JP5305254B2 - 標的物質の検出方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、生物電気的センサを開示している。このセンサは、アプタマーの一端は電極反応物質で修飾されており、別の一端は電極に固定されている。
特許文献2は、核酸プローブを用いる被検物質の検出方法を開示している。この検出方法は、標識被検物質−核酸リガンド複合体を解離し、標識物質に基づき検出する。
特許文献3は、電極構造を用いた巨大生体高分子の検出方法を開示している。この検出方法では、電極に固定されたアプタマーに、電極反応物質を修飾した相補鎖がハイブリダイズしている。
特許文献4は、核酸および/またはポリペプチドを検出するための方法を開示している。この方法では、標的核酸またはポリペプチドをリガンド複合体で標識する。
非特許文献2は、標的反応性電気化学アプタマースイッチを開示している。このセンサでは、アプタマーの一端は電極反応物質で修飾されており、別の一端は電極に固定されており、前記アプタマーに、相補鎖がハイブリダイズしている。
非特許文献3は、アプタマー電気化学センサを開示している。このセンサでは、電極に固定されたアプタマーに、電極反応物質で修飾された相補鎖がハイブリダイズしている。
非特許文献4は、アプタマーに相補的なDNAオリゴヌクレオチドを用いるアプタマー電気化学センサを開示している。このセンサでは、一端を電極反応物質で修飾し、別の一端を電極に固定した相補鎖に、アプタマーがハイブリダイズしている。
前記プローブが、前記リンカーを介して支持体に固定されており、試料中の標的物質と前記アプタマーとの結合により、前記アプタマー結合体から前記アプタマーを分離させ、前記アプタマーの分離を前記標識物質により検出することにより前記標的物質を検出する検出工程とを含むことを特徴とする。
試料中の標的物質との結合による前記アプタマー結合体からの前記アプタマーの分離を前記標識物質により検出する分離検出手段と、
前記分離の検出に際し、前記プローブを前記リンカーを介して固定する支持体とを含み、前記本発明の標的物質検出方法に使用することを特徴とする。
前記プローブを前記リンカーを介して支持体に固定し、前記プローブに標的物質を供給し、前記プローブに結合している前記アプタマー候補物質を、前記標的物質に結合させることにより、前記プローブから分離する第2工程と、
前記分離したアプタマー候補物質を回収する第3工程とを有することを特徴とする。
標的物質との結合により前記プローブから分離したアプタマー候補物質を回収する回収手段と、
前記プローブを固定する支持体とを含み、前記本発明のアプタマーのスクリーニング方法に使用することを特徴とする。
前記本発明の標的物質の検出方法は、前記プローブ提供工程(以下、「プローブ提供工程(A)」ということがある)および前記検出工程(以下「検出工程(B)」ということがある)を含むことにより、例えば、次のようにして標的物質を検出できる。
前記プローブは、アプタマー結合体、標識物質、および支持体に固定可能なリンカーを含み、前記アプタマー結合体および前記標識物質がそれぞれ前記リンカーに結合し、前記アプタマー結合体が、アプタマーを特異的に結合可能であればよく、このような構成を有する限り、特に制限されない。前記本発明の検出方法において、前記プローブは、前述のとおり、前記検出工程に際して支持体に固定される。前記プローブは、例えば、電極に固定されていてもよい。これによって、前記電極を用いて、例えば、前記プローブに対する前記アプタマーの結合および分離を、前記標識物質と前記電極との電気的反応として検出できる。前記プローブにおいて、前記アプタマー結合体と前記標識物質とは、例えば、それぞれが直接前記リンカーに結合していてもよいし、いずれか一方が前記リンカーに直接結合し、且つ、前記一方が他方に結合していてもよい。前記プローブは、例えば、前記リンカーの少なくとも一端に、電極表面に固定できる官能基を有することが好ましい。図1(a)に、本発明のプローブの一例の構成を示す。同図に示すように、プローブ4は、アプタマー6に特異的に結合するアプタマー結合体1および標識物質2を有し、それぞれが、支持体5に固定可能なリンカー14に結合した構成を有する。標的物質の検出に際し、前記プローブは、例えば、前記プローブ提供工程(A)時に前記支持体に固定されていればよい。前記プローブの分子構造は、特に制限されず、例えば、前記標的物質の大きさ、前記アプタマーのサイズ、前記アプタマーの鎖長等の特性に応じて、適宜設計できる。また、前記プローブは、本発明の効果を損なわない限り、例えば、前記アプタマー結合体、前記標識物質および前記リンカー以外の物質を含んでもよい。前記本発明の検出方法において、前記標識物質として電極反応物質を用い、前記プローブを電極に固定した場合、前記プローブは、例えば、溶液中における拡散や熱運動等による撓みや屈折等の構造変化によって、前記電極表面近傍で運動する。前記運動に伴い、前記プローブに含まれる前記電極反応物質は、前記電極表面と接触したり離れたりする。すなわち、前記プローブの運動度が高いほど、前記電極反応物質と前記電極表面との接触頻度が、高くなる。その結果、前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値は、高くなる。他方、前記プローブの前記運動度が低いほど、前記電極反応物質と前記電極表面との接触頻度が、低くなる。その結果、前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値は、低くなる。よって、このようなプローブの動態を利用して、例えば、前記標的物質の存在により検出シグナルが増幅するシグナル増幅型の検出態様を実現できる。また、高いS/N比を実現できる。
次に、本発明の標的物質検出装置について説明する。本発明の標的物質検出装置は、前述のとおり、アプタマー結合体および前記標識物質がそれぞれ、支持体に固定可能なリンカーに結合したプローブと、試料中の標的物質との結合による前記アプタマー結合体からの前記アプタマーの分離を前記標識物質により検出する分離検出手段と、前記分離の検出に際し、前記プローブを前記リンカーを介して固定する支持体とを含む。図5(a)に、本発明の標的物質検出装置の一例の構成を示す。同図に示すように、前記標的物質検出装置は、アプタマー結合体1と標識物質2とがそれぞれリンカー14に結合したプローブ4と、プローブ4をリンカー14を介して固定するための支持体5と、図示しない分離検出手段とを含む。前記分離検出手段は、特に限定されないが、例えば後述のとおりである。プローブ4は、例えば、標的物質の検出に際して、リンカー14により支持体5に固定されればよい。このような構成により、試料中の標的物質と前記アプタマーとの結合による、前記アプタマー結合体1からの前記アプタマーの分離を、前記分離検出手段により検出できる。本発明の標的物質検出装置では、標的物質の検出に際し、まず、前記アプタマーを、前記プローブの前記アプタマー結合体に結合させる。前記アプタマーの前記アプタマー結合体への結合は、例えば、前記標的物質の検出に際し、前記プローブの前記アプタマー結合体に、前記アプタマーを添加することによって実現できる。また、例えば、事前に前記アプタマーが前記アプタマー結合体に結合した前記プローブを入手してもよい。次いで、例えば、試料を、前記アプタマーを結合した前記アプタマー結合体に添加する。これにより、前記試料中に前記標的物質が含まれる場合は、前記標的物質に、前記アプタマー結合体に結合した前記アプタマーが結合し、前記アプタマーが、前記アプタマー結合体から分離する。本発明の標的物質検出装置では、前記アプタマーの前記アプタマー結合体からの分離を、前記分離検出手段による前記標識物質の検出により検出する。なお、前記本発明の標的物質検出装置は、後述する本発明のアプタマーのスクリーニング方法にも使用できる。
次に、本発明のアプタマーのスクリーニング方法について説明する。前記本発明のスクリーニング方法では、まず、前記第1工程(以下「第1工程(A’)」ということがある)において、前記アプタマー候補物質を前記プローブに供給して、前記アプタマー候補物質を前記プローブに結合させる。次いで、前記第2工程(以下「第2工程(B’)」ということがある)において、前記アプタマー候補物質を供給した前記プローブに対し、前記標的物質を供給する。これにより、前記アプタマー候補物質が、前記標的物質に結合可能なアプタマーである場合は、前記第1工程(A’)において、前記プローブに結合した前記アプタマー候補物質が、前記標的物質と結合し、前記プローブから分離する。次いで、前記第3工程(以下「第3工程(C’)」ということがある)において、前記第2工程(B’)において分離した前記アプタマー候補物質を回収する。すなわち、前記アプタマー候補物質が、前記標的物質のアプタマーでない場合は、前記第2工程(B’)において、前記アプタマー候補物質は、前記プローブに結合し続け、前記プローブから分離しない。ここで、前記本発明のスクリーニング方法では、前記第2工程において、前記プローブを前記リンカーを介して支持体に固定する。したがって、前記第2工程(B’)において前記標的物質との結合により、前記プローブから分離した前記アプタマー候補物質を、前記標的物質と結合せず前記プローブに結合し続ける前記アプタマー候補物質から、容易に回収できる。このようにして、本発明のスクリーニング方法によれば、前記標的物質のアプタマーを効率よく取得できる。また、このようにして回収した前記アプタマーは、前記標的物質に対して高い結合能力を有し、前記標的物質の検出のために非常に適している。また、前記プローブが標識物質を含むため、前記アプタマー候補物質の前記アプタマー結合体との結合および分離を前記標識物質により検出でき、前記アプタマー候補物質の分離状況をモニタリングできる。前記アプタマー候補物質の分離状況のモニタリングについては後述する。
次に、本発明のアプタマースクリーニング装置について説明する。本発明のアプタマースクリーニング装置は、前述のとおり、アプタマー結合体および標識物質がそれぞれ、支持体に固定可能なリンカーに結合したプローブと、標的物質との結合により前記プローブから分離した前記アプタマー候補物質を回収する回収手段と、前記プローブを固定する支持体とを含む。図5(a)に、本発明のアプタマースクリーニング装置の一例の構成を示す。同図に示すように、アプタマースクリーニング装置は、アプタマー候補物質6と特異的に結合するプローブ4と、図示しない回収手段と、支持体5とを含む。前記回収手段は、標的物質との結合により前記アプタマー結合体1から分離した前記アプタマー候補物質6を回収する。本発明のアプタマースクリーニング装置によれば、例えば、次のようにしてアプタマーを回収できる。すなわち、まず、アプタマー候補物質を前記プローブに添加して、前記アプタマー候補物質を前記プローブに結合させる。次いで、前記アプタマー候補物質を添加した前記プローブに対し、前記標的物質を添加する。これにより、前記アプタマー候補物質が、前記標的物質に結合可能なアプタマーである場合は、例えば、前記プローブに結合した前記アプタマー候補物質は、前記標的物質と結合し、前記プローブから分離する。前記アプタマー候補物質が、前記標的物質のアプタマーでない場合は、前記アプタマー候補物質は、例えば、前記プローブに結合し続け、前記プローブから分離しない。ここで、前記プローブは、例えば、前記アプタマー候補物質の分離に際し前記支持体に固定されている。したがって、例えば、前記標的物質との結合により前記プローブから分離した前記アプタマー候補物質を、前記標的物質と結合せず前記プローブに結合し続ける前記アプタマーから、容易に選別でき、前記回収手段を用いて回収できる。このように、本発明のアプタマースクリーニング装置によれば、例えば、前記標的物質のアプタマーを効率よく取得できる。また、このようにして回収した前記アプタマーは、例えば、前記標的物質に対して高い結合能力を有し、前記標的物質の検出のために非常に適している。本発明のアプタマースクリーニング装置によれば、例えば、電極反応物質、官能基等で修飾しなくても標的物質を検出可能なアプタマーを回収できる。また、前記プローブが標識物質を含むため、例えば、前記アプタマー候補物質の前記アプタマー結合体との結合および分離を前記標識物質により検出でき、前記アプタマー候補物質の分離状況をモニタリングできる。前記アプタマー候補物質の分離状況のモニタリングについては後述する。
本実施形態は、本発明のプローブ、標的物質の検出方法および標的物質検出装置の一例を示す。本実施形態の標的物質の検出方法は、図1(a)および図2(a)に示す本実施形態のプローブおよび本実施形態の標的物質検出装置を用いて実施できる。図示のとおり、本実施形態の標的物質検出装置3は、本実施形態のプローブ4、電極5および電気化学測定装置(電子伝達検出手段)13を含む。本実施形態では、前記プローブ4は、アプタマー6に特異的に結合するアプタマー結合体1および電極反応物質2がそれぞれ、支持体である電極5に固定可能なリンカー14に結合した構成を有する。アプタマー結合体1および電極反応物質2は、リンカー14が電極5に固定されることにより、電極5に固定されている。アプタマー6は、その少なくとも一部が、プローブ4のアプタマー結合体1と結合する。本実施形態において、アプタマー6は、例えば、核酸であってもよいし、ペプチドであってもよい。アプタマー結合体1は、例えば、本実施形態における標的物質8の全部または一部と同一または類似のエピトープを有し、前記エピトープが、アプタマー6と特異的に結合する。電極反応物質2は、例えば、酸化還元電位を有する物質、触媒等である。リンカー14は、例えば、親水性高分子および親水性オリゴマーの少なくとも一方を含んでいてよい。また、リンカー14は、例えば、負電荷を有していてもよい。電極5は、対極12とともに電気化学測定装置13に接続されている。電極5は、導電性を有する部材である。本実施形態の標的物質検出装置3では、アプタマー6が、標的物質8に特異的に結合することで、アプタマー結合体1から分離する。ここで、前記標的物質検出時に、プローブ4を、リンカー14により電極5に固定する。そして、電子伝達検出手段13が、電極反応物質2と電極5との間の電子伝達を測定する。これにより、アプタマー6がアプタマー結合体1に結合したアプタマー結合状態と、アプタマー6がアプタマー結合体1から分離したアプタマー分離状態とを、それぞれ検出できる。その結果、前記アプタマー結合状態と前記アプタマー分離状態とにおける前記電子伝達の検出値を比較することで、標的物質8を検出できる。
(A)アプタマー6がアプタマー結合体1に結合しているプローブを提供するプローブ提供工程。
(A−2)電子伝達検出手段13が、電極反応物質2と電極5との間の電子伝達を測定することで、アプタマー6がアプタマー結合体1に結合した結合状態を検出するアプタマー結合状態検出工程。
(B−1)アプタマー6がアプタマー結合体1に結合した状態において、標的物質8をアプタマー6に結合させてアプタマー6をアプタマー結合体1から分離させる分離工程。
(B−2)電子伝達検出手段13が、電極反応物質2と電極5との間の電子伝達を検出することで、アプタマー6がアプタマー結合体1から分離した分離状態を検出するアプタマー分離状態検出工程。
(B−3)前記アプタマー結合状態検出工程(A−2)と前記アプタマー分離状態検出工程(B−2)とにおいてそれぞれ検出した前記電子伝達の検出値を比較して前記標的物質を検出する標的物質検出工程。
本実施形態の検出方法を実施するに当たり、まず、アプタマー6をプローブ4のアプタマー結合体1に結合させる。このプローブ提供工程は、標的物質の検出を行う前であれば、本発明の効果を奏する限り何時行ってもよい。前記プローブ提供工程は、例えば、プローブ4にアプタマー6を添加することにより行うことができる(図1(a)、図2(a))。プローブ4にアプタマー6を添加することにより、プローブ4にアプタマー6が接近すると、アプタマー結合体1が有する前記エピトープに、アプタマー6が結合する(図1(b)、図2(b))。
本実施形態では、アプタマー6とアプタマー結合体1の結合を検出する(図1(c)、図2(c))。これは、例えば、電極反応物質2と電極5の間の電子伝達を検出することで実施できる。この検出原理は、例えば、次のように説明できる。すなわち、アプタマー6がアプタマー結合体1に結合することにより、プローブ4は、前記溶液中の移動度が低下した状態となる。この移動度低下の原因としては、例えば、拡散係数の低下、プローブ4に結合したアプタマー同士の静電相互作用、立体障害等が挙げられる。前記拡散係数は、例えば、アプタマー6がアニオン性高分子等のため、プローブ4の見かけ上の分子量が大きくなることにより、低下する。そのため、プローブ4に含まれる電極反応物質2が、溶液中を移動して電極5と接触する頻度も低下する。したがって、この状態では、電極反応物質2と電極5との間の電子伝達の検出値は、前記プローブ提供工程を行う前よりも小さくなる。これにより、アプタマー6がアプタマー結合体1と結合した結合状態を検出することができる。ただし、この原理はあくまで例示であり、本発明を限定するものではない。電極反応物質2と電極5の間の電子伝達は、電極5を作用極として電子伝達検出装置13により電気化学的測定を行うことにより測定できる。具体的には、電気化学測定を行うためには、電極5と対極12とを電気化学測定装置13に接続すればよい。また、例えば、電位制御を正確に行うために、電極5と対極12に加えて、別途参照電極(図示せず)を電気化学測定装置13に接続して3極式で電気化学測定を行ってもよい。なお、前記アプタマー結合状態検出工程(A−2)は、前記プローブ提供工程(A)と同時に行ってもよいし、前記プローブ提供工程(A)の後で行ってもよい。
前記(1−2)のアプタマー結合状態検出工程に次いで、前記溶液中に試料を添加する。前記試料中に標的物質8が含まれている場合には、前記添加により前記アプタマーを結合したプローブ4に標的物質8が接近し(図1(d))、標的物質8とアプタマー6とが結合する(図1(e))。ここで、標的物質8とアプタマー6の結合は、アプタマー6が、アプタマー結合体1よりも標的物質8に強く結合する場合に起こる。アプタマー6は、標的物質8と結合後、アプタマー結合体1から分離する(図1(f))。これに対し、前記試料中に標的物質8が含まれず、代わりに非標的物質9が含まれている場合(図2(d))、非標的物質9は、アプタマー6と結合しない(図2(e))。このため、アプタマー6は、アプタマー結合体1に結合し続ける(図2(f))。
前記(1−3)の分離工程に次いで、アプタマー6と結合したアプタマー結合体1からの前記アプタマーの分離を検出する(図1(g)、図2(g))。この検出は、前記アプタマー分離後のプローブ4を検出することにより行うことができる。すなわち、前記(1−3)の分離工程で、試料中に標的物質8が含まれていた場合、アプタマー6がアプタマー結合体1から分離すると、プローブ4は、アプタマー6から分離する。したがって、例えば、アプタマー6を結合していないアプタマー非結合プローブを検出できれば、前記試料は、標的物質8を含むと判断できる。また、例えば、前記アプタマー非結合プローブを検出できなければ、前記試料は、標的物質8を含まないと判断できる。前記アプタマー非結合プローブの検出は、例えば、電極反応物質2と電極5の間の電子伝達を検出することで実施できる。
ついで、前記(1−2)のアプタマー結合状態検出工程と前記(1−4)のアプタマー分離状態検出工程においてそれぞれ検出された前記電子伝達の検出値を比較して前記標的物質を検出する。この検出原理は、例えば、次のように説明できる。すなわち、前記(1−3)の分離工程において、前記試料が標的物質8を含む場合、プローブ4がアプタマー6から分離する。これにより、プローブ4の溶液中の移動度の低下が解消するため、電極反応物質2と電極5の表面との接触頻度が回復し、電子伝達の検出値が増加する(図1(g))。他方、試料が標的物質8を含まない場合、電極反応物質2と電極5の表面との接触効率が低下したままとなるため、電子伝達の検出値が回復しない(図2(g))。ただし、この原理はあくまで例示であり、本発明を限定するものではない。なお、電極反応物質2が触媒(例えば、酵素)である場合、前記溶液中に前記触媒に対する反応物質(例えば、前記酵素の基質)を含むことが好ましく、この場合の検出原理は、例えば、次のように説明できる。すなわち、アプタマー6がアプタマー結合体1に結合することにより、プローブ4は、前記溶液中の移動度が低下した状態となる。そのため、プローブ4に含まれる触媒2が、溶液中を移動して電極5と接触する頻度も低下する。前記反応溶液中に前記反応物質(基質)が添加されているため、前記反応物質(基質)との間で電子を授受した触媒2が電極5と接触すると、触媒2と電極5との間で電子伝達が起こる。すなわち、触媒2と電極5との接触頻度が低い状態では、触媒2と電極5との間の電子伝達の検出値は、前記プローブ提供工程を行う前よりも小さい。これにより、アプタマー6がアプタマー結合体1と結合した結合状態を検出することができる。なお、前記溶液中に、電子伝達メディエータを添加してもよい。この場合は、前記反応物質(基質)との間で電子を授受した前記触媒(酵素)が、前記電子伝達メディエータと電子を授受し、この電子伝達メディエータが電極上で電気化学反応した際に、電子伝達が起こる。より詳しくは、前記電極と前記触媒の接触頻度が増加したときに、前記電子伝達メディエータのレドックスサイクリング数が増えて電極反応の頻度が増加するため、電子伝達の検出値の上昇を検知できる。前記レドックスサイクリングによる1分子の電極反応物質の移動度の変化によって、複数回の電極反応が生じる。この結果、例えば、シグナルが増幅され、さらにS/N比を向上できる。また、前記電子伝達メディエータは、例えば、前記電極上に固定されていても良い。この場合は、前記電極と前記触媒との接触頻度が増加したときに、前記電子伝達メディエータと前記触媒との接触頻度が高くなり、レドックスサイクリング数が多くなる。これにより、電子伝達の検出値の上昇を検知できる。ただし、以上の原理もあくまで例示であり、本発明を限定するものではない。本実施形態では、アプタマー6と結合を形成しているプローブ4の増減を検知することで、プローブ4と結合したアプタマー6のアプタマー結合体1からの分離を検出している。しかし、標的物質8の検出は、アプタマー6と結合したアプタマー結合体1からのアプタマー6の分離を検出できる限り、前記検出態様に限定されない。
本実施形態は、本発明のプローブ、標的物質の検出方法および標的物質検出装置の別の例を示す。本実施形態の検出方法は、アプタマーとして、二本鎖核酸部分を有するものを使用し、プローブとして、前記アプタマーの前記二本鎖核酸部分に結合するアプタマー結合体を含むものを使用する以外は、実施形態1と同じである。図3は、後述の溶液中に標的物質8を添加する例である。図4は、標的物質8に代えて非標的物質9を添加する以外は図3と同様である。本実施形態の検出方法は、例えば、両図に示す本実施形態のプローブおよび標的物質検出装置を用いて実施できる。本実施形態では、アプタマー結合体1は、例えば、インターカレータ、核酸結合タンパク質等であり、それ自体が電極反応物質であってもよい。アプタマー6は、核酸の一部がハイブリダイズした二本鎖核酸部分を有する(図3(a)、図4(a))。このようなアプタマーは、例えば、アプタマーである一本鎖核酸6の一部と相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸断片7とをハイブリダイズさせることにより作製できる。また、このようなアプタマー6は、例えば、アプタマーである一本鎖核酸に、自身の配列の相補的な塩基配列同士でハイブリダイズさせて二本鎖核酸部分を形成することによっても作製できる。プローブ4において、アプタマー結合体1は、核酸6の二本鎖部分に特異的に結合し、核酸6の一本鎖部分には結合しない特性を有する。本実施形態の下記工程は、例えば、溶液中で行う。前記溶液の温度、組成、電解質、pH等は、実施形態1と同様に設定できるが、下記(2−1)の工程において、アプタマー6の二本鎖部分の結合が維持でき、かつ、アプタマー結合体1がアプタマー6の前記二本鎖部分に結合できる条件に設定することが好ましい。
本実施形態の検出方法を実施するに当たり、まず、アプタマー6をプローブ4のアプタマー結合体1に結合させる。このプローブ提供工程は、標的物質8の検出を行う前であれば、本発明の効果を奏する限り何時行ってもよい。前記プローブ提供工程は、例えば、プローブ4にアプタマー6を添加することにより実施できる。プローブ4にアプタマー6を添加することにより、プローブ4にアプタマー6が接近すると、二本鎖核酸アプタマー結合体であるアプタマー結合体1とアプタマー6の二本鎖核酸部位とが結合する(図3(b)、図4(b))。これにより、アプタマー6は、アプタマー結合体1を介してプローブ4と結合する。
次いで、アプタマー6とアプタマー結合体1の結合を検出する(図3(c)、図4(c))。この結合は、例えば、電極反応物質2と電極5との間の電子伝達を、電子伝達検出装置13を用いて測定することにより検出できる。なお、このアプタマー結合状態検出工程(A−2)は、前記プローブ提供工程(A)と同時に行ってもよいし、前記プローブ提供工程(A)の後で行ってもよい。
実施形態1と同様に、前記(2−2)のアプタマー結合状態検出工程に次いで、前記溶液に検出対象である試料を添加する。前記試料中に標的物質8が含まれている場合、前記添加により、標的物質8がアプタマー結合体1に結合したアプタマー6に接近すると(図3(d))、標的物質8とアプタマー6とが結合する(図3(e))。ここで、標的物質8とアプタマー6とが結合すると、ブランチマイグレーションが起こり、アプタマー6の二本鎖部分が失われる。このブランチマイグレーションは、標的物質8とアプタマー6との結合が、アプタマー6の二本鎖部分を形成していた核酸同士の結合よりも強い場合に起こる。このようにして、アプタマー6の二本鎖部分が失われると、アプタマー結合体1は、アプタマー6との結合を維持できず、アプタマー6と分離する(図3(f))。これに対し、前記試料中に標的物質8が含まれず、代わりに非標的物質9が含まれている場合(図4(d))、非標的物質9は、アプタマー6と結合しない(図4(e))。このため、アプタマー6は、アプタマー結合体1に結合し続ける(図4(f))。
前記分離工程に次いで、アプタマー結合体1からのアプタマー6の分離を検出する(図3(g)、図4(g))。この検出は、例えば、実施形態1の前記(1−4)の工程と同様に、電気化学測定装置13を用いて行うことができる。
前記実施形態1と同様にして、前記(2−2)のアプタマー結合状態検出工程および前記(2−4)のアプタマー分離状態検出工程においてそれぞれ測定された前記電子伝達を比較して、前記標的物質を検出する。
本実施形態は、本発明のスクリーニング方法およびアプタマースクリーニング装置の一例である。本実施形態のスクリーニング方法は、図1(a)に示す本実施形態のアプタマースクリーニング装置を用いて実施できる。本実施形態のアプタマースクリーニング装置は、前記実施形態1の本発明の標的物質検出装置に、さらに回収手段を含む。すなわち、本実施形態のアプタマースクリーニング装置は、アプタマー結合体1および標識物質2がそれぞれリンカー14に結合したプローブ4と、回収手段と、プローブ4を固定する支持体5とを含む。本実施形態では、前記回収手段は、バッファー溶液である。アプタマー6は、核酸であってもペプチドであってもよい。
(A’)アプタマーが特異的に結合可能なプローブ4に対し、アプタマー候補物質6を供給する第1工程。
(B’)プローブ4に標的物質8を供給し、プローブ4に結合しているアプタマー候補物質6を、標的物質8に結合させることにより、プローブ4から分離する第2工程。
(C’)分離したアプタマー候補物質6を回収する第3工程。
まず、アプタマー候補物質6を、プローブ4に添加する。アプタマー候補物質6が、アプタマー結合体1と特異的に結合する構造を有している場合、アプタマー候補物質6は、アプタマー結合体1と結合する。本実施形態では、アプタマー結合体1が、リンカー14により電極5に固定されているため、アプタマー候補物質6は、プローブ4により電極5に固定される(図5(a))。アプタマー候補物質6が、アプタマー結合体1と結合する構造を有していない場合は、アプタマー候補物質6は、アプタマー結合体1と結合しない(図5(a))。なお、本実施形態では、電極5を支持体として用いているが、電極に限定されず、支持体として使用できるものであればよい。
前記第1工程に次いで、前記溶液に、標的物質8を含む試料を添加する。標的物質8が、アプタマー候補物質6を結合した前記プローブに接近すると、アプタマー候補物質6が標的物質8のアプタマーの構造を有する場合には、アプタマー候補物質6は、標的物質8と結合する(図5(b))。アプタマー候補物質6が、標的物質8のアプタマーの構造を有さない場合は、アプタマー候補物質6は、標的物質8と結合しない(図5(b))。アプタマー候補物質6が、標的物質8と結合した場合、次いで、アプタマー候補物質6は、前記アプタマー候補物質と結合したアプタマー結合体1から分離する(図5(c))。ここで、この分離は、標的物質8とアプタマー候補物質6の結合が、アプタマー結合体1とアプタマー候補物質6との結合よりも強い場合に起こる。
前記第2工程に次いで、標的物質8に結合してアプタマー結合体1から分離したアプタマー候補物質6を回収する。標的物質8のアプタマーの構造を有するアプタマー候補物質6は、アプタマー結合体1から分離したため、電極5から離れた状態にある。このため、例えば、電極5の表面にバッファー等の溶液を流すことにより、標的物質8のアプタマーの構造を有するアプタマー候補物質6を回収できる。標的物質8のアプタマーの構造を有さないアプタマー候補物質は、アプタマー結合体1に結合し続けるため(図5(c))、電極5に固定された状態を維持する。従って、前記第3工程において、標的物質8の構造を有するアプタマー候補物質6のみを回収できる。
本実施形態は、本発明のスクリーニング方法およびアプタマースクリーニング装置の別の例である。本実施形態は、アプタマーを回収する操作中に、電極反応物質と電極との間の電子伝達を検出することを除き、実施形態3と同じである。すなわち、本実施形態では、図6に示すアプタマースクリーニング装置3を用いてアプタマーを回収する。アプタマースクリーニング装置3は、回収手段(図示せず)を含むこと以外は、前記実施形態1の標的物質検出装置3と同じ構成を有する。また、本実施形態の下記工程は、実施形態3と同じ溶液中で行う。図6に、本実施形態のスクリーニング方法のメカニズムを示す。アプタマー候補物質6は、核酸であってもペプチドであってもよい。
まず、実施形態3における前記(3−1)の第1工程と同じ処理を行い、アプタマー候補物質6をアプタマー結合体1に結合させる。ただし、本実施形態では、電極5と対極12とが、電気化学測定装置13に接続されている点が、実施形態3と相違する(図6(a))。本実施形態では、次いで、電極反応物質2と電極5の間の電子伝達を検出する。この電子伝達の検出は、例えば、実施形態1と同じ方法で電子伝達検出装置13を用いて行うことができる。ここで、アプタマー候補物質6は、アプタマー結合体1に結合しているため、プローブ4の溶液中の移動度は、前記第1工程の前よりも小さい。このため、電極反応物質2と電極5の間の電子伝達の検出値も、前記第1工程の前よりも小さい(図6(c))。
次いで、実施形態3における前記(3−2)の第2工程と同じ処理を行う。これにより、実施形態3において前述したように、アプタマー候補物質6と標的物質8が結合する(図6(d))。そして、実施形態3において前述したように、標的物質8に結合したアプタマー候補物質6が、アプタマー結合体1から分離する。
次いで、実施形態3における前記(3−3)の第3工程と同じ処理を行う。この工程により、アプタマー結合体1から分離したアプタマー候補物質6を回収することができる。ただし、本実施形態では、前記第3工程により回収したアプタマー候補物質6を検出する。前記(4−2)の第2工程により、標的物質8のアプタマーの構造を有するアプタマー候補物質6は、プローブ4から分離した状態にある。このように、アプタマー候補物質6と分離することで、プローブ4の溶液中の移動度が大きくなり、電極反応物質2と電極5の間の電子伝達の検出値が大きくなる(図6(f))。すなわち、電極反応物質2と電極5との電子伝達を、例えば、電気化学測定装置13により検出し、前記(4−1)の第1工程において検出した電子伝達の検出値からの変化を調べれば、分離したアプタマー候補物質6を検出できる。前記(4−2)の第2工程で分離したアプタマー候補物質6が、前記(4−3)の第3工程で回収されるため、この電子伝達の検出により、前記第3工程で回収したアプタマー候補物質6を検出できる。
本実施形態は、本発明のスクリーニング方法およびアプタマースクリーニング装置の別の例である。本実施形態は、アプタマー候補物質を回収する前に、電極反応物質と電極との間の電子伝達を検出することを除き、実施形態4と同じである。すなわち、本実施形態では、実施形態4で使用したものと同じ本発明のアプタマースクリーニング装置を使用する。本実施形態でも、下記の工程は、溶液中で行う。前記溶液の組成は、前記アプタマー結合体と前記アプタマーの結合反応が生じる組成であれば、特に制限されない。
本実施形態は、本発明のスクリーニング方法およびアプタマースクリーニング装置の別の例である。本実施形態は、実施形態4における前記第3工程において回収した前記アプタマー候補物質を増幅する第4工程(D’)をさらに含み、かつ、前記第4工程(D’)で増幅した前記アプタマー候補物質を用いて、前記第1工程(A’)から前記第3工程(C’)まで、または前記第1工程(A’)から前記第4工程(D’)までを繰り返し行うことを除き、実施形態4と同じである。すなわち、本実施形態では、実施形態4で使用したものと同じ本発明のアプタマースクリーニング装置と、アプタマー増幅手段(図示せず)とを用いる。なお、本実施形態では、前記アプタマー候補物質が核酸の場合を例にして説明する。下記の工程は、例えば、溶液中で行う。前記溶液の組成等の条件は、実施形態4と同じである。
本実施形態では、例えば、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)等の核酸増幅法を用いて前記(4−3)の第3工程で回収したアプタマー候補核酸を増幅する。PCRを使用する場合、前記アプタマー候補核酸には、例えば、増幅用のプライマー配列を予め付与しておくことが好ましい。本実施形態では、次いで、前記(4−1)の第1工程を行う。すなわち、この再度の第1工程で、前記増幅したアプタマー候補核酸を用いて、前記(4−1)の第1工程以後の工程を実施する。本実施形態では、このようにして、前記第1工程(4−1)から前記第3別工程(4−3)まで、または前記第1工程(4−1)から前記第4工程(6−1)までを反復できる。前記(4−1)から前記(4−3)の一連のアプタマー候補核酸回収操作を経て回収されるアプタマー候補核酸は、構造の異なるアプタマーの混合物である場合がある。しかし、本実施形態のように前記アプタマー回収のための各工程を繰り返すことにより、前記標的物質との結合力が強いアプタマー候補核酸を濃縮でき、例えば、より標的物質検出のために適したアプタマーを取得できる。
本実施形態は、本発明のスクリーニング方法およびアプタマースクリーニング装置のさらに別の例である。本実施形態は、実施形態2で用いたアプタマーおよびプローブを使用する以外は、実施形態4と同様である。本実施形態では、回収手段(図示せず)を含むこと以外は、前記実施形態2の標的物質検出装置3と同じ構成を有するアプタマースクリーニング装置を用いる。また、下記の各工程における温度、pH、電解質等の条件は、実施形態2と同じである。図7に、本実施形態のスクリーニング方法のメカニズムを示す。
まず、アプタマー候補核酸6を、プローブ4に添加する(図7(a))。アプタマー候補核酸6が、二本鎖核酸部分を有している場合、アプタマー候補核酸6は、前記二本鎖核酸部分においてアプタマー結合体1と結合する(図7(b))。これにより、アプタマー候補核酸6は、プローブ4を介して電極5に固定される(図7(b))。なお、本実施形態では、電極5を支持体として用いているが、電極に限定されず、支持体として使用できるものであればよい。
前記第1工程に次いで、前記反応溶液に、アプタマー候補核酸の標的物質8を含む試料を添加する(図7(c))。標的物質8が、アプタマー候補核酸6を結合したアプタマー結合体1に接近すると、アプタマー候補核酸6が、標的物質8のアプタマーの配列を有する場合は、アプタマー候補核酸6は、標的物質8と結合する(図7(d))。アプタマー候補核酸6が、前記標的物質8のアプタマーの配列を有しない場合は、アプタマー候補核酸6は、標的物質8と結合しない(図7(d))。アプタマー候補核酸6が、標的物質8と結合すると、前記二本鎖核酸部分が分離する(図7(e))。これにより、アプタマー候補核酸6は、アプタマー結合体1から分離し、前記プローブからも分離する(図7(e))。逆に、アプタマー候補核酸6が、標的物質8の配列を有しない場合は、二本鎖核酸部分が分離しないため、アプタマー候補核酸6は、前記プローブと結合し続ける(図7(e))。
前記第2工程に次いで、アプタマー候補核酸6と結合したプローブ4から分離したアプタマー候補核酸6を回収する。この回収は、前記実施形態4と同じ方法を用いて、行うことができる。
本実施例では、図1(a)に一例を示す本発明のプローブ4および本発明の標的物質検出装置3を用い、トロンビンと特異的に結合するアプタマーを用いて本発明の検出方法によりトロンビンを検出した。図示のとおり、本実施例で使用した本発明の標的物質検出装置3は、アプタマー6に特異的に結合するアプタマー結合体1および電極反応物質2がそれぞれリンカー14の末端に結合したプローブ4と、電極5と、電子伝達検出手段13とを含む。本実施例では、アプタマー6は、トロンビンに対し特異的に結合するアプタマーである。アプタマー結合体1は、トロンビンである。電極反応物質2は、フェロセンである。また、リンカー14は、分岐型ポリエチレングリコールである。電極5は、金電極であり、対極12とともに電気化学測定装置13に接続されている。プローブ4は、標的物質であるトロンビンの検出に先立ち、リンカー14により電極5に固定した。本実施例では、測定溶液として、0.1mol/Lの塩化ナトリウムを溶解した10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)を準備した。
本実施例では、まず、プローブ4を表面に固定した金電極5を、トロンビンアプタマーの配列を持つ一本鎖DNAの溶液に浸して、アプタマー結合体1としての前記トロンビンに前記一本鎖DNAを固定した。
本実施例では、次いで、前記一本鎖DNAの固定を完了した金電極5をPBSで洗浄後、前記測定溶液に浸した。
次いで、金電極5を電気化学測定装置13の作用極端子に接続し、白金線を対極端子に、銀/塩化銀電極を参照極端子に接続して、ディファレンシャルパルスボルタンメトリーにより、前記フェロセンの酸化電流を測定した。
次いで、前記測定溶液中に、最終濃度が500nmol/Lとなるようにトロンビンの水溶液を添加し、室温で2時間インキュベートした。
次いで、再び、前記金電極を作用極としたディファレンシャルパルスボルタンメトリーにより、前記フェロセンの酸化電流を測定した。
本実施例では、実施例1と同じ装置を用い、前記(iv)の分離工程で、トロンビン(標的物質)水溶液に代えてウシ血清アルブミン水溶液(最終濃度500nmol/L)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、フェロセンの酸化電流を測定した。本比較例では、前記(iii)のアプタマー結合状態検出工程と前記(v)のアプタマー分離状態検出工程とで、前記フェロセンの酸化電流は、変化しなかった。前記実施例1と前記実施例2の結果から、本発明の方法および装置により、フェロセンの電流値の増加を指標として、標的物質を特異的に検出できることが確認できた。
本実施例では、図6(a)に一例を示す本発明のアプタマースクリーニング装置を用い、本発明のスクリーニング方法によりトロンビンと特異的に結合するアプタマーを回収した。図示のとおり、本実施例で使用した本発明のアプタマースクリーニング装置は、アプタマー6に特異的に結合するアプタマー結合体1および電極反応物質2がそれぞれリンカー14の末端に結合したプローブ4と、電極5と、電子伝達検出手段13とを含む。具体的には、アプタマー結合体1は、トロンビンである。電極反応物質2は、メチレンブルーである。また、リンカー14は、分岐型ポリエチレングリコールである。電極5は、金電極(1cm2)であり、対極12とともに電気化学測定装置13に接続されている。プローブ4は、下記(i)のアプタマー添加工程に先立ち、リンカー14により電極5に固定した。本実施例では、アプタマー候補物質を含む試料溶液として、トロンビンアプタマーの配列とプライマー配列を持つ一本鎖DNAと、トロンビンアプタマーと同じ塩基数のポリAとプライマー配列とを持つ一本鎖DNAを、結合バッファーに溶解した試料溶液を作製した。前記結合バッファーは、1mol/Lの塩化ナトリウムと5mMの塩化マグネシウムを含む10mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.4)である。前記試料溶液中の前記各一本鎖DNAの濃度は、それぞれ100mmol/Lとした。
前記試料溶液を100μL分取し、前記金電極の表面に滴下した。
前記電極を37℃で1時間インキュベートした後、前記電極の表面を前記結合バッファで洗浄した。
次いで、前記電極上に、1μmol/Lのトロンビンを溶解した結合バッファーを100μL滴下して、37℃で5時間インキュベートした。
次いで、前記電極上に残った溶液をピペットで回収した。
前記回収した溶液中の核酸をPCRで増幅した後、増幅されたDNAをDNAシークエンサーで解析した。
解析結果により、前記トロンビンアプタマーとプライマー配列を持つ一本鎖DNAのみが検出されたことを確認できた。
2 標識物質(電極反応物質)
3 標的物質検出装置
4 プローブ
5 電極
6 アプタマー、アプタマー候補物質
7 一本鎖核酸断片
8 標的物質
9 非標的物質
12 対極
13 電子伝達検出手段(電気化学測定装置)
14 リンカー
Claims (47)
- アプタマー結合体、標識物質、および電極に固定可能なリンカーを含み、前記アプタマー結合体および前記標識物質がそれぞれ前記リンカーに結合し、前記アプタマー結合体にアプタマーが特異的に結合しているプローブを提供するプローブ提供工程と、
前記プローブが、前記リンカーを介して前記電極に固定されており、試料中の標的物質と前記アプタマーとの結合により、前記アプタマー結合体から前記アプタマーを分離させ、前記アプタマーの分離を前記標識物質と前記電極との電気的反応として検出する検出工程とを含むことを特徴とする標的物質の検出方法。 - 前記標識物質が、電極反応物質であり、
前記検出工程における前記アプタマーの分離を、前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することにより、検出することを特徴とする請求項1記載の標的物質の検出方法。 - 前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値として、既知の検出値を使用し、前記既知の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することを特徴とする請求項2記載の標的物質の検出方法。
- 前記電極反応物質が、酸化還元電位を有する物質および触媒の少なくとも一方であることを特徴とする請求項2または3記載の標的物質の検出方法。
- 前記電極反応物質が、前記触媒であり、
電子伝達メディエータを使用し、前記触媒と前記電極との間の電子伝達が、前記電子伝達メディエータを介して行われることを特徴とする請求項4記載の標的物質の検出方法。 - 前記電極反応物質が、前記酸化還元電位を有する物質であり、
前記酸化還元電位を有する物質の酸化還元電位が、標準水素電極を基準とした標準電極電位の場合、−0.6Vから+1.4Vの間であることを特徴とする請求項4記載の標的物質の検出方法。 - 前記アプタマー結合体が、前記標的物質の全部または一部と同一または類似のエピトープを含み、前記アプタマーが、前記エピトープと特異的に結合することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の標的物質の検出方法。
- 前記アプタマーが二本鎖核酸部分を含み、前記アプタマー結合体が、前記二本鎖核酸部分に特異的に結合する二本鎖核酸結合部を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の標的物質の検出方法。
- 前記二本鎖核酸結合部が、インターカレータおよび核酸結合タンパク質の少なくとも一方であることを特徴とする請求項8記載の標的物質の検出方法。
- 前記アプタマー結合体が、前記電極反応物質を兼ねることを特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載の標的物質の検出方法。
- 前記リンカーが、親水性高分子および親水性オリゴマーの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の標的物質の検出方法。
- 前記親水性高分子および前記親水性オリゴマーの少なくとも一方が、負電荷を有することを特徴とする請求項11記載の標的物質の検出方法。
- 前記検出工程に先立ち、前記アプタマー結合体に結合していないアプタマーを除去する非結合アプタマー除去工程を有することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の標的物質の検出方法。
- アプタマー結合体、標識物質、および電極に固定可能なリンカーを含み、
前記アプタマー結合体および前記標識物質がそれぞれ前記リンカーに結合し、
前記アプタマー結合体および前記標識物質が、前記リンカーを介して前記電極に固定可能であり、かつ、
前記アプタマー結合体にアプタマーが特異的に結合可能なプローブであり、
前記プローブが前記電極に固定され、前記アプタマーの結合および分離を、前記標識物質と前記電極の電気的反応として検出可能なことを特徴とするプローブ。 - 前記標識物質として電極反応物質を含むことを特徴とする請求項14記載のプローブ。
- 前記電極反応物質が、酸化還元電位を有する物質および触媒の少なくとも一方であることを特徴とする請求項15記載のプローブ。
- 前記電極反応物質が、前記酸化還元電位を有する物質であり、
前記酸化還元電位を有する物質の酸化還元電位が、標準水素電極を基準とした標準電極電位の場合、−0.6Vから+1.4Vの間であることを特徴とする請求項16記載のプローブ。 - 前記アプタマー結合体が、前記標的物質の全部または一部と同一または類似のエピトープを含み、前記アプタマーが、前記エピトープと特異的に結合することを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載のプローブ。
- 前記アプタマーが、二本鎖核酸部分を含み、前記アプタマー結合体が、前記二本鎖核酸部分に特異的に結合する二本鎖核酸結合部を含むことを特徴とする請求項14から18のいずれか一項に記載のプローブ。
- 前記二本鎖核酸結合部が、インターカレータおよび核酸結合タンパク質の少なくとも一方であることを特徴とする請求項19記載のプローブ。
- 前記アプタマー結合体が、前記電極反応物質を兼ねることを特徴とする請求項15から20のいずれか一項に記載のプローブ。
- 前記リンカーが、親水性高分子および親水性オリゴマーの少なくとも一方であることを特徴とする請求項14から21のいずれか一項に記載のプローブ。
- 前記親水性高分子および前記親水性オリゴマーの少なくとも一方が、負電荷を有することを特徴とする請求項22記載のプローブ。
- 前記標識物質として電極反応物質を含む請求項14から23のいずれか一項に記載のプローブと、
試料中の標的物質との結合による前記アプタマー結合体からの前記アプタマーの分離を前記標識物質により検出する分離検出手段と、
前記分離の検出に際し、前記プローブを前記リンカーを介して固定する電極とを含み、
前記分離検出手段が、前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達を検出する電子伝達検出手段を含み、
前記アプタマー結合体からの前記アプタマーの分離を、前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することにより検出し、請求項1記載の標的物質検出方法に使用することを特徴とする標的物質検出装置。 - 前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値として既知の検出値を使用し、前記既知の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することを特徴とする請求項24記載の標的物質検出装置。
- 前記電極反応物質が、触媒であり、
さらに、電子伝達メディエータを含み、前記電子伝達メディエータが、前記電極上に配置されていることを特徴とする請求項24または25記載の標的物質検出装置。 - さらに、前記アプタマー結合体に結合していない前記アプタマーを除去する非結合アプタマー除去手段を含むことを特徴とする請求項24から26のいずれか一項に記載の標的物質検出装置。
- さらに、前記アプタマー結合体に結合可能なアプタマーを含むことを特徴とする請求項24から27のいずれか一項に記載の標的物質検出装置。
- 請求項14から23のいずれか一項に記載のプローブに対し、アプタマー候補物質を供給する第1工程と、
前記電極に固定した前記プローブに標的物質を供給し、前記プローブに結合している前記アプタマー候補物質を、前記標的物質に結合させることにより、前記プローブから前記アプタマー候補物質を分離する第2工程と、
前記分離したアプタマー候補物質を回収する第3工程とを有し、かつ、
前記第2工程における前記アプタマー候補物質の分離を、前記標識物質により検出する検出工程を含み、
前記検出工程において、前記分離の検出を、前記標識物質と前記電極の電気的反応として検出することを特徴とするアプタマーのスクリーニング方法。 - 前記アプタマー候補物質が、アプタマー候補核酸であり、
さらに、前記第3工程で回収した前記アプタマー候補核酸を増幅する第4工程を有し、
前記第4工程で増幅したアプタマー候補核酸を、前記第1工程のアプタマー候補核酸として提供し、
前記第1工程から前記第4工程を繰り返して実施することを特徴とする請求項29記載のアプタマーのスクリーニング方法。 - 前記増幅したアプタマー候補核酸に加え、前記増幅したアプタマー候補核酸とは別のアプタマー候補核酸も前記第1工程のアプタマー候補核酸として供給することを特徴とする請求項30記載のアプタマーのスクリーニング方法。
- 前記標識物質として電極反応物質を含む前記プローブを使用し、
前記第2工程における前記アプタマー候補物質の分離を、前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することにより検出することを特徴とする請求項29から31のいずれか一項に記載のアプタマーのスクリーニング方法。 - 前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値として既知の検出値を使用し、前記既知の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することを特徴とする請求項32記載のアプタマーのスクリーニング方法。
- 前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達を検出することにより、アプタマー候補核酸のスクリーニング状況をモニタリングすることを特徴とする請求項32または33記載のアプタマーのスクリーニング方法。
- 前記アプタマー候補物質が、アプタマー候補核酸であり、
前記第3工程で回収した前記アプタマー候補核酸を増幅する第4工程を有し、前記第4工程で増幅したアプタマー候補核酸を、前記第1工程のアプタマー候補核酸として供給し、
前記第1工程から前記第4工程を繰り返して実施し、
前記スクリーニング状況のモニタリングにより、前記第1工程から前記第4工程の繰り返し実施する場合の終了時を判断することを特徴とする請求項34記載のアプタマーのスクリーニング方法。 - 前記電極反応物質が、触媒であり、電子伝達メディエータを使用し、前記触媒と前記電極との間の電子伝達が、前記電子伝達メディエータを介して行われることを特徴とする請求項32から35のいずれか一項に記載のアプタマーのスクリーニング方法。
- 前記第2工程に先立ち、前記プローブに結合していないアプタマー候補核酸を除去する第5工程を有することを特徴とする請求項29から36のいずれか一項に記載のアプタマーのスクリーニング方法。
- さらに、前記標的物質に結合していない前記アプタマー候補物質を除去する第6工程を有することを特徴とする請求項29から37のいずれか一項に記載のアプタマーのスクリーニング方法。
- 前記標識物質として電極反応物質を含む請求項14から23のいずれか一項に記載のプローブと、
標的物質との結合により前記プローブから分離したアプタマー候補物質を回収する回収手段と、
前記プローブを固定する電極と、
前記標的物質との結合による前記プローブからの前記アプタマー候補物質の分離を前記標識物質により検出する分離検出手段とを含み、
前記分離検出手段として、前記標的物質との結合による前記プローブからの前記アプタマー候補物質の分離を、前記電極反応物質により検出する電子伝達検出手段を使用し、
前記プローブからの前記アプタマー候補物質の分離を、前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することにより検出し、請求項29記載のアプタマーのスクリーニング方法に使用することを特徴とするアプタマースクリーニング装置。 - さらに、前記回収手段により回収した前記アプタマー候補物質を前記プローブに添加する添加手段を含むことを特徴とする請求項39記載のアプタマースクリーニング装置。
- さらに、前記回収手段により回収した前記アプタマー候補物質を増幅する増幅手段と、前記増幅手段により増幅した前記アプタマー候補物質を前記プローブに添加する増幅アプタマー添加手段とを含むことを特徴とする請求項39記載のアプタマースクリーニング装置。
- 前記プローブに対する前記標的物質の供給前における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値として既知の検出値を使用し、前記既知の検出値と、前記プローブに対する前記標的物質の供給後における前記電極反応物質と前記電極との間の電子伝達の検出値とを比較することを特徴とする請求項39から41のいずれか一項に記載のアプタマースクリーニング装置。
- 前記電極反応物質が、触媒であり、
さらに、電子伝達メディエーターを含み、前記電子伝達メディエーターが、前記電極上に配置されていることを特徴とする請求項39から42のいずれか一項に記載のアプタマースクリーニング装置。 - さらに、前記標的物質に結合していない前記アプタマー候補物質を除去する標的物質非結合アプタマー候補物質除去手段を含むことを特徴とする請求項39から43のいずれか一項に記載のアプタマースクリーニング装置。
- さらに、前記プローブに結合していない前記アプタマー候補物質を除去する非結合アプタマー候補物質除去手段を含むことを特徴とする請求項39から44のいずれか一項に記載のアプタマースクリーニング装置。
- 前記アプタマーとして、請求項29から38のいずれか一項に記載のスクリーニング方法により得られたアプタマーを使用することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の標的物質の検出方法。
- 前記アプタマーとして、請求項29から38のいずれか一項に記載のスクリーニング方法により得られたアプタマーを使用することを特徴とする請求項24から28のいずれか一項に記載の標的物質検出装置。
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