JP5337574B2 - プロアントシアニジンの分離精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プロアントシアニジンの分離精製方法に関するものであり、詳しくは、プロアントシアニジンを重合度別に分離し精製するための分離精製方法に関するものである。
プロアントシアニジンは、従来より「縮合型タンニン」や「非加水分解性タンニン」と呼ばれている化合物であり、植物体に含まれるポリフェノールの一種として知られる。プロアントシアニジンの構造は、一般に、フラバン−3−オールを構成単位とし、4−6位または4−8位で縮合もしくは重合する結合様式をとる。このように、プロアントシアニジンとは、上記結合様式に従い縮合もしくは重合した、2量体以上の重合体の総称である。
近年、プロアントシアニジンのなかには、抗糖尿病、抗肥満、内臓蓄積脂肪低減、内臓脂肪蓄積抑制、抗腫瘍、抗炎症、抗老化、抗酸化、抗アレルギー、抗菌、育毛等の生理活性を示すものがあるとの報告がなされている。これらの生理活性とプロアントシアニジンの重合度数との構造活性相関に関しては、未だ充分に解明されていないのが現状であるが、例えば、育毛活性については、2〜5量体(特に2量体と3量体)のプロアントシアニジンが最も高い活性を示すことが報告されている(特許文献1参照)。
そこで、上記のような、各種の生理活性を有する重合度数のプロアントシアニジンのみを、高純度で分離・精製するための分離精製方法が求められている。植物体からのプロアントシアニジンの分離・精製に関しては、従来より、下記の(1)〜(5)に示す精製方法が行われている。
(1)向流クロマトグラフィーによる精製方法(特許文献2参照)。
(2)酢酸エチル、ジクロロメタンを用いた固液抽出方法(特許文献3参照)。
(3)セファデックスLH−20カラムを用いた精製方法(特許文献4参照)。
(4)ポリスチレン系吸着樹脂を用いた精製方法(特許文献5参照)。
(5)順相シリカゲルクロマトグラフィーを用いた精製方法(特許文献6,7参照)。
WO96/00561公報 特開昭61−16982号公報 特開平8−176137号公報 特開平3−200781号公報 特公平7−62014号公報 特開2006−38763公報 WO00/64883公報
Yanagida : J. Chromatogr. A, 1143, 153 : Retention behavior of oligomeric proanthocyanidins in hydrophilic interation chromatography. 2007
しかしながら、上記特許文献2〜5に示すような、向流液液分配法、ポリスチレン系吸着樹脂を用いた分離方法等では、プロアントシアニジンの回収率が充分でなく、しかも、目的とする重合度数のプロアントシアニジンを高純度で分離することができない。すなわち、これらの精製方法では、重合度数に無関係にプロアントシアニジン混合物が抽出されるため、そこから、プロアントシアニジン以外のフラボノイド類、カテキン、エピカテキン等のプロアントシアニジン構成モノマー、高重合(6量体以上)のプロアントシアニジンポリマー、あるいは他の夾雑物を除去し、目的とする重合度数のプロアントシアニジンのみを高純度で分離・精製することは難しいからである。
一方、上記特許文献6,7にあるような、いわゆる順相系の液体クロマトグラフィーでは、移動相に、揮発性の高い疎水性溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の低極性溶媒)を使用しなければならないため、作業環境の悪化、操作上の安全面の問題を生じるおそれがある。また、この精製方法により得られたプロアントシアニジンを医薬品や飲食品の材料に用いる場合、使用する溶媒によっては、健康被害を生じるおそれもある。
また、現在、実験室等において行われている液体クロマトグラフィーは、先に述べた作業環境の問題等により、疎水性溶媒を移動相とする順相系のものは少なく、水系溶媒を移動相とする逆相系のものが主流であることから、上記特許文献6,7にあるような順相系の分離方法は、汎用性が低い。すなわち、実験室等における現在の設備環境で順相系の液体クロマトグラフィーを行うには、分析装置に使用する溶媒を長時間かけて順相系溶媒に置換するか、もしくは、順相用の分析装置を別途設置するといったことを要するため、設備費用や手間がかかるからである。
以上のことから、逆相系でのプロアントシアニジンの精製方法の開発が望まれる。しかしながら、例えば、逆相液体クロマトグラフィーの固定相用充填剤として一般的なODS(オクタデシル基が化学結合したシリカゲル担体)は、重合度数に無関係にプロアントシアニジン混合物が混在して溶出されるため、この充填剤の使用では、目的とする重合度数のプロアントシアニジンのみを抽出することはできない。なお、近年、逆相系でのプロアントシアニジン分析方法として、アミド修飾シリカゲルを用いた方法も報告されている(非特許文献1)が、この方法を適用した場合であっても、プロアントシアニジンの分離が充分に行われないことから、未だ、更なる研究による改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、順相系の液体クロマトグラフィーでみられるような、疎水性溶媒による作業環境の悪化等の問題を生じることなく、プロアントシアニジンを重合度別に、高純度で分離・精製することができる分離精製方法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法は、重合度の異なる複数種のプロアントシアニジンを含有する原料またはその粗精製物から、重合度別にプロアントシアニジンを得るための分離精製方法であって、上記原料またはその粗精製物から、ポリエチレングリコール基で化学修飾されたシリカゲルが固定相である逆相液体クロマトグラフィーを用いて、プロアントシアニジンを重合度別に分離・精製するという構成をとる。
すなわち、本発明者らは、作業環境の問題等を引き起こすおそれがある疎水性溶媒を移動相に使用せずに、逆相系の液体クロマトグラフィーを行うことを前提条件とし、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。そして、各種実験の結果、逆相液体クロマトグラフィーの固定相として、ポリエチレングリコール基で化学修飾されたシリカゲルを用いると、従来の逆相液体クロマトグラフィーに比べ、高純度で、プロアントシアニジンが重合度別に分離・精製することができることを見いだし、本発明に到達した。
以上のように、本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法は、逆相液体クロマトグラフィーの固定相に、ポリエチレングリコール基で化学修飾されたシリカゲルを用い、プロアントシアニジンを分離・精製するものである。これにより、順相液体クロマトグラフィーにみられるような、移動相(疎水性溶媒)に起因する作業環境の問題等を生じることなく、高純度のプロアントシアニジンを、重合度別に分離・精製することができる。また、本発明の分離精製方法は、現在の液体クロマトグラフィーの主流である逆相系であることから、汎用性が高く、実験室等における現状の設備環境からの導入も容易である。また、本発明の分離精製方法により分離・精製されたプロアントシアニジンは、重合度別に高純度で分画されているため、特に、研究用試薬として有用である。さらに、上記のように重合度別に分画されたプロアントシアニジンのなかから、目的とする生理活性(抗糖尿病、抗肥満、内臓蓄積脂肪低減、内臓脂肪蓄積抑制、抗腫瘍、抗炎症、抗老化、抗酸化、抗アレルギー、抗菌、育毛等)を示す重合度数のものを医薬品や飲食品の材料として適用すると、上記のように高純度であることから、その医薬品や飲食品の機能性を向上させるのに有用である。
特に、上記液体クロマトグラフィーの移動相が、水に、メタノール,エタノール,アセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれた少なくとも一つを加えた混合溶媒であると、より高純度で、目的とする重合度数のプロアントシアニジンを精製することができる。
また、上記液体クロマトグラフィーの移動相が、上記特定の溶媒に、ギ酸,酢酸,トリフルオロ酢酸,トリクロロ酢酸といった酸を含有するものであると、より高純度で、目的とする重合度数のプロアントシアニジンを精製することができる。
また、プロアントシアニジンを含有する原料から、固液抽出法,液液分配法,吸着クロマトグラフィー,分配クロマトグラフィー,疎水性相互作用クロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィー,サイズ排除クロマトグラフィー,向流液液分配法といった処理法を用いて粗精製した後、そのプロアントシアニジン画分を含有する粗精製物から、上記分離精製方法に従いプロアントシアニジンを分離・精製すると、より効率良く、プロアントシアニジンの分離・精製を行うことができるようになる。
実施例1の液体クロマトグラフィーの結果を示すクロマトグラムである。 実施例2の液体クロマトグラフィーの結果を示すクロマトグラムである。 実施例3の液体クロマトグラフィーの結果を示すクロマトグラムである。 実施例4の液体クロマトグラフィーの結果を示すクロマトグラムである。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法は、重合度の異なる複数種のプロアントシアニジンを含有する原料またはその粗精製物から、重合度別にプロアントシアニジンを得るための分離精製方法であって、上記原料またはその粗精製物から、ポリエチレングリコール基で化学修飾されたシリカゲルが固定相である逆相液体クロマトグラフィーを用いて、プロアントシアニジンを重合度別に分離・精製するという構成をとる。
上記プロアントシアニジンを含有する原料としては、例えば、ブドウ,カキ,リンゴ,マツ,栗,落花生,アズキ,クランベリー,黒大豆,カカオ,シナモン,ムタンバ,サンザシ,ブニノキ,ゴレンシ,マザーワート,ケクロピア,コーラ(コーラナッツ)等の植物の、果実、果皮、種子、渋皮、殻、葉、樹皮等があげられる。これらの植物原料は、通常、空気乾燥等の乾燥工程に付した後、抽出原料とするが、そのまま抽出原料とすることもできる。
また、上記原料は、予め粗精製することにより、効率良くプロアントシアニジンの分離・精製を行うことができるようになる。したがって、上記原料そのものよりも、その粗精製物を用いることが好ましい。ここで、上記粗精製は、例えば、固液抽出法,液液分配法,吸着クロマトグラフィー,分配クロマトグラフィー,疎水性相互作用クロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィー,サイズ排除クロマトグラフィー,向流液液分配法といった処理法を適用することにより行われる。
そして、本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法は、先に述べたように、上記原料またはその粗精製物から、ポリエチレングリコール基で化学修飾されたシリカゲルが固定相である逆相液体クロマトグラフィーを用いて、プロアントシアニジンを重合度別に分離・精製することを最大の特徴とするものである。ここで、「ポリエチレングリコール基で化学修飾されたシリカゲル」とは、シリカゲル表面に存在する水酸基(OH基)に対し、ポリエチレングリコール基を化学結合(化学修飾)することにより、得られるものである。そして、本発明の分離精製方法の用途においては、ポリエチレングリコール基による修飾度合は、シリカゲルに対して1〜10μmol/m2 であることが好ましい。また、本発明の分離精製方法の用途において、上記ポリエチレングリコール基の炭素数は、好ましくは、4〜30の範囲である。なお、このような特殊なシリカゲルを使用する市販品も存在し、本発明の分離精製方法の用途においては、例えば、Supelco社製のDiscovery HS−PEG等が好ましく用いられる。
そして、上記原料またはその粗精製物のプロアントシアニジン画分を、溶媒(下記の移動相と同様のもの、または下記の移動相に可溶な溶媒)に溶解させ、それを、上記特殊なシリカゲル(固定相)を充填したカラムにチャージした後、下記の移動相を通液することにより、経時的に、上記プロアントシアニジンが重合度別に分離・精製されるようになる。このように分離・精製されたプロアントシアニジンは、通常、重合度の低い順にカラムから溶出される。
上記移動相としては、逆相系の液体クロマトグラフィーを行う観点から、通常、水、または水をベースとする溶媒が用いられる。特に、水に、メタノール,エタノール,アセトン,アセトニトリルといった溶媒を加えた混合溶媒を使用することが、目的とする重合度数のプロアントシアニジンを、より高純度で精製する点において好ましい。そして、上記のような混合溶媒を使用する場合、水以外の溶媒の割合は、5〜95容量%とすることが、上記観点から好ましい。なお、この分離精製方法により得られたプロアントシアニジンを、研究用試薬等の用途ではなく、医薬品や飲食品の材料に用いる場合、上記液体クロマトグラフィーの移動相には、健康被害を生じるおそれがないよう、水、エタノールといったものを用いることが好ましい。
また、上記移動相として用いられる溶媒が、ギ酸,酢酸,トリフルオロ酢酸,トリクロロ酢酸といった酸を含有するものであると、より高純度で、目的とする重合度数のプロアントシアニジンを精製することができる。そして、この観点から、上記酸は、上記溶媒中に0.01〜5容量%の範囲内で加えることが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.5容量%の範囲内である。なお、上記酸は、単独であるいは二種以上併せて用いられる。また、この分離精製方法により得られたプロアントシアニジンを、研究用試薬等の用途ではなく、医薬品や飲食品の材料に用いる場合、上記酸には、健康被害を生じるおそれがないよう、酢酸を用いることが好ましい。
また、本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法では、上記移動相に対し、必要に応じ、グラジエント溶出法に準じ、グラジエント装置等によって、上記移動相の濃度が経時により段階的または直線的に変化するよう濃度勾配をかけたり、一定時間経過後に移動相の種類を変更するといった手法がとられる。このように上記移動相の組成を経時的に変化させることにより、上記プロアントシアニジンの分離・精製が良好に行われるようになる。
なお、上記特殊なシリカゲル(固定相)および移動相を使用する本発明の液体クロマトグラフィーは、オープンカラムの液体クロマトグラフィーであってもよいが、特に、分離の点で高性能であることから、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が好ましい。
そして、上記カラムから溶出された移動相を、一定時間毎に分取し、そのなかから、プロアントシアニジン濃度の高い画分を選択し、濃縮、乾燥することにより、重合度別に精製された、高純度のプロアントシアニジンを得ることができる。このようにして得られたプロアントシアニジンの重合度数は、例えば、質量分析計で分子量を確認することにより、同定することができる。
また、上記液体クロマトグラフに、紫外検出器等の、プロアントシアニジンを検出可能な検出器を接続し、その検出器が示すピークに相当する溶出画分を分取し、これを、濃縮、乾燥することによっても、重合度別に精製された、高純度のプロアントシアニジンを得ることができる。また、このようにして得られたプロアントシアニジンの重合度数は、上記と同様、例えば、質量分析計で分子量を確認することにより、同定することができる。
このようにして分離・精製されたプロアントシアニジン(プロアントシアニジンの単量体、2量体、3量体等)は、重合度別に高純度(少なくとも、純度50%。通常、95〜100%の純度)で分画されているため、特に、研究用試薬として有用である。さらに、上記のように重合度別に分画されたプロアントシアニジンのなかから、目的とする生理活性(抗糖尿病、抗肥満、内臓蓄積脂肪低減、内臓脂肪蓄積抑制、抗腫瘍、抗炎症、抗老化、抗酸化、抗アレルギー、抗菌、育毛等)を示す重合度数のものを医薬品や飲食品の材料として適用すると、上記のように高純度であることから、その医薬品や飲食品の機能性を向上させるのに有用である。上記プロアントシアニジンの純度は、例えば、分取した画分を適当な条件でHPLC分析し、目的とする化合物のピークと、不純物のピークの面積比を求めることにより確認することができる。
なお、このような本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法を利用することにより、植物原料中に含まれる各種プロアントシアニジンの割合等を分析するといった、成分分析に活用することもできる。
つぎに、実施例について説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、黒大豆種皮60gを、0. 5重量%硫酸水溶液1. 2lに入れ、60℃の水温で1時間攪拌することにより、黒大豆種皮中の成分を抽出した。
ついで、上記抽出液を減圧濃縮乾固し、それを、5容量%のアセトニトリルを含む0. 1容量%ギ酸水溶液に溶解し、試料を調製した。そして、上記試料中に含まれる複数種のプロアントシアニジンを、下記に示す条件の液体クロマトグラフィー(逆相液体クロマトグラフィー)により、重合度別に分離・精製した。
・カラム:Discovery HS−PEG(固定相:ポリエチレングリコール基修飾シリカゲル、カラム寸法:直径4.6mm×長さ250mm、Supelco社製)
・移動相:0. 1容量%ギ酸水溶液に、アセトニトリルを配合した混合溶液(ギ酸水溶液に対するアセトニトリルの割合が、50分間の間で、5容量%から50容量%に増量するよう濃度勾配をかける)
・試料注入量:20μl
・移動相流速:1.0ml/min
・カラム温度:35℃
・検出:UV280nm
上記液体クロマトグラフィーによって得られたクロマトグラム〔溶出時間に対するピーク強度(mV)の値〕は、図1に示す結果となった。そして、クロマトグラム上の各ピークに相当する溶出画分を分取し、質量分析計で分析することにより、各ピークの分子量を確認した結果、クロマトグラムのピークが、図1に示すように、特定重合度数(単量体、2量体、3量体、4量体、5量体)のものであることが認められ、かつ、単量体から重合度順に分離して、カラムから溶出されることが認められた。
そして、上記クロマトグラムのピーク時にカラムから溶出した溶出液を採取し、濃縮・乾燥すると、特定重合度数のプロアントシアニジンが高純度で得られる結果となった。
まず、黒大豆種皮60gを、0. 5重量%硫酸水溶液1. 2lに入れ、60℃の水温で1時間攪拌することにより、黒大豆種皮中の成分を抽出した後、その抽出液に対し、濾過および遠心分離を行った。このようにして得られた抽出液を、合成樹脂吸着剤(セパビーズSP700、三菱化学社製)が入ったカラムに通液し、抽出液中の成分(プロアントシアニジン画分を含む)を樹脂に吸着させた。その後、上記カラムに蒸留水を通液し、不用な成分を吸着剤から洗い出した。続いて、上記カラムに、エタノール水溶液を通液することにより、プロアントシアニジン画分を溶出した。この溶出液を濃縮・乾燥することにより、プロアントシアニジン画分を含有する粗精製物2. 1gを得た。この作業を繰り返し行い、粗精製物20gを調製した。
ついで、上記粗精製物を用い、実施例1と同様にして試料を調製した。そして、実施例1と同様の条件の液体クロマトグラフィー(逆相液体クロマトグラフィー)により、上記粗精製物中に含まれる複数種のプロアントシアニジンを、重合度別に分離・精製した。
上記液体クロマトグラフィーによって得られたクロマトグラム〔溶出時間に対するピーク強度(mV)の値〕は、図2に示す結果となった。そして、クロマトグラム上の各ピークに相当する溶出画分を分取し、質量分析計で分析することにより、各ピークの分子量を確認した結果、クロマトグラムのピークが、図2に示すように、特定重合度数(単量体、2量体、3量体、4量体、5量体)のものであることが認められ、かつ、単量体から重合度順に分離して、カラムから溶出されることが認められた。
そして、上記クロマトグラムのピーク時にカラムから溶出した溶出液を採取し、濃縮・乾燥すると、特定重合度数のプロアントシアニジンが高純度で得られる結果となった。
まず、実施例2と同様にして、黒大豆種皮から粗精製物20gを得た後、セファデックスLH−20カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて、この粗精製物から、アントシアニンとプロアントシアニジンとを分画した。
ついで、そのプロアントシアニジン画分中に含まれる複数種のプロアントシアニジンを、実施例1と同様の条件の液体クロマトグラフィー(逆相液体クロマトグラフィー)により、上記粗精製物中に含まれる複数種のプロアントシアニジンを、重合度別に分離・精製した。
上記液体クロマトグラフィーによって得られたクロマトグラム〔溶出時間に対するピーク強度(mV)の値〕は、図3に示す結果となった。そして、クロマトグラム上の各ピークに相当する溶出画分を分取し、質量分析計で分析することにより、各ピークの分子量を確認した結果、クロマトグラムのピークが、図3に示すように、特定重合度数(単量体、2量体、3量体、4量体、5量体)のものであることが認められ、かつ、単量体から重合度順に分離して、カラムから溶出されることが認められた。
そして、上記クロマトグラムのピーク時にカラムから溶出した溶出液を採取し、濃縮・乾燥すると、特定重合度数のプロアントシアニジンが高純度で得られる結果となった。
まず、ブドウ種子60gをすりつぶし、0. 5重量%硫酸水溶液1. 2lに入れ、60℃の水温で1時間攪拌することにより、ブドウ種子中の成分を抽出した。
ついで、上記のようにして得られた抽出液中に含まれる複数種のプロアントシアニジンを、実施例1と同様の条件の液体クロマトグラフィー(逆相液体クロマトグラフィー)により、上記粗精製物中に含まれる複数種のプロアントシアニジンを、重合度別に分離・精製した。
上記液体クロマトグラフィーによって得られたクロマトグラム〔溶出時間に対するピーク強度(mV)の値〕は、図4に示す結果となった。そして、クロマトグラム上の各ピークに相当する溶出画分を分取し、質量分析計で分析することにより、各ピークの分子量を確認した結果、クロマトグラムのピークが、図4に示すように、特定重合度数(単量体、2量体、3量体、4量体、5量体)のものであることが認められ、かつ、単量体から重合度順に分離して、カラムから溶出されることが認められた。
そして、上記クロマトグラムのピーク時にカラムから溶出した溶出液を採取し、濃縮・乾燥すると、特定重合度数のプロアントシアニジンが高純度で得られる結果となった。
なお、実施例では、いずれも、逆相液体クロマトグラフィーの移動相として、ギ酸水溶液にアセトニトリルを配合した混合溶液を用いているが、メタノール,エタノール,アセトンといった溶媒も、上記アセトニトリルと同様にして混合し、使用できることが実験により確認されている。また、ギ酸以外にも、酢酸,トリフルオロ酢酸,トリクロロ酢酸といった酸も、本発明の分離精製方法において好適に用いられることが、実験により確認されている。さらに、実施例では、吸着クロマトグラフィー(実施例2)等により粗精製を行うことによって、より効率良く、プロアントシアニジンの分離・精製を行っているが、例えば、固液抽出法,液液分配法,分配クロマトグラフィー,疎水性相互作用クロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィー,サイズ排除クロマトグラフィー,向流液液分配法で粗精製を行うことによっても、より効率良く、プロアントシアニジンの分離・精製を行えることが、実験により確認されている。
また、黒大豆種皮やブドウ種子以外の植物原料からも、実施例で行っているような、本発明の分離精製方法を適用することにより、プロアントシアニジンの分離・精製を良好に行えることが、実験により確認されている。
本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法により、移動相(疎水性溶媒)に起因する作業環境の問題等を生じることなく、高純度のプロアントシアニジンを、重合度別に分離・精製することができるため、産業上有用である。そして、本発明は、現在の主流である逆相系液体クロマトグラフィーであるため、汎用性が高く、実験室等における現状の設備環境からの導入も容易である。また、本発明の分離精製方法により分離・精製されたプロアントシアニジンは、重合度別に高純度で分画されているため、特に、研究用試薬として有用であるが、目的とする生理活性(抗糖尿病、抗肥満、内臓蓄積脂肪低減、内臓脂肪蓄積抑制、抗腫瘍、抗炎症、抗老化、抗酸化、抗アレルギー、抗菌、育毛等)を示す重合度数のものを医薬品や飲食品の材料として適用すると、その医薬品や飲食品の機能性を向上させるのにも有用となる。なお、このような本発明のプロアントシアニジンの分離精製方法を利用することにより、植物原料中に含まれる各種プロアントシアニジンの割合等を分析するといった、成分分析に活用することも可能である。

Claims (4)

  1. 重合度の異なる複数種のプロアントシアニジンを含有する原料またはその粗精製物から、重合度別にプロアントシアニジンを得るための分離精製方法であって、上記原料またはその粗精製物から、ポリエチレングリコール基で化学修飾されたシリカゲルが固定相である逆相液体クロマトグラフィーを用いて、プロアントシアニジンを重合度別に分離・精製することを特徴とするプロアントシアニジンの分離精製方法。
  2. 上記液体クロマトグラフィーの移動相が、水に、メタノール,エタノール,アセトンおよびアセトニトリルからなる群から選ばれた少なくとも一つを加えた混合溶媒である請求項1記載のプロアントシアニジンの分離精製方法。
  3. 上記液体クロマトグラフィーの移動相が、ギ酸,酢酸,トリフルオロ酢酸およびトリクロロ酢酸からなる群から選ばれた少なくとも一つの酸を含有する請求項1または2記載のプロアントシアニジンの分離精製方法。
  4. 上記原料の粗精製物が、固液抽出法,液液分配法,吸着クロマトグラフィー,分配クロマトグラフィー,疎水性相互作用クロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィー,サイズ排除クロマトグラフィーおよび向流液液分配法からなる群から選ばれた少なくとも一つの処理法を用いて粗精製したプロアントシアニジン画分を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロアントシアニジンの分離精製方法。
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