JP5313400B2 - 耐圧容器の外殻体、耐圧容器および探査装置 - Google Patents

耐圧容器の外殻体、耐圧容器および探査装置 Download PDF

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Description

本発明は、深海調査活動において、海底探査用の磁力計などの計測機器が収容され、深海の高圧下で高い耐圧性能を実現することができる耐圧容器の外殻体、耐圧容器およびこれを用いた探査装置に関する。
深海調査活動で用いられる耐圧容器は、高強度化および軽量化が強く求められ、深海用途の耐圧構造材料として、チタン合金などが用いられており、このような従来技術は特許文献1に示されている。
この先行技術では、半球状の外殻体に相当する2つの鏡板部と、直円筒状の胴部とによって構成されるチタン合金製の耐圧容器が記載されている。この耐圧容器は、前記胴部の各端部にはフランジがそれぞれ形成され、各鏡板部の開口縁部にはフランジが形成され、これらのフランジはボルトおよびナットによって結合して組み立てられている。前記胴部の各フランジおよび各鏡板部の各フランジは、チタン合金の鍛造物を切削加工して形成される。
また、他の先行技術は、非特許文献1に記載されている。この先行技術では、前述の特許文献1の先行技術のように、チタン合金製の耐圧容器では、耐圧深度の増加に伴って耐圧容器の比重も増加し、製造コストも高価となるため、チタン合金に代えてセラミックスを用いることが提案されている。
一方、深海調査活動で用いられる耐圧容器は、高強度化および軽量化が強く求められるとともに、耐圧容器内部にカメラなどの電子機器を置き深海の状況を確認する、あるいは遠隔操作のためのケーブルを取り付けるために、耐圧容器の外殻体の一部に貫通孔を設ける必要がある。
このような深海調査活動で用いられる耐圧容器の外殻体の一部に貫通孔を設けた例としては、特許文献2,3に記載されるさらに他の先行技術がある。この特許文献2に記載される先行技術では、水中航走体は、耐圧容器に相当する耐圧殻を備える。耐圧殻には、観測窓を設置するために貫通孔が設けられる。
特許文献3に記載される先行技術では、水中探査装置は、耐圧容器に相当する本体容器、先端側フランジおよび後端側フランジを有する。先端側フランジおよび後端側フランジには、ケーブルおよび駆動軸などを取り付けるために、貫通孔が設けられる。
特開昭64−26065号公報 実公平3−52638号公報 特開平9−301273号公報
海外の深海技術開発動向、(社)日本深海技術協会会報2007年3号
深海調査活動に用いられる耐圧容器は、チタン合金,アルミ合金またはガラスで製作される場合が多い。特許文献1の先行技術のように金属材料で製作する場合は、水中において中性浮力を確保するために、別途、浮力体を取り付ける場合が多く、システム全体としては、大型で大重量となるという問題がある。また、深海調査活動に用いられる球状のガラス製耐圧容器は、自己浮上式海底地震計のように、耐圧容器に浮力が必要とされる場合に利用するが、実用化されている球状のガラス製耐圧容器の最大適用水深は6000mであり、これ以上の水深には適用できないという問題がある。
セラミックスは、金属材料に比べて高い圧縮強度を持ち、ヤング率およびポアソン比などの材料物性も深海用耐圧構造として適当であり、耐食性も優れている。そのため、金属材料を用いる耐圧構造に比較して、大幅な軽量化が期待できる。たとえば、10000m級の耐圧容器の場合、セラミックス製耐圧容器の重量はチタン製耐圧容器の約2.5分の1になる。
しかし、セラミックスは金属材料に比較して、高い圧縮強度を持つが引っ張りや曲げに対する強度は小さい。また、金属製耐圧容器の場合、応力集中が発生し、集中点での応力が限界値を超えると、降伏減少により応力が周囲に分散し、直ちに破壊に至ることはないが、セラミックスは脆性材料であるため、降伏減少は発生せず、応力集中点から破壊が引き起こされる。また、破壊応力は確率分布で表現される。
一方、金属の場合、圧縮強度と引っ張り強度とはほぼ同等であり、破壊応力または耐力は材料により一義的に定義され、そのバラツキも小さい。上述したように延性材料であるため、応力集中が発生しても直ちに破壊に至ることはない。このため、非特許文献1の先行技術でチタン合金に代えてセラミックスを用いることが提案されているけれども、金属材料を用いる通常の耐圧容器の設計方法をセラミックスに適応することはできないという問題がある。
特に、水中コネクタ用貫通孔などの貫通孔が耐圧容器の外殻体に設けられるとき、貫通孔周辺には、圧縮応力の集中が生じるほか、引っ張り応力も発生する。深海では貫通孔周辺に圧縮応力が集中し、この圧縮応力の集中によって、外殻体において貫通孔周辺から亀裂を生じることがある。特許文献2,3の先行技術では、貫通孔が設けられる耐圧容器が開示されているけれども、前述のように通常の耐圧容器の設計方法をセラミックスに適応することはできないという問題がある。金属製耐圧容器では、外殻体の外側に貫通孔周辺の強度を増加させるための補強部を設けているけれども、セラミックス製耐圧容器では、金属製耐圧容器での設計方法とは異なる設計方法を適応する必要がある。
ガラス製耐圧容器にも水中コネクタ用貫通孔が開けられているが、明確な設計方法がなかったため、貫通孔に補強は施されていない。そのため、適応圧力は限定されている。
本発明の目的は、セラミックスから成り、貫通孔を有する耐圧容器に用いられ、高強度化および軽量化を図ることができる耐圧容器の外殻体、耐圧容器および探査装置を提供することである。
本発明は、セラミックスから成る凸曲面状の外殻部と、
セラミックスから成り、前記外殻部に連なり該外殻部の厚みよりも大きい厚みを有し、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられた厚肉部とを備えることを特徴とする耐圧容器の外殻体である。
本発明によれば、耐圧容器の外殻体では、貫通孔が厚肉部に設けられるので、外方からの圧力が付与されて貫通孔の周辺に応力集中が起こったときであっても、貫通孔が厚肉に形成されていない部分に設けられる構成に比べて、最大主応力および最小主応力に対する許容値を高めることができる。したがって、耐圧容器は、高強度化を図ることができ、貫通孔の周辺に掛かる圧縮応力の集中に耐え、亀裂が生じるおそれを少なくすることができる。
また、耐圧容器の外殻体は、セラミックスより成るので、金属材料によって形成された耐圧容器に比べて、軽量化を図ることができる。これによって、耐圧容器の浮力を有効に利用することができる。したがって、深海においても軽量で浮力を有する耐圧容器を実現することができる。
本発明の実施の一形態に係る耐圧容器の外殻体1の一部を示す断面図である。 外殻体1を示す平面図である。 図2の切断面線X1−X1から見た外殻体1の断面図である。 外殻体1の内側における最小主応力の分布を示す図である。 外殻体1の内側における最大主応力の分布を示す図である。 t1(=T1/T),t2(=T2/T)の値、厚肉部内表面23の貫通孔16の周辺および内表面境界27の周辺の最小主応力の極大値の関係を示すグラフ31である。 図6のグラフ31における交点AA,BB,CCでのt1の値とt2の値との組み合わせを示すグラフ32である。 図7のグラフ32のt1の値とt2の値との組み合わせに対する最小主応力の極大値を示すグラフ33である。 貫通孔16に水中コネクタ41を装着している状態の外殻体1を用いた圧力容器6を示す平面図である。 外殻体1を用いた耐圧容器6を、図9の切断面線X2−X2から見た断面図である。 外殻体1と第3外殻体3とを用いた耐圧容器6aを示す断面図である。 耐圧容器6,6aを備える無人探査機61を示す図である。 耐圧容器6,6aを備える曳航式深海探査装置70を示す図である。
図1は、本発明の実施の一形態に係る耐圧容器の外殻体1の一部を示す断面図である。耐圧容器の外殻体1は、セラミックスから成る凸曲面状の外殻部11と、セラミックスから成り、外殻部11に連なり外殻部11の厚みよりも大きい厚みを有し、厚み方向に貫通する貫通孔16が設けられた厚肉部12とを備える。以下、耐圧容器の外殻体1を単に外殻体1とも称す。
外殻部11は、セラミックスから成り、凸曲面状を有する。外殻部11は、外殻体1のうち、厚肉部12を除く部分であり、厚肉部12の厚みよりも小さい厚みを有する。そして、図1に示すように、外殻部11は、予め定める長さの第1半径R1を有する仮想球面の一部を成す第1内表面である外殻部内表面21と、第1半径R1よりも長い第2半径R2を有する仮想球面の一部を成す第1外表面である外殻部外表面22とを有していることが好ましい。この外殻部11において、外殻部内表面21は半径方向の内方に臨み、外殻部外表面22は半径方向の外方に臨む。
厚肉部12は、外殻部11に連なって形成され、外殻部11の厚みよりも大きい厚みを有し、その厚み方向に貫通する貫通孔16が設けられている。貫通孔16は、厚肉部12の外方の空間と内方の空間とを連通する。厚肉部12は、貫通孔16の補強部となるものであり、貫通孔16が厚肉に形成されていない部分、たとえば外殻部11に貫通孔16が設けられる構成に比べて、貫通孔16の周辺に圧縮応力が集中した場合に亀裂が生じるおそれを少なくすることができる。
厚肉部12は、第1半径R1を有する仮想球面よりも内方に、また第2半径R2を有する仮想球面よりも外方に突出していることが好ましい。また、厚肉部12は、第1半径R1よりも短い第3半径R3を有する仮想球面の一部を成す第2内表面である厚肉部内表面23と、第2半径R2よりも長い第4半径R4を有する仮想球面の一部を成す第2外表面である厚肉部外表面24とを有していることが好ましい。厚肉部12において、厚肉部内表面23は半径方向の内方に臨み、厚肉部外表面24は半径方向の外方に臨む。
また、厚肉部12は、外殻部11に向かって厚みが小さくなる繋ぎ部13を有している。繋ぎ部13は、半径方向の内方に臨む繋ぎ部内表面25と、半径方向の外方に臨む繋ぎ部外表面26とを有する。繋ぎ部13の厚みは、厚肉部12から外殻部11に対して周方向へ近づくにつれて外殻部11の厚みに近づく構成であることが好ましい。
繋ぎ部13と外殻部11との間には、半径方向の内方に臨む内表面境界27と、半径方向の外方に臨む外表面境界28とを有している。内表面境界27は、外殻部内表面21と繋ぎ部内表面25との間を滑らかに接続し、外表面境界28は、外殻部外表面22と繋ぎ部外表面26との間を滑らかに接続していることが好ましい。
外殻体1において、外殻部11の厚みを基準肉厚Tとする。第1半径R1の長さおよび第2半径R2の長さを加算平均した長さの第5半径R5を有する仮想球面29と第2内表面である厚肉部内表面23との間の半径方向の間隔を内側肉厚T1とする。第5半径R5を有する仮想球面29と第2外表面である厚肉部外表面24との間の半径方向の間隔を外側肉厚T2とする。そして、基準肉厚Tに対する内側肉厚T1の比(T1/T)をt1とし、基準肉厚Tに対する外側肉厚T2の比(T2/T)をt2とする。このとき、外殻体1の厚肉部12が、
t2=3.8×t1−3.9 (t1≧1.16) …(1)
を満たし、かつ
1.66≦t1+t2≦4.8 …(2)
を満たすことが好ましい。これにより、水深11000mの深海に相当する110MPaの圧力によって、貫通孔16の周辺に圧縮応力が集中したとしても亀裂を生じることのない外殻体1とすることができる。
図2は、外殻体1を示す平面図である。図3は、図2の切断面線X1−X1から見た外殻体1の断面図である。外殻体1は、厚肉部12に4つの貫通孔16が設けられている。図3の断面図に示すように、外殻部11と厚肉部12とを備える外殻体1が半球状を成していることが好ましい。
本実施形態では、4つの貫通孔16が厚肉部12に設けられる構成であるけれども、他の実施形態では、1以上の任意の数の貫通孔16を厚肉部12に設ける構成であってもよい。
厚肉部外表面24には、各貫通孔16の開口している周囲に円環状で平坦な座面17をそれぞれ有している。
繋ぎ部13と外殻部11との間の内表面境界27および外表面境界28と、半球の中心点とを結ぶ直線をL1とし、2つの直線L1の成す角をθ1とする。厚肉部12において外殻部11に向かって厚みが小さくなり始める境界と、半球の中心点とを結ぶ直線をL2とし、2つの直線L2の成す角をθ2とする。貫通孔16の軸線をL3とし、2つの軸線L3の成す角をθ3とする。これらの角度の大きさは、θ1>θ2>θ3の関係にあり、たとえば外殻体1において、θ1は30〜45°に形成され、θ2は20〜30°に形成され、θ3は12〜20°に形成される。
次に、外殻体1の製造方法について説明する。外殻体1に用いられるセラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素および炭化珪素などが挙げられ、これらを用いた耐圧容器の製造方法の一例について述べる。
(1)アルミナを用いた外殻体1の製造方法
平均粒径が1μm程度のアルミナ原料と、CaO,SiO,MgO等の焼結助剤とで1次原料とし、この1次原料100質量%に対し、PVA等のバインダを1〜1.5質量%、溶媒を100質量%、分散剤を0.5質量%それぞれ計量し、これらを撹拌機の容器内に投入して混合・撹拌し、スラリーとした後、これを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒して2次原料とする。そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法や粉末プレス成形法にて成形し、必要に応じて切削加工を施した後、これを焼成炉にて大気雰囲気中1550〜1700℃の焼成温度で焼成する。焼成後、研削加工等の最終仕上げを施すことによりアルミナ質焼結体からなる外殻体1を得ることができる。
(2)ジルコニアを用いた外殻体1の製造方法
添加量を3mol%とし、共沈法により作製された平均粒径が0.1μmのジルコニア1次原料を購入し、この1次原料を100質量%として、バインダを3質量%、溶媒を100質量%、分散剤を0.5質量%それぞれ計量し、これらを撹拌機の容器内に投入して混合・撹拌し、スラリーとした後、これを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒して2次原料とする。そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法や粉末プレス成形法にて成形し、必要に応じて切削加工を施した後、これを焼成炉にて大気雰囲気中1300〜1500℃の焼成温度で焼成する。焼成後、研削加工等の最終仕上げを施すことによりジルコニア質焼結体からなる外殻体1を得ることができる。
(3)窒化珪素を用いた外殻体1の製造方法
純度が99〜99.8%、平均粒径が1μmの窒化珪素原料と、YおよびAl等の焼結助剤とで1次原料とし、この1次原料100質量%に対し、バインダを1質量%、溶媒を100質量%、分散剤を0.5質量%以下それぞれ計量し、これらを撹拌機の容器内に投入して混合・撹拌し、スラリーとした後、噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒して2次原料とする。そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法や粉末プレス成形法にて成形し、必要に応じて切削加工を施した後、これを焼成炉にて窒素雰囲気中1900℃の最高温度で焼成する。焼成後、研削加工等の最終仕上げを施すことにより窒化珪素質焼結体からなる外殻体1を得ることができる。
(4)炭化珪素を用いた外殻体1の製造方法
純度が99〜99.8%、平均粒径が0.5〜10μmの炭化珪素原料と、C(炭素)およびB(ホウ素)、あるいはAlおよびY等の焼結助剤とをボールミル等の粉砕機によって平均粒径が1μm以下となるように粉砕する。さらにポリエチレングリコール,ポリエチレンオキサイド等のバインダを適量添加してスラリーとした後、このスラリーを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒して2次原料とする。そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法や粉末プレス成形法にて成形し、必要に応じて切削加工を施した後、これを焼成炉にて非酸化雰囲気中1800〜2200℃の温度で焼成する。焼成後、研削加工等の最終仕上げを施すことにより炭化珪素質焼結体からなる外殻体1を得ることができる。
このように、外殻体1の材質としてアルミナ,ジルコニア,窒化珪素または炭化珪素などのセラミックス材料を適用することが可能であり、小径球殻を用いた基礎的特性試験結果や製造技術の観点からも、耐圧容器を構成することが可能である。耐圧容器の用途,利用方法,水圧など求められる特性に応じて最適な材料を選択すればよく、製造コストや海底の岩石と接触した場合の耐磨耗性などの観点からはアルミナが優れており、軽量化や信頼性の観点から窒化珪素が優れている。
ここで、窒化珪素製の2つの外殻体1を接続して耐圧容器を作製し、この耐圧容器に対して110MPaの水圧を掛ける耐圧試験を行ない、耐圧特性を確認した。なお、耐圧試験は、座面17にOリング(O-ring:オーリング)を介して金属の蓋を設けることによって水密性が保たれている状態で行なった。
次に、本実施形態の外殻体1を実証するために、上述した水圧試験のほか、有限要素法解析によって、応力分布を確認した。条件としては、外殻体1の材料をヤング率が300GPa,ポアソン比が0.26の窒化珪素とし、水圧を110MPaとした。
図4は、外殻体1の内側における最小主応力の分布を示す図である。図5は、外殻体1の内側における最大主応力の分布を示す図である。図4および図5は、図2に示した外殻体1によって構成したセラミックス製の耐圧容器を解析したものである。
図4から、最小主応力の応力集中が、厚肉部内表面23の貫通孔16の周辺と、内表面境界27の周辺に生じていることが分かる。貫通孔16の周辺および内表面境界27の周辺の応力集中の極大値は、ほぼ同等であり、この値は材料の一軸圧縮強度の平均値の約2分の1である。また、図5から最大主応力の応力集中が、内表面境界27の周辺に生じていることが分かり、その値は材料の引っ張り強度よりも十分小さい。
図6は、t1(=T1/T),t2(=T2/T)の値、厚肉部内表面23の貫通孔16の周辺および内表面境界27の周辺の最小主応力の極大値の関係を示すグラフ31である。そしてグラフ31は、外殻部11の厚みが8mmであるときの貫通孔16から十分に離れた球面部分の外殻部11の最小主応力の値である−1560MPaを分母とし、貫通孔16の周辺の最小主応力の値を分子とする応力比率を左の縦軸に示し、内表面境界27の周辺の最小主応力の値を分子とする応力比率を右の縦軸に示し、横軸はt1の値を示す。
グラフ31には、A1,A2,B1,B2,C1,C2の6つの折線が示される。折線A1と折線A2との交点をAAとし、折線B1と折線B2との交点をBBとし、折線C1と折線C2との交点をCCとする。
折線A1は、t2の値を1.25に設定したときにおける貫通孔16の周辺の応力比率とt1の値との関係を表わし、折線A2は、t2の値を1.25に設定したときにおける内表面境界27の周辺の応力比率とt1の値との関係を表わす。
折線B1は、t2の値を1.5に設定したときにおける貫通孔16の周辺の応力比率とt1の値との関係を表わし、折線B2は、t2の値を1.5に設定したときにおける内表面境界27の周辺の応力比率とt1の値との関係を表わす。
折線C1は、t2の値を1.75に設定したときにおける貫通孔16の周辺の応力比率とt1の値との関係を表わし、折線C2は、t2の値を1.75に設定したときにおける内表面境界27の周辺の応力比率とt1の値との関係を表わす。
t2の値を固定すると、t1の値を大きくするにしたがって、貫通孔16の周辺の応力比率は小さくなり、逆に内表面境界27の周辺の応力比率は大きくなる。すなわち、貫通孔16の周辺および内表面境界27の周辺の最小主応力の極大値を最小とするt1の値が交点AA,BB,CCによって示され、このときに適応可能な水圧は最大となる。最小主応力の値を最小とするt1の値は、t2の値によって異なる。
グラフ31から、最小主応力の極大値を最小とするt1の値とt2の値との組み合わせは、交点AAによってt2の値が1.25のとき、t1の値が1.346であると示され、交点BBによってt2の値が1.5のとき、t1の値が1.4であると示され、交点CCによってt2の値が1.75のとき、t1の値が1.476であると示される。
図7は、図6のグラフ31における交点AA,BB,CCでのt1の値とt2の値との組み合わせを示すグラフ32である。同図のグラフ32において、縦軸はt2の値を示し、横軸はt1の値を示す。
グラフ32の折線Dは、最小主応力の極大値を最小とするt1の値とt2の値との組み合わせの関係をプロットしたものである。t1の値とt2の値との間には、ほぼ線形な関係が見られ、この関係は、グラフ32において近似線として直線Eによって示される。この直線Eにおける、横軸をx、縦軸をyとして最小二乗法に基づいて求められた関係式は、「y=3.8098x−3.8616,R=0.99526」であり、ここでRは決定係数を示す。
t1の値とt2の値との最適な組み合わせは、式(1)によって示される。この関係は、外殻体1の開口部の直径,貫通孔16の直径および繋ぎ部13の大きさなどによって変化するけれども、変化の割合は、それほど大きくないことが有限要素法解析で確認されている。t2の値としては、式(1)によって得られた値の±30%程度がその変動範囲となる。なお、直線Fは、t1の値とt2の値とが共に1のときを表わす。
t2=3.8×t1−3.9 (t1≧1.16) …(1)
なお、厚肉部12が第2半径R2を有する仮想球面よりも外方に突出していないときのt2の値は、外殻部11の1/2の0.5であり、t2を0.5として、式(1)でt1を算出すると1.16となるため、t1の下限値は1.16となる。
図8は、図7のグラフ32のt1の値とt2の値との組み合わせに対する最小主応力の極大値を示すグラフ33である。同図のグラフ33において、横軸は、t1の値とt2の値との加算値を示し、縦軸は、外殻部11の厚みが8mmであるときの貫通孔16から十分に離れた球面部分の外殻部11の最小主応力の値である−1560MPaを分母とし、貫通孔16の周辺の最小主応力の値を分子とする比率を示す。
折線Gは、グラフ31における交点AA,BB,CCにおけるt1の値とt2の値との加算値と、最小主応力の極大値との値を入力したものである。直線Hは、折線Gの近似線であり、横軸をx、縦軸をyとして最小二乗法に基づいて求められた関係式は、「y=−0.076123x+1.367,R=0.99902」である。
t1の値とt2の値とが大きくなるに伴って、貫通孔16の周辺の最小主応力の極大値が減少するが、t1+t2の値が4.8を超えると、貫通孔16の周辺の最小主応力の極大値が、外殻部11の最小主応力の値より小さくなり、補強の効果が過大となり、外殻体1の質量が増すこととなり、耐圧容器の浮力が低下する。そして、前述したように、厚肉部12が外方に突出していないときのt2の値は0.5であり、そのときのt1の値は1.16であることから、t1+t2の下限値は1.66である。したがって、t1+t2の値が、式(2)を満たすことによって合理的に補強の効果を高めることができる。
1.66≦t1+t2≦4.8 …(2)
なお、t1+t2の値を上記範囲とすることによって、耐圧性能に優れているとともに、補強の効果が過大となり過ぎることなく軽量化を図ることのできる貫通孔16を有する外殻体1とすることができる。
このように、耐圧容器の外殻体1は、外殻部11と、厚肉部12とを備える。外殻部11は、セラミックスから成り、凸曲面状を有する。厚肉部12は、セラミックスから成り、外殻部11に連なり外殻部11の厚みよりも大きい厚みを有し、その厚み方向に貫通する貫通孔16が設けられている。
そして、外殻体1において、貫通孔16は厚肉部12に設けられているので、外方からの圧力が付与されて貫通孔16の周辺に応力集中が起こったときであっても、貫通孔16が外殻部11に設けられる構成に比べて、最大主応力および最小主応力に対する許容値を高めることができる。したがって、少なくとも本発明の外殻体1を備えた耐圧容器は、高強度化を図ることができ、貫通孔の周辺に掛かる圧縮応力の集中に耐え、亀裂が生じるおそれを少なくすることができる。
また、耐圧容器の外殻体1は、セラミックスより成るので、金属材料によって形成された耐圧容器に比べて、軽量化を図ることができる。これによって、耐圧容器の浮力を有効に利用することができる。したがって、深海においても軽量で浮力を有する耐圧容器を実現することができる。
さらに、外殻部11は、外殻部内表面21と、外殻部外表面22とを有する。外殻部内表面21は、予め定める長さの第1半径R1を有する仮想球面の一部を成し、外殻部外表面22は、第1半径R1よりも長い第2半径R2を有する仮想球面の一部を成していることが好ましい。厚肉部12は、厚肉部内表面23と、厚肉部外表面24とを有する。厚肉部内表面23は、第1半径R1よりも短い第3半径R3を有する仮想球面の一部を成し、厚肉部外表面24は、第2半径R2よりも長い第4半径R4を有する仮想球面の一部を成していることが好ましい。
そして、耐圧容器の外殻体1において、厚肉部12の外側肉厚T2の厚みのみを大きくする構成および厚肉部12の内側肉厚T1の厚みのみを大きくする構成よりも、厚肉部12の内側肉厚T1および外側肉厚T2の両方の厚みを大きくすることが好ましい。これにより、貫通孔16周囲の応力を分散させることができ、耐圧性能を高めることができる。
さらに、外殻部11および厚肉部12を含む外殻体1は、相対密度が98%以上の窒化珪素質焼結体から成ることが好ましい。外殻体1が、相対密度が98%以上の窒化珪素質焼結体から成るときには、外殻体1の表面に存在する気孔が少なくなり、気孔への応力集中が軽減されるため、亀裂が生じにくく、外殻体1の破損や割れを低減させることができる。また、窒化珪素質焼結体は、他のセラミックスと比較して比重が軽く、曲げ強度や圧縮強度が非常に高いので、深海で大きな水圧が外殻体1の表面にかかったとしても、外殻体1に亀裂が発生することを防止することができる。
なお、相対密度が98%以上の窒化珪素質焼結体から成る外殻体1とするには、YおよびAl等の焼結助剤の含有量を2〜20質量部とし、残部を窒化珪素原料とした1次原料を用いて、上述した製造方法により作製すればよい。
また、外殻部11および厚肉部12を含む外殻体1は、硬度が15GPa以上のアルミナ質焼結体から成ることが好ましい。外殻体1が、硬度が15GPa以上のアルミナ質焼結体から成るときには、水深11000mの深海に相当する110MPaの圧力に耐えることができるとともに、海底の岩石との接触による磨耗が少なく、耐磨耗性に優れていることから、外殻体1の材料として好適である。
なお、硬度が15GPa以上のアルミナ質焼結体から成る外殻体1とするには、CaO,SiOおよびMgO等の焼結助剤の含有量を1.5質量部以下とし、残部をアルミナ原料とした1次原料を用いて、上述した製造方法により作製すればよい。また、1次原料100質量%に対し、0.1〜2質量%のホウ酸を添加し、アルミナ質焼結体中にホウ化アルミニウムの硬質相を形成することで、さらに硬度を高めることができる。
(実施例1)
まず、外殻部11の厚みである基準肉厚Tが7.66mmであり、内側肉厚T1および外側肉厚T2の値が3.83mm、すなわち厚肉部12を有さずにφ11.6mmの貫通孔16を有する外殻体1をモデルとし、水深11000mの深海に相当する110MPaの圧力における圧力分布を有限要素解析法により解析を行なった。なお、第1半径R1は210mmとした。また、外殻部11の厚みが7.66mmであるときの貫通孔16から十分に離れた球面部分の外殻部11の最小主応力の値は、−1620MPaであった。
表1は、貫通孔16の周辺に厚肉部12が形成されない外殻体1の解析結果である。貫通孔16から十分に離れた球面部分の外殻部11の最小主応力の値が−1620MPaであるのに対し、内側貫通孔の最小主応力の値は、−3478MPaとなっており、外殻部11の最小主応力の値を分母とし、貫通孔16の周辺の最小主応力の値を分子とした応力比率は2.1であり、すなわち貫通孔16の周辺には約2.1倍の応力集中が発生している。これは、1個の円孔を持つ無限板が直交2方向に引っ張り応力または圧縮応力を受ける場合、すなわち円孔に対して求心的に引っ張り応力または圧縮応力が働く場合の応力集中係数2.0(西田正孝著「応力集中」p.222-223,森北出版)とほぼ一致する。無限板の応力集中係数は、孔径に依存しない。
(実施例2)
表2は、各寸法を表2に示す外殻体1をモデルとしたときの、水深11000mの深海に相当する110MPaの圧力における圧力分布の有限要素解析法による解析結果である。条件2と条件3とでは、貫通孔16の径を異ならせており、条件2では11.6mm、条件3では12.8mmとしている。貫通孔16の周辺の応力比率は、条件2では1.39であり、条件3では1.43であった。孔径を1.1倍にしたときの応力比率は1.035倍である。上記の実施例1の考察と合わせて考慮すると、応力比率に与える孔径の影響はそれほど大きくないことが分かった。

(実施例3)
表3は、各寸法を表2に示す外殻体1をモデルとしたときの、水深11000mの深海に相当する110MPaの圧力における圧力分布の有限要素解析法による解析結果である。条件4と条件5とでは、繋ぎ部13の範囲を異ならせており、条件4ではθ1を38°,θ2を26°とし、条件5では条件4よりも拡大してθ1を44°,θ2を26°としている。結果、繋ぎ部13を拡大しても、最小主応力の極大値への影響は少ないことが分かった。最大主応力の極大値は繋ぎ部13の範囲を拡大することによって減少するが、最大主応力の極大値は元々小さいので、その影響は小さい。
(実施例4)
チタン合金製,アルミナ製の外殻体を作製した。その形状は、半球状であり、外殻部11の基準肉厚Tよりも厚い厚肉部12を有し、厚肉部12に複数の貫通孔16を有するものである。そして、作製した外殻体1を用いてそれぞれチタン合金製またはアルミナ製からなる耐圧容器を作製し、重量と、加圧水槽に投入して加圧した場合の変形量について比較した。
チタン合金(比重4.5,ヤング率100GPa前後)とアルミナ(比重3.8〜3.9,ヤング率350GPa)とでは、アルミナの方が比重が小さく軽量化できるとともに、ヤング率が大きく変形しにくいことが分かった。また、貫通孔16の周辺に水圧による応力集中が生じても、アルミナ製からなる耐圧容器の方が貫通孔16の一部を起点にして亀裂や破損が生じにくいことが分かった。
(実施例5)
耐圧容器を構成する外殻体1について、複数の貫通孔16が形成される厚肉部12が、(1)内側のみ、(2)外側のみ、(3)外側および内側の両方に厚くなっているものの3種類をそれぞれ作製し、それらの耐圧試験を実施した。まず、水深5000mに相当する50MPaの圧力設定では、(1)〜(3)の外殻体は、ともに亀裂や破損が見られなかった。また、水深11000mの深海に相当する110MPaの圧力設定では、(1),(2)の外殻体は、貫通孔16の周辺に若干の亀裂が生じ、(3)の外殻体1は、亀裂もなく良好であった。
(実施例6)
材料に、アルミナ,ジルコニア,窒化珪素または炭化珪素を用いて、実施例4と同様の外殻体1を作製し、作製した外殻体1を用いて耐圧容器を作製し、水深11000mの深海に相当する110MPaの圧力における耐圧試験を実施した、この耐圧試験において、上記材料から成る耐圧容器は、亀裂もなく良好であった。その後、さらに圧力を上げて耐圧試験を行なったところ、窒化珪素が最も優れており、次にアルミナが優れた結果であった。
(実施例7)
材料に、アルミナ,窒化珪素を用いて、外殻体1を作製した。なお、これらの材料としては、JIS R 1610−2003に準拠して測定したビッカース硬度が、アルミナが15GPa、窒化珪素が14GPaである材料を用いた。
そして、各外殻体1について、海底で岩石と接触することを想定した磨耗試験を実施した。この磨耗試験は、海底の岩石を所定形状に加工した砥石を作製し、海水に浸した状態で作製した砥石を回転させながら外殻体1に接触させて行なった。この摩耗試験において、アルミナの方が窒化珪素よりも磨耗が少なく、耐摩耗性に優れていた。
したがって、外殻体1の硬度が15GPa以上であるアルミナ質焼結体からなるときには、実施例6に示したように、水深11000mに相当する110MPaの圧力に耐え、耐磨耗性に優れていることから、外殻体1の材料として好適であることが分かった。
(実施例8)
外殻部11の基準肉厚T,厚肉部12の内側肉厚T1および外側肉厚T2を異ならせた窒化珪素製の外殻体1を作製し、作製した外殻体1を用いて耐圧容器を作製して耐圧試験および耐圧容器の質量測定を実施した。t1+t2の値が4.8を超えると耐圧試験による亀裂は確認されなかったものの、耐圧容器の質量が増すこととなり、浮力が低下することとなった。また、式(1)および式(2)を満足する寸法の外殻体1を用いた耐圧容器は、式(1)および式(2)の関係式を満たさない寸法の外殻体を用いた耐圧容器、例えば、t1=1,t2=0.5やt1=0.8,t2=1の寸法の外殻体1を用いた耐圧容器よりも耐圧性に優れていた。これにより、式(1)および式(2)を満足することによって、貫通孔16を有する耐圧容器であっても、深海での圧力に耐え得る強度を有する適切な厚みに貫通孔16の周囲が補強され、軽量化されるとともに浮力を低下させることの少ない耐圧容器とできることが分かった。
図9は、貫通孔16に水中コネクタ41を装着している状態の外殻体1を用いた耐圧容器6を示す平面図である。図10は、外殻体1を用いた耐圧容器6を、図9の切断面線X2−X2から見た断面図である。
水中コネクタ41は、プラグを半径方向の外方から嵌合させることによって、耐圧容器6の外部と耐圧容器6の内部との間で電気的に接続される。水中コネクタ41は、コネクタ本体42と、ナット43と、ワッシャ44と、Oリング45とを含んで構成される。コネクタ本体42は、ボルト状に形成され、ワッシャ44を介して、ナット43と螺合される。コネクタ本体42には、内部に電線が配設される。コネクタ本体42は、厚肉部12の貫通孔16へ半径方向の外方から挿入されて固着される。コネクタ本体42は、座面17と接する面が平面状に形成される。耐圧容器6は、コネクタ本体42が座面17に対してOリング45を介して接することによって水密性が保たれる。
耐圧容器6は、外殻体1と第2外殻体2とを含んで構成される。第2外殻体2は、外殻体1と同様にセラミックスから成り、第2外殻体2は、貫通孔16が設けられない構成であるので、一定の厚みを有する外殻部11によって半球状を成しているものである。耐圧容器6において、外殻体1と第2外殻体2との接続箇所には、外方からゴムなどの融着テープ48を巻くことによって、水密性を確保することができる。また、それぞれにフランジを設けてボルトおよびナットで固定することによっても水密性を確保することができる。
本実施形態では、外殻体1と第2外殻体2とによって耐圧容器6を構成しているけれども、他の実施形態では、2つの外殻体1によって耐圧容器6を構成してもよい。
図11は、外殻体1と第3外殻体3とを用いた耐圧容器6aを示す断面図である。第3外殻体3は、セラミックスから成り、直円筒状に形成される。耐圧容器6aは、第3外殻体3の両端に接続体5を介して外殻体1を組み合わせることでカプセル状を成す構成である。接続体5は、たとえば外殻体1側に配置される第1接続体51と、第3外殻体3側に配置される第2接続体52と、第1外殻体51と第2外殻体52との間に介在される円環状のリング状部材53とから構成される。そして、接続体5を構成する第1接続体51および第2接続体52の弾性係数が外殻体1および第3外殻体3よりも小さい材料から成ることが好ましい。これにより、外殻体1と第3外殻体3との各周縁部でそれぞれ発生する応力を分散させて、応力の不連続性を緩和または解消し、耐圧性能および水密性を向上させることができる。
図12は、耐圧容器6,6aを備える無人探査機61を示す図である。無人探査機61は、海上の船舶62から張架される1次ケーブル63に係留される推進体64と、推進体64内に収容される探査機本体65とを有する。そして、探査機本体65の側部に配置される耐圧容器6または6aは、水深1000m〜11000mの超深海の水圧に耐える耐圧容器としてだけでなく、浮力体としても機能することができる。
図13は、耐圧容器6,6aを備える曳航式深海探査装置70を示す図である。探査装置である曳航式深海探査装置70は、耐圧容器6,6aの外殻体1を備える。海上の船舶62から張架される長さが1000m〜10000mのメインワイヤ71に重錘72を取り付け、重錘72に磁気ノイズの削減のため、ナイロン製で長さが約100mのロープ73に、たとえばプロトン磁力計を収容した耐圧容器6,6aを接続して、海底から約500m上を曳航し、この耐圧容器6aに長さが約30mのケーブル74によって、磁力計センサを収容した耐圧容器6を接続し、地磁気の磁力を測定することができる。
耐圧容器6,6aをセラミックスで構成することにより、上述したように金属製の耐圧容器と比較して、大幅な軽量化が可能であり、また、経済的効果も高い。腐食に対する耐久性もよく、非磁性で絶縁体であるので、様々な観測機器にも利用可能な画期的な耐圧容器6,6aである。その応用範囲には、大水深対応の有人潜水調査船,無人探査機,海底設置型観測機器またはアルゴフロートなど多くの機器が考えられる。アルゴフロートとは、地球全体の海洋変動をリアルタイムで捉えることを目指し、水深2000mから海面までの間を自動的に浮き沈みして水温・塩分等を測定することができる観測機器のことである。
セラミックスで構成した耐圧容器6,6aを用いることにより、無人探査機や観測装置を軽量化することが可能となる。さらに、必要な浮力材の量も少なくなるため、無人探査機等の低価格化にもつながる。無人探査機の運用も容易になり、その利用範囲を広げることができる。
耐圧容器6,6aの外殻体1を自己浮上式海底地震計に適応すれば、11000mの水深に対応する耐圧球を実現することができる。これまで、ガラス耐圧球を用いた場合の最大適応水深は6000m程度であったが、アルゴフロートのように中性浮力を要する観測機器に適応すれば、その最大水深を拡大することもできる。
有人潜水調査船や無人探査機においては、耐圧容器6,6aを軽量化することにより、浮力材の必要量も減少し、全体を小型軽量化することができる。これにより、船上での取り扱いも容易になり、運動に必要な推力も小さくなるほか、価格も低減する。また、自己浮上式の観測機器用に応用すれば、その適応水深を拡大することができる。
1 外殻体
6,6a 耐圧容器
11 外殻部
12 厚肉部
13 繋ぎ部
16 貫通孔
17 座面
21 外殻部内表面
22 外殻部外表面
23 厚肉部内表面
24 厚肉部外表面
25 繋ぎ部内表面
26 繋ぎ部外表面
27 内表面境界
28 外表面境界
T 基準肉厚
T1 内側肉厚
T2 外側肉厚

Claims (7)

  1. セラミックスから成る凸曲面状の外殻部と、
    セラミックスから成り、前記外殻部に連なり該外殻部の厚みよりも大きい厚みを有し、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられた厚肉部とを備えることを特徴とする耐圧容器の外殻体。
  2. 前記外殻部は、予め定める長さの第1半径を有する仮想球面の一部を成す外殻部内表面と、前記第1半径よりも長い第2半径を有する仮想球面の一部を成す外殻部外表面とを有し、
    前記厚肉部は、前記第1半径よりも短い第3半径を有する仮想球面の一部を成す厚肉部内表面と、前記第2半径よりも長い第4半径を有する仮想球面の一部を成す厚肉部外表面とを有していることを特徴とする請求項1に記載の耐圧容器の外殻体。
  3. 前記外殻部の厚みをTとし、前記第1半径の長さと前記第2半径の長さとを加算平均した長さの第5半径を有する仮想球面と前記厚肉部内表面との間の半径方向の間隔をT1とし、前記第5半径を有する仮想球面と前記厚肉部外表面との間の半径方向の間隔をT2とし、Tに対するT1の比をt1とし、Tに対するT2の比をt2としたとき、
    t2=3.8×t1−3.9 (t1≧1.16) …(1)
    を満たし、かつ
    1.66≦t1+t2≦4.8 …(2)
    を満たすことを特徴とする請求項2に記載の耐圧容器の外殻体。
  4. 前記外殻部および前記厚肉部は、相対密度が98%以上の窒化珪素質焼結体から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の耐圧容器の外殻体。
  5. 前記外殻部および前記厚肉部は、硬度が15GPa以上のアルミナ質焼結体から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の耐圧容器の外殻体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の耐圧容器の外殻体を備えることを特徴とする耐圧容器。
  7. 請求項6に記載の耐圧容器を備えることを特徴とする探査装置。
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