JP5305618B2 - 画像処理装置および画像処理プログラム - Google Patents

画像処理装置および画像処理プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP5305618B2
JP5305618B2 JP2007158572A JP2007158572A JP5305618B2 JP 5305618 B2 JP5305618 B2 JP 5305618B2 JP 2007158572 A JP2007158572 A JP 2007158572A JP 2007158572 A JP2007158572 A JP 2007158572A JP 5305618 B2 JP5305618 B2 JP 5305618B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dye
stained
sample point
specimen
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007158572A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008309685A (ja
Inventor
洋子 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP2007158572A priority Critical patent/JP5305618B2/ja
Publication of JP2008309685A publication Critical patent/JP2008309685A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5305618B2 publication Critical patent/JP5305618B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Description

本発明は、色素によって染色された標本を撮像した染色標本画像を処理する画像処理装置および画像処理プログラムに関するものである。
生体組織標本、特に病理標本では、臓器摘出によって得たブロック標本や針生検によって得た標本を厚さ数ミクロン程度に薄切した後、様々な所見を得る為に顕微鏡を用いて拡大観察することが広く行われている。中でも光学顕微鏡を用いた透過観察は、機材が比較的安価で取り扱いが容易である上、歴史的に古くから行われてきたこともあって、最も普及している観察方法の一つである。この場合、薄切された生体標本は光を殆ど吸収及び散乱せず無色透明に近い為、観察に先立って色素による染色を施すのが一般的である。
染色手法としては種々のものが提案されており、その総数は100種類以上にも達するが、特に病理標本に関しては、青紫色のヘマトキシリンと赤色のエオジンとの2つの色素を用いるヘマトキシリン−エオジン染色(以下、H&E染色と呼ぶ。)が標準的に用いられている。
ヘマトキシリンは植物から採取された天然の物質であり、それ自身には染色性は無い。しかし、その酸化物であるヘマチンは好塩基性の色素であり、負に帯電した物質と結合する。細胞核に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)は、構成要素として含むリン酸基によって負に帯電している為、ヘマチンと結合して青紫色に染色される。尚、前述の通り、染色性を有するのはヘマトキシリンでは無く、その酸化物であるヘマチンであるが、色素の名称としてはヘマトキシリンを用いるのが一般的である為、以下それに従う。
エオジンは好酸性の色素であり、正に帯電した物質と結合する。アミノ酸やタンパク質が正負どちらに帯電するかはpH環境に影響を受け、酸性下では正に帯電する傾向が強くなる。その為、エオジン溶液には酢酸を加えて用いることがある。細胞質に含まれるタンパク質は、エオジンと結合して赤から薄赤に染色される。
H&E染色後の標本では細胞核、骨組織等が青紫色に、細胞質、結合織、赤血球等が赤色に染色され、容易に視認できるようになる。その結果、観察者は、細胞核等の組織を構成する要素の大きさや位置関係等を把握することができ、標本の状態を形態学的に判断することが可能となる。
生体組織標本の染色は、元々個体差を有する生体組織に対し、化学反応を用いて色素を固定する作業である為、常に均一な結果を得ることが難しい。具体的には、同一濃度の染色液に同一時間標本を反応させた場合でも、固定される色素の量が同程度であるとは限らない。標本によっては比較的多くの色素が固定される場合や、比較的少ない色素しか固定されない場合がある。前者では通常より濃く染色された標本となり、後者は薄く染色された標本となる。このような標本間での染色のばらつきを抑える為、施設によっては専門の技能を有した染色技師を配置している。しかし、染色技師の職人的な調整作業によって同一施設内での染色ばらつきはある程度軽減できるが、異なる施設間での染色ばらつきは依然として生じたままである。
染色ばらつきは、2つの点で問題がある。1つは、染色された標本(以下、染色標本と呼ぶ。)を観察者が目視観察する場合、染色標本の染色状態が不揃いであることが観察者のストレスに繋がる可能性がある。重度の染色ばらつきが生じている場合、決定的な所見が見落とされる可能性がある。2つ目は、染色標本をカメラで撮像して画像処理する場合、染色ばらつきが画像処理精度に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、ある病変が特定の色を呈することが判っていたとしても、染色標本を撮像した画像(以下、染色標本画像と呼ぶ。)から自動的にその病変に対応する画像領域を抽出することが難しくなる。病変の特性による色変化を染色ばらつきが撹乱してしまうからである。
このような染色ばらつきの問題点を解決するため、画像処理によって染色状態を定量化するとともに、染色標本ごとに染色状態を標準化しようとする試みがなされている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載された画像処理方法では、染色標本を撮像したマルチバンド画像から、染色標本内の各標本点に固定された色素量を物理モデルに基づいて推定する。そして、この推定した推定色素量を適宜増減させて補正するとともに、この補正した補正色素量をもとに画像データを生成することで、染色状態を補正した染色標本画像(以下、補正染色標本画像と呼ぶ。)を取得している。これによると、推定色素量の補正を適切に行うことで、濃く染色された染色標本あるいは薄く染色された染色標本の染色標本画像をもとに、適切に染色された染色標本と同等の色を呈する補正染色標本画像を得ることができる。
特開平7−120324号公報 特開2003−65948号公報 "Color Correction of Pathological Images Based on Dye Amount Quantification"、OPTICAL REVIEW、2005、Vol.12、No.4、p.293-300
しかしながら、非特許文献1に記載の画像処理方法では、推定色素量を増減させることによって色素量の推定誤差が同時に拡大されるため、実際には色素が固定されていない標本点における補正色素量が、色素が固定された標本点における推定色素量と同等の値を示す場合が生じるという問題があった。また、これにともなって補正染色標本画像上にアーチファクト(artifact)が生じるなど、染色標本の染色特性を正確に再現した補正染色標本画像を得ることができないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、染色標本の染色特性を損なうことなく推定色素量を補正することができる画像処理装置および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明にかかる画像処理装置は、色素によって染色された標本を撮像した染色標本画像を処理する画像処理装置において、前記染色標本画像の画像データをもとに前記標本中の複数の標本点における分光特性を推定する分光特性推定手段と、前記分光特性推定手段が推定した分光特性をもとに複数の前記標本点における色素量を推定する色素量推定手段と、前記標本内の特定部位に対して前記色素が有する染色特性に基づき、複数の前記標本点を、前記色素量推定手段が推定した推定色素量が少ない希薄標本点と該希薄標本点以外の染色標本点とに識別する標本点識別手段と、前記染色標本点の前記推定色素量を前記希薄標本点の前記推定色素量と区別して補正する色素量補正手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる画像処理プログラムは、色素によって染色された標本を撮像した染色標本画像を処理する画像処理装置に、前記染色標本画像の画像データをもとに前記標本中の複数の標本点における分光特性を推定する分光特性推定手順と、前記分光特性推定手順によって推定された分光特性をもとに複数の前記標本点における色素量を推定する色素量推定手順と、前記標本内の特定部位に対して前記色素が有する染色特性に基づき、複数の前記標本点を、前記色素量推定手順によって推定された推定色素量が少ない希薄標本点と該希薄標本点以外の染色標本点とに識別する標本点識別手順と、前記染色標本点の前記推定色素量を前記希薄標本点の前記推定色素量と区別して補正する色素量補正手順と、を実行させることを特徴とする。
本発明にかかる画像処理装置および画像処理プログラムによれば、染色標本の染色特性を損なうことなく推定色素量を補正することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる画像処理装置および画像処理プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一符号を付して示している。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかる画像処理装置1の要部構成を示すブロック図である。この図に示すように、画像処理装置1は、色素によって染色された染色標本を撮像した染色標本画像を取得する染色標本画像取得部2と、各種情報の入力、表示および記憶をそれぞれ行う入力部3、表示部4および記憶部5と、染色標本画像取得部2が取得した染色標本画像に対して各種画像処理を行う画像処理部6と、これらの各部に電気的に接続され、その接続された各部の処理および動作を制御する制御部7とを備える。
染色標本画像取得部2は、例えば図2に示すように、複数の色素によって染色された染色標本10が載置されたステージ11と、ステージ11を介して染色標本10を透過照明する光源12と、染色標本10からの光を集光して染色標本10の観察像を結像させる結像光学系13と、観察像を結像する光の波長帯域を所定範囲に制限するバンドパスフィルタ14と、観察像を撮像して染色標本画像を生成するカメラ16とを備える。
カメラ16は、CCD等を用いたモノクロの撮像素子上に、図3に示すようなモザイク状のRGBフィルタを配置して構成されており、R,G,Bの各フィルタ領域において、図4に示すような分光感度特性を有している。カメラ16は、各画素においてR,G,Bいずれかの成分しか撮像することができないが、近傍の画素値を利用して各々不足するR,G,B成分を補間することができる。なお、カメラ16は、RGBフィルタを用いた構成に限らず、例えば3CCDタイプのカメラを用いることができる。その場合、各画素において補間を行うことなくR,G,B成分をすべて取得することができる。
バンドパスフィルタ14は、例えば図5−1および図5−2に示すような異なる分光透過率特性を有したバンドパスフィルタ14a,14bを含み、それぞれ回転式のターレット15に保持されている。これによって、バンドパスフィルタ14a,14bは、結像光学系13とカメラ16との間に切換自在に配置可能とされている。染色標本画像取得部2は、観察像を結像する光の波長帯域をバンドパスフィルタ14a,14bによって順次変化させながら撮像を行うことで、染色標本10の染色標本画像として6バンドのマルチバンド画像(6バンド画像)を取得することができる。
なお、ここでは染色標本画像取得部2は、2枚のバンドパスフィルタ14a,14bを用いて6バンドの染色標本画像を取得するものとしたが、2枚に限定されず2枚以上用いてもよい。それによって、より多くのバンド数のマルチバンド画像を染色標本画像として取得することができる。例えば、16枚のバンドパスフィルタをフィルタホイールで回転させて切り換えながら面順次方式でマルチバンド画像を撮像する技術が特許文献1に開示されている。これによると、16バンドの染色標本画像を得ることができる。
また、バンドパスフィルタ14は、結像光学系13とカメラ16との間に配置されるものとして説明したが、光源12からカメラ16に至る光路中のいずれの位置に配置させてもよい。さらに、観察像を結像する光の波長帯域を制限するものとして、バンドパスフィルタ14の代わりに透過帯域可変型のフィルタを用いてもよく、例えばバンドパスフィルタ14およびターレット15に替えて液晶チューナブルフィルタを用いることができる。
なお、本実施の形態では、複数の色素によって染色された染色標本10として、ヘマトキシリンとエオジンとの2つの色素によって染色された病理標本を用いるものとし、画像処理装置1は、その病理標本におけるヘマトキシリンと、細胞質を染色したエオジンと、赤血球を染色したエオジンとの3種類の色素の色素量を推定および補正するものとして説明する。また、以下の説明では、これら3種類の色素をそれぞれ色素H、色素Eおよび色素Rと略称する。ただし、画像処理装置1によって推定および補正可能な色素は、色素H、色素Eおよび色素Rに限定されるものではなく、画像処理装置1によって処理可能な染色標本は、病理標本に限定されるものではない。
入力部3は、キーボード、マウス等の各種入力デバイスを備え、制御部7に対して染色標本画像の処理に用いる処理パラメータ等、各種情報の入力を行う。特に、入力部3は、後述する推定色素量の補正に用いるパラメータ値または推定色素量の補正目標値を示す補正情報の入力を行う。表示部4は、FPD(Flat Panel Display)等の各種表示器を用いて構成され、染色標本画像、補正染色標本画像、色素量の推定結果および補正結果等、各種情報の表示をする。
記憶部5は、ハードディスク、ROMおよびRAM等を用いて構成され、制御部7が実行させる処理プログラム、染色標本画像取得部2が取得した染色標本画像、画像処理部6が用いる処理パラメータ、画像処理部6の処理結果としての補正染色標本画像等、各種情報を記憶する。特に、記憶部5は、染色標本の染色に用いた各色素に固有の分光特性である基準分光特性をあらかじめ記憶する基準分光特性記憶部5aを備える。本実施の形態では基準分光特性記憶部5aは、染色標本10における色素H、色素Eおよび色素Rの各基準分光特性をあらかじめ記憶する。
画像処理部6は、例えばCPUによって実現され、制御部7が実行させる所定の画像処理プログラムに基づき、記憶部5に記憶された染色標本画像に対して種々の画像処理を行う。特に、画像処理部6は、染色標本画像の画像データをもとに染色標本10中の複数の標本点における分光特性を推定する分光特性推定部6aと、分光特性推定部6aが推定した推定分光特性をもとに複数の標本点における色素量を推定する色素量推定部6bと、複数の標本点を、色素量推定部6bが推定した推定色素量が少ない希薄標本点と、この希薄標本点以外の染色標本点とに識別する標本点識別部6cと、を備える。
また、画像処理部6は、染色標本点の推定色素量を希薄標本点の推定色素量と区別して補正する色素量補正部6dと、複数の標本点ごとに色素量補正部6dが補正した補正色素量をもとに分光特性を算出する分光特性算出部6eと、分光特性算出部6eが算出した補正分光特性をもとに補正染色標本画像の画像データを算出する画像データ算出部6fと、を備える。
制御部7は、CPUによって実現され、記憶部5に記憶された所定の処理プログラムを実行させることで、画像処理装置1が備える各部の処理および動作を制御する。例えば、制御部7は、記憶部5に記憶された所定の画像処理プログラムを実行させることで、記憶部5に記憶された染色標本画像を画像処理部6に処理させるとともに、画像処理部6による処理結果を表示部4に表示させる制御をする。
つづいて、画像処理装置1が行う画像処理手順として、染色標本10における色素H、色素Eおよび色素Rの各色素量を推定および補正する処理手順について説明する。図6は、その処理手順の概要を模式的に示す図である。この図に示すように、画像処理装置1は、まず染色標本画像としてのマルチバンド画像を取得し、その画像データをもとに染色標本10中の各標本点における分光特性を推定するスペクトル推定を行う。
つぎに、画像処理装置1は、推定分光特性と、色素H、色素Eおよび色素Rの各基準分光特性とをもとに、その色素ごとに染色標本10中の各標本点における各色素量(H色素量、E色素量およびR色素量)を推定するとともに、推定した各色素量の補正を行う。その際、画像処理装置1は、色素ごとに推定色素量をもとに、染色標本10中の各標本点を希薄標本点と染色標本点とに識別し、染色標本点における推定色素量を希薄標本点における推定色素量と区別して補正する。
その後、画像処理装置1は、標本点ごとに補正色素量をもとに分光特性を算出するスペクトル合成を行い、この算出した補正分光特性をもとに補正染色標本画像を生成して表示する。その際、画像処理装置1は、補正染色標本画像としてRGB画像を合成して表示部4に表示させる。なお、画像処理装置1は、一連の処理過程の中で、染色標本画像、補正染色標本画像、推定分光特性、補正分光特性、推定色素量および補正色素量等を記憶部5に適宜記憶させる。
図7は、図6に対応する処理手順を示すフローチャートであって、制御部7が記憶部5に記憶された所定の画像処理プログラムを実行させることで行われる画像処理手順を示すフローチャートである。この図に示すように、まず染色標本画像取得部2は、染色標本10の染色標本画像としてのマルチバンド画像を取得する染色標本画像取得処理を行い(ステップS101)、分光特性推定部6aは、染色標本画像の画像データをもとに染色標本10中の各標本点における分光特性を推定する分光特性推定処理を行う(ステップS102)。
つぎに、色素量推定部6bは、ステップS102によって推定された推定分光特性と、基準分光特性記憶部5aに記憶された色素H、色素Eおよび色素Rの各基準分光特性とをもとに、この色素ごとに染色標本10中の各標本点における各色素量を推定する色素量推定処理を行い(ステップS103)、標本点識別部6cは、ステップS103によって推定された推定色素量をもとに、色素ごとに染色標本10中の各標本点を希薄標本点と染色標本点とに識別する標本点識別処理を行う(ステップS104)。そして、色素量補正部6dは、染色標本点の推定色素量を希薄標本点の推定色素量と区別して補正する色素量補正処理を行う(ステップS105)。
その後、分光特性算出部6eは、標本点ごとに補正色素量をもとに分光特性を算出する分光特性算出処理を行い(ステップS106)、画像データ算出部6fは、ステップS106によって算出された補正分光特性をもとに、補正染色標本画像の画像データを算出する画像データ算出処理を行う(ステップS107)。そして、制御部7は、ステップS107によって算出された画像データをもとに補正染色標本画像を表示部4に表示させる画像表示処理を行い(ステップS108)、一連の画像処理を終了させる。なお、ステップS108では、制御部7は、補正染色標本画像に限らず、染色標本画像、推定分光特性、補正分光特性、推定色素量および補正色素量等を表示部4に適宜表示させる。
ステップS101の染色標本画像取得処理では、染色標本画像取得部2は、バンドパスフィルタ14a,14bを順次切り換えながら染色標本10を撮像することで、例えば図8に示すような染色標本画像としてのマルチバンド画像を取得する。ただし、図8ではモノクロ表示している。また、染色標本画像取得部2は、染色標本画像を取得した後、染色標本10をステージ11上から取り除いた状態で、背景光のマルチバンド画像として光源12が発した照明光のみのマルチバンド画像を、染色標本画像の場合と同様の撮像手順によって取得する。制御部7は、このステップS101によって取得された染色標本画像と背景光のマルチバンド画像とを記憶部5に記憶させる。
つぎに、ステップS102の分光特性推定処理では、分光特性推定部6aは、推定手法の一つであるウィナー(Wiener)推定を用いて標本点ごとの分光特性を推定する。ここで、標本点とは、染色標本画像上の各画素もしくは各画素群に対応する染色標本10上の点である。
通常、色素は染色標本10内に3次元的に分布しているが、染色標本画像では染色標本10を3次元像として捉えることはできず、染色標本10内をその厚さ方向に透過した照明光をカメラ16の撮像素子上に結像させた2次元像として捉えている。このため、染色標本画像では、染色標本10を平面的に捉えたその平面内での各点を標本点として観察している。この場合、各標本点における色素量とは、その標本点において染色標本10の厚さ方向に分布した色素の全色素量(積分量)に相当する。
なお、染色標本10の標本点と、それに対応する染色標本画像上の観察点(画素もしくは画素群)との各位置(座標)は、染色標本画像取得部2における各種の装置パラメータ等に基づく換算式によってあらかじめ対応付けられており、画像処理部6は、その換算式を用いて標本点と観察点との座標を適宜変換することができる。
一般に、染色標本画像上の観察点位置xおよびバンドbにおける画素値g(x,b)と、その観察点位置xに対応する標本点における分光特性としての分光透過率t(x,λ)との間には、波長λと、染色標本画像の撮像に用いたバンドパスフィルタのバンドbに対応する分光透過率f(b,λ)と、染色標本画像の撮像に用いたカメラの分光感度特性s(λ)と、染色標本画像の撮像に用いた照明光の分光放射特性e(λ)と、バンドbにおける撮像ノイズn(b)とを用いた次式(1)によって示される関係が成り立つ。なお、バンドbは、染色標本画像としてのマルチバンド画像における各バンドを識別する通し番号である。
Figure 0005305618
式(1)を波長について離散化すると、画素値g(x,b)、分光透過率t(x,λ)、分光透過率f(b,λ)、分光感度特性s(λ)、分光放射特性e(λ)および撮像ノイズn(b)のそれぞれに対応する行列G(x),T(x),F,S,E,Nを用いて次式(2)によって示される。
G(x)=FSET(x)+N ・・・(2)
ここで、波長のサンプル点数Dとバンド数Bとをもとに、行列G(x)はB行1列、行列T(x)はD行1列、行列FはB行D列、行列SはD行D列、行列EはD行D列、行列NはB行1列とされている。また、行列Sは、分光感度特性s(λ)を対角要素とする対角行列であり、行列Eは、分光放射特性e(λ)を対角要素とする対角行列である。なお、式(2)では、行列を用いて複数のバンドに関する式を集約しているため、変数としてバンドbが陽に記述されていない。また、波長λに関する積分は、行列の積に置き換えられている。
ウィナー推定によると、観察点位置xに対応する標本点における分光透過率の推定値を示す行列T^(x)は、式(2)をもとに、行列RSS,RNNを用いて次式(3)によって算出される。ここで、行列RSSは、D行D列の行列であり、対象とする標本の分光透過率の自己相関行列である。また、行列RNNは、B行B列の行列であり、染色標本画像の撮像に用いたカメラのノイズの自己相関行列である。なお、記号()は転置行列を示し、記号()−1は逆行列を示している。
T^(x)=RSS(FSE)((FSE)RSS(FSE)+RNN−1G(x) ・・・(3)
ステップS102の分光特性推定処理では、分光特性推定部6aは、式(3)を用いて染色標本10中の各標本点における推定分光透過率を算出する。算出された各推定分光透過率は、記憶部5に記憶される。なお、行列F,S,Eは、染色標本画像取得部2におけるバンドパスフィルタ14、カメラ16および光源12が選定された後、分光計等を用いてあらかじめ測定され、記憶部5に記憶される。ここでは、結像光学系13の分光透過率は「1.0」と近似されているが、「1.0」からの乖離が許容できない場合に、この分光透過率もあらかじめ測定し、行列Eに乗じておくとよい。
また、行列RSSは、H&E染色された典型的な病理標本を用意し、複数の標本点における分光透過率を分光計で測定することであらかじめ求められ、記憶部5に記憶される。この分光透過率の測定では、統計的な精度を高めるために、病理標本内で偏りなく100点程度の測定を行うことが好ましい。また、行列RNNは、ステップS101によって撮像された背景光のマルチバンド画像の各バンドについて画素値の共分散行列を生成することであらかじめ求められ、記憶部5に記憶される。
つぎに、ステップS103の色素量推定処理について説明する。一般に、光を透過する物質では、波長λごとに入射光の強度I0(λ)と射出光の強度I(λ)との間で、物質に固有の係数k(λ)と物質の厚さdとを用い、次式(4)によって示されるLambert-Beer則が成り立つことが知られている。
Figure 0005305618
H&E染色された染色標本10では、式(4)をもとに、色素H、色素Eおよび色素Rごとの係数kH(λ),kE(λ),kR(λ)と、観察点位置xに対応する標本点位置Xの厚さdH(X),dE(X),dR(X)とを用いて次式(5)が成り立つ。
Figure 0005305618
式(5)の左辺は、分光透過率であり、係数kH(λ),kE(λ),kR(λ)は、それぞれ色素H、色素Eおよび色素Rに固有の基準分光特性である。係数kH(λ),kE(λ),kR(λ)は、各々対応する単一の色素で染色した基準染色標本を作成し、その分光透過率を分光計によって測定することであらかじめ求められ、基準分光特性記憶部5aに記憶される。
また、厚さdH(X),dE(X),dR(X)は、それぞれ色素H、色素Eおよび色素Rに対応した仮想的な厚さであって、染色標本10が色素H、色素Eおよび色素Rごとに単一の色素で染色されていると仮定した場合と比較して、相対的にどの程度の量の色素が存在しているか、という相対的な色素量を表す指標となる。すなわち、厚さdH(X),dE(X),dR(X)は、それぞれ染色標本10中の標本点位置Xにおける色素H、色素Eおよび色素Rの色素量を表していると言える。
式(5)の両辺の対数を取ると、次式(6)となる。
Figure 0005305618
式(6)の左辺における分光透過率I(λ)/I0(λ)として、式(3)を用いて算出される推定分光特性t^(X,λ)を代入すると、次式(7)を得る。ここで、推定分光特性t^(X,λ)は、式(3)によって算出される行列T^(x)の波長λに対応する要素t^(x,λ)を標本点位置Xについて換算することで求められる。
Figure 0005305618
式(7)において未知変数は厚さdH(X),dE(X),dR(X)の3つであるから、少なくとも3つの異なる波長λに対して式(7)を連立させることで、これを解くことができる。あるいは、より算出精度を高めるために、4つ以上の異なる波長λに対して式(7)を連立させて重回帰分析を行うこともできる。
3つの波長λ1,λ2,λ3について式(7)を連立させた場合、次式(8)を得る。これより、厚さdH(X),dE(X),dR(X)は、次式(9)によって算出される。
Figure 0005305618

Figure 0005305618
ステップS103の色素量推定処理では、色素量推定部6bは、式(9)を用いて、染色標本10中の各標本点位置Xにおける推定色素量として厚さdH(X),dE(X),dR(X)を算出する。算出された各推定色素量は、記憶部5に記憶される。なお、以下の説明では、厚さdH(X),dE(X),dR(X)をそれぞれ推定色素量dH(X),dE(X),dR(X)と呼称する。
つぎに、ステップS104の標本点識別処理について説明する。図9は、その標本点識別処理手順を示すフローチャートである。この図に示すように、標本点識別部6cは、まずステップS103で算出された各標本点における推定色素量dH(X),dE(X),dR(X)を、色素H、色素Eおよび色素Rごとに、それぞれ最大推定色素量dH_MAX,dE_MAX,dR_MAXによって正規化し、その正規化した推定色素量としての色素量比rateH,rateE,rateRを算出する(ステップS111)。このステップS111では、標本点識別部6cは、次式(10−1)〜(10−3)によって色素量比rateH,rateE,rateRを算出する。
rateH=dH(X)/dH_MAX ・・・(10−1)
rateE=dE(X)/dE_MAX ・・・(10−2)
rateR=dR(X)/dR_MAX ・・・(10−3)
そして、標本点識別部6cは、色素量比rateH,rateE,rateRが各々対応する色素ごとの所定閾値thH,thE,thRより小さいか否かを判別し、所定閾値thH,thE,thRより小さいと判別した標本点を希薄標本点に識別するとともに、希薄標本点以外の標本点を染色標本点に識別する処理を順次行う。
具体的には、標本点識別部6cは、まず色素Eについて色素量比rateEが所定閾値thEより小さいか否かを判別し(ステップS112)、所定閾値thEより小さい場合(ステップS112:Yes)、処理対象の標本点に希薄標本点であることを示すラベル「RareE」を付与し(ステップS113)、所定閾値thEより小さくない場合には(ステップS112:No)、処理対象の標本点に染色標本点であることを示すラベル「DyeingE」を付与する(ステップS114)。その後、標本点識別部6cは、色素Hおよび色素Rについての識別処理であるH処理およびR処理を順次行い(ステップS115,S116)、各色素について処理対象の標本点を希薄標本点または染色標本点に識別する。そして、標本点識別部6cは、この一連の標本点識別処理を各標本点に対して順次繰り返した後、ステップS104へリターンする。
図10は、ステップS115のH処理の処理手順を示すフローチャートである。この図に示すように、H処理では、標本点識別部6cは、まず色素量比rateHが所定閾値thHより小さいか否かを判別し(ステップS121)、所定閾値thHより小さい場合(ステップS121:Yes)、処理対象の標本点に希薄標本点であることを示すラベル「RareH」を付与する(ステップS122)。所定閾値thHより小さくない場合には(ステップS121:No)、標本点識別部6cは、処理対象の標本点に染色標本点であることを示すラベル「DyeingH」を付与するとともに(ステップS123)、ステップS113によって付与したラベル「RareE」を「DyeingE」に更新するラベル更新処理を行う(ステップS124)。そして、標本点識別部6cは、ステップS122またはS124の後、H処理を終了させてステップS115へリターンする。
図11は、ステップS116のR処理の処理手順を示すフローチャートである。この図に示すように、R処理では、標本点識別部6cは、まず色素量比rateRが所定閾値thRより小さいか否かを判別し(ステップS131)、所定閾値thRより小さい場合(ステップS131:Yes)、処理対象の標本点に希薄標本点であることを示すラベル「RareR」を付与する(ステップS132)。所定閾値thRより小さくない場合には(ステップS131:No)、標本点識別部6cは、処理対象の標本点に染色標本点であることを示すラベル「DyeingR」を付与するとともに(ステップS133)、ステップS114によって付与したラベル「DyeingE」を「RareE」に更新するラベル更新処理を行う(ステップS134)。そして、標本点識別部6cは、ステップS132またはS134の後、R処理を終了させてステップS116へリターンする。
ステップS124,S134のラベル更新処理では、標本点識別部6cは、色素H、色素Eおよび色素Rが染色標本10内の特定部位に対して所定の染色特性を有することに基づいてラベルの更新を行っている。具体的には、標本点識別部6cは、ステップS124では染色標本10中の細胞核の染色特性に基づき、ステップS134では赤血球の染色特性に基づいて、それぞれラベルの更新を行っている。
すなわち、H&E染色された染色標本10では、細胞核は青紫色に染められていることから、色素Hの色素量比rateHが所定閾値thHより大きい標本点は細胞核であると判断することができる。また、前述のように、細胞核はヘマトキシリンとエオジンとの両方に反応している。これより、ステップS124では、標本点識別部6cは、ステップS121によって細胞核内にあると判別した標本点について、先にステップS113によって色素Eに対して希薄標本点と識別したものを染色標本点に識別しなおしている。
一方、赤血球については、前述のように、色素Rは赤血球を染色したエオジンを示し、細胞質を染色するエオジン(色素E)とは区別している。このため、色素Rの色素量比rateRが所定閾値thRより大きい標本点は赤血球であると判断することができる。この場合、赤血球内にあって色素Eに対して染色標本点と識別されるものは、推定色素量における推定誤差が大きいものと考えられる。これより、ステップS134では、標本点識別部6cは、ステップS131によって赤血球内にあると判別した標本点について、先にステップS114によって色素Eに対して染色標本点と識別したものを希薄標本点に識別しなおしている。
このようにラベル更新処理を行うことで、標本点識別部6cは、色素H、色素Eおよび色素Rの細胞核および赤血球に対する所定の染色特性に基づいて、希薄標本点および染色標本点の識別をすることができる。なお、標本点識別処理によって各標本点に付与されたラベル「RareH,RareE,RareR,DyeingH,DyeingEまたはDyeingR」は、記憶部5に記憶される。
つづいて、上述の標本点識別処理に用いる所定閾値thH,thE,thRについて説明する。この所定閾値thH,thE,thRは、例えばつぎのように、各色素量の分布状態に基づいて自動的に決定することができる。染色標本画像としてのマルチバンド画像の画像サイズをIsizeとすると、推定色素量dH(X),dE(X),dR(X)の平均値AveH,AveE,AveRと標準偏差SH,SE,SRとは、それぞれ次式(11−1)〜(11−3)および次式(12−1)〜(12−3)によって求められる。
AveH=ΣdH(X)/Isize ・・・(11−1)
AveE=ΣdE(X)/Isize ・・・(11−2)
AveR=ΣdR(X)/Isize ・・・(11−3)
Figure 0005305618
そして、所定閾値thH,thE,thRは、平均値AveH,AveE,AveRと標準偏差SH,SE,SRとをもとに、所定係数kを用いて次式(13−1)〜(13−3)によって決定することができる。
thH=(AveH+kSH)/dH_MAX ・・・(13−1)
thE=(AveE+kSE)/dE_MAX ・・・(13−2)
thR=(AveR+kSR)/dR_MAX ・・・(13−3)
所定係数kは、k≦1を満足する係数であり、平均値AveH,AveE,AveRと標準偏差SH,SE,SRとの大小関係によってあらかじめ決定される。例えば、標準偏差SH,SE,SRがそれぞれ平均値AveH,AveE,AveRより小さい場合はk=−1.0とする。これによって、平均値AveH,AveE,AveRに対して標準偏差SH,SE,SRより小さい推定色素量を持つ標本点を希薄標本点とすることができる。一方、標準偏差SH,SE,SRがそれぞれ平均値AveH,AveE,AveRより大きい場合は、推定色素量のばらつきが大きく、平均値AveH,AveE,AveRより大きい推定色素量が比較的広い範囲に点在していると考えられるため、k=0.5とする。これによって、平均値AveH,AveE,AveRより大きい推定色素量を閾値とする。
なお、所定閾値thH,thE,thRは、各色素量の分布状態等に基づいて自動的に決定するばかりでなく、画像処理装置1の操作者によって入力部3から入力される閾値情報に基づいて決定することもできる。
つぎに、ステップS105の色素量補正処理について説明する。この色素量補正処理では、色素量補正部6dは、ステップS104によって識別された色素Hおよび色素Eのそれぞれに対する染色標本点の推定色素量と、希薄標本点の推定色素量とを区別して補正する。具体的には、色素量補正部6dは、染色標本点の推定色素量dH(X),dE(X)に対してそれぞれ染色補正係数αH,αEを乗じて補正し、希薄標本点の推定色素量dH(X),dE(X)に対してそれぞれ希薄補正係数βH,βEを乗じて補正する。この補正によって、色素Hおよび色素Eのそれぞれに対する染色標本点は補正色素量αHH(X),αEE(X)を有し、希薄標本点は補正色素量βHH(X),βEE(X)を有することとなる。
ここで、染色補正係数αH,αEと希薄補正係数βH,βEとは、それぞれ初期値は「1」であって、画像処理装置1の操作者によって入力部3から入力される補正係数情報に基づいて適宜変更される。あるいは、入力部3から入力される補正目標値情報に基づいて、染色標本点の補正色素量αHH(X),αEE(X)と、希薄標本点の補正色素量βHH(X),βEE(X)とを直接決定することもできる。この場合、通常、希薄標本点の補正色素量βHH(X),βEE(X)のは、それぞれ染色標本点の補正色素量αHH(X),αEE(X)よりも小さく設定される。
また、希薄補正係数βH,βEは、染色補正係数αH,αEに基づき、所定の関係式を用いて決定することもできる。例えば希薄補正係数βH,βEは、次式(14−1),(14−2)に示すように、それぞれ染色補正係数αH,αEに補正率φH,φEを乗じて決定することができる。この場合、次式(15−1),(15−2)を満足するように補正率φH,φEを決定する。これによって、染色標本点の推定色素量を増加(αH,αE>1.0)または減少(αH,αE<1.0)させて補正する場合、希薄標本点の推定色素量に対する補正量を染色標本点の推定色素量に対する補正量より小さくすることができる。
βH=αHφH ・・・(14−1)
βE=αEφE ・・・(14−2)
φH,φE<1.0 (if αH,αE>1.0) ・・・(15−1)
φH,φE>1.0 (if αH,αE<1.0) ・・・(15−2)
さらに、上述の染色標本点の補正色素量αHH(X),αEE(X)に、それぞれバイアス成分δH,δEを加えることもできる。これによって、染色補正係数αH,αEを乗じるだけの場合に比べて多様な補正効果(強調効果)を得ることができる。なお、バイアス成分δH,δEは、それぞれ初期値は「0」であって、画像処理装置1の操作者によって入力部3から入力されるバイアス成分情報に基づいて適宜変更される。
以上のようにしてステップS105によって補正された各補正色素量は、記憶部5に記憶される。また、補正に用いた染色補正係数αH,αE、希薄補正係数βH,βE、補正率φH,φEおよびバイアス成分δH,δE等の補正パラメータも記憶部5に記憶させることができる。なお、ここでは色素Rの推定色素量dR(X)を補正対象から除外するものとしたが、色素Hおよび色素Eの推定色素量dH(X),dE(X)と同様に補正することもできる。
つぎに、ステップS106の分光特性算出処理について説明する。この分光特性算出処理では、分光特性算出部6eは、各標本点の補正分光特性として、染色標本点の補正分光透過率t*(X,λ)と希薄標本点の補正分光透過率t**(X,λ)とを、それぞれ式(5)に基づく次式(16−1),(16−2)によって算出する。
Figure 0005305618
ここで、上述のように色素量補正処理において色素Rの推定色素量dR(X)を補正対象から除外する場合には、色素Rに対する染色補正係数αRおよび希薄補正係数βRをそれぞれ「1」とした次式(17−1),(17−2)によって、補正分光透過率t*(X,λ),t**(X,λ)を算出する。そして、このようにして算出された各標本点の補正分光透過率t*(X,λ),t**(X,λ)は、記憶部5に記憶される。
Figure 0005305618
つぎに、ステップS107の画像データ算出処理について説明する。この画像データ算出処理では、画像データ算出部6fは、まずステップS106によって算出された補正分光透過率t*(X,λ),t**(X,λ)における標本点位置Xをそれぞれ観察点位置xに換算した補正分光透過率t*(x,λ),t**(x,λ)を求め、この補正分光透過率t*(x,λ),t**(x,λ)を要素とする行列T*(X),T**(X)を算出する。
そして、画像データ算出部6fは、式(2)におけるノイズ成分の行列Nを除外した次式(18−1),(18−2)を用い、補正染色標本画像としてのRGB画像の画像データGRGB(x)を染色標本点および希薄標本点ごとに算出する。これによって、画像データ算出部6fは、染色標本画像と同じ幅と高さを有するとともに、染色標本点に対応する画像領域と希薄標本点に対応する画像領域との少なくとも一方を識別可能に示す補正染色標本画像の画像データを生成する。この補正染色標本画像の画像データは、記憶部5に記憶される。
RGB(x)=FSET*(x) ・・・(18−1)
RGB(x)=FSET**(x) ・・・(18−2)
なお、行列Sは、RGBカメラの分光感度特性を示すものであって、染色標本画像を撮像したときに用いたカメラ16の分光感度特性を用いるのが簡便であるが、他のRGBカメラの分光感度特性を用いることもできる。
つぎに、ステップS108の画像表示処理について説明する。この画像表示処理では、制御部7は、ステップS107によって算出された画像データをもとに、補正染色標本画像を表示部4に表示させる。その際、制御部7は、ステップS104によって標本点ごとに付与されたラベルに基づいて、色素ごとの染色標本点および希薄標本点に各々対応する画像領域を同時あるいは個別に表示させる。
図12は、図8に示した染色標本画像に対応する補正染色標本画像を示す図である。制御部7は、例えばこの図12に(a)として示すように、各色素の染色標本点および希薄標本点に各々対応する画像領域を1つの補正染色標本画像上に表示させることができる。さらに、同図に(b),(c)として示すように、補正染色標本画像中の部分領域に対応する色素量補正前の染色標本画像と色素量補正後の補正染色標本画像とを容易に対比できるように、それぞれ拡大表示することができる。
図12における(b)と(c)との対比、あるいは図8と図12との対比から、染色標本画像における黒い斑点状の細胞核を示す領域が、補正染色標本画像において濃く変化していることがわかる。また、染色標本画像において希薄標本点に対応する白色領域は、補正染色標本画像においても白色のまま変化していないことがわかる。これより、画像処理装置1による色素量補正の結果、染色標本10の染色特性を損なうことなく補正染色標本画像が生成されたことがわかる。
また、制御部7は、例えば図13−1〜図13−3に示すように、色素H、色素Eおよび色素Rごとに、染色標本点と希薄標本点とに各々対応する画像領域を個別の補正染色標本画像として同時もしくは順次表示させることができる。さらに、制御部7は、色素ごとに、染色標本点と希薄標本点とに各々対応する画像領域を同一の補正染色標本画像上に表示させることや、染色標本点および希薄標本点ごとに、色素H、色素Eおよび色素Rに各々対応する画像領域を同一の補正染色標本画像上に表示させることなど、種々の表示形態で補正染色標本画像を表示させることができる。制御部7は、画像処理装置1の操作者によって入力部3から入力される表示形態情報に基づいて、補正染色標本画像の表示形態を適宜変更することができる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる画像処理装置1では、染色標本画像の画像データをもとに染色標本10中の複数の標本点における分光特性を推定する分光特性推定部6aと、分光特性推定部6aが推定した分光特性をもとに複数の標本点における色素量を推定する色素量推定部6bと、複数の標本点を希薄標本点と染色標本点とに識別する標本点識別部6cと、染色標本点の推定色素量を希薄標本点の推定色素量と区別して補正する色素量補正部6dとを備えているため、染色標本10の染色特性を損なうことなく推定色素量を補正することができる。
また、画像処理装置1では、標本点ごとに補正色素量をもとに分光特性を算出する分光特性算出部6eと、分光特性算出部6eが算出した補正分光特性をもとに補正染色標本画像の画像データを算出する画像データ算出部6fとを備えているため、染色標本10の染色特性を損なうことなく、染色標本点と希薄標本点との発色の違いを滑らかに再現した補正染色標本画像を生成することができる。
また、画像処理装置1では、色素量推定部6bは、色素ごとに複数の標本点における色素量を推定し、標本点識別部6cは、色素ごとに複数の標本点を染色標本点と希薄標本点とに識別するとともに、染色標本10内の特定部位に対して所定の染色特性を有する2以上の色素について、1つの色素に対する標本点の識別結果に基づいて他の色素に対する標本点の識別結果を変更しているため、その特定部位に対する所定の染色特性を正確に再現した補正染色標本画像を生成することができる。
例えば、特許文献2に記載の顕微鏡画像処理装置では、染色標本画像から、染色標本に固定された色素量を物理モデルに基づいて推定し、この推定した色素量分布に対して、細胞核内にヘマトキシリンのみ、細胞質内にエオジンのみが含まれる状態を最適な染色状態(標準状態)として、色素量分布を補正しているが、上述のように細胞核はヘマトキシリンばかりでなくエオジンによっても染色されるため、H&E染色された染色標本の染色特性を正確に再現できない場合が生じるという問題があった。
これに対して画像処理装置1では、ステップS115のH処理によって、細胞核に対するヘマトキシリンとエオジンとの染色特性を反映させて染色標本点と希薄標本点との識別を行い、ステップS105の色素量補正処理によって、染色標本点の推定色素量を希薄標本点の推定色素量と区別して補正しているため、細胞核におけるヘマトキシリンとエオジンとの染色特性を正確に再現する補正染色標本画像を生成することができる。
ここまで、本発明を実施する最良の形態を実施の形態として説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。
例えば、上述した実施の形態では、染色標本画像取得部2は、染色標本画像を撮像して取得するものとして説明したが、あらかじめ外部装置によって撮像された染色標本画像を取得する構成とすることもできる。この場合、染色標本画像取得部2は、外部装置等から染色標本画像の画像データを入力可能なデータ通信インターフェースを備えるとよい。
本発明の実施の形態にかかる画像処理装置の要部構成を示すブロック図である。 画像処理装置が備える染色標本画像取得部の要部構成を示す図である。 染色標本画像取得部が備えるカメラのRGBフィルタを示す図である。 染色標本画像取得部が備えるカメラの分光感度特性を示す図である。 染色標本画像取得部が備えるバンドパスフィルタの分光透過率特性を示す図である。 染色標本画像取得部が備えるバンドパスフィルタの分光透過率特性を示す図である。 画像処理装置が行う画像処理手順の概要を示す図である。 画像処理装置が行う画像処理手順を示すフローチャートである。 染色標本画像取得部が取得した染色標本画像を示す図である。 標本点識別処理の処理手順を示すフローチャートである。 標本点識別処理におけるH処理手順を示すフローチャートである。 標本点識別処理におけるR処理手順を示すフローチャートである。 画像処理装置が表示する補正染色標本画像を示す図である。 画像処理装置が表示する色素ごとの補正染色標本画像を示す図である。 画像処理装置が表示する色素ごとの補正染色標本画像を示す図である。 画像処理装置が表示する色素ごとの補正染色標本画像を示す図である。
符号の説明
1 画像処理装置
2 染色標本画像取得部
3 入力部
4 表示部
5 記憶部
5a 基準分光特性記憶部
6 画像処理部
6a 分光特性推定部
6b 色素量推定部
6c 標本点識別部
6d 色素量補正部
6e 分光特性算出部
6f 画像データ算出部
7 制御部
10 染色標本
11 ステージ
12 光源
13 結像光学系
14,14a,14b バンドパスフィルタ
15 ターレット
16 カメラ

Claims (12)

  1. 色素によって染色された標本を撮像した染色標本画像を処理する画像処理装置において、
    前記染色標本画像の画像データをもとに前記標本中の複数の標本点における分光特性を推定する分光特性推定手段と、
    前記分光特性推定手段が推定した分光特性をもとに複数の前記標本点における色素量を推定する色素量推定手段と、
    前記標本内の特定部位に対して前記色素が有する染色特性に基づき、複数の前記標本点を、前記色素量推定手段が推定した推定色素量が少ない希薄標本点と該希薄標本点以外の染色標本点とに識別する標本点識別手段と、
    前記染色標本点の前記推定色素量を前記希薄標本点の前記推定色素量と区別して補正する色素量補正手段と、
    を備えたことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記色素量補正手段は、前記染色標本点の前記推定色素量と前記希薄標本点の前記推定色素量とを個別に補正するとともに、前記希薄標本点の前記推定色素量に対する補正量を前記染色標本点の前記推定色素量に対する補正量より小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記標本点ごとに前記色素量補正手段が補正した補正色素量をもとに、該補正色素量を示す補正染色標本画像の画像データを生成する補正画像生成手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記補正画像生成手段は、
    前記標本点ごとに前記補正色素量をもとに分光特性を算出する分光特性算出手段と、
    前記分光特性算出手段が算出した分光特性をもとに前記補正染色標本画像の画像データを算出する画像データ算出手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記標本点識別手段は、前記推定色素量または正規化した前記推定色素量と所定閾値との大小関係に基づいて前記標本点を識別することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像処理装置。
  6. 前記標本を染色した前記色素は、複数であり、
    前記色素量推定手段は、前記色素ごとに複数の前記標本点における色素量を推定し、
    前記標本点識別手段は、前記色素ごとに前記標本点を識別することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像処理装置。
  7. 前記標本点識別手段は、複数の前記色素のうちの第1色素および第2色素ごとに前記標本点を識別するとともに、前記第2色素に対する前記標本点の識別結果に基づいて前記第1色素に対する前記標本点の識別結果を変更することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 前記染色特性は、前記標本中の細胞核の染色特性及び赤血球の染色特性であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の画像処理装置。
  9. 前記色素量補正手段は、前記希薄標本点の前記推定色素量に対する補正量を前記染色標本点の前記推定色素量に対する補正量に基づいて決定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。
  10. 前記色素量補正手段が前記推定色素量の補正に用いるパラメータ値または前記色素量補正手段による前記推定色素量の補正目標値を示す補正情報の入力を行う入力手段を備え、
    前記色素量補正手段は、前記補正情報をもとに前記推定色素量を補正することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像処理装置。
  11. 前記補正画像生成手段は、前記希薄標本点に対応する画像領域と前記染色標本点に対応する画像領域との少なくとも一方を識別可能に示す前記補正染色標本画像の画像データを生成することを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
  12. 色素によって染色された標本を撮像した染色標本画像を処理する画像処理装置に、
    前記染色標本画像の画像データをもとに前記標本中の複数の標本点における分光特性を推定する分光特性推定手順と、
    前記分光特性推定手順によって推定された分光特性をもとに複数の前記標本点における色素量を推定する色素量推定手順と、
    前記標本内の特定部位に対して前記色素が有する染色特性に基づき、複数の前記標本点を、前記色素量推定手順によって推定された推定色素量が少ない希薄標本点と該希薄標本点以外の染色標本点とに識別する標本点識別手順と、
    前記染色標本点の前記推定色素量を前記希薄標本点の前記推定色素量と区別して補正する色素量補正手順と、
    を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
JP2007158572A 2007-06-15 2007-06-15 画像処理装置および画像処理プログラム Expired - Fee Related JP5305618B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007158572A JP5305618B2 (ja) 2007-06-15 2007-06-15 画像処理装置および画像処理プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007158572A JP5305618B2 (ja) 2007-06-15 2007-06-15 画像処理装置および画像処理プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008309685A JP2008309685A (ja) 2008-12-25
JP5305618B2 true JP5305618B2 (ja) 2013-10-02

Family

ID=40237415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007158572A Expired - Fee Related JP5305618B2 (ja) 2007-06-15 2007-06-15 画像処理装置および画像処理プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5305618B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010169467A (ja) * 2009-01-21 2010-08-05 Olympus Corp 画像処理装置、データセット生成装置、画像処理プログラムおよびデータセット生成プログラム
JP2011095225A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Olympus Corp 画像処理装置、画像処理方法および顕微鏡システム
KR101559798B1 (ko) * 2009-12-22 2015-10-13 엘지전자 주식회사 디지털 병리학의 이미지 표준화 방법
JP5557091B2 (ja) * 2010-03-30 2014-07-23 日本電気株式会社 画像処理装置、画像読取装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
JP5535727B2 (ja) * 2010-04-01 2014-07-02 ソニー株式会社 画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム
JP5451552B2 (ja) 2010-08-09 2014-03-26 オリンパス株式会社 顕微鏡システム、標本観察方法およびプログラム
CN118465292B (zh) * 2024-07-15 2024-09-10 深圳市贝安特医疗技术有限公司 设备染色稳定性周期自查方法及系统

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3228627B2 (ja) * 1993-03-19 2001-11-12 オリンパス光学工業株式会社 内視鏡用画像処理装置
EP0839362A1 (en) * 1995-07-19 1998-05-06 Morphometrix Technologies Inc. Multi-spectral segmentation for image analysis
JP4624513B2 (ja) * 1999-01-19 2011-02-02 オリンパス株式会社 顕微鏡用撮像装置
JP2003065948A (ja) * 2001-08-27 2003-03-05 Telecommunication Advancement Organization Of Japan 顕微鏡画像処理装置、顕微鏡画像処理方法並びに顕微鏡画像処理プログラム
JP2004286666A (ja) * 2003-03-24 2004-10-14 Olympus Corp 病理診断支援装置および病理診断支援プログラム
JP2005331394A (ja) * 2004-05-20 2005-12-02 Olympus Corp 画像処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008309685A (ja) 2008-12-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4740068B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム
JP4071186B2 (ja) 生物標本内の関心対象を識別するための方法及びシステム
JP5305618B2 (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
JP5508792B2 (ja) 画像処理方法、画像処理装置および画像処理プログラム
JP5117274B2 (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
JP5738564B2 (ja) 画像処理システム
JP2010169467A (ja) 画像処理装置、データセット生成装置、画像処理プログラムおよびデータセット生成プログラム
JP5154844B2 (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
JP5178226B2 (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
US9406118B2 (en) Stain image color correcting apparatus, method, and system
JP2011095225A (ja) 画像処理装置、画像処理方法および顕微鏡システム
JP5137481B2 (ja) 画像処理装置、画像処理プログラム、および画像処理方法
JP2010156612A (ja) 画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法およびバーチャル顕微鏡システム
JP4920507B2 (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
JP2008304205A (ja) 分光特性推定装置および分光特性推定プログラム
JP5210571B2 (ja) 画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法
JP5752985B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよびバーチャル顕微鏡システム
JP2009014354A (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
JP2010169592A (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
WO2018131091A1 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
US9122904B2 (en) Method for optimization of quantitative video-microscopy and associated system
JP2009025147A (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム
US8929639B2 (en) Image processing apparatus, image processing method, image processing program, and virtual microscope system
JP2009074937A (ja) 画像処理装置および画像処理プログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121009

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130618

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130625

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5305618

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees