JP5318432B2 - 防御用パイル織物 - Google Patents

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Description

本発明は防御用パイル織物に関し、特に、ドリルにより開けた貫通孔から、施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させる不正行為を阻止する防御用パイル織物に関する。
近年、サムターン式のピッキングが出現している。サムターン式のピッキングとは、扉における鍵の周辺部分にドリルで貫通孔を開け、その貫通孔から先端の曲がった太い針金を差し込み、その針金の先端を扉の裏側の内鍵の回動ノブに引っ掛けて開錠してしまうというものである。
このような新型のサムターン式のピッキングに対する防御として、特許文献1には、係止爪を出没操作する鍵を扉本体に埋没し、その鍵穴を扉本体の表側に露出させ、裏側に回動ノブを突設した扉において、この扉本体内部の鍵を取り囲むようにアラミド繊維などの耐切創性繊維を充填した区域を設けた防犯扉が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1記載の防犯扉によれば、耐切創性繊維を充填した区域を設けることにより、この区域にドリルで貫通孔を開けようとしても、耐切創性繊維がドリルの周囲に巻き付き、切断することなく蓄積していくため、ドリルの回転が停止し、それ以上の貫通動作をすることができなくなる。この防犯扉では、充填する耐切創性繊維として、短繊維がランダムに分散した繊維集合体、ランダムに分散した繊維集合体にニードルパンチを施して絡合させた不織布、織物、編物を使用している。
ところが、施錠装置ではなく制御装置を内設した構造体もあり、このような構造体では前面板にドリルで貫通孔を開ければ、制御装置を不正に作動させることができる。また、住宅、マンション、アパート等の扉に設けられる施錠装置以外にも、金庫、倉庫、ロッカー、書庫等のように内側から解錠することを想定していない施錠装置もある。
一方で、アラミド繊維等の耐切創性繊維は、刃物や鋭角な金属に接触しても破れたり、穴が開いたりせずに身体を保護する衣服、手袋、腕カバー等に使用する防護資材として用いられている。しかしながら、アラミド繊維等は繊維自身が剛直で、手や腕に伝わる感触が悪い上に、木綿等の天然繊維に比べて吸水性が乏しい等の欠点がある。それらを改良するために、アラミド繊維をパイル糸として植毛すること(特許文献2参照)、あるいは、高伸度化処理を施したアラミド繊維等をパイル経糸に用いること(特許文献3参照)、が提案されている。これらの技術は、上記した防護資材の欠点を改良することを目的としたものであるが、パイル長が長くなると刃物や石などに接触した場合に、立毛したパイルが倒れてパイルの側面方向から切創、摩耗などの力が作用する。そのため、パイル長は短い方が好ましいものである(0.5mm〜6mm程度)。
また、パイル糸にアラミド繊維糸を使用し、該糸によるパイル長さ5mm以下のパイルを織布面に形成せしめた研磨用のタオル布も開示されている(特許文献4参照)。
さらに、電力線、電話線、ガス管、水道管等の埋設物をドリル等による試掘から保護する保護マットとして、ループ状パイルを植設したパイル布を用いることが開示されている(特許文献5参照)。しかしながら、このパイル布は、埋設物の存在を作業者に検知させるためのものであるため、パイル高さは5mm程度である。
特開2004−324145号公報 特許第3591013号公報 特許第3891856号公報 実用新案登録第3086344号公報 特開2004−232719号公報(段落[0049]、[0053]等参照)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ドリルにより開けられた貫通孔を利用して内設された施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させる操作を阻止することを可能にする、防御用パイル織物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者等は施錠装置や制御装置を内設した構造体の前面板に密着させて取付けることが可能で、かつ、ドリルに絡み付き易いルーズな組織を有するパイル織物に着目した。そして、パイル長を変更して実験した結果、パイル長が10mm以上のパイル織物がドリルに対する防御機能に優れていることを見出し、しかもパイル糸が剛直な繊維であってもパイル織物の製織が比較的容易であることを見出した。
すなわち、本発明の防御用パイル織物は、ドリルにより開けられた貫通孔を利用して、内設された施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させる操作を阻止することを可能にする防御用パイル織物であって、地経糸と地緯糸と連続するパイル経糸とを備え、前記パイル経糸が、引張強度が13cN/dtex以上の高強度繊維を少なくとも10重量%以上含有し、かつパイル長が10mm以上であり、前記パイル経糸の1組あたりの合計引張強力が、交差する地緯糸の1組あたりの合計引張強力の3倍以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の防御用パイル織物は、ドリルにより開けられた貫通孔を利用して、内設された施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させる操作を阻止することを可能にする防御用パイル織物であって、地経糸と地緯糸とからなる上下二重の地組織と、該上下二重の地組織の間を連結する連続するパイル経糸とを備え、前記パイル経糸が、引張強度が13cN/dtex以上の高強度繊維を少なくとも10重量%以上含有し、かつパイル長が10mm以上であり、前記パイル経糸の1組あたりの合計引張強力が、交差する地緯糸の1組あたりの合計引張強力の3倍以上であることを特徴とするものである。
また、前記高強度繊維が、ポリフェニレンサルファイド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾビスオキサゾール繊維、高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリケトン繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維であることが好ましい。
本発明の防御用パイル織物は、パイル経糸のパイル長が長いので、不正行為を試みる者がドリルで貫通孔を開けて施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させようとしても、パイルを構成するパイル経糸がドリルの周囲に絡み付いてドリルの回動動作を鈍らせるため、それ以上の貫通操作をすることができなくなる。また、パイル経糸の引張強力を地緯糸の引張強力よりも高くすることにより、パイル経糸がドリルに絡み付いた際の勢いで引っ張られたとしても、地緯糸の方がパイル経糸よりも先に切れるので、絡み付いたパイル経糸が切れたり解れたりするおそれがない。よって、本発明の防御用パイル織物を、施錠装置や制御装置を内設した構造体の前面板の背後に取り付けることにより、不正行為を阻止することができる。
図を参照して説明すると、図1に示す本発明例の防御用パイル織物(10)は、連続するパイル経糸(5)と地経糸(3),(4)と地緯糸(7)とを備えてなる、パイル経糸のパイル長(L)が10mm以上のものである。パイル経糸(5)は、パイル織物(10)においてループ状のパイル(5a)を構成する。
図2に示す本発明例の防御用パイル織物(20)は、地経糸(1),(2)と地緯糸(6)とからなる織物(地組織)(9)および地経糸(3),(4)と地緯糸(7)とからなる織物(地組織)(8)から構成される上下二重の地組織の間を連結する連続するパイル経糸(5)を備えてなる、パイル経糸のパイル長(L)が10mm以上のものである。
本発明において、「パイル長」は、パイルがぴんと張った状態における、地を含めたパイルの上下間距離を言い、図1,2においてLで表示される距離である。このパイル長は10mm以上必要である。パイル長が10mm未満であってもパイル経糸はドリルに絡み付くが、ドリルの回動動作を停止させることができるほど十分な量の糸が絡み付かなくなる。パイル長は、より十分な防御機能を付与するには15mm以上が望ましく、パイル織物の製織性および構造体への取り付け易さ等を考慮すると30mm以下が望ましい。
パイル織物(10)および(20)は、従来公知の製織方法により作製できる。パイル織物(20)は、専用織機を用い経緯二重組織にて経糸でパイルをつくる方法で作製されたものであり、地組織をつくる経緯糸は変化平織り組織を含む平織り組織で上下2枚の織物をつくり、パイル経糸(5)は表裏の地緯糸(6),(7)と交互に交錯しながら、表裏2枚の織物の間を上下して連結する。
一方パイル織物(10)は、専用織機を用いパイル織組織にて経糸でパイルをつくる方法で作製されたものであり、地組織をつくる経緯糸は変化平織り組織を含む平織り組織で織物をつくり、パイル経糸(5)が地経糸(3),(4)および地緯糸(7)に挟まれて固定されている。かかるパイル織物(10)は、パイル織物(20)から、上面の地組織を構成する地経糸(1),(2)および地緯糸(6)を取り除くことにより、得ることもできる。地経糸(3),(4)および地緯糸(7)は、図1に示す様に、互いに協働してパイル織物(10)の地組織(8)を構成する。パイル(5a)は地組織の片面に形成されていることが好適である。
本発明のパイル織物においては、パイル経糸が形成するパイルの密度は200本〜1500本/25mm平方の範囲が好ましく、密度が200本/25mm平方以上であればドリルの周囲にパイル経糸が絡み付いてドリルの回動動作を鈍らせることが可能となる。絡み付くパイル経糸の量が多いほど、ドリルの回動動作を鈍らせあるいは停止させる効果は大きいが、密度が1500本/25mm平方を超えると製織性が劣り、効果も頭打ちになる傾向がある。パイルの密度で示すパイルとは、図1においては、パイル経糸(5)が地緯糸(7)から次の地緯糸(7)に織り込まれるまでのループ状のパイル(5a)を1本と数え、図2においては、パイル経糸(5)が上面地組織または下面地組織の片方の地緯糸から次の地緯糸に織り込まれるまで、すなわち上面地組織であれば地緯糸(6)から次の地緯糸(6)に織り込まれるまで、下面地組織であれば地緯糸(7)から次の地緯糸(7)に織り込まれるまでのパイルを1本と数える。
本発明のパイル織物(10)および(20)において、パイル経糸(5)としては、フィラメント糸または紡績糸を用いることができ、どちらも所望の効果を発現するが、引張強力の点より最も好ましいのはマルチフィラメント糸である。
パイル経糸に使用する糸条は、ドリルに絡み付いた際に切れないようにするため、高強度繊維を少なくとも10重量%以上含有するが、50重量%以上含有することがより好ましく、高強度繊維100重量%からなることが最も効果的である。糸条は、1種または2種以上の高強度繊維のみで構成されていても良いが、高強度繊維とナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、木綿や麻等の天然繊維との引き揃え、合撚、混繊糸、あるいは混紡糸から構成されていても良い。特に、パイル経糸と後述する地緯糸との引張強力の差が大きいと、ドリルに絡み付いたパイル経糸がドリルの回転の勢いで引っ張られても、地緯糸が先に切れるため、パイル経糸が切れてしまったり絡み合いが解れてしまうのを阻止することができる点で、好ましい。パイル経糸と地緯糸との引張強力の差は、織組織で同じパイルを形成するパイル経糸の1組あたりの合計引張強力が、該パイル経糸の1組と交差する後述する地緯糸の1組あたりの合計引張強力の3倍以上であることが好ましく、より好ましくは5倍以上、最も好ましくは20倍以上であるのが良い。
パイル経糸に用いる糸の単糸繊度は、小さすぎると単糸の機械的強度が弱くなり、また大きい方が耐切創性や耐摩耗性が優れるが、大きすぎるとパイル経糸が剛直になり糸として取扱いにくくなる。そのため、パイル経糸がフィラメント糸の場合には、糸の単糸繊度は、0.5〜11dtex程度が好ましく、糸条の繊度(総繊度)は、220dtex〜3300dtexの範囲が推奨される。一方、パイル経糸が紡績糸の場合には、糸の単糸繊度は、0.5〜11dtex程度が好ましく、糸条の番手(綿番手)は、40番手〜5番手の範囲が推奨される。紡績糸は、公知の方法で製造されるもので良い。
上記した高強度繊維としては、JIS L 1013(1999)に基づいて測定される引張強度が、13cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは15cN/dtex以上である。特に、高強度かつ高耐熱性であれば、ドリルの回転力によって発生した摩擦熱で繊維が溶融することがないので、安全である。耐熱性は、融点もしくは熱分解開始温度が250℃以上が好ましく、より好ましくは300℃以上である。
かかる高強度繊維としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、全芳香族ポリエステル繊維(例えば株式会社クラレ製、商品名「ベクトラン」)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例えば東洋紡績株式会社製、商品名「ザイロン」)、高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリケトン繊維などが挙げられる。これらの繊維はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせてパイル経糸糸条を構成しても良い。
上記のアラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維がある。メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社製、商品名「ノーメックス」)などのメタ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。また、パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー」)およびコポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ」)などのパラ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。
ポリケトン繊維としては、繰り返し単位の95質量%以上が1−オキソトリメチレンにより構成されるポリケトン(PK)繊維、ポリエーテルケトン(PEK)繊維、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維などが挙げられる。
これら高強度繊維の中でも、耐切創性および耐熱性に優れると共に、経済性、引張強さの点においてパラ系アラミド繊維が好ましい。ドリルの回転力で発生する摩擦熱で繊維が溶解するおそれがない。
本発明のパイル織物(10)および(20)において、地経糸および地緯糸は、フィラメント糸または紡績糸を用いることができ、これらの糸はナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、木綿や麻等の天然繊維またはそれらの合撚、混繊糸あるいは混紡糸からなることが好ましい。特に、上記したように、パイル経糸の1組あたりの合計引張強力を、交差する地緯糸の1組あたりの合計引張強力の3倍以上にするためには、地緯糸が木綿や麻等の天然繊維で構成されているのが良い。
本発明のパイル織物としては、連続したパイル経糸を地組織に同時に織り込んだパイル組織の織物が挙げられるが、先に地経糸および地緯糸で作製した織物に連続したパイル経糸を植え込んだパイル織物でも良い。
本発明のパイル織物では、パイル経糸の立毛によって得られる柔軟性やクッション性、保温性等は不要であるため、パイル経糸は立毛している必要はなく、地組織に対して倒れている状態で良い。パイル経糸が倒れた状態でのパイル織物の厚さは、特に限定はされないが、十分な防御性能を付与するためには、パイル長に対するパイル織物の厚さの割合が30〜90%あることが好ましく、パイル織物の厚みは5mm以上あることが好ましい。
本発明の防御用パイル織物は、施錠装置や制御装置を内設した構造体の前面板の裏側に設けるのが効果的である。例えば防御用パイル織物を前面板と補助板の間に挟み込み、その背後の内部に施錠装置や制御装置を設置する構成にする方法、あるいは、防御用パイル織物を前面板および/または補助板に接着剤で貼り付け、同様の構成にする方法等が挙げられる。これにより、ドリルの刃先が前面板を貫通しても、防御用パイル織物が貫通を阻止するので、施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させる操作を阻止することが可能になる。
上記構造体としては例えば、住宅、マンション、アパート等の扉、倉庫、金庫、ロッカー、書庫、ATM、家電、自動販売機、自動券売機、ゲーム機、計測機器、非常通報装置、昇降機、流量調整装置、ロック装置(オートロック等)、監視装置、車両用操舵制御装置、建物内設備(ドア等)制御装置、換気装置等が挙げられる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(製造例1)
地経糸として番手20s/2の綿紡績糸、地緯糸として番手30s/2の綿紡績糸、パイル経糸として、東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメント糸条(「KEVLAR(登録商標)29」、引張強度20.3cN/dtex、引張弾性率499cN/dtex、単糸繊度1.65dtex、総繊度1670dtex)を用意した。上面または下面の地表面から見た織り組織がパイル経糸1本と片面の地経糸2本とが交互となるように配列させた織り組織にて、片面におけるパイル経糸の密度は23本/25mm、地経糸の密度は46本/25mm、地緯糸の密度は36本/25mm、パイル長15mmの経緯二重組織パイル織物を作製した。この織り組織では、1組のパイルはパイル経糸1本で形成され、それと交差する地緯糸は1本である。
(製造例2)
地経糸として番手20s/2の綿紡績糸、地緯糸として番手30s/2の綿紡績糸、パイル経糸として、東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメント糸条(「KEVLAR(登録商標)29」、単糸繊度1.65dtex、ステープル長51mm)を用意した。上面または下面の地表面から見た織り組織がパイル経糸と片面の地経糸とが2本ずつ交互となるように配列させた織り組織にて、片面におけるパイル経糸の密度は46本/25mm、地経糸の密度は46本/25mm、地緯糸の密度は36本/25mm、パイル長18mmの経緯二重組織パイル織物を作製した。この織り組織では、1組のパイルはパイル経糸2本で形成され、それと交差する地緯糸は1本である。
(比較製造例1)
パイル長以外は製造例1と同じ糸を用い、同じ織り組織、同じ密度で織り込んだ、パイル長8mmのパイル織物を作製した。1組のパイルはパイル経糸1本で形成され、それと交差する地緯糸は1本である。
(製造例3)
製造例1で作製したパイル織物の上面の地組織から、地経糸と地緯糸を取り除き、パイル長15mmのパイル織物を作製した。1組のパイルはパイル経糸1本で形成され、それと交差する地緯糸は1本である。
(製造例4)
地緯糸として総繊度275dtexのポリエステルマルチフィラメント糸を用いた以外は、製造例2と同じ地経糸とパイル経糸、同じ密度、同じ織り組織およびパイル長で織り込んだ織物を作製し、上面の地組織から、地経糸と地緯糸を取り除いたパイル長18mmのパイル織物を作製した。1組のパイルはパイル経糸2本で形成され、それと交差する地緯糸は1本である。
(製造例5)
地経糸として番手20s/2の綿紡績糸、地緯糸として番手20s/2の綿紡績糸、パイル経糸として、東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(「KEVLAR(登録商標)29」10重量%とポリエステル繊維90重量%との混紡からなる20番手(綿番手)双糸の紡績糸を用い、製造例2と同じ織り組織、同じ密度で織り込んだ、パイル長18mmのパイル織物を作製した。1組のパイルはパイル経糸2本で形成され、それと交差する地緯糸は1本である。
(比較製造例2)
パイル経糸として、番手20s/2の綿紡績糸を用いた以外は製造例2と同じ地経糸と地緯糸を用い、同じ織り組織、同じ密度で織り込んだ、パイル長18mmのパイル織物を作製した。1組のパイルはパイル経糸2本で形成され、それと交差する地緯糸は1本である。
上記の製造例で作製したパイル織物の上面または下面の地表面から見た組織図を図3に示す。(a)が製造例1、3および比較製造例1、(b)が製造例2、4、5および比較製造例2。製造例で作製したパイル織物組織は、パイル経糸に掛っている地緯糸とパイル経糸に掛っていない地緯糸が交互に存在する。パイルの密度は、図3(a)では、(パイル経密度23本)×(地緯糸36本/2)=414本/25mm平方であり、図3(b)では、(パイル経密度46本)×(地緯糸36本/2)=828本/25mm平方である。
(実施例1)
上記の製造例および比較製造例で得られたパイル織物を、厚さ9mmの2枚のMDF板(中質繊維板)の間に挟み、2枚のMDF板の隙間が10mm(実施例で作製したパイル織物はパイル糸を押し潰した状態となった。)、または20mmになるように固定した。パイル織物を挟んだMDF板の上面から、ドリル刃を装着したバッテリードライバードリル(BOSCH製 PSR14.4)を押し当て、高速回転(最高無負荷回転数1400min−1回転/分)、トルク30N・mの条件にて、ドリルの刃先が下面のMDF板を貫通するかどうか、実験した。ドリル刃は、外径が3mm、材質がコバルトハイス鋼、用途がステンレス・鉄鋼・アルミ用のものを使用した。耐ドリル性能として、ドリル刃がMDF板を貫通したものを×、貫通しなかったものを○、ドリル刃が抜けなかったものおよびドリル刃が折れたものを◎で評価した。
パイル1組の合計引張強力および地緯糸1組の合計引張強力は、予め糸条の状態にてJIS L1013、JIS L1095の方法にて測定した値を、それぞれの1組に用いられる本数分を合わせた値とした。
実験結果を表1にまとめて示す。
表の結果から明らかなように、本発明の防御用パイル織物はドリルの貫通を防止する効果があることが分かる。
本発明に係る防御用パイル織物は、扉、金庫、倉庫、ロッカー、書庫など施錠構造を内設した構造体や、ATM、自動販売機、自動券売機、ゲーム機、非常通報装置、昇降機、監視装置、建物内設備(ドア等)制御装置など制御装置を内設した構造体に、幅広く適用することができる。
本発明の防御用パイル織物の一例を示す要部拡大断面図である。 本発明の防御用パイル織物の一例を示す要部拡大断面図である。 製造例で作製したパイル織物の上面または下面の地表面から見た組織図である。
符号の説明
1,2 地経糸
3,4 地経糸
5 パイル経糸
6,7 地緯糸
8,9 地組織
10 パイル織物
20 パイル織物

Claims (3)

  1. ドリルにより開けられた貫通孔を利用して、内設された施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させる操作を阻止することを可能にする防御用パイル織物であって、地経糸と地緯糸と連続するパイル経糸とを備え、前記パイル経糸が、引張強度が13cN/dtex以上の高強度繊維を少なくとも10重量%以上含有し、かつパイル長が10mm以上であり、前記パイル経糸の1組あたりの合計引張強力が、交差する地緯糸の1組あたりの合計引張強力の3倍以上であることを特徴とする防御用パイル織物。
  2. ドリルにより開けられた貫通孔を利用して、内設された施錠装置あるいは制御装置を解錠あるいは不正に作動させる操作を阻止することを可能にする防御用パイル織物であって、地経糸と地緯糸とからなる上下二重の地組織と、該上下二重の地組織の間を連結する連続するパイル経糸とを備え、前記パイル経糸が、引張強度が13cN/dtex以上の高強度繊維を少なくとも10重量%以上含有し、かつパイル長が10mm以上であり、前記パイル経糸の1組あたりの合計引張強力が、交差する地緯糸の1組あたりの合計引張強力の3倍以上であることを特徴とする防御用パイル織物。
  3. 前記高強度繊維が、ポリフェニレンサルファイド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾビスオキサゾール繊維、高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリケトン繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維である、請求項1または2に記載の防御用パイル織物。
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