JP5292075B2 - セルロースパルプ製造中のチップ連続スチーム前処理構造及び方法 - Google Patents
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Description
凝縮によって容易に取り除くことができないガスは、「NCGs」として知られている(ここで「NCG」は、「non-condensable gas(非凝縮性ガス)」の略称である。)。
TRSガスの放出を最低限に抑えるために、しばしば、純粋なスチームが、チップ容器内で加熱のために用いられ、黒液スチームは、チップ容器の後ろに配置された加圧スチーム前処理容器内で最初に使用される。たとえ、黒液スチームを、連続加圧スチーム前処理容器内だけで使用したとしても、これらTRSガスは、例えば、作業の中断中に、チップ容器まで漏れ得る。しかし、スチーム前処理用に純粋なスチームを使用すると、この場合、パルプミルで電気を作るのに利用できるスチームの量が減少するので、費用がかかる。
これらのシステムの一つ重大な欠点は、供給されるスチームエネルギの主要な部分が、放出ガスと共に放出されることにある。これらのガスは、弱ガスシステムにおいて凝縮され、その結果、大量の低級温水が得られ、しばしば、これらは排水システムに送られ、結果として大きなエネルギ損失になる。
内部でスチームがチップベッドに吹きかけられる公知のチップ容器では、大量のガスが発生させられ、純粋なスチームか、又は、これらのガスを処置し得る特別なシステムが必要とされる。放出されたガスは、非常に爆発性のある組成物を容易に補足し得る。ガスの濃度が、約4容量%未満か、又は、40容量%を十分に超えている限りは、爆発の危険はない。従って、濃度を4容量%未満に、典型的には、1〜2容量%に維持する弱ガスシステムか、又は、濃度を40容量%より十分に上に維持する強ガスシステムが使用される。従って、弱ガスシステムでは、濃度が4容量%より十分に低く維持され、これには、大量の空気の移動を伴うことが確実にされる。ガスの量を増やすと直ぐに、濃度を臨界レベルに維持するために、それに相当する量の空気を増加しなければならない。
例えば、チップ容器内でスチーム前処理によって1kg/minのNCGsが生成されると、約2容量%の濃度を維持するために、空気の量を、約50kg/minにしなければならない。処理中に何らかの外乱があって、NCGsの量が2又は3kg/minに増加すると、空気の量を、一時的に100又は150kg/minにそれぞれ増加させなければならない。通常、システムは、普通の流れに対応できるように寸法決めされているので、作業の中断中に生じる過剰ガスが、ベントパイプを通して周囲に直接漏れることになる。
この技術は、「コールドトップ」制御として公知であり、それは、Metso Paper社によってDUALSTEAM(商標)容器の名前で市販されているチップ容器及びIMPBIN(商標)の名前で市販されている含浸容器で使用されているチップ容器で使用される。これらのシステムの重大な利点は、これらのシステムが効率的な方法で加熱を行うことにあり、そこでは、供給される熱は全て、処理によって吸収される。これは、スチームが、チップベッドの上側表面を通って吹きぬけてしまい、放出されたスチームを凝縮しなければならず、大きなエネルギ損失が生じる加熱方法とは大違いである。「コールドトップ」制御の別の利点は、処理中に、チップからのテレビン油の損失が生じ得る別のロケーションが確立しないことにあり、このため、本質的に、全てのテレビン油が、蒸解処理から回収される黒液についていくことにある。その後、この黒液の圧力は、フラッシュタンク内で、又は蒸発処理において、従来の方法で解放され得る。
それらが爆発物となる濃度範囲の低濃度側に留まるようにされている。ここでは、ガス洗浄作業が弱ガスシステムに含まれている。
図1に示されたスチーム前処理容器は、図面に示すように、その中の容器の下方部分でチップの含浸が行われる容器である。このチップの含浸は、例えば、IMPBIN(商標)の名前でMetso Paper社によって販売されている技法に従って実行され得る。加圧された加熱黒液BLは、好ましくは、この技法の間に、容器に添加され、それにより、この加熱黒液にかけられた圧力が解放され、チップのスチーム前処理に必要なスチームの重要なフラクションを生じさせる。
黒液の表面BLLEVから放出されるスチームは、符号BLSTで示されている。
好ましくは、スチームは、NCGsガス及びTRSガスが完全に無い純粋なスチームであり得、また、それは、一定量のTRSガスを含んだ黒液スチームであり得る。
少なくとも一つの散布ノズル10が噴霧手段の出口に設けられている。好ましくは、散布ノズル10は高圧ノズルであり、細かく分散された冷却流体を、スチーム前処理容器の頂部に散布する。ガス相におけるガスを凝縮するために、冷却流体を、細かく分散された液滴又は細かく分散された霧として噴射すると、ガス相と冷却流体との間の接触領域が増えるので有利である。冷却流体の圧力を、スチーム前処理容器の頂部の圧力に対して少なくとも3バールの過剰圧力に対応するレベルに維持することが好ましい。
吹き抜けの危険は、その上側表面に関するチップベッドの温度(又は、チップのレベルより上にあるガス相の温度)が閾値を越えた時に検出され、それにより噴射が行われる。
また、吹き抜けの危険は、例えば、スチーム前処理容器内へ入る又はそこから出るチップの流れが、閾値より下に落ちた時にも検出され得、それにより噴射が行われる。
セルロースパルプ製造処理からの水又は冷却済処理流体が冷却流体として使用される。これらの冷却済処理流体は、冷却済白液、冷却済黒液、又は次の洗浄処理からの冷却済ろ液等であり得る。
噴射される冷却流体の量は、好ましくは、吹き抜けの危険の度合いに比例するように制御され、この制御は、異なる数の噴射ノズルを作動させることを通して行うことができ、又、パルス幅によって変調される作動される各噴射ノズルの開口度合いを用いて行うことができる。
散布ノズル10の一部は、第一閾値が越えられた場合に作動させられ、ここで、開き度合いは、パルス幅によって変調され得る。例えば、散布ノズル10は、300秒の間の時間遅延の20%の間、開かれ得る。
残りの散布ノズル10は、第二閾値が超えられた場合に、同じパルス幅変調(300秒の20%)で作動され得る。
散布ノズルの開き度合いは、例えば、第三閾値が越えられた場合に、300秒の間の時間遅延の40%のパルス幅変調の間、開かれたままになるように増やされ得る。
散布ノズルの開き度合いは、さらに高い温度では、全ての散布ノズルが連続して開いた状態に保持されるまで、20%のステップで増加され得る。
有利には、冷却効果が幾つかのステージで連結できると、制御不能になって圧力を急速に落とし、内破の危険があるスチーム前処理容器を危険で良くない圧力にし得る突然の急激な冷却効果が、過熱ガス層に導入されない。
各散布ノズルには、個別調整のために、個別の調整弁11が設けられ得る。
Claims (10)
- セルロースパルプ製造中のチップ連続スチーム前処理構造であって、
周囲温度に相当する温度である未処理チップが、スチーム前処理容器(1)に供給され、
前記容器(1)内で、チップを予め加熱して、チップに含まれている空気を放出するために、チップがスチーム(ST)を用いて前処理され、
スチーム前処理容器(1)が、その頂部にチップ入口を有し、その底部に出口を有し、
スチームが、スチーム前処理容器(1)内に確立されているチップベッドに、スチーム発生手段を通して加えられ、チップベッドの下方に確立された高い温度から、チップベッドの上側表面に確立された低い温度までの温度勾配が、チップベッド内に確立するようにされた
チップの連続スチーム前処理構造において、
制御ユニット(31)を配置して、ベッドの上側表面の低い温度が閾値を越えた時に、チップベッドを通る上方へのスチームの吹き抜けを示す少なくとも一つの作動パラメータを検出手段(32)を介して検出するようにし、
冷却流体源(CS)からの冷却流体を噴射する噴射手段(10)を、スチーム前処理容器の頂部に配置し、
冷却流体源(CS)と噴射手段(10)との間の連結ラインに、少なくとも一つの調整弁(11)を配置し、
検出した作動パラメータが吹き抜けの発生を示した時に、作動手段を介して調整弁(11)を開くように前記制御ユニット(31)を構成する
ことを特徴とするチップの連続スチーム前処理構造。 - 少なくとも一つの散布ノズル(10)が噴射手段の出口に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の構造。 - 散布ノズル(10)が高圧ノズルであり、冷却流体の微細分散ミストをスチーム前処理容器(1)の頂部に散布する
ことを特徴とする請求項2に記載の構造。 - 複数の散布ノズルが、スチーム前処理容器の頂部に配置され、
これらの散布ノズルが、冷却流体を噴射している間、スチーム前処理容器の全流れ方向横断面を覆うように配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の構造。 - セルロースパルプ製造中のチップの連続スチーム前処理方法であって、
周囲温度に相当する温度である未処理チップが、スチーム前処理容器(1)に供給され、
前記容器(1)内で、チップを予め加熱して、チップに含まれている空気を放出するために、チップがスチーム(ST)を用いて前処理され、
スチーム前処理容器(1)が、その頂部にチップ入口を有し、その底部に出口を有し、
スチームが、スチーム前処理容器(1)内に確立されているチップベッドに、スチーム発生手段を通して加えられ、チップベッドの下方に確立された高い温度から、チップベッドの上側表面に確立された低い温度までの温度勾配が、チップベッド内に確立するようにされた
チップの連続スチーム前処理方法において、
上側表面に関するチップベッドの温度が閾値を越えた時に検出されるスチームの吹き抜けの始まりの危険を作動状態が示す時に、スチーム前処理容器の頂部に冷却流体を噴射する
ことを特徴とするチップの連続スチーム前処理方法。 - チップベッドの上側表面の温度が閾値を超えた時に噴射処理を開示する
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。 - スチーム前処理容器へ入るチップの流れ又はスチーム前処理容器から出るチップの流れが、閾値より下に落ちた時に噴射処理を開始する
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。 - セルロースパルプの製造処理から出る水、即ち、冷却済み処理流体が冷却流体として使用される
ことを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の方法。 - 噴射される冷却流体の量が、吹き抜けの危険に比例するよう制御される
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。 - 噴射される冷却流体の量が、異なる数の噴射ノズルを作動させることによって、又は、パルス幅変調によって、若しくは、その両方の方法によって制御される
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
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