間インキュベートした。
6.各フィルタ上のコロニー数を数え、対数減少を計算した。
C.結果
10ppm銀についての結果を表7に示す。
Figure 0005337928
これらのデータについての計算した回帰方程式は、Y=2.3965+0.1696xである。これは、6の対数減少のための時間が21.2分であることを示す。
32ppm銀についての結果を表8に示す。
Figure 0005337928
14ppmの銀と1.5%v/vHについての結果を表9に示す。
Figure 0005337928
これらのデータについての計算された回帰方程式はY=1.371+1.024xである。これは、6の対数減少のための時間が4.52分であることを示す。
本発明の銀組成物は、ペスト菌であって腺ペストの病原因子に対して著しい殺菌活性を示した。32ppmの組成物は、2分未満において7を超える対数減少(本質的に完全な殺菌)を示した。データは、10ppmの銀は、6の対数殺菌を達成するためには約20分要することを示す。銀と過酸化水素水は、5分未満で、計算された6の対数殺菌を伴う著しい相乗作用を示す。これは、10ppmの銀単独よりもかなり優れている。14ppmの濃度の銀が選択される。というのは他の実験データは、過酸化水素と組み合わされたこの濃度の銀が、32ppmの銀生成物のものに近接する結果を達成し得るということを示したためである。
データのまとめ
以下の表Aは、種々の病原菌およびヒトのかかる病気に対する本発明の銀組成物の効果に関する上記の結果のまとめを包含する。いくつかの場合において、示されるデータは上で繰り返されない。しかしながら、この結果は、上で説明した手順を用いて得られ、従って、当業者は容易にこの結果を反復することができる。
本発明の銀組成物により治癒したヒトのかかる病気および本発明の銀組成物により殺菌された病原体
Figure 0005337928
Figure 0005337928
ヒドロゲルとして配合された銀コロイドの有効性
現代の創部のケアについては、最適な治療は無菌状態に保たれ、かつ乾燥および環境汚染物から保護されるべきであるという事実が認められている。伝統的な絆創膏が、環境汚染物からの保護を提供するのに有効であるが、乾燥を防ぐという点においては大体は効果がない。絆創膏は、種々の殺菌剤物質の添加を通じて抗微生物とされ得るが、これらの物質はしばしば刺激が強く、病原菌と共に細胞を殺すか体にダメージを与える。最近、創部のケアはヒドロゲル材料により一変され、これは半固体(アモルファス材料)または柔らかいシート状材料として利用できる。ヒドロゲルは親水性であるため、創部の乾燥を防止する。シート状材料は、環境汚染物を遮断するという点において有効であり、またその親水性性質のため、ヒドロゲルは実際は、創部から染み出す過剰な流体を吸収することができる。
ヒドロゲルは、水溶液中で親水性ポリマーと他の成分組み合わせることにより生成する。ポリマーはpH、温度の変化または他のトリガーイベントの結果ゲルを形成する。ゲルにおいて、ポリマーの微細な分子ネットワークが水溶液の領域を取り囲む。組成物はアモルファス状の半固体か、安定したシート状材料(firmer sheet-like material)であり得るが、親水性ポリマーとは対照的に、体積の大部分が水溶液に占められている傾向がある。ヒドロゲルの製造に適している親水性ポリマーは、ゼラチン、カルボキシ−メチルセルロース(および他のセルロース誘導体)、アルギナート、カラギーナン、キサンタンガム、イナゴマメガム、ガムトラガント(gum traganth)、グアーガム、アラビアゴムおよび他の植物性ガムのような植物性若しくは藻類の他の炭水化物ポリマー、アクリル酸コポリマー(カルボポール(Carbopol)のようなもの)、並びにこれらと同様の親水性ポリマーの組み合わせを含む。
水性成分は、好ましくは、種々の添加物質を含み、これはヒドロゲルの物性を高め、および/または創部の治癒を高める。これらは、治癒を高めるか、傷跡形成を抑えて傷を小さくするために加えられる種々のビタミン、アミノ酸、および増殖因子を含む。ノボカイン、リドカインおよびそれらの誘導体のような一般的な麻酔薬も、鎮痛を高めるための添加剤として取り込んでもよい。創部を無菌状態に保つことがドレッシング材の主要な目的であるために、種々の抗微生物薬または殺菌剤が有利には含まれる。これらは、クエン酸、稀酢酸、安息香酸、プロピオン酸、および乳酸のような有機酸を含む。イソプロパノールまたはエタノールのようなアルコールも有用であり、「TCP」(2,4,6トリクロロフェノール)、ビグアニド、クロルヘキシジン(セトリミドと混合される場合)、グルコン酸クロルヘキシジン、および酢酸クロルヘキシジンのような塩素化フェノール類を含む有期殺菌剤も有用である。両性界面活性剤、並びにホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドのようなアルデヒドを含む殺菌用界面活性剤を含むこともできる。ヨード、ヨードフォア、およびポリビドンヨードを含むハロゲン殺菌剤も有効であり、過酸化物および過酸化水素のような他の酸素添加体(oxygenator)も有効である。他の有益な成分は、アルミニウム−亜鉛収斂剤、フラン誘導体、クリオキノールのようなキノリン誘導体を含む。全てのこれらの抗微生物薬は有益であり得ると同時に、これらは、組織を損傷し得る、および/または病原菌が容易にこれらに対する耐性を持つようになり得るという欠点に苦しむ傾向がある。
上記に十分に示した通り、本発明の銀コロイドは抗微生物的に非常に効果的であり、ヒトの組織に対して非常に優しく、また耐性菌に対して効力がある。アモルファスゲルとヒドロゲルシートの双方が、湿った治癒環境におけるコロイド銀の有効量の送達に従順である。一方で、アモルファスヒドロゲルは、組織滲出液中でゆっくりと軟化し、徐々に溶解し始めるに従ってコロイド銀をゆっくりと放出する。他方、アモルファスヒドロゲルは、組織に水分を提供すると同時に、コロイド銀を部位に提供する。加えて、ドレッシング材中に存在する少量のコロイド銀は分子銀(molecular silver)であるという利点を有し、その長時間に亘る緩やかな還元(reduction)は銀イオンを放出し、これは優れた微量作用活性を有する。
最初の実験の後に、カルボポール(Carbopol)を、本発明のコロイド銀と共に使用するための有効なヒドロゲル生成剤として選択した。ベーシックな調合を作製し、これは一般的に、表9aに示す以下の成分を含んだ。
Figure 0005337928
全ての原料を、
1.抗菌(antibacterial)性、
2.物理的性質および化学的性質
1.外観
2.匂い
3.pH
4.感触
5.密度
6.起泡性
7.流動性
について第一に分析した。
コロイド銀溶液(22ppmまたは32ppm)
この調合において、銀溶液は活性成分(抗微生物剤)として用いる。この具体的な調合において唯一の希釈剤でもある。
A.抗菌活性
Figure 0005337928
物理的性質および化学的性質
1.外観 無色の透明な液体
2.匂い 無臭
3.pH 5.0
4.感触 該当なし
5.密度 1.0
6.起泡性 該当なし
7.流動性 該当なし
[カルボポール(Carbopol)]
カルボポールは、カルボキシポリメチレンまたはカルボキシビニルポリマーとして化学的に知られている。これはアクリル酸のコポリマーであり、高度にイオン性(すなわち、親水性)であり、またわずかに酸性の化合物である。最大の粘性率を得るために、カルボポールポリマーを中和する必要がある。これは、調合分野、化粧品分野および捺染分野において、増粘剤、懸濁化剤、分散剤および乳化剤として用いられる。この調合において、カルボポールはゲル化剤または増粘剤として用いられる。
A.抗菌活性 該当なし
B.物理的性質および化学的性質
1.外観 乾燥、白色パウダー
2.匂い 無臭
3.pH 該当なし
4.感触 該当なし
5.密度 該当なし
6.起泡性 該当なし
7.流動性 該当なし
[トリエタノールアミン]
(TEA)C15NO(分子量:149.19)
この調合において、トリエタノールアミンであるアルカリ化剤は、カルボポールを中和し、粘性率を上げる。これはまた、活性剤の浸透力を上昇させる。
A.抗菌活性(該当なし)
B.物理的性質および化学的性質
1.外観 無色の粘稠液
2.匂い わずかにアンモニア臭
3.pH 該当なし
4.感触 該当なし
5.密度 1.1242g/cc
6.起泡性 該当なし
7.流動性 該当なし
[プロピレングリコール]
分子量:76.09
プロピレングリコールは、1:2プロパンジオールとして化学的に知られている。当該調合においては保湿剤および感触改変剤(feel modifier)として用いられる。
A.抗菌活性 該当なし
B.物理的性質および化学的性質
1.外観 無色の粘稠液
2.匂い 無臭
3.pH 該当なし
4.感触 該当なし
5.密度 1.036gm/cc
6.起泡性 該当なし
7.流動性 該当なし
標準的な配合を作成したら、多くのバッチを製造し、可能性のある範囲の配合物を検討する。行われた19の実験から、以下の観察結果に至った。
1.pHの上昇は、ゲルの粘性率を上昇させる。
2.カルボポール量の増加は、ゲルの粘性率を上昇させる。
3.カルボポールのパーセンテージが高いほど、粘着性が高い。
上記の実験から、用いられるカルボポールとTEAの量と、最終的なpH(これは8.5を超えるべきでない)との間の折り合い(trade-off)を達成する必要があるという結論を下すことができる。調合No.18を標準として保存し、バッチを10kgにまでスケールアップした。
製品開発研究のイントロダクション
カルボポールベースのゲル調合物を、pH、感触、粘着性および稠度について標準化させる必要がある。この点を考慮して、メインバッチを用意する前に、適切な品質と感触の製品を得るために、水相として水を用いる実験用バッチを用意した。
バッチNo.SG/001 調合物:
パートA:蒸留水 83.50g
カルボポール 00.62g
NaOH 18% 00.60g
パートB:蒸留水 1.00g
プロピレングリコール 5.00g
NaOH 18% 1.50g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でNaOH18%を加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 10.8
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/002調合物:
パートA:蒸留水 83.50g
カルボポール 00.62g
TEA 01.20g
パートB:蒸留水 1.0g
プロピレングリコール 5.0g
TEA 1.5g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 7.9(SOP−08)
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/003調合物:
パートA:蒸留水 86.00g
カルボポール 00.62g
TEA 01.20g
パートB:蒸留水 2.00g
プロピレングリコール 5.00g
TEA 1.50g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.62
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/004調合物:
パートA:蒸留水 86.00g
カルボポール 00.62g
TEA 01.00g
パートB:蒸留水 2.00g
プロピレングリコール 5.00g
TEA 1.50g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.5
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/005調合物:
パートA:蒸留水 86.0g
カルボポール 0.62g
TEA 1.20g
パートB:蒸留水 2.00g
プロピレングリコール 7.00g
TEA 1.50g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.7
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/006調合物:
パートA:蒸留水 85.00g
カルボポール 00.62g
TEA 01.00g
パートB:蒸留水 1.00g
プロピレングリコール 5.00g
TEA 1.40g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.4
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/007調合物:
パートA:蒸留水 172g
カルボポール 1.24g
TEA 2.40g
パートB:蒸留水 6.0g
プロピレングリコール 10g
TEA 2.80g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.28
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/008調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
カルボポール 0.62g
TEA 1.20g
パートB:銀溶液(32ppm) 2.0g
プロピレングリコール 5.0
TEA 1.5g
手順:パートAから所定の量の銀溶液を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら銀溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.65
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/009調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 172g
蒸留水 12g
カルボポール 1.24g
TEA 2.40g
パートB:銀溶液(32ppm) 6.00g
プロピレングリコール 10.0g
TEA 2.80g
手順:パートAから所定の量の銀溶液を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら銀溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.54
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SGl010調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 172g
蒸留水 24g
カルボポール 1.39g
TEA 2.40g
パートB:銀溶液(32ppm) 6.00g
プロピレングリコール 5.00g
TEA 2.80g
手順:パートAから所定の量の銀溶液を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら銀溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.43
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/011調合物:
パートA:蒸留水 98g
カルボポール 0.76g
TEA 0.56g
パートB:蒸留水 3.0g
プロピレングリコール 5.0g
TEA 1.4g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 8.05
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG1012調合物:
パートA:蒸留水 98g
カルボポール 0.76g
TEA 0.34g
パートB:蒸留水 3.00g
プロピレングリコール 5.00g
TEA 0.64g
手順:パートAから所定の量の蒸留水を量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながら蒸留水にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 6.35
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/013調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
蒸留水 12g
カルボポール 0.76g
TEA 0.32g
パートB:銀溶液(32ppm) 3.00g
プロピレングリコール 5.00g
TEA 0.64g
手順:パートAから所定の量の銀溶液と蒸留水とを量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながらこの溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 6.7
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/014調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
蒸留水 12g
カルボポール 0.78g
TEA 0.32gm
パートB:銀溶液(32ppm) 3.00g
プロピレングリコール 5.00g
TEA 0.64g
手順:パートAから所定の量の銀溶液と蒸留水とを量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながらこの溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 6.6
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/015調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
蒸留水 12g
カルボポール 0.68g
TEA 0.40g
パートB:銀溶液(32ppm) 5.0g
プロピレングリコール 7.0g
TEA 0.6g
手順:パートAから所定の量の銀溶液と蒸留水とを量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながらこの溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 6.72
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/016調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
蒸留水 12g
カルボポール 0.64g
TEA 0.40g
パートB:銀溶液(32ppm) 5.0g
プロピレングリコール 7.0g
TEA 0.6g
手順:パートAから所定の量の銀溶液と蒸留水とを量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながらこの溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 6.87
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/017調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
蒸留水 12g
カルボポール 0.62g
TEA 0.4g
パートB:銀溶液(32ppm) 5.0g
プロピレングリコール 7.0g
TEA 0.6g
手順:パートAから所定の量の銀溶液と蒸留水とを量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながらこの溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 7.05
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 非常に粘着性がある。
バッチNo.SG/018調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
蒸留水 12g
カルボポール 0.58g
TEA 0.4g
パートB:銀溶液(32ppm) 5.0g
プロピレングリコール 7.0g
TEA 0.6g
手順:パートAから所定の量の銀溶液と蒸留水とを量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながらこの溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 7.40
2.流動性 90℃≧ >5分
45℃≧ >5分
3.粘着性 スムーズ。
バッチNo.SG/019調合物:
パートA:銀溶液(32ppm) 86g
蒸留水 12g
カルボポール 0.54g
TEA 0.4g
パートB:銀溶液(32ppm) 5.0g
プロピレングリコール 7.0g
TEA 0.6g
手順:パートAから所定の量の銀溶液と蒸留水とを量り取り、水浴中で70℃に保持する。塊を回避するために絶えず撹拌しながらこの溶液にカルボポールを加える。ここに20分後に70℃でTEAを加える。パートBからの全ての成分を量り取り、水浴中で70℃に15〜20分間保持する。パートAにパートBを加え、10〜15分間撹拌する。これを室温にまで冷却して分析する。
結果:1.pH 7.65
2.流動性 90℃≧ >1分
45℃≧ >2分
3.粘着性 スムーズ。
リマーク:ゲルの感触は改善されたが、稠度が適切でない。
上記の結果に基づいて、1キログラムバッチについて以下の指示を行った。
パートA:銀溶液(32ppm) 860gm
蒸留水 100gm
カルボポール 5.80gm
TEA 4.00gm
パートB:ASAP溶液 50.0gm
プロピレングリコール 70.0gm
TEA 6.0gm
収量1.0Kg 水分の蒸散についての調整後
手順:清潔な滅菌容器中に、必要量の蒸留水と銀溶液を入れる。撹拌しながら溶液の温度を70℃に上げる。連続的に撹拌/均一化しながら微量ずつカルボポールの添加を初める。全てのカルボポールを添加した後、30分間そのままにする。(バッチの大きさにより時間を調節する)。その後、フェーズA溶液(phase A solution)にTEAを加える。
別の容器中で、パートBの全ての成分を混合する。温度を70℃に上げ、パートAにパートBをゆっくりと加える。完全に均一になったら、室温にまで冷却する。
事前注意:カルボポール分散は、優れたホモジナイザーを用いて行う必要がある。新しいロットのカルボポールを用いる場合には、小さい試験バッチを用意する。長時間の加熱はより多くの水損失をもたらすために、加熱は最小限にする。
結果 1.pH 7.4
2.流動性 >5分
3.粘着性 スムーズ
この調合を、10kgに直ちにスケールアップした。スケールアップ中に問題は直面しなかった。取り込まれた空気を除去し、一定の充填を確実にするために、真空アプリケーションによる脱気が推奨される。
この配合は、表10に示す以下の物理的性質および化学的性質を有する。
Figure 0005337928
微生物学的評価
銀コロイドヒドロゲルは、上に示したように広範囲に亘って試験したオリジナルの銀コロイドと同様の微生物学的性質を有すると推測することは理にかなっている。しかしながら、ゲルを生成するための親水性ポリマーの添加は、銀の微生物性質(microbial property)に干渉し得るか、または銀の拡散を阻止するために有効性が低減する可能性がある。従って、銀コロイド溶液において行ったものと同様の微生物学的試験を、銀コロイドヒドロゲルにおいて行った。
最初に、ヒドロゲルを、組成物が自己殺菌性(self-sterilizing)であるか否かを決定するために試験した。続くプロトコールは以下の通り。
100mlの滅菌液状チオグリコール酸培地(嫌気性細菌)、滅菌ダイズカゼイン消化培地(soybean casein digest medium)(好気性細菌)、およびポテトデキストロースブロス(菌類)のフラスコを入手し、試験する約100mgのゲルのサンプルを無菌で複数の組のフラスコ中に移した。1つの組を37℃でインキュベートし、他の組を室温で1週間インキュベートした。この時間後、フラスコを検査すると、濁りや、微生物の増殖のサインは示さなかった。ゲルサンプルは無菌条件下で製造されていないために、組成物は自己殺菌性であるという結論を下すことができる。100mgのゲルを各試験に用いた。これは、100mlの培地中2.2μgまたは培地のmlにつき0.02214若しくは0.032μgの銀に相当する。この濃度では、銀は抗微生物活性を有さないと考えられ、従って偽陰性の結果(false negative result)を除去することができる。
続いて、種々のテスト菌を用いて、上記した通りに作製した22若しくは32ppmの銀溶液、または22若しくは32ppmの銀ゲルにより達成される抑制領域を比較し、表11に示す。各微生物の0.1mlのアリコートまたは活発に増殖した18時間培養物(約10CFU/ml)を滅菌寒天培地プレートに広げた。10mm直径の穴を、穿孔器によりそれぞれの接種されたプレートに開けた。テスト量の(0/2〜0.3g)の製品を各穴中に入れ、プレートを24時間インキュベートした。この時間後、プレートを検査し、以下の抑制領域(各領域の全直径)を測定した。
Figure 0005337928
これらの結果は、ゲルの抑制効果は本質的に、銀コロイド溶液のものと等価であることを示す。このことは、ゲル化ポリマーは、銀コロイドの抗微生物力に負の影響を与えないということを示す。いくつかの培養物(化膿連鎖球菌(S.pyogenes)、ジフテリア菌(C.diphthesiae)、および黄色ブドウ球菌(S.aureus))を血液寒天培地上で培養した。結果は、銀ゲルは、血液の染み出す創傷にも有効であることを示唆した。
同様のテストを、種々の抗生物質薬を用いて、同じ菌種において行った。いくつかの場合に、抗生物質は銀化合物よりも有効であったが、他の場合にはこれらははるかに有効ではなかった。このことは、用いた菌株が弱まっていないか、または「影響を受け易い(push-over)菌株ではなかったことを示す(表12aおよび12bを参照されたい)。
Figure 0005337928
Figure 0005337928
ハンドスクラブテスト
ヒドロゲルは、皮膚表面への銀の付着力を高める能力を有するために、ハンドスクラブとしてのゲルの有効性を評価した。このテストのために、ボランティアの手の1インチスクエアに印を付け、1gのゲルを用いてこすり洗いした。コントロールの領域を、滅菌蒸留水でこすり洗いした。これらの領域をスワブでふき取り、このスワブで寒天培地に画線した。スワブでのふき取りを4時間の間、各時間毎に繰り返した。画線したプレートを24時間37℃でインキュベートし、結果を評価した。
以下の表13に示されるように、コントロールのスワブは、多すぎて計測できない(TNTC)ほどの多くの細菌が増殖した。銀ゲルで処置した領域は、3時間の間本質的に無菌のままであり、4時間目でほんのわずかな増殖を示した。このことは、刺激の強い化合物または洗浄(irrigating)化合物を用いることなくその手の表面を消毒する必要がある医療従事者に優れた結果を提供するに違いない。
Figure 0005337928
ヒドロゲルは、非常に優れた創傷治癒性質を示すが、典型的なヒドロゲルの欠点は、微生物はしばしば、マトリックスを介して移動することができるということである。つまり、創部がヒドロゲルにより覆われ、創部のある領域が感染した場合に、感染性微生物はヒドロゲルを介して移動することがあり、他の領域も感染する。この可能性を、ヒドロゲルのストリップを用いて、寒天培地プレート上の離れた領域に橋渡しすることによりテストした。各寒天プレートを、プレートの直径に沿って2cmのストリップの寒天を取り除くことにより2つの領域に分離した。このギャップを1.5cmの広いストリップのヒドロゲルで橋渡しし、どちらの端においても約5mmで寒天に重なり合った。プレートの一方の側に約0.5mlの培養物を接種してプレートをインキュベートし、微生物がヒドロゲル「ブリッジ」を横断することができるかどうかを確かめた。表14の結果は、銀ヒドロゲルは完全に移動を防いだということを示す。
Figure 0005337928
上に示す結果から、プロトタイプのゲル配合を選択し、以下の例において変化を示す。
例A:
1Kgのバッチのゲルについては、以下に示すパートAおよびパートBの成分を用意する。
パートA
本発明の銀コロイド32ppm 860g
蒸留水 100g
Carbapol 6.8g
トリエタノールアミン 4.0g
パートB
本発明の銀コロイド32ppm 50g
プロピレングリコール 70g
トリエタノールアミン 6.0g
最初に必要量の蒸留水と銀溶液を撹拌器中に入れ、撹拌を始める。ゆっくりと Carbapol (Noveon,米国)を加える。カルボポールを分散させ、塊の形成を回避するために、撹拌は十分に激しくする必要がある。撹拌中、温度を60〜70℃に維持する必要がある。
ビーカー中でパートBの全ての成分を混合する。70℃に加熱し、激しく撹拌しながらパートAに加える。撹拌を続け、室温にまで冷却する。バッチの収量をチェックする。約1000gmのはずである。トリエタノールアミンはカルボポールをゲルにする。
例B:
例Aにおけるように全ての成分を調製するが、1%のコラーゲンの添加を含む。これは、ゲルに抗微生物性と共に、足場タイプ(scaffolding type)の創部の治癒の促進を有するコラーゲンの利点を与え得る。
例C:
例Aにおけるように全ての成分を調製するが、1〜5%の範囲のアロエの添加を含む。これは、さらなる創部治癒性質を与え得る。
例D:
例Aにおけるように全ての成分を調製し、1〜10重量%のマルトデキストリン(maltodextrin)の添加を伴う。これは、創部の肉芽形成を促すゲル配合を提供し得る。
[銀ヒドロゲル結果のまとめ]
22ppmおよび32ppmの本発明の銀コロイド溶液を用いて、カルボポールベースのゲルを調製することができた。上述したように調製したゲルは、もとの銀溶液の性質を維持しながら所定の位置に留まるというその能力のために、その溶液対応物よりも多くの利点を有する。薬剤のアモルファスヒドロゲル性質は、湿性の創傷治癒促進の利点と、温度衝撃を制限することにより熱創傷の重症度を制限するという利点を与える。さらに、活性剤であるコロイド銀溶液は、先の実験において細胞株について試験されており、細胞傷害性でないことが判っている。
種々のバッチによりゲルの十分な物理化学的評価を行い、一連の詳細な方法を、製造中の製品およびプロセスを規格化し、コントロールするために用意した。
微生物研究を徹底的に行った結果、ゲルはその殺菌性を保つことを示す。銀移動研究をシュミレートし、最終的に、ゲルは創部に一定の時間に亘り銀を送ることができることを示す。配合デザインは、外側から内側への、逆の場合も微生物の移動を可能にしないであろう。
これらのテストは、出版物(Journal of Wound Care Vol 12, No 8 SEPT 2003)に基づいた銀ヒドロゲルの仮想の評価を示し、ここでは代替の銀ベースのドレッシング材が、
1.抗微生物抑制領域(antimicrobial zone of inhibition)、
2.微生物チャレンジテスト、
3.微生物感染テスト、および
4.ドレッシング材の銀含有量
について示される点について評価されている。
第1のテストにおいて、銀ヒドロゲルはグループBに位置し、残りの3つ全てのテストにおいては、銀ヒドロゲルはグループAにスコアされ、20のトータルポイントを得、これは、この試験において最も高くスコアされた市販製品である Calgitol Ag and および Acticot と同等であった。
コロイド銀溶液の抗菌性および抗ウイルス性は、創傷ドレッシング材を凌駕する銀ヒドロゲルについてのいくつかの重要な用途を切り開く。上記したように、ヒドロゲルは理想的な抗菌性ハンドスクラブである。加えて、銀コロイドとヒドロゲルの刺激の少ない特性は、男性性的用途または女性性的用途の理想的なパーソナル潤滑剤と、コンドームまたはペッサリーを組み合わせ、または組み合わせず、ここでこの組み合わせは、細菌、菌類(カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対する有効性に注目)、およびHIVのような危険なウイルスに対抗し、ペッサリーのような再利用できるバリアを消毒し得る。ヒドロゲルは殆ど油分を含まないために、ある種の他のパーソナル潤滑剤と異なり、コンドームまたはペッサリーに有害な効果を有さない。
ヒドロゲルハンドクレンザー(注意:ヒドロゲルおよびSILGELは、同じ本発明の製品を指し、本明細書中では交互に使用する)
清潔な手は、医療環境において、危険な病原菌の広がりおよび抗生物質に対する抵抗を防ぐ、最も重要な唯一のファクタであることが報告されている。よって、MMWR dated October 25, 2002/VOL 51/No RR-16 のガイドラインに従って、手の衛生用製品としての、SILGELとして知られるヒドロゲルの有効性をチェックすることとした。
以下の標準的な操作手順を用いた。
必要な材料(SOP):
セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)の標準懸濁液(10cfu/ml)、水道水、滅菌ゴム手袋、無菌のサンプリング溶液、滅菌トリプシンダイズ寒天(triptic soya agar)、滅菌ピペット、滅菌試験管
方法
1. 5mlのセラチア・マルセッセンスの標準懸濁液を手、および手の表面に渡って塗布する。
2. 手、および前腕の下1/3に3mlのテスト材料を広げる。
3. 手に2mlの水道水を加え、これらを泡立てる(図1を参照)。
4. 水道水で、30秒間、RTにおいて手と前腕をすすぐ。
5. 工程2〜4の手法を繰り返す。
6. 1回目、3回目、7回目および10回目の洗浄の後、サンプリングに用られる滅菌ゴム手袋を左右の手の上にはめる。
7. 75mlの無菌のサンプリング溶液を手袋中に注ぎいれる。
8. 手の全表面を1分間マッサージする。
9. 滅菌トリプシンダイズ寒天を用いる生菌数方法による定量分析のためにサンプルを無菌で得る。
10. スプレッドプレートテクニック(spread plate technique)を、オリジナル、希釈として10−1、10−2および10−3を用いて行う。
プレートを37℃で24時間インキュベートする。
材料および方法
上記したSOPにおける手順を用いた。
用いた培地:滅菌トリプシントリプシンダイズ寒天(St.tryptic sora agar)
用いた菌株:16時間後の古いセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)の培養物(おおよその濃度は、10CFU/ml)
インキュベーション温度:37℃
インキュベーション時間:24時間
評価製品:Silgel 22および32ppm、Spitaderm、Liquid clean、Sterillium
結果:結果を表15a〜15e、16a〜16eに示す。
左手
Figure 0005337928
右手
Figure 0005337928
まとめ:SILGEL 32ppmとSILGEL 22ppmは、手の衛生製品としての有効性についてのTFM(暫定的最終モノグラフ(tentative final monograph))を満たし、これは、有効性を、1回目の使用後のそれぞれの手の指標細菌の2の常用対数減少と、および10回目の使用の5分以内のそれぞれの手の指標細菌の3の常用対数減少と特定する。さらに、SILGELは、SterilliumおよびSpitaderと比較して手洗いにより有効であった。最終的に「擦ること(rub on)」で、ハンドクレンザとしてのSILGELは、流し台の必要性を除き、また使用者の手を乾燥させず、刺激する傾向もなく、むしろ使用の領域に潤いを与える傾向があり得るために十分に容認され得る。
創傷ドレッシング材材料としてのヒドロゲル
イントロダクション
ヒドロゲルドレッシング材は、部分層創傷および全層創傷、深い創傷(アモルファス、浸透させたガーゼ)、壊死またはかさぶたを伴う創傷、軽い火傷、または照射により損傷を受けた組織を扱うための一次ドレッシング材として(アモルファス、浸透させたガーゼ)、または一次若しくは二次ドレッシング材(シート)として用いることができる。
今日マーケットにあるほぼ全てのヒドロゲルは、抗微生物薬を含まない。これは、抗生物質および消毒剤は潜在的に細胞毒であり、しばしば創閉鎖(wound closure)を遅らせるためである。
本発明の銀/水溶液は細胞毒性でないために、本発明で扱う銀ナノ粒子を用いるヒドロゲルを調製することが決定された。
近年、特別に調製されたヒドロゲルが、放射線誘発皮膚炎の取り扱いに導入されている。これらのドレッシング材は、冷却効果を提供する高い比熱を有し、水、血清または血液中で少なくとも3倍吸収し得る。
利点
・痛みを鎮静し和らげる
・創傷床に水分を補給する
・自己融解デブリードメント(autolytic debridement)を促進する
・ベッドスペース(bed space)をふさぐ(アモルファス、浸透させたガーゼ)
・最小限から中程度の吸収を提供する
・創傷に容易に適用し、除去できる
・感染が存在する場合にも用いることができる
・創傷床の観察を提供する
欠点
・かなりの滲出液を伴う創傷については通常推奨されない
・時として二次ドレッシング材を必要とする
・カバーしないと容易に水分を失う
・時として入手が困難であり得る
・時として浸軟を引き起こし得る。
手順
本発明のヒドロゲルを、志願者の創傷ドレッシング材料として、シート形態で調製した。ヒドロゲルのシート形態は、交互にSILDERMと呼ぶこともある。
結果
SILDERM−水分蒸散
目的
・SILDERMの水分蒸散を測定する。
手順
必要な装置
・化学天秤
必要な材料
・プラスチックトレイ
方法
・空のトレイの重量を測定する
・このトレイの上にSILDERMシートを載せる
・トレイ+SILDERMシートの重量を測定する
・t=0時間としてこの測定値を記載する
・1時間毎に測定値を調べる
・終夜で測定値を調べる
・時間に対する水分蒸散のグラフをプロットする
・水分蒸散のパーセンテージを決定する
結果:以下の表17と図34を参照のこと
Figure 0005337928
まとめ:SILDERMシートは、水分をその重量の30%失うという結論を下すことができる。
SILDERM−吸湿
目的
・脱水したSILDERMの吸湿能力を決定する
手順
必要な装置
・化学天秤
必要な材料
・ビーカー
方法
・グラムでSILDERMシートの重量を測定する
・t=ゼロ時間としてこの測定値を記載する
・ビーカーに水を満たす
・SILDERMシートをビーカー中に完全に浸るように入れる
・1時間間隔で、シートを取り出し、ぬれたまま干し、その重量を測定する
・終夜で測定値を調べる
・時間に対する吸湿のグラフをプロットする
・脱水したゲルの吸湿のパーセンテージを計算する
結果:(以下の表18および図35を参照のこと)
Figure 0005337928
まとめ:脱水SILDERMシートは、水分をその重量の52%吸収することができる。
SILDERM−銀放出
目的
・SILDERMからの銀ナノ粒子の徐放の測定
方針
・ヒドロゲルドレッシングシートは、通常、創部に48〜72時間置かれる。この状況において、銀放出に関するこの時間に亘るドレッシング材の抗微生物活性を決定することが望ましいであろう。
必要な装置
・インキュベータ、ラミナーフロー(Laminar Flow)
必要な材料
・滅菌寒天培地、滅菌綿棒、マイクロピペット(容量100μl〜1000μl)、16時間後の古い緑膿菌(野生型)の培養物
方法
・SILDERMを4cm×3cmにカットする
・緑膿菌(野生型)を綿棒で塗った寒天培地上にSildermを置く
・37℃で18時間インキュベートする
・縦横にインキュベーションの領域をチェックする
・新たに緑膿菌を綿棒で塗布した寒天培地上に同じSILDERMピースを置く
・上記をインキュベートする
この手順を最低7日間繰り返す
結果:プリンティング時に、SILDERMは、以下の表19に示すように3回の移動(transfer)について抑制活性を示した。
Figure 0005337928
まとめ:SILDERMヒドロゲルは、24時間毎の新しい接種材料の3回のチャレンジに対して持続した抗微生物活性を発揮することができた。
上記態様についての培地組成は、以下の通りであった。
寒天培地
ペプトン 10.0gm
塩化ナトリウム 5.0gm
ミートエキス 3.0gm
蒸留水 900ml
寒天 2.5gm
pH 7.2±0.2
さらに、以下のものをもって、SILDERMの配合をすることが可能である。
・コラーゲン
人体中最も豊富なタンパク質であるコラーゲンは繊維状で不溶性であり、繊維芽細胞により生成される。その繊維は、皮膚、骨、靱帯および軟骨を含む結合組織中に見られる。創傷治癒中、コラーゲンは、創傷床において新しく形成されるコラーゲン繊維および肉芽組織の堆積および組織化(organization)を促進する。また、治癒を促す環境を形成する、新しい組織発達および創傷デブリードメントを模擬する。
・マルトデキストリン(Maltodextrin)
マルトデキストリンは創傷治癒プロモータであり、これはマクロファージ活性化および誘引(attraction)により治癒を加速し、これにより感染を減じ、および肉芽形成を促進する。
・血小板由来増殖因子(PDGF)
PDGFは、創傷治療および肉芽組織の形成を高めることに関与する、細胞の走化性(chemotactic)の補充および拡散を促進する。これは、下肢の糖尿病神経障害性潰瘍(diabetic neuropathic ulcer)を治療するために主に用いられる。
EDTA2ナトリウムおよび添加剤
EDTA2ナトリウムは、種々の天然および合成双方の化合物の抗菌効果を高めることが知られており、これは、細菌の細胞壁の浸透性を高めることにより、抗菌化合物の導入を促進することをもたらすためと推測されるメカニズムによる。
金属キレート剤であり、バクテリア外膜透過剤(permeabilizer)であるエチレンジアミン四酢酸は、緑膿菌に対する種々の抗微生物薬の活性を高めることが示されている。抑制濃度以下のEDTAの添加は、大腸菌およびセラチア・マルセッセンスに対するセフプロジル(cefprozil)のMICを顕著に低下させた。
イミペネム(imipenem)、セフタジジム(ceftazidime)およびセフェピム(cefepime)に150mcgのEDTAを加えると、緑膿菌についての平均抑制領域直径が広がり得ることが報告されている。研究は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、緑膿菌の感受性に影響を与えたということを報告した。EDTAは、AgNOと一緒に用いた場合に、後者の抗菌活性を顕著に高め、従って、70マイクログラム/mlのAgNOに耐性を示す肺炎桿菌および黄色ブドウ球菌の菌株が、この化合物の10マイクログラム/mlに感受性があるようになることが観察された。
具体的な組成および一連のテストは、本発明の銀/水組成物が、EDTA2ナトリウムと共に有利に機能し得るか否かを決定するようにデザインした。具体的には、EDTA2ナトリウムを、インド、ムンバイのWest Coast Laboratoriesから購入した。EDTA2ナトリウムは、NaEDTA(エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム)として知られ、式(CHN(CHCOOH)CHCOONa)・2HOを有し、分子量372.24を有する。
このテストに用いた培地は、寒天培地(HiMedia)1000ml;B.NO.1G115exp.Aug2006;動物性組織のペプシン消化物(peptic digest)50.00g;酵母エキス1.50g;ビーフエキス1.50g;塩化ナトリウム5.00g;寒天Agar type−I 25g;pH7.4±0.2であった。
微生物菌株
32ppmの銀/水組成物単独、22ppmの銀/水組成物単独、および32ppmの銀/水組成物と22ppmの銀/水組成物をNaEDTAに加え、これを、
便サンプルからの大腸菌(多剤耐性株)、
唾液からの緑膿菌(多剤耐性株)、および
腰部からの膿からのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(多剤耐性株)
を含む微生物のパネルに対してそれぞれ試験した。
上記したMDR株は、P.D.Hinduja Hospital(ムンバイ、インド)から得た。
フレクスナー赤痢菌(実験室株(lab strain))
チフス菌(実験室株)
細菌株を24時間37℃で、寒天培地(pH 7.4)上で培養した。
NaEDTTAに加えた32ppmと22ppmの希釈物を、滅菌蒸留水中で調製した。各微生物を滅菌生理食塩水中に懸濁させ、1016コロニー形成単位(cfu/ml)に希釈した。これらを、滅菌綿棒を用いて、寒天培地の表面上に塗布した。ウエル(直径10mm)を寒天にパンチし、0.1mlのそれぞれの希釈物をここに供給した。約24時間37℃のインキュベーションの後、全てのプレートを、全ての増殖抑制領域について試験し、直径をゾーンリーダー(zone reader)(Hi Media)を用いてmmで測定した。結果を表20に示す。
結果およびディスカッション
Figure 0005337928
0.5ppmのEDTA2ナトリウムは、22ppmおよび32ppm濃度レベル双方の本発明の銀/水組成物の有効性を明確に高める。
単独での抗菌としての銀EDTA
具体的な組成および一連のテストは、銀EDTA(すなわちAgEDTA)のような銀キレートが、抗菌性を有するか否かを決定するようにデザインした。具体的には、市販の銀EDTA組成物を、AKZO NobelおよびAlpha Chemicalsから入手した。
必要な装置:
・インキュベータ,ラミナーフロー
必要な材料:
・滅菌寒天プレート、滅菌綿棒、マイクロピペット(容量100μl〜1000μl)、16時間古い以下の菌株、大腸菌(野生型)、大腸菌(MDR)、緑膿菌(野生型)、緑膿菌(MDR)、黄色ブドウ球菌ATCC 6538P、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の培養物(おおよその濃度は108CFU/ml)
方法:
・所定のテスト微生物の16時間古い培養物を、滅菌寒天培地プレートに綿棒で塗る
・このプレートを、吸収のために15分間そのままにしておく
・15分後、10mmの穿孔器を用いて寒天表面に無菌でウエルを開ける
・ウエルに適切なサンプル希釈物の100μlを注ぐ。事前拡散のために15分間保持する
・このプレートを約37℃で24時間インキュベートし、結果を観察する
・HiMediaゾーンリーダを用いてmmで抑制領域を測定する
結果:以下の表21並びに図36および37を参照されたい
Figure 0005337928
まとめ:銀EDTAのような銀キレートは、抗菌有効性を有する。
抗生物質併用療法
最初に発見された際は、抗生物質は妙薬であるとうたわれ、事実そうであった。世紀の変わり目の前に命にかかわった伝染病は、今世紀の間に弱まり、殆ど迷惑とならなくなった。しかしながら、医薬はほぼぐるりと一回りした。抗生物質の乱用、過剰処方、および/または悪用は、バクテリアの耐性菌を生み出し、再びバクテリア菌株は健康と人命を脅かしている。
細菌による耐性の発達の一因となるいくつかの他のファクタは、農業目的のための、および農業におけるフードサプリメント(例えば、家禽、ウシ、豚等のための)としての抗生物質の使用である。抗生物質の過剰投薬は、多くの人々によれば、米国における農産業においてはびこっていると考えらており、また多くの外国においてもはびこっている。農業における抗生物質による治療は、しばしば、培養見本が研究所に送られてくる前であっても始まっている。鳥インフルエンザ(例えば、H5N1、すなわち「HPAI」)は、アジアの養鶏者による抗生物質の頻繁な使用に起因して抗生物質が全くきかなくなっている。患者は、また、小売店で抗生物質に容易に入手できる。不適切な投与量と不十分な治療期間も、耐性菌の発生の一因となる。耐性の問題に対する大きな臨床的悪影響が存在する。抗生物質に対する病原菌の耐性は、感染症の治療に深刻な影響を有している。特効薬であると信じられていた、ペニシリンのような多くの薬剤は、これが最初に導入された際は、効果的なコントロールの大きな可能性を有していたが、結果、これらに適応するバクテリアを有することになり、その適用を大きく減じることとなった。
抗生物質に対する耐性の問題は、今日世界的規模の問題である。特に病院で発見される菌株である黄色ブドウ球菌のようないくつかの一般的で、発病させやすい細菌は、バンコマイシンの他は全てに対して耐性があることが知られており、バンコマイシン耐性も程なく予測される。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)およびVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)は深刻な院内感染の原因であり、検出された際にはしばしば病棟が閉鎖され、破壊さえされる。
この問題に伴って、古いものに置き換わるか、または現存する抗生物質を有効利用するいずれかの新たな抗生物質のような代替物についての研究は急を要する。多剤耐性バクテリアの拡大する脅威は、本発明に従う銀/水組成物を検討するもっともな理由である。
抗生物質に対しての、かつてないほど高まる細菌の耐性を扱う方法の1つは、併用療法の使用を含み、これは、異なる作用機構を有する2以上の異なる抗生物質を使用する。種々のインビトロ方法が抗生物質の組み合わせの相乗効果の測定に利用できるが、異なるテストを用いた場合にはその結果は不一致を示すことがあり、また、これらに対する耐性の発達を全てが無視しないというわけでない。
目的と対象
本研究は、以下の目的および対象で行われた:
1.臨床分離株の多剤耐性(MDR)を測定すること
2.本発明の銀/水組成物に対する臨床分離株の感受性を割りだすこと
3.ディスク法(disc approximation test)により抗生物質の組み合わせ(相乗効果)を決定すること
4.抗生物質と本発明の銀/水組成物の最小発育阻止濃度(MIC)を測定すること
5.チェッカーボードアッセイによる、抗生物質と本発明の銀/水溶液の間の相乗作用を研究すること
材料と方法
臨床分離株の収集
以下の多剤耐性臨床分離株を、P.D.Hinduja Hospital,Cadell road,Mahim,Mumbai−400016,Indiaから収集した。
・大腸菌(便から分離)
・緑膿菌(唾液から分離)
・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA−腰部からの膿から分離)
培地、溶液および抗生物質ディスク
培地
・栄養ブロス
・寒天培地
・ミュラー(Muller)およびヒントン(Hinton)寒天
溶液
・抗生物質溶液
・銀/水溶液(22ppm)
本研究において種々の実験に用いた培地組成と溶液を表26(後に示す)に挙げる。
適切な濃度の容易に入手できる抗生物質ディスクを用いた。それぞれの抗生物質についてのディスク含有量を表27に示す(後に示す)。
接種材料調製:
白金耳量の純粋な増殖培養物を栄養ブロスに接種し、終夜、約37℃でインキュベートした。500mclの終夜の培養物を5mlの新しい栄養ブロスに移し、4〜6時間約37℃でインキュベートした。培養濃度は、約10〜10cfu/mlに調節する。
抗生物質感受性テスト カービー・バウアー(Kirby Bauer)法
この方法において、抗生物質を含浸させたディスクを、既に細菌溶液を接種した寒天プレート上に置く。抗生物質は周囲の培地に拡散して広がる。ディスクからの距離が増加するにつれ、抗生物質濃度における対数減少が存在する。ディスク周囲の透明な領域は、菌が抗生物質に対して感受性を有することを示す。透明な領域をミリメートルで測定し、標準的なNCCLSチャートと比較する。
方法
1.滅菌綿棒を上記の接種材料ブロスチューブ中に浸し、これを用いてM.H.寒天プレート上に広げ、密集成長を得た。
2.接種材料を培地に吸収させたら、抗生物質ディスクを、スプレッドプレートの表面に、滅菌ピンセットを用いて置いた。
3.プレートを約37℃で約24時間インキュベートした。
4.ディスク周囲の透明化は、菌の感受性を示す。領域直径を記録し、NCCLSにより提供されるスタンダードなチャートにより解釈した(表27を参照されたい)(Koneman 5thed.1997)。
10ppm−寒天拡散法に対する分離株の感受性の測定
これを、ウエルアッセイ法により測定し、ここで、分離株を寒天培地に大量に撒き、10ppmの銀/水組成物を、固体の接種された培地にパンチしたウエル(10mm)に加える。抑制領域を記載する。
方法
1.ミュラー・ヒントン寒天20mlを溶融させたもの(molten butt)に、0.5mlの接種材料を加え、ペトリプレートに注ぎ、固める。
2.ウエルを寒天層にパンチして開ける。
3.続いて、異なる濃度の銀/水組成物をそれぞれのウエルに加える。
4.プレートを約37℃で約24時間インキュベートした。
5.抑制領域のサイズを記録する。
抗生物質の組み合わせの決定 ディスク拡散テストによる
これは、臨床分離株と、抗生物質の組み合わせとの間の相互作用をテストするための、シンプルな定性テストである。このテストにおいて、抗生物質ディスクを、カービー・バウアーテクニックにより接種した寒天プレート上に置く。ディスクを、各ディスク単独で生じる抑制の直径の平均と等しいか、それよりもわずかに大きい距離だけ引き離すべきである。得られた抑制領域の形は、臨床分離株と、抗生物質の組み合わせとの間の一種の相互作用を示す。
方法:
1.滅菌綿棒を上記の接種材料ブロスチューブに浸し、これを用いてM.H.寒天プレート上に表面に塗り広げ、密集成長を得た。
2.接種材料を培地に吸収させた後、2つの抗生物質ディスク(組み合わせを研究する)を、表面に塗り広げたプレートに滅菌ピンセットを用いて、各ディスク単独で生じる抑制の直径の合計と等しいかわずかに大きい距離で置いた。
3.プレートを約37℃で約24時間インキュベートした。
4.抑制領域の形は、相互作用、すなわち相乗作用、拮抗作用、または中立(indifference)のタイプを示し得る。
図25は、細菌に関する相乗効果(bacterial synergy)についてのディスク拡散テストにおける可能性のある相互作用を示す図である。
特に、パートAは、相加効果または中立効果(indifferent effect)を示し、それぞれの抗生物質は、隣接するものにより影響をうけない抑制領域を生じている。パートBは、拮抗作用を示し、ここでは、各抗生物質の抑制領域は、他の抗生物質の存在で縮小している。またパートCは、相乗効果の2つの可能性のある徴候を示す。左手側で、広がった抑制帯が生じており、ここでは、2つの抗生物質が交わっている。右手側では、どちらの抗生物質もそれ自体では抑制しないが、2つの抗生物質が互いに拡散した場所では、細菌増殖が抑制されている。
抗微生物薬の最小発育阻止濃度(MIC)の測定。これは、微量希釈のブロス感受性テストである。抗微生物薬の滅菌希釈物をブロス中で調製し、これに標準細菌懸濁液を加える。インキュベーション時間の終わりに、チューブを、増殖について視覚的に観察する。目に見える増殖を抑制する抗微生物薬の最小濃度をMICとする。
用いた抗生物質:
アミカシン:Mikacin inj.(250mg)Aristo labs,Mubai India Batch no.02D054,2004年4月製造
セフォペラゾン:Magnamycin inj.(250mg) Pfizer Itd,Mumbai,Ind Batch no.32035153A,2003年3月製造
シプロフロキサシン:Cifran(200mg/ml) Ranbaxy Labs,Jaipur,India Batch no.9042601,2004年4月製造
方法
1.ある量の抗微生物薬を、適切な範囲で連続的に希釈する。
2.用いる抗微生物剤を含んでいないチューブを、増殖コントロールとして用いる。
3.それぞれのチューブに標準化細菌懸濁液を接種し、約37℃で約24時間インキュベートする。
4.インキュベート時間の最後に、濁度についてチューブを視覚的に検査する。濁度は、細菌増殖が、培地中に含まれる抗微生物薬の濃度により抑制されなかったことを示す。
5.MICは、目に見える増殖を抑制する抗生物質薬の最低濃度である。
チェッカーボードアッセイによる相乗作用の研究
チェッカーボードアッセイは、複合抗生物質および/または複合希釈を試験する際に用いられる方法である。連続した2倍希釈物を、MICの16分の1から少なくとも2倍の濃度が含まれるように選択した。ドラッグAを、縦座標に沿って連続的に希釈し、一方ドラッグBを、横座標に沿って連続的に希釈する。結果のチェッカーボードは、2つの抗生物質の各組み合わせを、正反対のコーナーにおけるそれぞれの最も高い濃度を含むチューブからもたらす。
Figure 0005337928
チェッカーボードアッセイにおけるドラッグ希釈物の準備
1つのみのドラッグを含む第1列およびカラムのチューブを、テスト分離株の個々のMICを確認するために用いた。
抗生物質を含まない1つのチューブが正のコントロールである。
1. 最終的に5mlの体積で、各チューブ中でブロス中に希釈された抗微生物薬が、適切な原液から加えられる。
2. 0.1mlの培養物懸濁液を加える。
3. 37℃で24時間インキュベートする。
4. 単独で用いられた抗生物質の同様に効果的な濃度を含む、同じ効果の全ての組み合わせを示す接点により得られるアイソボログラムを描くことにより示される。
計算:
Elion等(1954)は、組み合わせにおける2つの薬のFIC値の合計として定義されるFractional inhibitory concentration(FIC)インデックスに関して得られるMIC結果を定めるための方法を記載している。
FICインデックス=薬AのFIC+薬BのFIC
Figure 0005337928
0.5未満のインデックスは相乗作用の考えられる証拠であり、2.0よりも大きいインデックスは拮抗作用の証拠である(Koneman 5thed.1997)。
図26は抗微生物相乗効果についてのチェッカーボード滴定(Checkerboard titration)を示す。抗生物質Aの増加する濃度は横軸に沿って分布し、抗生物質Bの増加する濃度は縦軸に沿って分布する。斜線の四角形は細菌増殖を示す。パネルAにおいて、抗生物質は相加効果を示し、右側のアイソボログラムは直線である。パネルBは相乗作用を示し、ここでアイソボログラムは凹曲面である。パネルCは拮抗結果を示し、凸曲面を有する。
カービー・バウアー法による抗生物質感受性の判定
表22:研究のために用いた分離株の耐性記録(mmの領域)
Figure 0005337928
図27の写真を参照されたい。
ディスク近似テストによる抗生物質の組み合わせの決定
分離株に対する相乗作用または相加効果について調べた種々の抗生物質の組み合わせの、可能性のある相乗作用を示す抑制領域は、アミカシンとセフォペラゾン、およびアミカシンとテトラサイクリンの組み合わせについてはMRSAの場合にのみ観察された(図28を参照のこと)。相乗作用の組み合わせを連想させる抑制領域が、他の2つの分離株、すなわち大腸菌およびシュードモナス(Pseudomonas)の場合には観察されなかった(図29および30を参照されたい)。
抗生物質の最小発育阻止濃度の測定
可能性のある相乗作用を連想させる抑制帯を示す抗生物質のMICを測定した。
表23
アミカシンのMIC
ストック:125mcg/ml
希釈:栄養ブロス 20
培養物:MRSA 記号+:増殖 −:増殖せず
MRSAについてのアミカシンのMICは0.8mcg/mlであるとわかった。
セフォペラゾンのMIC
ストック:100mcg/ml
希釈:栄養ブロス
培養物:MRSA
Figure 0005337928
記号+:増殖 −:増殖せず
MRSAについてのセフォペラゾンのMICは、10mcg/mlであるとわかった。
銀/水のMIC
ストック:20ppmの銀/水組成物
Figure 0005337928
希釈:栄養ブロス
培養物:MRSA
Figure 0005337928
記号+:増殖 −:増殖せず
MRSAについての銀/水のMICは、8ppmであるとわかった。
銀/水のMIC
ストック:20ppm
希釈:栄養ブロス
培養物:大腸菌
Figure 0005337928
記号+:増殖 −:増殖せず
大腸菌についての銀/水のMICは、3ppmであるとわかった。
銀/水のMIC
ストック:20ppmの銀/水
希釈:栄養ブロス
培養物:シュードモナス(Pseudomonas)
Figure 0005337928
記号+:増殖 −:増殖せず
シュードモナスについての銀/水のMICは、3ppmであるとわかった。
チェッカーボードアッセイによる相乗作用の研究
I.アミカシンと銀/水の組み合わせ
アミカシンのMIC=0.8mcg/ml
銀/水のMIC=8ppm
培養物:MRSA
Figure 0005337928
記号+:増殖 −:増殖せず
MRSAについての相乗作用濃度は、0.05mcg/mlのアミカシンおよび1ppmの本発明の銀/水であるとわかった。
FICインデックスの計算:
Figure 0005337928
FICインデックスは、アミカシンおよび銀/水の間の相乗作用を表示する。
II.セフォペラゾンおよび銀/水の組み合わせ
セフォペラゾンのMIC=10mcg/ml
銀/水のMIC=8ppm
培養物:MRSA
Figure 0005337928
記号+:増殖 −:増殖せず
MRSAについての相乗作用濃度は、0.625mcg/mlのセフォペラゾンおよび1ppmの銀/水であるとわかった。
FICインデックスの計算
Figure 0005337928
FICインデックスは、セフォペラゾンおよび銀/水の間の相乗作用を表示する。
III.セフォペラゾンおよびアミカシンの組み合わせ
セフォペラゾンのMIC=10mcg/ml
アミカシンのMIC=8ppm
培養物:MRSA
Figure 0005337928
記号+:増殖 −:増殖せず
セフォペラゾンの添加濃度は、1.25であり、アミカシンの添加濃度は0.4であることがわかった。
FICインデックスの計算:
Figure 0005337928
FICインデックスは、セフォペラゾンおよび銀/水の間の相乗作用を表示する。
ディスカッション
この例において、P.D.Hinduja Hospital,Mumbai,Indiaから収集した3種の臨床分離株のうち、グラム陰性分離株は、アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシンのような古い抗生物質、およびナリジクス酸のような古いキノロン類、および第3世代のセファロスポリンであるセフタジジムおよびセフォペラゾンに対する耐性を示した。研究に用いた臨床分離株であるシュードモナスは、最近のシプロフロキサシンに対する耐性もあり、および半合成のアミノグリコシド系のアミカシンに対する耐性もあった。グラム陽性分離株であるMRSAは、古い抗生物質およびセフタジジムのような第3世代のセファロスポリンに対する耐性もあった。
本発明の銀/水組成物に対するこれらの感受性の研究は、グラム陰性分離株は、約3ppmの銀/水溶液に対して直ちに感受性があり、MRSA分離株は、8ppmの銀/水溶液により抑制される(寒天拡散法および微量希釈ブロス法(microdilution broth method)により決定される)ことがわかった。
分離株と組み合わせた2種の抗生物質の相互作用をディスク拡散法により決定し、これはMRSAに対するセフォペラゾンとアミカシンとの間の相乗結果を明らかにした。チェッカーボードアッセイをこれを確認するために行った。抗生物質間の添加(addition)または相乗効果は、ディスク拡散テストによると、グラム陰性分離株については観察されなかった。
チェッカーボードアッセイを行い、2種の抗生物質のFICインデックスは、0.625であることがわかり、従って、アミカシンおよびセフォペラゾンについての添加を示し、相乗効果は示さなかった。
チェッカーボードアッセイを行い、銀/水溶液とアミカシン、また銀/水溶液とセフォペラゾンの組み合わせを研究した。結果は、本発明の銀/水組成物の存在下では、抗生物質の有効濃度は、約1/4に減少した。これらの組み合わせのFICインデックスは、いずれの場合にも0.1875であることがわかり、銀/水とアミカシン、および銀/水とセフォペラゾンの組み合わせについての相乗効果を示す。
研究の結果は、上記の臨床MDR分離株において、抗生物質投与量を銀/水の存在下で大いに低減することができ、これは抗生物質の組み合わせの場合には観察されなかったということを示す。
これらの結果は、本発明の銀/水組成物は、特に多剤耐性菌株に対する併用抗生物質療法において果たす重要な役割を有しうることを示す。
Figure 0005337928
Figure 0005337928
創傷用粉剤(dusting powder)としての、ゲンタマイシンと銀/水組成物の組み合わせ
イントロダクション
創傷用粉剤は、創傷、火傷、皮膚潰瘍、または切開の後の膿瘍についての表面の細菌性の感染の防止または処置に用いられる配合物である。
創傷用パウダーは、通常は、広域スペクトルの抗生物質/消毒剤調製物である。このようなパウダーの使用は、適切な場合には、抗生物質との併用療法を除外しない。
今日マーケットで入手できる殆どの創傷用製品は、ポビドンヨードに基づいている。ポビドンヨードは、開放創において非常に細胞毒であり、特に糖尿病の創傷においては使用禁止である。さらに、ヨードは昇華し、約6〜8時間毎に再塗布しなければならない。
他の可能性のある分野の用途は、獣医学分野である。ペットは、しばしば、寄生動物を除去するために引っ掻くこと、および他の動物との喧嘩のいずれかに起因して、切り傷、擦り傷、および創傷を負う。刺激の少ない、しかし広域スペクトルの抗生物質が、この用途においては有用である。
ゲンタマイシンと本発明の設計した銀ナノ粒子を組み合わせた徐放調製物から成る創傷用粉剤を調合することを決定した。約200ppmの銀ナノ粒子および約100ppmのゲンタマイシンを含むタルクベースの調製物を、本明細書中においてSILDUSTと呼ぶ。
結果
SILDUST−感受性
目的:微生物に対するSILDUSTおよびその構成成分の感受性
手順:
必要な装置
・インキュベータ,ラミナーフロー
必要な材料
・滅菌寒天培地プレート、滅菌綿棒、マイクロピペット(容量100μl〜1000μl)、以下の菌株、すなわち大腸菌(MDR)、緑膿菌(MDR)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の16時間古い培養物(おおよその濃度が、10CFU/ml)
方法
・滅菌綿棒を用いる、寒天培地表面上に0.1mlの培養物の表面塗布。15分間放置。
・15分後、無菌で、10mmの穿孔器を用いて寒天表面にウエルを開ける。
・1つのウエル中にSILDUST(200ppmの銀タルク+100ppmのゲンタマイシン)の10mgを導入する。
・他のウエルに100ppmのゲンタマイシンの10μlを導入する。また、200ppmの銀タルク+100μlの蒸留水を導入する。双方をコントロールとして用いる。
・プレートを約37℃で約24時間インキュベートし、観察する。
・HiMedia zone readerを用いて、mmで抑制領域を測定する。
結果:以下の表28および図38に示す通り
Figure 0005337928
まとめ:SILDUST(200ppmの銀タルクと100ppmのゲンタマイシンとを含む)について観察された相乗作用活性が存在する。
用語:SILDUST1−200ppmの銀タルク+50ppmのゲンタマイシン
SILDUST2−200ppmの銀タルク+100ppmのゲンタマイシン
SILDUST−抗菌活性
目的:微生物に対するSILDUSTの殺菌時間の測定
手順:
必要な装置
・インキュベータ、ラミナーフロー、秤量天秤
必要な材料
・滅菌フェノールレッドデキストロースブロス、マイクロピペット、以下の菌株(おおよその濃度は10CFU/ml)、すなわち、大腸菌(MDR)、緑膿菌(MDR)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の16時間古い培養物
方法
・滅菌試験管中に2gのSILDUSTを含む5mlのアリコートを調製する。
・上記の溶液に0.1mlの培養物を接種する。十分にボルテックスする。
・0、5、10……50分間隔で、5mlの滅菌フェノールレッドデキストロースブロス中に白金耳量のテスト用のサンプルを接種する。十分にボルテックスする。
・約37℃で約24時間インキュベートする。
・増殖を観察する。
・負のコントロールについては、白金耳量の接種されないSILDUSTを、5mlの滅菌フェノールレッドデキストロースブロス中に懸濁させ、約37℃で約24時間インキュベートする。
・正のコントロールについては、白金耳量の試験用の培養物を5mlの滅菌フェノールレッドデキストロースブロス中に接種し、約37℃で約24時間インキュベートする。
結果:表29、30および31を参照のこと
Figure 0005337928
記号:+→増殖、−→増殖せず
まとめ:組み合わせは、相乗作用活性を示す。WOKADINE(例の終わりに、以下に記載する)を有する試験管は、ヨードの放出のために、培地へのパウダーの添加の数秒内で茶色に変化する。WOKADINEはより速い殺菌を示すが、このような高い細胞毒性は、創傷治癒には望ましくない。
Figure 0005337928
記号:+→増殖、−→増殖せず
まとめ:組み合わせは、相乗作用活性を示す。
Figure 0005337928
記号:+→増殖、−→増殖せず
まとめ:組み合わせは、相乗作用活性を示す。
SILDUST−抗菌活性
目的:SILDUSTに対するバクテリオファージホストの感受性の決定
原則:SILDUSTによるホストの死滅による偽陽性テストを取り除くために、適切な希釈に達する必要がある。
手順:
原則:
T 等しいバクテリオファージおよび大腸菌ホストを、探知システムとして用いる。SILDUST中の銀濃度は、ホストを死滅させないように希釈を通じて中和する必要がある。実験的なアリコートを以下の通りに調製した。すなわち、
1.テスト ファージ+SILDUST
2.コントロール ファージ+Saline
必要な装置
・秤量天秤、ラミナーフローユニット、インキュベータ
必要な材料
・ペトリプレート、マーカ、スパチュラ、マイクロピペット
方法:
・約1gmのSILDUST(これは、殺菌効果を示さない)、および生理食塩水を含む2.5mlアリコートを、別個の滅菌試験管中に調製する。
・それぞれに約0.1mlのファージ溶解物(1mlにつき約1010伝染性のファージ粒子)を加える。
・ボルテックスミキサで適切に混合し、約37℃でインキュベートする。
・t=0、1および1時間毎の間隔で、0.5mlアリコートを取り出し、殺菌効果を示さないSILDUSTの試験的な希釈物に希釈する。
・この希釈物を、コンフルエントな新たに調製したホストローン(host lawn)にスポットする。これを、コントロールのテストのためにも行う必要がある。
・プレートを約37℃で約24時間インキュベートする。
・この希釈物の0.1mlを、指数関数的に増殖したホストの0.5mlと混合し、う約37℃で約15分間インキュベートする。
・7mlの溶融した軟寒天をこれに加える。
・十分にボルテックスし、St.寒天培地プレートに上塗りする。
・プレートを約37℃で約24時間インキュベートする。
・ローン上のプラークをチェックし、上塗り上のプラーク形成ユニットを数える。
結果:表32を参照のこと。
Figure 0005337928
記号:+→活性ファージ粒子が存在、−→活性ファージ粒子が存在せず
SILDUST 抗ウイルス活性
:バクテリオファージ検知システムを用いるSILDUSTの抗ウイルス活性を決定すること
手順:「SILDUST 抗菌活性、パート2」と同様
結果:表33および34の通り
Figure 0005337928
記号:+→活性ファージ粒子が存在、−→活性ファージ粒子が存在せず
Figure 0005337928
記号:TNTC→多すぎて数えられない
pfu/ml 伝染性のファージ粒子の力価
まとめ:SILDUSTは、10−2希釈においては、ホスト培養物に対する抗菌活性を示さないことがわかった。抗ウイルス活性を同じ希釈のSILDUSTにおいてチェックし、有効であることがわかった。プラーク形成ユニットは、3時間で10からゼロに減少することがわかり、SILDUSTはおそらく、動物ウイルスに対しても活性を有し得ることが証明された。
以下の組成を、本明細書中のすぐ上の実験において用いた。
Figure 0005337928
Figure 0005337928
WOKADINE
Mfg.Lic.No.:AD/200−A
Batch No.:WNR 5008
製造日:2005年3月
有効期限:2008年3月
活性成分
ポビドンヨードIP 5% w/w
Navketan Research and Lab.Ltdにより製造
ポビドンヨード10%溶液への銀/水の添加
本発明の銀/水組成物と共に有利に働く添加剤の他の例はポビドンヨードである。ヨードは、幅広い範囲の病原体に対する処置のための薬においてよく知られる予防薬である。ヨードは種々の濃度で市販されているが、一般的に用いられ、好ましい濃度は10%である。本発明のこの好ましい態様において、相乗的な組み合わせは、10%のヨード溶液を銀/水混合物の約25〜50体積%で置き換えたものを含む。銀/水混合物と、ヨードとの間のある種の反応が考えられるが、実験結果から、銀/水とポビドンヨードとの相乗的な組み合わせは、局所的な殺菌剤(例えば軟膏)として、および/または切り傷、火傷および擦り傷等における感染に対する予防薬として機能し得る。
特に、可変のパーセントのポビドンヨード(IP)と組み合わせた32ppmの銀/水組成物の相乗作用活性を、多くの細菌に対して調査した。テスト方法と結果は続く。これらの結果から、これらの2つの材料を互いに添加することにより、相乗作用関係が存在するという結論を出した。この相乗作用を用いて、優れた局所用殺菌剤をもたらすことができる。
従って、特許請求の範囲は、特に上に示し、説明したもの、概念的に等価であるもの、明らかに置き換えることができるもの、および本質的に本発明の本質的構想に含まれるものを含むと理解されるべきである。当業者には、単に記載された好ましい態様の種々の適合および改変を、本発明の範囲を逸脱することなく行うことができることは十分理解されるであろう。示した態様は、例示の目的としてのみ説明されており、本発明を限定するものと解釈すべきではない。従って、添付した特許請求の範囲の範囲内で、本発明は、本明細書に特に記載されたもの以外を行うことができることを理解すべきである。
本発明により生成した銀/水組成物において形成された銀粒子の種々の倍率において撮ったTEM顕微鏡写真。 本発明により生成した銀/水組成物において形成された銀粒子の種々の倍率において撮ったTEM顕微鏡写真。 本発明により生成した銀/水組成物において形成された銀粒子の種々の倍率において撮ったTEM顕微鏡写真。 本発明により生成した銀/水組成物において形成された銀粒子の種々の倍率において撮ったTEM顕微鏡写真。 本発明により生成した銀/水組成物において形成された銀粒子の種々の倍率において撮ったTEM顕微鏡写真。 本発明により生成した銀/水組成物において形成された銀粒子の種々の倍率において撮ったTEM顕微鏡写真。 図7a〜7dは、図1〜6をもたらすために用いられたものと異なる技術を用いる異なるTEMからもたらされたTEM顕微鏡写真。 図7eは、本発明の銀/水組成物から得られた銀粒子のEDS(EDAX)スペクトル。 本発明の銀/水組成物からの銀粒子から得られた電子回折パターン。 本発明の銀/水組成物から得られた銀粒子に対する考えられる電子ビーム損傷を共に示す3枚のSEM顕微鏡写真。 本発明によるプロセスにおいて用いられる前の新しい銀電極のSEM顕微鏡写真。 図10に示される部分1のEDS元素分析。 図10に示される部分2のEDS元素分析。 図10に示される部分3のEDS元素分析。 本発明に従って銀/水組成物を製造するのに用いられた電極の先端部のSEM顕微鏡写真。 図14に示される部分1のEDS元素分析。 図14に示される部分2のEDS元素分析。 用いられた銀電極先端部の約3500Xで撮られたSEM顕微鏡写真。 GNC Liquid Silver Dietary Supplementから得られた銀粒子のTEM顕微鏡写真(25ppm)。 GNC Liquid Silver Dietary Supplementから得られた銀粒子のTEM顕微鏡写真(25ppm)。 「Silverado」として知られるコロイド銀製品から得られた銀粒子のTEM顕微鏡写真。 「Silverado」として知られるコロイド銀製品から得られた銀粒子のTEM顕微鏡写真。 Vitamin World Bioorganic Advanced Colloidal Mineralsとして知られるコロイド銀製品から得られた銀粒子のTEM顕微鏡写真(3ppm)。 Vitamin World Bioorganic Advanced Colloidal Mineralsとして知られるコロイド銀製品から得られた銀粒子のTEM顕微鏡写真(3ppm)。 銀粒子の5つのTEM顕微鏡写真の重ね合わせの比較であり、これらのうちの2枚は本発明からの銀粒子に由来し、これらのうちの3枚は、市販のコロイド銀から得られた銀粒子に由来する。 7つの異なるラマンスペクトルを示し、これらのうちの3つは、本発明の銀/水組成物に対応し、1つは純粋な水に対応し、1つは脱イオン水に対応し、および2つは市販のコロイド銀製品に対応する。 7つの異なるラマンスペクトルを示し、これらのうちの3つは、本発明の銀/水組成物に対応し、1つは純粋な水に対応し、1つは脱イオン水に対応し、および2つは市販のコロイド銀製品に対応する。 本発明の銀/水組成物に対応するラマンスペクトル。 3つの市販のコロイド銀製品に対応する3つのラマンスペクトル。 本発明の銀/水組成物に対応する他のラマンスペクトル。 本発明の銀/水組成物のラマンスペクトル。 銀/水、亜鉛/水および銅/水組成物の2つのラマンスペクトル。 細菌に関する相乗作用(bacterial synergy)についてのディスク拡散テストにおける可能性のある相互作用の図。 併用療法における相加効果、相乗効果、および拮抗作用を示すチェッカーボード滴定およびグラフ。 10ppmの銀/水混合物に対するMDR分離株の感受性の写真。 MRSAのための抗生物質の組み合わせの写真。 大腸菌のための抗生物質の組み合わせの写真。 シュードモナスのための抗生物質の組み合わせの写真。 銀/水組成物生成プロセス中のプロセス時間の関数としての、「瞬間的な」印加電圧および瞬間的な銀濃度のグラフ。 原子吸光分光学、および電気伝導度測定をそれぞれ用いるプロセス時間としての、瞬間的な銀濃度のグラフ。この図はまた、製造の32時間後の、および均一化後の銀濃度を示す。 本発明の銀/水組成物生成プロセス中のプロセス時間の関数としての、瞬間的な印加電圧、力率、および銀濃度のグラフ。 SILDERMの水分蒸散を示すグラフ。 SILDERMの吸湿を示すグラフ。 緑膿菌(MDR)に対する銀キレート(Akzo−Nobelにより製造されたAgEDTA)の抗菌活性を示す写真。 緑膿菌(MDR)に対する銀キレート(Alpha Chemicalsにより製造されたAgEDTA)の抗菌活性を示す写真。 大腸菌(MDR)に対するSILDUSTの感受性を示す写真。 曝露時間の関数としてのSILDUSTの抗ウイルス活性を示すグラフ。 プラークの成長を示す、中心となるテストプレートの写真。 3時間後にはプラークを示さず、従って、SILDUSTの抗バクテリオファージ(antibacteriophage)活性を示すテストプレートの写真。 200ppmの本発明の銀/水組成物の4つのX線回折パターン、およびその上に重ねた4つの参照X線回折パターン(すなわちAgO、AgCO、AgおよびAgO)。 Agの「TGA」分析、およびAgの「DTA」分析。 本発明に従って作製した本発明のカオリナイト/銀混合物に対応するSEM顕微鏡写真。 本発明に従って作製した本発明のカオリナイト/銀混合物に対応するSEM顕微鏡写真。 44aの顕微鏡写真に対応するEDS(EDAX)分析。 44bの顕微鏡写真に対応するEDS(EDAX)分析。 本発明に従って作製された新規のゼオライト/銀混合物のSEM顕微鏡写真。 その中を置換する、本発明に従って作製された銀を含むゼオライトLinde4AのEDS(EDAX)分析。 190nm〜400nmの波長範囲に渡る10ppmの銀/水溶液および32ppmの銀/水溶液(双方とも本発明に従って作製された)のUV−Visスペクトル。 190nm〜250nm範囲に渡る同じサンプルのUV−Visスペクトル。

Claims (12)

  1. 〜40ppmの全濃度の銀を含む、水と銀ナノ粒子の混合物であって、前記銀ナノ粒子は、元素銀の内部と、少なくとも1種の酸化銀の表面を有し、ここで、50%を超える数の銀ナノ粒子は0.015マイクロメートル未満の最大直径を有し、75%を超える数の銀ナノ粒子は0.005マイクロメートルよりも大きい最小直径を有し、抗微生物性を示す、水と銀ナノ粒子の混合物
  2. さらに過酸化水素を含む請求項1に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  3. 前記過酸化水素濃度が、体積あたり1〜3重量%である請求項2に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  4. さらにEDTAを含む請求項1に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  5. 前記EDTAがEDTA2ナトリウムを含む請求項4に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  6. 前記水と銀ナノ粒子の混合物中に親水性ポリマーを溶解することにより生成するヒドロゲルを含む請求項1に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  7. アモルファスゲルとして配合される請求項6に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  8. 固体ゲルシートとして配合される請求項6に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  9. 前記親水性ポリマーが、ゼラチン、炭水化物ポリマー、およびアクリル酸コポリマーから成る群から選択される請求項8に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  10. 前記炭水化物ポリマーが、セルロース誘導体、アルギネート、カラギーナン、および植物性ガムから成る群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む請求項9に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  11. マラリア、皮膚の真菌感染症、皮膚の細菌感染、膣感染症、尿路感染症、扁桃炎、骨盤感染症、咽頭炎、淋病、結膜炎、耳炎、呼吸器感染症、および鼻炎から成る群から選択される疾患の処置に用いられる、請求項1に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
  12. AgEDTA、銀EDDS、クルクミン酸銀、銀ベルベリン、および銀テトラサイクリンから成る群から選択される少なくとも1つの材料をさらに含む請求項1に記載の水と銀ナノ粒子の混合物
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