JP5332056B2 - 超音波センサ - Google Patents
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Description
このような超音波センサのうち、超音波の放射(送波)と受波の両方を行う送受波共用の超音波センサでは、単一の圧電素子を用い、この素子の共振周波数と反共振周波数の中間の周波数を持つ電気信号でこれを駆動して、この周波数の超音波を発生させ、またこの周波数の超音波を受波するようにして用いる場合が多い。一般に、超音波の放射強度は共振周波数で最大となり、超音波の受波感度は反共振周波数で最大となるため、これらの中間の周波数を用いて、放射強度と受波感度の大きさを両立させるためである。
本発明の超音波センサにおいて、共振周波数fraの電気信号を薄肉部電極に加え、この薄肉部を共振させて超音波(周波数f=fra)を発生させると、薄肉部が共振して、効率よく大きな放射強度で超音波を放射させる(超音波を送波する)ことができる。
その一方、反射等で戻ってきた超音波は、その周波数が厚肉部における反共振周波数である(周波数f=fra=fab)から、この厚肉部で反共振することとなり、厚肉部電極から大きな振幅の電圧(超音波出力)を得る(超音波を受波する)ことが出来る。
かくして、前述した従来の超音波センサのように、所定の厚さの圧電素子を共用して、超音波の送波と受波を行う場合に比して、送波時の放射強度及び受波時の感度の向上を図ることができる。
しかも、この圧電素子は、薄肉部と厚肉部とが一体であるので、1つの超音波センサとして扱うことができ、取り扱いが容易である。また、薄肉部と厚肉部との相対位置決めも不要である点でも、取り扱いが容易である。このため、安価で設置容易な超音波センサとすることができる。
また、超音波センサとしては、空中、液中(例えば水中)あるいは固体中に超音波を放射すると共に、空中、液中あるいは固体中からの超音波を受波して超音波出力を得るものが挙げられる。
本発明の第1の実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。図1及び図2は、実施形態1にかかる超音波センサ10の形態を示す断面図及び平面図である。超音波センサ10は、PZT系の圧電セラミックスからなる圧電素子11と、この図1中、上下面(厚み方向DTの両面)に形成された電極層17,18とからなる。
このため、2つの薄肉部電極17の間に、高周波の交流電圧を印加すると、薄肉部12は、それに応じて振動する。特に、この薄肉部12を、その厚みTa1に応じた共振周波数fraで駆動した場合には、共振して厚み方向DTに大きく振動すると共に、インピーダンスが極小となる。従って、この共振周波数fraで、薄肉部12を駆動すれば、振幅の大きい(強度の高い)超音波を放射(送波)させることができる。
また、薄肉部12は、この共振周波数fraよりも高い周波数領域のうち、その厚みTa1に応じた反共振周波数faaで反共振して、そのインピーダンスが極大となる(図3参照)。
なお、厚肉部13の共振周波数frb及び反共振周波数fabは、その厚みが相対的に厚いために、それぞれ、薄肉部12の共振周波数fra及び反共振周波数faaに比して低い値となる。
放射された超音波は、検出対象物(図示しない)に当たって反射して、周波数f=fraの受波超音波US2として、超音波センサ10に戻ってくる。
これに対して、スイッチSW2をオン(スイッチSW1をOFF)としておくと、外部からの受波超音波US2が厚肉部13に届いた場合に、厚肉部13が振動させられ、厚肉部13から超音波出力が得られる。しかも、受波超音波US2の周波数fが、厚肉部13の反共振周波数fabとなっている(周波数f=fra=fba)ため、感度が高く、電圧振幅の大きな超音波出力UOUTを得ることができる。
特に、本実施形態1の超音波センサ10では、薄肉部12と厚肉部13とが同軸とされているので、超音波を放射する放射面である薄肉第1面12A、及び超音波を受波する受波面である厚肉第1面13Aの向き(軸線JXの延びる方向)を容易に決めうる。
次いで、実施形態1の変形形態にかかる駆動手法について、図5を参照して説明する。
本変形形態1は、前述した実施形態1に係る超音波センサ10を用いるが、放射面及び受波面が異なる(図4参照)点で、実施形態1と異なる。
すなわち、実施形態1では、図4に示すように、超音波センサ10を使用するに当たり、薄肉部12の薄肉第1面12Aを、放射超音波US1を放射する放射面とした。また、厚向き部13の厚肉第1面を、受波超音波US2を受波する受波面とした。
次いで、第2の実施形態にかかる超音波センサ20について、図6及び図7を参照して説明する。
前述した実施形態1の超音波センサ10は、薄肉部12が円板状で、これより厚い厚肉部13がこれに同軸で、これを囲む円環板状をなしており、全体として、断面が、凹字形状とされていた。
これに対し、本実施形態2の超音波センサ20は、厚みの厚い厚肉部23が円板状で、薄肉部22がこれに同軸で、これを囲む円環板状をなしており、全体として、断面が、凸字形状とされている点で異なる。
このため、実施形態1と同じく、2つの薄肉部電極27の間に、高周波の交流電圧を印加すると、薄肉部22は、それに応じて振動する。薄肉部22は、共振周波数fraで共振し、反共振周波数faaで反共振する。従って、この薄肉部22を、共振周波数fraで駆動した場合には、インピーダンスが極小となると共に、振幅の大きい(強度の高い)超音波を放射させることができる。
放射された超音波は、検出対象物(図示しない)に当たって反射して、周波数f=fraの受波超音波US2として、超音波センサ20に戻ってくる。
これに対して、スイッチSW2をオン(スイッチSW1をOFF)としておくと、外部からの受波超音波US2が厚肉部23に届いた場合に、厚肉部23が振動して、超音波出力が得られる。しかも、受波超音波US2の周波数fが、厚肉部23の反共振周波数fabとなっている(周波数f=fra=fba)ため、感度が高く、電圧振幅の大きな超音波出力UOUTを得ることができる。
特に、本実施形態2の超音波センサ20では、薄肉部22と厚肉部23とが同軸とされているので、超音波の放射面である薄肉第1面22A、及び超音波の受波面である厚肉第1面23Aの向き(軸線JXの延びる方向)を容易に決めうる。
次いで、第3の実施形態にかかる超音波センサ30について、図9及び図10を参照して説明する。
前述した実施形態1の超音波センサ10は、薄肉部12が円板状で、これより厚い厚肉部13がこれを囲む円環板状をなして、全体として、断面が、凹字形状とされていた。また、本実施形態2の超音波センサ20は、厚肉部23が円板状で、厚みの薄い薄肉部22がこれを囲む円環板状をなして、全体として、断面が、凸字形状とされていた。
従って、この実施形態3の超音波センサ30でも、実施形態1,2と同じく、2つの薄肉部電極37の間に、共振周波数fraの交流電圧を印加すると、薄肉部22が共振する。従って、この薄肉部22を、共振周波数fraで駆動した場合には、インピーダンスが極小となると共に、振幅の大きい(強度の高い)超音波を放射させることができる。
また、厚肉部33は、反共振周波数fabの超音波を加えた場合に、そのインピーダンスが極大となる(図3参照)と共に、大きな振幅の(電圧の高い)出力電圧を得ること、つまり、感度良く超音波振動を受波することができる。
しかも、この超音波センサ30でも、薄肉部32と厚肉部33とが一体の1つの超音波センサとして取り扱うことができるので、取り扱いが容易である。しかも、薄肉部32と厚肉部33との相対位置決めが不要である点でも、取り扱いが容易であり、安価で設置容易な超音波センサとなる。
次いで、実施形態3の変形形態にかかる超音波センサについて、図11、図12を参照して説明する。
上述の実施形態3の超音波センサ30では、圧電素子31を、薄肉部32と厚肉部33とが、互いに斜めに結合され、V字状に配置される形態とした。そして、薄肉第1面32Aと厚肉第1面33Aとが、図9において、中心面KXに対して左右非対称となる形態とした。
このようにすることにより、超音波放射面SOである薄肉第1面42Aと、超音波受波面SIである厚肉第1面43Aの間に段差が生じないため、薄肉第1面42A及び厚肉第1面43Aを露出させつつ、圧電素子41の外周を包囲する場合に、薄肉第1面42A及び厚肉第1面43Aで、水などの超音波の媒体に対するシールを施しやすい。
次いで、実施形態4にかかる超音波センサ50について、図13を参照して説明する。
前述した実施形態1の超音波センサ10では、薄肉第1面12A上に形成した薄肉部電極17と、厚肉第1面13A上に形成した厚肉部電極18とは、互いに離間し、絶縁されている。また、介在部15をなす溝部16も介在している。
例えば、前述の実施形態1等では、薄肉部と厚肉部との間に、溝部を設けることで、これらの間に介在する介在部が存在する形態を示した。しかし、薄肉部と厚肉部との間に、介在部(溝部)を設けない形態としても良い。但し、介在部(溝部)の存在により、薄肉部と厚肉部との間の縁切りがなされて、一方の振動が他方に伝わりにくいなど、一方の挙動が他方に影響しにくいようにできるので、介在部を設ける方が好ましい。
11,21,31,41,51 圧電素子
12,22,32,42,52 (圧電素子の)薄肉部
12A,22A,32A,42A,52A (薄肉部の)薄肉第1面
12B,22B,32B,42B,52B (薄肉部の)薄肉第2面
13,23,33,43,53 (圧電素子の)厚肉部
13A,23A,33A,43A,53A (厚肉部の)厚肉第1面
13B,23B,33B,43B,53B (厚肉部の)厚肉第2面
15,25,35,45,55 介在部
16,26,36,46,56 溝部
17,27,37,47,57 薄肉部電極
18,28,38,48,58 厚肉部電極
59 共通電極
Ta1,Ta2,Ta3,Ta4 薄肉部の厚み
Tb1,Tb2,Tb3,Tb4 厚肉部の厚み
Tc1,Tc2,Tc3,Tc4,Tc5 介在部の厚み
fra (薄肉部の厚み方向の)共振周波数
faa (薄肉部の厚み方向の)反共振周波数
frb (厚肉部の厚み方向の)共振周波数
fab (厚肉部の厚み方向の)反共振周波数
SO 放射面
SI 受波面
Nh 放射法線
Nj 受波法線
K 交点
Claims (5)
- 超音波の送受波を行う超音波センサであって、
厚みTaの薄肉部、及び、
上記薄肉部と一体とされ、上記薄肉部よりも厚い厚みTbの厚肉部を有する
圧電素子と、
上記薄肉部を挟む薄肉部電極と、
上記厚肉部を挟む厚肉部電極と、を備え、
上記圧電素子は、
上記薄肉部の厚みTaと上記厚肉部の厚みTbとを、上記薄肉部における共振周波数と上記厚肉部における反共振周波数とが等しくなる関係にしてなる
超音波センサ。 - 請求項1に記載の超音波センサであって、
前記薄肉部と前記厚肉部との間に介在し、上記薄肉部よりも厚みの小さい介在部を備
える
超音波センサ。 - 請求項1または請求項2に記載の超音波センサであって、
前記薄肉部は円板状とされてなり、
前記厚肉部は上記薄肉部を囲みこれと同軸の円環板状とされてなる
超音波センサ。 - 請求項1または請求項2に記載の超音波センサであって、
前記厚肉部は円板状とされてなり、
前記薄肉部は上記厚肉部を囲みこれと同軸の円環板状とされてなる
超音波センサ。 - 請求項1または請求項2に記載の超音波センサであって、
前記薄肉部のうち、自身の厚さ方向一方側の面であり、超音波を放射する面を放射面とし、
前記厚肉部のうち、自身の厚さ方向一方側の面であり、超音波を受波する面を受波面としたとき、
上記薄肉部と上記厚肉部とは、
上記放射面に直交し、この放射面から外部に向けて延びる仮想の放射法線と、
上記受波面に直交し、この受波面から外部に向けて延びる仮想の受波法線とが、交叉する形態とされてなる
超音波センサ。
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