以下、本発明の一実施形態に係るガス化発電システム100について図面に基づき説明する。
図1に示すガス化発電システム100は、ガス化炉1、ガス調質設備2、二台の第一・第二エンジン発電機3・4、フレアスタック5、及び負荷設備9を備える構成である。このガス化発電システム100は、ガス化炉1で原料をガス化してガスを生成し、この生成ガスをガス調質設備2で調質し、調質後の生成ガスを第一・第二エンジン発電機3・4に供給して第一・第二エンジン発電機3・4で燃焼して発電し、この発電した電力を負荷設備9に供給する。そして、ガス化炉1の生成ガスの内、第一・第二エンジン発電機3・4に供給されなかったガス(余剰ガス)を、フレアスタック5で燃焼する。また、ガス化発電システム100において、これらガス化炉1、ガス調質設備2、第一・第二エンジン発電機3・4、及びフレアスタック5の間は、適宜の流路を介してガスが流れるように連通する。
なお、ガス化発電システム100において、ガス化炉1の生成ガスは、ガス化炉1側から第一・第二エンジン発電機3・4(又はフレアスタック5)側に流れるものである。従って以下の説明では、生成ガスの流路においてガス化炉1側を「上流側」といい、第一・第二エンジン発電機3・4(又はフレアスタック5)側を「下流側」という。
ガス化炉1には、原料がフィーダー6によって搬送されて供給される。ガス化炉1は、この原料を素にガスを生成(原料をガス化)する。なお、ガス化発電システム100においてガス化炉1に供給される「原料」には、木質系バイオマス(例えば木屑、大鋸屑、剪定枝、バーク)や廃棄物(例えばゴミ、農業廃棄物、建設廃棄物)あるいは化石燃料(例えば石炭)等が用いられる。
ガス調質設備2は、滞留槽や冷却器等を備えており、生成ガスを第一・第二エンジン発電機3・4に適したものに調質(具体的には、生成ガスに含まれるタールの分解・改質、煤の除去、ガスの冷却)する。このガス調質設備2の下流側には、ブロワ7が設けられる。このブロワ7の下流側において、生成ガスの流路は第一エンジン発電機3側と第二エンジン発電機4側とに分岐される。調質後の生成ガスは、ブロワ7によって吸引されて円滑に下流側に流れ、この生成ガスの流れは第一エンジン発電機3側と第二エンジン発電機4側とに分岐する。
そして、第一エンジン発電機3側と第二エンジン発電機4側との分岐箇所の下流側において、第一エンジン発電機3の上流側には、第一遮断弁12が設けられ、第二エンジン発電機4の上流側には、第二遮断弁13が設けられる。この第一・第二遮断弁12・13が開・閉されることにより、生成ガスが第一エンジン発電機3側及び第二エンジン発電機4側に流れるか否か(つまり、生成ガスが第一・第二エンジン発電機3・4に供給されるか否か)が切り替えられる。
第一・第二エンジン発電機3・4は、いずれもエンジンと発電機とを備えており、エンジンで発電機を駆動して発電する。第一・第二エンジン発電機3・4に備えられる各エンジンは、「ガス燃料」又は「液体燃料」で駆動する内燃機関である。本実施形態に係る第一・第二エンジン発電機3・4では、主燃料として「ガス燃料」が使用され、補助燃料として「液体燃料」が使用される。
ここで、前記「ガス燃料」としては、ガス化炉1の生成ガス、すなわちCO(一酸化炭素)を主成分とする可燃ガスが用いられる。なお以下の説明では、第一・第二エンジン発電機3・4が生成ガスを主燃料して運転することを「ガス燃料運転」という。なお、この「ガス燃料運転」には、主燃料としてガス燃料を使用する場合において補助的に液体燃料を使用する(ガス燃料に少量の液体燃料を混ぜて使用する)場合を含む。つまり、生成ガスは都市ガス等に比べて発熱量が極端に低いので燃焼が不安定になり易く、安定的に発電できない恐れがあるが、補助的に液体燃料を使用することにより、安定的に発電することを担保できる。
また、前記「液体燃料」としては、化石燃料(例えば軽油)やバイオディーゼルフューエル(例えば植物油)等が用いられる。この液体燃料は、燃料タンク21に貯溜される。なお以下の説明では、第一・第二エンジン発電機3・4が液体燃料を主燃料として運転することを「液体燃料運転」という。
そして、第一・第二エンジン発電機3・4で発電された電力は、負荷設備9に供給される。この負荷設備9は、電気を駆動源とする設備(例えば工場内の電気設備)であり、商用電力22に加えて第一・第二エンジン発電機3・4で発電された電力を利用する設備である。
また、ガス調質設備2と第一・第二エンジン発電機3・4との間(詳細にはブロワ7と第一・第二遮断弁12・13との間)の流路には、圧力制御弁8を介してフレアスタック5が連通する。この圧力制御弁8の開度が調節されることにより、余剰ガスがフレアスタック5側に流れて、第一・第二エンジン発電機3・4側に流れる生成ガスの圧力が一定に制御される。
また、ガス化発電システム100には、ガス化炉1を制御するガス化炉コントローラー10、及び第一・第二エンジン発電機3・4を制御するエンジン発電機コントローラー11が備えられている。ガス化炉コントローラー10には、フィーダー6、ブロワ7、圧力制御弁8に加えて、センサ類が接続される。エンジン発電機コントローラー11には、第一・第二エンジン発電機3・4、第一・第二遮断弁12・13に加えて、センサ類が接続される。ガス化炉コントローラー10とエンジン発電機コントローラー11とは、適宜の通信手段(例えば通信線)によって情報を共有化できるように構成される。
なお、本実施形態では二台のエンジン発電機3・4に対して一台のエンジン発電機コントローラー11を備える構成であるが、例えば二台のエンジン発電機に対してそれぞれコントローラー(合計二台のコントローラー)を備える構成でもよい。
次に、ガス化炉コントローラー10及びエンジン発電機コントローラー11に接続されるセンサ類について説明する。
先ず、ガス化炉コントローラー10に接続されるセンサ類は、原料処理量計14、ガス流量計15、ガス圧力計16、及びガス発熱量計20である。
原料処理量計14は、ガス化炉1での原料の処理量(以下「原料処理量F1」という。)、換言すると、フィーダー6の原料搬送量を検出する。原料処理量計14は、フィーダー6とガス化炉1との間の流路上に設けられる。原料処理量計14としては、例えば原料の重量を検出するロードセルが用いられる。
ガス流量検出手段としてのガス流量計15は、生成ガスの流量(以下「ガス流量F2」という。)を検出する。ガス流量計15は、ブロワ7と第一・第二エンジン発電機3・4との間の流路上、詳細にはブロワ7とフレアスタック5との間の流路上に設けられる。
ガス圧力計16は、生成ガスの圧力(以下「ガス圧力P」という。)を検出する。ガス圧力計16は、ブロワ7と第一・第二エンジン発電機3・4との間の流路上、詳細にはフレアスタック5と第一・第二エンジン発電機3・4の分岐箇所との間の流路上に設けられる。ガス化炉コントローラー10は、第一・第二エンジン発電機3・4側に流れる生成ガスの圧力(ガス圧力P)が一定となるように、圧力制御弁8の開度を調節して余剰ガスがフレアスタック5側に流れるように制御する。
ガス発熱量検出手段としてのガス発熱量計20は、生成ガスの発熱量(以下「ガス発熱量Q」という。)を検出する。ガス発熱量計20は、ブロワ7と第一・第二エンジン発電機3・4との間の流路上、詳細にはフレアスタック5と第一・第二エンジン発電機3・4の分岐箇所との間の流路上に設けられる。ガス発熱量計20としては、例えば生成ガスのCO濃度を検出するCO濃度計、生成ガスの各成分濃度を検出するガスクロマトグラフィー等が用いられる。
続いて、エンジン発電機コントローラー11に接続されるセンサ類は、受電電力計17、第一出力電力計18、及び第二出力電力計19である。これら受電電力計17、第一出力電力計18、及び第二出力電力計19を合わせたものが、負荷設備9の負荷電力を検出する負荷電力検出手段となる。
受電電力計17は、商用電力22からの受電電力(以下「受電電力W1」という。)を検出する。つまり、この受電電力計17が検出した電力は、負荷設備9が使用する商用電力22を示す。
第一出力電力計18は、第一エンジン発電機3の出力電力(以下「出力電力W2」という。)を検出する。つまり、この第一出力電力計18が検出した電力は、第一エンジン発電機3が発電した電力を示す。
第二出力電力計19は、第二エンジン発電機4の出力電力(以下「出力電力W3」という。)を検出する。つまり、この第二出力電力計19が検出した電力は、第二エンジン発電機4が発電した電力を示す。
すなわち、受電電力W1に出力電力W2及び出力電力W3を加えた電力が、負荷設備9が使用する合計の電力(以下「負荷電力Wt」という。)である。
次に、ガス化炉コントローラー10及びエンジン発電機コントローラー11について説明する。
先ず、ガス化炉コントローラー10は、記憶機能や演算機能を有する装置である。ガス化炉コントローラー10は、ガス化炉1の運転モードとして三つの運転モード、具体的には、「定格負荷運転モード」、「低負荷運転モード」及び「保温運転モード」を有している。また、ガス化炉コントローラー10は、定格負荷運転モードに係る原料処理量F1a及びガス流量F2a、低負荷運転モードに係る原料処理量F1b及びガス流量F2b、並びに保温運転モードに係る原料処理量F1c及びガス流量F2c、を記憶している。そして、ガス化炉コントローラー10は、各運転モード毎に原料処理量F1a、F1b、F1c及びガス流量F2a、F2b、F2cが一定となるように、フィーダー6及びブロワ7の周波数(回転数)を制御する。
加えて、ガス化炉コントローラー10は、ガス発熱量Qに係る閾値Qx、ガス流量F2に係る閾値F2x、及びこの閾値F2xよりも大きいガス流量F2に係る閾値F2y、を記憶している。そして、ガス化炉コントローラー10は、負荷電力Wt、ガス流量F2及びガス発熱量Qが上昇すると、運転モードが「保温運転モード」→「低負荷運転モード」→「定格負荷運転モード」の順序で切り替わるように、ガス化炉1を制御する。
「定格負荷運転モード」は、ガス化炉1内の原料が不完全燃焼となる運転モード、換言すると、ガス化炉1がCO(一酸化炭素)を主成分とする可燃ガスを生成する運転モードである。この定格負荷運転モードは、全て(本実施形態では二台分)の第一・第二エンジン発電機3・4がガス燃料運転する量のガスを生成する運転モードである。そして、定格負荷運転モードに係る原料処理量F1aは、全て(本実施形態では二台分)の第一・第二エンジン発電機3・4をガス燃料運転させる生成ガス量を得るために必要な原料処理量に基づいて設定される。また、定格負荷運転モードに係るガス流量F2aは、全て(本実施形態では二台分)の第一・第二エンジン発電機3・4をガス燃料運転させるために必要な生成ガス量に基づいて設定される。
「低負荷運転モード」は、ガス化炉1内の原料が不完全燃焼となる運転モード、換言すると、ガス化炉1がCO(一酸化炭素)を主成分とする可燃ガスを生成する運転モードである。この低負荷運転モードは、一部(本実施形態では一台分)の第一エンジン発電機3(又は第二エンジン発電機4)がガス燃料運転する量のガスを生成する運転モードである。つまり、低負荷運転モードは、定格負荷運転モードよりも少ない原料をガス化炉1に供給して、生成ガスの生成量が定格負荷運転モードよりも少ない運転モードである。そして、低負荷運転モードに係る原料処理量F1bは、一部(本実施形態では一台分)の第一エンジン発電機3(又は第二エンジン発電機4)をガス燃料運転させる生成ガス量を得るために必要な原料処理量に基づいて設定される。つまり、低負荷運転モードに係る原料処理量F1bは、定格負荷運転モードに係る原料処理量F1aよりも少なく設定される(F1b<F1a)。また、低負荷運転モードに係るガス流量F2bは、一部(本実施形態では一台分)の第一エンジン発電機3(又は第二エンジン発電機4)をガス燃料運転させるために必要な生成ガス量に基づいて設定される。つまり、低負荷運転モードに係るガス流量F2bは、定格負荷運転モードに係るガス流量F2aよりも少なく設定される(F2b<F2a)。
「保温運転モード」は、ガス化炉1内の原料が完全燃焼となる運転モード、換言すると、ガス化炉1が自然放熱にて損失する熱量を原料の完全燃焼にて発生した反応熱量にて補い、炉内温度を保温する運転モードである。この保温運転モードは、全て(本実施形態では二台分)の第一・第二エンジン発電機3・4が停止している(ガス燃料運転をしていない)場合の運転モードである。そして、保温運転モードに係る原料処理量F1cは、ガス化炉1を保温する(ガス化炉1内の温度を一定に保つ)ために必要な原料処理量に基づいて設定される。つまり、保温運転モードに係る原料処理量F1cは、定格負荷運転モードに係る原料処理量F1a及び低負荷運転モードに係る原料処理量F1bよりも少なく設定される(F1c<F1b<F1a)。
ここで、前述のようにガス化炉1から第一・第二エンジン発電機3・4までの間は、適宜の流路を介して連通しているため、ガス化炉1の生成ガスがブロワ7によって吸引されると、これに連動してガス化炉1内に外気が流れ込む(ガス化炉1内に空気が導入される)。そして、ガス流量F2cはブロワ7下流側のガス流量であり、このブロワ7下流側のガス流量(ガス流量F2c)とガス化炉1内に導入される空気量との間には、一定の相関がある。この相関関係に基づいて、ガス化炉1内の原料を完全燃焼させるために必要な空気量が得られるように、保温モードに係るガス流量F2cが設定される。
続いて、エンジン発電機コントローラー11は、記憶機能や演算機能を有する装置である。エンジン発電機コントローラー11は、負荷電力Wtに係る閾値Wta、閾値Wtb、閾値Wtc、及び閾値Wtdを記憶している。これらの閾値に係る大小関係は、閾値Wta、閾値Wtb、閾値Wtc、閾値Wtdの順に大きい関係にある(Wta<Wtb<Wtc<Wtd)。
また、エンジン発電機コントローラー11は、第一・第二エンジン発電機3・4の運転モードとして二つの運転モード、具体的には、「電主運転モード」及び「ガス主運転モード」を有している。電主運転モードは、第一・第二エンジン発電機3・4を「運転停止」又は「液体燃料運転」又は「ガス燃料運転」に切り替える運転モードである。ガス主運転モードは、第一・第二エンジン発電機3・4を「運転停止」又は「ガス燃料運転」に切り替える運転モードである。電主運転モード又はガス主運転モードの選択は、手動(又は自動)により行われる。エンジン発電機コントローラー11は、負荷電力Wt、ガス流量F2及びガス発熱量Qが上昇すると、「運転停止」→「液体燃料運転」→「ガス燃料運転」の順序で切り替わるように、第一・第二エンジン発電機3・4を制御する。
次に、ガス化発電システム100の制御フローについて説明する。
図2に示すように、電主運転モードが選択されると(S1、S2)、エンジン発電機コントローラー11は、「電主運転モード」で第一・第二エンジン発電機3・4を制御する。一方、ガス主運転モードが選択されると(S1、S3)、エンジン発電機コントローラー11は、「ガス主運転モード」で第一・第二エンジン発電機3・4を制御する。
先ず、図3に示す電主運転モードが選択された場合において(S2)、負荷電力Wtが閾値Wta未満の場合(S4:No)、第一・第二エンジン発電機3・4は、いずれも運転停止となる(S5)。そして、ガス化炉1は「保温運転モード」で運転される(S6)。ガス化炉コントローラー10は、保温運転モードに係る原料処理量F1c及びガス流量F2cとなるように、フィーダー6及びブロワ7の周波数(回転数)を制御する。
一方、負荷電力Wtが閾値Wta以上になると(S4:Yes)、第一エンジン発電機3は、液体燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、運転停止となる(S7)。そして、ガス化炉1は「低負荷運転モード」で運転される(S8)。ガス化炉コントローラー10は、低負荷運転モードに係る原料処理量F1b及びガス流量F2bとなるように、フィーダー6及びブロワ7の周波数(回転数)を制御する。
その後、ガス流量F2が閾値F2x以上、かつガス発熱量Qが閾値Qx以上になると(S9:Yes)、第一エンジン発電機3は、ガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる(S10)。つまり、第一エンジン発電機3は、液体燃料運転からガス燃料運転に切り替わる。
なお、ガス流量F2が閾値F2x以上でなく、かつガス発熱量Qが閾値Qx以上でない場合(S9:No)、つまり、ガス流量F2が閾値F2x未満又はガス発熱量Qが閾値Qx未満の場合、第一エンジン発電機3は、継続して液体燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる。
そして、第一エンジン発電機3がガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4が運転停止となっている場合において(S10)、負荷電力Wtが閾値Wtb以上になると(S11:Yes)、第一エンジン発電機3は、継続してガス燃料運転となるが、第二エンジン発電機4は、液体燃料運転となる(S12)。つまり、第二エンジン発電機4は、運転停止から液体燃料運転に切り替わる。そして、ガス化炉1は「定格負荷運転モード」で運転される(S13)。つまり、ガス化炉1は、低負荷運転モードから定格負荷運転モードに切り替わる。ガス化炉コントローラー10は、定格負荷運転モードに係る原料処理量F1a及びガス流量F2aとなるように、フィーダー6及びブロワ7の周波数(回転数)を制御する。
なお、負荷電力Wtが閾値Wtb未満の場合(S11:No)、第一エンジン発電機3は、継続してガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる。
その後、ガス流量F2が閾値F2y以上、かつガス発熱量Qが閾値Qx以上になると(S14:Yes)、第一・第二エンジン発電機3・4は、いずれもガス燃料運転となる(S15)。つまり、第二エンジン発電機4は、液体燃料運転からガス燃料運転に切り替わる。
その後、負荷設備9の負荷電力Wtが低下した場合は、上記とは逆の順序の制御フローとなる。つまり、第一・第二エンジン発電機3・4は「ガス燃料運転」→「液体燃料運転」→「運転停止」の順に切り替わり、ガス化炉1は「定格負荷運転モード」→「低負荷運転モード」→「保温運転モード」の順に切り替わる。
例えば、負荷電力Wtが閾値Wtb未満になると、第二エンジン発電機4は、ガス燃料運転から液体燃料運転を経て運転停止に切り替わり、第一エンジン発電機3は、継続してガス燃料運転となる。つまり、ガス化炉1は、定格負荷運転モードから低負荷運転モードに切り替わって、一台の第一エンジン発電機3(第二エンジン発電機4)のガス燃料運転に必要なガスを生成する。
その後、更に負荷電力Wtが低下して閾値Wta未満になると、第一エンジン発電機3は、ガス燃料運転から液体燃料運転を経て運転停止に切り替わり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる。つまり、ガス化炉1は、低負荷運転モードから保温運転モードに切り替わり、ガス化炉1を保温して第一・第二エンジン発電機3・4の運転再開に備える。
続いて、図4に示すガス主運転モードが選択された場合において(S3)、負荷電力Wtが閾値Wta未満の場合(S16:No)、第一・第二エンジン発電機3・4は、いずれも運転停止となる(S17)。そして、ガス化炉1は、「保温運転モード」で運転される(S18)。ガス化炉コントローラー10は、保温運転モードに係る原料処理量F1c及びガス流量F2cとなるように、フィーダー6及びブロワ7の周波数(回転数)を制御する。
一方、負荷電力Wtが閾値Wta以上になると(S16:Yes)、第一・第二エンジン発電機3・4は、いずれも運転停止となる(S19)。そして、ガス化炉1は、「低負荷運転モード」で運転される(S20)。ガス化炉コントローラー10は、低負荷運転モードに係る原料処理量F1b及びガス流量F2bとなるように、フィーダー6及びブロワ7の周波数(回転数)を制御する。この第一エンジン発電機3が運転停止となる点が、電主運転モードと相違する(電主運転モードでは、第一エンジン発電機3は液体燃料運転となる)。
その後、ガス流量F2が閾値F2x以上、かつガス発熱量Qが閾値Qx以上になると(S21:Yes)、第一エンジン発電機3は、ガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、運転停止を継続する(S22)。つまり、第一エンジン発電機3は、運転停止からガス燃料運転に切り替わる。ガス主運転モードでは、負荷電力Wtに加えてガス流量F2及びガス発熱量Qが各閾値以上にならないと、第一エンジン発電機3が液体燃料運転(ガス燃料運転)しない点で、電主運転モードと相違する。
なお、ガス流量F2が閾値F2x以上でなく、かつガス発熱量Qが閾値Qx以上でない場合(S21:No)、つまり、ガス流量F2が閾値F2x未満又はガス発熱量Qが閾値Qx未満の場合、ピークカット制御(図5参照)が行われる(S23)。
そして、第一エンジン発電機3がガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4が運転停止なっている場合において(S22)、負荷電力Wtが閾値Wtb以上になると(S24:Yes)、第一エンジン発電機3は、継続してガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる(S25)。そして、ガス化炉1は、「定格負荷運転モード」で運転される(S26)。つまり、ガス化炉1は、低負荷運転モードから定格負荷運転モードに切り替わる。ガス化炉コントローラー10は、定格負荷運転モードに係る原料処理量F1a及びガス流量F2aとなるように、フィーダー6及びブロワ7の周波数(回転数)を制御する。この第二エンジン発電機4が継続して運転停止となる点が、電主運転モードと相違する(電主運転モードでは、第二エンジン発電機4は液体燃料運転となる)。
なお、負荷電力Wtが閾値Wtb未満の場合(S24:No)、第一エンジン発電機3は、継続してガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる。
その後、ガス流量F2が閾値F2y以上、かつガス発熱量Qが閾値Qx以上になると(S27:Yes)、第一エンジン発電機3は、継続してガス燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、ガス燃料運転となる(S28)。つまり、第二エンジン発電機4は、運転停止からガス燃料運転に切り替わる。ガス主運転モードでは、負荷電力Wtに加えてガス流量F2及びガス発熱量Qが各閾値以上にならないと、第二エンジン発電機4が液体燃料運転(ガス燃料運転)をしない点で、電主運転モードと相違する。
その後、負荷設備9の負荷電力Wtが低下した場合は、上記とは逆の順序の制御フローとなる。つまり、第一・第二エンジン発電機3・4は「ガス燃料運転」→「運転停止」の順に切り替わり、ガス化炉1は「定格負荷運転モード」→「低負荷運転モード」→「保温運転モード」の順に切り替わる。
例えば、負荷電力Wtが閾値Wtb未満になると、第二エンジン発電機4は、ガス燃料運転から運転停止に切り替わり、第一エンジン発電機3は、継続してガス燃料運転となる。つまり、ガス化炉1は、定格負荷運転モードから低負荷運転モードに切り替わり、一台の第一エンジン発電機3(第二エンジン発電機4)のガス燃料運転に必要なガスを生成する。
その後、更に負荷電力Wtが低下して閾値Wta未満になると、第一エンジン発電機3は、ガス燃料運転から運転停止に切り替わり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる。つまり、ガス化炉1は、低負荷運転モードから保温運転モードに切り替わり、ガス化炉1を保温して第一・第二エンジン発電機3・4の運転再開に備える。
ここで、ガス主運転モードにおけるピークカット制御について説明する。図5に示すように、ピークカット制御(S23)は、第一・第二エンジン発電機3・4のいずれもが運転停止となっている場合(S29)、負荷電力Wtが閾値Wtc以上になると(S30:Yes)、第一エンジン発電機3は、液体燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる(S31)。つまり、第一エンジン発電機3は、運転停止から液体燃料運転に切り替わる。
なお、負荷電力Wtが閾値Wtc未満の場合は(S30:No)、第一・第二エンジン発電機3・4は、いずれも継続して運転停止となる。
その後、負荷電力Wtが閾値Wtd以上になると(S32:Yes)、第一エンジン発電機3は、継続して液体燃料運転となり、第二エンジン発電機4は、液体燃料運転となる(S33)。つまり、第二エンジン発電機4は、運転停止から液体燃料運転に切り替わる。
なお、負荷電力Wtが閾値Wtd未満の場合は(S32:No)、第一エンジン発電機3は、液体燃料運転を継続し、第二エンジン発電機4は、運転停止を継続する。
その後、負荷設備9の負荷電力Wtが低下した場合は、上記とは逆の順序の制御フローとなる。つまり、第一・第二エンジン発電機3・4は「液体燃料運転」→「運転停止」の順に切り替わる。
例えば、負荷電力Wtが閾値Wtd未満になると、第二エンジン発電機4は、液体燃料運転から運転停止に切り替わり、第一エンジン発電機3は、継続して液体燃料運転となる。その後、更に負荷電力Wtが低下して閾値Wtc未満になると、第一エンジン発電機3は、液体燃料運転から運転停止に切り替わり、第二エンジン発電機4は、継続して運転停止となる。
なお、電主運転モード、ガス主運転モード及びピークカット制御において、負荷電力Wtが低下した場合における、閾値Wta、閾値Wtb、閾値Wtc、及び閾値Wtdは、負荷電力Wtが上昇した場合における、閾値Wta、閾値Wtb、閾値Wtc、及び閾値Wtdよりも小さい値に設定、つまり、デファレンシャルを設けることもできる。
以上のように、ガス化発電システム100は、ガス化炉1で原料をガス化してガスを生成し、第一・第二エンジン発電機3・4で生成ガスを燃焼して発電する、ガス化発電システム100において、ガス化炉1は、ガス化炉コントローラー10によって制御され、ガス化炉コントローラー10は、ガス化炉1の運転モードとして、ガス化炉1内の原料が不完全燃焼となりガス化炉1がガスを生成する運転モードである、定格負荷運転モード及び低負荷運転モードを有しており、定格負荷運転モードは、第一・第二エンジン発電機3・4の全てがガス燃料運転する量のガスを生成する運転モードであり、低負荷運転モードは、第一・第二エンジン発電機3・4の一部のみがガス燃料運転する量のガスを生成する運転モードであり、ガス化炉コントローラー10は、第一・第二エンジン発電機3・4の全てがガス燃料運転する場合、定格負荷運転モードでガス化炉1を運転し、第一・第二エンジン発電機3・4の一部のみがガス燃料運転する場合、低負荷運転モードでガス化炉1を運転するものである。
このような構成により、ガス化炉1は第一・第二エンジン発電機3・4の台数に応じた分のガスしか生成しないため、無駄な生成ガスが発生しない。従って、生成ガスの大部分が余剰ガスとなってフレアスタック5で無駄に燃焼されたり、ガス化炉1内の残渣が無駄に発生したりすることがない。
そして、ガス化炉コントローラー10は、ガス化炉1の運転モードとして、ガス化炉1内の原料が完全燃焼となりガス化炉1がガスを生成しない運転モードである、保温運転モードを有し、ガス化炉コントローラー10は、第一・第二エンジン発電機3・4の全てが運転停止中の場合、ガス化炉1を当該保温運転モードで運転するものである。
このような構成により、全ての第一・第二エンジン発電機3・4が運転停止中の場合、ガス化炉1はガスを生成せずに保温に必要な分の原料を燃焼するだけであるため、無駄な生成ガスが発生しない。従って、生成ガスの大部分が余剰ガスとなってフレアスタック5で無駄に燃焼されたり、ガス化炉1内の残渣が無駄に発生したりすることがない。
また、ガス化炉1で原料をガス化してガスを生成し、第一・第二エンジン発電機3・4で生成ガスを燃焼して発電する、ガス化発電システム100において、第一・第二エンジン発電機3・4は、液体燃料又はガス燃料で運転し、エンジン発電機コントローラー11によって制御され、エンジン発電機コントローラー11は、第一・第二エンジン発電機3・4の運転モードとして、電主運転モード及びガス主運転モードを選択可能に有し、電主運転モードは、第一・第二エンジン発電機3・4の各々を運転停止又は液体燃料運転又はガス燃料運転に切り替える運転モードであり、ガス主運転モードは、第一・第二エンジン発電機3・4の各々を運転停止又はガス燃料運転に切り替える運転モードである。
このような構成により、電主運転モードを選択することにより、ガス化炉1が運転停止中でガスを生成していない場合でも、第一・第二エンジン発電機3・4は液体燃料にて運転して発電できるとともに、ガス主運転モードを選択することにより、第一・第二エンジン発電機3・4は液体燃料によらずにガス燃料にて運転して発電できる。従って、電主運転モードに加えてガス主運転モードを使用することにより、第一・第二エンジン発電機3・4の液体燃料の使用量を少なくでき、液体燃料の価格高騰に起因する、ガス化発電システム100のランニングコストの増加を抑制できる。
さらに、ガス化炉1は、ガス化炉コントローラー10によって制御され、ガス化炉コントローラー10には、ガス化炉1の生成ガスの流量を検出するガス流量計15が接続され、ガス化炉コントローラー10は、ガス化炉1の生成ガスの流量に係り各々異なる値の閾値F2x、F2yを記憶し、ガス化炉コントローラー10とエンジン発電機コントローラー11とは、通信手段によって情報を共有化できるように構成され、エンジン発電機コントローラー11は、ガス流量計15によって検出された生成ガスの流量F2が各閾値F2x、F2y以上になる毎に、第一・第二エンジン発電機3・4を一台ずつ運転停止又は液体燃料運転からガス燃料運転に順次切り替えるものである。
このような構成により、生成ガスの流量F2に応じて第一・第二エンジン発電機3・4を一台ずつ運転停止又は液体燃料運転から液体燃料運転に順次切り替えることができるため、ガス化発電システム100の制御がきめ細かくなり、ガス化発電システム100のランニングコストの増加を更に抑制できる。
そして、ガス化炉1で原料をガス化してガスを生成し、第一・第二エンジン発電機3・4で生成ガスを燃焼して発電し、第一・第二エンジン発電機3・4で発電した電力を負荷設備9に供給する、ガス化発電システム100において、第一・第二エンジン発電機3・4は、液体燃料又はガス燃料で運転し、エンジン発電機コントローラー11によって制御され、エンジン発電機コントローラー11には、負荷設備9の負荷電力を検出する受電電力計17、第一出力電力計18、及び第二出力電力計19が接続され、エンジン発電機コントローラー11は、負荷設備9の負荷電力Wtに係る閾値Wtc、Wtdを記憶し、第一・第二エンジン発電機3・4のいずれもが運転停止中の場合、負荷電力Wtが閾値Wtc(又はWtd)以上になると、運転停止中の第一エンジン発電機3(又は第二エンジン発電機4)を液体燃料運転に切り替えるものである。
このような構成により、負荷設備9の負荷電力Wtが閾値Wtc、Wtd以上になると、運転停止中の第一・第二エンジン発電機3・4を液体燃料運転に切り替えることにより、ガス化炉1の生成ガス量が少ない場合でも、自家発電電力を増加させて、負荷設備9が使用する商用電力が契約受電電力を超過する事態を回避できる。
また、エンジン発電機コントローラー11は、負荷設備9の負荷電力Wtに係り各々異なる値の閾値Wtc、Wtdを記憶し、負荷電力Wtが各閾値Wtc、Wtd以上になる毎に、第一・第二エンジン発電機3・4を一台ずつ運転停止から液体燃料運転に順次切り替えるものである。
このような構成により、各負荷電力段階に応じて第一・第二エンジン発電機3・4を一台ずつ運転停止から液体燃料運転に順次切り替えることができるため、ガス化発電システム100の制御がきめ細かくなり、負荷設備9が使用する商用電力が契約受電電力を超過する事態をより確実に回避できる。