JP5330076B2 - 「肌あれ」のリスク評価法 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚のトラブルの評価方法に関し、具体的には、白血球数と、コリンエステラーゼ酵素活性と、中性脂肪の血中濃度とを利用する客観的な肌あれのリスク評価方法に関する。
今日のコスメティックビジネスにおいては、顧客の1人1人の肌のコンディションにあわせて最適な化粧品を提案したり、最適な美容ケアソリューションを提供するというような、顧客へのきめ細かな個別対応が求められている。肌のトラブルの評価には視診、専用の肌測定用機器等の手法を利用することが一般的である。しかしこれらの手法は、既に発生した肌のトラブルを評価することはできるが、肌のトラブルが将来発生するリスクを評価することはできない。
肌のトラブルが発生する要因のうち、気温、湿度又は紫外線のような環境要因や、精神的ストレスのような心理的要因は顧客が自覚している。しかし生理学的要因は顧客が直接自覚するものではないため、別途評価を行う意義がある。肌のトラブルの生理学的要因の候補としては、皮膚の血流の物理・化学的特性(組織血流量、組織酸素飽和度等)、ホルモン(ステロイド類(エストラジオール等)、プロラクチン等)、生体内の抗酸化力(ビタミンA、C等)等の生化学的特性、細胞外マトリクス等に関連する生化学的特性が考えられる。これらの特性を含む各種の生理学的指標を用いて肌のトラブルのリスクを評価する試みが行われた例はほとんどない。
肌のトラブルに関する大規模な調査を行って肌のトラブルと各種生理学的指標との関連の有無及びその程度を明らかにし、統計的な裏づけのある客観的な証拠すなわちエビデンスに基づいて、肌のトラブルのリスクを評価する方法を開発する必要がある。本発明の出願人によって「シミ」のリスク評価法(特許文献1)と、「くすみ」及び「シミ」のリスク評価法(特許文献2及び3)とが開発された。しかし、他の肌のトラブル、特に、「肌あれ」のリスク評価法はまだ知られていない。
特願2008−211821出願明細書 特願2008−211822出願明細書 特願2008−211823出願明細書
そこで、肌のトラブルのうち特に「肌あれ」に関する大規模な調査を行って「肌あれ」と各種生理学的指標との関連の有無及びその程度を明らかにし、統計的な裏づけのある客観的な証拠すなわちエビデンスに基づいて、「肌あれ」のリスクを評価する方法を開発する必要がある。
本発明は、肌あれのリスク評価方法を提供する。本発明の評価方法は、評価対象者の血中の白血球数、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量からなる群から選択される1種類又は2種類以上の測定値を指標として評価対象者の肌における肌あれのリスクを評価するステップを含む。
本明細書において「肌のトラブル」とは、肌の外観状態が正常でない状態を指し、ニキビ、肌あれ、シミ、くすみ等を含む。
本明細書において「肌あれ」とは、肌のトラブルの一種であって、肌表面の乾燥、皮溝・皮丘によって規定されるキメが乱れた状態をいう。肌あれした皮膚表面は、キメが乱れることによって鱗屑が発生し光学的に不規則となり目視によってその乱れを認知可能である。
本明細書における用語「肌のトラブルのリスク」又は「肌あれのリスク」は、それぞれ、既に発生している肌のトラブル又は肌あれが継続し、あるいは、増悪する蓋然性と、肌のトラブル又は肌あれが発生する潜在的な蓋然性とを含む。本明細書における用語「肌のトラブルのリスク評価」又は「肌あれのリスク評価」は、それぞれ、肌のトラブル又は肌あれのリスクの有無についての定性的な評価と、リスクの蓋然性についての定量的な評価とを含む。
本明細書において白血球は血液に含まれる造血幹細胞由来の細胞であり、体内に侵入した細菌、異物などの排除において重要な役割を果たす。白血球数は、感染症、炎症、アレルギー、白血病、骨髄増殖性疾患などの指標として用いられる。
本明細書においてC反応性タンパク質(CRP)は肺炎球菌のC多糖体と結合するタンパク質であり、炎症反応などによって血中に生じる。高感度CRP検査法によるCRP量は、炎症反応の強さ及び長さに相関するために炎症反応などの指標として用いられる場合がある。
本明細書においてコリンエステラーゼは、主に肝細胞で合成されて血中に放出される加水分解酵素であり、コリンエステルをコリンと有機酸とに加水分解する。コリンエステラーゼ酵素活性は、甲状腺亢進症、ネフローゼ症候群、肝硬変、肝炎、有機リン系薬物中毒などの指標として用いられる場合がある。
本明細書において中性脂肪は一般的にグリセロールに3個の脂肪酸が結合したグリセリンエステルをいい、血液中の中性脂肪の多くはトリグリセリドである。中性脂肪は生体内でのエネルギー貯蔵において重要な役割を果たす。中性脂肪量は、肥満症、動脈硬化、高脂血症、低中性脂肪血症などの指標として用いられる。
以下の実施例で詳しく説明するとおり、本発明は、被験者の白血球数、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量の測定値が高いほど当該被験者が肌あれを有する蓋然性が高いという発明者らの調査結果に基づいて完成された。
本発明の方法の血中の白血球数、CRP量、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量の測定は、臨床検査の分野の当業者に周知のいかなる検定方法を使用して実施されてもかまわない。
評価対象者の血中の白血球数、CRP量、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量の測定値を指標として評価対象者の肌における肌あれのリスクを評価するための判断基準は、統計学的な手法により設定される場合がある。統計学的な手法により設定される判断基準は、血中の白血球数、CRP量、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量の測定値と評価対象者の肌における肌あれの程度とを関連づける判別関数の場合がある。前記判断基準は、血中の白血球数、CRP量、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量の測定値と評価対象者の肌における肌あれの有無とを関連付ける判別関数をも併用するステップワイズ判別分析の場合がある。
測定値及び解析結果の表示例として、第1群及び第2群の被験者における白血球数、CRP量、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量についての測定値及び解析結果を示したグラフ。 121個の測定項目についてのステューデントt検定により取得した肌あれの有無の要因に関する帰無仮説に対する危険率(p)とを示した表。 121個の測定項目についてのステューデントt検定により取得した肌あれの有無の要因に関する帰無仮説に対する危険率(p)とを示した表。 121個の測定項目についてのステューデントt検定により取得した肌あれの有無の要因に関する帰無仮説に対する危険率(p)とを示した表。 121個の測定項目についてのステューデントt検定により取得した肌あれの有無の要因に関する帰無仮説に対する危険率(p)とを示した表。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
肌あれの有無及びその程度と、肌及び全身の所見との関連性の解析
方法
(被験者の選定)
健康な成人女性75名を対象として、後述の皮膚科医による視診、生理学的・医学的測定、肌・身体測定(以下、「視診等」という。)の被験者を選定するためのアンケート調査を実施した。アンケート調査の前に、前記75名の成人女性には試験の概要が説明され、アンケート調査への協力について口頭による同意を得た。このアンケート調査における主な質問項目を表1に示す。アンケート調査の結果から、現在の顔の肌の状態(顔の肌のトラブルを有すること)及び体質(顔の肌のトラブルを発生しやすいこと)についての自覚の有無及び程度を基準として、皮膚科医による視診の対象とする被験者を選定した。選定の際に、被験者が、ニキビの肌のトラブルのみ自覚があること、並びに、顔の肌の状態及び体質に影響を与える可能性がある他の生活習慣、健康状態等について特に自覚がないことを確認した。
Figure 0005330076
アンケート調査の結果、前記75名の成人女性から、肌あれに関する顔の肌の状態及び体質について顕著な自覚を有する者26名と、肌あれに関する顔の肌の状態又は体質について自覚をほとんど有しない者12名との計38名の被験者を選定した。
(被験者による同意)
前記アンケート調査の結果として選定された38名の被験者を対象として、文書に基づいて試験内容等について説明した。その上で、皮膚科医による視診等への参加について被験者の自由意志に基づく文書による同意を得た。
(皮膚科医による視診)
前記アンケート調査の結果として選定された38名の被験者を対象として、後述の生理学的・医学的測定及び肌・身体測定の被験者を選定するための皮膚科医による視診を実施した。この視診では、資生堂ビューティーソリューション開発センターにおいて肌の状態の視感評価に使用される基準を示した「視感評価マニュアル」に基づき、肌あれの度合いを評価した。この評価結果を基準として、顕著な肌あれを有する者と、肌あれをほとんど有しない者とを、前記皮膚科医の判断で選定した。また視診当日には、体調、精神的ストレス、制限事項の遵守状態等についてアンケート調査を実施し、視診結果に影響を与える可能性のある項目への回答が特異な傾向を示さないことを確認した。この結果として、前記38名の被験者から、15名の被験者が以下に示す第1群及び第2群に分けられた。
・肌あれに関する顔の肌の状態及び体質について顕著な自覚を有し、かつ、顕著な肌あれを有する被験者(第1群の被験者)10名
・肌あれに関する顔の肌の状態又は体質について自覚をほとんど有さず、かつ、肌あれをほとんど有しない被験者(第2群の被験者)5名
前記15名の被験者を選定する過程で、以下に示す除外基準に抵触する者は除外した。
除外基準
a.現在治療目的に通院し、医薬品を服用(使用)している者
b.妊娠している者、授乳中の者、妊娠の予定のある者
c.他の臨床試験に参加中の者
d.その他、試験責任医師あるいは試験担当医師が不適当と判断した者
(生理学的・医学的測定及び肌・身体測定)
前記15名の被験者を対象として、生理学的・医学的測定及び肌・身体測定を実施した。生理学的・医学的測定における測定内容は、血液検査、尿検査、血管硬化度測定、頸動脈内膜中膜複合体肥厚(IMT)測定、筋力測定、体組織測定、呼吸機能検査、循環検査、聴力検査、声の老化検査及び自律神経バランス検査である。肌・身体測定における測定内容は、角層水分量測定、経表皮水分蒸散量測定、皮脂量測定、肌拡大画像撮影、顔写真撮影、肌粘弾性測定、肌色測定、肌血流測定、肌表面温度測定、総合肌診断、基礎代謝測定及び体温測定であった。また測定当日には、体調、精神的ストレス、制限事項の遵守状態等についてアンケート調査を実施し、測定結果に影響を与える可能性のある項目への回答が特異な傾向を示さないことを確認した。
血液検査は、試験担当医師が被験者の肩肘の内側の静脈より真空採血管を用いて採取した血液試料(被験者1人当たり25mL)を使用して行った。血液試料は採取後直ちに冷蔵保管した。その後血液試料についてグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)酵素活性、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)酵素活性、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GTP)酵素活性、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)酵素活性、コリンエステラーゼ酵素活性、蛋白分画、アルブミン/グロブリン比、アルブミン濃度、クレアチニン濃度、尿酸値、総コレステロール量、LDLコレステロール量、SD−LDLコレステロール量、HDL2コレステロール(HDL2)量、HDL3コレステロール(HDL3)量、中性脂肪量、遊離脂肪酸量、リポ蛋白a量、レムナント様リポ蛋白c量、血糖値、ヘモグロビンA1c量、グルコアルブミン濃度、Cペプチド濃度、成長ホルモン(インスリン様成長因子−1(IGF−1))濃度、甲状腺ホルモン濃度、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)濃度、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA−s)濃度、フリーテストステロン濃度、プロゲステロン濃度、プロラクチン濃度、エストラジオール濃度、NK細胞活性、グラニュライシン濃度、インターロイキン−6濃度、インターロイキン−10濃度、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値、血小板数、フェリチン量、血清過酸化脂質(血清LPO)量、鉄濃度、銅濃度、血清総抗酸化能(STAS)、ビタミンC濃度、葉酸濃度、ビタミンB12濃度、ルテイン量+ゼアキサンチン量、β−クリプトキサンチン濃度、リコピン濃度、α−カロテン濃度、β−カロテン濃度、ビタミンA濃度、α−トコフェロール濃度、δ−トコフェロール濃度、γ−トコフェロール濃度、α−トコフェロール/総トコフェロール比、ユビキノール(還元型CoQ10)濃度、ビタミンB濃度、ビタミンB濃度、ビタミンB濃度、コエンザイムQ10(CoQ10)酸化率、高感度CRP検査法によるCRP量、総ホモシステイン量、高分子アディポネクチン量、フィブリノゲン量、総プラスミノーゲンアクティベーターインヒビター(総PAI−1)量、細胞間接着分子−1(ICAM−1)量、P−セレクチン量、非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)量、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)量、マトリックスメタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)量、アポEフェノタイプ及び脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)量を定法により分析した。
尿検査は、被験者が各自で適当量採取した尿試料を使用して行った。採取した尿試料について、尿中アルブミン濃度、尿中シスタチンC濃度、尿中シスタチンC/クレアチニン比、尿デオキシピリジノリン量、8−ヒドロキシ−デオキシグアノシン(8−OHdG)量、8−OHdG生成速度及びイソプラスタン生成速度を定法により分析した。
脈管特性測定としては、血圧の測定と、動脈硬化度の測定と、血管硬化度の測定と、加速度波の測定と、眼底検査とを実施した。血圧の測定は、自動血圧計BP203RV−11(日本コーリン株式会社)を使用して収縮期血圧及び拡張期血圧の測定を実施した。動脈硬化度の測定は、フォルムPWV(日本コーリン株式会社)及びVS−1000(フクダ電子株式会社)を使用して脈波伝導速度(PWV)を測定することにより実施した。血管硬化度の測定は、CVMS2000(株式会社オサチ)を使用して足首上腕血圧指数(ABI=下肢血圧/上肢血圧)を測定することにより実施した。加速度波の測定は、アルテット(株式会社ユメディカ)を使用して実施した。眼底検査は、CR5(キャノン株式会社)を使用して眼底画像を撮影することにより実施した。
頸動脈内膜中膜複合体肥厚(IMT)測定としては、nemio550(東芝社)を使用して、被験者の頸部にプローブをあて超音波によるIMTの測定を実施した。
筋力測定としては、一般的な握力計により握力を測定した。
体組織測定としては、骨量及び骨密度の測定と、体脂肪率及び四肢筋肉量の評価と、身長及び体重の測定とを実施した。骨量及び骨密度の測定は、AS−100(アロカ株式会社)を使用してインピーダンス法により、また、PRODIGY(GE横河メディカルシステム株式会社)を使用してDXA法(二重X線評価法)により実施した。体脂肪率及び四肢筋肉量の評価は、In Body(株式会社バイオスペース)及びTBF202(株式会社タニタ)を使用してインピーダンス法により実施した。身長及び体重の測定は、通常の身長計及び体重計を使用して実施した。身長及び体重の測定結果からボディマス指数(BMI)を算出した。
呼吸機能検査としては、肺活量の測定と、酸素飽和度の測定とを実施した。肺活量の測定は、スパイロメーターHI−701(日本光電工業株式会社)を使用して実施した。酸素飽和度の測定は、パルスオキシメーター(カシオ計算機株式会社)を使用して実施した。
循環検査としては、生体アンプECG9321(日本光電工業株式会社)を使用して四肢に装着した電極により心電図を測定した。
聴力検査としては、一般的な健康診断に用いる機器を使用して、高音域及び低音域それぞれの一般聴力検査を実施した。
声の老化検査としては、SUGI Speech Analyzer(株式会社アニモ)を使用して、マイクより取り込んだ音声データを解析し、発声音の周波数帯域のスペクトルより老化度を評価した。
自律神経バランス検査としては、アイリスメーター(アイリステック株式会社)を使用して、光に対する瞳孔反応速度を測定した。
角層水分量測定としては、頬の角層水分量の測定を実施した。被験者を、洗顔後恒温恒湿室内にて45分間安静にさせた後、頬の角層水分量をcorneometer(Courage+Khazaka electronic GmbH,Germany)を用いて測定した。5回測定し平均値を算出した。
経表皮水分蒸散量測定としては、頬の経表皮水分蒸散量の測定を実施した。被験者を、洗顔後恒温恒湿室内にて45分間安静にさせた後、頬の経表皮水分蒸散量をvapometer(Delfin Technologies Ltd,Finland)を用いて測定した。3回測定し平均値を算出した。
皮脂量測定としては、頬及び額の皮脂量の測定を実施した。被験者を、洗顔後恒温恒湿室内にて45分間安静にさせた後、頬及び額の皮脂量をSebumeter(Courage+Khazaka electronic GmbH,Germany)を用いて測定した。
肌拡大画像撮影としては、頬の肌拡大画像を撮影した。マイクロスコープ、照明装置及び記録装置から構成される独自開発の機器を使用して、8×6.2mm角の肌の拡大画像を取得し、キメの状態、角層の剥離状態等の評価を実施した。
顔写真撮影としては、全顔の正面及び左右側面の顔画像を撮影し、顔全体の肌のトラブルの評価を実施した。
肌粘弾性測定としては、頬の肌粘弾性の測定を実施した。被験者を、洗顔後恒温恒湿室内にて45分間安静にさせた後、頬の肌粘弾性をcutometer(Courage+Khazaka electronic GmbH,Germany)を用いて測定した。cutometerは、頬の肌を吸引(500mb、2秒間)した後1秒間開放するサイクルを5回繰り返すよう設定し、表皮の柔軟性と真皮の粘弾性とを評価した。
肌色測定としては、頬の肌色と、眼の下の肌色との測定を実施した。被験者を、洗顔後恒温恒湿室内にて45分間安静にさせた後、頬の肌色と眼の下約3.5cm部分の肌色とをCM−2600d(コニカミノルタセンシング株式会社)を用いて測定した。3回測定し平均値を算出した。
肌血流測定としては、頬の肌血流をオメガモニターTR BOM−L1TR SF(オメガウエーブ株式会社)を用いて測定した。
肌表面温度測定としては、全顔の表面温度を測定した。被験者を、洗顔後恒温恒湿室内にて45分間安静にさせた後、全顔の表面温度をサーモグラフィーTVS−8502(日本アビオニクス株式会社)を用いて測定した。
総合肌診断は、スキンビジオムII(株式会社資生堂)を使用して実施した。
基礎代謝測定は、携帯用カロリーメーターMETAVINE model VMB−005N(株式会社ヴァイン)を使用して実施した。安静にさせた被験者の3分間の呼気量と呼気中の酸素濃度とを測定し、単位時間当たりの酸素摂取量から消費カロリーを推定した。
体温測定は、仁丹平型体温計(森下仁丹株式会社)を使用して実施した。
上述の一連のアンケート調査、皮膚科医による視診、生理学的・医学的測定及び肌・身体測定は、ヘルシンキ宣言及び疫学研究に関する疫学指針の精神に則り、事前に作成した試験実施計画書を遵守して実施した。
(生理学的・医学的測定及び肌・身体測定の結果の解析)
第1群及び第2群の15名の被験者に対して実施した生理学的・医学的測定及び肌・身体測定により取得された測定データを使用して、顔の肌のトラブル(肌あれ)の有無と、生理学的・医学的測定及び肌・身体測定の測定値との関連性の解析を行った。先ず、測定項目ごとに、かつ、顔の肌のトラブルごとに、測定値及び解析結果をグラフ化し、視覚的にデータの傾向を把握した。次いで、顔の肌のトラブルの有無と、生理学的・医学的測定及び肌・身体測定の測定値との関連性を評価するために、各測定項目ごとに、肌あれの有無(第1群/第2群)についてそれぞれステューデントt検定を実施し、肌のトラブルの有無の要因に関する帰無仮説に対する危険率(p)を算出した。
結果
前記アンケート調査と皮膚科医による視診との結果選定された第1群/第2群の15名の被験者に対して生理学的・医学的測定及び肌・身体測定を実施し、測定データを得た。
図1に、測定値及び解析結果の表示例として、測定値及び解析結果の例として、第1群及び第2群の被験者における一部の測定項目についての測定値の分布及び解析結果を示したグラフを示す。前記測定項目は、図1では、白血球数、CRP量、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量である。それぞれのグラフの縦軸は各測定項目の測定値を示す。縦軸の太い部分は各測定項目についての医学的な正常値の範囲を示す。それぞれのグラフにおける各点は、第1群(左)及び第2群(右)の各被験者の測定値を示す。各被験者の測定値は、被験者ごとに記号(×、△、○等)を対応させて示す。原則として各測定項目について同一の記号は同一の被検者であることを表す。各測定項目名の下に記載される2桁の数値は、ステューデントt検定で算出された肌あれの有無の要因に関する帰無仮説に対する危険率(p)である。このようにして測定項目ごとに測定値及び解析結果をグラフ化し視覚的にデータの傾向を把握した。その後、測定値の再現性、測定値に影響を及ぼす肌あれの有無の要因等について検討した。
図2−1ないし2−4では、121個の測定項目を表示する。その内訳は、血管の老化度11個と、血液の老化度22個と、ホルモンバランス8個と、免疫バランス4個と、一般検査15個と、体の構成11個と、酸化ストレス10個と、抗酸化力16個と、その他11個と、肌についての測定値13個とである。各測定項目ごとに、項目の名称と、ステューデントt検定により算出された肌あれの有無の要因に関する危険率(p)とを表示する。危険率(p)については、測定項目ごとの測定値及び解析結果のグラフの検討から肌あれの有無の要因の測定値への影響がありそうだと考えられた項目と、生理学的な仮説等から興味深いと考えられた項目とについての算出結果を表示した。
肌あれと脂質代謝関連指標との関係
図2に示すとおり、有意水準を5%としたときに肌あれの有無の要因による効果が有意であった項目は、深部組織血流(StO)、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量であり、それぞれの危険率(p)は、3.3、3.9%及び2.6%であった。以上の結果から、深部組織血流(StO)、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量と、肌あれの有無との間には、被験者におけるその測定値が高いほどその被験者は肌あれを有する蓋然性が高いという、特有の傾向が存在することが示された。
脂肪酸及び過酸化脂質によるバリア機能障害、医科学的な脂漏性皮膚炎の病態などから皮脂分泌が肌あれと関係することは明らかである。しかし、図2−4に示すとおり、今回の調査結果から、額及び頬の皮脂量に関する危険率(p)はそれぞれ24.7%及び78.4%であって、健康な女性に関しては肌あれの有無の要因による効果が有意ではなかった。そこで、血中のコリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量は、皮脂分泌促進を介して肌あれに関係しているわけではない。したがって、この試験結果の解析から見出された、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量と肌あれの有無との関係は、肌あれの生成の機構に関係する既存の概念から容易に導き出すことができたとはいえない。
その他
有意水準を10%としたときに、肌あれの有無の要因による効果が有意であった上記以外の測定項目は、フィブリノゲン量(p=9.2%)、SD−LDLコレステロール量(6.1%)、レムナント様リポ蛋白c量(9.1%)、白血球数(8.0%)、赤血球数(6.0%)及びCペプチド(9.7%)であった(図2)。以上の結果から、フィブリノゲン量、SD−LDLコレステロール量、レムナント様リポ蛋白c量、白血球数、赤血球数及びCペプチドは、被験者におけるその測定値が高いほどその被験者は肌あれを有する蓋然性が高いということを補足するのに有用であることが示された。
上記指標の多くは脂質代謝と関係があり、皮脂の過剰な分泌は、脂肪酸・過酸化脂質の影響でバリア機能の障害を生じることを知られているが、本研究では皮脂量には差はなかった。また肌あれに有効とされるビタミンAなどの栄養素の血中濃度、ストレスに関連するホルモン濃度にも差異は認められなかった。さらに、白血球数の増大は炎症と関係がある可能性を示すが、炎症マーカーであるCRP量や、免疫バランスに関係する項目のNK細胞活性、グラニュライシン、インターロイキン6及び10も差異は認められなかった。したがって、以上の結果は、肌あれの生成の機構に関係する既存の概念から容易に導き出すことはできない知見である。

Claims (1)

  1. 評価対象者の血中の、白血球数、コリンエステラーゼ酵素活性及び中性脂肪量からなる群から選択される1種類又は2種類以上の測定値を指標として評価対象者の肌における肌あれのリスクを評価するステップを含むことを特徴とする、美容のための肌あれのリスク評価方法。
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