JP5334198B2 - 自律移動方法及び自律移動体 - Google Patents
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Description
自律移動させるための誘導方式の一つとして磁気を目印とするものが知られている。これは、典型的には、移動経路上に例えば磁気テープからなる磁気マーカを設置し、ロボットに磁気マーカから発せられる磁気を検出する磁気センサを設け、磁気センサにより磁気マーカを検知することにより、自己位置を認識するものである(たとえば、特許文献1、特許文献2)。
しかし、磁気マーカを設置する方法は、事前に環境の磁場分布を求め、磁気的なノイズの少ないところに磁気マーカを設置しなければならない。したがって、磁気マーカを設置する作業にかかる負担が大きい。また、磁気マーカは、一般に床に設置されるが、床面上に磁気マーカを設置することが美観上好ましくない場合がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、磁気ナビゲーションに基づいて自律移動する移動体が自己位置を見失うのを抑制することを目的とする。
この場合、第1の環境磁気データが計測された経路上に居るものと自律移動体が自己位置を認識した場合には、第3の環境磁気データが計測された経路に向けて自律移動体を移動させる。また、第2の環境磁気データが計測された経路上に居るものと自律移動体が自己位置を認識した場合には、第3の環境磁気データが計測された経路に向けて自律移動体を移動させる。つまり、自律移動体は、幅方向にずれようとしても、幅方向の中央に存在する第3の環境磁気データ群が計測された経路に向けて戻される。
ここで、第3の環境磁気データは、第1の環境磁気データ及び第2の環境磁気データと同様に予め計測して得ておくことができるが、本発明はこれに限らず、第1の環境磁気データ及び第2の環境磁気データから求めることができる。例えば、第1の環境磁気データ及び第2の環境磁気データの中間値、典型的には平均値を第3の環境磁気データとすることがでる。この場合、自律移動前に中間値を求めて記憶させることができるし、自律移動中に演算して求めることもできる。
この場合には、第1の環境磁気データが計測された経路上に居るものと自律移動体が自己位置を認識すると、第3の環境磁気データが計測された経路に向けて自律移動体は移動する。また、第2の環境磁気データが計測された経路上に居るものと自律移動体が自己位置を認識すると、第3の環境磁気データが計測された経路に向けて自律移動体は移動する。
本実施の形態は、図1、図2に示されるロボット(移動体)1が、図3(a)に示される移動経路を自律移動するものに関する。なお、図3(a)において、出発地(S)から目的地(G)までの全行程を移動経路といい、移動経路を構成するそれぞれの経路を「区間経路」というものとする。
本実施の形態にかかる車輪型のロボット(移動体)1は、図1に示すように、箱状の本体2の前後方向中央下部に左右一対の駆動輪3,4を備えると共に、本体2のほぼ四隅下部に夫々補助輪5を備えている。
本体2の前方には磁気・方位センサ20が設けられている。磁気・方位センサ20は、本体2の内部に設置された制御部50と電気的に接続されている。なお、これらセンサ類は本体2の内部に設けた例を示しているが、本体2とともに移動できるのであれば、本体2の外部に設けることもできる。
磁気・方位センサ20はまた、本体2の方位を計測する。方位を計測するセンサとしては、地磁気センサ(又は電子コンパス)、ジャイロコンパス等公知のセンサを用いることができる。なお、磁気・方位センサ20は一体で構成した例を示しているが、各々を別体としてもよいことは言うまでもない。
次に、図2を参照して、制御部50について説明する。
制御部50は、走行制御部60と、記憶部70と、演算処理部80を備え、CPU、ROM、RAM等のメモリ及び入出力回路等を備えたコンピュータから構成される。
<走行制御部60>
制御部50において、各駆動輪3,4は、夫々駆動モータ6,7により図示しない減速機を介して回転駆動されるようになっている。また、駆動モータ6,7には、駆動輪3,4の回転速度(回転数)を検出するためのロータリエンコーダ8,9が夫々付設されている。さらに、これら駆動モータ6,7は、走行制御部60により夫々独立して駆動制御されるようになっている。走行制御部60は、駆動モータ6,7を異なる回転数で回転させることにより、ロボット1の向きを変えることができる。
記憶部70は、第1記憶部71と、第2記憶部72とを備えている。
[第1記憶部]
第1記憶部71には、自律移動に実際に使用される地図データが記憶される。第1記憶部71に記憶される地図データを図4に示す。
地図データは、環境磁気データを含む。環境磁気データは、ロボット1の移動経路に沿って磁気・方位センサ20により計測された磁気(図4 X軸(G),Y軸(G),Z軸(G))と当該磁気が計測された位置(図4 距離(m))とが関係付けられたデータである。ロボット1が自律走行する際に計測される実測磁気とこの環境磁気データを比較し、両者の偏差が求められる。
環境磁気データに含まれる距離に関する情報は、区間経路上をロボット1が移動する距離である。例えば、図4の区間経路1について、最下行の「30.04(m)」はロボット1が区間経路1を移動すべき距離(区間距離情報)を表す。ロボット1は、後述するように、この距離を自律移動に利用する。
一般的には、位置はマップとして表現することをねらって座標(x,y)で表現される。しかし、本実施の形態では方位と移動距離を基準(θ,lの極座標表現)として位置を特定することで座標変換の際に生じる誤差を少なくできる。
ロボット1の移動距離は車輪(駆動輪3,4)の回転から計測する。ただし,車輪の滑りやタイヤの空気圧の違いにより、計測値がずれる場合がある。そのため、画像による床フローの推定で移動量を正確に求めることが望ましい。
環境磁気データは、ロボット1の移動経路上を連続的に記憶されていることが好ましい。しかし、この方法は現在の技術レベルでは現実的ではない。ロボットの移動経路が長くなると、実測磁気との比較処理に相当の時間がかかってしまい、移動速度が著しく遅くなるからである。したがって、(本実施の形態では、0.01m)所定間隔毎に、つまり間欠的に環境磁気データを記憶することが現実的である。
地図データとして、本実施の形態は、図4に示すように、移動経路の幅方向の分布に関する情報(以下、磁場状態情報)を備えている。これは、1軸ごとに記憶されている環境磁気データ(1−a〜1−b)の同一位置における強度の分布を示している。この磁気分布は図7に示すようにいくつかのパターンに分類される。つまり、経路の幅方向に沿って磁気強度が大きく傾斜するパターンA、磁気強度が山型になるパターンB、磁気強度が谷型になるパターンC及び磁気強度の差が小さいパターンDである。パターンDが計測された位置と対応付けて「mag.flat」が記憶される。「mag.flat」の利用法は後述する。また、図7はX軸について示したが、Y軸、Z軸についても同様に磁気強度の分布を持つことがあり、本発明は3軸のいずれの磁気強度の分布をも参照できる。
第2記憶部72には、走行制御部60、演算処理部80が行う種々の制御に関するプログラムが記憶されている。
次に、演算処理部80は、磁気・方位比較部81と、幅方向位置修正部82と、移動距離演算部84を備えている。
磁気・方位比較部81は、第1記憶部71に記憶されている地図データを読み込むとともに、その中の環境磁気データと磁気・方位センサ20で計測される実測磁気、実測方位とを比較し、その偏差を求める。磁気に関する偏差(ΔGX,ΔGY,ΔGZ)、方位に関する偏差(Δθ)は、正規の区間経路に対してロボット1の向きに偏差があるために生ずる。磁気・方位比較部81は、磁気に関する偏差(ΔGX,ΔGY,ΔGZ)、方位に関する偏差(Δθ)を車両移動値演算部85に送る。
磁気・方位比較部81は、上記比較を行いながら、ロボット1が中央軌道からずれて、左側軌道に達したこと又は右側軌道に達したことを幅方向位置修正部82へ通知する。
車両移動値演算部85は、第1記憶部71から区間距離情報を読み出す。この区間距離情報は、前述したように、地図データに含まれている。車両移動値演算部85は、移動距離演算部84から取得した移動距離Sと区間距離情報とから区間経路の終点に到達するまでの残移動距離を求める。この残移動距離は、走行制御部60へ出力される。
図9は、この制御を実現する構成例を示すブロック図である。図9に示すように、この例では、環境磁気データと実測磁気の比較、方位の比較を行い、環境磁気(方位)データと計測磁気(方位)との差がゼロになるようにPID制御を適用している。ただし、PID制御に限らず、本発明は他の方法により環境磁気(方位)データと実測磁気(方位)との差がゼロになるように制御することができる。
走行制御部60は、車両移動値演算部85で求められた残移動距離に基づいて、ロボット1を区間経路に沿って次のノードまで移動するように、駆動モータ6,7に駆動指令を出力する。また、走行制御部60は、車両移動値演算部85で求められた回転角に基づいて、ノードに到達すると、ロボット1の向きを次の区間経路に合うように変えるために、駆動モータ6,7に駆動指令を出力する。
以上の構成を有するロボット1により自律移動を行う手順の一例を図3及び図4を参照して説明する。
[地図データ(環境磁気データ)の登録、経路計画データの設定]
図3(a)において、白抜きの部分がロボット1の通路を示し、網掛けの部分が建物等の障害物を示している。図3(b)は、図3(a)をグラフで表現した磁気マップである。グラフ上のノード間で区分される破線が区間経路を示している。この例の場合、ノードがA〜Eまでの5地点、区間経路が1〜4の4経路が設定されている。各区間経路1〜4ごとに3群の環境磁気データが記憶されている。ノードA〜ノードE、区間経路1〜区間経路4を特定する環境磁気データは、第1記憶部71に記憶されている。なお、図4には一部の区間経路についての地図データのみが示されている。
環境磁気データは、ロボット1又はロボット1と同様の磁気センサ、方位センサ及び記憶部を備えたデータ収集車を、ロボット1を移動させたい通路に沿って移動させて収集し、第1記憶部71に記憶しておく。環境磁気データの収集時にロボット1又はデータ収集車を移動させる方法は問わない。オペレータが手押ししてもよいし、オペレータの操作により駆動モータ6,7を動かしてロボット1を移動させることもできる。
以上のようにして準備が整ったロボット1は、出発地であるノードAから自律移動を開始する。自律移動は、中央軌道の環境磁気データ((1)−b)を基準に行われる。
はじめに、ロボット1は、車両移動値演算部85が第1記憶部71から順次移動する区間経路1〜4の地図データを取得する。この読み出しは、中央軌道のみならず、左側軌道、右側軌道の環境磁気データも合わせて行われる。
区間経路1の地図データの読み出しを行うのと並行して、磁気・方位センサ20によって実測磁気、実測方位の計測を行う。磁気・方位比較部81は計測される実測磁気と区間経路1についての環境磁気データ(中央軌道,((1)−b))を比較しながら、ロボット1は出発地であるノードAを出発する。同時に、磁気・方位比較部81は計測される実測方位と区間経路1についての登録方位データを比較する。そして、磁気・方位比較部81は、磁気に関する偏差(ΔGX,ΔGY,ΔGZ)、方位に関する偏差(Δθ)を逐次求め、車両移動値演算部85に出力する。車両移動値演算部85は、偏差(ΔGX,ΔGY,ΔGZ)、方位に関する偏差(Δθ)がともに0(ゼロ)になるように回転角を求める。この回転角は、走行制御部60へ出力される。
磁気・方位比較部81は、磁場情報が「mag.flat」の場合には、そのことを車両移動値演算部85に通知する。この場合、車両移動値演算部85は従前の条件で駆動モータ6,7に駆動指令を出力することができる。
ノードCに着いてから目的地であるノードEに到達するまでは、以上と同様にしてロボット1は自律移動することができる。
ロボット1は、区間経路を移動中に中央軌道から外れて左側軌道又は右側軌道に達する、つまり自己位置を認識することがあり、左側軌道に対する環境磁気データ群(1)−a、右側軌道に対する環境磁気データ群(1)−cと実測磁気との比較によりそのことを検知する。例えば、図6のような場合である。この場合、磁気・方位比較部81はそのことを幅方向位置修正部82へ通知し、幅方向位置修正部82は、左側軌道情報を取得すると、ロボット1が中央軌道に向けて右向きに移動するように車両移動値演算部85に対して指示する。磁気・方位比較部81が右側軌道情報を出力すると、ロボット1が中央軌道に向けて左向きに移動するように車両移動値演算部85に対して指示する。車両移動値演算部85は、これら指示に基づいて駆動モータ6,7に駆動指令を出力する。
このように本実施の形態によるロボット1は、左側軌道からさらに左側に外れること、又は右側軌道からさらに右側に外れるのを阻止されながら2つのノード間を繋ぐ区間経路を自律移動するので、移動距離が長く、かつカーブを含んでいても自己位置を認識できなくなることは稀である。
<形態A>
ロボット1が自律移動する過程で、左側軌道に対応する環境磁気データ及び右側軌道に対応する環境磁気データから中央軌道に対応する環境磁気データを演算により求める。ロボット1は、中央軌道に対応する環境磁気データを演算しながら中央軌道に倣って自律移動する。形態1は、第1記憶部71に記憶するデータ量を少なくできる利点がある。
<形態B>
左側軌道に対応する環境磁気データ及び右側軌道に対応する環境磁気データから中央軌道に対応する環境磁気データを演算により事前に求めておき、地図データとして、左側軌道に対応する地図データ及び右側軌道に対応する地図データとともに第1記憶部71に記憶させる。ロボット1は、第1記憶部71に記憶されている中央軌道に倣って自律移動する。この形態Bでは、事前に求めておいた中央起動に対応する環境磁気データを、自律移動中に実測した環境磁気で置き換えることができる。
<形態C>
ロボット1が左側軌道上に自己位置を認識した場合には、ロボット1は右側軌道に向けて移動する。逆に、ロボット1が右側軌道上に自己位置を認識した場合には、ロボット1は左側軌道に向けて移動する。ロボット1は、左側軌道と右側軌道で挟まれる経路に倣って自律移動する。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択し、あるいは他の構成に適宜変更することが可能である。
20…磁気・方位センサ
50…制御部、60…走行制御部
70…記憶部
71…第1記憶部、72…第2記憶部
80…演算処理部
81…磁気・方位比較部、82…幅方向位置修正部、84…移動距離演算部、85…車両移動値演算部
Claims (8)
- 出発地から目的地まで移動体が移動する移動経路に沿って生じている磁気を予め計測して得られた環境磁気データと、前記移動体が前記移動経路に倣って移動する際に、前記移動経路に沿って生じている磁気を実測して得られる実測磁気と、を比較しながら移動体を自律移動させる方法であって、
前記環境磁気データは、
第1の環境磁気データ群と第2の環境磁気データ群とを少なくとも含み、
前記第1の環境磁気データ群と前記第2の環境磁気データ群は、前記移動体の移動方向と直交する幅方向に互いに間隔を空けて計測されたものである、
ことを特徴とする自律移動方法。 - 前記自律移動体は、
前記第1の環境磁気データが計測された経路上にいるものと自己位置を認識した場合に、
前記第2の環境磁気データが計測された経路に向けて移動し、
前記第2の環境磁気データが計測された経路上にいるものと自己位置を認識した場合に、
前記第1の環境磁気データが計測された経路に向けて移動する、
請求項1に記載の自律移動方法。 - 前記環境磁気データは、
前記第1の環境磁気データ群と前記第2の環境磁気データ群の前記幅方向における間に、第3の環境磁気データ群をさらに含む、
請求項1に記載の自律移動方法。 - 前記自律移動体は、
前記第1の環境磁気データが計測された経路上にいるものと自己位置を認識した場合に、
前記第3の環境磁気データが計測された経路に向けて移動し、
前記第2の環境磁気データが計測された経路上にいるものと自己位置を認識した場合に、
前記第3の環境磁気データが計測された経路に向けて移動する、
請求項3に記載の自律移動方法。 - 出発地から目的地まで移動体が移動する移動経路に沿って生じている磁気を予め計測して得られた環境磁気データと、前記移動体が前記移動経路に倣って移動する際に、前記移動経路に沿って生じている磁気を実測して得られる実測磁気と、を比較しながら自律移動する自律移動体であって、
前記環境磁気データは、
第1の環境磁気データ群と第2の環境磁気データ群とを少なくとも含み、
前記第1の環境磁気データ群と前記第2の環境磁気データ群は、前記移動体の移動方向と直交する幅方向に互いに間隔を空けて計測されたものである、
ことを特徴とする自律移動体。 - 前記自律移動体は、
前記第1の環境磁気データが計測された経路上にいるものと自己位置を認識した場合に、
前記第2の環境磁気データが計測された経路に向けて移動し、
前記第2の環境磁気データが計測された経路上にいるものと自己位置を認識した場合に、
前記第1の環境磁気データが計測された経路に向けて移動する、
請求項5に記載の自律移動体。 - 前記環境磁気データは、
前記第1の環境磁気データ群と前記第2の環境磁気データ群の前記幅方向における間に、第3の環境磁気データ群をさらに含む、
請求項6に記載の自律移動体。 - 前記自律移動体は、
前記第1の環境磁気データが計測された経路上に居るものと自己位置を認識した場合に、
前記第3の環境磁気データが計測された経路に向けて移動し、
前記第2の環境磁気データが計測された経路上に居るものと自己位置を認識した場合に、
前記第3の環境磁気データが計測された経路に向けて移動する、
請求項7に記載の自律移動体。
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