以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本発明の実施形態に係る運転支援装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る運転支援装置は、運転支援ECU(Electronic controlunit)1を備えている。運転支援ECU1には、ナビゲーション装置2、外界計測センサ3、車載通信装置4、および自律系センサ5が接続されている。さらに、運転支援ECU1には、スピーカ6が接続されている。
運転支援ECU1は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)、を含むコンピュータを主体として構成されている。また、運転支援ECU1は、高負荷位置検出部11、高負荷位置通過タイミング算出部12、事象情報取得部13、仮情報通知位置算出部14、情報通知位置変更部15、通知タイミング決定部16、および通知内容決定部17を備えている。
ナビゲーション装置2は、全地球測位システム(Global Positioning System、以下「GPS」という)等を利用して自車両の現在位置を検出するとともに、走行目的地までの各種案内を行う。このナビゲーション装置2は、自車両の現在位置周辺の地図をディスプレイ上に表示するための地図情報データベースを保持している。また、ナビゲーション装置2は、自車両の位置に関する位置情報および自車両の現在位置周辺における地図情報を運転支援ECU1に送信する。ナビゲーション装置2における地図情報には、自車両の周囲環境となる道路の形状、道路における交差点や横断歩道等の情報が含まれている。さらに具体的には、信号が設けられた対象交差点までの距離、自車両が走行する道路の道路形状、この道路に付随する情報である付随情報等が含まれる。このうちの道路形状には、交差点形状、道路の曲率、勾配、車線数などが含まれる。また、付随情報には、トンネル、横断歩道、事故多発地点、路面状態などの情報が含まれる。
外界計測センサ3は、車両の前方に取り付けられたカメラやレーダなどを備えている。カメラでは、車両の前方を撮像し、撮像した画像に画像処理を施すことにより、自車両の周囲における障害物等の障害物情報を取得する。また、レーダは、レーザレーダやミリ波レーダ等からなり、自車両の周囲における障害物と自車両との距離を計測し、距離情報として取得する。外界計測センサ3は、取得した障害物情報や距離情報を運転支援ECU1に送信する。
車載通信装置4は、図2(a)に示すように、車両Mに搭載されており、道路に設けられる光ビーコン装置Vと通信可能な通信装置である。車載通信装置4は、光ビーコン装置Vとの間で赤外線などの光信号を送受信する光信号送受信部と、光信号送受信部を通じた各種情報の送受信制御を行う制御部とを備えている。車載通信装置4は、光ビーコン装置Vから送信されるインフラ協調情報を受信して運転支援ECU1に送信する。ここで、光ビーコン装置Vは、たとえば信号が設けられた交差点(以下「対象交差点」という)Pの手前数百mの位置に設置されている。インフラ協調情報には、対象交差点までの距離や対象交差点に設けられた信号の信号サイクルが含まれる。また、インフラ協調情報には、光ビーコン装置Vが設けられた道路の道路形状(交差点形状、曲率、勾配、車線数を含む)、この道路に付随した付随情報等が含まれる。これらのインフラ協調情報および付随情報等が事象情報となる。
自律系センサ5は、車速センサ、ブレーキセンサ、前後左右加速度センサ、ステアリングセンサ、エンジン出力センサ、アクセル開度センサ等を備えて構成されている。自律系センサ5では、これらのセンサに基づいて、車両の走行速度や走行方向などの走行情報を取得する。さらに、自律系センサ5は、道路形状(曲率や車線数を含む)、道路に付随する情報(たとえば、標識、信号機、および構造物の有無、路面状態等)を走行情報として検出する。自律系センサ5は、取得した走行情報を運転支援ECU1に送信する。
運転支援ECU1における高負荷位置検出部11は、ナビゲーション装置2から送信される地図情報や外界センサ3から送信される障害物情報や距離情報に基づいて、自車両の周囲における高負荷位置を検出する。ここで、高負荷位置とは、ドライバにとって運転負荷が大きくなる位置をいい、たとえば、図2(b)に示すように、交差点Cr、横断歩道W、急カーブ路Rなどを挙げることができる。その他の高負荷位置としては、所定値以上の傾斜を有する上り坂や下り坂、車線増減箇所、トンネル、事故多発地点、凍結箇所などを挙げることができる。高負荷位置検出部11は、検出した高負荷位置に関する高負荷位置情報を高負荷位置通過タイミング算出部12に出力する。
高負荷位置通過タイミング算出部12は、高負荷位置検出部11から出力された高負荷位置情報および自律系センサ5から送信される自車両の車速や加速度等に基づいて、自車両が高負荷位置を通過する時刻を算出する。高負荷位置通過タイミング算出部12は、算出した通過時刻に関する通過時刻情報を情報通知位置変更部15に出力する。
事象情報取得部13は、車載通信装置4から送信されるインフラ協調情報および付随情報等に基づいて、車両が走行中に遭遇する事象を取得する。ここで取得する事象としては、たとえば信号を通過することなどがある。また、取得される事象が信号の通過である場合には、通過する信号の信号サイクルや信号色変化タイミングなどを付随情報として取得する。事象情報取得部13は、取得したインフラ協調情報や付随情報を仮情報通知位置算出部14および通知内容決定部17に出力する。
仮情報通知位置算出部14は、事象情報取得部13から出力されるインフラ協調情報および付随情報、さらには、自律系センサ5から送信される車両の走行情報に基づいて、事象に対応する情報を通知する位置として仮に設定される位置である仮情報通知位置を算出する。仮情報通知位置算出部14は、算出した仮情報通知位置を情報通知位置変更部15に出力する。
ここで、仮情報通知位置としては、たとえば、図3に示すように、車両が現車速V0で走行している際に、通常停止曲線L1と現車速V0との交点となる位置が用いられる。ここでの通常停止曲線L1とは、自車両が停止線で止まるために必要となる停止曲線をいう。また、ブレーキアシスト機能や自動ブレーキ機能といった停止制御機能が搭載されている車では、通常停止曲線L1のほか、限界停止曲線L2が定義される。ここでの限界停止曲線L2とは、これらの停止制御機能を考慮した一番厳しい(一番減速度が大きい)停止曲線をいう。
情報通知位置変更部15は、高負荷位置通過タイミング算出部12から出力される通過時刻情報および仮情報通知位置算出部14から出力される仮情報通知位置に基づいて、仮情報通知位置を変更するか否かを判断し、この判断結果に基づいて、最終的な情報通知位置を決定する。情報通知位置変更部15は、決定した情報通知位置を通知タイミング決定部16に出力する。
通知タイミング決定部16は、情報通知位置変更部15から出力された情報通知位置および自律系センサ5から送信される車両の走行情報に基づいて、通知を行うタイミングを決定する。通知タイミング決定部16は、決定した通知タイミングを通知内容決定部17に出力する。
通知内容決定部17は、事象情報取得部13から出力されたインフラ協調情報や付随情報、および通知タイミング決定部16から出力された通知タイミングに基づいて、通知内容を決定するとともに、決定した通知内容を通知するタイミングを決定する。ここでの通知内容としては、通常の通知内容のほか、ドライバに与える緊迫感が低くなる緊迫感低下内容やドライバに与える緊迫感が高くなる緊迫感増加内容が含まれる。通知内容決定部17は、決定したタイミングとなった際に、決定した通知内容に応じた通知信号をスピーカ6に送信する。
スピーカ6は、運転支援ECU1における通知内容決定部17から送信された通知信号に応じた情報をドライバに対して提供する音声を出力する。
次に、本実施形態に係る運転支援装置における処理手順について説明する。図4は、本実施形態に係る運転支援装置における処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態に係る運転支援装置においては、まず、インフラ協調情報や付随情報といった事象情報を図2(a)に示す光ビーコン装置Vから取得する。事象情報を取得したら、取得した事象情報におけるインフラ協調情報や付随情報、さらには、自律系センサ5から送信される車両の走行情報に基づいて、通知タイミングの選択を行う(S1)。
通知タイミングは、光ビーコン装置Vが取得した事象情報に、車両が走行する道路の前方に対象交差点Pがあるという信号情報が含まれる場合に選択される。通知タイミングの選択は、図5に示すフローに沿って行われる。図5は、通知タイミングの選択を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、通知タイミングの選択を行う際には、まず、高負荷位置検出部11において、車両の走行道路における高負荷位置H1を検出する(S11)。高負荷位置H1の検出は、ナビゲーション装置2から送信される地図情報に基づいて行われる。高負荷位置H1の検出を行ったら、次に、事象情報取得部13において取得した事象情報に基づいて、対象交差点Pを赤信号のタイミングで通過すると判断した場合に、仮情報通知位置で通知を行う通知タイミングである通常通知タイミングBを定義する(S12)。ここで、車両が対象交差点Pを青信号で通過すると判断した場合には、ドライバに対する通知の必要はないので、通知タイミングの選択を行うことなく、処理を終了する。
通常通知タイミングBは、通常に行われる通知タイミングであり、たとえば、図3に示す通常停止曲線L1と現車速V0との交点が通常通知タイミングBとされる。また、通常通知タイミングBで行われる通知は、ドライバに対して前方に対象交差点Pがあることを通常の強度で通知するものである。通常通知タイミングBで行われる通知としては、たとえば、「ピピッ、信号注意」という音声を出力することなどを挙げることができる。
続いて、仮情報通知位置が高負荷位置H1内に存在するか否かを判断する(S13)。この判断は、図6(b)に示すステップS11で取得した高負荷位置H1と、図6(a)に示すステップS12で取得した通常通知タイミングBに基づく仮情報通知位置を比較することよって行われる。その結果、仮情報通知位置が高負荷位置H1内にないと判断した場合には、通常通知タイミングBで通知を行ったとき、ドライバの運転負荷が比較的小さい位置で通知が行われることとなる。したがって、この場合には、通知タイミングとして通常通知タイミングBを選択し(S14)、通知タイミング選択処理を終了する。
また、仮情報通常位置が高負荷位置H1内にあると判断した場合には、通常通知タイミングBでの通知は、ドライバの負荷が比較的大きい位置での通知となってしまう。この場合には、通常通知タイミングBよりも通知タイミングが早い早通知タイミングAおよび通常通知タイミングBよりも通知タイミングが遅い遅通知タイミングCを定義し(S15)、情報通知位置を仮情報通知位置から変更する。
早通知タイミングAおよび遅通知タイミングCは、たとえば次のように定義される。早通知タイミングAによる通知は、図7に示すように、一定時間継続される発話によって行われる。早通知タイミングAは、車両が高負荷位置H1に到達する時刻から、発話に要する発話時間Ttと、この発話の内容をドライバが認知するために要すると想定される所定の認知時間Taを加算した時間分早いタイミングに定義される。
ここで、早通知タイミングAで行われる通知は、通常通知タイミングBで行われる通知よりも早いタイミングで行われる。このことから、ドライバに対して与える煩わしさの軽減を図るため、ドライバに与える緊迫感が低くなる緊迫感低下内容として、「やさしいまたは弱い」音声出力を行う。具体的には「ポーン、この先に信号があります」「ポーン、この先の信号に注意してください」といった音声を出力する。
このとき、早通知タイミングAを定義することができない場合には、早通知タイミングAの定義を行わない。早通知タイミングAを定義することができない場合としては、たとえば、車両が早通知タイミングAにおける発話時間Ttと認知時間Taとを加算した時間、現車速V0で走行することにより、車両が高負荷位置H1に到達してしまう場合が挙げられる。
また、遅通知タイミングCは、図7に示すように、車両が通常通知タイミングBの時刻までは現車速V0で走行し、以後は通常停止曲線に沿って減速しながら走行した場合における高負荷位置H1を通過し終えたタイミングに定義される。
遅通知タイミングCを定義することができない場合には、遅通知タイミングCの定義を行わない。遅通知タイミングCを定義することができない場合としては、たとえば、遅通知タイミングCにおける発話が終了した際に、限界停止曲線を超える場合を挙げることができる。
ここで、遅通知タイミングCで行われる通知は、通常通知タイミングBで行われる通知よりも遅いタイミングで行われる。このことから、ドライバに対する注意の強い喚起を図るため、ドライバに与える緊迫感が高くなる緊迫感増加内容として、「強いまたは直感的な」音声出力を行う。具体的には「ブレーキ!」「ピピピピッ!」といった音声を出力する。
こうして、通常通知タイミングBのほか、早通知タイミングAおよび遅通知タイミングCを定義したら、早通知タイミングAまたは遅通知タイミングCが定義されているか否かを判断する(S16)。その結果、早通知タイミングAおよび遅通知タイミングCのいずれもが定義されていない場合には、通常通知タイミングBを選択して(S14)、通知タイミング選択処理を終了する。
また、早通知タイミングおよび遅通知タイミングCのうちの少なくとも一方が定義されている場合には、早通知タイミングAが定義されているか否かを判断する(S17)。その結果、早通知タイミングAが定義されていないと判断した場合には、遅通知タイミングCが定義されていることとなるので、遅通知タイミングCを選択して(S18)、通知タイミング選択処理を終了する。
さらに、早通知タイミングAが定義されていると判断した場合には、遅通知タイミングCが定義されているか否かを判断する(S19)。その結果、遅通知タイミングCが定義されていないと判断した場合には、早通知タイミングAが定義されていることとなるので、早通知タイミングAを選択して(S20)、通知タイミング選択処理を終了する。
また、遅通知タイミングCが定義されていると判断した場合には、早通知タイミングAおよび遅通知タイミングCの両方が定義されていることとなる。この場合には、早通知タイミングAおよび遅通知タイミングCのうち、通常通知タイミングBに近い方の通知タイミングを選択する。そのため、下記(1)式を満たすか否かを判断する(S21)。
(距離X+距離Y)/2≧距離Z ・・・(1)
ここで、距離X:高負荷位置H1の幅
距離Y:発話時間Ttと認知時間Taとの加算値に車両の現車速V0を乗じた値
距離Z:通常通知タイミングBにおける車両の位置と遅通知タイミングCにおける車両の位置との差
その結果、上記(1)式を満たす場合には、遅通知タイミングCの方が早通知タイミングAよりも通常通知タイミングBに近いこととなる。この場合には、遅通知タイミングCを選択して(S18)、通知タイミング選択処理を終了する。一方、上記(1)式を満たさない場合には、早通知タイミングAの方が遅通知タイミングCよりも通常通知タイミングBに近いこととなる。この場合には、早通知タイミングAを選択して(S20)、通知タイミング選択処理を終了する。
図4に示すフローに戻り、通知タイミングの選択が済んだら、通知タイミングとして、早通知タイミングAが成立しているか否かを判断する(S2)。この判断は、高負荷位置H1と車両の現在位置とを比較することによって行われる。その結果、早通知タイミングAが成立していると判断した場合には、ステップS1で選択した通知タイミングとして、早通知タイミングAを選択しているか否かを判断する(S3)。
その結果、早通知タイミングAを選択している場合には、早通知タイミングAでドライバに通知を行うことを決定し(S4)、情報通知位置を変更してステップS9に進む。また、早通知タイミングAを選択していない場合には、通常通知タイミングBが成立しているか否かを判断する(S5)。この判断は、高負荷位置H1と車両の現在位置とを比較することによって行われる。その結果、通常通知タイミングBが成立していると判断した場合には、ステップS1で選択した通知タイミングとして、通常通知タイミングBを選択しているか否かを判断する(S6)。
ここで、通常通知タイミングを選択していると判断した場合には、通常通知タイミングBでドライバに通知を行うことを決定し(S7)、情報通知位置を仮情報通知位置から変更することなくステップS9に進む。また、通常通知タイミングを選択していないと判断した場合には、遅通知タイミングCでドライバに通知を行うことを決定し(S8)、情報通知位置を変更してステップS9に進む。
その後、対象交差点Pが未通過であるか否かを判断する(S9)。その結果、対象交差点Pを未通過であると判断した場合には、ステップS1に戻り、再度通知タイミングの選択を行う。また、対象交差点Pを通過し、未通過ではないと判断した場合には、当該対象交差点Pに関する通知の必要がなくなるので、運転支援装置による処理を終了する。
このように、本実施形態に係る運転支援装置においては、仮情報通知位置が高負荷位置H1と重なる場合、通知タイミングを変更して、情報通知位置が高負荷位置と重ならないようにしている。このため、ドライバに対する運転負荷が大きくなる高負荷位置でのドライバに対する情報通知を避けることができる。したがって、ドライバは、運転負荷が大きくない状態で信号に対する情報を取得することができる。よって、信号に関する情報をドライバに対して確実に伝達することができる。
また、情報通知位置を変更する際、上記(1)式を用いて、早通知タイミングAおよび遅通知タイミングCのうち、通常通知タイミングBに近い方の通知タイミングを選択している。このため、信号情報を通知して好適となるタイミングに近いタイミングで情報通知を行うことができる。
さらに、早通知タイミングAによる通知と遅通知タイミングCによる通知とは、その内容が異なり、また、いずれも通常通知タイミングによる通知の内容とは異なるものである。特に、早通知タイミングAでは、「やさしいまたは弱い」音声出力を行うことにより、ドライバに与える煩わしさを低減することができる。さらに、遅通知タイミングCでは、「強いまたは直感的な」音声出力を行うことにより、ドライバに対して強い注意喚起を行うことができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態に係る運転支援装置のブロック構成図である。図8に示すように、本実施形態に係る運転支援装置は、上記第1の実施形態と比較して、運転支援ECU10が加減速度制御部18を備える点、および運転支援ECU10に制動制御ECU7および駆動制御ECU8が接続されている点において主に異なっている。
加減速度制御部18は、情報通知位置変更部15から出力される情報通知位置および自律系センサ5から送信される車両の走行情報に基づいて、車両の加減速度を算出する。加減速度制御部18は、算出した加減速度に応じた加速信号および減速信号を制動制御ECU7および駆動制御ECU8にそれぞれ送信する。制動制御ECU7および駆動制御ECU8では、加減速度制御部18から送信される加減速信号に基づいて、車両を制動制御または駆動制御し、車両の加減速度を調整する。
次に、本実施形態に係る運転支援装置における処理手順について説明する。図9は、本実施形態に係る運転支援装置における処理手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、本実施形態に係る運転支援装置においては、上記第1の実施形態と同様、最初にインフラ協調情報等の事象情報を光ビーコン装置Vから取得し、取得した事象情報におけるインフラ協調情報や付随情報、さらには、自律系センサ5から送信される車両の走行情報に基づいて、通知タイミングの選択する(S31)。
通知タイミングの選択は、上記第1の実施形態と同様、光ビーコン装置Vが取得した事象情報に、車両が走行する道路の前方に対象交差点Pがあるという信号情報が含まれる場合に行われる。通知タイミングの選択は、図10に示すフローに沿って行われる。図10は、通知タイミングの選択を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、本実施形態に係る通知タイミングの選択処理では、高負荷位置検出部11において、車両の走行道路における高負荷位置を検出する(S51)。次に、事象情報取得部13において取得した事象情報に基づいて、対象交差点Pを赤信号のタイミングで通過すると判断した場合に、仮情報通知位置で通知を行う通知タイミングである通常通知タイミングBを定義する(S52)。ここで、車両が対象交差点Pを青信号で通過すると判断した場合には、ドライバに対する通知の必要はないので、通知タイミングの選択を行うことなく、通知タイミング選択処理を終了する。
続いて、仮情報通知位置が高負荷位置H1内に存在するか否かを判断する(S53)。その結果、仮情報通知位置が高負荷位置H1内にないと判断した場合には、通知タイミングとして通常通知タイミングBを選択し(S54)、通知タイミング選択処理を終了する。また、仮情報通常位置が高負荷位置H1内にあると判断した場合には、通常通知タイミングBよりも通知タイミングが早い早通知タイミングAおよび通常通知タイミングBよりも通知タイミングが遅い遅通知タイミングCを定義し(S55)、情報通知位置を仮情報通知位置から変更する。ここまでは、上記第1の実施形態と同様である。
通常通知タイミングBのほか、早通知タイミングAおよび遅通知タイミングCを定義したら、車両が加速状態にあるか(加速度が正であるか)否かを判断する(S56)。車両が加速状態にあるか否かの判断は、自律系センサ5から送信される走行情報に含まれる加速度情報基づいて行われる。
ここで、加速状態にあるか否かの判断を行うにあたり、単位時間あたりの速度/加減速度の変化量を用いる。また、速度/加減速度の変化が加速側の場合であっても、変化量が所定のしきい値より小さい場合には、安全性の確保およびドライバに与える不信感の除去のために、加速状態にない(定速状態または減速状態にある)と判断する)。他方、ドライバの直接的な操作、たとえばアクセルペダルポジション、ブレーキペダルポジション、シフトポジション等を取得できる場合には、これらのポジションも判断材料に加えることができる。
また、早通知タイミングAは、図11に示すように、車両が現車速V0から加速し、加車速Vbに達した際に、仮情報通知位置が高負荷位置H1内にあるときに選択される。このとき、加車速Vbまで加速すると仮情報通知位置が高負荷位置H1内にあることとなるから、情報通知位置を高負荷位置H1から外れるようにすることが望まれる。ここで、早通知タイミングAは、車両が加速状態にあるときに選択されることから、現在の車速からさらに駆動力を加えて加速し、情報通知位置を高負荷位置H1よりも手前位置とすることが好適となる。そのため、車速が早車速Vaとなるように加速し、停止線で止まるために必要な通常停止曲線L1との交点を高負荷位置H1よりも手前に誘導したものである。
車両を加速するために、燃料噴射量の増加やアップシフトなどを行うことができるが、もともとの加速度に対して制御量が大きくなり過ぎないように一定のしきい値を設けるとともに、加車速Vbが法定速度を超えない範囲で早通知タイミングAを定義する必要がある。ここでのしきい値には、ドライバの個人差を考慮することが好適となる。さらに、このときには、発話時間Ttと認知時間Taとを考慮して早車速Vaを設定する。具体的には、早通知タイミングAから通知を開始し、通知が終了するまで車両が高負荷位置H1内に進入しないタイミングに早通知タイミングAを定義する。
さらに、遅通知タイミングCは、図12に示すように、車両が現車速V0から定速走行または減速し、減車速Vbに達した際に、仮情報通知位置が高負荷位置H1内にあるときに選択される。このとき、減車速Vbまで減速すると仮情報通知位置が高負荷位置H1内にあることとなるから、情報通知位置を高負荷位置H1から外れるようにすることが望まれる。ここで、遅通知タイミングCは、車両が定速状態または減速状態にあるときに選択されることから、現在の車速からさらに制動力を加えて減速し、情報通知位置を高負荷位置H1よりも奥側位置とすることが好適となる。そのため、車速が遅車速Vcとなるように減速し、停止線で止まるために必要な通常停止曲線L1との交点を高負荷位置H1よりも奥側に誘導したものである。
車両を加速するために、ブレーキ圧の増加やダウンシフトなどを行うことができるが、もともとの減速度に対して制御量が大きくなり過ぎないように一定のしきい値を設けるとともに、加車速Vbが法定速度を超えない範囲で遅通知タイミングCを定義する必要がある。ここでのしきい値には、ドライバの個人差を考慮することが好適となる。さらに、このときには、限界停止曲線L2を超えないように遅車速Vcを設定する。なお、ダウンシフトを行う際には、NAVI−AI(Artificial Intelligence)−SHIFT機能を用いることができる。また、ブレーキ増圧には、BA(BrakeAssist)機能、DABC( (Driver-assist Braking Control)機能を用いることができる。
車両が加速状態にあるか否かの判断の結果、車両が加速状態になく、定速状態または減速状態にあると判断した場合には、遅通知タイミングCが定義されているか否かを判断する(S57)。ここで、遅通知タイミングCが定義されてないと判断した場合には、通常通知タイミングBを選択して(S54)、通知タイミング選択処理を終了する。一方、遅通知タイミングCが定義されていると判断した場合には、遅通知タイミングCを選択して(S58)、通知タイミング選択処理を終了する。
また、ステップS56において車両が加速状態にあると判断した場合には、早通知タイミングAが定義されているか否かを判断する(S59)。その結果、早通知タイミングAが定義されている場合には、早通知タイミングAを選択して(S60)、通知タイミング選択処理を終了する。また、早通知タイミングAが定義されていない場合には、通常通知タイミングBを選択して(S54)、通知タイミング選択処理を終了する。
このように、本実施形態では、早通知タイミングAと遅通知タイミングCの両方が定義される場合でも、通常通知タイミングBとの関係によらず、車両の加速状態によって早通知タイミングAと遅通知タイミングCのいずれかを選択する。また、たとえば遅通知タイミングCが定義されている場合でも、車両が加速状態にない場合には、通常通知タイミングBを選択する。同様に、早通知タイミングAが定義されている場合でも、車両が加速状態にある場合には、通常通知タイミングBを選択する。
図9に示すフローに戻り、通知タイミングの選択が済んだら、通知タイミングとして早通知タイミングAが選択されているか否かを判断する(S32)。その結果、早通知タイミングAが選択されている場合には、駆動制御ECU8に加速信号を送信し、図11に示すように、早通知タイミングAにおける車両Mの速度が、現車速V0よりも速い早車速Vaとなるように駆動力を付加して車両を加速する(S33)。この早車速Vaは、早通知タイミングAにおける通常停止曲線L1の速さに相当する。こうして、ステップS38に進む。
一方、早通知タイミングAが選択されていないと判断した場合には、通常通知タイミングBが選択されているか否かを判断する(S34)。ここで、通常通知タイミングBが選択されていると判断した場合には、通常通知タイミングBは、仮情報通知位置が高負荷位置H1から外れた位置にあるときに選択される。このため、このまま走行を継続することにより、高負荷位置H1を避けた位置で通知が行われるので、制御量の調整を停止して(S35)、ステップS38に進む。
さらに、通常通知タイミングBが選択されていないと判断した場合には、遅通知タイミングCが選択されているか否かを判断する(S36)。その結果、遅通知タイミングCが選択されている場合には、制動制御ECU7に減速信号を送信し、図12に示すように、遅通知タイミングCにおける車両Mの速度が、現車速V0よりも遅い遅車速Vcとなるように制動力を付加して車両を減速する(S37)。この遅車速Vcは、遅通知タイミングCにおける通常停止曲線L1の速さに相当する。こうして、ステップS38に進む。
続いて、早通知タイミングAが成立しているか否かを判断する(S38)。その結果、早通知タイミングAが成立している場合には、早通知タイミングAでドライバに通知を行うことを決定し(S39)、情報通知位置を仮情報通知位置から変更してステップS44に進む。
また、早通知タイミングAが成立してない場合には、通常通知タイミングBが成立しているか否かを判断する(S40)。その結果、通常通知タイミングBが成立している場合には、通常通知タイミングBでドライバに通知を行うことを決定し(S41)、情報通知位置を仮情報通知位置から変更することなくステップS44に進む。
さらに、通常通知タイミングBが成立していない場合には、遅通知タイミングCが成立しているか否かを判断する(S42)。その結果、遅通知タイミングCが成立している場合には、遅通知タイミングCでドライバに通知を行うことを決定し(S43)、情報通知位置を仮情報通知位置から変更してステップS44に進む。また、遅通知タイミングCが成立していない場合には、そのままステップS44に進む。
その後、対象交差点Pが未通過であるか否かを判断する(S44)。その結果、対象交差点Pを未通過であると判断した場合には、ステップS31に戻り、再度通知タイミングの選択を行う。また、対象交差点Pを通過し、未通過ではないと判断した場合には、当該対象交差点Pに関する通知の必要がなくなるので、運転支援装置による処理を終了する。
このように、本実施形態に係る運転支援装置においては、上記第1の実施形態と同様、情報通知位置が高負荷位置と重ならないようにしている。このため、ドライバに対する運転負荷が大きくなる高負荷位置でのドライバに対する情報通知を避けることができるので、信号に関する情報をドライバに対して確実に伝達することができる。
また、本実施形態に係る運転支援装置においては、情報通知位置を変更する際に、車両の車速を調整している。このため、信号情報を通知する際に好適なタイミングに近いタイミングで情報通知を行うことができる。また、このとき、車両が加速状態であれば車両をさらに加速し、加速状態でなければ車両を減速して車速を調整している。このため、信号情報を通知する際にさらに好適なタイミングに近いタイミングで情報通知を行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、事象情報として信号情報を想定しているが、その他の情報、たとえば道路の混雑状況、工事情報などの車両の運転に関する種々の情報やさらにその他の情報を対象とすることができる。
また、上記実施形態では、情報通知位置を決定するために仮情報通知位置を算出しているが、たとえば現在位置が仮情報通知位置に相当する場合には、仮情報通知位置の算出を行わない態様とすることができる。この場合には、現在位置が高負荷位置であるか否かを求め、現在位置が高負荷位置である場合には、情報通知位置を変更したり、情報通知タイミングを遅らせたりすることができる。さらに、上記実施形態では、車両が加速状態であれば車両をさらに加速させることによって通知位置を変更するようにしているが、たとえば車両が加速状態であっても車両を減速させることによって通知位置を変更するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、早通知タイミングAや遅通知タイミングCをそれぞれ1種類ずつ設定しているが、種々の状況に応じて通知タイミングをさらに調整する態様とすることもできる。さらに、上記実施形態では、情報通知を行う際にスピーカを用いているが、その他の手段、たとえばモニタへの表示やシートの振動等を用い、あるいはこれらを併用することによって情報通知を行う態様とすることもできる。