JP5313482B2 - 脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、上述した各工程を含む脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造プロセスについて図1を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係る脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造装置を模式的に示した模式図である。
次に、第1の反応工程および第2の反応工程の詳細について説明する。第1の反応工程および第2の反応工程は、いずれも油脂類およびアルコール類を混合し、固体触媒存在下においてエステル交換反応させることにより脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンを生成する工程である。
続いて、第1の精製工程および第2の精製工程の詳細について説明する。第1の精製工程および第2の精製工程は、それぞれ第1の反応工程および第2の反応工程において得られた反応液から未反応アルコールを留去する工程である。
最後に、再生工程の詳細について説明する。再生工程は、アルコール精製塔13において行われる工程であり、未反応アルコール類から反応工程における原料として再度用いることができるアルコール類を精製する工程である。なお、本明細書等において「再生」とは、未反応アルコール類を反応工程において原料として用いることができるアルコール類として精製することを意味している。
第1分離器14および第2分離器24は従来公知の分離器を用いることができ、また第1分離器14および第2分離器24における相分離は、従来公知の方法を用いて行うことができる。なお、第1分離器14および第2分離器24において、より一層純度の高い脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンを得る場合には、第1分離器14および第2分離器24の後にさらに精製塔を設けてもよい。
ここで、本発明において好適に用いることができる固体触媒、アルコール類および油脂類について説明する。
本発明に好適に用いることができる固体触媒は、エステル交換反応において、原料および生成物などが含まれる反応液にほとんど溶解することなく、触媒作用を有する化合物であり、原料である油脂類およびアルコール類ならびに生成物である脂肪酸アルキルエステルおよびグリセリンなどが含まれる反応液に不溶である不溶性の固体触媒であることが好ましい。本明細書等における固体触媒の「不溶性」とは、エステル交換反応後の反応液において、活性成分(例えば、活性金属成分)が1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、最も好ましくは分析装置で検出されないことを意味している。なお、反応液における不溶性固体触媒の活性成分の濃度(溶出量)は、蛍光X線分析法(XRF)を用いて測定することができる。蛍光X線分析法では、反応後の反応液を、溶液状態のまま用いることができる。また、より微小量の溶出量を測定する場合には、高周波誘導プラズマ(ICP)発光分析法により測定してもよい。
本発明において好適に用いることができる油脂類は、グリセリンの脂肪酸エステルを含有するものであって、アルコールと共に脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの原料となるものであればよく、一般的に「油脂」と呼ばれる、グリセリンの脂肪酸エステルを含有するものであれば特に限定されるものではない。通常は、トリグリセリド(グリセリンと高級脂肪酸とのトリエステル)を主成分として、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸およびその他の副成分を少量含有する油脂を用いることが好ましいが、トリオレインまたはトリパルミチンなどのグリセリンの脂肪酸エステルを用いてもよい。
本発明に好適に用いることができるアルコール類は、バイオディーゼル燃料の製造を目的にする場合には、アルコール類として、炭素数1〜6のアルコール類を用いることが好ましく、炭素数1〜3のアルコール類を用いることがより好ましい。炭素数1〜6のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノールおよび2−ヘキサノールなどを挙げることができる。これらの中でも、メタノールまたはエタノールであることが好ましい。また、これらのアルコール類は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施例では、反応原料としてパーム油(油脂類)とメタノール(アルコール類)とを使用した。パーム油は、リン酸を添加することによって、パーム油に含有されているタンパク質およびリン脂質をあらかじめ沈殿除去した脱ガムパーム油を使用した。なお、用いたパーム油における遊離脂肪酸含有率は、5.1質量%であり、水分量は0.06質量%であった。
脂肪酸メチルエステルの収率=(第2の第2分離器24から抜き出された上層(エステル相)における脂肪酸アルキルエステルのモル数)/(第1の反応器10の入口のトリグリセリドのモル数×3+ジグリセリドのモル数×2+モノグリセリドのモル数)。
グリセリンの収率=(第2の第2分離器24から抜き出された下層(グリセリン相)におけるグリセリンのモル数)/(第1の反応器10の入口のグリセリド類のモル数の和)。
本実施例において用いた固体触媒について以下に示す。炭酸マンガン(30部)、アナターゼ型酸化チタン(19部)、およびアルキルセルロース(信越化学工業株式会社製メトローズ90SH−15000;1部)をよく混合した。混合した粉体に、19部の水を数回に分けて均一に加え、さらによく混合した後、湿式押出造粒機(不二パウダル株式会社製、ドームグランDG−L1)にて、直径0.4mmの孔から押出した。押出したものを、120℃で一昼夜乾燥させ、微粉砕装置(不二パウダル株式会社製、サンプルミル)にて、長さ5cm程度にせん断し、空気雰囲気下1000℃で5時間焼成して触媒MnTiO3を得た。
図1に示した製造装置を用いて、脂肪酸メチルエステルおよびグリセリンを製造した。具体的な製造方法について、以下に説明する。精密高圧定量ポンプを用いてパーム油(2.5kg/h)とメタノール(2.5kg/h)とを連続的に流通させ、熱交換器を用いて200℃、5MPaに昇温・昇圧した。これらの液をミキサーで混合し、第1反応器10の上部より下向きに連続的に流通させた。反応前後のマテリアルバランスを表1に示した。第1反応器10において得られた反応液を第1加圧フラッシュ塔11へ供給した。第1加圧フラッシュ塔11の圧力は、0.35MPaとした。次いで、第1加圧フラッシュ塔11のボトムから連続的に抜き出された重質液を第1常圧フラッシュ塔12へ供給した。
熱量の回収を行わない以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、各工程において要した熱量は、上記の表2に示した。
第1加圧フラッシュ塔11および第1常圧フラッシュ塔12の塔頂から連続的に抜き出された未反応メタノールは、実施例1と同様の操作で熱量を回収した後、アルコール貯留槽3に供給した。
第1常圧フラッシュ塔12を使用せず、第1加圧フラッシュ塔11のボトムから抜き出された重質液を第1分離装置14へ供給した。このとき、圧力は0.25MPaとした。
第1加圧フラッシュ塔11を使用せず、第1常圧フラッシュ塔12のボトムから抜き出された重質液を第1分離装置14へ供給した。
2 油脂類貯留槽
3 アルコール類貯留槽
4 廃棄物貯留槽
5 脂肪酸アルキルエステル貯留槽
6 グリセリン貯留槽
10 第1反応器
11 第1加圧フラッシュ塔
12 第1常圧フラッシュ塔
13 アルコール精製塔
14 第1分離器
20 第2反応器
21 第2加圧フラッシュ塔
22 第2常圧フラッシュ塔
23 アルコール蒸留塔
24 第2分離器
30、31 熱交換器
Claims (7)
- 油脂類とアルコール類とを固体触媒の存在下において反応させる第1の反応工程と、
上記第1の反応工程において得られた反応液から、上記第1の反応工程において反応することなく残余した未反応アルコール類を留去する第1の精製工程と、
上記未反応アルコール類の有する熱量のうちの少なくとも一部を熱交換器によって回収し、回収した当該熱量を利用して上記未反応アルコール類から上記アルコール類を再生する再生工程と、を含むことを特徴とする脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法。 - 上記第1の精製工程では、互いに異なる少なくとも2段階の圧力を施すことを特徴とする請求項1に記載の脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法。
- 上記第1の精製工程における1段階目の圧力は、0.15〜1.5MPaの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法。
- 上記第1の精製工程後の反応液を相分離することによって得られた上層に含有されている油脂類と、アルコール類とを固体触媒の存在下において反応させる第2の反応工程と、
上記第2の反応工程において得られた反応液から、上記第2の反応工程において反応することなく残余した未反応アルコール類を留去する第2の精製工程と、をさらに含み、
上記再生工程では、上記第1の精製工程および上記第2の精製工程において留去された上記未反応アルコール類の有する熱量のうちの少なくとも一部を熱交換器によって回収し、回収した当該熱量を利用して上記未反応アルコール類から上記アルコール類を再生することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法。 - 上記第2の精製工程では、互いに異なる少なくとも2段階の圧力を施すことを特徴とする請求項4に記載の脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法。
- 上記第2の精製工程における1段階目の圧力は、0.15〜1.5MPaの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法。
- 上記再生工程後のアルコール類に含有される当該アルコール類以外の物質は、上記再生工程後のアルコール類に含有される全成分のうちの1000ppm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の脂肪酸アルキルエステルおよび/またはグリセリンの製造方法。
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