(第1の実施形態)
以下、本発明を遊技機の一種であるパチンコ遊技機に具体化した第1の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1には、パチンコ遊技機10が略示されており、パチンコ遊技機10の機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開放及び着脱自在に組み付けられているとともに、中枠12の前面側には前枠14が開閉及び着脱自在に組み付けられている。前枠14は、図1に示すようにパチンコ遊技機10を機正面側から見た場合において、中枠12に重なるように組み付けられている。このため、中枠12は、前枠14の後側に配置されており、機正面側からは視認し得ないようになっている。前枠14は、中央部に窓口14aを有するとともに、該窓口14aの下方にパチンコ遊技機10の遊技媒体となる遊技球を貯留可能な第1貯留皿としての上皿(貯留皿)15を一体成形した構成とされている。前枠14の裏面側には、機内部に配置された遊技盤YBを保護し、かつ窓口14aを覆う大きさのガラスを支持する図示しないガラス支持枠が着脱及び傾動開放可能に組み付けられている。遊技盤YBは、中枠12に装着される。また、前枠14には、窓口14aのほぼ全周を囲むように、図示しない発光体(ランプ、LEDなど)の発光(点灯や点滅)により発光演出を行う電飾表示部を構成する上側ランプ部16aと、左側ランプ部16bと、右側ランプ部16cとが配置されている。各ランプ部16a〜16cは、前枠14の前面に装着される複数の発光体を、該各発光体の発する光を透過可能に成形したランプレンズで覆って構成されている。
前枠14には、窓口14aの左右上部に、各種音声を出力して音声演出を行う左スピーカ17aと、右スピーカ17bとが配置されている。左スピーカ17aと右スピーカ17bは、前枠14の裏面に装着されており、該前枠14の前面であって左スピーカ17a及び右スピーカ17bの装着部位に対応する部位には図示しない放音孔が複数形成されている。
中枠12の前面側であって前枠14の下部には、上皿15から溢れ出た遊技球を貯留する第2貯留皿としての下皿(貯留皿)18が装着されている。また、中枠12の前面側であって下皿18の右方には、遊技球を遊技盤YBに発射させる際に遊技者によって回動操作される遊技球発射用の発射ハンドル19が装着されている。また、前枠14には、下皿18の左方に、各種音声を出力して音声演出を行う下スピーカ17cが配置されている。下スピーカ17cは、中枠12に装着されている。
上皿15には、その左方側に機内部から払出される遊技球の図示しない払出口が設けられているとともに、遊技者の保有する遊技球を貯留する凹状の貯留通路15aが連設されており、さらに右方側に貯留通路15a内の遊技球を機内部に取り込む図示しない上皿取込口が設けられている。上皿15に貯留された遊技球は、貯留通路15aにより前記上皿取込口へ案内されるとともに該上皿取込口を介して1球ずつ機内に取り込まれ、遊技盤YBに向けて発射される。遊技盤YBに向けて発射される遊技球は、発射ハンドル19の回動量に応じて発射の強弱が設定される。また、下皿18には、上皿15から溢れ出て流下した遊技球の出口18aが設けられているとともに、遊技球を貯留する凹状の貯留部18bが遊技球の出口18aに連設されている。
次に、遊技盤YBの構成について図2にしたがって詳しく説明する。
遊技盤YBの前面には、発射ハンドル19の操作によって発射された遊技球を誘導し、かつパチンコ遊技の主体となるほぼ円形の遊技領域H1を形成する誘導レール20が円形渦巻き状に敷設されている。この誘導レール20によって遊技盤YBには、該遊技盤YBの左下方から左上方に向かって延びる遊技球の誘導路20aが形成されるとともに、誘導レール20の内側に遊技領域H1が形成される。また、遊技盤YBの前面であって誘導レール20の外側となる遊技領域H1外は、パチンコ遊技に直接関与しない非遊技領域H2とされている。
遊技盤YBの遊技領域H1のほぼ中央(センター)には、各種の表示装置や各種の飾りを施した表示枠体(センター役物)21が装着されている。表示枠体21の略中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する表示手段としての演出表示装置22をセット(装着)するためのセット口21aが、開口形成されている。演出表示装置22には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出(遊技演出)が画像表示されるようになっている。本実施形態において演出表示装置22の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置22の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄)を用いて行われる。
図2に示すように、表示枠体21の左下の遊技領域H1には、7セグメント型の特別図柄表示装置23が設けられている。特別図柄表示装置23では、複数種類の特別図柄を変動させて表示する図柄変動ゲームが行われる。特別図柄は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。
そして、特別図柄表示装置23では、図柄変動ゲームの開始により同時に特別図柄の変動表示が開始され、該ゲームの終了と同時に特別図柄が確定停止表示される。また、演出表示装置22では、図柄変動ゲームの開始により同時に飾り図柄の変動表示が開始され、該ゲーム終了前に飾り図柄が一旦停止表示され、該ゲームの終了と同時に各列の飾り図柄が確定停止表示される。「変動表示」とは、図柄を表示する表示装置に定める表示領域内において表示される図柄の種類が変化している状態であり、「一旦停止表示」とは、前記表示領域内において図柄がゆれ変動状態で表示されている状態である。また、「確定停止表示」とは、前記表示領域内において図柄が確定停止している状態である。なお、特別図柄表示装置23と演出表示装置22では、同時に図柄変動ゲームと図柄変動ゲームに係わる表示演出が開始され、同時に終了する(すなわち、同時に特別図柄と飾り図柄が確定停止表示される)。
本実施形態において特別図柄表示装置23には、複数種類の特別図柄の中から、大当り抽選の抽選結果(大当り又ははずれ)に対応する1つの特別図柄が選択され、その選択された特別図柄が図柄変動ゲームの終了によって確定停止表示される。本実施形態において特別図柄表示装置23には、複数種類の特別図柄の中から1つの特別図柄が表示されるようになっている。本実施形態における複数種類の特別図柄は、大当りを認識し得る大当り図柄と、はずれを認識し得るはずれ図柄とに分類される。
その一方、本実施形態において演出表示装置22には、各列毎に、[0(零)]〜[9]までの数字図柄Nと○(まる)の形を模したブランク図柄Qが飾り図柄として表示されるようになっている。ブランク図柄Qは、各数字図柄Nの間に配置される図柄である。なお、以下の説明では、数字図柄Nとブランク図柄Qを纏めて「図柄」と示す場合もある。
また、本実施形態のパチンコ遊技機10では、演出表示装置22の表示領域(画像表示面)を特別図柄表示装置23の表示領域よりも大きく形成し、演出表示装置22を遊技者の正面に目立つように配置している。このため、遊技者は、特別図柄表示装置23よりも自身の目の前で多彩な画像によって表示演出(例えば、リーチ演出など)が行われる演出表示装置22の表示内容に注目し、該演出表示装置22の図柄変動ゲームで導出されて確定停止表示される図柄組み合わせから大当り又ははずれを認識することになる。
前記リーチ演出は、演出表示装置22で行われる図柄変動ゲームにおいて予め定めた特定列の飾り図柄が同一の図柄で、かつ特定列以外の列が変動する組み合わせで構成されるリーチ図柄が一旦停止表示されることによって行われる演出である。
また、本実施形態の演出表示装置22の画像表示部GHには、図3に示すように9つの図柄表示位置D1〜D9が定められているとともに、左列(第1図柄列)R1と、中列(第2図柄列)R2と、右列(第3図柄列)R3の3つの図柄列が変動表示されるようになっている。これら9つの図柄表示位置D1〜D9は、縦方向に上段、中段、下段となるよう3行に配置されているとともに、横方向に左、中、右となるよう3列に配置されている。そして、左列R1には、当該左列R1において、遊技者から見て最も上に位置する第1列用上図柄表示位置D1と、遊技者側から見て中央に位置する第1列用中図柄表示位置D2と、遊技者側から見て最も下に位置する第1列用下図柄表示位置D3とが対応付けられている。そして、これらの図柄表示位置D1〜D3には、左列R1において後に詳述する順序で図柄が変動表示された場合、連続する3つの飾り図柄が表示されるようになっている。また、中列R2には、当該中列R2において、遊技者から見て最も上に位置する第2列用上図柄表示位置D4と、遊技者側から見て中央に位置する第2列用中図柄表示位置D5と、遊技者側から見て最も下に位置する第2列用下図柄表示位置D6とが対応付けられている。そして、これらの図柄表示位置D4〜D6には、中列R2において後に詳述する順序で図柄が変動表示された場合、連続する3つの飾り図柄が表示されるようになっている。また、右列R3には、当該右列R3において、遊技者から見て最も上に位置する第3列用上図柄表示位置D7と、遊技者側から見て中央に位置する第3列用中図柄表示位置D8と、遊技者側から見て最も下に位置する第3列用下図柄表示位置D9とが対応付けられている。そして、これらの図柄表示位置D7〜D9には、右列R3において後に詳述する順序で図柄が変動表示された場合、連続する3つの飾り図柄が表示されるようになっている。
この構成により、本実施形態の演出表示装置22では、中列R2の左側に左列R1が配置されるとともに、該中列R2の右側に右列R3が配置され、これらの各列R1〜R3では、各列毎に、遊技者から見て上方向から下方向に向かって縦方向に変動表示(縦スクロール表示)されるようになっている。なお、各列R1〜R3では、中央の図柄表示位置を挟む上下の図柄表示位置に数字図柄Nが停止表示されると中央の図柄表示位置にブランク図柄Qが停止表示され、中央の図柄表示位置に数字図柄Nが停止表示されると中央の図柄表示位置を挟む上下の図柄表示位置にブランク図柄Qが停止表示される。
なお、左列R1は、…9→○→8→○→7→○→6→○→5→○→4→○→3→○→2→○→1→○→0(零)→○→9…というように数字図柄Nとブランク図柄Qとが交互に変動するとともに順番に数字が小さくなっていき、0(零)となった場合には9に戻るような順番で変動するようになっている(○はブランク図柄Qを示す)。一方、中列R2及び右列R3は、…0(零)→○→1→○→2→○→3→○→4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1…というように数字図柄Nとブランク図柄Qとが交互に変動するとともに順番に数字が大きくなっていき、9となった場合には0(零)に戻るような順番で変動するようになっている。本実施形態では、各列R1〜R3において前述したような順番で図柄が表示される際の順序を、表示順序として定義している。このように、本実施形態において左列R1と、中列R2及び右列R3では、図柄の表示順序が逆順序となっているとともに、左列R1と、中列R2及び右列R3における各数字図柄Nの前後には、同一の数字図柄Nが表示されるようになっている。なお、各数字図柄Nの前後とは、各列における表示順序が、各数字図柄Nよりも前か後ということを指す。
そして、演出表示装置22では、第1列用上図柄表示位置D1、第2列用上図柄表示位置D4、及び第3列用上図柄表示位置D7に表示された3つの図柄の図柄組み合わせが有効とされ、これら3つの図柄表示位置D1,D4,D7によって図柄組み合わせが有効となる有効ラインL1が形成される。また、演出表示装置22では、第1列用中図柄表示位置D2、第2列用中図柄表示位置D5、及び第3列用中図柄表示位置D8に表示された3つの図柄の図柄組み合わせが有効とされ、これら3つの図柄表示位置D2,D5,D8によって図柄組み合わせが有効となる有効ラインL2が形成される。また、演出表示装置22では、第1列用下図柄表示位置D3、第2列用下図柄表示位置D6、及び第3列用下図柄表示位置D9に表示された3つの図柄の図柄組み合わせが有効とされ、これら3つの図柄表示位置D3,D6,D9によって図柄組み合わせが有効となる有効ラインL3が形成される。
また、演出表示装置22では、第1列用上図柄表示位置D1、第2列用中図柄表示位置D5、及び第3列用下図柄表示位置D9に表示された3つの図柄の図柄組み合わせが有効とされ、これら3つの図柄表示位置D1,D5,D9によって図柄組み合わせが有効となる有効ラインL4が形成される。また、演出表示装置22では、第1列用下図柄表示位置D3、第2列用中図柄表示位置D5、及び第3列用上図柄表示位置D7に表示された3つの図柄の図柄組み合わせが有効とされ、これら3つの図柄表示位置D3,D5,D7によって図柄組み合わせが有効となる有効ラインL5が形成される。
有効ラインL1は演出表示装置22の上側において横方向へ直線的に延びるよう形成されるとともに、有効ラインL2は演出表示装置22の中央において横方向へ直線的に延びるよう形成され、さらに有効ラインL3は演出表示装置22の下側において横方向へ直線的に延びるよう形成される。また、有効ラインL4は演出表示装置22の右下がりの斜め方向(又は左上がりの斜め方向)へ直線的に延びるよう形成されるとともに、有効ラインL5は演出表示装置22の右上がりの斜め方向(又は左下がりの斜め方向)へ直線的に延びるよう形成される。この構成により、本実施形態のパチンコ遊技機10は、5つの有効ラインL1〜L5を形成し得る演出表示装置22を備えた5ライン機とされている。
そして、本実施形態において、左列R1→右列R3→中列R2の順に変動を停止させて図柄を一旦停止表示させた場合、演出表示装置22には、次のようなリーチ状態を表示することが可能である。有効ラインL1〜L3上には、同時にリーチ状態が表示されることなく、有効ラインL1、有効ラインL2又は有効ラインL3のうち何れか1本の有効ライン上に1つのリーチ状態(シングルリーチ)が表示可能とされている。また、有効ラインL4及び有効ラインL5上には、同時にリーチ状態を表示可能であって、2本の有効ラインL4,L5上に2つのリーチ状態(ダブルリーチ)が表示可能とされている。なお、リーチ状態は、複数列のうち、予め定めたリーチ列(本実施形態では左列R1と右列R3)の飾り図柄が同一図柄となって一旦停止表示され、かつリーチ列以外の列(本実施形態では中列R2)の飾り図柄が変動表示されている状態である。このリーチ状態を認識できる図柄組み合わせが飾り図柄によるリーチの図柄組み合わせ(リーチ図柄)となる。本実施形態のパチンコ遊技機10のように、1つの有効ラインが3つの図柄表示位置で形成される場合は、1つの有効ライン上において、最初に図柄が一旦停止表示される図柄表示位置と次に図柄が一旦停止表示される図柄表示位置に同一図柄が一旦停止表示されることによってリーチ状態が形成される。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機10では、リーチ状態(リーチ図柄)が表示された有効ラインによってリーチラインが形成される。また、本実施形態では、中列R2がリーチ状態時において最後に変動を停止する最終変動停止列となり、第2列用上図柄表示位置D4、第2列用中図柄表示位置D5、及び第2列用下図柄表示位置D6の何れかの図柄表示位置がリーチを形成したリーチライン上の最終図柄停止位置となる。具体的に言えば、有効ラインL1をリーチラインとしてシングルリーチを形成した場合には、第2列用上図柄表示位置D4が、最終図柄停止位置となる。また、有効ラインL2をリーチラインとしてシングルリーチを形成した場合には、第2列用中図柄表示位置D5が、最終図柄停止位置となる。また、有効ラインL3をリーチラインとしてシングルリーチを形成した場合には、第2列用下図柄表示位置D6が、最終図柄停止位置となる。また、有効ラインL4,L5をそれぞれリーチラインとしてダブルリーチを形成した場合には、第2列用中図柄表示位置D5が、2つのリーチラインのそれぞれに対して最終図柄停止位置となる。
そして、本実施形態では、有効ラインL1〜L5上のいずれかに表示された3列の飾り図柄を同一図柄の飾り図柄で形成した図柄組み合わせを、内部抽選で大当りを決定した場合に演出表示装置22に確定停止表示させる飾り図柄による大当りの図柄組み合わせ(飾り図柄の大当り図柄)としている。一方、有効ラインL1〜L5上に表示された3列の飾り図柄を同一図柄とせずに形成した図柄組み合わせ又はブランク図柄Qを含んで構成される図柄組み合わせを、内部抽選ではずれを決定した場合に演出表示装置22に確定停止表示させる飾り図柄によるはずれの図柄組み合わせ(飾り図柄のはずれ図柄)としている。3列の飾り図柄が同一図柄とならない場合には、3列の飾り図柄の全てが異なる場合や2列の飾り図柄が同一図柄で1列の飾り図柄が異なる場合が含まれる。例えば、飾り図柄のはずれの図柄組み合わせは、[123]、[115]、[767]や[○89]などである。また、ブランク図柄Qのみからなる図柄組み合わせ([○○○])も、はずれの図柄組み合わせとなっており、有効ラインL1〜L5上に同一のブランク図柄Qが揃っても図柄変動ゲームは大当りとならない。
また、演出表示装置22には、特別図柄表示装置23の表示結果に応じた図柄組み合わせが表示されるようになっている。より詳しくは、特別図柄表示装置23の特別図柄による図柄と、演出表示装置22の飾り図柄による図柄組み合わせが対応されており、図柄変動ゲームが終了すると、いずれかの有効ラインL1〜L5上に特別図柄による図柄と飾り図柄による図柄組み合わせが対応して確定停止表示されるようになっている。
また、図2に示すように、表示枠体21の下方の遊技領域H1には、遊技球の入球口25aを有する始動入賞口25が配置されている。始動入賞口25は、常時遊技球の入球を許容し得るように入球口25aを常時開放させた構成とされている。
始動入賞口25の奥方には、入球した遊技球を検知する始動口スイッチSW1(図4に示す)が配設されている。始動入賞口25は、入球した遊技球を検知することにより、図柄変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
また、図2に示すように、始動入賞口25の下方の遊技領域H1には、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉28を備えた大入賞口(特別電動役物)29が配設されている。大入賞口29の奥方には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW3(図4に示す)が配設されている。大入賞口29は、入球した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。そして、大当り遊技が付与されると、大入賞口扉28の開動作によって大入賞口29が開放されて遊技球の入球が許容されるため、遊技者は、多数の賞球を獲得できるチャンスを得ることができる。本実施形態において大当り遊技は、多数の賞球を獲得できるチャンスを得られることから、遊技者に有利な状態となる。そして、この大当り遊技は、内部抽選で大当りが決定し、図柄変動ゲームにて大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示されることを契機に付与される。大当り遊技が開始すると、最初に大当り遊技の開始を示すオープニング演出が行われる。オープニング演出終了後には、大入賞口扉28の開動作により大入賞口29が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限(例えば、15回)として複数回行われる。1回のラウンド遊技は、大入賞口扉28の開動作により大入賞口29が開放されてから大入賞口扉28の閉動作により大入賞口29が閉鎖される迄であり、1回のラウンド遊技中に大入賞口29は、規定入球個数(例えば、8球)の遊技球が入球するまでの間、又は規定時間(例えば、25秒)が経過するまでの間、開放される。そして、大当り遊技は、規定ラウンド数のラウンド遊技の終了後に大当り遊技の終了を示すエンディング演出が行われて終了する。
また、遊技盤YBの遊技領域H1の最下方(大入賞口29よりも下方)には、遊技領域H1に発射された後、何れの入賞口にも入球しなかった遊技球をアウト球として機外に排出するためのアウト球口31が形成されている。アウト球口31を通過した遊技球は、パチンコ遊技機10の設置設備(遊技島)に配設されたアウト球タンク(図示しない)に排出される。
次に、パチンコ遊技機10の制御構成について図4に基づき説明する。
パチンコ遊技機10の機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御基板35が装着されている。主制御基板35は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種の制御指令としての制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号を出力する。また、機裏側には、サブ統括制御基板36と、演出表示制御基板37と、音声・ランプ制御基板38が装着されている。
サブ統括制御基板36は、主制御基板35が出力した制御信号に基づき、演出表示制御基板37、及び音声・ランプ制御基板38を統括的に制御する。演出表示制御基板37は、主制御基板35とサブ統括制御基板36が出力した制御信号に基づき、演出表示装置22の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御する。また、音声・ランプ制御基板38は、主制御基板35とサブ統括制御基板36が出力した制御信号に基づき、各種ランプ部16a〜16cの発光態様(点灯(点滅)/消灯のタイミングなど)及びスピーカ17a〜17cの音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御する。
以下、主制御基板35、サブ統括制御基板36及び演出表示制御基板37について、その具体的な構成を説明する。
主制御基板35には、制御動作を所定の手順で実行することができる主制御用CPU35aと、主制御用CPU35aの制御プログラムを格納する主制御用ROM35bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM35cが設けられている。主制御用CPU35aには、主制御用ROM35bと主制御用RAM35cが接続されている。また、主制御用CPU35aには、始動入賞口25に入球した遊技球を検知する始動口スイッチSW1と、大入賞口29に入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW3が接続されている。
また、主制御用CPU35aには、図柄表示基板39を介して、特別図柄表示装置23が接続されている。図柄表示基板39は、特別図柄表示装置23と対応する位置に装着されており、特別図柄表示装置23を構成する発光体(本実施形態ではLED)が装着されている。
また、主制御用CPU35aは、大当り判定用乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を主制御用RAM35cの設定領域に記憶(設定)して更新前の値を書き換えている。また、主制御用CPU35aはタイマ機能を搭載しており、所定のタイミング(例えば、図柄変動ゲームを開始するタイミング)で時間を計測する。また、主制御用CPU35aには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)されるようになっている。
主制御用ROM35bには、パチンコ遊技機10全体を制御するためのメイン制御プログラムが記憶されている。また、主制御用ROM35bには、メイン制御プログラムに加え、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、演出表示装置22及び特別図柄表示装置23において図柄の変動開始による図柄変動ゲームが開始してから、演出表示装置22及び特別図柄表示装置23において図柄が確定停止表示されて図柄変動ゲームが終了するまでの間の遊技演出(表示演出、発光演出、音声演出)のベースとなるパターンを示すものである。すなわち、変動パターンは、特別図柄が変動開始してから特別図柄が確定停止表示されるまでの間の図柄変動ゲームの演出内容及び演出時間(変動時間)を特定することができる。そして、変動パターンは、大当り演出用、はずれリーチ演出用及びはずれ演出用からなる変動内容毎に分類されている。
大当り演出では、演出表示装置22において図柄変動ゲームがリーチ演出を経て最終的に大当り図柄(飾り図柄)を確定停止表示させるように展開されるとともに、特別図柄表示装置23において図柄変動ゲームが大当り図柄(特別図柄)を確定停止表示させるように展開される。はずれリーチ演出は、演出表示装置22において図柄変動ゲームがリーチ演出を経て最終的にはずれ図柄(飾り図柄)を確定停止表示させるように展開されるとともに、特別図柄表示装置23において図柄変動ゲームがはずれ図柄(特別図柄)を確定停止表示させるように展開される。はずれ演出は、演出表示装置22において図柄変動ゲームがリーチ演出を経ることなく最終的にはずれ図柄(飾り図柄)を確定停止表示させるように展開されるとともに、特別図柄表示装置23において図柄変動ゲームがはずれ図柄(特別図柄)を確定停止表示させるように展開される。なお、特別図柄表示装置23では、図柄変動ゲームが開始されると、リーチ演出を行うことなく、変動時間の経過時まで図柄の変動が継続される。
また、本実施形態では、後に詳述する統括制御用CPU36aによってリーチラインの本数が決定されるようになっている。したがって、リーチ演出を実行可能な変動パターンのうち特定の変動パターンでは、1つの変動パターンに対して、シングルリーチ又はダブルリーチの両方が実行可能となるように対応付けられている。
図5は、本実施形態のパチンコ遊技機10において用意された一部の変動パターンを示している。
変動パターンP1は、変動内容として「通常はずれ」を特定可能なパターンとなっている。通常はずれは、図柄変動ゲームの開始後、各列の変動を予め定めた図柄列の変動停止順序(本実施形態では左列R1→右列R3→中列R2)にしたがって変動を停止させて各列に図柄を導出させる演出である。そして、変動パターンP1には、変動時間として「13秒」が定められている。
変動パターンP2,P3は、変動内容として「大当り」を特定可能なパターンとなっている。そして、変動パターンP2には、変動時間として「21秒」が定められている一方で、変動パターンP3には、変動時間として「20秒」が定められている。なお、変動パターンP2と変動パターンP3は、ダブルリーチを形成させる場合、大当りの図柄組み合わせを導出させる有効ラインが異なっている。具体的には、変動パターンP2では、有効ラインL5上に大当りの図柄組み合わせを導出させる一方で、変動パターンP3では、有効ラインL4上に大当りの図柄組み合わせを導出させるように定められている。
変動パターンP4〜P6は、変動内容として「はずれリーチ」を特定可能なパターンとなっている。はずれリーチは、図柄変動ゲームの開始後、予め定めた複数の図柄列(本実施形態では左列R1と右列R3)に同一図柄を導出してリーチを形成し、残りの図柄列(本実施形態では中列R2(最終図柄停止列))を所定時間の間、変動させて図柄を導出させる演出である。そして、変動パターンP4には、中列R2に導出させる図柄を、リーチ図柄よりも表示順序が2個前の数字図柄Nとする内容が対応付けられている。なお、図5では、リーチ図柄よりも表示順序が2個前の数字図柄Nを「−2」と示している。例えば、有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチを形成させるとともに、リーチ図柄が[3]の場合、中列R2に導出させる図柄は[1]となる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序においてリーチ図柄と同一の図柄から数えて2個前の数字図柄Nとなる。一方、有効ラインL4上に[3]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[4]で示すリーチ図柄が導出される場合、第2列用中図柄表示位置D5に導出させる図柄は[2]となる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序において大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させる有効ライン上に位置するリーチ図柄と同一の図柄から数えて2個前の数字図柄Nとなる。そして、変動パターンP4では、有効ラインL5上にはずれリーチの図柄組み合わせが導出されるようになっている。
また、変動パターンP5には、中列R2に導出させる図柄を、リーチ図柄よりも表示順序が1個後の数字図柄Nとする内容が対応付けられている。なお、図5では、リーチ図柄よりも表示順序が1個後の数字図柄Nを「+1」と示している。例えば、有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチを形成させるとともに、リーチ図柄が[3]の場合、中列R2に導出させる図柄は[4]となる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序においてリーチ図柄と同一の図柄から数えて1個後の数字図柄Nとなる。一方、有効ラインL4上に[3]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[4]で示すリーチ図柄が導出される場合、第2列用中図柄表示位置D5に導出させる図柄は[5]となる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序において大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させる有効ライン上に位置するリーチ図柄と同一の図柄から数えて1個後の数字図柄Nとなる。そして、変動パターンP5では、有効ラインL5を基準とするはずれリーチの図柄組み合わせが導出されるようになっている。つまり、変動パターンP5に従って有効ラインL4上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させようとすると、有効ラインL5上に[444]で示す大当りの図柄組み合わせを導出してしまうことになるからである。
また、変動パターンP6には、中列R2に導出させる図柄を、リーチ図柄よりも表示順序が1個前の数字図柄Nとする内容が対応付けられている。なお、図5では、リーチ図柄よりも表示順序が1個前の数字図柄Nを「−1」と示している。例えば、有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチを形成させるとともに、リーチ図柄が[3]の場合、中列R2に導出させる図柄は[2]となる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序においてリーチ図柄と同一の図柄から数えて1個前の数字図柄Nとなる。また、変動パターンP4には、変動時間として「19秒」が、変動パターンP5には、変動時間として「22秒」が、変動パターンP6には、変動時間として「20秒」がそれぞれ定められている。
また、主制御用ROM35bには、大当り判定値が記憶されている。大当り判定値は、大当りか否かの大当り抽選(大当り判定)で用いる判定値であり、特別図柄用の大当り判定用乱数の取り得る数値(0〜1470までの全1471通りの整数)の中から定められている。また、主制御用RAM35cには、大当り判定時に使用する大当り判定用乱数が記憶されている。本実施形態において、大当り判定用乱数は、始動入賞口25へ遊技球が入賞したことを契機に取得されるようになっている。また、主制御用RAM35cには、大当り決定時に大当り図柄となる特別図柄の種類を決定する際に用いる特図振分用乱数が記憶されている。各特別図柄には、この特図振分用乱数が所定個数(本実施形態では1個)ずつ振り分けられており、主制御用CPU35aは、大当りの決定時(大当り判定が肯定となった場合)、取得した特図振分用乱数に基づき大当り図柄を決定する。この特図振分用乱数は、予め定められた数値範囲内(本実施形態では、「0」〜「99」の全100通りの整数)の数値を取り得るように、主制御用CPU35aが所定の周期毎(2ms毎)に数値を1加算して更新するようになっている。そして、主制御用CPU35aは、更新後の値を特図振分用乱数の値として主制御用RAM35cに記憶し、既に記憶されている特図振分用乱数の値を書き換えることで特図振分用乱数の値を順次更新するようになっている。本実施形態において、特図振分用乱数は、始動入賞口25へ遊技球が入賞したことを契機に取得されるようになっている。
また、主制御用ROM35bには、リーチ判定値が記憶されている。リーチ判定値は、はずれを決定する場合にはずれリーチ演出を実行するか否かの内部抽選(リーチ判定)で用いる判定値であり、リーチ判定用乱数の取り得る数値(0〜240までの全241通りの整数)の中から定められている。また、主制御用RAM35cには、リーチ判定時に使用するリーチ判定用乱数が記憶されている。本実施形態において、リーチ判定用乱数は、リーチ判定時に取得されるようになっている。
次に、サブ統括制御基板36について説明する。
サブ統括制御基板36には、制御動作を所定の手順で実行することができる統括制御用CPU36aと、統括制御用CPU36aの統括制御プログラムを格納する統括制御用ROM36bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる統括制御用RAM36cが設けられている。統括制御用CPU36aには、統括制御用ROM36bと統括制御用RAM36cが接続されている。そして、統括制御用CPU36aはタイマ機能を搭載しており、所定のタイミング(例えば、図柄変動ゲームを開始するタイミング)で時間を計測する。
次に、演出表示制御基板37について説明する。
演出表示制御基板37には、制御動作を所定の手順で実行することができる表示制御用CPU37aと、表示制御用CPU37aの表示制御プログラムを格納する表示制御用ROM37bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる表示制御用RAM37cが設けられている。表示制御用CPU37aには、演出表示装置22が接続されている。また、本実施形態の表示制御用CPU37aはタイマ機能を搭載しており、所定のタイミング(例えば、図柄変動ゲームを開始するタイミング)で時間を計測する。また、表示制御用ROM37bには、各種の画像データ(図柄、背景、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。
以下、主制御基板35、サブ統括制御基板36及び演出表示制御基板37が実行する制御内容を説明する。
最初に、主制御基板35について説明する。本実施形態では、以下の処理を実行する主制御用CPU35aが、変動パターン選択手段として機能する。
まず、図柄変動ゲームの制御に係る処理について説明する。
主制御基板35の主制御用CPU35aは、始動入賞口25へ遊技球が入球し、該遊技球を検知した始動口スイッチSW1が出力する検知信号を入力すると、主制御用RAM35cに記憶されている特別図柄用の保留記憶数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かの保留判定を行う。保留判定の判定結果が肯定(特別図柄用の保留記憶数<4)の場合、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数を1加算(+1)し、特別図柄用の保留記憶数を書き換える。また、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数の書き換えに伴って該書き換え後の前記保留記憶数に対応する数の保留ランプ(図示しない)を点灯させる。例えば、主制御用CPU35aは、書き換え後の特別図柄用の保留記憶数が「3」の場合、3つの保留ランプを点灯させる。また、主制御用CPU35aは、保留判定を肯定判定している場合、大当り判定用乱数の値と特図振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その値を特別図柄用の保留記憶数に対応付けて主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納する。なお、主制御用CPU35aは、保留判定の判定結果が否定(保留記憶数=4)の場合、上限数を超える特別図柄用の保留記憶数の書き換えを行わないとともに、大当り判定用乱数の値と特図振分用乱数の値も取得しない。
そして、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始直前に、主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納した大当り判定用乱数の値を読み出し、該値と主制御用ROM35bに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当りとする否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、主制御用CPU35aは、大当りを決定する。大当りを決定した主制御用CPU35aは、主制御用RAM35cの所定の記憶領域に格納した特図振分用乱数の値を読み出し、該値に基づいて特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定する。また、大当りを決定した主制御用CPU35aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値をもとに大当り演出用の変動パターンを選択し、決定する。
また、主制御用CPU35aは、大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、はずれを決定する。そして、主制御用CPU35aは、特別図柄表示装置23で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定する。また、はずれを決定した主制御用CPU35aは、リーチ判定用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値と主制御用ROM35bに記憶されているリーチ判定値とを比較し、はずれリーチ演出を実行するか否かを決定するリーチ判定を実行する。
そして、リーチ判定の判定結果が肯定(はずれリーチ演出を実行する)の場合、主制御用CPU35aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値をもとに、はずれリーチ演出用の変動パターンを選択し、決定する。一方、リーチ判定結果が否定(はずれリーチ演出を実行しない)の場合、主制御用CPU35aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM35cから取得し、その取得した値をもとに、はずれ演出用の変動パターンを選択し、決定する。
特別図柄及び変動パターンを決定した主制御用CPU35aは、所定の制御コマンドを生成し、その生成した制御コマンドを所定のタイミングでサブ統括制御基板36(統括制御用CPU36a)に出力する。具体的に言えば、主制御用CPU35aは、変動パターンを指示するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを生成し、該変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力する。また、主制御用CPU35aは、特別図柄を指示する特別図柄用の停止図柄指定コマンドを生成し、該停止図柄指定コマンドを変動パターン指定コマンドの出力後、次に出力する。そして、主制御用CPU35aは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に図柄変動ゲームの終了(図柄の確定停止)を指示する図柄停止コマンドを生成し、該図柄停止コマンドを前記変動時間の経過に伴って出力する。
また、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始時に特別図柄用の保留記憶数を1減算(−1)し、特別図柄用の保留記憶数を書き換える。そして、主制御用CPU35aは、特別図柄用の保留記憶数の書き換えに伴って該書き換え後の前記保留記憶数に対応する数の保留ランプ(図示しない)を点灯させる。また、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始に伴って特別図柄表示装置23の表示内容を制御する。すなわち、主制御用CPU35aは、図柄変動ゲームの開始により特別図柄の変動を開始させ、決定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を確定停止表示させる。
次に、サブ統括制御基板36の統括制御用CPU36aが統括制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。本実施形態では、統括制御プログラムに基づき以下の各種処理を実行する統括制御用CPU36aが、リーチ内容決定手段として機能する。
まず、図柄変動ゲームに係る処理について説明する。
統括制御用CPU36aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、演出表示装置22で実行させる図柄変動ゲームの具体的な演出内容を決定する。本実施形態において統括制御用CPU36aは、図柄停止コマンドを入力すると、該コマンドを演出表示制御基板37、音声・ランプ制御基板38に出力する。
また、統括制御用CPU36aは、特別図柄用の停止図柄指定コマンドを入力すると、特別図柄用の停止図柄指定コマンドにより指定された最終停止図柄(特別図柄)及び変動パターン指定コマンドに基づき、演出表示装置22に表示させる飾り図柄による図柄組み合わせ及び当該図柄組み合わせを表示させる有効ラインを決定する。なお、飾り図柄及び有効ラインの決定方法については、後述する。また、本実施形態において統括制御用CPU36aは、有効ラインL2(第1列用中図柄表示位置D2、第2列用中図柄表示位置D5、第3列用中図柄表示位置D8)を基準ラインとして該有効ラインL2上に表示させる図柄を決定する。このように有効ラインL2上に表示させる図柄を決定すれば、その他の図柄表示位置に表示される図柄は、各列R1〜R3の図柄の表示順序にしたがって必然的に決定されることになる。例えば、有効ラインL1上に[777]の図柄組合せを表示させる場合には、統括制御用CPU36aは、第1列用中図柄表示位置D2に[○(丸)]、第2列用中図柄表示位置D5に[○(丸)]、第3列用中図柄表示位置D8に[○(丸)]を決定する。なお、本実施形態では、有効ラインL2を図柄決定用の基準ラインとして図柄を決定しているが、前記基準ラインを他の有効ラインに変更しても良い。
このように、本実施形態では、統括制御用CPU36aが、基準ライン(本実施形態では、有効ラインL2)に表示させる図柄組み合わせを指定する飾り図柄を決定することにより、その他の図柄表示位置に表示される図柄も、各列R1〜R3の図柄の表示順序にしたがって必然的に決定されることになる。
次に、演出表示制御基板37の表示制御用CPU37aが表示制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。
まず、図柄変動ゲームに係る処理について説明する。
演出表示制御基板37の表示制御用CPU37aは、変動パターン指定コマンドと演出指示コマンドを入力すると、これらコマンドに指示される演出内容(変動内容)を選択し、該演出内容で図柄変動ゲームを行わせるように演出表示装置22の表示内容を制御する。そして、表示制御用CPU37aは、図柄変動ゲーム中に図柄停止コマンドを入力すると、飾り図柄用の停止図柄指定コマンドで指示された飾り図柄を演出表示装置22に確定停止表示させるように表示内容を制御し、図柄変動ゲームを終了させる。そして、表示制御用CPU37aは、図柄変動ゲームの開始からの経過時間を計時し、その計時した時間と表示用データをもとに演出表示装置22に映し出す画像を所定の制御周期毎(例えば、4ms毎)に切り替える。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機10では、大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させるリーチラインの位置によって、統括制御用CPU36aが、シングルリーチとするのかダブルリーチとするのかを決定することになる。
この際、統括制御用CPU36aは、図5に示す振分テーブルを用いて、ダブルリーチを形成可能か否か判定する。図5に示す振分テーブルは、統括制御用ROM36bに記憶されており、選択された変動パターンの種類毎に、ダブルリーチとするかシングルリーチとするかが抽選で決定されるように乱数値が振分けられている。なお、図5では、シングルリーチを「SR」と示し、ダブルリーチを「WR」と示している。具体的には、変動パターンP1又は変動パターンP6が選択された場合、シングルリーチのみが選択可能となるように乱数値が振分けられている。一方、変動パターンP2〜P5のうちいずれかが選択された場合、シングルリーチ又はダブルリーチの何れかが選択可能となるように乱数値が振分けられている。したがって、統括制御用CPU36aは、変動パターンP1又は変動パターンP6が選択された場合、シングルリーチを形成させることを決定する。一方、統括制御用CPU36aは、変動パターンP2〜P5のうちいずれかが選択された場合、シングルリーチ又はダブルリーチを形成させることを決定する。本実施形態では、有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にリーチ図柄を導出する態様が、第1リーチ内容となる一方、有効ラインL4及び有効ラインL5上にリーチ図柄を導出する態様が、第2リーチ内容となる。
また、大当り演出用の変動パターンP2,P3及びはずれリーチ演出用の変動パターンP4〜P6では、各列R1〜R3に飾り図柄を停止表示させる際に変動速度を切り替える時間をそれぞれ統一している。
図6は、変動パターンP4〜P6に基づく図柄変動ゲームの実行態様を示している。
これらの変動パターンP4〜P6に基づく図柄変動ゲームでは、図6に示すように、全列R1〜R3において速度Aで図柄の変動が開始され、左列R1では、変動を開始してから時間T1の経過後に変動速度が速度Aから速度B(<速度A)に切り替わる。このとき、演出表示装置22では、左列R1において、リーチ図柄として決定された図柄よりも所定個数前の図柄が所定の図柄表示位置(この例では、第1列用中図柄表示位置D2)を通過したことを契機として速度Aから速度Bに切り替わるようになっている。なお、変更契機図柄は、演出表示制御基板37によって、第1列用中図柄表示位置D2にリーチ図柄を導出するのに要する時間(時間T2)及び図柄の変動数を逆算して決定されるようになっている。そして、変動速度が切り替えられた後も図柄の変動表示が行われるようになっており、リーチ図柄として決定された図柄が第1列用中図柄表示位置D2に到達した時(時間T2が経過した時点)に、当該リーチ図柄として決定された図柄が一旦停止表示されるようになっている。
その後、右列R3では、右列R3において、リーチ図柄として決定された図柄よりも所定個数前の図柄が所定の図柄表示位置(この例では、第3列用中図柄表示位置D8)を通過したことを契機として速度Aから速度Bに切り替わる。そして、左列R1同様、リーチ図柄として決定された図柄が第3列用中図柄表示位置D8に到達した時(時間T4が経過した時点)に、当該リーチ図柄として決定された図柄が一旦停止表示されるようになっている。そして、左列R1と右列R3に同一図柄が一旦停止表示されたことによってリーチが形成され、リーチ演出が実行される。
そして、中列R2では、変動パターンP2〜P6が選択された場合、大当り抽選に当選したのか否かを分かり難くするため、各変動パターン間において変動速度が速度Aから速度Bに切り替わる契機となる図柄(変更契機図柄)を統一している。具体的には、シングルリーチを形成させる場合、中列R2において、リーチ図柄と同一の図柄よりも表示順序が6個前(数字図柄Nのみ)の数字図柄Nが第2列用中図柄表示位置D5を通過した時点で、速度Aから速度Bに切り替えられるようになっている。一方、ダブルリーチを形成させる場合、中列R2において、大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出する有効ライン上のリーチ図柄と同一の図柄よりも表示順序が6個前(数字図柄Nのみ)の数字図柄Nが第2列用中図柄表示位置D5を通過した時点で、速度Aから速度Bに切り替えられるようになっている。
また、本実施形態では、変動パターンP2〜P6のうち何れの変動パターンが選択された場合であっても、中列R2の変動速度は、図柄の変動が開始してから時間T5(本実施形態では、15秒)が経過した時点で、速度Aから速度Bに切り替わるように設定されている。また、本実施形態では、中列R2において1つの図柄が第2列用中図柄表示位置D5から第2列用下図柄表示位置D6へ変動するのに要する時間を0.5秒としている。
例えば、はずれリーチ演出用の変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームにおいて有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチの形成が決定されるとともに、リーチ図柄として[0]が導出された場合、最終停止図柄は[080]となる。そして、変動パターンP4には、変動時間として「19秒」が定められているとともに、中列R2の変動速度は、図柄の変動が開始してから15秒が経過した時点で切り替わるように設定されているので、残りの変動時間は4秒(時間T6−時間T5)となる。この場合、中列R2に[0]よりも表示順序が2個前(数字図柄Nのみ)に設定された[8]を4秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームでシングルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから8個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[8]が導出されることになる。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから4個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[8]が導出されることになる。
一方、はずれリーチ演出用の変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、有効ラインL5上に導出される最終停止図柄は[191]となる。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[1]よりも表示順序が2個前(数字図柄Nのみ)に設定された[9]を4秒かけて導出させるためには、5→○→6→○→7→○→8→○→9となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームでダブルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過してから8個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる(図7(a))。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過してから4個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる。
これにより、変動パターンP4では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、同一時間(4秒)かけて中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。また、変動パターンP4では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、速度Aから速度Bに切り替えられてから同一個数(8個)の図柄が変動表示された後、中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。そして、この例では、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出された場合を例に挙げたため、変更契機図柄は[5]となるが、有効ラインL5上に[0]で示すリーチ図柄が導出された場合、変更契機図柄は、シングルリーチの形成が決定された場合と同様、[4]となる。
また、はずれリーチ演出用の変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームにおいて有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチの形成が決定されるとともに、リーチ図柄として[0]が導出された場合、最終停止図柄は[010]となる。そして、変動パターンP5には、変動時間として「22秒」が定められているとともに、中列R2の変動速度は、図柄の変動が開始してから15秒が経過した時点で切り替わるように設定されているので、残りの変動時間は7秒(時間T7−時間T5)となる。この場合、中列R2に[0]よりも表示順序が1個後(数字図柄Nのみ)に設定された[1]を7秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームでシングルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから14個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[1]が導出されることになる。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから7個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[1]が導出されることになる。
そして、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームでは、変動速度が速度Aから速度Bに切り替わってから変動表示させる図柄の数が、変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームで変動表示させる図柄の数よりも6個多いため、変動時間が0.5秒×6=3秒長くなっている。
一方、はずれリーチ演出用の変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、有効ラインL5上に導出される最終停止図柄は[121]となる。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[1]よりも表示順序が1個後(数字図柄Nのみ)に設定された[2]を7秒かけて導出させるためには、5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1→○→2となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームでダブルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過してから14個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる(図7(b))。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過してから7個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる。
これにより、変動パターンP5では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、同一時間(7秒)かけて中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。また、変動パターンP5では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、速度Aから速度Bに切り替えられてから同一個数(14個)の図柄が変動表示された後、中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。そして、変動パターンP4と変動パターンP5を比較すると、シングルリーチの形成が決定された場合、変更契機図柄が[4]となり、どちらの変動パターンが選択されたのかが分からないようになっている。同様に、ダブルリーチの形成が決定された場合、変更契機図柄が[5]となり、どちらの変動パターンが選択されたのかが分からないようになっている。そして、この例では、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出された場合を例に挙げたため、変更契機図柄は[5]となるが、有効ラインL5上に[0]で示すリーチ図柄が導出された場合、変更契機図柄は、シングルリーチの形成が決定された場合と同様、[4]となる。
また、はずれリーチ演出用の変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームにおいて有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチの形成が決定されるとともに、リーチ図柄として[0]が導出された場合、最終停止図柄は[090]となる。そして、変動パターンP6には、変動時間として「20秒」が定められているとともに、中列R2の変動速度は、図柄の変動が開始してから15秒が経過した時点で切り替わるように設定されているので、残りの変動時間は5秒(時間T8−時間T5)となる。この場合、中列R2に[0]よりも表示順序が1個前(数字図柄Nのみ)に設定された[9]を5秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームでシングルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから10個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから5個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる。
そして、変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームでは、変動速度が速度Aから速度Bに切り替わってから変動表示させる図柄の数が、変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームで変動表示させる図柄の数よりも2個多いため、変動時間が0.5(秒)×2=1秒長くなっている。そして、変動パターンP4〜P6を比較すると、有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチの形成が決定された場合、変更契機図柄が[4]となり、どの変動パターンが選択されたのかが分からないようになっている。
ところで、仮に、はずれリーチ演出用の変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームにおいて、ダブルリーチの形成を可能となるように設定すると、以下のような現象が生じることになる。
即ち、はずれリーチ演出用の変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出されたとする。このとき、切り替えタイミング及び大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出する有効ラインを変動パターンP4,P5に合わせて、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過した時点とするとともに、有効ラインL5とする。この場合、5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)となり、第2列用中図柄表示位置D5に[0]が導出されることになる。そして、この例では、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されているため、はずれリーチ演出用の変動パターンP6が選択されたにもかかわらず、有効ラインL5上にははずれの図柄組み合わせ[101]が導出されるものの、有効ラインL4上に[000]で示す大当りの図柄組み合わせが導出されてしまうことになる。これにより、切り替えタイミングを[5]とすることができない。
そして、有効ラインL5上に大当り抽選の抽選結果を導出できないことによって、有効ラインL4上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させる場合、導出される最終停止図柄は[090]となる。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[0]よりも表示順序が1個前に設定された[9]を5秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームでダブルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから10個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる(図7(c))。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから5個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる。
これにより、変動パターンP6では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、同一時間(7秒)かけて中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。また、変動パターンP6では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、速度Aから速度Bに切り替えられてから同一個数(10個)の図柄が変動表示された後、中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序においてリーチ図柄と同一の図柄から数えて6個前の数字図柄Nとなる。
なお、ここでは図示しないが、大当り演出用の変動パターンP2,P3に基づく図柄変動ゲームにおいても、シングルリーチの形成が決定されるとともに、リーチ図柄として[0]が導出される場合、変更契機図柄が[4]となり、大当り抽選に当選したのか否かが分からないようになっている。同様に、大当り演出用の変動パターンP2に基づく図柄変動ゲームにおいても、ダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、変更契機図柄が[5]となり、大当り抽選に当選したのか否かが分からないようになっている。なお、この例では、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出された場合を例に挙げたため、変更契機図柄は[5]となるが、有効ラインL5上に[0]で示すリーチ図柄が導出された場合、変更契機図柄は、シングルリーチの形成が決定された場合と同様、[4]となる。
同様に、大当り演出用の変動パターンP3に基づく図柄変動ゲームにおいても、ダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、変更契機図柄が[4]となり、大当り抽選に当選したのか否かが分からないようになっている。
したがって、統括制御用CPU36aは、変動パターンP6が選択された場合、シングルリーチの形成を決定するとともに、シングルリーチでは、どの変動パターンが選択された場合も同一の図柄(この例では[4])から変動速度が切り替えられる。これにより、その態様から大当り抽選に当選したのか否かを分かり難くすることができる(図7(c))。
なお、前述の説明では、シングルリーチの形成が決定された場合において、リーチ図柄として[0]が導出される際の態様を例示した。その代わりとして、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序においてリーチ図柄と同一の図柄から数えて6個前の数字図柄Nとなる。例えば、リーチ図柄として[1]が導出される場合、変更契機図柄は[5]となるとともに、リーチ図柄として[2]が導出される場合、変更契機図柄は[6]となる。また、前述の説明では、ダブルリーチの形成が決定された場合において、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される際の態様を例示した。これにより、有効ラインL5上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させる場合における変更契機図柄は[5]となる。その一方で、有効ラインL5上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させる場合、有効ラインL4上に[9]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとすると、変更契機図柄は、シングルリーチの形成が決定された場合と同様、[4]となる。
また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序において大当り抽選の抽選結果が導出される有効ライン上に導出されるリーチ図柄と同一の図柄から数えて6個前の数字図柄Nとなる。例えば、有効ラインL5上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させる場合において、有効ラインL4上に[2]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[3]で示すリーチ図柄が導出されるときには、変更契機図柄は[7]となる。一方、有効ラインL4上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させる場合において、有効ラインL4上に[2]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[3]で示すリーチ図柄が導出されるときには、変更契機図柄は[6]となる。
なお、はずれリーチ演出用の変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定された場合と、はずれリーチ演出用の変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定された場合とでは、見かけ上、有効ラインL4,L5において同一の図柄組み合わせが導出されることになる(図7(a),(c))。したがって、変動パターンP6が選択された場合にシングルリーチの形成が決定されたとしても、変動パターンP4が選択された場合にダブルリーチの形成が決定されたのであれば、見かけ上、変動パターンP6に基づいてダブルリーチの態様で図柄変動ゲームが実行されたかのように見せることができる。
本実施形態では、変動パターンP6が第1の変動パターンとなる一方で、変動パターンP5が第2の変動パターンとなり、さらに変動パターンP4が、第3の変動パターンとなる。また、図柄の変動が開始してから時間T5が経過するまでの変動態様、つまり、中列R2が速度Aで変動表示されている態様が、第1の変動態様となる。また、中列R2が速度Bで変動表示されている態様が、第2の変動態様となる。
そして、統括制御用CPU36aは、有効ラインL2を図柄決定用の基準ラインとし、決定した飾り図柄による図柄組み合わせを、決定した有効ライン上に確定停止表示させるように、飾り図柄を指示する飾り図柄用の停止図柄指定コマンドを生成し、当該コマンドを演出表示制御基板37に出力する。
そして、変動パターン指定コマンドと飾り図柄用の停止図柄指定コマンドを入力した表示制御用CPU37aは、各列に図柄を導出するのに要する時間を逆算するとともに、これらのコマンドに基づいて変更契機図柄を決定する。そして、表示制御用CPU37aは、これらコマンドに指示される演出内容(変動内容)を選択し、該演出内容で図柄変動ゲームを行わせるように演出表示装置22の表示内容を制御する。
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)第1の変動パターン(本実施形態では、変動パターンP6)及び第2の変動パターン(本実施形態では、変動パターンP5)において、変更契機図柄が一致しない場合、基準とする変動パターン(本実施形態では、変動パターンP5)では、シングルリーチ又はダブルリーチの何れかを選択可能とした。その一方で、他方の変動パターン(本実施形態では、変動パターンP6)では、シングルリーチのみ選択可能となるようにした。これにより、変動の様子から図柄変動ゲームの変動内容を察知し難くすることができ、遊技中の興趣の向上を図ることができる。
(2)変更契機図柄が一致しないことによって、変動パターンP6が選択された際に、シングルリーチのみ選択可能となるようにしたとしても、変動パターンP4を設定することによって、見た目上、変動パターンP6に基づいて、ダブルリーチのリーチ演出を実行可能となるように演出の補填をすることができる。
(3)はずれリーチ演出用の変動パターンP4に関して、大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出する有効ラインを有効ラインL5としたことにより、見た目上、変動パターンP6に基づいて、ダブルリーチのリーチ演出を実行可能となるように演出の補填をすることができる。
(4)数字図柄によって、図柄の降順及び昇順、及び図柄組み合わせを明確にすることができる。
(5)大当り演出用の変動パターンP2,P3及びはずれリーチ演出用の変動パターンP4,P5において、シングルリーチの形成が決定されるとともに、リーチ図柄として[0]が導出される場合、変更契機図柄が[4]となり、大当り抽選に当選したのか否かが分からないようになっている。同様に、ダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出されるとする。このとき、有効ラインL5上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせが導出されるのであれば、変更契機図柄が[5]となり、大当り抽選に当選したのか否かが分からないようになっている。これにより、図柄の変動態様から大当り抽選に当選したのか否かを分かり難くすることができる。なお、はずれリーチ演出用の変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームでは、中列R2において、リーチ図柄と同一の図柄が導出される前にはずれリーチの図柄組み合わせが確定してしまうので、当該変動パターンに基づく図柄変動ゲームであることを遊技者が認識してしまうと、はずれとなることが分かってしまう。したがって、全ての変動パターンにおいて変更契機図柄を統一することで、大当り抽選に当選したのか否かを分かり難くすることができる。
(6)1つの変動パターンにおいて、シングルリーチ及びダブルリーチのどちらが決定された場合であっても、中列R2において速度Bで図柄を変動させる時間、及び速度Bで図柄を変動させる際の個数を同一とした。そして、各変動パターン間においても、シングルリーチを形成させる場合の変更契機図柄を統一するとともに、ダブルリーチを形成させる場合の変更契機図柄を統一した。これにより、変動パターンP6に基づいてシングルリーチが形成されたとしても、全ての変動パターン間で変更契機図柄を統一しているので、大当り抽選に当選したのか否かを分かり難くすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明をその一種であるパチンコ遊技機に具体化した第2の実施形態を図8及び図9にしたがって説明する。以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同様の構成については同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
本実施形態では、中列R2に導出させる図柄を、リーチ図柄よりも表示順序が2個前の数字図柄Nとする内容が対応付けられた変動パターンP4に代えて、中列R2に導出させる図柄を、リーチ図柄よりも表示順序が2個後(数字図柄Nのみ)の数字図柄Nとする内容が対応付けられた変動パターンP7を設定している。そして、はずれリーチ演出用の変動パターンP6に代えて、変動パターンP5が選択された際に、シングルリーチのみが選択可能となるよう、乱数値を振分けるようにした。
図8は、本実施形態のパチンコ遊技機10において用意された一部の変動パターンを示している。
本実施形態では、変動パターンP1〜P3,P5,P6に加え、はずれリーチ演出用の変動パターンP7が設定されている。そして、変動パターンP7には、中列R2に導出させる図柄を、リーチ図柄よりも表示順序が2個後の数字図柄Nとする内容が対応付けられている。なお、図8では、リーチ図柄よりも表示順序が1個後の数字図柄Nを「+2」と示している。例えば、シングルリーチを形成させるとともに、リーチ図柄が[3]の場合、中列R2に導出させる図柄は[5]となる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序においてリーチ図柄と同一の図柄から数えて2個後の数字図柄Nとなる。一方、有効ラインL4上に[3]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[4]で示すリーチ図柄が導出される場合、第2列用中図柄表示位置D5に導出させる図柄は[5]となる。また、リーチ図柄としてその他の数字図柄Nが導出された場合も同様に、中列R2に導出される数字図柄Nは、中列R2の表示順序において有効ラインL4上に位置するリーチ図柄と同一の図柄から数えて2個後の数字図柄Nとなる。そして、変動パターンP7では、有効ラインL4上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせが導出されるようになっている。また、変動パターンP7には、変動時間として「23秒」が定められている。
そして、変動パターンP7においても、大当り抽選に当選したのか否かを分かり難くするため、変更契機図柄を統一している。また、本実施形態においても、変動パターンP7が選択された場合、中列R2の変動速度は、図柄の変動が開始してから時間T5(本実施形態では、15秒)が経過した時点で、速度Aから速度Bに切り替わるように設定されている。
例えば、はずれリーチ演出用の変動パターンP7に基づく図柄変動ゲームにおいて有効ラインL1〜L3のうち何れかの有効ライン上にシングルリーチの形成が決定されるとともに、リーチ図柄として[0]が導出された場合、最終停止図柄は[020]となる。そして、変動パターンP7には、変動時間として「23秒」が定められているとともに、中列R2の変動速度は、図柄の変動が開始してから15秒が経過した時点で切り替わるように設定されているので、残りの変動時間は8秒となる。この場合、中列R2に[0]よりも表示順序が2個後(数字図柄Nのみ)に設定された[2]を8秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1→○→2となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP7に基づく図柄変動ゲームでシングルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから16個の数字図柄Nが0.5秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから8個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる。そして、変動パターンP7に基づく図柄変動ゲームでは、変動速度が速度Aから速度Bに切り替わってから変動表示させる図柄の数が、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームで変動表示させる図柄の数よりも2個多いため、変動時間が0.5(秒)×2=1秒長くなっている。
一方、はずれリーチ演出用の変動パターンP7に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、有効ラインL4上に導出される最終停止図柄は[020]となる。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[0]よりも表示順序が2個後に設定された[2]を8秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9→○(丸)→0(零)→○→1→○→2となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP7に基づく図柄変動ゲームでダブルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから16個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる(図9(a))。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過してから8個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる。
これにより、変動パターンP7では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、同一時間(8秒)かけて中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。また、変動パターンP7では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、速度Aから速度Bに切り替えられてから同一個数(16個)の図柄が変動表示された後、中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。
また、はずれリーチ演出用の変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、有効ラインL4上に導出される最終停止図柄は[090]となる。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[0]よりも表示順序が1個前に設定された[9]を5秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームでダブルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから10個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる(図9(c))。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過してから5個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[9]が導出されることになる。
これにより、変動パターンP6では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、同一時間(5秒)かけて中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。また、変動パターンP6では、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合であっても、速度Aから速度Bに切り替えられてから同一個数(10個)の図柄が変動表示された後、中列R2に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄が導出されることになる。そして、変動パターンP6と変動パターンP7を比較すると、シングルリーチ又はダブルリーチの形成が決定された場合、変更契機図柄が[4]となり、どちらの変動パターンが選択されたのかが分からないようになっている。
一方、はずれリーチ演出用の変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、有効ラインL5上に導出される最終停止図柄は[121]となる。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[1]よりも表示順序が1個後に設定された[2]を7秒かけて導出させるためには、5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1→○→2となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームでダブルリーチの形成が決定された場合、中列R2においては、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過してから14個の図柄が0.5秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる。ちなみに、数字図柄Nのみで換算すると、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過してから5個の数字図柄が1秒ずつかけて変動表示された後、[2]が導出されることになる。
ところで、仮に、はずれリーチ演出用の変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームにおいて、ダブルリーチの形成を可能となるように設定すると、以下のような現象が生じることになる。
前述したように、変動パターンP6,P7に基づく図柄変動ゲームでは、[0][1]で示す図柄でダブルリーチの形成が決定された場合、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度が速度Aから速度Bに切り替えられるようになっている(図9(a),(c))。そして、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームにおいて、ダブルリーチの形成が決定された場合、切り替えタイミング及び大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出する有効ラインを変動パターンP6,P7に合わせて、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点とするとともに、有効ラインL4とする。この場合、4→○→5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1となり、第2列用中図柄表示位置D5に[1]が導出されることになる。そして、この例では、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出されているため、はずれリーチ演出用の変動パターンP5が選択されたにもかかわらず、有効ラインL4上にははずれの図柄組み合わせ[010]が導出されるものの、有効ラインL5上に[111]で示す大当りの図柄組み合わせが導出されてしまうことになる。これにより、切り替えタイミングを[4]とすることもできない。
そして、有効ラインL4上に大当り抽選の抽選結果を導出できないことによって、有効ラインL5上に大当り抽選の抽選結果を導出させる場合、導出される最終停止図柄は[121]となる。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[1]よりも表示順序が1個後に設定された[2]を7秒かけて導出させるためには、5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1→○→2となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。したがって、変動パターンP5にも度づく図柄変動ゲームでは、ダブルリーチの形成が決定された場合、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過した時点で変動速度が速度Aから速度Bに切り替えられると、その切り替えタイミングから変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームが実行されること、つまり、はずれとなることが分かってしまう(図9(b))。したがって、本実施形態では、変動パターンP5が選択された場合、シングルリーチのみが選択可能となるよう、乱数値を振分けた。本実施形態では、変動パターンP5,P6を用いて例示したように、同一のリーチ形成図柄でダブルリーチが形成され、同一の有効ライン上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出させることが、同一リーチ態様となる。
なお、ここでは図示しないが、本実施形態では、大当り演出用の変動パターンP2,P3に基づく図柄変動ゲームにおいても、シングルリーチの形成が決定されるとともに、リーチ図柄として[0]が導出される場合、変更契機図柄が[4]となり、大当り抽選に当選したのか否かが分からないようになっている。同様に、大当り演出用の変動パターンP2に基づく図柄変動ゲームにおいても、ダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出される場合、変更契機図柄が[4]となり、大当り抽選に当選したのか否かが分からないようになっている。なお、この例では、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出された場合を例に挙げたため、変更契機図柄は[4]となるが、有効ラインL4上に[1]で示すリーチ図柄が導出された場合、変更契機図柄は、シングルリーチの形成が決定された場合と同様、[5]となる。
したがって、統括制御用CPU36aは、変動パターンP5が選択された場合、シングルリーチの形成を決定するとともに、シングルリーチでは、どの変動パターンが選択された場合も同一の図柄(この例では[4])から変動速度が切り替えられる。これにより、その態様から大当りになるのか、それとも変動パターンP5〜P7のうちどの変動パターンが選択されたのかを分かり難くすることができる(図9(b))。
なお、はずれリーチ演出用の変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定された場合と、はずれリーチ演出用の変動パターンP7に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定された場合とでは、見かけ上、有効ラインL4,L5において同一の図柄組み合わせが導出されることになる(図9(a),(b))。したがって、変動パターンP5が選択された場合にシングルリーチの形成が決定されたとしても、変動パターンP7が選択された場合にダブルリーチの形成が決定されたのであれば、見かけ上、変動パターンP7に基づいてダブルリーチの態様で図柄変動ゲームが実行されたかのように見せることができる。
本実施形態では、変動パターンP7が、第4の変動パターンとなる。
本実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果(1),(4),(6)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(7)変更契機図柄が一致しないことによって、変動パターンP5が選択された際に、シングルリーチのみ選択可能となるようにしたとしても、変動パターンP7を設定することによって、見た目上、変動パターンP5に基づいて、ダブルリーチが形成されたかのようなリーチ演出を実行可能となるように演出の補填をすることができる。
(8)はずれリーチ演出用の変動パターンP7に関して、大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせを導出する有効ラインを有効ラインL4としたことにより、見た目上、変動パターンP5に基づいて、ダブルリーチのリーチ演出を実行可能となるように演出の補填をすることができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 各実施形態において、各列R1〜R3で変動表示される図柄は、数字図柄Nに限られず、「あいうえお」などの文字列としても良いし、果物や乗り物を模した図柄としても良い。また、数字図柄と果物を模した図柄などの組み合わせとしても良い。
・ 第1の実施形態において有効ラインL4を基準とした場合、変動パターンP5が選択された際には、シングルリーチのみが選択可能となるように乱数値を振分けても良い。この場合、変動パターンP4に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出されたとすると、有効ラインL4上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせが導出されることになる([080])。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[0]よりも表示順序が2個前に設定された[8]を4秒かけて導出させるためには、4→○→5→○→6→○→7→○→8となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[4]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。これにより、変動パターンP4と変動パターンP6において、図柄の変動速度が速度Aから速度Bに切り替えられる契機となる図柄(この例では[4])を統一することができる。ただし、変動パターンP5に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定された場合における変動態様とは異なってしまうため、演出の補填とはならない。
・ 第2の実施形態において有効ラインL5を基準とした場合、変動パターンP6が選択された際には、シングルリーチのみが選択可能となるように乱数値を振分けても良い。この場合、変動パターンP7に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定され、有効ラインL4上に[0]で示すリーチ図柄が導出されるとともに、有効ラインL5上に[1]で示すリーチ図柄が導出されたとすると、有効ラインL5上に大当り抽選の抽選結果に基づく図柄組み合わせが導出されることになる([131])。この場合、第2列用中図柄表示位置D5に[1]よりも表示順序が2個後に設定された[3]を4秒かけて導出させるためには、5→○→6→○→7→○→8→○→9→○→0(零)→○→1→○→2→○→3となるように、第2列用中図柄表示位置D5を[5]が通過した時点で変動速度を速度Aから速度Bに切り替えなければならない。これにより、変動パターンP5と変動パターンP7において、図柄の変動速度が速度Aから速度Bに切り替えられる契機となる図柄(この例では[5])を統一することができる。ただし、変動パターンP6に基づく図柄変動ゲームにおいてダブルリーチの形成が決定された場合における変動態様とは異なってしまうため、演出の補填とはならない。
・ 各実施形態において、基準とならない有効ラインを特定する変動パターンに対しても、シングルリーチ及びダブルリーチのいずれかが選択可能となるように乱数値を振分け、ダブルリーチを決定してしまった場合に、シングルリーチに決め直すようにしても良い。
・ 各実施形態は、ノーマルリーチ演出の実行後、スーパーリーチ演出に演出内容が変化するリーチ演出を実行するパチンコ遊技機に採用しても良い。このリーチ演出では、例えば、特定の2列でリーチの組み合わせを形成し、残り1列の図柄を変動表示させる段階がノーマルリーチ演出の演出内容となる。そして、残り1列の図柄が変動表示中又は一旦停止した後に、例えば、特定のキャラクタが登場し、登場キャラクタの名称などで呼ばれる「○○○リーチ」へ移行(発展)して行われる段階がスーパーリーチ演出の演出内容となる。そして、スーパーリーチ演出を特定する変動パターンにおいても、ノーマルリーチ演出におけるリーチ形成後の変更契機図柄を統一し、統一できなかった変動パターンに基づく図柄変動ゲームでは、シングルリーチのみ選択可能となるように乱数値を振分けても良い。これにより、当該図柄変動ゲームが、大当り抽選に当選しているのか否かを分かり難くすることはもちろんのこと、ノーマルリーチ演出のみで終了するのか、スーパーリーチ演出に発展するのか否かを分かり難くすることができる。つまり、大当り抽選に当選した際に選択し得る変動パターンとして、スーパーリーチ演出を特定するパターンを設定しておけば、大当り抽選に当選しなかった場合と同様、大当り抽選に当選した場合においても、変更契機図柄が統一できなかった際にはシングルリーチのみ実行されることになる。
・ 各実施形態において、図柄を速度Aで変動させる長さを変更しても良い。また、リーチ図柄よりも表示順序が6個前の数字図柄Nが第2列用中図柄表示位置D5を通過した時点で、速度Aから速度Bに切り替えられるようにしていたが、6個前には限られない。
・ 各実施形態において、通常は、1本の有効ライン上に図柄組み合わせが導出される一方で、特定条件を満たしたときだけ有効ラインが増加し、複数の有効ライン上で図柄組み合わせが導出されるようにしても良い。なお、特定の条件として、「予め定めた変動パターンが選択されたとき」とすることが考えられる。また、大当り遊技の終了後、大当り抽選の抽選確率状態が、高確率抽選状態(確変状態)であるのか、低確率抽選状態(非確変状態)であるのかを遊技者に示唆する遊技状態示唆演出を実行させる複数の演出モードを設定し、特定の演出モード中は、有効ラインの本数を複数として図柄変動ゲームを実行させることが考えられる。
・ 各実施形態における有効ラインの本数は5本に限られず、2本以上の有効ラインを設定可能なパチンコ遊技機であれば良い。
・ 各実施形態を、ブランク図柄Qが設定されておらず、数字図柄Nのみが設定されているパチンコ遊技機に採用しても良い。上記実施形態においてブランク図柄Qを省略すると、トリプルリーチが形成されることになる。また、ブランク図柄Q自体を表示させず、ブランク図柄Qの分だけ、各数字図柄Nの間隔を空けても良い。
・ 各実施形態において、図柄のスクロール方向を横方向としても良い。
・ 各実施形態において、図柄を縦方向又は横方向にスクロールさせるのではなく、固定された図柄表示位置上で図柄が変動表示されるものとしても良い。この場合、図柄の変動開始からリーチが形成されるまで、第1の変動速度で図柄が変動表示された後、第2の変動速度(<第1の変動速度)で図柄が変動表示されるようにし、第1の変動速度から第2の変動速度へ切り替わる契機となる図柄を統一する。そして、変動時間の都合上、当該図柄を統一することができない変動パターンに関しては、シングルリーチのみ選択可能となるようにすれば良い。
・ 各実施形態では、演出表示装置22を液晶式としたが、ドットマトリクス式や7セグメントLED式の演出表示装置としても良いし、ドラム式などの機械式の演出表示装置としても良い。なお、7セグメントLED式の演出表示装置では、図柄が縦方向又は横方向にスクロールされるのではなく、固定された図柄表示位置上で変動表示されることになる。
・ 各実施形態において、サブ統括制御基板36を省略し、サブ統括制御基板36で実行する処理を演出表示制御基板37で実行するようにしても良い。また、サブ統括制御基板36と、音声・ランプ制御基板38とを単一の基板で構成しても良い。
・ 各実施形態は、それぞれ異なる図柄変動ゲームの対象となる特別図柄を複数設定したパチンコ遊技機に具体化しても良い。