JP5331404B2 - 先天性異常症の染色体欠失の検出方法 - Google Patents

先天性異常症の染色体欠失の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、疾病を伴う染色体欠失の検出方法に関する発明であり、具体的には、特定の染色体領域のヘミ接合体欠失を検出することにより、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群を判別する方法に関する発明である。
先天性異常症候群の患者に染色体DNAの特定領域が欠失している場合が多く観察される。現在、ゲノムの欠失領域が明らかにされている先天性異常症候群は多く知られている。ヘミ接合体欠失が原因の疾患として報告されている先天性異常症候群の例として、Williams syndrome(7q11.2)、Smith-Magenis syndrome(17p11.2)、Langer-Giedion syndrome(8q24)、Wolf-Hirschhorn syndrome(4p16.3)、Miller-Dieker syndrome(17p13.3)、Prader-Willi and Angelman syndromes(15q11-q13)、WAGR syndrome(11p13)、Cri du Chat syndrome(5p15.3)、Rubinstein-Taybi syndrome(16p13.3)、Tricho-rhino-phalangeal syndrome(8q24.1)、Potoki-Shaffer syndrome(11p11.2)、Neurofibromatosis I syndrome(17q11)、Sotos syndrome(5q35)、Craniosynostosis syndrome(7p21.1)、Kallmann type 1 syndrome(Xp22.3)、Kallmann type 2 syndrome(8p11.12)、Van der Woude syndrome(1q32-q41)、ZFHX1 B deletion syndrome(2q22)、Blepharophimosis ptosis and epicanthus inversus syndrome(3q23) 、1p36 syndrome(1p36) 、Cat eye syndrome(22q11) 、Alagille syndrome(20p11.23) 、Diamond-Blackfan syndrome(19q13.2) 、Adrenal hypoplasia congenita(Xp21.2) 、Coffin-lowry syndrome(Xp22.3)、DiGeorge syndrome(22q11) 、Russell-Silver syndrome(7p11.2) 、Duchenne Muscular Dystrophy(Xp21.2)等が知られている(特許文献1:「ゲノムDNAの定着基盤と当該基盤を用いた染色体異常並びにそれに起因する疾患の検出方法」)。なお、( )内の記載は、これらの症候群でヘミ接合体欠失の染色体領域を示している。
一方、先天性異常症候群で染色体DNAの特定領域が増幅している例がある。例えば、Down syndrome では21番染色体がトリソミーであり、Pallister-Killian syndromeでは12番染色体短腕がテトラソミーである。Pelizaeus Merzbacher Disease(髄鞘形成不全疾患)ではXq22領域の増幅が原因である。
しかしながら、例えば、本発明における判定の対象となる「精神遅滞を伴う多発性奇形症候群」のように、原因不明の先天性異常症候群も数多く存在する。このような状況の中、原因不明の疾患についてヒトゲノムDNAを網羅的に解析し、ゲノムDNAの欠失・増幅を見いだすことは極めて有用である。すなわち、疾患の原因が特定のゲノムDNAにあることを特定することにより、当該疾患を的確かつ迅速に判定し、的確な対処を行うことが可能となる。また、当該疾患の原因となるゲノムの微細な構造異常の同定が可能となり、これが、将来の遺伝子レベルでの治療の可能性にもつながるものと考えられる。
特開2005−304481 アレイCGH診断活用ガイドブック、稲澤譲治・蒔田芳男・羽田明編、p40〜50及びp78〜81、株式会社医薬ジャーナル社2008年2月発行
本発明は、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の疾患について、ヒト染色体の増幅あるいは欠失の有無を解析しその原因を明らかにし、本疾患の判別法を提供することを課題とする発明である。
本発明者は、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群(Multiple Congenital Anomaly−Mental Retardation)のゲノム異常を効率良く解析できる手段を見出すべく検討を行った。
まず、20施設の小児科専門医が多発性奇形症候群の症例登録を行い、臨床症状から判断し、既知の先天性異常症が強く疑われる症例を除いた。次に、Genome Disorder Arrayを用いた解析で、既知の微細構造異常並びにサブテロメアの構造異常が原因となる疾患を同定した。Genome Disorder Arrayを用いた解析で原因が同定できなかった疾患の中から小児科領域の臨床遺伝専門医が判断し、さらに症例を絞り、MCG Whole Genome Array-4500を用いて網羅的な解析を行った。その結果、複数の疾患で同じ領域(10q24.31-10q25.1)の遺伝子異常をヘミ接合体欠失として同定し、本発明を完成させた。
本発明は、ヒト染色体の10q24.31-10q25.1の領域(以下、単に10q24.31-10q25.1の領域等と略記することもある)のヘミ接合体欠失を検出することにより、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群を判別する、染色体欠失の検出方法(以下、本発明の検出方法ともいう)を提供する発明である。
ヘミ接合体欠失とは、2本一組の染色体のうち一方が欠失しているヘテロな欠失のことを意味するものである。おそらく10q24.31-10q25.1の領域のホモ接合体欠失の場合は、生存すること自体が困難であると考えられる。
本発明の検出方法は、10q24.31-10q25.1の領域の一部を含む核酸と検体核酸とのハイブリダイゼーションにより、当該遺伝子領域のヘミ接合体欠失に基づいて発生するシグナルを検出することにより行われることが好適である。また、この好適な態様は、典型的には、当該遺伝子領域の一部を含む核酸(以下、プローブ核酸と記載する)が定着した基板(DNAアレイ)において適切に行われる。用いられるプローブ核酸は、オリゴヌクレオチド、cDNA、BAC(Bacterial Artificial Chromosome) DNA、PAC(Phage Artificial Chromosome) DNA、又は、YAC(Yeast Artificial Chromosome) DNA等が挙げられる。プローブ核酸の好適な態様として、これらの核酸をPCR法等により無尽蔵化した遺伝子増幅産物が挙げられる。このようなプローブ核酸を用いる態様については後述する。
また、DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT−PCR(Polymerase Chain Reaction)法、FISH法、又は、CGH法等を用いて、本発明の検出方法を行うことも可能である。
本発明の検出方法に供する検体試料としては、血液検体、特に、血漿が好適であるが、組織切片、リンパ液、喀痰、組織培養物などを用いることもできる。また、羊水、臍帯血、絨毛を検体として用いることも可能である。さらに、着床前診断として、受精卵を検体として用いることも可能である。
本発明により、先天性異常症の染色体欠失、さらに具体的には精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の判別を行う手段が提供される。
[DNAアレイを用いる形態]
(1)DNAアレイ
上述したように、本発明の検出方法を行うに際しては、オリゴヌクレオチド、cDNA、BAC DNA、PAC DNA、又は、YAC DNA等のプローブ核酸を搭載したDNAアレイを用いることが好適である。当該アレイとして用いられる基板の素材としては、ガラス、プラスチック、メンブレン、3次元アレイ等が用いられるが、スライドガラス等のガラス基板が一般的には好ましい。ガラス等の固体基板は、ポリ-L-リジン、アミノシラン、金・アルミニウム等の凝着により基板をコートされていることがより好ましい。
(2)WGA−4500アレイ
極めて有力な本発明の検出方法を行う態様として、染色体を網羅的にカバーするBAC DNAを搭載したMCG Whole Genome Array-4500(WGA−4500と略称することもある:非特許文献1)を用いたアレイCGH(Comparative Genomic Hybridization)法を行うことができる。WGA−4500は、22種類の常染色体とX、Y性染色体の全染色体を網羅する4523個のBACクローンを搭載した、平均解像度が約0.7Mbの全ゲノムアレイである。これはヒト染色体ユークロマチン領域の約1/3に及んでいる。WGA−4500を用いる場合、10q24.31-10q25.1の領域の一部を含むプローブ核酸の吸着量比の底が2の対数比が−0.3以下である場合を、本発明にかかわるヘミ接合体欠失の検出として認めることが通常であるが、この基準に限定されるものではない。
この基準を適用する場合、より具体的には、RP11-551E2、RP11-416N2、RP11-18I14、RP11-30H12、RP11-16H23、RP11-80B2、RP11-99N20、RP11-541N10、RP11-302K17、RP11-89G15、RP11-68M5、RP11-21N23、RP11-105N15、RP11-302K17、RP11-551E2、RP11-416N2、RP11-18I14、RP11-30H12、RP11-107I14、RP11-108L7、RP-11-91A6、RP11-37L21、(いずれもBAC DNA)が、−0.3以下である場合に、ヘミ接合体欠失の検出として認められる。
(3)アレイの他の態様
また、アレイに搭載するプローブ核酸を、上記のヘミ接合体欠失のパターンに合わせて絞り込むことで減少させた、DNA-アレイを用いることもできる。ただし、当該DNAアレイには少なくとも10q24.31-10q25.1の領域の一部を含むプローブ核酸を有していることが必要である。例えば、プローブ核酸としてBAC DNAを用いる場合、少なくとも、上記の22種のBAC DNA群から選択される1種以上のBAC DNAが固定化されていることが好適である。また、同時に、10q24.31-10q25.1領域以外に該当するBAC DNAが1種以上固定化されていることがより好適である。
(4)標的核酸の無尽蔵化
DNAアレイの作成において、通常に得られるBAC DNA等は、ゲノムDNA定着基板を多数製造して実用化するには少量であるので、当該DNAを遺伝子増幅産物として得ることが好適である(この遺伝子増幅工程を「無尽蔵化」ともいう)。無尽蔵化においては、まずBAC DNA等を、4塩基認識酵素、例えば、RsaI、DpnI、HaeIII等で消化した後、アダプターを加えてライゲーションを行う。アダプターは10〜30塩基、好適には15〜25塩基からなるオリゴヌクレオチドで、2本鎖は相補的配列を有し、アニーリング後、平滑末端を形成する側の3’−末端のオリゴヌクレオチドをリン酸化する必要がある。次に、アダプターの一方のオリゴヌクレオチドと同一配列を有するプライマーを用いて、PCR法により増幅し、無尽蔵化することができる。一方、各BAC DNA等に特徴的な50〜70塩基のアミノ化オリゴヌクレオチドを検出用プローブとして用いることもできる。
上記の無尽蔵化したDNAを基板上にスポットする濃度は、好ましくは10pg/μl〜5μg/μl、より好ましくは1ng/μl〜200ng/μlである。スポットする量は好ましくは1nl〜1μl、より好ましくは10nl〜100nlである。また、基板に定着させる個々のスポットの大きさ及び形状は、特に限定されないが、例えば、大きさは直径0.01〜1mmであり得、上面から見た形状は円形〜楕円形であり得る。乾燥スポットの厚みは、特に制限はないが、1〜100μmである。さらに、スポットの個数は、特に制限はないが、使用する基板あたり10〜50000個、より好ましくは100〜5000個である。それぞれのDNAはSingularからQuadruplicateの範囲でスポットするが、DuplicateあるいはTriplicateにスポットすることが好ましい。
乾燥スポットは、例えば、スポッターを用いて無尽蔵化したBAC DNA等を基板上にたらして、複数のスポットを形成した後、スポットを乾燥することにより製造することができる。スポッターとしてインクジェット式プリンター、ピンアレイ式プリンター、バブルジェット(登録商標)式プリンターが使用できるが、インクジェット式プリンターを使用することが望ましい。例えば、GENESHOT(登録商標)(日本ガイシ株式会社、名古屋)等を使用できる。
このようにして無尽蔵化したBAC DNA等を基板上、好適には固体基板上に定着させることにより、所望するDNA定着基板を製造することができる。
(5)ハイブリダイゼーションの態様
(a)二色蛍光法
DNAアレイと標識核酸を用いるハイブリダイゼーション法[CGH(Comparative Genomic Hybridization)法]では、例えば、二色蛍光法を用いて行うことができる。
二色蛍光法とは、例えば1枚のDNAアレイもしくは1つのハイブリダイゼーション領域に対して、2種類の異なった試料由来の標識標的核酸を用いる方法である。ここで、標識標的核酸に結合させている標識化合物はそれぞれ異なっている。正常検体由来の標的核酸を標識した標識標的核酸を調製し、患者検体由来の標的核酸にて標識した標識標的核酸を調製し、この両方を混合後、1枚のCGHアレイ上のプローブ核酸とハイブリダイゼーションを行うことで、吸着量比を算出する。例えば、蛍光標識がなされている場合には、その蛍光値の強度比から吸着量比を算出する。
(b)標識
本発明において「標識」とは、検出可能な物質を標的核酸に対して結合させる行為であり、検出可能であれば、いかなるものも本発明にかかわる標的核酸に組み込むことができる。例えば、蛍光物質、無機化合物、タンパク質(ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)などで使用される酵素標識抗体など)、放射性同位元素、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)などを選択ことができる。
標識として用いられる蛍光物質は、特に限定されないが、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Cy3, Cy5, Cy7、緑色蛍光タンパク質(GFP, Green Fluorescent Protein)、青色蛍光タンパク(BFP, Blue Fluorescent Protein)、黄色蛍光タンパク(YFP, Yellow Fluorescent Protein)、赤色蛍光タンパク(RFP, Red Fluorescent Protein)、Alexa、Acridine、DAPI、Ethidium bromide、SYBR Green、Texas Red、希土類蛍光ラベル剤 [4,4'-bis(1",1",1",2",2",3",3"-heptafluoro-4",6"-hexanedion-6"-yl)-chlorosulfo-o-terphenyl(BHHCT)]、アクリジンオレンジ、TAMRA、ROXなどを用いることができる。
標識として用いられる無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、半導体無機材料でできた量子ドットを挙げることができる。その例としては、シリカ、CdTe、ZnSe、CdSeのナノ微粒子を挙げることができる。この微粒子は、その粒径を変えることで、発する蛍光波長を変化させることが可能であり、直径2nmでは青色、直径3nmでは緑色、4nmでは黄色、5nmでは赤色となる。この様に、蛍光を検出することも可能であり、その粒子の存在を検出することもできる。例えば、粒子の存在を検出する手段として、AFM(原子間力顕微鏡)を用いることができる。
標識としては、さらに、ジゴキシゲニン(Digoxigenin:DIG)、ビオチン等も利用することができる。ビオチンを用いる例としては、例えば、標的核酸に結合させたビオチンに、アビジンを結合させ、ここにビオチンを結合させたアルカリ性ホスファターゼを結合させ、アルカリ性ホスファターゼの基質であるニトロブルーテトラゾリウムと5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸を加えることによる紫色の発色の利用が挙げられる。
さらに、非酵素的な標識も行うことができる。例えば、ULSTM array CGH Labeling Kit(Kreatech Biotechnology BV社)等も用いることができる。
(c)標的核酸の精製
本発明において、標的核酸を検体から調製する際には、精製を行う必要がある。この場合には、後述する標識の際に、様々な副反応が生じると共に、タンパクや脂質など細胞溶解物がバックグラウンドノイズに大きな影響を与え、精製を行わなければ、核酸マイクロアレイ等を用いるハイブリダイゼーション試験の性能を著しく低下させる。
「精製」とは、抽出、分離、分取と同義語の意味で使用している。また、そのための手段として、シリカやセルロース誘導体などの核酸吸着性膜を担持したカートリッジを用いた方法、エタノール沈殿やイソプロパノール沈殿、フェノール−クロロホルム抽出、イオン交換樹脂やオクタデシル基などの疎水性置換基を結合したシリカ担体やサイズ排除効果を示す樹脂を使用した固相抽出カートリッジ、クロマトグラフィーなどによる方法を含むことができる。さらに、電気泳動法による精製も含めることができる。また、本発明では、溶媒置換も広い意味で精製と呼んでいる。
本発明では、標的細胞から標的核酸を調製する場合、2回の精製工程を行うこともできる。本発明では、標的細胞からの精製工程、すなわち、1回目の精製工程として、シリカやセルロース誘導体などの核酸吸着性膜を担持したカートリッジを用いた方法、エタノール沈殿やイソプロパノール沈殿、フェノール−クロロホルム抽出などを用いることができる。この中で、トリ酢酸セルロースをケン化して調製した核酸吸着性多孔質膜をカートリッジに保持させたQuickGeneシリーズ(富士フイルム株式会社)による精製が好ましい。QuickGeneシリーズを使用することで、低価格の機械を用いて、半自動的に標的核酸を調製することができるからである。
さらに、もう一段の精製工程を行うこともできる。すなわち、調製した標的核酸の濃度や純度向上のための精製である。例えば、フェノール−クロロホルム抽出法や種々の沈殿法を用いた場合、その精製度は一般的にカラム法と比較して悪く、以降の工程に悪影響を及ぼしてしまう。2回目の精製法として、シリカなどの核酸吸着性膜を担持したカートリッジを用いた方法、エタノール沈殿やイソプロパノール沈殿、イオン交換樹脂やオクタデシル基などの疎水性置換基を結合したシリカ担体やサイズ排除効果を示す樹脂を使用した固相抽出カートリッジ、クロマトグラフィーなどによる方法を用いることができるが、この中で最も好適なのが、QuickGene SP kit(富士フイルム株式会社)による精製法である。
QucikGene SP kitの核酸吸着性多孔質膜は、シリカ系核酸吸着性多孔質膜と比較して非常に薄く、少量での核酸抽出に適しており、他の方法と比較して非常に高濃度の標的核酸を得ることができる。また、少量液量での精製が可能なエタノール沈殿法やイソプロパノール沈殿法と比較して、より高純度の標的核酸を得ることが可能であり、少量かつ高濃度の標的核酸を得るのに適した方法である。
[その他の検出態様]
(1)染色体検査
原因不明の精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の疾患に関してヒトゲノムの特定領域の異常が明確になれば、特に、10Mb程度の欠失を伴い10q24.31-10q25.1領域が、ヘミ接合体欠失している場合には、G分染法等の染色体検査により検出することが可能である。本発明の該当領域の染色状態の違い(10q24.31-10q25.1領域を含む染色体バンドの消失の有無)を観察することで検出することができる。
(2)FISH法による検出
数Mb以下の微細なゲノム異常であればFISH法[蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH: Fluorescence in situ hybridization):Yasui,K., Imoto,I., Fukuda,Y., Pimkhaokham,A., Yang,Z.Q., Naruto,T., Shimada,Y., Nakamura,Y., and Inazawa,J: Identification of target genes within an amplicon at 14q12-q13 in esophageal squamous cell carcinoma. Genes Chromosomes Cancer, 32, 112-118, 2001]、等により、核酸のハイブリダイゼーションによるシグナルを基に検出することが可能となる。この場合、10q24.31-10q25.1領域のFISHプローブを作成し、患者由来の染色体とハイブリダイゼーションを行い、シグナル数の減少を観察することで、ヘミ接合体欠失を検出することが可能である。
(3)サザンブロット法
サザンブロット法を用いる場合、検体から得られるゲノムDNAを制限酵素消化し、それをゲル電気泳動後、ニトロセルロース膜上に固定し、これと、標識した10q24.32-q25.1領域のDNAとハイブリダイゼーションを行い検出することにより、検体中の当該遺伝子の存在を検出する方法である。ヘミ接合体欠失の場合、正常由来の検体から得られる検出量(バンドの濃さ)に対し、患者由来の検体から得られる検出量が少ないことと共に、異なるバンドの出現が認められることにより、判定することができる。
(4)ノーザンブロット法
ノーザンブロット法は、検体から得られる全RNAを電気泳動に供し、サザンブロッティング法と同様の操作で膜上に固定し、これと、標識した10q24.32-q25.1領域のDNAとハイブリダイゼーションを行い検出することにより、検体中の当該遺伝子の存在を検出する方法である。正常由来の検体から得られる検出量(バンドの濃さ)に対し、患者由来の検体から得られる検出量が少ない場合、10q24.32-q25.1領域のヘミ接合体欠失として判定することができる場合がある。
(5)リアルタイムRT−PCR法
リアルタイムRT−PCR法は、検体DNAの10q24.32-q25.1領域の転写産物に対応するプライマーを少なくとも1種類準備し逆転写反応を行い、次に、遺伝子の増幅工程を行い、当該増幅産物の生成の有無や生成量から検出する方法である。正常由来DNAの増幅産物量に対し、患者由来DNAからの増幅産物量が少ないことで、ヘミ接合体欠失として判定できる場合がある。
本発明に関する遺伝子異常の同定に至るまでのスキームを図1に示す。また、当該同定のさらに具体的な内容は、実施例として開示する。
以下、本発明について、実施例により、さらに具体的に説明する。
(A)MCG Whole Genome Array-4500
上述したように、本発明の検出方法を行うに際して、ヒト染色体の10q24.31-10q25.1の領域のヘミ接合体欠失が、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群に関連していることを見出すために用いた検出手段は、MCG Whole Genome Array-4500である。この検出基板については公知(非特許文献1)であるが、念のために、ここにその製造過程を簡単に説明する。
The National Center for Biotechnology Information (NCBI)及びUniversity of California, Santa Cruz のゲノムデータベースウエブサイト並びに選択されたDNAのBLAST検索の結果から、ヒトゲノムのユークロマチン領域に存在する4523種類のBAC/PACクローンを選択した。
選択したBAC DNA及びPAC DNAを調製した後、その各々をDpnI、RsaI、HaeIIIで消化し、その後アダプター合成オリゴヌクレオチドとのライゲーションを行った。次に、アダプターの配列を有するプライマーを用いてPCRを2回行った。このプロセスを無尽蔵化といい、得られたDNAを無尽蔵化DNAと定義する。無尽蔵化DNAをインクジェットタイプのスポッター(GENESHOT(登録商標)、日本ガイシ株式会社、名古屋)を使用してDuplicateでアレイ上にスポットして、所望の高密度CGHアレイを作製した(MCG Whole Genome Array-4500)。
(B)ヒト染色体における該当領域の特定
(1)精神遅滞を伴う多発性奇形症候群患者2名の臨床像
本実施例において、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群に対応するヒト染色体の領域を特定するための検体提供者2名[精神遅滞を伴う新規先天性異常症患児2名(ケース1と2)]の臨床像について、可能な範囲で開示する。
ケース1(男児)は、出生時の体重2830gで、出産時の仮死はなく、4歳0ヶ月での診断結果は重度精神遅滞、大頭症(+2SD)、外斜視、顔貌異常であった。詳細は頭頚部・顔面では頭蓋で軽度の巨大頭蓋、前頭突出があり、眼球で重度の内斜視があり、鼻では前向き鼻孔及び鞍鼻があった。成長発達・神経症状では重度の精神発達遅滞が見られ、首のすわり(定頚)は5ヶ月、定坐は24ヶ月、独歩と発語はなく、神経症状としての痙攣発作は認められていない。自閉傾向は重度で、筋緊張は低下している。
ケース2(男児)は、出生時の体重2458gで、Atrial septal defect(心房中隔欠損)、VSD(Ventricular septal defect:心室中隔欠損)及びPDA(Patent ductus arteriosus:動脈管開存症)の心臓血管外科領域の疾患を認めた。3歳8ヶ月での診断結果は、口唇口蓋裂、難聴(100dB)、小眼球症、短い指、特異的顔貌(濃い眉毛、幅広い鼻根、内眼角贅皮、幅広い鼻)、第5指単一屈曲線、反張姿勢が特徴であった。詳細には頭頚部・顔面では眼域での両眼隔離、内眼角贅皮、及び右目の小眼球があり、鼻では扁平な鼻背、前向き鼻孔、及び、軽微の鞍鼻が認められた。口域では口唇口蓋裂があり、躯幹では外陰部で停留睾丸があり、四肢では手指で小指短小・内彎が認められた。成長発達・神経症状では重度の精神発達遅滞が見られ〔発達指数(DQ)が20〜30〕、定坐はできなかった。神経症状としての痙攣発作は認められない。筋緊張は低下していた。
(2)DNAアレイを用いた解析[実施例1]
(a)Genome Disorder Arrayでの解析結果
Genome Disorder Arrayは、ヒトゲノムDNAが、先天性異常症疾患で欠失または増幅する領域のゲノムDNA(BACクローン)が定着している基板である。
Genome Disorder Arrayを用いた解析ではWilliams syndrome、Smith-Magenis syndrome、Down syndrome、Langer-Giedion syndrome、Wolf-Hirschhorn syndrome、Miller-Dieker syndrome、Prader Willi and Angelman syndrome、WAGR症候群、Cri du Chat syndrome、Pallister-Killian syndrome、Rubinstein-Taybi syndrome、Tricho-rhino-phalangeal syndrome、Potoki-Shaffer syndrome、Neurofibromatosis I syndrome、Sotos syndrome、Craniosynostosis syndrome、Kallmann type2 syndrome、Kallmann type1 syndrome、Van der Woude syndrome、ZFHX1 B deletion syndrome、Blepharoph imosis and epicanthus syndrome、1p36症候群、Cat eye syndrome、Alagille syndrome、Diamond-Blackfan syndrome、Adrenal hypoplasia congenita syndrome、Steroid sulfatase syndrome、Digeorge syndrome、Russell-Silver syndrome、Duchenne Muscular Dystrophy、Pelizaeus Merzbacher Disease、及びサブテロメア異常疾患を検出することが可能である。
ケース1及び2の精神遅滞を伴う新規多発性奇形症群患児2名からDNAを抽出し、Genome Disorder Arrayを用いたアレイCGH法での解析を常法に従い行ったが、その限りでは、ゲノム構造異常は検出されなかった。
(b)MCG Whole Genome Array-4500を用いた解析
再び、ケース1及び2の患者の血液からDNAを調製し、上記の要領にて製造される、MCG Whole Genome Array-4500を用いたアレイCGH法によるゲノム構造異常に関する解析を、下記の要領にて行なった。
ケース1及び2の精神遅滞を伴う新規多発性奇形症候群患児2名に由来するDNAをBioPrime DNA labeling System (米国Invitrogen社)を用いてCy3-標識し、健常者由来のDNAをCy5-標識した。両DNAを各々50μl、それにCot-1 DNA (米国Invitrogen社)を250μl、3M NaOAc (米国Sigma社)を35μl、100%エタノールを875μl加え、−80℃で10分間冷やし、4℃で15000rpmの遠心分離を30分間行なった。
一方、MCG Whole Genome Array-4500を沸騰した滅菌水中に2分間入れ、その後、70%、85%、100%の冷エタノールに2分間ずつ浸して脱水し、乾燥させ、42℃に保温した。ハイブリマスターHS-300(アロカ株式会社、東京)に上記処理を行なったMCG Whole Genome Array-4500をセットし、プレハイブリダイゼーション液(MM40μl、yeast tRNA6μl、20%SDS12μl)を滴下し、10分間42℃でプレハイブリダイゼーションを行なった。その後、上記DNAを溶解したハイブリダイゼーション液(MM80μl 、yeast tRNA12μl 、20%SDS24μl)を滴下し、42℃で48〜72時間のハイブリダイゼーションを行なった。MMとはMaster Mixの意味で、ホルムアミド5ml、硫酸デキストラン1g、20×SSC 1mlを混合し、蒸留水を加えて7mlにメスアップして十分に溶解した溶液である。
その後、アレイの洗浄は50℃に保温した2×SSCを用いて1分間、さらに同条件で10分間、50℃に保温した50%ホルムアミド/2×SSC(pH7.0)を用いて10分間、42℃に保温した1×SSCを用いて10分間行なった。その後、十分に乾燥させ、GenePix4000B(米国Amersham Biosciences社)を用いてマイクロアレイを532nmレーザー光によりCy3蛍光を、635nmレーザー光によりCy5蛍光をスキャンした。Cy3蛍光とCy5蛍光はエネルギーが大きく異なるために全スポットから得られる値をCy3とCy5で同じ値になるように補正し、次に、各スポットでのCy3/Cy5の値(ratio)を求めた。これをLog変換しLog(ratio)を求め、その値を縦軸に、横軸にはヒト10番染色体(Chromosome10)の位置をMb単位の値で表示した(図2:縦軸はLog(ratio)の値を、横軸は10番染色体の短腕の先端から長腕の末端に至るまでの約144Mbの中の位置を表示した)。なお、図2は、図2A(ケース1に関する)と図2B(ケース2に関する)で構成されている。
その結果、ケース1の患者では10番染色体の10q24.32-q25.1に2.1Mbのヘミ接合体欠失が検出され、ケース2の患者では10q24.31-q25.1領域に最小で3.2Mbのヘミ接合体欠失が検出された。これらの欠失領域に認められたBAC DNAは前者ではRP11-551E2、RP11-416N2、RP11-18I14、RP11-30H12、RP11-16H23、RP11-80B2、RP11-99N20、RP11-541N10、RP11-302K17、RP11-89G15、RP11-68M5であり、後者ではRP11-107I14、RP11-108L7、RP11-91A6、RP11-37L21、RP11-68M5、RP11-21N23、RP11-551E2、RP11-416N2、RP11-18I14、RP11-30H12、RP11-16H23、RP11-80B2、RP11-541N10、RP11-302K17、RP11-89G15、RP11-68M5、RP11-105N15、RP11-302K17、RP11-551E2、RP11-416N2、RP11-18I14、RP11-30H12であった。ケース1とケース2を比較すると、RP11-551E2、RP11-416N2、RP11-18I14、RP11-30H12、RP11-16H23、RP11-80B2、RP11-541N10、RP11-302K17、RP11-89G15、RP11-21N23、RP11-99N20のBAC DNAは両者で共通の領域に存在する。図3に、ケース1と2で見いだされたヘミ接合体欠失領域のマップを示した。
上記の実施例1により、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群は、10q24.32-q25.1におけるヘミ接合体欠失により判別可能であることが明らかになった。また、少なくとも、MCG Whole Genome Array-4500を用いて検出を行うことにより、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の判別が可能であることが明らかになった。
これらの結果により、10q24.32-q25.1におけるヘミ接合体欠失を検出可能な手段を講ずることによって、本発明の検出方法を行うことが可能であることが確かなものとなった。これは、例えば、DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT−PCR法、FISH法、又は、CGH法等の、既知の遺伝子の解析方法において、当該遺伝子欠失変異を検出ターゲットとした常法に従い、10q24.32-q25.1におけるヘミ接合体欠失を検出して、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の判別を行うことが可能であることを意味するものである。
以下に、MCG Whole Genome Array-4500以外の遺伝子検出基板を用いたCGH法による解析(実施例2)と、FISH法による解析(実施例3)を例示するが、これらの手法により本発明の範囲が限定されるものではない。すなわち、本発明は、検出感度が上記遺伝子欠失変異を特定することが可能な限り、例えば、検体の遺伝子と10q24.32-q25.1に相当する核酸(オリゴヌクレオチド、cDNA、BAC DNA、PAC DNA、又は、YAC DNA等)とのハイブリダイゼーションによるシグナルの検出手法(DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT−PCR法、FISH法、又は、CGH法等)、あるいは、G分染法等の染色体検査等のハイブリダイゼーション以外の現象を検出原理とする手法により、広く行うことが可能である。
[実施例2] Agilent 244Kオリゴアレイ(米国Agilent社)での解析
ケース1及びケース2の患者から調製したDNA(各々0.2μg)を用いて、アジレント社のオリゴaCGHマイクロアレイ244KタイプによるCGH法での解析を行った。244Kタイプのアレイはヒトゲノムの236000以上のコード領域および非コード領域をカバーしており、ヒトゲノムの網羅的解析が可能である。プローブの平均分解能は6.4Kbである。解析の概要は次の通りでAgilent社のプロトコルに従って行った。
ケース1及びケース2の患者及び健常者に由来するDNA各々2.0μgを、各々2種類の制限酵素(AluIとRsaI)で消化し、Exo-Klenow fragmentを用いたニックトランスレーション法により、健常者由来のDNAは蛍光色素Cy5を用いて、患者に由来するDNAは蛍光色素Cy3を用いて標識した。標識したDNAは、Microcon YM-30 filter unit(ミリポア社)を用いて精製した。
Cy3及びCy5で標識したDNAを158μl 、1.0mg/ml Human Cot1 DNAを50μl 、10×Blocking Agent 52μl 、2×Hybridization buffer 260μlを95℃に加熱後、37℃まで冷却した。この溶液490μlをAgilent 244Kオリゴヌクレオチドアレイを固定したガスケットスライド上にのせて、金具で固定して65℃で40時間ハイブリダイゼーションを行った。アレイのWashingは、室温のBuffer 1液中で5分間、さらに37℃に保ったBuffer 2液中で攪拌しながら1分間行った。本アレイを十分に乾燥させ、GenePix4000B(米国Amersham Biosciences社)を用いて、マイクロアレイを532nmレーザー光によりCy3蛍光を、635nmレーザー光によりCy5蛍光を、スキャンした。Cy3蛍光とCy5蛍光はエネルギーが大きく異なるために全スポットから得られる値をCy3とCy5で同じ値になるように補正し、次に、各スポットでのCy3/Cy5の値(Ratio)及びLog(ratio)を求めた。その結果を図4に示すが、縦軸は「- Log(ratio)」の値を横軸はケース1では10番染色体の102.3Mb(Mb:メガベースの略称;詳細には102,368,279base)から106.9Mb(詳細には106,961,455base)までの4.59Mb(詳細には4,593,176base)の染色体の位置を示した。ケース2では横軸が10番染色体の98.6Mb(詳細には98,668,221base)から110Mb(詳細には110,576,455base)までの11.9Mb(詳細には11,908,234base)の染色体の位置を示した。また、図4の左端には10番染色体短腕と長腕の図とAgilent244Kオリゴアレイで解析した10番染色体全体のCGH解析の図を示した。グレイの線及び点線はその右隣に記載した遺伝子の10番染色体上の位置を示している。なお、図4は、図4A(ケース1に関する)と図4B(ケース2に関する)で構成されている。
得られた結果は実施例1(b)の結果と同様であり、欠失サイズを詳細に評価し得た。ケース1の患者では10番染色体の10q24.32-q25.1にヘミ接合体欠失が検出され、欠失のサイズは2.1Mbであった。ケース2の患者では10q24.31-q25.1領域にヘミ接合体欠失が検出され、欠失のサイズは3.3Mbであった。図5に、ケース1と2で見いだされたヘミ接合体欠失領域のマップを示した。
[実施例3] FISH法による解析
精神遅滞を伴う多発性奇形症候群患者染色体中に10q24.31-10q25.1領域のヘミ接合体欠失があることを、FISH法を用いて確認した。まず、本患者2名の血液よりリンパ球を調製し、メタフェーズ染色体を作製した。即ち、ヒトリンパ球を12.5μg/mlのPhytohemagglutininと共に3日間培養し、さらに、0.025μg/mlのコルセミドを添加し数時間培養した後、上清を除き、0.075M KCl低張液を加え、30分間静置した。続いて、上清を除いた後、カルノア液で固定を行い、スライドガラス上に染色体を展開しメタフェーズ染色体を作製した。
ヘミ接合体欠失領域(10q24.33)に含まれるBAC DNA(RP11-416N2)を、ニックトランスレーションキットを用いて16℃でovernight反応し、 Digoxigenin-11-dUTPを取り込ませた。同様に、コントロールとして患者染色体中で欠失していない10q21.2領域に含まれるBAC DNA(RP11-357A18)を同様に反応させ、Biotin-16-dUTPを取り込ませた。次に、両標識BAC DNAを75℃、10分間加温し、氷冷後、メタフェーズ染色体上でハイブリダイゼーションを37℃、overnight行った。 ハイブリダイゼーションをしなかったフリーの標識BAC DNAの洗浄は50%ホルムアミド/2xSSC(pH7.0)を用いて37℃で15分、続いて2xSSCを用いて室温で15分間、さらに、1xSSCを用いて室温で15分間行った。次に、蛍光標識を行うために、0.02mg/ml Avidin-FITC及び1.2μg/ml Anti-Digoxigenin-rhodamineを加えてメタフェーズ染色体上で、37℃で1時間反応させた。次に、4xSSCを用いて室温で10分間、さらに0.05% Triton-X-100を含む4xSSCを用いて室温で10分間、4xSSCを用いて室温で10分間洗浄を行った。メタフェーズスライドは遠心分離により乾燥させた後、125ng/ml 4’,6-Diamino-2-phenylindol (DAPI)を1滴たらし、カバーグラスを載せ、顕微鏡観察を行い、顕微鏡写真を撮影した。その結果、コントロールのRP11-357A18のBAC DNAは2例共10番染色体長腕の二本の染色体を緑色蛍光で染色したが、欠失領域の10q24.33に含まれるRP11-416N2のBAC DNAは10番染色体長腕の一本の染色体だけを赤色蛍光で染色した(図6)。これはケース1及び2の患者で10q24.33の領域がヘミ接合体欠失していることを示している。
精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の2例について染色体の同じ領域(10q24-10q25)のヘミ接合体欠失が原因である事を見いだした。その結果、染色体の10q24-10q25領域の異常の有無を検査する事により精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の疾患を確定診断することが可能となる。
精神遅滞を伴う多発性奇形症候群のゲノム異常を同定するスキームを例示した図面である。 本実施例のケース1(Case 1)の場合のMCG Whole Genome Array-4500を用いたアレイCGH解析での蛍光強度比を指標とした結果を示した写真である。 本実施例のケース2(Case 2)の場合のMCG Whole Genome Array-4500を用いたアレイCGH解析での蛍光強度比を指標とした結果を示した写真である。 本実施例のMCG Whole Genome Array-4500を用いた解析結果のゲノム異常領域のマッピングを示した写真である。 本実施例のケース1(Case 1)の場合のAgilent244Kオリゴアレイを用いた解析での蛍光強度比を指標とした結果を示した写真である。 本実施例のケース2(Case 2)の場合のAgilent244Kオリゴアレイを用いた解析での蛍光強度比を指標とした結果を示した写真である。 本実施例のAgilent244Kオリゴアレイでの解析結果のゲノム異常領域のマッピングを示した写真である。 本実施例の正常ヒトリンパ球の染色体標本を用いた蛍光in situハイブリダイゼーション法を用いて染色体の欠失を解析した結果を示す写真である。

Claims (6)

  1. ヒト染色体の10q24.33領域のヘミ接合体欠失を検出することにより、精神遅滞を伴う多発性奇形症候群の判別を補助する、染色体欠失の検出方法。
  2. ヒト染色体の10q24.33領域のヘミ接合体欠失の検出が、当該10q24.33領域の一部を含む核酸と検体核酸とのハイブリダイゼーションにより、当該10q24.33領域のヘミ接合体欠失に基づいて発生するシグナルを検出することにより行われる、請求項1に記載の染色体欠失の検出方法。
  3. ヒト染色体の10q24.33領域の一部を含む核酸と検体核酸とのハイブリダイゼーションが、当該10q24.33の領域の一部を含む核酸が定着した基板において行われる、請求項2に記載の染色体欠失の検出方法。
  4. ヒト染色体の10q24.33の領域の一部を含む核酸が、オリゴヌクレオチド、cDNA、BAC DNA、PAC DNA、又は、YAC DNAである、請求項2又は3に記載の染色体欠失の検出方法。
  5. ヒト染色体の10q24.33の領域の一部を含む核酸が、BAC DNAであるRP11−416N2である、請求項4に記載の染色体欠失の検出方法。
  6. ヒト染色体の10q24.33の領域の一部又は全部を含む核酸を検出する手段が、DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT−PCR法、FISH法、又は、CGH法を用いて検出する、請求項1〜5のいずれかに記載の染色体欠失の検出方法。
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