JP5334632B2 - 炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた水素化処理方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた水素化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた水素化処理方法に関する。
従来の水素化処理触媒はその反応において、バナジウムやニッケル、鉄といった重金属により担体の細孔閉塞がおこり、望まれる活性の向上や触媒の長寿命化の達成が得られていない。即ち、重質炭化水素油の水素化処理方法では、前段で脱メタル活性の高い脱メタル触媒で水素化処理し、次いで後段で脱硫活性の高い脱硫触媒で水素化処理する方法が行われている。一般に、脱メタル触媒としてはバナジウムやニッケルなどを含む分子量の大きいアスファルテンなどを分解するために孔径の大きい細孔を多く有する触媒が好適に使用されていた。しかしながら、孔径の大きい細孔を多く有する触媒は、表面積が低下し、触媒活性点が減少するため、脱メタル活性や脱硫活性などが低下するという問題があった。
そこで、これらの問題点を解決するために、メソポアとマクロポアの2段構造(バイモーダル)の細孔分布を有する水素化処理触媒が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、γ−アルミナを主成分とする多孔性の担体と水素化活性金属成分を含み、細孔分布において、直径40Å〜200Åのメソポアと、直径が0.1μm〜5μmのマクロポアとを有し、メソポア内面近傍の水素化活性金属成分の濃度がマクロポア内面近傍のそれよりも高いものであることを特徴とする水素化処理用触媒が記載されており、そして、該触媒の製造方法としては、水素化活性を有する金属成分を含み、γ−アルミナを主成分とする多孔性の原料粉体と、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物からなる微粉体とを混練し、成型・焼成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、第VIII族非貴金属(IUPAC 8〜10)の酸化物2.2〜6質量%、第VIB族金属(IUPAC 6)の酸化物7〜24質量%及びリン酸化物0〜2質量%を担持した多孔質アルミナ担体からなり、(i)150〜240m/gの全表面積;(ii)0.7〜0.98ml/gの全細孔容積;ならびに(iii)全細孔容積の20%未満が100Å未満の直径を有する一次ミクロ細孔として存在し、全細孔容積の少なくとも34%が100〜200Åの直径を有する二次ミクロ細孔として存在し、及び全細孔容積の26〜46%が200Å以上の直径を有する中間的な細孔として存在するような細孔分布を有する触媒が記載されている。
しかしながら、このような従来のバイモーダル細孔構造の水素化処理触媒は、重質炭化水素油の水素化処理においては脱メタルには優れた効果を有するものの脱硫活性が低いという問題があった。
特開平11−128744号公報 特開平6−200261号公報
本発明者は、この問題を解決するために、触媒担体の密度構造を多重化すること、具体的には担体ペレットの外殻構造を「粗」、内部構造を「密」の状態に設計することを提案するものである。即ち、担体の外殻側がポーラスになることにより、原料油の滲入、拡散、及び、脱離が容易になり、また、担体成分であるアルミナの密度も外殻側が内部に比して低くなるために、担持した活性金属の割合も同様に内部よりも低くなる。このため、外殻側で油の粗反応を行い、内部でより深度な反応を行うことが可能となる。そして、このことにより、水素化精製の反応が効率よく進行し、高い脱硫性能や脱メタル性能を実現できることとなった。特に、重質な高分子炭化水素や重金属を含有する低品質な原料油を処理する触媒系には極めて有効なものとなった。
本発明の第1は、担体に水素化活性金属成分を担持してなる水素化処理触媒において、担体ペレットの外殻と内部の密度が相対的に粗密多重化構造であって、外殻の密度が内部の密度に対して70%以下、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下であることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒に関すること。
担体ペレット外殻の密度が内部の密度に対して70%よりも大きい場合は、従来触媒との性能差はなく、また、概ね20%以下であると触媒の強度面が低下することがある。
本発明の第2は、外殻の密度が内部の密度に対して49%〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の水素化処理触媒に関すること。
本発明の第3は、前記担体ペレット外殻がペレット径の4%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは12%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素油の水素化処理触媒に関すること。
この前記担体ペレット外殻がペレット径の4%よりも小さい場合は、従来触媒との性能差はなく、また、概ね40%以上であると触媒の強度面が低下することがある。
本発明の第4は、前記担体がアルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニアから選ばれた多孔性無機酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒に関すること。
本発明の第5は、前記水素化活性金属成分が周期表の第VIB族金属(IUPAC 6)、第VIII族金属(IUPAC 8〜10)から選ばれた少なくとも1種の金属成分を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒に関すること。
本発明の第6は、触媒として請求項1〜5のいずれかに記載の水素化処理触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法に関すること。
このような多重化された構造を持つ触媒担体は、捏和物の水分保持の状態をコントロールすることにより、成形時においてペレット外殻に殻を形成させることができる。このように捏和物の水分保持の状態をコントロールすることによって調製された担体は、触媒担体の構造を均一な状態(図1参照)から多重化されたもの(図2参照)となる。具体的には担体ペレットの外殻構造を「粗」、内部構造を「密」の状態となるように設計する。
また、担体の成分であるアルミナの密度も内部に比して外殻部は低くなるために、担持した活性金属の割合も同様に内部よりも外殻部は低くなり、このため、外殻側では油の粗反応が行われ、内部ではより深度な反応を行うことが可能になるものと考える。
この触媒担体の多重化による状態の違いはエネルギー分散型X線分析装置(EDX)のライン分析でも観察され、設計思想どおりであることが確認されている。
即ち、EDXは、触媒の断面のある走査線上にどのような元素が存在しているかを解析する手法であり、また、同じ元素がその走査線上にあったとしてもその密度の差(存在量の差)によってピーク強度が変化する。すなわち密度が高いものほどピークとしては高くなる。従来処方においては、図3Aのように走査線上の触媒担体(アルミナ)のAl分布ピークがほぼ均一に分布し、それとモリブデン、ニッケル、コバルト等の活性金属の分布ピークが一致する。これに対して、本発明においては、図3Bに示すように走査線上にAl(アルミナ)の分布ピークがあるが、ペレット内部の方がアルミナの密度が高いためによりピークは高くなる。逆にペレットの外殻側は、アルミナの密度が低いためにピークは内部よりも低くなる(ベースラインからみると階段状にピークが変化している)。また、モリブデン、ニッケル、コバルト等の活性金属の分布ピークはこのピークと一致する。実際の検証例は図4に示す。
このような触媒担体の多重化構造を得るためには、捏和物の水分保持の状態をコントロールする必要がある。具体的には、
1)成形時の水分量を多くする、
2)母体捏和物に比して高表面積の物質(アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ)を加え、水分保持量の勾配をつけた捏和物を調製する、
のいずれかの方法またはこれらを組み合わせることによって達成することができる。
更に、上記項目については、
1)成形時の水分量は、通常成形時の+2%以上、
2)高表面積の物質(アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ)は、母体捏和物に対して表面積が50m/g以上大きく、その添加量が母体捏和物に対して10%以上であること、のいずれかの方法またはこれらを組み合わせることが望ましい。
触媒担体の構造を多重化、具体的には担体ペレットの外殻構造を「粗」、内部構造を「密」の状態にした担体を設計することにより、外殻側がポーラスになるために、原料油の滲入、拡散、及び、脱離が容易になる。また、担体成分であるアルミナの密度も内部に比して低くなるために、担持した活性金属の割合も同様に内部よりも低くなる。このため、外殻側で油の粗反応を行い、内部でより深度な反応を行うことが可能となると考える。これ故、重質な高分子炭化水素や重金属を含有する低品質な原料油を処理する触媒系には有効であり、傾向として、脱硫活性は同等性能で脱メタル活性が向上すると考える。また、外殻構造が「粗」であるため、被毒メタルに対する耐性(保持能力:MOC)も高くなり、触媒の長寿命化も期待できる。さらに、従来品よりも細孔容積(PV)が大きく、かさ密度(BD)が小さくなるのでリアクターへの触媒充填の重量が低減されるので、コストパフォーマンスを向上することが期待できる。
均一状態の担体の構造のイメージ図。 多重化された担体の構造のイメージ図。 EDXライン分析の説明図。 多重化担体のEDX分析検証例。 実施例および比較例触媒の脱メタル率を示すグラフ。 実施例および比較例触媒の脱硫率を示すグラフ。
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれによって何ら限定を受けるものではない。
(実施例1)
アルミン酸ナトリウム水溶液a(Alとして濃度22質量%)4.545kgに、濃度26.8質量%グルコン酸ナトリウム水溶液0.560kgと水44.895kgを加えて、この水溶液の温度を30℃に保持しながら撹拌して混合し、アルミナ濃度として2質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液bを調製した。次いで、アルミン酸ナトリウム水溶液bを撹拌しながら、アルミナ濃度として1質量%の硫酸アルミニウム水溶液を5分間で水溶液の温度を30℃に保持しながらpH8.0となるように徐々に添加し、アルミナ濃度として1.4質量%の種子アルミナ水和物スラリーを調製した。使用した硫酸アルミニウム水溶液の添加量は54.6kgで、全アルミナ量に対するグルコン酸ナトリウムの量は10質量%であった。
前記の種子アルミナ水和物スラリー21.0kg(アルミナとして0.3kg)に撹拌しながら純水59.4kgを加えて希釈した後、市販の再水和性触媒粉体1.64kg(アルミナとして1.5kg)を添加した。ここで使用した市販の再水和性触媒粉体は、UOP社の商品名 VERSALTM(以下、バーサルアルミナという)であり、再水和性を有するρ−及び/又はχ−アルミナからなる。次いで、該スラリーを60℃まで昇温した後60℃で90分間保持してバーサルアルミナを再水和した。更に、この再水和したスラリーを濾過、洗浄してアルカリや硫酸根などの副生塩を除去し、アルミナ水和物ケーキを得た。このアルミナ水和物ケーキは、X線回折の結果、バイヤライト、ジプサイトなどの結晶性アルミナ水和物を含まない擬ベーマイトアルミナ水和物であった。
前記アルミナ水和物ケーキに純水を加えてアルミナとして15質量%のスラリーを調整し、アンモニア水にてスラリーをpH10.5に調製した後、還流器のついた熟成タンクにて95℃で10時間撹拌熟成した。
熟成終了後、この熟成スラリー20kg(アルミナとして3kg)を濾過器にて濃度23質量%まで脱水濃縮して原料アルミナを作製した。
原料アルミナをスチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、後記した方法により測定した基準水分量よりも水分を2%多く含む水分量52%に調整し、可塑性のある捏和物Aとした。捏和物Aをオーガー式押出機で、1.8mmの四つ葉型の柱状に押し出し成形した。
得られたアルミナ成形品を、110℃で16時間乾燥した後、さらに680℃で2時間焼成してアルミナ担体Aを得た。アルミナ担体Aに、モリブデンとニッケルを酸化物として触媒基準で8.5質量%、2.3質量%となるように三酸化モリブデンと炭酸ニッケルのカルボン酸水溶液を周知の方法で含浸した後、回転式乾燥機を用いて室温から250℃まで昇温乾燥した。さらにこの乾燥品は、550℃で1時間空気中にて焼成して触媒A(実施例1)を調製した。
<基準水分量の測定方法>
ここで、ニーダーにて捏和する際の負荷電流値(回転軸を回転させるモーターによる)が最大となったところを基準水分量として設定した。なお、捏和物の水分量は、株式会社ケット科学研究所製のケット計で測定した値である。ここで、捏和物Aの基準水分量は、50%であった。以下の実施例についても、各捏和物の基準水分量は捏和物Aと同様にして測定した。
(実施例2)
実施例2は、原料アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を4%多く含む水分量54%の捏和物Bを使用して触媒Bを製造した点が、実施例1と異なる。
(実施例3)
実施例3は、原料アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を6%多く含む水分量56%の捏和物Cを使用して触媒Cを製造した点が、実施例1と異なる。
(比較例1)
比較例1は、原料アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量(50%)とした捏和物Dを使用して触媒Dを製造した点が、実施例1と異なる。
(比較例2)
比較例2は、原料アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を1%多く含む水分量51%の捏和物Eを使用して触媒Eを製造した点が、実施例1と異なる。
(比較例3)
比較例3は、原料アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を7%多く含む水分量57%の捏和物Fを使用した点が、実施例1と異なる。しかしながら、捏和物Fはオーガー式押出機で押出成形された成形物の形状が保持できず成形できなかった。
(実施例4)
水硝子に硫酸を加えて調製したシリカヒドロゲルを熟成した後、これにアルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム溶液を加えて、SiO/Al質量比が70/30のシリカアルミナ水和物を調製した。このシリカアルミナ水和物を洗浄してナトリウムおよび硫酸根を除去したシリカアルミナ水和物スラリー(原料シリカ−アルミナ)を得た。このシリカアルミナ水和物スラリー30kg(SiO−Alとして3kg)をスチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(60%)よりも水分を2%多く含む水分量62%の可塑性のある捏和物Gを作製した。捏和物Gを、実施例1と同様にして触媒Gを製造した。
(実施例5)
実施例5は、原料シリカ−アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を4%多く含む水分量64%の捏和物Hを使用して触媒Hを製造した点が、実施例4と異なる。
(比較例4)
比較例4は、原料シリカ−アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量(60%)とした捏和物Iを使用して触媒Iを製造した点が、実施例4と異なる。
(実施例6)
水硝子に硫酸を加えて調製したシリカヒドロゲルを熟成した後、これを洗浄してナトリウムおよび硫酸根を除去したシリカ水和物スラリー(原料シリカ)を得た。このスラリー30kg(SiOとして3kg)をスチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(59%)よりも水分を2%多く含む水分量61%の可塑性のある捏和物Jを作製した。捏和物Jを、実施例1と同様にして触媒Jを製造した。
(実施例7)
実施例7は、原料シリカを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を4%多く含む水分量63%の捏和物Kを使用して触媒Kを製造した点が、実施例6と異なる。
(比較例5)
比較例5は、原料シリカを双腕型ニーダーで基準水分量(59%)とした捏和物Lを使用して触媒Lを製造した点が、実施例6と異なる。
(実施例8)
水硝子に硫酸を加えて調製したシリカヒドロゲルを熟成した後、これに硫酸チタン溶液を加えてSiO/TiO質量比が90/10のシリカチタニア水和物を調製した。このシリカチタニア水和物を洗浄してナトリウムおよび硫酸根を除去したシリカチタニア水和物スラリー(原料シリカ−チタニア)を得た。このスラリー30kg(SiO−TiOとして3kg)をスチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(61%)よりも水分を2%多く含む水分量63%の可塑性のある捏和物Mを作製した。捏和物Mを、実施例1と同様にして触媒Mを製造した。
(実施例9)
実施例9は、原料シリカ−チタニアを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を4%多く含む水分量65%の捏和物Nを使用して触媒Nを製造した点が、実施例8と異なる。
(比較例6)
比較例6は、原料シリカ−チタニアを双腕型ニーダーで基準水分量(61%)とした捏和物Oを使用して触媒Oを製造した点が、実施例8と異なる。
(実施例10)
水硝子に硫酸を加えて調製したシリカヒドロゲルを熟成した後、これに硫酸ジルコニウム溶液を加えてSiO/ZrO質量比が80/20のシリカジルコニア水和物を調製した。このシリカジルコニア水和物を洗浄してナトリウムおよび硫酸根を除去したシリカジルコニア水和物スラリー(原料シリカ−ジルコニア)を得た。このスラリー30kg(SiO−ZrOとして3kg)をスチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(62%)よりも水分を2%多く含む水分量64%の可塑性のある捏和物Pを作製した。捏和物Pを、実施例1と同様にして触媒Pを製造した。
(実施例11)
実施例11は、原料シリカ−ジルコニアを双腕型ニーダーで基準水分量より水分を4%多く含む水分量66%の捏和物Qを使用して触媒Qを製造した点が、実施例10と異なる。
(比較例7)
比較例7は、原料シリカ−ジルコニアを双腕型ニーダーで基準水分(62%)量とした捏和物Rを使用して触媒Rを製造した点が、実施例10と異なる。
(実施例12)
捏和物D(比較例1参照。以下同様)3.75kg(Alとして1.5kg)と原料シリカ−アルミナ(実施例4参照)15kg(SiO−Alとして1.5kg)とを混合した原料アルミナ/シリカ−アルミナを、スチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(52%)よりも水分を2%多く含む水分量54%の可塑性のある捏和物Sを作製した。捏和物Sを、実施例1と同様にして触媒Sを製造した。
(比較例8)
比較例8は、原料アルミナ/シリカ−アルミナを双腕型ニーダーで基準水分量(52%)とした捏和物Tを使用して触媒Tを製造した点が、実施例12と異なる。
(実施例13)
捏和物D3.75kg(Alとして1.5kg)と原料シリカ(実施例6参照)15kg(SiOとして1.5kg)とを混合した原料アルミナ/シリカを、スチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(52%)よりも水分を2%多く含む水分量54%の可塑性のある捏和物Uを作製した。捏和物Uを、実施例1と同様にして触媒Uを製造した。
(比較例9)
比較例9は、原料アルミナ/シリカを双腕型ニーダーで基準水分量(52%)とした捏和物Vを使用して触媒Vを製造した点が、実施例13と異なる。
(実施例14)
捏和物D3.75kg(Alとして1.5kg)と原料シリカ−チタニア(実施例8参照)15kg(SiO−TiOとして1.5kg)とを混合した原料アルミナ/シリカ−チタニアを、スチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(53%)よりも水分を2%多く含む水分量55%の可塑性のある捏和物Wを作製した。捏和物Wを、実施例1と同様にして触媒Wを製造した。
(比較例10)
比較例10は、原料アルミナ/シリカ−チタニアを双腕型ニーダーで基準水分量(53%)とした捏和物Xを使用して触媒Xを製造した点が、実施例14と異なる。
(実施例15)
捏和物D3.75kg(Alとして1.5kg)と原料シリカ−ジルコニア(実施例10参照)15kg(SiO−ZrOとして1.5kg)とを混合した原料アルミナ/シリカ−ジルコニアを、スチームジャケット付き双腕型ニーダーにより蒸発濃縮しながら捏和し、基準水分量(53%)よりも水分を2%多く含む水分量55%の可塑性のある捏和物Yを作製した。捏和物Yを、実施例1と同様にして触媒Yを製造した。
(比較例11)
比較例11は、原料アルミナ/シリカ−ジルコニアを双腕型ニーダーで基準水分量(53%)とした捏和物Zを使用して触媒Zを製造した点が、実施例15と異なる。
(試験例1)
実施例1〜15および比較例1〜10の各触媒について、固定床式のマイクロリアクターを用いて、次に示す条件で反応温度を変えて水素化脱メタル活性を調べた。
反応条件; 触媒充填量 300 ml
反応圧力(水素分圧) 13.5 MPa
液空間速度(LHSV) 0.27 hr−1
水素/油比(H/HC) 800 Nm/kl
反応温度 350℃、365℃、380℃
また、原料油には下記性状の常圧残渣油を使用した。
原料油性状; 比重(15/4℃) 0.9836 g/cm
残炭 11.9 %
アスファルテン分 6.5 %
イオウ分 4.196 %
窒素分 2200 ppm
メタル(Ni+V)量 100 ppm
まず、反応温度をそれぞれ350℃、365℃、及び380℃として、原料油を処理した。次に、反応により得られた生成油中の硫黄分およびニッケル、バナジウムの量を測定した。更に、次式により350℃、365℃、及び380℃での水素化脱硫活性を脱硫率および水素化脱メタル活性を脱メタル率としてそれぞれ計算した。この3点をグラフ化等して解析し、365℃における活性を算出し、それぞれの触媒を比較した。その値を表1〜4に示す。
脱硫率=(原料油中の硫黄濃度−水素化処理生成油中の硫黄濃度)/
原料油中の硫黄濃度×100
脱メタル率=(原料油中のメタル濃度−水素化処理生成油中のメタル濃度)/
原料油中のメタル濃度×100

Claims (6)

  1. 担体に水素化活性金属成分を担持してなる水素化処理触媒において、担体ペレットの外殻と内部の密度が相対的に粗密である多重化構造であって、外殻の密度が内部の密度に対して20%を超えて70%以下であることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒。
  2. 外殻の密度が内部の密度に対して49%〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  3. 前記担体ペレット外殻がペレット径の4%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  4. 前記担体がアルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニアから選ばれた多孔性無機酸化物であることを特徴とする請求項1〜3に記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  5. 前記水素化活性金属成分が周期表の第VIB族金属(IUPAC 6)、第VIII族金属(IUPAC 8〜10)から選ばれた少なくとも1種の金属成分を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  6. 触媒として請求項1〜5のいずれかに記載の水素化処理触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
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