JP5322077B2 - 側鎖にシロール環および/またはゲルモール環を有する新規重合体 - Google Patents

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本発明は、電子輸送性を有する発光材料、電子機能材料および光機能材料として適用可能なシロール環および/またはゲルモール環(以下、両者を併せてメタロール環ということがある)を側鎖に有する新規重合体に関するものである。
シクロペンタジエン構造中にSiを有するシロール環(シラシクロペンタジエン)誘導体は電子受容性や蛍光を示すことが知られており、機能性材料としての有用性が着目されており、その合成方法にも検討が加えられている。
例えば、非特許文献1には、2位と5位にフェニル基を有するシロール誘導体を、1,4−ジリチオ−1,3−ブタジエンとケイ素化合物から得る方法が記載されている(下式参照)。
Figure 0005322077
また、特許文献1には、テルロフェンとリチウム試薬を作用させ、続いてシラン誘導体を反応させて2,5−ジ置換シラシクロペンタジエン(シロール)を得る方法が開示されている。
これらの文献に開示される方法はいずれもアルカリ金属化合物を用いており、これらは空気中の酸素・二酸化炭素・水分等と高い反応性を有しているため、製造工程が煩雑になったり、特殊な製造装置を用いなければならない。その上、特許文献1の方法では、−78℃という低温で反応させているため、反応環境のコントロールが難しいという問題があった。
上記問題に鑑み、本願発明者等は、ジイン化合物とモノイン化合物から[2+2+2]付加環化反応を利用してベンゾメタロールを容易に得る方法、ジイン化合物と有機金属化合物からトランス付加環化反応を利用して2,5−二置換メタロールを容易に得る方法、分子内環化反応によりメタロール環含有化合物を容易に得る方法を見出し、それぞれ既に出願している(特願2006−66496号、特願2007−20053号、特願2007−19971号)。
しかし、メタロール環含有化合物を有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の機能性材料として工業的に使用するには、塗膜を形成できることが望ましく、塗膜化の一手段として、低コスト化にもつながる高分子量化が求められている。
このような観点から、メタロール環含有化合物の重合体を得る方法がいくつか検討されている(例えば、特許文献2〜6)。しかし、これらの従来技術においては、単量体であるメタロール環含有化合物が、それぞれ、特殊な合成方法に起因して特殊な構造であったり、重合方法に起因して得られる重合体が特殊な構造となったりして、メタロール重合体の構造上の自由度が少ない。
また、上記従来技術では、シロール環を重合体の主鎖に組み込んでπ共役またはσ共役を伸ばそうとするものであり、シロール環本来の電子的特性を充分活用できているとはいえないものがあった。
「ケミカル レビュー」、90巻、p.215〜263,1990年発行(Chem. Rev., 90, 215-263(1990)) 特開平11−246567号公報 特開平6−100669号公報 特開平7−300489号公報 特開平10−310590号公報 特開平11−255779号公報 特開2003−231741号公報
そこで本発明では、シロール環や、シロール環と同等の電子的特性を有するゲルモール環を側鎖に有する新規重合体を提供することを課題として掲げた。
本発明の新規重合体は、主鎖が炭素−炭素結合からなり、側鎖にシロール環および/またはゲルモール環を含有する構成ユニットを有するところに特徴を有している。この構成ユニットのみからなる新規重合体が好ましく、単一種類の構成ユニットのみからなる新規重合体がより好ましい。これらの環の有する電子的特性等を有効に活用するためである。
上記構成ユニットの少なくとも一部または全部において、シロール環および/またはゲルモール環は、主鎖の炭素と第1の芳香環または複素環を介して結合していることが好ましい。この場合において、上記シロール環および/またはゲルモール環は、上記第1の芳香環または複素環とは別に、第2の芳香環または複素環を置換基として有しており、第1の芳香環または複素環と第2の芳香環または複素環は、上記シロール環および/またはゲルモール環において、2位と5位の関係にあることが好ましい。単量体の合成が容易だからである。
本発明の新規重合体は、側鎖にシロール環および/またはゲルモール環を含有する構成ユニットを有しているため、これらのメタロール環の有する蛍光性や電子受容性等を損なうことなく活用できる。また、本発明の新規重合体は、テトラヒドロフラン等の汎用の有機溶剤に溶解するため、この重合体溶液を用いることで、塗膜の形成が容易である。また、低分子のメタロール環含有化合物に比べて、重合体は耐熱性にも優れている。
本発明の新規重合体は、主鎖が炭素−炭素結合からなり、側鎖にシロール環および/またはゲルモール環を含有する構成ユニットを有するところに特徴を有している。
シロール環は1個のSiを環中に有する5員環化合物であり、ゲルモール環は1個のGeを環中に有する5員環化合物である。SiとGeのそれぞれには、2個の水素が結合していてもよく、ハロゲン(−F,−Cl,−Br,−I)、アルキル基(−R)、アリール基(−Ar)、アルコキシ基(−OR)、アリールオキシ基(−OAr)、アルキニル基(−C≡C)、アルケニル基(−C=C)、アミノ基(−NH2)およびシリル(Si)基よりなる群から選択されるいずれか2個の基(これらは同一でも異なっていてもよい。)が結合していてもよい。
あるいは、ヘテロ原子を介し/または介さずに、SiまたはGeを含む単環/または縮合環を形成していても良い。ここで、上記単環または縮合環は、さらに、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介し/または介さずに、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基(−Rf)、アルキルカルボニル基(−C(=O)R)、アリールカルボニル基(−C(=O)Ar)、アルキルカルボニルオキシ基(−OC(=O)R)、アリールカルボニルオキシ基(−OC(=O)Ar)、アルキルオキシカルボニルオキシ基(−OC(=O)OR)、アリールオキシカルボニルオキシ基(−OC(=O)OAr)、アミノ基(−NH2)、ニトロ基(−NO2)、ニトロソ基(−NO)、アゾ基(−N=NH)、スルファニル基(−SR)、スルホニル基(−SO2R)、スルフィニル基(−S(=O)R)、ホスファニル基(−PR2)、ホスフィニル基(−P(=O)R2)、ホスホリル基(−P(=O)(OR)2)、シアノ基(−CN)、イソシアノ基(−NC)、シアナト基(−OCN)、イソシアナト基(−NCO)、チオシアナト基(−SCN)、カルバモイル基(−C(=O)NH2)、ホルミル基(−CHO)、ホルミルオキシ基(−OC(=O)H)、シリル(Si)基、スタンニル(Sn)基、ボリル(B)基またはヘテロ環基を、置換基として有していてもよい。以下、これらの単環または縮合環に置換基として結合し得る基を、「上記置換基」という。
上記例示において、Rは、炭素数1〜18程度までのアルキル基を意味し、直鎖状、分岐したもの、脂環構造を有するものの、いずれも含まれる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等である。この定義は、以下においても同様である。また、Arは、芳香族性を有する5員環以上の環式化合物(芳香環)であって、ベンゼン、ナフタレン等の炭素環(ビフェニル等も含む)、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、セレン等のへテロ原子等を含む複素環等を意味する。
メタロール環は、Si、Ge以外の位置に、上記置換基を有していてもよい。
上記メタロール環は、直接主鎖の炭素に結合してもよく、また、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介して、主鎖に結合してもよい。好ましいのは、アリーレン基(第1芳香環または複素環)を介した構成である。この第1芳香環または複素環は、上記置換基を有していてもよい。中でも好ましいのは、フェニレン基を介してメタロール環が主鎖の炭素に結合している態様である。この態様の新規重合体は、置換基として少なくとも1個のメタロール環を有するスチレン誘導体を重合させることにより得られることとなる。
第1芳香環または複素環に結合したメタロール環には、さらに第2芳香環または複素環が結合していることが好ましい。このとき、メタロール環においては、第1芳香環または複素環と第2芳香環または複素環とが2位と5位の関係にあることが好ましい。単量体の合成が容易だからである。第2芳香環または複素環も上記置換基を有していてもよい。
本発明の新規重合体においては、側鎖にシロール環を含有する構成ユニット(シロール環ユニット)と、側鎖にゲルモール環を含有する構成ユニット(ゲルモール環ユニット)の両方を有するものであってもよい。また、この場合、シロール環ユニットにおける第1芳香環または複素環および第2芳香環または複素環は、ゲルモール環ユニットにおける第1芳香環または複素環および第2芳香環または複素環とは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。さらに、同じメタロール環を含み置換基は異なるような2種以上の構成ユニットを有するものであってもよく、この場合においても、それぞれのユニットにおける第1芳香環または複素環および第2芳香環または複素環は同じであっても異なっていてもよい。
例えば、上記第1芳香環または複素環と第2芳香環または複素環とが2位と5位の関係にあるメタロール環を側鎖に有する構成ユニットは、下記式(1)で表される。
Figure 0005322077
[式(1)中、2つのH(D)は、それぞれ独立に水素または重水素を意味し、MはSiまたはGeを意味し、R'は水素またはメチル基を意味し、R1、R2は、それぞれ同一もしくは異なって、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、アミノ基またはシリル基を意味する。また、R1、R2は共同して、ヘテロ原子を介し/または介さずに、単環状/または縮合環状に結合していてもよい。ここで、上記単環状または縮合環状に結合した基は、さらに、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、SiおよびGeのいずれかを介し/または介さずに、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を、置換基として有していてもよい。R3〜R11は、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基およびアリーレンオキシ基のいずれかを介し/または介さずに、水素、重水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキニル基、アルケニル基、パーフルオロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、スルファニル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスファニル基、ホスフィニル基、ホスホリル基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、カルバモイル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、シリル基、スタンニル基、ボリル基またはヘテロ環基を意味する。]
また、下記のいずれか1種以上の他の構成ユニットを有する重合体であってもよい。なお、下記ユニットにおいては記載を省略したが、上記式(1)のR'、R1〜R11と同様の置換基を有していてもよい。なお、下記式のRは置換基を有していてもよいアルキレン基である。
Figure 0005322077
本発明の新規重合体における側鎖にメタロール環を有する構成ユニットにおいては、主鎖は炭素−炭素結合からなる。よって、本発明の新規重合体は、上記メタロール環とエチレン性不飽和二重結合を分子内に有する化合物を必須的に含む単量体成分の重合によって得られる。上記ユニットにおける主鎖の炭素には、上記置換基が結合していてもよい。
第1芳香環と第2芳香環とが2位と5位の関係にあるような2,5−二置換メタロールの有する第1芳香環にエチレン性不飽和二重結合を有する基(ビニル基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、フッ化ビニル基、フッ化ビニリデン基等)を導入すれば、本発明の新規重合体を得るための好適な単量体が得られる。例えば、ビニルフェニル基(スチレン部分)を有するジイン化合物と、有機SiまたはGe化合物とをトランス付加環化反応させる(特願2007−19971号記載の方法)と、メタロール環を有するスチレン誘導体(下記式(2))を得ることができる。
上記式(1)で表される構成ユニットを得るための好ましい単量体は下記式(2)で示される。
Figure 0005322077
[式中、M,H(D),R1〜R11の意味は式(1)と同じ意味である。]
また、上記した他の構成ユニットを重合体中に導入することのできる単量体の例は下記の通りである。
Figure 0005322077
これらは、ジイン化合物とモノイン化合物から[2+2+2]付加環化反応を利用してベンゾメタロールを容易に得る方法(特願2006−66496号)、分子内環化反応によりメタロール環含有化合物を容易に得る方法(特願2007−20053号)等を利用して合成することができる。
単量体成分の重合方法としては、ラジカル重合、カチオン重合およびアニオン重合のいずれも可能である。ラジカル重合は、公知の通り、熱や光重合開始剤によってラジカルを発生させ、エチレン性不飽和二重結合の連続付加反応により重合する方法である。塊状重合、溶液重合、乳化重合、いずれも採用可能である。
カチオン重合は、活性な水素イオンまたはカチオンによる重合法で、プロトン酸やハロゲン化金属を重合開始剤として用いることが多い。
アニオン重合は、NaやK等のアルカリ金属;Naナフタレン等のアルカリ金属・芳香族化合物;n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウム;アルキルアルミニウム等を開始剤として用いる重合である。開始剤量の調整によって幅広い範囲で分子量を調整することが可能な点で,アニオン重合が好ましい。開始剤量は、反応に用いる単量体成分に対して0.001モル%〜50モル%の範囲内で所望の分子量の重合体が得られるように調整すればよい。
単量体の反応溶液中の濃度は特に限定されず,塊状重合も可能であるが,生産性や反応熱の除熱、反応後の溶液濃度を考慮すれば、1〜80質量%が好ましい。用いることのできる溶媒としては、ヒドロキシル基、カルボニル基、ハロゲンなどの反応性基を含まず、開始剤と重合体とを溶解できるものが好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類や、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。連鎖移動反応や停止反応を抑制するために、水のような開始剤との反応性を有する化合物を排除して重合を行うことが好ましい。
重合温度は幅広い範囲が適用できるが、連鎖移動反応や停止反応を抑制し、所望の分子量を得やすくするためには、80℃以下が好ましく、50℃以下がさらに好ましい。所望の分子量の重合体が得られ、アニオン重合を停止させたい際には、水、メタノールやエタノール等のアルコール類といった活性水素を有する化合物や、これらの化合物に少量の塩酸等の酸性化合物を加えた混合液等を反応系に添加すればよい。
本発明の新規重合体は、上記した側鎖にメタロール環を有する構成ユニットのみからなるものであってもよい。この場合、シロール環を有する構成ユニットとゲルモール環を有する構成ユニットの両方を有するコポリマーや、同じメタロール環を有しているが置換基が異なる2以上の構成ユニットからなるコポリマーであってもよいし、いずれか一種類のユニットからなるホモポリマーであってもよい。さらには、従来公知のメタロール環を有しない単量体と共重合したものであってもよい。この場合、主鎖の炭素数Cと、メタロール環含有構成ユニットXとのモル比C/Xは1〜100の間とすることが好ましい。より好ましいC/Xの範囲は1〜20であり、さらに好ましくは2〜6である。C/Xが小さすぎると、メタロール環の有する電子的特性が充分に発現されないことがある。
共重合相手の単量体としてラジカル重合やアニオン重合の場合に用い得るものは、スチレンおよびその誘導体、ブタジエン等のジエン化合物、(メタ)アクリレート類、アクリロニトリル等が挙げられる。カチオン重合の場合は、一般的に、イソブテン、ビニルエーテル類、スチレンおよびその誘導体等が用いられる。
本発明の新規重合体の重量平均分子量(Mw)は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、100万以下が好ましい。なお、Mwは、GPCを用いて測定されたポリスチレン換算値を採用する。
本発明の新規重合体は、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ベンゼン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤に溶解する。
本発明の新規重合体を上記有機溶剤の1種または2種以上の混合溶媒に溶解させて溶液を作れば、溶液塗布法、すなわち、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェットプリント法等の公知の方法を用いて、簡単に塗布層を形成することができる。中でもスピンコート法が容易である。
溶液濃度は所望膜厚に応じて適宜変更可能である。ピンホールの発生を抑制するためには、膜厚は0.5nm以上、より好ましくは1nm以上とすることが推奨される。膜厚の上限は特に限定されないが10μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。これらの厚みの膜を溶液塗布法で製造する場合は、溶液濃度は0.01〜10質量%程度が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。例えば、スピンコート法で膜を形成する場合には、室温付近で、基材を100〜8000rpmで3秒以上回転させながら、溶媒を乾燥させるのが好ましい。スピンコート後、必要に応じて、減圧乾燥や20〜200℃の加熱処理を行ってもよい。
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例のみに限定されるものではない。
実験No.1
Figure 0005322077
窒素雰囲気下、1,1,2−トリフェニル−5−(4−ビニルフェニル)ゲルモール51mg(0.11mmol)をトルエン1.1g(1.27mL)に溶解させた。この溶液に1.6Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液7mg(n−BuLi0.017mmol)を室温(23℃)で滴下した。この溶液を室温で24時間撹拌した後、メタノールを加えて反応を停止させた。生じた沈殿を濾別し、乾燥させたところ、白〜淡黄色の固体24mgが得られた。
200MHz−NMR装置(「Unity Plus」;バリアン社製)を用いて、1H−NMR(溶媒;CDCl3)により、上記固体の構造を解析した。図1にNMRチャートを示した。0.3〜1.7ppmにメチル基(−CH3)およびメチレン基(−CH2−)のシグナルが、2.9〜3.3ppmにメチン基(>CH−)のシグナルが、6.0〜7.8ppmに芳香族炭化水素のシグナルが、それぞれ観測された。メチル基およびメチレン基は主鎖構造と末端ブチル基に由来し、メチン基は主鎖構造に由来し、芳香族炭化水素はフェニル基、フェニレン基およびゲルモール環由来と推定された。
また、これ以外のピークは不純物に由来し、0.1ppmはシリコングリース、1.6ppmは水、7.3ppmは残存クロロホルムである。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を測定した。GPC装置は、東ソー社製の「8020シリーズ」、カラムは昭和電工社製の「Shodex GPC K−805L」と「Shodex GPC K−804L」を用いた。カラム温度は40℃、溶離液はクロロホルムとした。上記物質のMnは2980、Mwは9050、Mw/Mn=3.04(いずれもポリスチレン換算)であった。
実験No.2(耐熱性試験)
実験No.1で得られた重合体3.2mgをクロロホルム1.0gに溶解させた。得られた溶液をガラス基板上に数滴垂らし、アクティブ社製スピンコーター「ACT−300D」を用いて2000rpmで60秒間スピンコートし、無色透明の薄膜No.1を作成した。
別途、1,1,2,5−テトラフェニルゲルモールをクロロホルム1.0gに溶解させた。得られた溶液をガラス基板上に上記と同様にしてスピンコートし、無色透明の薄膜No.2を作成した。
耐熱性を見るために、これらの薄膜No.1およびNo.2を、それぞれ100℃のホットプレートで10分間加熱し、自然冷却した。目視観察したところ、本発明の新規重合体からなる薄膜No.1は外観に変化がなかったが、1,1,2,5−テトラフェニルゲルモールからなる薄膜No.2は、白濁してしまった。本発明の新規重合体からなる薄膜の耐熱性が優れていることがわかる。
本発明の新規重合体は、側鎖にシロール環および/またはゲルモール環を含有する構成ユニットを有しているため、これらのメタロール環の有する蛍光性や電子受容性等を損なうことなく活用できる。また、本発明の新規重合体は、テトラヒドロフラン等の汎用の有機溶剤に溶解するため、この重合体溶液を用いることで、塗膜の形成が容易である。また、低分子のメタロール環含有化合物に比べて、重合体は耐熱性にも優れている。得られる塗布層は、メタロール環由来の電子物性も併せ持つ。よって、本発明の新規共重合体は、電子機器、例えば有機EL素子、太陽電池、コンデンサ、燃料電池、二次電池、センサー、ディテクター、光回路、光導波路、トランジスタ、電気回路などの構成部材、有機EL素子の中間層(正孔輸送層または電子輸送層等)、太陽電池の光電変換層等の電気・光機能材料として適用可能である。
実験No.1で得られた重合体のNMRチャートである。

Claims (3)

  1. 主鎖が炭素−炭素結合からなり、側鎖にシロール環および/またはゲルモール環を含有する構成ユニットを有する新規重合体であって、
    上記構成ユニットの少なくとも一部または全部において、上記シロール環および/またはゲルモール環は、主鎖の炭素と第1の芳香環または複素環を介して結合しており、
    上記シロール環および/またはゲルモール環は、上記第1の芳香環または複素環とは別に、第2の芳香環または複素環を置換基として有しており、
    第1の芳香環または複素環と第2の芳香環または複素環は、上記シロール環および/またはゲルモール環において、2位と5位の関係にあることを特徴とする新規重合体。
  2. 上記構成ユニットのみからなる請求項1に記載の新規重合体。
  3. 単一種類の上記構成ユニットのみからなる請求項2に記載の新規重合体。
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