JP2005304481A - ゲノムdnaの定着基盤と当該基盤を用いた染色体異常並びにそれに起因する疾患の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】先天性異常症疾患(筋ジストロフィー、中枢神経系疾患、自閉症、癲癇、精神発達遅滞を含む)や家族性腫瘍等の染色体の欠失或いは増幅に起因する疾患等の検出を行う手段を提供すること。
【解決手段】BAC DNA、YAC DNA、または、PAC DNAの、複数種類の遺伝子増幅産物として得たヒトゲノムDNAの一部または全部が、当該遺伝子増幅産物毎に定着している、ゲノムDNAの定着基盤を提供し、当該基盤を用いることにより、上記の先天性異常症疾患や家族性腫瘍等の染色体異常に起因する疾患を検出可能であることを見いだした。
【選択図】 なし

Description

本発明は、先天性異常症、家族性腫瘍、筋ジストロフィー、中枢神経疾患、自閉症、癲癇、精神発達遅滞等の染色体の欠失或いは増幅に起因する疾患の検出等を行うことができる、ゲノムDNAの定着基盤[Comparative Genomic Hybridization(CGH)アレイ]、および、当該基盤を用いたこれらの染色体異常に起因する疾患の検出方法に関する発明である。
先天性異常症候群の患者に染色体DNAの特定領域が欠失している場合が多く観察される。現在、ほとんどの先天性異常症候群で大まかではあるが、その欠失領域が明らかにされている。一方、先天性異常症候群で染色体DNAの特定領域が増幅している例がある。例えば、Down syndrome では21番染色体がトリソミーであり、Pallister-Killian syndromeでは12番染色体短腕がテトラソミーである。また、進行性筋ジストロフィーはX染色体短腕(p21.2)の欠失が原因であり、髄鞘形成不全疾患はX染色体長腕(q22)の増幅が原因となっている。さらに、家族性腫瘍の場合には点突然変異が多いが、染色体DNAの特定領域(特に癌抑制遺伝子を含む領域)が欠失、あるいは癌遺伝子を含む領域等が増幅しているケースも多く見られる。また、染色体のサブテロメア領域の欠失に起因する疾患も多数見い出されている。
従って、染色体の特定領域のHomozygous或いはHeterozygousな欠失、並びに増幅を簡便に確実に検査する手法は、先天性異常症、家族性腫瘍、さらにゲノムDNAの欠失・増幅に起因する染色体異常による疾患の診断を行うために極めて有用である。
しかしながら、現状では先天性異常症、家族性腫瘍をゲノムの変化で診断することは困難である。例えば、カリオタイピングやFISH(Fluorescence in situ hybridization)法は遺伝子の転座解析には適切であるが、ゲノムの特定領域の欠失や増幅の診断は困難である。また、分子遺伝学的手法は特定遺伝子の一部の欠失、増幅、変異の解析に特徴を持ち、ゲノムの広範囲な領域の欠失、増幅の判定は困難である。
一方、Molecular Cytogenetic AnalysisのためのCGH(Comparative Genomic Hybridization)により解析する手法が報告されている(A. Kallioniemi, O-P. Kallioniemi, D. Sudar, D. Rutovitz, J.W.Gray, F. Waldman, D. Pinkel: Comparative Genomic Hybridization for Molecular Cytogenetic Analysis of Solid Tumors, Science 258, 818-821, 1992)。これは正常ヒトリンパ球のメタフェーズ細胞より調製した染色体を固定し、健常者並びに先天性異常症の患者から抽出したゲノムを各々赤色蛍光(例えばCy5)並びに緑色蛍光(例えばCy3)で標識した後、一定温度でハイブリダイズすることにより、先天性異常症が疑われる患者で欠失している領域を染色体上で同定する手法である。しかし、この方法では、欠失・増幅の領域が顕微鏡上で観察される染色体上の領域を特定するので、観察対象がマクロ的すぎて、必ずしも適切な診断が行えるとは言えない。
さらに、Bacterial Artificial Chromosome (BAC) DNAをアレイ上にプリントし、Comparative Genomic Hybridizationを行い、染色体の特定領域について欠失並びに増幅を検出する系は報告されているが、しかしこれまで先天性異常症、家族性腫瘍を確定診断できたという報告はない。それは、先天性異常症、家族性腫瘍で欠失並びに増幅されている複数種のBAC DNAを同定し、それらを系統的にプリントしたアレイの作成がこれまでできなかったことがその理由としてあげられる。さらに、先天性異常症ではHeterozygousに染色体の特定の領域を欠失している場合が多く、この場合には検出法の観点から明確な診断ができにくい。
本発明は、先天性異常症疾患(筋ジストロフィー、中枢神経系疾患を含む)、家族性腫瘍、筋ジストロフィー、中枢神経疾患、自閉症、癲癇、精神発達遅滞等の染色体の欠失或いは増幅に起因する疾患等の検出を行う手段を提供することを課題とする発明である。
本発明者は、上記の課題を解決するために、先天性異常症疾患(筋ジストロフィー、中枢神経系疾患を含む)や、家族性腫瘍で欠失・増幅しているゲノム領域を有するBAC DNA(YAC DNA、または、PAC DNAでも可能である)を同定し、各先天性異常症疾患に関連する複数種のBAC DNAの増幅産物を定着させた高品質のゲノム定着基盤を発明した。そして、このゲノム定着基盤に定着させるゲノムDNAの種類を種々選択し、健常者と患者に由来するゲノムDNAを異なった蛍光色素で標識し、当該定着ゲノムDNAとハイブリダイゼーションすることにより(Comparative Genomic Hybridization(CGH)という)、容易に各先天性異常症疾患を検出可能であることを見いだした。
すなわち、本発明は、BAC DNA、YAC DNA、または、PAC DNAの、複数種類の遺伝子増幅産物として得たヒトゲノムDNAの一部または全部が、当該遺伝子増幅産物毎に定着している、ゲノムDNAの定着基盤(以下、本定着基盤ともいう)を提供する発明である。
(1)本定着基盤
本定着基盤に定着させるヒトゲノムDNAは、検出する先天性異常疾患等に応じて選択をすることが可能である。ゲノムDNAの採取は、常法により行うことも可能であり、市販品を用いることも可能である。本定着基盤は、これらのゲノムDNA領域を有するBAC (Bacterial Artificial Chromosome )DNA、YAC(Yeast Artificial Chromosome)DNA、または、PAC (Phage Artificial Chromosome )DNAから得られる複数種類の遺伝子増幅産物が、当該遺伝子増幅産物毎に定着している基盤である。
各種の先天性異常症疾患で欠失しているゲノムの領域は数Mbに渡り巨大である場合が多く、また、まれにゲノムの特定領域が増幅している場合も知られている。さらに、家族性腫瘍の場合には、癌抑制遺伝子等については欠失、癌遺伝子等に関しては増幅しているケースが知られている。このように、本定着基盤においては、一単位として巨大な遺伝子が反映されているゲノムDNAを定着する必要があり、かかる必要性を満足することができる程度に、許容される遺伝子の組み込み容量が大きな、BAC DNA、YAC DNA、または、PAC DNA(以下、BAC DNA等ともいう)を用いる必要がある。本発明に用いることができるBAC DNA等は、常法により、用いるゲノムを組み込んで得られる遺伝子ライブラリーから選択してもよいし、市販されている遺伝子ライブラリーから選択してもよい。各目的に応じて選択されるべきBAC DNAについては後述する。選択されたクローンが組み込まれた宿主を培養し、BAC DNA等の精製を行うことができる。
このように通常に得られるBAC DNA等は、本定着基盤を多数製造して実用化するには少量であるので、当該DNAを遺伝子増幅産物として得る必要がある(この遺伝子増幅行程を「無尽蔵化」ともいう)。無尽蔵化においては、まずBAC DNA等を、4塩基認識酵素、例えば、RsaI、DpnI、HaeIII等で消化した後、アダプターを加えてライゲーションを行う。アダプターは10〜30塩基、好適には15〜25塩基からなるオリゴヌクレオチドで、2本鎖は相補的配列を有し、アニーリング後、平滑末端を形成する側の3‘−末端のオリゴヌクレオチドをリン酸化する必要がある。次に、アダプターの一方のオリゴヌクレオチドと同一配列部分を有するプライマーを用いて、PCR(Polymerase Chain Reaction)法により増幅し、無尽蔵化することができる。一方、各BAC DNA等に特徴的な50〜70塩基のアミノ化オリゴヌクレオチドを、検出用プローブとして用いることもできる。
このようにして無尽蔵化したBAC DNA等を基盤上、好適には固体基盤上に定着させることにより、本定着基盤を製造することができる。
固体基盤としては、ガラス、プラスチック、メンブレン、3次元アレイ等があげられ、スライドガラス等のガラス基板が好ましい。ガラス等の固体基盤は、ポリ-L-リジン、アミノシラン、金・アルミニウム等の凝着により基盤をコートすることがより好ましい。
上記の無尽蔵化したDNAを基盤上にスポットする濃度は、好ましくは10pg/μL〜5μg/μL、より好ましくは1ng/μL〜200ng/μLである。スポットする量は好ましくは1nL〜1μL、より好ましくは10nL〜100nLである。また、基盤に定着させる個々のスポットの大きさ及び形状は、特に限定されないが、例えば、大きさは直径0.01〜1mmであり得、上面から見た形状は円形〜楕円形であり得る。乾燥スポットの厚みは、特に制限はないが、1〜100μmである。さらに、スポットの個数は、特に制限はないが、使用する基盤あたり10〜50,000個、より好ましくは100〜5,000個である。それぞれのDNAはSingularからQuadruplicateの範囲でスポットするが、Duplicate或いはTriplicateにスポットすることが好ましい。
乾燥スポットの調製は、例えば、スポッターを用いて無尽蔵化したBAC DNA等を基盤上にたらして、複数のスポットを形成した後、スポットを乾燥することにより製造することができる。スポッターとしてインクジェット式プリンター、ピンアレイ式プリンター、バブルジェット(登録商標)式プリンターが使用できるが、インクジェット式プリンターを使用することが好ましい。例えば、Cartesian Technologies社(米)のハイスループットインクジェット分注システムSQシリーズ等を使用できる。
このようにして無尽蔵化したBAC DNA等を基盤上、好適には固体基盤上に定着させることにより、本定着基盤を製造することができる。
(2)先天性異常疾患(筋ジストロフィー、中枢神経系疾患を含む)に対して用いる本定着基盤
本定着基盤の典型的な態様の一つとして、先天性異常疾患に対して用いる本定着基盤が挙げられる。この態様の本定着基盤は、ヒトゲノムDNAが、先天性異常症疾患で欠失または増幅する領域のゲノムDNAが定着している基盤である。
代表的な先天性異常症並びに進行性筋ジストロフィー、中枢神経疾患として知られる髄鞘形成不全疾患を下に示す(左側が疾患名であり、右側が当該先天性異常疾患に伴い、欠失する染色体部位または増幅する染色体部位を示している)。
1) Williams syndrome 7q11.2
2) Smith-Magenis syndrome 17p11.2
3) Down syndrome 21番染色体トリソミー
4) Langer-Giedion syndrome 8q24
5) Wolf-Hirschhorn syndrome 4p16.3
6) Miller-Dieker syndrome (MDS) 17p13.3
7) Prader-Willi (PWS) and Angelman syndromes (AS) 15q11-q13
8) WAGR症候群(Wilms腫瘍、無虹彩症Aniridia、
泌尿生殖器系異形性Genitourinarydysplasia/性腺
芽細胞腫Gonadoblastoma、
精神発達遅滞Mental Retardation) 11p13
9) Cri du Chat syndrome 5p15.3
10) Pallister-Killian syndrome 12pテトラソミー
11) Rubinstein-Taybi syndrome 16p13.3
12) Tricho−rhino−phalangeal syndrome (TRPS) 8q24.1
13) Potoki-Shaffer syndrome 11p11.2
14) Neurofibromatosis I 17q11
15) Sotos syndrome 5q35
16) Craniosynostosis 7p21.1
17) Kallmann type 2 8p11.12
18) Kallmann type 1 Xp22.3
19) Van der Woude 1q32-q41
20) ZFHX1 B deletion 2q22
21) BPES 3q23
22) 1p36症候群 1p36
23) Cat eye 22q11
24) Alagille syndrome 20p11.23
25) Diamond-Blackfan 19q13.2
26) AHC (Adrenal hypoplasia congenita) Xp21.2
27) Steroid sulfatase Xp22.3
28) Learning diability Xp22.3 (Coffin-lowry syndrome)
29) DiGeorge syndrome 22q11
30) Russell-Silver 7p11.2
31) Autism Xp22.33
32) Duchenne Muscular Dystrophy Xp21.2
33) Pelizaeus Merzbacher Disease Xq22
先天性異常症候群の患者に染色体DNAの特定領域が欠失している場合が多く観察される。現在、ほとんどの先天性異常症候群で大まかではあるが、その欠失領域が明らかにされている。一方、先天性異常症候群で染色体DNAの特定領域が増幅している例がある。例えば、Down syndrome では21番染色体がトリソミーであり、Pallister-Killian syndromeでは12番染色体短腕がテトラソミーである。上に示した進行性筋ジストロフィーはX染色体短腕(p21.2)の欠失が原因であり、髄鞘形成不全疾患はX染色体長腕(q22)の増幅が原因となっている。
上述したように、先天性異常疾患に対応する本定着基盤には、無尽蔵化した上記の先天性異常疾患の原因遺伝子を含むBAC DNA等を定着させることが必要である。本発明者は、上記の33種の先天性異常疾患の各々において、欠失または増幅している遺伝子を含む複数種のBAC DNAの同定を行った。これらを下に示す。
1) Williams syndrome
RP11-159N6, RP11-144N6, RP11-367N11, RP11-614D7, RP11-598B14, RP11-73G23, RP11−1107−O−7, RP11-805G2, RP11-52A3, RP11-7M12, RP11-351B3, RP11-247L6, RP11-137E8, RP11-91L7, RP11-89A20
2) Smith-Magenis syndrome
RP11−525O11, RP11-160E2, RP11−79O4, RP11-363P3, RP11-352K5, RP11−34O10, RP11-258F1, RP11-367G9, RP11-241J23
3) Down syndrome
RP11-353J19, RP11-245A3, RP11-119A10, RP11−183−O−20, RP11-24A11
4) Langer-Giedion syndrome
RP11−583−O−14, RP11-730-C-5, RP11-97M7, RP11-28K21, RP11-185B9, RP11-118J9, RP11-143P23, RP11-458N4, RP11-278L8, RP11-591H2, RP11-267J1, RP11-367C15, RP11-639B19, RP11-654G14, RP11-480F5, RP11-119B7, RP11-30P9, RP11-933K21, RP11-1069F12, RP11-721F24, RP11-61P20, RP11-89P19,RP11-346L16, RP11-279G12, RP11-92K7, RP11-80G6, RP11-246F2
5) Wolf-Hirschhorn syndrome
RP11-357G3, RP11-1029F10, RP11-1069C14, RP11-478C5, RP11-478C1, RP11-317B7, RP11-262P20, RP11-241P10, RP11−572−O−17, RP11-241P10, RP11-585J22, RP11-460I19
6) Miller-Dieker syndrome (MDS)
RP11-305G1, RP11-115H24, P11-314A20, RP11-806B19, RP11-106A7, RP11-148L19, RP11-211L24, RP11-96E6, RP11-167N20, RP11-118B14, RP11-208J12, RP11-147K16, RP11-76K18, RP11-582C6, RP11-74H19, RP11-102N8, RP11-300D15, RP11-135N5, RP11-380H7, RP11−357−O−7, RP11-806J5, RP11-60C18, RP11−818O24, RP11-216P6, RP11-91C8, RP11-356-I-18, RP11-61B16, RP11-630J1, RP11-629C16
7) Prader-Willi (PWS) and Angelman syndromes (AS)
RP11-196F4, RP11-483L3, RP11-73C9, RP11-373J1, RP11-484P15, RP11-350A1, RP11-13F22, RP11-107D24, RP11-109H4, RP11−326−O−7, RP11-125E1, RP11-645B3, RP11-166F6, RP11-171C8, RP11-726J19, RP11-1081A4, RP11-641C16, RP11-339C21, RP11-780C16, RP11-2C7, RP11-88P10, RP11−346−O−24, RP11-638J6, RP11−62−O−15, RP11-454B13, RP11-48C8, RP11-147-I-1, RP11-150C6, RP11−80−O−23, RP11-104L23, RP11-89E18, RP11-100M12, RP11-591L15, RP11-390P7, RP11−268−O−3, RP11-322N14
8) WAGR症候群(Wilms腫瘍、無虹彩症Aniridia、泌尿生殖器系異形性Genitourinary dysplasia/性腺芽細胞腫Gonadoblastoma、精神発達遅滞Mental Retardation)
RP11-669J23,RP11-36H11,RP11-177B13,RP11-294K4,RP11-277N8,RP11-622K14,RP11-90F13, RP11-593K21, RP11-915J7, RP11-318D5, RP11-278N12, RP11-313G13, RP11-976L19,RP11-162F6, RP11-60G13, RP11-77C13, RP11-57H3, RP11-960B6, RP11-95E24, RP11-44H6, RP11-845E19, RP11-876F4, RP11-640A19, RP11-113L2, RP11-299P16, RP11-299P16, RP11-92D15, RP11-624M14, RP11-133E13, RP11−112−O−22, RP11-98A15, RP11-627B5, RP11-35C11, RP11-296L11, RP11−450−O−10, RP11-807H3, RP11-260A1, RP11-685B11, RP11-66N12, RP11-138P10, RP11-139E9, RP11-628D8, RP11-147K2, RP11-63H13, RP11-113M18
9) Cri du Chat syndrome
RP11-736A8, RP11-260H6, RP11-978G1, RP11-157C9, RP11-103L11, RP11-13H10, RP11-35K22, RP11-46E12, RP11−46O23, RP11-71D10, RP11-109F5, RP11-976H4, RP11-259D10, RP11-688A22, RP11-140A16, RP11-91M19, RP11-722H13, RP11-480D4, RP11-810N19, RP11-64B17, RP11-315A16, RP11-1018M19, RP11-408G13, RP11-91E7, RP11-95K10, RP11-639I8, RP11-65B18, RP11-1N22, RP11-91M12, RP11-313A15, RP11-352P5, RP11-145B1, RP11-1C1, RP11-54F2, RP11-355J7, RP11-360-I-1, RP11-242C17, RP11-752G3, RP11-79L17, RP11-412H2, RP11-120K4, RP11-235P17, RP11-113B4, RP11-360-C-3, RP11-207N8, RP11-244H8, RP11-125J1, RP11-666-I-4, RP11-278H6, RP11-77B3, RP-837D20, RP11-313K15, RP11-350P17, RP11-619G3, RP11-983C5,RP11-25A1, RP11-662-I-12, RP11-739A21, RP11-1151F24, RP11−960−O−18, RP11-119D19,
RP11-413B6
10) Pallister-Killian syndrome
RP11-608F13, RP11-141C8, RP11-62K19, RP11-17F13
11) Rubinstein-Taybi syndrome
RP11-292B10, RP11-737F1, RP11-95J11, RP11-876F24, RP11-619A23
12) Tricho−rhino−phalangeal syndrome (TRPS)
RP11−583−O−14,RP11−52−O−22, RP11-143N3
13) Potoki-Shaffer syndrome
RP11-706A13, RP11-301B9, RP11-102E22, RP11-70A9, RP11-58K22
14) Neurofibromatosis I
RP11−142−O−16, RP11−353−O−18, RP11-104L19, RP11-876L22
15) Sotos syndrome
RP11-116H24, RP11-99N22, RP11-265K23
16) Craniosynostosis
RP11-109D3,RP11-159H24, RP11-191H15, RP11-346G7
17) Kallmann type 2
RP11-265K5, RP11-148D21
18) Kallmann type 1
RP11-351B15, RP11-606J16, RP11-347D3
19) Van der Woude
RP11-345-I-23, RP11-746L23
20) ZFHX1 B deletion
RP11−64−O−2, RP11-581M22
21) BPES
RP11-259D13, RP11-71B5, RP11-104L19, RP11-45B17, RP11-111F8
22) 1p36症候群
RP11-76K6, RP11-333E3, RP11-345P4
23) Cat eye
RP11-66F9, RP11-48E19, RP11-78K19
24) Alagille syndrome
RP11-141K18, RP11−263−O−15, RP11−91−O−7
25) Diamond-Blackfan
RP11-688M4, RP11-343B1, RP11-108-I-20
26) AHC (Adrenal hypoplasia congenita)
RP11-662D2, RP11-89-I-17, RP11−745−O−16, RP11-89L23
27) Steroid sulfatase
RP11-50M14, RP11-98J11, RP11-484B13
28) Learning diability (Coffin-lowry syndrome)
RP11-92A18, RP11−151−O−2
29) DiGeorge syndrome
RP11-81B3, RP11-466H9, RP11-278E23, RP11-657F7, RP11-71J20, RP11-479G10, RP11-722J7, RP11-16C10, RP11-316L10, RP11-138C22, RP11-586-I-18, RP11-155F20, RP11-590C5, RP11-54C2, RP11-76-I-4, RP11-806D22, RP11-317J15, RP11-354K13, RP11-647D11, RP11-296H20, RP11-22M5
30) Russell-Silver
RP11-699C15, RP11-162D15, RP11-252B16, RP11-137A7, RP11−707−O−5, RP11-42H15, RP11-96D14, RP11-126K7, RP11-114M14
31) Autism
RP11-485H23, RP11-366M24, RP11-615H3, RP11-927F21
32) Duchenne muscular dystrophy
RP11-46A23, RP11-338L12, RP11-122N14, RP11-124H12, RP11-509C1
33) Pelizaeus Merzbacher disease
RP11-223K4, RP11-142J15, RP11-832L2, RP11-771H14, RP11-34P3
(3)家族性腫瘍に対して用いる本定着基盤
本定着基盤の典型的な態様の他の一つとして、家族性腫瘍に対して用いる本定着基盤が挙げられる。この態様の本定着基盤は、ヒトゲノムDNAが、家族性腫瘍の原因遺伝子を含む領域のゲノムDNAが定着している基盤である。
代表的な家族性腫瘍の原因遺伝子と当該遺伝子を有するBAC DNAを以下に示す(左が家
族性腫瘍の名称、括弧内が当該家族性腫瘍に伴い、欠失する染色体部位または増幅する染色体部位、右が当該遺伝子を有するBAC DNA名である)。
1)p73 (1p36.1) : RP11-46F15
2)PTEN (10q23): RP11-380G5
3)RB1 (13q14): CTD-2173J2
4)p53 (17p13.1): PR11-89D11
5)NF1 (17q11.2): RP11-229K15
6)BRCA1 (17q21): RP11-242D8
7)MSH2 (2p16): RP11-62I18
8)MLH1 (3p21): RP11-129K12
9)PMS2 (7p22): RP11-42M2
10) PMS1 (2q31): RP11-235L22
11) BLM (15q26): CTD-2272E1
12) FACA (16q24.3): RP11-368L7
13) TSC1 (9q34): RP11-295G24
14) ATM (11q22): RP11-241D13
15) PTCH (9q22.3): RP11-34D4
16) EXT1 (8q23): CTD-2178F17
17) EXT2 (11p12): RP11-70A24
18) WT1 (11p12): CTD-2115C17
19) RET (10q11.2): P11-351D16
20) VHL (3p26) RP11-572M14
21) p16 (9p21) RP11-145E5
22) NF2 (22q12.2) RP1-76B20
23) BRCA2 (13q12): CTD-2037D17
24) MEN1 (11q13): RP11-686D5
25) APC (5q21): RP11-3B10
26) cMet (7q31.2): RP11-95I20
27) TSC2 (16p13.3): RP11-304L19
28) WRN (8p12): RP11-173D10
29) FANCC (9q22.32): RP11-173G21
30) XPA (9q22.33): RP11-24E19
31) XPC (3p25.1): RP11-25N2
32) XPD (ERCC2, 19q13.32): RP11-568L16
家族性腫瘍の場合には点突然変異が多いが、染色体DNAの特定領域(特に癌抑制遺伝子を含む領域)が欠失、あるいは癌遺伝子を含む領域等が増幅しているケースも多く認められる。
(4)サブテロメア領域の異常に起因する疾患に対して用いる定着基盤
本定着基盤の典型的な態様の一つとして、染色体サブテロメア領域の異常に起因する疾患に対して用いる本定着基盤が挙げられる。この態様の本定着基盤は、ヒトゲノムDNAが、各染色体の短腕並びに長腕のサブテロメア領域を含むゲノムDNAが定着している基盤である。当該領域を有する代表的なBAC DNAを以下に示す。
1)クロモソーム1pサブテロメア: RP11-257H15、RP11-547D24
クロモソーム1qサブテロメア: RP11-299E11、RP11-245D2
2)クロモソーム2pサブテロメア: RP11-492C1、RP11-1N7
クロモソーム2qサブテロメア: RP11-154D13、RP11-475G3
3)クロモソーム3pサブテロメア: RP11-121D3、RP11-166F3
クロモソーム3qサブテロメア: RP11-192L23、RP11-21N3
4)クロモソーム4pサブテロメア: RP11-81C231、RP11-478C6
クロモソーム4qサブテロメア: RP11-92F15、RP11-548L20
5)クロモソーム5pサブテロメア: RP11-736A8、RP11-379B11
クロモソーム5qサブテロメア: RP11-69N15、RP11-75J4、RP11-59K21
6)クロモソーム6pサブテロメア: RP11-676K14、RP11-16N9、RP11-164H16
クロモソーム6qサブテロメア: RP11-614P3、RP11-135C24
7)クロモソーム7pサブテロメア: RP11-326F15、RP11-103M19、RP11-126K7
クロモソーム7qサブテロメア: RP11-331D5、RP11-58F7、RP11-708P22、RP11-58F7
8)クロモソーム8pサブテロメア: RP11-115H22、RP11-91J19、RP11-86A14
クロモソーム8qサブテロメア: RP11-91F24、RP11-36N16
9)クロモソーム9pサブテロメア: RP11-143M15
クロモソーム9qサブテロメア: RP11-31M4、RP11-378H7、RP11-165F24
10)クロモソーム10pサブテロメア: RP11-90D7、RP11-10D13、RP11-164C1、RP11-10D13
クロモソーム10qサブテロメア: RP11-122K13、RP11-108K14
11)クロモソーム11pサブテロメア: RP11−652O18、RP11-89F15
クロモソーム11qサブテロメア: RP11-8J13、RP11-217L21
12)クロモソーム12pサブテロメア: RP11-359B12、RP11-350L7
クロモソーム12qサブテロメア: RP11-20H9、RP11-270L16
13)クロモソーム13qサブテロメア: RP11-351J19、RP11-569D9
14)クロモソーム14qサブテロメア: RP11-346I20、RP11-417P24
15)クロモソーム15qサブテロメア: RP11-89K11、RP11-497M17、RP11-14C10
16)クロモソーム16pサブテロメア: RP11-344L6、RP11-243K18
クロモソーム16qサブテロメア: RP11-7D23、RP11-566K11
17)クロモソーム17pサブテロメア: RP11-60C18、RP11-216P6
クロモソーム17qサブテロメア: RP11-46H21、RP11-117P2、RP11-51H16
18)クロモソーム18pサブテロメア: RP11-324G2、RP11−705O1
クロモソーム18qサブテロメア: RP11-93F7、RP11-89N1、RP11-154H12、RP11-89N1
19)クロモソーム19pサブテロメア: RP11-138L23、RP11-75H6
クロモソーム19qサブテロメア: RP11−30O3、RP11-45K21
20)クロモソーム20pサブテロメア: RP11-147L21、RP11-24E15
クロモソーム20qサブテロメア: RP11-93B14、RP11-95N13
21)クロモソーム21qサブテロメア: RP11−430O7、RP11-34P17
22)クロモソーム22qサブテロメア: RP11-104M4、RP11-140I15
23)クロモソームXpサブテロメア: RP11-802I24、RP11-80J11
クロモソームXqサブテロメア: RP11-115M6、RP11-143H17
24)クロモソームYqサブテロメア: RP11-539D10、RP11-140H23
(5)本定着基盤を用いる検出方法
本発明は、上述した本定着基盤を用いて、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出する検出方法(以下、本検出方法ともいう)を提供する発明である。
すなわち、本検出方法は、健常人のゲノムDNAの断片が、好適には網羅的に定着している本定着基盤に、それぞれ異なる蛍光色素で標識した対照ゲノムDNAと被験ゲノムDNAを同時に接触させてハイブリダイズを行うことにより得られる蛍光色を指標として、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出する検出方法である。
被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出することにより、上述した先天性異常疾患、家族性腫瘍、その他のゲノムDNAの欠損・増幅に起因する疾患(例えば、筋ジストロフィー、中枢神経疾患等)の診断を行うことができる。
健常人からのゲノムDNAは市販品を使用することが可能であり、健常人から採血した血漿より抽出することもできる。染色体異常に起因する疾患の患者からのゲノムDNAは、患者より採血した血漿から、通常の抽出法を用いて調製することができる。
健常人並びに染色体異常に起因する疾患の患者由来のDNAはそれぞれ異なる蛍光色素、例えば、Cy3とCy5等、を常法(例えば、dCTPを用いたニックトランスレーション法)により標識することができる。このdCTPを用いたニックトランスレーション法を行う標識キットは、PanVera社(日本代理店:宝酒造株式会社)、Invitrogen社(CA、USA)等で販売されている。標識DNAをCGHアレイにプリントしたDNAとハイブリダイズする時にはCot-1DNA、ホルムアミド、Dextran Sulfate、SSC(150mM NaCl/15mM Sodium Citrate)、Yeast t-RNA、SDS (Sodium Deoxysulfate)を加えることがより好ましい。また、標識DNAを含む溶液を熱変性させて加えることが好ましい。ハイブリダイズする容器として、ロッキング機能付プラットフォームに乗せることが可能であり、少量の溶液を用いて本定着基盤上でまんべんなく接触できる容器、例えば、ゲノムアレイハイブリダイゼーションチャンバーを使用して、ハイブリマン3号を用いることがより好ましい。ハイブリダイゼーションの温度は30〜70℃が好適であり、38〜45℃がより好適である。ハイブリダイズの時間は、12〜200時間が好適であり、40〜80時間がより好適である。本定着基盤の洗浄はホルムアミド、SSC溶液等を用いて室温で行うことができる。この本定着基盤の洗浄は、非特異的シグナルをできるだけなくすために重要なステップであり、室温で洗浄後、同洗浄液を用いて40〜60℃で洗浄し、さらに、SSC-SDSを含む溶液中50℃で洗浄を行い、リン酸バッファー/NP-40を含む溶液に静置し、最後にSSCを含む溶液中で振とうすることがより好ましい。
また、本検出方法において、ハイブリダイズを行った本定着基盤における蛍光の発生の内容を把握するためには、例えば、スキャナーを用いることができる。当該スキャナーとしては、例えば、GenePix 4000B (Amersham Biosciences K.K.、東京)等を挙げることができる。結果の解析は、例えば、健常者由来のゲノムDNAをCy5で、患者由来のゲノムDNAをCy3で標識する場合、本定着基盤上のCy3蛍光強度の平均とCy5蛍光強度の平均を同じ値に補正することが好適である。さらに、各BAC DNA(各ピクセル)上でCy3/Cy5のRatioを求めLog2Ratioの値で表示することが好適である。当該蛍光の強度比(肉眼的には蛍光色)を指標とすることにより、被験者から提供されたゲノムDNA検体において、検出目的とする遺伝子の特定部分の増幅や欠失が認められるかを定量的に検出することができる。
上述した、先天性異常疾患に対して用いる本定着基盤を用いて、先天性異常疾患を診断する場合には、当該本定着基盤に、それぞれ異なる蛍光色素で標識した対照ゲノムDNA(通常は、健常者のゲノムDNA)と被験ゲノムDNAを同時に接触させてハイブリダイズを行うことにより得られる蛍光色(すなわち上記の蛍光の強度比)を指標として、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出することにより、被験ゲノムDNA提供者の先天性異常症疾患の診断を行うことができる。すなわち、検出された蛍光色が、特定の先天性異常疾患において認められる遺伝子の欠失または増幅の存在を示す場合には、被験細胞提供者が当該特定の先天性異常疾患患者であることの診断がなされることとなる。
また、家族性腫瘍に対して用いる本定着基盤を用いて、家族性腫瘍を診断する場合には、当該本定着基盤に、それぞれ異なる蛍光色素で標識した対照ゲノムDNA(通常は、健常者のゲノムDNA)と被験ゲノムDNAを同時に接触させてハイブリダイズを行うことにより得られる蛍光色(すなわち上記の蛍光の強度比)を指標として、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出することにより、被験ゲノムDNA提供者の家族性腫瘍の診断を行うことができる。すなわち、検出された蛍光色が、特定の家族性腫瘍において認められる遺伝子の欠失または増幅の存在を示す場合には、被験細胞提供者が当該特定の家族性腫瘍患者であることの診断がなされることとなる。
本発明により、先天性異常症、家族性腫瘍、筋ジストロフィー、中枢神経疾患等の染色体の欠失或いは増幅に起因する疾患等の検出を行う手段が提供される。
[実施例1] ヒトChromosome 7をカバーするBAC DNAの調製:
米国Children’s Hospital Oakland Research Instituteがヒト男性ゲノムより作成したBacterial Artificial Chromosome(BAC)DNAを有する大腸菌ライブラリー(RP-11 BAClibrary)を有限会社Geno Techsを通して入手した。ヒトChromosome 7のゲノムDNAを有するBACクローンを見出し、以下に記載した方法を用いてBAC DNAの調製を行った。
1%トリプトン、1%塩化ナトリウム、0.5%イーストエクストラクト、30μg/mLクロラムフェニコールから成る培地50mLにBACクローンを植菌し、37℃で一晩培養した。培養後、増殖したBACクローンを遠心管に移し遠心分離により菌体ペレットを分離した。P1緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0, 10mM EDTA, 0.1mg/mL RNase A)6mLを加えて菌体を懸濁させ、次にP2緩衝液(1%SDS溶液、200mM NaOH)6mLを加えて5〜8回チューブを転倒させ良く混ぜた。次に、6mLのP3緩衝液(3M酢酸カリウム、pH5.5)を加えて静かに混和し氷中に15分間放置した。クロロホルムを0.1 mL加えた後、4℃で2万xg15分間の遠心分離を行った。その上清をろ紙をはさんだ濾過フィルターを予めセットしたシリンジに移して濾過し、そのろ液を遠心管に受けた。ろ液に18mLの2-プロパノールを加え、混合した。4℃で2万xg30分間の遠心分離を行い、BAC DNAの沈殿を分離した後、約5分間得られた沈殿を乾燥した。沈殿を0.3mL TE緩衝液(10mM Tris-HCl,pH7.0、1mM EDTA)に溶かした後、1mL QBT緩衝液(750mM NaCl, 50mM MOPS pH7.0, 15% isopropanol, 0.15% Triton X-100)を加えた。これをQBT緩衝液で平衡化したQIAGEN-tip 100 (QIAGEN社製、東京)にアプライした。次に、QC緩衝液(1M NaCl, 50mM MOPS pH7.0, 15% isopropanol)2mLを加えてカラムを洗浄した。この操作をもう一度繰り返した後、0.8mLのQF緩衝液(1.25mM NaCl, 50mM TrisHCl pH8.5, 15% isopropanol)を加えてBAC DNAを溶出した。この溶出液に0.65mLの2-propanolを加えて混和し4℃で2万xg15分間の遠心分離を行った。遠心分離後、上清を捨て、沈殿に70%エタノールを加えて再度同じ条件で遠心分離を行った。上清をできるだけ除去した後、20〜30μLのTE緩衝液pH8.5に沈殿を溶解し、精製BAC DNAを調製した。
次に、得られたBAC DNAがヒト染色体の目的の領域を含んでいるかどうかをチェックした。得られたBAC DNAを、1種類はbiotin-16-dUTPで、もう1種類はDigoxigenin標識dUTPでニックトランスレーションキットを用いて標識した。一方では、正常ヒトリンパ球の染色体標本を作成した。熱変性したプローブとハイブリダイゼーションをおこない、洗浄後、緑色蛍光のAvidin-FITC並びに赤色蛍光のAnti-Digoxigenin-rhodamineを用いて染色し、目的とするヒトChromosome 7の各領域を有するBAC DNAを同定した。
[実施例2] ヒトChromosome 7の各領域を有するBAC DNAの無尽蔵化:
実施例1で同定したヒトChromosome 7の各領域を有するBAC DNAについて、1.5μg/16μL濃度溶液を調製した。一方では、次の3種類の制限酵素溶液を調製した。
(1)制限酵素RsaI (10u/μL) 50μL、NEB-1緩衝液(NEB社製)100μL、滅菌水350μLからなる制限酵素溶液
(2)制限酵素DpnI (20u/μL)25μL、NEB-4緩衝液(NEB社製)100μL、滅菌水375μLからなる制限酵素溶液
(3)制限酵素HaeIII (10u/μL) 50μL、NEB-2緩衝液(NEB社製)100μL、滅菌水350μLからなる制限酵素溶液
3枚の96穴プレートに、ヒトChromosome 7の各領域を有する上記BAC DNA溶液5μLずつ分注し、3枚のレプリカプレートを作成した。上記(1)〜(3)の制限酵素溶液1種類をレプリカプレートに5μLずつ加え、37℃で2時間インキュベートした。その後、80℃20分の加熱操作で酵素を失活させた。制限酵素で消化した3枚のレプリカプレート中の同一BACを合わせてPCR用の96穴プレートの各ウエルに加えた。BAC-L1/L2 adaptorの調製は100μM BACL1プライマー:AATTCCGCGGCCGCCCGATG(配列番号1)と100μM BACL2プライマー:pCATCGGGCGGCCGCGG(配列番号2)をミックスし、95℃で5分間加熱、その後、70℃15分、60℃15分、55℃15分、50℃15分、45℃15分、40℃15分、30℃15分放置した後、25℃に保存することにより行った。各ウエルに20μLのLigation mixture(100μM BAC-L1/L2 adaptor 2.5μL、10xT4DNA Ligase Buffer 5μL、T4DNA Ligase (NEB社) 2.5μL、滅菌水 10μL)を加えて16℃で一晩インキュベーションした。酵素を65℃で10分間加熱処理後、滅菌水50μLを加えNucleospin(クローンテック社)を用いてInstructionマニュアルに従ってDNAを精製した。精製したDNAを約2ng/μLの濃度で保存した。
次に、DNAを増幅するためのPCRを行った。PCR mixture (200μM BAC primer:GGAATTCCGCGGCCGCCCGATG (配列番号3)48.5μL、10x Ex Taq Buffer (Mg2+を含む) 970μL、2.5mM dNTP 1164μL、Ex Taq HS (5U/μL) 97μL、滅菌水 7178μLからなる)を49μLずつ96穴プレートに分注した。鋳型DNAとして、Adaptor Ligationを行った BAC DNAを1.3μLずつ加えて、95℃3分間、95℃1分〜72℃3分で15サイクル、72℃3分のPCRを行った。このPCRをDuplicateで行った。引き続き、DuplicateのPCR産物を混ぜ(100μL)、これを 16ウエルのプレートに移した。各ウエルにPCR mixture (200μM アミノ化-BAC primer 2.5μL、10x Ex Taq Buffer (Mg2+を含む) 50μL、2.5 mM dNTP 60μL、Ex Taq HS (5U/mL) 5μL、滅菌水 282.5μLから成る)400μLを加え、95℃3分間、95℃1分−72℃3分で5サイクル、72℃10分のPCRを行った。増幅したDNAをMicrocon-96マルチウエルアセンブリー(ミリポア社)を用いて附属のマニュアルに従い精製した。得られたDNAをエタノール沈殿法により濃縮しDNA濃度を2μg/μLに調製した。
[実施例3] Williams症候群の診断
Williams症候群は7番染色体長腕q11.23の領域の欠失に起因する遺伝病である。
実施例2で調製したヒトChromosome 7の各領域を含む無尽蔵化BAC DNA(10ng/μL)をインクジェット式プリンター(Cartesian Technologies社製、ハイスループットインクジェット分注システムSQシリーズMicroSys4000)を用いてアミノ化オリゴ固定化アレイ用スライドグラス(マツナミ社製)に10nLずつDuplicateにスポットした。具体的には、図1に示すようにプリントした(合計9504クローンをプリントする事ができる。無尽蔵化BAC DNAをDuplicateからQuadruplicateにスポットする)。
プローブを調製するために、健常者並びにWilliams症候群患者由来のゲノムDNA1.5μgを15-20U DpnIIで消化した。DNA精製カラム(QIAGEN社製)を用いてマニュアルに従って精製し、最後に44μL滅菌水を用いて溶出した。ここで得られたDNA 21μLに20μLの2.5x primer/reaction buffer mix(Invitrogen社製)を加え、100℃ 5分間加熱により、DNAを変性させた。氷中でdNTP mix 5μLとCy5-dCTP (健常人由来DNAの場合)或いはCy3-dCTP (Williams症候群患者由来のDNAを用いた場合)3μLを加えた。更に、Klenow flagment 1μLを加えた後、37℃で2時間インキュベートした。標識したDNAをPCR purification kit(QIAGEN)を用いて精製した。最後に55〜58μLの滅菌水を用いて溶出し、UV照射下で写真を撮影することによりDNAの標識効率をチェックした。
Williams症候群に由来するCy3-標識DNAを27μL、健常者由来のCy5-標識DNAを28μL、Cot-1 DNA (Invitrogen)を65μL、3M NaOAc (Sigma)を12μL、エタノールを300μL加えてエタノール沈殿を行い、風乾した後にMM#1溶液(ホルムアミド 5 mL、Dextran sulfate 1g、20xSSC 1mLを滅菌水に加えて7 mLとする)70μL、100μg/mL yeast tRNA (Sigma) 10μL、20%SDS 20μLを加え暗所に30分放置した後、ボルテックスを用いて溶解した。このプローブDNAを75℃で8分間変性させ、37℃で30分間プレインキュベーションを行った。
一方、CGHマイクロアレイを沸騰した滅菌水中に2分間入れ、その後、-20℃の70%エタノールで2分、85%エタノールで2分、100%エタノールで2分洗浄、風乾した後CGHマイクロアレイを42℃に保温した。これをハイブリマン3号中に装てんし、この上にプレインキュベーションを行った標識プローブを乗せた。注入口に50%ホルムアミド/2xSSC (pH7.0)で湿らせた濾紙を入れて、シールで蓋をした。これを遮光した湿箱に入れ、ロッキング機能付きのプラットフォーム(42℃)に移した後、48時間ハイブリダイゼーションを行った。その後、ハイブリマン3号に入ったマイクロアレイを室温の洗浄バッファー(50%ホルムアミド/2XSSC, pH7.0)で満たした後、マイクロアレイをハイブリマン3号から出して室温の2xSSC中で洗浄した。次に、洗浄バッファー(50%ホルムアミド/2xSSC, pH7.0)を用いて遮光下で50℃、15分間洗浄を行った。さらに、2xSSC/0.1%SDSを用いて50℃、15分間遮光下で洗浄した。その後、PNバッファー(0.1M NaH2PO4+0.1M Na2HPO4, pH8.0/ 0.1% NP-40)中で15分間室温に静置した後、2xSSC中で遮光下室温にて5分間振騰した。次に、エアスプレーで水滴を切った後に、GenePix4000B(Amersham Biosciences)を用いてマイクロアレイを532nmレーザー光によりCy3蛍光を、635nmレーザー光によりCy5蛍光をスキャンした。Cy3蛍光とCy5蛍光はエネルギーが大きく異なるために全スポットから得られる値をCy3とCy5で同じ値になるように補正し、次に、各スポットでのCy3/Cy5の値(Ratio)を求めた。これをLog変換しLog2Ratioを求め、その値を縦軸に、横軸にはBACクローンが有するヒトChromosome7の位置をMb単位の値で表示した(図2:縦軸はLog2Ratioの値を、横軸は7番染色体の短腕から長腕に至るまでの155Mbの中のBAC DNAが有する位置を表示した)。
Williams症候群患者に由来するDNAで、増幅・欠失がないスポットではLog2Ratioは-0.3から0.25の範囲であった。しかし、Williams症候群で欠失している7q11.23の領域を有する3種類のBACクローンでは、Duplicateの実験結果でRP11-137E8が0.7146と0.6876、RP11-91L7が0.7565と0.7484、RP11-89A20が0.5570と0.5741のRatio値を示した。
この結果より、患者のゲノム中には明らかに7q11.23領域中にHeterozygous Deletionがあると判定された。この結果より、本患者をWilliams症候群であると診断した。
[実施例4] Smith-Magenis症候群の診断
実施例1と同様に、ヒトChromosome 17を有するBAC DNAを調製し、それらはFISH法を用いてChromosome 17のゲノムDNAを含むことを確認した。次に、実施例2と同様な方法を用いてBAC DNAの無尽蔵化を行った。これらの無尽蔵化DNAを実施例3に示す方法を用いてアミノ化オリゴ固定化アレイ用スライドグラスに、図1に示すような形態でプリントし、ヒトChromosome 17 CGHアレイを作成した。実施例3に示す方法に従って健常者由来のゲノムDNAをCy5-dCTPで、Smith-Magenis症候群患者由来のゲノムDNAをCy3-dCTPで標識した。これらの標識DNAをミックスし、ヒトChromosome 17 CGHアレイ上で実施例3に示す方法に従ってハイブリダイゼーション、洗浄、乾燥を行った。
次に、GenePix4000Bを用いてCGHアレイをスキャンし、Cy3とCy5の値を補正後にCy3/Cy5のRatioを求め、さらにLog2Ratioの値を求めた。その値を縦軸に、横軸にはBACクローンが有するヒトChromosome 17の位置をMb単位で表示した(図3:縦軸はLog2Ratioの値を、横軸は17番染色体の短腕から長腕に至るまでの80Mbの中のBAC DNAが有する位置を表示した)。
Smith-magenis症候群患者に由来するDNAで、増幅・欠失のない領域ではLog2Ratioは-0.38〜+0.37の範囲であった。しかし、Smith-magenis症候群で欠失している領域である17p11.2の領域を有する4種類BACクローンでは、Duplicateの実験結果、RP11−525O11は0.572071と0.595092、RP11-160E2は0.55102と0.570152、RP11−79O4は0.623868と0.622717、RP11-363P3は0.606602と0.631926のRatio値を示し、本患者のゲノム中では17p11.2の領域がHeterozygousに欠失していると判定された。この結果より、本患者をSmith-Magenis症候群と診断した。
[実施例5] Duchenne Muscular DystrophyとPelizaeus Merzbacher Diseaseの診断 実施例1と同様に、ヒトChromosome Xを有するBAC DNAを調製し、それらはFISH法を用いてChromosome XのゲノムDNAを含むことを確認した。次に、実施例2と同様な方法を用いてBAC DNAの無尽蔵化を行った。これらの無尽蔵化DNAを実施例3に示す方法を用いてアミノ化オリゴ固定化アレイ用スライドグラスに図1に示すような形態でプリントし、ヒトChromosome X CGHアレイを作成した。
実施例3に示す方法に従って健常者由来のゲノムDNAをCy5-dCTPで、Duchenne MuscularDystrophy/ Pelizaeus Merzbacher Disease症候群患者由来のゲノムDNAをCy3-dCTPで標識した。これらの標識DNAをミックスし、ヒトChromosome X CGHアレイ上で実施例3に示す方法に従ってハイブリダイゼーション、洗浄、乾燥を行った。次に、GenePix4000Bを用いてCGHアレイをスキャンし、Cy3とCy5の値を補正後にCy3/Cy5のRatioを求め、さらにLog2Ratioの値を求めた。その値を縦軸に、横軸にはBACクローンが有するヒトChromosome Xの位置をMb単位で表示した(図4:縦軸はLog2Ratioの値を、横軸はX染色体の短腕から長腕に至るまでの140Mbの中のBAC DNAが有する位置を表示した)。
Smith-magenis症候群患者に由来するDNAで、増幅・欠失のない領域ではLog2Ratioは-0.3〜+0.25の範囲であった。しかし、Duchenne Muscular Dystrophyで欠失しているXp21.2の領域を有する5種類のBACクローンではDuplicateの実験結果、RP11-46A23は0.1971と0.2133、RP11-338L12は0.2486と0.1740、RP11-122N14は0.2084と0.1864、RP11-124H12は0.2175と0.2615、RP11-509C1は0.2835と0.2227のRatioを示した。本患者は男児でX染色体を1本有しており、Ratioは0.5をはるかに超えて低下しているので、Xp21.2の領域が欠失していると判断された。さらに、本患者はPelizaeus Merzbacher Diseaseで増幅しているXq22を有するBACクローン(RP11-223K4)のRatioは+1.702057と+1.847832の値であり、2に近い値である。従って、Xq22領域がDuplicateに増幅していると判断された。これらの結果より本患者はDuchenne Muscular DystrophyとPelizaeus Merzbacher Diseaseの両疾患を同時に有すると診断した。
[実施例6] 先天性異常症を診断するCGHアレイの作成
代表的な先天性異常症を診断するCGHアレイを作成するために、上述した33種類の疾患で各々欠失している領域を有するBACクローンを選択した。実施例1、2に示す方法を用いてBAC DNAの調製、BAC DNAの無尽蔵化を行い、FISH法により目的とするBAC DNAであることを各々確認した。この結果、33種類の先天性異常症を診断するBAC DNAを同定した。そのリストを上記表示した。
これらのDNAを、インクジェット式プリンターを用いてアミノ化オリゴヌクレオチド固定化アレイ用スライドグラスにDuplicateにスポットした(図1)。プリントしたBAC DNAの位置はコンピューター上で登録されているので、先天性異常症候群の患者に由来する標識DNAを用いることにより対応するBAC DNAの欠失を、実施例3、4、5に示すように検出することができる。
すなわち、Heterozygousな欠失を示す先天性異常症ではRatioは0.5前後の値を示し、Homozygousな欠失を示す場合にはRatioは0.5以下に大きく低下する。増幅がある場合には、トリソミーではRatioは約1.5前後の値を示し、テトラソミーではRatioは約2前後の値になる。X染色体上に欠失並びに増幅がある場合には、実施例5のDuchenne Muscular DystrophyとPelizaeus Merzbacher Diseaseのような結果が期待される。
[実施例7] 家族性腫瘍を診断するCGHアレイの作成
代表的な家族性腫瘍を診断するCGHアレイを作成するために、上述した31種類の家族性腫瘍の原因遺伝子を有するBACクローンを選択した。1種類の原因遺伝子が特定されているので、この領域を有するBACクローンは1種類だけである。
実施例1、2に示す方法を用いてBAC DNAの調製、BAC DNAの無尽蔵化を行い、FISH法により目的とする染色体の特定ゲノム領域を有することを各々確認した。この結果、31種類の家族性腫瘍を診断するBAC DNAを同定した。そのリストを、家族性腫瘍の原因遺伝子名と共に、前記表示した。
これらのDNAを、インクジェット式プリンターを用いてアミノ化オリゴ固定化アレイ用スライドグラスにTriplicateにスポットした。プリントしたBAC DNAの位置はコンピューター上で登録されているので、家族性腫瘍の患者に由来する標識DNAを用いることにより対応するBAC DNAの欠失が実施例3、4、5に示すように検出することができる。
すなわち、Heterozygousな欠失を示す家族性腫瘍ではRatioは0.5前後の値を示し、Homozygousな欠失を示す場合にはRatioは0.5以下に大きく低下する。増幅がある場合には、3コピーではRatioは約1.5前後の値を示し、4コピーではRatioは約2前後の値になる。X染色体上に欠失並びに増幅がある場合には、実施例5のDuchenne Muscular DystrophyとPelizaeus Merzbacher Diseaseのような結果が期待される。
さらに、先天性異常症と家族性腫瘍の原因遺伝子の領域を有するBAC DNAを同時に1枚のスライドグラスにプリントしたCGHアレイも同時に作成した。これは、両疾患のどちらの患者の診断にも使用できる。
[実施例8] CGH染色体異常診断アレイの作成と染色体異常に起因する疾患の診断
先天性異常疾患の原因遺伝子領域と家族性腫瘍の原因遺伝子領域([発明の開示][課題を解決するための手段]に記載)、更にサブテロメア領域、X染色体領域を含むBAC DNA合計561クローンを調製した。X染色体領域を含むBAC DNAはIL1RAPL1、CDKL5、FACL4、TM4SF2、ATRX、TMFSF5、FGD1、RBMX、PRPS2、OPHN1、AMMECR1、PRKX、SLC6A8、GDI1、ARX、FMR1,2、MECP2、PQBP1遺伝子領域を有しておりこれらの遺伝子群の欠失、増幅による疾患を診断することができる。FISH法を用いて、これらのBAC DNAはそれぞれ目的の染色体領域を有する事を確認した。次に、実施例2と同様な方法を用いてBAC DNAの無尽蔵化を行った。これらの無尽蔵化DNAを実施例3に示す方法を用いてアミノ化オリゴ固定化アレイ用スライドグラスにプリントしCGH染色体異常診断アレイを作成した。本アレイは上記561種類の無尽蔵化DNAをDuplicateで1区画にプリントされている。それをID番号1〜1122で表示した。1スライド当たり3区画あるので、一度に3種類の試料の解析が可能である。
実施例3に示す方法に従って健常者由来のゲノムDNAをCy5-dCTPで標識した。患者として、(1)DiGeorge syndrome、(2)Prader-Willi and Angelman syndromes、(3)Cri du Chat syndrome、(4)Williams症候群、(5)22q13欠損症候群(染色体22番のサブテロア欠損症候群)が疑われる患者についてそれぞれのゲノムDNAをCy3-dCTPで標識した。健常者由来のCy5-標識ゲノムDNAと各々の患者のCy3-標識ゲノムDNAをミックスし、CGH染色体異常診断アレイ上で実施例3に示す方法に従ってハイブリダイゼーション、洗浄、乾燥を行った。次に、GenePix4000Bを用いてCGHアレイをスキャンし、Cy3とCy5の値を補正後にCy3/Cy5のRatioを求めた。Ratio値をLog2Ratioに換算しその値を縦軸に、横軸には561クローンをDuplicateでプリントしたBAC ID番号(1〜1122)を表示した。
(1)DiGeorge syndromeが疑われる患者に由来するDNAを用いた場合には、増幅・欠失がないと考えられる領域ではCy3/Cy5のLog2Ratioは-0.25〜+0.3の範囲であった。しかし、DiGeorge syndromeの患者で染色体上の欠失が報告されている染色体領域22q11.21の領域を有するBACクローンでは図5に示すように、Cy3/Cy5のLog2Ratioは-0.5〜-0.8の範囲であり、この領域がHeterozygousに欠失していると判定された。図5でCy3/Cy5のLog2RatioがDuplicateに-0.5〜-0.8に低下したBACクローンはRP11-278E23、RP11-657F7、RP11-71J20、RP11-479G10、RP11-722J7、RP11-16C10、RP11-316L10、RP11-138C22、RP11-586I18、RP11-155F20、RP11-590C5、RP11-54C2、RP11-76I4、RP11-806D22であり、これらのBACクローンはすべて染色体22q11.21の領域に含まれる。従って、これらの結果より、本患者はDiGeorge syndromeと診断された。この診断は、本患者に由来する染色体の解析とFISH法を用いて遺伝子の欠失を解析した結果からも支持されている。
(2)Prader-Willi and Angelman syndromesが疑われる患者に由来するDNAを用いた場合には、増幅・欠失がないと考えられる領域ではCy3/Cy5のLog2Ratioは-0.3〜+0.4の範囲であった。しかし、Prader-Willi and Angelman syndromesの患者で欠失が報告されている染色体領域15q11-q13を有するBACクローンでは図6に示すように、Cy3/Cy5のLog2Ratioは-0.5〜-1.2の範囲であり、この領域がHeterozygousに欠失していると判定された。図6でCy3/Cy5のLog2RatioがDuplicateに-0.5〜-1.2に低下したBACクローンはRP11-196F4、RP11-73C9、RP11-484P15、RP11-350A1、RP11-13F22、RP11-107D24、RP11-109H4、RP11−326O7、RP11-125E1、RP11-645B3、RP11-166F6、RP11-171C8、RP11-726J19、RP11-1081A4、RP11-641C16、RP11-339C21、RP11-780C16、RP11-2C7、RP11-88P10、RP11−346−O−24、RP11-638J6、RP11−62O15、RP11-454B13、RP11-48C8、RP11-147I1、RP11-150C6、RP11−80O23、RP11-104L23、RP11-100M12、RP11-591L15、RP11−268O3、RP11-322N14、RP11-390P7であり、これらのBACクローンはすべて染色体15q11-q13の領域に含まれる。従って、これらの結果より、本患者はPrader-Willi and Angelman syndromesと診断された。この診断は本患者に由来する染色体の解析とFISH法を用いて遺伝子の欠失を解析した結果からも支持されている。
(3)Cri du Chat syndromeが疑われる患者に由来するDNAを用いた場合には、増幅・欠失がないと考えられる領域ではCy3/Cy5のLog2Ratioは-0.3〜+0.46の範囲であった。しかし、Cri du Chat syndromeの患者で欠失している染色体領域15p15.31〜15.33を有するBACクローンでは図7に示すように、Cy3/Cy5のLog2Ratioは-0.5〜-1.1の範囲であり、この領域がHeterozygousに欠失していると判定された。図7でCy3/Cy5のRatioがDuplicateに-0.5〜-1.1に低下したBACクローンはRP11-736A8、RP11-260H6、RP11-978G1、RP11-157C9、RP11-13H10、RP11-46E12、RP11-71D10、RP11-109F5、RP11-976H4、RP11-259D10、RP11-688A22、RP11-140A16、RP11-91M19、RP11-722H13、RP11-480D4、RP11-810N19、RP11-64B17、RP11-315A16、RP11-1018M19、RP11-408G13、RP11-91E7、RP11-95K10、RP11-639I8、RP11-65B18、RP11-1N22、RP11-91M12、RP11-313A15、RP11-352P5、RP11-145B1、RP11-1C1、RP11-54F2、RP11-355J7、RP11-242C17、RP11-752G3、RP11-79L17、RP11-412H2、RP11-120K4、RP11-235P17、RP11-113B4、RP11-360C3、RP11-207N8、RP 11-244H8、RP11-125J1、RP11-666-I-4、RP11-378H6、RP11-77B3、RP11-837D20、RP11-313K15、RP11-619G3、RP11-350P17、RP11-983C5、RP11-25A1、RP11-662I12、RP11-739A21、RP11-1151F24、RP11−960O18、RP11-413B6、RP11-119D19、RP11-103L11、RP11-35K22、RP11−46O23であり、これらのBACクローンはすべて染色体15p15.31〜15.33の領域に含まれる。従って、これらの結果より、本患者はCri du Chat syndromeと診断された。この診断は本患者に由来する染色体の解析とFISH法を用いて遺伝子の欠失を解析した結果からも支持されている。
(4)Williams syndromeが疑われる患者に由来するDNAを用いた場合には、増幅・欠失がないと考えられる領域ではCy3/Cy5のLog2Ratioは-0.27〜+0.38の範囲であった。しかし、Williams syndromeの患者で欠失している染色体領域7q11.23を有するBACクローンでは図8に示すように、Cy3/Cy5のLog2Ratioは-0.3〜-0.65の範囲であり、この領域がHeterozygousに欠失していると判定された。図8でCy3/Cy5のLog2RatioがDuplicateに-0.3〜-0.65に低下したBACクローンはRP11-159N6、RP11-144N6、RP11-367N11、RP11-614D7、RP11-598B14、RP11-73G23、RP11−1107O7、RP11-805G2、RP11-52A3、RP11-7M12、RP11-351B3、RP11-247L6、RP11-137E8であり、これらのBACクローンはすべて染色体17q11.23の領域に含まれる。従って、これらの結果より、本患者はWilliams syndromeと診断された。この診断は本患者に由来する染色体の解析とFISH法を用いて遺伝子の欠失を解析した結果からも支持されている。
(5)22q13欠失症候群はサブテロメア欠失症候群に属する疾患である。本疾患が疑われる患者に由来するDNAを用いた場合には、増幅・欠失がないと考えられる領域ではCy3/Cy5のLog2Ratioは-0.27〜+0.35の範囲であった。しかし、22q13欠失症候群の患者で欠失している染色体領域22q13を有するBACクローンでは図9に示すように、Cy3/Cy5のLog2Ratioは-0.54〜-0.92の範囲であり、この領域がHeterozygousに欠失していると判定された。図9でCy3/Cy5のLog2RatioがDuplicateに-0.54〜-0.92に低下したBACクローンはRP11-104M4、RP11-140I15であり、これらのBACクローンはすべて染色体22q13の領域に含まれる。従って、これらの結果より、本患者は22q13欠失症候群と診断された。この診断は本患者に由来する染色体の解析とFISH法を用いて遺伝子の欠失を解析した結果からも支持されている。
染色体異常に由来する疾患が疑われる患者より採取した血液よりゲノムDNAを調製し、本発明のCGHアレイを用いたComparative Genomic Hybridizationを行うことにより、先天性異常症(筋ジストロフィー、中枢神経系疾患、自閉症、癲癇、精神発達遅滞を含む)、家族性腫瘍を初めとする染色体異常に由来する疾患の確定診断が可能となる。
本実施例のCGHアレイにおけるBAC DNAのスポットの態様を例示した図面である。 本実施例のWilliams症候群に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。 本実施例のSmith-Magenis症候群に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。 本実施例のDuchenne Muscular DystrophyとPelizaeus Merzbacher Disease に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。 本実施例のDiGeorge 症候群に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。 本実施例のPrader-Willi and Angelman 症候群に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。 本実施例のCri du Chat 症候群に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。 本実施例のWilliams症候群に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。 本実施例の22q13欠失症候群症候群に対する蛍光強度比を指標とした結果を示した図面である。

Claims (8)

  1. BAC DNA、YAC DNA、または、PAC DNAの、複数種類の遺伝子増幅産物として得たヒトゲノムDNAの一部または全部が、当該遺伝子増幅産物毎に定着している、ヒトゲノムDNAの定着基盤。
  2. ヒトゲノムDNAが、先天性異常症疾患で欠失または増幅する領域のゲノムDNAである、請求項1記載のヒトゲノムDNAの定着基盤。
  3. ヒトゲノムDNAが、家族性腫瘍の原因遺伝子を含む領域のゲノムDNAである、請求項1記載のヒトゲノムDNAの定着基盤。
  4. ヒトゲノムDNAが、染色体のサブテロメア領域のゲノムDNAである、請求項1記載のヒトゲノムDNAの定着基盤。
  5. 健常人のゲノムDNAが定着している請求項1〜4のいずれかに記載の定着基盤に、それぞれ異なる蛍光色素で標識した対照ゲノムDNAと被験ゲノムDNAを同時に接触させてハイブリダイズを行うことにより得られる蛍光色を指標として、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出する、検出方法。
  6. 請求項2記載の定着基盤に、それぞれ異なる蛍光色素で標識した対照ゲノムDNAと被験ゲノムDNAを同時に接触させてハイブリダイズを行うことにより得られる蛍光色を指標として、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出することにより、被験ゲノムDNA提供者の先天性異常症疾患の診断を行う、検出方法。
  7. 請求項3記載の定着基盤に、それぞれ異なる蛍光色素で標識した対照ゲノムDNAと被験ゲノムDNAを同時に接触させてハイブリダイズを行うことにより得られる蛍光色を指標として、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出することにより、被験ゲノムDNA提供者の家族性腫瘍の診断を行う、検出方法。
  8. 請求項4記載の定着基盤に、それぞれ異なる蛍光色素で標識した対照ゲノムDNAと被験ゲノムDNAを同時に接触させてハイブリダイズを行うことにより得られる蛍光色を指標として、被験ゲノムDNAの特定領域の増幅または欠失を定量的に検出することにより、被験ゲノムDNA提供者の染色体の短腕並びに長腕のサブテロメア領域の欠失に起因する疾患の診断を行う、検出方法。
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