JP5302167B2 - エンジン制御システム及び電子制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バイフューエルエンジン等の複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システム及び当該エンジン制御システムに組み込まれる電子制御装置に関する。
使用燃料を切り替えて作動可能なエンジン、いわゆるバイフューエルエンジンが知られている。特許文献1には、液体燃料であるガソリンと、気体燃料であるLPG(Liquefied Petroleum Gas;液化石油ガス)またはCNG(Compressed Natural Gas;圧縮天然ガス)とで使用燃料を切り替えるバイフューエルエンジンのエンジン制御システムが開示されている。
当該エンジン制御システムは、ガソリンエンジン用の電子制御装置として開発され、エンジン回転速度や吸入空気量等のエンジン運転状況を検出する各種センサ類の検出信号に基づいて、ガソリン用インジェクタからのガソリン噴射量(1噴射当たりのインジェクタの開弁時間)を算出し、算出した噴射量に対応する燃料噴射信号をサブ電子制御装置に出力するメイン電子制御装置と、ガソリン噴射時には、メイン電子制御装置から入力された燃料噴射信号をそのままガソリン用インジェクタに出力し、気体燃料噴射時には、メイン電子制御装置から入力された燃料噴射信号を気体燃料用の燃料噴射信号に換算して、気体燃料用インジェクタに出力するサブ電子制御装置を備えている。
また、特許文献2には、LPGをガソリンの代替燃料として使用するエンジンシステムに関する技術が提案されている。ガソリン用エンジンを制御するために開発されたガソリン用電子制御装置に、LPG用電子制御装置を接続し、ガソリン用電子制御装置から出力される燃料噴射信号を、LPG用電子制御装置によりLPGへの適合のために補正してLPG噴射信号としてLPG噴射用燃料系デバイスに出力するLPGエンジンシステムである。
これらのエンジン制御システムは、ガソリンエンジン用に開発されたメイン電子制御装置を大幅に設計変更することなく、気体燃料用の電子制御装置として有効に活用するために、メイン電子制御装置に気体燃料用の燃料噴射制御を行なうサブ電子制御装置を組み込むことにより実現されている。
特開2003−97326号公報 特開2008−121549号公報
上述したバイフューエルエンジンを制御するエンジン制御システムでは、液体燃料及び気体燃料に対応する燃料噴射制御のための演算処理の双方をメイン電子制御装置で実行することにより、気体燃料に対応する燃料噴射制御の精度を向上させることが可能になる。
この場合、サブ電子制御装置は、メイン電子制御装置から出力される燃料噴射信号を中継して、ガソリン用インジェクタに出力するか、気体燃料用インジェクタに出力するかを切替制御することになるが、ガソリン用に生成された燃料噴射信号を誤って気体燃料用インジェクタに出力し、或いは、気体燃料用に生成された燃料噴射信号を誤ってガソリン用インジェクタに出力することがないように、燃料切替時にメイン電子制御装置とサブ電子制御装置との間で同期を取る必要がある。
そのため、サブ電子制御装置にリレー回路または論理回路等のハードウェア回路で構成される信号切替回路を設けて、メイン電子制御装置から出力される燃料切替信号により信号切替回路を制御することにより、メイン電子制御装置から出力される燃料噴射信号をガソリン用インジェクタに出力するか、気体燃料用インジェクタに出力するかを切り替えるように構成すると、サブ電子制御装置のハードウェアコストが嵩むという問題が生じる。
そこで、ハードウェアによる信号切替回路を設けることなく、サブ電子制御装置が、メイン電子制御装置から燃料噴射信号及び燃料切替信号を入力して、燃料切替信号に基づいて燃料噴射信号をガソリン用インジェクタに出力するか、気体燃料用インジェクタに出力するかをソフトウェアで切替制御するように構成すると、燃料切替信号及び燃料噴射信号双方の入力タイミングによっては、適正に同期が取れず、ガソリン用に生成された燃料噴射信号を誤って気体燃料用インジェクタに出力し、或いは、気体燃料用に生成された燃料噴射信号を誤ってガソリン用インジェクタに出力する虞が生じる。
また、エンジン制御に必要なセンサ信号等全ての信号をメイン電子制御装置に入力すると、メイン電子制御装置で実行する入力処理等の制御負荷が大きくなるため、例えば圧力センサや温度センサ等の気体燃料供給系の制御データの入力処理等をサブ電子制御装置で分担すると、メイン電子制御装置とサブ電子制御装置間の信号線が増加するという問題もあった。
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、ハードウェアコストを低減しながらも、複数の電子制御装置間で確実に同期して燃料切替制御を行なうことができるエンジン制御システムを提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるエンジン制御システムの特徴構成は、複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、
エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの何れかに燃料噴射信号を出力する第2電子制御装置とを備え、前記第1電子制御装置と第2電子制御装置とは、制御情報を送受信する通信線で接続されるとともに、双方に気筒判別信号が入力され、 所定の燃料切替条件が成立すると、気筒判別信号に基づく所定のクランク角度に同期して、一方の電子制御装置から他方の電子制御装置に前記通信線を介して燃料切替同期信号を送信し、当該燃料切替同期信号に同期して、前記第1電子制御装置は切替後の燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力し、前記第2電子制御装置は前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、切替後の燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの何れかに燃料噴射信号を出力する点にある。
上述の構成によれば、クランク角度に同期して、一方の電子制御装置から他方の電子制御装置に通信線を介して送信される燃料同期信号に基づいて、第1電子制御装置により切替後の燃料種類に応じて算出された燃料噴射量に対応する燃料噴射信号が第2電子制御装置に出力され、第2電子制御装置により当該燃料噴射信号に基づいて切替後の燃焼種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの制御が実行されるので、第1電子制御装置及び第2電子制御装置がクランク角度に同期した適切なタイミングで燃料種類の切替を実行することができるようになり、また、通信線を介して制御に必要な情報が授受されるため、切替機構などの複雑なハードウェア構成が不要となり、コストを低減することができるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、ハードウェアコストを低減しながらも、複数の電子制御装置間で確実に同期して燃料切替制御を行なうことができるエンジン制御システムを提供することができるようになった。
第一実施形態による概略構成図 第一実施形態による第1ECU及び第2ECUの説明図 第一実施形態によるエンジン始動処理を説明するフローチャート 第一実施形態による燃料切替同期処理を説明するフローチャート 第一実施形態による燃料噴射処理を説明するフローチャート 第一実施形態による燃料切替シーケンスのタイムチャート 別実施形態による概略構成図 別実施形態による第1ECU及び第2ECUの説明図 別実施形態による通信途絶時制御処理のフローチャート 別実施形態による通信途絶時制御処理のフローチャート CNGに対する燃料噴射量の補正量を説明するための表
以下に本発明によるエンジン制御システムを、4気筒4サイクル型エンジンに適用した第一実施形態を説明する。尚、本発明が適用されるエンジンは4気筒に限るものでないことはいうまでもない。
図1に示すように、4気筒4サイクル型エンジンは、第1気筒#1から第4気筒#4の四つの気筒を備えたエンジン本体3と、各気筒の燃焼室30に燃料と空気の混合気を供給する吸気経路4と、各燃焼室から燃焼済ガスを排気する排気経路5を備えている。
吸気経路4は、空気の流れ方向に沿って上流側からエアクリーナ41、エアフローメータ42、スロットルバルブ43が配置された吸気管40と、吸気管40の下流側に連設され、各気筒の吸気ポートに分岐接続された吸気マニホールド44を備えている。
吸気マニホールド44のブランチ部には、各気筒に燃料を供給する第1インジェクタ6と、第2インジェクタ7の二種類のインジェクタが取り付けられている。第1インジェクタ6はガソリン用インジェクタであり、第2インジェクタ7はCNG(Compressed Natural Gas)用インジェクタである。
ガソリンタンク60に貯蔵されたガソリンは、燃料ポンプ61により汲み上げられてデリバリパイプ62に圧送され、デリバリパイプ62を介して各第1インジェクタ6に分配供給される。デリバリパイプ62の燃圧は、プレッシャレギュレータ63により一定に保持されている。
CNGボンベ70に貯蔵されたCNGは、降圧レギュレータ71により一定圧力に調整された後にデリバリパイプ72に供給され、デリバリパイプ72を介して各第2インジェクタ7に分配供給される。CNGボンベ70のガス流出部、降圧レギュレータ71、デリバリパイプ72にはそれぞれガスの供給を遮断する遮断弁73,74,75が設けられている。
排気経路5は、各気筒の燃焼室30に接続された排気マニホールド50と、排気マニホールド50の集合部に接続された排気管51を備え、排気管51の上流側に三元触媒を備えた触媒装置53が配置され、その下流側に消音装置が配置されている。また、触媒装置53の上流側には、各気筒から排出された排気ガスの酸素分圧に応じた電圧信号を出力する酸素センサ52が設けられている。
吸気管4に吸入された空気は、エアクリーナ41で浄化され、第1インジェクタ6または第2インジェクタ7の何れかから噴射された燃料と混合されて、各気筒の燃焼室30に供給されて燃焼される。燃焼室30での燃焼により生じた排気ガスは、排気マニホールド50に排出され、排気管51に備えた触媒装置53により浄化された後に大気に排出される。
各気筒#1〜#4は、それぞれ1/4サイクルずれ、第1気筒#1と第4気筒#4、第2気筒#2と第3気筒#3がそれぞれ同時に上死点となるように1/2サイクルずれるように駆動され、#1→#3→#4→#2→#1の順に吸気、圧縮、膨張、排気の各行程が実行される。
即ち、上述した4気筒4サイクル型エンジンは、複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンとしての一例であるガソリン燃料またはCNG燃料の何れかにより駆動されるバイフューエルエンジンとして構成されている。
図2に示すように、バイフューエルエンジンを制御するエンジン制御システムは、エンジン全体を制御するメイン電子制御装置としての第1電子制御装置1と、主に第1インジェクタ6及び第2インジェクタ7を制御するサブ電子制御装置としての第2電子制御装置2を備えている。
第1電子制御装置1は、マイクロコンピュータ11と、I/Oインタフェース回路12等の周辺回路を備えて構成され、マイクロコンピュータ11は、CPU101と、CPU101で実行される制御プログラムや制御データが格納されたROM102と、CPU101のワーキング領域や、入出力データの記憶領域となるRAM103と、重要な制御データをバックアップするEEPROM104と、入出力ポート105、CAN(Controller Area Network)−IF106等が組み込まれている。
第2電子制御装置2も同様に、マイクロコンピュータ21と、I/Oインタフェース回路22等の周辺回路を備えて構成され、マイクロコンピュータ21は、CPU201と、CPU201で実行される制御プログラムや制御データが格納されたROM202と、CPU201のワーキング領域や、入出力データの記憶領域となるRAM203と、重要な制御データをバックアップするEEPROM204と、入出力ポート205、CAN−IF206等が組み込まれている。
尚、両マイクロコンピュータ11,21にはEEPROMが組み込まれているが、外部拡張バスを介して外部にEEPROMや、電池バックアップされたRAMが接続され、当該外部EEPROMやRAMに重要な制御データをバックアップするように構成されていてもよい。尚、以下の説明では、電子制御装置をECU(Electric Control Unit)と略記する。
第1ECU1のI/Oインタフェース回路12には、システムを起動するイグニッションスイッチIGSWの接点信号、スタータ信号、気筒判別するとともに各気筒に対する燃料噴射時期や点火時期を算出するクランク角センサ及びカム角センサでなる気筒判別センサからの信号、アクセルペダルの踏込み量に基づいてスロットルバルブ43の開度を制御し、適正な燃料噴射量を算出するために必要な各種のセンサからの信号が入力されてA/D変換される。例えば、エアフローメータ42、エンジン水温センサ、アクセル踏込み量センサ、スロットルポジションセンサ、車速センサ、酸素センサ52等の信号である。
また、第1ECU1のI/Oインタフェース回路12からは、スロットルバルブ駆動信号、各気筒に対する点火信号、各インジェクタに対する燃料噴射信号等の制御信号が出力される。
第2ECU2のI/Oインタフェース回路22には、スタータ信号、気筒判別センサからの信号、水温センサからの信号の他、CNGボンベ70に備えた温度センサT1、圧力センサP1、デリバリパイプ72に備えた温度センサT2、圧力センサP2からの信号が入力され、さらに、ガソリンからCNGへまたはCNGからガソリンへとエンジン3への供給燃料を切り替えるための操作信号、つまり、運転者により操作される燃料切替スイッチの信号が入力される。
温度センサT1,T2及び圧力センサP1,P2などのI/Oインタフェース回路22に入力されたアナログ信号は、I/Oインタフェース回路22でA/D変換されて入出力ポート205に入力される。尚、CNGボンベ70に備えた温度センサT1及び圧力センサP1から出力される各検出値に基づいて、CNGボンベ70内の燃料残量が計測され、デリバリパイプ72に備えた温度センサT2、圧力センサP2から出力される各検出値に基づいて、CNGに対する燃料噴射量が算出される。
さらに、第2ECU2のI/Oインタフェース回路22から遮断弁73,74,75に対する制御信号や、第1インジェクタ6または第2インジェクタ7に対する燃料噴射信号が出力される。
第2ECU2は、第1ECU1のI/Oインタフェース回路12から出力される各気筒に対する4本の燃料噴射信号をI/Oインタフェース回路22を介して取り込み、I/Oインタフェース回路22から4本の第1インジェクタ6または4本の第2インジェクタ7の何れかに中継出力する。
マイクロコンピュータ11には2系統のCAN−IF106が設けられ、1系統は、ミッションECUやブレーキECU等の車両を走行制御するための他のECUと接続され、他の1系統は、本発明の通信線として、第2ECU2のマイクロコンピュータ21との間で制御情報を送受信するために接続されている。共にCANプロトコルISO11898に準拠した通常のCANプロトコルに基づいて、マルチマスタ方式により各ECU間で制御情報の送受信が行なわれるように使用される。尚、図2には後者の1系統のみ示されている。
第1ECU1は、車両の走行システム全体を制御するECUであり、第2ECU2は、主に燃料供給系を制御するECUである。第1ECU1と第2ECU2は、CAN通信を介して所定インタバルで制御データを送受信するように構成されている。例えば、第1ECU1から第2ECU2へは、エンジン始動信号、エンジン運転中信号、エンジン停止信号、異常信号等が送信され、第2ECU2から第1ECU1へは、CNG燃料供給系のガス圧力信号、温度信号、CNG燃料供給系の異常信号等が送信される。
つまり、エンジン制御システムは、エンジン3の運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1ECU1と、第1ECU1から出力された燃料噴射信号を入力し、燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタ6または第2インジェクタ7の何れかに燃料噴射信号を中継出力する第2ECU2とが制御情報を送受信するシリアル通信線(CAN通信線)で接続されるとともに、双方に気筒判別信号が入力されている。
クランクシャフトには、周囲に所定間隔で歯部が形成され、一部に欠歯部を備えたクランクロータが設けられ、クランクシャフトの2回転で1回転するカムシャフトには、周囲に一つの歯部が形成されたカムロータが設けられている。
上述したクランク角センサはクランクロータの歯部を検知する電磁ピックアップ式のセンサで構成され、カム角センサはカムロータの歯部を検知する電磁ピックアップ式のセンサで構成されている。
第1ECU1及び第2ECU2は、スタータモータが起動されると、クランク角センサにより検知される欠歯部の位相とカム角センサにより検知される歯部の位相に基づいて気筒判別し、その後、クランク角センサからのパルス信号に基づいて、ともにクランク角度及びエンジン回転速度NEを捕捉するように構成されている。
第1ECU1は、エンジンをガソリン燃料で駆動する場合には、ガソリンの燃料噴射量を算出して、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を第2ECU2に出力し、エンジン3をCNG燃料で駆動する場合には、CNGの燃料噴射量を算出して、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を第2ECU2に出力する。
第1ECU1は、エンジン始動時にはガソリン燃料でエンジンを駆動し、その後第2ECU2からCAN通信により燃料切替要求が入力され、所定条件を満たしていると判断すると、CNG燃料でエンジンを駆動するように切り替える。
エンジンをガソリン燃料で駆動する場合に、第1ECU1は、第1燃料噴射量算出処理を実行する。先ず、以下の演算式に基づいて、エンジン回転速度NEや吸入空気量GAに応じて予めROM102に記憶された演算マップを参照して、基本噴射時間TPを算出し、基本噴射時間TPに対して、空燃比フィードバック補正等の各種補正を行ない、ガソリン噴射時間の最終値である最終噴射時間TR[gas]を算出する。尚、ここでは、最終噴射時間TR[gas]は燃料噴射量に対応する値として説明している。
TR[gas] = TP・λ・coef
ここで係数「λ」は空燃比フィードバック補正係数、係数「coef」はその他の補正係数(例えば冷却水温度thwに基づく水温補正係数や加速時補正係数、始動時補正係数等)を示している。最終噴射時間TR[gas]は、エンジン運転状況に応じたガソリンの噴射時間、即ち1噴射当たりの第1インジェクタ6の開弁時間つまり燃料噴射信号のパルス幅である。
第1ECU1は、酸素センサ52の検出信号XOに基づいて、予め設定された比較電圧を基準として空燃比がリーンまたはリッチの何れであるか判定する。検出信号XOの電圧が比較電圧よりも高いときには、燃焼された混合気の空燃比がリッチであると判定し、比較電圧よりも低いときには、リーンであると判定する。
そして、第1ECU1は、リーンからリッチへ空燃比の切り替わりが確認されたときには、空燃比補正係数λを所定値ΔIだけ減少させ、リッチからリーンへ空燃比の切り替わりが確認されたときには、空燃比補正係数λを所定値ΔIだけ増大させる。そして、リーン判定が継続されている間は、空燃比補正係数λを所定時間毎に所定値ΔPずつ加増させ、リッチ判定が継続されている間は、空燃比補正係数λを所定時間毎に所定値ΔPずつ減少させる。
第1ECU1は、エンジン運転中、最終噴射時間TR[gas]の算出を所定時間周期で繰り返し行ない、算出された最終噴射時間TR[gas]に応じたインジェクタ制御信号を気筒毎に定めた所定のクランク角度で出力する。
エンジンをCNG燃料で駆動する場合に、第1ECU1は、第2燃料噴射量算出処理を実行する。以下の演算式に基づいて、上述したガソリン用の最終噴射時間TR[gas]に、第2ECU2からCAN通信で送信されたCNGのガス温度及びガス圧力に基づく補正処理を実行して、CNG用の最終噴射時間TR[cng]を算出する。ガス温度及びガス圧力は、第2ECU2からCAN通信により第1ECU1に送信される値である。
最終噴射時間TR[cng] = TR[gas]・Ct・Cp
ここで、係数「Ct」はCNGガスの温度補正係数であり、CNGガスの温度に基づいて予めROM102に記憶された演算マップを参照して得られ、「Cp」はCNGガスの圧力補正係数であり、CNGガスの圧力に基づいて予めROM102に記憶された演算マップを参照して得られる値である。
つまり、第2燃料噴射量算出処理とは、第1燃料噴射量算出処理で算出された燃料噴射量を、CNG供給系統の温度及び圧力に基づいて補正する処理である。
尚、上述した最終噴射時間TR[gas],TR[cng]を算出するための演算式は均質燃焼モードで制御する場合の一例であり、それぞれの燃料噴射量の演算は燃焼モードにより異なり、このような演算式に制限されるものではない。また、運転条件によっては成層燃焼モードに適した最終噴射時間TR[gas],TR[cng]を算出することも可能である。CNGの燃料噴射時間は、降圧レギュレータ71で調整された設定圧の下で、要求量だけCNGを気筒内に噴射させるのに必要な時間として算出され、ガソリンの噴射時間は、燃料ポンプ61で昇圧された一定圧の下で、要求量だけガソリンを気筒内に噴射させるのに必要な時間として算出されるものである。
第2ECU2は、燃料切替時に気筒判別信号に基づく所定のクランク角度に同期して、第1ECU1にCAN通信により燃料切替同期信号を送信し、当該燃料切替同期信号に同期して、第1ECU1は切替後の燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する。
第2ECU2は、第1ECU1から出力された燃料噴射信号を入力し、切替後の燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタ6または第2インジェクタ7の何れかに燃料噴射信号を中継出力する。
つまり、第1ECU1は、気筒判別信号に基づいて捕捉される所定のクランク角度に同期して送受信される燃料切替同期信号をトリガーとして、その後に噴射時期を迎える気筒に対して切替後の燃料に対応した燃料噴射信号を出力し、第2ECU2は、当該燃料噴射信号を入力して、切替後の燃料に対応したインジェクタに燃料噴射信号を中継出力する。
以下、エンジン制御システムにより実行される燃料切替制御について詳述する。
図3に示すように、第1ECU1は、イグニッションスイッチIGSWがオンされ、スタータ信号が入力されると、CAN通信により第2ECU2にエンジン始動信号を出力し(SA1)、セルモータにより駆動されるクランクシャフトに同期して入力される気筒判別信号に基づいて気筒を判別する(SA2)。
気筒判別後、クランクパルス信号に基づいてクランク角度を捕捉するためのクランクカウンタを初期設定する(SA3)。例えば、クランクロータの歯部が30度刻みで形成されている場合には、クランクカウンタにより、30度CA刻みで0から12までの計数が繰り返される。尚、欠歯部に相当する位置は、例えば直前の複数のパルス幅の平均値等に基づいて補完される。
第1ECU1は、始動時の燃料噴射量を算出して(SA4)、所定の燃料噴射時期に相当するクランク角度で対応する気筒に順次燃料噴射信号を出力するとともに、圧縮上死点で点火信号を出力することによりエンジン3を始動する(SA5)。尚、エンジン始動時の燃料はガソリンが選択されている。
第2ECU2は、スタータ信号が入力され、第1ECU1からエンジン始動信号を受信すると(SB1)、同様に気筒判別後、クランクパルス信号に基づいてクランク角度を捕捉するためのクランクカウンタを初期設定する(SB2)。さらに、第2インジェクタ7にCNGガスを供給する前準備として遮断弁73,74,75を開放し(SB3)、第1ECU1から燃料噴射信号が入力されると(SB4)、当該燃料噴射信号を対応する気筒の第1インジェクタに中継出力する(SB5)。
尚、第2ECU2については、クランクカウンタを生成するための信号として、クランクパルス信号等を用いる以外に、第1ECU1から出力される燃料噴射信号を用いてもよい。
以下、同様のエンジン始動処理が繰り返されてエンジンが暖機されると、第1ECU1は、上述した均質燃焼のための燃料噴射量演算を行なって、第2ECUに燃料噴射信号を出力する。
図4に基づいて燃料切替同期処理について説明する。運転者により操作された燃料切替スイッチからの切替信号が第2ECU2に入力されると、CAN通信により第1ECU1に燃料切替スイッチの操作信号を送信する(SC1)。そして、第2ECU2は、所定の燃料切替条件が成立するか否かを判断し、条件が成立していると(SC2)、クランクカウンタの値が「0」に更新されるタイミングで(SC3)、CAN通信により第1ECU1に燃料切替要求信号を出力して(SC4)、第1ECU1からCAN通信により燃料切替容認信号が送信されるまで待機する(SC5)。
第2ECU2で判断される所定の燃料切替条件とは、ガソリンからCNGへ切り替える場合には、CNGボンベ70の圧力からCNGガスが十分に残存していると判断できること、エンジンの回転数が所定回転数以上(例えば2000rpm以上)であること等である。
第1ECU1は、第2ECU2から燃料切替スイッチの操作信号を受信すると、CAN通信による燃料切替要求信号の受信を待ち、燃料切替要求信号を受信すると(SD1)、所定の燃料切替条件が成立するか否かを判断し、条件が成立していると(SD2)、クランクカウンタの値が「6」に更新されるタイミングで(SD3)、CAN通信により第2ECU2に燃料切替容認信号を出力して(SD4)、第2ECU2からCAN通信により燃料切替同期信号が送信されるまで待機する(SD5)。
第1ECU1で判断される所定の燃料切替条件とは、ガソリンからCNGへ切り替える場合には、エンジン冷却水の水温が所定温度以上(例えば80℃以上)であること等であり、CNGからガソリンに切り替える場合には、ガソリンタンクの残量が所定量あること、ガソリンの燃料供給系統に異常が発生していない等である。
第2ECU2は、CAN通信により燃料切替容認信号を受信すると(SC5)、クランクカウンタの値が「0」に更新されるタイミングで(SC6)、CAN通信により第1ECU1に燃料切替同期信号を出力して(SC7)、燃料をCNGに切り替える場合にはCNG2フラグをセットし(SC8,SC9)、燃料をガソリンに切り替える場合にはCNG2フラグをリセットする(SC8,SC10)。
尚、第2ECU2は、クランクカウンタの値「6」でCAN通信により燃料切替容認信号を受信できなかった場合には、再度クランクカウンタの値が「0」に更新されるタイミングで、CAN通信により第1ECU1に燃料切替要求信号を出力するように構成されている。
尚、切替タイミングとして説明したクランクカウンタ「0」,「6」に関しては、この値に限るものではなく、燃料切替の同期が取れるタイミングの値であれば適宜設定すればよい。
第1ECU1は、第2ECU2からCAN通信により燃料切替同期信号が送信されると(SD5)、燃料をCNGに切り替える場合にはCNG1フラグをセットし(SD6,SD7)、燃料をガソリンに切り替える場合にはCNG1フラグをリセットする(SD6,SD8)。
図5に基づいて燃料噴射処理について説明すると、第1ECU1は、CNG1フラグがセットされていると(SE1)、CNGに対する燃料噴射量を算出し(SE2)、CNG1フラグがリセットされていると(SE1)、ガソリンに対する燃料噴射量を算出する(SE3)。そして直近の噴射時期を迎える気筒に対するクランク角度になると燃料噴射信号を出力し(SE4,SE5)、以後、同様の動作を繰り返す。
第2ECU2は、第1ECU1から燃料噴射信号を入力すると(SF1)、CNG2フラグがセットされている場合には、対応する気筒の第2インジェクタ7に燃料噴射信号を出力し(SF2,SF3)、CNG2フラグがリセットされている場合には、対応する気筒の第1インジェクタ6に燃料噴射信号を出力し(SF2,SF4)、以後、同様の動作を繰り返す。
つまり、第1ECU1は、当該燃料切替同期信号の直後に燃料噴射時期を迎える気筒から、切替後の燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する。
尚、第1ECU1は、運転者によるアクセルペダルの操作を検知して、スロットルバルブ43の開度を制御し、そのときに得られる吸入空気量GAに基づいて上述した燃料噴射量算出処理を実行するのであるが、燃料切替時にはアクセルペダルの操作量の変化にかかわらず、所定噴射回数(例えば、クランクシャフトの回転が数十回転するのに要する噴射回数)の間、スロットルバルブ43の開度を固定することにより、エンジン3のトルク変動を抑制することが好ましい。
また、第2燃料噴射量算出処理では、基本的にトルク変動を来たさないように第1燃料噴射量算出処理で算出された燃料噴射量を補正するのであるが、CNGのガス圧力や温度によってはトルク変動を招く場合がある。そこで、燃料切替の前後でエンジン3のトルクが変動する虞がある場合には、燃料切替の前後でスロットルバルブ43の開度を調整することにより、トルク変動を抑制することが好ましい。例えば、CNGに切り替えることによりトルクが低下する虞があると、燃料切替前に予めスロットルバルブの開度を小さくした後に、燃料切替容認信号を送信して、燃料切替を行なうのである。
さらに、トルク、車速、スロットルバルブの開度に基づいて適正な変速比に自動切替する自動変速機構を備えている場合に、燃料切替の前後に変速比を切り替える制御ポイント付近にトルク、車速、スロットルバルブの開度があれば、所定時間(例えば、5秒程度)変速比の切替を回避するように制御することが好ましい。
図6には、上述した燃料切替シーケンスのタイムチャートが示されている。第2ECU2から第1ECU1にCAN通信により送信される燃料切替要求信号、燃料切替同期信号の送信タイミングは、双方のクランクカウンタの値が「0」に更新されるタイミングであり、第1ECU1から第2ECU2にCAN通信により送信される燃料切替容認信号の送信タイミングは、双方のクランクカウンタの値が「6」に更新されるタイミングである。
このタイミングは、第1ECU1が燃料切替同期信号を受信した後に燃料噴射タイミングを迎える直近の気筒に対して、切替燃料による燃料噴射量の演算を実行するための時間的余裕を持たせたタイミングに基づいて予め設定されたタイミングであり、このような値に制限されるものではなく、切替燃料による燃料噴射量の演算を実行するための時間的余裕を持たせることが可能であれば、システムに応じて適宜設定すればよい。
また、予め燃料切替要求信号、燃料切替同期信号、燃料切替容認信号の送信タイミングが規定されているため、燃料切替スイッチの操作信号を送信或いは受信した後には、これらの送信或いは受信タイミングで他の制御データの送信を回避するように通信制御することが可能となり、適正に同期して燃料を切り替えることができるようになる。
上述した燃料切替シーケンスによれば、第1ECU1及び第2ECU2がクランク角度に同期した適切なタイミングで燃料種類の切替を実行することができるようになり、また、シリアル通信線を介して情報が授受されるため、切替機構などの複雑なハードウェア構成が不要となり、コストを低減することができるようになる。
上述したように、第1ECU1は、第2ECU2からCAN通信により送信されるCNGの圧力、温度に基づいてCNG用の燃料噴射量の補正演算処理、つまり第2燃料噴射量算出処理を実行するのであるが、CAN通信線を介した通信が途絶すると、通信途絶前に受信し、RAM103に記憶した直近の温度及び圧力に基づいて第1燃料噴射量算出処理で算出された燃料噴射量を補正する第2燃料噴射量算出処理を実行することにより、エンジン3の運転状態が急激に変化するような事態を回避することができる。
尚、CAN通信線が断線し、或いは、断線していないが通信エラーの回数が所定値に達する場合には、エラーの生じた通信ラインがネットワークから切り離されたバスオフ状態となる。このようなCAN通信を介した制御データの受信が所定期間されない場合には、各ECU1,2はCAN通信が途絶していると判定する。
また、第2ECU2は、エンジンの停止状態で前記シリアル通信線を介した通信が途絶した場合に、第1ECU1から燃料噴射信号が所定回数連続して入力されると、当該燃料噴射信号をガソリン用のインジェクタに中継出力し、エンジンの駆動状態でシリアル通信線を介した通信が途絶した場合に、第1ECU1から燃料噴射信号が入力されなければエンジン3を停止させるようにフェールセーフ処理を実行するように構成することが好ましい。
上述した実施形態では、第2ECU2は、スタータ信号が入力され、第1ECU1からエンジン始動信号を受信すると、第2インジェクタ7にCNGガスを供給する前準備として遮断弁73,74,75を開放する例を説明したが、燃料切替スイッチによりガソリンからCNGに切替操作され、燃料切替要求信号を送信するまでの間に遮断弁73,74,75を開放制御してもよい。
上述した実施形態では、第2ECU2に燃料切替スイッチの操作信号が入力される場合を説明したが、第1ECU1に燃料切替スイッチの操作信号が入力されるように構成されてもよい。
つまり、本発明によるエンジン制御システムは、所定の燃料切替条件が成立すると、気筒判別信号に基づく所定のクランク角度に同期して、一方の電子制御装置から他方の電子制御装置に通信線を介して燃料切替同期信号を送信し、当該燃料切替同期信号に同期して、第1電子制御装置は切替後の燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力し、第2電子制御装置は第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、切替後の燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの何れかに燃料噴射信号を出力するように構成されていればよい。
また、所定の燃料切替条件が成立すると、一方の電子制御装置は、気筒判別信号に基づく所定のクランク角度に同期して、他方の電子制御装置に通信線を介して燃料切替要求信号を送信し、他方の電子制御装置から通信線を介して返信される燃料切替容認信号を確認した後に、当該燃料切替同期信号を送信することが好ましい。
上述した実施形態では、複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンの例として、液体燃料としてガソリン燃料、気体燃料としてCNGを用いる場合を説明したが、燃料の種類はこれに限定されるものではなく、例えば気体燃料がLPGである場合も基本的に同様である。また、3種類以上の燃料を切り替えてエンジンに供給するエンジンにも本発明を適用することが可能である。
以下、他の実施形態を説明する。
上述では、ガソリンまたはCNGに応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1ECU1と、第1ECU1から出力された燃料噴射信号を入力し、燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタ6または第2インジェクタ7の何れかに燃料噴射信号を中継出力する第2ECU2とを備え、第1ECU1と第2ECUとが制御情報を送受信するシリアル通信線(CAN通信線)で接続され、バイフューエルエンジンを制御するエンジン制御システムを説明したが、以下では、第2インジェクタ7のみを備えたエンジン制御システムを説明する。
図7に示すように、吸気マニホールド44のブランチ部には、各気筒に燃料を供給する第2インジェクタ7のみが取り付けられている。第2インジェクタ7はCNG(Compressed Natural Gas)用インジェクタである。
図8に示すように、本実施形態のエンジン制御システムは、エンジン全体を制御するメイン電子制御装置としての第1電子制御装置1と、第2インジェクタ7を制御するサブ電子制御装置としての第2電子制御装置2を備えている。
エンジン制御システムの基本的な構成は、先に説明したバイフューエルエンジンを制御するエンジン制御システムと同様であり、相違点のみに絞って説明する。
第1ECU1は、基本的にガソリンエンジンを制御する電子制御装置として開発され、第2ECU2を付加することにより、CNGエンジンとして制御可能に構成されている。
第1ECU1は、先の実施形態と同様、第1燃料噴射量算出処理で算出された燃料噴射量を、CNG供給系統の温度及び圧力に基づいて補正する第2燃料噴射量算出処理を実行し、CNGに対応する燃料噴射信号を第2ECU2に出力し、第2ECU2は、第1ECU1から出力された燃料噴射信号を中継して第2インジェクタ7に出力するように構成されている。
尚、第1ECU1は、ガソリンエンジン車両と共用され、ガソリンエンジン車両に搭載される場合には、図8に破線で示された燃料噴射信号が、第2ECU2を介さずにガソリン用のインジェクタに入力される。
先の実施形態と異なり、第2ECU2のI/Oインタフェース回路22には、気筒判別信号は入力されず、スタータ信号、CNGボンベ70に備えた温度センサT1、圧力センサP1、デリバリパイプ72に備えた温度センサT2、圧力センサP2からの信号、補機バッテリ(例えば、12V)の電圧を検知する電圧センサの出力信号が入力される。
第2ECU2のI/Oインタフェース回路22から遮断弁73,74,75に対する制御信号や、第2インジェクタ7に対する燃料噴射信号が出力される。
イグニッションスイッチIGSWがオンされ、補機バッテリから制御用電力が給電されると、第1ECU1及び第2ECU2は起動する。その後、第1ECU1にスタータ信号が入力されると、第1ECU1からCAN通信を介して第2ECU2にエンジン始動信号としての遮断弁開要求信号が送信される。第2ECU2は遮断弁開要求信号を受信すると、遮断弁73,74,75を開弁して燃料噴射可能な状態に移行し、第1ECU1から出力される燃料噴射信号を第2インジェクタ7に中継出力する。
第2ECU2は、CNG燃料供給系のガス圧力信号、温度信号、CNG燃料供給系の異常信号等をCAN通信を介して第1ECU1へ送信し、第1ECU1は、受信したガス圧力信号、温度信号に基づいて第2燃料噴射量算出処理を実行する。
第1ECU1は、エンジン駆動中にイグニッションスイッチIGSWがオフされると、CAN通信を介して第2ECU2にエンジン停止信号としての遮断弁閉要求信号を送信し、第2ECU2は、遮断弁閉要求信号を受信すると遮断弁73,74,75を閉弁してエンジンを停止させる。
このように、第1ECU1と第2ECU2は、CAN通信を介してエンジンの始動、停止、燃料噴射量を算出するためのガス圧力信号、温度信号等を送受信して、エンジンを所定の状態に駆動制御するように構成されているため、通信線の短絡や断線、通信インタフェース回路の故障等の何らかの原因でCAN通信が途絶すると、エンジンを適切に駆動制御できなくなる虞がある。尚、CAN通信では、通信線にノイズが重畳して正常に送受信できない場合等に、通信インタフェース106,206でフレームエラー等の各種の通信エラー処理が実行されるように構成されており、短期的な通信エラーであれば通信の回復により適正な状態に復帰するが、上述した通信線の短絡や断線等が生じると、適正にエンジンを制御できなくなるのである。
そこで、本実施形態のエンジン制御システムでは、CAN通信の途絶に備えて所定のフェールセーフ機構が備わっている。以下、具体的に説明する。
イグニッションスイッチがオンされ、その後スタータスイッチがオンされると、CAN通信を介して第1ECU1から第2ECU2に遮断弁開要求信号が出力され、同時に第1ECU1を介さずに、或いは第1ECU1を介してセルモータが駆動される。
このとき、補機バッテリの容量が低下していると、セルモータへの給電により補機バッテリの出力電圧が低下して、第1ECU1のマイクロコンピュータのリセット回路が作動し、第2ECU2に遮断弁開要求信号が出力されず、遮断弁73,74,75を開弁できない異常な状態が発生する。このような場合、クランクシャフトを駆動するセルモータの周期的なトルク変動により、電圧の低下が周期的に繰り返され、第1ECU1のマイクロコンピュータに周期的にリセット信号が入力されるため、第1ECU1は起動、停止を繰り返すことになる。
このような場合であっても、エンジンが始動できると、その後発電機の出力により各ECUに適正な制御電圧が印加され、適正にエンジンを駆動制御できるようになる。
そこで、セルモータへの給電により補機バッテリの出力電圧が低下しても、第2ECU2が正常に作動している場合には、以下の制御処理によりエンジンを始動できるような第1のフェールセーフ機構が組み込まれている。
図9に示すように、第2ECU2は、CAN通信が途絶し(SG1)、第1ECU1からCAN通信の途絶前に遮断弁開要求信号が入力されていない状態で(SG2)、I/Oインタフェース回路22に入力されるスタータ信号が入力されていれば(SG3)、運転者によるエンジン始動意思があると判断して遮断弁73,74,75を開弁して燃料が供給可能な状態に移行する(SG4)。
CAN通信が途絶する前に、既に第1ECU1から遮断弁開要求信号が受信されている状態であれば(SG2)、I/Oインタフェース回路22に入力される補機バッテリの出力電圧をモニタして、検出した電圧値が所定値未満に低下していれば(SG5)、セルモータの駆動に起因する補機バッテリの一時的な電圧低下が発生していると判定して、遮断弁73,74,75を開弁して燃料が供給可能な状態に移行する(SG4)。尚、所定値は適宜設定される値で、通常DC12Vの出力電圧を示す補機バッテリであれば、例えばDC8V程度に設定することができる。
第2ECU2は、補機バッテリの電圧値が所定値以上であると判定すると(SG5)、エンジン始動前であれば遮断弁73,74,75を閉弁した状態でCAN通信が正常に復帰するまで待機する。尚、遮断弁73,74,75を開弁して、エンジンが駆動された状態で通信途絶が発生した場合については後述する。
つまり、エンジンの始動性を向上させるため、第2ECU2は遮断弁開要求信号を受信していないエンジン始動前に通信途絶を検知すると、スタータ信号がオンしていれば、遮断弁73,74,75を開弁するように構成され、また、遮断弁開要求信号を受信後に通信途絶を検知すると、補機バッテリの出力電圧が一時的に低下していると判定できる場合に、遮断弁73,74,75を開弁するように構成されている。
即ち、気体燃料を含む複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、前記エンジンに使用される燃料が気体燃料である場合に、前記第1電子制御装置と制御情報を送受信する通信線で接続され、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁開要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を開弁制御するとともに、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、各気筒に備えたインジェクタに燃料噴射信号を出力する第2電子制御装置とを備え、前記第2電子制御装置は、前記遮断弁開要求信号を受信する前に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、スタータ信号の入力を検知すると、前記遮断弁開要求信号の未受信にかかわらず前記遮断弁を開弁制御するエンジン制御システムが構築されている。
次に、第2ECU2に組み込まれた第2のフェールセーフ機構を説明する。
図10に示すように、第2ECU2は、CAN通信線を介した通信が途絶すると(SH1)、第1ECU1から通信途絶前に受信した遮断弁開要求信号または遮断弁閉要求信号に基づいて、エンジンが停止状態であると判定する場合に(SH2)、第1ECU1から所定回数連続して燃料噴射信号が入力されたことを検知すると(SH3)、第1ECU1から遮断弁開要求信号が出力されていると判定して(SH4)、遮断弁73,74,75を開弁して燃料が供給可能な状態に移行する(SH5)。尚、所定回数とは、所定時間内に連続して検知される燃料噴射信号の回数で、適宜設定される値であり、例えば8回に設定することができる。
ステップSH2で、第2ECU2は、エンジンが停止状態であると判定する場合に(SH2)、第1ECU1から所定時間連続して燃料噴射信号が入力されなければ(SH6)、第1ECU1から遮断弁閉要求信号が出力されていると判定して(SH7)、遮断弁73,74,75を閉弁する(SH8)。尚、所定時間の値は適宜設定すればよく、例えば、エンジンストールか否かを判定するための回転数60rpm.を基準とすれば、500msec程度の値に設定することができる。
第1のフェールセーフ機構で、遮断弁73,74,75を開弁して、エンジンが駆動された状態で通信途絶が発生した場合の対処として、上述したステップSH2,SH6〜SH8の処理を実行すればよい。
つまり、第2ECU2は遮断弁開要求信号を受信していないエンジン始動前に通信途絶を検知したときに、燃料噴射信号が所定回数入力されていれば、遮断弁73,74,75を開弁するように構成され、エンジン始動後に通信途絶を検知したときに、燃料噴射信号が所定時間継続して入力されていれば、遮断弁73,74,75を閉弁するように構成されている。
第2ECU2は、このようなフェールセーフ機構を作動させた場合には、同時にインスツルメントパネルに異常情報を表示させるように構成されている。第2ECU2に、通信途絶に対するフェールセーフ機構が組み込まれることにより、エンジンの始動性を向上させ、また走行中にエンジンストールが発生することを回避でき、さらに、衝突事故等が発生しても速やかに燃料供給を停止することができる。
即ち、気体燃料を含む複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、前記エンジンに使用される燃料が気体燃料である場合に、前記第1電子制御装置と制御情報を送受信する通信線で接続され、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁開要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を開弁制御するとともに、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、各気筒に備えたインジェクタに燃料噴射信号を出力し、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁閉要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を閉弁制御する第2電子制御装置とを備え、前記第2電子制御装置は、エンジンの停止中に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、前記第1電子制御装置から出力される所定回数の燃料噴射信号を検知すると、前記遮断弁開要求信号の未受信にかかわらず前記遮断弁を開弁制御し、エンジンの駆動中に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、前記第1電子制御装置から出力される燃料噴射信号が所定時間検知されないと、前記遮断弁閉要求信号の未受信にかかわらず前記遮断弁を閉弁制御するエンジン制御システムが構築されている。
また、エンジン駆動中に通信途絶が発生すると、第1ECU1で実行される第2燃料噴射量算出処理の精度が低下する虞がある。通信途絶により第2ECU2からCNGボンベ70に備えた温度センサT1、圧力センサP1、デリバリパイプ72に備えた温度センサT2、圧力センサP2からの最新の信号が受信できなくなるためである。
そこで、第1ECU1には、第2燃料噴射量算出処理の精度の低下を回避する第3のフェールセーフ処理が組み込まれている。
第1ECU1は、通信途絶が発生する直前に受信した温度センサT1、圧力センサP1、デリバリパイプ72に備えた温度センサT2、圧力センサP2の信号を常にRAM103に更新記憶するように構成され、RAM103に記憶された直近の温度及び圧力に基づいて、正常時と同様に、以下に示す演算式によりCNGに対する燃料噴射量(CNG用の最終噴射時間)TR[cng]を算出して、燃料噴射信号を出力するように構成されている。
最終噴射時間TR[cng] = TR[gas]・Ct・Cp
ここで、TR[gas]は、エンジン運転状況に応じたガソリンの噴射時間(最終噴射時間)であり、係数「Ct」はCNGガスの温度補正係数であり、CNGガスの温度に基づいて予めROM102に記憶された演算マップを参照して得られ、「Cp」はCNGガスの圧力補正係数であり、CNGガスの圧力に基づいて予めROM102に記憶された演算マップを参照して得られる値である。
第1ECU1は、上述した演算マップに代えて、CNGの温度及び圧力に基づいた補正係数を規定したマップを用いて最終噴射時間TR[cng]を算出してもよい。
CNGの密度は、温度が高くなるほど小さくなり、圧力が高くなるほど大きくなるという傾向がある。CNGの密度が低下すると、CNGに対する燃料噴射量を増加する必要がある。
図11に示すように、CNGの温度及び圧力に基づいた演算マップは、CNG供給系統の圧力が高く且つ温度が低いほど補正量が小さくなり、CNG供給系統の圧力が低く且つ温度が高いほど補正量が大きくなるように設定されている。尚、補正量の設定は、システムの構成に合わせて適宜設定すればよい。
この場合、第1ECU1は、例えば、以下の演算式に基づいて、ガソリン用の最終燃料噴射時間TR[gas]に、通信途絶前に第2ECU2からCAN通信を介して送信された直近のガス温度及びガス圧力に基づく補正処理を実行して、CNG用の最終噴射時間TR[cng]を算出するように構成すればよい。
TR[cng] = TR[gas]・Ctp
ここで、係数「Ctp」はCNGガスの温度圧力補正係数であり、CNGガスの温度及び圧力に基づいて予めROM102に記憶された演算マップを参照して得られる値である。
第1ECU1は、エンジン始動後に通信途絶した場合、イグニッションスイッチがオフされると、燃料噴射信号の出力を停止することにより、上述した第2フェールセーフ処理を実行する第2ECU2によりエンジンを停止させる。
そして、第1ECU1は、RAM103に記憶された通信途絶前の直近の温度及び圧力をバッテリバックアップされたRAMまたはEEPROM等の不揮発性メモリに退避させる。
次に、第1ECU1は、スタータ信号が入力されると、バッテリバックアップされたRAMまたはEEPROM等の不揮発性メモリに退避させた温度及び圧力をRAM103に復帰させ、当該温度及び圧力に基づいて第2燃料噴射量演算処理を実行して、第2ECU2に燃料噴射信号を出力する。第2ECUは、上述した第1または第2フェールセーフ処理を実行して、エンジンを始動する。
従って、エンジン停止後の経過時間が長くない場合には、比較的精度のよい燃料噴射信号を出力できるようになる。
以上の説明では、通信途絶後も、第1ECU1が第2燃料噴射量演算処理を実行する例を説明したが、通信途絶後でも第2ECU2によりCNGガスの温度や圧力が検知されているため、通信途絶後には第2燃料噴射量演算処理を第2ECU2で実行するように構成してもよい。
例えば、第1ECU1及び第2ECUの双方が通信途絶が発生する直前のCNGガスの温度や圧力をRAMに記憶しておき、第3フェールセーフ処理を行なう第1ECUから出力される燃料噴射信号のパルス幅に対して、第2ECU2がパルス幅の補正演算を実行してCNG用インジェクタ7に出力するように構成してもよい。
つまり、第2ECU2は、第一ECU1から出力された燃料噴射信号を、RAMに記憶された通信途絶前のCNGガスの温度や圧力と、現在検知したCNGガスの温度や圧力との差分に対応する値だけ補正するのである。第1ECUは、以下の数式に基づいて最終噴射時間TRを算出して第2ECU2に出力する。
最終噴射時間TR[cng] = TR[gas]・Ct・Cp
ここに、Ct・Cpは、通信途絶直前のCNGガスの温度、圧力に基づく補正係数である。
第二ECU2は、最終噴射時間TR[cng]を以下の演算式で補正した補正後の最終噴射時間をCNG用インジェクタ7に出力する。
補正後最終噴射時間TRA[cng] = TR[cng]・Cta・Cpa
ここで、Cta・Cpaは、それぞれ通信途絶前のCNGガスの温度や圧力と、現在検知したCNGガスの温度や圧力との差分に対応する温度、圧力補正係数であり、第2ECU2のROM202に予め記憶された演算マップを参照して得られる値である。
このような第2ECU2で実行される燃料噴射量の補正演算の他の実施形態として、通信途絶が発生すると第1ECU1でCNG用の補正演算を実行することなく、ガソリン噴射時間の最終値である最終噴射時間TR[gas]に対応する燃料噴射信号を第2ECU2に出力して、第2ECU2でその時点のCNGガスの温度や圧力に基づいて、第2燃料噴射量演算を実行するように構成してもよい。
この場合、第1ECU1からは、以下の数式に基づいてガソリン用の燃料噴射信号が出力される。
TR[gas] = TP・λ・coef
尚、係数は、第一の実施形態で説明した通りである。
第2ECU2は、以下の数式に基づいてCNG用の燃料噴射信号を生成して第2インジェクタ7に出力する。
最終噴射時間TR[cng] = TR[gas]・Ct・Cp
ここで、係数「Ct」はCNGガスの温度補正係数であり、CNGガスの温度に基づいて予めROM202に記憶された演算マップを参照して得られ、「Cp」はCNGガスの圧力補正係数であり、CNGガスの圧力に基づいて予めROM202に記憶された演算マップを参照して得られる値である。
尚、演算マップとして、上述したCNGのガス温度及びガス圧力に基づいて温度補正係数及び圧力補正係数を求める演算マップであってもよいし、図11に示したガス温度及びガス圧力に基づいて温度圧力補正係数を得られる演算マップであってもよい。
即ち、気体燃料を含む複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、前記エンジンに使用される燃料が気体燃料である場合に、前記第1電子制御装置と制御情報を送受信する通信線で接続され、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁開要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を開弁制御するとともに、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、各気筒に備えたインジェクタに燃料噴射信号を出力する第2電子制御装置とを備え、前記第1電子制御装置は、前記第2電子制御装置により検知され、前記通信線を介して送信される燃料ガスの温度及び圧力に基づいて燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を前記第2電子制御装置に出力するように構成され、前記第2電子制御装置は、エンジンの駆動中に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、前記第1電子制御装置から出力される燃料噴射信号を、と絶後に検知した燃料ガスの温度及び圧力に基づいて補正し、補正後の燃料噴射信号を各気筒に備えたインジェクタに出力するように構成されているエンジン制御システムが構築されている。
上述した一連の実施形態では、CNGを気体燃料とする場合の制御構成について説明したが、液化石油ガス(LPG)を気体燃料とする場合でも同様の制御を実現することができる。
上述した一連の実施形態では、第1ECU1と第2ECUを接続する通信線がCAN通信線で構成される例を説明したが、シリアル通信線はCAN通信線に限るものではなく、UART等適宜公知のシリアル通信線を使用することができる。尚、通信線としてデータ送受信用の線数が少ないシリアル通信線を用いる構成が好ましいが、データ送受信用の線数が複数本のパラレル通信線を用いることも可能である。
尚、上述した各実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
1:第1電子制御装置(第1ECU)
2:第2電子制御装置(第2ECU)
3:エンジン
6:第1インジェクタ
7:第2インジェクタ
60:ガソリンタンク
70:CNGボンベ
73,74,75:遮断弁
106,206:CAN−IF
CNG:圧縮天然ガス

Claims (10)

  1. 複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、
    エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、
    前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの何れかに燃料噴射信号を出力する第2電子制御装置とを備え、
    前記第1電子制御装置と第2電子制御装置とは、制御情報を送受信する通信線で接続されるとともに、双方に気筒判別信号が入力され、
    所定の燃料切替条件が成立すると、気筒判別信号に基づく所定のクランク角度に同期して、一方の電子制御装置から他方の電子制御装置に前記通信線を介して燃料切替同期信号を送信し、当該燃料切替同期信号に同期して、前記第1電子制御装置は切替後の燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力し、前記第2電子制御装置は前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、切替後の燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの何れかに燃料噴射信号を出力するエンジン制御システム。
  2. 所定の燃料切替条件が成立すると、一方の電子制御装置は、気筒判別信号に基づく所定のクランク角度に同期して、他方の電子制御装置に前記通信線を介して燃料切替要求信号を送信し、他方の電子制御装置から前記通信線を介して返信される燃料切替容認信号を確認した後に、当該燃料切替同期信号を送信する請求項1記載のエンジン制御システム。
  3. 前記第1電子制御装置は、当該燃料切替同期信号の直後に燃料噴射時期を迎える気筒から、切替後の燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する請求項1または2記載のエンジン制御システム。
  4. 請求項1から3の何れかに記載のエンジン制御システムに組み込まれ、エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する電子制御装置であって、
    前記第2電子制御装置から、前記通信線を介して燃料切替同期信号が送信されると、当該燃料切替同期信号に同期して、切替後の燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を前記第2電子制御装置に出力する電子制御装置。
  5. 複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンへの供給燃料がガソリンと圧縮天然ガスであり、ガソリンに対して燃料噴射量を算出する第1燃料噴射量算出処理と、前記通信線を介して前記第2電子制御装置から送信される圧縮天然ガス供給系統の温度及び圧力に基づいて前記第1燃料噴射量算出処理で算出された燃料噴射量を補正し、前記通信線を介した通信が途絶すると、通信途絶前に受信した直近の温度及び圧力に基づいて前記第1燃料噴射量算出処理で算出された燃料噴射量を補正する第2燃料噴射量算出処理を実行する請求項4記載の電子制御装置。
  6. 請求項1から3の何れかに記載のエンジン制御システムに組み込まれ、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの何れかに燃料噴射信号を出力する電子制御装置であって、
    前記通信線を介して燃料切替同期信号を送信し、当該燃料切替同期信号に同期して、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を、切替後の燃料種類に応じて各気筒に備えた第1インジェクタまたは第2インジェクタの何れかに燃料噴射信号を出力する電子制御装置。
  7. 複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンへの供給燃料がガソリンと圧縮天然ガスであり、エンジンの停止状態で前記通信線を介した通信が途絶した場合に、前記第1電子制御装置から燃料噴射信号が所定回数連続して入力されると、当該燃料噴射信号をガソリン用のインジェクタに中継出力し、エンジンの駆動状態で前記通信線を介した通信が途絶した場合に、前記第1電子制御装置から燃料噴射信号が入力されなければエンジンを停止させる請求項6記載の電子制御装置。
  8. 気体燃料を含む複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、
    エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、
    前記エンジンに使用される燃料が気体燃料である場合に、前記第1電子制御装置と制御情報を送受信する通信線で接続され、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁開要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を開弁制御するとともに、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、各気筒に備えたインジェクタに燃料噴射信号を出力する第2電子制御装置とを備え、
    前記第2電子制御装置は、前記遮断弁開要求信号を受信する前に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、スタータ信号の入力を検知すると、前記遮断弁開要求信号の未受信にかかわらず前記遮断弁を開弁制御するエンジン制御システム。
  9. 気体燃料を含む複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、
    エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、
    前記エンジンに使用される燃料が気体燃料である場合に、前記第1電子制御装置と制御情報を送受信する通信線で接続され、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁開要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を開弁制御するとともに、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、各気筒に備えたインジェクタに燃料噴射信号を出力し、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁閉要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を閉弁制御する第2電子制御装置とを備え、
    前記第2電子制御装置は、エンジンの停止中に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、前記第1電子制御装置から出力される所定回数の燃料噴射信号を検知すると、前記遮断弁開要求信号の未受信にかかわらず前記遮断弁を開弁制御し、エンジンの駆動中に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、前記第1電子制御装置から出力される燃料噴射信号が所定時間検知されないと、前記遮断弁閉要求信号の未受信にかかわらず前記遮断弁を閉弁制御するエンジン制御システム。
  10. 気体燃料を含む複数種類の燃料を使用することが可能なエンジンを制御するエンジン制御システムであって、
    エンジンの運転状態に基づいて何れかの燃料種類に応じた燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を出力する第1電子制御装置と、
    前記エンジンに使用される燃料が気体燃料である場合に、前記第1電子制御装置と制御情報を送受信する通信線で接続され、前記通信線を介して前記第1電子制御装置から送信される遮断弁開要求信号に基づいて、気体燃料の遮断弁を開弁制御するとともに、前記第1電子制御装置から出力された燃料噴射信号を入力し、各気筒に備えたインジェクタに燃料噴射信号を出力する第2電子制御装置とを備え、
    前記第1電子制御装置は、前記第2電子制御装置により検知され、前記通信線を介して送信される燃料ガスの温度及び圧力に基づいて燃料噴射量を算出し、算出した燃料噴射量に対応する燃料噴射信号を前記第2電子制御装置に出力するように構成され、
    前記第2電子制御装置は、エンジンの駆動中に前記通信線を介した通信の途絶を検知する場合に、前記第1電子制御装置から出力される燃料噴射信号を、と絶後に検知した燃料ガスの温度及び圧力に基づいて補正し、補正後の燃料噴射信号を各気筒に備えたインジェクタに出力するように構成されているエンジン制御システム。
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