JP5335862B2 - フォーカス調整装置、カメラモジュール製造装置、フォーカス調整方法、カメラモジュールの製造方法、フォーカス調整プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

フォーカス調整装置、カメラモジュール製造装置、フォーカス調整方法、カメラモジュールの製造方法、フォーカス調整プログラムおよび記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、カメラモジュールの製造に関し、特に、フォーカスレンズの位置調整に関する。
近年、携帯電話機等のモバイル機器において静止画または動画を撮像するためのカメラモジュールの搭載率が高まっており、カメラモジュールの需要増加の要因となっている。携帯電話機等に搭載されるカメラモジュールは、近年、画質向上等の観点から、高画素化及び高性能化、高機能化が求められており、カメラモジュールのフォーカスレンズのピント調整を最適に行うことが求められている。尚、特に、モバイル機器に搭載されるカメラモジュールの場合、通常、少なくとも無限遠または所定の接写距離(以下、「最適物体距離」とする)にピントを合わせることを想定して製造されており、製造時に、良好にピントを調整することが求められている。カメラモジュールの生産過程では、CCD(charge coupled device)センサや、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサなどの受光センサ(個体撮像素子)とレンズとのアセンブリの際に、センサの受光像面位置とレンズとの光軸方向における相対関係を調整するプロセスを必要とする。
製造時におけるピントの調整は、一般的に、作業者が、テスタの表示部に表示されたカメラモジュールの撮像画像を目視により確認しながら、マニュアル操作によりカメラモジュールのフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させ、ピントが合う位置に調整していた。または、作業者が、マニュアル操作により、テスタの表示部に表示された撮像画像の鮮鋭度を示すインジケータを確認しながら、ピントの調整を行っていた。
しかし、作業者によりマニュアル操作でピントを調整する場合には、高額な人件費により製造コストが飛躍的に増大するという問題があった。また、作業者によって、ピントの調整精度が異なる、即ち、作業者によってカメラモジュールの品質が影響を受け、品質の安定性を十分に図ることが困難であるという問題があった。
これに対し、下記の特許文献1には、フォーカスレンズの位置情報と合焦度との関係を示す近似曲線から合焦度が最大となる最適位置情報を求め、フォーカスレンズの位置を調整するフォーカス調整装置が開示されている。
特開2009−3152号公報(2009年1月8日公開)
しかしながら、特許文献1に開示されているフォーカス調整装置では、近似曲線を得るためにフォーカス調整位置の異なる数個の撮像を必要とするため、調整に多大な時間を要する。また、上記フォーカス調整装置では、装置内に配置された物体に対してピント調整を行っているため、調整対象であるカメラモジュールの最適物体距離が変更される毎に、装置内の上記物体の位置を変更する必要があるため、装置の大掛かりな改造を要する。さらに、カメラモジュールの最適物体距離が比較的遠距離である場合、フォーカス調整装置のサイズが大きくなるため、カメラモジュールの生産設備の大型化を招く。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、生産効率が高く、かつ、コンパクトに実現可能なフォーカス調整装置およびフォーカス調整方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るフォーカス調整装置は、カメラモジュールのフォーカスレンズの像面に対する相対位置を調整する位置調整手段を備えるフォーカス調整装置であって、位置調整前において、上記フォーカスレンズの中心を通り、上記フォーカスレンズの光軸に対して角度θをなす直線が上記像面と交わる位置と、上記光軸と上記像面とが交わる位置との距離yを検出する検出手段と、上記カメラモジュールに適用される最適物体距離をa、上記フォーカスレンズの焦点距離をfとして、下記の式(1)で求められる距離dzを演算する演算手段とを備え、上記位置調整手段は、上記フォーカスレンズと上記像面との相対距離を距離dzだけ短縮させることを特徴としている。
Figure 0005335862
上記の課題を解決するために、本発明に係るフォーカス調整方法は、カメラモジュールのフォーカスレンズの像面に対する相対位置を調整する位置調整工程を有するフォーカス調整方法であって、上記位置調整工程の前において、上記フォーカスレンズの中心を通り、上記フォーカスレンズの光軸に対して角度θをなす直線が上記像面と交わる位置と、上記光軸と上記像面とが交わる位置との距離yを検出する検出工程と、上記カメラモジュールに適用される最適物体距離をa、上記フォーカスレンズの焦点距離をfとして、下記の式(1)で求められる距離dzを演算する演算工程とを有し、上記位置調整工程では、上記フォーカスレンズと上記像面との相対距離を距離dzだけ短縮させることを特徴としている。
Figure 0005335862
上記の構成によれば、角度θ、距離y、最適物体距離aおよび焦点距離fから距離dzが演算され、フォーカスレンズと上記像面との相対距離が距離dzだけ短縮されることにより、フォーカスレンズを最良像面位置に調整することができる。すなわち、一回の演算でフォーカス調整量を算出できるため、任意の最適物体距離に対するフォーカス調整を短時間で実施することができる。
距離yは、例えば、所定の形状を有するチャート(光遮蔽手段)や、フォーカスレンズの光軸に対して角度θで入射するレーザ光を出射するレーザ光源(光出射手段)を設けて、像面に映る写像に基づいて検出される。このとき、チャートやレーザ光源は、カメラモジュールの最適物体距離よりも近距離に設置することができるので、装置の小型化を容易に図ることができる。
したがって、生産効率が高く、かつ、コンパクトに実現可能なフォーカス調整装置およびフォーカス調整方法を提供することができる。
本発明に係るフォーカス調整装置では、上記フォーカスレンズから上記光軸の方向に離間した光遮蔽手段を備え、上記光遮蔽手段の特定の縁と上記フォーカスレンズの中心とを結ぶ直線は、上記光軸に対して角度θをなし、上記検出手段は、上記像面に映る上記光遮蔽手段の写像の、上記特定の縁に対応する位置と、上記光軸との距離を距離yとして検出することが好ましい。
上記の構成によれば、光遮蔽手段をカメラモジュールの最適物体距離よりも近距離に設置することができるので、フォーカス調整装置の小型化を容易に図ることができる。
本発明に係るフォーカス調整装置では、上記光軸に対して角度θで上記フォーカスレンズの中心を通過する光を出射する光出射手段を備え、上記検出手段は、上記光が上記像面に到達する位置と上記フォーカスレンズの光軸と上記像面とが交わる位置との距離を距離yとして検出することが好ましい。
上記の構成によれば、光出射手段をカメラモジュールの最適物体距離よりも近距離に設置することができるので、フォーカス調整装置の小型化を容易に図ることができる。
本発明に係るフォーカス調整装置では、上記フォーカスレンズの開口径を、上記カメラモジュールの設計上の開口径よりも小さくする開口径縮小手段を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、フォーカス調整中に、フォーカスレンズの開口径を小さくすることにより、被写界深度が大きくなるので、写像のボケ量が小さくなる。よって、距離yの検出精度を向上させて、フォーカス調整量の誤差を小さくすることができる。
本発明に係るカメラモジュール製造装置は、上記のフォーカス調整装置を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記のフォーカス調整装置は、フォーカス調整時間が短くコンパクトであるため、カメラモジュール製造装置の生産効率の向上、および小型化を容易に図ることができる。
本発明に係るカメラモジュールの製造方法は、フォーカスレンズとフォーカスレンズの像面に設けられる個体撮像素子とをアセンブリするアセンブリ工程を有するカメラモジュールの製造方法であって、上記アセンブリ工程は、上記のフォーカス調整方法の上記検出工程、上記演算工程および上記位置調整工程を含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、カメラモジュールの製造を、高効率でコンパクトに実現することができる。
なお、上記フォーカス調整装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記記フォーカス調整装置の上記検出手段、上記演算手段および上記位置調整手段としてコンピュータを機能させるためのフォーカス調整プログラム、及び当該フォーカス調整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明に含まれる。
以上のように、本発明に係るフォーカス調整装置は、カメラモジュールのフォーカスレンズの像面に対する相対位置を調整する位置調整手段を備えるフォーカス調整装置であって、位置調整前において、上記フォーカスレンズの中心を通り、上記フォーカスレンズの光軸に対して角度θをなす直線が上記像面と交わる位置と、上記光軸と上記像面とが交わる位置との距離yを検出する検出手段と、上記カメラモジュールに適用される最適物体距離をa、上記フォーカスレンズの焦点距離をfとして、下記の式(1)で求められる距離dzを演算する演算手段とを備え、上記位置調整手段は、上記フォーカスレンズと上記像面との相対距離を距離dzだけ短縮させる構成である。
Figure 0005335862
また、本発明に係るフォーカス調整方法は、カメラモジュールのフォーカスレンズの像面に対する相対位置を調整する位置調整工程を有するフォーカス調整方法であって、上記位置調整工程の前において、上記フォーカスレンズの中心を通り、上記フォーカスレンズの光軸に対して角度θをなす直線が上記像面と交わる位置と、上記光軸と上記像面とが交わる位置との距離yを検出する検出工程と、上記カメラモジュールに適用される最適物体距離をa、上記フォーカスレンズの焦点距離をfとして、下記の式(1)で求められる距離dzを演算する演算工程とを有し、上記位置調整工程では、上記フォーカスレンズと上記像面との相対距離を距離dzだけ短縮させる構成である。
Figure 0005335862
したがって、生産効率が高く、かつ、コンパクトに実現可能なフォーカス調整装置およびフォーカス調整方法を提供できるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係るカメラモジュール製造装置の一部の概略構成を示す図である。 上記カメラモジュール製造装置に設けられるチャートの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るフォーカス調整装置の概略構成を示すブロック図である。 カメラモジュールおよびチャートの位置関係を示す断面図である。 図2に示すチャートの撮像画像データを示す図である。 チャートの他の例を示す図である。 図6に示すチャートの撮像画像データを示す図である。 チャートの他の例を示す図であり、(a)は、円形のチャートを示しており、(b)は、矩形のチャートを示している。 フォーカスレンズの開口径を縮小する構成例示す断面図である。
本発明の実施の一形態について図1〜図9に基づいて説明すれば以下のとおりである。
(カメラモジュール製造装置の構成)
図1は、本実施形態に係るカメラモジュール製造装置1の一部の概略構成を示す図である。カメラモジュール製造装置1は、カメラモジュール2を製造するための装置であり、図1では、カメラモジュール製造装置1を構成する部材のうち、ソケットボード3、パソコン4、搬送装置5およびチャート6が示されている。
ソケットボード3は、カメラモジュール2の個体撮像素子が撮像した撮像画像データをパソコン4に転送するものである。
パソコン4は、この撮像画像データおよびカメラモジュール2に適用される最適物体距離に応じて、フォーカスレンズの像面に対する相対距離の調整量を演算する。ここで、最適物体距離とは、カメラモジュール2の合焦状態が最大になる物体の距離として製造時にあらかじめ設定されている距離であり、カメラモジュール2の種類毎に最適物体距離は異なる。
パソコン4において演算されたフォーカスレンズの像面に対する相対距離の調整量に基づいて、後述するカメラモジュール2のフォーカスレンズ駆動装置が、フォーカスレンズを移動させる。これにより、最適物体距離に応じたフォーカスレンズの位置が調整される。
ソケットボード3は、カメラモジュール2を搬送する搬送装置5の近傍に設置されている。各カメラモジュール2は、フォーカスレンズとフォーカスレンズの像面に設けられる個体撮像素子とをアセンブリされた状態で搬送され、ソケットボード3に最も接近する位置(フォーカス調整位置とする)において、順次フォーカス調整される。また、フォーカス調整位置には、カメラモジュール2のフォーカスレンズの光軸方向に離間したチャート6が設けられている。
チャート6は、特許請求の範囲に記載の光遮蔽手段に相当するものであり、例えば、図2に示すような、中央部に円形の開口61を有する黒色の板である。図1に示すように、チャート6は、開口61とフォーカス調整位置にあるカメラモジュール2のフォーカスレンズとが対向するように設けられる。これにより、主に開口61を通過した光がカメラモジュール2のフォーカスレンズに入射する。
図1に示すカメラモジュール製造装置1を構成する部材の中で、ソケットボード3、パソコン4およびチャート6が、本発明に係るフォーカス調整装置に含まれる。
図3は、上記フォーカス調整装置の概略構成を示すブロック図である。フォーカス調整装置は、ソケットボード3、パソコン4、チャート6およびフォーカスレンズ駆動装置7を備えている。
パソコン4は、検出部41、演算部42およびフォーカス調整部43を備えている。パソコン4に形成されるこれらの機能ブロックは、フォーカス調整プログラムをパソコン4において実行することにより形成される。
カメラモジュール2の個体撮像素子が撮像した撮像画像データは、ソケットボード3からパソコン4の検出部41に転送される。検出部41は、特許請求の範囲に記載の検出手段に相当するものであり、当該撮像画像データから後述する「距離y」を検出する。演算部42は、特許請求の範囲に記載の演算手段に相当するものであり、検出された距離yから、フォーカス調整量である「距離dz」を算出する。フォーカス調整部43は、特許請求の範囲に記載の位置調整手段手段に相当するものであり、算出された距離dzだけカメラモジュール2のフォーカスレンズと像面との相対位置を変化させるように、フォーカスレンズ駆動装置7に指示する。
(フォーカス調整のための演算)
続いて、本実施形態におけるフォーカスレンズのフォーカス調整のための演算について、具体的に説明する。
図4は、カメラモジュール2およびチャート6の位置関係を示す断面図である。図4における左右方向は、図1における上下方向に相当する。
図4に示すように、カメラモジュール2のフォーカスレンズ21とチャート6の開口61とが対向しており、開口61の中心はフォーカスレンズ21の光軸上に位置している。
フォーカスレンズ21の像面22には、CCDセンサやCMOSセンサなどの個体撮像素子が配置されている。チャート6の開口61の写像は、像面22に映し出され、個体撮像素子によって光電変換される。これにより、図5に示すような撮像画像データが生成される。この撮像画像データは、ソケットボード3からパソコン4に送られる。
ここで、図4に示すように、フォーカスレンズ21の光軸と像面22との交点を位置Y1とする。また、開口61の縁とフォーカスレンズ21の中心とを結ぶ直線が、フォーカスレンズ21の光軸に対して角度θをなすように、フォーカスレンズ21とチャート6との距離および開口61の大きさが設定されている。フォーカス位置調整前における、当該直線と像面22との交点を位置Y2とする。このとき、位置Y1と位置Y2との距離をyとする。
また、カメラモジュール2の製造時に設定される最適物体距離をa、最適物体距離aにおけるフォーカスレンズ21の最良像面位置F1とフォーカスレンズ21の主平面との距離をb、フォーカス位置調整前における像面22と上記最良像面位置との距離をdzとすると、
y=(b+dz)×tanθ
となる。また、フォーカスレンズ21の焦点距離をfとすると、写像公式より、
(1/a)+(1/b)=1/f
となる。
これらの式から、
Figure 0005335862
が成り立つ。
本実施形態に係るフォーカス調整工程において、距離yが、図5に示す撮像画像データに基づいて、図3に示すパソコン4の検出部41によって検出される(検出工程)。また、最適物体距離a、焦点距離fおよび角度θは、パソコン4にあらかじめ記憶されている。これにより、パソコンの演算部42は、式(1)から、距離dzを演算し(演算工程)、フォーカス調整部43が、距離dzだけフォーカスレンズ21と像面22との相対距離を短縮させるように、フォーカスレンズ駆動装置7を制御する(位置調整工程)。言い換えると、距離dzが正の値の場合、フォーカスレンズ21と像面22とを距離dzだけ近づけるように調整され、距離dzが負の値の場合、フォーカスレンズ21と像面22とをdzの絶対値の距離だけ離れるように調整される。この調整において、フォーカスレンズ21を移動させてもよいし、像面22を移動させてもよい。これにより、フォーカスレンズ21の位置がカメラモジュール2の最適物体距離aにおける最良像面位置F1となるように調整される。
以上のように、本実施形態では、フォーカス調整前において、フォーカスレンズ21の中心を通り、フォーカスレンズ21の光軸に対して角度θをなす直線が像面22と交わる位置Y2と、上記光軸と像面22とが交わる位置Y2との距離yを検出し、式(1)で求められる距離dzを算出し、フォーカスレンズ21と像面22との相対距離を距離dzだけ短縮させることにより、フォーカス調整を行う。すなわち、一回の演算でフォーカス調整の距離を算出できるため、任意の最適物体距離に対するフォーカス調整を短時間で実施することができる。
また、チャート6をカメラモジュール2の最適物体距離にかかわらず、チャート6の位置は、開口61の縁を通る軸外光線経路が、フォーカスレンズ21の光軸に対して角度θをなすように設定すればよい。すなわち、チャート6をカメラモジュール2の最適物体距離に設置する必要はなく、チャート6をフォーカス調整位置にあるカメラモジュール2から比較的近距離(例えば10〜50cm)に設置することができる。
したがって、生産効率が高く、かつ、コンパクトなフォーカス調整装置を実現することができる。
なお、上記の角度θの値も0deg<θ<90degを満たすのであれば、特に限定されない。なお、角度θが大きいほど、フォーカス位置調整の精度は向上するが、製造誤差による収差が増大する。また、チャート6とカメラモジュール2との距離が近すぎると、ディスとーションなどの収差が大きくなる。フォーカス位置調整の精度については、後述する。
(変形例)
上記では、フォーカス調整前において、フォーカスレンズ21の中心を通り、フォーカスレンズ21の光軸に対して角度θをなす直線が像面22と交わる位置Y2と、上記光軸と像面22とが交わる位置Y2との距離yを検出するために、円形の開口61を有するチャート6を用いていたが、距離yの検出方法は、これに限定されない。チャートの開口の形状は特に限定されず、例えば、図6に示すように、矩形の開口62を有するチャート6aを用いてもよい。
この場合、図7に示すように、像面22に映し出される開口62の写像も矩形となるため、フォーカスレンズ21の光軸と像面22とが交わる位置Y1と、写像の外縁との距離は一定ではない。そのため、チャート6aを使用する場合、例えば、開口62の写像のうち、開口62の特定の縁62aに対応する位置Y2aと、上記位置Y1との距離を、上記演算で用いられる距離yとしてもよい。このとき、縁62aとフォーカスレンズ21の中心とを結ぶ直線と、フォーカスレンズ21の光軸とがなす角度を、上記演算で用いられる角度θとする。これにより、上記式(1)から距離dzが算出される。
あるいは、開口62の複数の縁について、上記式(1)を用いて距離dzを算出し、算出された各距離dzを平均した値を、フォーカス調整に用いてもよい。
また、上記では、距離yをチャートの開口の写像に基づいて検出したが、チャートの形状は、これに限定されない。例えば、図8(a)に示す、黒色の円板状のチャート6bや、図8(b)に示す、黒色の矩形状のチャート6cを用いてもよい。これらのチャート6b・6cを用いた場合であっても、像面22に映し出される写像に基づいて、距離yを検出することができる。なお、チャートの形状は、円形および矩形に限定されない。
さらに、チャートの代わりにレーザ光源(光出射手段)を用いることで距離dzを得ることができる。この場合、レーザ光源から、フォーカスレンズ21の光軸に対して角度θでフォーカスレンズ21の中心を通過するレーザ光を出射し、このレーザ光が像面22に到達する位置と位置Y1との距離を、距離yとして検出する。また、レーザ光は、指向性を有するので、後述するフォーカス調整量の誤差が少ないという利点がある。この構成においても、レーザ光源の位置は、特に制限されず、カメラモジュール2の最適物体距離よりも近距離であってもよい。したがって、フォーカス調整装置の小型化を図ることができる。
なお、距離yを検出するために用いられる光は、指向性を有する光であれば、レーザ光に限定されない。
このように、本実施形態では、フォーカス調整前において、フォーカスレンズ21の中心を通り、フォーカスレンズ21の光軸に対して角度θをなす直線が像面22と交わる位置Y2と、上記光軸と像面22とが交わる位置Y2との距離yを検出できれば、フォーカスレンズ21を最適物体距離aにおける最良像面位置に調整することができ、距離yを検出方法は、特に限定されない。
(フォーカス調整の精度)
図2に示すように、チャート6の開口61の縁を通り、フォーカスレンズ21を通過した光は、結像位置F2において収束する。フォーカス調整前における像面22の位置が結像位置F2と偶然重なっていた場合を除き、結像位置F2と像面22の位置とは、通常は一致しない。そのため、図5に示す写像は、外縁がボケた状態となり、距離yの検出に誤差が生じる。
ここで、画素ピッチ(個体撮像素子間の距離)をε(μm)とし、写像のボケ幅が、ε以下であると仮定すると、距離yの検出誤差はεとなる。すなわち、検出される距離yの最大値をy’、検出される距離yの最小値をy”とすると、
ε=y’−y” ・・・式(2)
となる。ここで、上記の式(1)より、
Figure 0005335862
となる。よって、距離y’に基づいて算出された距離dzを距離dz’、距離y”に基づいて算出された距離dzを距離dz”とすると、
y’−y”=(dz’−dz”)×tanθ
となり、式(2)より、
dz’−dz”=ε/tanθ ・・・式(3)
が成り立つ。
dz’−dz”は、フォーカスレンズ21のフォーカス調整量の誤差であり、εは一定であるので、角度θが大きいほどフォーカス調整の精度が高くなることが分かる。例えば、カメラモジュール2の画素ピッチε=1.4μmとすると、角度θとフォーカス調整量の誤差との関係は、下記の表1のようになる。
Figure 0005335862
例えば、角度θが15deg以上であれば、フォーカス調整は、約5μm以下の精度で実施できる。フォーカスレンズの製造誤差に関して、モバイル機器向けのフォーカスレンズでは、製造誤差による画角誤差は、一般的に±2deg以下であるため、半画角である角度θの誤差は±1deg以下となる。
さらに、θ=25degの場合、製造誤差によりθ=26(25+1)degとなったとしても、フォーカス調整量の誤差は0.1μm程度であり、高精度のフォーカス調整を実現できる。
(狭開口化による精度向上)
上述のように、チャート6の写像は、通常、ボケた状態で像面22に映し出されるデフォーカス像であるため、フォーカス調整量に誤差が生じる。そこで、下記のように、フォーカスレンズ21の開口径を、カメラモジュール2で設定されている開口径よりも擬似的に狭くすることが望ましい。これにより、被写界深度が大きくなるので、写像のボケ量を小さくして、フォーカス調整量の誤差を小さくすることができる。
図9は、フォーカスレンズ21の開口径を縮小する構成例示す断面図である。カメラモジュール2の設計上の開口径A1は、フレーム23によって規定されている。ここで、フォーカス調整時に、A1よりも小さいA2の開口径を有するフレーム8を、フレーム23に重ねる。このフレーム8は、特許請求の範囲に記載の開口径縮小手段に相当する治具であり、フレーム8によってフォーカスレンズ21に向かう光のうち、設計上の開口径の比較的外側の光線を遮蔽する。
これにより、被写界深度が大きくなるので、チャート6の写像のボケ量を小さくして、上述の距離yの検出精度を向上させることができる。よって、フォーカス調整量の誤差(上述のdz’−dz”)を小さくすることができる。
なお、開口径を絞るとフォーカスレンズ21に入射する光量が減少するため、開口径の絞り量は、個体撮像素子の感度に応じて適宜設定される。
(ソフトウェアによる実施例)
カメラモジュール製造装置1のパソコン4の各ブロック、すなわち検出部41、演算部42およびフォーカス調整部43は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
後者の場合、パソコン4は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるフォーカス調整プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、パソコン4に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
また、パソコン4を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(NearField Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話機網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、最適物体距離が比較的遠距離のカメラモジュールの製造に特に好適である。
1 カメラモジュール製造装置
2 カメラモジュール
3 ソケットボード
4 パソコン
5 搬送装置
6 チャート(光遮蔽手段)
6a チャート(光遮蔽手段)
6b チャート(光遮蔽手段)
6c チャート(光遮蔽手段)
7 フォーカスレンズ駆動装置
8 フレーム(開口径縮小手段)
21 フォーカスレンズ
22 像面
23 フレーム
41 検出部(検出手段)
42 演算部(演算手段)
43 フォーカス調整部(位置調整手段)
61 開口
62 開口
A1 開口径
A2 開口径
F1 最良像面位置
F2 結像位置
Y1 位置
Y2 位置
Y2a 位置

Claims (9)

  1. カメラモジュールのフォーカスレンズの像面に対する相対位置を調整する位置調整手段を備えるフォーカス調整装置であって、
    位置調整前において、上記フォーカスレンズの中心を通り、上記フォーカスレンズの光軸に対して角度θをなす直線が上記像面と交わる位置と、上記光軸と上記像面とが交わる位置との距離yを検出する検出手段と、
    上記カメラモジュールに適用される最適物体距離をa、上記フォーカスレンズの焦点距離をfとして、下記の式(1)で求められる距離dzを演算する演算手段とを備え、
    上記位置調整手段は、上記フォーカスレンズと上記像面との相対距離を距離dzだけ短縮させることを特徴とするフォーカス調整装置。
    Figure 0005335862
  2. 上記フォーカスレンズから上記光軸の方向に離間した光遮蔽手段を備え、
    上記光遮蔽手段の特定の縁と上記フォーカスレンズの中心とを結ぶ直線は、上記光軸に対して角度θをなし、
    上記検出手段は、上記像面に映る上記光遮蔽手段の写像の、上記特定の縁に対応する位置と、上記光軸との距離を距離yとして検出することを特徴とする請求項1に記載のフォーカス調整装置。
  3. 上記光軸に対して角度θで上記フォーカスレンズの中心を通過する光を出射する光出射手段を備え、
    上記検出手段は、上記光が上記像面に到達する位置と上記フォーカスレンズの光軸と上記像面とが交わる位置との距離を距離yとして検出することを特徴とする請求項1に記載のフォーカス調整装置。
  4. 上記フォーカスレンズの開口径を、上記カメラモジュールの設計上の開口径よりも小さくする開口径縮小手段を備えることを特徴とする請求項2または3に記載のフォーカス調整装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォーカス調整装置を備えるカメラモジュール製造装置。
  6. カメラモジュールのフォーカスレンズの像面に対する相対位置を調整する位置調整工程を有するフォーカス調整方法であって、
    上記位置調整工程の前において、上記フォーカスレンズの中心を通り、上記フォーカスレンズの光軸に対して角度θをなす直線が上記像面と交わる位置と、上記光軸と上記像面とが交わる位置との距離yを検出する検出工程と、
    上記カメラモジュールに適用される最適物体距離をa、上記フォーカスレンズの焦点距離をfとして、下記の式(1)で求められる距離dzを演算する演算工程とを有し、
    上記位置調整工程では、上記フォーカスレンズと上記像面との相対距離を距離dzだけ短縮させることを特徴とするフォーカス調整方法。
    Figure 0005335862
  7. フォーカスレンズとフォーカスレンズの像面に設けられる個体撮像素子とをアセンブリするアセンブリ工程を有するカメラモジュールの製造方法であって、
    上記アセンブリ工程は、請求項6に記載のフォーカス調整方法の上記検出工程、上記演算工程および上記位置調整工程を含むことを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォーカス調整装置の上記検出手段、上記演算手段および上記位置調整手段としてコンピュータを機能させるためのフォーカス調整プログラム。
  9. 請求項8に記載のフォーカス調整プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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