JP5308828B2 - 被覆された織布及び／または不織布を含む、微多孔質で通気性の建築及び建設材料、並びに方法 - Google Patents

Description

本発明は、ポリマーフィルムで被覆された布層、例えば、織テープ布（woven tape fabric）を含む、微多孔質（microporous）の通気性材料を対象とする。これらの材料は、例えば、ハウスラップ材（housewrap meterials）やルーフィング下張り（roofing underlayment）、雨押え（flashing）などの建築及び建設材料として使用するのに適している。本発明は、また、そのような通気性材料を作製するための方法を対象とする。

建築業及び建設業では、建設中の建物の様々な構成要素の衝撃を和らげ、絶縁（insulate）し、封止し、かつ／または保護するために、布、ポリマーフィルム、及びその他のウエブ様材料（web-like meterials）などを広範に使用する。これらのウエブ様材料の例には、ハウスラップ、用材ラップ、ルーフ下張り、雨押えなどが含まれる。これらの材料は、建築プロセスの厳しさに耐えるよう、強靱かつ強力であるべきである。これらの材料は、水分による損傷から建物の内部を保護するために、撥水性であることがしばしば必要である。しかし、これらの材料は、建物内で発生した水蒸気（例えばスチーム、呼気、蒸発する水）を建物の内側で保持して水分による損傷及びその他の関連した問題を引き起こすのではなく、外に逃すために、通気性であることも望ましい。これらの建築材料は、建物を絶縁するという役割も演ずることができる。最後に、当然ながら、妥当なコストで利用可能な材料を有することが望ましい。

例えば、ハウスラップ材は、建設中、特に寒冷気候において、建物を水及び風による損傷から保護するために使用される。ハウスラップ材は、典型的には、建物の壁の中の枠組み（framing）または被覆材（sheathing）の外面に取付けまたは固定される。ハウスラップ材は、水による損傷などを防止するためにフィルムが固定された壁から水蒸気が逃げるように、水蒸気に対して透過性があるものでなければならない。その一方で、ハウスラップ材は、風及び雨またはその他の降水に対して壁が絶縁されるように、空気及び液体に対して十分不透過性であるべきである。さらに、ハウスラップ材は、取付け中の損傷を避けるため、また、耐久力を促進させるために、破壊強度、伸び、引裂強度、収縮、穿刺強度などの適切な引張り特性及び物理特性を有するべきである。

十分な強度及び靱性を備えた、建設及び同様の苛酷な条件に耐え得る用途に適したハウスラップ材及びその他の通気性材料を得るために、多くの場合、強力及び／または強靱な不織布及び／または織布を使用することが望まれる。

Ｓｈｅｔｈの米国特許第４９２９３０３号公報は、直鎖状低密度ポリエチレンから形成された通気性フィルム、及び直交積層繊維から形成された不織布を含む、複合通気性ハウスラップ材について開示している。この通気性フィルムは、ローラ上に前駆体フィルムをキャスト押出しにより成形し、この前駆体フィルムを延伸して通気性を与え、不織布を加熱し、加熱した不織布をフィルムに押圧して該不織布と通気性フィルムとを結合することによって形成される。これらの連続的な加工工程のため、開示されたハウスラップ材の製造方法は、いくらか煩雑で、かつ、費用がかかる可能性がある。

米国特許第２００４／００１６５０２号公報は、結晶性ポリマー組成物及び充填剤を含む微多孔質コーティングで被覆された低伸び布層を含む通気性材料について開示している。この出願は、また、微多孔質形成性ポリマーコーティングで低伸び布を押出コーティングし、次いでこのポリマーコーティングを微多孔質にするために、コーティングされた布層を増分的に延伸するための方法について開示している。この発明には、シングルパスプロセス（single-pass process）で製造するという利点がある。しかしこの発明は、１つまたは複数の増分延伸ステーション用機械の資本支出を必要とし、そのような増分延伸装置の運転に関連した操業費用も絶えず必要である。

従って、比較的強力または強靱な織布または不織布を用いることができるものも含めた改善された通気性材料と、そのような材料の製造を容易にするための方法とが求められている。

従って、本発明の目的は、従来技術の様々な欠点を克服し、かつ建設分野など高強度を必要とする用途での使用に特に適している、新規な通気性材料を提供することである。本発明の他の目的は、そのような通気性材料を製造するための新規な方法を提供することである。

本発明によれば、布層及びその上のポリマーフィルム層の積層体を含む通気性材料を形成する方法であって、
ａ．ポリマー組成物及び充填剤を含むポリマーフィルム層を形成する工程、ただし、該充填剤は、該ポリマーフィルム層の２５〜７５重量％の量であり、
ｂ．ポリマーフィルム層を、織テープ布（woven tape fabric）を含む布層に結合して、積層体を形成する工程、及び
ｃ．得られる通気性材料の水蒸気透過率が５０ｇ／ｍ ^２ ・２４ｈｒよりも大きくなるように、積層体に、増分延伸（incremental stretching）装置に該積層体を処置させるのではない物理的操作を施してポリマーフィルム層を微多孔質にする工程
を含み、該通気性材料が、該物理的操作の前に第１の長さ寸法及び第１の幅寸法を有し、並びに、該物理的操作の後に第２の長さ寸法及び第２の幅寸法を有し、該第２の長さ寸法は、第１の長さ寸法よりも２％を超えて大きくなく、かつ、該第２の幅寸法は、第１の幅寸法よりも２％を超えて大きくないものである方法が提供される。
一つの実施態様では、本発明は、布層と、その上のポリマー組成物及び充填剤を含むポリマーフィルム層とを含む通気性材料を対象とし、この通気性材料は、通気性材料の水蒸気透過率（ＷＶＴＲ）が約５０ｇ／ｍ^２・２４ｈｒよりも大きくなるようにポリマーフィルム層を微多孔質にするための物理的操作を受けており、この通気性材料は、前記物理的操作の前に第１の長さ寸法及び第１の幅寸法を有し、並びに、前記物理的操作の後に第２の長さ寸法及び第２の幅寸法を有し、この第２の長さ寸法は、第１の長さ寸法よりも約２％を超えて大きくなく、第２の幅寸法は、第１の幅寸法よりも約２％を超えて大きくない。

本発明によれば、織テープ材料（woven tape material）及びその上の微多孔質ポリマーフィルム層を含む積層体を含む通気性材料を形成する方法であって、
ａ．ポリマー組成物及び充填剤を含むポリマーフィルム層を形成する工程、ただし、該充填剤は、該ポリマーフィルム層の２５〜７５重量％の量であり、
ｂ．ポリマーフィルム層を、秤量が１０から１３６ｇ／ｍ ^２ （０．３から４ｏｚ／ｙｄ ^２ ）である織テープ材料層に結合して、積層体を形成する工程、及び
ｃ．得られる通気性材料の水蒸気透過率が５０ｇ／ｍ ^２ ・２４ｈｒよりも大きくなるように、積層体に、増分延伸（incremental stretching）装置に該積層体を処置させるのではない物理的操作を施してポリマーフィルム層を微多孔質にする工程
を含み、該通気性材料が、該物理的操作の前に第１の長さ寸法及び第１の幅寸法を有し、並びに、該物理的操作の後に第２の長さ寸法及び第２の幅寸法を有し、該第２の長さ寸法は、第１の長さ寸法よりも２％を超えて大きくなく、かつ、該第２の幅寸法は、第１の幅寸法よりも２％を超えて大きくないものである方法が提供される。
さらに別の実施態様では、本発明は、通気性材料を製造する方法を対象とする。この方法は、ポリマー組成物及び充填剤を含むポリマーフィルム層を形成する工程、このポリマーフィルム層を布層に結合して積層体を形成する工程、及び、得られる通気性材料の水蒸気透過率（ＷＶＴＲ）が約５０ｇ／ｍ^２・２４ｈｒよりも大きくなるようにポリマーフィルム層を微多孔質にするための物理的操作を施す工程を含み、この通気性材料は、前記物理的操作の前に第１の長さ寸法及び第１の幅寸法を有し、かつ、前記物理的操作の後に第２の長さ寸法及び第２の幅寸法を有し、この第２の長さ寸法は、第１の長さ寸法よりも約２％を超えて大きくなく、第２の幅寸法は、第１の幅寸法よりも約２％を超えて大きくない。

本発明による通気性材料は、強度、通気性、及び液体不透過性の望ましい組合せを示す点で有利であり、本発明の方法によって容易に製造することができる。本発明の通気性材料、建築及び建設材料、並びに方法によって得られるこれら及び他の目的及び利点は、下記の詳細な説明からより十分に明らかにされよう。

詳細な説明は、図面を参照することによってより十分に理解されよう。

本発明は、様々な用途で使用される通気性材料を対象とする。一つの実施態様では、通気性材料は、ハウスラップ材、雨押え、またはルーフィング下張りを含むがこれらに限定されない建築及び建設材料として、使用するのに適している。しかし、当業者であれば、本発明の記述から、本発明の範囲内にある通気性材料のその他の特定の適用例及び用途が理解されよう。

この開示のために、以下の用語は、次の通り定義される。

＊「フィルム」とは、ｘ（長さ）及びｙ（幅）方向の材料の寸法が、ｚ（厚さ）方向の寸法より実質的に大きいシート状の形の材料を指す。フィルムは、約１μｍから約１ｍｍの範囲のｚ方向厚さを有する。

＊名詞としての「積層体」とは、これらの層が、最も狭いシート材料の幅に亘って実質的に同一の広がりを持つように積み重ねられかつ結合されたシート状材料の層状構造体を指す。これらの層は、フィルム類、布類もしくはシートの形をしたその他の材料、またはそれらの組合せを含んでよい。例えば、積層体は、フィルム層及び布層が、これら２つの層が通常の使用下で単一のシートとして結合されたままになるようにそれらの幅に亘って一緒に結合されている構造でもよい。積層体は、複合体または被覆材料とも呼ぶことができる。動詞としての「積層する」とは、そのような層状構造が形成される方法を指す。

＊「共押出し」とは、多層ポリマーフィルムを作製する方法を指す。多層ポリマーフィルムが共押出法により製造される場合、このフィルムの層を含む各ポリマーまたはポリマーブレンドは、それ自体が溶融される。溶融ポリマーは、押出ダイの内部で層状化されてよく、溶融ポリマーフィルムの各層は、ダイから実質的に同時に押し出される。共押出しポリマーフィルムでは、このフィルムの個々の層が一緒に結合されるが、本質的に混合されないままであり、このフィルム内でそれぞれの層として区別される。これは、ポリマー成分が混合されてポリマーの本質的に均質なブレンドまたは不均質な混合物が作製され、それが単一層として押し出される、ブレンドされた多成分フィルムとは対照的である。

＊「押出積層」または「押出コーティング」とは、基材をポリマーフィルムで被覆するために、かつ基材とフィルムとを一緒に結合するために、溶融ポリマーのフィルムを固体基材上に押し出す方法を指す。

＊「材料強度」または「引張強度」は、ＡＳＴＭ Ｄ−８８２「薄プラスチックシートの引張り特性」によって測定したときの、材料の引張り特性を指す。他に特に指示しない限り、「材料強度」または「引張強度」は、特に、引張破断強度（tensile at break）及び引張破断伸び％（% elongation at break）を指す。

＊「通気性」は、水蒸気またはスチームの通過が可能な材料を指す。本発明の開示を目的に、材料は、ＡＳＴＭ Ｅ９６Ａによって測定したときにその水蒸気透過率（ＷＶＴＲ）が約５０ｇ／ｍ^２・２４ｈｒである場合、通気性であると見なす。

＊「寸法（dimension）」は、所与の方向における既知の量の材料の、距離または長さの測定値である。測定される寸法は、幅、長さ、厚さ、バイアスなどである。材料寸法を測定する場合、材料片全体を測定することができ（即ち、縁部から縁部まで）、または、測定を同じ部位で繰り返すことができるように適切にマーク付けまたはその他の方法で指定された材料の指定部分もしくはセグメントを測定することができる。

＊「延伸」は、シート状材料の１つまたは複数の寸法を、引張り力、引出し力、または押圧力を加えることによって永久的に（即ち、回復不能に）増大する方法を指す。機械方向配向（ＭＤＯ）、増分延伸（incremental stretching）、及び幅出し（tentering）を含む、シート状材料を延伸する様々な方法が知られている。シート状非エラストマー材料を延伸する場合、延伸された材料は、延伸方向に平行な寸法が増大することになる。例えば、非エラストマーポリマーフィルム片を、５ｃｍ×１５ｃｍ（２インチ×６インチ）と測定される長方形に切断し、次いでこのフィルムを「長手」方向に平行に延伸する場合、このフィルムは、延伸された後に１５ｃｍ（６インチ）よりも長くなる。この開示のために、加えられた延伸力に平行な寸法が約２％よりも多く増大する材料は、「延伸された」と見なす。

本発明による通気性材料は、布層と、その上の微多孔質コーティングとを含む。布は、コーティングの表面の一部を遮断しない構造を有するべきであり、従って、コーティング表面の微多孔を封止または遮断しない。一つの実施態様では、布は、一般に、メッシュやスクリム、目の粗い織布などの開放構造を有する。多くの建築及び建設材料では、多くの場合、布が比較的強力で靱性のある１種または複数の材料で形成されることが望ましい。例えば、選択された実施態様では、布は、ＡＳＴＭ Ｄ−８８２により測定したときに、少なくとも約３５７ｋｇ／ｍ（２０ｌｂｓ／ｉｎ）の引張強度を示すことができる。

布層は、織布または不織布でよく、あるいは、所望により、織布と不織布との組合せでもよい。布層は、木綿や羊毛、絹、麻、リンネルなどの天然繊維を含んでよく、または布は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、レーヨン、その他の繊維形成ポリマーなど、合成ポリマー材料の繊維もしくは糸を含んでよい。一つの実施態様では、布は、１種または複数のポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの組合せで形成された不織布または織布である。別の実施形態では、布は、目の粗い布に織られた配向ポリマーテープ（oriented polymer tapes）を含む。より具体的な実施態様では、布は、目の粗い布に織られた配向ポリオレフィンテープを含む。そのような材料は、ＰＲＯＰＥＸ（登録商標）という商標でジョージア州AustellのPropex Fabrics,Inc.から市販されている。ＰＲＯＰＥＸ（登録商標）布及びその他の供給源からの同様の材料は、本発明での使用に適切な様々な物理的性質の組合せを有するいくつかのグレードで入手可能である。例えば、織テープ布（woven tape fabric）は、約１０ｇ／ｍ ^２ （０．３ｏｚ／ｙｄ ^２ ）から約１３６ｇ／ｍ ^２ （４．０ｏｚ／ｙｄ^２ ）、より好ましくは約３４ｇ／ｍ ^２ （１．０ｏｚ／ｙｄ ^２ ）から約８５ｇ／ｍ ^２ （２．５ｏｚ／ｙｄ^２ ）、最も好ましくは約５１（１．５ｏｚ／ｙｄ ^２ ）から約６８ｇ／ｍ ^２ （２．０ｏｚ／ｙｄ^２ ）の秤量を有する、粗い目の布に織られたポリプロピレンまたはポリエチレンテープを含んでよい。

当技術分野で知られるその他の織布及び／または不織布は、本発明の通気性材料の布層として使用してよい。一つの実施態様では、布層は、ランダムレイドスパンボンド繊維（randomly-laid spunbonded fibers）、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの組合せなどのスパンボンドポリオレフィンを含む不織布である。適切なスパンボンド不織布は、約１０ｇ／ｍ ^２ （０．３ｏｚ／ｙｄ^２ ）以上の秤量を有することができる。より具体的な実施形態では、布は、約３４ｇ／ｍ ^２ （１ｏｚ／ｙｄ^２ ）以上の秤量を有するスパンボンドポリプロピレン、より具体的には約５１ｇ／ｍ ^２ （１．５ｏｚ／ｙｄ^２ ）以上の秤量を有するスパンボンドポリプロピレンを含む不織布である。通気性材料での使用に適するスパンボンド不織布は、約２から約１５、より具体的には約１０から約１２の繊維デニールを有することができ、ハウスラップ材などの用途に使用する場合は、この範囲のうち高い繊維デニールを有するスパンボンド布が好ましい。このようなスパンボンド不織布は、当技術分野で知られており、例えば、ＴＹＰＡＲ（登録商標）という商標でReemy,Inc.から市販されている。

別の実施態様では、布は、ポリオレフィン直交積層オープンメッシュを含む不織布である。より具体的な実施態様では、布は、ポリエチレン直交積層オープンメッシュを含む不織布である。そのような布は、ＣＬＡＦ（登録商標）という商標でAtlanta Nisseki CLAF,Inc.から市販されている。ＣＬＡＦ（登録商標）は、本発明での使用に適切な様々な物理的性質の組合せを有するいくつかのグレードで入手可能である。一つの実施態様では、布は、約１４ｇ／ｍ ^２ （０．４ｏｚ／ｙｄ^２ ）以上の秤量を有するポリエチレン直交積層オープンメッシュを含む不織布である。

別の実施態様では、布は、ＴＹＶＥＫ（登録商標）という商標でＤｕＰｏｎｔから市販されているフラッシュスパン高密度ポリエチレン不織材料などの、フラッシュスパン不織材料を含む不織層である。フラッシュスパン不織材料は、さまざまな秤量で入手可能であり、本発明の通気性材料に使用するのに適している。ある実施態様では、フラッシュスパン不織材料は、約２４ｇ／ｍ ^２ （０．７ｏｚ／ｙｄ ^２ ）から約１３６ｇ／ｍ ^２ （４ｏｚ／ｙｄ^２ ）の範囲の秤量を有する。

織テープ布（woven tape fabrics）は、所望のポリマー布のフィルムを押し出すことによって作製される。フィルムを、テープとも呼ばれるストリップに切り裂き、次いで、これらのテープを延伸してポリマー材料を配向させる。この配向によって、ポリマーテープは、その延伸方向が強化される。次いで、これらのテープを繊維を織るときのように布に織る。テープは、任意の一般的な織目に織ることができる。図１は、典型的な織テープ布２０を示す。この布は、図の拡大部分に示される個々のテープ２２で形成される。

織テープ布は、１つには、布に織られた個々のテープ２２同士がほとんどまたは全く結合していないことを特徴とする。また、これらのテープ布は、よく滑る表面を有する傾向があり、個々のテープ２２は、布全体を動かすときに、互いに対して動きかつ滑ることができる。図２に示されるように、織テープ布２０をポリマーフィルム３０で被覆する場合、フィルム３０は、織テープ布２０を安定化する働きをする。しかし、フィルムコーティング３０が比較的薄い場合、個々に織られたテープ２２は、依然として互いに対していくらか滑りまたは動くことができる。理論に拘泥するものではないが、本発明者らは、織テープ布２０を微多孔質形成性ポリマーコーティング３０で被覆して本発明の被覆基材１０を形成する場合、個々のテープ２２のこの動きによって、テープ間のコーティングに微多孔を生成するのに十分な局所的な延伸を引き起こすことができると考える。図３は、本発明者らが考えるこの局所延伸を引き起こすことのできる、１つの概念を示す。個々の織られたテープ２２は、互いに対して移動している。このようにすることで、テープは、テープ間のゾーン３５のコーティング３０を延伸する。

織られたテープ２２のこの動きは、実際に、被覆織テープ基材（coated woven tape substrate）全体を延伸することなく、または被覆基材を増分延伸などの延伸力にかけることなく、張力下で被覆基材１０を曲げ（bending）、ひねり（twisting）、引張り（pulling）、または巻取り（winding）によって実現することができる。

本発明の通気性基材１０の布２０上に提供された微多孔質コーティング３０は、ポリマー組成物及び充填剤を含む。コーティングのポリマー組成物に適したポリマーは、フィルム押出成形することができる任意の熱可塑性ポリマーまたはそのようなポリマーのブレンドを含む。そのようなポリマーには、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらのポリマーのコポリマーが含まれるが、これらに限定するものではない。本発明で好ましいポリマー組成物には、ポリエチレン及びポリエチレンのコポリマー、ポリプロピレン及びポリプロピレンのコポリマー、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートのその他のコポリマー、その他のコポリエステルが含まれるが、これらに限定するものではない。ポリマー組成物は、ポリマーブレンドを含んでもよい。

それぞれのフィルムコーティングに使用するのに適した充填剤には、様々な有機及び／または無機材料が含まれるが、これらに限定するものではない。特定の実施態様では、充填剤は、金属酸化物や金属水酸化物、金属炭酸塩などの、１種または複数の微粉状無機材料を含んでよい。好ましい充填剤には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪藻土、タルク、二酸化チタン、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。充填剤の粒径は、コーティングの微多孔サイズや、ひいては材料生成物の通気性に影響を与えるように選択することができる。典型的には、約０．５から約５ミクロンの平均粒径を有する充填剤が適しているが、より小さいか、またはより大きいサイズの充填剤を用いてもよい。所望により、充填剤は、ポリマー組成物中でのこの充填剤の分散を促進させ、充填剤が水を弾く能力を増大させ、及び／または充填剤とポリマー組成物との不適合性及び充填剤付近での微多孔の形成を増大させるために、表面コーティングを含んでもよい。適切な表面コーティングには、ステアリン酸やベヘン酸などの有機酸、ステアリン酸カルシウムなどの有機酸の塩、脂肪酸及びその塩、非イオン性界面活性剤、並びに同様のそのようなコーティングが含まれるが、これらに限定するものではない。

充填剤は、所望の通気性を与えるのに適した量で、微多孔質コーティングに含まれる。一般に、充填剤は、微多孔質コーティングの全重量に対して約２５から約７５重量％の量で用いてもよい。

コーティング３０は、布上の１つの層としてまたは多数の層として形成することができる。一つの実施態様では、コーティングは、以下にさらに詳細に論じるように、押出被覆プロセスによって布上に形成することができる単層フィルムを含む。他の実施態様では、コーティングは、例えば、２層以上のフィルムの共押出または逐次押出コーティングによって形成された多層（２層以上）のフィルムであって、各層が異なるポリマーフィルム組成物を含む多層フィルムを含む。この実施態様では、フィルム層の少なくとも１つが、ポリマー組成物及び充填剤を含み、またこれは必ずしも必要ではないが、フィルム層の全てがポリマー組成物及び充填剤を含むことが可能である。特定の実施態様では、コーティングは、１種のポリマー組成物及び充填剤を含むコア層を別のポリマー組成物で形成された２つの外層の間に共押出積層することによって形成される３層積層フィルムを含む。例えば、外層が、ポリエチレン及び充填剤を含むときに、コア層は、ポリプロピレン及び充填剤を含んでもよい。別の特定の実施態様では、コア及び外層は、同じポリマーを含み、異なる量の充填剤を含んでもよい。例えば、コア層は、ポリプロピレン及び３５％の充填剤を含んでもよく、外層は、ポリプロピレン及び５０％の充填剤を含んでもよい。

所望により、本発明による通気性材料は、第２の布層、例えば織布または不織布をさらに含んでもよく、この場合、微多孔質フィルム層が第１及び第２の布層の間に配置される。適切には、第２の布層は、第１の布層と同様の形及び組成のものでもよく、または第２の布層は、異なる形及び／または組成のものでもよい。一つの実施態様では、第２の布層は、スパンボンド不織布、例えば、スパンボンドポリプロピレンを含む。

本発明による材料の通気性は、対象とする該材料の用途に要求されるとおりに調節することができる。ハウスラップなどの建築及び建設材料として用いる場合、本発明の通気性材料は、ＡＳＴＭ Ｅ−９６Ａにより測定したときに、約５０ｇ／ｍ^２・２４ｈｒより高い水蒸気透過率、より具体的には、約１５０ｇ／ｍ^２・２４ｈｒより高い水蒸気透過率を有することが適切である。典型的には、建築及び建設の目的で使用される材料は、高い水蒸気透過率を必要とせず、多くの場合、約２０００ｇ／ｍ^２・２４ｈｒ未満の水蒸気透過率を有する。別の実施態様では、該材料は、約１５００ｇ／ｍ^２・２４ｈｒ未満、約１０００ｇ／ｍ^２・２４ｈｒ未満、または約５００ｇ／ｍ^２・２４ｈｒ未満の水蒸気透過率を有する。しかし、２０００ｇ／ｍ^２・２４ｈｒより高い水蒸気透過率を有する材料は、本発明の範囲内に等しく包含されることが理解されよう。

建築及び建設材料の別の重要な性質は、水などの衝突液体（impinging liquids）に対する抵抗力である。耐水性は、ＡＡＴＣＣ １２７などの方法による、材料の静水頭圧（hydrostatic head pressure）の試験によって測定することができる。建築及び建設業で使用されるこれらの材料の場合、ＡＡＴＣＣ １２７試験による５５ｃｍ超過の静水頭圧が、通常は認められる。

本発明の一つの実施態様では、通気性被覆基材１０は、ポリマー組成物及び充填剤を含む組成物で布２０を押出被覆して、布上にコーティング３０を形成し、この被覆された基材１０を処理して、コーティングを微多孔質にすることによって製造される。例えば、当技術分野で周知の技法を使用する図４に示されるように、フィルム３０の形のコーティングを、押出機３２からダイ３４を通して、ロール３６と３８との間に形成されたニップに押し出すことができる。押出しは、コーティングのポリマー組成物の溶融温度かまたはそれよりも高い温度で、典型的には、約２０４〜２６０℃（４００〜５００°Ｆ）程度で実施される。従来、ニップは金属ロール３６とゴムロール３８との間に形成される。例えば、ロール２６から供給するなどにより布層２０を提供することができ、コーティングフィルム３０及び布２０をロール間のニップに通してコーティングと布の表面とを接着させる。例えば、ロール２７から供給するなどにより第２の布層２５を提供することができ、やはりロール間のニップに通してコーティングと第２の布の表面とを接着させる。次いで、得られた被覆布１０を、追加の物理的操作にかけて、コーティングを微多孔質にする。

上述のように、ポリマー組成物は、充填剤と組み合わせて、被覆された織テープ布を比較的少しの程度だけ動かし、ひねり、カレンダー掛けし、またはその他の方法で物理的に処理することによって微多孔質になる。本発明者らは、驚くべきことに、巻き取り中に被覆基材１０に加えられる少量の張力は、被覆基材を通気性にするのに十分であることを発見した。曲げ、ひねり、バイアスがけなどの基材１０の追加の物理的操作は、被覆基材の通気性を高めるために使用することができる。図５に示される一つの実施態様では、基材が繰り返し曲がるように、被覆基材１０が一連のアイドラーロール（idler rolls）４０上を流れる。図６に示される追加の実施態様では、互いに対して角度をなして設定されたアイドラーロール４０及びニップ５０上に流すことによって、被覆基材１０は、ひねり動作にかけられる。図７に示される追加の実施態様では、被覆基材１０は、機械方向配向の平面に対してわずかに角度が付けられたアイドラーロール４０及びニップ５０上を流れることができ、従って、該基材は、わずかなバイアス力にかけられる。図８に示される追加の実施態様では、被覆基材１０は、弓のように曲がった（bowed）ロールまたはバー７０上を流れて、基材を曲げることができる。図９に示されるさらに別の実施態様では、被覆基材１０がカレンダーロール８０によってカレンダー加工され、それによって基材が圧縮され、次いで、解放される。カレンダーロールは、滑らかでもエンボス加工が施されていてもよい。図１０に示されるさらに別の実施態様では、被覆基材１０を溝付きローラ９０に通して基材を曲げるが、延伸する必要はない。図１１に示されるさらに別の実施態様では、被覆基材１０をアイドラーロール４０上に案内し、次いで、小径の丸みのついたエッジを有するプレート１００のエッジ１０２上で折り曲げて、基材を曲げまたは折り曲げる。あるいは、小径のターニングバーがエッジ１０２を形成し、そこで基材１０を折ることができる。さらに別の実施態様では、基材を温度差によって動かすために、被覆基材１０にアニーリングなどの熱処理を行ってもよい。さらに他の実施態様では、基材１０を機械方向（ＭＤ）及び／または直交方向（ＣＤ）の張力にかけてもよい。しかし、被覆された織布基材は、この基材を通気性にするために延伸する必要はない。

従って、本発明の一つの実施態様では、得られた材料は、前記物理的操作の前に第１の長さ寸法及び第１の幅寸法を有し、前記物理的操作の後に第２の長さ寸法及び第２の幅寸法を有し、この第２の長さ寸法は、第１の長さ寸法よりも約２％以下大きく、第２の幅寸法は、第１の幅寸法よりも約２％以下大きい。

以下の実施例は、本発明を例示するものである。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定しない。

［実施例１］
この実施例は、多層微多孔質コーティングを含む本発明による通気性基材について実証する。３５ｇ／ｍ^２の３層「ＡＢＡ」共押出フィルムコーティングを、３４ｇ／ｍ ^２ （１．０ｏｚ／ｙｄ^２ ）ポリプロピレン織テープ布上に押出積層する。コーティングの各「Ａ」層は、炭酸カルシウム５０％、ポリプロピレン４３％、低密度ポリエチレン４％、酸化カルシウムマスターバッチ１％、酸化防止剤１％、及びＵＶ安定化剤１％を含む組成物から形成された、４．５ｇ／ｍ^２の層を含む。コーティングのコア「Ｂ」層は、２６ｇ／ｍ^２の層であり、炭酸カルシウム５２％、直鎖状低密度ポリエチレン２３％、高密度ポリエチレン２２％、酸化カルシウムマスターバッチ１％、酸化防止剤１％、及びＵＶ安定化剤１％を含む。被覆された織テープ布は、これを１０２ｃｍ／ｓ（２００ｆｐｍ）で一連の金属アイドラーロール上に通すことにより、即座に物理的に処理される。この被覆基材のＷＶＴＲ（水蒸気透過率）は、ＡＳＴＭ Ｅ−９６Ａにより測定した場合、９３ｇ／ｍ^２・２４ｈｒであることがわかった。

［参考例１］
この参考例は、単層微多孔質コーティングを含む通気性基材について実証する。２０ｇ／ｍ^２のフィルムコーティングを、３４ｇ／ｍ^２のＰＥ／ＰＥＴ ｂｉｃｏスパンボンド不織布に押出積層する。コーティングは、炭酸カルシウム５０％、直鎖状低密度ポリエチレ４３％、低密度ポリエチレン４％、酸化カルシウムマスターバッチ１％、酸化防止剤１％、及びＵＶ安定化剤１％を含む組成物を含む。被覆された不織布は、これを１０２ｃｍ／ｓ（２００ｆｐｍ）で一連のアイドラーロール上に通すことによって、即座に物理的に処理される。この基材のＷＶＴＲは、ＡＳＴＭ Ｅ−９６Ａによって測定した場合、１８９ｇ／ｍ^２・２４ｈｒであることがわかった。

［参考例２］
この参考例は、複合布（composite fabric）上の多層微多孔質コーティングを含む通気性基材について実証する。４１ｇ／ｍ^２の３層「ＡＢＡ」共押出フィルムコーティングを、４５ｇ／ｍ^２の複合布上に押出積層する。コーティングの各「Ａ」層は、炭酸カルシウム５０％、ポリプロピレン４３％、低密度ポリエチレン４％、酸化カルシウムマスターバッチ１％、酸化防止剤１％、及びＵＶ安定化剤１％を含む組成物から形成された、４．５ｇ／ｍ^２の層を含む。コーティングのコア「Ｂ」層は、２６ｇ／ｍ^２の層であり、炭酸カルシウム５２％、直鎖状低密度ポリエチレン２３％、高密度ポリエチレン２２％、酸化カルシウムマスターバッチ１％、酸化防止剤１％、及びＵＶ安定化剤１％を含む。積層体の４５ｇ／ｍ^２の複合布は、１ｇ／ｍ^２の接着剤で１８ｇ／ｍ^２のＰＥＴスクリムに接着積層された、２６ｇ／ｍ^２のスパンボンドポリプロピレン不織布を含む。この被覆された布は、これを１０２ｃｍ／ｓ（２００ｆｐｍ）で一連の金属アイドラーロール上に通すことにより、即座に物理的に処理される。この被覆基材のＷＶＴＲは、ＡＳＴＭ Ｅ−９６Ａによって測定した場合、７２ｇ／ｍ^２・２４ｈｒであることがわかった。

本明細書に記述された特定の例示及び実施形態は、事実上単なる例であり、特許請求の範囲によって定義される本発明を限定するものではない。他の実施形態及び実施例は、本明細書を参照することによって当業者に明らかにされ、また特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内にある。

本発明の一つの実施態様で使用された織テープ布を示す平面図であり、布の一部が拡大して示されている。 本発明の一つの実施態様における、被覆された織テープ基材を示す平面図であり、被覆された基材の一部が拡大して示されている。 本発明の実施態様による微多孔形成の提案モデルを示す図である。 典型的な押出被覆プロセスを示す図である。 本発明の基材を本発明により微多孔質にすることができる方法の１例を示す図である。 本発明の基材を本発明により微多孔質にすることができる方法の１例を示す図である。 本発明の基材を本発明により微多孔質にすることができる方法の１例を示す図である。 本発明の基材を本発明により微多孔質にすることができる方法の１例を示す図である。 本発明の基材を本発明により微多孔質にすることができる方法の１例を示す図である。 本発明の基材を本発明により微多孔質にすることができる方法の１例を示す図である。 本発明の基材を本発明により微多孔質にすることができる方法の１例を示す図である。

Claims (9)

1. 布層及びその上のポリマーフィルム層の積層体を含む通気性材料を形成する方法であって、
   ａ．ポリマー組成物及び充填剤を含むポリマーフィルム層を形成する工程、ただし、該充填剤は、該ポリマーフィルム層の２５〜７５重量％の量であり、
   ｂ．ポリマーフィルム層を、織テープ布（woven tape fabric）を含む布層に結合して、積層体を形成する工程、及び
   ｃ．得られる通気性材料の水蒸気透過率が５０ｇ／ｍ^２・２４ｈｒよりも大きくなるように、積層体に、増分延伸（incremental stretching）装置に該積層体を処置させるのではない物理的操作を施してポリマーフィルム層を微多孔質にする工程
   を含み、該通気性材料が、該物理的操作の前に第１の長さ寸法及び第１の幅寸法を有し、並びに、該物理的操作の後に第２の長さ寸法及び第２の幅寸法を有し、該第２の長さ寸法は、第１の長さ寸法よりも２％を超えて大きくなく、かつ、該第２の幅寸法は、第１の幅寸法よりも２％を超えて大きくないものである方法。
2. 前記布層が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びこれらの組合せからなる群から選択された材料を含み、かつ、前記ポリマーフィルム層が、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの組合せからなる群から選択されたポリマー組成物を含む請求項１に記載の方法。
3. 前記フィルム層と布層との結合が、押出被覆、接着結合、熱結合、超音波結合、縫付け、またはこれらの組合せを含む請求項１に記載の方法。
4. 前記ポリマーフィルム層を第２の布層に結合する工程をさらに含み、前記ポリマーフィルム層が第１の布層と該第２の布層との間に配置される請求項１に記載の方法。
5. 織テープ材料（woven tape material）及びその上の微多孔質ポリマーフィルム層を含む積層体を含む通気性材料を形成する方法であって、
   ａ．ポリマー組成物及び充填剤を含むポリマーフィルム層を形成する工程、ただし、該充填剤は、該ポリマーフィルム層の２５〜７５重量％の量であり、
   ｂ．ポリマーフィルム層を、秤量が１０から１３６ｇ／ｍ^２（０．３から４ｏｚ／ｙｄ^２）である織テープ材料層に結合して、積層体を形成する工程、及び
   ｃ．得られる通気性材料の水蒸気透過率が５０ｇ／ｍ^２・２４ｈｒよりも大きくなるように、積層体に、増分延伸（incremental stretching）装置に該積層体を処置させるのではない物理的操作を施してポリマーフィルム層を微多孔質にする工程
   を含み、該通気性材料が、該物理的操作の前に第１の長さ寸法及び第１の幅寸法を有し、並びに、該物理的操作の後に第２の長さ寸法及び第２の幅寸法を有し、該第２の長さ寸法は、第１の長さ寸法よりも２％を超えて大きくなく、かつ、該第２の幅寸法は、第１の幅寸法よりも２％を超えて大きくないものである方法。
6. 前記織テープ材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びこれらの組合せからなる群から選択された材料を含み、かつ、前記ポリマーフィルム層が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの組合せからなる群から選択されたポリマー組成物を含む請求項５に記載の方法。
7. 前記物理的操作が、巻取り、曲げ、ひねり、引張り、バイアス掛け、圧縮、加熱、折畳み、及びこれらの組合せを含む群から選択される請求項１または５に記載の方法。
8. 前記フィルム層と織テープ材料層との結合が、押出被覆、接着結合、熱結合、超音波結合、縫付け、またはこれらの組合せを含む請求項５に記載の方法。
9. 前記ポリマーフィルム層を布層に結合する工程をさらに含み、前記ポリマーフィルム層が、織テープ材料層と該布層との間に配置される請求項５に記載の方法。

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