JP5303448B2 - 親和性が減少した酵素の相補性レポーター系を用いた分子相互作用の検出 - Google Patents

親和性が減少した酵素の相補性レポーター系を用いた分子相互作用の検出 Download PDF

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Description

政府の権利
本発明は、National Instituetes of Healthにより与えられた連邦政府の補助金番号T32 GM09412;T32 AG0259;AF051678;HD018179;AG009521;AG024987;AG020961;DAMD17−00−1−0442の下の政府の支援を受けて成された。米国政府は本発明において一定の権利を有し得る。
関連出願への相互参照
米国特許法§119(e)に従って、本願は、2006年3月13日に出願された、米国仮特許出願第60/782,054号(この出願の開示は、本明細書中に参考として援用される)の出願日の優先権を主張する。
背景
タンパク質−タンパク質相互作用などの分子相互作用は、生細胞におけるほとんど全ての細胞過程に関与する。したがって、タンパク質機能の解明は、生物学的経路の基礎をなす機構を理解するための重要なステップである。さらに、人の疾患および障害を治療するための療法の開発は、疾患または障害に関連する生物過程におけるタンパク質機能の理解に依存する。さらに、ヒトゲノム計画の完了に伴い、同定された未知の機能を有するタンパク質の数が劇的に増加した。タンパク質の機能を解明するために、タンパク質の他のタンパク質との相互作用を同定することが有用である。
そのようなものとして、タンパク質−タンパク質相互作用を同定および特徴づける系ならびにそのモジュレーターは、種々の異なる用途で広く適用される。
発明の要約
分子相互作用を検出するための方法および組成物を提供する。本発明の態様は、親和性が減少した酵素相補性レポーター系の使用を含む。一定の実施形態では、親和性が減少した酵素相補性レポーター系は、親和性が減少したβ−ガラクトシダーゼ相補性レポーター系である。本方法の実施形態を実施するために使用される系およびキットも提供する。
本発明の態様は、第1のタンパク質および第2のタンパク質が相互作用するかどうかを決定する方法を含む。本方法の実施形態は、(a)以下:(i)第1のタンパク質と第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第1の融合タンパク質であって、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが変異最小N末端β−ガラクトシダーゼペプチドである、第1の融合タンパク質、および(ii)第2のタンパク質と第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第2の融合タンパク質を含む細胞を提供する工程であって、ここで、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントおよび第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが相互に対して親和性を有し、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用の非存在下で公知のβ−ガラクトシダーゼ活性レベルが得られ、この活性は第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用の存在下で認められる活性よりも低い、提供する工程、および(b)細胞をβ−ガラクトシダーゼ活性について評価して、第1のタンパク質および第2のタンパク質が相互作用するかどうかを決定する工程を含む。一定の実施形態では、提供する工程が、第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質をコードする核酸を細胞に導入する工程を含み、この核酸を細胞に連続的または同時に導入することができる。一定の実施形態では、本方法は、評価工程の前に細胞を候補相互作用調整剤と接触させる工程をさらに含む。一定の実施形態では、評価工程は、認められたβ−ガラクトシダーゼ活性を公知のβ−ガラクトシダーゼ活性レベルと比較する工程を含む。一定の実施形態では、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントは、大腸菌野生型β−ガラクトシダーゼのアミノ酸3〜92からなるβ−ガラクトシダーゼフラグメントより低い第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントに対する結合親和性を有する。一定の実施形態では、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが、大腸菌野生型β−ガラクトシダーゼのアミノ酸3〜92からなるβ−ガラクトシダーゼフラグメントと比較して、少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。一定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸変異は、置換または欠失である。一定の実施形態では、変異は、残基31と残基41との間で起こる。一定の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。一定の実施形態では、相互作用は、細胞内部位(location)で起こる。一定の実施形態では、相互作用は、原形質膜部位で起こる。
本発明の態様は、(a)第1のタンパク質と第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第1の融合タンパク質であって、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが変異最小N末端β−ガラクトシダーゼペプチドである、第1の融合タンパク質および(b)第2のタンパク質と第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第2の融合タンパク質を含む細胞であって、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントおよび第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが相互に対して低い親和性を有し、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用の非存在下で公知のβ−ガラクトシダーゼ活性レベルが得られ、この活性は第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用の存在下で認められる活性よりも低い、細胞も含む。一定の実施形態では、第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質は、細胞内タンパク質である。一定の実施形態では、第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質の少なくとも1つは、膜結合タンパク質である。一定の実施形態では、第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質の両方は、膜結合タンパク質である。
(a)細胞であって、(i)第1のタンパク質と第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第1の融合タンパク質であって、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが変異最小N末端β−ガラクトシダーゼペプチドである、第1の融合タンパク質および(ii)第2のタンパク質と第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第2の融合タンパク質を含み、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントおよび第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが相互に対して低い親和性を有し、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用の非存在下で公知のβ−ガラクトシダーゼ活性レベルが得られ、この活性は第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用の存在下で認められる活性よりも低い、細胞、および(b)β−ガラクトシダーゼ基質を含む、キットも提供する。(a)第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントをコードする第1の核酸、および(b)第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントをコードする第2の核酸を含むキットであって、該第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが変異最小N末端β−ガラクトシダーゼペプチドであり、大腸菌野生型β−ガラクトシダーゼのアミノ酸3〜92からなるβ−ガラクトシダーゼフラグメントより低い該第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントに対する結合親和性を有する、キットも提供する。一定の実施形態では、第1の核酸および第2の核酸はベクター上に存在する。一定の実施形態では、ベクターは制限部位を含み、この制限部位は、タンパク質コード配列をこの制限部位を使用してベクターに挿入する場合にベクターがタンパク質とβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの融合タンパク質をコードするようにベクター上に配置される。一定の実施形態では、キットは細胞をさらに含む。一定の実施形態では、キットはβ−ガラクトシダーゼ基質をさらに含む。
定義
本発明によれば、当業者の範囲内の従来の分子生物学、微生物学、組換えDNA技術を使用することができる。かかる技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Maniatis,Fritsch & Sambrook,”Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);”DNA Cloning:A Practical Approach,” Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985);”Oligoヌクレオチド Synthesis”(M.J.Gait ed.1984);”Nucleic Acid Hybridization”(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985));”Transcription and Translation”(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1984));”Animal Cell Culture”(R.I.Freshney,ed.(1986));”Immobilized Cells and Enzymes”(IRL Press,(1986));B.Perbal,”A Practical Guide To Molecular Cloning”(1984)を参照のこと。
用語「ポリマー」は、相互に共有結合した2つまたはそれを超える単量体単位から作製された任意の化合物を意味する。この単量体単位は同一であっても異なっていてもよく、したがって、ポリマーはホモポリマーまたはヘテロポリマーであり得る。代表的なポリマーには、ペプチド、ポリサッカライド、および核酸などが含まれ、ポリマーは、天然に存在するか合成であり得る。
本明細書中で使用する場合、用語「ペプチド」は、一方のアミノ酸のα−カルボニル基と他方の基のα−アミノ基との間のアミド形成によって生成された任意のポリマー化合物をいう。
本明細書中で使用する場合、用語「オリゴペプチド」は、約10〜20残基(すなわち、アミノ酸単量体単位)未満のペプチドをいう。
本明細書中で使用する場合、用語「ポリペプチド」は、10〜20残基を超えるペプチドをいう。
本明細書中で使用する場合、用語「タンパク質」は、約50残基を超える特定の配列のポリペプチドをいう。
本明細書中で使用する場合、用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸のL型、D型、および非キラル型(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)だけでなく、修飾アミノ酸、アミノ酸アナログ、および従来のオリゴペプチド合成で組み込むことができる他の化合物(例えば、4−ニトロフェニルアラニン、イソグルタミン酸、イソグルタミン、ε−ニコチノイル−リジン、イソニペコチン酸、テトラヒドロイソキノレイン酸(tetrahydroisoquinoleic acid)、α−アミノイソ酪酸、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、および4−アミノ酪酸など)も含まれることが意図される。アミノ酸配列は、一文字表記で示される(A:アラニン、C:システイン、D:アスパラギン酸、E:グルタミン酸、F:フェニルアラニン、G:グリシン、H:ヒスチジン、I:イソロイシン、K:リジン、L:ロイシン、M:メチオニン、N:アスパラギン、P:プロリン、Q:グルタミン、R:アルギニン、S:セリン、T:トレオニン、V:バリン、W:トリプトファン、Y:チロシン、X:任意の残基)。NHは、ポリペプチドのアミノ差末端に存在する遊離アミノ基をいう。COOHは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基をいう。標準的なポリペプチド命名法を順守して、J.Biol.Chem.,243(1969),3552−59を使用する。
本明細書中で使用する場合、用語「核酸」は、ヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)から構成されるポリマーまたは2つの天然に存在する核酸に類似の配列特異的様式(例えば、ワトソン−クリック塩基対合相互作用に関与し得る)で天然に存在する核酸とハイブリッド形成することができる合成によって生成された化合物(例えば、米国特許第5,948,902号および引用文献に記載のPNA)を意味する。
本明細書中で使用する場合、用語「リボ核酸」および「RNA」は、リボヌクレオチドから構成されるポリマーを意味する。
本明細書中で使用する場合、用語「デオキシリボ核酸」および「DNA」は、デオキシリボヌクレオチドから構成されるポリマーを意味する。そのようなものとして、「DNA」分子は、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、またはシトシン)のポリマー形態をいう。この用語は、分子の一次構造および二次構造のみをいい、任意の特定の三次形態に制限されない。したがって、この用語には、特に、直鎖DNA分子(例えば、制限フラグメント)、ウイルス、プラスミド、および染色体で見出された二本鎖DNAが含まれる。
DNA「コード配列」は、適切な調節配列の調節下に置かれた場合に、in vivoで転写され、ポリペプチドに翻訳されるDNA配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列には、原核生物配列、真核生物mRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)DNA由来のゲノムDNA配列、および合成DNA配列が含まれ得るが、これらに限定されない。ポリアデニル化シグナルおよび転写末端配列を、コード配列の3’側に配置することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、約10〜約100ヌクレオチド長および200ヌクレオチド長までの一本鎖ヌクレオチド多量体を示す。
本明細書中で使用する場合、用語「ポリヌクレオチド」は、一般に約100ヌクレオチド長を超えるヌクレオチド単量体から構成される一本鎖または二本鎖ポリマーをいう。
用語「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」は、公知のプリン塩基およびピリミジン塩基だけでなく、修飾された他の複素環塩基も含む部分が含まれることが意図される。かかる修飾物質には、メチル化プリンまたはピリミジン、アシル化プリンまたはピリミジン、アルキル化リボースまたは他の複素環が含まれる。さらに、用語「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」には、従来のリボースおよびデオキシリボース糖だけでなく、他の糖も含む部分が含まれる。修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドには、糖部分の修飾も含まれる(例えば、1つまたは複数のヒドロキシル基が水素原子または脂肪族基と置換されているか、エーテルまたはアミンなどとして官能化されている)。
「ベクター」は、結合したセグメントが複製されるように別のDNAフラグメントを結合することができるプラスミド、ファージ、またはコスミドなどのレプリコンである。
本明細書中で使用する場合、用語「DNA調節配列」は、宿主配列中のコード配列を発現し、そして/または発現を制御する転写調節配列および翻訳調節配列(プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、およびターミネーターなど)である。
「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼに結合し、下流(3’方向)コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。本発明を定義するために、プロモーター配列は、転写開始部位によって3’末端に結合し、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に伸長する。プロモーター配列内に転写開始部位およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメインが見いだされるであろう。真核生物プロモーターは、しばしば、しかし常にではなく、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。種々のプロモーター(誘導性プロモーターが含まれる)を使用して、本発明の種々のプロモーターを駆動することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は、それぞれ、特定のヌクレオチド配列またはその付近で二本鎖DNAを切断する細菌酵素をいう。
かかるDNAが細胞内に導入された場合、細胞は、外因性または異種DNAによって「形質転換」または「トランスフェクト」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノム内に組み込まれていても(共有結合)そうでなくてもよい。例えば、原核生物細胞、酵母細胞、および哺乳動物細胞では、形質転換DNAを、プラスミドなどのエピソームエレメント上に維持することができる。真核細胞に関して、安定に形質転換された細胞は、染色体複製を介して娘細胞に受け継がれるように形質転換DNAが染色体内に組み込まれるようになった細胞である。この安定性を、真核細胞が形質転換DNAを含む娘細胞集団から構成される細胞株またはクローンを確立する能力によって証明する。「クローン」は、有糸分裂による単一細胞または共通の祖先由来の細胞集団である。「細胞株」は、多世代にわたってin vitroで安定に成長することができる初代細胞のクローンである。
DNA構築物の「異種」領域は、天然ではより大きな分子に関連して見いだされないより大きなDNA分子内の同定可能なDNAセグメントである。したがって、異種領域が哺乳動物遺伝子をコードする場合、遺伝子は、通常、元の生物のゲノム中の哺乳動物ゲノムDNAに隣接しないDNAに隣接するであろう。別の例では、異種DNAには、2つの異なる供給源由来の遺伝子の一部が1つになって融合タンパク質産物を産生する構築物中のコード配列が含まれる。対立遺伝子の変動または天然に存在する変異事象では本明細書中で定義のDNAの異種領域は生じない。
本明細書中で使用する場合、用語「レポーター遺伝子」は、異種プロモーターまたはエンハンサーエレメントに結合したコード配列をいい、構築物が組織または細胞に導入される場合、その産物を容易且つ定量的にアッセイすることができる。
「任意選択的な」または「任意選択的に」は、その後に記載の環境が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。したがって、この説明には、環境が起こる例および環境が起こらない例が含まれる。
「接触」は、1つになるか寄せ集めることを意味する。そういうものとして、例えば、2つの要素が相互に接触することによって2つの要素が1つになるか寄せ集められる場合、第1の要素は第2の要素と接触される。
詳細な説明
分子相互作用を検出するための方法および組成物を提供する。本発明の態様は、親和性が減少した酵素相補性レポーター系(親和性が減少したβ−ガラクトシダーゼ相補性レポーター系など)の使用を含む。本方法の実施形態を実施するために使用される系およびキットも提供する。
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は記載の特定の実施形態に制限されず、そのようなものとして変化し得ると理解すべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって制限されるので、本明細書中で使用した専門用語が特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を制限することを意図しないとも理解すべきである。
一定範囲の値を示す場合、範囲の上限と下限との間のそれぞれの介在する値(intervening value)(他で明確に示さない限り、下限の1/10まで)および記載の範囲の任意の他で記載した値またはその介在する値が本発明の範囲内に含まれると理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、独立して、より狭い範囲内に含めることができ、記載の範囲の任意の特に排除された限度を条件として、これらも本発明の範囲内に含まれる。記載の範囲が一方または両方の限度を含む場合、限度を含む範囲のいずれかまたは両方を排除した範囲も本発明に含まれる。
一定の範囲を、本明細書中で、用語「約」を前に付けた数値で示す。用語「約」は、これに先行する厳密な数値の誤植およびこの用語が先行する数値に近いか近似する数値に対応するために本明細書中で使用される。数値が具体的に引用した数値に近いか近似するかどうかを判断する際、示した文脈では、近いか近似する引用していない数値が具体的に引用した数値に実質的に等価な数値であり得る。
他で定義しない限り、本明細書中で使用された全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書中に記載の方法および材料に類似するか等価な任意の方法および材料を本発明の実施または試験で使用することもできるが、方法および材料の代表的な例をここに記載する。
本明細書中に引用した全ての刊行物および特許は、それぞれの刊行物または特許が具体的且つ個別に参考として援用されるかのように本明細書中で参考として援用され、刊行物の引用に関連して方法および/または材料を開示および記載するために参考として援用される。任意の刊行物の引用は、出願日以前の開示のためであり、本発明が先行発明によってかかる刊行物に先行する権利が与えられないということを承認すると解釈されるべきではない。さらに、示した刊行日は、実際の刊行日と異なっていても良く、自主的に確認する必要があり得る。
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、明確に別段に記述しない限りは、単数形「a」、「an」、および「the」には複数形が含まれることに留意されたい。任意の選択的要素を排除するように特許請求の範囲を作成することができることにも留意されたい。そのようなものとして、本記述は、請求項の要素の引用または「消極的」限定の使用に関連して、「唯一の」および「のみ」などの排他的専門用語の使用の根拠として役立つことが意図される。
本開示を読んだ際に当業者に明らかなように、本明細書中に記載および例示された個別の実施形態は、本発明の範囲または精神を逸脱することなく、任意の他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離するか組み合わせることができる個別の成分および特徴を有する。任意の引用された方法を、引用した事象の順序または論理的に可能な任意の他の順序で実施することができる。
本発明をさらに説明する場合、方法の態様を最初により詳細に概説し、その後に方法の実施形態を使用する異なる適用を概説し、本発明の一定の実施形態の実施で使用する種々のキットを概説する。
方法
上記でまとめているように、本発明の実施形態は、第1の分子と第2の分子との間の分子相互作用(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用など)を検出する方法を提供する。そのようなものとして、本発明の実施形態は、第1の分子および第2の分子が相互に結合する(すなわち、相互作用する)かどうかを決定する方法を提供する。本方法を使用して検出することができる分子相互作用には、種々の異なる分子型が含まれ得、分子は、同一または異なる種類の分子であり得る。そのようなものとして、一定の実施形態では、目的の分子相互作用は、同一の分子型(例えば、第1の分子および第2の分子はポリペプチド(例えば、タンパク質)である)である第1の分子と第2の分子との間の相互作用である。さらに他の実施形態では、第1の分子および第2の分子は、異なる分子型(例えば、第1の分子がポリペプチドであり、第2の分子が核酸である場合)であり得る。一定の実施形態では、第1の分子および第2の分子は、ポリペプチド(例えば、タンパク質)であり、その結果、本方法は、タンパク質−タンパク質相互作用を検出する方法である。
上記でまとめているように、本発明の実施形態は、第1および第2の結合膜が相互作用するかどうかを決定する方法に関する。本方法は、目的の各結合メンバーを親和性が減少した酵素相補性レポーター系の異なるメンバーで標識する細胞を提供する工程を含む。次いで、細胞を、レポーター酵素の活性を評価し、評価の結果を使用して、第1の結合メンバーと第2の結合メンバーとが相互作用するかどうかを決定する。
本方法の態様は、親和性が減少した酵素相補性レポーター系の使用を含む。「親和性が減少した」酵素相補性レポーター系は、2つまたはそれを超える酵素のフラグメント(すなわち、レポーターサブユニット)で構成された系を意味し、これらのフラグメントのみではその親酵素で認められるいかなる検出可能な活性も欠く(直接または間接的に検出できない)が、例えば、無作為な相互作用または結合メンバー媒介性相互作用によって十分に近接する場合、検出可能な量の親酵素の活性が生じる。本発明の親和性が減少した酵素相補性レポーター系の態様は、目的の結合部分によって媒介される相互作用が存在しないアッセイ条件下で系の他のサブユニットとの相互作用が可逆的であるように系で使用される少なくとも1つのレポーターサブユニットがその野生型親酵素中の対応するドメインの変異型(variant)であることである。そのようなものとして、本発明の親和性が減少した酵素相補性レポーター系により、目的の相互作用の存在下で認められる第2の検出可能なシグナルより低い目的の相互作用の非存在下での第1の検出可能なシグナルが得られる。例えば、系がβ−ガラクトシダーゼ系である場合(以下により詳細に概説するように)、系により、目的の相互作用の存在下で認められる第2の検出可能なシグナルより低い目的の相互作用の非存在下での第1の検出可能なシグナルが得られる。さらに、本発明の態様は、所与の目的のアッセイ条件組下での第1のシグナルの大きさが公知であり、第2のシグナルが検出された時点または前の検出値を基準として使用する場合にはいくらか以前に決定することができる実施形態を含む。親和性が減少した酵素相補性レポーター系の実施形態を、高い信号雑音比を得ることによって特徴づける。
結合部分媒介性相互作用の非存在下でレポーターサブユニットが相互に可逆的結合を示し、さらに、これらに結合した分子種の結合の際に依然として会合して検出可能なシグナルを生成することができるような十分に低い結合親和性を示すレポーターサブユニットを、多数の異なるアプローチを使用して産生することができる。一定の実施形態では、高親和性サブユニットから構成される第1のレポーター系を研究してサブユニットの高親和性会合を担うサブユニット領域を同定する合理的アプローチを使用する。次いで、同定された領域を、いくつかの方法(例えば、適切な低親和性サブユニットを得、それにより、サブユニットが任意の結合メンバー媒介性会合の非存在下で可逆的に相互作用する親和性が減少したレポーター系を得るための領域への点変異、挿入、または欠失の導入)で変化させる。例えば、以下の実験の部および最初の高親和性β−ガラクトシダーゼ相補性レポーター系を使用した合理的アプローチなどの概説についての2005年3月18日出願の米国特許出願第11/132,764号を参照のこと。使用することができるレポーターサブユニットには、会合して検出可能なシグナルを生成することができる任意の結合親和性が減少したサブユニットが含まれる。1つの実施形態では、レポーターサブユニットは、会合することができ、会合した場合に直接または間接的に検出可能な産物を産生する反応を触媒することができるタンパク質である。
本発明の一定の実施形態で使用される親和性が減少した酵素相補性レポーター系は、多数の異なる酵素由来のレポーターサブユニットを使用することができる。レポーターサブユニットが由来し得る目的の酵素には、以下が含まれるが、これらに限定されないβ−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ(GUS)、β−ラクタマーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、cre−リコンビナーゼ、およびルシフェラーゼ。
一定の実施形態では、親和性が減少した酵素相補性レポーター系が基づく酵素は、大腸菌lacZ遺伝子によってコードされる野生型大腸菌β−ガラクトシダーゼである。β−ガラクトシダーゼ活性を、生細胞フローサイトメトリーおよび発色基質5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)での組織化学的染色を含む一定範囲の方法によって測定することがっできる。例えば、Nolan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,85:2603−2607(1988);およびLojda,Z.,Enzyme Histochemistry:A Laboratory Manual,Springer,Berlin,(1979)を参照のこと。
例示のみを目的として、本発明を、主に親和性が減少した酵素相補性レポーター系がβ−ガラクトシダーゼ酵素相補性レポーター系である(すなわち、レポーターサブユニットがβ−ガラクトシダーゼフラグメントであり、フラグメントがその対応する野生型β−ガラクトシダーゼ分子中で見いだされるアミノ酸配列または対応する野生型β−ガラクトシダーゼ分子中で見いだされる配列の変異型である配列を有することができる)という実施形態に関してここにさらに記載する。
一定の実施形態では、使用される親和性が減少したβ−ガラクトシダーゼ相補性レポーター系は、2つまたはそれを超えるβ−ガラクトシダーゼフラグメントまたはその変異型から構成されるものである。例えば、一定の実施形態では、レポーター系は、β−ガラクトシダーゼの第1のフラグメントおよび第2のフラグメント(例えば、αフラグメントおよびωフラグメント)を含む。さらに他の実施形態では、レポーター系は、2つを超えるβ−ガラクトシダーゼフラグメント(第1、第2、および第3のβ−ガラクトシダーゼフラグメント(例えば、α、β、およびωフラグメント)など)を含むことができる。
一定の実施形態では、本方法の実施形態で使用される親和性が減少したβ−ガラクトシダーゼ相補性シグナル生成系は、β−ガラクトシダーゼの第1のフラグメントおよび第2のフラグメント(すなわち、第1および第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメント)から構成される系であり、第1のフラグメントおよび第2のフラグメントは相互に対して親和性を有し、この親和性により、目的のポリペプチド−ポリペプチド相互作用が生じるかどうかに応じて異なるβ−ガラクトシダーゼ活性レベルで得られる。そのようなものとして、第1および第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントは相互に対して親和性を有し、この親和性により、目的の相互作用の非存在下での公知の第1のβ−ガラクトシダーゼ活性レベルおよび目的の相互作用の存在下での第2の異なるβ−ガラクトシダーゼ活性レベルが得られる。この様式で、シグナル生成系の活性レベルの決定により、目的の相互作用が起こるかどうかを決定することができる。
第1および第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントは、相互に対して低親和性を有するフラグメントであり、この低親和性は、上記で概説した異なる相互作用依存活性を得るのに十分である。シグナル生成系のフラグメントが相互に対して低親和性を有する場合、目的のポリペプチド相互作用の非存在下でフラグメントから構成される系から認められる活性レベル(以下の実施例の項で報告したアッセイを使用して決定する)は、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA(1975)72:1254−1257で報告されたβ−ガラクトシダーゼ相補性系との目的の相互作用の非存在下で認められる活性レベルより低い。
これらの実施形態の態様は、変異最小N末端β−ガラクトシダーゼペプチドである第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメント(酵素供与体またはαフラグメントとしても公知)の使用を含む。最小N末端β−ガラクトシダーゼペプチドは、ペプチドが野生型β−ガラクトシダーゼタンパク質のN末端領域中で見いだされるアミノ酸配列(例えば、野生型β−ガラクトシダーゼタンパク質のN末端の10残基内(N末端の約5残基内など)から開始される配列)を有することを意味する。本実施例の第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが最小である場合、これらは、一定の実施形態では、約60アミノ酸長以下(約55アミノ酸長以下(約50アミノ酸長以下(例えば、49アミノ酸長以下、48アミノ酸長以下など)が含まれる)など)である。
最小N末端β−ガラクトシダーゼペプチドが変異型である場合、これらは、対応する野生型β−ガラクトシダーゼタンパク質のN末端ドメイン中の対応する配列と比較して、少なくとも1つの配列の変動を含む。配列の変動は、挿入、欠失、または置換(例えば、点変異の形態)であり得る。変異型は、1つの変動(例えば、挿入、欠失、点変異)または2つまたはそれを超える異なる変動(2つまたはそれを超える点変異など)を有することができる。一定の実施形態では、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントは、第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントに対する野生型大腸菌β−ガラクトシダーゼのアミノ酸残基3〜92由来の完全配列を有するフラグメントの結合親和性(例えば、Langley et al.,J.Biol.Chem.(1975)250:2587−2592に記載)より低い(例えば、結合親和性は第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントに対する野生型フラグメントより低い)第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントに対する結合親和性(以下により詳細に記載)を有する。
一定の実施形態では、系の第2のフラグメントとのβ−ガラクトシダーゼフラグメントの相補性に依存して、第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメント内に「包埋する」位置に存在するβ−ガラクトシダーゼフラグメントの領域内で任意の配列変動が起こる。一定の実施形態では、このドメインは、野生型配列のアミノ酸残基29〜41から見いだされた配列を含み、したがって、フラグメントは、この領域(例えば、アミノ酸残基29〜41(アミノ酸残基31〜41など))に変動を含む。例えば、変動が点変異である場合、変異型は、アミノ酸残基29〜41のいずれかに1つまたは複数の点変異を含むことができ、その結果、これらの13アミノ酸残基の1つまたは複数を置換することができる(これらのアミノ酸残基の2つ以上、3つ以上、4つ以上などを置換することができる)。目的の特定のアミノ酸点変異には、以下が含まれるが、これらに限定されない:H31(例えば、H31R)、F34(例えば、F34Y)、E41(例えば、E41Q)、およびN39(例えば、N39Q、N39D)。
例示的αペプチド配列には、以下が含まれる:
配列番号1(H31R)
MGVITDSLAVVLQRRDWENPGVTQLNRLAARPPFASWRNSEEARTDRPSQQL
配列番号2(F34Y)
MGVITDSLAVVLQRRDWENPGVTQLNRCAAHPPYASWRNSEEARTDRPSQQL
配列番号3(E41Q)
MGVITDSLAVVLQRRDWENPGVTQLNRLAAHPPFASWRNSQEARTDRPSQQL
配列番号4(N39D)
MGVITDSLAVVLQRRDWENPGVTQLNRLAAHPPFASWRDSEEARTDRPSQQL
配列番号5(短縮)
MGVITDSLAVVLQRRDWENPGVTQLNRLAAHPPFASWRDSEEA。
第1のフラグメントが上記で概説した変異最小N末端β−ガラクトシダーゼフラグメントである実施形態では、第1のフラグメントを、上記で概説した1つまたは複数のさらなるフラグメントと併せて使用することができる。上記で概説した一定の実施形態では、レポーター系は、第1および第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントから構成される。第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントは、第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントと相互作用して検出可能なβ−ガラクトシダーゼ活性を得ることができる任意のフラグメントであり得る。第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントは、全長β−ガラクトシダーゼ酵素の分子量に基づいて、全長β−ガラクトシダーゼ酵素の約60%超、約80超、または約90%超に対応するβ−ガラクトシダーゼ酵素の主要部分を含むことができる。一定の実施形態では、第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントは、野生型大腸菌β−ガラクトシダーゼタンパク質のアミノ酸11〜41を欠く欠失変異体(例えば、Langley et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA(1975)72:1254−1257)であり、このフラグメントは、M15受容体またはωフラグメントとして公知である。目的の他の特異的受容体(すなわち、ω−フラグメント)には、以下が含まれるが、これらに限定されない:M112二量体(β−ガラクトシダーゼ内のアミノ酸23〜31の欠失)(Lin,Villarejo and Zabin,1970,Biochem.Biophys.Res.Common.40:249;Celeda and Zabin,1979,Biochem.18:404;Welphy,Fowler and Zabin,1981,J.Biol.Chem.256:6804;Langley et al.,1975,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72:1254)。1つの例示的ωペプチド配列を以下に示す(配列番号6):
MGVITDSLAVVARTDRPSQQLRSLNGEWRFAWFPAPEAVPESWLECDLPEADTVVVPSNWQMHGYDAPIYTNVTYPITVNPPFVPTENPTGCYSLTFNVDESWLQEGQTRIIFDGVNSAFHLWCNGRWVGYGQDSRLPSEFDLSAFLRAGENRLAVMVLRWSDGSYLEDQDMWRMSGIFRDVSLLHKPTTQISDFHVATRFNDDFSRAVLEAEVQMCGELRDYLRVTVSLWQGETQVASGTAPFGGEIIDERGGYADRVTLRLNVENPKLWSAEIPNLYRAVVELHTADGTLIEAEACDVGFREVRIENGLLLLNGKPLLIRGVNRHEHHPLHGQVMDEQTMVQDILLMKQNNFNAVRCSHYPNHPLWYTLCDRYGLYVVDEANIETHGMVPMNRLTDDPRWLPAMSERVTRMVQRDRNHPSVIIWSLGNESGHGANHDALYRWIKSVDPSRPVQYEGGGADTTATDIICPMYARVDEDQPFPAVPKWSIKKWLSLPGETRPLILCEYAHAMGNSLGGFAKYWQAFRQYPRLQGGFVWDWVDQSLIKYDENGNPWSAYGGDFGDTPNDRQFCMNGLVFADRTPHPALTEAKHQQQFFQFRLSGQTIEVTSEYLFRHSDNELLHWMVALDGKPLASGEVPLDVAPQGKQLIELPELPQPESAGQLWLTVRVVQPNATAWSEAGHISAWQQWRLAENLSVTLPAASHAIPHLTTSEMDFCIELGNKRWQFNRQSGFLSQMWIGDKKQLLTPLRDQFTRAPLDNDIGVSEATRIDPNAWVERWKAAGHYQAEAALLQCTADTLADAVLITTAHAWQHQGKTLFISRKTYRIDGSGQMAITVDVEVASDTPHPARIGLNCQLAQVAERVNWLGLGPQENYPDRLTAACFDRWDLPLSDMYTPYVFPSENGLRCGTRELNYGPHQWRGDFQFNISRYSQQQLMETSHRHLLHAEEGTWLNIDGFHMGIGGDDSWSPSVSAEFQLSAGRYHYQLVWCQK。
本発明の態様は、分子相互作用(すなわち、2つまたはそれを超える分子間の相互作用(これらの分子を、本明細書中で、結合部分または推定結合部分と呼ぶ)の間の相互作用)を検出するための上記の親和性が減少したレポーター系の使用を含む。2つまたはそれを超える結合部分の間の分子相互作用を検出するためのレポーター系の使用では、一定の実施形態では、レポーター系の異なるメンバーと安定に会合した目的の異なる各結合部分を含む細胞を提供する。言い換えれば、目的の各結合部分がレポーター系の異なるサブユニットと安定に会合した細胞を提供する。例えば、系を使用して第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用を検出する場合、第1のタンパク質が第1のレポーターサブユニット(例えば、上記の変異最小N末端β−ガラクトシダーゼフラグメント)と安定に会合する一方で、第2のタンパク質が第2のレポーターサブユニット(例えば、上記のM15ωフラグメント)と安定に会合する細胞を提供する。
「安定に会合された」は、レポーターサブユニットおよび分子的実体が、以下にさらに例示のこれらが使用されるアッセイ条件下で相互に解離しないように共有結合またはその他(例えば、十分に親和性の高い相互作用)によって相互に結合することを意味する。
多数の異なる結合部分を、本発明を使用して、相互の結合親和性についてアッセイすることができ、結合部分には、結合相互作用が可能な任意の分子が含まれる。2つまたはそれを超える結合部分の間の結合相互作用は、直接または1つまたは複数のさらなる結合種(荷電イオンまたは分子、リガンドまたは高分子など)との複合体の形態であり得る。
レポーターサブユニットと安定に会合する(すなわち、結合する)結合部分は、レポーターサブユニットに連結することができる場合、任意の範囲の異なる分子(炭水化物、脂質、タンパク質、および核酸が含まれる)ならびにその一部、ポリマー、およびアナログであり得る。一定の実施形態では、目的の結合部分は細胞内部分であり、その結果、検出される結合相互作用は、例えば、非空間的制限様式で起こる細胞内相互作用である。さらに他の実施形態では、目的の結合部分は原形質膜部分であり、その結果、検出される結合相互作用は、空間的に制限された(例えば、二次元)様式で原形質膜部位で起こる結合相互作用である。
例示的タンパク質には、シグナル伝達カスケードのメンバー、アポトーシスを調節するタンパク質、細胞周期の進行または腫瘍発達を調節するタンパク質、転写調節タンパク質、翻訳調節タンパク質、細胞相互作用に影響を及ぼすタンパク質、細胞接着分子(CAM)、リガンド−受容体対、他のタンパク質の折り畳みに関与するタンパク質、特定の細胞内区画(ゴルジ装置、小胞体、リボゾーム、クロロプラスト、およびミトコンドリアなど)へのターゲティングに関与するタンパク質が含まれる。他の例示的タンパク質には、タンパク質ホルモンおよびサイトカインが含まれる。サイトカインには、シグナル伝達に関与するサイトカイン(インターフェロン、ケモカイン、および造血成長因子など)が含まれる。他の例示的タンパク質には、インターロイキン、リンホトキシン、トランスフォーミング成長因子−αおよびβ、ならびにマクロファージおよび顆粒球コロニー刺激因子が含まれる。他のタンパク質には、タンパク質キナーゼ、ホスファターゼ、およびシンターゼなどの細胞内酵素が含まれる。アポトーシスに関与する例示的タンパク質には、腫瘍壊死因子(TNF)、Fasリガンド、インターロイキン−1β変換酵素(ICE)プロテアーゼ、およびTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)が含まれる。細胞周期に関与するタンパク質には、デオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼ、増殖性細胞核抗原、テロメラーゼ、サイクリン、サイクリン依存性キナーゼ、腫瘍抑制因子、およびホスファターゼが含まれる。転写および翻訳に関与するタンパク質には、リボ核酸(RNA)ポリメラーゼ、転写因子、エンハンサー結合タンパク質、リボゾームタンパク質が含まれる。細胞−細胞シグナル伝達などの細胞相互作用に関与するタンパク質には、受容体タンパク質、ペプチドホルモン、またはその増強模倣物または阻害模倣物が含まれる。
分子の結合は、pH、イオン強度、アッセイの成分濃度、および温度などの溶液における要因に依存するであろう。本明細書中に記載のレポーター系を使用した結合アッセイでは、結合部分の結合親和性は、レポーターサブユニット間に相補性を持たせるのに十分に高くなるべきである。アッセイ溶液(緩衝系または細胞内部など)中の結合部分の解離定数の非限定的な例には、特定のアッセイ系の性質に応じて、約10−8M未満(例えば、約10−9M未満)または、任意選択的に、約10−9〜10−12Mである。
上記のように、レポーターサブユニットおよび結合メンバーは、安定に会合する。一定の実施形態では、レポーターサブユニットおよび1つまたは複数の結合部分は、直接またはリンカーを介して共に結合し、この結合は、共有結合であってもそうでなくても良い。例えば、以下により詳細に概説のように、レポーターサブユニットおよび結合部分がタンパク質である場合、これらを、例えば、融合タンパク質として核酸配列から発現したペプチドの結合について当該分野で公知の方法によって結合することができる。
任意の従来のプロトコールを使用して、本発明の方法で使用される所与の細胞を提供することができる。例えば、多数の異なるプロトコール(例えば、微量注入、エレクトロポレーション、または種々の大量負荷技術(bulk−loading technique))または異なるエレメント(例えば、融合タンパク質の形態)をコードする核酸の細胞への供給を使用して、異なる結合メンバーとレポーターサブユニットとの抱合体を細胞に導入することができる。
一定の実施形態では、レポーターサブユニットおよび結合部分は、レポーターサブユニット(例えば、上記概説の変異最小N末端βガラクトシダーゼペプチドまたはωペプチド)を含む融合タンパク質を作り上げることができる。したがって、融合タンパク質を、コード核酸から細胞内に発現することができる。この系は、レポーターサブユニットの酵素相補性に基づいて哺乳動物細胞などの細胞中のタンパク質−タンパク質相互作用の検出および定量が可能であるので、一定の実施形態で有利である。例えば、2つの相補レポーターサブユニットの1つおよび目的の「試験」タンパク質を含むキメラ融合タンパク質を細胞内に産生する実施形態では、目的の2つのキメラタンパク質間の相互作用に起因する検出された活性は、レポーターサブユニット(例えば、非酵素)タンパク質成分の相互作用の強度に比例するであろう。したがって、相互作用は、目的の試験タンパク質によって駆動され、相補レポーターサブユニットによって駆動されない。酵素活性は、相互作用の指標として役立つ。本系の別の利点は、結合を検出するのに低レベルの試験タンパク質発現しか必要ないことである。
一定の実施形態では、融合遺伝子構築物を構築し、細胞に形質導入して、第1の(例えば、低い)発現レベルが得られ、ここで、この低発現レベルは、レポーターサブユニットの非結合部分媒介性可逆的会合の結果である。次いで、系により、内因性競合タンパク質パートナーの存在下での所与の細胞中の相互作用をモニタリングすることが可能であり、ここで、融合タンパク質は、結合/会合反応のための「トレーサー」としての機能を果たすであろう。かかる系は、導入タンパク質の過剰発現から人為産物を生じる傾向はない。融合遺伝子構築物の発現を、適切なプロモーター、リボゾーム結合部位、および他の調節エレメントの選択によって減少させることができる。例えば、融合遺伝子構築物を、ベクターに導入することができる。ベクター中の融合遺伝子構築物はその翻訳が脳心筋炎ウイルスの内部リボゾーム侵入部位(internal ribosome entry sequence)(IRES)によって調節される抗生物質耐性遺伝子の上流に存在し、このベクターは融合遺伝子の翻訳開始を担うATG配列の上流のスプライスドナー/アクセプター配列が変異している。この構築物型により、バイシストロン性メッセージ中の第1のコード配列の翻訳効率が低くなるが、第2の(抗生物質耐性)配列の翻訳には影響を及ぼさず、IRESのみに依存する。これらの発現レベルの減少の結果として、濃度に依存するレポーターサブユニットの自発的相互作用の頻度は有意に減少するであろう。
本発明の態様は、本発明の推定結合部分とレポーターサブユニットとの間の融合タンパク質を含む。推定結合部分は、第2の分子に結合する能力が試験される任意のタンパク質または他の分子を含むことができる。レポーターサブユニットは、単量体サブユニットが不活性であるが、2つまたはそれを超える同一または異なる単量体の会合によって活性(例えば、活性によって検出可能なシグナルが得られる)が回復する任意の分子であり得る。
本発明の実施形態の融合タンパク質には、2つまたはそれを超える個別のタンパク質の全配列または部分配列を含むアミノ酸の単一の連続する線状ポリマーが含まれる。2つまたはそれを超えるアミノ酸配列を、例えば、架橋剤の媒介によって化学的結合することができる。一定の実施形態では、融合タンパク質を、細胞中の融合遺伝子構築物の発現によって生成する。融合遺伝子構築物には、同一の非妨害読み取り枠中の2つまたはそれを超える個別のタンパク質の全配列または部分配列をコードするヌクレオチドの単一の連続する線状ポリマーが含まれる。融合遺伝子構築物はまた、真核細胞および/または原核細胞で活性な複製起点ならびに、例えば、薬物耐性をコードする1つまたは複数の選択マーカーを含むことができる。これらはまた、ウイルスパッケージングシグナルならびに転写および/または翻訳調節配列およびRNAプロセシングシグナルを含むことができる。
一定の実施形態では、本発明の融合遺伝子構築物を細胞に導入して、融合遺伝子構築物によってコードされる推定結合部分の間の結合についてアッセイする。融合遺伝子構築物はまた、通常は推定結合部分をコードする遺伝子と会合するプロモーターならびに他の転写および/または翻訳調節配列を含むことができる。融合遺伝子構築物を、当該分野で公知の任意の核酸導入方法(ウイルスベクター、形質転換、供沈、エレクトロポレーション、中性またはカチオン性リポソーム媒介導入、微量注入、または遺伝子銃が含まれるが、これらに限定されない)によって細胞に導入することができる。目的のウイルスベクターには、以下が含まれるが、これらに限定されない:レトロウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス。一定の実施形態では、宿主細胞のゲノムに安定に組み込むことができるレトロウイルスベクターを使用する。例えば、組み込みおよびパッケージングシグナル、薬物耐性マーカー、および1つまたは複数の目的の融合遺伝子をコードするレトロウイルス構築物は、本発明の実施形態の実施に有用である。
固有の融合タンパク質をコードする異なる融合遺伝子構築物は、個別の核酸分子または同一の核酸分子上に存在し得る。一定の実施形態では、細胞による1つの核酸種のみの取り込みが細胞への両推定結合パートナーをコードする配列の導入に十分であるように同一のベクターを使用する。導入順序に関して、コード配列が異なるベクター上存在する実施形態では、ベクターを、細胞に同時または連続的に導入することができる。
本発明の融合遺伝子構築物または融合タンパク質を、培養細胞に導入するか、動物細胞にin vivoで導入するか、動物細胞にex vivoで導入するか、タンパク質−タンパク質相互作用を研究するのに望ましい任意の他の細胞型に導入することができる。そのようなものとして、本発明での実施に使用される細胞には、原核細胞および真核細胞が含まれる。例示的な真核細胞には、哺乳動物細胞(例えば、マウス、ネコ、イヌ、ヒトなど)、酵母細胞、寄生虫細胞などが含まれる。一定の実施形態では、細胞は、特定の表現型を有する哺乳動物細胞(初代の正常細胞、新生物細胞、または癌細胞、および株化細胞系(例えば、不死化腫瘍細胞株)が含まれる)である。
それぞれがレポーター系の異なるサブユニットでタグ化(例えば、標識)された目的の異なる結合メンバーを含む細胞を準備したのち、細胞を、レポーター系の活性について評価する。この評価工程の結果により、目的の結合相互作用が起こったかどうかについての情報が得られる。一定の実施形態では、評価は、活性を検出し、次いで、認められた活性を基準値またはコントロール値(例えば、事前に決定されたバックグラウンド活性値(親和性が減少したレポーター系の異なるサブユニットの可逆的相互作用の結果として唯一認められるβ−ガラクトシダーゼ活性レベル(例えば、事前に決定された公知のバックグラウンドレベル)など))と比較することを含む。以下により詳細に明らかにするように、評価は、所与のアッセイプロトコールに必要であり得る場合、所与の観察期間(例えば、細胞と試験因子との接触の前後)に2回またはそれを超えて活性を観察することを含むことができる。以下により詳細に明らかにするように、この評価工程は、系の酵素に適切な基質を提供することおよび系から検出可能な産物の酵素媒介産生を検出することを含むことができる。
本明細書中に開示のレポーター系を使用して、検出可能なシグナルを生成するレポーターサブユニット間の相補性によってレポーターサブユニットに結合した推定結合部分の結合相互作用をアッセイすることができる。推定結合部分間の直接結合相互作用についての試験に加えて、1つまたは複数のさらなる分子またはイオンに依存する相互作用を評価することができる。さらに、生きた動物細胞における多分子相互作用ならびにこれらの相互作用に及ぼす種々の薬物、ペプチド、および医薬品の影響を評価することができる。
1つの実施形態では、1つまたは複数の推定結合部分の結合親和性を、第1のレポーターサブユニットに結合した部分の1つを有する1つの成分および第2のレポーターサブユニットに結合した1つの他の推定結合部分を含む少なくとも1つの他の成分を含むレポーター系を提供することによって測定することができる。結合部分は、異なっていても同一でも良い。この系では、レポーターサブユニットは、これらが相互に近接する場合に限り、例えば、1つまたは複数の推定結合部分の結合によって検出可能なシグナルに結合してこれを生成することができる。このシグナルを、例えば、(例えば、適切なコントロールアッセイで得られた)コントロール値とのシグナルの比較によって直接または間接的に検出および定量することができる。
本発明の1つの態様では、タンパク質−タンパク質相互作用を、検出および定量することができる。相補レポーターサブユニットによって生成されたシグナルは、直接または第3の物質を介して間接的に推定結合部分間の結合の指標として役立ち得る。検出することができるシグナルには、光の放射および吸収が含まれる。例示的シグナルには、発色シグナル、蛍光シグナル、および発光シグナルが含まれる。これらのシグナルを、目視または分光光度計、蛍光光度計、顕微鏡、シンチレーションカウンター、もしくは当該分野で公知の他の装置を使用して検出および定量することができる。
本明細書中に開示のレポーター系成分の結合は、pH、イオン強度、アッセイの成分濃度、および温度などの溶液における要因に依存するであろう。アッセイ溶液を、特定の系のためにデザインし、構築することができる。本明細書中に開示のレポーター系を使用して、溶液(無細胞緩衝液、細胞内部、細胞溶液、細胞溶解物溶液、細胞画分(核画分、細胞質画分、ミトコンドリア画分、および膜画分など)の溶液など)中でアッセイを行うことができる。当該分野で公知のアッセイ溶液(酵素アッセイ溶液など)、細胞抽出物、および細胞懸濁液の調製方法を使用することができる。例えば、リン酸緩衝化生理食塩水などの生理学的に適合する緩衝液を使用することができる。例えば、the series,Methods in Enzymology,Academic Press,New Yorkを参照のこと。
1つの実施形態では、レポーターサブユニットは、相補して、基質を直接または間接的に検出可能な産物に変換を触媒することができる酵素活性複合体を形成することができる。1つの実施形態では、レポーター系は、それぞれ融合タンパク質である2つまたはそれを超える成分を含むことができる。この融合タンパク質は、それぞれ、低親和性レポーターサブユニットに融合した推定結合タンパク質を含む。したがって、融合タンパク質をコードする核酸を構築し、細胞に導入し、細胞中で発現することができる。あるいは、結合したレポーター単位または結合した結合部分を、結合した複合体への標識した特異的結合部分(抗体など)の結合の検出によって検出することができる。
1つの実施形態では、上記で概説するように、低親和性レポーターサブユニットは、β−galの相補サブユニットであり得る。系は、3つまたはそれを超えるレポーターサブユニット(これらの全てが検出可能なシグナルを生成するために会合することが必要である)を含むことができる。当該分野で開発された活性なβ−galの反応生成物の検出方法を使用することができる。例えば、β−ガラクトシダーゼ活性を、一定範囲の方法(生細胞フローサイトメトリーおよび発色性基質5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)での組織化学的染色が含まれる)によって測定することができる。Nolan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci,USA,85:2603−2607(1988);およびLojda,Z.,Enzyme Histochemistry:A Laboratory Manual,Springer,Berlin,(1979)。β−galの組織化学的染色を、細胞の固定およびその後のX−galへの曝露によって行うことができる。
Mohler and Blau,Proc.Natl.Acad.Sci.,93:12423−12427(1996)に記載のように、β−gal活性についてのアッセイを使用することができる。1つの実施形態では、細胞内分析を、細胞の固定およびインジゴ生成基質X−galでの染色によって行うことができる。固定細胞を、X−galまたは5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド(5−6−X−Gal)のいずれかと組み合わせたアゾ色素を使用した蛍光組織化学によるβ−gal活性についてのアッセイによって分析することもできる。目的の組み合わせは、アゾ色素であるレッドバイオレットLB(Sigma Chemical,St.Louis,Mo.)およびFluor−X−galと呼ばれる5−6−X−Galである。この組み合わせのために、ローダミン/テキサスレッドフィルターセットを使用した蛍光顕微鏡によって蛍光顕微鏡写真を得ることができる。これらの基質の使用によって、2つまたはそれを超える他の蛍光シグナルと同時にβ−gal依存性蛍光を視覚化することが可能である。
生細胞で使用することができるβ−galの重要な基質も本発明に含まれる。例えば、重要な蛍光発生基質であるレゾルフィンβ−ガラクトシドビス−アミノプロピルポリエチレングリコール1900(RGPEG)が記載されている。Minden(1996)BioTechniques 20(1):122−129。この化合物を、微量注入、エレクトロポレーション、または種々の大量負荷技術によって細胞に送達させることができる。一旦細胞内に入ると、基質は、原形質膜またギャップ結合によって脱出することができない。本発明の実施で使用することができる別の重要な基質は、フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)であり、これは、蛍光標示式細胞分取(FACS)およびフローサイトメトリーによる分析に特に十分にふさわしい。Nolan et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2603−2607およびRotman et al.(1963)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 50:1−6。
化学発光活性を使用して、β−galを検出することもできる。例えば、β−gal融合物を含む細胞を、Galactolight Plusアッセイキット(Tropix,Bedford Mass.)由来のGalacton Plus基質を含む緩衝液の混合物中に溶解する。Bronstein et al,J.Biolumin.Chemilumin.,4:99−111(1989)。光放放射促進溶液の添加後、照度計またはシンチレーションカウンターで発光を測定する。
分光学的分析または蛍光分析に適切な代表的基質には、以下が含まれるが、これらに限定されない:p−アミノフェニル−β−D−ガラクトピラノシド;2’−N−(ヘキサデカノール)−N−(アミノ−4’−ニトロフェニル)−β−D−ガラクトピラノシド;4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド;ナフチル(napthyl)−AS−B1−β−D−ガラクトピラノシド;1−ナフチル−β−D−ガラクトピラノシド;2−ナフチル−β−D−ガラクトピラノシド一水和物;O−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド;m−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド;p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド;およびフェニル−β−D−ガラクト−ピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシレドセ(galactopynanosiredse)、レゾルフィン−β−D−ガラクトピラノシド、7−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチルクマリン、Ω−ニトロスチリル−β−D−ガラクトピラノシド、およびフルオレセイン−β−D−ガラクトピラノシド。例えば、米国特許第5,444,161号を参照のこと。
β−gal以外のレポーター系も、本発明の実施で使用することができる。例えば、酵素β−グルクロニダーゼ(GUS)をレポーターとして使用することができ、発色性および蛍光発生GUS基質が開発されている。GUS基質である5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルクロン酸(X−gluc)を、以下に示すように、発色および蛍光発生の両方で使用することができる。1つの発色性染色方法では、固定細胞を、PBSで洗浄し、2mM X−gluc(Molecular Probes,Eugene Oreg.)、10mM EDTA、0.5mM KFe(CN)、0.5mM KFe(CN)、0.1% TritonX−100、0.1M NaPOで染色する。蛍光発生染色を、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルβ−D−グルクロン酸(5,6 X−gluc、Molecular Probes,Eugene,Oreg.)とFast Red Violet LB(Sigma Chemical,St.Louis,Mo.)との組み合わせの使用によって行うことができる。固定細胞を、PBSでリンスし、50μg/ml 5,6X−glucおよび100μg/ml Fast Red Violet LBで染色し、PBSでリンスした。蛍光を、ローダミン蛍光の検出のために調整した蛍光顕微鏡によって検出する。本発明の1つの実施形態では、レポーターサブユニットは、酵素および酵素のインヒビターを含む。これらの実施形態では、インヒビターは、この酵素に対する親和性が低い。この場合、推定結合部分の間の会合を、酵素活性の阻害によって証明する。例示的酵素には、β−gal、GUS、β−ラクタマーゼなどが含まれる。
本明細書中に開示の方法は、細胞溶解物およびインタクトな細胞における結合事象を検出および定量することができる。したがって、完全に折り畳まれたタンパク質の間の相互作用を検出可能であり、結合部分の同時翻訳発現は、結合の検出に必要ない。
本発明の実施では、反応生成物を、例えば、免疫学的技術(免疫蛍光標識など)によって間接的に検出することができる。
タンパク質−タンパク質相互作用を、1つまたは複数の融合タンパク質を含むレポーター系で測定することができる。融合タンパク質は、それぞれ、低親和性レポーターサブユニットにカップリングした推定結合タンパク質を含む。融合タンパク質の細胞内発現のために、融合タンパク質をコードする配列を含む1つまたは複数の融合遺伝子構築物を調製する。融合遺伝子構築物を、当該分野で利用可能な方法(ウイルスベクター、形質転換、供沈、エレクトロポレーション、中性またはカチオン性リポソーム媒介導入、微量注入、または遺伝子銃が含まれるが、これらに限定されない)によって細胞に導入することができる。
融合遺伝子構築物を含む細胞を使用して、種々の細胞ベースのアッセイを行うことができる。細胞中で発現した融合タンパク質上の推定結合部分の結合を、結合メンバーによって媒介された相補性を受けたレポーターサブユニットによって生成されたシグナルの検出によって確認することができる。したがって、例えば、レポーターサブユニットが相補β−galサブユニットである場合、β−gal活性を示す細胞は、これらの細胞内の推定結合部分間の結合を示す。
融合遺伝子構築物はまた、通常は推定結合部分をコードする遺伝子と会合するプロモーターおよび他の転写および/または翻訳調節配列を含むことができる。これにより、試験タンパク質が過剰発現する系と対照的に、in vivoで推定結合タンパク質の生理学的に関連するレベルを研究することが可能である。さらに、これにより、長期間にわたって結合活性レベルの天然に存在する変化を研究することが可能であり、結合相互作用に及ぼす内因性または外因性物質の影響を明らかにすることができる。
例えば、スクリーニングアッセイ(高処理スクリーニングアッセイが含まれる)において、本発明の方法および組成物を使用して、2つの推定結合パートナー間の相互作用に影響を及ぼす他の分子を研究することもできる。タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、イオン、小分子、合成化合物、または他の物質(細胞に対して内因性であるか、外因的に添加)は、結合相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができる。例えば、特定の試験タンパク質対に相当する2つまたはそれを超える融合物を含む細胞によって生成されたβ−gal活性に及ぼすかかる分子の影響の測定により、かかる分子のアゴニストまたはアンタゴニストの活性を決定することができる。本発明の方法および組成物の使用により、高処理アッセイを実施して、特定の結合相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストについて試験を行うことができる。かかる高処理アッセイは、医学的に関連するタンパク質−タンパク質相互作用に影響を及ぼす薬物のスクリーニングで有益であろう。
本明細書中で使用される推定結合パートナー(すなわち、推定結合部分)は、通常は相互作用しないが、それぞれ第3の分子と相互作用し、その結果、第3の分子の存在下で推定結合パートナーが1つになる分子を含むことができる。したがって、推定結合パートナー間の相互作用に影響を及ぼす物質には、推定結合パートナー間の弱い相互作用を刺激する物質および通常は相互作用しない分子間の相互作用を媒介する1つまたは複数の分子が含まれる。さらに、推定結合パートナー間の相互作用に影響を及ぼす物質には、上流領域に直接または間接的に影響を及ぼし、それにより、推定結合パートナー間で会合する物質が含まれ得る。例えば、推定結合パートナーのリン酸化によって別の推定結合パートナーと会合する能力が付与される場合、推定結合パートナーの相互作用に影響を及ぼす物質には、キナーゼ活性に直接または間接的に影響を及ぼす物質が含まれる。
本明細書中に開示のように、薬物(解熱薬および抗炎症薬、鎮痛薬、抗関節炎薬、鎮痙薬、抗鬱薬、抗精神病薬、精神安定薬、抗不安薬、麻酔性アンタゴニスト、抗パーキンソン病薬、コリン作動性アンタゴニスト、化学療法薬、免疫抑制薬、抗ウイルス薬、寄生虫駆除薬、食欲減衰薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗片頭痛薬、冠拡張薬、脳血管拡張薬、末梢血管拡張薬、ホルモン剤、避妊薬、抗血栓薬、利尿薬、血圧降下薬、心臓脈管薬、オピオイド、およびビタミンなど)を含む種々の組成物の分子内相互作用に及ぼす影響を試験するためのアッセイを開発することができる。
第3の分子によって媒介されたタンパク質−タンパク質相互作用を、検出および定量することができる。結合反応速度も研究することができる。例えば、結合反応速度を、第1および第2の結合メンバーと第1および第2のレポーターサブユニットとの融合物を発現する細胞の培養物への結合メディエーターの添加後の異なる時間でのβ−gal活性の測定によって決定することができる。用量−応答曲線も得ることができ、この曲線は、β−gal活性によって測定される結合範囲を結合メディエーター濃度の関数として決定する。このアッセイを、タンパク質成分がその融合パートナーに影響を及ぼす可能性を制御するように適応し、それにより、定量的様式でタンパク質−タンパク質相互作用を研究することができる。例えば、レポーターサブユニット、結合タンパク質、および目的のタンパク質を含む三成分(tripartite)融合構築物が得られる。目的の試験タンパク質を含む融合物および異なる潜在的相互作用パートナーを含む融合物の簡潔な同時発現によって得られたβ−gal活性の絶対値を決定する。類似のサンプルでは、一定量の試験タンパク質での相補性の誘導の際にβ−gal活性を測定する。試験タンパク質の非存在下および存在下で得られたβ−gal活性の比は、異なるタンパク質対が相互作用する相対的能力を示す。三成分融合系のさらなる利点は、第1および第2の結合メンバー成分の存在によってβ−gal変異体と試験タンパク質との間に可動性ヒンジドメインが得られることである。これにより、β−gal成分と試験タンパク質との間が妨害される可能性が減少する。さらに、これにより、より有効なウイルスベクターに再クローニングする必要のない様式で、β−gal成分の機能的完全性を直接試験することが可能である。
β−gal融合タンパク質の発現レベルを定量できるコントロールを使用して、レポーター系をデザインすることもできる。これにより、2つの(またはそれを超える)融合タンパク質の潜在的な差分配列を制御することができるようになるであろう。例えば、十分に特徴づけられたモノクローナル抗体が利用可能なペプチドタグは、各β−gal変異体のC末端でインフレームに融合することができる。異なるタグ(flag、HA、およびmycなど)を異なるサブユニットのために使用して、同一細胞で同時発現した場合に2つの変異体を差分検出することができる。これらの細胞の溶解物中のβ−gal活性の決定と並行して、ELISAアッセイは、サンプル溶解物中の正確な各β−gal融合タンパク質量を決定することができる。第1に、ポリクローナル抗β−gal抗血清を使用して、抗原を固定することができる。次いで、モノクローナル抗体を適切なタグに指向させ、その後、酵素結合抗マウス二次抗体を使用して、目的のβ−gal融合タンパク質量を定量することができる。十分に特徴づけられた技術を使用するかかるアプローチにより、各融合タンパク質の発現レベルを決定することができるはずである。結合したタグがタンパク質の結合またはレポーターサブユニットが相補する能力を損なうことがない場合、この修飾は有用であろう。
有用性
本発明の実施形態を、生細胞中で定量的または定性的に行うべき多タンパク質および他の多分子相互作用型の広範な研究で使用することができる。以下では、本発明の方法の異なる適用の非限定的な例を示す。
本発明の方法を使用して、所与の標的タンパク質の新規の結合パートナーをスクリーニングすることができる。この実施形態では、第1のレポーターサブユニットに結合した標的タンパク質は、十分に特徴づけられた細胞株中で安定に発現する。第2のレポーターサブユニットに融合したcDNAを含む発現ライブラリーを、例えば、レトロウイルスベクター(例えば、Kitamura et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA 92:9146−9150(1995))または当該分野で公知の任意の他の遺伝子導入手段を使用して、これらの細胞に導入する。標的タンパク質と相互作用する遺伝子産物を発現するベクターを、ポジティブクローン(すなわち、第1および第2のレポーターサブユニットの相補性に起因する活性を有するクローン)の同定によって単離する。この系の利点は、内因性(および潜在的に競合する)タンパク質の細胞の環境と無関係に、任意の細胞型中でスクリーニングを行うことができる点である。一定の実施形態では、特定の位置に制限された相互作用に関与するタンパク質を同定する目的で、標的タンパク質を特定の細胞区画に局在させる。蛍光標示式細胞分取技術の使用は、本発明のこの実施形態に特に十分に適合する。例えば、標的タンパク質と相互作用する遺伝子産物を発現するcDNAを含むβ−gal陽性細胞は、かかる細胞を細胞分取技術によって精製することが可能なシグナルを生成するであろう。かかるcDNAを、例えば、感染効率の高い複雑性の高いcDNAライブラリーを導入可能なレトロウイルスベクターを使用して送達させることができる。
本発明のアッセイおよび方法を、細胞外シグナル伝達分子、成長因子もしくは異なる因子、ペプチド、または薬物もしくは合成アナログなどの存在下で行うこともできる。その存在または影響により、特定の細胞型中の2つまたはそれを超える所与のタンパク質間で相互作用する可能性を変化させることができる。
本発明の方法および組成物を使用した分子相互作用の検出は、核内で生じる分子相互作用に制限されず、細胞内相互作用にも制限されない。例えば、表面受容体に関与する相互作用を、本発明の実施で検出することができる。1つの実施形態では、本発明は、生細胞中の表面受容体のリガンド誘導二量体化を検出するための新規の技術を提供する。細胞表面受容体の二量体化または高次オリゴマー化は、しばしば、受容体活性化および次のシグナル伝達の必須条件である。本発明の実施は、2つの異なる分子間の相互作用の検出に制限されない。本発明の方法および組成物を使用して、分子の多量体化も検出することができる。
一定の実施形態では、本発明の方法をレトロウイルス中で高力価で高複雑性のcDNAライブラリーと共に使用して、哺乳動物細胞中の特定の試験タンパク質の相互作用パートナーを同定する(例えば、タンパク質レベルで機能的ゲノミクスを行う)。この適用のために、例えば、第1のレトロウイルスベクター中に存在する場合にcDNAコード配列が第1のレポーターサブユニットをコードする配列に融合するcDNAライブラリーのレトロウイルスベクター中での構築を使用するであろう。第2の一連のレトロウイルスベクターでは、第2のレポーターサブユニットを、目的のタンパク質に結合する能力について試験される種々の異なるタンパク質に融合するであろう。第1のレトロウイルスベクターおよび一連の第2のレトロウイルスベクターの1つとの細胞の同時感染によって試験を行うであろう。目的のタンパク質に結合することができる試験タンパク質により、目的のタンパク質と同時発現する細胞中のレポーターシグナルを検出可能であろう。この適用は、医学的に関連するタンパク質相互作用のアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニングにも有用である。
本発明の1つの実施形態では、一連の第2のベクターの1つによってコードされるタンパク質が第1のベクターによってコードされる目的の結合タンパク質と相互作用することができる細胞を検出し、フローサイトメトリーまたは蛍光標示式細胞分取(FACS)によって検出および単離する。フローサイトメトリー法およびFACS法は、当該分野で周知である。例えば、Nolan et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2603−2607;Webster et al.,Exp.Cell Research,174:252−265(1988);およびParks et al.(1986)in The Handbook of Experimental Immunology,(eds.Weir,D.M.,Herzenberg,L.A.,Blackwell,C.C.& Herzenberg,L.A.),Blackwell,Edinburgh,4th edition,pp.29.1−29.21。このような方法で、結合が起こる細胞のクローンを、さらなる研究のため単離および増殖することができる。この態様は、発達機構の研究に特に適切であり、特定の発達に関連する相互作用が起こった細胞集団を選択し、この細胞集団のさらなる発達を研究することが可能であると同時に、比較のために相互作用が起こらなかった細胞をさらに研究することが可能である。類似の様式では、本発明の実施により、転写調節タンパク質、翻訳調節タンパク質、DNA複製タンパク質、mRNAスプライシングタンパク質、シグナル伝達に関与するタンパク質、細胞−細胞接着および細胞−基質接着(例えば、細胞移動、軸索ガイダンス、および血管形成)に関与するタンパク質、癌遺伝子産物、腫瘍抑制因子、細胞周期の制御に関与するタンパク質、ウイルスタンパク質(ウイルス複製の調節、ウイルス−宿主相互作用、およびウイルスアセンブリの調節に関与するウイルスタンパク質など)、サブユニット、架橋剤、修飾剤、または細胞骨格内の分子モーターであるタンパク質などのタンパク質に関与する相互作用を示す細胞の単離および/またはさらなる開発のための研究を可能にする。
その遺伝子がレポーターサブユニットに融合することができる所与の標的タンパク質のために、本発明の組成物および方法使用によって、相互作用する公知およびこれまで未知であったタンパク質または他の内因性もしくは外因性物質を同定することが可能である。同様の様式で、核酸配列データベースから得ることができる配列などの未知の機能のタンパク質をコードする配列(またはcDNAライブラリーなどの複数の配列)について、本発明の実施により、コードされたタンパク質が相互作用する分子を同定することが可能である。相互作用分子の同定により、未知のタンパク質の構造および/または機能に関連する情報が得られる。そのようなものとして、本発明の実施形態は、新規に発見されたタンパク質およびタンパク質コード核酸配列の同定および特徴づけに役立つ。
本発明の別の態様では、第1のレポーターサブユニットに融合した一方のcDNAライブラリーのコード産物を発現する第1の構築物組および第2のレポーターサブユニットに融合した第2の(同一の)cDNAライブラリーのコード産物を発現する第2の構築物組の生成によってタンパク質−タンパク質相互作用を同定するためのショットガンアプローチを行うことができる。2つの構築物組の同時発現および相補が起こる細胞の選択により、クローンの単離および相互作用パートナーをコードするcDNAの同定が可能である。相互作用パートナーの一方または両方が公知であり得る。あるいは、相互作用パートナーの両方がこれまで同定されていなかったタンパク質を示すことができる。両パートナーが公知である場合、その結合特異性に関する新規の情報を得ることができる。一方のパートナーが公知である場合、未知の結合パートナーの機能に関する情報を得ることができる。いずれも知られていない場合、これらが相互作用する所見により、相互作用対の一方または両方の最終的な同定を補助することができる。
本発明を、特定の分子のホモ二量体化もしくはヘテロ二量体化または多量体化のいずれかを調節する機構の研究(かかる二量体化/多量体化に影響を及ぼし得る合成または天然に存在する化合物を同定するための高効率スクリーニングが含まれる)に適用することができる。
本発明を、中枢神経系疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病など)で見いだされる異常または病原性のタンパク質凝集体の研究に適用することができる。これらの研究を、in vivoまたはin vitroモデル系で行うことができる。in vitroアッセイでは、多数の細胞型(培養神経細胞(例えば、哺乳動物、昆虫、線虫など)から目的のタンパク質凝集体を発現するように操作された非神経細胞までの範囲)を使用することができる。
例えば、最近の研究では、神経変性疾患(パーキンソン病が含まれる)に関連するα−シヌクレインの誤折り畳みおよび凝集を研究するために酵母細胞を使用している(例えば、本明細書中で参考として援用されるCooper et al.2006 Science 313:324−8を参照のこと)。上記の本発明の説明に関して、α−シヌクレインの2つの融合タンパク質(それぞれ対応するレポーターサブユニットを有する)を誘導発現する酵母作用を産生する。α−シヌクレイン凝集がこれらの細胞中で起こる場合(すなわち、両融合タンパク質が発現する場合)、レポーターサブユニットが相補して検出可能な活性を有する機能的酵素を生成するであろう。スクリーニングアッセイの実施では、両α−シヌクレイン融合タンパク質の発現を、1つまたは複数の候補薬剤の存在下または非存在下にて酵母細胞中で誘導する(薬剤を、α−シヌクレイン発現の誘導前、間、または後に添加することができる)。細胞中でα−シヌクレイン凝集を阻害、防止、および/または逆転する薬剤は、コントロール細胞と比較してレポーター遺伝子活性を減少させるであろう。この所望の活性を有する薬剤を、α−シヌクレイン凝集に起因する病態の治療薬としての安定性についてさらに評価する。
上記のように、細胞中に病原性凝集体を形成する他のタンパク質(またはタンパク質の組み合わせ)は、上記スクリーニングアッセイの主題であり得る。これらのアッセイは、迅速であり、且つ高処理スクリーニング(HTS)(例えば、高処理フローサイトメトリースクリーニング)に適用することができるので、治療薬のスクリーニングで非常に有用である。
本発明は、細胞中の一過性または非安定性タンパク質/タンパク質相互作用の存在を決定するアッセイでも使用される。本発明はin vivoで細胞中のタンパク質/タンパク質会合を読み出すことができるので、これらを使用して、標準的な細胞分画アッセイでは不可能である(すなわち、検出前のサンプルの処理中のタンパク質/タンパク質相互作用の破壊に起因する)不安定または一過性のタンパク質/タンパク質相互作用を検出することができる。
例えば、本発明を使用して、種々の細胞型(酵母、昆虫、哺乳動物、植物などが含まれる)中の熱ショックタンパク質(HSP、例えば、HSP−90)シャペロン複合体形成を研究することができる(例えば、Queitsch et al.2002 Nature 417:618;Cowen and Lindquist,2005 Science 309:2185;およびRutherford and Lindquist 1998 Nature 396:336(それぞれ、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。これらのアッセイでは、HSP/レポーターサブユニット融合タンパク質および対応する標的タンパク質/レポーターサブユニット融合タンパク質を構築し、細胞中で発現する。in vitroまたは生物(例えば、トランスジェニック動物)中の細胞を、1つまたは複数の目的の条件(例えば、薬物/抗生物質処理、温度ストレス、酸化ストレス、栄養ストレス、サイトカイン/ホルモン/成長因子での処理など)に供し、HSP融合タンパク質と標的融合タンパク質とのタンパク質/タンパク質相互作用をモニタリングする(すなわち、複合体の形成および溶解をモニタリングする)。レポーター融合ライブラリー(例えば、核酸ライブラリー)を特定の条件下でHSP関連メンバーの存在について試験するスクリーニングを設定することもできる。例えば、HSP融合タンパク質およびライブラリー融合タンパク質を発現する(例えば、ライブラリー由来の核酸によってコードされるタンパク質を発現する)細胞を、薬物および/または特定の条件で処理し、HSPのライブラリータンパク質との会合/解離をアッセイすることができる。かかるアッセイは、どのようにしてタンパク質(野生型および変異形態の両方)の活性が個別の条件下で調節されるのかを決定する場合に使用する。
本発明を、インタクトな細胞またはインタクトな動物内での特定の複合体の局在化に関する調査のために使用することができる。使用することができる細胞型は、初代細胞または株化細胞系および他の胚細胞型、新生児細胞型、もしくは成体細胞型、または形質転換細胞(例えば、自発的またはウイルス形質転換細胞)である。これらには、線維芽細胞、マクロファージ、筋芽細胞、破骨細胞、破骨細胞、造血細胞、ニューロン、グリア細胞、初代B−細胞およびT細胞、B細胞およびT細胞株、軟骨細胞、角化細胞、脂肪細胞、および肝細胞が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の実施により、相補変異体の会合の調節による酵素活性の調節についての系を考案することも可能である。本発明のこの態様は、プロドラッグのその活性形態への酵素駆動変換を調節する方法としてヒト療法に適用される可能性がある。
本発明の実施で研究することができる分子相互作用、特にタンパク質−タンパク質相互作用に関与する過程には、転写、翻訳、複製、有糸分裂、成長制御、細胞周期の進行および調節、アポトーシス、細胞−細胞相互作用、細胞−基層相互作用、および細胞−リガンド相互作用、細胞内シグナル伝達カスケード、発癌、細胞系譜、および胚発生が含まれるが、これらに限定されない。細胞リガンドの例には、レプチンおよび成長因子(上皮成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、およびインスリン様成長因子IおよびII(IGF−IおよびIGF−II)、トランスフォーミング成長因子αおよびβ(TGF−αおよびTGF−β)など)、エンドルフィンおよびエンドルフィン受容体、プロスタグランジンおよびその受容体、サイトカインおよびその受容体、神経伝達物質およびその受容体、アドレナリン受容体、コリン作動性受容体が含まれる。リガンドと相互作用することができる受容体には、以下が含まれるが、これらに限定されない:EGF、NGF、およびPDGF受容体およびレプチン受容体。
本発明の実施によって研究することができるさらなる相互作用には、細胞代謝および細胞構造に関与する相互作用が含まれる。これらには、エネルギー代謝に関与するか細胞の膜構造、細胞質、細胞骨格、オルガネラ、核、核基質、または染色体を確立するか修飾する相互作用が含まれるが、これらに限定されない。細胞外基質の構成要素または細胞外基質の構成要素と細胞の間の相互作用を、本発明の方法および組成物を使用して研究することもできる。
主題の親和性が減少した酵素相補性レポーター系のさらなる有用性には、米国特許出願公開20030219848号ならびに米国特許第4,378,428号;同第4,708,929号;同第5,037,735号;同第5,106,950号;同第5,362,625号;同第5,464,747号;同第5,604,091号;同第5,643,734号;およびPCT出願番号WO96/19732号;WO98/06648号;WO92/03559号;WO01/0214号;WO01/60840号、およびWO 00/039348号(その開示が本明細書中で参考として援用される)に記載の有用性が含まれるが、これらに限定されない。
キット
1つまたは複数の上記適用を実施するために使用されるキットも本発明によって提供される。一定の実施形態では、上記で概説するように、キットは、少なくとも、結合メンバーおよびレポーターサブユニットを含む1つまたは複数の融合タンパク質を構成性または誘導性に発現する細胞を含む。一定の実施形態では、上記で概説するように、キットは、かかる細胞を作製するためのエレメント(例えば、同一または異なるベクター上に存在する第1および第2の融合タンパク質をコードする第1および第2の核酸ならびに/または標準的な分子生物学技術を使用して目的のタンパク質を融合することができるレポーターサブユニットをコードする核酸)を含む。キットは、さらに、本発明の実施形態の実施に使用する1つまたは複数のさらなる成分(酵素基質、細胞成長培地などが含まれるが、これらに限定されない)を含む。
上記成分に加えて、主題のキットは、さらに、主題の方法の実施のための説明書を含むことができる。これらの説明書は、種々の形態で主題のキット中に存在することができ、その1つまたは複数がキット中に存在することができる。これらの説明書が存在することができる1つの形態は、適切な媒体または被印刷物上の印刷された情報である(例えば、情報が印刷された紙、キットの包装中、添付文書など)。さらに別の手段は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体(例えば、ディスケット、CDなど)であろう。存在することができるさらに別の手段は、インターネットによって離れたサイトに情報をアクセスするために使用することができるウェブサイトアドレスである。任意の都合のよい手段で、キット中に存在することができる。
以下の実施例を、例示のために提供し、これらは本発明を決して制限しない。
I.親和性が減少したβ−ガラクトシダーゼ系
本発明者らは、最近、β−galを使用してタンパク質翻訳をモニタリングするための近接ベースの低親和性酵素相補系を説明している。低親和性酵素相補性系を達成するために、Jacob and Monod(1961)によって最初に記載された古典的αペプチドを、結晶構造に基づいて特定の残基を短縮して変異させ、オメガ(ω)フラグメントに弱く相補するαペプチド(α)を駆動した。タンパク質の移動をアッセイするために、1つの酵素フラグメント(ω)を、特定の細胞内領域に局在させ、小さな相補αペプチドを目的のタンパク質に融合した。ωのすぐ周辺のαの濃度は、用量および時間依存様式で得た酵素活性量と相関し、局在タンパク質濃度についての遺伝学的にコードされたバイオセンサーとして役立った(T.S.Wehrman,C.L.Casipit,N.M.Gewertz,H.M.Blau,Nat Methods 2,521(July,2005))。その低親和性のために、αとωβ−galフラグメントとの間の相互作用は、相補した酵素を維持するのに十分に強くない。結果として、任意の所与の時間に得たβ−gal活性は、2つのフラグメントの動的相互作用の基準であり、その局所濃度を反映する。この親和性が減少した系は、2005年5月18日出願の米国特許出願公開11/132,764号(この出願の実験の部に記載の系およびその生成方法の開示は、本明細書中で参考として援用される)にさらに記載されている。
この系を使用して、2タンパク質の相互作用を、受容体タンパク質に融合したβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)酵素の低親和性変異サブユニットの相補性の関数として測定する(図1A)。誘導性および可逆性の相互作用をアッセイすることができ(信号雑音比が高い)、巨大なポリクローナル細胞集団の原形質膜中の受容体のホモ二量体およびヘテロ二量体を定量様式で比較することができる。
この特徴の組み合わせは、エネルギー移動に基づいた他のタンパク質相互作用検出系(Y.Xu,D.W.Piston,C.H.Johnson,Proc Natl Acad Sci USA 96,151(Jan.5,1999);B.A.Pollok,R.Heim,Trends Cell Biol 9,57(February,1999))または開裂酵素(split enzyme)(ジヒドロ葉酸還元酵素(J.N.Pelletier,F.X.Campbell−Valois,S.W.Michnick,Proc Natl Acad Sci USA 95,12141(Oct.13,1998))、β−ラクタマーゼ(A.Galarneau,M.Primeau,L.E.Trudeau,S.W.Michnick,Nat Biotechnol 20,619(June,2002);T.Wehrman,B.Kleaveland,J.H.Her,R.F.Balint,H.M.Blau,Proc Natl Acad Sci USA 99,3469(Mar.19,2002))、ルシフェラーゼ(R.Paulmurugan,S.S.Gambhir,Anal Chem 75,1584(Apr.1,2003))、および前述のβ−ガラクトシダーゼ(F.Rossi,C.A.Charlton,H.M.Blau,Proc Natl Acad Sci USA 94,8405(Aug.5,1997);F.Rossi,C.A.Charlton,H.M.Blau,Proc Natl Acad Sci USA 94,8405(Aug.5,1997))が含まれる)で見いだされない。すぐ下に概説するように、この新規の親和性が減少したβ−ガラクトシダーゼ系により、乳癌に関連するErbBファミリーメンバーの組み合わせ相互作用の比較分析が可能である。
II.EGFR、ErbB2、およびErbB3がホモ二量体化またはヘテロ二量体化する能力を調査するための親和性が減少したβ−ガラクトシダーゼ系の使用
ErbB2(HER2/Neu)(受容体値ロイシンキナーゼのErbBファミリーのメンバー)は、30%の乳癌で過剰発現し、特に、上皮成長因子受容体(EGFR)と同時発現した場合に、悪性表現型および不良な予後に最も明確に関連する(D.J.Slamon et al.,Science 235,177(Jan.9,1987);D.Gschwantler−Kaulich et al.,Oncol Rep 14,305(August,2005):M.P.DiGiovanna et al.,J Clin Oncol 23,1152(Feb.20,2005))。その腫瘍がErbB2を過剰発現する乳癌患者について、モノクローナル抗体であるハーセプチンは、前例のない様式での延命および再発率の減少によって治療を激変させた(M.J.Piccart−Gebhart et al.,N Engl J Med 353,1659(Oct.20,2005);M.A.Cobleigh et al.,J Clin Oncol 17,2639(September,1999);E.H.Romond et al.,N Engl J Med 353,1673(Oct.20,2005))。しかし、ハーセプチンは、使用される症例の一部しか有効でなく、今日まで、どのErbB2陽性腫瘍が治療に応答するかを予想するための根拠として認められていない。これは、ハーセプチンが作用する機構の理解が不十分であることに一部起因する。ハーセプチンが免疫系による破壊のために腫瘍細胞を標的にするといういくつかの証拠が存在するにもかかわらず(R.A.Clynes,T.L.Towers,L.G.Presta,J.V.Ravetch,Nat Med 6,443(April,2000))、免疫応答と無関係にin vitroで腫瘍細胞成長のインヒビターとして抗体を最初に選択した(R.M.Hudziak et al.,Mol Cell Biol 9,1165(March,1989))。ハーセプチンは、ErbB2のヘテロ二量体形成を遮断することは知られていないが、細胞増殖に及ぼすその阻害効果により、ハーセプチンがチロシンキナーゼのErbBファミリーによるシグナル伝達を妨害すると示唆される。ハーセプチンの作用機構の理解が困難であり続けている1つの理由は、利用可能な生化学的方法(精製または同時免疫沈降した受容体が含まれる)を使用した定量的様式でのErbB受容体の相互作用のモニタリングの難しさにある(K.M.Ferguson,P.J.Darling,M.J.Mohan,T.L.Macatee,M.A.Lemmon,Embo J 19,4632(Sep.1,2000);T.Horan et al.,J Biol Chem 270,24604(Oct.13,1995);D.Karunagaran et al.,Embo J 15,254(Jan.15,1996)。
ここに、本発明者らは、上記の実施例1に記載のように、インタクトな細胞の膜内で受容体相互作用をモニタリングすることが可能な新規のタンパク質相互作用検出系を使用して、EGFR、ErbB2、およびErbB3がホモ二量体化およびヘテロ二量体化する能力を調査した。この系を使用して、2タンパク質の相互作用を、受容体タンパク質に融合したβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)酵素の低親和性変異サブユニットの相補性の関数として測定する(図1A)。誘導性および可逆性の相互作用をアッセイすることができ(信号雑音比が高い)、巨大なポリクローナル細胞集団の原形質膜中の受容体のホモ二量体およびヘテロ二量体を定量様式で比較することができる。この特徴の組み合わせは、エネルギー移動に基づいた他のタンパク質相互作用(Y.Xu,D.W.Piston,C.H.Johnson,Proc Natl Acad Sci USA 96,151(Jan.5,1999);B.A.Pollok,R.Heim,Trends Cell Biol 9,57(February,1999))または開裂酵素(ジヒドロ葉酸還元酵素(J.N.Pelletier,F.X.Campbell−Valois,S.W.Michnick,Proc Natl Acad Sci USA 95,12141(Oct.13,1998))、β−ラクタマーゼ(A.Galarneau,M.Primeau,L.E.Trudeau,S.W.Michnick,Nat Biotechnol 20,619(June,2002);T.Wehrman,B.Kleaveland,J.H.Her,R.F.Balint,H.M.Blau,Proc Natl Acad Sci USA 99,3469(Mar.19,2002))、ルシフェラーゼ(R.Paulmurugan,S.S.Gambhir,Anal Chem 75,1584(Apr.1,2003))、および前述のβ−ガラクトシダーゼ(F.Rossi,C.A.Charlton,H.M.Blau,Proc Natl Acad Sci USA 94,8405(Aug.5,1997);F.Rossi,C.A.Charlton,H.M.Blau,Proc Natl Acad Sci USA 94,8405(Aug.5,1997))が含まれる)で見いだされない。本発明者らは、タンパク質転位置のアッセイのために構築した新規のβ−ガラクトシダーゼ系(T.S.Wehrman,C.L.Casipit,N.M.Gewertz,H.M.Blau,Nat Methods 2,521(July,2005))が、乳癌に関連するErbBファミリーメンバーの組み合わせ相互作用の比較分析を行うことができると主張した。
提案した受容体のErbBファミリーの相互作用研究のために、特定の誘導性タンパク質−タンパク質相互作用の分析のための近接性ベースの低親和性β−gal相補性系の見込みを最初に立証した。第1に、FKBP12とFRB(高親和性で会合する細胞質タンパク質)との間のラパマイシン誘導性相互作用(J.Chen,X.F.Zheng,E.J.Brown,S.L.Schreiber,Proc Natl Acad Sci USA 92,4947(May 23,1995))を、化学発光によってアッセイした。FKBP12ωおよびFRBαを発現する細胞のラパマイシンでの2時間の処理により、β−gal活性が10倍増加した(図1B)。β−gal系を使用してより低い親和性の相互作用をモニタリングすることもできるかどうかを決定するために、可逆的相互作用であるGタンパク質共役受容体であるβ2アドレナリン作動性(adenergic)受容体(B2AR)のβ−アレスチン2との会合を評価した。刺激の際、B2ARがリン酸化されるようになり、β−アレスチン2に結合する。B2AR−ωおよびβ−アレスチン2α融合タンパク質を発現する細胞のアゴニスト(イソプロテレノール)での処理により、酵素活性が5倍に増加し、アンタゴニスト(プロプラノロール)での前処理によって活性が防止された(図1C〜E)。β−gal活性の関数として得た用量−応答およびEC50は、公開された値と良好に一致し(R.H.Oakley et al.,Assay Drug Dev Technol 1,21(November,2002))、低親和性近接性ベースのα−相補性をその天然の状況(インタクトな細胞の膜)におけるタンパク質−タンパク質相互作用の定量的基準として使用することができる。
ErbB2は、一般に、各リガンド結合ErbB受容体(EGFRおよびErbB3)の好ましいヘテロ二量体化パートナーと見なされているが(D.Graus−Porta,R.R.Beerli,J.M.Daly,N.E.Hynes,Embo J 16,1647(Apr.1,1997))、従来の方法を使用したErbB2相互作用の特徴づけに問題があった。例えば、ErbB2の細胞外ドメインは、溶液中でヘテロ二量体を形成することが示されておらず(K.M.Ferguson,P.J.Darling,M.J.Mohan,T.L.Macatee,M.A.Lemmon,Embo J 19,4632(Sep.1,2000))、受容体相互作用の代替マーカーとしてのリン酸化の使用では矛盾した結果が導かれた(D.J.Riese,2nd,T.M.van Raaij,G.D.Plowman,G.C.Andrews,D.F.Stern,Mol Cell Biol 15,5770(October,1995);D.Graus−Porta,R.R.Beerli,J.M.Daly,N.E.Hynes,Embo J 16,1647(Apr.1,1997))。本発明者らは、原形質膜中のEGFR、ErbB2、およびErbB3の研究のために低親和性β−gal系を適用した。受容体のクラスター化および内在化を防止するために、受容体の細胞内ドメインを、受容体−αキメラまたは受容体−ωキメラ中に含めなかった(図1F)。EGFへの曝露により、時間依存性に酵素活性が増加し、これらの受容体の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、ヘテロ二量体形成の媒介に十分であることが証明された(図1G)。β−galアッセイがこの相互作用の動的性質をモニタリングすることができることを検証するために、誘導物質(EGFおよびTGF−α)を最初に添加し、その後に分析前に培地から取り出す実験を行った。β−gal活性は経時的に減少し、シグナルはEGF曝露後よりもTGF−α後に急速に減衰し、β−gal活性の喪失速度がリガンド特異性を示すことを示した(図1H)。これらの結果は、β−galアッセイが可逆的相互作用をモニタリングすることができ、これは、今まで記載されている他の酵素相補性系と異なる。
β−gal融合タンパク質の量がβ−gal酵素活性に影響を及ぼすので、異なる受容体対の定量的比較を行うために、細胞中の受容体発現レベルを制御した(図2)。このために、ErbBファミリーメンバーを非常に低いレベルで発現するC2C12細胞を使用して2つの類似の細胞株を構築した(S.Corti et al.,Exp Cell Res 268,36(Aug.1,2001))。これらの細胞を、ErbB2−ωまたはEGFR−ω融合タンパク質のいずれかを発現するように操作した。次いで、各ω発現親細胞株を分割し、異なるα−融合タンパク質(EGFR−α、ErbB2−α、ErbB3−α)をコードする3つの各構築物で形質導入した。細胞を同一の親株から生成したので、細胞は、等量のωを発現した。αキメラタンパク質発現レベルを測定するために、YFPを各構築物中のErbB受容体とαとの間に含めた。α−融合タンパク質レベルが類似であるように類似のYFPレベルを発現する細胞をFACSによって単離した。YFPを共焦点顕微鏡方によって画像化し、確実に受容体融合タンパク質がその機能に不可欠な原形質膜に適切に局在させた(図3)。
リガンド刺激酵素活性を、受容体対を発現する6つの各細胞株について評価した。細胞を、EGFRに結合するリガンドEGFまたはErbB3受容体に結合するリガンドヘレグリン(HRGβ1)のいずれかに曝露した(N.E.Hynes,H.A.Lane,Nat Rev Cancer 5,341(May,2005))。全ての予想される相互作用が認められた(図4A)。EGFはEGFRをホモ二量体化させ、EGFRをErbB2とヘテロ二量体化させたのに対して、HRGβ1はこれらの受容体の相互作用を誘導できなかった。EGFRω−ErbB2αまたはErbB2ω−EGFRαを発現した細胞を比較した場合、応答は類似していた。受容体がαまたはωに融合するかどうかと無関係に類似の相互作用が起こることを示したので、この所見は重要である。EGFRによるErbB3のリン酸化が他の者によって示されているにもかかわらず(D.J.Riese,2nd,T.M.van Raaij,G.D.Plowman,G.C.Andrews,D.F.Stern,Mol Cell Biol 15,5770(October,1995);K.Zhang et al.,J Biol Chem 271,3884(Feb.16,1996))、本発明者らはこれら2つのタンパク質間で有意な相互作用を検出せず、EGFRによるErbB3の活性化がその細胞外ドメインの二量体化によって媒介される可能性が低いことを示した。ErbB2ωおよびErbB3αを発現する細胞は、HRGβ1とのみ反応してヘテロ二量体を生成したが、EGFとは反応しなかった。ErbB2ωおよびErbB2αを発現する細胞はEGFまたはHRGβ1処理のいずれとも反応せず、ErbB2がいかなる公知のリガンドとも結合できないことと一致していた。
ErbB2の結晶構造によってErbB2が構成性に活性な高次構造であることが明らかとなり、ErbB2は自発的にホモ二量体化し、シグナルを生じることができることが示唆される(H.S.Cho et al.,Nature 421,756(Feb.13,2003);T.P.Garrett et al.,Mol Cell 11,495(February,2003))。しかし、この見解は、ErbB2のみではErbB2の完全な活性化が起こらないが、細胞中の他のErbB受容体の存在が必要であるという所見によって支持されない(Y.Yarden,Oncology 61 Suppl 2,1(2001))。さらに、生化学的研究では、in vitroでErbB2ホモ二量体を検出することができなかった。本発明者らの研究は、誘導物質の非存在下で酵素活性が全ての細胞株で類似しているので、ErbB2が試験した他の受容体対よりも容易に自発的ホモ二量体を形成しないことが確認された(図4B)。
ErbB2に対する3つのモノクローナル抗体を、ErbB受容体二量体レベルに及ぼすその影響について試験した(図5A)。抗体L87は、ErbB2の細胞外ドメインに結合するが、受容体活性化に影響を及ぼさない(L.N.Klapper et al.,Oncogene 14,2099(May 1,1997))。β−gal相補性によってアッセイした場合、L87はEGFRまたはErbB3のいずれかとのErbB2の相互作用に影響を及ぼさなかった。抗体2C4は、ErbB3またはEGFRのいずれかとのErbB2の二量体化を防止することが見いだされ、これは、リン酸化の関数として活性をアッセイした以前の報告と良好に一致した(D.B.Agus et al.,Cancer Cell 2,127(August,2002))。明白に、ハーセプチンは、EGFRωのErbB2αとの相互作用を顕著に阻害した。2C4と対照的に、ハーセプチンは、ErbB2ω−ErbB3α二量体化を比較的小さく阻害した。ハーセプチンのこれらの影響は用量依存性であり、EGFRω−ErbB2α相互作用の阻害は2C4と同様の用量で起こった(図5B、C)。結果が受容体が融合したβ−galフラグメントに影響を受けないことを確認するために、EGFRαおよびErbB2ωを使用して同一の実験を行い、類似の結果が得られた(図6)。本発明者らは、2C4による二量体形成のより高い阻害は、ハーセプチンがErbB2の膜近傍ドメインに結合するのに対して、2C4がErbB2の二量体化アームに結合するという事実に起因すると主張する。
上記の二量体化研究は、ハーセプチンが主にErbB2−EGFRヘテロ二量体の形成を阻害することを示す。ハーセプチンは、ErbB2−ErbB3ヘテロ二量体よりも強力にErbB2−EGFRヘテロ二量体の形成を阻害することが可能であるにもかかわらず、配列レベルおよび構造レベルの両方でErbB受容体の細胞外ドメインの相同性が高いので、これは可能性が低いようである。本発明者らは、EGFRが容易にホモ二量体化するのに対して、ErbB3はそうでないので(M.B.Berger,J.M.Mendrola,M.A.Lemmon,FEBS Lett 569,332(Jul.2,2004))、EGFR単量体がホモ二量体を形成する傾向は、ErbB2−EGFRヘテロ二量体の形成と競合すると主張する。対照的に、ErbB3はホモ二量体化することができず、ハーセプチンの存在下でさえもErbB3単量体が遊離し、これがErbB2とのヘテロ二量体化に利用可能である。結果として、ErbB3と異なり、EGFRは、EGFR−EGFR複合体中に徐々に捕捉され、漸増的にヘテロ二量体化に利用できなくなるであろう。
ErbB受容体の公知の性質を加えた本発明のデータにより、ハーセプチンがEGFRおよびErbB2の両方を発現する細胞中でのEGFRホモ二量体化に影響を及ぼすかどうかを試験する必要に迫られた。図4Aに示すように、ErbB2ヘテロ二量体およびEGFRホモ二量体は、同等の効率で形成される。結果として、ハーセプチン処理によるヘテロ二量体形成の阻害によってホモ二量体の比率がより高くなるはずである(B.S.Hendriks,H.S.Wiley,D.Lauffenburger,Biophys J 85,2732(October,2003))。この仮説の試験として、β−galフラグメントを欠く野生型ErbB2が、EGFRα−EGFRω細胞株中で過剰発現した。予想通り、EGFへの曝露ではβ−gal活性を刺激することができず、ヘテロ二量体を形成する強い傾向が得られた(図7A)。しかし、細胞をハーセプチン抗体とプレインキュベートした場合、ハーセプチンに結合したErbB2はEGFRとヘテロ二量体化する能力が減少したので、EGFはβ−gal活性を増加させた。この破壊により、EGFRαとEGFRωとが相互作用し、ホモ二量体化した。2C4の添加により、より広い範囲の細胞株のβ−gal活性のEGF誘導性増加が修復され、予想されるように、ハーセプチンと比較してErbB2ヘテロ二量体がより強く阻害された。
本発明者らは、ハーセプチンの存在下でのEGFRホモ二量体形成の増加により、EGFRが急速に内在化してホモ二量体として分解するが、ErbB2とのヘテロ二量体としては分解されないので、細胞表面上のEGFRが減少するであろうと推論した(Z.Wang,L.Zhang,T.K.Yeung,X.Chen,Mol Biol Cell 10,1621(May,1999))。この仮説を試験するために、野生型EGFRおよび野生型ErbB2を細胞中に同時発現させ、細胞表面上のEGFRを、フローサイトメトリーによって定量した(図7B)。ハーセプチンおよび2C4の両方により、コントロールとの比較によってEGF処理の際に細胞表面からEGFRが急速に喪失した。EGFRおよびErbB2の両方を過剰発現することが公知のSKBR3乳癌細胞株を使用して類似の実験を行い、ハーセプチンおよび2C4の存在下でEGF誘導性EGFR内在化が同様に増加した(図7C)。これらの実験は、EGFRおよびErbB2のハーセプチンとのヘテロ二量体化の阻止がErbB2活性を減少させるだけでなく、EGFRホモ二量体形成が増加し、その後に活性化受容体がより有効に下方制御されることを示す。まとめると、これらの所見により、ハーセプチンのErbB2発現癌細胞の成長を阻害する能力が説明される。
インタクトな膜内での動的受容体相互作用をモニタリングする方法の構築は、ErbBファミリーメンバーの組み合わせ相互作用の研究に極めて重要であった。このアッセイは、融合されるβ−gal酵素フラグメントの近傍を誘導した際に得られる酵素活性の関数としてのタンパク質の相互作用を測定する。各フラグメントの発現レベルの制御により、受容体ヘテロ二量体およびホモ二量体の全プロフィールを、異なる受容体組み合わせを発現する細胞株間で比較することができる。アッセイは、感度が高く、定量的で、誘導性があり、可逆的である。本研究でErbBファミリーの相互作用に適用したが、本明細書中に記載のタンパク質相互作用検出系は、目的の他のタンパク質相互作用に容易に適合することができる。
10年以上にわたってハーセプチンが臨床的に使用されているにもかかわらず、ErbBファミリーの二量体化に及ぼすその影響については明確に特徴づけられていない。本発明者らは、ハーセプチンがErbB2−ErbB3ではなくて主にErbB2−EGFRヘテロ二量体レベルに影響を及ぼすことをここに示す。結果として、ハーセプチン曝露は、以下の2つの相関する機構によってシグナル伝達を阻害する:(1)ErbB2−EGFRヘテロ二量体の破壊および(2)細胞表面上の総EGFR発現の減少。ハーセプチンは最初に直接遮断してEGFRホモ二量体化を増加させ、その後に急速に内在化し、最終的にEGFRレベルを減少させる。まとめると、本研究における所見により、ハーセプチンがErbB受容体シグナル伝達を阻害し、それによって腫瘍細胞成長を阻害する機構(ErbB2−EGFRヘテロ二量体のターゲティング)が示唆される。
重要には、本明細書中に報告したin vitroでの所見は、ハーセプチンに対する応答者および非応答者由来の腫瘍サンプルの最近報告されたErbB2受容体発現プロフィールと十分に相関する。腫瘍がErbB2を過剰発現する患者では、ハーセプチン治療に対する応答は、EGFRおよびそのリガンドの同時発現と相関し、ErbB3と対照的であった(G.Hudelist et al.,Int J Cancer(Sep.13,2005);B.L.Smith et al.,Br J Cancer 91,1190(Sep.13,2004))。したがって、本研究におけるデータは、応答の予想およびハーセプチン療法から恩恵を受ける可能性のある患者の選択のための機構的基本を提供する。
III.材料と方法
A.β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質の生成
EGFRの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン(aa1〜679)、ErbB2(aa1〜686)、およびErbB3(aa1〜693)、ならびに全長B2AR(全ヒト)を、5’Mfelおよび3’XhoI部位を使用してcDNAクローンからPCR増幅した。PCR産物を、WZLレトロウイルス構築物およびYFPH31Rα(α)レトロウイルス構築物中のωフラグメントのアミノ末端に融合した。ヒトβ−アレスチン2の全コード配列を、cDNAクローンからPCR増幅し、EcoRIおよびXhoI部位を含むプライマーを使用して、ωおよびαベクターのMfeI−XhoI部位に挿入した。FKBP12の完全なコード配列およびヒトFRAPのaa2025〜2114をPCR増幅し、Mfel−XhoIフラグメントしてωおよびαベクターに挿入した。全長ErbB2およびEGFRもcDNAクローンからPCR増幅し、Mfel−XhoI制限酵素を使用して、MFGレトロウイルスベクターに挿入した。
B.ウイルスの産生および細胞培養
製造者の説明書にしたがって、6ウェル皿中で、リポフェクタミン2000トランスフェクション試薬(Invitrogen,Carlsbad Calif.)を使用して、φnx−パッケージング細胞株(P.L.Achacoso and G.P.Nolan)にレトロウイルスベクターをトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、C2C12細胞上の0.45μmのシリンジフィルターによってウイルスの上清を濾過した。最終濃度4μg/mlでポリブレンを添加し、Beckman卓上遠心分離機において1900RPMで30分間プレートをスピンした。細胞を、37℃、5%COの加湿インキュベーターに12時間戻し、培地を新鮮な培地と交換した。C2C12細胞を、pen/stepを含む20%FBS DMEM中で成長させた。適切な細胞を、1μg/ml G418(Invitrogen)を使用して選択するか、FL1チャネルを使用したFACSTARフローサイトメーターによってYFP発現について分取した。ATCCからSKBR3細胞株を入手した。SKBR3細胞を、10%FBS、pen/strep、およびグルタミンを補足したMcCoy’s 5A培地中で培養した。
C.細胞の処理およびアッセイ
ハーセプチンおよび2C4は、Genentech(Sliwkowski,MX)から厚意的に贈与された。全ての他の抗体は、Neomarkers(Labvision)から入手した。組換えヒトhEGF、hHRGβ1、およびhTGF−αをPeprotechから入手し、水に再懸濁し、その直後に等分して凍結した。イソプロテレノール、プロプラノロール、およびラパマイシンは、Sigmaから入手した。イソプロテレノールを、各実験前に水に再懸濁した。β−ガラクトシダーゼ活性の測定のために、細胞を、96ウェル皿に20,000細胞/ウェルで一晩播種した。適切な処理後、細胞から培地を除去し、Galacton−Star(Gal−screen kit,Applied Biosystems)の20倍希釈物と混合した50μl緩衝液Bを添加した。細胞を、室温で45分間インキュベートし、その後、1秒間の積分時間を使用してTropix TR717照度計で発光を測定した。内在化アッセイのために、アッセイの少なくとも24時間前に細胞を12ウェル皿に播種した。細胞は、血清を含まない適切な培地中で4時間血清を枯渇させ、次いで、100ng/ml EGFで処理した。ウェルをトリプシン処理し、氷上に置いてさらなるエンドサイトーシスを防止した。細胞を氷冷培地中でリンスし、Alexa647(molecular probes)に抱合した抗EGFR Ab−11(Neomarkers)を使用して、5%BSA/PBS溶液中で20分間染色し、5%BSA/PBSで再度洗浄した。製造者の説明書にしたがって抗体抱合を行い、最適な用量設定で使用した。
そのようなものとして、本発明は、当該分野に有意に寄与する。
前述の発明は、理解を明確にするための説明および例によっていくらか詳細に記載しているが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、一定の変更形態および修正形態を得ることができることが当業者に明らかである。
したがって、前述は、本発明の原理を説明しているにすぎない。当業者は、本明細書中に明確に記載も示しもしていないが、本発明の原理を具体化して種々の配置を考案することができ、これが本発明の精神および範囲内に含まれると認識されるであろう。さらに、本明細書中に引用された全ての実施例および条件付きの用語は、主に本発明の原理および本発明者らによって技術の促進に寄与した概念についての読者の理解を補助することを目的とし、かかる具体的に引用した実施例および条件に制限されないと解釈すべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態ならびにその特定の例を引用した本明細書中の全ての記述は、その構造的等価物および機能的等価物の両方を含むことが意図される。さらに、かかる等価物には、現在公知の等価物および将来的に開発される等価物(すなわち、構造と無関係に同一の機能を果たす開発された任意の要素)が含まれることが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書中に表示および記載した例示的実施形態に制限されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
β−ガラクトシダーゼの親和性が減少したα−相補性によってモニタリングされた誘導性タンパク質相互作用。A)低親和性α相補性系の略図。2つのキメラタンパク質の物理的会合により、変異β−galフラグメント、M15(ω)、およびH31Rα(α)を近接させてβ−ガラクトシダーゼ活性が得られる。B)低親和性α−相補性は、強いタンパク質相互作用をモニタリングする。FRBαおよびFKBP12ωを発現する細胞は、ラパマイシン(Rap)への曝露後にβ−ガラクトシダーゼ活性が増加した。C)低親和性α−相補性は、膜結合β2−アドレナリン受容体(B2AR)の誘導性相互作用などのタンパク質相互作用を定量的にモニタリングし、B2ARωおよびβ−アレスチン2αキメラを発現する細胞中の細胞質β−アレスチン2をモニタリングした。αは、目的のタンパク質である黄色蛍光タンパク質(YFP)−H31Rα融合物からなるキメラタンパク質を示す。D)β−gal活性としてアッセイしたアゴニストであるイソプロテロノール(isoproteronol)への曝露45分後のB2ARωおよびβ−アレスチン2αキメラの用量応答。E)B2ARωとβ−アレスチン2αとの相互作用は、アンタゴニストであるプロパノロールによって用量依存性様式で防止された。10μMイソプロテレノール添加の10分前に漸増用量のプロパノロールを細胞に添加し、45分後にβ−gal活性を測定した。F〜G)低親和性α−相補性は、EGFRとErbB2との間のヘテロ二量体形態をモニタリングする。EGFRおよびErbB2の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを使用して、2つのキメラEGFRωおよびErbB2αを作製した。G)EGFRωおよびErbB2αの両方を発現する細胞を、100ng/ml EGFで刺激し、酵素活性を測定し、長期にわたるヘテロ二量体形成の増加が証明された。H)低親和性α−相補性は、劇的且つ可逆的様式でEGFRとErbB2との相互作用をモニタリングする。EGFまたはTGF−αのいずれかでの刺激後、過剰なリガンドを除去し(洗い流し)、二量体の解離を、酵素活性の関数として測定した。リガンドの存在下での細胞中の定常状態でのβ−gal活性を、100%に規準化し、リガンドの非存在下での細胞中のβ−gal活性を、0と指定した。 基礎β−gal活性は、αおよびωキメラの発現レベルに依存する。A)B2ARω−β−アレスチン2αおよびEGFRω−ErbB2α細胞株を、αペプチドレベルの指標として役立つYFP蛍光レベルに基づいたフローサイトメトリーによって区別した。B)分取後、各細胞株由来の同数の細胞を、96ウェル皿にプレートし、インデューサーの非存在下でβ−gal活性を測定した。酵素活性を、蛍光強度と比較し、最も低い発現物質(expresser)を蛍光およびβ−gal活性について1にスケーリングした(scaled)。αペプチドの発現レベルが増加するにつれて、バックグラウンドβ−gal活性は増加する。 EGFR、ErbB2、およびErbB3受容体対の基礎相互作用および誘導相互作用のプロファイリングのための比較可能なαおよびωを有する細胞株の作製。A)全キメラが同様に発現し、原形質膜に局在することを確実にするために、α融合構築物を、HEK293細胞にトランスフェクトし、共焦点顕微鏡法によってYFP蛍光について画像化した。B)2つの親細胞株を、EGFRωまたはErbB2ωのいずれかを発現するC2C12細胞から作製した。親株を、αキメラで形質導入し、類似のYFP発現レベルについて分取した。C)各細胞株についての平均蛍光の定量により、6つ全ての株の変動は15%未満である。 EGFRと、ErbB2と、ErbB3との間の基礎相互作用および誘導相互作用の比較分析。A)ErbB受容体キメラタンパク質の異なる組み合わせを発現する6つの各細胞株のアリコートを、20,000細胞/ウェルの密度で96ウェル皿にプレートした。細胞を、標示のリガンドで45分間刺激し、β−gal活性を測定した。EGFへの曝露の際、EGFRホモ二量体およびEGFR−ErbB2ヘテロ二量体が形成されたのに対して、ヘレグリン処理により、ErbB2−ErbB3ヘテロ二量体のみが形成された。B)各細胞株について、リガンドの非存在下で測定したβ−gal活性は、基礎二量体化レベルを示す。ErbB2がEGFRまたはErbB3と比較してホモ二量体を形成する傾向が高くないことに留意のこと。 ErbB2二量体化に対するモノクローナル抗体の明確な効果。A)ErbB2ω−ErbB3α細胞株およびEGFRω−ErbB2α細胞株を、適切なリガンドで刺激した1ug/mlの表示の抗体に30分間曝露し、β−gal活性についてアッセイした。コントロールIgGおよびL87抗体は、ErbB2相互作用に影響を及ぼさなかった。2C4抗体は、全てのErbB2相互作用を完全に阻害し、ハーセプチンはEGFRとErbB2との間の相互作用を強く阻害するが、ErbB2とErbB3との間の相互作用に最小の影響しか及ぼさなかった。B)ハーセプチンおよび2C4によるErbB2相互作用の阻害が、類似の抗体濃度で起こる。細胞株を異なる用量の表示のモノクローナル抗体で予め処理し、その後に100ng/mlのEGFまたはヘレグリン(HRGβ1)のいずれかを添加した。AおよびBの両方では、データを、図1Hに記載のように規準化した。 β−gal活性によって測定したEGFR−ErbB2二量体化のハーセプチン媒介阻害は、キメラタンパク質を作製するために使用したβ−galフラグメント(ωまたはα)と無関係である。図3は、EGFの存在下でのEGFRωとErbB2αとのヘテロ二量体化の阻害を示す。これがβ−gal相補性系の結果ではなかったことを確実にするために、EGFRαErbB2ω細胞株も試験した。細胞を、EGF処理前に種々の用量のハーセプチンで30分間処理した。 ハーセプチンおよび2C4によるEGFR−ErbB2ヘテロ二量体化阻害により、EGFRホモ二量体形成および内在化が増加する。A)EGFRω、EGFRα、および過剰発現野生型ErbB2(β−galフラグメントなし)を発現するC2C12細胞を、漸増濃度のEGFで処理した。過剰なErbB2の存在下では、ヘテロ二量体形成が好まれ、抗体の非存在下(Abなし)では、酵素活性はEGFに応答して増加しない。ハーセプチンおよび2C4は、ErbB2のEGFRとの会合を阻害する。EGF処理前の1ug/mlの各抗体とのインキュベーションにより、EGFRがホモ二量体を形成する能力が開腹する。(B〜C)抗体処理に応答したEGFR内在化のアッセイ。野生型EGFRおよびErbB2の両方を過剰発現するC2C12細胞(B)または乳癌細胞株、これらの受容体の両方を発現するSKBR3(C)を、異なる時点でEGFで刺激し、抗EGFR抗体(Ab−11)とインキュベートし、フローサイトメトリーによって分析した。ハーセプチンおよび2C4曲線のために、各時点のEGF添加の10分前に5ug/mlの各抗体を添加した。各抗体により、両細胞株において、コントロール(Abなし)と比較して、細胞表面上のEGFRの存在が急速に減少した。

Claims (21)

  1. 第1のタンパク質および第2のタンパク質が相互に結合するかどうかを決定する方法であって、
    (a)以下:
    (i)該第1のタンパク質と第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第1の融合タンパク質であって、該第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが配列番号1(H31R)のN末端β−ガラクトシダーゼペプチドである、第1の融合タンパク質、および
    (ii)該第2のタンパク質と第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第2の融合タンパク質
    を含む細胞を提供する工程であって、
    ここで、該第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントおよび第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが相互に結合親和性を有し、該第1のタンパク質と該第2のタンパク質との間の該結合の非存在下で検出可能なレベルのβ−ガラクトシダーゼ活性の欠如が得られる、提供する工程、および
    (b)該細胞をβ−ガラクトシダーゼ活性について評価して、該第1のタンパク質および第2のタンパク質が相互に結合するかどうかを決定する工程
    を含む、方法。
  2. 前記提供する工程が、前記第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質をコードする核酸を前記細胞に導入する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記核酸が前記細胞に連続的に導入される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記核酸が前記細胞に同時に導入される、請求項2に記載の方法。
  5. 前記方法が、前記評価の前に前記細胞を候補相互作用調整剤と接触させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記評価が、認められたβ−ガラクトシダーゼ活性を前記検出可能なレベルのβ−ガラクトシダーゼ活性の欠如と比較する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記細胞が酵母細胞である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記結合が細胞内部位で起こる、請求項1に記載の方法。
  10. 前記結合が原形質膜部位で起こる、請求項1に記載の方法。
  11. 第1のタンパク質および第2のタンパク質が結合するかどうかの決定に使用するための細胞であって、
    (a)該第1のタンパク質と第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第1の融合タンパク質であって、該第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが配列番号1(H31R)のβ−ガラクトシダーゼペプチドであ、第1の融合タンパク質、および
    (b)該第2のタンパク質と第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第2の融合タンパク質
    を含み、該第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントおよび第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが相互に低い親和性を有し、該第1のタンパク質と該第2のタンパク質との間の結合の非存在下で検出可能なレベルのβ−ガラクトシダーゼ活性の欠如が得られ、該活性は該第1のタンパク質と該第2のタンパク質との間の結合の存在下で認められる活性よりも低い、細胞。
  12. 前記第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質が細胞内タンパク質である、請求項11に記載の細胞。
  13. 前記第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質の少なくとも1つが膜結合タンパク質である、請求項11に記載の細胞。
  14. 前記第1の融合タンパク質および第2の融合タンパク質の両方が膜結合タンパク質である、請求項11に記載の細胞。
  15. 第1のタンパク質および第2のタンパク質が結合するかどうかの決定に使用するためのキットであって、
    (a)細胞であって、
    (i)該第1のタンパク質と第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第1の融合タンパク質であって、該第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが配列番号1(H31R)のペプチドである、第1の融合タンパク質、および
    (ii)該第2のタンパク質と第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの第2の融合タンパク質
    を含む、細胞、ならびに
    (b)β−ガラクトシダーゼ基質
    を含む、キット。
  16. 第1のタンパク質と第2のタンパク質の間の誘導性かつ可逆的な相互作用の定量的な様式での決定に使用するためのキットであって、
    (a)第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントをコードする第1の核酸、および
    (b)第2のβ−ガラクトシダーゼフラグメントをコードする第2の核酸
    を含み、
    該第1のβ−ガラクトシダーゼフラグメントが配列番号1からなるβ−ガラクトシダーゼフラグメントである、キット。
  17. 前記第1の核酸および第2の核酸がベクター上に存在する、請求項16に記載のキット。
  18. 前記ベクターが制限部位を含み、該制限部位は、タンパク質コード配列を該制限部位を使用してベクターに挿入する場合に該ベクターが該タンパク質とβ−ガラクトシダーゼフラグメントとの融合タンパク質をコードするように該ベクター上に配置される、請求項17に記載のキット。
  19. 前記キットが細胞をさらに含む、請求項17に記載のキット。
  20. 前記キットがβ−ガラクトシダーゼ基質をさらに含む、請求項17に記載のキット。
  21. 前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが、ホモ二量体またはヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の方法。
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