JP5319273B2 - Frc磁場においてイオンおよび電子を駆動するシステムおよび方法 - Google Patents

Frc磁場においてイオンおよび電子を駆動するシステムおよび方法 Download PDF

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Description

(本発明の分野)
本発明は、概して、プラズマ物理学の分野に関し、特に、プラズマを閉じ込めて核融合を可能にし、融合生成物から電力にエネルギーを変換するための方法および装置に関する。
(本発明の背景)
融合とは、2つの軽い核が組み合わさって、より重い核を形成するプロセスである。融合プロセスは、高速移動する粒子の形態で相当なエネルギー量を放出する。原子核は、それに含まれる陽子によって正電気を帯びているので、それらの間には、反発する静電気的な力、すなわちクーロン力が存在する。2つの核を融合させるためには、この反発バリアに打ち勝たなければならないが、これは、クーロン力に打ち勝って核を融合するのに十分強力な核力になるように、2つの核を十分に近づけたときに生じるものである。核がクーロン力に打ち勝つために必要なエネルギーは、それらの熱エネルギーによって与えられるものであるが、非常に高くなければならない。例えば、温度が少なくとも10eV程度(約100万K(ケルビン)相当)であれば、その溶融速度を適用することができる。融合反応の測度は、温度の関数であり、反応度と呼ばれる量によって特徴づけられる。D(重水素)−T(トリチウム)反応の反応度は、例えば、30keV乃至100keVの幅広いピークを有する。
代表的な融合反応には:
D+D→He(0.8MeV)+n(2.5MeV)
D+T→α(3.6MeV)+n(14.1MeV)
D+He→α(3.7MeV)+p(14.7MeV)および
p+B11→3α(8.7MeV)
が挙げられる。ここで、Dは重水素、Tはトリチウム、αはヘリウム核、nは中性子、pは陽子、Heはヘリウム、B11はボロン−11をそれぞれ示す。
各式のカッコ内の数は、融合生成物の運動エネルギーを示す。
上式の最初の2つ(D−DおよびD−T反応)は、中性子であり、それらの融合生成物のほとんどのエネルギーが高速中性子によって担送されることを意味する。中性子反応の不利な点には、(1)高速中性子の磁束は、反応炉壁の構造的な損傷および大部分の構造材料の放射能レベルが高いことを含む、数多くの問題を生じさせること、および(2)高速中性子のエネルギーは、それらの熱エネルギーを電気エネルギーに変換することによって収集されるが、極めて非効率的(30%未満)である、ことが挙げられる。中性子反応の利点には、(1)それらの反応度のピークが比較的低温であること、および(2)重水素およびトリチウムの原子数は1個なので、放射によるそれらの損失が比較的低いこと、が挙げられる。
他の2つの式における反応物質(D−Heおよびp−B11)は、先進燃料と呼ばれる。高速中性子を作り出すのではなく、中性子反応などのように、それらの融合生成物が荷電粒子である。先進燃料の1つの利点には、それらが発生させる中性子がより少ないので、それらに関連する不利な点の影響を受けにくくなることがある。D−Heの場合、いくつかの高速中性子は二次反応によって作り出されるが、これらの中性子の占める割合は融合生成物のエネルギーの約10パーセントしかない。p−B11の反応では高速中性子は含まれないが、二次反応によって生じるがほとんど問題を起こさない、いくつかの低速中性子を作り出す。先進燃料の別の利点は、それらの融合生成物が、それらの運動エネルギーを電力に直接変換することが可能な、荷電粒子を含んでいることである。適切な直接エネルギー変換プロセスによって、先進燃料の融合生成物のエネルギーは、高い効率(90%を超える場合もある)で収集することが可能である。
先進燃料にも不利な点がある。例えば、先進燃料は、原子数が多い(Heは2個、B11は5個)ことである。したがって、それらの放射損失は、中性子反応の場合よりも大きい。また、先進燃料の融合は、さらに困難である。それらのピーク反応度はかなり高い温度で生じ、D−Tの反応度と同程度では到達しない。したがって、先進燃料との融合反応を生じさせるには、それらの反応度が有効となるような、より高いエネルギー状態に導く必要がある。故に、先進燃料は、適切な融合条件に導くことができるようになるまで、より長い時間封じ込めておかなければならない。
プラズマの封じ込め時間はΔt=r/Dであり、ここで、rは最小プラズマ寸法であり、Dは拡散係数である。拡散係数の古典値はDc=a /τieで表され、ここで、aはイオンのジャイロ半径であり、τieはイオン−電子の衝突時間である。古典的拡散係数による拡散は、古典的移送と呼ばれる。ボーム拡散係数(短波長の不安定性によるものと考えられる)は、D=(1/16)a Ωで表され、ここで、Ωはイオンのジャイロ周波数である。この関係による拡散は、異常輸送と呼ばれる。融合条件の場合は、
であり、異常輸送では、古典輸送よりも封じ込め時間がさらに短くなる。この関係では、所与の量のプラズマに対する封じ込め時間を、プラズマが核融合反応を起こすための時間よりも長くなければならない、という要件によって、どのくらいの大きさのプラズマを融合反応炉内に存在させなければならないかを決定する。したがって、古典移送の条件は、融合反応炉におけるものよりも望ましく、初期のプラズマをより小さくできる。
プラズマのトロイダル閉じ込めによる初期の実験では、
の封じ込め時間が観察された。この40年間で、封じ込め時間が
に増加した。既存の融合反応炉概念の1つに、トカマクがある。この30年間、融合に対する取り組みは、D−T燃料を使用したトカマク反応炉に重点を置いている。これらの取り組みは、国際熱核融合実験炉(International Thermonuclear Experimental Reactor:ITER)において頂点に達した。トカマクによる最近の実験では、古典移送、
は、最小のプラズマ寸法をメートルからセンチメートルに減じることができる場合に可能である。これらの実験は、プラズマを10乃至30keVの温度に加熱するために、エネルギービーム(50乃至100keV)の注入を伴う。W.HeidbrinkおよびG.J.Sadler、34 Nuclear Fusion 535(1994)を参照のこと。これらの実験では、エネルギービームのイオンは、減速されて古典的に拡散するが、熱的なプラズマは変則的に速く拡散し続けたことが観察された。これは、エネルギービームイオンが大きな旋回半径を有すること、すなわち、イオンジャイロ半径よりも短い波長(λ<a)の変動の影響を受けないことにある。この短い波長の変動は、サイクル全体を平均化して、相殺する傾向がある。しかし、電子は、さらに小さな旋回半径を有するので、変動および移送に変則的に反応する。
異常輸送によって、プラズマの最小寸法を、少なくとも2.8mにしなければならない。この寸法によって、ITERは高さ30m、直径30mとなった。これは、実行可能な最小のD−Tトカマク型反応炉である。D−Heおよびp−B11のような先進燃料の場合、燃料イオンが核反応を生じるための時間がさらに長くなるため、トカマク型反応炉をさらに大きくしなければならない場合がある。D−T燃料を使用したトカマク反応炉には、融合生成物のほとんどのエネルギーが14MeVの中性子によって担送されるため、中性子束による放射線障害が生じ、ほぼ全ての構造材料に反応度を誘発する、という更なる問題がある。加えて、それらのエネルギーの電力への変換は、熱的なプロセスによるものでなければならず、その効率は多くても30%である。
提案された別の反応炉構成に、衝突ビーム反応炉がある。衝突ビーム反応炉では、背景プラズマにイオンビームが衝突する。このビームは、熱的なプラズマよりも非常に大きなエネルギーを有するイオンからなる。この種の反応炉で有用な融合反応を作り出すことは、背景プラズマがイオンビームを減速することから実行不可能である。この問題を軽減して核反応の数を最大化するために様々な提案がなされた。
例えば、Jassbyらの特許文献1では、トロイダル閉じ込めシステムでの重陽子とトリトンとの衝突ビームのカウンターストリーミングを作り出す方法を開示している。Jassbyらの特許文献2では、電磁エネルギーを注入して、イオン種のうちの1つを引き込むバルク平衡プラズマの影響を打ち消している。トロイダル閉じ込めシステムは、1つのトカマクとみなされる。Rostokerの特許文献3では、重水素およびトリチウムのビームを注入して、トカマク、ミラー、または磁場反転配位におけるものと同じ平均速度で閉じ込めている。ビームを閉じ込める唯一の目的に対しては、低密度のクール背景プラズマがある。ビームが高温を有することによって反応し、主に注入されたイオンを伴う電子によって減速される。減速が最小である場合、電子は、イオンによって加熱される。
しかし、これらのデバイスのいずれにおいても、平衡電場はいかなる役割も果たしていない。さらに、いかなる異常輸送を減じるための試み、あるいは考察さえもなされていない。
他の特許では、イオンの静電気的閉じ込めや、一部の例では電子の磁気閉じ込めを考察している。こうした特許には、イオンの静電気的閉じ込めおよび電子の慣性閉じ込めを開示した、Farnsworthの特許文献4、およびFarnsworthの特許文献5;Farnsworthのものに類似した、Hirschらの特許文献6およびHirschらの特許文献7;イオンの静電気的閉じ込めおよび多極カスプ反射壁による電子のイオンの磁気閉じ込めを開示した、Limpaecherの特許文献8;およびLimpaecherに類似し、ポイントカプスを伴う、Bussardの特許文献9、が挙げられる。これらの特許のいずれも、電子の静電気的閉じ込めおよびイオンの磁気閉じ込めを考慮していない。イオンの静電気的閉じ込めに関しては数多くの研究プロジェクトが存在しているが、それらのいずれも、イオンが融合反応炉に対する所要の密度であるときの必要な静電場の確立に成功していない。最後に、上述の特許のいずれも、磁場反転配位磁気トポロジーについては述べていない。
磁場反転配位(Field Reversed Configuration:FRC)は、シータのピンチ実験中にNaval Research Laboratoryにおいて1960年頃に偶然発見されたものである。内部の磁場が反転する代表的なFRCトポロジーを図3および図5に示し、FRC内の粒子の軌道を図6および図9に示す。FRCに関しては、米国および日本において多くの研究計画が支援された。1960年から1988年のFRCの研究のうちの理論および実験上の包括的な総括書が存在する。M.Tuszewski、28 Nuckear Fusion 2033(1988)を参照のこと。FRC開発に関する白書には、1996年の研究および今後の研究のための提言が記載されている。L.C.Steinhauerら、30 Fusion Technology 116(1996)を参照のこと。今日まで、FRCの実験では、FRCをシータピンチ法によって形成していた。この形成方法の結果は、イオンはおよび電子がそれぞれ半分の電流を担送することによって、プラズマ内に無視できる静電場がもたらされ、静電気的閉じ込めが生じない、というものである。これらのFRCでは、イオンおよび電子は磁気的に封じ込められていた。ほとんどすべてのFRC実験では、異常輸送が見込まれている。一例として、Tuszewskiの2072ページ、1.5.2節の始めの部分を参照のこと。
米国特許第4,065,351号明細書 米国特許第4,057,462号明細書 米国特許第4,894,199号明細書 米国特許第3,258,402号明細書 米国特許第3,386,883号明細書 米国特許第3,530,036号明細書 米国特許第3,530,497号明細書 米国特許第4,233,537号明細書 米国特許第4,826,646号明細書
したがって、実質的にイオンおよび電子の異常輸送を減じる傾向のある閉じ込めシステム、および融合生成物のエネルギーを高効率で電力に変換するエネルギー変換システムを有する融合システムを提供することが望ましい。
(概要)
本発明は、磁場反転トポロジーを有する磁場における融合制御、および融合生成物エネルギーの電力への直接変換を容易にするシステムに関する。前記システムは、本願明細書ではプラズマ発電(Plasma−Electric power Generation:PEG)システムと称するが、実質的にイオンおよび電子の異常輸送を減じるか、または排除する傾向のある閉じ込めシステムを有する融合反応炉を備えることが好ましい。加えて、PEGシステムは、融合生成物のエネルギーを高効率で直接電力に変換する反応炉に連結されたエネルギー変換システムを含む。
一実施態様では、イオンおよび電子の異常輸送が実質的に減じられるか、または排除される傾向がある。イオンの異常輸送は、イオンを磁場反転配位(FRC)の磁場に磁気的に閉じ込めることによって回避さられる傾向がある。電子の場合、エネルギーの異常輸送は、外部印加磁場を調整して、強力な磁場を生じさせることによって回避されるが、これは、深い電位井戸に電子を閉じ込めるものである。その結果、現在の閉じ込め装置およびプロセスで使用することができる融合燃料プラズマは、融合燃料に限られず、好都合に先進燃料または無中性子燃料をも含む。無中性子燃料の場合、融合反応エネルギーは、ほぼ完全に荷電粒子、すなわちエネルギーイオンの形態であり、磁場内で操作することができ、燃料によるが、ほとんどまたは全く放射能を生じない。
好適な一実施態様では、融合反応炉のプラズマ閉じ込めシステムは、チャンバーと、実質的に主軸に沿った方向に磁場を印加するための磁場発生器と、イオンの循環ビームを含む環状プラズマ層とを備える。環状のプラズマビーム層のイオンは、実質的にチャンバー内で磁気的に軌道内に封じ込められ、電子は、実質的に静電気的エネルギー井戸内に封じ込められる。好適な一実施態様では、磁場発生器は、電流コイルを含む。磁場発生器は、チャンバーの端部に印加される磁場の大きさを増加させる、ミラーコイルをチャンバーの端部付近にさらに備えることが好ましい。システムはまた、中和されてイオンビームを磁場に注入するための1つ以上のビーム注入器であって、ビームは磁場によって生じた力で軌道に入るビーム注入器を備える。好適な実施態様では、システムは、磁場反転配位のトポロジーを有する磁場を形成する。
別の好適な実施態様では、代替炉を備え、チャンバー壁の中央領域内に方位角イメージ電流が形成されないようにして、磁束が速いタイムスケールでチャンバーに浸透できるようにする。主にステンレス鋼からなり、構造強度および良好な真空特性を有するチャンバーは、チャンバーのほぼ全長に沿って延在するチャンバー壁内に、軸方向の絶縁回路を含む。互いに約120°離れて、3つの中断部があることが好ましい。この中断部は、壁内に形成されるスロットまたは間隙を含む。断熱材、好ましくはセラミックなどからなるインサートをスロットまたは間隙に挿入する。チャンバーの内側では、金属シュラウドがインサートを覆う。チャンバーの外側では、ガラス繊維などで形成されることが好ましい密封板にインサートが取り付けられ、チャンバー壁のステンレス鋼の表面をOリングシールによって真空バリアを形成する。
さらに別の好適な実施態様では、チャンバー内には、誘導プラズマ供給源を載置することができ、高電圧(約5乃至15kV)の電源(図示せず)が供給されることが好ましい、ショックコイル組立体、好ましくはシングルターンショックコイルを含む。水素(または他の適切な気体の融合燃料)のような中性ガスは、ラバルノズルを経て直接ガス供給を介して供給源に導入される。ガスがノズルから放射されて、ショックコイルのコイルの巻線の表面に分散すると、巻線に電圧が加わる。低インダクタンスショックコイル内の超高速電流および磁束ランプアップは、ガス内で非常に高い電場をもたらし、ショックコイルの表面からチャンバーの中央平面の中央に向かう形成プラズマのブレークダウン、イオン化、およびその後の放出を生じさせる。
別の好適な一実施態様では、RF駆動装置は、チャンバー内に位置して、それらの間に間隙を有する4つの方位角方向に対称な電極を有する、四重極サイクロトロンを備える。四重極サイクロトロンは、イオンの方位角速度と同じ方向だが、それより速く回転する、電位波を作り出す。適切な速度のイオンを、この電位波に閉じ込めて、定期的に反射させることができる。このプロセスによって燃料イオンの運動量およびエネルギーが増加し、この増加が衝突によって閉じ込められていない燃料イオンに運ばれる。
別の実施態様では、直接エネルギー変換システムを使用して、電磁場を介して荷電粒子を減速することによって、融合生成物の運動エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。好都合に、本発明の直接エネルギー変換システムは、約5MHzの融合出力の周波数および位相を、外部の60Hzの電力網の周波数に適合するように変換するための有効性、粒子−エネルギーの許容度、および電子的な能力を有する。
好適な実施態様では、エネルギー変換システムは、融合反応炉の対向端部に連結された逆サイクロトロン変換器(Inverse Cyclotron Converter:ICC)を備える。ICCは、小さな直線の間隙がそれらの間に延在する複数の、好ましくは4つ以上の均等な半円筒電極で形成された、中空の円筒状のジオメトリを有する。動作中、電極には振動電位が交互に印加される。ICC内の電場Eは多極構造体であり、回転軸上でゼロになり、半径とともに線形に増加し、ピーク値は間隙において生じる。
加えて、ICCは、融合反応炉の封じ込めシステムの印加磁場に実質的に対向する方向に、均一の一方向性磁場を印加するための磁場発生器を含む。ICCは、融合反応炉電力コアから最も離れた端部にイオンコレクターを含む。電力コアとICCとの間に、対称磁気カスプがあり、ここでは封じ込めシステムの磁場とICCの磁場とを組み合わせる。環状電子コレクターは、磁気カスプの周辺部に配置され、イオンコレクターに電気的に連結される。
さらに別の好適な実施態様では、生成核および電荷中和電子は、それらのエネルギーの差異によって磁気カスプが電子とイオンを分離する密度を有する反応炉電力コアの両端部から、環状ビームとして現れる。電子は、電子コレクターへの磁力線に従って、イオンは、イオン軌道が、実質的にICCの長さに沿った螺旋状経路に従うように変更される、カスプを通過する。エネルギーは、イオンが電極を螺旋状に通過するときにイオンから取り除かれ、共振回路に接続される。垂直エネルギーの損失は、電場が最も強い電極の近くを最初に循環させる、最も高いエネルギーのイオンに対して最大となる傾向がある。
本発明の他の側面および特徴は、添付図面とともに用いられる以下の説明を考察することによって明らかとなろう。
図示したように、本発明のプラズマ発電システム(PEG)システムは、直接エネルギー変換システムに連結された衝突ビーム融合反応炉(Colliding Beam Fusion Reactor:CBFR)を含むことが好ましい。上述のように、理想的な融合反応炉では、イオンと電子の両方の異常輸送という問題を解決する。本願明細書に見出される異常輸送の問題に対する解決策では、磁場反転配位(FRC)を有する磁場による封じ込めシステムを使用する。イオンの異常輸送は、大部分のイオンが大きな非断熱軌道を有するようにして、それらが断熱イオンの異常輸送を生じさせる短波長の変動の影響を受けないようにして、FRC内に磁気的に閉じ込めることによって回避する。特に、FRC内に磁場がゼロになる領域の存在によって、非断熱イオンの大部分を含むプラズマを有することが可能になる。電子の場合、エネルギーの異常輸送は、外部印加磁場を調整して、強力な磁場を生じさせて、深い電位井戸内に電子を静電気的に閉じ込めことによって回避される。
現在の閉じ込め装置およびプロセスで使用することができる融合燃料のプラズマは、D−D(重水素−重水素)またはD−T(重水素−トリチウム)のような中性子燃料に限られず、好都合に、D−He(重水素−ヘリウム−3)またはp−B11(水素−ボロン−11)のような先進燃料または中性子燃料も含まれる。(先進燃料の考察については、R.FeldbacherおよびM.Heindlerの、Instruments and Methods in Physics Research、A271(1988)JJ−64(North Holland、Amsterdam)を参照のこと。)当該の中性子燃料に関しては、融合反応エネルギーは、ほぼ完全に荷電粒子、すなわちエネルギーイオンの形態であり、磁場内で操作することができ、燃料によるが、ほとんどまたは全く放射能を生じない。D−He3の反応では、18.2MeVのエネルギーを有するHイオンおよびHeイオンを作り出し、一方で、p−B11反応では、8.7MeVのエネルギーを有する3つのHeイオンを作り出す。無中性子燃料を用いた融合装置のための理想的なモデルによれば、出力エネルギーの変換効率は、約90%となりうる。これは、例えば、K.Yoshikawa、T.Noma、およびY.YamamotoのFusion Technology、19,870(1991)に記載されている。当該の効率は、拡張性があり(1乃至1000MW)、小型で低コストである構成の、無中性子融合に対する期待を大いに高めるものである。
本発明の直接エネルギー変換プロセスでは、融合生成物の荷電粒子を減速することができ、それらの運動エネルギーを直接電力に変換することができる。好都合に、本発明の直接エネルギー変換システムは、約5MHzの融合出力の周波数および位相を、外部の60Hzの電力網の周波数および位相に適合するように変換するための有効性、粒子−エネルギーの許容度、および電子的な能力を有する。
(融合封じ込めシステム)
図1は、本発明による封じ込めシステム300の好適な一実施態様を示す。封じ込めシステム300は、チャンバー壁305を備え、その中に閉じ込めチャンバー310を画定する。チャンバー310は、円筒状であり、チャンバー310の中心に沿って主軸315を備えることが好ましい。本封じ込めシステム300の融合反応炉への適用に関しては、チャンバー310の内部に真空または略真空を生じさせる必要がある。ベータトロンフラックスコイル320は、チャンバー310内に位置し、主軸315と同心である。ベータトロンフラックスコイル320は、直流に適応した電流担送媒体を備え、図に示されるように、好ましくは、複数の独立したコイルの平行な巻線を備えて、さらに好ましくは、およそ4つの独立したコイルの平行な巻線を備えて長いコイルを形成する。当業者は、ベータトロンコイル320を介した電流が、実質的に主軸315の方向に、ベータトロンコイル320内部に磁場をもたらすものと理解されよう。
チャンバー壁305の外側周辺には外部コイル325が存在する。外部コイル325は、実質的に主軸315と平行な磁束を有する、比較的一定の磁場を作り出す。この磁場は、方位角方向的に対称である。外部コイル325による磁場が一定で、軸315に平行である近似度は、チャンバー310の端部から離れたところで最も有効となる。チャンバー310の各端部には、ミラーコイル330が存在する。ミラーコイル330は、各端部においてチャンバー310の内部に増強した磁場を作り出すように構成され、磁力線は、各端部で内側に曲げられる。(図3および5を参照のこと。)上述のように、磁力線が内側に曲げられることで、プラズマ335が封じ込めシステム300から逃れることができる端部から、該プラズマを押しのけることによって、通常ミラーコイル330の間にあるチャンバー310内での、該プラズマの封じ込め領域への封じ込めが助力される。ミラーコイル330の巻き数を増やすこと、ミラーコイル330を通る電流を増加させること、またはミラーコイル330を外部コイル325に重ねることなどを含む、公知の様々な方法によって、端部に増強した磁場を作り出すように構成することができる。
図1に示されるように、外部コイル325およびミラーコイル330は、チャンバー壁305の外側に実装されるが、チャンバー310の内側であってもよい。チャンバー壁305を、金属のような導電材料で構成した場合は、磁場が壁305を介して拡散する時間が比較的長く、システム300の反応が緩慢になりうるので、コイル325および330をチャンバー壁305の内側に配置することが都合がよい。同様に、チャンバー310は、中空の円筒状とすることが可能であり、チャンバー壁305は長い環状リングを形成する。そのような場合、ベータトロンフラックスコイル320は、チャンバー壁305の外側で、その環状リングの中央に実装することが可能である。環状リングの中央部を形成する内壁は、非導電材料で構成できることが好ましい。明らかなように、チャンバー310は、循環プラズマビームまたは層335が所与の半径で主軸315の周辺を回転できるような、十分なサイズおよび形状のものとしなければならない。
チャンバー壁305は、鋼のような高透磁率の材料で形成することが可能である。そのような場合、チャンバー壁305は、材料に誘導された逆電流により、磁束がチャンバー310から逃れないように「圧縮」するように助力する。チャンバー壁を、プレキシがラスのような低透磁率の材料で作成した場合は、磁束を封じ込めるための別の装置が必要になりうる。そのような場合、一連の閉ループで平坦な金属リングを備えることが可能である。磁束デリミタとして公知のこれらのリングは、外部コイル325内だが、循環プラズマビーム335の外側に備えることになる。さらに、これらの磁束デリミタは、パッシブまたはアクティブとすることが可能であり、アクティブフラックスデリミタは所定の電流で駆動され、チャンバー310内での磁束の封じ込めをさらに容易にする。別様には、外部コイル325自体を、磁束デリミタとして機能させることが可能である。
以下に詳述するように、荷電粒子を含む循環プラズマビーム335は、外部コイル325による磁場が生じさせるローレンツ力によって、チャンバー310内に封じ込めることが可能である。このように、プラズマビーム335内のイオンは、外部コイル325からの力線の周辺部の大きなベータトロン軌道内に磁気的に封じ込められ、主軸315に平行である。1つ以上のビーム注入ポート340も、チャンバー310内の循環プラズマビームにプラズマイオンを追加するように備えられる。好適な一実施態様では、注入ポート340は、循環プラズマビーム335が封じ込められた主軸315からほぼ同じ半径方向(すなわち、下述するヌル面の周辺)でイオンビームを注入するように構成される。さらに、注入ポート340は、封じ込めたプラズマビーム335のベータトロン軌道の接線方向にイオンビーム350を注入するように構成される(図17を参照のこと)。
また、非エネルギープラズマの雲をチャンバー310に注入するための、1つ以上の背景プラズマ供給源345を備える。好適な一実施態様では、背景プラズマ供給源345は、プラズマ335をチャンバー310の軸中心へ導くように構成される。プラズマをこのように導くことで、プラズマ335の封じ込めがさらに助力され、チャンバー310内で、封じ込め領域内のプラズマ335の密度がより高くなることがわかっている。
(真空チャンバー)
上述のように、CBFRの封じ込めシステムの適用には、チャンバー内部に真空または略真空を生じさせる必要がある。中性燃料とプラズマ燃料との間の相互作用(分散、荷電交換)によって、常にエネルギーの損失経路が現れるので、反応チャンバー内の残留密度を制限することが重要である。さらに、十分に真空にされなかったチャンバーから得られる不純物は、動作中の副反応を汚染し、またこれらの不純物を通してシステムを燃焼させなければならないので、起動中に過剰なエネルギーを消耗させることになりうる。
良好な真空状態を得るには、通常、ステンレス構成のチャンバーおよびポートとともに、低ガス放出材料の使用を伴う。金属の場合、良好な真空特性は、さらに良好な構造特性と組み合わせられる。しかし、ステンレス鋼などのような導電材料は、それらの電気的特性に関して様々な問題を示す。これらの悪影響は全て関連するが、それらは異なる形で現れる。最も悪影響のある特性には次のようなものが挙げられる:チャンバー壁を介した磁場の遅延拡散;表面への電荷の蓄積;過渡信号に対するシステムの応答時間の急激な変化;および所望の磁気トポロジーに影響を及ぼす、表面におけるイメージ電流の形成。これらの不適当な特性を持たず、良好な真空特性を呈する材料には、セラミック、ガラス、石英、および炭素繊維の少ない絶縁体がある。これらの材料による主な問題は、構造的完全性、および突発的な損傷に対する潜在性である。セラミックの機械加工性の悪さのような製造上の問題は付加的限定事項である。
一実施態様では、図2A、2B、2C、および2Dに示されるように、これらの問題を最小限に抑える代替炉1310を備える。CBFRのチャンバー1310は、主に金属、好ましくはステンレス鋼などであり、構造強度および良好な真空特性を提供することが好ましい。なお、チャンバー1310の円筒壁1311は、チャンバー1310の中央部またはCBFRの電力コア領域内の、チャンバー1310のほぼ全長に沿って延在する、壁1311内の軸方向の絶縁回路1360を含む。図2に示されるように、互いに約120°離れて、3つの中断部があることが好ましい。中断部1360は、図2Cに示されるように、チャンバー1310の壁1311内にスロットまたは間隙1360を含み、スロット1362の周辺部に形成されたシール溝またはシート1369を備える。Oリングシール1367は、溝1369内で受ける。スロット1362は、図2Dに示されるように、2つの端部付近の壁1311の方位角方向に連続する部分を形成する十分なステンレス材料を残して、チャンバー1310のほぼ全長にわたって延在し、構造的完全性を提供するとともに端部において良質な真空シールを可能にする。構造的完全性の改善および爆縮の防止に関して、チャンバー1310は、図2Aに示されるように、チャンバー壁1311と一体的に形成されるか、または溶接などによってチャンバー壁1311の表面に連結された、複数組の部分的な方位角リブを含むことが好ましい。
図2Cに示されるように、間隙1362は、セラミック材料製のインサート1364で塞がれる。インサート1364は、チャンバー1310の内部にわずかに延在し、金属シュラウド1366によって内部が覆われ、副プラズマイオンの放出によって、循環プラズマビームからの主プラズマイオンとセラミック材料が衝突しないようにする。チャンバー1310の外部では、インサート1364は、チャンバー壁1311のステンレス鋼表面を有するOリングシール1367によって真空バリアを形成する、密封板1365に取り付けられる。望ましい真空特性を保つために、密封板1365は、ガラス繊維などのような基材で形成されることが好ましく、この基材は、特に内側への圧力がチャンバー1310をわずかに変形させる場合に、セラミック材料よりも柔軟で、Oリング1367とのより堅固なシールを形成する。
スロット1362内部のインサートまたはセラミック絶縁体1364は、電流が、間隙1362を横断してアーチすることを防ぎ、これによって、チャンバー壁1311内に方位角イメージ電流が形成されないようにすることが好ましい。イメージ電流は、レンツの法則を明示したものであり、磁束のあらゆる変化を打ち消す性質の傾向であり、例えば、下述するように、FRCの形成中にフラックスコイル1320に生じる磁束の変化である。チャンバー1310の円筒壁1311内にスロット1362がなければ、クラックスコイル1320内の磁束の変化によって、例えば、チャンバー1310内部の磁束の変化を相殺するように、ステンレス鋼壁1311内に、均等かつ逆の誘導電流が生じる。誘導されたイメージ電流は(誘導損失により)フラックスコイル1320に印加された電流よりも小さいが、このイメージ電流は、チャンバー1310内で印加されるか、または閉じ込められた磁場を大幅に減じる傾向があり、対応しない場合は、磁場トポロジーに悪影響を与え、チャンバー1310の内部の閉じ込め特性を変えてしまう。スロット1362が存在することで、方位角イメージ電流が、壁1311の方位角方向に連続した部分で、チャンバー1310の端部から離れて、チャンバー1310の中央部分に向かって壁1311内に形成されないようにする。チャンバー壁1311によってチャンバー1310の端部から間隔を置いた中央部分に向けて担送されうる唯一のイメージ電流は、スロット1362の縦軸に平行して流れる非常に弱い電流である。当該の電流は、チャンバー壁1311を長手方向に横切るイメージ電流によって作り出される磁気イメージ領域が、半径方向および方位角成分しか示さないので、FRCの軸方向の磁気閉じ込め領域には何も影響がない。チャンバー1310の端部付近の壁1311の方位角方向に連続的な導通部分内に形成された方位角イメージ電流は、この周辺の磁気トポロジーがプラズマの閉じ込めには重要でないので、チャンバー1310内部の閉じ込め特性に悪影響を与え、および/またはこれを変えてしまうといったことがない。
チャンバー壁1311内の方位角イメージ電流の形成を防ぐことに加えて、スロット1362は、磁束が領域およびミラーコイル1325および1330から、速いタイムスケールでチャンバー1310に浸透するための進路を提供する。スロット1362によって、サブミリ秒レベルの微調整が可能になり、その結果、印加磁場のフィードバック制御が可能になる。
(FRC内の荷電粒子)
図3は、FRC70の磁場を示す図である。システムは、その軸78に対して円筒対称性を有する。FRCには、磁力線の2つの領域、開放領域80および閉鎖領域82が存在する。この2つの領域を分割する面は、セパラトリックス84と呼ばれる。FRCは、磁場が零になる円筒状ヌル面86を形成する。FRCの中央部88において、磁場は、軸方向にはそれほど変化しない。端部90において、磁場は、軸方向にかなり変化する。中心軸78に沿った磁場は、FRC内で方向を反転するが、磁場反転配位(FRC)における「反転」という用語の由来である。
図4Aでは、ヌル面94の外側の磁場は、第一方向96にある。ヌル面94の内側の磁場は、第一方向に対向する第二方向98にある。イオンが方向100に移動する場合、そのイオンに作用するローレンツ力30はヌル面94の方を指す。これは、右手の法則を適用することによって容易に理解されよう。反磁性方向102に移動する粒子に関しては、ローレンツ力は常にヌル面94の方向を向いている。この現象は、下述するベータトロン軌道と呼ばれる粒子軌道を生じる。
図4Bは、逆反磁性方向104に移動するイオンを示す図である。この場合のローレンツ力は、ヌル面94から離れる方向を向いている。この現象は、下述するドリフト軌道と呼ばれる一種の軌道を生じる。イオンに対する反磁性方向は、電子に対して逆反磁性方向であり、逆の場合も同様である。
図5は、イオンの反磁性方向102に回転するプラズマ106のリングまたは環状の層を示す。リング106は、ヌル面86の周辺部に位置する。環状プラズマ層106によって発生する磁場108は、外部印加磁場110とともに、FRCのトポロジー(このトポロジーを図3に示す)を有する磁場を形成する。
プラズマ層106を形成するイオンビームには熱があるので、イオンの速度は、イオンビームの平均角速度で回転しているフレーム内にマクスウェル分布を形成する。異なる速度のイオン間の衝突は、融合反応をもたらす。このために、プラズマビーム層または電力コア106は、衝突ビームシステムと呼ばれる。
図6は、衝突ビームシステム内の主なタイプのイオン軌道(ベータトロン軌道112と呼ばれる)示す図である。ベータトロン軌道112は、ヌル円114を中心とする正弦波として表すことができる。上述のように、ヌル円114上の磁場は零になる。軌道112の面は、FRCの軸78に対して垂直である。この軌道112内のイオンは、それらの出発点116から反磁性方向102に移動する。ベータトロン軌道内のイオンは、半径方向(ヌル円114に対して垂直)に振動する、およびヌル円114に沿って並進する、の2つの動作を行う。
図7Aは、FRC内の磁場118のグラフである。グラフの横軸は、FRC軸78からの距離をcmで表したものである。磁場は、キロガウスで表される。グラフに示されるように、磁場118はヌル円半径120で零になる。
図7Bに示されるように、ヌル円付近を移動する粒子は、ヌル面86から離れる方向を向いている磁場の勾配126であると考えられる。ヌル円の外側の磁場は、第一方向122にあり、ヌル円の内側の磁場は、第一方向に対向する第二方向124にある。勾配ドリフトの方向はクロス積
によって与えられ、ここで、
は磁場の勾配であり、したがって、イオンがヌル円128の内側にあるか外側にあるかに関わらず、右手の法則を適用することによって、勾配ドリフトの方向が逆反磁性方向にあることが理解される。
図8Aは、FRC内の電場130のグラフである。グラフの横軸は、FRC軸78からの距離をcmで表したものである。電場は、V/cmで示される。グラフに示されるように、電場130はヌル円半径120の近くで零になる。
図8Bに示されるように、イオンに対する電場を解放しているが、ヌル面86から離れて、方向132および134を向いている。磁場は、上述と同様に、ヌル面86の内側および外側の逆の方向122および124である。これは、右手の法則を適用することによって、イオンがヌル円136の内側にあるか外側にあるかに関わらず、
ドリフトの方向が反磁性方向102にあることが理解できる。
図9Aおよび9Bは、別のタイプのFRC内の共通軌道示し、ドリフト軌道138と呼ばれる。ドリフト軌道138は、図9Aに示されるように、ヌル面114の外側に存在しうるか、または図9Bに示されるように、ヌル面の内側に存在しうる。ドリフト軌道138は、
ドリフトが優勢であれば反磁性方向に回転し、勾配ドリフトが優勢であれば逆反磁性方向に回転する。図9Aおよび9Bに示されるように、ドリフト軌道138は、出発点116から反磁性方向102に回転する。
図9Cに示されるように、ドリフト軌道は、相対的に大きな円周を回転する小さな円として考えることができる。小さな円142は、意味上の軸の周りを回転する144。また、大きな円146上を方向102に転がる。点140は、宇宙空間において138に類似した経路をたどる。
図10Aおよび10Bは、FRC151の端部でのローレンツ力の方向を示す。図10Aは、磁場150内を速度148で反磁性方向102に移動するイオンを示す。これは、右手の法則を適用することによって、ローレンツ力152が閉鎖端磁場領域にイオンを押し戻す傾向があることを理解することができる。したがって、この場合では、ローレンツ力152がイオンを閉じ込めている。図10Bは、磁場150内を速度148で逆反磁性方向102に移動するイオンを示す。これは、右手の法則を適用することによって、ローレンツ力152が開放端磁場領域にイオンを押し込む傾向があることを理解することができる。したがって、この場合では、ローレンツ力152がイオンを解放している。
(FRCにおける磁気的および静電気的閉じ込め)
プラズマ層106(図5を参照のこと)は、イオンの反磁性方向102に、ヌル面86の周辺部にエネルギーイオンビームを注入することによって、FRC内に形成することができる。(異なるFRCおよびプラズマリングの形成方法は下記に詳述する。)循環プラズマ層106では、ほとんどのイオンは、ベータトロン軌道112(図6を参照のこと)を有し、エネルギーがあり、非断熱である。したがって、それらのイオンは、異常輸送を生じさせる、短波長の変動の影響を受けない。
FRC内に形成され、平衡状態にあるプラズマ層106では、運動量の保存により、イオンの角速度ωと電子の角速度ωとの間の関係が与えられる。この関係は、次のようになる:
式1において、Zはイオンの原子番号であり、mはイオンの質量であり、eは電子電荷であり、Bは印加磁場の大きさであり、cは光速である。この関係には、印加磁場B、電子の角速度ω、およびイオンの角速度ωの3つの自由パラメータがある。これらのうちの2つがわかっていれば、3つ目を式1から決定することができる。
プラズマ層106は、イオンビームをFRCに注入することによって形成されるので、イオンの角速度ωは、ビームの注入運動エネルギーによって決定され、このWは次式で与えられる:
この場合、V=ωであり、ここで、Vはイオンの注入速度であり、ωはイオンのサイクロトロン周波数であり、rはヌル面86の半径である。このビーム内の電子の運動エネルギーは、電子の質量mが、イオンの質量mよりもかなり小さいので無視される。
ビームの一定の注入速度(一定のω)に関して、印加磁場Bは、異なる値ωが得られるように調整することができる。後述するように、外部磁場Bの調整により、プラズマ層の内側の静電場の異なる値も生じる。本発明のこの特徴を、図11Aおよび11Bに示す。図11Aは、同じ注入速度ω=1.35×10−1であるが、3つの異なる印加磁場Bから得られた電場(V/cm)の3つの線図を示す:
上記表におけるωの値は、式1に基づいて決定されたものである。ω>0は、式1においてΩ>ωを意味し、その結果、電子がそれらの逆反磁性方向に回転することが理解され得る。図11Bは、Bおよびω同一の値の組に対する電位(V)を示す。図11Aおよび11Bの横軸は、FRC軸78からの距離を表し、グラフにおいてcmで示される。電場および電位は、ωに大きく依存する。
上述の結果は、単純な物理的根拠から説明することができる。イオンが、反磁性方向内に回転するとき、イオンはローレンツ力によって磁気的に閉じ込められる。これを図4Aに示した。電子がイオンと同じ方向に回転する場合、ローレンツ力は逆方向にあるので、電子は閉じ込められない。電子がプラズマから離れ、その結果、過剰の正電荷が発生する。これは、他の電子がプラズマから離れないようにする電場を設定する。この電場の方向および大きさが、平衡において、運動量の保存によって決定される。
静電場は、電子とイオン両方の輸送に関する重要な役割を果たす。したがって、本発明の重要な側面は、強い静電場が、プラズマ層106の内側に発生され、この電場の大きさが、容易に調節できる印加磁場Bの値によって制御されることである。
説明されるように、ω>0の場合、静電場が電子を閉じ込める。図11Bに示されるように、井戸の深さは、印加磁場Bを調整することによって増加させることができる。ヌル円の近くの非常に狭い領域を除いて、電子は、常に小さなジャイロ半径を有する。したがって、電子は、異常に速い拡散速度を有する短波長の変動に応答する。実際に、この拡散は、融合反応が生じると、電位井戸を保持するのを助力する。この融合生成物のイオンは、かなり高いエネルギーを有するので、プラズマから離れる。電荷を準中性に保持するために、融合生成物は、この融合生成物を用いてプラズマから電子を引き出さなければならず、主に、プラズマ層の表面から電子を取り出す。プラズマの表面の電子の密度は非常に低く、融合生成物によってプラズマから離れる電子は置換されなければならず、さもなければ、電位井戸が消失する。
図12は、電子のマクスウェル分布162を示す。マクスウェル分布の尾部160からの非常に高エネルギーの電子のみが、プラズマの表面に到達することができ、融合イオンとともに離れることができる。したがって、この分布162の尾部160は、ヌル面の近くの高密度の領域で、電子同士の衝突によって連続的に発生する。この高エネルギーの電子は、さらに小さなジャイロ半径を有するので、異常な拡散により、逸脱する融合生成物のイオンに適応するのに十分高速にこの電子が表面に到達できるようにする。この高エネルギー電子は、電位井戸を上昇させるエネルギーを失い、ごくわずかなエネルギーを残す。この電子は、磁場を迅速に横切ることができるが、ほとんどエネルギーが移送されないので、異常輸送による異常なエネルギーの損失が回避される傾向にある。
この電位井戸の別の結果は、気化冷却と類似する、電子のための強力な冷却機構である。例えば、水を気化させるためには、気化潜熱を供給しなければならない。この熱は、残りの水および周囲の媒体によって供給され、次いで、熱輸送プロセスがエネルギーを置換できるよりも早く、より低い温度に迅速に熱化する。同様に、電子に関して、電位井戸の深さは、水の気化潜熱に等しい。この電子は、マクスウェルの尾部のエネルギーを再供給する熱化プロセスによって、電子が脱出できるように、電位井戸を上るために必要とされるエネルギーを供給する。したがって、この熱化プロセスは、いずれの加熱プロセスよりもかなり速いので、より低い電子温度をもたらす。電子とプロトンとの質量差のために、プロトンからのエネルギー移動時間は、電子熱化時間の約1800倍未満である。この冷却機構はまた、電子の放射損失を減じる。このことは、特に、先進燃料のために重要であり、放射損失は、原子番号Zが1より大きい(Z>1)燃料イオンによって増強される。
静電場は、イオン輸送にも影響を及ぼす。プラズマ層106内の大部分の粒子軌道は、ベータトロン軌道112である。大角度の衝突、すなわち、90°乃至180°の散乱角での衝突は、ベータトロン軌道をドリフト軌道に変える可能性がある。上述のように、ドリフト軌道の回転方向は、
ドリフトと勾配ドリフトとの間の競合によって決定される。
ドリフトが優勢であれば、ドリフト軌道は反磁性方向内に回転する。勾配ドリフトが優勢であれば、ドリフト軌道は逆反磁性方向内に回転する。これを図13Aおよび13B示す。図13Aは、180°衝突に起因する、ベータトロン軌道からドリフト軌道への移行を示し、これは、点172で生じる。
ドリフトが優勢であるので、ドリフト軌道は反磁性方向に回転し続ける。図13Bは、別の180°衝突を示すが、この場合、静電場は弱く、勾配ドリフトが優勢である。したがって、ドリフト軌道は、逆反磁性方向内に回転する。
ドリフト軌道の回転方向は、それが閉じ込められるかどうかを決定する。ドリフト軌道内を移動する粒子は、FRC軸に対して平行な速度も有する。その平行移動の結果として、粒子がFRCの一端から他端まで移動するのにかかる時間は、移動時間と呼ばれ、したがって、ドリフト軌道は、移動時間のオーダーの時間で、FRCの端部に到達する。図10Aに関連して示されるように、FRCの端部でのローレンツ力は、反磁性方向に回転するドリフト軌道のみを閉じ込めている。したがって、移動時間の後、逆反磁性方向で回転しているドリフト軌道内のイオンが失われる。
この現象は、全てのFRC実験において存在していると予想されるイオンの消失機構を説明するものである。実際に、これらの実験において、イオンは電流の半分を担送し、電子が残りの半分を担送した。これらの条件では、プラズマの内側の電場は無視してよく、勾配ドリフトは常に
ドリフトよりも優勢であった。したがって、大角度の衝突によって作り出される全てのドリフト軌道は、移動時間の後、失われた。これらの実験により、イオンの拡散速度が、古典的拡散の推定値によって予測される速度よりも速いことが報告された。
強力な静電場が存在する場合、
ドリフトは勾配ドリフトよりも優勢であり、ドリフト軌道は反磁性方向に回転する。これは、図13Aに関連して上記したものである。これらの軌道が、FRCの端部に到達するとき、これらは、ローレンツ力によって、閉鎖端磁場領域に反射して戻される。したがって、それらは、システム内に閉じ込められたままである。
衝突ビーム系中の静電場は、
ドリフトが勾配ドリフトよりも優勢であるように、充分に強力とすることが可能である。したがって、システムの静電場は、このイオン損失機構(これはミラーデバイスにおける損失円錐と類似している)を排除することによって、イオン輸送を回避する。
イオン拡散の別の側面は、ベータトロン軌道上の小角度の電子−イオン衝突の影響を考慮することによって、理解することができる。図14Aは、ベータトロン軌道112を示す図である。図14Bは、小角度の電子−イオン衝突が考えられる場合174の同じ軌道112を示す。図14Cは、10分の1長い時間176にわたって追跡した図14Bの軌道を示す。図14Dは、20分の1時間178にわたって追跡した図14Bの軌道を示す。ベータトロン軌道のトポロジーは、小角度の電子−イオン衝突に起因して変化しないことが分かる。しかし、それらの半径方向の振動の振幅は、経時的に大きくなる。実際に、図14A乃至14Dに示される軌道は、経時的にふくらみ、これは、古典的拡散を示す。
(FRCの形成)
FRCの形成に使用される従来のプロシージャは、主にシータピンチ領域の反転プロシージャを用いる。この従来の方法では、中性ガス裏込めチャンバーを囲む外部コイルによって、バイアス磁場が印加される。これが生じると、ガスがイオン化され、バイアス磁場はプラズマ内で凍結される。次に、外部コイル内の電流を急速に反転させて、対向させて配向した磁力線を以前に凍結した磁力線と接続して、FRCの閉じたトポロジーを形成する(図3を参照のこと)。この形成プロセスは、ほぼ経験的であり、FRCの形成を制御する手段はほとんど存在しない。この方法は、再現性が不十分であり、調整能力がない。
対照的に、本発明のFRC形成方法は、十分な制御を可能にし、さらに透明で再現可能なプロセスを提供する。実際に、本発明の方法によって形成されたFRCは、調整することが可能であり、その形状および他の特性は、外側の磁場コイル325によって印加磁場を操作することによって直接的に影響を及ぼすことができる。本発明の方法によるFRCの形成はまた、上述の方法で、電場および電位井戸の形成をもたらす。さらに、本方法を容易に拡張して、リアクターレベルパラメーターおよび高エネルギー燃料電流までFRCを加速し、イオンの古典的閉じ込めを好都合に可能にする。さらにまた、この技術は、小型装置に用いることができ、非常に堅牢であり、かつ実装が容易であるが、これらは全て反応器システムの非常に望ましい特性である。
本方法では、FRCの形成は、循環プラズマビーム335に関連する。循環プラズマビーム335は、これが電流であるので、円形ワイヤー内の電流と同様に、ポロイダル磁場を発生させる、と理解することができる。この循環プラズマビーム335の内側で、それが誘導する自己磁場は、外側コイル325による外部印加磁場に対向する。プラズマビーム335の外側で、自己磁場は、印加磁場と同じ方向にある。プラズマイオン電流が十分大きい場合、自己磁場は、印加磁場に打ち勝って、磁場が循環プラズマビーム335の内側へ反転し、これによって、図3および5に示されるようにFRCトポロジーを形成する。
磁場反転の要件は、単純なモデルで推定することができる。大きな半径rおよび小さな半径a<<rのリングによって担送される電流Iを考える。このリングに垂直なリングの中心の磁場は、B=2πI/(cr)である。リングの電流I=Ne(Ω/2π)は、角速度Ωを有するNイオンによって担送されるものと仮定する。半径r=V/Ωで循環する単一のイオンについて、Ω=eB/mcが外部磁場Bのサイクロトロン周波数である。Vがビームイオンの平均速度であると仮定する。磁場反転は、次式で定義される:
これは、N>2r/α、および
を意味し、ここで、α=e/m=1.57×10−16cmであり、このイオンビームのエネルギーは
である。一次元モデルにおいて、プラズマ電流による磁場は、B=(2π/c)iであり、ここで、iは、単位長さあたりの電流である。この磁場反転の要件は、i>eV/πrα=0.225kA/cmであり、ここで、B=69.3Gであり、そして
である。周期リングのモデルについて、Bzは、軸座標<Bz>=(2π/c)(I/s)(sは、リングの間隔である)で平均化され、s=rである場合、このモデルは、i=I/sを有する一次元モデルと同じ平均磁場を有する。
(複合ビーム/ベータトロン形成技術)
上述の閉じ込めシステム300内にFRCを形成する好適な方法は、本願明細書において、複合ビーム/ベータトロン技術と呼ばれる。この手法では、プラズマイオンの低エネルギービームと、ベータトロンフラックスコイル320を使用するベータトロン加速とを組み合わせる。
この方法の第1のステップでは、背景プラズマ供給源345を使用して、チャンバー310内に、実質的に環状の雲の層の背景プラズマを注入する。外側コイル325は、チャンバー310の内側に磁場を作り出すが、これは、背景プラズマを磁化させるものである。低エネルギーのイオンビームは、短い間隔で、チャンバー310内の外部印加磁場に対して実質的に横軸方向に、注入ポート340を介してチャンバー310に注入される。上述のように、イオンビームは、大きなベータトロン軌道のチャンバー310内で、この磁場によって捕捉される。このイオンビームは、イオンダイオードおよびMarx発生器を備えた加速器のような、イオン加速器によって発生させることができる(R.B.Miller,An Introduction to thePhysics of Intense Charged Particle Beams,(1982)を参照のこと)。当業者に理解されるように、印加磁場は、イオンビームがチャンバー310に入るとすぐに、この注入されたイオンビームにローレンツ力を及ぼすが、このビームは偏向せず、イオンビームが循環プラズマビーム335に到達するまでベータトロン軌道に入らないことが望まれる。この問題を解決するために、イオンビームは電子によって中和され、図15に示されるように、イオンビーム350が、チャンバー310内の一方向性の印加磁場のような、適切な磁場を介して導かれるときに、正に荷電されたイオンおよび負に荷電された電子を分離する。したがって、このイオンビーム350は、磁場によって、電気自己分極を得る。この磁場は、例えば、永久磁石またはイオンビームの経路に沿った電磁石によって作り出すことができる。続いて、閉じ込めチャンバー310に導入されるときに、得られる電場は、ビーム粒子への磁力と釣り合い、イオンビームが偏向せずにドリフトできるようにする。図16は、イオンビーム350がプラズマ335と接触する場合のイオンビーム350の上面図を示す。示されるように、プラズマ335からの電子は、ビーム350に向かって、または遠ざかるように磁力線に沿って移動し、これによって、ビームの電子分極を弱める。このビームがもはや電気的に分極されなくなった場合、ビームは、図1に示されるように(図5も参照のこと)、主軸315の周辺部のベータトロン軌道内の循環プラズマビーム335を結合する。
このプラズマビーム335が、このベータトロン軌道内を移動する場合、移動するイオンは電流を含み、次いで、ポロイダル自己磁場を生じる。このチャンバー310内でFRC位相を形成するには、プラズマビーム335の速度を増加させ、これによって、プラズマビーム335が生じさせる自己磁場の大きさを増加させる必要がある。この自己磁場が十分大きい場合、プラズマビーム335内の軸315からの半径距離における磁場の方向が反転し、FRCを生じる(図3および5を参照のこと)。ベータトロン軌道内における循環プラズマビーム335の半径距離を維持するには、プラズマビーム335の速度が増すにつれて、外側コイル325から印加される磁場を増加させる必要がある、と理解することができる。したがって、制御システムが、外側コイル325を通る電流によって決定される、適切に適用された磁場を維持するために提供される。別様には、第2の外側コイルを使用して、加速されるときにプラズマビームの軌道半径を維持するために必要とされる、更なる印加磁場を提供してもよい。
この軌道内の循環プラズマビーム335の速度を増加させるために、ベータトロンフラックスコイル320を備える。図17を参照すると、アンペールの法則によってベータトロンフラックスコイル320を流れる電流を増加させることによって、チャンバー310内の方位角電場Eを誘導する、と理解することができる。プラズマビーム335内の正に荷電されたイオンは、この誘導された電場によって加速され、上述のような反転電場に至る。上述のように中和および分局されたイオンビーム350が、循環プラズマビーム335に加えられる場合、プラズマビーム335は、イオンビームを脱分極する。
場の反転のために、循環プラズマビーム335を、約100eVの回転エネルギー、好ましくは約75eV乃至125eVに加速することが好ましい。融合に関連する条件に到達するためには、循環プラズマビーム335を、約200keV、好ましくは約100keV乃至3.3MeVに加速することが好ましい。
FRC形成は、結合ビーム/ベータトロン形成技術を使用して、成功裏に実証された。結合ビーム/ベータトロン形成技術は、最高500Gの外部印加磁場、ベータトロンフラックスコイル320からの最高5kGの磁場、および1.2×10−5トルの真空度を使用して、直径1mおよび長さ1.5mのチャンバー内で実験的に実施された。実験では、背景プラズマの密度が1013cm−3であり、イオンビームは、密度が1.2×1013cm−3、速度が2×10cm/s、およびパルス長が約20μs(半分の高さにて)を有する中和水素ビームであった。場の反転が観察された。
(ベータトロン形成技術)
閉じ込めシステム300内でFRCを形成する別の好適な方法を、本願明細書においてベータトロン形成技術と呼ぶ。本技術は、ベータトロン誘導電流の直接駆動に基づいて、ベータトロンフラックスコイル320を使用して循環プラズマビーム335を加速する。本技術の好適な実施態様では、図1に示される閉じ込めシステム300を使用するが、低エネルギーイオンビームの注入は必ずしも必要ではない。
示されるように、ベータトロン形成技術における主要構成要素は、チャンバー310の中心に軸に沿って載置された、ベータトロンフラックスコイル320である。コイルの別個の平行の巻線構造により、コイル320は、適切な電源に連結された場合に、非常に低いインダクタンスを示し、低いLC時定数を有し、これによって、フラックスコイル320における電流の迅速なランプアップが可能になる。
FRCの形成は、外部場コイル325および330に電圧を加えることによって開始することが好ましい。これは、端部付近に軸方向のガイド領域、および半径方向の磁場成分を提供して、チャンバー310に注入されたプラズマを軸方向に閉じ込める。十分な磁場が確立されると、背景プラズマ供給源345が、それ自体の電源から電圧を加えられる。プラズマ銃から放射されたプラズマは、軸方向のガイド領域に沿って流れ、その温度によって、わずかに拡散する。プラズマがチャンバー310の中央平面に到達したとき、ゆっくり移動する冷たいプラズマの、連続した軸方向に延びる環状層が構築される。
この時点で、ベータトロンフラックスコイル320に電圧が加えられる。このコイル320内の電流が急激に増加することによって、コイルの内側に、高速に変化する軸方向の磁束が生じる。誘導作用による軸方向の磁束におけるこの急速な増加によって、方位角電場Eの生成が生じ(図18を参照)、この電場Eは、フラックスコイル周辺の空間を透過する。マクスウェルの式により、この電場Eは、コイルの内側の磁束強度の変化に正比例する。すなわち、ベータトロン電流のランプアップが速くなるほど、より強い電場がもたらされる。
誘導により生じた電場Eは、プラズマ内の荷電粒子と結合し、動重力(ponderomotive force)を生じさせ、環状プラズマ層内の粒子を加速する。電子は、それらの比較的小さい質量により、加速される最初の種である。したがって、このプロセスによって形成される最初の電流は、主に電子によるものである。しかし、十分な加速時間(約数百マイクロ秒)は、最終的にイオン電流ももたらす。図18を参照する。この電場Eは、反対の方向に電子およびイオンを加速する。両方の種がその終端速度に達すると、電流は、イオンおよび電子によってほぼ均等に担送される。
上述のように、回転プラズマによって担送される電流は、自己磁場を生じる。プラズマ層内の電流により生じた自己磁場が、外部磁場コイル325および330からの印加磁場に相当するようになったときに、実際のFRCのトポロジーの生成が始まる。この時点で、磁気的な再結合が生じ、最初に外部から作り出された磁場の開放端磁場が閉じて、FRCフラックス表面を形成し始める(図3および図5を参照のこと)。
この方法によって確立される基礎のFRCは、中程度の磁場および粒子エネルギーを示し、これらは、一般的に、反応炉に関連する作動パラメータではない。しかし、誘導電子加速領域は、ベータトロンフラックスコイル320内の電流が高速度で増加し続ける限り存在する。このプロセスの効果は、FRCのエネルギーおよび全磁場強度が増加し続けることである。したがって、このプロセスの程度は、電流の継続した供給には、多量エネルギー貯蔵バンクが必要であるので、主にフラックスコイル電源により制限される。しかし、原則的に、このシステムを反応炉に関連する条件まで加速することは簡単である。
磁場の反転のために、循環プラズマビーム335が、約100eVの回転エネルギー、好ましくは約75eV乃至125eVに加速されることが好ましい。融合に関連する条件に到達するために、循環プラズマビーム335は、約200keV、好ましくは約100keV乃至3.3MeVに加速されることが好ましい。上述のように、イオンビームが循環プラズマビーム335に付加された場合、プラズマビーム335は、このイオンビームを脱分極する。
ベータトロン形成技術を用いたFRC形成は、以下のパラメータレベルにて成功裏に実証された:
・真空チャンバー寸法:直径約1m、長さ1.5m
・ベータトロンコイル半径:10cm
・プラズマ軌道半径:20cm
・真空チャンバー内で作り出された平均外部磁場は、最高100ガウスであり、ランプアップ期間が150μs、ミラー比が2:1であった(供給源:外部コイルおよびベータトロンコイル)
・背景プラズマ(実質的に水素ガス)は、平均密度約1013cm−3、運動温度10eV未満で特徴付けられた
・この構成の寿命は、実験において貯蔵された総エネルギーによって制限され、概ね約30μsであった。
この実験は、まず、チャンバーの内側に円形に載置された2組の同軸ケーブル銃によって、背景プラズマ層を注入することから進められた。それぞれ一群8個の銃を、2つのミラーコイル組立体のうちの1つに載置した。これらの銃を、他の組に対して等距離の様式で方位角によって間隔を空けてずらした。この配置により、これらの銃は同時に発射することが可能となり、これによって、環状のプラズマ層を発生させた。
この層を構築したときに、ベータトロンフラックスコイルに電圧を加えた。このベータトロンコイルの巻線内の電流を増加させることにより、コイルの内側の磁束が増加し、これによって、ベータトロンコイルの周囲でカールする方位角電場が生じた。ベータトロンフラックスコイルにおける、急激にランプアップした高い電流は、強い電場を発生させ、この電場が環状プラズマ層を加速し、これによって、かなり大きな電流が誘導された。十分に強いプラズマ電流は、自己磁場を作り出し、この磁場は、外部から供給された磁場を変化させて、磁場反転配位を生じさせた。Bドットループを用いた詳細な測定値により、このFRCの範囲、強度および持続時間を同定した。
代表的なデータの例を、Bドットプローブ信号の追跡によって、図19に示す。データ曲線Aは、実験用チャンバーの軸方向の中央平面(いずれかの端部プレートから75cm)での、15cmの半径位置における磁場の軸方向成分の絶対的強度を表す。データ曲線Bは、チャンバーの軸方向の中央平面の、30cmの半径位置における磁場の軸方向成分の絶対的強度を表す。したがって、曲線Aのデータセットは、燃料プラズマ層の内側(ベータトロンコイルとプラズマとの間)の磁場の強度を表し、一方、曲線Bのデータセットは、燃料プラズマ層の外側の磁場の強度を示す。これらのデータは、内側の磁場は、約23μs乃至47μsの間で方向が反転し(負であり)、一方で、外側の磁場は正のままである(すなわち、方向が反転しない)ことを明確に示している。反転の時間は、ベータトロンコイルにおける電流のランプアップによって制限される。ベータトロンコイルにおいてピーク電流に達すると、燃料プラズマ層に誘導される電流が低下し始め、FRCは急激に崩壊する。これまで、FRCの寿命は、実験において貯蔵できるエネルギーによって制限されている。注入および捕捉の実験と同様に、このシステムは、FRCの寿命をより長くし、反応炉に関連するパラメータへの加速を提供するように向上させることができる。
全体的に、本技術は、小型のFRCを作り出すだけでなく、堅牢かつ実行が簡単でもある。最も重要なことに、本方法によって発生される基礎のFRCは、任意の所望のレベルの回転エネルギーおよび磁場強度に容易に加速させることができる。これは、融合アプリケーションおよび古典的な高エネルギー燃料ビームの閉じ込めに重要である。
(誘導プラズマ供給源)
上述のベータトロンおよびビーム/ベータトロンFRC形成技術は、どちらもフラックスコイル320を介した、エネルギーの背景プラズマへの供与に依存する。変圧器と同様に、フラックスコイルは、変圧器の一次巻線の機能を果たし、プラズマは、二次巻線の機能を果たす。本誘導システムが効率的に機能するためには、プラズマが良好な導電体であることが不可欠である。
金属のような一般的な導電体に対して、プラズマは電気抵抗が少ないので、温度の上昇に伴って導電性が高くなる。プラズマ電子の温度は、電子−イオン衝突の関数である散逸性の決定に特に重要な役割を大きな割合で果たす。本質的には、散逸は、電子−イオン衝突によって生じる抵抗によるものであり、衝突頻度が高くなるほど抵抗率が高くなる。これは、プラズマの総体的な現象によるものであり、クーロン衝突の断面積を調べる。衝突頻度(連続した衝突が生じる割合)は、基本的に、密度、調べたクーロン散乱断面積、および衝突/散乱電荷の温度(または平均)速度の関数で、すなわち、ν=nσvである。vのスケールをT1/2に定義することによって、σは、v−4、すなわちT−2に比例する。したがって、衝突頻度νは、nT−3/2に比例する。抵抗率は、η=νm/neによって衝突頻度に関連する。したがって、抵抗率はT−3/2に比例し、特に密度に依存しない。これは、電荷担体の数が密度によって増加しても、散乱中心の数も同様に増加する、という事実の直接的な結果によるものである。故に、温度が高くなれば、プラズマの導電率が高くなり、散逸による損失が少なくなる。
したがって、FRCにおける閉じ込めに関してより良好な作用を発揮するために、高温プラズマが強く望まれる。PEGシステムの場合、温度の上昇によって、FRCの開始が改善され(プラズマが良好な導電体になるほど、プラズマとフラックスコイルとの間の誘電結合が良好になる)、電流維持が良好になり(プラズマの抵抗率が低くなることで、摩擦性および散逸性の損失が少なくなり、それによって電流損失が少なくなる)、また、磁場強度が高くなる(電流が強くなれば、自己磁場が大きくなる)。初期のプラズマ形成中かつフラックスコイルの係合前の十分な電子温度によって、プラズマにフラックスコイルがより良好に組み合わされる(好都合に、チャンバー壁内の方位角イメージ電流の形成を減じる傾向がある)。これは、ベータトロン加速(抵抗率が低いことで、フラックスコイルからプラズマでのエネルギーの誘導的な移動がより良好になる)、およびプラズマの加熱が高められ(回転電流で表される、与えられた方向性エネルギーの一部が熱化して、ランダムエネルギーに変化し、最終的に、フラックスコイルによるプラズマの加熱をもたらす)、結果的に、(より高い温度により)イオン−電子衝突回数が増加し、散逸が減少(抵抗率が減少)し、最終的には、より高いFRC領域(電圧の上昇によって磁場が強くなる)が達成される。
より良好な初期のプラズマ温度を達成するために、誘導プラズマ供給源が提供される。図20A、20B、および20Cに示されるように、誘導プラズマ供給源1010は、チャンバー310内でフラックスコイル320の端部周辺に載置することが可能であり、高電圧(約5乃至15kV)の電源(図示せず)が供給されることが好ましい、シングルターンショックコイル組立体1030を含む。水素(または他の適切な気体の融合燃料)のような中性ガスは、ラバルノズルを1020経て直接的なガス供給を介して供給源1010に導入される。ガス流は、複数組の超高速パフバルブによって制御され、きれいな衝撃波面を作り出すことが好ましい。ガスがノズル1020から放射されて、ショックコイル1030のコイルの巻線1040の表面に分散すると、巻線1040に電圧が加わる。低インダクタンスショックコイル1030内の超高速電流および磁束ランプアップは、ガス内で非常に高い電場をもたらし、ショックコイル1030の表面からチャンバー310の中央に向かう形成プラズマのブレークダウン、イオン化、およびその後の放出を生じさせる。
好適な一実施態様では、ショックコイル1030は、その外面の周辺部に形成され、外部リング1034に囲まれた環状円盤型本体1032と、その内面の周辺部に形成された環状ハブ1036とを備える。リング1034およびハブ1036は、頂部が開口した環状流路1035の周縁部を形成する本体1032の表面を越えて軸方向に延在する。本体1032、リング1034、およびハブ1036は、ガラス、プレキシガラス、パイレックス(登録商標)(pirex)、石英、セラミックのような、良好な真空特性および低ガス放出特性を有する適切な非導電材料を一体成型構造によって形成したものが好ましい。
マルチセクションシュラウド1012は、ショックコイル1030のリング1034に連結され、作り出されたプラズマが半径方向にドリフトしないようにすることが好ましい。シュラウド1012の各区間1014は、複数の軸方向に延在するフィンガー1016を含む。各区間1014の端部は、取り付けブラケット1015を含む。
コイルの巻線1040は、エポキシまたは他の何らかの適切な接着剤を使用して、経路1035内のコイル本体1032の表面に取り付けられることが好ましい。ショックコイル1030の高速な電磁特性を得るには、そのインダクタンスをできる限り低く保持するが重要である。これは、コイル1040の巻き数をできる限り少なくして、平行に巻回した複数のストランドのワイヤー1042をコイル1040に構築することによって達成される。例示的な一実施態様では、コイル1040は、それぞれが1つのループを実行する、ワイヤー1042の24の平行のストランドを備える。それぞれのワイヤー1042は、本体1032の外周上に約15°で配置されることが好ましい入口点1044で始まり、本体1032の内側半径上の出口点1046で1つの軸だけを一周して終わる。したがって、コイルの巻線1040は、経路1035の内側端部と外側端部との間の領域全体を覆う。ストランド1042の群は、同じ容量性貯蔵バンクに接続されることが好ましい。一般に、電力は、同じ容量性貯蔵バンクから全てのストランド1042に供給するか、または、例示的な一実施態様にあるように、3つのストランド1042のうちの8つの群が、互いに接続され、一般に、2つの別個の容量性貯蔵バンクのうちの1つから供給される。
環状円盤型ノズル本体1022は、その内側の周辺でハブ1036に連結され、ラバルノズル1020を形成する。ハブ1036に面するノズル本体1022の表面1024は、表面1024とハブ1036の面1037との間に環状のガスプレナム1025を画定する、拡張中央部形状を有する。ノズル本体1022の外周部に隣接して、表面1024は、表面1024と面1037との間に方位角方向に延在するラバル型ノズル出口1023を画定する、伸縮形状を有する。
ハブ1036の反対側には、バルブシートリング1050が取り付けられ、リング1050の外面には複数のバルブシート1054が形成される。バルブシート1054は、ハブ1036を介して形成されたガス供給流路1052が配列される。
動作中、中性ガスは、バルブシート1054内の超高速パフバルブを介して、ハブ1036を通って延在するガス流路1052に供給される。ノズル出口1023の収縮部分により、ガスがノズル1020.から放射される前に、環状プレナム1025に供給されてこれを満たす。ガスがノズル1020から放射され、ショックコイル1030のコイルの巻線1040の表面に分散すると、巻線1040に電圧が加わる。低インダクタンスショックコイル1030内の超高速電流および磁束ランプアップは、ガス内で非常に高い電場をもたらし、ショックコイル1030の表面からチャンバー310の中央に向かう形成プラズマのブレークダウン、イオン化、およびその後の放出を生じさせる。
電流ランプアップは、全てのストランド1042または一斉に発射することを目的とした複数群のストランドに適切に同期化されることが好ましい。異なる群のストランドを異なる時間に発射するといった、可能かつ潜在的に好都合な別のオプションがある。異なる群のストランド1042を係合する合間に、遅延を故意に制定して、異なる群のストランドを異なる時間に発射することができる。異なる群のストランドを異なる時間に発射する場合には、その配列が方位角方向に対称となり、あらゆる所与の電力パルスにおいて、導電ワイヤー1042によってコイル1040の表面が十分に覆われるように、ストランドをグループ化することが重要である。この形態では、少なくとも2つの、連続するが相異なるプラズマを発生されることが可能である。パルス間の遅延は、どのくらいの中性ガスが利用可能であるかによって制限される。実際には、約5乃至600マイクロ秒間隔で、当該のパルスを発射することが可能である。実用上、入力作動パラメータは、以下のようにあることが好ましい:
荷電電圧:約10乃至25kV、分割供給する
電流:組み合わせた全ての巻線を介して最高約50kAの総電流
パルス/上昇時間:最高約2マイクロ秒
ガス圧力:約−20乃至50psi
プレナムサイズ:バルブにつき約0.5乃至1cm、すなわち:1ショットにつき約4乃至8cmの総ガス量
例示的な一実施態様では、入力作動パラメータは、以下の通りであった:
荷電電圧:12乃至17kV 分割供給、すなわち:−12kV乃至+12kV
電流:3ストランドの一群につき2乃至4.5kA、すなわち:組み合わせた全ての巻線を介して16乃至36kAの総電流
パルス/上昇時間:1乃至1.5マイクロ秒
ガス圧力:−15乃至30psi
プレナムサイズ:バルブにつき0.5乃至1cm、すなわち:1ショットにつき4乃至8cmの総ガス量
上述のパラメータを使用した誘導プラズマ供給源1010の動作方法によって発生されるプラズマは、以下の好都合な特性を有する:
密度:〜4×1013cm−3
温度:〜10乃至20eV
環状スケール:直径〜40乃至50cm
軸方向のドリフト速度:〜5乃至10eV
供給源1010の形状および配向により、現れるプラズマの形状が環状になり、FRCに形成されるべき回転プラズマの環状部に等しくなる傾向のある直径を有する。本PEGシステムでは、2つの当該の誘導プラズマ供給源1010を、チャンバー310のどちらかの軸方向端部に配置して、同時に発射させることが好ましい。2つの形成プラズマの分布は、チャンバー310の中央の方に軸方向にドリフトし、そこには、次いで上述のようにフラックスコイル320によって加速されるプラズマの環状の層が形成される。
(FRCにおけるイオンおよび電子のためのRF駆動装置)
ロトマク(rotomak)と呼ばれるRF電流駆動は、電流が主に電子によって担送されるFRCに用いられている。それは、2つのフェーズドアンテナによって作り出される、回転する半径方向の磁場を伴う。電子は、回転磁力線に対して磁化および凍結される。これにより、イオンの電子とのクーロン衝突によって、そのイオンが加速されて電流が減じられるまで、その電流が保持される。しかし、ロトマクは、無期限に電流を保持するのには適さないが、数ミリ秒であれば良好である。
本システムのFRCでは、電流は、主に凍結されないベータトロン軌道内にあるイオンによって、回転磁力線に担送される。大きな軌道イオンは、安定性および古典的拡散に重要である。サイクロトロンなどの場合で、イオンが静電波によって駆動される場合には、アンテナの代わりに、電極が用いられる。問題となるのは、波長(30m)があらゆる寸法のプラズマよりも長くなるように、RFの周波数が10メガサイクル未満であるので、完全に静電気的なことである。静電場は、電磁波よりも容易にFRCプラズマを浸透させることができる。
電極によって作り出される静電波は、イオンまたは電子の平均方位角速度に近い速度で移動するようにデザインされている。静電波がイオンの平均速度よりも速く移動する場合は、イオンを加速するので、イオン−電子衝突によるドラッグを補うことになる。しかし、電子は、イオンとのクーロン衝突によって加速される。この場合、静電波は、電子の平均速度よりも遅くなければならず、電子が静電波を加速することになる。電子の平均速度は、イオンの平均速度未満であるので、電子は、2つの異なる周波数で駆動されなければならない。イオンに対する周波数が高くなり、エネルギーは、外部回路によって供給されることが好ましい。電子の場合、エネルギーを、より低い周波数で取り出すことができる。
(電極システム)
四重極RF駆動システムを図21Aおよび21Bに示す。RF駆動装置は、チャンバー310内に位置して、それらの間に間隙1114を有する4つの方位角方向に対称な電極1112を有する、四重極サイクロトロン1110を備える。四重極サイクロトロン1110は、イオンの方位角速度と同じ方向だが、それより速く回転する電位波を作り出すことが好ましい。適切な速度のイオンを、この電位波に閉じ込めて、定期的に反射させることができる。このプロセスによって燃料イオンの運動量およびエネルギーが増加し、この増加が衝突によって閉じ込められていない燃料イオンに運ばれる。燃料プラズマ335からの燃料イオンは、あらゆる好都合な速度で中性燃料を注入することによって置き換えることができる。
電流を駆動するための代替的かつ補足的方法には、サイクロトロン電極1112の半分の周波数で駆動される、フラックスコイル325および四重極サイクロトロン1110の周辺部に位置する更なる磁場コイル1116によって電極システムを増強することがある。しかし、本願明細書に示される以下の説明では、専ら電極だけを用いたバージョン(磁場コイル1116を用いない)に焦点を当てる。
図21Cに、2つおよび4つの電極で構成したものを示す。
示された印加電圧で電極によって発生させた電位は、空間r<rにおける真空度に対して、図21Cに記載されている。式は、最も低い調波のためのものである。それらの式は、適切な境界条件によってラプラス式を解くことによって得られる:
例えば、双極子サイクロトロンの場合:
Φ(r,θ,t)は、有限である。
Φ(r,θ,t)は、周期2πのθにおいて周期的であるので、フーリエ級数において展開することができる:
は、次式を満たす:
最も低い調波は、次のようになる;
より高い調波は、
になる。
より高い調波がより小さな位相速度および振幅を有するように、方位方向における波速度は
である。これらのコメントは、図21Cのどちらの場合にも適用する。周波数ωは、FRCに対する剛体ローター平衡において、イオンの回転周波数ωに近くなる。したがって、
l=1に対しては、
である。l=2に対しては、
であり、および波の振幅は、実質的により低いので、最も低い調波だけの考慮に対する良好な近似度である。
(プラズマ効果)
プラズマの応答は、誘電テンソルによって説明することができる。電場は、電荷保存式による電荷分離を作り出す、プラズマ電流を作り出す。
ここで、
は電流密度であり、ρは電荷密度である。適切な式は、次のようになる:
または
ここで、
は誘電テンソルであり、χは分極性である。電子のコントリビューションが含まれれば、テンソル
は1つの成分と対角をなす:
ここで、nは密度であり、BはFRCの磁場である、nおよびBは、プラズマ内でr=rにおいて、表面上のrおよびB=0によって急速に変化する。
の式は、電子が小さなジャイロ半径を有し、電場がΩ=eB/mc(ジャイロ周波数)に比較して、ゆっくりと変化するものと仮定して導出される。この近似度は、ヌル面の近くで分解される。特性軌道は、ドリフト軌道から、電場、すなわちr=rのヌル面の近くで
に対する応答がより少ないベータトロン軌道に変化する。イオンは、主にベータトロン軌道を有し、ドリフト軌道に関しては、電場が割合
で変化するので、電場に対する応答が小さい。
最終結果は、次式によってラプラス式が置き換えられる:
これは、数値的に解かなければならない。更なる項は、r=rの近くで零になる。四重極の場合の最も低い調波に対する電位は、次の形態となる:
また、双極子の場合に対して類似した形態となる。イオン(または電子)に対して反対方向に移動する波は無視される。
(静電波内に閉じ込められたイオンによる加速)
がイオンより少し高速であるように、ω=2ω+Δωと仮定する。イオンに対して、標準的な剛体回転分布関数を仮定する:
対象となる減じられた分布関数は、次のようになる:
四重極サイクロトロンによって作り出される静電波の波速度は、ν=rω+Δνである。以下の場合、波より高速に移動しているイオンが反射する:
これは、波エネルギーを増加させる、すなわち次のようになる:
以下の場合、波より低速に移動しているイオンが反射する:
波は、次のような割合でエネルギーを失う:
最終結果は、変数ν’θ=νθ−νの変更によって簡素化され、次のようになる:
次の近似度は:
であり、その結果、以下のようになる:
これは、ランダウ(Landau)減衰に類似した形態を有するが、ランダウ減衰(成長)は線形の現象であって、明らかに非線形ではないので、物理的には同一ではない。
ν=rωであれば、波エネルギーは変化しない。ν>rωまたはΔνw>0であれば、波エネルギーは減少する;Δνw<0であれば、波エネルギーは増加する。これは、ランダウ減衰の解釈に類似している。最初のΔνw>0の場合、波よりも遅く進むイオンの方が、速く進むイオンよりも多い。したがって、波エネルギーが減少する。逆に、Δνw<0場合、波エネルギーは増加する。前者の場合は、四重極サイクロトロンによるイオンのエネルギーおよび運動量の保存に適用する。これが、電流駆動である。後者の場合は、変換器の基準を提供する。式(22)および(24)を使用して、融合反応器の条件に対する適用性を評価することができる。
イオンの熱速度が
の場合、イオンに運搬される電力は次のようになる:
ここで、dW/dtは、式(24)および(25)によって決定される。
積分を簡素化するには、Φ(r)を波振幅の下限であるピーク密度の値Φ(r)に置き換える。
ここで、Nはイオンの線密度であり、i=1,2は通常は反応炉内の場合である2種類のイオンに適応する。
F(r)の詳細な計算では、波振幅Φ(r)が、2Vである最大間隙電圧未満のおよそ10倍である。これは、RF駆動装置の本方法の限度を決定する。Vは、維持することができる最大間隙電圧によって制限されることになり、おそらくは1cmの間隙に対して約10kVである。
(反応炉の要件)
電流駆動に関して、電力Pは、周波数ωでイオンに運搬されることが好ましく、電力Pは、周波数ωで電子に運搬されることが好ましい。これは、電子とイオンとの間のクーロン相互作用を補い、イオンの速度を減じて、電子の速度を増加させる(電力運搬の非存在かでは、クーロン衝突によって、電子とイオンに同じ速度がもたらされ、電流はもたらされない)電子およびイオンの平衡を保持する平均電場は、次式で与えられる:
ここで、
は電流/ユニット長さであり、
は抵抗/ユニット長さである。N、N、Nは電子およびイオンの線密度:
=N+Nであり、Z、Zはイオンの原子番号である;t1eおよびt2eは、イオンから電子への運動量移動時間である。平均電場は、準中性および電荷に対する
が逆であるので、イオンまたは電子に対して同一である。イオンに運搬されるべき電力は、次のようになる:
電子から取り出すことができる電力は、次のようになる:
ここでIiθ=Neω/2π、Ieθ=Neω/2πである。
RF駆動装置による燃料補給に関して、燃料は、融合時間tF1=1/n〔σν〕およびtF2=1/n〔σν〕によって与えられる割合で、あらゆる燃料を補給することが可能である。ここで、nおよびnはプラズマイオン密度であり、〔σν〕は反応度である。大きさは、秒となる。注入された中性燃料(燃焼して消失する燃料イオンを補給する)は、クーロン衝突により、ミリ秒のオーダーの時間における平均イオン速度(反応炉の密度に対しては、1015cm−3のオーダー)まで、急速にイオン化し、加速する。しかし、これには、〔Eθ〕を追加し、定常状態を保持するように電力の運搬を追加する必要がある。加算は、次のようになる:
これは、約2分の1、所要の電力運搬を増加させる。
電力は、10kV/cmの最大間隙電圧振幅を超えずに、電流駆動および燃料補給に供給することができる。周波数が1乃至10MHzとなり、磁場が100KG(キロガウス)のオーダーとなることを考慮すれば、ブレークダウンは予想されない。電流駆動および燃料補給のために運搬しなければならない電力は、他のあらゆる電流駆動のためのものと類似している。しかし、1乃至10MHzにおけるRF技術は、何年にもわたって、既存の高性能技術であった。アンテナの代わりに電極を使用する方法は、磁場浸透の条件が、電磁波に対するものよりもさらに緩和されることから、かなりの利点がある。したがって、本方法は、循環電力および有効性に関して利点がある。
(融合)
重要なことに、上述の閉じ込めシステム300などの内側にFRCを形成するためのこれら2つの技術は、内部で核融合を起こすために好適な特性を有するプラズマを生じさせることができる。より詳しくは、これらの方法によって形成されたFRCは、あらゆる所望のレベルの回転エネルギーおよび磁場強度に加速することができる。これは、融合の適用および古典的な高エネルギー燃料ビームの閉じ込めに重要である。したがって、閉じ込めシステム300では、高エネルギーのプラズマビームを、融合反応を起こすために十分な時間にわたって捕捉して閉じ込めることが可能となる。
融合に適応するために、これらの方法により形成されるFRCは、ベータトロン加速によって、適切なレベルの回転エネルギーおよび磁場強度に加速されることが好ましい。しかし、融合は、あらゆる反応が生じるための特定の一連の物理的条件を必要とする傾向がある。加えて、燃料の効率的燃焼を達成し、正のエネルギー均衡を得るために、燃料を、長期間にわたって実質的に変化させずにこの状態に維持しなければならない。これは、高い運動温度および/または高い運動エネルギーが融合に関連する状態を特徴付けることから、重要である。したがって、この状態を作り出すには、かなり大きなエネルギーの投入(燃料の大部分が融合した場合に回収することができる)を必要とする。結論的には、燃料の閉じ込め時間は、その燃焼時間よりも長くなければならない。これは、正のエネルギー均衡をもたらし、結果的に正味のエネルギー出力をもたらす。
本発明の大きな利点は、本願明細書に記載の閉じ込めシステムおよびプラズマが、長い閉じ込め時間(すなわち、燃料の燃焼時間を超える閉じ込め時間)を可能にすることである。したがって、融合の代表的な状態は、以下の物理的条件(この条件は、燃料および操作モードに基づいて変化する傾向がある)により特徴付けられる:
平均イオン温度:約30乃至230keV、好ましくは約80乃至230keV
平均電子温度:約30乃至100keV、好ましくは約80乃至100keV
燃料ビーム(注入されるイオンビームおよび循環プラズマビーム)のコヒーレントエネルギー:約100keV乃至3.3MeV、好ましくは約300keV乃至3.3MeV
総磁場:約47.5乃至120kG、好ましくは約95乃至120kG(約2.5乃至15kG、好ましくは約5乃至15kGの磁場を外部から印加する)
古典的閉じ込め時間:燃料の燃焼時間より長く、好ましくは約10乃至100秒
燃料イオン密度:約1014乃至1016cm−3未満、好ましくは約1014乃至1015cm−3
総融合電力:好ましくは約50乃至450kW/cm(チャンバー長1cmあたりの電力)。
上述の融合状態に適応させるために、FRCを、好ましくは約100keV乃至3.3MeV、より好ましくは約300keV乃至3.3MeVのコヒーレント回転エネルギーのレベルに、また、好ましくは約45乃至120kG、より好ましくは約90乃至115kGの磁場強度のレベルに加速させる。これらのレベルにおいて、上述のように中和および分極された高エネルギーイオンビームをFRCに注入して閉じ込めて、プラズマビーム層を形成するが、この層には、プラズマビームイオンが磁気的に閉じ込められ、プラズマビーム電子は静電的に閉じ込められる。
電子温度を、実際にはできるだけ低い温度に維持して、制動放射の量を減じることが好ましいが、そうでなければ、制動放射が、放射エネルギー損失をもたらし得る。本発明の静電気的エネルギー井戸は、これを達成する有効な手段を提供する。
イオン温度は、融合断面積がイオン温度の関数であるので、効率的な燃焼を提供するレベルに維持されることが好ましい。燃料イオンビームの高い直接エネルギーは、本出願において述べられているように、古典的な輸送の提供に不可欠である。また、燃料プラズマに対する不安定性の影響を最小限に抑える。磁場は、ビーム回転エネルギーと一致する。磁場は、プラズマビームにより部分的に発生し(自己磁場)、次いで、サポートを提供して、所望の軌道にプラズマビームを保持する。
(融合生成物)
融合生成物は、主にヌル面86付近の電力コアにおいて発生するが、このヌル面から、融合生成物が、セパラトリックス84に向かう拡散によって発生する(図3および5を参照のこと)。これは、電子との衝突によるものである(イオンとの衝突は、質量中心を変化させないので、磁力線を変化させないからである)。それらの高い運動エネルギー(融合生成物イオンは、燃料イオンよりはるかに高いエネルギーを有する)により、融合生成物は、セパラトリクッス84を容易に横断することができる。融合生成物がセパラトリクッス84を超えると、これらは、イオン−イオン衝突からの散乱を経るという条件で、開放端磁場80に沿って離れることができる。この衝突プロセスは拡散をもたらさないが、イオン速度ベクトルの方向を変更できるので、このイオン速度ベクトルの方向は、磁場に平行である。これらの開放端磁場80は、コアのFRCトポロジーを、FRCトポロジーの外側に供給される均一な印加磁場と接続する。生成物イオンは、異なる磁力線上に発生し、エネルギーの分布をたどる。好都合に、生成物イオンおよび電荷中和電子は、燃料プラズマの両方の端部から回転環状ビーム状で発生する。例えば、50MWデザインのp−B11反応に関しては、これらのビームは、半径が約50cmで、厚さが約10cmである。セパラトリックス84の外側に見出される強力な磁場(一般的に、約100kG)において、生成物イオンは、大部分のエネルギー生成物イオンについて、最小値約1cmから最大値約3cmまで変化する、ジャイロ半径の関連分布を有する。
最初に、生成物イオンは、1/2M(vparおよび1/2M(vperpによって特徴付けられる、縦エネルギーならびに回転エネルギーを有する。vperpは、軌道中心としての磁力線の周りの回転と関連する方位角速度である。磁力線は、FRCトポロジーの付近を離れた後に拡散するので、回転エネルギーは減少するが、総エネルギーは一定のままである傾向がある。これは、生成物イオンの磁気モーメントの断熱不変性がもたらした結果である。磁場内で旋回している荷電粒子が、それらの運動と関連する磁気モーメントを有することは、公知である。ゆっくりと変化している磁場に沿って粒子が動く場合には、1/2M(vperp/Bで記述される運動の断熱不変性も存在する。それらのそれぞれの磁力線の周りを旋回する生成物イオンは、磁気モーメントおよびそれらの運動と関連する当該の断熱不変量を有する。Bは、約10分の1減少する(磁力線の拡散によって示される)ので、結果としてvperpが同様に約3.2分の1減少する。したがって、生成物イオンが均一な磁場領域に達するときまで、それらの回転エネルギーは、それらの総エネルギーの5%未満である。すなわち、ほとんど全てのエネルギーが、縦方向成分である。
(エネルギー変換)
本発明の直接エネルギー変換システムは、図22Aおよび23Aに示される、衝突ビーム融合反応炉(CBFR)410の(部分的に示された)電力コア436に連結された逆サイクロトロン変換器(ICC)420を備え、プラズマ発電システム400を形成する。第二ICC(図示せず)は、CBFR410の左に対称的に配置することが可能である。磁力カスプ486は、CBFR410とICC420との間に位置し、CBFR410およびICC420の磁場が合流するときに形成される。
ICC420およびその動作を詳述する前に、代表的なサイクロトロン加速器の総説を行う。従来のサイクロトロン加速器は、磁場に対して垂直の速度を有するエネルギーイオンが、円形に回転する。エネルギーイオンの軌道半径は、磁場強度およびそれらの電荷対質量比によって決定され、エネルギーとともに増加する。しかし、イオンの回転周波数は、それらのエネルギーとは無関係である。この事実は、サイクロトロン加速器のデザインに利用されている。
図24Aを参照する。従来のサイクロトロン加速器700は、対称的な電極平面(すなわち、そのページの面)に垂直な磁力線を有する均質の磁場720に配置された鏡像D型キャビティを形成する、2つの鏡像C型電極710を備える。振動電位は、C型電極の間に印加される(図21Bを参照のこと)。イオンIは、サイクロトロン700の中心に配置された供給源から発射される。磁場720は、イオンの回転周波数が、電位および関連する電場の周波数に適合するように調節される。イオンIは、電場の方向と同じ方向にC型電極710の間の間隙730を横断する場合に加速される。イオンIを加速することによって、そのエネルギーおよび軌道半径が増加する。このイオンは、半周円弧を移動したときに(エネルギーの増加はない)、再び間隙730を横断する。現在、C型電極710の間の電場は、逆方向にある。イオンIは、再び加速され、そのエネルギーはさらに増加する。このプロセスは、イオンの回転周波数が振動電場の周波数に適合し続けるという条件で、イオンが間隙730を横断するたびに繰り返される(図24Cを参照のこと)。一方では、電場が反対方向にあるときに粒子が間隙730を横断する場合、粒子は減速され、中央の供給源に戻る。磁場720に対して垂直な初速度を有し、振動電場の適切な位相にある間隙730を横断する粒子のみが、加速される。したがって、適切な位相整合は、加速に不可欠である。
原則的には、サイクロトロンを使用して、同一のエネルギーイオンのペンシルビームから運動エネルギーを取り出すことが可能である。BlochおよびJeffries、Phys.Rev.80,305(1950)によって記載されているように、サイクロトロンを用いたイオンの減速(しかしエネルギー抽出はない)が、陽子について観察された。イオンは、振動磁場と関連して減速期にもたらされるように、キャビティに注入することが可能である。次いで、イオンの全てが、図24Aに示される加速イオンの軌道Tを逆にする。電場との相互作用によってイオンが減速するので、それらの運動エネルギーは、サイクロトロンが一部である電気回路における振動電気エネルギーに変換される。電気エネルギーへの直接変換が達成され、非常に高い効率で生じる傾向がある。
実用上、イオンビームのイオンは、全ての可能な位相でサイクロトロンに入る。サイクロトロンのデザインにおいて、様々な位相が補償される場合を除いて、イオンの半分が加速され、他の半分は減速される。その結果、最大変換効率は、実際上、50%である。さらに、上述の環状融合生成物イオンビームは、従来のサイクロトロンには不適当なジオメトリである。
以下に詳述するように、本発明のICCは、融合反応炉電力コアのFRCを出る融合生成物ビームの環状特性、およびにビーム内のイオンのランダムな相対位相およびそれらのエネルギーの拡散に適応する。
図22Aに戻る。CBFR410の電力コア436の一部を左側に示すが、プラズマ燃料コア435は、外側磁場コイル425によって印加される磁場に部分的に起因して形成される、FRC470内に閉じ込められる。FRC470は、閉じた磁力線482と、セパラトリクッス484と、開放磁力線480とを含み、上述のように、融合生成物の環状ビーム437の特性を決定する。開放磁力線480は、電源コア436から離れて磁力カスプ486の方へ延在する。上記のように、融合生成物は、エネルギーイオンおよび電荷中和電子を含む環状ビーム437の形態で、開放磁力線480に沿って電力コア436から発生する。
ICC420のジオメトリは、長さ約5mの中空円筒状である。小さな直線間隙497を有する、4つ以上の均等な半円筒電極494が、円筒表面を構成する。動作中、振動電位は、交互の形態で、電極494に印加される。変換器内の電場Eは、図22Bの端面図に示されるように、四重極構造である。電場Eは、回転軸上で零になり、その半径に対して線形的に増加し、ピーク値は、間隙497に生じる。
加えて、ICC420は、外部場コイル488を備え、均一な磁場をICCの中空円筒ジオメトリ内に形成する。電流は、CBFR磁場コイル425内を流れる方向と反対の方向に、ICC磁場コイル488内を流れるので、ICC420内の磁力線496は、CBFR410の開放端磁場480と方向と反対の方向に流れる。CBFR410の電力コア436から最も離れた端部において、ICC420は、イオンコレクター492を含む。
CBFR410とICC420と間には、対称磁気カスプ486が存在し、CBFR410の開放端磁場480が、ICC420の磁力線496と合流する。環状電子コレクター490は、磁気カスプ486の周辺部に位置し、イオンコレクター498に電気的に連結する。後述するように、磁気カスプ486の磁場は、ビーム437の軸方向速度を高効率で回転速度に変換する。図22Cは、変換器420内の代表的なイオン軌道422を示す図である。
CBFR410は、円筒対称性を有する。その中央には、融合反応が生じるFRC470の磁場トポロジー内に含まれる融合プラズマコア435を有する融合電力コア436がある。上述のように、生成核および電荷中和電子が、燃料プラズマ435の両端からの環状ビーム437として現れる。例えば、50MWデザインのp−B11反応に関しては、これらのビームは、半径が約50cmで、厚さが約10cmである。環状ビームの密度は、
cmである。当該の密度に対して、磁気カスプ486は電子とイオンを分離する。電子は、電子コレクター490への磁力線をたどり、イオンは、カスプ486を通過するが、イオン軌道は、ICC420の長さに沿った実質的に螺旋状の経路をたどるように修正される。イオンが、共振回路(図示せず)に接続された電極494を螺旋状に通過するときに、これらのイオンからエネルギーが取り出される。垂直エネルギーの損失は、電極に494の近くを最初に循環する最も高いエネルギーのイオンに対して最大であり、電場は最も強い。
これらのイオンは、初期の総エネルギー、すなわち
にほぼ等しい回転エネルギーで、磁場カスプ486に到達する。イオンが磁気カスプ486に到達するときの、イオンのエネルギーおよびイオンの初期半径rの分布が存在する。しかし、初期半径rは、初期速度vにほぼ比例する傾向がある。半径方向の磁場および半径方向のビーム速度は、方位角方向にローレンツ力を作り出す。カスプ486における磁場は、粒子エネルギーを変化させないが、初期の軸方向の速度
を残りの軸方向速度vおよび方位角方向速度
に変換する。ここで、
である。方位角速度
の値は、次式のカノニカル運動量の保存により決定することができる。
ビームイオンは、B=B、v=v
、およびr=rで、カスプ486の左側に入る。これは、r=r、B=−B
、および
で、カスプ486の右側に現れる。
ここで、
は、サイクロトロン周波数である。これらのイオンの回転周波数は、約1乃至10MHz、好ましくは、5乃至10MHzであり、これは、発電が行われる周波数である。
これらのイオンがカスプ486を通過するために、有効イオンジャイロ半径は、半径rでのカスプ486の幅よりも長くなければならない。残りの軸方向のエネルギーが100分の1に低減するように、軸方向の速度を10分の1に低減することは、実験的に極めて実行可能である。したがって、イオンエネルギーの99%が回転エネルギーに変換される。このイオンビームは、vおおよびrに対する値の分布を有する。しかし、rは、FRCに基づくリアクターの特性により、上述のように、vに比例しているので、回転エネルギーへの変換効率は、全てのイオンについて99%の傾向にある。
図22Bに示されるように、本発明のICC420の対称電極構造体は、4つの電極494を備えることが好ましい。タンク回路(図示せず)は、瞬時電圧および電場が、示されたようになるように、電極構造体494に連結される。電圧およびタンク回路は、周波数ω=Ωで振動する。間隙497での方位角方向の電場Eを、図22Bおよび図25に示す。図25は、電極494の間の間隙497における電場、およびイオンが角速度Ωで回転するときに受ける電場を示す図である。完全な回転において、粒子が、初期の位相によって決定されるオーダーで加速および減速を交互に受けることは明らかである。方位角電場Eθに加えて、方位角電場Eも存在する。方位角電場Eθは、間隙497において最大となり、半径が減少するに従って減少する。図22では、粒子が一定の半径を維持しながら回転するものと仮定している。電場の勾配のために、減速は、通常加速よりも常に優勢になる。加速の位相は、そのイオンが次に減速する電場を受けたときに、このイオン半径がより大きくなるように、イオンの半径を増加させる。減速の位相は、軸方向電場Eθの半径方向の勾配は、常に正であるので、イオンの初期の位相に依存せずに優勢となる。その結果、エネルギーの変換効率は、従来のサイクロトロンに関連する初期の位相問題によって、50%までに制限される。電場Eも重要である。これも、振動して、図22Cにおけるような軸に垂直な平面においてゼロの速度を有する元の半径にビーム軌線を戻す、半径方向の正味の効果を生じる。
イオンが常に減速されるプロセスは、米国特許第2,736,799号に記載の最新の加速器の本質的な特徴である強集束の原理に類似している。正の(集束)レンズと負の(脱集束)レンズとの組み合わせでは、磁場が正の勾配を有する場合に、正である。図26に、強集束の四重極ダブレットレンズを示す。第一レンズは、x軸において集束し、y軸において脱集束する。第二レンズは、x軸およびy軸の特性を置き換えたものに類似している。磁場は、対称軸上で零になり、正の半径方向の勾配を有する。両方のレンズを通過するイオンビームについての最終結果は、経路の順序に関係なく全方向に集束する。
強力な軸方向磁場を含み、TE111モードで作用する共振キャビティを通過するビームについて、同様の結果が報告されている(Yoshikawaらの報告を参照のこと)。この装置は、ペニオトロン(peniotron)と呼ばれる。TE111モードでは、共振キャビティは、電場が四重極対称性を有する定常波を有する。これらの結果は、本願明細書に記載された結果の一部に性質的に類似している。共振空胴がサイズにしてはるかに大きく(長さ10m)、より高い振動数(155MHz)および磁場(10T)で作用する点で、定量的な差異が存在する。高周波数波からのエネルギーの抽出に、レクテナ(rectenna)が必要である。ビームのエネルギースペクトルは、変換効率を減少させる。2種類のイオンの存在は、より重大な問題であるが、変換効率は、15MeVの陽子を作り出すD−He反応炉には十分である。
図22Cに、ICC420内の粒子についての単一粒子の軌道422を示す。この結果は、コンピュータシミュレーションにより得られ、類似した結果をペニトロンについて得た。ある半径rで流入したイオンは、ICCの長さに沿って螺旋状に進み、初期の回転エネルギーを消失した後に、同じ半径rの円上の点に収束する。初期条件は、非対称性であり、最終的な状態は、この非対称性を反映するが、全ての粒子が減速されるように、初期の位相に依存しない。ICCのイオンコレクター端部でのビームも環状であり、同様の寸法である。軸方向の速度は、10分の1に減じられ、密度はそれに対応して増加した。単一粒子の場合、99%の抽出効率が可能である。しかし、種々の因子(例えば、軸方向ビームが変換器に入る前の垂直方向の回転エネルギー)が、この効率を5%減じる場合がある。電力の抽出は、約1乃至10MHz、好ましくは5乃至10HMzであり、電力網に連結するための電力調整よる更なる変換効率の減少を伴う。
図23Aおよび23Bに示されるように、ICC420における電極構造体494の別の実施態様は、2つの対称的な半円状電極および/またはイオンコレクター492に向かって先細となる先細電極494を備えることが可能である。
ICC420の主要磁場内部のイオン動力への調節は、図27Aおよび図24Bに示されるように、2つの補助コイル組500および510を使用して実施することが可能である。コイル組500および510は、反対方向の電流を伴った隣接する導電体を備え、よって、磁場は、短距離となる。磁場勾配は、図27Aに概略的に示されるように、イオンの回転周波数および位相を変化させる。図27Bに概略的に示されるように、多極の磁場は、線形加速器内と同様に集群を作り出す。
(反応炉)
図28は、100MWの反応炉を示す図である。一部切り取った発生器の図は、均一な磁場を印加するための超伝導コイルおよび磁場反転トポロジーを有する磁場を形成するためのフラックスコイルを備えた、融合電力コア領域を示す。融合電力コア領域の隣接する対向端部は、融合生成物の運動エネルギーの電力への直接変換のためのICCエネルギー変換器である。図29に、当該のリアクターのための支援装置を示す。
(推進システム)
太陽系の(およびそれを超えた)探査には、最良の利用可能な化学的または電気的推進システムをはるかに凌ぐ推進能力が必要である。高度な推進アプリケーションのために、本発明は、デザインの簡潔さ、高いスラスト、高い特定のインパルス、高い特定の出力密度、低いシステム質量、およびほとんどまたは全く放射能を作り出さない燃料などに最も期待が持てるものである。
本発明によるプラズマスラスト推進システムでは、融合生成物が融合プラズマコアから排出されるときの、それらに含まれる高い運動エネルギーを用いている。図30および31に、システム800を概略的に示す。本システムは、融合燃料コア835が上述のように封じ込められた、FRC電力コア836の衝突ビーム融合反応炉を含む。反応炉は、磁場発生器825、電流コイル(図示せず)、およびイオンビーム注入器840をさらに備える。上述のICC直接エネルギー変換器820は、電力コア836の一端に連結され、環状ビーム837の形態で電力コア836の両端から現れる融合生成物粒子の半分をインターセプトする。上述のように、ICC820は、逆サイクロトロンプロセスによってそれらの粒子を減速させて、それらの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。磁気ノズル850は、電力コア836の他端に隣接して配置され、残りの融合生成物粒子をスラストTとして宇宙空間に導く。融合生成物の環状ビーム837は、エネルギー交換のために、融合電力コア836の一端から磁力線837に沿ってICC820に流れ、またスラストTのために、融合電力コア836の他端から磁力線837に沿ってノズル850から外に出る。
制動放射線は、熱電エネルギー変換器(Thermoelectric−Energy Converter:TEC)870によって、電気エネルギーに変換される。TEC870によって変換されない制動放射エネルギーは、ブレイトンサイクル熱エンジン880に渡される。廃熱は、宇宙空間に捨てられる。出力制御サブシステム(810、図32を参照のこと)は、電気および熱エネルギーの全ての供給源および受け手を監視して、システムの動作を安定して状態に保ち、また、独立したエネルギー源(燃料電池、バッテリーなど)を提供して、宇宙船および推進システムを非動作状態から起動させる。融合生成物は、荷電のα粒子であるので、システムは、多量の放射線および中性子シールドの使用を必要とせず、したがって、他の原子力宇宙推進システムに比較して、システムの質量を著しく低減することで特徴付けられる。
プラズマスラスト推進システム800の性能は、図31に示されるようなデザインを有する100MWのp−B11融合コアの一例に対する以下の運動パラメータによって特徴付けられる:
特定のインパルス、Isp 1.4x106s
スラスト電力、P 50.8MW
スラスト電力/合計出力電力、P/P 0.51
スラスト、T 28.1N
スラスト/合計出力電力、T/P 281mN/MW。
システム800は非常に高い特定のインパルスを示すが、プラズマスラスト推進システムを用いた宇宙船の高い終端速度を可能にする。
全て宇宙船の鍵となるミッション性能/メトリック限度は、システム質量である。プラズマスラスト推進システム800における主要な質量成分を、図31および32に示す。融合コア835は、定常状態の動作に対しておよそ50MWの電力の注入を必要とする。システムは、およそ77MWの核(粒子)エネルギーを発生し、その半分は、最高90%の効率で直接エネルギー変換器820において回収される。したがって、反応炉の維持にはさらに11.5MWが必要であり、それは、TEC870およびブレイトン熱エンジン880によって供給される。
プラズマスラスター推進システム880における主要な熱源は、制動放射線によるものである。TEC870は、放射のおよそ20%、すなわち4.6MWを回収し、およそ18.2MWを密閉サイクルのブレイトン熱エンジン880に移動される。ブレイトン熱エンジン880は、図31に示されるように、熱交換器860と、ターボ発電機884と、圧縮器882と、放熱器886とを備える。ブレイトンエンジン880は、反応炉の維持に必要な電力の残りの7MWを供給し、他の11MWは、放熱器によって直接宇宙空間に廃棄される。
密閉サイクルのブレイトン熱エンジンは、完成された効率的なオプションであり、TEC870によって捨てられる過剰な熱を変換する。ブレイトンエンジンでは、最大サイクル温度は、材料検討によって限定されるが、これは最大熱力学的サイクルの効率を制限する。ブレイトンエンジンの標準的な性能マップに基づいて、複数のデザイン要点を取り出すことができる。一般的な効率は、最高60%に到達しうる。現状では、7MWを回収する必要があり、したがって、廃熱変換における効率の40%だけが許容され、従来のブレイトンエンジンが現在達成可能な限度内で十分である。
ブレイトンエンジン全体の(放熱器を差し引いた)構成要素の質量は、高度な工業技術に特有の特定の質量パラメータに基づいて、すなわち3kg/kWeの範囲で計算される。圧縮器、動力タービン、および熱交換器を含むターボ機関は、18MTの合計サブシステム質量を占める。
放熱器質量は、6MTになるものと推定され、最高水準の高熱伝導率の熱パイプパネルを使用することが好ましい。
有意なシステム重量はまた、プラズマコア835を閉じ込めている磁石825に由来する。超伝導磁気コイル825は、Nb3Sn製であることが好ましく、4.5Kおよび12.5乃至13.5Tの磁場で安定して動作する。Nb3Snの低温要件は、他の材料で考慮すべきものほど厳しくない。7テスラの磁場要件と、およそ7.5mの装置長さでは、コイルは、ワイヤーを1500回巻いて56kAの電流を担送する必要がある。半径0.5cmのワイヤーを使用すると、このコイルの合計質量は、約3097kgである。液体ヘリウム冷却システムは、2つのポンプを備え、1つは主コイルの各端部にある。これらのポンプの合計質量は、およそ60kgである。外部構造用シェルを使用して、磁石および全て内部コンポーネントを支持する。これは、厚さ0.01mのケブラー/炭素−炭素複合物製であり、合計質量は772kgである。最外層は絶縁ジャケットであり、宇宙空間における大きな温度変化から内部を保護し、推定で643kgである。磁石サブシステム825の合計質量は、したがって、約4.8MTである。
現時点で、宇宙空間のアプリケーションに最も適切なイオン注入システム840は、誘導線形加速器、すなわちRFQとなる。およそ15年前に、RFQは、科学ロケットで打ち上げられ、高電圧電力の使用およびイオンビームの宇宙空間への注入を成功裏に実証した。好適な実施態様では、6つの注入器840がCBFRの長さに沿って配置され、その3つはイオンの各種のためのものである。各注入器840は、長さ0.3m、半径0.020mの全体的な寸法を有する30ビームレットのRFQであることが好ましい。各注入器は、好ましくは長さ0.02m、半径0.020mの、イオン化した水素またはホウ素を供給するイオン供給源を必要とする。1つの供給源が、各加速器に必要である。宇宙空間に対するデザインの精緻化によって、現在、それらの合計質量は、供給源および加速器を含めて、約60kgにしなければならない、という制限を十分にクリアできる範囲にある。
円錐型のICC直接エネルギー変換器820は、反応炉836の一端に位置し、ステンレス鋼製であることが好ましい。ICCの質量は、基円半径0.5m、長さ2mで、およそ1690kgである。RF電源820(インバータ/変換器)は、有向イオン流を回収し、それを電力に変換する。電源の質量は、約30kgである。蓄電池812を使用して、CBFRを起動/再起動する。貯蔵容量は、約30MJである。その質量は、約500kgである。交互に、燃料電池も使用されることが可能である。更なる制御ユニットは、全ての構成要素の動作を調和させる。制御サブシステムの質量は、30kgになると推定される。エネルギー変換器/起動装置サブシステムの合計質量は、したがって、約2.25MTと推定される。
磁気ノズル850は、融合コア835の他端に位置する。ノズル850は、誘導粒子流として融合生成物ストリームを集束させる。磁気ノズルおよびICCの質量は、どちらも超伝導電磁石を備えており、比較的低質量の構造用構成要素なので、ほぼ等しいと推定される。
TEC870は、融合コアの電磁放射線からエネルギーを回収する。それは、約5g/cmの質量密度を有する、厚さ0.02cmの炭化ホウ素/シリコン−ゲルマニウム製の薄膜構造体であることが好ましく、TEC870は、第一壁に位置し、完全に炉心の内表面に沿って並ぶことが好ましい。TEC870の質量は、約400kgと推定される。TEC870への放射磁束は1.2MW/mであり、そのピーク動作温度は1800°K未満であると想定される。
プラズマスラスター推進システムの合計質量は、したがって約33MTと推定される。これは、現在述べている100MWのユニットに対する、以下の残りのミッションクリティカルパラメータを定義する:
合計質量/合計電力、M/P 0.33x10−3kg/W
スラスト/質量、T/M 0.85×10−3N/kg。
本発明は、様々な改良および代替形態の影響を受けやすいが、その具体的な例を図面に示し、本願明細書において詳細に記述する。しかし、本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、逆に、本発明は、特許請求の範囲の趣旨および範囲内にある、全ての改変物、等価物、および代替物に及ぶものであると理解されたい。
好適な実施態様は一例として示したものであり、制限するためのものではなく、添付図面において、同一の構成要素には同一の参照番号を付与する。
図1は、例示的な閉じ込めチャンバーの部分図を示す。 図2Aは、別の例示的な閉じ込めチャンバーの部分図を示す。 図2Bは、図2Aの線2B−2Bに沿った部分断面図を示す。 図2Cは、図2Bの線2Cに沿った詳細図を示す。 図2Dは、図2Bの線2D−2Dに沿った部分断面図を示す。 図3は、FRCの磁場を示す。 図4Aおよび図4Bは、それぞれFRCにおける反磁性方向および逆反磁性方向を示す。 図5は、衝突ビームシステムを示す。 図6は、ベータトロン軌道を示す。 図7Aおよび図7Bは、それぞれFRCにおける勾配ドリフトの磁場および方向を示す。 図8Aおよび図8Bは、それぞれFRCにおける ドリフトの電場および方向を示す。
図9A〜図9Cは、イオンドリフト軌道を示す。 図10Aおよび図10Bは、FRCの端部におけるローレンツ力を示す。 図11Aおよび図11Bは、衝突ビームシステムにおける電場および電位の調整を示す。 図12は、マクスウェル分布を示す。 図13Aおよび図13Bは、大きな角度でのイオン同士の衝突による、ベータトロン軌道からドリフト軌道への遷移を示す。 図14は、小さな角度での電子とイオンの衝突を考慮した場合の、ベータトロン軌道A、B、C、およびDを示す。 図15は、電気的に分極されたときの中和イオンビームを示す。 図16は、閉じ込めチャンバーにおいてプラズマと接触したときの中和イオンビームの正面図である。 図17は、軌道プロシージャの一実施態様による、閉じ込めチャンバーの端面の概略図である。 図18は、軌道プロシージャの別の好適な実施態様による、閉じ込めチャンバーの端面の概略図である。 図19は、FRCの形成を示すBドットプローブのトレースを示す。 図20Aは、チャンバー内に装着可能な誘導プラズマ供給源の図を示す。 図20Bは、誘導プラズマ供給源の部分図を示す。 図20Cは、誘導プラズマ供給源の部分図を示す。 図21Aは、RF駆動システムの部分図を示す。 図21Bは、RF駆動システムの部分図を示す。 図21Cは、双極および四重極構成の概略図を示す。 図22Aは、逆サイクロトロン直接エネルギー変換器に連結された衝突ビーム融合反応炉を備えた、プラズマ発電システムの部分図を示す。 図22Bは、図19Aの逆サイクロトロン変換器の端面図を示す。 図22Cは、逆サイクロトロン変換器内のイオン軌道を示す図を示す。 図23Aは、逆サイクロトロン変換器の別の実施態様に接続された衝突ビーム融合反応炉を備えた、プラズマ発電システムの部分図を示す。 図23Bは、図20Aの逆サイクロトロン変換器の端面図を示す。 図24Aは、従来のサイクロトロン内部の粒子軌道を示す。 図24Bは、振動電場を示す。 図24Cは、加速粒子のエネルギーの変化を示す。 図25は、角速度を有するイオンによってもたらされる、ICCの間隙間における方位角電場を示す。 図26は、集束四重極ダブレットレンズを示す。 図27Aは、補助磁場コイルシステムを示す。 図27Bは、補助磁場コイルシステムを示す。 図28は、100MWの反応炉を示す。 図29は、反応炉支援装置を示す。 図30は、プラズマスラスター推進システムを示す。 図31は、プラズマスラスター推進システムの主要構成要素を示す。 図32は、プラズマスラスター推進システムのブロック図を示す。

Claims (45)

  1. 磁場反転配位(FRC)磁場においてプラズマイオンおよび電子を駆動するシステムであって、
    該システムは、
    長手軸を有するチャンバーと、
    該チャンバーの該長手軸に実質的に平行な磁束によって、該チャンバーの中央領域内で方位角方向に対称な磁場を発生させるための第一磁場発生器と、
    該チャンバーの中央領域に連結されたRF駆動システムと
    を備え、該RF駆動システムは、該チャンバーの該長手軸の周りを回転する静電波を生成する、システム。
  2. 前記チャンバー内に方位角電場を発生させるための、該チャンバーの長手軸と同心の導電コイルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記RF駆動システムは、四重極サイクロトロンを備える、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記四重極サイクロトロンは、円筒状表面を形成する4つの半円筒電極を備える、請求項3に記載のシステム。
  5. 前記RF駆動システムは、双極子サイクロトロンを備える、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記双極子サイクロトロンは、円筒状表面を形成する2つの半円筒電極を備える、請求項5に記載のシステム。
  7. 前記RF駆動システムは、前記チャンバーの周辺部に隣接する軸方向に延在する磁場変調コイルを備える、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記チャンバー内に電力変換システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記電力変換システムは、前記チャンバーの第一端部領域内に円筒状表面を形成する複数の半円筒電極を備える、請求項8に記載のシステム。
  10. 前記複数の電極は、隣接する電極間に間隙を形成するように間隔を置いた2つより多い電極を備える、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記チャンバーの前記長手軸に実質的に平行な磁束によって、該チャンバーの前記第一端部領域内で方位角方向に対称な磁場を発生させるための第二磁場発生器と、
    前記第一磁場発生器および該第二磁場発生器の間に入り、前記複数の電極の第一端部に隣接した電子コレクターと、
    該複数の電極の第二端部に隣接して配置したイオンコレクターと
    をさらに備える、請求項9に記載のシステム。
  12. 前記チャンバーの第二端部領域内に円筒状表面を形成する、第二の複数の半円筒電極であって、該第二の複数の電極は、隣接する電極間に間隙を形成するように間隔を置いた2つより多い電極を備えている、第二の複数の半円筒電極と、
    該チャンバーの前記長手軸に実質的に平行な磁束によって、該チャンバーの前記第二端部領域内で方位角方向に対称な磁場を発生させるための第三磁場発生器と、
    前記第一磁場発生器および該第三磁場発生器の間に入り、該第二の複数の電極の第一端部に隣接した第二の電子コレクターと、
    該第二の複数の電極の第二端部に隣接して配置した第二のイオンコレクターと
    をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記チャンバーに連結されたイオンビーム注入器をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
  14. 前記イオンビーム注入器は、該注入器から放射されるイオンビームの電荷を中和するために電子を導入する手段を含む、請求項13に記載のシステム。
  15. 前記RF駆動システムは、円筒状表面を形成する2つ以上の長尺状の電極を備える、請求項1に記載のシステム。
  16. 回転プラズマの周囲にFRC磁場を発生させることにより、FRCプラズマを形成するステップと、
    該回転プラズマ内のイオンの方位角速度と同じ方向に回転する静電波を発生させるステップと
    を含む、FRC磁場内のイオンおよび電子を駆動する方法。
  17. 前記静電波を発生させるステップは、円筒状表面を形成する複数の長尺状の電極への電圧の印加を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記複数の長尺状の電極は、長尺状のサイクロトロンを形成する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記サイクロトロンは、四重極サイクロトロンである、請求項17に記載の方法。
  20. 前記サイクロトロンは、双極子サイクロトロンである、請求項17に記載の方法。
  21. 中和されたイオンビーム前記静電波に注入するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  22. 前記中和され注入されたイオンビームを前記静電波内に閉じ込めるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記閉じ込められたイオンビームのイオンの運動量およびエネルギーを増加させるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. 磁場反転配位(FRC)磁場においてプラズマイオンおよび電子を駆動するシステムであって、
    該システムは、
    長手軸を有するチャンバーと、
    該チャンバーの該長手軸に実質的に平行な磁束によって、該チャンバーの中央領域内で方位角方向に対称な磁場を発生させるための第一磁場発生器と、
    イオンおよび電子を含むFRCプラズマであって、該FRCプラズマは、該チャンバーの該長手軸に沿って円筒状チャンバー内で軸方向に延在し、FRCプラズマは、1014cm−3以上の密度を有し、該FRCプラズマ内のイオンは、該チャンバーの該長手軸に直交するベータトロン軌道を周回する、FRCプラズマと、
    該チャンバーの中央領域に連結されたRF駆動システムであって、該RF駆動システムは、静電波を生成し、該静電波は、該FRCプラズマを貫通し、該チャンバーの該長手軸の周りを回転し、該静電波は、該チャンバーの半径よりも少なくとも60倍大きい波長を有する、RF駆動システムと
    を備える、システム。
  25. 前記チャンバー内に方位角電場を発生させるための、該チャンバーの長手軸と同心の導電コイルをさらに備える、請求項24に記載のシステム。
  26. 前記RF駆動システムは、四重極サイクロトロンを備える、請求項24に記載のシステム。
  27. 前記四重極サイクロトロンは、円筒状表面を形成する4つの半円筒電極を備える、請求項26に記載のシステム。
  28. 前記RF駆動システムは、双極子サイクロトロンを備える、請求項24に記載のシステム。
  29. 前記双極子サイクロトロンは、円筒状表面を形成する2つの半円筒電極を備える、請求項28に記載のシステム。
  30. 前記RF駆動システムは、前記チャンバーおよび前記導電コイルの周辺部に隣接する軸方向に延在する磁場変調コイルを備える、請求項25に記載のシステム。
  31. 前記チャンバー内に電力変換システムをさらに備える、請求項24に記載のシステム。
  32. 前記電力変換システムは、前記チャンバーの第一端部領域内に円筒状表面を形成する複数の半円筒電極を備える、請求項31に記載のシステム。
  33. 前記複数の電極は、隣接する電極間に間隙を形成するように間隔を置いた2つより多い電極を備える、請求項32に記載のシステム。
  34. 前記チャンバーの前記長手軸に実質的に平行な磁束によって、該チャンバーの前記第一端部領域内で方位角方向に対称な磁場を発生させるための第二磁場発生器と、
    前記第一磁場発生器および該第二磁場発生器の間に入り、前記複数の電極の第一端部に隣接した電子コレクターと、
    該複数の電極の第二端部に隣接して配置したイオンコレクターと
    をさらに備える、請求項32に記載のシステム。
  35. 前記チャンバーの第二端部領域内に円筒状表面を形成する、第二の複数の半円筒電極であって、該第二の複数の電極は、隣接する電極間に間隙を形成するように間隔を置いた2つより多い電極を備えている、第二の複数の半円筒電極と、
    該チャンバーの前記長手軸に実質的に平行な磁束によって、該チャンバーの前記第二端部領域内で方位角方向に対称な磁場を発生させるための第三磁場発生器と、
    前記第一磁場発生器および該第三磁場発生器の間に入り、該第二の複数の電極の第一端部に隣接した第二の電子コレクターと、
    該第二の複数の電極の第二端部に隣接して配置した第二のイオンコレクターと
    をさらに備える、請求項34に記載のシステム。
  36. 容器に連結されたイオンビーム注入器をさらに備える、請求項34に記載のシステム。
  37. 前記イオンビーム注入器は、該注入器から放射されるイオンビームの電荷を中和するために電子を導入する手段を含む、請求項36に記載のシステム。
  38. 磁場反転配位(FRC)磁場内のイオンおよび電子を駆動する方法であって、
    該方法は、
    円筒状チャンバーの長手軸に沿って該チャンバー内で軸方向に延在するイオンおよび電子のプラズマの回転細長層の周囲にFRC磁場を発生させることにより、FRCプラズマを形成するステップであって、該FRCプラズマは、1014cm−3以上の密度を有し、該FRCプラズマ内のイオンは、該チャンバーの該長手軸に直交するベータトロン軌道を周回する、ステップと、
    静電波を発生させるステップであって、該静電波は、該FRCプラズマを貫通し、該FRCプラズマ内のイオンの方位角速度と同じ方向に回転し、該静電波は、該チャンバーの半径よりも少なくとも60倍大きい波長を有する、ステップと
    を含む、方法。
  39. 前記静電波を発生させるステップは、円筒状表面を形成する複数の長尺状の電極への電圧の印加を含む、請求項38に記載の方法。
  40. 前記複数の長尺状の電極は、長尺状のサイクロトロンを形成する、請求項39に記載の方法。
  41. 前記サイクロトロンは、四重極サイクロトロンである、請求項40に記載の方法。
  42. 前記サイクロトロンは、双極子サイクロトロンである、請求項40に記載の方法。
  43. 中和されたイオンビーム前記静電波に注入するステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
  44. 前記中和され注入されたイオンビームを前記静電波内に閉じ込めるステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記閉じ込められたイオンビームのイオンの運動量およびエネルギーを増加させるステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
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