JP6439113B2 - 耐圧ガラス球 - Google Patents

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Description

本発明は、カメラ、ビデオカメラ、地震計などの観察機器、計測機器等を収納し、深海、海底、地底あるいは南極大陸などの厚い氷の中など探査探索に用いることのできる耐圧ガラス球に関する。
カメラ、ビデオカメラ、地震計などを用いて海、深海、地底あるいは南極大陸などの厚い氷の中などを探査探索するには、それら観察機器、計測機器を収納する耐圧容器が必要である。従来、チタン合金などの高強度金属材料が用いられている。
その後、軽量化のために金属材料に代えて、ガラス製耐圧容器も使用されている。ガラスは引っ張り応力下では容易に破壊することがあるが、圧縮応力に対しては極めて高強度であるという特徴を活かしたものである。南極大陸の氷の中では、ガラス製耐圧容器の中に、宇宙からの素粒子の検出を目的としたフォトマルを内蔵することが検討されている。
また、ガラスは金属材料やセラミック材料と異なり透明であることも大きな利点の一つであって、収納したカメラやビデオカメラ等を用いて海底や深海の状態を視覚的に観察することができる。
非特許文献1は、耐圧ガラス球を用いた深海カメラシステムの試作に関するものであって、ガラス球が1964年頃からアメリカで耐圧容器として利用され始めたが、表面仕上げ状態などの問題点があったために、日本国内ガラスメーカーの協力を得て、耐圧ガラス球を開発試作したことが記載されている。開発試作されたガラス球は、外径36cm、内径32cmのものと、外径36cm、内径33cmの2種類である。
非特許文献2には、非特許文献1に記載された外径36cm、肉厚1.5cmのガラス球及び外径26cm、肉厚1cmのガラス球を用いたフリーフォール式深海カメラシステムが記載されている。
特許文献1は、一対の中空ガラス製半球体を用いた海洋測定器用ハウジングを開示したものであるが、二つの中空ガラス製半球体は円形開口部(すり合わせ面)が直接接するものではなく、保護ケージを介して結合されている。
特許文献2は、特許文献1で開示された技術の問題点として、材料コストと運転コストが高価なこと及びシーリングによるシール信頼性が低い点を挙げ、それらの改善のため、深海における高圧下での海水の侵入による圧壊を防止する手段として、すり合わせ面を精度よく研磨し(±4μm)、かつ、すり合わせ面の外側である赤道面接合部に非硬化性材料を施し、さらに接着テープで被覆する技術を開示している。
特許文献3は、一対の中空半球体を、互いに接合するすり合せ面で合わせて一つの球を形成する耐圧ガラス体であって、すり合わせ面に塗布された硬化性接着剤から成る接着結合層によって互いに結合された耐圧ガラス体を開示している。これは、特許文献2に開示された技術では、すり合わせ面を高い精度で研磨する必要のあること、及び2つの中空半球体を合わせたときに位置ずれが起こる危険性のあることを防止するためであって、これら問題を解決するために、硬化性接着剤によって2つの中空半球体を接着するものである。
特許文献4は、一対の中空ガラス製半球体をすり合わせ面で合わせた耐圧構造物であって、少なくとも一方のすり合わせ面に金属膜を形成することを特徴とするものである。これは、特許文献3で開示された技術では、硬化性接着剤からなる接着結合層ですり合わせ面を互いに結合するため、深海観測の後に耐圧ガラス体を回収した場合、収容してあった観測機器等を取り出すには、接着接合層を破壊する必要があって、1回の利用しかできないという問題点を解決するためのものである。すなわち、接着結合層の代わりに金属膜を用いることによって、深海観測の後に回収した耐圧構造物を破壊することなく、内部に収容してあった観測機器を回収でき、さらに繰り返し使用することができるというメリットをうたっている。
また、特許文献4では、耐圧構造物を繰り返し使用することによって、すり合わせ面に加圧(深海)→減圧(地上)→加圧→減圧という過程が繰り返され、すり合わせ面にクラックや剥離が発生するという問題点を、すり合わせ面に形成された金属膜によって補強し、クラックの発生や剥離を抑制できるとしている。
特許文献5は、耐圧容器の外殻体、耐圧容器および探査装置に関するものであって、セラミックから成り、貫通孔を有する耐圧容器に関するもので、セラミックから成る凸面状の外殻部と、該外殻部に連なり、厚み方向に貫通孔を有する部分の肉厚を厚くすることを特徴とする外殻体を開示している。
非特許文献3は、米国Teledyne Benthos社の深海用ガラス製浮力球(Floatation Glass Sphere)の技術スペックであって、外径13インチ(33cm)、内径12インチ(30.5cm)、重量9.07kgf、浮上力10.4kgfのガラス球と、外径17インチ(43.2cm)、内径15.9インチ(40.4cm)、重量17.7kgf、浮上力25.4kgfのガラス球が開示されている。ここで、浮上力とは、ガラス球によって得られる浮力からガラス球の重量を差し引いたものである。
非特許文献4は、ドイツNautilus Marine Service GmbH社のガラス球に関するデータシートであって、外径17インチ(432mm)、球殻の厚み21mm、18mm、14mmのガラス球や外径13インチ(330mm)、球殻の厚み12mmのガラス球などが開示されている。
米国特許第3,563、089号公報 米国特許第3,587,122号公報 特表2003−517571号公報 特開2010− 38854号公報 日本国特許第5313400号公報
耐圧ガラス球を用いた深海カメラシステムの試作について、海洋科学技術センター試験研究報告第1号、p.26〜31、1977 4.フリーフォール方式耐圧ガラス球入り深海カメラシステム、JAMSTECTR 3、1979 http://teledynebenthos.com/product/flotation_instrument_housings/flotation-glass-spheres http://www.nautilus-gmbh.com/fileadmin/images_nautilus/002_VITROVEX/Instruments/Data_sheets/140101_VITROVEX_deep_sea_instrumentation_housings.pdf
非特許文献1に記載された耐圧ガラス球は、空中重量16kgfで実効浮力(浮上力)8kgf及び空中重量12.5kgfで実効浮力(浮上力)12.5kgfと記載され、これら耐圧ガラス球を用いた深海カメラシステムの最大到達深度は5,810mと記載されている。
非特許文献2には、外径36cm、肉厚1.5cm、空中重量12.5kgfで実効浮力(浮上力)12.5kgfの大形の耐圧ガラス球を用いたフリーフォール式耐圧ガラス球入り深海カメラシステムが、水深6,700mに相当する耐圧性能を有し、実際に水深3,400mで深海生物の写真撮影及び回収に成功したと記載されている。そして、この深海カメラシステムの回収の際の浮上速度は、1.1m/sであったと記載されている。また、外径26cm、肉厚1cm、実効浮力4.7kgfの小形ガラス球を利用した深海カメラシステムは、水深6000mの耐圧試験に合格したと記載されている。その上で、効率的な探査探索とシステムの回収のためには、耐圧ガラス球の軽量化による浮上力の増大が重要な課題であることが示唆されている。また、耐圧ガラス球の大深度における連続使用回数についてはまだ疑問が多いと記載されている。
特許文献1に開示された技術は、ガラス球を用いているとはいえ、すり合わせタイプではなく、特許文献2で指摘された課題を有している。
特許文献2で開示された技術は、すり合わせ面の高精度の研磨加工と赤道面周囲のシール加工が必要とされている。また、耐圧ガラス球の耐圧テストは10,000p.s.i(約69MPa)で行われている。これは水深約6,900mに相当するものである。
特許文献3で開示された技術は、前記の通り硬化性接着剤を用いることから、繰り返し使用することが難しいという課題を有する。また、運転深度は7,000mまでが好ましいとされている。
特許文献4で開示された技術は、すり合わせ面に金属膜を形成することによって補強し、すり合わせ面でのガラスのクラックや剥離を抑えようとするものであるが、加圧・減圧試験は、4分間で60MPaまで加圧し、次の4分間で減圧し、これを50回繰り返して、水深6,000mでの探査探索と回収を想定したものである。
特許文献5で開示された技術は、11,000m級の深海での探査探索ができるよう、貫通孔部分の強度を向上させるため、貫通孔部分の肉厚を厚くするものであるが、不透明なセラミック製耐圧容器の外殻体を対象としている。耐圧ガラス球において、球殻の一部に貫通孔をあけ、その部分の肉厚を厚くするという加工は困難であるし、すり合わせ面の強度の改善にはつながらないという課題がある。
非特許文献3及び4に記載されている製品例においては、外径10インチ球及び外径13インチ球では、浮上力が小さい。同様に、深度9,000m球及び12,000m級の17インチ級の製品ラインアップはあるものの、7,000m級に比べて浮上力が十分ではなく、深海からの回収に時間を要する。
これら公知技術及び従来例の記載からわかるように、本発明に係る耐圧ガラス球においては、深海の水圧に耐えて繰り返し使用が可能な耐圧性能を維持しつつ、軽量化と浮上力の増大を図ることが重要な課題となっている。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、一対の中空ガラス製半球体を、その赤道面にあるすり合わせ面を接合面として合わせて得られる耐圧ガラス球において、前記すり合わせ面から所定の幅の赤道面部の球殻の厚みが、赤道面部以外の部分の球殻の厚みより厚肉であることを特徴とする耐圧ガラス球である。ここで、中空ガラス製半球体とは、別の言い方をすると、半球の赤道面にすり合わせ面を持つガラス製半球殻体であり、球殻とは、中空ガラス製半球体において、ガラスで構成される部分のことである。
本発明は、耐圧ガラス球のクラックや剥離が、すり合わせ面で発生し、深海においては、これらクラックや剥離を起点として、耐圧ガラス球全体の圧壊が起こるという事実に基づいたものである。
本発明は、強度を改善するために耐圧ガラス球のすべての部分の球殻の厚みを厚くするのではなく、強度に影響を及ぼす赤道面(すり合わせ面)から所定の幅の赤道面部の球殻の厚みだけを、赤道面部以外の部分の球殻の厚みより厚くすることによって、重量の増大を防止して浮上力を増大させながら、強度を改善するものである。
本発明において、前記一対の中空ガラス製半球体のすり合わせ面から所定の幅の赤道面部の球殻の厚みが、赤道面部以外の部分の球殻の厚みと比べて、外径より外側に及び内径より内側に、合計で0.5mm以上厚くされている耐圧ガラス球が望ましい。つまり、すり合わせ面を含む赤道面部の球殻の外径が、他の部分の球殻の外径より0.5mm以上外側に厚いか、すり合わせ面を含む赤道面部の球殻の内径が、他の部分の球殻の内径より0.5mm以上内側に厚いか、例えば、0.25mm以上外側に厚く、かつ0.25mm以上内側に厚く、合計で0.5mm以上厚いというような構成であることが望ましい。
本発明の具体的態様として、前記一対の中空ガラス製半球体の外径が330mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが17mmであって、赤道面部における球殻の厚みが、外径より外側に0.25mm以上、かつ内径より内側に0.25mm以上、それぞれ厚くした耐圧ガラス球をあげることができる。
本発明の他の具体的態様の一つとして、前記一対の中空ガラス製半球体の外径が330mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが16mmであって、赤道面部における球殻の厚みが、赤道面部以外の部分の球殻の厚みと比べて、外径より外側に0.5mm以上、かつ内径より内側に0.5mm以上、それぞれ厚くした耐圧ガラス球をあげることができる。
なお、前記2つの具体的態様において、330mmという外径は、公知例において13インチと記載されている外径と同じであって、厳密に330mmに限られるわけではなく、数ミリ程度の外径差を有するガラス球は、本具体的態様に含まれる。また、球殻の厚みが17mmあるいは16mmという場合も、厳密に17mmあるいは16mmに限られるわけではなく、通常は±0.5mm以内の誤差が許容される。
本発明のさらに別の具体的態様の一つとして、前記一対の中空ガラス半球体の外径が432mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが20mmであって、赤道面部における球殻の厚みが、赤道面部以外の部分の球殻の厚みと比べて、外径より外側に及び内径より内側に、合計で0.5mm以上厚くされている耐圧ガラス球をあげることができる。本具体的態様における432mmという外径は、公知例において17インチと記載されている外径と同じであって、厳密に432mmに限られるわけではなく、数ミリ程度の外径差を有するガラス球は、本具体的態様に含まれる。
本発明のさらに別の具体的態様の一つとして、前記中空ガラス製半球体の外径が250mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが8mmであって、赤道面部における球殻の厚みが、外径より外側に及び内径より内側に、合計で0.5mm以上厚くされている耐圧ガラス球をあげることができる。本具体的態様における250mmという外径は、公知例において10インチと記載されている外径と同じであって、厳密に250mmに限られるわけではなく、数ミリ程度の外径差を有するガラス球は、本具体的態様に含まれる。また、球殻の厚みが8mmという場合、通常は±0.5mm以内の誤差が許容される。
このような耐圧ガラス球を構成する中空ガラス製半球体において、球殻の厚みが、赤道面部以外の部分の厚みより厚肉とする赤道面部の所定の幅としては、赤道面であるすり合わせ面から9mm以上130mm以下であることが望ましい。つまり、赤道面であるすり合わせ面から9mm以上130mm以下の幅で厚肉とされている部分が赤道面部である。これは、すり合わせ面である赤道面の球殻の厚みだけを厚肉とすることは不可能であって、すり合わせ面である赤道面から、前記所定の幅を厚肉化されているのである。
赤道面部の幅を前記数値範囲に限定するのは、9mmより小さすぎると、すり合わせ面の肉厚増大による強度向上の効果が乏しくなってしまう怖れがあり、赤道面部の幅が130mmを超えると、耐圧ガラス球の重量減少による浮上力増大効果が小さくなるからである。
そして、前記中空ガラス製半球体において、接合面となるすり合わせ面の面精度として、平坦度を表すPV値が20μm以下、表面粗さRaが0.5μm以下、垂直度が2μm以下であることが望ましい。こうすることによって、球殻の厚みを薄く抑えながら、すり合わせ面の強度をさらに向上させることが可能になるからである。
非特許文献2には、すり合わせ面の研磨精度を±4μmとした記載されているが、本発明では、すり合わせ面の強度向上のため、表面粗さRaを0.5μm以下として、かつ新しい概念として垂直度を導入した。垂直度については、後に詳しく説明するが、2つの中空ガラス球同士をすり合わせ面で合わせる際に、すり合わせ面の平行度(接線に対する垂直度)が高ければ高いほど、強度低下につながるクラックや剥離の発生が抑えられるという考え方に基づいている。
本発明によれば、中空ガラス製半球体の球殻の厚みを薄く抑えながら、すり合わせ面から所定の幅の赤道面部の球殻の厚みだけを増大させることによって耐圧強度を高めているので、耐圧ガラス球全体の重量を低減させることができ、結果として浮上力が向上するという効果が得られる。
本発明の耐圧ガラス球の製造プロセスを説明する図である。 本発明の耐圧ガラス球のすり合わせ面と赤道面部を表す図である(実施例1)。 本発明におけるすり合わせ面の垂直度の定義と測定方法を示す図である。 本発明による耐圧ガラス球(実施例1)の全体設計図である。 図4におけるC部拡大図であって、すり合わせ面の加工精度が示されている。 球殻の厚みが均等に17mmである耐圧ガラス球の設計図である(比較例)。 本発明の実施例の別の一例の設計図である。 本発明の実施例のさらに別の一例の設計図である。 本発明の請求項6に記載の耐圧ガラス球の構成を示す設計図である。
本発明に用いる中空ガラス製半球体は次のような工程で作製される。
成型工程では、溶融されたガラスを通常のダイレクトプレス技術によって中空半球体形状に成型する。図1-1〜3に示すように、金型(胴型)内に溶融したガラスの塊(ガラスゴブ)を投入し、上方から金型(矢型)を下して、ガラスをプレス成型し、金型の形状を転写し、中空ガラス半球体を得る。
この段階で、中空ガラス製半球体の外面・内面の形状や表面状態が決定される。本発明においては、胴型の赤道面部に該当する位置は、厚肉化する分だけ広くなっており、矢型の赤道面部に該当する位置は、厚肉化する分だけ狭く加工されている。このようにすることによって、耐圧ガラス球の赤道面部の球殻の厚みは、その他の部分の球殻の厚みより、厚肉化されるのである。
金型の形状精度及びガラスに接する金型表面の面精度が極めて重要であり、プレス成型された中空ガラス製半球体の品質や形状精度を大きく左右する。本発明において、厚肉化される赤道面部の幅は、9mm以上130mm以下であることが望ましいので、耐圧ガラス球の赤道部面の厚肉部に相当する胴型及び矢型の部分が、そのような寸法及び形状となるよう加工されている。
本発明の耐圧ガラス球に用いるガラスの材質としては、比重2.35程度のホウケイ酸ガラスが望ましい。より一般的なガラス材質であるソーダ石灰ガラスの比重である2.50に比べて、比重が小さいことから、深海において得られる浮上力が大きくなることが期待できるからである。
また、本発明の耐圧ガラス球に用いるガラスの材質としては、耐熱性・耐熱衝撃性の観点からもホウケイ酸ガラスが望ましい。ホウケイ酸ガラスの線熱膨張係数は約50x10−7/℃と小さいことから、温度変化に伴う形状変化や発生する熱応力が小さくなるからである。ホウケイ酸ガラスは耐久性にも優れている。
プレス成型後は、室温まで徐冷された中空ガラス製半球体を、加工工程に移す。まず、図1-4に示すように、プレス成型時にはみ出した余分なガラス部分をMC(マシニングセンタ)加工機によって除去する。ここでは、例えば、番手が600番程度の電着ダイヤモンド研削具を使用する。研削時間を管理することによって、所望の寸法になるまで研削する。この工程によって、粗削りされたすり合わせ面(接合面)が完成する。
次に接合面の内側及び外側のエッジ部に糸面取り加工を施す。この工程は番手が600番程度のベルトサンダーを使って手動で行う。中空ガラス製半球体の接合面のエッジ部には研削加工時に生じた微細なチッピング等が存在するため、これを除去すること、また使用中・取扱い中のカケ、剥離や割れの発生を予防するために、このような糸面取りを施す。糸面取りではなく、曲率の大きな、いわゆるR加工を行うと、加圧時に、すり合わせ面端部に大きな応力が発生することが実験的に確認されており、幅0.3〜0.5mm程度の糸面取り加工が適切である。
次に、番手が1000番程度の金剛砂を使用した研磨盤による研磨によって、接合面の精密研磨加工を行って、図1-5の中空ガラス製半球体を得る。
図2は、赤道面14の近傍の赤道面部11の球殻の肉厚を、内径より内側に及び外径より外側に、約15mmの幅にわたって、それぞれ約0.5mmだけ厚くした構成の、本発明の耐圧ガラス球の赤道面部近傍の断面図である。
本実施態様においては、赤道面部以外の部分の球殻14の厚みは17mmとなるよう設計されており、赤道面部11に向かって徐々に球殻の厚みが厚くなり、赤道面部における球殻の厚みは約18mmである。外径部の厚肉部は、赤道面部以外の部分から30mmの曲率で徐々に厚肉化されている。一方、内径部の厚肉部は、赤道面部以外の部分から95mmの曲率で徐々に厚肉化されている。図2中に、2.82°との記載があるが、これは金型を用いてプレス成形した中空ガラス製半球体を、プレス成形後に金型から離型しやすくするために、ごくわずかなテーパー(2.82°の傾き)を付けたことを表している。
本実施態様においては、すり合わせ面12の端部は、内側エッジでは0.3mmより小さい幅(約0.2mm)で糸面取りされており、外側では0.5mmの幅で糸面取りされている。結果として、一対の中空ガラス製半球体は、幅17.68mmのすり合わせ面で接合されることになる。
接合面であるすり合わせ面12の面精度・形状精度の測定は、Ra(表面粗さ)については表面粗さ・輪郭形状測定機(Mitutoyo CS-3000)により、またPV(平坦度)及び垂直度については、三次元形状測定機(Mitutoyo CRT-A C776)により実施した。
PV(平坦度)及び垂直度の測定方法は次の通りである。まず、中空ガラス半球体を、赤道面を上にして、三次元形状測定器の試料台上にセットする。ぞして、すり合わせ面(赤道面)上の任意の4点の位置(高さ)から、傾き(水平度)を測定する。その赤道面の傾きを自動補正して、基準面(水平面)とする。
次に、中心角を10度ずつ分割したすり合わせ面上の36点の位置を測定して、最大値(Peak)及び最小値(Valley)からPeak−to−Valley値、すなわちPV値(平坦度)を求める。
さらに、中心角を45度ずつ分割した8カ所で、図3のように、ガラス球の外側〜すり合わせ面〜内側に掛けてプローブを走らせ、垂直度を測定する。すなわち、垂直度とは、すり合わせ面の外径部と内径部が、完全水平面に比べて、どの程度ずれているかを表す値である。垂直度が大きいほど、すり合わせ面の高くなった部分が、押し付けられることとなって、クラックや剥離が生じやすいと考えられ、好ましくない。
完成した一対の中空ガラス製半球体を、その赤道面であるすり合わせ面で合わせて、ガラス球内を、孔部から800Pa程度に減圧した。すり合わせ面の接合部位はブチルゴムテープと塩化ビニールテープを一周巻いて固定した。このようにして本発明の耐圧ガラス球を製作し、加圧試験に供した。なお、前記減圧に用いた孔部は直径約5mmであって、孔開けドリルを用いて形成され、観測等に必要なケーブルを通した後、O−リングを介してボルトとナットで締め付けて封止した。
(実施例1)
前記した図2は、外径330mm、球殻の肉厚17mmの耐圧ガラス球において、すり合わせ面12である赤道面14から15mmの幅にわたって、2つの中空ガラス製半球体の厚みを外径より外側に0.5mm、内径より内側にも0.5mm厚くした構成である。従って、赤道面部11における球殻14の厚みは、赤道面部以外の部分より合計で1mm厚くなっている。内径側は、赤道面部以外の部分の球殻から、曲率95mmで肉厚を徐々に0.5mm厚くしている。また、外径側は曲率30mmで肉厚を徐々に0.5mm増大している。すり合わせ面12の幅は17.68mmである。すり合わせ面は、番手が1000番の金剛砂を用いて、0.5μm以下の表面粗さになるまで研磨した。ガラス端部に存在する欠陥を除去するため、番手が600番の研磨ベルトを用いて外側の端部を0.5mm、内側の端部を0.3mmの幅で研磨した。
すり合わせ面12の面精度等は、前記した方法を用いて測定した。その結果、すり合わせ面の表面粗さRaは0.157μm、PV値は7.9μm、垂直度は全周8カ所で0.1〜1.5μmであった。
このようにして得た一対の中空ガラス製半球体をすり合わせ面12で合わせて、赤道面部11の外側にゴム製のバンドを巻いて固定し、耐圧ガラス球とした。すり合わせ面には接着剤等の緩衝材は使用しなかった。
本実施の例は、後に示す表1中のNo.4に相当する構成であって、耐圧ガラス球の重量は12.48kgf、浮力は19.24kgf、浮力から重量を差し引いた浮上力は6.76kgfである。球殻全ての肉厚を18mmとした表1中のNo.21では、重量13.06kgf、浮力19.23kgf、浮上力6.17kgfであるので、本実施の形態の構成とすることにより浮上力が0.59kgf増大したことになる。
この耐圧ガラス球について、2種類の耐圧テストを実施した。
第一のテストは、水深12,000mの水圧に相当する120MPaでの単純加圧試験である。常圧から20分で120MPaに加圧し、120MPaの圧力で20分保持したのち、20分で常圧に戻した。その後、耐圧ガラス球のすり合わせ面を観察したところ、クラックや剥離は発生していないことが確認された。
第二のテストは、繰り返し加圧試験である。繰り返し加圧試験では、15分で最大到達圧力114MPaまで加圧し、その後15分で常圧に戻すサイクルを1サイクルとして、これを7回繰り返した。その結果、図2に示した本発明は、このテストにも耐えることができた。試験後、すり合わせ面を観察したところ、破損や圧壊につながるようなクラックや剥離の発生は確認できなかった。
(その他の実施例及び比較例)
実施例及び比較例を整理した結果を表1に示す。これらは、120MPaの圧力がかかった場合に球殻の内側エッジ部に発生する最大引張り応力F(MPa)を計算したものである。この計算は、DASSAULT SYSTEMS社のSOLIDWORKSというソフトウェアを用いたもので、耐圧ガラス球が深海の水深に相当した圧力を受けた場合の、耐圧ガラス球各部に発生する応力を計算できるものである。
水深に対応した外圧が耐圧ガラス球に作用すると、球殻のすり合わせ面に応力が発生するが、前記したように、内側エッジ部に最大引張応力Fが発生し、その応力が耐圧ガラス球の強度を超えると、ガラス球が圧壊し破損する。従って、外圧の作用下で、内側エッジ部に発生する最大引張応力が小さい場合、耐圧強度が高いということができる。
表1中、Xとして表示されている寸法は、赤道面部において、内径から内側に、外径から外側に、それぞれ厚肉とされた厚みである。Yは、厚肉とされた部分の幅であって、すり合わせ面からの寸法を記載している。内Rは、内径側において、赤道面部以外の部分から、赤道面部を厚肉とするために徐々に厚みを増大していく際の曲率である。外Rとは、外径側において、赤道面部以外の部分から、赤道面部を厚肉とするために徐々に厚みを増大し、厚みの増大を収束させる際の曲率である。
表1には、参考のため、耐圧ガラス球の体積、外径体積及び重量を示し、さらに外径体積から計算される浮力及び浮力と重量の差から計算される浮上力を示している。ここで、ガラスの比重は2.35、海水の比重は1.02として計算している。
Figure 0006439113
表1中、No.4として示した構成である実施例1は、水深12,000m相当の単純加圧試験及び繰り返し加圧試験に合格した。実施例1では、中空ガラス製半球体の赤道面部の球殻は、赤道面部以外の部分の球殻の厚みと比べて、内径より内側は、すり合わせ面から約15mmの幅(Y)にわたって0.5mmだけ厚肉としている。そして、内径より内側で、赤道面部以外の球殻から95mmの曲率半径(内R)で厚肉部が形成されている。また、赤道面部は、外径より外側でも0.5mm肉厚を厚くしているが、赤道面部以外の球殻から30mmの曲率半径(外R)で赤道面部の厚肉部が形成されている。
実施例1の中空ガラス製半球体の設計図を図4に示した。一対の中空ガラス製半球体を、接合面であるすり合わせ面12で合わせることにより、本発明の耐圧ガラス球が得られる。赤道面部以外の部分の球殻14の厚みは17±0.5mmという設計値である。外半径として165.1mmと記載されているように、外径は330.2mmである。頂部には、観測等に必要なケーブルを通すために、孔部が形成されている。赤道面部11(Cと示されている部分)の構造を、図5に拡大して示した。
図5には、すり合わせ面12の表面の仕上げ状態が示されている。前記したように、すり合わせ面は番手が1000番程度の細かい金剛砂を用いて、表面粗さが0.5μm以下となるまで精密研磨加工を行う。そして、PV値は20μm以下、垂直度は2μm以下となるよう加工されている。すり合わせ面の端部は、内径側は幅0.3mm以下の糸面加工が施され、外径側は幅0.5mm程度の糸面取り加工が施されている。
No.20は比較例であって、外径330mm、球殻の厚みが均等な17mmの耐圧ガラス球である。No.20の構成を図6に示す。赤道面部の厚肉部がないことから、一対の中空ガラス製半球体のすり合わせ面の幅は16.69mmであって、図2に示した実施例1に比べて1mm短い。なお、図2及び図6では、中空ガラス製半球体の外径は165.1mmであり、内径は147.6mmであることから、赤道面部以外の部分の球殻の厚みは17.5mmになっている。
No.21及びNo.22は共に比較例であって、No.21は、球殻の厚みが均等な18mmの耐圧ガラス球であり、No.22は、球殻の厚みが均等な19mmの耐圧ガラス球である。
実施例1であるNo.4は、内側エッジ部にかかる最大引張応力の値が95MPaと、比較例であるN.20の116MPaよるはるかに小さく、No.21及びNo.22と同等である。このことから、赤道面部の厚肉化が、球殻の厚みを均等に厚くするのと同じ効果を有することがわかる。
また、重量及び浮上力の観点から整理すると、No.4では、耐圧ガラス球の重量が12.48kgf、浮力が19.24kgf、浮上力が6.76kgfであるのに対して、No.21では浮上力が6.17kgfで、No.4より0.59kgf小さく、No.22では浮上力が5.53kgfで、No.4より1.23kgfも小さいことがわかった。
表1中で、すり合わせ面の内側エッジに発生する引張り応力が、実施例1であるNo.4と同等程度以下に抑えることのできる構成を選び出すと、No.2、3、5、7〜9、11〜16、19となる。このうち、No.13、No.15、16及び19は、No.21及び22と同様に浮上力がNo.4より小さいという欠点があって、好ましくない。
以上の結果より、赤道面部以外の部分の球殻の厚みが17mmであっても、120MPaの圧力に耐え、外径330mm、球殻の厚み18mmの耐圧ガラス球と同等程度の耐圧強度を有し、No.20と同等程度の浮上力を有する耐圧ガラス球を得ることのできる構成としては、赤道面部の球殻の外径の外側又は内径の内側の少なくとも一方を厚肉化し、それら厚肉化する合計厚みを0.5mm以上とすることが重要であることが判明した。
赤道面部の厚肉化する幅Yとしては、9mm以上130mm以下が適切で、9mm以上65mm以下であることが望ましい。130mmを超えて厚くしても、強度向上のメリットはなく、逆に浮上力低下のデメリットが大きくなる。
表1中の内R及び外Rに関しては、強度や浮上力に対する影響は小さく、赤道面部の厚肉部を赤道面部以外の部分から滑らかに構成すればよいと考えられる。
図7は、赤道面部において、内径より内側に0.25mm、外径より外側に0.25mm、合計で0.5mm厚肉化した本発明の構成の一つであって、表1中のNo.3に該当する。この構成は、すり合わせ面の幅が17.19mmであり、内側エッジ部に働く最大引張応力は82MPaと、実施例1より小さい。また、浮上力は6.79kgfであって、球殻の全ての厚みが18mmであるNo.21の構成に比べて、浮上力が0.62kgf増大する。
図8は、赤道面部において、内径より内側に1.0mm、外径より外側に1.0mm、合計で2mm厚肉化した本発明の他の構成の一つであって、表1中のNo.5に該当する。この構成は、すり合わせ面で幅が18.69mmであり、内側エッジ部に働く最大引張応力が81MPaと、実施例1より小さい。また、浮上力は、6.68kgfであって、球殻の厚みが均等に19mmであるNo.22の構成に比べて、浮上力が1.15kgfも増大する。但し、No.13、16及び19の構成から判断すると、外径側又は内径側の厚肉化する厚みが1mmを超えても、強度上のメリットは大きくなく、逆に浮上力を小さくするデメリットがあると考えられる。
以上の結果は、外径330mm、球殻の厚み17mmの耐圧ガラス球において、すり合わせ面近傍の赤道面部の球殻の厚みだけを厚くすることで、赤道面部以外の球殻の厚みを薄く保ったまま、耐圧強度を向上させるとともに、浮上力の観点でも有利であることを示したものである。
同様の考え方は、外径330mmの耐圧ガラス球のみならず、外径250mmの耐圧ガラス球や外径432mmの耐圧ガラス球についても当てはまることが判明した。シミュレーションによる計算結果を表2に示した。このシミュレーションも、表1に示した計算と同じくDASSAULT SYSTEMS社のSOLIDWORKSというソフトウェアを用いたものである。
Figure 0006439113
例えば、水深7,000m級の深海での探査探索に用いられている外径330mmの耐圧ガラス球(非特許文献4中のNMS-IS-7000-13)は、球殻の厚みは均等な12mmとされているが(表2中のNo.11に相当する)、本発明の考え方を適用すれば、球殻の厚みを11mmとして、赤道面部の幅15mmにわたって、外径側及び内径側をそれぞれ0.5mm厚肉化することにより、同等の耐圧強度を有し、かつ浮上力が0.63kgf増大させることができる。
また、水深6,700mでの使用を想定した外径432mmの耐圧ガラス球(非特許文献3のSPHERE MODEL 2040-17V及び非特許文献4中のNMS-IS-6700-17)では、球殻の厚みは均等な14mmとされているが(表2中のNo.13に相当する)、本発明の考え方を適用すれば、球殻の厚みを13mmとして、すり合わせ面である赤道面部の幅15mmにわたって、外径側及び内径側をそれぞれ0.50mm厚肉化することにより、耐圧強度を向上させながら、浮上力を1.14kgf増大させることができる。
また、水深10,000mでの使用を想定した外径250mmの耐圧ガラス球(非特許文献4中のNMS-IS-10000-10)では、球殻の厚みは均等な9mmとされている。表2中のNo.4はこのNMS-IS-10000-10と同じ構成を有する耐圧ガラス球であるが、水深9,000mに対応した90MPaの外圧を受けると、内側エッジ部に掛かる最大引張応力の値は100MPaに達する。そこで、本発明の考え方を適用すれば、球殻の厚みを8mmとして、すり合わせ面である赤道面部の幅15mmにわたって、外径側及び内径側でそれぞれ0.5mm厚肉化することで、10mm均等肉厚の場合(表2中のNo.5に相当する)と同等の耐圧強度を有し、かつ浮上力を0.78kgf増大させることができる。
さらに、水深12,000mでの使用を想定した外径432mmの耐圧ガラス球(非特許文献4中のNMS-IS-12000-17)では、球殻の厚みは均等な21mmとされているが(表2中のNo.2に相当する)、本発明の考え方を適用すれば、球殻の厚みを19mmとして、すり合わせ面である赤道面部の幅15mmにわたって、外径側及び内径側のそれぞれで1.0mm肉厚化することで、表2中のNo.2と同等以上の耐圧強度を有し、かつ浮上力を2.06kgf増大させることができる。
水深12,000mでの使用を想定した外径330mmの耐圧ガラス球は市場には存在しない。表2中にNo.8として示した17mm均等肉厚ガラス球では、内側エッジに掛かる最大引張応力が116MPaとなり、耐圧強度が十分とは言えない。一方、表2中にNo.9として示した18mm均等肉厚ガラス球では、内側エッジに掛かる最大引張応力が93MPaまで低減できるが、17mm均等肉厚ガラス球と比べて、浮上力は0.64kgf減少してしまう。
そこで、本発明の考え方を適用すれば、球殻の厚みを16mmとして、すり合わせ面である赤道面部の幅15mmにわたって、外径側及び内径側のそれぞれで0.5mm肉厚化することで(表2中のNo.6)、No.9と同等以上の耐圧強度を有し、かつ浮上力を1.23kgf増大させることができる。
同様のケースで、球殻の厚みを16mmとして、すり合わせ面である赤道面部の幅15mmにわたって、外径側で0.5mm肉厚化し、内径側で1.5mm厚肉化することでも(表2中のNo.7)、No.9と同等以上の耐圧強度を有し、かつ浮上力を1.06kgf増大させることができる。この構成の耐圧ガラス球の設計図を図9に示した。
11・・・赤道面部
12・・・すり合わせ面(接合面)
13・・・赤道面
14・・・球殻

Claims (8)

  1. 一対の中空ガラス製半球体を、その赤道面にあるすり合わせ面を接合面として合わせて得られる耐圧ガラス球において、前記すり合わせ面から所定の幅の赤道面部における前記中空ガラス製半球体の球殻の厚みが、赤道面部以外の部分の球殻の厚みより厚肉であることを特徴とする耐圧ガラス球。
  2. 前記中空ガラス製半球体の、前記すり合わせ面から所定の幅の赤道面部の球殻の厚みが、赤道面部以外の部分の球殻の厚みと比べて、外径より外側に及び内径より内側に、合計で0.5mm以上厚くされていることを特徴とする請求項1に記載の耐圧ガラス球。
  3. 前記中空ガラス製半球体において、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みより厚肉とした前記赤道面部の所定の幅が、前記すり合わせ面から9mm以上130mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐圧ガラス球。
  4. 前記中空ガラス製半球体において、接合面となる前記すり合わせ面の平均表面粗さRaが0.5μm以下、平坦度を表すPV値が20μm以下、垂直度が2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐圧ガラス球。
  5. 前記中空ガラス製半球体の外径が330mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが17mmであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の耐圧ガラス球。
  6. 前記中空ガラス製半球体の外径が432mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが19mmであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の耐圧ガラス球。
  7. 前記中空ガラス製半球体の外径が250mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが8mmであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の耐圧ガラス球。
  8. 前記中空ガラス製半球体の外径が330mm、前記赤道面部以外の部分の球殻の厚みが16mmであって、前記赤道面部の球殻の厚みが、外径より外側に0.5mm以上、内径より内側に0.5mm以上、それぞれ厚肉であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の耐圧ガラス球。
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