JP5314011B2 - エキスパンションリーマ - Google Patents

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Description

本発明は、エキスパンションリーマに関する。
ここで論じる種類のエキスパンションリーマは公知である。これは一つのボデーと一つの環状部分とを有しており、環状部分の外周面には定義済みの幾何形状をもつ少なくとも一つの切刃が設けられている。この少なくとも一つの切刃の径方向位置は、一本の調整ボルトから成る一つの調整装置を用いて調整される。そのためにこの調整ボルトを用いて、この調整装置の円錐状又は球状の外周面を有する調整体をエキスパンションリーマの中心軸方向に移動し、それによって、環状部分が多少とも拡幅されるようにしている。調整装置のこの調整体が高い摩耗を受けること、また調整ボルトが差し込まれて係合するボデーの内部に設けられたねじ切り部の姿勢により調整体の位置が左右されるために、少なくとも一つの切刃の正確な位置決めを首尾よく実行できないことがままあることが判明している。このねじ切り部が、エキスパンションリーマの中心軸と正確に同心ではなく、そのため少なくとも一つの切刃の半径を正確に調整することが不可能となることがしばしばある。エキスパンションリーマが、定義済みの幾何形状をもつ複数の切刃を有する場合は、それぞれの切刃の位置を、これらが正確に同じ回転軌跡を描くように調整することは、多くのケースで不可能である。
したがって、本発明の課題は、上述の短所を有していないエキスパンションリーマを提供することにある。
この課題を解決するために、請求項1に記載の各特徴を具備したエキスパンションリーマが提案される。これは、調整体が調整ボルトの一体型構成部品ではなく、調整ボルトを取り囲み、その周囲に遊動式に支承される調整スリーブとして形成されることを特色としている。この「遊動式」という用語は、調整スリーブが、調整ボルトに対して軸方向にも、また径方向にも変位可能であり、したがって補償移動を行えることを表している。したがって調整体は、エキスパンションリーマの環状部分に内側から最適な形で当接することになり、その結果、定義済みの幾何形状をもつ少なくとも一つの切刃の位置が非常に正確に調整できるようになる。調整スリーブが調整ボルトの周囲に遊動式に支承されることにより、調整ボルトの回転時に、すなわち少なくとも一つの切刃の径方向位置を調整するために調整ボルトが回されるときに、調整スリーブが回転できない状態で環状部分の内部にとどまること、またそれにより調整スリーブが受ける摩耗が低減されることが達成される。
好ましい例示的実施形態は、調整ボルトが一方の端部に一つの雄ねじを、他方の端部に一つの頭部を有しており、この頭部が、その雄ねじ側の面に一つの当接面を有することを特色としている。調整スリーブが、この当接面に当接し、調整ボルトが相応の回転運動を行う際には、その回転軸の方向に、すなわちエキスパンションリーマの中心軸方向に変位できるようになっており、その結果少なくとも一つの切刃を有する環状部分が拡幅されるようになる。すなわちこの調整体は、調整スリーブが相応に軸方向に変位されるとき、環状部分を拡幅し、それに伴って少なくとも一つの切刃の位置決めをもたらすウェッジ伝動機構の一部分となっている。
もう一つの好ましい例示的実施形態においては、調整装置が、調整ボルトを緩める際に、調整スリーブに軸方向力を加えることによって、調整スリーブをエキスパンションリーマから引き出せるようにするために利用される、一つの取出し装置を備えている。したがって調整装置を、エキスパンションリーマに差し込みそこから問題なく取り外すことができるモジュラーユニットとして形成することが可能となる。
その他の構成形態については、残りの従属請求項から明らかになる。
以下では図面に基づき本発明を詳しく説明する。
エキスパンションリーマの第1例示的実施形態の前側部分の構成を示す縦断面略図である。 図1から明らかであるエキスパンションリーマの調整装置の分解図である。 調整装置が取り付けられていない図1に示されるエキスパンションリーマの前面図である。 エキスパンションリーマの第2例示的実施形態を、部分切取り側面図である。
図1から、エキスパンションリーマ1の第1例示的実施形態の前側部分が明らかである。その左側の端部は切り落とされているが、これは、公知の任意の方式で形成することができ、また、一つの取付け用シャンクを有することができ、このシャンクは、エキスパンションリーマ1を工作機械に直接に、又はコネクタ、アダプタなどに回転しないように取り付けられるようにするために利用される。エキスパンションリーマ1は一つのボデー3を有しており、その内部には右側から、すなわちその前面5から、一つの中空室7が作り込まれている。
エキスパンションリーマ1の、ボデー3の前面5付近の一つの領域、すなわち一つの環状部分Rに、定義済みの幾何形状をもつ少なくとも一つの切刃を備えている。ここに示される例示的実施形態においては、二つ一組で相互に対向する四つのブレード、具体的には上側に位置する一つのブレード9と、下側に位置する一つのブレード11とを確認することができる。これらのブレードは、それぞれの前面5側の端部に、定義済みの幾何形状をもつ切刃13及び15を有している。原理的にはこれらの切刃をエキスパンションリーマ1のボデー3に直接形成することも可能である。しかし公知のように、ブレードが、ボデー3に差し込まれるようにすることが好ましく、このブレードは、特に定義済みの幾何形状をもつ切刃の領域においては耐摩耗性に非常に優れた材料から形成することができる。
切刃13及び15は、通例はエキスパンションリーマ1を回転させ被加工品を静止させることにより、ボア表面の切削加工を行うようになっている。しかし、被加工品を回転させ、エキスパンションリーマ1を静止させることも考えられる。切刃とボア表面の間で相対回転運動が行われることだけが重要となる。
ボデー3には、ブレード9,11の領域に、切刃13及び15によって削り落とされた切粉によってボア表面に支障が生じないように、切粉を排出するために利用される切粉室17及び19が設けられている。
中空室7は、一つの調整装置21を受け入れるために利用され、この調整装置21は、較正ボルトとも呼ばれる一本の調整ボルト23、好ましくはこの調整ボルト23を取り囲む調整スリーブ25として形成される一つの調整体、並びに一つの取出し装置27から成っている。
調整ボルト23は、その第1の端部29に、一つの雌ねじ33と協働する一つの雄ねじ31を有している。この雌ねじ33は、エキスパンションリーマ1の中空室7の底面37からさらにボデー3の奥の方に向かって延びる一つのボア35の壁面に作り込まれている。中空室7、ボア35、及び調整ボルト23は、エキスパンションリーマ1の回転軸とも呼ばれる中心軸39に対して同心で配置されている。
調整ボルト23のこの第1の端部29とは反対側に位置する第2の端部41には、一つの頭部43が設けられており、この頭部の外径は、上述の雄ねじ31を備える調整ボルト23の軸部45よりも大きい。それによりこの頭部43は、調整ボルト23の第1の端部29の方を向いた一つの当接面47が形成され、これに、調整スリーブ25の-図1においては-右側の端部、すなわちそのスラスト端面が当接するようになっている。
調整スリーブ25の外周面49は、円錐状又は球状に形成されている。調整スリーブ25は、当接面47と当接する、一つの第1の領域を有しており、この領域の外径は中空室7の内径よりも大きい。それとは反対側に位置する調整スリーブ25の左側の端部の外径は、中空室7の内径よりも小さくなっており、それにより調整スリーブ25が中空室7の内部にはまり込めるようになっている。
中空室7の内周面51は、その端のところまで円筒形に形成することができる。しかしながら内周面51は、前面5の付近では円錐状又は球状に形成することが好ましく、それにより内周面51は、一つの環状領域53のところで調整スリーブ25に外側から当接することになる。内周面51の前面5付近の領域がどのように形成されるかに応じて、この環状領域53は、中空室7の多少ともさらに奥の、前面5からある距離をおいたところに位置することになる。
すなわち、エキスパンションリーマ1の、ここではブレード9及び11の切刃13及び15として形成されるそれぞれの切刃は、エキスパンションリーマ1の一つの環状領域53に位置することになるが、この環状領域53を、これらの切刃13及び15の径方向位置を調整し較正するために、調整装置21によって多少とも拡幅できるようになっている。この環状領域53は、ここでは環状部分Rの前側の、前面5の方を向いた部分である。
すなわち中空室7の内周面51と調整スリーブの外周面49との間には、一つのウェッジ伝動機構が形成されることになり、これを利用して、調整スリーブ25の中心軸39に沿った軸方向の動きが、環状領域53の多少とも径方向の拡幅に変換されることによって、中心軸39に対する切刃13及び15の径方向の位置決めが実現できるようになっている。
そのようなウェッジ伝動機構の基本機能は知られている。すなわち、調整スリーブ25の外周面49は好ましくは円錐状又は楔状に形成され、一方、中空室7の内周面51は、この外周面49との接触領域においては、好ましくは球状に形成されている、すなわち-断面で見ると-ある一定の曲率半径を有し、前面5に向かって拡幅されていることが明らかである。
調整スリーブ25の内周面55は、調整ボルト23の軸部45の外径よりも若干大きい内径を有している。このため調整スリーブ25は、軸部45の周囲を調整ボルト23の軸方向に、すなわち中心軸39方向に移動できるが、また、特に中心軸39に対して径方向にも移動できるようになっている。すなわち、仮にボア35が中心軸39に対して正確に同心で延びていないとしても、それに関係なく、中空室7の内周面51に接した状態にある調整スリーブ25のセンタリングが可能となり、それにより少なくとも一つのブレードの最適較正を保証することができる。
調整スリーブ25は、調整ボルト23とは別々に形成されるため、その材料特性も、調整スリーブ25の中空室7の内周面51に対する摺動特性や、さらには調整スリーブ25の当接面47に対する摺動特性にも影響を与えるべく、自由に選択することができる。
調整装置21は、既述のように一つの取出し装置27を有している。これは、調整ボルト23を緩める際に、調整スリーブ25を中空室7から簡単に取り外せるようにするために利用される。取出し装置27は、調整スリーブ25により中空室7の内部に閉じ込められている、すなわち中空室7の内部の調整スリーブ25の左側に位置している。調整ボルト23が中空室7から出る向きに、すなわち図1においては右に向かって移動する際に、調整スリーブ25がこの取出し装置27によって移動するようになっている。
取出し装置27は、この例のように、ねじスリーブとして形成することができ、これは、調整ボルト23の軸部25の周囲にねじ付けて、調整スリーブ25に対して-中心軸39方向で測って-ある適切な距離をおいて配置されるようになっている。ねじスリーブの調整スリーブ25に対する相対位置が所望の位置に達すると、ねじスリーブは適切な方法により-例えば接着、蝋接、溶接、又はその他の変形により-軸部45に固定される。すなわち、調整ボルト23を回して取り外す際には、ねじスリーブが軸部45上でもはや変位することはなく、調整スリーブ25は内部空間7から外に引き出されることになる。
明白であるが、このねじスリーブの代わりに、軸部45に対して横向きに延びる一つのピンを設けたり、あるいは、調整ボルト23を回してエキスパンションリーマ1のボデー3から取り外すときに調整スリーブ25の左側の端部に当接するような大きさの外径を有する一つの環状カラーを設けたりすることもできる。それにより、環状カラーであれ、何らかの適切なピンであれ、調整スリーブ25は中空室7から外に引き出されることになる。
この調整装置21は、このように簡単にエキスパンションリーマ1にはめ込み、そこから取り外すことができる一つのアッセンブリユニットを形成することが好ましい。
それにより、エキスパンションリーマ1に一つずつはめ込まれて、所定の調整挙動、すなわちウェッジ伝動機構の所定の伝達比を達成する、中空室7の内周面51に適合された多少とも急な頂角をもつ外周面49を有する様々な調整スリーブ25を提供することができるようになる。
図1に示される図から明らかであるように、この調整装置21は非常にコンパクトであり、エキスパンションリーマ1が極小径である場合にもこれを使用することができる。すなわち加工直径が5mm以下であるエキスパンションリーマでも、ここで論じる種類の調整装置21と組み合わせることができる。その際に、中空室7の内周面51の前面5に隣接した領域、特に調整スリーブ25と協働する環状領域53、及び調整スリーブ25の外周面49の設計により、調整装置21の調整挙動に影響を与えることができる。したがって、調整スリーブ25の軸方向の調整運動によって環状領域53の極僅かな径方向の拡幅がもたらされるようにするために、傾斜が非常にフラットな外周面49を有する調整スリーブ25を実現することが可能である。それにより、エキステンションリーマ1の非常に精密な調整が可能となる。
図2には、図1から明らかである調整装置21が、個々の部品を再度はっきりと認識できるようにするために分解構成図で示されている。同じ部品には同じ符号が付されているので、これらについては図1に関する説明を参照されたい。
すなわちこの調整装置21は、一つの頭部43と一つの軸部45とを備える一つの調整ボルト23を有している。この調整ボルト23の少なくとも頭部43とは反対側に位置する第1の端部29には、一つの雄ねじ31が設けられている。ここではねじスリーブとして形成される、雄ねじ31と噛み合う雌ねじ57を備える取出し装置27を、図1から明らかなように軸部45上の相応の位置に達するまで、軸部45の周囲にねじ付けられるようにするために、この雄ねじ31は、軸部45の右手の方向に第2の端部41に向かって相応の位置まで延びていなればならない。調整スリーブ25の内周面55の内径は、調整ボルト23の軸部45の外径に対して調整スリーブ25を調整ボルト23に簡単にはめ合わせることができるとともに、調整スリーブ25が調整ボルト23の軸部45に対して径方向の遊びを有するように、定められる。それにより、調整ボルト23の誤った姿勢による影響が調整スリーブ25に簡単に及ぶことがなくなるので、この調整スリーブ25により、少なくとも一つの切刃、ここでは切刃13及び15の非常に正確な調整を保証できるようになり、その結果これらの切刃13及び15は一つの共通の回転軌跡上に位置することになる。
図3には、エキスパンションリーマ1が前面図で示されている、すなわち図1に示される前面5の平面図が示されている。ボデー3には、少なくとも一つの、ここでは四つのブレードが差し込まれており、図1にはそのうちのブレード9及び11が認められる。これに対応して約90°ずつ位置をずらして配置された切刃9'及び11'は同一の構成なので、これらについてはこれ以上説明しないことにする。
これらのブレード9、9'、11及び11'は、エキスパンションリーマ1のボデー3に作り込まれたリセス59、61、59'及び61'中に、矢印63で示される回転方向に見てそれぞれの切刃9、11、9'及び11'の前方に、切刃13、15、13'、15'によって削り落とされた切粉を排出できるようにするための切粉室が一つずつ生じるように、差し込まれている。
図3からさらに明らかであるように、エキスパンションリーマ1のボデー3の前面5には、一つの中空室7が作り込まれている。二重線は、この中空室7の内周面51が、円錐状又は球状に形成された移行領域65を経て前面5に移行していることを示している。またこの中空室7の底面37には、調整ボルト23が噛み合うようになっている一つの雌ねじ33を有するボア35が作り込まれていることも、はっきり確認できる。
図3に示される前面図から、エキスパンションリーマ1が-円周方向で見て-相互に略等間隔に配置された四つの切刃13、15、13'、15'を備えていることも明らかである。
原理的には、エキスパンションリーマ1が、少なくとも一つの切刃を備えることが可能である。二つ又は三つの切刃を設けてもよい。六つの切刃が設けられる場合、エキスパンションリーマ1は、加工対象であるボアの内部に極めて安定した状態で支持されることになる。
エキスパンションリーマ1が内径の小さいボアの加工用として企図されるのであれば、四つの切刃を設けることが好ましく、それによりボデー3は、過度の打撃を受けることがなくなり、特に小さな加工直径を実現することができる。
エキスパンションリーマの第2例示的実施形態は、側壁の一部を切り取ってエキスパンションリーマ1を側面図で示している図4から明らかである。同じ部品には同じ符号が付されているので、同じ部品及びその機能についてはこれまでの図に関する説明を参照されたい。
図4から明らかであるエキスパンションリーマ1の例示的実施形態は、中空室7の内径が、ここでもやはり調整スリーブ25'として形成される調整体を収容できるように選定される点で、これまでの図の例示的実施形態とは相違している。調整スリーブ25'はここでは、その内周面55が調整ボルト23の頭部43の外周面と接触しないような大きさに設計されている。すなわちここでは調整スリーブ25'が、調整ボルト23の軸部45だけではなく、頭部43も受け入れるようになっている。そこでは調整スリーブ25'が、調整ボルト23の頭部43を取り囲む一つの外壁67を有している。この外壁67は、調整スリーブ25'の一つの底面69へと移行しており、この底面69が、調整ボルト23の頭部43の載置面47のための支持面71を形成している。
外壁67によって取り囲まれる空間は、調整ボルトの頭部43が-好ましくは完全に-収容される大きさとなっている。すなわち調整ボルトは、調整スリーブ25'の内部に好ましくは沈頭式に配置されるようになっている。
底面69は、エキスパンションリーマ1の中心軸39と合致する中心軸を有する一つのスルーホール73を備えている。このスルーホール73の内径は、底面69が軸部45の外周面と接触せず、調整スリーブ25'が、図1から3に示されるエキスパンションリーマの例示的実施形態の調整スリーブ25と同様に、調整ボルト23の周囲に遊動式に支承されるように選定されている。すなわち調整スリーブ25'は、軸部45の周囲を調整ボルトの軸方向に、すなわち中心軸39の方向に移動可能であるが、また特に中心軸39に対して径方向にも移動できるようになっている。すなわち、仮にスルーホール73が中心軸39に対して正確に同心で延びていないとしても、それに関係なく、中空室7の内周面51に接した状態にある調整スリーブ25'がセンタリング可能となる。それにより、エキスパンションリーマ1の少なくとも一つのブレードの最適較正がこの場合保証される。
すなわち、図1から3に示される例示的実施形態においては、調整ボルト23の頭部43が調整スリーブ25の一つの環状面の上に載置されるのに対して、この調整ボルト23は、調整ボルト23の頭部43も調整スリーブ25に受け入れられ、その当接面47により、調整スリーブ25'の内部で調整スリーブ25'の支持面71上に載置されるように、調整スリーブ25'の内部にはめ込まれる。すなわち当接面47は、調整スリーブ25'の内部に設けられた支持面71と協働するようになっている。
それにより調整ボルト23を、調整スリーブ25'と同様に、エキスパンションリーマ1の前面5に沈頭式に格納することができるので、このエキスパンションリーマ1を、ブラインドボア又は止まり穴、すなわちスルーホールとして形成されるのではなく底面を有しているボアの加工にも使用することができる。
調整スリーブ25'の外周面49は、第1例示的実施形態と同様に円錐形に形成され、上述のように一つの環状領域53のところでは球状に形成することができる中空室7の内周面51と協働する。
この場合に、第1例示的実施形態と同様に、調整スリーブ25'の外周面49を球状に形成し、中空室7の内周面51を円錐状に形成することも可能である。いずれの場合も、ウェッジ伝動機構が実現されることになる。調整スリーブ25'が-図4において左に向かって-中空室7の奥の方へと移動されると、環状部分Rは径方向に拡幅される。それによりエキスパンションリーマ1の各切刃の径方向の位置調整が行われることになるが、図4にはこれらの切刃のうち、切刃13及び15を認めることができる。
第1例示的実施形態においては、調整スリーブ25の環状面として形成された一つのスラスト端面に、調整ボルト23の当接面47を介して力が加えられるのに対して、図4に示される第2例示的実施形態においては、調整ボルト23の調整力が調整スリーブ25'の底面69に作用するようになっている。そのため調整ボルト23の頭部43の載置面47は、底面69、具体的にはその支持面71に当接する。調整ボルト23がエキスパンションリーマ1のボデー3中にねじ込まれるとき、すなわち図4において左に向かって移動するとき、調整スリーブ25'は中空室7の奥の方に、第1例示的実施形態のように押し込まれるのではなく、引き込まれることになる。
図4から明らかなように、調整スリーブ25'の底面69は、エキスパンションリーマの前面5までの距離が、調整スリーブ25'の調整力が作用する環状領域53から前面5までの距離よりも大きくなるように配置することが好ましい。それにより図4においても調整ボルト23の力は環状部分Rの環状領域53の左側で導入されることになる。
その結果、調整スリーブ25'がエキスパンションリーマ1の切刃の較正時に中空室7の奥の方へと引き込まれるときに、図1から3による例示的実施形態の場合よりも正確な較正結果を実現することができる。
図4から明らかなように、ここでも調整装置21は、調整ボルト23の軸部45に、調整ボルト23を緩める際に調整スリーブ25'をエキスパンションリーマ1の中空室7から引き出せるようにするために利用される一つの取出し装置47を含むことができる。これについては、エキステンションリーマ1の第1例示的実施形態の取出し装置47に関して述べたことがそのまま当てはまる。
この場合でも調整装置21は、調整ボルト23、調整スリーブ25'として構成された調整体、及び取出し装置27を含む、前もって製造されたアッセンブリユニットとして実現することができる。すなわち、上記で述べた長所、具体的には、様々な調整装置21を異なるエキスパンションリーマ1と組み合わせる可能性がもたらされることになる。

Claims (12)

  1. エキスパンションリーマであって、
    一つのボデー(3)と、
    一つの環状部分(R)と、
    前記環状部分(R)の外周面に備えられた、定義済みの幾何形状をもつ少なくとも一つの切刃(13,15,13',15')と、
    前記環状部分(R)に内側から作用する一つの調整装置(21)であって、一本の調整ボルト(23)を含み、前記少なくとも一つの切刃(13,15,13',15')の径方向位置を調整するための調整装置(21)と、を備え
    前記調整装置(21)が、エキステンションリーマ(1)の前記ボデー(3)に設けられた一つの中空室(7)の内部に配置されるとともに、エキステンションリーマ(1)の中心軸(39)方向に変位可能で前記環状部分(R)の拡幅に利用される、円錐状又は球状の一つの外周面(49)を備える一つの調整体を備え
    前記調整体が、前記調整ボルト(23)を取り囲んでその周囲に遊動式に支承される、調整スリーブ(25)として形成され
    前記調整ボルト(23)が、その第1の端部(29)に、エキスパンションリーマ(1)の前記ボデー(3)係合する一つの雄ねじ(31)と、前記調整スリーブ(25)に通してはめ込まれ、エキスパンションリーマ(1)の中心軸(39)に対して同心で配置される一本の軸部(45)と、を含むとともに、前記第1の端部(29)とは反対側に位置するその第2の端部(41)に、前記調整スリーブ(25)が当接する前記第1の端部(29)の方を向いた一つの当接面(47)を備える一つの頭部(43)を含み、
    前記調整ボルト(23)の前記頭部(43)の前記当接面(47)が、前記調整スリーブ(25')の内部に設けられ、かつ前記調整スリーブ(25')の一つの底面(69)に設けられた一つの支持面(71)と協働し、
    前記調整ボルト(23)の前記頭部(43)が、前記調整スリーブ(25')の内部に配置可能であり、
    面(5)から見た際に、前記調整スリーブ(25')の前記底面(69)からエキスパンションリーマ(1)の前記前面(5)までの距離が、前記調整スリーブ(25')の位置決め力が作用する前記中空室(7)の内周面(51)の環状領域(53)から前記前面(5)までの距離よりも大きいエキスパンションリーマにおいて、
    前記支持面(71)から前記環状領域(53)までの距離が、軸方向で見た際に、前記調整ボルト(23)の前記頭部(43)の範囲と実質的に対応しており、
    前記前面(5)に近接する前記内周面(51)が円錐状又は球状を呈しており、前記環状領域(53)で前記調整スリーブ(25')の外側と当接するようになっていることを特徴とする、エキスパンションリーマ。
  2. 前記調整スリーブ(25')が、前記調整ボルト(23)の前記頭部(43)を一定の距離をおいて取り囲む内周面(55)を備える一つの外壁(67)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエキスパンションリーマ。
  3. 前記調整ボルト(23)の前記頭部(43)が、前記調整スリーブ(25')の内部に完全に沈頭されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエキスパンションリーマ。
  4. 前記調整ボルト(23)の前記頭部(43)が、キスパンションリーマ(1)の前面(5)に沈頭式に配置され得ることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエキスパンションリーマ。
  5. 前記調整ボルト(23)が前記中空室(7)から外方向へ移動するに応じて前記調整スリーブ(25)を移送するために、前記調整装置(21)が、エキスパンションリーマ(1)の前記ボデー(3)に設けられた前記中空室(7)の内部に前記調整スリーブ(25)によって閉じ込められる一つの取出し装置(27)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のエキスパンションリーマ。
  6. 前記取出し装置(27)が、ねじスリーブ、クロスピン、及び/又は、前記調整ボルト(23)の前記軸部に設けられた環状カラーとして形成されることを特徴とする、請求項5に記載のエキスパンションリーマ。
  7. 前記環状部分(R)が、エキスパンションリーマ(1)の前記ボデー(3)の一部であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のエキスパンションリーマ。
  8. 前記エキスパンションリーマが、定義済みの幾何形状をもつ切刃(13,15,13',15')を少なくとも二つ含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のエキスパンションリーマ。
  9. 前記刃(13,15,13',15')が、前記環状部分(R)の外周側に、相互に略等間隔に配置されることを特徴とする、請求項8に記載のエキスパンションリーマ。
  10. 前記調整スリーブ(25)の少なくとも前記外周面(49)の材料が、前記環状領域(R)及び/又は前記調整ボルト(23)の材料とは異なることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のエキスパンションリーマ。
  11. 前記調整ボルト(23)の前記頭部(43)が、前記調整スリーブ(25')もともに、エキスパンションリーマ(1)の前面(5)に沈頭式に配置され得ることを特徴とする、請求項4に記載のエキスパンションリーマ。
  12. 前記エキスパンションリーマが、定義済みの幾何形状をもつ切刃(13,15,13',15')を三つ、四つ、又は六つ含むことを特徴とする、請求項8に記載のエキスパンションリーマ。
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